IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ケイエヌエス リテイル シーオー.,エルティーディー.の特許一覧

特許7576185スティッチングラインを隠すことができるデジタルプリントイメージ連結連続印刷方法および装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】スティッチングラインを隠すことができるデジタルプリントイメージ連結連続印刷方法および装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20241023BHJP
【FI】
B41J2/01 201
B41J2/01 305
B41J2/01 101
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023551163
(86)(22)【出願日】2022-02-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-20
(86)【国際出願番号】 KR2022002365
(87)【国際公開番号】W WO2022177324
(87)【国際公開日】2022-08-25
【審査請求日】2023-09-04
(31)【優先権主張番号】10-2021-0023727
(32)【優先日】2021-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】523318187
【氏名又は名称】ケイエヌエス リテイル シーオー.,エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】KNS RETAIL CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】(Juam-dong, Daon Building) 1F, 43 Jungchon-ro, Gwacheon-si, Gyeonggi-do 13820 (KR)
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 世子
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヨンテ
(72)【発明者】
【氏名】リー、サンフィ
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0083606(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第104057699(CN,A)
【文献】特開2009-241454(JP,A)
【文献】特開2018-202867(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルプリントでのイメージ連結連続印刷装置において、
印刷生地を巻き出すアンワインダーロール(Un-Winder Roll)、
プリント完了したプリント生地を巻く巻取ロール(Re-Winder Roll)、
前記アンワインダーロールと前記巻取ロールの間に備えられ、フォトイメージングプレートに接して回転するブランケット(Blanket)と、前記ブランケットに接して回転するプリントローラ(Print Roller)を含む印刷用エンジン、および
前記ブランケットと前記プリントローラの間を通過する前記印刷生地の移送方向を正方向または逆方向に変換する生地方向転換機構を含み、
前記印刷用エンジンは、前記移送方向が前記正方向のとき、前記印刷生地の第1生地上に第1重畳領域を含む第1分割イメージを印刷し、前記移送方向が前記逆方向のとき、前記第1生地に印刷された前記第1重畳領域のみを前記印刷生地の第2生地の下に位置させ、前記移送方向が前記正方向のとき、前記第2生地上に第2重畳領域を含む第2分割イメージを印刷して前記第1重畳領域と前記第2重畳領域が重なった単位イメージを生成することを特徴とする、デジタルプリントでのイメージ連結連続印刷装置。
【請求項2】
前記生地方向転換機構は、前記第1分割イメージの印刷が完了すると、前記移送方向を前記正方向から前記逆方向に変換し、前記第1重畳領域の開始地点が前記ブランケットと前記プリントローラの間に位置するまで前記第1生地を前記逆方向に移動させ、前記移動が完了すると、前記移送方向を前記逆方向から前記正方向に変換することを特徴とする、請求項1に記載のデジタルプリントでのイメージ連結連続印刷装置。
【請求項3】
前記第1重畳領域と前記第2重畳領域は同一の大きさを有し、互いに異なる印刷濃度を有することを特徴とする、請求項1に記載のデジタルプリントでのイメージ連結連続印刷装置。
【請求項4】
前記第1重畳領域は、前記印刷が進むにつれ印刷濃度が逆ログ関数型で漸減するマイナスグラデーション(Minus Gradation)技法で印刷され、
前記第2重畳領域は、前記印刷が進むにつれ印刷濃度がログ関数型で漸増するプラスグラデーション(Plus Gradation)技法で印刷されることを特徴とする、請求項1に記載のデジタルプリントでのイメージ連結連続印刷装置。
【請求項5】
前記第1重畳領域と前記第2重畳領域が重なった領域の印刷濃度は、前記第1分割イメージから前記第1重畳領域を除外した領域の印刷濃度、または前記第2分割イメージから前記第2重畳領域を除外した領域の印刷濃度に対して110%~170%であることを特徴とする、請求項1に記載のデジタルプリントでのイメージ連結連続印刷装置。
【請求項6】
デジタルプリントでのイメージ連結連続印刷方法において、
アンワインダーロール(Un-Winder Roll)が、印刷生地を巻き出す過程、
印刷用エンジンが、前記印刷生地にプリンティングする過程、
生地方向転換機構が、前記印刷用エンジンのブランケットとプリントローラの間を通過する前記印刷生地の移送方向を正方向または逆方向に変換する過程、および
巻取ロールが、プリント完了したプリント生地を巻く過程を含み、
前記印刷生地にプリンティングする過程は、
前記移送方向が前記正方向のとき、前記印刷生地の第1生地上に第1重畳領域を含む第1分割イメージを印刷する過程、
前記移送方向が前記逆方向のとき、前記第1生地に印刷された前記第1重畳領域のみを前記印刷生地の第2生地の下に位置させる過程、および
前記移送方向が前記正方向のとき、前記第2生地上に第2重畳領域を含む第2分割イメージを印刷して前記第1重畳領域と前記第2重畳領域が重なった単位イメージを生成する過程を含むことを特徴とする、デジタルプリントでのイメージ連結連続印刷方法。
【請求項7】
前記印刷生地の移送方向を正方向または逆方向に変換する過程は、
前記第1分割イメージの印刷が完了すると、前記移送方向を前記正方向から前記逆方向に変換する過程、
前記第1重畳領域の開始地点が前記ブランケットと前記プリントローラの間に位置するまで前記第1生地を前記逆方向に移動させる過程、および
前記移動が完了すると、前記移送方向を前記逆方向から前記正方向に変換する過程を含むことを特徴とする、請求項6に記載のデジタルプリントでのイメージ連結連続印刷方法。
【請求項8】
前記第1重畳領域と前記第2重畳領域は同一の大きさを有し、互いに異なる印刷濃度を有することを特徴とする、請求項6に記載のデジタルプリントでのイメージ連結連続印刷方法。
【請求項9】
前記第1重畳領域は、前記印刷が進むにつれ印刷濃度が逆ログ関数型で漸減するマイナスグラデーション(Minus Gradation)技法で印刷され、
前記第2重畳領域は、前記印刷が進むにつれ印刷濃度がログ関数型で漸増するプラスグラデーション(Plus Gradation)技法で印刷されることを特徴とする、請求項6に記載のデジタルプリントでのイメージ連結連続印刷方法。
【請求項10】
前記第1重畳領域と前記第2重畳領域が重なった領域の印刷濃度は、前記第1分割イメージから前記第1重畳領域を除外した領域の印刷濃度、または前記第2分割イメージから前記第2重畳領域を除外した領域の印刷濃度に対して110%~170%であることを特徴とする、請求項6に記載のデジタルプリントでのイメージ連結連続印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンワインダーロール(Un-Winder Roll)から連続して巻き出されてくる生地に対してインラインプライマーコーティング処理を経た後、その表面にイメージを印刷してプリント生地を得て、これを連続して巻取ロール(Re-Winder Roll)に巻くロール・ツー・ロール(Roll to Roll)連続インライン給紙方式の産業用デジタルプリンタ印刷の方法および装置に関する。
【0002】
本発明は特に、アンワインダーロールから巻き出されてくる生地上に印刷される、得ようとする単位イメージのインライン進行方向の長さが、デジタルプリンタのフォトイメージングプレート(Photo Imaging Plate)の長さよりさらに長い場合、これを複数の分割イメージに分けてこれらを作動的に連結して印刷するにおいて、従来その連結部品で不可避的に現れるスティッチングライン(Stitching Line)を見えなくするための技術であり、それによって印刷品質を大きく改善できるデジタルプリントイメージ連結連続印刷方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
携帯電話やデジタルカメラで撮影した小型イメージ、例えば人物写真や旅行中に撮影した景色のような日常生活の中のイメージを、写真の印画紙や所定の印刷用紙に印刷する方法は、個人用または事務用の小型プリンタを使用して別々に個別に印刷するのが一般的である。しかし、出版物のように多数の枚数の印刷物を連続して繰り返し出力したり、看板や広告文のように、出力しようとする単位イメージの大きさが非常に大きい超大型イメージを連続して繰り返し出力したりする場合には、家庭用や事務用の印刷機を使用しては不可能であり、オフセット印刷、グラビア印刷、デジタル印刷のような産業用印刷方法を使用しなければならない。
【0004】
オフセット印刷はコンピュータで印版を出力して得たCTP(Computer to Plate)版を印刷機にかけて印刷する方式で、グラビア印刷は金属(銅版)の表面を凹ませてその凹部にインクを入れて被印刷体に転移させる方法であり、デジタル印刷はCTPや銅版のような物理的な印刷媒介物なしにデジタルファイルで保存された印刷用イメージを直接コンピュータで作動する印刷装備にかけて印刷する方式である。
