(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】電力増幅用半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/338 20060101AFI20241023BHJP
H01L 29/812 20060101ALI20241023BHJP
H01L 29/778 20060101ALI20241023BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20241023BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
H01L29/80 E
H01L29/80 H
H01L29/80 F
H01L29/80 L
H01L27/04 P
(21)【出願番号】P 2024507629
(86)(22)【出願日】2023-02-17
(86)【国際出願番号】 JP2023005728
(87)【国際公開番号】W WO2023176312
(87)【国際公開日】2023-09-21
【審査請求日】2024-06-20
(31)【優先権主張番号】P 2022044441
(32)【優先日】2022-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520133916
【氏名又は名称】ヌヴォトンテクノロジージャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】西尾 明彦
(72)【発明者】
【氏名】土居 寛之
【審査官】戸川 匠
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第113793870(CN,A)
【文献】特開2016-219632(JP,A)
【文献】特開2021-077797(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0144969(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2022/0020872(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/338
H01L 21/822
H01L 27/04
H01L 29/778
H01L 29/812
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に設けられた第1窒化物半導体層と、
前記第1窒化物半導体層上に設けられ、前記第1窒化物半導体層と比べてバンドギャップが大きい第2窒化物半導体層と、
前記第1窒化物半導体層と前記第2窒化物半導体層との界面の前記第1窒化物半導体層側に設けられた二次元電子ガス層と、
前記第1窒化物半導体層の上方に間隔を空けて設けられ、それぞれが前記二次元電子ガス層に電気的に接続されたソース電極およびドレイン電極と、
前記ソース電極および前記ドレイン電極と間隔を空けて設けられ、前記第2窒化物半導体層に接触するゲート電極と、
前記ソース電極と同電位であり、前記ゲート電極と前記ドレイン電極との間に前記ドレイン電極側の端部を有するフィールドプレートを備え、
前記基板の平面視で、前記基板は、前記二次元電子ガス層がある活性領域と、前記二次元電子ガス層がない非活性領域とに区分され、
前記活性領域に、
前記ソース電極、前記ドレイン電極および前記ゲート電極を含む高電子移動度トランジスタと、
前記第2窒化物半導体層の上方に設けられた温度検知用の抵抗体と、を有し、
前記非活性領域に、
前記ドレイン電極または前記ゲート電極に接続された第1端子パッドと、
前記抵抗体に接続された第2端子パッドと、を有する
電力増幅用半導体装置。
【請求項2】
前記平面視において、前記抵抗体の長辺方向は、前記ゲート電極の延在方向である第1方向である
請求項1に記載の電力増幅用半導体装置。
【請求項3】
前記フィールドプレートを前記第2窒化物半導体層の上方に備え、
前記抵抗体の全体は、前記基板の断面視で、前記ゲート電極の前記ドレイン電極側の端部の最下点と前記フィールドプレートの前記ドレイン電極側の端部の最下点とを通る仮想直線より前記ゲート電極側に配置され、
前記抵抗体の前記ソース電極側の端部は、前記ソース電極の前記ドレイン電極側の端部より前記ドレイン電極側に配置されている
請求項2に記載の電力増幅用半導体装置。
【請求項4】
前記平面視における前記第1方向と直交する第2方向において、前記抵抗体の前記ドレイン電極側の端部は、前記フィールドプレートの前記ドレイン電極側の端部より前記ソース電極側に配置されている
請求項
2または3に記載の電力増幅用半導体装置。
【請求項5】
前記平面視における前記第1方向と直交する第2方向において、前記抵抗体の前記ソース電極側の端部は、前記フィールドプレートの前記ソース電極側の端部より前記ドレイン電極側に配置されている
請求項
2または3に記載の電力増幅用半導体装置。
【請求項6】
前記平面視において、前記第1方向と直交する第2方向における前記活性領域の長さをL1とすると、
前記第2方向において、前記抵抗体は前記活性領域の中心からL1/8以内の範囲に配置されている
請求項2
または3に記載の電力増幅用半導体装置。
【請求項7】
前記抵抗体は、第1抵抗体と第2抵抗体とを含み、
前記平面視での前記第2方向において、前記第1抵抗体は前記活性領域の中心からL1/8以内の範囲に配置され、かつ、前記第2抵抗体は前記中心からL1/8より外側の範囲に配置されている
請求項6に記載の電力増幅用半導体装置。
【請求項8】
前記平面視において、前記活性領域の前記第1方向の長さをL2とすると、
前記抵抗体は、前記第1方向の長さがL2/2未満である、
請求項2
または3に記載の電力増幅用半導体装置。
【請求項9】
前記平面視での前記第1方向において、前記抵抗体は前記活性領域の中心からL2/4以内の範囲に配置されている
請求項8に記載の電力増幅用半導体装置。
【請求項10】
前記抵抗体は、第1抵抗体と第2抵抗体とを含み、
前記平面視での前記第1方向において、前記第1抵抗体は前記活性領域の中心からL2/4以内の範囲に配置され、かつ、前記第2抵抗体は前記中心からL2/4より外側の範囲に配置されている
請求項9に記載の電力増幅用半導体装置。
【請求項11】
前記平面視において、前記活性領域の前記第1方向の長さをL2とすると、
前記抵抗体は、前記第1方向の長さがL2/2以上である
請求項2
または3に記載の電力増幅用半導体装置。
【請求項12】
前記抵抗体は、前記第1方向の長さがL2以上であり、前記非活性領域まで配置されている
請求項11に記載の電力増幅用半導体装置。
【請求項13】
前記平面視において、前記抵抗体の長辺方向は、前記ゲート電極の延在方向である第1方向と直交する第2方向である
請求項1に記載の電力増幅用半導体装置。
【請求項14】
前記平面視において、前記第1方向の前記活性領域の長さをL2とすると、
前記平面視での前記第1方向において、前記抵抗体は前記活性領域の中心からL2/4以内の範囲に配置されている
請求項13に記載の電力増幅用半導体装置。
【請求項15】
前記抵抗体は、第1抵抗体と第2抵抗体とを含み、
前記平面視での前記第1方向において、前記第1抵抗体は前記活性領域の中心からL2/4以内の範囲に配置され、かつ、前記第2抵抗体は前記中心からL2/4より外側の範囲に配置されている
請求項14に記載の電力増幅用半導体装置。
【請求項16】
前記抵抗体は、複数設けられている
請求項1から
3、13から15のいずれか1項に記載の電力増幅用半導体装置。
【請求項17】
前記平面視において、
前記第1端子パッドは、前記ゲート電極の延在方向において、前記活性領域と並ぶ前記非活性領域に配置され、
前記第2端子パッドは、前記延在方向と直交方向において、前記活性領域と並ぶ前記非活性領域されている
請求項1から
3、13から15のいずれか1項に記載の電力増幅用半導体装置。
【請求項18】
前記抵抗体の一端は、前記ソース電極と同電位である
請求項1から
3、13から15のいずれか1項に記載の電力増幅用半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力増幅用半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
III―V族系半導体、特にヒ素系のGaAsもしくはAlGaAs、または、窒化物系のGaNもしくはAlGaNは、AlGaAs/GaAs、AlGaN/GaN等のヘテロ構造を容易に形成することが可能である。III族窒化物半導体の場合は、バンドギャップの差に加えて、イオン半径の違いによる自発分極またはAlGaNとGaNとの格子定数差から発生するピエゾ分極による固定電荷により、AlGaAs/GaAsのGaAs側、AlGaN/GaN界面のGaN層側に高移動度、かつ高濃度な電子のチャネル(二次元電子ガス:2DEG(Dimensional Electron Gas))を発生させることができる。この二次元電子ガスをチャネルとして制御することにより高電子移動度トランジスタ(HEMT:High Electron Mobility Transistor)を形成することが可能となる。この高移動度による高速動作を活かし、増幅アンプやスイッチング素子といった高周波用デバイスとしての応用が広がっている。
【0003】
近年は、特に携帯電話用基地局向けに高周波増幅用アンプとしての実用化が進んでおり、携帯電話の通信世代の進化とともに、さらなる動作周波数の上昇および出力電力の向上が期待されている。動作周波数の上昇または出力電力の向上は、高周波増幅用アンプとして用いられるデバイス(例えば、トランジスタ)自身から発生する熱量の増加につながる。
【0004】
特許文献1には、トランジスタのわきに温度センサが取り付けられた半導体装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、動作中のトランジスタ温度を応答性良く検知し、トランジスタ自身から発生する熱量を制御することが求められている。しかしながら、特許文献1に記載の従来技術では、応答性良く温度検知を行うことが困難である。
【0007】
