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特許7576180GlxR蛋白質変異体またはこれを利用したスレオニン生産方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】GlxR蛋白質変異体またはこれを利用したスレオニン生産方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/31 20060101AFI20241023BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20241023BHJP
   C12P 13/08 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
C12N15/31
C12N1/21 ZNA
C12P13/08 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023541941
(86)(22)【出願日】2022-01-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-24
(86)【国際出願番号】 KR2022000204
(87)【国際公開番号】W WO2022149865
(87)【国際公開日】2022-07-14
【審査請求日】2023-07-11
(31)【優先権主張番号】10-2021-0003609
(32)【優先日】2021-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【微生物の受託番号】KCCM  KCCM12899P
【微生物の受託番号】KCCM  KCCM12900P
【微生物の受託番号】KCCM  KCCM12901P
【微生物の受託番号】KCCM  KCCM12902P
(73)【特許権者】
【識別番号】507406611
【氏名又は名称】シージェイ チェルジェダン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ソ,イ‐スル
(72)【発明者】
【氏名】クォン,ス・ヨン
(72)【発明者】
【氏名】イ,クァン・ウ
(72)【発明者】
【氏名】シム,ジヒョン
【審査官】田ノ上 拓自
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-536194(JP,A)
【文献】特開2018-113966(JP,A)
【文献】特表2008-522611(JP,A)
【文献】JOURNAL OF BACTERIOLOGY,2004年,Vol.186, No.11,pp.3453-3460,DOI: 10.1128/JB.186.11.3453-3460.2004
【文献】J. Mol. Biol.,2000年,Vol.299,pp.295-310
【文献】Proc. Natl. Acad. Sci. USA,1993年,Vol.90,pp.6081-6085
【文献】FEMS Microbiol Lett,2010年,Vol.304,pp.107-115,DOI:10.1111/j.1574-6968.2009.01884.x
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C12N 1/21
C12P 13/08
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
SwissProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(1)乃至(4)からなる群より選択された変異を含み、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する、GlxR(glyoxylate bypass regulator)蛋白質変異体。
(1)配列番号1のアミノ酸配列でN-末端から45番目のアミノ酸位置に相応する残基がアラニン、セリン、フェニルアラニン、またはリジンに置換;
(2)配列番号1のアミノ酸配列でN-末端から66番目のアミノ酸位置に相応する残基がアラニン、フェニルアラニン、またはリジンに置換;
(3)配列番号1のアミノ酸配列でN-末端から166番目のアミノ酸位置に相応する残基がアスパラギン酸、フェニルアラニン、またはリジンに置換;および
(4)配列番号1のアミノ酸配列でN-末端から168番目のアミノ酸位置に相応する残基がアラニン、フェニルアラニン、またはリジンに置換。
【請求項2】
請求項1に記載のGlxR蛋白質変異体をコードする、ポリヌクレオチド。
【請求項3】
請求項1に記載のGlxR蛋白質変異体および前記GlxR蛋白質変異体をコードするポリヌクレオチドからなる群より選択された1種以上を含む、微生物。
【請求項4】
前記微生物は、L-スレオニン生産能を有するものである、請求項3に記載の微生物。
【請求項5】
前記微生物は、コリネバクテリウム属(Corynebacteriumsp.)である、請求項3に記載の微生物。
【請求項6】
前記コリネバクテリウム属微生物は、コリネバクテリウムグルタミカム(Corynebacterium glutamicum)である、請求項5に記載の微生物。
【請求項7】
請求項3乃至6のいずれか一項に記載の微生物を培地で培養する段階を含む、L-スレオニンの生産方法。
【請求項8】
前記方法は、培養された培地または微生物からL-スレオニンを回収する段階をさらに含む、請求項7に記載のL-スレオニンの生産方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願(ら)との相互引用
本出願は、2021年1月11日付大韓民国特許出願第10-2021-0003609号に基づいた優先権の利益を主張し、当該大韓民国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本出願は、GlxR蛋白質変異体またはこれを利用したスレオニン生産方法に関する。
【背景技術】
【0003】
L-スレオニンは、必須アミノ酸の一種で飼料または食品添加剤、医薬品の合成原料および医薬用輸液剤として使用されている。L-スレオニンは、主に微生物醗酵技術により生産され、例えば、エシェリキア(Escherichia)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、セラチア(Serratia)、またはプロビデンシア(Providencia)属微生物などを利用して生産され得る。
【0004】
最近はコリネバクテリウム属菌株を利用したL-スレオニンの製造方法を改善するために多くの試みが行われている。遺伝子組換え技術の発展によりランダム突然変異法により開発されたL-スレオニン生産株を対象として部位特異的遺伝子置換、遺伝子増幅および欠失などを導入してより向上したL-スレオニン生産株の開発に対する技術が報告されている。また、他のバクテリア由来の外来遺伝子を導入する試みもある。
【0005】
このような努力にも、L-スレオニンのような有用物質の生産能を向上させる技術の開発は依然として要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国公開特許第2016-0369310号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一例は、新規なGlxR蛋白質変異体を提供する。前記GlxR蛋白質変異体は、配列番号1のアミノ酸配列でN-末端から45番目、66番目、166番目、および168番目からなる群より選択された一つ以上および/またはこれに(前記選択された一つ以上の位置に)相応する位置のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたポリペプチドであり得る。前記ポリペプチドは、代謝過程を調節する主な転写調節因子(transcriptional regulator)の機能を有するものであり得る。
【0008】
他の例は、前記GlxR蛋白質変異体をコードするポリヌクレオチドを提供する。
【0009】
他の例は、前記ポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。
【0010】
他の例は、前記GlxR蛋白質変異体、前記ポリヌクレオチド、前記ポリヌクレオチドを含むベクター、またはその組み合わせを含む微生物を提供する。
【0011】
他の例は、前記微生物を培地で培養する段階を含むスレオニンの生産方法を提供する。
【0012】
前記微生物は、コリネバクテリウム属微生物であり得る。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本出願で提供される一例は、GlxR蛋白質および/またはこれをコードするglxR遺伝子を改良してスレオニンの生産量が向上した(増加された)菌株を開発することと関連した技術を提供する。一例において、前記スレオニンは、L-スレオニンであり得る。
【0014】
前記目的を達成するための本出願の一態様は、GlxR蛋白質のアミノ酸配列でN-末端から45番目、66番目、166番目、および168番目からなる群より選択された一つ以上および/またはこれに(前記選択された一つ以上の位置に)相応する位置のアミノ酸残基が他の種類のアミノ酸残基に置換された、GlxR蛋白質変異体を提供するものであり得る。
【0015】
本明細書で、「GlxR(CRP-like cyclic AMP-dependentglobal transcriptional regulator;例えば、Cg0350」は、炭素代謝だけでなく多様な細胞機能の調節に関与して多様な遺伝子を調節するグローバル調節因子(global regulator)を意味し得、例えば、グリオキシル酸バイパス酵素であるイソクエン酸リアーゼ(isocitrate lyase)および/またはリンゴ酸シンターゼ(malate synthase)をコードする遺伝子(例えば、aceA(cg2560)およびaceB(cg2559))の発現を調節するものであり得る。
【0016】
前記GlxR蛋白質は、配列番号1のアミノ酸配列を含むかまたは配列番号1のアミノ酸配列からなるものであり得、前記GlxR蛋白質をコードするglxR遺伝子は、配列番号2の核酸配列を含むかまたは配列番号2の核酸配列からなるものであり得る。配列番号1のアミノ酸配列と配列番号2の核酸配列は下記表1に記載した。
【0017】