【0005】
オフセット印刷とグラビア印刷は印刷品質が優れ、出版のような大量印刷時に有利である。デジタル印刷技術は、実写出力と呼ばれる程にオフセット印刷やグラビア印刷に比べてその印刷品質が劣らず、デジタル基盤の(例えば大部分コンピュータで生成された)イメージファイルを、紙、フィルム(PVC、PET等)、アルミニウム等の多様な材質と厚さ(10-250ミクロン)のメディア(生地)の表面に直接出力することができて、チラシ、ポスターのような伝統的な紙印刷物だけでなく、ビニールパウチを始めとする各種中小型軟包装容器の表面、収縮フィルム、ラベル、インモールドラベルまたは垂れ幕、バナー、襷、看板、POP(Point of Purchase:マートや売場またはイベント場等で製品の価格や特徴、販促用セール情報、行事情報等を案内するイメージや文句で、品物やサービス等を購入する時点になされる商品広告物)のように、注文者の多様な欲求に合った多様な種類と超大型の少量多品種の広告物を迅速に印刷するのに非常に適している。
【0006】
現在使用されているデジタル印刷機は、一側で印刷生地をロール(Roll)に巻いてこれをアンワインダーローラ(Un-Winder Roller)にかけて、連続して一方向に巻き出しながら、この印刷生地を所定の印刷エンジン部を通過させることにより、その印刷生地の長さ方向に沿って所定の単位長の印刷内容(イメージ等)を繰り返して連続で出力した後、他側でこの印刷された生地をロール(Roll)形態に連続して巻取って巻くロール・ツー・ロール(Roll to Roll)印刷方式を使用するのが一般的である。このとき、供給ローラと巻取ローラは、その巻かれた印刷生地が一側から他側に巻き出されて巻かれる間、休みなく終始一貫一方向に連続して巻き出されて巻かれるが(この場合、生地は多数の方向転換ローラ、テンション調整ローラ、駆動ローラ、移送(供給)ローラ、冷却ローラ等で構成される所定のローラセット機構を通過するように構成されるのが一般的である)、生地は、印刷エンジン部を通過する過程の所定区間で、印刷エンジン部の可動的機具構成により、局所的断続的にその移動方向を正逆で変えることができるように構成される。
【0007】
このような従来の印刷生地のロール・ツー・ロール(Roll to Roll)供給方式のデジタル連続印刷機の構成をさらに詳細に説明すると、下記のとおりである。デジタル印刷の中心概念(特に印刷エンジン部のコア)を示した図1によってわかるように、1つの原本イメージを得るために、例えばCMYKOVG7色のインクカートリッジ1の各ノズルヘッド2を介して、大きさが約1-10ナノメートル(nm)で噴射される各色相のナノインク粒子が、反時計回りに所定の速度で多数回回転する静電気ドラムであるフォトイメージングプレート3上に所定の順序に従って順次噴射されて1つの1次イメージ原本を作り、この1次イメージ原本は、フォトイメージングプレート3の外周面に接して時計回りに回転する所定温度に加熱されたブランケット(Blanket)4の外周面に転写されることにより、薄くフィルム化された2次イメージ原本(印刷イメージ原本)5が作られ、この印刷イメージ原本5が、ブランケット4と、このブランケット4の外周面に所定のプログラムによって作動的にON/OFF接して回転するプリントローラ6との間を通過する生地7の表面に転写されることによりプリント生地7Aを作る。図1で、図面符号8は移動する生地の印刷基準点の位置を決定するためのレーザエクスポージャーであり、図面符号10は印刷生地が巻かれた印刷生地ロール(Roll)であり、図面符号50はプリントがなされた生地が巻かれるプリント生地7Aロールである。
【0008】
このようなデジタル印刷機において、微細なナノサイズのナノインク滴を噴射するインクカートリッジ1およびインクカートリッジ1と連結されたインクノズル2は、その位置が可変なものではなく、所定の固定位置に固定されている固定構造物であって、このような固定構造物から所定のグリッドと方向に精密に噴射されて出てくるナノインク滴が、回転するイメージングプレート3の上に精密にプログラム噴射されることによりイメージ原本が得られる。
【0009】
このように印刷用紙をロール・ツー・ロール連続給紙する方式のデジタル印刷機は、コンピュータで作ったデジタルイメージを被印刷物(生地)の材質にかかわらずよい品質で出力することができ、水性インクおよび生分解生地を使用することによりエコ印刷物を得ることもでき、分当り25-35メートル程度の高速出力が可能であるという利点がある。また何よりも生地に対する連続印刷過程で、ブランケット4に接して回動するプリントローラ6が、経時的にそのブランケット4に対する接続および分離を交互に繰り返すことができるように構成される作動的ON/OFF接続構成、および生地の先に進んだ所定の分割された未印刷区間を、プリントローラ6がブランケット4から分離している間に逆方向に移動させ、この未印刷区間に分割された後続イメージを連結して印刷することにより、得ようとする単位印刷物の長さ方向の大きさがドラム(プレート)の円周の長さRより長い大型サイズのイメージである場合にも、これを連結して高速で連続印刷できる大きな利点がある。
【0010】
しかし、このようなナノインク噴射方式のデジタル印刷機を介して、このように長さが長い大型イメージを分割して連結することにより連続製作できる大きな利点を有するが、この場合、不可避的に後続する分割イメージの始端が、先行した分割イメージと連結される先行イメージの終端側の連結位置で、その連結輪郭線であるスティッチングライン(Stitching Line)が著しく目立つため、完成した印刷物の印刷品質が落ちる問題があるが、これは生地の印刷基準点の位置を決定するための精巧なレーザエクスポージャー8を使用しても、このような機械的位置決め構造では、ナノメートル級のピクセルのピントを合わせるのには限界がある。
【0011】
図2および図3は、従来の前述したようなデジタルプリンタを使用して、単位イメージの長さLが、デジタルプリンタのドラムの外周の長さR(図1に表示される)より大きい(L>R)大型印刷物Pを出力した実物の写真であり、このような大型単位イメージを上下2つの小さなイメージA、Bに分割して(A<R、B<R)、これらを連結印刷した場合、各分割イメージの連結部品に現れるスティッチングラインSLの存在によって、最終印刷物の印刷品質が落ちることを確認できる実際のデジタル印刷事例の写真である。
【0012】
このようなスティッチングラインは、2つの分割イメージABの連結接続部(先行イメージの終端と後行イメージの始端がつながる部位)の接続ピントを精巧に合わせるとしても、長さの長い分割イメージを連結して印刷するために、その連結区間でプリントローラ6の正逆の回転方向を変えて生地をフィードバックさせてイメージを連結するにおいて、機械的方式でその連結接続部の印刷精度を高めるのには限界があるので不可避的に現れる現象である。
【0013】
したがって、従来のデジタルプリンタを使用して単位イメージの長さLがデジタルプリンタのドラムの外周の長さRより大きい(L>R)大型印刷物Pを2つの短いイメージA、Bに分割して(A<R、B<R)、これらA、Bのイメージを作動的に連結印刷するにおいて、これら分割イメージの連結部品に現れる線形のスティッチングラインSLを見えなくするための新しいデジタルプリント印刷機のイメージ連結連続印刷方法が求められているが、本発明はその必要に応えたものである。
【0014】
一方、従来のデジタルカメラ、または特にデジタルカメラが装着されたスマートフォン等が広く普及するに伴い、時間と場所に関係なく日常的に写真撮影が可能となり、撮影した写真のイメージをデジタル保存媒体やクラウドサーバに保存して保管し、保存された写真のイメージは、そのイメージを自由に動かせる端末機(デジタルカメラ、スマートフォン、USBメモリスティック、ノートパソコン等)とプリンタを連結して必要な場合にいつでも手軽に印刷できる。また、このような日常生活の中の小型イメージを、スマートフォンに設置された多様な写真処理ソフトウェア(アプリケーション)を介して上下および/または左右方向に連結してパノラマイメージを得ることができる。このようなパノラマイメージは、各イメージごとに別々の用紙に出力してこれらを適当につけてパノラマ写真を得るか、またはいくつかのイメージを出力する前に写真処理アプリケーションが提供する機能を使用して予め1つのイメージに統合した後に出力する方法を使用しているが、このような技術と関連して、パノラマイメージの連結部におけるスティッチングラインが目立たないように出力(印刷)できる技術と関連して言及しておくに値するものとして、韓国のプリニクス(株)(PRINICS CO., Ltd.)が出願した大韓民国公開特許第10-2014-0047446号がある。
【0015】
すなわち、この大韓民国公開特許第10-2014-0047446号は、パノラマイメージの出力(印刷)システムに関する技術であって、例えば、複数のイメージを横に長く繋いで構成するパノラマイメージを、プリンタに内在された可動インクリボンの印刷可能な大きさに応じて所定の大きさに分離し、この分離されたパノラマイメージの一定部分が重畳するように境界面の長さ情報を設定する一方、重畳する境界面の長さに応じて印刷濃度を決定して出力する端末機を備えて、この端末機から、分離されたパノラマイメージと重畳する境界面の長さ情報と境界面の長さによる差等の印刷濃度を受信して、重畳する境界面の長さ情報とその差等印刷濃度によって順次に濃度が異なるように印刷するパノラマイメージプリンティング技術が開示されている。
【0016】
