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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】多層基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20241023BHJP
【FI】
H05K3/46 G
H05K3/46 N
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2024085026
(22)【出願日】2024-05-24
【審査請求日】2024-09-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504112447
【氏名又は名称】FICT株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 徳一
(72)【発明者】
【氏名】宮川 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】中川 隆
(72)【発明者】
【氏名】坂井 直樹
【審査官】片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-129884(JP,A)
【文献】特開平05-198946(JP,A)
【文献】特開2000-188471(JP,A)
【文献】特開2005-244069(JP,A)
【文献】特開2003-347733(JP,A)
【文献】特開平06-268345(JP,A)
【文献】特開2023-136298(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3層金属箔を構成する第1箔をエッチングして第1箔から構成されるパターン状の第1金属層を形成する工程と、
前記第1金属層上に、前記第1金属層を埋没させるように第1絶縁層を積層する工程と、
前記第1絶縁層上に、平板状の金属層を積層する工程と、
前記平板状の金属層及び前記第1絶縁層を貫通し、前記第1金属層まで達する第1貫通孔を形成する工程と、
前記第1貫通孔に対してフィルドめっきを施してめっきビアである第1ビアを形成する工程と、
前記平板状の金属層をエッチングしてパターン状の第2金属層を形成する工程と、
前記パターン状の第2金属層上に、前記パターン状の第2金属層を埋没させるように第2絶縁層を積層する工程と、
3層金属箔を構成する第2箔及び第3箔を除去する工程と、
前記第2絶縁層上に第3絶縁層及び樹脂フィルムを積層する工程と、
第3絶縁層、樹脂フィルム及び前記第2絶縁層を貫通し、前記第2金属層まで達する第2貫通孔を形成する工程と、
前記第2貫通孔に導電性ペーストを充填してペーストビアである第2ビアを形成する工程と、を有する積層体を製造する工程と、
複数の積層体における前記樹脂フィルムを剥離した後、一の積層体の前記第1絶縁層と、他の積層体の前記第2絶縁層とを互いに接合し、前記第3絶縁層を硬化することで、複数の積層体を積層して構成される多層基板を得る工程とを含むことを特徴とする多層基板の製造方法。
【請求項2】
前記第1ビアに対してフィルドめっきを施してめっきビアを形成する工程の後に、
前記第2金属層の厚さを薄くするハーフエッチングを行う工程を実行することを特徴とする請求項1記載の多層基板の製造方法。
【請求項3】
前記パターン状の第2金属層上に、前記パターン状の第2金属層を埋没させるように第2絶縁層を積層する工程の後に、
前記第2絶縁層上に金属箔を積層する工程と、前記半硬化の第2絶縁層を前記第2金属層及び前記第1絶縁層に圧着させる工程と、圧着後に前記金属箔を除去する工程とを実行することを特徴とする請求項1記載の多層基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多層構造を有する回路基板(以下、「多層基板」と称する場合がある)が一般に広く知られている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2023-136298号公報)には、複数の絶縁層においてめっきビアによって層間接続されている層と、導電性ペーストが充填されたペーストビアによって層間接続されている層とを有している多層基板が開示されている。
この多層基板によれば、導電性ペーストによる層間接続だけでなくめっきビアによる層間接続を含むため層間の抵抗値を下げて許容電流値を向上させることができるとされている。
【0004】
