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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】ノズル及び害虫駆除用エアゾール製品
(51)【国際特許分類】
   A01M 7/00 20060101AFI20241023BHJP
   B05B 9/04 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
A01M7/00 S
B05B9/04
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2024076255
(22)【出願日】2024-05-09
【審査請求日】2024-05-09
(31)【優先権主張番号】P 2023139508
(32)【優先日】2023-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523330260
【氏名又は名称】本間 創
(74)【代理人】
【識別番号】110003890
【氏名又は名称】弁理士法人SIPPs
(72)【発明者】
【氏名】本間 創
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-077865(JP,U)
【文献】特開平10-191861(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/00 - 99/00
B05B 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
害虫駆除用エアゾール製品に取付けて用いられるノズルであって、
中空円柱部と、中空略円錐部と、を有し、
前記中空円柱部は、全長が10~100cm、かつ、内径が1~10mmであり、
前記中空円柱部は、一方の端部が前記害虫駆除用エアゾール製品と、他端が前記中空略円錐部と、それぞれ接続され、
前記中空略円錐部は、前記中空円柱部との接続部分から前記ノズルの端部に向けて内径が大きくなり、
前記中空略円錐部は、前記中空円柱部とは反対側の端部に、略円錐の底面に略平行なツバを有し、
前記ノズルの端部における前記中空略円錐部の内径は35~50mmであり、前記中空略円錐部の高さは3~10cmである、ノズル。
【請求項2】
害虫駆除用エアゾール製品に取付けて用いられるノズルであって、
中空円柱部と、中空略円錐部と、を有し、
前記中空略円錐部は、前記中空円柱部側に位置する接続部と、前記ノズルの端部側に位置する先端部と、を有し、
前記中空円柱部は、全長が40~100cm、かつ、内径が1~10mmであり、
前記中空円柱部は、一方の端部が前記害虫駆除用エアゾール製品と、他端が前記接続部と、それぞれ接続され、
前記中空略円錐部は、前記中空円柱部との接続部分から前記ノズルの端部に向けて内径が大きくなり、
前記中空略円錐部は、前記中空円柱部とは反対側の端部に、略円錐の底面に略平行なツバを有し、
前記接続部は、内径が、前記中空円柱部との接続部分から前記先端部との接続部分に向けて、連続的に同じ変化幅で直線的に大きくなり、全長が2~5cmであり、かつ、前記先端部との接続部分の内径が5~15mmであり、
前記先端部は、内径が、前記接続部との接続部分から前記ノズルの端部に向けて、連続的に同じ変化幅で直線的に大きくなり、前記変化幅は、前記接続部における前記変化幅よりも大きく、高さが2~8cmであり、かつ、前記ノズルの端部における内径が35~60mmである、ノズル。
【請求項3】
前記中空略円錐部の高さは4~10cmである、請求項2に記載のノズル。
【請求項4】
殺虫有効成分、溶剤、及び噴射剤を含む殺虫組成物が収容されたエアゾール容器を備える害虫駆除用エアゾール製品であって、
前記害虫駆除用エアゾール製品はさらに、前記エアゾール容器内の前記殺虫組成物を噴射するための噴射ボタンと、前記殺虫組成物が吐出される噴射口と、前記噴射口に接続されるノズルと、を有し、