しかしこの大韓民国公開特許第10-2014-0047446号技術は、イメージの印刷濃度を一定にするために熱転写ヘッドの加熱時間を一定に制御しなければならないことを基本的な技術思想とするもので、観点を変えて熱転写ヘッドの加熱時間を異ならせれば(短くすれば)転写されるイメージの濃度を薄く具現することができる(印刷濃度を薄くできる)という技術的効果を利用する技術である。さらに具体的に詳察すると、この大韓民国公開特許第10-2014-0047446号の技術原理は、本明細書の添付図面で図4および図5に示されているように、図4(A)のように境界面1、2(301、311)の長さA、Bが設定されると、図4(B)のように、パノラマイメージ1の境界面1(301)とパノラマイメージ2の境界面2(311)を重畳させた後、前記境界面(301、311)が重畳する位置によって印刷濃度を互いに反比例するように設定し、図5(A)に示したように、一側の境界面に行くほど(図面上右に進むほど)印刷濃度を下げるために、図5(B)に示したように、イメージの濃度が高い領域(重畳していない領域)は長いヘッド加熱時間T0を維持し、境界面に到達してイメージの濃度を下げようとする場合、印刷リボンの進行方向に沿って熱転写ヘッドの加熱時間をT1>T2>T3となるように次第に短く制御してパノラマ写真400を用紙に出力する技術が開示されている。このような熱転写ヘッドの加熱時間制御の技術構成は、大韓民国公開特許第10-2014-0047446号で本質的な部分であるためこれをさらに詳細に詳察すると、熱転写ヘッドのインクリボンに対する加熱量を減らせば、転写されるイメージの印刷濃度を減らすことができるという技術原理を利用したものであるが、実際に熱転写ヘッドの発熱部を構成するにおいて、直接的にその発熱量を可変できるように発熱量の可変手段を積極的に熱転写ヘッド内に講ずるのではなく、単に熱転写ヘッドに接して移動するインクリボンおよび印刷用紙の移動速度を制御することによって、相対的にインクリボンに伝わる熱量を制御するものであるところ、この場合には、インクリボンおよび印刷用紙の駆動速度(移動速度)を差等的に可変制御するための技術構成が必須である。しかし、この技術でインクリボンおよび印刷用紙の移動速度を可変的に制御する技術構成が何であり、どのように構成され得るものであるのかについては、全く明示的にも暗示的にも言及されていない。また、この大韓民国公開特許第10-2014-0047446号では、反比例の印刷濃度に設定された重畳領域に対する順次印刷を進めるために、必然的にその重畳領域区間に対してはフィードバック(逆方向進行)して印刷しなければならないが、このような重畳領域区間のフィードバック(逆方向進行)の進行を可能にするための技術構成、特に重畳領域の印刷イメージの位置決め方式とイメージのピントのずれの問題をどのように解決しているのかについても全く言及していない。
【0017】
要するに大韓民国公開特許第10-2014-0047446号技術は、携帯電話で撮影した映像のように日常の撮影物を単一または比較的少ない数、時間に縛られずゆっくり出力する非商業的な個人用または家庭用のイメージ出力に有用性があるだけで、本特許出願の場合のように単位イメージの長さが、例えば2メートル近くに至る超大型イメージを分当り25-35メートル程度の高速出力で数百枚~数千枚繰り返し印刷するための産業用デジタル印刷機とは、その基本的な技術構成と産業上の利用分野が異なる。したがって、関連技術である大韓民国公開特許第10-2014-0047446号の技術を読むにおいて「重畳領域の反比例グラデーション印刷」という技術構成のみをざっと通り一遍に見て、本発明と同一であるとか本発明と類似の技術思想のように考えることもあり得るであろうが、具体的によく見れば、その基本的な印刷エンジンコアの具現方式と印刷方式が、本出願発明とは全く異なる異種の技術である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、前述したような従来のデジタルプリントの問題点の認識から、所定位置に固定されたインクカートリッジの各固定されたノズルヘッドから微細なナノインク粒子を固定的に噴射して印刷用原本イメージを得た後、これを印刷生地に転写する方式のデジタルプリンタを使用して大型イメージの連結連続印刷時に、その連結部のスティッチングラインが生じないようにする新しい印刷方法を提示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の一実施例による、デジタルプリントでのイメージ連結連続印刷装置は、印刷生地を巻き出すアンワインダーロール(Un-Winder Roll)、プリント完了したプリント生地を巻く巻取ロール(Re-Winder Roll)、前記アンワインダーロールと前記巻取ロールの間に備えられ、フォトイメージングプレートに接して回転するブランケット(Blanket)と、前記ブランケットに接して回転するプリントローラ(Print Roller)を含む印刷用エンジン、および前記ブランケットと前記プリントローラの間を通過する前記印刷生地の移送方向を正方向または逆方向に変換する生地方向転換機構を含み、前記印刷用エンジンは、前記移送方向が前記正方向のとき、前記印刷生地の第1生地上に第1重畳領域を含む第1分割イメージを印刷し、前記移送方向が前記逆方向のとき、前記第1生地に印刷された前記第1重畳領域のみを前記印刷生地の第2生地の下に位置させ、前記移送方向が前記正方向のとき、前記第2生地上に第2重畳領域を含む第2分割イメージを印刷して前記第1重畳領域と前記第2重畳領域が重なった単位イメージを生成することを特徴とする。
【0020】
本発明の一実施例による、デジタルプリントでのイメージ連結連続印刷方法は、アンワインダーロール(Un-Winder Roll)が、印刷生地を巻き出す過程、印刷用エンジンが、前記印刷生地にプリンティングする過程、生地方向転換機構が、前記印刷用エンジンのブランケットとプリントローラの間を通過する前記印刷生地の移送方向を正方向または逆方向に変換する過程、および巻取ロールが、プリント完了したプリント生地を巻く過程を含み、前記印刷生地にプリンティングする過程は、前記移送方向が前記正方向のとき、前記印刷生地の第1生地上に第1重畳領域を含む第1分割イメージを印刷する過程、前記移送方向が前記逆方向のとき、前記第1生地に印刷された前記第1重畳領域のみを前記印刷生地の第2生地の下に位置させる過程、および前記移送方向が前記正方向のとき、前記第2生地上に第2重畳領域を含む第2分割イメージを印刷して前記第1重畳領域と前記第2重畳領域が重なった単位イメージを生成する過程を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
前述した目的およびこれを解決するための前述した技術構成によってなる本発明によるデジタルプリントイメージ連結連続印刷方法および方法は、特に印刷しようとする単位イメージの長さLがデジタルプリンタのドラムの外周の長さRより大きい(L>R)大型イメージPを品質良く印刷するとき特に有用である。
【0022】
さらに、特にインクカートリッジの各ノズルヘッド2から、1-10ナノメートルの大きさの微細なインク粒子を噴射することにより印刷しようとする原本イメージを得る大型産業用デジタルプリンタで、単位イメージの長さが2メートル程度の大型イメージを印刷するとき、大きさの小さい2つのイメージA、Bに分割された(A<R、(B<R)2つの分割イメージを作動的に連結印刷するにおいて、本発明によるデジタルプリントイメージ連結連続印刷方法および方法は、これら2つの分割イメージの重畳領域における相補的かつ補充的な印刷濃度グラデーション印刷技法により、従来のような連結部における線形のスティッチングラインSLが目立たなくなることにより、従来のデジタルプリンタの印刷品質を画期的に改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】デジタルプリントの中心概念を示した図である。
図2】従来のデジタルプリンタを使用して単位イメージの長さLがデジタルプリンタのドラムの外周の長さRより大きい(L>R)大型印刷物Pを出力した場合、これを2つの分割イメージABに分けて連結するとき、これらの連結部で鮮明な線形のスティッチングラインSLが現れることがわかる実際のデジタルプリント事例の写真である。
図3】従来のデジタルプリンタを使用して単位イメージの長さLがデジタルプリンタのドラムの外周の長さRより大きい(L>R)大型印刷物Pを出力した場合、これを2つの分割イメージABに分けて連結するとき、これらの連結部で鮮明な線形のスティッチングラインSLが現れることがわかる実際のデジタルプリント事例の写真である。
図4】大韓民国公開特許第10-2014-0047446号に開示された技術であって、(A)はパノラマイメージの境界面長さを設定する過程を示した例示図、(B)はパノラマイメージの境界面長さによるイメージの濃度を示した例示図である。
図5】大韓民国公開特許第10-2014-0047446号に開示された技術であって、(A)はパノラマイメージの境界面長さに伴う印刷濃度の可変印刷を例示するためのグラデーション例示図、(B)は印刷が進むにつれてその印刷進行方向に沿って印刷リボンに対する熱転写ヘッドの加熱時間を経時的に次第に短縮することによって印刷濃度を次第に落とすことができる施術思想を示した例示図である。
図6】デジタルプリンタの全体構成を概略的に示した図で、デジタル印刷機の印刷エンジンコア部が円形の点線内に拡大図示されていて、生地方向転換機構の構成要素のうちの1つである上下一対の水平方向の往復移送ローラが、印刷を開始するための位置に移動完了した状態を示した図である。
図7】水平方向の往復移送ローラが右に移送され始めることにより、第1分割イメージAに対する印刷が始まる状態を示した図である。
図8図7から印刷がさらに進む状態を示した図である。
図9図8から印刷がさらに少し進む状態を示した図である。
図10図9から印刷がさらに進む状態を示した図で、第1分割イメージAが印刷完了した後に生地が後続して第2分割イメージBの長さだけ無印刷状態で連続してさらに進められる段階を示した図である。
図11図10の段階以後、水平方向の往復移送ローラが再び左方向に移送し始める過程を示した図で、このとき、生地が逆方向に進んでプリントローラはブランケットから間隔を置いて離れていることを示した図である。
図12図11に続いて水平方向の往復移送ローラが最も左側まで移送された状態を示した図で、このときまで生地は逆方向に進み、プリントローラはブランケットから間隔を置いて離れた状態を維持することを示した図である。
図13】従来のデジタル印刷技術による分割イメージ連結部に所定のスティッチングラインが目立つこと(A)に比べて、分割イメージの所定部分GZを重畳連結部として構成して、この重畳連結部のグラデーション印刷原理によってスティッチングラインが生じないようにする基本技術思想を示した図である(B)。
図14図13(B)の重畳連結部における各印刷濃度のグラデーション分布およびグラデーション構成の技術原理を各分割イメージの印刷進行方向に沿ってさらに詳細に示した図である。
