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特許7576203オーダリング連携システム、オーダリングシステム及びオーダリングプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】オーダリング連携システム、オーダリングシステム及びオーダリングプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20241023BHJP
   G16H 40/00 20180101ALI20241023BHJP
【FI】
A61B5/055 390
G16H40/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2024098319
(22)【出願日】2024-06-18
【審査請求日】2024-06-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524231557
【氏名又は名称】吉岡 和博
(74)【代理人】
【識別番号】110001793
【氏名又は名称】弁理士法人パテントボックス
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 和博
【審査官】永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-117137(JP,A)
【文献】特開2009-254793(JP,A)
【文献】米国特許第8200508(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
G16H 40/00 - 40/67
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーダリングシステムと、医療デバイス検出サーバと、医師端末と、検査技師端末とがネットワークを介して接続されたオーダリング連携システムであって、
オーダリングシステムは、
医師端末から、患者に対するMRI検査オーダーを受信するオーダー受信手段と、
医療デバイス検出サーバに、前記患者の体内に植え込まれた医療デバイスの検出を要求する検出要求手段と、
医師端末に、前記検出の結果を送信する検出結果送信手段と、
前記検出の結果が前記医療デバイスを検出しないことを示す場合に、医師端末から、該検出の結果に対する医師の確認済み通知を受信する通知受信手段と、
前記確認済み通知を受信した場合に、検査技師端末に前記MRI検査オーダーを送信するオーダー送信手段と、
を有し、
医療デバイス検出サーバは、
オーダリングシステムから、前記検出の要求を受信する検出要求受信手段と、
前記患者のX線画像データを取得する画像取得手段と、
前記患者のX線画像データから、前記患者の体内に植え込まれた医療デバイスを検出する検出手段と、
オーダリングシステムに、前記検出の結果を送信する検出結果送信手段と、
を有することを特徴とするオーダリング連携システム。
【請求項2】
前記オーダー送信手段は、前記検出の結果が前記医療デバイスを検出したことを示す場合に、検査技師端末に前記MRI検査オーダーを送信しないこと、
を特徴とする請求項1に記載のオーダリング連携システム。
【請求項3】
オーダリングシステムと、医療デバイス検出サーバと、医師端末と、検査技師端末とがネットワークを介して接続されたオーダリング連携システムであって、
オーダリングシステムは、
医師端末から、患者に対するMRI検査オーダーを受信するオーダー受信手段と、
医療デバイス検出サーバに、前記患者の体内に植え込まれた医療デバイスの検出を要求する検出要求手段と、
医師端末に、前記検出の結果を送信する検出結果送信手段と、
前記検出の結果がMRI対応の前記医療デバイスを検出したことを示す場合に、医師端末から、該検出の結果に対する医師の確認済み通知を受信する通知受信手段と、
前記確認済み通知を受信した場合に、検査技師端末に前記MRI検査オーダーを送信するオーダー送信手段と、
を有し、
医療デバイス検出サーバは、
オーダリングシステムから、前記検出の要求を受信する検出要求受信手段と、
前記患者のX線画像データを取得する画像取得手段と、
前記患者のX線画像データから、前記患者の体内に植え込まれた医療デバイスを検出する検出手段と、
オーダリングシステムに、前記検出の結果を送信する検出結果送信手段と、
を有することを特徴とするオーダリング連携システム。
【請求項4】
医師端末と検査技師端末とネットワークを介して接続されたオーダリングシステムであって、