また、特許文献1に記載の多層基板の製造方法によれば、支持体の両面に、3層の金属箔が積層された3層金属箔を接着し、支持体の両面の3層金属箔に対して基板を作り込んでいくことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2023-136298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように特許文献1に開示された製造方法においては、支持体の両面に接着した2つの3層金属箔に対して同時に基板を作り込んでいく工程を採用しているが、この方法では製造装置が大型化してしまうためコスト高になってしまう課題がある。
また、支持体と3層金属箔は真空中で保持している必要があるが、もし支持体と3層金属箔との間に隙間が生じてしまうと隙間に薬液等が侵入しやすく、割れが生じる懸念もあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、製造過程においてコスト高にならず、且つ割れが生じることなく製造可能な多層基板の製造方法を提供することにある。
【0008】
すなわち、開示の多層基板の製造方法によれば、3層金属箔を構成する第1箔をエッチングして第1箔から構成されるパターン状の第1金属層を形成する工程と、前記第1金属層上に、前記第1金属層を埋没させるように第1絶縁層を積層する工程と、前記第1絶縁層上に、平板状の金属層を積層する工程と、前記平板状の金属層及び前記第1絶縁層を貫通し、前記第1金属層まで達する第1貫通孔を形成する工程と、前記第1貫通孔に対してフィルドめっきを施してめっきビアである第1ビアを形成する工程と、前記平板状の金属層をエッチングしてパターン状の第2金属層を形成する工程と、前記パターン状の第2金属層上に、前記パターン状の第2金属層を埋没させるように第2絶縁層を積層する工程と、3層金属箔を構成する第2箔及び第3箔を除去する工程と、前記第2絶縁層上に第3絶縁層及び樹脂フィルムを積層する工程と、前記第3絶縁層、前記樹脂フィルム及び前記第2絶縁層を貫通し、前記第2金属層まで達する第2貫通孔を形成する工程と、前記第2貫通孔に導電性ペーストを充填してペーストビアである第2ビアを形成する工程と、を有する積層体を製造する工程と、複数の積層体における前記樹脂フィルムを剥離した後、一の積層体の前記第1絶縁層と、他の積層体の前記第2絶縁層とを互いに接合し、前記第3絶縁層を硬化することで、複数の積層体を積層して構成される多層基板を得る工程とを含むことを特徴とする。
この方法によれば、従来の技術と比較して製造装置を大型化せずに製造可能であり、また製造過程における基板の割れを生じさせないようにできる。
【0009】
また、前記第1ビアに対してフィルドめっきを施してめっきビアを形成する工程の後に、前記第2金属層の厚さを薄くするハーフエッチングを行う工程を含む。
この方法によれば、フィルドめっき時に第2金属層が厚くなってしまうため、パターン状の第2金属層を形成する前に、第2金属層を適正な厚さにすることができる。
【0010】
また、前記パターン状の第2金属層上に、前記パターン状の第2金属層を埋没させるように第2絶縁層を積層する工程の後に、前記第2絶縁層上に金属箔を積層する工程と、前記半硬化の第2絶縁層を前記第2金属層及び前記第1絶縁層に圧着させる工程と、圧着後に前記金属箔を除去する工程とを実行する。
この方法によれば、第2絶縁層の表面を平坦化し、且つ確実にパターン状の第2金属層と第1絶縁層に接合させて積層体を得ることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、製造装置を大型化しなくても製造可能であるためコスト高にならず、製造過程において割れを生じさせない多層基板の製造方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態における多層基板を製造する方法によって製造された多層基板の一例を示す概略断面図である。
図2】本実施形態における多層基板を製造する方法の一例を示す概略断面図(その1)である。
図3】本実施形態における多層基板を製造する方法の一例を示す概略断面図(その2)である。
図4】本実施形態における多層基板を製造する方法の一例を示す概略断面図(その3)である。
図5】本実施形態における多層基板を製造する方法の一例を示す概略断面図(その4)である。
図6】本実施形態における多層基板を製造する方法の一例を示す概略断面図(その5)である。
図7】本実施形態における多層基板を製造する方法の一例を示す概略断面図(その6)である。
図8】本実施形態における多層基板を製造する方法の一例を示す概略断面図(その7)である。
