(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】机の配線収納構造及び机の配線収納方法
(51)【国際特許分類】
A47B 13/00 20060101AFI20241023BHJP
【FI】
A47B13/00 B
(21)【出願番号】P 2024139463
(22)【出願日】2024-08-21
【審査請求日】2024-08-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】717001008
【氏名又は名称】オフィスコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001793
【氏名又は名称】弁理士法人パテントボックス
(72)【発明者】
【氏名】三上山 怜
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】実開平6-13561(JP,U)
【文献】実開平6-34523(JP,U)
【文献】特開平7-232(JP,A)
【文献】特開2001-128745(JP,A)
【文献】特開2019-83879(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する天板部と、
前記天板部に取り付けられて、前記開口部の下方で配線を受けるトレイ部と、
前記開口部に嵌合されるフタ部であって、2つのフタ片に分割されるとともに、2つの前記フタ片の向かい合う端面が斜面を有している、フタ部と、を備え、
前記フタ部は、第1の前記フタ片の斜面の鋭角縁と第2の前記フタ片の斜面の鈍角縁とが接近された開状態と、第1の前記フタ片の斜面の鋭角縁と第2の前記フタ片の斜面の鋭角縁とが接近された閉状態と、の2つの状態をとるようにされている、机の配線収納構造。
【請求項2】
第1の前記フタ片の鋭角縁側の長さと、第2の前記フタ片の鋭角縁側の長さと、を合計すると、前記開口部の長さと略同一の長さとなっている、請求項1に記載された、机の配線収納構造。
【請求項3】
第1の前記フタ片の斜面の傾斜角度と第2の前記フタ片の斜面の傾斜角度が略同一の角度となっている、請求項2に記載された、机の配線収納構造。
【請求項4】
前記トレイ部は、前記開口部に嵌合された第1の前記フタ片及び第2の前記フタ片の幅方向の両側縁を支持するフランジ部を有している、請求項3に記載された、机の配線収納構造。
【請求項5】
第1の前記フタ片の長さ及び第2の前記フタ片の長さは、前記トレイ部の側面の隙間の高さよりも長くされて、前記隙間を通じて落下しないようになっている、請求項4に記載された、机の配線収納構造。
【請求項6】
前記天板部の表面と前記フタ部の表面及び裏面とは、同じ意匠とされている、請求項5に記載された、机の配線収納構造。
【請求項7】
開口部を有する天板部と、
前記天板部に取り付けられて、前記開口部の下方で配線を受けるトレイ部と、
前記開口部に嵌合されるフタ部であって、2つのフタ片に分割されるとともに、2つの前記フタ片の向かい合う端面が互いに嵌合する凹凸部を有している、フタ部と、を備え、
前記フタ部は、第1の前記フタ片の凸部と第2の前記フタ片の凹部とが接合された開状態と、第1の前記フタ片の凸部と第2の前記フタ片の凸部とが接合された閉状態と、の2つの状態をとるようにされている、机の配線収納構造。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載された机の配線収納構造を準備する工程と、
前記開口部において、第1の前記フタ片の鋭角縁と第2の前記フタ片の鋭角縁を接合して、前記フタ部を閉状態とする工程と、
前記開口部から第1の前記フタ片及び/又は第2の前記フタ片を取り除いて、前記トレイ部の内部にアクセス可能とする工程と、
配線を前記トレイ部の内部まで接続し、前記開口部の一方側に寄せる工程と、
前記開口部において、前記開口部の一方側を空けつつ、第2の前記フタ片を反転させて、第1の前記フタ片の鋭角縁と第2の前記フタ片の鈍角縁を接合して、前記フタ部を開状態とする工程と、