医師端末から、患者に対するMRI検査オーダーを受信するオーダー受信手段と、
前記患者のX線画像データを取得する画像取得手段と、
前記患者のX線画像データから、前記患者の体内に植え込まれた医療デバイスを検出する検出手段と、
医師端末に、前記検出の結果を送信する検出結果送信手段と、
前記検出の結果が前記医療デバイスを検出しないことを示す場合に、医師端末から、該検出の結果に対する医師の確認済み通知を受信する通知受信手段と、
前記確認済み通知を受信した場合に、検査技師端末に前記MRI検査オーダーを送信するオーダー送信手段と、
を有することを特徴とするオーダリングシステム。
【請求項5】
前記オーダー送信手段は、前記検出の結果が前記医療デバイスを検出したことを示す場合に、検査技師端末に前記MRI検査オーダーを送信しないこと、
を特徴とする請求項に記載のオーダリングシステム。
【請求項6】
医師端末と検査技師端末とネットワークを介して接続されたオーダリングシステムであって、
医師端末から、患者に対するMRI検査オーダーを受信するオーダー受信手段と、
前記患者のX線画像データを取得する画像取得手段と、
前記患者のX線画像データから、前記患者の体内に植え込まれた医療デバイスを検出する検出手段と、
医師端末に、前記検出の結果を送信する検出結果送信手段と、
前記検出の結果がMRI対応の前記医療デバイスを検出したことを示す場合に、医師端末から、該検出の結果に対する医師の確認済み通知を受信する通知受信手段と、
前記確認済み通知を受信した場合に、検査技師端末に前記MRI検査オーダーを送信するオーダー送信手段と、
を有することを特徴とするオーダリングシステム。
【請求項7】
コンピュータを、請求項ないし何れか一項に記載のオーダリングシステムとして機能させるためのオーダリングプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーダリング連携システム、オーダリングシステム及びオーダリングプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医師の指示を各部署に伝達するための病院内オーダリングシステムが広く普及している。医師がPC上から検査オーダー(指示)を入力すると、オーダー情報は担当科に電子的に送信され、担当科はPC上でこれを受信すると、医師のオーダー情報に基づく検査を実施する。
【0003】
ここで、MRI(Magnetic Resonance Imaging)検査においては、安全性の観点からペースメーカー等の植込み型心臓デバイスの有無確認が重要である。MRIは磁気の原理を利用した医療機器であることからペースメーカーが誤作動を起こす危険性があり、ペースメーカー等の植え込みを行っている患者はMRI検査を受けることができない。
【0004】
このため、医師はMRI検査に際しMRI検査オーダーを行う前に、例えば患者に問診を行ったり、電子カルテから病歴を確認しなり、更には胸部X線画像を用いてペースメーカー等が写っていないかどうかの画像評価を行う。医師は患者がペースメーカー等の植え込みを行っていないことを十分に確認し、MRI撮像における安全性を担保した上で、MRI検査オーダーを行う。
【0005】
例えば特許文献1には、患者の体内への異物の残置をより効果的に防止する異物検出の支援装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2021-186252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ペースメーカー等のいっそうの小型化もあって、人間である医師によるチェックのみでは、患者のペースメーカー等の植え込みを見逃すリスクを完全に排除することは難しく、MRI検査における安全性確保が課題である。
【0008】
ところで近年、MRI対応ペースメーカーが登場した。このタイプのペースメーカーは磁気の影響を受けにくい材質が使用されるなどの改良がなされているため、このようなタイプのペースメーカーの患者であればMRI検査を受けることが可能になったものの、いくつかの条件や検査の際の注意点などがある。このため、患者がこのタイプのペースメーカー等の植え込みを行っている場合、医師はこれら条件や注意点を十分確認し、MRI撮像における安全性を担保した上で、MRI検査オーダーを行う必要がある。
【0009】
