(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】アリールアミン化合物、有機エレクトロルミネッセンス素子及び電子装置
(51)【国際特許分類】
C07D 413/12 20060101AFI20241023BHJP
C07D 413/14 20060101ALI20241023BHJP
C07D 417/12 20060101ALI20241023BHJP
C07D 417/14 20060101ALI20241023BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20241023BHJP
H10K 50/12 20230101ALI20241023BHJP
H10K 50/15 20230101ALI20241023BHJP
H10K 85/60 20230101ALI20241023BHJP
【FI】
C07D413/12
C07D413/14
C07D417/12 CSP
C07D417/14
C09K11/06 690
H10K50/12
H10K50/15
H10K85/60
(21)【出願番号】P 2023566956
(86)(22)【出願日】2022-11-28
(86)【国際出願番号】 CN2022134759
(87)【国際公開番号】W WO2024007511
(87)【国際公開日】2024-01-11
【審査請求日】2023-11-02
(31)【優先権主張番号】202210794941.1
(32)【優先日】2022-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520207310
【氏名又は名称】シャンシー ライト オプトエレクトロニクス マテリアル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Shaanxi Lighte Optoelectronics Material Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】Building 3, No. 99, Longfeng Road, High-tech Zone, Xi’an, Shaanxi Province, 710065 P.R.China
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シエンピン・シュイ
(72)【発明者】
【氏名】レイ・ヤン
【審査官】中村 政彦
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2022-0009915(KR,A)
【文献】特開2021-046389(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第113773314(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第113105420(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109761967(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 413/00
C07D 417/00
C09K 11/00
H10K 50/00
H10K 85/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1で表される構造を有することを特徴とするアリールアミン化合物、
【化1】
ここで、環Aはナフタレン環であり、
L、L
1及びL
2は、同一又は異なって、それぞれ独立に、単結合、炭素原子数6~30の置換又は非置換のアリーレン基、炭素原子数3~30の置換又は非置換のヘテロアリーレン基から選ばれ、
Ar
2は、式2で表される基であり、
【化2】
XはO又はSから選ばれ、
Ar
1、Ar
3及びAr
4は、同一又は異なって、それぞれ独立に、炭素原子数6~30の置換もしくは非置換のアリール基、炭素原子数5~30の置換もしくは非置換のヘテロアリール基から選ばれ、
L、L
1、L
2、Ar
1、Ar
3及びAr
4における置換基は、同一又は異なって、それぞれ独立に、重水素、シアノ基、ハロゲン基、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数1~10のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1~10の重水素化アルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基、炭素原子数1~10のアルキルチオ基、炭素原子数3~12のトリアルキルシリル基、トリフェニルシリル基、炭素原子数6~20のアリール基、炭素原子数3~20のヘテロアリール基又は炭素原子数3~10のシクロアルキル基から選ばれ、任意選択的に、任意の2つの隣接する置換基は、飽和又は不飽和の3~15員環を形成し、
各R
1、R
2及びR
3は、それぞれ独立に、重水素、シアノ基、ハロゲン基、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数1~10のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3~12のトリアルキルシリル基、トリフェニルシリル基、炭素原子数6~20のアリール基、炭素原子数3~20のヘテロアリール基又は炭素原子数3~10のシクロアルキル基から選ばれ、n
1は、0、1、2、3又は4から選ばれ、n
2は、0、1、2、3、4、5又は6から選ばれ、n
3は、0、1、2又は3から選ばれ、
任意選択的に、任意の2つの隣接するR
3はベンゼン環を形成する。
【請求項2】
式1は、式1-1~式1-3で表される構造から選ばれる請求項1に記載のアリールアミン化合物。
【化3】
【請求項3】
L、L
1及びL
2は、それぞれ独立に、単結合、炭素原子数6~15の置換又は非置換のアリーレン基、炭素原子数12~18の置換又は非置換のヘテロアリーレン基から選ばれ、
選択的に、前記L、L
1及びL
2における置換基は、同一又は異なって、それぞれ独立に、重水素、ハロゲン基、シアノ基、炭素原子数1-5のアルキル基、炭素原子数1-5のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1-5の重水素化アルキル基、炭素原子数3-8のトリアルキルシリル基、炭素原子数6-10のアリール基又は炭素原子数5-12のヘテロアリール基から選ばれる、請求項1又は2に記載のアリールアミン化合物。
【請求項4】
L、L
1、L
2は、それぞれ独立に、単結合、置換又は非置換のフェニレン基、置換又は非置換のナフチレン基、置換又は非置換のビフェニレン基、置換又は非置換のフルオレニリデン基、置換又は非置換のフェナントリレン基、置換又は非置換のアントリレン基、置換又は非置換のカルバゾリレン基、置換又は非置換のジベンゾチエニレン基、置換又は非置換のジベンゾフラニレンから選ばれ、
選択的に、L、L
1、L
2における置換基は、それぞれ独立に、重水素、フッ素、シアノ基、トリメチルシリル基、トリ重水素化メチル基、トリフルオロメチル基、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、フェニル基又はナフチル基から選ばれる、請求項1又は2に記載のアリールアミン化合物。
【請求項5】
Ar
1及びAr
3は、それぞれ独立に、置換又は非置換の基Wから選ばれ、非置換の基Wは、以下の基からなる群から選ばれ、
【化4】