をこの順で備える、机の配線収納方法。
【請求項9】
前記開口部から第1の前記フタ片及び/又は第2の前記フタ片を取り除いて、前記トレイ部の内部にアクセス可能とする工程と、
配線を前記トレイ部の内部から取り外す工程と、
前記開口部において、第2の前記フタ片を反転させて、第1の前記フタ片の鋭角縁と第2の前記フタ片の鋭角縁を接合して、前記フタ部を閉状態とする工程と、
をこの順で備える、請求項8に記載された、机の配線収納方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、机の配線収納構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、テーブルやデスクを含む机の構造として、PCなどの電源コードを接続するための電源タップ等の配線を収納する構造が知られている。このような配線収納構造には、電源コードを通すための開口部を設ける必要があり、未使用時でも天板部に開口部が生じてしまう、という問題があった。
【0003】
この開口部は、見栄えを考慮すれば極力狭いほうがいいが、電源コードの太さは使用するPCによっても変わるため、使い勝手を考慮すれば広いほうがいい。そのため、隙間を隠す手段としてモヘアやパッキンなどが使用されているものの(特許文献1参照)、意匠性が劣るうえ、構造が複雑となるため部品の取り付けコストもかかる。
【0004】
また、複数の電源コードを接続する場合、その度にフタをあけることは手間である。したがって、開口部が大きく開いているほうが、抜き差しが楽で使い勝手はよい。その反面、開口部が大きいと見栄えが劣るうえ、ゴミや埃の侵入を防止する観点からも、未使用時には開口部を閉塞したほうがよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の机の配線収納構造は、いずれも構造が複雑であり、未使用時に開口部を閉塞できるものではなかった。一方、未使用時に開口部を閉塞できる構造の場合は、複雑な構造となっていた。
【0007】
そこで、本発明は、簡単な構造であり、かつ、未使用時に開口部を閉塞することのできる、机の配線収納構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明の机の配線収納構造は、
開口部を有する天板部と、
前記天板部に取り付けられて、前記開口部の下方で配線を受けるトレイ部と、
前記開口部に嵌合されるフタ部であって、2つのフタ片に分割されるとともに、2つの前記フタ片の向かい合う端面が斜面を有している、フタ部と、を備え、
前記フタ部は、第1の前記フタ片の斜面の鋭角縁と第2の前記フタ片の斜面の鈍角縁とが接近された開状態と、第1の前記フタ片の斜面の鋭角縁と第2の前記フタ片の斜面の鋭角縁とが接近された閉状態と、の2つの状態をとるようにされている。
【0009】
また、本発明の机の配線収納方法は、
上述した机の配線収納構造を準備する工程と、
前記開口部において、第1の前記フタ片の鋭角縁と第2の前記フタ片の鋭角縁を接合して、前記フタ部を閉状態とする工程と、
前記開口部から第1の前記フタ片及び/又は第2の前記フタ片を取り除いて、前記トレイ部の内部にアクセス可能とする工程と、
配線を前記トレイ部の内部まで接続し、前記開口部の一方側に寄せる工程と、
前記開口部において、前記開口部の一方側を空けつつ、第1の前記フタ片の鋭角縁と第2の前記フタ片の鈍角縁を接合して、前記フタ部を開状態とする工程と、
をこの順で備えている。
【発明の効果】
【0010】
このように、本発明の机の配線収納構造は、開口部を有する天板部と、天板部に取り付けられて、開口部の下方で配線を受けるトレイ部と、開口部に嵌合されるフタ部であって、2つのフタ片に分割されるとともに、2つのフタ片の向かい合う端面が斜面を有している、フタ部と、を備え、フタ部は、第1のフタ片の斜面の鋭角縁と第2のフタ片の斜面の鈍角縁とが接近された開状態と、第1のフタ片の斜面の鋭角縁と第2のフタ片の斜面の鋭角縁とが接近された閉状態と、の2つの状態をとるようにされている。このような簡単な構造の机の配線収納構造であれば、第1のフタ片と第2のフタ片とを組み替えることによって、使用時には開口部に隙間を形成し、未使用時には開口部を閉塞することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】配線収納構造を備える机の構成を説明する斜視図である。