前記ノズルは請求項1~3のいずれか1項に記載のノズルである、害虫駆除用エアゾール製品。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はノズル及び上記ノズルを有する害虫駆除用エアゾール製品に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴキブリのような害虫を駆除するための装置として、各社から様々なエアゾール製品が販売されている。それらエアゾール製品は、噴射口から直接、又は、ストローのようなノズルを噴射口に接続して、殺虫組成物を噴射することにより害虫を駆除する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-191861号公報
【文献】実願昭62-173476号(実開平1-77865号)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなエアゾール製品を用いると、噴射された殺虫組成物が空間内に拡散する。その結果、殺虫組成物の臭いにより使用者は不快感を避けられない。また、殺虫組成物中に含まれる成分によっては人体への影響も懸念される。
【0005】
また、エアゾール製品に接続するノズルの態様として、特許文献1や2に開示されたものが挙げられるが、これらは害虫をノズル内に捕獲した上で、エアゾール製品を噴射し、駆除することを前提としている。しかしながら、害虫の動く速度や外界の認識速度等を鑑みると、害虫を捕獲した上で駆除するには高度な技術が必要であり、また、害虫が手の届かない場所や狭い場所に居る場合に適用することは困難である。
【0006】
そこで本発明は、使用者側への殺虫組成物の拡散が軽減された害虫駆除用エアゾール製品とするためのノズルの提供、及び、使用者側への殺虫組成物の拡散が軽減された害虫駆除用エアゾール製品の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者が鋭意検討を行った結果、ノズルの先端を特定の中空略円錐形状とすることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明の要旨は以下のとおりである。
[1] 害虫駆除用エアゾール製品に取付けて用いられるノズルであって、
中空円柱部と、中空略円錐部と、を有し、
前記中空円柱部は、全長が10~100cm、かつ、内径が1~10mmであり、
前記中空円柱部は、一方の端部が前記害虫駆除用エアゾール製品と、他端が前記中空略円錐部と、それぞれ接続され、
前記中空略円錐部は、前記中空円柱部との接続部分から前記ノズルの端部に向けて内径が大きくなり、
前記ノズルの端部における前記中空略円錐部の内径は35~50mmであり、前記中空略円錐部の高さは3~10cmである、ノズル。
[2] 害虫駆除用エアゾール製品に取付けて用いられるノズルであって、
中空円柱部と、中空略円錐部と、を有し、
前記中空略円錐部は、前記中空円柱部側に位置する接続部と、前記ノズルの端部側に位置する先端部と、を有し、
前記中空円柱部は、全長が40~100cm、かつ、内径が1~10mmであり、
前記中空円柱部は、一方の端部が前記害虫駆除用エアゾール製品と、他端が前記接続部と、それぞれ接続され、
前記中空略円錐部は、前記中空円柱部との接続部分から前記ノズルの端部に向けて内径が大きくなり、
前記接続部は、内径が、前記中空円柱部との接続部分から前記先端部との接続部分に向けて、連続的に同じ変化幅で直線的に大きくなり、全長が2~5cmであり、かつ、前記先端部との接続部分の内径が5~15mmであり、
前記先端部は、内径が、前記接続部との接続部分から前記ノズルの端部に向けて、連続的に同じ変化幅で直線的に大きくなり、前記変化幅は、前記接続部における前記変化幅よりも大きく、高さが2~8cmであり、かつ、前記ノズルの端部における内径が35~60mmである、ノズル。
[3] 前記中空略円錐部の高さは4~10cmである、前記[2]に記載のノズル。