前記GlxR蛋白質のアミノ酸配列およびGlxR蛋白質をコードする遺伝子(例えば、glxR)の塩基配列(核酸配列)は、米国国立生物工学情報センター(NCBI)および日本DNAデータバンク(DDBJ)のような当業界に公知のデータベースから容易に得ることができ、例えばGenBank Accession No. WP_003855810.1であり得る。
【0018】
【表1】
【0019】
本出願で用語「相応する(corresponding to)」は、ポリペプチドで列挙される位置のアミノ酸残基であるか、またはポリペプチドで列挙される残基と類似あるいは同一であるかまたは相同なアミノ酸残基を称する。相応する位置のアミノ酸を確認することは、特定の配列を参照する配列の特定のアミノ酸を決定することであり得る。本出願に使用された「相応領域」は、一般的に関連蛋白質またはレファレンス(reference)蛋白質での類似または対応する位置を称する。
【0020】
例えば、任意のアミノ酸配列を配列番号1とアラインメントし(align)、これに基づいて前記アミノ酸配列の各アミノ酸残基は、配列番号1のアミノ酸残基と相応するアミノ酸残基の数字位置を参照してナンバリングすることができる。例えば、本出願に記載されたもののような配列アラインメントアルゴリズムは、クエリシーケンス(「参照配列」ともいう)と比較してアミノ酸の位置、または置換、挿入または欠失などの改変が発生する位置を確認することができる。
【0021】
このようなアラインメントには、例えば、ニードルマン-ブンシュ(Needleman-Wunsch)アルゴリズム(NeedlemanおよびWunsch, 1970, J. Mol. Biol. 48: 443-453)、EMBOSSパッケージのニードルマン(Needle)プログラム(EMBOSS: The European Molecular Biology Open Software Suite, Rice et al., 2000), Trends Genet. 16: 276-277)などを利用することができるが、これに制限されずに当業界に知られた配列アラインメントプログラム、ペアワイズシーケンス(pairwise sequence)比較アルゴリズムなどを適切に使用することができる。
【0022】
本出願で、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドが「特定の核酸配列(塩基配列)またはアミノ酸配列を含むまたは前記配列からなる」とは、前記ポリヌクレオチドまたはポリペプチドが前記特定の核酸配列(塩基配列)またはアミノ酸配列を必須で含むことを意味し得、前記ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの本来の機能および/または目的とする機能を維持する範囲で前記特定の核酸配列(塩基配列)またはアミノ酸配列に変異(欠失、置換、改変、および/または付加)が加えられた「実質的に同等な配列」を含むもの(または前記変異を排除しないもの)と解釈され得る。一例において、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドが「特定の核酸配列(塩基配列)またはアミノ酸配列を含むまたは前記配列からなる」とは、前記ポリヌクレオチドまたはポリペプチドが(i)前記特定の核酸配列(塩基配列)またはアミノ酸配列を必須で含むか、または(ii)前記特定の核酸配列(塩基配列)またはアミノ酸配列と70%以上、80%以上、85%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上、または99.9%以上の相同性または同一性を有する核酸配列またはアミノ酸配列からなるかまたはこれを必須で含み、本来の機能および/または目的とする機能を維持することを意味し得る。一例において、前記目的とする機能は、微生物のL-スレオニン生産能を増加させたり付与する機能を意味し得る。
【0023】
本出願で、「相同性」は、二つのポリヌクレオチドまたはポリペプチド部分間の同一性のパーセントを意味する。一つの部分から他の一つの部分までの配列間の相同性は、知られている当該技術により決定され得る。例えば、相同性は、配列情報をアラインメントし、容易に入手可能なコンピュータプログラムを利用して二つのポリヌクレオチド分子または二つのポリペプチド分子間の配列情報、例えば点数(score)、同一性(identity)、および類似度(similarity)などの媒介変数(parameter)を直接アラインメントして決定され得る。前記コンピュータプログラムは、BLAST(NCBI)、CLC Main Workbench(CLC bio)、MegAlignTM(DNASTAR Inc)などであり得る。また、ポリヌクレオチド間の相同性は、相同領域間の安定した二本鎖をなす条件下でポリヌクレオチドをハイブリダイゼーションした後、一本鎖特異的ヌクレアーゼで分解させ、分解された断片の大きさを確認することによって決定することができる。
【0024】
本出願で、「相同性(homology)」または「同一性(identity)」は、二つの与えられたアミノ酸配列または塩基配列の相互間の類似の程度を意味し、百分率で表示され得る。相同性および同一性の用語は、時々相互交換的に利用され得る。
【0025】
保存された(conserved)ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの配列相同性または同一性は、標準配列アルゴリズムにより決定され、使用されるプログラムにより確立されたデフォルトギャップペナルティが共に利用され得る。実質的に、相同性を有するか(homologous)または同一の(identical)配列は、一般的に配列全体または一部分と中間または高いストリンジェントな条件(stringent conditions)でハイブリッドすることができる。ハイブリダイゼーションは、ポリヌクレオチドで一般のコドンまたはコドン縮重性を考慮したコドンを含有するポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションも含まれることが自明である。
【0026】
任意の二つのポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列が相同性、類似性または同一性を有するか否かは、例えば、Pearson et al (1988) [Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85]:2444でのようなデフォルトパラメータを利用して「FASTA」プログラムのような公知のコンピュータアルゴリズムを利用して決定され得る。または、EMBOSSパッケージのニードルマンプログラム(EMBOSS: The European Molecular Biology Open Software Suite, Rice et al., 2000, Trends Genet. 16: 276-277)(バージョン5.0.0または以降のバージョン)で行われるような、ニードルマン-ブンシュ(Needleman-Wunsch)アルゴリズム( Needleman and Wunsch, 1970, J. Mol. Biol. 48: 443-453)を使用して決定され得る(Devereux, J., et al, Nucleic Acids Research 12: 387 (1984)), BLASTP, BLASTN, FASTA (Atschul, [S.] [F.,] [ET AL, J MOLEC BIOL 215]: 403 (1990); Guide to Huge Computers, Martin J. Bishop, [ED.,] Academic Press, San Diego,1994,および[CARILLO ETA/.](1988) SIAM J Applied Math 48: 1073を含む)。例えば、国立生物工学情報データベースセンターのBLAST、またはClustalWを利用して相同性、類似性または同一性を決定することができる。
【0027】
ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの相同性、類似性または同一性は、例えば、Smith and Waterman, Adv. Appl. Math (1981) 2:482に開示されたとおり、例えば、 Needleman et al. (1970), J Mol Biol. 48:443のようなGAPコンピュータプログラムを利用して配列情報を比較することによって決定され得る。要約すれば、GAPプログラムは、二つの配列のうち、より短いものにおける記号の全体数で、類似の配列された記号(つまり、ヌクレオチドまたはアミノ酸)の数を割った値と定義することができる。GAPプログラムのためのデフォルトパラメータは(1)二進法の比較マトリックス(同一性のために1、そして非同一性のために0の値を含有する)およびSchwartz and Dayhoff, eds., Atlas Of Protein Sequence And Structure, National Biomedical Research Foundation, pp. 353-358 (1979)により開示されたとおり、Gribskov et al(1986) Nucl. Acids Res. 14: 6745の加重した比較マトリックス(またはEDNAFULL(NCBI NUC4.4のEMBOSSバージョン)置換マトリックス);(2)各ギャップのための3.0のペナルティおよび各ギャップで各記号のための追加の0.10ペナルティ(またはギャップ開始ペナルティ10、ギャップ拡張ペナルティ0.5);および(3)末端ギャップのための無ペナルティを含むことができる。
【0028】
一態様は、配列番号1のアミノ酸配列でN-末端から、45番目、66番目、166番目、および168番目からなる群より選択された一つ以上および/またはこれに(前記選択された一つ以上の位置に)相応する位置のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたGlxR蛋白質変異体を提供することができる。前記「他のアミノ酸」とは、配列番号1の45番目、66番目、166番目、および168番目からなる群より選択された一つ以上および/またはこれに(前記選択された一つ以上の位置に)相応する位置に位置するアミノ酸を除いた他のアミノ酸を意味し得る。
【0029】