本発明は、上記の点に鑑み提案されたものであり、一つの側面では、MRI検査における安全性をより向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本開示に係るオーダリング連携システムは、オーダリングシステムと、医療デバイス検出サーバと、医師端末と、検査技師端末とがネットワークを介して接続されたオーダリング連携システムであって、オーダリングシステムは、医師端末から、患者に対するMRI検査オーダーを受信するオーダー受信手段と、医療デバイス検出サーバに、前記患者の体内に植え込まれた医療デバイスの検出を要求する検出要求手段と、医師端末に、前記検出の結果を送信する検出結果送信手段と、前記検出の結果が前記医療デバイスを検出しないことを示す場合に、医師端末から、該検出の結果に対する医師の確認済み通知を受信する通知受信手段と、前記確認済み通知を受信した場合に、検査技師端末に前記MRI検査オーダーを送信するオーダー送信手段と、を有し、医療デバイス検出サーバは、オーダリングシステムから、前記検出の要求を受信する検出要求受信手段と、前記患者のX線画像データを取得する画像取得手段と、前記患者のX線画像データから、前記患者の体内に植え込まれた医療デバイスを検出する検出手段と、オーダリングシステムに、前記検出の結果を送信する検出結果送信手段と、を有する。
【発明の効果】
【0011】
本開示の実施の形態によれば、MRI検査における安全性をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係るオーダリング連携システムの構成例を示す図である。
図2】本実施形態に係る医療デバイス検出サーバのハードウェア構成例を示す図である。
図3】本実施形態に係る医療デバイス検出サーバのソフトウェア構成例を示す図である。
図4】本実施形態に係るオーダリング連携システムに係るシーケンス図である。
図5】本実施形態に係るMRI検査オーダー画面例1を示す図である。
図6】本実施形態に係るMRI検査オーダー画面例2を示す図である。
図7】本実施形態に係るMRI検査オーダー画面例3を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本実施形態について、図面を参照して説明する。
<システム構成>
図1は、本実施形態に係るオーダリング連携システムの構成例を示す図である。図1の病院のオーダリング連携システム100は、画像管理システム10、オーダリングシステム20、医療デバイス検出サーバ30、医師端末40、検査技師端末50、及びMRI装置60を含み、ネットワーク70を介して接続構成される。
【0014】
画像管理システム10は、一般撮影、CT、MRI、エコー、内視鏡など画像撮影装置により撮影された患者画像データ(DICOM画像データ)を保管・閲覧・管理するためのシステムである。PACS(Picture Archiving and Communication System)とも呼ばれる。
【0015】
オーダリングシステム20は、病院情報システム(HIS、Hospital Information System)の1つとして、患者の診察などを行う医師等からの検査指示や処方指示などを電子的に伝達するためのシステムである。なお、オーダリングシステムの導入後に患者情報を一括で管理する電子カルテシステムが導入されることが多いが、オーダリングシステム自体が電子カルテシステムの一部機能として搭載されることもある。
【0016】
医療デバイス検出サーバ30は、患者のX線画像データ(特に胸部X線画像データ)を画像解析処理することで、患者の体内に植え込まれた医療デバイス(特にペースメーカー等の植込み型心臓デバイス)を検出するサーバ装置である。患者の胸部X線画像データは、予め胸部X線画像撮影装置(非図示)により撮影され、画像管理システム10に保存されている。
【0017】
医師端末40は、例えば主にはPC、もしくはスマートフォン・タブレット端末を含み、画像管理システム10及びオーダリングシステム20を利用する医師のクライアント端末である。医師は医師端末40を用いて画像管理システム10ないしオーダリングシステム20にアクセス・ログインし、患者画像データを高精細モニターによって閲覧(読影)したり、各部署に検査指示や処方指示などをオーダーする。
【0018】
検査技師端末50は、例えば主にはPC、もしくはスマートフォン・タブレット端末を含み、MRI検査をはじめとする各種検査を実施する検査技師のクライアント端末である。検査技師は検査技師端末50を用いて医師からの検査指示を受信し、医師からのオーダー情報に検査を実施する。特に本実施形態においては、放射線科の検査技師が検査技師端末50を用いて医師からのMRI検査指示を受信すると、医師からのMRI検査オーダー情報に従ってMRI装置60を用いたMRI検査を実施する。
【0019】
(ハードウェア構成)