図15図13(B)および図14に開示した技術思想によって、分割イメージの重畳連結部でその印刷長さ方向に沿って印刷濃度を線形(一次関数式)変化率の漸減濃度部および線形(一次関数式)変化率の漸増濃度部で構成して、分割イメージの連結部ではどの位置においても漸減濃度値と漸増濃度値の算術的加算の合計が、常に相補的に100%を構成することにより線形のスティッチングラインが現れないようにしても、実際その印刷結果物は、その連結部で色濃度の低下部が生じることを示した実際のデジタルプリント事例の写真である。
図16】時間差を置いた重畳印刷時の印刷噴射量、すなわちインク滴の数が、同一に2倍増加しても印刷される濃度が2倍でないことがあり得る理由を説明するための概念図である。
図17】印刷インク滴の数とインク滴の付着位置との相関関係を理解するためのまた他の例示図で、(A)はナノサイズの印刷インク滴が噴射されて印刷生地に付着するにあって、印刷生地の空いた所に均等に分布される理想的な場合を想定したときの印刷インク滴分布を示した図面であり、(B)は実際の印刷時のナノ印刷インク滴の分布が任意的であることを示した概念図である。
図18図15で示した色濃度の低下部発生の問題を改善するために分割イメージ重畳連結部における印刷進行方向に沿ってグラデーション濃度の可変的加重値を付与して印刷することを示した、本発明による分割イメージ重畳連結部のグラデーション濃度の可変加重値付与の概念図である。
図19図18に示した本発明による分割イメージ重畳連結部における印刷進行方向に沿って各グラデーション濃度の可変的加重値の概念を詳細に示した図である。
図20】本発明によるスティッチングラインを隠すことができるデジタルプリントイメージ連結連続印刷方法において、分割イメージ重畳連結部における印刷進行方向に沿って各グラデーション濃度の可変的加重値の概念を適用する実際の印刷時の第1分割印刷部と第2分割印刷部の構成、およびこれら第1分割印刷部と第2分割印刷部の各後端と先端に構成される重畳連結部グラデーションの印刷開始位置と印刷終了位置を示した図である。
図21図18図19で示した本発明によるスティッチングラインを隠すことができるデジタルプリントイメージ連結連続印刷方法を適用したまた他の実際の事例の写真で、Pは印刷しようとする全体単位イメージ(長さ:L)を示したものであり、(A)と(B)は単位イメージPを2つの分割イメージに分け、これらの分割イメージの各印刷末端部および印刷先端部にそれぞれ適用された重畳連結部の印刷濃度の加重値を付与した相補的グラデーション印刷技法を適用した図である。
図22図21に示した単位イメージを印刷するにおいて、先行して印刷される第1分割イメージおよびその重畳連結部のマイナスグラデーション印刷方式をデジタルプリンタのエンジンコア部の作動とともに概略的に示した図である。
図23図21に示した単位イメージを印刷するにおいて、後続して印刷される第2分割イメージの重畳連結部のプラスグラデーション印刷が開始される直前のデジタルプリンタのエンジンコア部の状態を示した図である。
図24図22および図23を連結して示した図で、第1分割イメージと第2分割イメージが連結されて印刷されることを示した図である。
図25】本発明によるスティッチングラインを隠すことができるデジタルプリントイメージ連結連続印刷方法の第2実施例で、重畳連結部のグラデーション開始部および終止部がウェーブ型グラデーションをなすことを示した概念図である。
図26】本発明によるスティッチングラインを隠すことができるデジタルプリントイメージ連結連続印刷方法の第2実施例において、グラデーション開始部および終止部が、ウェーブ型グラデーション形態が印刷色の複合程度によってウェーブ波形が可変的であり得ることを示した概念図である。
図27】本発明によるスティッチングラインを隠すことができるデジタルプリントイメージ連結連続印刷方法の第2実施例において、連結部(重畳領域)に具現されるウェーブ型グラデーションの形態が複数の直線型および自由曲線型等、多様な形態で事前にパターン設定されることができる例を示した図である。
図28】(A)(B)(C)は明度、彩度および色調の概念を示した図である。
図29】本発明によるスティッチングラインを隠すことができるデジタルプリントイメージ連結連続印刷方法を実施する工程のフローチャート例を示した図である。
図30】(A)~(E)は、重畳領域内の文字の有無およびその文字の形態と関連したグラデーションのパターン事例を例示した図である。
図31】(A)~(D)は、重畳領域内のイメージに色の明度彩度の差異があるときのグラデーション形態を例示した図である。
図32】(A)~(B)は、重畳領域の長さを決定するためのイメージ分類カテゴリーの例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書で使用される用語について簡略に説明し、本発明について具体的に説明することにする。
【0025】
本発明の実施例で使用される用語は、本発明での機能を考慮しつつ可能な限り現在広く使用されている一般的な用語を選択したが、これは当分野に従事する技術者の意図または判例、新しい技術の出現等によって変わり得る。また、特定の場合は出願人が任意に選定した用語もあり、この場合該当する発明の説明部分で詳細にその意味を記載するものである。したがって、本発明で使用される用語は単純な用語の名称ではない、その用語が有する意味と本発明の全般にわたった内容に基づいて定義されなければならない。
【0026】
本発明の実施例は多様な変換を加えることができ、様々な実施例を有することができるところ、特定の実施例を図面に例示して詳細な説明に詳細に説明することとする。しかし、これは特定の実施形態について範囲を限定しようとするものではなく、発明された思想および技術範囲に含まれる全ての変換、均等物ないし代替物を含むものと理解されなければならない。実施例を説明するに関わった公知技術についての具体的な説明が、要旨を不明瞭にし得ると判断される場合はその詳細な説明を省略する。
【0027】
第1、第2等の用語は、多様な構成要素を説明するのに使用されることができるが、構成要素は用語によって限定されてはならない。用語は1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使用される。
【0028】
単数の表現は、文脈上明白に異なって意図しない限り、複数の表現を含む。本出願で、「含む」または「構成される」等の用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを示そうとするものであり、1つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しないものと理解されなければならない。
【0029】
本発明の実施例において「モジュール」あるいは「部」は、少なくとも1つの機能や動作を行い、ハードウェアまたはソフトウェアで具現されるかハードウェアとソフトウェアの結合で具現されることができる。また、複数の「モジュール」あるいは複数の「部」は、特定のハードウェアで具現される必要がある「モジュール」あるいは「部」を除いては、少なくとも1つのモジュールで一体化されて、少なくとも1つのプロセッサ(図示なし)で具現されることができる。
【0030】
本発明の実施例で、ある部分が他の部分と「連結」されているというとき、これは「直接的に連結」されている場合だけではなく、その中間に他の素子を間に置いて「電気的に連結」されている場合も含む。また、ある部分がある構成要素を「含む」というとき、これは特別に反対となる記載がない限り、他の構成要素を除外するものではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0031】
下記では、添付した図面を参考にして、本発明の実施例について本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。しかし、本発明は様々に相違する形態で具現されることができ、ここで説明する実施例に限定されない。そして図面において、本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、明細書全体にわたって類似の部分については類似の図面符号をつけた。
【0032】
図6図12の各図面は、従来および本発明においてアンワインダーロール10(生地ロール)から巻き出されてくる印刷生地7にデジタルイメージを印刷するにおいて、得ようとする単位イメージのインライン進行方向の長さがデジタルプリンタのフォトイメージングプレート3の円周の長さRよりさらに長い場合、これを複数(2つ)のイメージに分割して、これら2つの分割イメージを作動的に連結して印刷する各段階別印刷過程の一例を順次説明した図である。
【0033】
まず図6は、デジタルプリンタの全体構成を概略的に示した図面で、印刷エンジンのコア部Cを点線の円内に拡大図示し、生地方向転換機構の構成要素のうちの1つとして、水平方向のガイドレールGRに沿って左右方向に同時に共に往復移動する上下一対の生地水平方向の往復移送ローラHR1、HR2が印刷を開始するための位置(ガイドレールGRの左端部)に移動完了した時点の状態を示した図である。
【0034】
図6によってわかるように、アンワインダーロール10から連続的に巻き出されてくる生地7は、第1正逆駆動ローラR1、生地の上部往復移送ローラHR1、第2正逆駆動ローラR2を順に経て、ブランケット4とプリントローラ6の間に供給される(以上、生地の未印刷部移送経路)。またブランケット4とプリントローラ6の間を通過する生地は、プリントローラ6がブランケット4に接触して回動する間、ブランケット4からフィルム化された所定の印刷イメージ5を表面に転写されてプリンティングされた後、第3正逆駆動ローラR3、下部往復移送ローラHR2、および第4正逆駆動ローラR4を経てリワインドロール(プリント生地巻取ロール)50に巻取られる(以上、プリントされた生地の印刷部移送経路)。
【0035】