一例による変異体は、配列番号1で記載されるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.7%または99.9%以上の相同性または同一性を有するアミノ酸配列で配列番号1のアミノ酸配列の45番目、66番目、166番目、および168番目からなる群より選択された一つ以上および/またはこれに(前記選択された一つ以上の位置に)相応する位置のアミノ酸残基が他の種類のアミノ酸残基に置換されたポリペプチドを含むことができる。また、このような相同性または同一性を有し、GlxR蛋白質と同一であるか相応する活性を有する蛋白質であれば、一部の配列が欠失、改変、置換、保存的置換または付加されたアミノ酸配列を有する変異体も本出願の範囲内に含まれることは自明である。
【0030】
一例において、下記(1)乃至(4)からなる群より選択された変異を含む、GlxR(glyoxylate bypass regulator)蛋白質変異体を提供することができる:
【0031】
(1)配列番号1のアミノ酸配列でN-末端から45番目のアミノ酸残基(例えば、グルタミン酸(glutamic acid、グルタメート、glutamate))がアラニン(alanine)、セリン(serine)、フェニルアラニン(phenylalanine)、またはリジン(lysine)に置換;
【0032】
(2)配列番号1のアミノ酸配列でN-末端から66番目のアミノ酸(例えば、アスパラギン酸(aspartic acid、アスパルテート、aspartate))残基がアラニン(alanine)、フェニルアラニン(phenylalanine)、またはリジン(lysine)に置換;
【0033】
(3)配列番号1のアミノ酸配列でN-末端から166番目のアミノ酸残基(例えば、スレオニン(threonine))がアスパラギン酸(aspartic acid、aspartate)、フェニルアラニン(phenylalanine)、またはリジン(lysine)に置換;および
【0034】
(4)配列番号1のアミノ酸配列でN-末端から168番目のアミノ酸残基(例えば、グルタミン酸)がアラニン(alanine)、フェニルアラニン(phenylalanine)、またはリジン(lysine)に置換。
【0035】
また、本出願の変異体は、前記配列番号1のアミノ酸配列を基準として45番目、66番目、166番目、および168番目からなる群より選択された一つ以上および/またはこれに(前記選択された一つ以上の位置に)相応する位置のアミノ酸残基が他の種類のアミノ酸残基に置換され、前記配列番号3乃至15のうちの選択されたアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.7%または99.9%以上の相同性または同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。また、このような相同性または同一性を有し、本出願の変異体に相応する効能を示すアミノ酸配列であれば、一部の配列が欠失、改変、置換、保存的置換または付加されたアミノ酸配列を有する変異体も本出願の範囲内に含まれることは自明である。
【0036】
例えば、前記アミノ酸配列のN-末端、C-末端そして/または内部に本出願の変異体の機能を変更しない配列追加または欠失、自然的に発生することができる突然変異、サイレント突然変異(silent mutation)または保存的置換を有する場合である。
【0037】
前記「保存的置換(conservative substitution)」は、一つのアミノ酸を類似する構造的および/または化学的性質を有するまた他のアミノ酸に置換させることを意味する。このようなアミノ酸置換は、一般的に残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性および/または両親媒性(amphipathic nature)での類似性に基づいて発生することができる。通常、保存的置換は、蛋白質またはポリペプチドの活性にほとんど影響を与えないかまたは影響を付与されないことができる。
【0038】
本出願で用語「変異体(variant)」は、一つ以上のアミノ酸が保存的置換(conservative substitution)および/または改変(modification)されて前記変異体の変異前のアミノ酸配列と相違しているが機能(functions)または特性(properties)が維持されるポリペプチドを称する。このような変異体は、一般的に前記ポリペプチドのアミノ酸配列のうち、一つ以上のアミノ酸を改変し、前記改変されたポリペプチドの特性を評価して同定(identify)され得る。つまり、変異体の能力は、変異前のポリペプチドに比べて増加するか、変化しないか、または減少されることがある。また、一部の変異体は、N-末端リーダー配列または膜貫通ドメイン(transmembrane domain)のような一つ以上の部分が除去された変異体を含むことができる。他の変異体は、成熟蛋白質(mature protein)のN-および/またはC-末端から一部分が除去された変異体を含むことができる。前記用語「変異体」とは、変異型、改変、変異型ポリペプチド、変異された蛋白質、変異および変異体などの用語(英語表現ではmodification、modified polypeptide、modified protein、mutant、mutein、divergentなど)が互換して使用され得るが、変異された意味で使用される用語であればこれに制限されない。また、変異体は、ポリペプチドの特性と2次構造に最小限の影響を有するアミノ酸の欠失または付加を含むことができる。例えば変異体のN-末端には翻訳と同時に(co-translationally)または翻訳後に(post-translationally)蛋白質の転座(translocation)に関与するシグナル(またはリーダー)配列がコンジュゲートされ得る。また前記変異体は、確認、精製、または合成することができるように他の配列またはリンカーとコンジュゲートされ得る。
【0039】
一例によれば、前記GlxR蛋白質変異体は、配列番号3乃至配列番号15からなる群より選択されたアミノ酸配列を含むか、または前記アミノ酸配列からなるものであり得る。配列番号3乃至配列番号15のアミノ酸配列は下記表2に記載した。
【0040】
【表2】
【0041】
一例によるGlxR蛋白質変異体は、変異前のGlxR蛋白質(例えば、配列番号1のアミノ酸配列からなるGlxR蛋白質)のように、グローバル転写調節因子(global transcriptional regulator)であり、例えば、グリオキシル酸バイパス遺伝子(glyoxylate bypass genes;例えば、ace Aおよび/またはace B)に対する調節因子(regulator)の機能を有するものであり得る。
【0042】
一例によるGlxR蛋白質変異体は、変異前のGlxR蛋白質(野生型蛋白質(例えば、配列番号1のアミノ酸配列からなるGlxR蛋白質))より活性が減衰したものであり得る。前記「GlxR蛋白質の活性が減衰した」ことは、細胞内でグローバル転写調節因子の活性程度が変異前の蛋白質に比べて減少したことを意味し得る。前記減衰は、GlxR蛋白質をコードする遺伝子の変異などにより蛋白質自自体の活性が本来の微生物(例えば、野生型、親菌株、宿主微生物、非改変型微生物など)が有している蛋白質の活性に比べて減少した場合と、GlxR蛋白質をコードする遺伝子の転写(transcription)阻害および/または翻訳(translation)阻害などにより前記酵素の発現水準が低下して細胞内で全体的な酵素活性程度が低い場合、これらの組み合わせも含むことができる。
【0043】
本出願で、前記GlxR蛋白質変異体は、変異型GlxR蛋白質、GlxR変異体、変異型GlxRと同一の意味で使用され得る。
【0044】
他の態様は、GlxR蛋白質変異体をコードする、ポリヌクレオチドを提供することができる。
【0045】
本出願で、「ポリヌクレオチド」は、ヌクレオチド単位(monomer)が共有結合により長く鎖状につながったヌクレオチドの重合体(polymer)で一定の長さ以上のDNAまたはRNA鎖であり、より具体的には、前記変異体をコードするポリヌクレオチド断片を意味する。
【0046】
前記ポリヌクレオチドは、一例によるGlxR蛋白質変異体をコードするポリヌクレオチド配列であれば、制限なしに含まれ得る。一例によるポリヌクレオチドは、配列番号1のアミノ酸配列でN-末端から、45番目、66番目、166番目、および168番目からなる群より選択された一つ以上および/またはこれに(前記選択された一つ以上の位置に)相応する位置のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたGlxR蛋白質変異体をコードする核酸配列を含むかまたは前記核酸配列からなることができ、例えば配列番号3乃至配列番号15からなる群より選択されたアミノ酸配列をコードする核酸配列を含むかまたは前記核酸配列からなることができる。
【0047】
前記ポリヌクレオチドは、コドンの縮重性(degeneracy)または一例による変異体を発現させようとする生物で好まれるコドンを考慮して、一例による変異体のアミノ酸配列を変化させない範囲内でコーディング領域に多様な改変が行われ得る。したがって、コドン縮重性(codon degeneracy)により前記配列番号3乃至配列番号15のアミノ酸配列からなるポリペプチドまたはこれと相同性(または同一性)を有するポリペプチドをコードすることができるポリヌクレオチドも含まれ得る。
【0048】
一例によるポリヌクレオチドは、公知の遺伝子配列から製造され得るプローブ、例えば、一例によるポリヌクレオチド配列の全体または一部に対する相補配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイゼーションできる配列であれば制限なしに含まれ得る。前記「ストリンジェントな条件(stringent condition)」とは、ポリヌクレオチド間の特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件を意味する。このような条件は文献(J. Sambrook et al.,Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2nd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory press, Cold Spring Harbor, New York, 1989; F.M. Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc., New York, 9.50-9.51, 11.7-11.8参照)に具体的に記載されている。例えば、相同性または同一性が高いポリヌクレオチド同士で、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上の相同性または同一性を有するポリヌクレオチド同士でハイブリダイゼーションし、それより相同性または同一性が低いポリヌクレオチド同士でハイブリダイゼーションしない条件、または通常のサザンハイブリダイゼーション(southern hybridization)の洗浄条件である60℃、1×SSC、0.1% SDS、具体的に60℃、0.1×SSC、0.1% SDS、より具体的に68℃、0.1×SSC、0.1% SDSに相当する塩濃度および温度で、1回、具体的に2回乃至3回洗浄する条件を列挙することができる。