図2は、本実施形態に係る医療デバイス検出サーバのハードウェア構成例を示す図である。図2に示されるように医療デバイス検出サーバ30は、CPU(Central Processing Unit)31、ROM(Read Only Memory)32、RAM(Random Access Memory)33、HDD(Hard Disk Drive)34、通信装置35、及び表示装置36を有する。
【0020】
CPU31は、各種プログラムの実行や演算処理を行う。ROM32は、起動時に必要なプログラムなどが記憶されている。RAM33は、CPU31での処理を一時的に記憶したり、データを記憶したりする作業エリアである。HDD34は、各種データ及びプログラムを格納する。通信装置35は、オーダリングシステム20を含む他装置との通信を行う。表示装置36は、ディスプレイである。
【0021】
(ソフトウェア構成)
図3は、本実施形態に係るオーダリングシステム20及び医療デバイス検出サーバ30のソフトウェア構成例を示す図である。
【0022】
オーダリングシステム20は、主な機能部として、オーダー受信部201、検出要求部202、検出結果受信部203、検出結果送信部204、通知受信部205、及びオーダー送信部206を有する。
【0023】
オーダー受信部201は、医師端末40から、患者に対するMRI検査オーダーを受信する機能を有している。検出要求部202は、医療デバイス検出サーバ30に、患者の体内に植え込まれた医療デバイスの検出を要求する機能を有している。検出結果受信部203は、医療デバイス検出サーバ30から、検出の結果を受信する機能を有している。検出結果送信部204は、医師端末40に、検出の結果を送信する機能を有している。通知受信部205は、医師端末40から、検出の結果に対する医師の確認済み通知を受信する機能を有している。オーダー送信部206は、検出の結果が医療デバイスを検出しないことを示す場合に、検査技師端末にMRI検査オーダーを送信する機能を有している。
【0024】
医療デバイス検出サーバ30は、主な機能部として、検出要求受信部301、画像取得部302、検出部303、及び検出結果送信部304を有する。
【0025】
検出要求受信部301は、オーダリングシステム20から、医療デバイスの検出の要求を受信する機能を有している。画像取得部302は、患者のX線画像データを取得する機能を有している。検出部303は、患者のX線画像データから、患者の体内に植え込まれた医療デバイスを検出する機能を有している。検出結果送信部304は、オーダリングシステム20に、検出の結果を送信する機能を有している。
【0026】
なお、各機能部は、オーダリングシステム20及び医療デバイス検出サーバ30を構成するコンピュータのCPU、ROM、RAM等のハードウェア資源上で実行されるプログラムによって実現されるものである。これらの機能部は、「手段」、「モジュール」、「ユニット」、又は「回路」に読替えてもよい。また、記憶部は、ネットワーク70上の外部記憶装置に配置することも可能である。また、上記コンピュータプログラム及びアプリケーションプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に格納されていてもよい。
【0027】
<システムフロー>
図4は、本実施形態に係るオーダリング連携システムに係るシーケンス図である。各装置のCPUが本シーケンスを実現可能なプログラムを読み込んで実行させることで、各ステップ(以下、「S」と表記する)を実現することができる。以下、医師がオーダリングシステム20を介して検査技師に患者のMRI検査をオーダーする際のシステムフローを示す。
【0028】
S1:医師端末40は、オーダリングシステム20にアクセス・ログインし、MRI検査のオーダーを作成するためのオーダー作成画面を要求する。
【0029】
S2:オーダリングシステム20は、医師端末40からMRI検査のオーダー作成画面要求を受信すると、医師端末40に、オーダー作成画面を送信し画面上に表示させる。医師はオーダー作成画面から、例えば患者ID、患者名、検査名などの検査情報を入力・選択していく。
【0030】
S3:オーダリングシステム20は、医師端末40のオーダー作成画面を介してMRI検査のオーダーを受信すると(MRI検査のオーダーが発生すると)、医療デバイス検出サーバ30に、医療デバイスの検出要求(医療デバイスの有無判定要求)を送信する。医療デバイスの検出要求は、MRI検査対象となる患者の患者識別子(例えば患者ID等)を含む。なお体内に植え込まれた医療デバイスとは、特にペースメーカー等の植込み型心臓デバイスである。
【0031】