置換の基Wは1つ又は2つ以上の置換基を有し、各置換基は独立に重水素、フッ素、シアノ基、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリフルオロメチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、アダマンチル基、フェニル基、ナフチル基、ピリジル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルバゾリル基から選ばれ、且つ基Wにおける置換基の個数が1より大きい場合、各置換基は同一又は異なっている、請求項1又は2に記載のアリールアミン化合物。
【請求項6】
Ar
4は、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のナフチル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のターフェニル基、置換もしくは非置換のフルオレニル基、置換もしくは非置換のフェナントリル基、置換もしくは非置換のピレニル基、置換もしくは非置換のトリフェニレニル基、置換もしくは非置換のジベンゾフラニル基、置換もしくは非置換のジベンゾチエニル基、置換もしくは非置換のカルバゾリル基から選ばれ、
選択的に、Ar
4における置換基は、それぞれ独立に、重水素、フッ素、シアノ基、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリ重水素化メチル基、トリフルオロメチル基、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基又はカルバゾリル基から選ばれる、請求項1又は2に記載のアリールアミン化合物。
【請求項7】
Ar
2は、以下の基から選ばれる、請求項1又は2に記載のアリールアミン化合物。
【化5】
【請求項8】
【化6】
は、以下の基から選ばれる、請求項1又は2に記載のアリールアミン化合物。
【化7】
【請求項9】
各R
1、R
2及びR
3は、同一又は異なって、それぞれ独立に、重水素、シアノ基、フッ素、トリ重水素化メチル基、トリメチルシリル基、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、フェニル基又はナフチル基から選ばれ、任意選択的に、任意の2つの隣接するR
3は、ベンゼン環を形成する、請求項1又は2に記載のアリールアミン化合物。
【請求項10】
【化8】
は以下の基から選ばれる、請求項1に記載のアリールアミン化合物。
【化9】
【請求項11】
前記アリールアミン化合物は、以下の化合物からなる群から選ばれる、請求項1に記載のアリールアミン化合物。
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【請求項12】
対向して設けられた陽極及び陰極と、前記陽極と前記陰極との間に設けられる機能層と、を備え、前記機能層は、請求項
1に記載のアリールアミン化合物を含む有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項13】
前記機能層は、前記アリールアミン化合物を含む有機発光層を含む、請求項12に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項14】
請求項
12に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を含む電子装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2022年7月7日に提出された出願番号が202210794941.1である中国特許出願の優先権を請求し、ここで、上記中国特許出願の内容全文を引用して本願の一部とする。
【技術分野】
【0002】
本願は、有機エレクトロルミネッセンス材料の技術分野に関し、特にアリールアミン化合物及びそれを含む有機エレクトロルミネッセンス素子並びに電子装置に関する。
【0003】
電子技術の発展及び材料科学の進歩に伴い、エレクトロルミネッセンス又は光電変換を実現するための電子部品の応用範囲がますます広くなっている。有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)は、通常、対向して設けられる陰極及び陽極と、陰極と陽極との間に設けられる機能層とを含む。該機能層は、複数層の有機又は無機膜層からなり、一般的に有機発光層、正孔輸送層、電子輸送層などを含む。陰極と陽極の両極に電圧を印加すると、両電極に電界が発生し、電界の作用により、陰極側の電子が電界発光層に移動し、陽極側の正孔も発光層に移動し、電子と正孔が電界発光層で結合して励起子を形成し、励起子が励起状態にあってエネルギーを外部に放出し、電界発光層が外部に発光する。
【0004】
従来の有機エレクトロルミネッセンス素子において、最も主な課題は寿命と効率に反映され、ディスプレイの大面積化に伴い、駆動電圧も上昇し、発光効率及び電流効率も向上する必要があるため、有機エレクトロルミネッセンス素子の性能をさらに向上させるために、新しい材料を開発し続ける必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術に存在する上記課題に対して、本願は、有機エレクトロルミネッセンス素子に用いられ、素子の性能を向上させることができるアリールアミン化合物、それを含む有機エレクトロルミネッセンス素子及び電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の第1の態様によれば、式1で表される構造を有するアリールアミン化合物を提供する。
【化1】
ここで、環Aはナフタレン環であり、
L、L
1及びL
2は、同一又は異なって、それぞれ独立に、単結合、炭素原子数6~30の置換又は非置換のアリーレン基、炭素原子数3~30の置換又は非置換のヘテロアリーレン基から選ばれ、
Ar
2は、式2で表される基であり、
【化2】
XはO又はSから選ばれ、
Ar
1、Ar
3及びAr
4は、同一又は異なって、それぞれ独立に、炭素原子数6~30の置換もしくは非置換のアリール基、炭素原子数5~30の置換もしくは非置換のヘテロアリール基から選ばれ、
L、L
1、L
2、Ar
1、Ar
3及びAr
4における置換基は、同一又は異なって、それぞれ独立に、重水素、シアノ基、ハロゲン基、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数1~10のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1~10の重水素化アルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基、炭素原子数1~10のアルキルチオ基、炭素原子数3~12のトリアルキルシリル基、トリフェニルシリル基、炭素原子数6~20のアリール基、炭素原子数3~20のヘテロアリール基又は炭素原子数3~10のシクロアルキル基から選ばれ、任意選択的に、任意の2つの隣接する置換基は、飽和又は不飽和の3~15員環を形成し、
各R
1、R
2及びR
3は、それぞれ独立に、重水素、シアノ基、ハロゲン基、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数1~10のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3~12のトリアルキルシリル基、トリフェニルシリル基、炭素原子数6~20のアリール基、炭素原子数3~20のヘテロアリール基又は炭素原子数3~10のシクロアルキル基から選ばれ、n
1は、0、1、2、3又は4から選ばれ、n
2は、0、1、2、3、4、5又は6から選ばれ、n
3は、0、1、2又は3から選ばれ、
任意選択的に、任意の2つの隣接するR
3はベンゼン環を形成する。
【0007】