【
図2】配線収納構造を備える机の構成を説明する平面図である。
【
図4】フタ部の構成の説明図である。(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)は平面図である。
【
図5】机の配線収納方法のフローチャート(閉状態~開状態まで)である。
【
図6】机の配線収納方法のフローチャート(開状態~閉状態まで)である。
【
図7】机の配線収納構造の閉状態の説明図であり、(a)は平面図であり、(b)は断面図である。
【
図8】机の配線収納構造の開状態(片寄せ)の説明図であり、(a)は平面図であり、(b)は断面図である。
【
図9】机の配線収納構造の開状態(中央寄せ)の説明図であり、(a)は平面図であり、(b)は断面図である。
【
図10】机の配線収納構造の片方のフタ片を立掛けた状態の説明図であり、(a)は平面図であり、(b)は断面図である。
【
図11】机の配線収納構造の両方のフタ片を立掛けた状態の説明図であり、(a)は平面図であり、(b)は断面図である。
【
図12】別形態の机の配線収納構造のフタ部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。ただし、以下の実施例に記載されている構成要素は例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例】
【0013】
はじめに、
図1、
図2を用いて、本発明の机の配線収納構造Sの構成について説明する。机の配線収納構造Sは、
図1、
図2に示すように、開口部11を有する机1の天板部10と、この天板部10に取り付けられて、開口部11の下方で配線を受けるトレイ部2と、開口部11に嵌合されるフタ部3と、を備えている。
【0014】
机1は、
図1、
図2に示すように、四角形の平板状の天板部10と、天板部10の四隅から斜め下方に伸びる4本の脚部12、・・・と、から基本的に構成されている。天板部10は、例えば、オーク材等の無垢板によって形成することができる。そして、本実施例の天板部10の略中央には長方形の開口部11が形成されており、開口部11を塞ぐようにしてフタ部3が嵌合されている。この天板部10の表面素材とフタ部3(31、32)の表面素材(及び裏面素材)とは、同じ素材とされていることが好ましい。
【0015】
より具体的に言うと、四角形(長方形)の開口部11は、その長辺を天板部10の長辺と同じ向きに揃えて配置・形成されている。そして、
図3に示すように、天板部10の裏面側には、開口部11の下方に相当する位置に、トレイ部2(のフランジ部23、23)がビス等によって固定されている。
【0016】
このトレイ部2は、
図3に示すように、金属板等によって全体が底面を有する枠体として構成されている。より具体的に言うと、トレイ部2は、底面部21と、4本の柱部22、・・・と、設置された状態で水平に延びるフランジ部23と、下部の側面部24、24及び上部の側面部25、25と、から構成されている。そして、底面部21と下部の側面部24、24とによって、浅いコ字状の容器部分が構成されており、この容器部分に電源タップなどが収容されるのである。
【0017】
そして、本実施例のフランジ部23、23は、天板部10への取付機能とは別に、フタ部3(フタ片31、32)を支持する機能を有している。すなわち、フランジ部23、23によって、開口部11に嵌合された第1のフタ片31及び第2のフタ片32の幅方向の両側縁が支持されるようになっている。すなわち、トレイ部2の内部の幅(短辺方向の長さ)は、開口部11の幅(短辺方向の長さ)よりも所定幅だけ短くなっており、開口部11の内部に露出して延びる左右のフランジ部23、23に、フタ片31、32が載置されるように構成されている。