S4:医療デバイス検出サーバ30は、オーダリングシステム20から医療デバイスの検出要求を受信すると、画像管理システム10に、当該患者(患者ID)の胸部X線画像データの取得要求を送信する。また取得要求には、取得対象となる胸部X線画像データの撮影日時条件(例えば直近1週間以内等)を付す。
【0032】
S5:画像管理システム10は、患者の胸部X線画像データが予め胸部X線画像撮影装置により撮影(撮像)され画像管理システム10に保存されている場合これを検索し、医療デバイス検出サーバ30から取得要求に応じて、当該患者(患者ID)の胸部X線画像データを応答・送信する。なお、患者の胸部X線画像データが存在しない場合や胸部X線画像データが古く直近撮影日時以内(例えば直近1週間以内等)に撮影された胸部X線画像データが存在しない場合、画像管理システム10は、医療デバイス検出サーバ30にその旨(画像データなし)を応答する。
【0033】
S6:医療デバイス検出サーバ30は、画像管理システム10から当該患者の胸部X線画像データを受信し画像解析処理を実行することで、患者の体内における医療デバイスを検出(有無判定)する。検出結果(判定結果)は、当該患者の胸部X線画像内から医療デバイスを検出した場合は「有り」、医療デバイスを検出しない場合は「無し」、当該患者の胸部X線画像データが存在せずに医療デバイスの検出が不可の場合は「不可」となる。
【0034】
ここで、医療デバイス検出サーバ30は、体内に医療デバイスを植え込んでいる患者の胸部X線画像データとその正解(有り)とのセット、及び、体内に医療デバイスを植え込んでいない患者の胸部X線画像データとその正解(無し)とのセットを予め大量に学習したモデルを有しており、入力された患者の胸部X線画像データとモデル画像との例えばパターンンマッチング度に応じて、患者の体内における医療デバイスを検出(判定)することができる。
【0035】
S7:医療デバイス検出サーバ30は、オーダリングシステム20にS3の医療デバイスの検出要求に応じて、S6の検出結果を応答・送信する。
【0036】
S8:オーダリングシステム20は、医師端末40に検出結果を送信し、MRI検査のオーダー作成画面上に表示させる。
【0037】
S9:医師端末40は、オーダリングシステム20にMRI検査オーダー(MRI検査指示)を送信する。後述するように、MRI検査オーダー作成画面上には、当該患者の体内における医療デバイスの有無を示す検出結果が表示されており、医師端末40は、医師により検出結果が確認済みのステータスになったことを原則条件として、医師端末40は、オーダリングシステム20にMRI検査オーダーを送信することが可能である。
【0038】
S10:オーダリングシステム20は、医師端末40からMRI検査オーダーを受信すると、当該MRI検査オーダーには、MRI検査のオーダー作成画面上に表示された検出結果に対する医師の確認済み通知(確認済みフラグ)を含むか否かを判定する。
【0039】
S11:オーダリングシステム20は、医師の確認済み通知(確認済みフラグ)を含むと判定した場合、検査技師端末50にMRI検査オーダーを送信する。
【0040】
S12:検査技師端末50は、MRI検査オーダー(MRI検査指示)を受信すると、画面上に医師からのMRI検査オーダー情報を表示する。検査技師は、医師の確認済み通知を確認したり、さらには画像管理システム10にアクセスし当該患者(患者ID)の胸部X線画像を確認したりして、自らも当該患者の体内に医療デバイスが植え込まれていないことを十分確認し、医師からのMRI検査オーダー情報に従ってMRI装置60を用いたMRI検査を実施する。
【0041】
<MRI検査オーダー画面例>
図5は、本実施形態に係るMRI検査オーダー画面例1を示す図である。医師はオーダリングシステム20にアクセス・ログインし、MRI検査のオーダーを行う場合には、図5に示す画面(a)の検査選択において「放射線検査」、画面(b)の画像診断装置選択において「MRI」、画面(c)の撮影部位選択において何れかの部位を選択する。
【0042】
ここで、上述したようにオーダリングシステム20は、MRI検査のオーダーが発生すると、医療デバイス検出サーバ30に、医療デバイスの検出要求を送信する(S3)。
【0043】
図6は、本実施形態に係るMRI検査オーダー画面例2を示す図である。オーダリングシステム20は、医師端末40におけるMRI検査のオーダー作成画面上に検出結果に応じて例えば図6に示す画面(d)、(e)、ないし(f)を表示させる(S8)。
【0044】