以上の構成のようなデジタルプリンタエンジンにおいて、前述した上下一対の生地水平方向の往復移送ローラHR1、HR2が、所定の時間間隔でガイドレールGRに沿って左右に往復移動するに伴い、前述した正逆駆動ローラR1~R4の正逆駆動方向が転換されるが、水平方向の往復移送ローラHR1、HR2が図面上右側に移動する間は、生地の移動方向は純方向(印刷が進められる方向)であり、反対に水平方向の往復移送ローラHR1、HR2が図面上左側に移動する間は、生地の移動方向は逆方向であり、生地が逆方向に移動する間は印刷が中止される。生地の移動方向が逆方向の場合は、第2分割イメージの開始部が第1分割イメージの終端部に連結印刷されるための位置決め作動は、下記で他の図面を参考にしてまた詳述する。未説明符号20は、生地を印刷に適するように前処理するための構成部(例えば、プライマー処理部)であり、他の図面ではこの図面符号20が省略されている。
【0036】
生地7に印刷される単位イメージのインライン進行方向の長さLと、フォトイメージングプレート3の円周の長さRの間に、例えば後者が前者の整数倍(R=n×L、nは自然数)の関係である場合には、生地の移送方向を変える必要なしにプリントローラ6を始終一方向に駆動すれば足りるが、後者が前者の整数倍ではない関係のときには、他のイメージが重畳印刷される部分が生じることを防止するために、または端切れの未印刷部の発生による生地の無駄を防止するために、生地の重畳印刷が生じる所定長さだけを未印刷部とし、これを逆方向に戻して、その後続印刷位置が連結されるように位置補正をして連続印刷する。またアンワインダーロール10から巻き出されてくる生地7上に印刷される単位イメージのインライン進行方向の長さLが、デジタルプリンタのフォトイメージングプレート3の円周の長さRよりさらに長い場合には(L>R)、その得ようとする単位イメージを複数(2つ)のイメージに分割して、これらを時差を置いて作動的に連結して印刷しなければならず、この場合にも生地7を断続的にその移送方向を反転させ連結部の位置を合わせて、後続分割イメージを先行分割イメージに連結して印刷しなければならない。本発明は、特に印刷しようとする単位イメージの大きさ(長さ)が、フォトイメージングプレート3の円周の長さRよりさらに長い後者の場合に適用するための技術であり、以下生地上に印刷される単位イメージのインライン進行方向の長さLが、デジタルプリンタのフォトイメージングプレートの円周の長さRよりさらに長い場合に、これを複数のイメージに分割(先に印刷される第1分割イメージおよび後続印刷される第2分割イメージ)に分けて、これらを時差を置いて作動的に連結印刷する過程を図7図12を介して説明する。
【0037】
図7図9は、2つの分割イメージのうち、先に印刷される第1分割イメージを印刷するための過程を例示的に順次示した図で、図7は、上下一対の水平方向の往復移送ローラHR1、HR2が、ガイドレールGRに沿って図面上最も左に移動した状態(図7の状態)から、図面上右に移送され始めることにより、第1分割イメージの先端部(開始部)から印刷が始まる状態を示した図で、図8図7から印刷がさらに進む状態を示す図であり、図9図8から印刷がさらに少し進む状態を示した図である。
【0038】
これら図7図9で示した各段階が進められることにより、1次的に印刷しようとする第1分割イメージを円筒形のフォトイメージングプレート3上に得る。この後ブランケット4はフォトイメージングプレート3とその外周面を互いに接した状態を維持して、前者は反時計回りに後者は時計回りに回転することにより、フォトイメージングプレート3に塗布された第1分割イメージがブランケット4側へ転写された後、プリントローラ6との協力による挟持移送作動の間に生地に転写される。このような段階を介して生地には第1分割イメージが印刷される。
【0039】
図10は、図9に続き印刷工程がさらに進む状態を示した図で、生地は第1分割イメージが印刷完了した地点以後の第2分割イメージの長さの分だけ無印刷状態でプリントローラ6を越えてさらに進むが、このような無印刷のオーバーラン(overrun)進行は、上下一対の水平方向の往復移送ローラHR1、HR2がその右方向への移動を終える位置(右端部に至る位置)に至るまで進められ、このような第2分割イメージの長さの分だけ無印刷状態でオーバーラン(overrun)進行される間、プレート3上に後続する第2分割イメージを生成する過程が進められる。
【0040】
図11および図12は、図10で示した段階以後、水平方向の往復移送ローラHR1、HR2が再び左方向に移送し始める過程を示した図である。このときから生地7は逆方向に進み、このとき、プリントローラ6はブランケット4から間隔Gを置いて離れているようになる。
【0041】
図12は、図11に続いて水平方向の往復移送ローラHR1、HR2がガイドレールGRの最も左側まで移送される状態を示した図で、水平方向の往復移送ローラHR1、HR2の左向移動とともに、正逆駆動ローラR1~R4の駆動方向が全て逆方向に変わることにより、オーバーランしていた第2分割イメージ印刷用の無印刷区間がフィードバック(逆方向移動)完了して、第1分割イメージと連結される位置まで動かされる。一方、このような生地の逆方向進行が持続する間、プレート3上に出力された第2分割イメージはブランケット4に転写を終える。
【0042】
プリント生地のフィードバックが終わった時点で、プリントローラ6がブランケット4に再び接触するが、このような作動によってプリント生地の逆方向移動が進んで、無印刷区間の開始点が第1分割イメージと連結される地点に至った以後には、再びプリントローラ6がブランケット4に対する圧接状態に戻る接触ポジションになるとともに、正逆駆動ローラR1~R4の駆動方向も再び純方向に変わることにより、生地の進行方向が純方向に進み、これにより第2分割イメージが第1分割イメージに連結されて連続印刷される。この後、第2分割イメージ印刷時のデジタルプリンタ構成要素の駆動パターンは、前述した図7以後の場合と同一である。このようなサイクルが繰り返されることにより、ロール・ツー・ロールデジタルプリントの長さの長いインラインイメージ連結連続印刷が可能である。
【0043】
以上で説明したように、ブランケット4と接して回転するプリントローラ6がブランケット4に対して圧接状態を維持する接触ポジションと、ブランケット4から分離して間隔Gを有する分離ポジションとの間を、所定の時間間隔を置いて繰り返して作動的に可変移動する一方、生地に対する正逆の移動方向の転換および生地に対する移送力ないしテンション調整力を提供する水平方向の往復移送ローラHR1、HR2の左右方向の往復運動と、多数の正逆駆動ローラの正逆駆動運動等とが、事前に設定された所定の電算プログラムによって有機的に結合されることにより、ロール・ツー・ロール方式のデジタルプリンタを使用して複数の分割イメージを連結する連続印刷方法を実行することができる。
【0044】
図13は、従来のデジタル印刷技術による分割イメージ連結部に所定のスティッチングラインが目立つこと(A)に比べて、2つの分割イメージの所定部分GZを重畳連結部として構成して、この重畳連結部のグラデーション印刷原理によってスティッチングラインが生じないようにする基本的技術思想を示した図であり(B)、図14は、図13(B)の重畳連結部における各印刷濃度のグラデーション分布およびグラデーション構成の技術原理を各分割イメージの印刷進行方向に沿ってさらに詳細に示した図である。
【0045】
図13は、前述したようなロール・ツー・ロールデジタルプリンタを使用し、分割イメージの連結を特定位置のライン(line)ポイントに合わせて連結することにより、その連結部にスティッチングラインSLが目立つようになる従来の印刷方式の事例(A)に比べて、所定幅の重畳連結部GZを設ける分割イメージの連結方法であって、この重畳連結部区間で直線型の反比例グラデーション印刷原理によってスティッチングラインが生じないように提案した概念図(B)である。また図14によってわかるように、各分割イメージの印刷進行方向とともに、重畳連結部GZの存在と、この重畳連結部における相補的グラデーションの分布パターンおよびグラデーションの開始位置と終了位置が示されているが、ここでグラデーション分布パターンの相補的関係という意味は、重畳連結部のいずれの位置においても、第1分割イメージ側のマイナスグラデーション印刷濃度値と第2分割イメージ側のプラスグラデーション濃度値の算術的加算値が、その重畳領域の原本イメージの濃度値と同一となるという意味であって、このような関係をなすために、マイナスグラデーション印刷濃度値とプラスグラデーション濃度値は、互いに一次関数的(直線的)相補関係をなすようにその印刷濃度値が線形的に変わる。
【0046】
図13および図14によってわかるように、従来のデジタルプリントイメージ連結連続印刷方法(図13A)では、印刷しようとする単位イメージPを2つの分割イメージP(A)、P(B)に分けてこれを連結印刷するにおいて、連結部にその印刷長さ方向の幅なしに典型的なライン(line)ポイントで連結することにより、その連結部にスティッチングラインSLがはっきり現れるのに対して、所定幅の重畳領域を置く印刷方法(図13B)では、このような問題を解決するために、2つの分割イメージP(A)、P(B)の所定区間を重畳連結部として構成したのである。第1分割イメージAの印刷方向後端側の長さ方向の所定幅W1と、第2分割イメージBの印刷方向先端側の長さ方向の所定幅W2とが、その幅の大きさが互いに等しく(W1=W2)、その部分のイメージが互いに同じイメージで重畳の面接触グラデーション領域GZをなし、第1分割イメージP(A)は、この面接触グラデーション領域GZで長さ方向にその印刷が進められるにつれ、印刷濃度が一次関数的(直線的)に漸減するマイナスグラデーション(Gradation)技法で印刷され、第2分割イメージP(B)は、その面接触グラデーション領域GZで長さ方向にその印刷が進むにつれ、印刷濃度が一次関数的(直線的)に漸増するプラスグラデーション技法で印刷されることを提示したものである。
【0047】
ここで印刷濃度は、インク噴射ノズル(図1、図面符号2)から噴射されて出るナノサイズのインク滴の数の加減によって可変する印刷濃度を意味するものであり、濃度を下げるマイナスグラデーション印刷は、印刷進行方向に沿って同一の生地移送速度であるが、インク噴射ノズルを介して噴射されるインク滴の数を漸次的に減らす作動を介してなされ、反対にプラスグラデーション印刷は、印刷進行方向に沿って同一の生地移送速度であるが、インク噴射ノズルを介して噴射されるインク滴の数を漸次的に増やす作動を介してなされる。
【0048】