本願の第2の態様によれば、対向して設けられた陽極及び陰極と、前記陽極と前記陰極との間に設けられた機能層と、を備え、前記機能層は、上記アリールアミン化合物を含む有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する。
【0008】
本願の第3の態様によれば、第2の態様に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を含む電子装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本願のアリールアミン化合物の構造にベンゾカルバゾリル基及びベンゾオキサゾリル基が含まれ、ベンゾカルバゾリル基は優れた正孔輸送特性を有し、ベンゾオキサゾリル基は大きな共役平面を有し、分子間のスタッキングに寄与し、本願の化合物の正孔移動度をさらに向上させることができる。トリアリールアミン系化合物は、正孔輸送型ホスト材料とする場合に酸化されてラジカルカチオンを形成し、ベンゼン環を介してアリールアミン窒素原子に直接又は間接的に連結するベンゾオキサゾリル基は、該ラジカルカチオンを安定化させ、化合物の電気化学的安定性を向上させることができる。したがって、本願化合物を混合型ホスト材料における正孔輸送型ホスト材料とする場合、有機エレクトロルミネッセンス素子の効率及び寿命を顕著に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図面は、本願のさらなる理解を提供するために用いられ、明細書の一部を構成し、以下の具体的な実施形態とともに本願を解釈するために用いられるが、本願を限定するものではない。
【
図1】本願の一実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子の構造模式図である。
【
図2】本願の一実施形態に係る電子装置の構造模式図である
。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、例示的な実施の形態について図面を参照してより詳細に説明する。しかしながら、例示的な実施の形態は、様々な形態で実施することができ、本明細書に記載された例に限定されると理解されるべきではなく、逆に、これらの実施形態を提供することにより、本願がより全面的かつ完全になり、例示的な実施の形態の構想を当業者に全面的に伝達する。説明された特徴、構造又は特性は、任意の適切な方式で1つ以上の実施形態に組み合わせることができる。以下の説明では、本願の実施形態を十分に理解するために、多くの具体的な詳細が提供される。
【0012】
第1態様において、本願は、式1で表される構造を有するアリールアミン化合物を提供する。
【化3】
ここで、環Aはナフタレン環であり、
L、L
1及びL
2は、同一又は異なって、それぞれ独立に、単結合、炭素原子数6~30の置換又は非置換のアリーレン基、炭素原子数3~30の置換又は非置換のヘテロアリーレン基から選ばれ、
Ar
2は、式2で表される基であり、
【化4】
XはO又はSから選ばれ、
Ar
1、Ar
3及びAr
4は、同一又は異なって、それぞれ独立に、炭素原子数6~30の置換もしくは非置換のアリール基、炭素原子数5~30の置換もしくは非置換のヘテロアリール基から選ばれ、
L、L
1、L
2、Ar
1、Ar
3及びAr
4における置換基は、同一又は異なって、それぞれ独立に、重水素、シアノ基、ハロゲン基、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数1~10のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1~10の重水素化アルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基、炭素原子数1~10のアルキルチオ基、炭素原子数3~12のトリアルキルシリル基、トリフェニルシリル基、炭素原子数6~20のアリール基、炭素原子数3~20のヘテロアリール基又は炭素原子数3~10のシクロアルキル基から選ばれ、任意選択的に、任意の2つの隣接する置換基は、飽和又は不飽和の3~15員環を形成し、
各R
1、R
2及びR
3は、それぞれ独立に、重水素、シアノ基、ハロゲン基、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数1~10のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3~12のトリアルキルシリル基、トリフェニルシリル基、炭素原子数6~20のアリール基、炭素原子数3~20のヘテロアリール基又は炭素原子数3~10のシクロアルキル基から選ばれ、n
1は、0、1、2、3又は4から選ばれ、n
2は、0、1、2、3、4、5又は6から選ばれ、n
3は、0、1、2又は3から選ばれ、
任意選択的に、任意の2つの隣接するR
3はベンゼン環を形成する。
【0013】
本願において、用語「任意選択」、「任意選択的に」は、その後に説明される事又は環境が発生してもしなくてもよいことを意味する。例えば、「任意選択的に、任意の2つの隣接する置換基は、飽和又は不飽和の3~15員環を形成する」ことは、任意の2つの隣接する置換基が環を形成する場合、及び、任意の2つの隣接する置換基がそれぞれ独立して存在し、環を形成しない場合を含む。「任意の2つの隣接する」ことは、同一の原子に2つの置換基を有することを含んでもよく、2つの隣接する原子にそれぞれ1つの置換基を有することを含んでもよく、中でも、同一の原子に2つの置換基を有する場合、2つの置換基は、それらが共に連結する原子と飽和又は不飽和のスピロ環を形成してもよく、2つの隣接する原子にそれぞれ1つの置換基を有する場合、この2つの置換基は縮合して環を形成してもよい。
【0014】
本願において、使用される表現「各…が独立に」、「…がそれぞれ独立に」及び「…がそれぞれ独立に」は、交換可能であり、いずれも広義に理解されるべきであり、異なる基において、同じ記号の間で表現される具体的な選択肢同士が互いに影響しないことを指してもよいし、同じ基において、同じ記号の間で表現される具体的な選択肢同士が互いに影響しないことを指してもよい。例えば、「
【化5】
」が挙げられ、ここで、各qは、独立に、0、1、2又は3であり、各R”は、独立に、水素、重水素、フッ素、塩素から選ばれ、その意味は、式Q-1はベンゼン環にq個の置換基R”があることを表し、各R”は、同じであっても異なってもよく、各R”の選択肢同士が互いに影響せず、式Q-2はビフェニルの各ベンゼン環にq個の置換基R”があることを表し、2つのベンゼン環におけるR”置換基の数qは、同じであっても異なってもよく、各R”は、同じであっても異なってもよく、各R”の選択肢同士が互いに影響しないことである。
【0015】
本願において、「置換又は非置換の」という用語は、当該用語の後に記載された官能基が置換基を有してもよく、有しなくてもよいことを意味する(以下、説明の便宜上、置換基をRcと総称する)。例えば、「置換若しくは非置換のアリール基」とは、置換基Rcを有するアリール基又は置換基を有しないアリール基を意味する。上記置換基であるRcは、例えば重水素、ハロゲン基、シアノ基、ヘテロアリール基、アリール基、トリアルキルシリル基、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、シクロアルキル基などであってもよい。置換基の数は1つでも複数でもよい。
【0016】
本願において、「複数」とは、2つ以上、例えば2つ、3つ、4つ、5つ、6つなどを意味する。
【0017】
本願において、置換又は非置換の官能基の炭素原子数は、全ての炭素原子数を意味する。
【0018】
本願の化合物の構造における水素原子は、水素元素の各種同位体原子、例えば水素(H)、重水素(D)又は三重水素(T)を含む。