そこで、本開示は、トランジスタの温度を応答性良く検知することができる電力増幅用半導体装置(高周波増幅用半導体装置)を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る電力増幅用半導体装置は、基板と、前記基板上に設けられた第1窒化物半導体層と、前記第1窒化物半導体層上に設けられ、前記第1窒化物半導体層と比べてバンドギャップが大きい第2窒化物半導体層と、前記第1窒化物半導体層と前記第2窒化物半導体層との界面の前記第1窒化物半導体層側に設けられた二次元電子ガス層と、前記第1窒化物半導体層の上方に間隔を空けて設けられ、それぞれが前記二次元電子ガス層に電気的に接続されたソース電極およびドレイン電極と、前記ソース電極および前記ドレイン電極と間隔を空けて設けられ、前記第2窒化物半導体層に接触するゲート電極と、を備え、前記基板の平面視で、前記基板は、前記二次元電子ガス層がある活性領域と、前記二次元電子ガス層がない非活性領域とに区分され、前記活性領域に、前記ソース電極、前記ドレイン電極および前記ゲート電極を含む高電子移動度トランジスタと、前記第2窒化物半導体層の上方に設けられた温度検知用の抵抗体と、を有し、前記非活性領域に、前記ドレイン電極または前記ゲート電極に接続された第1端子パッドと、前記抵抗体に接続された第2端子パッドと、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様に係る電力増幅用半導体装置によれば、トランジスタの温度を応答性良く検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る高周波増幅用半導体装置の構成を示す平面図である。
【
図2A】
図2Aは、
図1のIIa-IIa線における、高周波増幅用半導体装置の構成を示す断面図である。
【
図2B】
図2Bは、
図1のIIb-IIb線における、高周波増幅用半導体装置の構成を示す断面図である。
【
図3A】
図3Aは、実施の形態1の変形例1に係る高周波増幅用半導体装置の構成の第1例を示す平面図である。
【
図3B】
図3Bは、実施の形態1の変形例1に係る高周波増幅用半導体装置の構成の第2例を示す平面図である。
【
図4A】
図4Aは、実施の形態1の変形例2に係る高周波増幅用半導体装置における抵抗体を配置可能な範囲を示す断面図である。
【
図4B】
図4Bは、実施の形態1の変形例2に係る高周波増幅用半導体装置の構成の第1例を示す断面図である。
【
図4C】
図4Cは、実施の形態1の変形例2に係る高周波増幅用半導体装置の構成の第2例を示す断面図である。
【
図4D】
図4Dは、実施の形態1の変形例2に係る高周波増幅用半導体装置の構成の第3例を示す断面図である。
【
図4E】
図4Eは、実施の形態1の変形例2に係る高周波増幅用半導体装置の構成の第4例を示す断面図である。
【
図4F】
図4Fは、実施の形態1の変形例2に係る高周波増幅用半導体装置の構成の第5例を示す断面図である。
【
図4G】
図4Gは、実施の形態1の変形例2に係る高周波増幅用半導体装置の構成の第6例を示す断面図である。
【
図4H】
図4Hは、実施の形態1の変形例2に係る高周波増幅用半導体装置の構成の第7例を示す断面図である。
【
図4I】
図4Iは、実施の形態1の変形例2に係る高周波増幅用半導体装置の構成の第8例を示す断面図である。
【
図4J】
図4Jは、実施の形態1の変形例2に係る高周波増幅用半導体装置の構成の第9例を示す断面図である。
【
図5】
図5は、実施の形態1の変形例3に係る高周波増幅用半導体装置の構成を示す平面図である。
【
図6A】
図6Aは、実施の形態1の変形例4に係る高周波増幅用半導体装置の構成の第1例を示す平面図である。
【
図6B】
図6Bは、実施の形態1の変形例4に係る高周波増幅用半導体装置の構成の第2例を示す平面図である。
【
図6C】
図6Cは、実施の形態1の変形例4に係る高周波増幅用半導体装置の構成の第3例を示す平面図である。
【
図7A】
図7Aは、実施の形態1の変形例5に係る高周波増幅用半導体装置の構成の第1例を示す平面図である。
【
図7B】
図7Bは、実施の形態1の変形例5に係る高周波増幅用半導体装置の構成の第2例を示す平面図である。
【
図7C】
図7Cは、実施の形態1の変形例5に係る高周波増幅用半導体装置の構成の第3例を示す平面図である。
【
図8A】
図8Aは、実施の形態1の変形例6に係る高周波増幅用半導体装置の構成の第1例を示す平面図である。
【
図8B】
図8Bは、実施の形態1の変形例6に係る高周波増幅用半導体装置の構成の第2例を示す平面図である。
【
図8C】
図8Cは、実施の形態1の変形例6に係る高周波増幅用半導体装置の構成の第3例を示す平面図である。
【
図9】
図9は、実施の形態2に係る高周波増幅用半導体装置の構成を示す平面図である。
【
図10A】
図10Aは、実施の形態2の変形例に係る高周波増幅用半導体装置の構成の第1例を示す平面図である。
【
図10B】
図10Bは、実施の形態2の変形例に係る高周波増幅用半導体装置の構成の第2例を示す平面図である。
【
図11】
図11は、実施の形態1に係る高周波増幅用半導体装置の製造方法を説明するための第1の断面図である。
【
図12】
図12は、実施の形態1に係る高周波増幅用半導体装置の製造方法を説明するための第2の断面図である。
【
図13】
図13は、実施の形態1に係る高周波増幅用半導体装置の製造方法を説明するための第3の断面図である。
【
図14】
図14は、実施の形態1に係る高周波増幅用半導体装置の製造方法を説明するための第4の断面図である。
【
図15】
図15は、実施の形態1に係る高周波増幅用半導体装置の製造方法を説明するための第5の断面図である。
【
図16】
図16は、実施の形態1に係る高周波増幅用半導体装置の製造方法を説明するための第6の断面図である。
【
図17】
図17は、実施の形態1に係る高周波増幅用半導体装置の製造方法を説明するための第7の断面図である。
【
図18A】
図18Aは、実施の形態1に係る高周波増幅用半導体装置の製造方法を説明するための、
図1のIIa-IIa線に対応する第8の断面図である。
【
図18B】
図18Bは、実施の形態1に係る高周波増幅用半導体装置の製造方法を説明するための、
図1のIIb-IIb線に対応する第9の断面図である。
【
図19A】
図19Aは、実施の形態1に係る高周波増幅用半導体装置の製造方法を説明するための、
図1のIIa-IIa線に対応する第10の断面図である。
【
図19B】
図19Bは、実施の形態1に係る高周波増幅用半導体装置の製造方法を説明するための、
図1のIIb-IIb線に対応する第11の断面図である。
【
図20A】
図20Aは、実施の形態1に係る高周波増幅用半導体装置の製造方法を説明するための、
図1のIIa-IIa線に対応する第12の断面図である。
【
図20B】
図20Bは、実施の形態1に係る高周波増幅用半導体装置の製造方法を説明するための、
図1のIIb-IIb線に対応する第13の断面図である。
【
図21A】
図21Aは、実施の形態1に係る高周波増幅用半導体装置の製造方法を説明するための、
図1のIIa-IIa線に対応する第14の断面図である。
【
図21B】
図21Bは、実施の形態1に係る高周波増幅用半導体装置の製造方法を説明するための、
図1のIIb-IIb線に対応する第15の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は、いずれも本開示の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、並びに、ステップ(工程)およびステップ(工程)の順序などは、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の実施形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0012】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、各図において縮尺などは必ずしも一致していない。各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
【0013】
また、本明細書において、高周波増幅用半導体装置の構成における「上」および「下」という用語は、絶対的な空間認識における上方向(鉛直上方)および下方向(鉛直下方)を指すものではなく、積層構造における積層順を基に相対的な位置関係により規定される用語である。また、「上」および「下」という用語は、2つの構成要素が互いに間隔を空けて配置されて2つの構成要素の間に別の構成要素が存在する場合のみならず、2つの構成要素が互いに密着して配置されて2つの構成要素が接する場合にも適用される。
【0014】
また、本明細書および図面において、X軸、Y軸およびZ軸は、右手系の三次元直交座標系の三軸を示している。各実施の形態等では、高周波増幅用半導体装置が有する各層の積層方向をZ軸方向とし、高周波増幅用半導体装置の主面に平行な二軸をX軸およびY軸としている。また、本明細書において「平面視」とは、高周波増幅用半導体装置をZ軸方向から見ることをいう。
【0015】
また、本明細書において、直交、平行、同じ等の要素間の関係性を示す用語、および、矩形等の要素の形状を示す用語、並びに、数値、および、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度(あるいは、10%程度)の差異をも含むことを意味する表現である。
【0016】
(実施の形態1)
[1-1.高周波増幅用半導体装置の構成]
まず、実施の形態1に係る高周波増幅用半導体装置の構成について、
図1、
図2Aおよび
図2Bを参照しながら説明する。
図1は、実施の形態1に係る高周波増幅用半導体装置100の構成を示す平面図である。
図2Aは、
図1のIIa-IIa線における、高周波増幅用半導体装置100の構成を示す断面図である。
図2Bは、
図1のIIb-IIb線における、高周波増幅用半導体装置100の構成を示す断面図である。
【0017】
なお、
図1では、第1配線層801下に配置されるソース電極301、ドレイン電極302、ソース・ドレイン電極接続用開口部801a、ゲート電極接続用開口部801c、第2配線層接続用開口部801d、並びに、第2配線層901下に配置される抵抗体接続用開口部901aについては、位置関係を認識しやすいように、破線で表記している。また、
図1では、識別のため、ソースフィールドプレート電極501をドットハッチングで示しており、抵抗体601を横線のハッチングで示しており、第2配線層901を斜線のハッチングで示しており、その他の第1配線層801等はハッチングなしで示している。なお、実施の形態1の変形例1以降の平面図においても、同様である。
【0018】
図1、
図2Aおよび
図2Bに示すように、高周波増幅用半導体装置100は、基板101と、バッファ層102と、第1窒化物半導体層103と、第2窒化物半導体層104と、第1絶縁層201と、第2絶縁層202と、第3絶縁層203と、第4絶縁層204と、ソース電極301と、ドレイン電極302と、ゲート電極401と、ソースフィールドプレート電極501と、抵抗体601と、活性領域701と、非活性領域704と、第1配線層801と、ソース・ドレイン電極接続用開口部801aと、ソースフィールドプレート電極接続用開口部801bと、ゲート電極接続用開口部801cと、第2配線層接続用開口部801dと、ソースビアホール802と、ドレイン端子803と、ゲート端子804と、第1の抵抗端子805と、第2の抵抗端子806と、第2配線層901と、抵抗体接続用開口部901aとを備える。