しかし、このように印刷濃度が一次関数的(直線的)に漸減するマイナスグラデーション技法および印刷濃度が一次関数的(直線的)に漸増するプラスグラデーション技法(漸増)技法を、2つの分割イメージの重畳領域に対して適用することにより、従来図2図3に示したような鋭く明らかな線形のスティッチングラインは消えたが、一方で図15に示したように、2つの分割イメージP(A)、P(B)の重畳連結部において所定幅の色濃度の低下部(色濃度低下ライン)が生じる問題が生じた。このような色濃度の低下部は、従来のような鋭く濃い線形のスティッチングラインとは異なるが、これも一種の広い幅のスティッチングラインと見ることができるものであるため、これに対する解決が必要であることが分かった。
【0049】
本発明者らは、色の種類や印刷イメージの内容によって程度が多少異なりはするが、多くの場合このような濃度低下部という新しい問題が発生する原因を綿密に研究検討した結果、次のような事実をみつけた。
【0050】
すなわち、印刷においてCyan、Magenta、Yellow、Blackの4色のように限定された色のインクのみを使用しても、自然の大部分の色を表現することができる理由は、印刷は色別に精巧な格子構造の網点形態で印刷が進められるもので、網点はこれらの色の表現しようとする濃度によってその色(インク滴)の数が調整される一方、同時に各色別の画素(網点)が互いに重ならないように網目と網目の間の空いた空間に均質に配置されて印刷されるためである。もし各色素の印刷される網点の位置が同じで重なって印刷されたなら、多様な色の印刷イメージは十分に表現されない。
【0051】
本発明が属するデジタル印刷機分野において、前述したインク噴射ノズル2から噴射される各色画素の1-10ナノメートルの大きさのインク粒子は、各色素別に重ならないように一定に設けられて配列される所定の均質な網目パターンに従ってフォトイメージングプレート(Photo Imaging Plate)上に塗布されるものであり、フォトイメージングプレート(ドラム)の1回転の初めから終りまでを1つの色素で噴射印刷した後、フォトイメージングプレート(ドラム)の次回の回転の初めから終りまでをまた他の色素で噴射印刷する繰り返し過程を色素ごとに全て終えて、全体として印刷網目の結合セットが決定することによりフォトイメージングプレート(ドラム)上に完全な1つのイメージが塗布される。
【0052】
しかし印刷生地を正逆駆動する方式によって、すでに先行サイクルによって印刷された所定部位の上に新しい印刷サイクルで重畳印刷する場合、先行サイクルによって印刷完了した色素(画素)と画素の間の空いた網目空間に対して後行サイクルの印刷が行われなければならないが、極微細画素(1-10ナノメートルの大きさ)に対して、生地の機械的な位置決めによりこのような網目ピントを合わせるのは事実上不可能である。これを他の例をあげて説明すると、100%濃度の黄色い単色を印刷しようとする場合、これをただ1回のサイクルで100%濃度の黄色で印刷するのと、これを50%濃度の黄色で先に印刷した後その上にまた後続サイクル(印刷生地の位置を再決定して)で印刷濃度50%の黄色を被せて印刷しても、その結果全体として100%濃度の黄色を得ることができなくなるのは、まさに後続サイクルの画素が先行サイクルによって印刷されて残った空いた空間にぴったり合うように印刷されることができないからであり、これは印刷生地の位置が変動したことに起因する。
【0053】
図16および図17はこれをさらに具体的に説明するための図であり、図16は、時間差を置いた2回の重畳印刷時に印刷インク滴の数が同一に2倍増加しても印刷される濃度が2倍になれない理由を説明するための概念図である。すなわち、図16で、例えば左側に4つのインク滴が噴射されていると仮定する場合、この生地上に再び4つのインク滴を追加して、全体として8つのインク滴によって印刷濃度を2倍にしようとする場合、4つのインク滴の追加噴射時にその噴射される生地の位置が1次印刷時と変わったなら(すなわち、正確に同一位置に位置決めされなければ)、図16の(A)~図16(D)に示されたように、インク滴が生地の空いた空間に付着するのではなく、1次噴射されたインク滴上に重なって任意的に付着するので、印刷濃度はインク滴の噴射数と算術的に比例関係にないことが分かった。これはインク滴の大きさが1-10ナノメートルの極微のものであることに反して、物理的手段や操作によって生地の位置決めを1-10ナノメートル水準で一致させることが難しいために現れる不可避な現象であることが分かったのである。
【0054】
また図17は、前述した図16のような研究および上のような検討結果を、さらに印刷原本の大きさを拡げた観点で示してみたものである。図17で左側に示された印刷進行方向(矢印方向)に次第に印刷濃度が減るマイナスグラデーション方式で印刷しようとする場合、上段に表現された(1)、(2)、(3)は、印刷生地が固定された状態で噴射されるインク滴の数を減らして得ることができる規則的な印刷インク網目パターンであり得るが、下段に表現された(4)、(5)、(6)は、印刷生地の位置を可変させて再位置決めした以後に実施するマイナスグラデーション方式の印刷では、その噴射されるインク滴の数が上段の場合と同一の比率のマイナスグラデーションであっても均一な印刷インク網目パターンを得ることができなくなる。本発明者らは、図15で2つの分割イメージP(A)、P(B)の重畳連結部で所定幅の色濃度の低下部(色濃度低下ライン)が生じるのが、すなわちこのような理由であることを理解することになった。
【0055】
一見すると、噴射されるインク滴の数が多ければ多いほど、印刷濃度もそれに比例して高くなるものと考えやすいが、前述したように、本発明が属するデジタル印刷分野ではそうではないことが技術的課題となり、本発明者らは多くの実験と検討結果、その理由が下記のとおりであることを知ることとなった。
【0056】
インク滴を噴射して印刷する場合、噴射ノズルと印刷生地は、両者とも固定された一定の位置に置かれて印刷されるならば、インク滴の噴射量と印刷された結果物の濃度とは均質的な相関関係(例えば比例関係)にあるが、本発明の場合のように1つのイメージを2つの前後イメージに分割し、分割されたイメージの後端部と先端部の所定幅に対してイメージを同一に設定してこの部分を時間差を置いて重畳印刷するにおいて、噴射ノズルと印刷生地のうちいずれか1つでもその印刷がなされる位置が異なるように移動すると、インク滴の噴射量と印刷された結果物の濃度は、均質的な比例的相関関係を得ることができない。その理由は、重畳領域に対する時間差を置いた繰り返し印刷時に、2回目の印刷がなされる印刷生地の位置を一回目の印刷が行われた同一の位置に位置決めすることが難しいためである。本発明が適用される技術分野は、噴射されるインク滴の大きさが1-10ナノメートル(1ナノメートル=10-9メートル)と極微の大きさのインク粒子を噴射する方式のデジタル印刷分野であり、インク噴射ノズルは一定に固定された位置でインク滴を噴射するが、そのインク滴が転写される印刷生地は、その供給方向を変えて所定間隔フィードバックされた状態で印刷がなされるものであるため、印刷生地の重畳領域の印刷位置が一定であるないためである。
【0057】
本発明でこのような問題点(解決課題)の導出過程は非常に重要なもので、今までの問題認識およびその原因の理解過程をもう一度整理すれば下記のとおりである。
【0058】
先行印刷される第1分割イメージAの後端側長さ方向の所定幅と、後続印刷される第2分割イメージBの先端側長さ方向の所定幅のイメージが互いに同一に重畳する重畳領域GZをなし、第1分割イメージAは、この重畳領域GZにおいて長さ方向にその印刷が進むにつれインク濃度(噴射されるインク滴の数)が漸減するマイナスグラデーション(Minus Gradation)技法で印刷され、第2分割イメージBは、重畳領域GZにおいて長さ方向にその印刷が進むにつれインク濃度(噴射されるインク滴の数)が漸増するプラスグラデーション(Plus Gradation)技法で重畳印刷し、第1分割イメージAは、その長さ方向に印刷が進むにつれ重畳領域GZにおいてインク濃度が100%から0%に線形的(直線的)に漸減するマイナスグラデーション技法で印刷され、第2分割イメージBは、長さ方向に印刷が進むにつれ前記重畳領域GZにおいてインク濃度が0%から100%に線形的(直線的)に漸増するプラスグラデーション技法で印刷されるようにし、これらの間の同じ位置におけるグラデーション濃度の算術的(加算)合計が100%になるように設計することにより原色濃度を得ようとする意図は失敗(図15で見られる重畳連結部中央の色濃度の低下部(色濃度低下ライン)の発生)と判断される。その原因は、第2分割イメージBが印刷される生地を第1分割イメージが印刷される生地の位置と正確に同一の位置に位置決めすることができないために現れる不可避な現象である。
【0059】
したがって本発明者らは、このような問題が、印刷生地をフィードバックさせて所定の幅部分に対して重畳印刷する方式では、分割イメージ間にグラデーションを異にして印刷することにより、従来の鋭い線形のスティッチングラインは避けることができても、また他の問題として色濃度の低下部という新しい問題が不可避に生じるという結論により、これを解決するためにグラデーション濃度の加重値(インク滴噴射数の追加的増加)を付与する方案を見つけ出したのが本発明である。
【0060】
本発明は、基本的に、先行印刷される第1分割イメージAの後端側長さ方向の所定幅と、後続印刷される第2分割イメージBの先端側長さ方向の所定幅のイメージが互いに同一に重畳する重畳領域GZをなし、第1分割イメージAは、この重畳領域GZにおいて長さ方向にその印刷が進むにつれインク濃度が漸減するマイナスグラデーション(Minus Gradation)技法で印刷され、第2分割イメージBは、重畳領域GZにおいて長さ方向にその印刷が進むにつれインク濃度が漸増するプラスグラデーション(Plus Gradation)技法で印刷する基本的技術思想は共有するが、ただ第1分割イメージAは、その長さ方向に印刷が進むにつれ前記重畳領域GZにおいてインク濃度が100%から0%に線形的(直線的)に漸減するのではなく、印刷進行方向に沿って追加の濃度を加える方式(噴射されるインク滴の数をさらに追加する方式)で、すなわち非線形的(非直線的)なマイナスグラデーション技法で印刷し、同様に第2分割イメージBも、長さ方向に印刷が進むにつれ前記重畳領域GZにおいてインク濃度が0%から100%に線形的(直線的)に漸増するのではなく、印刷進行方向に沿って追加の濃度を加える方式(噴射されるインク滴の数をさらに追加する方式)、すなわち非線形的(非直線的)なプラスグラデーション技法で印刷し、結果的に、これら2つの漸減濃度および漸増濃度の間の算術的和(噴射されるインク滴の数の算術的加算)の和が、印刷が進められる重畳領域GZ全体にわたっていずれの位置においても原本イメージに対して100%を超えるように、望ましくは110%~170%となるようにすることを特徴とする発明を完成した。