[4] 前記中空略円錐部は、前記中空円柱部とは反対側の端部に、略円錐の底面に略平行なツバを有する、前記[1]~[3]のいずれか1に記載のノズル。
[5] 殺虫有効成分、溶剤、及び噴射剤を含む殺虫組成物が収容されたエアゾール容器を備える害虫駆除用エアゾール製品であって、
前記害虫駆除用エアゾール製品はさらに、前記エアゾール容器内の前記殺虫組成物を噴射するための噴射ボタンと、前記殺虫組成物が吐出される噴射口と、前記噴射口に接続されるノズルと、を有し、
前記ノズルは前記[1]~[3]のいずれか1に記載のノズルである、害虫駆除用エアゾール製品。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、使用者側への殺虫組成物の拡散が軽減された害虫駆除用エアゾール製品を提供できる。そのため、殺虫組成物の臭いによる使用者の不快感を低減できる。また、殺虫組成物中に含まれる成分による人体への影響も低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施形態に係るノズルを説明するための概略図である。
図2図2は、例4のノズルにおける中空略円錐部の概略図である。
図3図3は、例5のノズルにおける中空略円錐部の概略図である。
図4図4は、例6のノズルにおける中空略円錐部の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施できる。また、数値範囲を示す「~」とは、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
【0012】
《ノズル》
本実施形態に係るノズルは害虫駆除用エアゾール製品に取付けて用いられる。
図1に示すように、上記ノズル10は中空円柱部12と、中空略円錐部11と、を有し、中空円柱部12は、全長lが10~100cm、かつ、内径dが1~10mmである。この中空円柱部12の一方の端部は害虫駆除用エアゾール製品(図示せず)と接続され、他端は中空略円錐部11と接続される。
【0013】
上記中空略円錐部11は、中空円柱部12との接続部分からノズル10の端部に向けて内径が大きくなるように、中空円柱部12と接続している。ノズル10の端部における中空略円錐部11の内径は35~60mmであり、35~50mmが好ましい。
【0014】
〈中空略円錐部〉
ノズル10における中空略円錐部11は、円錐の頂点部分が中空円柱部12と接続された中空状である。略円錐とは、中空円柱部12との接続部における内径dよりも、ノズル10の端部における内径Dの方が大きい形状であればよい。
ここで、上記内径dから内径Dまでの内径の大きくなる態様は特に限定されない。例えば図1のように、内径が増加する領域のみからなってもよい。また、内径が増加する領域の他に、内径が変化しない領域及び内径が減少する領域の少なくとも一方をさらに有していてもよい。内径が増加する領域における内径の増加率は一定でも変化してもよい。
また、略円錐の底面の形状は円形状、楕円形状に加え、略多角形状も含む。また、中空略円錐部11の中空円柱部12との接続部の形状と、略円錐の底面の形状とが異なる場合、すなわち相似形でない場合には、内径が変化する領域において、その形状を変化させる。
【0015】
本実施形態に係るノズル10は、上記形状の中空略円錐部11を有することにより、ノズル10が接続された害虫駆除用エアゾール製品に含まれる殺虫組成物の使用者側への拡散を軽減できる。
【0016】
本実施形態に係るノズル10の端部における中空略円錐部11の内径Dは35~60mmである。
上記内径Dを35mm以上とすることで、ノズル10が接続された害虫駆除用エアゾール製品に含まれる殺虫組成物の噴霧の勢いが緩和され、中空略円錐部11内に殺虫組成物が滞留して、殺虫組成物の使用者側への拡散を軽減できる。かかる観点から、上記内径Dは35mm以上であり、40mm以上が好ましく、44mm以上でもよく、50mm以上でもよい。
一方で、上記内径Dを60mm以下とすることで、ノズル10が接続された害虫駆除用エアゾール製品に含まれる殺虫組成物を、害虫に対して集中的に噴射できるため、殺虫性に優れる。また、使用者側への殺虫組成物の拡散が好適に軽減される。かかる観点から、上記内径Dは60mm以下であり、50mm以下が好ましい。