【0018】
さらに、後述するが、第1のフタ片31の長さ及び第2のフタ片32の長さは、トレイ部2の側面の隙間の高さよりも長くされて、隙間を通じて落下しないようになっている。逆に言うと、トレイ部2の下部の側面部24と上部の側面部25の隙間は、フタ片31、32が落下しない程度の長さに調整されている。
【0019】
そして、本実施のフタ部3は、
図4(a)~(c)に示すように、2つのフタ片31、32に分割されている。これらの第1のフタ片31と第2のフタ片32は、略同一の形状とされている。すなわち、第1のフタ片31は、天板部10と同じ素材・同じ厚さの板材によって、全体として長方形の板片として形成されている。なお、ここでは2つに分割されるものとして説明したが、2分割に限定されるものではなく、フタ部3は3つ以上に分割することもできる。
【0020】
そして、このフタ片31、32の長さを合計したフタ部3の長辺方向の長さは、
図4(c)に示すように、開口部11の長辺方向の長さと略同一となっている。より具体的に言うと、第1のフタ片31の鋭角縁31b側の長さと、第2のフタ片32の鋭角縁32b側の長さと、を合計すると、開口部11の長さと略同一(又は数ミリ程度は短くすることも可能)の長さとなっている。
【0021】
さらに、本実施例の2つのフタ片31、32の向かい合う端面は、
図4(b)に示すように、斜面31a、32aとなっている。それぞれの斜面31a(32a)の先端側は鋭角縁31b(32b)となるとともに、斜面31aの基部側は鈍角縁31c(32c)となる。そして、本実施例の第1のフタ片31の斜面31aの傾斜角度と第2のフタ片32の斜面32aの傾斜角度は略同一の角度となっている。
【0022】
具体的に言うと、例えば、両方の傾斜角度ともに45度とすることができる。ただし、傾斜角度は、45度に限定されるものではなく、30度であってもよいし、60度であってもよいし、どのような角度であってもよい。この傾斜角度は、実際には、天板部10の板厚と、必要な隙間の長さ(幅)と、から規定することも可能である。
【0023】
このように、対向する端面が斜面31a、32aとなっていることで、後述するように、第1のフタ片31の斜面31aの鋭角縁31bと第2のフタ片32の斜面32aの鈍角縁32cとが接近された開状態と、第1のフタ片31の斜面31aの鋭角縁32bと第2のフタ片32の斜面32aの鋭角縁32bとが接近された閉状態と、の2つの状態に組み合わせることができるのである。
【0024】
(机の配線収容方法の手順)
次に、
図5、
図6を用いて、本実施例の机の配線収納方法の手順について説明する。
【0025】
はじめに
図5を用いて、閉状態から開状態への変化の手順について説明する。この手順では、以下に示すようにS1~S6の6つの工程がこの順で実施される。
【0026】
1:机の配線収納構造Sを準備する工程(S1)
すなわち、上述した特徴を有する机1、トレイ部2、フタ部3を製造し、組み立てておく。さらに、事前に電源タップ等(LANケーブル等も)をトレイ部2に設置しておく。
2:開口部11において、第1のフタ片31の鋭角縁31bと第2のフタ片32の鋭角縁32bを接合して、フタ部3を閉状態とする工程(S2)
このように組み合わせれば、第1のフタ片31と第2のフタ片32の長さが、開口部11の長さと略一致し、開口部11を閉塞することになる。この状態については、
図7を用いて後述する。
3:開口部11から第1のフタ片31及び/又は第2のフタ片32を取り除いて、トレイ部2の内部にアクセス可能とする工程(S3)
例えば、電源タップ等にプラグ等を挿す前提として、長さ方向の端部を押して反対側の端部を持ち上げて、少なくとも一方のフタ片31、32を手で取外しておく。取り外したフタ片32は、天板部10上に載置しておく。
【0027】
4:配線をトレイ部2の内部まで接続する工程(S4)
例えば、電源タップ等にプラグ等を挿す。または、LANケーブルを取り出してPCに接続する。
5:配線を開口部11の一方側に寄せる工程(S5)