【0019】
また、高周波増幅用半導体装置100では、第2窒化物半導体層104と第1窒化物半導体層103とのヘテロ界面の第1窒化物半導体層103側に二次元電子ガス層105が形成される。なお、高周波増幅用半導体装置100は、電力増幅用半導体装置(以降、電力増幅用半導体チップ、または、単にチップと呼ぶことがある)の一例である。
【0020】
基板101は、例えば、Siからなる基板である。基板101は、Siからなる基板に限らず、サファイア(Sapphire)、SiC、GaN、AlN等からなる基板であってもよい。
【0021】
バッファ層102は、基板101上に形成される。バッファ層102は、例えば厚さ2μmのAlNおよびAlGaNの複数の積層構造からなる窒化物半導体層である。バッファ層102は、その他に、GaN、AlGaN、AlN、InGaN、AlInGaN等のIII族窒化物半導体の単層または複数層によって構成されていてもよい。
【0022】
第1窒化物半導体層103は、基板101上に形成される。本実施の形態において、第1窒化物半導体層103は、バッファ層102の上に形成される。第1窒化物半導体層103は、例えば、厚さ200nmのアンドープ(i型)GaNによって構成される。アンドープ(i型)とは、エピタキシャル成長時に不純物が意図的にドーピングされていないことを意味する。第1窒化物半導体層103は、GaNの他に、AlGaN、InGaN、AlInGaN等のIII族窒化物半導体によって構成されていてもよい。また、第1窒化物半導体層103には、アンドープ型(i型)だけでなく、Si等のn型の不純物が含まれていてもよい。
【0023】
第2窒化物半導体層104は、第1窒化物半導体層103上に形成される。第2窒化物半導体層104は、例えば厚さ20nmでAl組成比が25%のアンドープ(i型)AlGaNによって構成される。
【0024】
なお、第2窒化物半導体層104は、AlGaNに限らず、AlN、InGaN、AlInGaN等のIII族窒化物半導体によって構成されていてもよく、また、第2窒化物半導体層104には、n型の不純物が含まれていてもよい。
【0025】
また、第2窒化物半導体層104上にはキャップ層として例えばGaNからなる約1~2nmの厚さの半導体層、SiNからなる約2~5nmの厚さの保護絶縁層等が設けられてもよい。
【0026】
本実施の形態において、第2窒化物半導体層104のバンドギャップは、第1窒化物半導体層103のバンドギャップより大きい。また、アンドープ(i型)AlGaNからなる第2窒化物半導体層104とアンドープ(i型)GaNからなる第1窒化物半導体層103とはヘテロ構造となっている。つまり、第2窒化物半導体層104と第1窒化物半導体層103との界面はヘテロ接合されており、第2窒化物半導体層104と第1窒化物半導体層103との界面にはヘテロ障壁が形成されている。
【0027】
この結果、第1窒化物半導体層103と第2窒化物半導体層104との境界近傍、例えば、第2窒化物半導体層104と第1窒化物半導体層103とのヘテロ界面の第1窒化物半導体層103側(言い換えると、第1窒化物半導体層103内の第2窒化物半導体層104側)に、二次元電子ガス層105が形成される。例えば、二次元電子ガス層105は、第1窒化物半導体層103と第2窒化物半導体層104との界面の第1窒化物半導体層103側に設けられる。
【0028】
なお、第2窒化物半導体層104と第1窒化物半導体層103との間にスペーサ層として、例えばAlNからなる約1~2nmの厚さの半導体層が設けられてもよい。
【0029】
ソース電極301およびドレイン電極302は、第2窒化物半導体層104上において対向するように間隔を空けて設けられている。ソース電極301およびドレイン電極302は、それぞれが第1窒化物半導体層103に電気的に接続されている。ソース電極301およびドレイン電極302は、例えば、Ti膜とAl膜とを順に積層した積層構造からなる多層電極膜であるが、これに限らない。また、ソース電極301およびドレイン電極302は、二次元電子ガス層105と電気的に接続されている(例えばオーミック接続されている)。
【0030】
なお、ソース電極301およびドレイン電極302の下には、第2窒化物半導体層104および/または第1窒化物半導体層103の一部を除去したリセス、Si等のドナーを含んだn型の不純物を含んだコンタクト層等が設けられてもよい。また、n型の不純物を含んだコンタクト層は、プラズマ処理、イオン注入および再成長等により形成されてもよい。
【0031】
ゲート電極401は、第2窒化物半導体層104上における、ソース電極301およびドレイン電極302の間の位置に設けられている。ゲート電極401は、ソース電極301およびドレイン電極302と間隔を空けて設けられている。ゲート電極401は、例えば、Ni膜とAu膜とを順に積層した積層構造からなる多層電極膜であるが、これに限らない。また、ゲート電極401は、二次元電子ガス層105と電気的にショットキー接続されていてもよい。また、ゲート電極401と第2窒化物半導体層104との間に絶縁層を挟んでゲート電極401と第2窒化物半導体層104とを電気的に絶縁する、Metal-Insulator―SemiconductorのいわゆるMIS構造が形成されていてもよい。
【0032】
ゲート電極401は、平面視において、Y軸方向に延在して設けられる。ゲート電極401は、平面視において矩形状であり、長辺方向がY軸方向と平行である。Y軸方向は、第1方向の一例である。
【0033】
ゲート電極401は、例えば、Ni、Ta、Ti、W、TaN、TiN、Pt、Pd、Al、Au、Cu、Agのいずれか、または、少なくとも1つを含む合金であってもよい。また、ゲート電極401は、単層(単層膜)で構成されていてもよいし、積層(積層膜)で構成されていてもよい。
【0034】
第1絶縁層201は、ソース電極301、ドレイン電極302およびゲート電極401上に設けられている。第1絶縁層201は、SiN、SiO2、SiON、AlN、Al2O3、SiC、C(ダイヤモンド)の少なくとも1つを含んで構成され、本実施の形態では、厚さが150nmのSiNによって構成される。また、第1絶縁層201は、単層で構成されていてもよいし、積層で構成されていてもよい。なお、SiC、C(ダイヤモンド)は、所定以上の熱伝導率を有する高熱伝導材料である。
【0035】
ソースフィールドプレート電極501は、ソース電極301と同電位であり、ゲート電極401とドレイン電極302との間にドレイン電極302側の端部を有し、第2窒化物半導体層104の上方に設けられる。具体的には、ソースフィールドプレート電極501は、ゲート電極401のソース電極301側の端部よりもドレイン電極302側であり、ゲート電極401とドレイン電極302との間にドレイン電極302側の端部があるように、第1絶縁層201上に設けられる。また、ゲート電極401は、平面視で見たときにゲート電極401の長辺方向と平行に設けられている。例えば、ソースフィールドプレート電極501は、Ti膜とAl膜とを順に積層した積層構造からなる多層電極膜であるが、これに限らない。
【0036】
ソースフィールドプレート電極501は、ソース・ドレイン電極接続用開口部801aを介してソース電極301と接続する第1配線層801に、ソースフィールドプレート電極接続用開口部801bを介して接続される。ソースフィールドプレート電極501は、フィールドプレートの一例である。
【0037】
ソースフィールドプレート電極501は、例えば、Ni、Ta、Ti、W、TaN、TiN、Pt、Pd、Al、Au、Cu、Agのいずれか、または、少なくとも1つを含む合金であってもよい。また、ソースフィールドプレート電極501は、単層で構成されていてもよいし、積層で構成されていてもよい。なお、Cu、Agは、所定以上の熱伝導率を有する高熱伝導材料である。
【0038】
第2絶縁層202は、第1絶縁層201、ソースフィールドプレート電極501上に設けられている。第2絶縁層202は、SiN、SiO2、SiON、AlN、Al2O3、SiC、C(ダイヤモンド)の少なくとも1つを含んで構成され、本実施の形態では、厚さが100nmのSiNによって構成される。また、第2絶縁層202は、単層で構成されていてもよいし、積層で構成されていてもよい。
【0039】
抵抗体601は、平面視において活性領域701内であり、かつ、断面視において第2窒化物半導体層104上(Z軸プラス側)に設けられ、後述する高周波増幅用トランジスタ(デバイスの一例)の温度を抵抗値変化として検知するための温度検知用の抵抗体である。本実施の形態では、抵抗体601は、第2絶縁層202上に設けられる。また、本実施の形態では、抵抗体601は、ソースフィールドプレート電極501上に設けられる。つまり、平面視において、抵抗体601は、ソースフィールドプレート電極501と少なくとも一部が重なる。また、本実施の形態では、抵抗体601は、平面視においてゲート電極401と少なくとも一部が重なる。例えば、抵抗体601は、平面視において、ソースフィールドプレート電極501およびゲート電極401が重なる領域と、少なくとも一部が重なる。なお、抵抗体601は、平面視において、活性領域701における、ソースフィールドプレート電極501および/またはゲート電極401と重ならない領域には設けられない。
【0040】
抵抗体601は、ソース電極301側(X軸マイナス側)の端部がソースフィールドプレート電極501のソース電極301側(X軸マイナス側)の端部よりもドレイン電極302側(X軸プラス側)に配置される。また、抵抗体601は、ドレイン電極302側(X軸プラス側)の端部がソースフィールドプレート電極501のドレイン電極302側(X軸プラス側)の端部よりもソース電極301側(X軸マイナス側)に配置される。これにより、抵抗体601に起因する寄生容量の増加を抑制することができる。
【0041】
抵抗体601は、平面視において、Y軸方向に延在して設けられる。抵抗体601は、平面視において矩形状であり、長辺方向がY軸方向と平行である。例えば、平面視において、抵抗体601の長辺方向は、ゲート電極401の長辺方向(延在方向)と平行である。言い換えると、抵抗体601の長辺方向は、第1方向である。抵抗体601の平面視形状は、例えば、Y軸方向に長尺な矩形状である。抵抗体601は、Y軸方向に沿って設けられた2つの抵抗体接続用開口部901aを下側から覆うように長尺な矩形状である。なお、抵抗体601の平面視形状は、これに限定らない。
【0042】
抵抗体601の幅(X軸方向の長さ)は、例えば、ソースフィールドプレート電極501の幅(X軸方向の長さ)および/またはゲート電極401の幅(X軸方向の長さ)以下であるが、これに限定らない。また、抵抗体601の厚み(Z軸方向の長さ)は、例えば、ソースフィールドプレート電極501の厚み(Z軸方向の長さ)および/またはゲート電極401の厚み(Z軸方向の長さ)以下であるが、これに限定されない。