【0017】
本実施形態における中空略円錐部11の高さHは3~10cmが好ましい。ここで、殺虫組成物の使用者側への拡散を軽減する観点から、上記高さHは3cm以上が好ましく、3.5cm以上がより好ましく、4cm以上がさらに好ましい。また、殺虫組成物を害虫に対して集中的に噴射する観点から、上記高さHは10cm以下が好ましく、9.5cm以下がより好ましく、9cmがさらに好ましい。
【0018】
本実施形態における中空略円錐部11は、中空円柱部側に位置する接続部11aと、ノズルの端部側に位置する先端部11bと、を有している形状であることも好ましい。
この場合、接続部11aは、内径が、中空円柱部との接続部分から先端部11bとの接続部分に向けて、連続的に同じ変化幅で直線的に大きくなることが好ましい。
また、接続部11aの全長に該当する高さH31は2~5cmが好ましく、先端部11bとの接続部分の内径D’30は5~15mmが好ましい。
【0019】
上記高さH31は2~5cmが好ましく、2.5cm以上でもよく、3cm以上でもよく、また、4.5cm以下でもよく、4cm以下でもよい。
上記内径D’30は5~15mmが好ましく、8mm以上でもよく、10mm以上でもよく、また、14mm以下でもよく、13mm以下でもよい。
【0020】
上記先端部11bは、内径が、接続部11aとの接続部分からノズルの端部に向けて、連続的に同じ変化幅で直線的に大きくなることが好ましく、上記変化幅は、接続部11aにおける変化幅よりも大きいことがより好ましい。
また、先端部11bの全長に該当する高さH32は2~8cmが好ましく、先端部11bのノズルの端部側における内径D30は35~60mmが好ましい。
【0021】
上記高さH32は2~8cmが好ましく、3cm以上でもよく、4cm以上でもよく、また、7cm以下でもよく、6cm以下でもよい。
上記内径D30は35~60mmが好ましく、40mm以上でもよく、44mm以上でもよく、50mm以上でもよい。
【0022】
上記態様において、中空略円錐部の高さH30は4~10cmが好ましい。ここで、上記高さH30は、接続部11aの全長に該当する高さH31と、先端部11bの全長に該当する高さH32との合計を意味する。
上記中空略円錐部の高さH30は4~10cmが好ましいが、3cm以上でもよく、3.5cm以上でもよく、5cm以上でもよく、6cm以上でもよく、また、9.5cm以下でもよく、9cm以下でもよい。
【0023】
本実施形態における中空略円錐部11は、中空円柱部12とは反対側の端部に、略円錐の底面に略平行なツバ13を有していることが好ましい。上記ツバ13により、殺虫組成物の使用者側への拡散をより軽減できる。
ツバ13は中空略円錐部11における略円錐の底面よりも広ければよく、その形状や大きさは特に限定されない。
【0024】
本実施形態における中空略円錐部11の材質は特に限定されず、ノズルとして従来公知のものを採用できる。例えば、ポリエチレン等の樹脂材料でもよく、金属材料でもよい。また、殺虫組成物と反応しないのであれば、ポリ乳酸等の生分解性の樹脂材料でもよい。
【0025】
〈中空円柱部〉
本実施形態における中空円柱部12は、全長lが10~100cm、かつ、内径dが1~10mmである。
ここで、殺虫組成物の使用者側への拡散を軽減する観点から、上記全長lは10cmであり、10.5cm以上が好ましく、11cm以上がより好ましい、また、高い所にいる害虫を駆除する場合等には、上記全長lは30cm以上でもよく、40cm以上でもよい。一方、全長lが100cm超であると、ノズル10が中空略円錐部11を有さない場合であっても、殺虫組成物の使用者側への拡散は軽減される。本発明の課題が発生し、それに対する効果を奏する観点から、上記全長lは100cm以下が好ましく、90cm以下でもよく、80cm以下でもよい。
【0026】