【0061】
図18は、図13および図14(b)に代えて、本発明によるデジタルプリントイメージ連結連続印刷方法の核心要旨である、重畳領域GZにおいて漸減および漸増グラデーションを適用し、直線的濃度εの変化の上に追加の濃度値δが加えられる非直線的グラデーションの適用を示した概念図である。図18で、垂直の赤色ラインは、第1分割イメージP(A)と第2分割イメージP(B)の各重畳領域GZが始まる位置、すなわちグラデーションが適用される開始ラインGZS1、GZS2を示したもので、垂直の緑色ラインは第1分割イメージPAと第2分割イメージPBの各重畳領域GZのグラデーションが終わる位置、すなわちグラデーションの適用が終わるラインGZE1、GZE2を示したものである。また図18で、図13および図14の図面上で右側に示したのと同じく第1分割イメージPAと第2分割イメージPBの各重畳領域GZにおけるグラデーションの色濃度変化の進行パターンをプラス(+)マイナス(-)記号とともに、直角三角形の斜辺の傾斜上に追加のふくらんだ曲線(図19の図面符号CL)が示されたことがわかるが、これが本発明の決定的特徴のうちの1つである。
【0062】
このような本発明による分割イメージ重畳連結部における印刷進行方向に沿って各グラデーション濃度値の可変的加重値付与の概念を詳細に示した図19によってさらに詳細に説明すれば下記のとおりである。
【0063】
図19(A)、(B)は、それぞれ第1分割イメージPAと第2分割イメージPBの各重畳領域GZにおけるグラデーション印刷濃度値の変化およびその加重値を詳細に示した図である。これらの図面において三角形の斜辺SL1、SL2は、第1分割イメージPAおよび第2分割イメージPBが、その長さ方向に印刷が進むにつれ、重畳領域GZにおいてインク濃度が100%から0%に線形的(直線的)に漸減するマイナスグラデーションの概念による直線的グラデーション濃度εの変化線であり(これは前述した図13図14で提示した印刷技法の施行時に適用される概念である)、この三角形の斜辺SL1、SL2を覆う上にふくらんだ曲線CL1および下にふくらんだ曲線CL2は、第1分割イメージPAおよび第2分割イメージPBが、その長さ方向に印刷が進むにつれ、その重畳領域GZ内で追加で可変的に加えられるインク濃度δ1、δ2を示したものである。
【0064】
多くの実験と研究の結果、前記追加で加えられるインク濃度δの変化曲線は、直線ではない曲線型である場合に最終印刷物の重畳連結部上に色濃度の低下部(色濃度低下ライン)が生じる問題が顕著に改善されることを確認し、具体的には、追加で加えられたインク濃度δ1、δ2のラインCL1、CL2は、直線的グラデーション濃度ε1、ε2の変化線の上で印刷進行方行に次第に増加してから次第に減少する非直線的曲線変化を有する場合に、最適の結果を得て、数式で表現するなら110%<ε1+δ1+ε2+δ2<170%であることが好ましいことを確認した。
【0065】
ここで、ε1は、重畳領域GZにおいて第1分割イメージの所定位置におけるインク濃度値を100%から0%に線形的(直線的)に漸減するマイナスグラデーションラインSL1を想定する場合のその所定位置におけるインク濃度値を、原本イメージの濃度値に対して%で表現した値であり、δ1は、前記ε1値に対して追加で加えられるインク濃度値を原本イメージの濃度値に対して%で表現した値であり、ε2は、重畳領域GZにおいて第2分割イメージの所定位置におけるインク濃度値を0%から100%に0%に線形的(直線的)に漸増するプラスグラデーションラインSL2を想定する場合のその所定位置におけるインク濃度値を、原本イメージの濃度値に対して%で表現した値であり、δ2は、前記ε2値に対して追加で加えられるインク濃度値を原本イメージの濃度値に対して%で表現した値である。
【0066】
ε1+δ1+ε2+δ2の好ましい値が110%<ε1+δ1+ε2+δ2<170%と可変的な領域範囲で表現される理由は、付与(追加)する濃度加重値δが、その印刷されるイメージの色の数や形態が任意的なもの(印刷原本のイメージ種類が多種多様なもの)であって、このような印刷しようとするイメージの形態の多様性に効果的に対応できる変化量を勘案したものである。例えば、重畳領域のイメージが単色に近いほど加重値をさらに高く付与し、重畳領域のイメージが多色で形態が複雑であるほど加重値をさらに低く付与することが好ましく、このような可変的な変化可能性を全て考慮するとき、110% <ε1+δ1+ε2+δ2<170%の数式が導出されたものである。
【0067】
一方、図18において、長さの長い多様な単位イメージに対して本発明を適用してみた実験の結果、重畳GZの印刷長さ方向の幅W1、W2の大きさは、第1分割イメージPAまたは第2分割イメージPBの印刷方向全体長さの5%~50%の範囲内であることが好ましいものと判断され、数値としては少なくとも5mm以上であることが好ましいものと判断された。このような重畳領域GZの印刷長さ方向幅の決定も、重畳領域GZのイメージが単色に近いほど大幅に設定し、重畳領域イメージが多色で形態が複雑であるほど狭い幅に構成してもかまわない結果を反映した基準である。
【0068】
図20は、本発明によるスティッチングラインを隠すことができるデジタルプリントイメージ連結連続印刷方法を適用する図であって、第1分割印刷部と第2分割印刷部の各重畳連結部の印刷開始位置と重畳連結部の印刷終了位置を、実際の印刷イメージを使用して示した図である。
【0069】
図20で、Pは印刷しようとする全体単位イメージを示したもので、AとBは単位イメージPを2つの分割イメージに分けて、これらの各印刷末端部Cおよび印刷先端部Dに適用される重畳連結部C、D、GZが示されている。図面符号でGZS1、GZS2は、第1分割イメージAと第2分割イメージBの各重畳領域C、D、GZにおいてグラデーションが始まる位置、すなわちグラデーションが適用される開始ラインを示したものであり、GZE1、GZE2は、第1分割イメージAと第2分割イメージBの各重畳領域C、D、GZのグラデーションが終わる位置、すなわちグラデーションの適用が終わるラインを示したものである。
【0070】
図21は、図20と同様に、本発明によるスティッチングラインを隠すことができるデジタルプリントイメージ連結連続印刷方法を適用する過程を、また他の実際の印刷イメージを使用して示した図である。図21で単位イメージPの内容を詳察すると、上段に二人の人物部分Aおよび下段にテーブルの上のワインとワイングラス部分Bのイメージが、これらを区画する黒い水平線によって明らかに区分されることにより、この水平区画線を基準としてこれらをそれぞれ第1分割イメージと第2分割イメージにすることができ、この場合には、このような明度差が明らかなだけでなくイメージの内容も確実に区分されるため、この水平区画線上に従来のようなスティッチングラインが生じても視覚的に目立たないかも知れないものである。しかし、もし下部側の第2分割イメージの長さがフォトイメージングプレートの円周の長さより大きい場合には、分割イメージを重ねて印刷しなければならない重畳領域GZは、図示したように瓶の首の位置に置かざるを得ないため、このとき適用しなければならないグラデーションパターン基準は前述したところと同じである。
【0071】
図22は、図21に示した単位イメージを印刷するにおいて、先行して印刷される第1分割イメージP(A)およびその重畳領域GZにおける非直線的マイナスグラデーション印刷パターンを、デジタルプリンタのエンジンコア部の作動とともに示した図であり、図23は、図21に示した単位イメージを印刷するにおいて、図22に後続して印刷される第2分割イメージP(B)の重畳領域GZにおける非直線的プラスグラデーション印刷が始まる直前のデジタルプリンタのエンジンコア部の状態を示した図である。
【0072】
また図24は、図22および図23を連結して示した図で、第1分割イメージP(A)と第2分割イメージP(B)間の相互重畳領域GZにおいて、図18図19で説明した非直線的(すなわち、加重値付与方式の)相補的グラデーション技法が適用されることにより、分割イメージ重畳領域におけるスティッチングラインおよび印刷濃度低下部を完全に隠すことができるデジタルプリントイメージ連結連続印刷方法を示した図である。
【0073】
図25は、本発明によるスティッチングラインを隠すことができるデジタルプリントイメージ連結連続印刷方法の第2実施例で、先に説明した実施例が、重畳連結部のグラデーション開始部および終止部が直線型であるのに対し、第2実施例は、ウェーブ型グラデーションをこの幅方向にもその印刷濃度の変化を与えることで、人間の肉眼で把握できるグラデーション変化をさらに減らすことにより、結果的にスティッチングラインを隠す効果をさらによくすることができる。直線グラデーション印刷の場合、生地の素材による重なり誤差および印刷の特性上にじみ現象が発生し得るのに対し、これを視覚的に分散させてイメージ連結部分の色が最大限より自然に連結されるようにウェーブグラデーション方式でイメージを連結するために、本発明の第2実施例として講じられた方式である。
【0074】
図26は、本発明によるスティッチングラインを隠すことができるデジタルプリントイメージ連結連続印刷方法の第2実施例において、グラデーションの開始部および終止部が、ウェーブ型グラデーション形態が印刷色の複合程度によってウェーブ波形が可変的であることが好ましいことを示した図である。ウェーブパターンは、重畳連結部における印刷イメージの色の種類が多いほど直線に近く(例えば(1)の場合)、単色に近いほど(例えば(8)の場合)谷と山が交互する波形の数を増やすことが好ましい。
【0075】
図27は、本発明によるスティッチングラインを隠すことができるデジタルプリントイメージ連結連続印刷方法の第2実施例において、連結部(重畳領域)に具現されるウェーブ型グラデーション形態が複数直線の結合型(1)(2)(3)、自由曲線型(5)(6)(7)等、多様な形態であり得、図示しなかったが直線と曲線の結合型でもあり得る。このような重畳連結部の印刷生地の幅方向のグラデーションパターンの形態は、印刷しようとする重畳領域イメージの色彩分析によってなされることができ、色彩分析による適したグラデーション形態は、事前に設定されたデータベース情報と比較する過程を経て自動および半自動で選定される。