【0049】
ハイブリダイゼーションは、たとえハイブリダイゼーションのストリンジェンシーにより塩基間のミスマッチ(mismatch)が可能であっても、二つの核酸が相補的配列を有することを要求する。本出願で、「相補的」は、互いにハイブリダイゼーションが可能なヌクレオチド塩基間の関係を記述することに使用される。例えば、DNAに関して、アデニンはチミンに相補的であり、シトシンはグアニンに相補的である。したがって、一例によるポリヌクレオチドはまた、実質的に類似の核酸配列だけでなく全体配列に相補的な単離された核酸断片を含むことができる。
【0050】
具体的に、一例によるポリヌクレオチドと相同性または同一性を有するポリヌクレオチドは、50℃乃至65℃(例えば、55℃)のTm値でハイブリダイゼーション段階を含むハイブリダイゼーション条件を用い、前述した条件を用いて探知することができる。また、前記Tm値は、60℃、63℃または65℃であり得るが、これに制限されるのではなく、その目的により当業者により適切に調節され得る。
【0051】
前記ポリヌクレオチドをハイブリダイゼーションする適切なストリンジェンシーは、ポリヌクレオチドの長さおよび相補性の程度に依存し、変数は当該技術分野によく知られている(例えば、J . J.Sambrook et al.,Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2nd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory press, Cold Spring Harbor, New York, 1989; F.M. Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc., New York, 9.50-9.51, 11.7-11.8参照)。
【0052】
また他の態様は、前記ポリヌクレオチドを含む、ベクターを提供することができる。前記ベクターは、前記ポリヌクレオチドを宿主細胞で発現させるための発現ベクターであり得るが、これに制限されない。
【0053】
本出願で、「ベクター」は、適した宿主内で目的ポリペプチドを発現させることができるように適した発現調節領域(または発現調節配列)に作動可能に連結された前記目的ポリペプチドをコーディングするポリヌクレオチドの塩基配列を含むDNA調製物を含むことができる。前記発現調節領域は、転写を開始することができるプロモーター、そのような転写を調節するための任意のオペレーター配列、適したmRNAリボソーム結合部位をコーディングする配列、および転写および解読の終結を調節する配列を含むことができる。ベクターは、適当な宿主細胞内に形質転換された後、宿主ゲノムと関係なく複製されたり機能することができ、ゲノムそれ自体に組み込まれ得る。
【0054】
本出願で使用されるベクターは、特に限定されず、当業界に知られた任意のベクターを利用することができる。通常使用されるベクターの例としては、天然状態または組換えられた状態のプラスミド、コスミド、ウイルスおよびバクテリオファージが挙げられる。例えば、ファージベクターまたはコスミドベクターとしてpWE15、M13、MBL3、MBL4、IXII、ASHII、APII、t10、t11、Charon4A、およびCharon21Aなどを使用することができ、プラスミドベクターとしてpDZ系、pBR系、pUC系、pBluescriptII系、pGEM系、pTZ系、pCL系およびpET系などを使用することができる。具体的にはpDZ、pDC、pDCM2、pACYC177、pACYC184、pCL、pECCG117、pUC19、pBR322、pMW118、pCC1BACベクターなどを使用することができる。
【0055】
一例において、細胞内染色体挿入用ベクターを通じて染色体内に蛋白質(例えば、GlxR蛋白質)をコードするポリヌクレオチドを変異されたポリヌクレオチドに交替させることができる。前記ポリヌクレオチドの染色体内への挿入は、当業界に知られた任意の方法、例えば、相同組換え(homologous recombination)により行われ得るが、これに限定されない。前記染色体挿入の有無を確認するための選別マーカ(selection marker)をさらに含むことができる。選別マーカは、ベクターで形質転換された細胞を選別、つまり、目的ポリヌクレオチド分子の挿入の有無を確認するためのものであり、薬物耐性、栄養要求性、細胞毒性剤に対する耐性または表面変異型蛋白質の発現のような選択可能表現型を付与するマーカを使用することができる。選択剤(selective agent)が処理された環境では選別マーカを発現する細胞だけ生存したり他の表現形質を示したりするため、形質転換された細胞を選別することができる。
【0056】
本出願で、「形質転換」は、標的ポリペプチドをコーディングするポリヌクレオチドを含むベクターを宿主細胞あるいは微生物内に導入して宿主細胞内で前記ポリヌクレオチドがコーディングするポリペプチドが発現することができるようにすることを意味する。形質転換されたポリヌクレオチドは、宿主細胞内で発現さえできれば、宿主細胞の染色体内に挿入されて位置するか、染色体外に位置するかに関係なくこれら全てを含むことができる。また、前記ポリヌクレオチドは、目的ポリペプチド(例えば、前記GlxR変異体)をコーディングするDNAおよび/またはRNAを含む。前記ポリヌクレオチドは、宿主細胞内に導入されて発現することができるものであれば、如何なる形態でも導入され得る。例えば、前記ポリヌクレオチドは、自律的に発現するのに必要な全ての要素を含む遺伝子構造体である発現カセット(expression cassette)の形態で宿主細胞に導入され得る。前記発現カセットは、通常前記ポリヌクレオチドに作動可能に連結されているプロモーター(promoter)、転写終結信号、リボソーム結合部位および翻訳終結信号を含むことができる。前記発現カセットは、自律複製が可能な発現ベクター形態であり得る。また、前記ポリヌクレオチドは、それ自体の形態で宿主細胞に導入されて宿主細胞で発現に必要な配列と作動可能に連結されているものであり得るが、これに制限されない。前記形質転換させる方法は、遺伝子を細胞内に導入する方法であれば制限なしに含まれ、宿主細胞に応じて当該分野で公知されたとおり適した標準技術を選択して行うことができる。例えば、電気穿孔法(electroporation)、リン酸カルシウム(CaPO)沈澱、塩化カルシウム(CaCl)沈澱、マイクロインジェクション法(microinjection)、レトロウイルス感染(retroviral infection)、ポリエチレングリコール(PEG)法、DEAE-デキストラン法、陽イオンリポゾーム法、および/または酢酸リチウム-DMSO法などを使用することができるが、これに限られない。
【0057】
前記ベクターは、適した宿主内で目的蛋白質(例えば、前記GlxR変異体)を発現させることができるように適した調節配列に作動可能に連結された前記目的蛋白質をコードするポリヌクレオチドの核酸配列を含有するDNA調製物であり得る。前記調節配列は、転写を開始することができるプロモーター、そのような転写を調節するための任意のオペレーター配列、適したmRNAリボソーム結合部位をコードする配列、および転写および解読の終結を調節する配列を含むことができる。ベクターは、適当な宿主細胞内に形質転換された後、宿主ゲノムと関係なく複製されたり機能したりすることができ、ゲノムそれ自体に組み込まれ得る。
【0058】
本出願で、「作動可能に連結された」とは、本出願の目的変異体をコーディングするポリヌクレオチドの転写を開始および媒介するようにするプロモーター配列と前記ポリヌクレオチド配列が機能的に連結されていることを意味する。
【0059】
また他の態様は、前記GlxR蛋白質変異体、前記GlxR蛋白質変異体をコードするポリヌクレオチド、および前記ポリヌクレオチドを含むベクターからなる群より選択された1種以上を含む、微生物(または、菌株、組換え細胞)を提供することができる。本出願で「微生物」は、単細胞バクテリアを含むものであり得る。
【0060】
本出願で、「菌株(または、微生物)」は、野生型微生物や自然的または人為的に遺伝的改変が起こった微生物を全て含み、外部遺伝子が挿入されたり内在的遺伝子の活性が強化されたり不活性化されるなどの原因により特定の機序が減衰または強化された微生物であって、目的とするポリペプチド、蛋白質または産物の生産のために遺伝的改変(modification)を含む微生物であり得る。
【0061】
前記微生物(または、菌株、組換え細胞)は、前記GlxR蛋白質変異体、一例によるポリヌクレオチドおよび一例によるポリヌクレオチドを含むベクターのうちのいずれか一つ以上を含む菌株;前記GlxR蛋白質変異体または一例によるポリヌクレオチドを発現するように改変された菌株;前記GlxR蛋白質変異体、または一例によるポリヌクレオチドを発現する菌株(例えば、組換え菌注);または前記GlxR蛋白質変異体活性を有する菌株(例えば、組換え菌注)であり得るが、これに制限されない。
【0062】
一例において、前記微生物(または菌株、組換え細胞)は、スレオニン(例えば、L-スレオニン)生産能を有するものであり得る。前記微生物(または菌株、組換え細胞)は、非改変微生物、組換え前の細胞、親菌株、および/または野生型菌株よりスレオニン生産能が向上するか、またはスレオニン生産能がない非改変微生物、組換え前の細胞、親菌株および/または野生型菌株とは異なり、スレオニン生産能が付与されたものであり得る。
【0063】