【0043】
例えば、抵抗体601は、Ti膜とAl膜とを順に積層した積層構造からなる多層電極膜であるが、TiおよびAlの組み合わせに限らず、Ti、Al、Cu、Ni、Au、Pt、Pd、Ta、W、Si、Hf等の1つの金属からなる単層電極膜であってもよいし、これらの金属を2つ以上組み合わせることによって構成された多層電極膜であってもよいし、これらの金属を合金化した電極膜であってもよいし、これらの金属を窒化または酸化することで得られる導電性化合物であってもよいし、これら導電性化合物と前述の電極膜とを組合せたものであってもよい。また、抵抗体601は、ゲート電極401と同じ金属で構成されていてもよいし、異なる金属で構成されていてもよい。
【0044】
第3絶縁層203は、第2絶縁層202および抵抗体601の上に設けられている。第3絶縁層203は、SiN、SiO2、SiON、AlN、Al2O3、SiC、C(ダイヤモンド)の少なくとも1つを含んで構成され、本実施の形態では、厚さが200nmのSiNによって構成される。また、第3絶縁層203は、単層(単層膜)で構成されていてもよいし、積層(積層膜)で構成されていてもよい。
【0045】
第4絶縁層204は、第3絶縁層203上に設けられている。第4絶縁層204は、SiN、SiO2、SiON、AlN、Al2O3、SiC、C(ダイヤモンド)の少なくとも1つを含んで構成され、本実施の形態では、厚さが200nmのSiNによって構成される。また、第4絶縁層204は、単層(単層膜)で構成されていてもよいし、積層(積層膜)で構成されていてもよい。
【0046】
活性領域701は、平面視において二次元電子ガス層105が存在する領域(基板101上の領域)であり、ゲート電極401の長辺方向と直交する方向をX軸方向とした場合、活性領域701のX軸方向の長さはL1であり、ゲート電極401の長辺方向と平行な方向をY軸方向とした場合、活性領域701のY軸方向の長さはL2である。X軸方向は、平面視における第1方向と直交する方向であり、第2方向の一例である。
【0047】
活性領域701内に、ソース電極301、ドレイン電極302およびゲート電極401を少なくとも含む高周波増幅用トランジスタ(高周波増幅用アンプ)が形成される。本実施の形態では、高周波増幅用トランジスタは、ソース電極301、ドレイン電極302およびゲート電極401に加えてソースフィールドプレート電極501を含んで形成される。
【0048】
非活性領域704は、活性領域701の外側の基板101上の領域であり、二次元電子ガス層105が存在しない領域である。非活性領域704は、例えばHe、B、H、FおよびFeのいずれかを含む分子を注入することにより形成されてもよいし、第2窒化物半導体層104、第1窒化物半導体層103およびバッファ層102の一部を除去し、残った領域にHe、B、H、FおよびFeのいずれかを含む分子を注入することにより形成されてもよい。また、非活性領域704は、第2窒化物半導体層104、第1窒化物半導体層103およびバッファ層102の一部を除去することにより形成されてもよい。なお、二次元電子ガス層105が存在しないとは、電子が完全に存在しないことに加えて、実質的に電子が存在しないことを含む。
【0049】
このように、基板101は、平面視で、二次元電子ガス層105がある活性領域701と、二次元電子ガス層105がない非活性領域704とに区分されている。
【0050】
第1配線層801は、第4絶縁層204上に設けられる。第1配線層801は、Ti層上にAu層を順に積層した積層構造からなる多層金属層であるが、これに限らない。
【0051】
ソース電極301およびドレイン電極302と、第1配線層801との電気的な接続は、第4絶縁層204と第3絶縁層203と第2絶縁層202と第1絶縁層201とに設けられた、ソース電極301およびドレイン電極302に到達するソース・ドレイン電極接続用開口部801aを、第1配線層801が覆うことでなる。
【0052】
ソースフィールドプレート電極501とソース電極301との電気的な接続は、第4絶縁層204と第3絶縁層203と第2絶縁層202とに設けられた、ソースフィールドプレート電極501に達するソースフィールドプレート電極接続用開口部801bを、第1配線層801が覆うことでなる。ソースフィールドプレート電極接続用開口部801bは、平面視において、活性領域701外部の領域(非活性領域704)のうちY軸方向側の領域に形成される。
【0053】
ソース電極301とソースフィールドプレート電極501とは、平面視において、活性領域701外部のY軸方向側に形成された、第4絶縁層204と第3絶縁層203と第2絶縁層202と第1絶縁層201と第2窒化物半導体層104と第1窒化物半導体層103とバッファ層102と基板101とに設けられた、基板101の裏面に到達するソースビアホール802を経由して、基板101の裏面に設けられた裏面金属(図示しない)に接続され、基準電位を持つ。
【0054】
平面視において、非活性領域704のY軸方向側の領域にて、第1配線層801によりドレイン端子803が形成され、当該ドレイン端子803は、ドレイン電極302と接続される。
【0055】
ゲート電極401と第1配線層801(ゲート端子804)との電気的な接続は、平面視において、活性領域701外部のY軸方向側に形成された、第4絶縁層204と第2絶縁層202と第1絶縁層201とに設けられた、ゲート電極401に到達するゲート電極接続用開口部801cを、第1配線層801が覆うことでなる。
【0056】
平面視において、非活性領域704のY軸方向におけるドレイン端子803と反対側(Y軸マイナス側)の領域にて、第1配線層801により、ゲート端子804が形成され、当該ゲート端子804は、ゲート電極401と接続される。
【0057】
第2配線層901は、抵抗体601と、第1の抵抗端子805および第2の抵抗端子806とを接続するための配線層であり、第3絶縁層203と第4絶縁層204との間に設けられる。第2配線層901は、抵抗体601の両端と、抵抗体接続用開口部901aを介して接続される。第2配線層901は、Ti層上にAu層を順に積層した積層構造からなる多層金属層であるが、これに限らない。
【0058】
抵抗体601と第2配線層901との電気的な接続は、第3絶縁層203に設けられた、抵抗体601に達する抵抗体接続用開口部901aを、第2配線層901が覆うことでなる。
【0059】
ドレイン端子803は、活性領域701の外側のうちY軸方向側において、ソース・ドレイン電極接続用開口部801aを介してドレイン電極302と接続する。ドレイン端子803は、第1配線層801からなる。
【0060】
ゲート端子804は、ゲート電極接続用開口部801cを介してゲート電極401と接続する。ゲート端子804は、第1配線層801からなる。
【0061】
ドレイン端子803およびゲート端子804の少なくとも一方は、第1端子パッドの一例である。第1端子パッドは、ワイヤ等を接続することでチップ外部(例えば、実装基板または半導体パッケージ)と電気的に接続する箇所であり、例えば、ドレイン電極302またはゲート電極401に接続されている。また、第1端子パッドは、例えば、非活性領域704のうち、ゲート電極401の延在方向(Y軸方向)において活性領域701と並ぶ領域に配置される。
【0062】
ソースビアホール802は、ソース・ドレイン電極接続用開口部801aを介してソース電極301と接続する第1配線層801と裏面金属とを接続する。
【0063】
第1の抵抗端子805および第2の抵抗端子806は、第2配線層901を介して抵抗体601と接続され、かつ、ワイヤ等により高周波増幅用半導体装置100の外部の温度検知用の処理部または電子部品と接続される。第1の抵抗端子805は、抵抗体601のY軸プラス側の端部(長辺方向の一方の端部)と第2配線層901を介して接続され、第2の抵抗端子806は、抵抗体601のY軸マイナス側の端部(長辺方向の他方の端部)と第2配線層901を介して接続される。言い換えると、抵抗体601の両端のそれぞれが、第1の抵抗端子805および第2の抵抗端子806のいずれかの抵抗端子に接続される。
【0064】
第1の抵抗端子805および第2の抵抗端子806の少なくとも一方は、抵抗体601が接続される第2端子パッドの一例である。例えば、第2端子パッドは、ワイヤ等を接続することでチップ外部(例えば、実装基板または半導体パッケージ)と電気的に接続する箇所であり、非活性領域704のうち、ゲート電極401の延在方向(Y軸方向)と直交方向(X軸方向)において活性領域701と並ぶ領域に配置される。
【0065】
第1の抵抗端子805および第2の抵抗端子806は、活性領域701の外側の領域(非活性領域704)のうちX軸方向側の領域に設けられ、第2配線層901と第2配線層接続用開口部801dを介して接続される。
【0066】
第1の抵抗端子805および第2の抵抗端子806は、例えば、平面視において、活性領域701の外側のX軸方向側の領域のうち、X軸マイナス側の領域に設けられる。例えば、第1の抵抗端子805および第2の抵抗端子806は、高周波増幅用半導体装置100の同じ辺側に設けられる。
【0067】
第1の抵抗端子805および第2の抵抗端子806は、高周波増幅用トランジスタが接続される端子パッド(第1端子パッド)とは異なる端子パッド(第2端子パッド)である。高周波増幅用トランジスタが接続される端子パッドは、ドレイン端子803、ゲート端子804等である。
【0068】
第1の抵抗端子805および第2の抵抗端子806は、例えば、第1配線層801からなる。
【0069】
このように、非活性領域704のY軸方向に配置されるゲート端子804およびドレイン端子803に対して、第1の抵抗端子805および第2の抵抗端子806が非活性領域704のX軸方向側に配置されることで、高周波動作時のゲート端子804からの入力信号およびドレイン端子803からの出力信号を阻害することなく、抵抗体601の抵抗値変化を、応答性良く検知することが可能となる。
【0070】
なお、第1の抵抗端子805および第2の抵抗端子806と第2配線層901との電気的な接続は、非活性領域704にて、第1の抵抗端子805および第2の抵抗端子806と第2配線層901との間の絶縁層に設けられた、抵抗体601の両端からそれぞれ接続された第2配線層901に達する第2配線層接続用開口部801dを第1配線層801(例えば、第1の抵抗端子805および第2の抵抗端子806)が覆うことからなる。
【0071】
上記のように、高周波増幅用半導体装置100では、抵抗体601と、第1の抵抗端子805および第2の抵抗端子806との間に、他の素子(例えば、電子部品)は接続されていない。抵抗体601と、第1の抵抗端子805および第2の抵抗端子806とは、他の電子部品を介さずに接続される。抵抗体601のY軸プラス側の端部と、第1の抵抗端子805とは一方の第2配線層901(配線)を介して直接接続されており、抵抗体601のY軸マイナス側の端部と、第2の抵抗端子806とは他方の第2配線層901(配線)を介して直接接続されている。