図9】本実施形態における多層基板を製造する方法の一例を示す概略断面図(その8)である。
図10】本実施形態における多層基板を製造する方法の一例を示す概略断面図(その9)である。
図11】本実施形態における多層基板を製造する方法の一例を示す概略断面図(その10)である。
図12】本実施形態における多層基板を製造する方法の一例を示す概略断面図(その11)である。
図13】本実施形態における多層基板を製造する方法の一例を示す概略断面図(その12)である。
図14】本実施形態における多層基板を製造する方法の一例を示す概略断面図(その13)である。
図15】本実施形態における多層基板を製造する方法の一例を示す概略断面図(その14)である。
図16】本実施形態における多層基板を製造する方法の一例を示す概略断面図(その15)である。
図17】本実施形態における多層基板を製造する方法の一例を示す概略断面図(その16)である。
図18】本実施形態における多層基板を製造する方法の一例を示す概略断面図(その17)である。
図19】本実施形態における多層基板を製造する方法の一例を示す概略断面図(その18)である。
図20】本実施形態における多層基板を製造する方法の一例を示す概略断面図(その19)である。
図21】本実施形態における多層基板を製造する方法の一例を示す概略断面図(その20)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本実施形態における多層基板100の製造方法について詳しく説明する。
図1には、本実施形態における製造方法によって製造された多層基板100の概略断面図を示す。
【0014】
また、多層基板100において、便宜上、図面における上下方向に基づいて「上面」又は「下面」と記載する場合があるが、多層基板100における上面及び下面は、実際の上下の向きとは一致していない場合も含むものである。さらに、多層基板100において、「側面」と記載する場合があるが、側面とは、上記した上面及び下面に対しての側面であることを意味する。
【0015】
(多層基板)
本実施形態における多層基板100は、図1に示すように、積層体56が複数積層された構成である。より具体的には、多層基板100は、複数の積層体56と、最上層に位置するパターン化した金属層72と、最下層に位置する積層体68とを備えている。
【0016】
各積層体56は、第1絶縁層26と、第1絶縁層26の第1表面26a側(図1では上面)に積層された第2絶縁層42と、第2絶縁層42の上面に積層された第3絶縁層48とを有している。
【0017】
各積層体56において、第1絶縁層26の第1表面26aにパターン状の第2金属層40が形成され、第2表面26bにパターン状の第1金属層22が形成されている。第2金属層40は第1絶縁層26の上面に位置する第2絶縁層42に埋め込まれており、第1金属層22は第1絶縁層26に埋め込まれている。
第1絶縁層26を貫通する第1ビア34はめっきビアであって第2金属層40と第1金属層22を電気的に接続している。
【0018】
また、各積層体56において、第3絶縁層48と第2絶縁層42を貫通する第2ビア54は、導電性ペーストが充填されたペーストビアであって、第2金属層40と他の積層体56の第1金属層22とを電気的に接続している。
第2絶縁層42の上面に積層されている第3絶縁層48は、他の積層体56を積層させる際の接着層としての役割を有する。
【0019】
多層基板100は、金属層が偶数層の場合、上述してきた積層体56とは異なる積層体68が最下層に積層されている。
【0020】
積層体68は、一例として、下面にパターン状の下面金属層74が形成された第4絶縁層64と、第4絶縁層64上に積層された第5絶縁層66と、第4絶縁層64及び第5絶縁層66とを貫通して形成された第3ビア58とを有している。また、下面金属層74は、第3ビア58を介して、直上の積層体56の下面の第1金属層22と電気的に接続されている。
【0021】
第5絶縁層66は、直上の積層体56を積層させる際の接着層としての役割を有する。
また、第3ビア58は、上記した第2ビア54と同様の導電性ペーストを充填したペーストビアとすることができる。
下面金属層74は、第4絶縁層64から露出していることが好ましい。
【0022】
多層基板100は、金属層が奇数層の場合、上述した積層体68が積層されておらず、最下層の積層体56の構成が異なる(不図示)。すなわち、最下層の積層体56の第1金属層22は、第1絶縁層26から露出していることが好ましい。
【0023】
(多層基板の製造方法)
以下、多層基板100の製造方法について詳しく説明する。
【0024】