本出願で、「スレオニン(例えば、L-スレオニン)生産能を有する」とは、自然的にスレオニン生産能を有する細胞および/または微生物、またはスレオニン生産能がない親菌株にスレオニン生産能が付与された微生物を意味する。一例によるGlxR蛋白質変異体が導入されることによって前記微生物がL-スレオニン生産能を有する場合、および/またはL-スレオニン生産能を有していない微生物に前記GlxR蛋白質変異体が導入されることによって前記微生物がL-スレオニン生産能を有するようになる場合を意味するために使用され得る。例えば、L-スレオニン生産能を有するコリネバクテリウム属微生物とは、天然型微生物自体またはスレオニン生産機序と関連した外部遺伝子が挿入されたり内在的遺伝子の活性を強化させたり減衰または不活性させて向上したL-スレオニン生産能を有するようになったコリネバクテリウム属微生物を意味し得る。
【0064】
一例によるGlxR蛋白質変異が導入された微生物は、同種の非改変微生物と比較して、スレオニン(例えば、L-スレオニン)生産が増加したものであり得る。
【0065】
本出願で、「非改変微生物」は、微生物に自然的に発生し得る突然変異を含む菌株を除くのではなく、野生型菌株または天然型菌株自体であるか、自然的または人為的要因による遺伝的変異で形質が変化する前の菌株を意味し得る。例えば、前記非改変微生物は、一例によるGlxR変異体が導入されないかまたは導入される前の菌株を意味し得る。前記「非改変微生物」は、「改変前菌株」、「改変前微生物」、「非変異菌株」、「非改変菌株」、「非変異微生物」または「基準微生物」と互換して使用され得る。前記でGlxR蛋白質変異が微生物に導入されるとのことは、前記GlxR蛋白質変異体、前記GlxR蛋白質変異体をコードするポリヌクレオチド、および/または前記ポリヌクレオチドを含むベクターを微生物に導入することを意味し得る。一例において前記スレオニン生産能の増加の有無を比較する対象菌株である、蛋白質非改変微生物は、ATCC13032菌株、KCCM12000P菌株、および/またはKCCM12120P菌株であり得るが、これに制限されない。
【0066】
一例として、前記生産能が増加された組換え菌株は、変異前親菌株または非改変微生物に比べて、スレオニン生産能が約1%以上、約2.5%以上、約5%以上、約6%以上、約7%以上、約8%以上、約9%以上、約10%以上、約10.5%以上、約11%以上、約11.5%以上、約12%以上、約12.5%以上、約13%以上、約13.5%以上、約14%以上、約14.5%以上、約15%以上、約15.5%以上、約16%以上、約16.5%以上、約17%以上、約17.5%以上、約18%以上、約18.5%以上、約19%以上、約19.5%以上、約20%以上、約20.5%以上、約21%以上、約21.5%以上、約22%以上、約22.5%以上、約23%以上、約23.5%以上、約24%以上、約24.5%以上、約25、約25.5%以上、約26%以上、約26.5%以上、約27%以上(上限値は特別な制限はなく、例えば、約200%以下、約150%以下、約100%以下、約50%以下、約45%以下、約40%以下、または約35%以下であり得る)増加したものであり得る。他の例で、前記生産能が増加された組換え菌株は、変異前親菌株または非改変微生物に比べて、スレオニン生産能が約1.1倍以上約1.12倍以上、約1.13倍以上、1.15倍以上、1.16倍以上、1.17倍以上、1.18倍以上、1.19倍以上、約1.2倍以上、約1.25倍以上、約1.26倍以上、または約1.3倍以上(上限値は特別な制限はなく、例えば、約10倍以下、約5倍以下、約3倍以下、または約2倍以下であり得る)増加したものであり得る。前記用語「約(about)」は、±0.5、±0.4、±0.3、±0.2、±0.1などを全て含む範囲で、約という用語の後に出る数値と同等または類似の範囲の数値を全て含むが、これに制限されない。
【0067】
前記ポリヌクレオチドの宿主細胞ゲノム(染色体)内の挿入または宿主細胞内在遺伝子(例えば、glxR遺伝子)がGlxR蛋白質変異体をコードするようにする変異導入は、公知の方法を当業者が適切に選択して行うことができ、例えば、RNA-ガイドエンドヌクレアーゼシステム(RNA-guided endonuclease system;例えば、(a)RNA-ガイドエンドヌクレアーゼ(例、Cas9蛋白質など)、そのコード遺伝子、または前記遺伝子を含むベクター;および(b)ガイドRNA(例、single guide RNA(sgRNA)など)、そのコードDNA、または前記DNAを含むベクターを含む混合物(例えば、RNA-ガイドエンドヌクレアーゼ蛋白質とガイドRNAの混合物など)、複合体(例えば、リボ核酸融合蛋白質(RNP)、組換えベクター(例えば、RNA-ガイドエンドヌクレアーゼコード遺伝子およびガイドRNAコードDNAを共に含むベクターなど)などからなる群で選択された一つ以上)を使用して行われ得るが、これに制限されるのではない。一例による微生物でポリヌクレオチドの一部または全体の改変(例えば、前述した蛋白質変異体をコーディングするための改変)は、(a)微生物内染色体挿入用ベクターを利用した相同組換えまたは遺伝子はさみ(engineered nuclease、e.g., CRISPR-Cas9)を利用したゲノム編集および/または(b)紫外線および放射線などのような光および/または化学物質処理により誘導され得るが、これに制限されない。前記遺伝子の一部または全体の改変方法にはDNA組換え技術による方法が含まれ得る。例えば、目的遺伝子と相同性があるヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列またはベクターを前記微生物に注入して相同組換え(homologous recombination)が起こるようにすることによって遺伝子の一部または全体の欠損が行われ得る。前記注入されるヌクレオチド配列またはベクターは、優性選別マーカを含むことができるが、これに制限されるのではない。
【0068】
前記微生物(または菌株、組換え細胞)は、追加的にスレオニン生産が増加するようにする変異を含むことができ、前記変異の位置および/または変異対象になる遺伝子および/または蛋白質の種類は、スレオニン生産が増加するようにするものであれば制限なしに含まれ得る。前記組換え細胞は、形質転換が可能な細胞であれば制限なしに使用可能になり得る。
【0069】
前記GlxR蛋白質変異が導入されてスレオニン生産能が増加したりスレオニン生産能が付与されたりした微生物と区別するためにGlxR蛋白質変異が導入される前の微生物を、前記GlxR蛋白質変異が導入される前の微生物を宿主微生物(または親菌株、非改変微生物)で表現することができる。
【0070】
一例において、前記GlxR蛋白質変異体、前記変異体をコードするポリヌクレオチド、および/または前記ポリヌクレオチドを含むベクターを含む微生物は、
(i)ゲノム(genome)に加えて、前記ポリヌクレオチドおよび/または前記組換えベクターをさらに含むか、および/または
(ii)内在のGlxR蛋白質コード遺伝子(例えば、glxR遺伝子)として、前記ポリヌクレオチドを含むことを意味し得る。
【0071】
前記(ii)「内在のGlxR蛋白質コード遺伝子(例えば、glxR遺伝子)として、前記ポリヌクレオチドを含む」とのことは、(a)前記ポリヌクレオチドが内在のGlxR蛋白質コード遺伝子(例えば、glxR遺伝子)を代替して含まれる(挿入される)か、および/または(b)内在のGlxR蛋白質コード遺伝子(例えば、glxR遺伝子)が遺伝子編集(gene editing)技術により前記ポリヌクレオチドの核酸配列(つまり、GlxR蛋白質変異体をコードする核酸配列)を有するように変移されることを意味するものであり得る。
【0072】
一例において、前記GlxR蛋白質またはこれをコードする遺伝子は、宿主微生物由来(内在)のものまたはこれと異なる微生物由来(外来)のものであり得る。
【0073】
一例において、前記微生物(または菌株、組換え細胞)は、一例によるポリヌクレオチドが染色体内に組み込まれたものであり得、例えば、一例によるポリヌクレオチドは、染色体内の遺伝子部位で天然(native)glxR遺伝子に対して交換されたり追加の遺伝子部位に組み込まれたものであり得る。
【0074】
前記微生物は、コリネバクテリウム属(Corynebacterium sp.)微生物であり得る。
【0075】
前記コリネバクテリウム属微生物は、コリネバクテリウムグルタミカム(Corynebacterium glutamicum)、コリネバクテリウムアンモニアゲネス(Corynebacterium ammoniagenes)、コリネバクテリウムアセトアシドフィラム(Corynebacterium acetoacidophilum)、コリネバクテリウムアセトグルタミカム(Corynebacterium acetoglutamicum)、コリネバクテリウムアルカノリティカム(Corynebacterium alkanolyticum)、コリネバクテリウムカルナエ(Corynebacteriumcallunae)、コリネバクテリウムリリウム(Corynebacterium lilium)、コリネバクテリウムメラセコーラ(Corynebacteriummelassecola)、コリネバクテリウムサーモアミノゲネス(Corynebacterium thermoaminogenes)、コリネバクテリウムエフィシエンス(Corynebacterium efficiens)、コリネバクテリウムヘルクリス(Corynebacterium herculis)、コリネバクテリウムクルディラクティス(Corynebacteriumcrudilactis)、コリネバクテリウムデセルティ(Corynebacterium deserti)、コリネバクテリウムスタティオニス(Corynebacteriumstationis)、コリネバクテリウムシングルラレ(Corynebacterium singulare)、コリネバクテリウムハロトレランス(Corynebacteriumhalotolerans)、コリネバクテリウムストリアツム(Corynebacterium striatum)、コリネバクテリウムアンモニアゲネス(Corynebacteriumammoniagenes)、コリネバクテリウムポルティソリ(Corynebacterium pollutisoli)、コリネバクテリウムイミタンス(Corynebacteriumimitans)、コリネバクテリウムテスツディノリス(Corynebacterium testudinoris)、および/またはコリネバクテリウムフラベセンス(Corynebacterium flavescens)などであり得る。
【0076】
前記微生物(または菌株、組換え細胞)は、形質転換を通じて人工的に製造されたり、または自然的に発生するものを全て含むことができる。例えば、前記微生物(または菌株、組換え細胞)は、一例によるGlxR蛋白質変異体をコードするポリヌクレオチドを含むベクターに形質転換されたものであり得る。