【0072】
[1-2.高周波増幅用半導体装置の効果]
上記の本実施の形態に係る高周波増幅用半導体装置100によれば、発熱するトランジスタ(例えば、高周波増幅用トランジスタ)の活性領域701上に温度センサとなる抵抗体601が配置されるので、活性領域701内の温度分布に追従して、動作中のトランジスタの温度変化を応答性良く検知することができる。例えば、高周波増幅用半導体装置100によれば、抵抗体601に最も近い、ゲート電極401のドレイン電極302側の端部付近で発生するトランジスタ動作中の発熱による温度の変化を、抵抗体601の抵抗値変化として、応答性良く検知することが可能となる。また、抵抗体601の位置を第2窒化物半導体層104よりも上に配置し、第1の抵抗端子805および第2の抵抗端子806から出力することで、トランジスタの動作自体に影響を与えることなく、トランジスタの温度を応答性良く検知することが可能となる。なお、応答性が良いとは、活性領域内の温度の変化が温度センサで検知された温度にすぐに反映されることを意味する。
【0073】
なお、特許文献1では、温度センサの位置が非活性領域上であることは開示されているが、発熱源である活性領域上であることは開示されていない。そのため、特許文献1の技術では、応答性の良い温度検知を実現することが困難である。特に、トランジスタ(デバイス)を活性領域内で等間隔に配置した場合、活性領域内の温度分布は、活性領域中心部に発熱が集中しやすい。そのため、特許文献1のように、非活性領域に配置された温度センサでは、活性領域内の温度分布に追従することが困難である。なお、追従とは、温度センサで検知された温度が、現在の活性領域内の実際の温度に近い温度となることが維持されることを意味する。
【0074】
一方、本実施の形態では、平面視において、抵抗体601が活性領域701内に設けられるので、発熱が集中しやすい活性領域701の中心付近の温度の変化を検知しやすい。よって、抵抗体601を用いて得られる温度は、活性領域701内の温度に追従した温度となり得る。
【0075】
以上のように、本実施の形態に係る高周波増幅用半導体装置100は、基板101と、基板101上に設けられた第1窒化物半導体層103と、第1窒化物半導体層103上に設けられ、第1窒化物半導体層103と比べてバンドギャップが大きい第2窒化物半導体層104と、第1窒化物半導体層103と第2窒化物半導体層104との界面の第1窒化物半導体層103側に設けられた二次元電子ガス層105と、第2窒化物半導体層104の上方に間隔を空けて設けられ、それぞれが二次元電子ガス層105に電気的に接続されたソース電極301およびドレイン電極302と、ソース電極301およびドレイン電極302と間隔を空けて設けられ、第2窒化物半導体層104に接触するゲート電極401とを備える。基板101の平面視において、基板101は、二次元電子ガス層105がある活性領域701と、二次元電子ガス層105がない非活性領域704とに区分される。そして、高周波増幅用半導体装置100は、活性領域701にソース電極301、ドレイン電極302およびゲート電極401を含む高周波増幅用トランジスタと、第2窒化物半導体層104の上方に設けられた抵抗体601と、有し、非活性領域704に、ドレイン電極302またはゲート電極401に接続された第1端子パッド(例えば、ドレイン端子803またはゲート端子804)と、抵抗体601が接続された第2端子パッド(例えば、第1の抵抗端子805および第2の抵抗端子806)と、を有する。
【0076】
これにより、高周波増幅用半導体装置100は、発熱する高周波増幅用トランジスタが形成される活性領域701上に温度センサとなる抵抗体601が配置されるので、当該高周波増幅用トランジスタが形成されない非活性領域704上に抵抗体601が配置される場合に比べて、当該高周波増幅用トランジスタの温度変化を応答性良く検知することが可能である。よって、高周波増幅用半導体装置100は、トランジスタの温度を応答性良く検知することができる。
【0077】
なお、第1端子パッドがドレイン電極302またはゲート電極401に接続されるとは、第1端子パッドが各配線を介してドレイン電極302またはゲート電極401と電気的に接続されることを意味する。
【0078】
また、例えば、平面視において、抵抗体601の長辺方向は、ゲート電極401の延在方向(Y軸方向)である第1方向である。つまり、抵抗体601の長辺方向と第1方向とは、と平行である。
【0079】
これにより、特定のゲート電極401の温度を検知可能である。
【0080】
また、例えば、平面視において、第1端子パッドは、ゲート電極401の延在方向において、活性領域701と並ぶ非活性領域704に配置され、第2端子パッドは、当該延在方向と直交方向において、活性領域701と並ぶ非活性領域704に配置されている。
【0081】
これにより、ゲート端子804からの入力信号およびドレイン端子803からの出力信号とチップ内部で干渉することなく、抵抗体601による温度の検知が可能となる。また、チップ外部から、第1端子パッドへの接続ワイヤと第2端子パッドへの接続ワイヤとを分離配置できるので、ワイヤ密集度を低減でき、ひいては、チップ外部での信号干渉を抑制できる。
【0082】
(実施の形態1の変形例1)
本変形例では、実施の形態1に係る高周波増幅用半導体装置100における、抵抗体601の両端と外部接続端子(例えば、第1の抵抗端子805、第2の抵抗端子806、裏面電極、ソースパッド)との接続の他の例について、
図3Aおよび
図3Bを参照しながら説明する。
図3Aおよび
図3Bは、実施の形態1の変形例1に係る高周波増幅用半導体装置の構成の各例を示す平面図である。なお、高周波増幅用半導体装置100A1の構成を
図3Aで示し、高周波増幅用半導体装置100A2の構成を
図3Bで示す。
【0083】
図3Aおよび
図3Bに示すように、抵抗体601の一端は、チップ内部でソース電位に設定されていてもよい。具体的には、
図3Aに示すような、ソース電位に設定された第1配線層801に対する第2配線層接続用開口部801dを介した接続であってもよく、また、
図3Bに示すような、ソース電位に設定されたソースフィールドプレート電極501に対する抵抗体-ソースフィールドプレート電極接続用開口部601aを介した接続であってもよい。これらの何れの場合でも、抵抗体601の他端は第1の抵抗端子805と接続され、第2の抵抗端子806が不要となり、高周波増幅用半導体装置100A1および100A2が有するパッド数を削減できる。高周波増幅用半導体装置100の外部からの抵抗体601を用いた温度検知は、第1の抵抗端子805とソース外部端子(裏面電極、ソースパッド)との間の電気特性を測定すればよい。
【0084】
(実施の形態1の変形例2)
本変形例では、実施の形態1に係る高周波増幅用半導体装置100における、抵抗体601の配置位置について、
図4A~
図4Jを参照しながら説明する。まずは、抵抗体601を配置可能な範囲について、
図4Aを参照しながら説明する。
図4Aは、実施の形態1の変形例2に係る高周波増幅用半導体装置100における抵抗体601を配置可能な範囲を示す断面図である。なお、
図4A~
図4Jでは、
図2A等に示す第4絶縁層204、第1配線層801、ソース・ドレイン電極接続用開口部801a等の記載を省略している。
【0085】
図4Aに示す破線領域Rは、抵抗体601を配置可能な範囲を示す。
図4Aでは、抵抗体601を配置可能な最大の範囲を示している。抵抗体601は、ソース電極301側の端部がソース電極301のドレイン電極302側の端部よりドレイン電極302側(例えば、仮想線602bよりドレイン電極302側)に配置される。また、抵抗体601は、ドレイン電極302側の端部がゲート電極401のドレイン電極302側の端部(点P1)とソースフィールドプレート電極501のドレイン電極302側の端部(点P2)とを通る直線である仮想線602aよりゲート電極401側(X軸マイナス側)に配置される。例えば、抵抗体601のドレイン電極302側の端部は、第2絶縁層202上部の交点P3(例えば、交点P3を通りZ軸に平行な仮想線)よりもソース電極301側(X軸マイナス側)に配置される。仮想線602aは、仮想直線の一例である。
【0086】
破線領域R内に抵抗体601が配置されることで、抵抗体601に最も近い、ゲート電極401のドレイン電極302側の端部付近で発生する、トランジスタ動作中の発熱による温度の変化を選択的に、応答性良く検知することが可能となる。
【0087】
なお、仮想線602aは、ゲート電極401のドレイン電極302側の端部とソースフィールドプレート電極501のドレイン電極302側の端部とを結ぶ線分の延長線でもある。また、仮想線602bは、ソース電極301のドレイン電極302側の端部を通り、Z軸に平行な直線である。
【0088】
以下、
図4Aに示す破線領域R内における抵抗体601の配置例について、
図4B~
図4Jを参照しながら説明する。
図4B~
図4Jは、実施の形態1の変形例2に係る高周波増幅用半導体装置の構成の各例を示す断面図である。なお、高周波増幅用半導体装置100B1の構成を
図4Bで示し、高周波増幅用半導体装置100B2の構成を
図4Cで示し、高周波増幅用半導体装置100B3の構成を
図4Dで示し、高周波増幅用半導体装置100B4の構成を
図4Eで示し、高周波増幅用半導体装置100B5の構成を
図4Fで示し、高周波増幅用半導体装置100B6の構成を
図4Gで示し、高周波増幅用半導体装置100B7の構成を
図4Hで示し、高周波増幅用半導体装置100B8の構成を
図4Iで示し、高周波増幅用半導体装置100B9の構成を
図4Jで示す。
【0089】
図4Bおよび
図4Cに示すように、抵抗体601は、ゲート電極401およびソースフィールドプレート電極501上に配置されていなくてもよい。
【0090】
また、例えば、
図4Bに示すように、抵抗体601のドレイン電極302側の端部が仮想線602aよりもソース電極301側であり、かつ、ソース電極301側の端部がソースフィールドプレート電極501のドレイン電極302側の端部よりもドレイン電極302側に設けられてもよい。例えば、抵抗体601は、平面視において、ドレイン電極302とソースフィールドプレート電極501との間であって、ドレイン電極302およびソースフィールドプレート電極501のそれぞれと重ならない位置に設けられてもよい。
【0091】
また、例えば、
図4Cに示すように、抵抗体601のドレイン電極302側の端部が、ゲート電極401のソース電極301側の端部よりもソース電極301側(X軸マイナス側)であり、かつ、ソース電極301側の端部がソース電極301のドレイン電極302側(X軸プラス側)に設けられていてもよい。例えば、抵抗体601は、平面視において、ソース電極301とゲート電極401との間であって、ソース電極301およびゲート電極401のそれぞれと重ならない位置に設けられてもよい。