本実施形態における中空円柱部12の内径dは1~10mmである。ここで、噴射された殺虫組成物が中空略円錐部11に到達した際にある程度勢いが軽減され、中空略円錐部11による効果を好適に得る観点から、上記内径dは1mm以上であり、2mm以上が好ましく、3mm以上がさらに好ましい。一方、殺虫組成物による殺虫作用を好適に維持する観点から、上記内径dは10mm以下であり、9mm以下が好ましく、8mm以下がより好ましい。
【0027】
本実施形態における中空円柱部12は、直線部のみからなってもよく、曲線部のみからなってもよく、直線部と曲線部を有していてもよい。また、自在に曲げられる構造を有していてもよい。
また、上記中空円柱部12の内径dは一定でも、変化していてもよい。
【0028】
本実施形態における中空円柱部12は、一方の端部は害虫駆除用エアゾール製品と接続され、他方の端部である他端は中空略円錐部11と接続される。
中空円柱部12と害虫駆除用エアゾール製品との接続部、及び、中空円柱部12と中空略円錐部11との接続部はそれぞれ、噴射された殺虫組成物が漏れなければ、その接続方法は特に限定されない。
【0029】
本実施形態における中空円柱部12の材質は特に限定されず、ノズルとして従来公知のものを採用できる。例えば、ポリエチレン等の樹脂材料でもよく、金属材料でもよい。また、殺虫組成物と反応しないのであれば、ポリ乳酸等の生分解性の樹脂材料でもよい。
本実施形態における中空円柱部12の材質と、中空略円錐部11の材質は、同一でも異なっていてもよい。
【0030】
〈その他の構成〉
本実施形態に係るノズル10は、上記中空略円錐部11及び中空円柱部12のみからなってもよいが、本発明の効果を損なわない範囲において、他の任意の部材をさらに有していていてもよい。
【0031】
《害虫駆除用エアゾール製品》
本実施形態に係る害虫駆除用エアゾール製品は、エアゾール容器、噴射ボタン、噴射口及びノズルを有する。
上記エアゾール容器には、殺虫有効成分、溶剤、及び噴射剤を含む殺虫組成物が収容されている。ここで、殺虫組成物に含まれる殺虫有効成分、溶剤及び噴射剤は、それぞれ従来公知のものを採用でき、それらが従来公知の割合で含まれればよい。また、上記以外の任意の成分を任意の割合でさらに含んでいてもよい。
【0032】
上記噴射ボタンを押すことにより、上記エアゾール容器内に収容されている殺虫組成物が、上記噴射口より吐出される。噴射口より吐出された殺虫組成物は、ノズルを通って、害虫に作用し、害虫を駆除できる。
【0033】
上記ノズルは、上記《ノズル》に記載のノズルを採用でき、好ましい態様も同様である。
【0034】
本実施形態に係る害虫駆除用エアゾール製品の、1回の噴射操作による殺虫組成物の噴射量等は従来公知の態様を採用でき、特に限定されない。例えば、1回の噴射操作により、殺虫組成物における殺虫有効成分が噴射される量は、例えば1mg~50mgでもよい。
【0035】
本実施形態に係る害虫駆除用エアゾール製品の対象害虫は特に限定されず、例えばゴキブリやムカデ等の匍匐害虫や、ハエ等の飛翔害虫等が挙げられる。中でも、本実施形態におけるノズル10の中空略円錐部11をより害虫に近づけて害虫を駆除できる観点から、対象害虫は匍匐害虫が好ましく、ゴキブリがより好ましい。
【実施例
【0036】
以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
例1~例3、例7及び例8は比較例であり、例4~例6は実施例である。
【0037】
《評価方法A》
例1(ノズルなし)及び例2~例6のノズルを香料入りの冷却用エアゾール製品(小林製薬株式会社製、熱中対策 服の上から極寒スプレー、シトラスミントの香り)に取り付け、1秒間噴射ボタンを押して内容物を噴射口から吐出させた。ここで、害虫駆除用エアゾール製品に代えて、上記香料入りの冷却用エアゾール製品を用いて評価を行ったのは、害虫駆除用エアゾール製品の多数回の噴射に伴う、殺虫組成物の人体への影響や悪心の防止を考慮したものである。
上記香料入りの冷却用エアゾール製品を噴射した際に使用者が感知する匂いが軽減されれば、冷却用エアゾール製品に代えて害虫駆除用エアゾール製品を用いた場合でも、殺虫組成物の拡散が軽減されたものと見做せる。