【0077】
前記微生物(または菌株、組換え細胞)は、一具体例によるポリヌクレオチド配列が染色体内に組み込まれたものであり得る。相同組換えは、一例によるベクターの使用と共に、ベクターにより細胞内に伝達される一例によるポリヌクレオチドに対する染色体上のDNAセグメントの交換を許容する。ベクターの環状DNA分子および染色体上の標的DNAの間の効率的な組換えのために、一例によるポリヌクレオチドを含有する交換されるDNA領域には端部に標的部位に相同性であるヌクレオチド配列が提供され;これらはベクターの組み込みおよびDNAの交換部位を決定する。例えば、一例によるポリヌクレオチドは、染色体内で天然遺伝子部位で天然glxR遺伝子に対して交換され得るか、追加の遺伝子部位に組み込まれ得る。
【0078】
他の態様は、前記微生物(または菌株、組換え細胞)を培地で培養する段階を含む、スレオニン(threonine)の生産方法を提供することができる。前記スレオニンは、L-スレオニンであり得る。前記微生物(または菌株、組換え細胞)については前述したとおりである。
【0079】
本出願で、「培養」は、前記微生物(または菌株、組換え細胞)を適当に調節された環境条件で成長させることを意味する。前記培養は、当業界に知られた適切な培地と培養条件により行われ得、適切な方式で特定の菌株の要件を満たさなければならず、通常の技術者により適切に改変され得る。前記培養方法は例えば、回分式培養(batch culture)、連続式培養(continuous culture)、流加式培養(fed-batch culture)、またはこれらの組み合わせの培養を含むことができるが、これに限定されるのではない。
【0080】
本出願で、「培地」は、本出願のコリネバクテリウムグルタミカム菌株を培養するために必要とする栄養物質を主成分として混合した物質を意味し、生存および発達に不可欠な水を始めとして栄養物質および成長因子などを供給する。具体的に、一例による微生物の培養に使用される培地およびその他培養条件は、通常の微生物の培養に使用される培地であれば特別な制限なしにいずれも使用することができるが、一例による微生物を適当な炭素源、窒素源、リン源、無機化合物、アミノ酸および/またはビタミンなどを含有する通常の培地内で、好気的条件下で温度、pHなどを調節しながら培養することができる。
【0081】
一例において、微生物(または菌株、組換え細胞)を培養するための培地は、文献[“Manual of Methods for General Bacteriology” by the American Society for Bacteriology (Washington D.C., USA, 1981)]を参照することができるが、これに限定されるのではない。
【0082】
前記炭素源としては、ブドウ糖、サッカロース、ラクトース、フルクトース、スクロース、マルトースなどのような炭水化物;マンニトル、ソルビトールなどのような糖アルコール、ピルビン酸、乳酸、クエン酸などのような有機酸;グルタミン酸、メチオニン、リジンなどのようなアミノ酸などが含まれ得る。また、デンプン加水分解物、糖蜜、ブラックストラップ糖蜜、米ぬか、キャッサバ、サトウキビ残渣やとうもろこし浸漬液のような天然の有機栄養源を使用することができ、具体的にはブドウ糖および殺菌された前処理糖蜜(つまり、還元糖に転換された糖蜜)などのような炭水化物を使用することができ、その他の適正量の炭素源を制限なしに多様に利用することができる。これら炭素源は、単独で使用したり2種以上を組合わせて使用したりすることができ、これに限定されるのではない。
【0083】
前記窒素源としては、アンモニア、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、硝酸アンモニウムなどのような無機窒素源;グルタミン酸、メチオニン、グルタミンなどのようなアミノ酸、ペプトン、NZ-アミン、肉類抽出物、酵母抽出物、麦芽抽出物、とうもろこし浸漬液、カゼイン加水分解物、魚類またはその分解生成物、脱脂大豆粕またはその分解生成物などのような有機窒素源を使用することができる。これら窒素源は、単独で使用したり2種以上を組合わせて使用したりすることができ、これに限定されるのではない。
【0084】
前記リン源としては、リン酸第1カリウム、リン酸第2カリウム、またはこれに対応するナトリウム含有塩などが含まれ得る。無機化合物としては、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化鉄、硫酸マグネシウム、硫酸鉄、硫酸マンガン、炭酸カルシウムなどを使用することができ、それ以外にアミノ酸、ビタミンおよび/または適切な前駆体などが含まれ得る。これら構成成分または前駆体は、培地に回分式または連続式で添加され得る。しかし、これに限定されるのではない。
【0085】
また、培地は、成長に必要な硫酸マグネシウムまたは硫酸鉄のような金属塩を含有することができ、これに限定されるのではない。それ以外に、アミノ酸およびビタミンのような必須成長物質が含まれ得る。また培地に適切な前駆体を使用することができる。前記培地または個別成分は培養過程で培養液に適切な方式により回分式でまたは連続式で添加され得るが、これに限定されるのではない。
【0086】
一例によれば、前記培養中に水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、アンモニア、リン酸、硫酸などのような化合物を培地に適切な方式で添加して、培地のpHを調整することができる。また、培養中には脂肪酸ポリグリコールエステルのような消泡剤を使用して気泡生成を抑制することができる。また、培地の好気状態を維持するために、培地内に酸素または酸素含有気体を注入したり嫌気および微好気状態を維持するために気体の注入なしにあるいは窒素、水素または二酸化炭素ガスを注入したりすることができ、これに限定されるのではない。
【0087】
一例によれば、前記培養温度は、20℃乃至45℃、25℃乃至40℃、または30℃乃至37℃を維持することができる。培養期間は、有用物質(例えば、L-スレオニン)が所望する生産量で得られる時まで続くことができ、例えば、10乃至160時間であり得る。
【0088】
一例によるスレオニン生産方法は、一例による微生物(または菌株、組換え細胞)を準備する段階、前記微生物を培養するための培地を準備する段階、またはこれらの組み合わせ(順序に関係なし、in any order)を、例えば、前記培養する段階以前に、さらに含むことができる。
【0089】
一例によるスレオニン生産方法は、培養された培地(培養培地)および/または微生物(または菌株、組換え細胞)からスレオニンを分離および/または回収する段階をさらに含むことができる。前記分離および/または回収する段階は、前記培養する段階以降にさらに含まれ得る。前記培養培地は、微生物(または菌株、組換え細胞)を培養した培地を意味し得る。
【0090】
前記スレオニンを分離および/または回収する段階は、培養方法(例えば回分式、連続式または流加式培養方法など)により当該分野に公知の適した方法を利用して培地、培養液、または微生物から目的とするアミノ酸(例えば、L-スレオニン)を収集(collect)することであり得る。例えば、遠心分離、ろ過、結晶化蛋白質沈澱剤による処理(塩析法)、抽出、噴霧、乾燥、蒸発、沈澱、結晶化、超音波破砕、限外ろ過、透析法、電気泳動、分別溶解(例えば硫酸アンモニウム沈澱)、HPLC、および/またはクロマトグラフィー(例えばイオン交換、親和性、疎水性、液体、および大きさ排除)などの方法を使用することができるが、これに制限されない。
【0091】
一例によるスレオニンの生産方法は、さらに精製段階を含むことができる。前記精製は、当該技術分野に公知の適した方法を利用して行うことができる。一例において、前記スレオニン生産方法が分離および/または回収段階と精製段階を全て含む場合、スレオニンを精製する段階を前記分離および/または回収する段階以前または以降にさらに含むか、前記分離および/または回収段階と精製段階は順序に関係なく異時的(または連続的)に行われるか、同時にまたは一つの段階で統合されて行われ得るが、これに制限されるのではない。
【0092】
他の態様は、前記GlxR蛋白質変異体、前記GlxR蛋白質変異体をコードするポリヌクレオチド、前記ポリヌクレオチドを含むベクター、および前記ポリヌクレオチドまたはベクターを含む微生物(または菌株、組換え細胞)からなる群より選択された1種以上を含む、スレオニン(例えば、L-スレオニン)生産用組成物を提供することができる。前記変異体、ポリヌクレオチド、ベクター、微生物、培地、およびスレオニンなどは、前述したとおりである。
【0093】
一例において、前記生産用組成物は、アミノ酸生産用組成物に通常使用される任意の適した賦形剤をさらに含むことができ、このような賦形剤は、例えば保存剤、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤、緩衝剤、安定化剤または等張化剤などであり得るが、これに限定されるのではない。
【0094】
他の態様は、前記GlxR蛋白質変異体、これをコードするポリヌクレオチド、および/または前記ポリヌクレオチドを含む組換えベクターを微生物に導入(例えば、形質転換)させる段階を含む、前記微生物のスレオニン(例えば、L-スレオニン)生産能増加方法または前記微生物にスレオニン(例えば、L-スレオニン)生産能を付与する方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0095】
一例によるGlxR蛋白質変異体は、微生物に導入されて、副産物の生産量を減少させ、スレオニン生産能を顕著に増加させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0096】
以下、本出願を実施例および実験例を通じてより詳細に説明する。しかし、これら実施例および実験例は、本出願を例として説明するためのものであり、本出願の範囲がこれら実施例および実験例に限定されるのではない。
【0097】
実施例1:glxR遺伝子ORF内変異導入用ベクターライブラリーの作製
コリネバクテリウムグルタミカム(Corynebacterium glutamicum)のGlxR蛋白質(配列番号1)の発現量またはその活性が変化された変異体を発掘するために以下の方法でベクターライブラリーを作製した。
【0098】