【0092】
図4Bおよび
図4Cの例では、抵抗体601の下面(Z軸マイナス側の面)は、ゲート電極401の上面(Z軸プラス側の面)より下方に位置する。
【0093】
また、
図4Dに示すように、抵抗体601のドレイン電極302側の端部が仮想線602aよりソース電極301側であり、かつ、ソース電極301側の端部がソースフィールドプレート電極501のソース電極301側の端部よりドレイン電極302側(例えば、仮想線602dよりドレイン電極302側)に設けられていてもよい。例えば、抵抗体601は、平面視において、ソースフィールドプレート電極501と、ソースフィールドプレート電極501の少なくとも一部およびドレイン電極302の間の領域の一部とを覆うように設けられてもよい。なお、仮想線602dは、ソースフィールドプレート電極501のソース電極301側の端部を通り、Z軸に平行な直線である。
【0094】
また、
図4Eに示すように、抵抗体601のドレイン電極302側の端部が仮想線602aよりソース電極301側であり、かつ、ソース電極301側の端部がゲート電極401のソース電極301側の端部よりドレイン電極302側(例えば、仮想線602eよりドレイン電極302側)に設けられていてもよい。例えば、抵抗体601は、平面視において、ゲート電極401の少なくとも一部と、ソースフィールドプレート電極501と、ソースフィールドプレート電極501およびドレイン電極302の間の領域の一部とを覆うように設けられてもよい。なお、仮想線602eは、ゲート電極401のソース電極301側の端部を通り、Z軸に平行な直線である。なお、抵抗体601は、ソースフィールドプレート電極501の断面形状に沿った断面形状を有していてもよい。抵抗体601は、例えば、階段状であってもよい。
【0095】
また、
図4Fに示すように、抵抗体601のドレイン電極302側の端部がソースフィールドプレート電極501のドレイン電極302側の端部よりソース電極301側(X軸マイナス側)であり、ソース電極301側の端部がソース電極301のドレイン電極302側(X軸プラス側)に設けられていてもよい。
【0096】
また、
図4Gに示すように、抵抗体601のドレイン電極302側の端部がソースフィールドプレート電極501のソース電極301側の端部よりもソース電極301側(例えば、仮想線602dよりソース電極301側)であり、ソース電極301側の端部がソース電極301のドレイン電極302側に設けられていてもよい。また、例えば、抵抗体601のドレイン電極302側の端部がゲート電極401のドレイン電極302側の端部よりもソース電極301側(X軸マイナス側)であってもよい。なお、抵抗体601は、ソースフィールドプレート電極501およびゲート電極401の配置位置および断面形状に沿った断面形状を有していてもよい。抵抗体601は、例えば、階段状であってもよい。
【0097】
また、抵抗体601の少なくとも一部が、ソース電極301のドレイン電極302側の端部と、ゲート電極401のソース電極301側の端部との間に配置される場合、
図4H~
図4Jに示すように、第2絶縁層202から掘り込み202aを設けて、その上に抵抗体601を配置してもよい。掘り込み202aは、平面視において、第2絶縁層202のうちソース電極301およびゲート電極401の間の領域の一部の領域に形成される凹み(貫通孔)である。例えば、
図4H~
図4Jに示すように、抵抗体601の一部が、第1絶縁層201と接触するように設けられてもよい。
【0098】
また、第2絶縁層202からの掘り込み202aの深さを変えることで、抵抗体601が第2絶縁層202の途中にあってもよいし、第1絶縁層201の途中にあってもよい。つまり、掘り込み202aは、第2絶縁層202を貫通しない凹みであってもよいし、第1絶縁層201の一部に達する凹みであってもよい。また、
図4Hに示す配置の場合、抵抗体601は、ソースフィールドプレート電極501を用いて形成されてもよい。つまり、抵抗体601は、ソースフィールドプレート電極501と同時に形成されてもよい。
【0099】
このように、抵抗体601の全体は、基板101の断面視で、ドレイン電極302側の端部がゲート電極401のドレイン電極302側の端部の最下点(点P1)とソースフィールドプレート電極501のドレイン電極302側の端部の最下点(点P2)とを通る直線である仮想線602aよりゲート電極401側(X軸マイナス側)に配置される。ここでの抵抗体601の全体とは、抵抗体601のうち平面視において活性領域701と重なる部分の全体を意味する。また、仮想線602aよりゲート電極401側とは、
図4B~
図4Jに示される抵抗体601の断面部分(ハッチング部分)の全体が仮想線602aよりゲート電極401側であることを意味する。
【0100】
以上のように、本変形例に係る高周波増幅用半導体装置100B1~100B9は、さらにソース電極301と同電位であり、ゲート電極401とドレイン電極302との間にドレイン電極302側の端部を有するソースフィールドプレート電極501を第2窒化物半導体層104の上方に備える。そして、抵抗体601の全体は、断面視で、ゲート電極401のドレイン電極302側の端部の最下点(例えば、
図4Bに示す点P1)とソースフィールドプレート電極501のドレイン電極302側の端部の最下点(例えば、
図4Bに示す点P2)とを通る仮想直線(例えば、仮想線602a)よりゲート電極401側に配置され、抵抗体601のソース電極301側の端部は、ソース電極301のドレイン電極302側の端部よりドレイン電極302側に配置されている。
【0101】
これにより、抵抗体601に最も近いゲート電極401のドレイン電極302側の端部付近で発生する、トランジスタ動作中の発熱による温度の変化を選択的に、応答性良く検知することが可能となる。また、抵抗体601がドレイン電極302側で発生する電界に及ぼす影響を小さくすることができる。
【0102】
また、例えば、平面視における第1方向と直交する第2方向において、抵抗体601のドレイン電極302側の端部は、ソースフィールドプレート電極501のドレイン電極302側の端部よりソース電極301側に配置されている。また、例えば、平面視における第1方向と直交する第2方向において、抵抗体601のソース電極301側の端部は、ソースフィールドプレート電極501のソース電極301側の端部よりドレイン電極302側に配置されている。
【0103】
これにより、抵抗体601に起因する寄生容量の増加を抑制することができる。
【0104】
(実施の形態1の変形例3)
本変形例では、抵抗体601が複数設けられる例について、
図5を参照しながら説明する。
図5は、実施の形態1の変形例3に係る高周波増幅用半導体装置100C1の構成を示す平面図である。
【0105】
図5に示すように、平面視において、活性領域701内に複数の抵抗体が存在していてもよい。
図5の例では、第1の抵抗体603および第2の抵抗体604の2つの抵抗体が設けられる例を示しているが、抵抗体は3つ以上設けられてもよい。また、例えば、第1の抵抗体603と、第2の抵抗体604とは、平面視において、ソース電極301を挟むように設けられるが、これに限定されない。なお、第1の抵抗体603および第2の抵抗体604は、例えば、同じ材料を用いて形成される。また、第1の抵抗体603および第2の抵抗体604の平面視における大きさおよび形状は、例えば、同じである。
【0106】
第1の抵抗体603と、第2の抵抗体604とは、並列に設けられ、それぞれが第2配線層901と接続されている。複数の抵抗体を並列に配置することで、仮に片方の抵抗体が断線していても他方の抵抗体により温度変化を抵抗値変化として検出することが可能となる。
【0107】
また、第1の抵抗体603および第2の抵抗体604のそれぞれは、平面視において、活性領域701のX軸方向の中心から、X軸方向に長さL1/8以内の範囲に設けられる。当該範囲は、活性領域701のX軸方向の中心(一点鎖線Cx)からX軸プラス側にL1/8の位置と、X軸マイナス側にL1/8の位置との間の範囲(例えば、Y軸方向に長尺な矩形状の範囲)である。また、第1の抵抗体603および第2の抵抗体604のそれぞれは、平面視において、活性領域701に、Y軸方向に長さL2/2未満の長さをもって配置される。また、第1の抵抗体603および第2の抵抗体604のそれぞれは、平面視において、より好ましくは、活性領域701のY軸方向の中心から、Y軸方向に長さL2/4以内の範囲に配置される。これにより、第1の抵抗体603と、第2の抵抗体604は、デバイスが等間隔に配置された際に最も発熱が集中する、活性領域701中心付近の温度変化を選択的に抵抗値変化として検出することが可能となる。なお、第1の抵抗体603および第2の抵抗体604の少なくとも一方の活性領域701内におけるY軸方向の長さが、平面視において、L2/2未満であればよい。
【0108】
また、第1の抵抗体603および第2の抵抗体604のそれぞれは、平面視において、ソースフィールドプレート電極501上における活性領域701のY軸方向の中心と重なるように配置されてもよい。第1の抵抗体603および第2の抵抗体604のそれぞれは、平面視において、一点鎖線Cyと重なるように(例えば、一点鎖線Cyを跨ぐように)、ソースフィールドプレート電極501上に配置されてもよい。なお、実施の形態1に係る抵抗体601においても、同様のことが言える。抵抗体601は、一点鎖線Cyと重なるように(例えば、一点鎖線Cyを跨ぐように)、ソースフィールドプレート電極501上に配置されてもよい。
【0109】
なお、一点鎖線Cxは、X軸方向の中心を示しており、活性領域701のX軸方向の端部からの距離がL1/2となる(活性領域701のX軸方向両端からの距離が等しい)直線である。
【0110】
なお、第1の抵抗体603および第2の抵抗体604は、共通の第2端子パッドである、第1の抵抗端子805および第2の抵抗端子806に接続される。
【0111】
以上のように、本変形例に係る高周波増幅用半導体装置100C1が備える抵抗体(例えば、第1の抵抗体603および第2の抵抗体604)は、複数設けられる。
【0112】
これにより、1つの抵抗体が断線していても他の抵抗体により温度変化を抵抗値変化として検出することが可能となるので、高周波増幅用半導体装置100C1の信頼性が向上する。
【0113】
また、例えば、高周波増幅用半導体装置100C1は、平面視において、第1方向(例えば、Y軸方向)と直交する第2方向(例えば、X軸方向)の長さをL1とすると、第2方向において、抵抗体は、活性領域701の中心からL1/8以内の範囲に配置されている。
【0114】
これにより、抵抗体は、デバイスが等間隔に配置された際に最も発熱が集中しやすい活性領域701の中心付近(発熱大部)の温度変化を抵抗値変化として検出することが可能となる。