画面(d)は、検出結果「有り」を示す画面である。この場合、当該患者の胸部X線画像内から医療デバイスを検出したことから、例えば「心臓植込みデバイスが検出されました。医師が確認してください。」との検出結果表示(アラート表示)601が表示される。また「詳細」602が選択操作されると、胸部X線画像中、例えば医療デバイスを含む領域606がガイド表示されている当該患者の胸部X線画像605が閲覧可能に表示される。患者に医療デバイスが検出された場合、医師はMRI検査のオーダー中止等の適切な判断及び対応を行う。また検出結果「有り」の場合には「次へ」604が操作無効となるので、医師はMRI検査オーダー送信へ進むことができない。
【0045】
画面(e)は、検出結果「不可」を示す画面である。当該患者の胸部X線画像が存在しない場合、例えば「胸部X線画像がありません(未撮像)。胸部X線画像を撮影してください。」との検出結果表示(アラート表示)601が表示される。この場合、医師は「戻る」605を操作し図5(b)まで戻り、胸部X線画像撮影装置(一般撮影)による胸部X線画像の撮影をオーダーする。また検出結果「不可」の場合には「次へ」604が操作無効となるので、医師はMRI検査オーダー送信へ進むことができない。
【0046】
画面(f)は、検出結果「無し」を示す画面である。この場合、当該患者の胸部X線画像内から医療デバイスを検出しないため、例えば「心臓植込みデバイスは検出されませんでした。」との検出結果表示601が表示される。また「詳細」602が選択操作されると、胸部X線画像中、例えば医療デバイスが検出されなかった当該患者の胸部X線画像605が閲覧可能に表示される。医師が例えば「はい、医師が確認しました。」との医師確認欄603にチェックを入れると「次へ」604が操作有効となる。医師は、患者に医療デバイスが検出されなかった場合、医師確認条件の下、MRI検査オーダーへ進むことができる。
【0047】
以上のように、本実施形態に係るオーダリングシステム20においては、患者の胸部X線画像から患者体内に植込み型心臓デバイスが埋め込まれていること、もしくは胸部X線画像が撮像されてないことが判明した場合、医師はMRI検査オーダーへ進むことができず、MRI検査のオーダー自体を中止するなど適切な対応を行う。一方、患者体内に植込み型心臓デバイスが埋め込まれていないことが判明した場合、医師は、医師による「当該患者体内に植込み型心臓デバイスが埋め込まれていないこと」の確認付き条件の下、MRI検査のオーダーを進めることができる。放射線科の検査技師は、MRI検査のオーダーを受信した場合、医師による「当該患者体内に植込み型心臓デバイスが埋め込まれていないこと」をあらためて確認の上、MRI検査を実施する。
【0048】
近年ペースメーカー等の小型化もあって、人間である医師によるチェックのみでは、患者のペースメーカー等の植え込みを見逃すリスクを完全に排除することは難しいところ、本実施形態によれば、オーダリングシステム20上において胸部X線画像中における心臓植込みデバイスが無いことを確認したことを条件として最終的にMRI検査のオーダー送信が可能となる構成であるため、MRI検査における植込み型医療デバイス見逃しのリスクを低減させることが可能である。
【0049】
(変形例)
上述のS6において、医療デバイス検出サーバ30は、患者の胸部X線画像データを受信し画像解析処理を実行することで、患者の体内における「MRI対応」の医療デバイスの有無を検出(判定)することも可能である。
【0050】
医療デバイス検出サーバ30は、体内にMRI対応医療デバイスを植え込んでいる患者の胸部X線画像データとその正解(MRI対応/有り)とのセット、体内にMRI非対応医療デバイスを植え込んでいる患者の胸部X線画像データとその正解(MRI非対応/有り)とのセットを予め大量に学習したモデルを有しており、入力された患者の胸部X線画像データとモデル画像との例えばパターンンマッチング度に応じて、患者の体内におけるMRI対応/MRI非対応医療デバイスの有無を検出することができる。
【0051】
また他に、MRI対応医療デバイスであることを示す規格として、医療デバイスに所定のX線画像上に写る所定の印しを設けてもよい。医療デバイス検出サーバ30は、患者の胸部X線画像データを受信し画像解析処理を実行することで、胸部X線画像中に撮像されている印しを検出し、患者の体内におけるMRI対応医療デバイスの有無を検出することも可能である。
【0052】
いずれにしても、MRI対応医療デバイスとMRI非対応医療デバイスとで、胸部X線画像から両医療デバイスを検出可能な差異(特徴)が表れたデバイスであれば、医療デバイス検出サーバ30は、患者の体内におけるMRI対応医療デバイスの有無を検出することが可能である。
【0053】