まず、WT菌株(ATCC13032)から抽出したゲノムDNAを鋳型としてglxR遺伝子の塩基配列(配列番号2)で133乃至135番目、196乃至198番目、496乃至498番目、502乃至504番目位置で前後にそれぞれ約1000bp離れた位置に5’断片および3’断片に制限酵素SmaI認識部位を挿入したプライマー配列番号16および配列番号17を合成した。
【0099】
具体的に、glxR遺伝子の5’および3’末端に位置したDNA断片(各1000bp)がpDZベクター(大韓民国公開特許第10-2008-0025355号)に連結された形態に作製された。WT菌株の染色体を鋳型として5’末端遺伝子断片はプライマー配列番号16および18を利用、3’末端遺伝子断片はプライマー配列番号17および19を利用してPCRを通じて作製された。PCR条件は、94℃で5分間変性後、94℃で30秒間変性、55℃で30秒間アニーリング、72℃で1分間重合を24回繰り返した後、72℃で10分間重合反応を行った。増幅されたDNA断片をQuiagen社のPCR Purification kitを使用して精製した後、ベクター作製のための挿入DNA断片として使用した。
【0100】
一方、制限酵素SmaIで処理した後、65℃で60分間熱処理したpDZベクターと前記PCRを通じて増幅した挿入DNA断片をInfusion Cloning Kitを使用して連結した後、大腸菌DH5αに形質転換した。前記菌株をカナマイシン(25mg/l)が含まれているLB固体培地に塗抹した。プライマー配列番号20および21を利用したPCRを通じて目的とした遺伝子が挿入されたベクターで形質転換されたコロニーを選別した後、公知のプラスミド抽出法を利用してプラスミドを獲得した。前記プラスミドはpDZ-glxR(E45A)と命名した。
【0101】
同様な方法でプライマー配列番号16および28、17および29を利用してpDZ-glxR(D66A)、プライマー配列番号16および34、17および35を利用してpDZ-glxR(T166D)、プライマー配列番号16および40、17および41を利用してpDZ-glxR(E168A)を作製した。
【0102】
本実施例で用いたプライマーの核酸配列は下記表3に記載した。
【0103】
【表3】
【0104】
前記のように配列番号1の45番目、66番目、166番目、168番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換された変異型ポリペプチドを含む総4種のベクターpDZ-glxR(E45A)、pDZ-glxR(D66A)、pDZ-glxR(T166D)、pDZ-glxR(E168A)を作製し、このベクターはそれぞれGlxR蛋白質の45番目のアミノ酸グルタメート(グルタミン酸、E)をアラニン(A)に、66番目のアミノ酸アスパルテート(アスパラギン酸、D)をアラニン(A)に、166番目のアミノ酸スレオニン(T)をアスパルテート(D)に、168番目のアミノ酸グルタメート(E)をアラニン(A)に置換することができるベクターである。
【0105】
実施例2:野生型コリネバクテリウム属微生物基盤のglxR変異株のL-スレオニン生産能の評価
本実施例で、野生種コリネバクテリウムグルタミカムATCC13032を基盤として、ATCC13032菌株が内在的に有する野生型GlxR蛋白質のアミノ酸配列(配列番号1)で45番目のアミノ酸であるグルタメートをアラニンに、66番目のアミノ酸であるアスパルテートをアラニンに、166番目のアミノ酸であるスレオニンをアスパルテートに、168番目のアミノ酸であるグルタメートをアラニンにそれぞれ置換されたglxR変異株のL-スレオニン生産能を評価してみようとした。
【0106】
実施例1で作製したpDZ-glxR(E45A)、pDZ-glxR(D66A)、pDZ-glxR(T166D)、pDZ-glxR(E168A)ベクターを前記ATCC13032菌株に電気パルス法で形質転換した。このようにglxR遺伝子に異種性塩基置換変異が導入された菌株をそれぞれATCC13032 △glxR::glxR(E45A)、ATCC13032 △glxR::glxR(D66A)、ATCC13032 △glxR::glxR(T166D)、ATCC13032 △glxR::glxR(E168A)と命名した。ATCC13032菌株を対照群として使用して作製された菌株4種[ATCC13032 △glxR::glxR(E45A)、ATCC13032 △glxR::glxR(D66A)、ATCC13032 △glxR::glxR(T166D)、ATCC13032 △glxR::glxR(E168A)]を以下のような方法で培養して糖消耗速度、スレオニンおよびリジン生産収率を測定した。
【0107】
まず、種培地25mlを含有する250mlコーナーバッフルフラスコに各菌株を接種し、30℃で20時間、200rpmで振盪培養した。その後、生産培地24mlを含有する250mlコーナーバッフルフラスコに1mlの種培養液を接種して32℃で24時間、200rpmで振盪培養した。前記種培地と生産培地の組成はそれぞれ下記表4に記載した。培養終了後、HPLC(Waters 2478)利用してL-リジンとL-スレオニンの濃度を測定し、Biochemistry analyzer(YSI2900)を利用して培地内に残っている糖量(残糖量)を分析して糖消耗速度を測定し、その結果は表5に示した。
【0108】
【表4】
【0109】
【表5】
【0110】
表5に示されているように、コリネバクテリウムグルタミカムATCC13032菌株に比べて、GlxR蛋白質の45番目、66番目、166番目、および168番目のアミノ酸がそれぞれ置換された時、生産されたL-スレオニンの濃度は増加し、副産物であるL-リジンの濃度は減少した。
【0111】
また、表5に示されているように、GlxR蛋白質の45番目または66番目のアミノ酸がアラニンに置換された時、糖消耗速度も改善されることを確認することができた。したがって、親菌株より45番目または66番目のアミノ酸がアラニンに置換された変異体(E45AまたはD66A)が導入された菌株は糖消耗速度が速くなるため、同量のL-スレオニンを生産するにかかる時間が短縮し、L-スレオニン生産能が改善された。
【0112】
実施例3:glxR遺伝子の45、66、166、168番目のアミノ酸が他の性質のアミノ酸に置換されたベクターライブラリーの作製
前記実施例2でGlxR蛋白質の45、66、166、および168番目のアミノ酸をそれぞれ他のアミノ酸に置換した時、糖消耗速度およびL-スレオニンの生性能が向上することを確認した。GlxR蛋白質(配列番号1)の45、66、166、および168番目のアミノ酸をまた他の性質のアミノ酸に置換した時の効果を追加的に確認するために野生型のアミノ酸を前記変異を含むアミノ酸に置換を試みた。実施例2で確認した変異であるE45A、D66A、T166D、E168Aを含む総13種の異種性塩基置換変異を導入するために実施例1と同様な方法でそれぞれの組換えベクターを作製した。
【0113】
プライマー配列番号16および22、17および23を利用してpDZ-glxR(E45S)、プライマー配列番号16および24、17および25を利用してpDZ-glxR(E45F)、プライマー配列番号16および26、17および27を利用してpDZ-glxR(E45K)、プライマー配列番号16および30、17および31を利用してpDZ-glxR(D66F)、プライマー配列番号16および32、17および33を利用してpDZ-glxR(D66K)、プライマー配列番号16および36、17および37を利用してpDZ-glxR(T166F)、プライマー配列番号16および38、17および39を利用してpDZ-glxR(T166K)、プライマー配列番号16および42、17および43を利用してpDZ-glxR(E168F)、プライマー配列番号16および44、17および45を利用してpDZ-glxR(E168K)をそれぞれ作製した。本実施例で使用したプライマーの核酸配列は前記表3に記載した。
【0114】
実施例4:野生型コリネバクテリウム属微生物基盤のglxR遺伝子の45、66、166、168番目のアミノ酸変異株に対するL-スレオニン生産能の分析
前記実施例3で作製されたベクターライブラリーをATCC13032菌株に電気パルス法で形質転換した。このようにglxR遺伝子に異種性塩基置換変異が導入された菌株をATCC13032 △glxR::glxR*(E45S)、ATCC13032 △glxR::glxR*(E45F)、ATCC13032 △glxR::glxR*(E45K)、ATCC13032 △glxR::glxR*(D66F)、ATCC13032 △glxR::glxR*(D66K)、ATCC13032 △glxR::glxR*(T166F)、ATCC13032 △glxR::glxR*(T166K)、ATCC13032 △glxR::glxR*(E168F)、ATCC13032 △glxR::glxR*(E168K)と命名した。
【0115】
ATCC13032菌株を対照群として使用して実施例2のような方法で培養してL-スレオニンとL-リジン生産能、および糖消耗速度を測定し、その結果を表6に記載した。
【0116】
【表6】
【0117】
実験結果、GlxR蛋白質(配列番号1)で45番目のアミノ酸であるグルタミン酸がアラニン、セリン、フェニルアラニン、またはリジンに置換された場合、菌株にL-スレオニン(Thr)生産能が付与され、糖消耗速度も改善され、リジンのような副産物の生産は減少した。また、GlxR蛋白質(配列番号1)で66番目のアミノ酸であるアスパルテートがアラニン、フェニルアラニン、またはリジンに置換された場合、菌株にL-スレオニン生産能が付与され、リジンのような副産物の生産は減少した。また、GlxR蛋白質(配列番号1)で166番目のアミノ酸であるスレオニンがアスパルテート、フェニルアラニン、またはリジンに置換された場合、菌株にL-スレオニン生産能が付与され、リジンのような副産物の生産は減少した。またGlxR蛋白質(配列番号1)で168番目のアミノ酸であるグルタミン酸がアラニン、フェニルアラニン、またはリジンに置換された場合、菌株にL-スレオニン生産能が付与され、L-リジンのような副産物の生産は減少した。
【0118】
実施例5:スレオニン生産株基盤のglxR変異株に対するL-スレオニン生産能および成長速度の分析