図2に示すように、先ず、3層金属箔10を用意する。3層金属箔10は、一例として、銅箔12と、銅箔12とは異なる金属箔14と、金属製支持体(特に、銅製支持体)16とがこの順で積層されている。金属箔14は、銅箔12、銅製支持体16に対しては反応しない選択エッチング剤により選択エッチングが可能な金属であれば特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。なお特許請求の範囲でいう第1箔が銅箔12、第2箔が金属箔14、第3箔が金属製支持体16に該当する。
【0025】
次いで、図3図5に示すように、3層金属箔10に対して、第1金属層22を形成する。
具体的には、図3に示すように、銅箔12の表面に対してフィルム状のドライフィルムレジスト18を貼付けし、第1金属層22のパターン状に対応する所定のパターンで感光させて不要部分を除去する。
次いで、図4に示すように、エッチング(ハーフエッチング)することにより、銅箔12を所定のパターン状の第1金属層22に形成する。
次いで、図5に示すように、第1金属層22の表面からドライフィルムレジスト18を除去する。
【0026】
なお、第1金属層22としては、一例として、厚さ10μm~60μm程度に形成されているが、これに限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。
また、第1金属層22に対して表面の粗面化処理を施して、下記の第1絶縁層26の積層時に第1絶縁層26との密着性を高めてもよい。
【0027】
次いで、図6に示すように、第1金属層22上に当該第1金属層22を埋没させるように第1絶縁層26を積層する。次いで、平板状の金属層28を第1絶縁層26上に積層する。
【0028】
第1絶縁層26は、通常、平板状である。第1絶縁層26の平均厚みとしては、一例として、10μm以上200μm以下であってもよいし、30μm以上100μm以下であってもよいが、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0029】
また、第1絶縁層26は、多層基板で用いられる絶縁層であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。第1絶縁層26は、一例として、ガラスクロス等を用いた無機織布、無機不織布等の無機基材、有機織布、有機不織布等の有機基材により硬度強化された基材等を採用することができる。
【0030】
また、第1絶縁層26は、より具体的には、一例として、ガラスエポキシ基材(エポキシ樹脂を浸み込ませたガラス織布基材、エポキシ樹脂を浸み込ませたガラス不織布基材)、ビスマレイミドトリアジン樹脂を浸み込ませたガラス織布基材、エポキシ樹脂を浸み込ませたアラミド不織布基材、変性ポリフェニレンエーテル樹脂を浸み込ませたガラス織布基材等を採用することができる。
【0031】
なお、第1絶縁層26上に積層する平板状の金属層28としては、例えば銅などを採用することができる。
【0032】
次いで、図7図11に示すように、第1絶縁層26に対して第1ビア34を形成する。
具体的には、先ず、図7に示すように、金属層28の表面に対してフィルム状のドライフィルムレジスト30を貼付けし、第1ビア34の第1貫通孔32の開口に対応する箇所を感光させて不要部分を除去する。
次いで、図8に示すように、エッチング(ハーフエッチング)することにより、金属層28から第1貫通孔32に対応する箇所を除去し、貫通孔32に対応する箇所以外に金属層28を形成する。
次いで、図9に示すように、金属層28の表面からドライフィルムレジスト30を除去する。
【0033】
次いで、図10に示すように、第1絶縁層26を貫通し、第1金属層22を底部とする有底の第1貫通孔32を穿孔する。第1貫通孔32は、一例として、レーザ加工によって行うことができる。レーザ加工の種類としては、COレーザ、YAGレーザ等が挙げられるが、これに限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。
【0034】
次いで、図11に示すように、めっき処理により、第1貫通孔32内及び金属層28に対してフィルドめっきを施し、めっきビアである第1ビア34を形成する。
なお、フィルドめっきによって金属層28が厚くなり過ぎる場合があるため、図12に示すように、ハーフエッチングを施し、金属層28が所定の厚さとなるまで調整することが好ましい。
【0035】
次いで、図13図14に示すように、第1絶縁層26の第1表面26a上に第2金属層40を形成する。具体的には、図13に示すように、ハーフエッチング後の金属層28の表面に対してフィルム状のドライフィルムレジスト38を貼付けし、第2金属層40のパターン状に対応する所定のパターンで感光させて不要部分を除去する。