図7は、本実施形態に係るMRI検査オーダー画面例3を示す図である。画面(g)は、検出結果「MRI対応医療デバイス/有り」を示す画面である。患者の胸部X線画像内からMRI対応医療デバイスを検出したことから、例えば「MRI対応心臓植込みデバイスが検出されました。医師はMRI撮像における条件や注意点を確認してください。」との検出結果表示(アラート表示)601が表示されうる。また「詳細」602が選択操作されると、胸部X線画像中、例えばMRI対応医療デバイスを含む領域がガイド表示されている当該患者の胸部X線画像が閲覧可能に表示される。医師はMRI撮像における条件や注意点を十分確認した上で、例えば「はい、医師が確認しました。」との医師確認欄603にチェックを入れと「次へ」604が有効となるので、検出結果「MRI対応医療デバイス/有り」の場合には医師確認がなされた条件の下に、MRI検査オーダーへ進むことができる。
【0054】
<総括>
近年ペースメーカー等の小型化もあって、人間である医師によるチェックのみでは、患者のペースメーカー等の植え込みを見逃すリスクを完全に排除することは難しいところ、本実施形態に係るオーダリング連携システム100によれば、オーダリングシステム20上において、胸部X線画像中における心臓植込みデバイスが検出されないこと、更には医師がその旨を確認したことを条件として最終的にMRI検査のオーダー送信が可能となる構成であるため、MRI検査における安全性をより向上させることが可能である。
【0055】
以上、本発明の好適な実施の形態により、特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更を加えることができることは明らかである。すなわち、具体例の詳細および添付の図面により本発明が限定されるものと解釈してはならない。
【0056】
なお、本発明は、上述の実施形態の1つ以上の機能を実現するプログラムを、ネットワークまたは記録媒体を介してシステムまたは装置に供給し、そのシステムまたは装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読み出し作動させる処理でも実現可能である。
【0057】
また以下についても言及する。
・本実施形態に係る医療デバイス検出サーバ30ないしその機能(特に図4のS6)は、例えば、画像管理システム10、オーダリングシステム20、又は、電子カルテシステムの一部機能として搭載されることで実現されてもよい。
【0058】
・体内に植え込まれた(埋め込まれた)医療デバイスは、例えば植込み型心臓デバイスであるが、本発明により検出される心臓デバイスのみに限られない。即ち心臓以外に植え込まれた(埋め込まれた)医療デバイスを含む。よってまたX線画像データは、胸部のX線画像データに限られず、心臓以外の他部位に植え込まれた医療デバイスが写った他部位の線画像であってもよい。
【0059】
・植込み型心臓デバイスは、例えばペースメーカー、リードレスペースメーカ、両室ペースメーカー、植え込み型除細動器、両室ペーシング機能付き植え込み型除細動器などが挙げられる。
【符号の説明】
【0060】
10 画像管理システム
20 オーダリングシステム
30 医療デバイス検出サーバ
40 医師端末
50 検査技師端末
60 MRI装置
70 ネットワーク
100 オーダリング連携システム
201 オーダー受信部
202 検出要求部
203 検出結果受信部
204 検出結果送信部
205 通知受信部
206 オーダー送信部
301 検出要求受信部
302 検出要求受信部
303 検出部
304 検出結果送信部
【要約】      (修正有)
【課題】MRI検査における安全性をより向上させるオーダリング連携システム、オーダリングシステム及びオーダリングプログラムを提供する。
【解決手段】オーダリング連携システムにおいて、オーダリングシステムは、医師端末から患者に対するMRI検査オーダーを受信するオーダー受信部と、医療デバイス検出サーバに患者の体内に植え込まれた医療デバイスの検出を要求する検出要求部と、検出の結果が医療デバイスを検出しないことを示す場合に、検査技師端末にMRI検査オーダーを送信するオーダー送信部と、を有し、医療デバイス検出サーバは、オーダリングシステムから検出の要求を受信する検出要求受信部と、患者のX線画像データを取得する画像取得部と、患者のX線画像データから患者の体内に植え込まれた医療デバイスを検出する検出部と、オーダリングシステムに検出の結果を送信する検出結果送信部と、を有する。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7