具体的には、試験を行う前の状態を0、かつ、例1(ノズルなし)の香料入りの冷却用エアゾール製品の内容物を吐出させた際の香りの強さを100(基準)とし、例2~例6の香料入りの冷却用エアゾール製品の内容物を吐出させた際の香りの強弱を判定した。
判定は、5名の被験者の官能評価により出された数値の平均値を用いて行った。結果を表1の「評価結果」における「強度」に示す。
【0038】
《評価方法B》
例1(ノズルなし)、並びに、例4、例6、例7及び例8のノズルを香料入りの冷却用エアゾール製品(小林製薬株式会社製、熱中対策 服の上から極寒スプレー、シトラスミントの香り)に取り付け、1秒間噴射ボタンを押して内容物を噴射口から吐出させた。ここで、害虫駆除用エアゾール製品に代えて、上記香料入りの冷却用エアゾール製品を用いて評価を行ったのは、害虫駆除用エアゾール製品の多数回の噴射に伴う、殺虫組成物の人体への影響や悪心の防止を考慮したものである。
上記香料入りの冷却用エアゾール製品を噴射した際に使用者が感知する匂いが軽減されれば、冷却用エアゾール製品に代えて害虫駆除用エアゾール製品を用いた場合でも、殺虫組成物の拡散が軽減されたものと見做せる。
具体的には、試験を行う前の状態を0、かつ、例1(ノズルなし)の香料入りの冷却用エアゾール製品の内容物を吐出させた際の香りの強さを100(基準)とし、例4、例6、例7及び例8の香料入りの冷却用エアゾール製品の内容物を吐出させた際の香りの強弱を判定した。
判定は、5名の被験者の官能評価により出された数値の平均値を用いて行った。結果を表2の「評価結果」における「強度」に示す。
【0039】
《試験例》
〈例1〉
香料入りの冷却用エアゾール製品(小林製薬株式会社製、熱中対策 服の上から極寒スプレー、シトラスミントの香り)を用意し、その噴射口にノズルを取り付けず、そのまま用いた。
【0040】
〈例2〉
香料入りの冷却用エアゾール製品(小林製薬株式会社製、熱中対策 服の上から極寒スプレー、シトラスミントの香り)を用意し、その噴射口に全長l:20.5cm、内径d:6mmの中空円柱部(ポリエチレン製)のノズルを接続した。
【0041】
〈例3〉
香料入りの冷却用エアゾール製品(小林製薬株式会社製、熱中対策 服の上から極寒スプレー、シトラスミントの香り)を用意し、その噴射口に全長l:13.0cm、内径d:4mmの中空円柱部(ポリエチレン製)のノズルを接続した。
【0042】
〈例4〉
香料入りの冷却用エアゾール製品(小林製薬株式会社製、熱中対策 服の上から極寒スプレー、シトラスミントの香り)を用意し、その噴射口にノズルを接続した。
上記ノズルの中空略円錐部の概略図を図2に示すが、ノズルの中空円柱部は、全長l:13.0cm、内径d10:4mmのポリエチレン製である。また、その端部に接続された中空略円錐部は、中空円柱部との接続部分の内径d10:4mm、高さH10:3.5cm、ノズルの端部における内径D10:4.4cmであり、略円錐部の形状は頂点付近が切断されてプリン型となって中空円柱部と接続された、ポリエチレン製である。
【0043】
〈例5〉
香料入りの冷却用エアゾール製品(小林製薬株式会社製、熱中対策 服の上から極寒スプレー、シトラスミントの香り)を用意し、その噴射口にノズルを接続した。
上記ノズルの中空略円錐部の概略図を図3に示すが、ノズルの中空円柱部は、全長l:11.4cm、内径d20:6mmのポリエチレン製である。また、その端部に接続された中空略円錐部は、中空円柱部との接続部分の内径d20:6mm、高さH20:5.0cm、ノズルの端部における内径D20:5.5cmであり、略円錐部の形状は略円柱状のポリエチレン製である。そして、図3に示すように、中空円柱部との接続部となる上面は内径D’20:4.5cmであり、そこから高さH21:1.0cmの間に、かかる内径は底面の内径D20と同じ内径5.5cmになるまで連続的に大きくなっている。その内径が5.5cmとなったところから、略円柱状の底面までの高さH22は4.0cmである。さらに、中空略円錐部には、上記ツバ13が付いており、その直径B20は6.5cmであった。