次いで、図14に示すように、エッチング(ハーフエッチング)することにより、金属層28を所定のパターン状の第2金属層40に形成し、第2金属層40の表面からドライフィルムレジスト18を除去する。
【0036】
なお、第2金属層40は、一例として、厚さ10μm~60μm程度に形成されているが、これに限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。
また、第2金属層40に対して表面の粗面化処理を施して、下記の第2絶縁層42の積層時に第2絶縁層42との密着性を高めてもよい。
【0037】
次いで、図15に示すように、第2金属層40が埋没するように、第1絶縁層26上に第2絶縁層42を積層する。さらに、第2絶縁層42上に、金属層46を積層し、金属層46が積層された状態で第1金属層26と第2絶縁層42を圧着する。これにより、第2絶縁層42の平坦性が確保され、多層基板の信頼性を向上させることができる。
【0038】
第2絶縁層24の平均厚みとしては、一例として、10μm以上200μm以下であってもよいし、30μm以上100μm以下であってもよいが、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0039】
第2絶縁層42は、多層基板で用いられる絶縁層であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。第2絶縁層42は、一例として、ガラスクロス等を用いた無機織布、無機不織布等の無機基材、有機織布、有機不織布等の有機基材により硬度強化された基材等を採用することができる。
【0040】
また、第2絶縁層42は、より具体的には、一例として、ガラスエポキシ基材(エポキシ樹脂を浸み込ませたガラス織布基材、エポキシ樹脂を浸み込ませたガラス不織布基材)、ビスマレイミドトリアジン樹脂を浸み込ませたガラス織布基材、エポキシ樹脂を浸み込ませたアラミド不織布基材、変性ポリフェニレンエーテル樹脂を浸み込ませたガラス織布基材等を採用することができる。
【0041】
次いで、図16に示すように、エッチングにより、金属層46及び3層金属箔10の下面に位置していた金属製支持体16を除去し、その後、図17に示すように、エッチングにより、3層金属箔10の中間層に位置していた金属箔14を除去する。
【0042】
なお、図17の時点で、第1金属層22は下方に露出しているため、ここで第1金属層22の粗面化処理を行い、他の積層体56との積層時における密着性を高めてもよい。
【0043】
次いで、図18に示すように、第2絶縁層42に対して第3絶縁層48を積層する。より具体的には、第2絶縁層42上に接着層の役割を有する第3絶縁層48と、第3絶縁層48の表面を保護する樹脂フィルム50が積層される。また、第3絶縁層48と樹脂フィルム50は予め一体化されたシート状であってもよい。
【0044】
第3絶縁層48としては、熱硬化性樹脂を採用することができ、一例としてガラスエポキシプリプレグを採用することができる。
【0045】
次いで、図19図20に示すように、第2絶縁層42、第3絶縁層48及び樹脂フィルム50に対して第2ビア54を形成する。
具体的には、図19に示すように、第2絶縁層42、第3絶縁層48及び樹脂フィルム50を貫通し、第2金属層40を底部とする有底の第2貫通孔52を穿孔する。第2貫通孔52は、一例として、レーザ加工によって行うことができる。レーザ加工の種類としては、COレーザ、YAGレーザ等が挙げられるが、これに限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。
次いで、図20に示すように、第2貫通孔52に対して導電性ペーストを充填し、その後、樹脂フィルム50を剥離する。
このため、第2ビア54は、導電性ペースト54によるペーストビアとして形成され、また樹脂フィルム50を剥離することで樹脂フィルム50の厚さ分だけ、導電性ペーストが第3絶縁層48よりも上方に突出する。導電性ペーストが第3絶縁層48から突出するため、導電性ペーストを他の積層体56の第1金属層22に確実に接合させることができる。
ここまでの工程により、積層体56が完成する。
【0046】
次いで、図21に示すように、複数の積層体56を積層する。より具体的には、多層基板100が偶数層(多層基板が含む金属層が偶数層)の場合には、金属層70、複数の積層体56、及び積層体68をこの順で積層し熱圧着させる。熱圧着することで各第3絶縁層48と、積層体68の第5絶縁層66が硬化し、各積層体56の間と積層体56と積層体68とが積層される。