【0115】
また、例えば、平面視において、活性領域701の第1方向の長さ(つまり、活性領域701における第1方向の長さ)をL2とすると、抵抗体は、第1方向の長さがL2/2未満である。また、例えば、平面視での第1方向において、抵抗体は、活性領域701の中心からL2/4以内の範囲に配置されている。
【0116】
これにより、抵抗体は、デバイスが等間隔に配置された際に最も発熱が集中しやすいゲート電極401のY軸方向における中心付近の温度変化を抵抗値変化として検出することが可能となる。
【0117】
(実施の形態1の変形例4)
本変形例では、複数設けられる抵抗体の他の配置例について、
図6A~
図6Cを参照しながら説明する。
図6A~
図6Cは、実施の形態1の変形例4に係る高周波増幅用半導体装置の構成の各例を示す平面図である。なお、高周波増幅用半導体装置100C2の構成を
図6Aで示し、高周波増幅用半導体装置100C3の構成を
図6Bで示し、高周波増幅用半導体装置100C4の構成を
図6Cで示す。
【0118】
図6A、
図6Bおよび
図6Cに示すように、第1の抵抗体603および第2の抵抗体604は、互いに異なる端子パッドに接続される。具体的には、第1の抵抗体603の両端は、第1の抵抗端子805および第2の抵抗端子806に接続され、第2の抵抗体604の両端は、第3の抵抗端子807および第4の抵抗端子808に接続される。これにより、活性領域701内の任意の2か所の温度変化をそれぞれの抵抗値変化で検出することができる。第3の抵抗端子807および第4の抵抗端子808は、第2端子パッドの一例である。
【0119】
図6A~
図6Cに示すように、第1の抵抗体603は、活性領域701のX軸方向の中心(一点鎖線Cx)から、X軸方向に長さL1/8以内であり、かつ、活性領域701のY軸方向の中心(一点鎖線Cy)から、Y軸方向に長さL2/4以内の範囲に配置される。これにより、高周波増幅用半導体装置100C2~100C4は、活性領域701中心付近の発熱集中部の温度変化を選択的に抵抗値変化として検出することができる。
【0120】
また、
図6Aに示すように、第2の抵抗体604は、第1の抵抗体603より活性領域701のX軸方向の中心からX軸方向側に遠い位置に配置されてもよい。第2の抵抗体604は、活性領域701のX軸方向の中心から、X軸方向に長さL1/8よりも外側の活性領域701内の範囲であり、かつ、活性領域701のY軸方向の中心から、Y軸方向に長さL2/4以内の範囲に配置されてもよい。これにより、高周波増幅用半導体装置100C2~100C4は、デバイスが等間隔に配置された際には、活性領域701の端部付近における発熱が最も集中しやすい活性領域701の箇所の温度変化を、選択的に抵抗値変化として検出することができる。
【0121】
図6Bに示すように、第2の抵抗体604は、活性領域701のX軸方向の中心から、X軸方向に長さL1/8以内であり、かつ、活性領域701のY軸方向の中心から、Y軸方向に長さL2/4よりも外側の活性領域701内の範囲に配置されてもよい。これにより、高周波増幅用半導体装置100C2~100C4は、デバイスが等間隔に配置された際には、活性領域701の中心付近における発熱が最も集中しない活性領域701の箇所の温度変化を、選択的に抵抗値変化として検出することができる。
【0122】
図6Cに示すように、第2の抵抗体604は、活性領域701のX軸方向の中心から、X軸方向に長さL1/8よりも外側の活性領域701内の範囲であり、かつ、活性領域701のY軸方向の中心から、Y軸方向に長さL2/4よりも外側の活性領域701内の範囲に配置されてもよい。これにより、高周波増幅用半導体装置100C2~C4は、デバイスが等間隔に配置された際には、活性領域701の全体において発熱が最も集中しない活性領域701の箇所の温度変化を、選択的に抵抗値変化として検出することができる。
【0123】
以上のように、本変形例に係る高周波増幅用半導体装置100C2が備える抵抗体は、第1の抵抗体603と第2の抵抗体604とを含み、平面視での第2方向において、第1の抵抗体603は、活性領域701の中心からL1/8以内の範囲に配置され、かつ、第2の抵抗体604は、活性領域701の中心からL1/8より外側の範囲に配置されている。
【0124】
これにより、活性領域701のうち、第2方向における発熱が大きい箇所および発熱が小さい箇所それぞれの温度変化を抵抗値変化として検出することが可能である。よって、活性領域701における温度差を検出することが可能である。
【0125】
また、例えば、抵抗体は、第1の抵抗体603と第2の抵抗体604とを含み、平面視での第1方向において、第1の抵抗体603は、活性領域701の中心からL2/4以内の範囲に配置され、かつ、第2の抵抗体604は、活性領域701の中心からL2/4より外側の範囲に配置されている。
【0126】
これにより、活性領域701のうち、第1方向における発熱が大きい箇所および発熱が小さい箇所それぞれの温度変化を抵抗値変化として検出することが可能である。よって、活性領域701における温度差を検知することが可能である。
【0127】
(実施の形態1の変形例5)
本変形例では、抵抗体の長さが実施の形態1等と異なる例について、
図7A~
図7Cを参照しながら説明する。
図7A~
図7Cは、実施の形態1の変形例5に係る高周波増幅用半導体装置の構成の各例を示す平面図である。
図7Aに示す高周波増幅用半導体装置100D1は、
図1に示す高周波増幅用半導体装置100の抵抗体601の長さを長くした構成を有し、
図7Bに示す高周波増幅用半導体装置100D2は、
図5に示す高周波増幅用半導体装置100C1の第1の抵抗体603および第2の抵抗体604の長さを長くした構成を有し、
図7Cに示す高周波増幅用半導体装置100D3は、
図6Aに示す高周波増幅用半導体装置100C2の第1の抵抗体603および第2の抵抗体604の長さを長くした構成を有する。
【0128】
図7Aに示すように、抵抗体601は、活性領域701に、Y軸方向に長さL2/2以上の長さをもって配置されてもよい。また、
図7Bおよび
図7Cに示すように、第1の抵抗体603および第2の抵抗体604は、活性領域701に、Y軸方向に長さL2/2以上の長さをもって配置されてもよい。これらにより、発熱量全体の平均的な温度変化を、抵抗値変化として検出することができる。なお、抵抗体601、第1の抵抗体603および第2の抵抗体604は、活性領域701のY軸方向に長さL2以下であってもよい。
【0129】
以上のように、本変形例に係る高周波増幅用半導体装置100D1~100D3が備える抵抗体は、平面視において、活性領域701の第1方向の長さ(つまり、活性領域701における第1方向の長さ)をL2とすると、第1方向の長さがL2/2以上である。
【0130】
これにより、抵抗体の第1方向の長さがL2/2以上と長いので、ゲート電極401全体の平均的な温度変化を抵抗値変化として検出することが可能となる。
【0131】
(実施の形態1の変形例6)
本変形例では、第2配線層901を備えない構成について、
図8A~
図8Cを参照しながら説明する。
図8A~
図8Cは、実施の形態1の変形例6に係る高周波増幅用半導体装置の構成の各例を示す平面図である。なお、高周波増幅用半導体装置100E1の構成を
図8Aで示し、高周波増幅用半導体装置100E2の構成を
図8Bで示し、高周波増幅用半導体装置100E3の構成を
図8Cで示す。
【0132】
図8Aおよび
図8Bに示すように、抵抗体601は、活性領域701のY軸方向の中心から、Y軸方向に長さL2/2よりも外側の範囲、つまり活性領域701の外側まで配置される。抵抗体601は、活性領域701および非活性領域704を跨いで設けられる。抵抗体601は、例えば、活性領域701のYマイナス側の非活性領域704から活性領域701のYプラス側の非活性領域704にわたって設けられる。
【0133】
また、抵抗体601は、第1の抵抗端子805および第2の抵抗端子806まで延在しており、第2配線層901を介さずに第1の抵抗端子805および第2の抵抗端子806と直接接続されている。抵抗体601の両端から、第1配線層801につながる、抵抗体接続用開口部801eを、第1の抵抗端子805および第2の抵抗端子806が覆うことで、第2配線層901がなくても、本開示を実施することが可能となる。抵抗体接続用開口部801eは、抵抗体601と第1の抵抗端子805および第2の抵抗端子806とを直接接続するための開口部である。抵抗体接続用開口部801eは、第3絶縁層203および第4絶縁層204を貫通する開口である。
【0134】
このような抵抗体601は、Y軸方向に延在する温度検知用として機能する第1部分と、当該第1部分の両端からX軸方向に延在する配線として機能する第2部分とを有する。第2部分は、平面視において、非活性領域704に形成される。
図8Aおよび
図8Bの例では、抵抗体601は、平面視において、U字を反時計周りに90度回転させて角を設けた形状(3つの直線で形成される形状)を有する。
【0135】
また、
図8Cに示すように、第1の抵抗体603および第2の抵抗体604は、活性領域701のY軸方向の中心から、Y軸方向に長さL2/4よりも外側の範囲、例えば、活性領域701の外側まで配置される。第1の抵抗体603および第2の抵抗体604は、活性領域701および非活性領域704を跨いで設けられる。第1の抵抗体603および第2の抵抗体604は、例えば、活性領域701のYマイナス側の非活性領域704から活性領域701のYプラス側の非活性領域704にわたって設けられる。
【0136】
第1の抵抗体603および第2の抵抗体604は、Y軸方向に延在する温度検知用として機能する第1部分と、当該第1部分の両端からX軸方向に延在する配線として機能する第2部分とを有する。第2部分は、平面視において、非活性領域704に形成される。
【0137】
以上のように、本変形例に係る高周波増幅用半導体装置100E1~100E3が備える抵抗体601は、第1方向(例えば、Y軸方向)の長さがL2以上であり、非活性領域704まで配置されている。
【0138】
これにより、抵抗体601と配線層(例えば、第2配線層901)とを接続する場合、構造が複雑である接続部が活性領域701上に形成されないので、配線の乗り換え、つまり抵抗体601と配線層との接続を容易に行うことができる。また、さらに第2配線層901を設けなくても、抵抗体601と第1の抵抗端子805および第2の抵抗端子806とを電気的に接続することができる。よって、高周波増幅用半導体装置100E1~100E3の構成を簡素化することができる。
【0139】
(実施の形態2)
[2-1.高周波増幅用半導体装置の構成]
次に、実施の形態2に係る高周波増幅用半導体装置について、
図9を参照しながら説明する。
図9は、実施の形態2に係る高周波増幅用半導体装置200の構成を示す平面図である。なお、本実施の形態では、実施の形態1と共通または類似の構成要素については、実施の形態1と同一の符号を付し詳細な説明を省略する。