【0019】
本願の化合物の構造式中の「D」は重水素化を表す。
【0020】
本願において、アリール基とは、芳香族炭素環に由来する任意の官能基又は置換基を意味する。アリール基は、単環アリール基(例えばフェニル基)であっても多環アリール基であってもよく、換言すれば、アリール基は単環アリール基、縮合環アリール基、炭素-炭素結合を介して共役結合した2つ以上の単環アリール基、炭素-炭素結合を介して共役結合した単環アリール基及び縮合環アリール基、炭素-炭素結合を介して共役結合した2つ以上の縮合環アリール基であってもよい。すなわち、特に断らない限り、炭素-炭素結合を介して共役連結した2つ以上の芳香族基も本願のアリール基と見なすことができる。中でも、縮合環アリール基は、例えば、二環縮合アリール基(例えば、ナフチル基)、三環縮合アリール基(例えば、フェナントリル基、フルオレニル基、アントリル基)などを含むことができる。アリール基には、B、N、O、S、P、Se及びSi等のヘテロ原子は含まれない。アリール基の例としては、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、スピロビフルオレニル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニル基、ターフェニル基、トリフェニレニル基(
【化6】
)、ペリレニル基、ベンゾ[9,10]フェナントリル基、ピレニル基、ベンゾフルオランテニル基、クリセニル基などを含むが、それらに限定されない。
【0021】
本願において、かかるアリーレン基とは、アリール基がさらに1つ又は複数の水素原子を失って形成される2価の基を意味する。
【0022】
本願において、ターフェニル基は、
【化7】
及び
【化8】
を含む。
【0023】
本願において、置換又は非置換のアリール基(アリーレン基)の炭素原子数は、6、8、10、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30であってもよい。いくつかの実施形態において、置換又は非置換のアリール基は、炭素原子数6~30の置換又は非置換のアリール基であり、他のいくつかの実施形態において、置換又は非置換のアリール基は、炭素原子数6~25の置換又は非置換のアリール基であり、他のいくつかの実施形態において、置換又は非置換のアリール基は、炭素原子数6~18の置換又は非置換のアリール基であり、他のいくつかの実施形態において、置換又は非置換のアリール基は、炭素原子数6~15の置換又は非置換のアリール基である。
【0024】
本願において、フルオレニル基は、1つ又は複数の置換基で置換されていてもよく、上記フルオレニル基が置換されている場合、置換されたフルオレニル基は、
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
等であってもよいが、それらに限定されない。
【0025】
本願において、L、L1、L2、Ar1、Ar3及びAr4の置換基としてのアリール基は、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、ビフェニル基、フルオレニル基、ジメチルフルオレニル基などであるが、それらに限定されない。
【0026】
本願において、ヘテロアリール基とは、環に1、2、3、4、5又は6個のヘテロ原子を含む一価の芳香環又はその誘導体を意味し、ヘテロ原子は、B、O、N、P、Si、Se及びSのうちの1種又は複数種であってもよい。ヘテロアリール基は、単環ヘテロアリール基又は多環ヘテロアリール基であってもよく、言い換えれば、ヘテロアリール基は、単一の芳香環系であってもよく、炭素-炭素結合を介して共役連結した複数の芳香環系で、且ついずれかの芳香環系は1つの芳香単環又は1つの芳香縮合環であってもよい。例示的に、ヘテロアリール基は、チエニル基、フラニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、ピリジル基、ビピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、アクリジニル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、キノリル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、フェノキサジニル基、フタラジニル基、ピリドピリミジニル基、ピリドピラジニル基、ピラジノピラジニル基、イソキノリル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、チエノチエニル基、ベンゾフラニル基、フェナントロリニル基、イソオキサゾリル基、チアジアゾリル基、フェノチアジニル基、シラフルオレニル基、ジベンゾフラニル基及びN-フェニルカルバゾリル基、N-ピリジルカルバゾリル基、N-メチルカルバゾリル基等を含んでもよく、それらに限定されない。
【0027】
本願において、かかるヘテロアリーレン基とは、ヘテロアリール基がさらに一つ又は複数の水素原子を失って形成された二価又は多価基を意味する。
【0028】
本発明において、置換又は非置換のヘテロアリール基(ヘテロアリーレン基)の炭素原子数は、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30から選ばれてもよい。いくつかの実施形態において、置換又は非置換のヘテロアリール基は、総炭素原子数12~18の置換又は非置換のヘテロアリール基であり、他のいくつかの実施形態において、置換又は非置換のヘテロアリール基は、総炭素原子数5~12の置換又は非置換のヘテロアリール基である。
【0029】
本願において、L、L1、L2、Ar1、Ar3及びAr4の置換基としてのヘテロアリール基は、例えば、ピリジル基、カルバゾリル基、ジベンゾチエニル基、ジベンゾフラニル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基であるが、それらに限定されない。
【0030】
本願において、置換ヘテロアリール基は、ヘテロアリール基における1つ又は2つ以上の水素原子が重水素原子、ハロゲン基、シアノ基、アリール基、ヘテロアリール基、トリアルキルシリル基、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン化アルキル基などの基で置換されたものであってもよい。
【0031】
本願において、炭素原子数1~10のアルキル基は、炭素原子数1から10の直鎖アルキル基及び炭素原子数3から10の分岐鎖アルキル基を含んでもよい。アルキル基の炭素原子数は、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10であってもよく、アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基等を含むが、それらに限定されない。
【0032】
本願において、ハロゲン基は、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素であってもよい。
【0033】
本願において、トリアルキルシリル基の具体例は、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基などを含むが、それらに限定されない。
【0034】
本願において、ハロゲン化アルキル基の具体例は、トリフルオロメチル基を含むが、それに限定されない。
【0035】
本願において、炭素原子数3~10のシクロアルキル基の炭素原子数は、例えば、3、4、5、6、7、8又は10であってもよい。シクロアルキル基の具体例は、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基を含むが、それらに限定されない。