電源コードやLANケーブルは、開口部11の片側に寄せておくことで、次工程を実施しやすくなる。
6:開口部11において、開口部11の一方側を空けつつ、第2のフタ片32を反転させて、第1のフタ片31の鋭角縁31bと第2のフタ片32の鈍角縁32cを接合して、フタ部3を開状態とする工程(S6)
つまり、電源コードやLANケーブルを避けつつ、片方のフタ片32のみを反転させて、第1のフタ片31の斜面31aの下に、第2のフタ片32の斜面32aをスライド移動させて接合させる。この状態については、
図8を用いて後述する。
【0028】
以上のように、ステップS1~S6を実施することで、一方のフタ片32のみを反転させて再度配置してスライド移動させて、フタ部3を閉状態から開状態へ変化させることができる。
【0029】
次に、
図6を用いて、開状態から閉状態への変化の手順について説明する。この手順では、以下に示すようにS7~S9の3つの工程がこの順で実施される。初期状態は、前述したステップS6であり、これに続いて以下の各工程がこの順で実施される。
【0030】
1:開口部11から第1のフタ片31及び/又は第2のフタ片32を取り除いて、トレイ部2の内部にアクセス可能とする工程(S7)
例えば、電源タップ等からプラグ等を外す前提として、隙間から手を入れて、少なくとも一方のフタ片31、32を手で取外しておく。取り外したフタ片32は、天板部10上に載置しておく。
2:配線をトレイ部2の内部から取り外す工程(S8)
例えば、電源タップ等からプラグ等を抜く。または、PCに接続されたLANケーブルを取り出してトレイ部2の内部に再び収容する。
3:開口部11において、第2のフタ片32を反転させて、第1のフタ片31の鋭角縁31bと第2のフタ片32の鋭角縁32bを接合して、フタ部3を閉状態とする工程(S9)
このように組み合わせれば、第1のフタ片31と第2のフタ片32の長さが、開口部11の長さと略一致し、開口部11を閉塞することになる。この状態については、
図7を用いて後述する。
【0031】
以上のように、ステップS7~S9を実施することで、一方のフタ片32のみを反転させて再度配置させて、フタ部3を開状態から閉状態へ変化させることができる。
【0032】
(作用)
次に、
図7~
図11を用いて、本実施例の机の配線収納構造の作用について説明する。
【0033】
まず、
図7(a)、(b)を用いて、机の配線収納構造Sの閉状態について説明する。この状態は、2つのフタ片31、32の両方が、長さが長い面(鋭角縁31b、32bのある面)を上側にした状態で設置される。なお、
図7とは異なり、鋭角縁31b、32bどうしが接合していない状態で組合わせることもできる。
【0034】
次に、
図8(a)、(b)を用いて、机の配線収納構造Sの開状態(片寄せ)について説明する。この状態は、2つのフタ片31、32のうち、一方のフタ片31が、長さが長い面(鋭角縁31b)を上側にし、他方のフタ片32が、長さが短い面(鈍角縁32cのある面)を上側にした状態で設置される。このように組み合わせることによって、斜面31a(32a)の投影長さの分だけ、フタ部3全体の長さが短くなるため、開口部11にこれに相当する隙間が形成される。フタ部3は、開口部11の片側に寄せられている。
【0035】
次に、
図9(a)、(b)を用いて、机の配線収納構造Sの開状態(中央寄せ)について説明する。この状態は、2つのフタ片31、32のうち、一方のフタ片31が、長さが長い面(鋭角縁31b)を上側にし、他方のフタ片32が、長さが短い面(鈍角縁32cのある面)を上側にした状態で設置される。このように組み合わせることによって、斜面31a(32a)の投影長さの分だけ、フタ部3全体の長さが短くなるため、開口部11にこれに相当する隙間が形成される。フタ部3は、開口部11の中央に寄せられている。
【0036】
次に、
図10(a)、(b)を用いて、机の配線収納構造Sの片方のフタ片を立掛けた状態について説明する。この状態は、2つのフタ片31、32のうち、一方のフタ片31は開口部11の半分を塞ぐが、他方のフタ片32は取り外されて、トレイ部2の内部に立て掛けられている。結果として、取り外された第2のフタ片32が天板部10上に露出することなく、開口部11の半分の広い面積が開口している。