【0044】
〈例6〉
香料入りの冷却用エアゾール製品(小林製薬株式会社製、熱中対策 服の上から極寒スプレー、シトラスミントの香り)を用意し、その噴射口にノズルを接続した。
上記ノズルの中空略円錐部の概略図を図4に示すが、ノズルの中空円柱部は、全長l:40cm、内径d30:6mmのポリエチレン製である。また、その端部に接続された中空略円錐部は、接続部と先端部とを有する。具体的には、接続部は、中空円柱部との接続部分の内径d30:6mm、先端部との接続部分の内径D’30:1.2cm、かつ高さH31:4.0cmであって、その内径は連続的に、同じ変化幅で直線的に大きくなっている。また、先端部は、接続部との接続部分の内径D’30:1.2cm、ノズルの端部となる底面の内径D30:5.8cm、かつ高さH32:4.5cmであって、その内径は連続的に、同じ変化幅で直線的に大きくなっている。中空略円錐部の高さH30は8.5cmである。
【0045】
〈例7〉
例4におけるノズルについて、中空略円錐部のノズルの端部における内径D10を4.4cmから10cm(100mm)に変更した以外は、例4と同様にして、香料入りの冷却用エアゾール製品(小林製薬株式会社製、熱中対策 服の上から極寒スプレー、シトラスミントの香り)の噴射口にノズルを接続した。
【0046】
〈例8〉
例6におけるノズルについて、中空略円錐部における先端部のノズルの端部となる底面の内径D30を5.8cmから10cm(100mm)に変更した以外は、例6と同様にして、香料入りの冷却用エアゾール製品(小林製薬株式会社製、熱中対策 服の上から極寒スプレー、シトラスミントの香り)の噴射口にノズルを接続した。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
上記結果より、中空円柱部の内径dや全長lによる大きな差は見られなかったが、中空略円錐部を有するノズルを接続することで、噴射された冷却用エアゾール製品の使用者側への匂いの拡散が効果的に軽減された。特に例4と例5の比較から、ツバを有する中空略円錐部を用いることにより、かかる拡散低減の効果はより効果的に奏された。
【0050】
また、例4と例6の比較から、中空略円錐部を大きくすること、及び、中空円柱部の全長lを2倍程度以上にすること、の少なくとも一方によっても、かかる拡散低減の効果はより効果的に奏されたと言える。一方で、例4と例7の比較、及び、例6と例8の比較から、中空略円錐部は大きいほど良いわけではなく、特に、ノズルの端部における中空略円錐部の内径が60mm以下であると、かかる拡散低減の効果は顕著であった。
【0051】
さらに、上記例4~例6のノズルを害虫駆除用エアゾール製品(アース製薬株式会社製、ゴキジェット)に接続して、ゴキブリに対して噴射することにより、殺虫効果も好適に得られることを確認した。また、その際、例4~例6のいずれについても、ノズルを付けない状態で上記害虫駆除用エアゾール製品を噴射した場合と比べて、使用者側への臭いが軽減され、使用者側への殺虫組成物の拡散が軽減されたことを確認した(被験者数:1)。
【符号の説明】
【0052】
10 ノズル
11 中空略円錐部
11a 接続部
11b 先端部
12 中空円柱部
13 ツバ

【要約】
【課題】使用者側への殺虫組成物の拡散が軽減された害虫駆除用エアゾール製品とするためのノズルの提供。
【解決手段】害虫駆除用エアゾール製品に取付けて用いられるノズルであって、中空円柱部と、中空略円錐部と、を有し、前記中空円柱部は、全長が10~100cm、かつ、内径が1~10mmであり、前記中空円柱部は、一方の端部が前記害虫駆除用エアゾール製品と、他端が前記中空略円錐部と、それぞれ接続され、前記中空略円錐部は、前記中空円柱部との接続部分から前記ノズルの端部に向けて内径が大きくなり、前記ノズルの端部における前記中空略円錐部の内径は35~50mmであり、前記中空略円錐部の高さは3~10cmである、ノズル。
【選択図】図1

図1
図2
図3
図4