【0036】
本願において、炭素原子数1~10の重水素化アルキル基の炭素原子数は、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8又は10である。重水素化アルキル基の具体例は、トリ重水素化メチル基を含むが、それに限定されない。
【0037】
本願において、炭素原子数1~10のハロゲン化アルキル基の炭素原子数は、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8又は10である。ハロゲン化アルキル基の具体例は、トリフルオロメチル基を含むが、それに限定されない。
【0038】
本願において、n個の原子が形成する環系は、すなわちn員環である。例えば、フェニル基は6員環である。3~15員環とは、3~15個の環原子を有する環状基を意味する。3~15員環は、例えば、シクロペンタン、シクロヘキサン、フルオレン環、ベンゼン環等である。
【0039】
本願において、
【化13】
とは、他の基と互いに連結する化学結合を意味する。
【0040】
本願において、非局在結合手に係る環系から延出する単結合「
【化14】
」は、該結合手の一端が、該結合が貫通する環系における任意の位置に連結でき、他端が化合物分子の残りの部分に連結することを示す。例を挙げると、下記式(f)に示すように、式(f)で表されるナフチル基は、二重環を貫通する二つの非局在結合手を介して分子の他の位置に連結され、それが表す意味は、式(f-1)~式(f-10)で表されるいずれかの可能な連結方式を含む。
【化15】
【0041】
別の例を挙げると、下記式(X’)に示すように、式(X’)で表されるジベンゾフラニル基は、一方のベンゼン環の中央から延出する非局在結合手を介して分子の他の位置に連結され、それが表す意味は、式(X’-1)~式(X’-4)で表されるいずれかの可能な連結方式を含む。
【化16】
【0042】
本願における非局在置換基とは、環系の中央から延在する単結合を介して連結される置換基を意味し、該置換基が該環系における任意の可能な位置に連結されてもよいことを示す。例えば、下記式(Y)に示すように、式(Y)で表される置換基R’は、一つの非局在結合手を介してキノリン環に連結され、それが表す意味は、式(Y-1)~式(Y-7)で表されるいずれかの可能な連結方式を含む。
【化17】
【0043】
いくつかの実施形態において、式1は、具体的に、式1-1~式1-3で表される構造から選ばれる。
【化18】
上記式1-1~式1-3において、各記号の定義は式1と同じである。
式1-2又は1-3で表される構造を有する化合物は、作動電圧がより低くなる。
【0044】
いくつかの実施形態において、式1で表される化合物は、以下の式1-4~式1-31で表される構造を有する。
【化19】
【化20】
上記式1-4~式1-31において、各記号の定義は式1と同じである。
【0045】
いくつかの実施形態において、L、L1及びL2は、それぞれ独立に、単結合、炭素原子数6~15の置換又は非置換のアリーレン基、炭素原子数12~18の置換又は非置換のヘテロアリーレン基から選ばれる。
【0046】
いくつかの実施形態において、L、L1及びL2は、それぞれ独立に、単結合、炭素原子数6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15の置換又は非置換のアリーレン基、炭素原子数12、13、14、15、16、17又は18の置換又は非置換のヘテロアリーレン基から選ばれる。
【0047】
選択的に、前記L、L1及びL2における置換基は、同一又は異なって、それぞれ独立に、重水素、ハロゲン基、シアノ基、炭素原子数1-5のアルキル基、炭素原子数1-5のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1-5の重水素化アルキル基、炭素原子数3-8のトリアルキルシリル基、炭素原子数6-10のアリール基又は炭素原子数5-12のヘテロアリール基から選ばれる。
【0048】
いくつかの実施形態において、L、L1、L2は、それぞれ独立に、単結合、置換又は非置換のフェニレン基、置換又は非置換のナフチレン基、置換又は非置換のビフェニレン基、置換又は非置換のフルオレニリデン基、置換又は非置換のフェナントリレン基、置換又は非置換のアントリレン基、置換又は非置換のカルバゾリレン基(carbazolylene)、置換又は非置換のジベンゾチエニレン基(dibenzothienylene)、置換又は非置換のジベンゾフラニレン基(dibenzofuranylene)から選ばれる。
【0049】
選択的に、L、L1、L2における置換基は、それぞれ独立に、重水素、フッ素、シアノ基、トリメチルシリル基、トリ重水素化メチル基、トリフルオロメチル基、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、フェニル基又はナフチル基から選ばれる。
【0050】
いくつかの実施形態において、L及びL1は、それぞれ独立に、単結合、フェニレン基、重水素化フェニレン基、又はナフチレン基から選ばれる。
【0051】
いくつかの実施形態において、L及びL
1は、それぞれ独立に、単結合又は以下の基から選ばれる。
【化21】
【0052】
いくつかの実施形態において、L2は、単結合、置換もしくは非置換のフェニレン基、置換もしくは非置換のナフチレン基、置換もしくは非置換のビフェニレン基、置換又は非置換のカルバゾリレン基、置換又は非置換のジベンゾチエニレン基、置換又は非置換のジベンゾフラニレン基から選ばれる。
【0053】
選択的に、L2における置換基はそれぞれ独立に、重水素、フッ素、シアノ基、トリメチルシリル基、トリ重水素化メチル基、トリフルオロメチル基、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基又はフェニル基から選ばれる。
【0054】
いくつかの実施形態において、L
2は、単結合又は以下の基から選ばれる。
【化22】
【0055】
いくつかの実施形態において、Ar1、Ar3及びAr4は、それぞれ独立に、炭素原子数6~25の置換又は非置換のアリール基、炭素原子数7~20の置換又は非置換のヘテロアリール基から選ばれる。
【0056】
いくつかの実施形態において、Ar1、Ar3及びAr4は、それぞれ独立に、炭素原子数6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又は25の置換又は非置換のアリール基、炭素原子数7、8、9、10、12、13、14、15、16、17、18、19又は20の置換又は非置換のヘテロアリール基から選ばれる。
【0057】
いくつかの実施形態において、Ar1、Ar3及びAr4における置換基は、それぞれ独立に、重水素、ハロゲン基、シアノ基、炭素原子数1~4のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1~4の重水素化アルキル基、炭素原子数1~4のアルキル基、炭素原子数5~10のシクロアルキル基、炭素原子数6~12のアリール基、炭素原子数5~12のヘテロアリール基、炭素原子数3~8のトリアルキルシリル基から選ばれ、任意選択的に、任意の2つの隣接する置換基はベンゼン環又はフルオレン環を形成する。
【0058】
いくつかの実施形態において、Ar
1及びAr
3は、それぞれ独立に、置換又は非置換の基Wから選ばれ、非置換の基Wは、以下の基からなる群から選ばれる。
【化23】
置換の基Wは1つ又は2つ以上の置換基を有し、各置換基は独立に重水素、フッ素、シアノ基、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリフルオロメチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、アダマンチル基、フェニル基、ナフチル基、ピリジル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルバゾリル基から選ばれ、且つ基Wにおける置換基の個数が1より大きい場合、各置換基は同一又は異なっている。