【0037】
次に、
図11(a)、(b)を用いて、机の配線収納構造Sの両方のフタ片を立掛けた状態について説明する。この状態は、2つのフタ片31、32のうち、両方のフタ片31、32が取り外されて、トレイ部2の内部に立て掛けられている。結果として、取り外されたフタ片31、32が天板部10上に露出することなく、開口部11の全体の広い面積が開口している。
【0038】
(効果)
次に、本実施例の机の配線収納構造S及び机の配線収納方法の奏する効果を列挙して説明する。
【0039】
(1)上述してきたように、本発明の机の配線収納構造Sは、開口部11を有する天板部10と、天板部10に取り付けられて、開口部11の下方で配線を受けるトレイ部2と、開口部11に嵌合されるフタ部3であって、2つのフタ片31、32に分割されるとともに、2つのフタ片31、32の向かい合う端面が斜面31a、32aを有している、フタ部3と、を備えており、フタ部3は、第1のフタ片31の斜面31aの鋭角縁31bと第2のフタ片32の斜面32aの鈍角縁32bとが接近された開状態と、第1のフタ片31の斜面31aの鋭角縁31bと第2のフタ片32の斜面32aの鋭角縁32bとが接近された閉状態と、の2つの状態をとるようにされている。このような簡単な構造の机の配線収納構造であれば、第1のフタ片31と第2のフタ片32とを組み替えることによって、使用時には開口部11に隙間を形成し、未使用時には開口部11を閉塞することができる。
【0040】
(2)また、第1のフタ片31の鋭角縁31b側の長さと、第2のフタ片32の鋭角縁32b側の長さと、を合計すると、開口部11の長さと略同一の長さとなっているため、開口部11を完全に閉塞することができる。
【0041】
(3)さらに、第1のフタ片31の斜面31aの傾斜角度と第2のフタ片32の斜面32aの傾斜角度が略同一の角度となっているため、閉状態での接合状態が安定するとともに、いずれのフタ片31、32を反転させても表面に隙間が生じることがない。
【0042】
(4)また、トレイ部2は、開口部11に嵌合された第1のフタ片31及び第2のフタ片32の幅方向の両側縁を支持するフランジ部23、23を有しているため、トレイ部2を天板部10の裏面に取り付けることによって、フランジ部23、23を開口部11に露出させて、フタ片31、32を支持することができる。
【0043】
(5)さらに、第1のフタ片31の長さ及び第2のフタ片32の長さは、トレイ部2の側面の隙間の高さよりも長くされて、隙間を通じて落下しないようになっているため、トレイ部2内にフタ片31、32を収容した際の落下を防ぎ、結果としてフタ片31、32を収容しやすくなっている。
【0044】
(6)また、天板部10の表面とフタ部3の表面及び裏面とは、同じ意匠とされているため、外観が整って美観を生じるとともに、開口部11を形成した際に生じる部材を、フタ片31、32として利用できるため、材料のロスを防止できる。
【0045】
(7)あるいは、別形態の机の配線収納構造Sは、開口部11を有する天板部10と、天板部10に取り付けられて、開口部11の下方で配線を受けるトレイ部2と、開口部11に嵌合されるフタ部4であって、2つのフタ片41、42に分割されるとともに、2つのフタ片41、42の向かい合う端面が互いに嵌合する凹凸部を有している、フタ部4と、を備えていることも好ましい。そして、このフタ部4は、
図12に示すように、第1のフタ片41の凸部41aと第2のフタ片42の凹部42bとが接合された開状態と、第1のフタ片41の凸部41aと第2のフタ片42の凸部42aとが接合された閉状態と、の2つの状態をとるように構成することができる。このような簡単な構造の机の配線収納構造であれば、第1のフタ片41と第2のフタ片42とを組み替えることによって、使用時には開口部11に隙間を形成し、未使用時には開口部11を閉塞することができる。
【0046】