本実施例でglxR変異導入によるスレオニン濃度および成長速度をより明確に調べるために実施例1で作製されたベクター4種をL-スレオニン生産菌株に導入してL-スレオニンの生産能を評価しようとした。L-スレオニン生産菌株を作製するために野生種コリネバクテリウムグルタミカムATCC13032からスレオニン生合成経路で第1の重要な酵素として作用するLysC(aspartate kinase)のフィードバック阻害(feedback inhibition)解消のために野生型LysC蛋白質をコードする遺伝子の1128~1131番目の塩基配列を既存のTTGからAAGに変え、野生型LysC蛋白質のN末端から377番目のアミノ酸であるロイシンがリジンに置換された形態の変異体LysC(L377K)変異が導入された菌株を作製した。LysC(L377K)のアミノ酸配列は配列番号46として下記表7に記載した。
【0119】
変異導入のための組換えベクターは、以下のような方法で作製された。LysC(L377K)変異が導入された菌株を作製するためにATCC13032菌株から抽出したゲノムDNAを鋳型としてlysC遺伝子の1128~1131番目位置で前後にそれぞれ約500bp離れた位置に5’断片および3’断片に制限酵素SmaI認識部位を挿入したプライマー配列番号47および48を合成した。LysC(L377K)異種性塩基置換変異を導入するためにlysC遺伝子の1128~1131番目の塩基配列を置換するためのプライマー配列番号49および50を合成した。
【0120】
具体的に、pDZ-lysC(L377K)プラスミドは、lysC遺伝子の5’および3’末端に位置したDNA断片が(各515、538bp)pDZベクターに連結された形態に作製された。ATCC13032菌株の染色体を鋳型として5’末端遺伝子断片は、プライマー配列番号47および49を利用してPCRを通じて作製した。PCR条件は、94℃で5分間変性後、94℃で1分間変性、56℃で1分間アニーリング、72℃で40秒間重合を30回繰り返した後、72℃で10分間重合反応を行った。同様な方法でlysC遺伝子の3’末端に位置した遺伝子断片は、配列番号48および50を利用してPCRを通じて作製した。増幅されたDNA断片をQuiagen社のPCR Purification kitを使用して精製した後、ベクター作製のための挿入DNA断片として使用した。
【0121】
一方、制限酵素SmaIで処理した後、65℃で20分間熱処理したpDZベクターと前記PCRを通じて増幅した挿入DNA断片をInfusion Cloning Kitを使用して連結した後、大腸菌DH5αに形質転換した。前記菌株をカナマイシン(25mg/l)が含まれているLB固体培地に塗抹した。プライマー配列番号47および48を利用したPCRを通じて目的とした遺伝子が挿入されたベクターで形質転換されたコロニーを選別した後、公知のプラスミド抽出法を利用してプラスミドを獲得した。前記プラスミドは、pDZ-lysC(L377K)と命名した。本実施例で使用したプライマーの核酸配列は下記表7に記載した。
【0122】
【表7】
【0123】
前記で作製されたpDZ-lysC(L377K)をコリネバクテリウムグルタミカムATCC13032菌株に電気パルス法で形質転換した。このようにlysC遺伝子に異種性塩基置換変異が導入された菌株をCJP1と命名した。前記CJP1は、CA01-2307と命名されて、2017年3月29日付でブダペスト条約下の国際寄託機関である韓国微生物保存センター(KCCM)に寄託して受託番号KCCM12000Pが付与された。
【0124】
前記作製されたKCCM12000P菌株にL-スレオニン、L-イソロイシン生合成経路の共通的中間体であるホモセリン(homoserine)を生産するホモセリンデヒドロゲナーゼ(homoserin dehydrogenase;Hom)をコードする遺伝子に変異を導入した。具体的に、野生型ホモセリンデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子の1218~1221番目の塩基配列を既存のTTGからAAGに置換して、野生型ホモセリンデヒドロゲナーゼのN末端から407番目のアミノ酸であるアルギニンがヒスチジンに置換された形態の変異体Hom(R407H)変異が導入された菌株を作製した。Hom(R407H)のアミノ酸配列は、配列番号51として下記表8に記載した。変異導入のための組換えベクターは、以下のような方法で作製された。
【0125】
まず、ATCC13032菌株から抽出したゲノムDNAを鋳型としてhom遺伝子の1219~1221番目位置で前後にそれぞれ約600bp離れた位置に5’断片および3’断片に制限酵素SalI認識部位を挿入したプライマー配列番号52および53を合成した。Hom(R407H)異種性塩基置換変異を導入するためにhom遺伝子の1219~1221番目の塩基配列を置換するためのプライマー配列番号54および55を合成した。
【0126】
具体的に、pDZ-hom(R407H)プラスミドは、hom遺伝子の5’および3’末端に位置したDNA断片が(各600bp)pDZベクターに連結された形態に作製された。WT菌株の染色体を鋳型として5’末端遺伝子断片は、プライマー配列番号52および54を利用してPCRを通じて作製した。PCR条件は、94℃で2分間変性後、94℃で1分間変性、56℃で1分間アニーリング、72℃で40秒間重合を30回繰り返した後、72℃で10分間重合反応を行った。同様な方法でhom遺伝子の3’末端に位置した遺伝子断片は、配列番号53および55を利用してPCRを通じて作製した。増幅されたDNA断片をQuiagen社のPCR Purification kitを使用して精製した後、ベクター作製のための挿入DNA断片として使用した。
【0127】
一方、制限酵素SalIで処理した後、65℃で20分間熱処理したpDZベクターと前記PCRを通じて増幅した挿入DNA断片をInfusion Cloning Kitを使用して連結した後、大腸菌DH5αに形質転換した。前記菌株をカナマイシン(25mg/l)が含まれているLB固体培地に塗抹した。プライマー配列番号52および53を利用したPCRを通じて目的とした遺伝子が挿入されたベクターに形質転換されたコロニーを選別した後、公知のプラスミド抽出法を利用してプラスミドを獲得した。前記プラスミドは、pDZ-hom(R407H)と命名した。本実施例で用いたプライマーの核酸配列は下記表8に記載した。
【0128】
【表8】
【0129】
前記で作製されたpDZ-hom(R407H)をKCCM12000Pに電気パルス法で形質転換した。このようにhom遺伝子に異種性塩基置換変異が導入された菌株をKCCM12000P-R398Qと命名し、ブダペスト条約下の国際寄託機関である韓国微生物保存センター(KCCM)に国際寄託してKCCM12120Pで寄託番号(大韓民国登録特許第10-1947959号)が付与された。
実施例1で作製したpDZ-glxR(E45A)、pDZ-glxR(D66A)、pDZ-glxR(T166D)、pDZ-glxR(E168A)ベクターをそれぞれ前記KCCM12120P菌株に電気パルス法で形質転換した。このようにglxR遺伝子に塩基置換変異が導入された菌株を作製し、KCCM12120P △glxR::glxR*(E45A)はCA09-2373と、KCCM12120P △glxR::glxR*(D66A)はCA09-2374と、KCCM12120P △glxR::glxR*(T166D)はCA09-2325と、KCCM12120P △glxR::glxR*(E168A)はCA09-2324とそれぞれ命名した。
【0130】
L-スレオニン生産菌株であるKCCM12120P菌株を対照群として使用してglxR変異株総4種を以下の方法で培養してL-スレオニン生産収率、糖消耗速度、およびL-リジンのような副産物生産濃度を測定した。
【0131】
種培地25mlを含有する250mlコーナーバッフルフラスコに前記で獲得した菌株をそれぞれ接種した後、30℃で20時間200rpmで振盪培養した。下記のL-スレオニン生産培地24mlを含有する250mlコーナーバッフルフラスコに1mlの種培養液を接種し、32℃で48時間200rpmで振盪培養した。前記種培地と生産培地の組成は、それぞれ下記表9に記載した。培養終了後、HPLCとBiochemistry analyzer(YSI2900)を利用してL-リジン、L-スレオニンの濃度および糖消耗速度を測定し、その結果を表10に示した。
【0132】
【表9】
【0133】
【表10】
【0134】
表10に示されているように、L-スレオニン生産菌株であるKCCM12120P菌株を対照群としてglxR変異株4種(CA09-2373、CA09-2374、CA09-2325、CA09-2324)を培養してL-スレオニンと副産物(L-リジン)生産濃度を測定した結果、対照群に比べて、glxR遺伝子に置換変異が導入された菌株4種は、全てL-リジンを含む他副産物の生産量を減少させたり大きな変化がなかったが、L-スレオニンの生産量が大きく増加したことを確認することができた。また、CA09-2373、CA09-2374、CA09-2325、およびCA09-2324菌株の全てが対照群より糖消耗速度が改善されたため、同量のL-スレオニンを生産するにかかる時間が短縮し、L-スレオニン生産能が改善されたことを確認することができた。
【0135】
前記CA09-2373、CA09-2374、CA09-2325およびCA09-2324菌株は、2020年12月17日付でブダペスト条約下の国際寄託機関である韓国微生物保存センター(KCCM)に国際寄託してそれぞれ寄託番号KCCM12901P、KCCM12902P、KCCM12900P、およびKCCM12899Pが付与された。
【0136】
以上の説明から、本発明が属する技術分野における当業者は、本出願がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく他の具体的な形態で実施可能であることを理解できるだろう。これに関連し、以上で記述した実施例は全ての面で例示的なものであり、限定的なものではないと理解しなければならない。本発明の範囲は、前記詳細な説明よりは、後述する特許請求の範囲の意味および範囲、そしてその等価概念から導き出される全ての変更または改変された形態が本発明の範囲に含まれると解釈されなければならない。
【0137】
[受託番号]
寄託機関名:韓国微生物保存センター(国外)
受託番号:KCCM12899P
受託日付:20201217
寄託機関名:韓国微生物保存センター(国外)
受託番号:KCCM12900P
受託日付:20201217
寄託機関名:韓国微生物保存センター(国外)
受託番号:KCCM12901P
受託日付:20201217
寄託機関名:韓国微生物保存センター(国外)
受託番号:KCCM12902P
受託日付:20201217
【配列表】
0007576180000001.app