【0059】
いくつかの実施形態において、Ar1は、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のナフチル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のターフェニル基、置換もしくは非置換のフルオレニル基、置換もしくは非置換のジベンゾフラニル基、置換もしくは非置換のジベンゾチエニル基、置換もしくは非置換のカルバゾリル基から選ばれる。
【0060】
選択的に、Ar1における置換基は、それぞれ独立に、重水素、フッ素、シアノ基、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリ重水素化メチル基、トリフルオロメチル基、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、フェニル基、ナフチル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基又はカルバゾリル基から選ばれる。
【0061】
いくつかの実施形態において、Ar
1は、以下の基から選ばれる。
【化24】
【0062】
いくつかの実施形態において、Ar
1及びAr
3は、それぞれ独立に、以下の基から選ばれる。
【化25】
【0063】
いくつかの実施形態において、Ar4は、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のナフチル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のターフェニル基、置換もしくは非置換のフルオレニル基、置換もしくは非置換のフェナントリル基、置換もしくは非置換のピレニル基、置換もしくは非置換のトリフェニレニル基、置換もしくは非置換のジベンゾフラニル基、置換もしくは非置換のジベンゾチエニル基、置換もしくは非置換のカルバゾリル基から選ばれる。
【0064】
選択的に、Ar4における置換基は、それぞれ独立に、重水素、フッ素、シアノ基、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリ重水素化メチル基、トリフルオロメチル基、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基又はカルバゾリル基から選ばれる。
【0065】
いくつかの実施形態において、Ar
4は、以下の基から選ばれる。
【化26】
【0066】
いくつかの実施形態において、Ar
2は、以下の基から選ばれる。
【化27】
【0067】
いくつかの実施形態において、Ar
2は、以下の基から選ばれる。
【化28】
【0068】
いくつかの実施形態において、
【化29】
は、以下の基から選ばれる。
【化30】
【0069】
いくつかの実施形態において、各R1、R2及びR3は、同一又は異なって、それぞれ独立に、重水素、シアノ基、フッ素、トリ重水素化メチル基、トリメチルシリル基、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、フェニル基又はナフチル基から選ばれ、任意選択的に、任意の2つの隣接するR3は、ベンゼン環を形成する。
【0070】
いくつかの実施形態において、
【化31】
は、以下の基から選ばれる。
【化32】
【0071】
いくつかの実施形態において、前記アリールアミン化合物は、以下の化合物からなる群から選ばれる。
【化33】
【化34】
【化35】
【化36】
【化37】
【化38】
【化39】
【化40】
【化41】
【化42】
【化43】
【化44】
【化45】
【0072】
第2態様において、本願は、陽極と、陰極と、陽極と陰極との間に設けられる機能層と、を備え、機能層は、本願の第1態様に記載のアリールアミン化合物を含む有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する。
【0073】
本願で提供されるアリールアミン化合物は、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光効率及び寿命などの特性を改善するために、機能層における少なくとも1つの有機膜層を形成するために用いることができる。
【0074】
選択的に、前記機能層は、前記アリールアミン化合物を含む有機発光層を含む。ここで、有機発光層は、本願で提供されるアリールアミン化合物によって構成されてもよく、本願で提供されるアリールアミン化合物と他の材料とによって共同で構成されてもよい。
【0075】
選択的に、前記機能層は、前記陽極と有機発光層との間に位置する正孔輸送層(第1正孔輸送層とも呼ばれる)と、前記正孔輸送層と有機発光層との間に位置する正孔調整層(第2正孔輸送層とも呼ばれる)とをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記正孔調整層は、本願で提供されるアリールアミン化合物、又は本願で提供されるアリールアミン化合物と他の材料とによって共同で構成される。
【0076】
1つの具体的な実施形態によれば、前記有機エレクトロルミネッセンス素子は、
図1に示すように、順に積層して設置された陽極100、正孔注入層310、正孔輸送層321、正孔調整層322、有機発光層330、電子輸送層340、電子注入層350及び陰極200を含む。
【0077】
本願において、陽極100は陽極材料を含み、好ましくは、正孔が機能層に注入されることに寄与する大きな仕事関数(work function)を有する材料である。陽極材料の具体例は、ニッケル、白金、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、金といった金属又はこれらの合金、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)といった金属酸化物、ZnO:Al、SnO2:Sbといった組み合わせた金属及び酸化物、ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリ[3,4-(エチリデン-1,2-ジオキシ)チオフェン](PEDT)、ポリピロール、ポリアニリンといった導電性ポリマーを含むが、それらに限定されない。好ましくは、陽極として酸化インジウムスズ(インジウムスズ酸化物、indium tin oxide)(ITO)を含む透明電極を含む。
【0078】
本願において、正孔輸送層、正孔調整層は、それぞれ1種又は複数種の正孔輸送材料を含んでもよく、正孔輸送層材料は、カルバゾール多量体、カルバゾール連結トリアリールアミン系化合物又は他のタイプの化合物から選ばれてもよく、具体的には、以下に示す化合物又はその任意の組み合わせから選ばれてもよい。
【化46】
【0079】
一実施形態において、正孔輸送層321は、α-NPDによって構成される。
【0080】
一実施形態において、正孔調整層322は、HT-1によって構成される。
【0081】
選択的に、陽極100と正孔輸送層321との間に正孔注入層310がさらに設けられ、正孔輸送層321への正孔注入能力を高める。正孔注入層310は、ベンジジン誘導体、スターバースト型アリールアミン系化合物、フタロシアニン誘導体、又は他の材料を用いることができ、本願では特に限定されない。前記正孔注入層310の材料は、例えば、以下の化合物又はそれらの任意の組み合わせから選ばれる。
【化47】
【0082】
本願の一実施形態において、正孔注入層310はPDによって構成される。