(8)また、本発明の机の配線収納方法は、開状態にする際には、上述したいずれかに記載された机の配線収納構造Sを準備する工程(S1)と、開口部11において、第1のフタ片31の鋭角縁31bと第2のフタ片32の鋭角縁32bを接合して、フタ部3を閉状態とする工程(S2)と、開口部11から第1のフタ片31及び/又は第2のフタ片32を取り除いて、トレイ部2の内部にアクセス可能とする工程(S3)と、配線をトレイ部2の内部まで接続し(S4)、開口部11の一方側に寄せる工程(S5)と、開口部11において、開口部11の一方側を空けつつ、第2のフタ片32を反転させて、第1のフタ片31の鋭角縁31bと第2のフタ片32の鈍角縁32cを接合して、フタ部3を開状態とする工程(S6)と、をこの順で備えている。このような簡単な構造の机の配線収納方法であれば、第1のフタ片31と第2のフタ片32とを組み替えることによって、使用時に開口部11に隙間を形成することができる。
【0047】
(9)また、本発明の机の配線収納方法は、閉状態にする際には、開口部11から第1のフタ片31及び/又は第2のフタ片32を取り除いて、トレイ部2の内部にアクセス可能とする工程(S7)と、配線をトレイ部2の内部から取り外す工程(S8)と、開口部11において、第2のフタ片32を反転させて、第1のフタ片の鋭角縁31bと第2のフタ片32の鋭角縁32bを接合して、フタ部3を閉状態とする工程(S9)と、をこの順で備えている。このような簡単な構造の机の配線収納方法であれば、第1のフタ片31と第2のフタ片32とを組み替えることによって、未使用時に開口部11を閉塞することができる。
【0048】
以上、図面を参照して、本発明の実施例を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0049】
例えば、実施例では、特に説明しなかったが、
図12に示すように、フタ部4は、開口部11に嵌合されるフタ部4であって、2つのフタ片41、42に分割されるとともに、2つのフタ片41、42の向かい合う端面が互いに嵌合する凹凸部を有している、フタ部4と、を備えている。そして、このフタ部4は、
図12に示すように、第1のフタ片41の凸部41aと第2のフタ片42の凹部42bとが接合された開状態と、第1のフタ片41の凸部41aと第2のフタ片42の凸部42aとが接合された閉状態と、の2つの状態をとるように構成することができる。
【0050】
また、実施例では、フタ部3が隙間なく完全に開口部11を閉塞するものとして説明したが、これに限定されるものではなく、数mm程度の隙間を含むものであっても当然に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0051】
S :配線収納構造
1 :机
10 :天板部
11 :開口部
12 :脚部
2 :トレイ部
21 :底面部
22 :柱部
23 :フランジ部
24 :側面部(下部)
25 :側面部(上部)
3 :フタ部
31 :第1のフタ片
31a :斜面
31b :鋭角縁
31c :鈍角縁
32 :第2のフタ片
32a :斜面
32b :鋭角縁
32c :鈍角縁
4 :フタ部
41 :第1のフタ片
41a :凸部
42 :第2のフタ片
42b :凹部
【要約】
【課題】簡単な構造であり、かつ、未使用時に開口部を閉塞することのできる、机の配線収納構造を提供する。
【解決手段】机の配線収納構造Sは、開口部11を有する天板部10と、天板部10に取り付けられて、開口部11の下方で配線を受けるトレイ部2と、開口部11に嵌合されるフタ部3であって、2つのフタ片31、32に分割されるとともに、2つのフタ片31、32の向かい合う端面が斜面31a、32aを有している、フタ部3と、を備えており、フタ部3は、第1のフタ片31の斜面31aの鋭角縁31bと第2のフタ片32の斜面32aの鈍角縁32bとが接近された開状態と、第1のフタ片31の斜面31aの鋭角縁31bと第2のフタ片32の斜面32aの鋭角縁32bとが接近された閉状態と、の2つの状態をとるようにされている。
【選択図】
図1