図21に示す例は、多層基板100が偶数層の場合である。
【0047】
なお、積層体68の製造方法については図示しないが以下の通りの方法で製造される。
まず、金属層60の上面に第4絶縁層64、第5絶縁層66を積層する。ただし第5絶縁層66上には樹脂フィルム(不図示)を積層させておき、積層体56との積層時に剥離するとよい。
第4絶縁層64と第5絶縁層66を貫通し、金属層60を底部とする有底の貫通孔を穿孔したうえで、貫通孔に導電性ペーストを充填してペーストビアとしての第3ビア58を形成する。
【0048】
貫通孔は、一例として、レーザ加工によって行うことができる。レーザ加工の種類としては、CO2レーザ、YAGレーザ等が挙げられるが、これに限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。
【0049】
第4絶縁層64としては、第1絶縁層26や第2絶縁層42と同様に多層基板で用いられる絶縁層であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。一例として、ガラスクロス等を用いた無機織布、無機不織布等の無機基材、有機織布、有機不織布等の有機基材により硬度強化された基材等を採用することができる。
【0050】
また、第4絶縁層64は、より具体的には、一例として、ガラスエポキシ基材(エポキシ樹脂を浸み込ませたガラス織布基材、エポキシ樹脂を浸み込ませたガラス不織布基材)、ビスマレイミドトリアジン樹脂を浸み込ませたガラス織布基材、エポキシ樹脂を浸み込ませたアラミド不織布基材、変性ポリフェニレンエーテル樹脂を浸み込ませたガラス織布基材等を採用することができる。
【0051】
第5絶縁層66としては、熱硬化性樹脂を採用することができ、一例としてガラスエポキシプリプレグを採用することができる。
【0052】
なお、多層基板100が奇数層(多層基板が含む金属層が奇数層)の場合には、金属層70、複数の積層体56、及びエッチング前の第1金属層22が第1絶縁層26から露出した積層体(不図示)をこの順で積層し、熱圧着させる。上記いずれの場合であっても、一の積層体56における第2ビア54は、金属層70又は他の積層体の56における第1金属層22に対して電気的に接続される。
【0053】
次いで、すでに図1で示したように、エッチングにより、積層後(熱圧着後)の多層基板100の金属層70及び金属層60を所定のパターン状の上面金属層72及び下面金属層74に形成する。
これにより、多層基板100が完成する。
【0054】
上述してきた多層基板100は、マザーボード、インターポーザ、半導体素子を構成する回路基板としても使用可能である。
【0055】
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されず、本発明を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【符号の説明】
【0056】
10 3層金属箔
12 銅箔
14 金属箔
16 金属製支持体
18 ドライフィルムレジスト
22 第1金属層
26 第1絶縁層
26a 第1表面
26b 第2表面
28 金属層
30 ドライフィルムレジスト
32 第1貫通孔
34 第1ビア
38 ドライフィルムレジスト
40 第2金属層
42 第2絶縁層
46 金属層
48 第3絶縁層
50 樹脂フィルム
52 第2貫通孔
54 第2ビア
56 積層体
58 第3ビア
60 金属層
64 第4絶縁層
66 第5絶縁層
68 積層体
70 金属層
72 上面金属層
74 下面金属層
100 多層基板
【要約】
【課題】製造過程においてコスト高にならず、且つ割れが生じることなく製造可能な多層基板の製造方法を提供する。
【解決手段】3層金属箔10を構成する第1箔12をエッチングしてパターン状の第1金属層22を形成し、第1金属層22を埋没させるように第1絶縁層26を積層し、めっきビアである第1ビア34を形成し、第1絶縁層26上にパターン状の第2金属層40を形成し、第2金属層40を埋没させるように第2絶縁層42を積層し、3層金属箔10を構成する第2箔14及び第3箔16を除去し、第2絶縁層42上に第3絶縁層48及び樹脂フィルム50を積層し、第2絶縁層42にペーストビアである第2ビア54を形成して積層体56を製造し、複数の積層体を積層して多層基板100を得る。
【選択図】図21
図1
図2
図3
図4
図5
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図20
図21