【0083】
選択的に、有機発光層330は、単一の発光材料によって構成されてもよいし、ホスト材料とゲスト材料とを含んでもよい。選択的に、有機発光層330は、ホスト材料とゲスト材料とによって構成され、有機発光層330に注入された正孔と有機発光層330に注入された電子とが有機発光層330で再結合して励起子を形成し、励起子がエネルギーをホスト材料に伝達し、ホスト材料がエネルギーをゲスト材料に伝達することにより、ゲスト材料が発光することができる。
【0084】
有機発光層330のホスト材料は、金属キレート系化合物、ビススチリル誘導体、芳香族アミン誘導体、ジベンゾフラン誘導体又はその他のタイプの材料を含んでもよい。有機発光層330のホスト材料は、1種の化合物でもよいし、2種又は複数種の化合物の組み合わせでもよい。選択的に、前記ホスト材料は、本発明のアリールアミン化合物を含む。
【0085】
有機発光層330のゲスト材料は、縮合アリール環を有する化合物又はその誘導体、ヘテロアリール環を有する化合物又はその誘導体、芳香族アミン誘導体又は他の材料であってもよく、本願では特に限定されない。ゲスト材料は、ドープ材料又はドーパントとも呼ばれる。発光タイプによって、蛍光ドーパントと燐光ドーパントに分けることができる。前記燐光ドーパントの具体例は、
【化48】
を含むが、それらに限定されない。
【0086】
本願の一実施形態において、前記有機エレクトロルミネッセンス素子は、赤色有機エレクトロルミネッセンス素子である。より具体的な一実施形態において、有機発光層330のホスト材料は、本願のアリールアミン化合物を含む。ゲスト材料は、例えば、RD-1であってよい。
【0087】
電子輸送層340は、単層構造であっても多層構造であってもよく、1種又は複数種の電子輸送材料を含んでもよく、電子輸送材料は、LiQ、ベンゾイミダゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、キノキサリン誘導体又は他の電子輸送材料から選ばれてもよいが、それらに限定されない。前記電子輸送層340の材料は、以下の化合物を含むが、それらに限定されない。
【化49】
【0088】
本願の一実施形態において、電子輸送層340は、ET-1とLiQとによって構成される。
【0089】
本願において、陰極200は、機能層への電子注入に寄与する小さな仕事関数を有する材料である陰極材料を含む。陰極材料の具体例は、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタン、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、スズ、鉛といった金属又はこれらの合金、LiF/Al、Liq/Al、LiO2/Al、LiF/Ca、LiF/Al及びBaF2/Caといった多層材料を含むが、それらに限定されない。選択的に、マグネシウムと銀を含む金属電極を陰極として含む。
【0090】
選択的に、陰極200と電子輸送層340との間に電子注入層350がさらに設けられ、電子輸送層340への電子注入能力を向上させる。電子注入層350は、アルカリ金属硫化物、アルカリ金属ハロゲン化物等の無機材料を含んでいてもよく、或いは、アルカリ金属と有機物との錯体を含んでいてもよい。本願の一実施形態において、電子注入層350は、イッテルビウム(Yb)を含む。
【0091】
本願の第3の態様は、本願の第2の態様に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を含む電子装置を提供する。
【0092】
一実施形態によれば、
図2に示すように、提供される電子装置は、上記有機エレクトロルミネッセンス素子を含む電子装置400である。電子装置400は、例えば、表示装置、照明装置、光通信装置又は他のタイプの電子装置であってもよく、例えば、コンピュータスクリーン、携帯電話スクリーン、テレビ、電子ペーパー、緊急用照明灯、光モジュールなどを含んでもよいが、それらに限定されない。
【0093】
以下、合成実施例を組み合わせて本発明のアリールアミン化合物の合成方法を具体的に説明するが、本願はこれに限定されない。
【0094】
合成実施例
当業者であれば、本願に記載の化学反応は、多くの本願のアリールアミン化合物を適切に製造するために使用でき、本願の化合物を製造するための他の方法は、本発明の範囲内にあると認識すべきである。例えば、本願による例示的でない化合物の合成は、当業者によって修飾方法、例えば、適切な保護干渉基によって、他の既知の試薬を利用することによって、本発明に記載されている以外に、又は反応条件に対していくつかの常法の修正を行うことによって、成功に完成され得る。本発明に記載されていない合成方法の化合物は、いずれも商業的に得られる原料製品である。
【0095】
【0096】
窒素雰囲気下で、500mLの三口フラスコに、7-ブロモ-2-フェニルベンゾオキサゾール(13.71g、50mmol)、3-クロロフェニルボロン酸(8.60g、55mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.58g、0.5mmol)、テトラブチルアンモニウムブロミド(1.61g、5mmol)、無水炭酸カリウム(13.82g、100mmol)、トルエン(140mL)、無水エタノール(35mL)及び脱イオン水(35mL)を順に添加し、撹拌及び加熱を開始し、還流するまで昇温して16h反応させた。反応系を室温まで冷却した後、ジクロロメタン(100mL×3回)で抽出し、有機相を合わせて無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した後、減圧蒸留して溶媒を除去し、粗生成物を得た。粗生成物を、n-ヘプタンを移動相としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、白色固体Sub-a1(12.53g、収率82%)を得た。
【0097】
7-ブロモ-2-フェニルベンゾオキサゾールの代わりに表1に示す反応物Aを用い、3-クロロフェニルボロン酸の代わりに反応物Bを用いた以外、Sub-a1の調製方法を参照してSub-a2からSub-a7を合成した。
【0098】
【0099】
【0100】
窒素雰囲気下、250mLの三口フラスコに9-ブロモ-11H-ベンゾ[A]カルバゾール(14.81g、50mmol)、4-ヨードビフェニル(16.81g、60mmol)、ヨウ化銅(I)(1.90g、10mmol)、18-クラウンエーテル-6(1.32g、5mmol)、1,10-フェナントロリン(3.96g、20mmol)、炭酸カリウム(15.20g、110mmol)及びN,N-ジメチルホルムアミド(150mL)を順に添加し、還流するまで昇温し、一晩撹拌し、反応系が室温まで降温した後、反応液を250mL脱イオン水に入れ、吸引ろ過してケーキを収集し、ケーキをジクロロメタンで溶解し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した後、減圧蒸留して溶媒を除去し、粗生成物を得た。粗生成物を、n-ヘプタン/ジクロロメタンを移動相としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、白色固体Sub-b1(18.45g、収率65%)を得た。
【0101】
9-ブロモ-11H-ベンゾ[A]カルバゾールの代わりに表2に示す反応物Cを用い、4-ヨードビフェニルの代わりに反応物Dを用いた以外、Sub-b1の調製方法を参照してSub-b2からSub-b9を合成した。
【0102】
【0103】
【0104】