【0076】
一方、グラデーションパターンの決定と関連して、明度、彩度および色調についての基本的な理解が必要であるため、これについてまずに簡単に説明すると下記のとおりである。図28(A)(B)(C)は、明度、彩度および色調の概念を示した図である。
【0077】
明度は色相、彩度とともに色の主要な三属性のうちの1つで、よく明度が低ければ「暗い」と表現し、高ければ「明るい」と表現する。例えば、「暗い灰色」、「明るい灰色」のように使用される。色を区別する感覚的な要素のうちの1つで反射率の外に色(光の波長)によって目が感じる明るい暗いの程度を現わすもので、図28(A)に示したように、物体の色を表示するマンセル表色系は、黒を0、白色を10とし、灰色の段階を順に番号を付けて表示して明度の段階を0~10まで計11の段階で現わすことができる。色はそれ自体で見ためより他の色との対照によって観察することが普通であるため、色の明るさは、相対色によって異なって見えることがある。例えば、同じ灰色の縞でも白い紙の上に置くより黒い紙の上に置いたとき、より明るい灰色に見える。このような現象を明度対比という。
【0078】
彩度は、図28(B)に示したように、色の濃い薄いを現わす飽和度である。何も交ぜず清んできれいで原色に近いものは彩度が高いと表現する。たとえばカンナの花の赤と小豆の赤は似た明度を有するが、カンナの花の方がずっと鮮明で、カンナの花の彩度が小豆の彩度より高い。彩度はスペクトル色に近いほど高くなり、1つの色相の中で最も彩度が高い色をその色相中の「純色」という。白色と黒は彩度がないため「無彩色」と呼ばれる。
【0079】
また色調は、図28(C)に示したように、色の3属性である明度・彩度・色相のうち明度と彩度を統合した概念で、明度と彩度の程度によって変化する色の明暗と強弱、濃淡等の雰囲気を意味する。英語名そのままトーン(tone)ともいう。例えば、色の明るいか暗いかの状態等を、その程度に応じて「明るい色調(明るいトーン)」、「暗い色調(暗いトーン)」といい、色の清い濁りに応じて「清んだ色調(清んだトーン)」、「濁った色調(濁ったトーン)」等という。狭い意味で色調は、純色に灰色を混合して作った色を意味するが、このとき、色調は「ティント(tint-明青色調)」、「シェード(Shade-暗青色調)」と区分されて使用され、ティントは純色に白色を、シェードは純色に黒を交ぜて作られた色調である。一般的な色調は「中間色調」である。
【0080】
このような印刷に具現されるイメージの精巧な色彩の具現は、RIP(Raster Image Processor)によってなされるが、RIPは、ワープロ、データベース管理プログラム、フォトショップ(登録商標)等のプログラムで作業されたイメージ等の出力のために使用される出力ソフトウェアであって、ベクターグラフィック、テキストまたはその2つをビットマップイメージに変換するためのマイクロプロセッサが含まれたコンピュータチップとソフトウェアからなる装置である。RIPを介して実物のような望みのカラープリンティングができ、データを自由に拡大および縮小してより速い出力速度を出すことができ、多様な書体支援、分割出力等、多くの機能で実写出力ができるようにするソフトウェアである。RIPソフトウェアで支援する主要機能は、製品によって原本イメージに損傷を加えずに色の調節、インク噴射量の調節、網点調節等の機能をできるようにする。
【0081】
図29は、本発明によるスティッチングラインを隠すことができるデジタルプリントイメージ連結連続印刷方法を実施する工程のフローチャート例を示した図である。
【0082】
図29によってわかるように、本発明によるイメージ連結連続印刷方法の進行は、プリンタ16が端末機12から印刷対象イメージを受信すると、イメージ分離面の色相分析13を行う。色相分析の結果、イメージの分離面に対するグラデーション形態14を決定し、イメージ分離面のグラデーションの重畳長さを設定15するが、イメージが多色で形態が複雑であるほど狭い幅で構成する。
【0083】
決定したグラデーションパターンを適用してテストプリンタ16でプリンティングを進め、そのテストプリンティング結果、重畳したイメージがスティッチングラインやにじみ現象の有無を判読する印刷品質検討17を進めて、不十分時、再びイメージ分離面にグラデーション形態設定14に戻ってイメージ分離面のグラデーション形態を決定しなおし、重畳長さ設定15も新しくして、スティッチングラインが生じないようにテスト過程17を経て品質満足時に連続デジタルプリンティングがされるようにする工程のフローチャートである。
【0084】
このようなプロセスにおいて、イメージ分離面の色彩分析によるグラデーション形態の設定およびグラデーション重畳長さの設定は、RIPによってなされる重畳領域イメージに対する明度、彩度を考慮した色調の個数と色調の等級(明度、彩度の等級差)等の自動分析結果値を、事前に設定されたグラデーションパターンおよび重畳長さのデータベース情報と比較してマッチングされることにより自動設定され、印刷品質検討17時に品質不十分による新しいパターンの設定は、人の判断を付加した半自動でなされる。
【0085】
このようなグラデーションパターンおよび重畳長さの決定過程(パターン決定変数の確定過程)を本発明の第2実施例であるウェーブグラデーションを対象にさらに具体的に説明すると下記のとおりである。まずグラデーションパターン決定変数として、重畳領域内に文字がある場合と文字なしに色のみがある場合に区分して説明する。
【0086】
1.重畳領域内の文字の有無およびそのパターンと関連したグラデーション形態
【0087】
重畳領域内の文字の有無およびそのパターンと関連したグラデーションは、図30(A)~図30(E)に示したように、5つの場合に分けてみることができる。図30(A)のように重畳領域内に文字とイメージがない全て単色の地のイメージは、ウェーブグラデーションを適用して重なり印刷で進めて、図30(B)のように全て単色の地のイメージの上に文字が存在する場合には、文字部を避けて単色イメージの地の上にウェーブが形成されるようにグラデーションを適用し、図30(C)、30(D)のように地のイメージが白色であるときはその白色部位にはグラデーションなしに印刷がなされるようにする。また図30(E)のように重畳領域の地色が白色であるときは、文字の重なりを避けて重なりラインが生成されるように適用し、ウェーブグラデーションなしに重なりラインでのみ印刷がされるようにする。
【0088】
2.色の明度彩度の差異があるときのグラデーション形態
【0089】
色の明度、彩度に差異があるときのグラデーション形態は、図31(A)~図31(E)に示したように、4つの場合に分けてみることができる。
【0090】
図31(A)のように明度差が2段階以上の差がある境界線があるイメージは、その境界線に沿ってウェーブグラデーションを適用して進める。図31(B)のように同じ色で色調差のある境界線があるイメージは、その色調の境界線に沿ってウェーブグラデーションを適用して重なり印刷で進める。図31(C)のように地のイメージが2種以上の色で直線形態か曲線形態の明らかな境界線がある場合のイメージは、その境界線に沿って直線または曲線型のウェーブグラデーションを適用して重なり部の印刷を進める。また写真イメージのように色調の差が大きいか色の個数が多いイメージの場合には、色調の差が大きいか色の数に反比例してウェーブの波形が大きくなるようにし(色調の差が大きく色の数が多いほどウェーブの波形変化が大きくならないように)グラデーションを適用して重なり印刷で進める。
【0091】
一方、また他のグラデーションパターンの決定変数として重畳領域の長さ、すなわちグラデーションの重畳長さの設定について説明すれば下記のとおりである。
【0092】
図32(A)に示したように、全て単色の地のイメージや写真イメージは、ウェーブグラデーションを適用して重なり印刷で進めて、重なり長さは5mm以上、単色イメージであるほど長さが長くなり、複雑なパターンや複雑な写真イメージであるほど長さが狭くなる。
【0093】
図32(B)で示したように、明度差が2段階以上差がある境界線のあるイメージであるか、地が明度が高く白色に近い色である場合には、境界線に沿って直線重なりグラデーションを適用し、重なり長さは、明度が高いほど重なり長さが狭くなり、明度、彩度が低いほど重なり長さが長くなる。また図32(C)で示したように、地の色が白色であるときには、グラデーション重なり間隔がなく、文字がある場合には文字が重なることを避けて重なりラインが生成されるように適用し、グラデーションなしに重なりラインのみで印刷がされるようにする。
【0094】
本発明によるスティッチングラインを隠すことができるデジタルプリントイメージ連結連続印刷方法で適用する重畳領域イメージのグラデーションパターンの決定原理を図示して説明するために例示した以上のイメージ分類カテゴリーは、単に本発明の原理を図示して説明するために例示したものであるだけで、このようなイメージ分類およびそのグラデーションパターン決定カテゴリーにのみ限られるものではない。重畳領域のグラデーションパターンを決定するためのイメージ分類カテゴリー(パターン決定変数)の組み合わせ例は、いくらでもさらに多様かつ稠密に区分してその判断データとして事前に設定しておくことができる。本発明によるスティッチングラインを隠すことができるデジタルプリントイメージ連結連続印刷方法の適用時の印刷品質の向上は、重畳領域のグラデーションパターンを決定するためのイメージ分類カテゴリー(パターン決定変数)の多様な組み合わせ例をどのくらい精巧に構築するかにかかっている。
【0095】
以上では本発明の好ましい実施例について図示して説明したが、本発明は前述した特定の実施例に限定されず、請求の範囲で請求する本発明の要旨を逸脱することなく、当該発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって多様な変形実施が可能なことはもちろんであり、このような変形実施は、本発明の技術的思想や展望から個別的に理解されてはならないものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32