窒素雰囲気下で、100mLの三口フラスコに、RM-1(CAS:1374003-98-1、9.31g、25mmol)と200mLベンゼン-D6を加え、60℃に昇温した後、トリフルオロメタンスルホン酸(22.51g、150mmol)を加え、引き続き沸騰まで昇温し、24時間撹拌する。反応系が室温まで冷却した後、50mLの重水を加え、10分間撹拌した後、飽和K3PO4水溶液を加えて反応液を中和する。ジクロロメタンで有機層を抽出し(50mL×3回)、有機相を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した後、減圧蒸留して溶媒を除去し、粗生成物を得た。粗生成物を、n-ヘプタン/ジクロロメタンを移動相としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、白色固体Sub-b10(6.10g、収率64%)を得た。
【0105】
RM-1の代わりに表2に示す反応物Eを用いた以外、Sub-b10の調製方法を参照してSub-b11を合成した。
【0106】
【0107】
【0108】
窒素雰囲気下で、250mLの三口フラスコに、Sub-a1(15.28g、50mmol)、4-ベンジジン(8.46g、50mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.916g、1mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィン-2’,4’,6’トリイソプロピルビフェニル(XPhos、0.95g、2mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド(9.61g、100mmol)及びトルエン(150mL)を順に添加し、還流するまで昇温し、撹拌しながら一晩反応させ、反応系が室温まで降温した後、反応液を250mLの脱イオン水に入れ、30min十分に撹拌し、吸引ろ過し、ケーキを脱イオン水で中性までリンスし、さらに無水エタノールでリンスし(100mL)、ケーキを収集してトルエンで再結晶させた後、灰色緑色固体Sub-c1(17.10g、収率78%)を得た。
【0109】
Sub-a1の代わりに表3に示す反応物Fを用い、4-ベンジジンの代わりに反応物Gを用いた以外、Sub-c1の調製方法を参照してSub-c2からSub-c37を合成した。
【0110】
【0111】
【0112】
窒素雰囲気下で、250mLの三口フラスコにSub-c1(10.96g、25mmol)、5-ブロモ-7-フェニル-7H-ベンゾ[c]カルバゾール(10.24g、27.5mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.46g、0.5mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィン-2’,6’-ジメトキシビフェニル(Sphos、0.41g、1mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド(4.80g、50mmol)及びキシレン(xylene、100mL)を順に添加し、還流するまで昇温し、撹拌しながら一晩反応させた。反応系が室温まで冷却した後、ジクロロメタンで抽出し(100mL×3回)、有機相を合わせて無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、ろ過してから溶媒を減圧留去し、粗生成物を得た。粗生成物を、n-ヘプタンを移動相としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、m/z=730.3[M+H]+の白色固体化合物5(11.50g、収率63%)を得た。
【0113】
Sub-c1の代わりに表4に示す反応物Hを用い、5-ブロモ-7-フェニル-7H-ベンゾ[c]カルバゾールの代わりに反応物Jを用いた以外、化合物5の調製方法を参照して、表4の本願の化合物を合成した。
【0114】
【0115】
【0116】
有機エレクトロルミネッセンス素子の製造及び評価
実施例1:赤色有機エレクトロルミネッセンス素子の製造
まず、厚さが順に100Å、1000Å、100ÅであるITO/Ag/ITO基板に、紫外線オゾン及びO2:N2プラズマを利用して表面処理を行い、陽極の仕事関数を増加させ、有機溶剤を用いてITO基板の表面を洗浄し、ITO基板の表面の不純物及び油汚れを除去する過程によって陽極前処理を行った。
実験基板(陽極)上にPDを真空蒸着して厚さ100Åの正孔注入層(HIL)を形成し、その後正孔注入層上にα-NPDを真空蒸着して厚さ1080Åの正孔輸送層を形成した。
正孔輸送層上に化合物HT-1を真空蒸着し、厚さ690Åの正孔調整層を形成した。
次に、正孔調整層上に、化合物5:RH-N:RD-1を49%:49%:2%の質量割合で共蒸着して厚さ400Åの赤色発光層(EML)を形成した。
発光層上に、化合物ET-1とLiQを重量比1:1で混合して厚さ350Åの電子輸送層(ETL)を蒸着形成し、Ybを電子輸送層上に蒸着して厚さ10Åの電子注入層(EIL)を形成した後、マグネシウム(Mg)と銀(Ag)を蒸着レート1:9で混合し、電子注入層上に真空蒸着して厚さ130Åの陰極を形成した。
また、上記陰極上にCP-1を真空蒸着して厚さ820Åのカバー層を形成し、赤色有機エレクトロルミネッセンス素子の製造を完了した。
【0117】
実施例2~44
発光層の作製において、実施例1の化合物5の代わりに、下記表5に示す化合物Xを用いた以外、実施例1と同様の方法で有機エレクトロルミネッセンス素子を製造した。
【0118】
比較例1~4
発光層の作製において、実施例1の化合物5の代わりに、それぞれ化合物A、化合物B、化合物C及び化合物Dを用いた以外、実施例1と同様の方法で有機エレクトロルミネッセンス素子を製造した。
【0119】
ここで、実施例及び比較例で用いた化合物の構造は以下の通りである。
【化55】
【0120】
実施例1~44及び比較例1~4で製造された赤色有機エレクトロルミネッセンス素子に対して性能試験を行い、具体的には、10mA/cm2の条件で素子のIVL性能を試験し、T95素子の寿命について20mA/cm2の条件で試験し、試験結果を表5に示す。
【0121】
【0122】
上記表5を参照すると、比較例1~4と比較して、本発明の化合物を赤色有機エレクトロルミネッセンス素子のホスト材料として用いる場合、作動電圧が少なくとも0.1V低下し、効率が少なくとも11.6%向上し、寿命が少なくとも15.13%向上した。
【0123】
本願のアリールアミン化合物の構造にベンゾカルバゾリル基及びベンゾオキサゾリル基が含まれ、ベンゾカルバゾリル基は優れた正孔輸送特性を有し、ベンゾオキサゾリル基は大きな共役平面を有し、分子間のスタッキングに寄与し、本願の化合物の正孔移動度をさらに向上させることができる。トリアリールアミン系化合物は、正孔輸送型ホスト材料とする場合に酸化されてラジカルカチオンを形成し、ベンゼン環を介してアリールアミン窒素原子に直接又は間接的に連結するベンゾオキサゾリル基は、該ラジカルカチオンを安定化させ、化合物の電気化学的安定性を向上させることができる。したがって、本願化合物を混合型ホスト材料における正孔輸送型ホスト材料とする場合、素子の効率及び寿命を顕著に向上させることができる。
【0124】
以上、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態の具体的な詳細に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内において、本発明の技術方案について様々な簡単な変形が可能であり、これらの簡単な変形はいずれも本発明の保護範囲に属する。
【符号の説明】
【0125】
100 陽極
200 陰極
300 機能層
310 正孔注入層
321 正孔輸送層
322 正孔調整層
330 有機発光層
340 電子輸送層
350 電子注入層
400 電子装置