【0140】
図9に示すように、高周波増幅用半導体装置200の抵抗体601は、X軸方向に平行に延在している。抵抗体601は、複数のゲート電極401が並ぶ方向であるX軸方向に長尺な矩形状を有する。そのため、抵抗体601は、複数のゲート電極401に跨って設けられているので、複数のゲート電極401の温度変化を抵抗値変化として検出することができる。本実施の形態では、平面視において、ゲート電極401の長辺方向と、抵抗体601の長辺方向とは交差しており、
図9の例では、直交している。なお、平面視において、抵抗体601と重なる部分には、ソース・ドレイン電極接続用開口部801aは設けられない。
【0141】
抵抗体601は、例えば、平面視において、活性領域701のX軸方向の中心(一点鎖線Cx)から、X軸方向に長さL1/4以内であり、かつ、活性領域701のY軸方向の中心(一点鎖線Cy)から、Y軸方向に長さL2/4以内の範囲に配置される。
【0142】
これにより、複数のゲート電極401に跨って、発熱集中部の温度変化を抵抗値変化として検出することができる。なお、抵抗体601のX軸方向の長さはL1/4以内であることに限定されず、少なくとも2つのゲート電極401を跨がるように設けられていればよい。
【0143】
以上のように、本実施の形態に係る高周波増幅用半導体装置200が備える抵抗体601の長辺方向は、平面視において、ゲート電極401の延在方向である第1方向(例えば、Y軸方向)と直交する第2方向(例えば、X軸方向)である。
【0144】
これにより、抵抗体601は、複数のゲート電極401に跨って設けられているので、複数のゲート電極401の温度変化を抵抗値変化として検出することが可能となる。
【0145】
また、例えば、平面視において、第1方向の活性領域701の長さ(つまり、活性領域701における第1方向の長さ)をL2とすると、平面視での第1方向において、抵抗体601は、活性領域701の中心からL2/4以内の範囲に配置されている。
【0146】
これにより、発熱が集中しやすい活性領域701の中心付近(発熱大部)の複数のゲート電極401の温度変化を抵抗値変化として検出することが可能となる。
【0147】
(実施の形態2の変形例)
本変形例では、X軸方向に平行に配置された抵抗体を複数備える高周波増幅用半導体装置について、
図10Aおよび
図10Bを参照しながら説明する。
図10Aおよび
図10Bは、実施の形態2の変形例に係る高周波増幅用半導体装置の構成の各例を示す平面図である。なお、高周波増幅用半導体装置200Aの構成を
図10Aで示し、高周波増幅用半導体装置200Bの構成を
図10Bで示す。なお、本変形例では、第1の抵抗体603および第2の抵抗体604のそれぞれは、2以上のゲート電極401を跨ぐように設けられる。
【0148】
図10Aおよび
図10Bに示すように、X軸方向に平行に延在する抵抗体が複数存在していてもよい。第1の抵抗体603の両端は、第1の抵抗端子805および第2の抵抗端子806に接続され、第2の抵抗体604の両端は、第3の抵抗端子807および第4の抵抗端子808に接続される。これにより、活性領域701内の2か所の温度変化をそれぞれの抵抗値変化で検出することができる。
【0149】
第1の抵抗体603は、活性領域701のX軸方向の中心(一点鎖線Cx)から、X軸方向に長さL1/4以内であり、かつ、活性領域701のY軸方向の中心(一点鎖線Cy)から、Y軸方向に長さL2/4以内の範囲に配置される。これにより、複数のゲート電極401に跨って、発熱集中部の温度変化を抵抗値変化として検出することができる。
【0150】
図10Aに示すように、第2の抵抗体604は、活性領域701のX軸方向の中心から、X軸方向に長さL1/4よりも外側であり、かつ、活性領域701のY軸方向の中心から、Y軸方向に長さL2/4より外側に配置されてもよい。これにより、複数のゲート電極401に跨って、活性領域701の全体において発熱が最も集中しない箇所の温度変化を抵抗値変化として検出することができる。
【0151】
なお、この場合、第1の抵抗体603および第2の抵抗体604は、互いに異なるゲート電極401を跨ぐように設けられるが、少なくとも1本のゲート電極401をそれぞれが跨ぐように設けられていてもよい。また、第1の抵抗体603のX軸方向の長さと、第2の抵抗体604のX軸方向の長さとは、異なっているが同じであってもよい。例えば、Y軸方向の中心に近い位置に設けられる第1の抵抗体603のX軸方向の長さは、Y軸方向の中心から遠い位置に設けられる第2の抵抗体604のX軸方向の長さより長くてもよい。
【0152】
図10Bに示すように、第2の抵抗体604は、第1の抵抗体603より活性領域701のY軸方向の中心からY軸方向側に遠い位置に配置されてもよい。第2の抵抗体604は、活性領域701のX軸方向の中心から、X軸方向に長さL1/4以内であり、かつ、活性領域701のY軸方向の中心から、Y軸方向に長さL2/4より外側の範囲に配置されてもよい。これにより、複数のゲート電極に跨って、活性領域701の中心付近において発熱が最も集中しない箇所の温度変化を抵抗値変化として検出することができる。
【0153】
なお、この場合、第1の抵抗体603および第2の抵抗体604は、互いに共通の複数のゲート電極401を跨ぐように設けられるが、少なくとも1本が異なるゲート電極401をそれぞれが跨ぐように設けられてもよい。
【0154】
以上のように、本変形例に係る高周波増幅用半導体装置200Aおよび200Bが備える抵抗体は、第1の抵抗体603と第2の抵抗体604とを含み、平面視での第1方向において、第1の抵抗体603は、活性領域701の中心からL2/4以内の範囲に配置され、かつ、第2の抵抗体604は、活性領域701の中心からL2/4より外側の範囲に配置されている。
【0155】
これにより、複数のゲート電極401に跨って、活性領域701内の発熱が集中する箇所および発熱が集中しない箇所それぞれの温度変化を抵抗値変化として検出することが可能となる。
【0156】
(製造方法)
次に、上記のように構成される高周波増幅用半導体装置の製造方法について、
図11~
図21Bを参照しながら説明する。以下では一例として、実施の形態1に係る高周波増幅用半導体装置100の製造方法を説明する。
図11~
図21Bは、実施の形態1に係る高周波増幅用半導体装置100の製造方法を説明するための各断面図であり、製造途上における高周波増幅用半導体装置100の構成を示す断面図である。また、
図18A、
図19A、
図20Aおよび
図21Aは、
図1のIIa-IIa線に対応する断面図であり、
図18B、
図19B、
図20Bおよび
図21Bは、
図1のIIb-IIb線に対応する断面図である。なお、実施の形態1の各変形例、実施の形態2および実施の形態2の変形例に係る高周波増幅用半導体装置についても製造方法は実施の形態1と同じであるため、説明は省略する。
【0157】
図11に示すように、Siからなる基板101上に、有機金属気相成長法(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)を用いて、厚さが2μmでAlNおよびAlGaNの積層構造からなるバッファ層102と、厚さが200nmでi型のGaNからなる第1窒化物半導体層103と、厚さが20nmでAl組成比25%のi型のAlGaNからなる第2窒化物半導体層104とを、+c面方向(<0001>方向)に順次エピタキシャル成長させる。第1窒化物半導体層103と第2窒化物半導体層104とのヘテロ界面の第1窒化物半導体層103側には、二次元電子ガス層105が形成される。
【0158】
次に、
図12に示すように、第2窒化物半導体層104上に、ソース電極301領域とドレイン電極302領域とを開口したフォトレジスト300の開口部に、Tiを20nmとAlを200nmとを蒸着法より順次積層することで、ソース電極301と、ドレイン電極302とが形成される。次に、フォトレジスト300を有機溶剤により除去したのち、RTA(Rapid Theramal Anneal)法にて熱処理による合金化処理を行うことで、ソース電極301とドレイン電極302とが二次元電子ガス層105とオーミック接続される。
【0159】
次に、
図13に示すように、第2窒化物半導体層104上に、ゲート電極401領域を開口したフォトレジスト400の開口部に、Niを50nmとAuを500nmとを蒸着法より順次積層することで、ゲート電極401が形成される。
【0160】
次に、フォトレジスト400を有機溶剤により除去した後に、
図14に示すように、第2窒化物半導体層104、ソース電極301、ドレイン電極302およびゲート電極401の上に、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法により、第1絶縁層201としてSiNを150nm形成する。
【0161】
次に、
図15に示すように、第1絶縁層201上にソースフィールドプレート電極501領域を開口したフォトレジスト500の開口部に、Niを150nmとAuを400nmとを蒸着法より順次積層することで、ソースフィールドプレート電極501が形成される。
【0162】
次に、フォトレジスト500を有機溶剤により除去した後に、
図16に示すように、第1絶縁層201およびソースフィールドプレート電極501の上に、プラズマCVD法により、第2絶縁層202としてSiNを100nm形成する。
【0163】
次に、
図17に示すように、第2絶縁層202上に、抵抗体601領域を開口したフォトレジスト600の開口部に、Alを蒸着法より200nm堆積することで、抵抗体601が形成される。
【0164】
次に、フォトレジスト600を有機溶剤により除去した後に、
図18Aおよび
図18Bに示すように、第2絶縁層202および抵抗体601の上に、プラズマCVD法により第3絶縁層203としてSiNを200nm形成し、抵抗体接続用開口部901aを開口したフォトレジスト900aをその上に形成し、その後にドライエッチにてフォトレジスト900aの開口部の第3絶縁層203を除去する。なお、
図18Aに示すように、第2配線層901が形成されない部分においては、第3絶縁層203は除去されない。
【0165】
次に、アッシングによりフォトレジスト900aを除去した後に、
図19Aおよび
図19Bに示すように、第3絶縁層203および抵抗体接続用開口部901aの上に、第2配線層901領域を開口したフォトレジスト900を形成し、フォトレジスト900の開口部にTiを50nmとAuを50nmとを蒸着法により順次堆積した後に、Auをメッキにて2.0μm形成し、フォトレジスト900を有機溶剤により除去することで、第2配線層901が形成される。
【0166】
次に、
図20Aおよび
図20Bに示すように、第3絶縁層203および第2配線層901の上に、プラズマCVD法により第4絶縁層204としてSiNを200nm形成し、ソース・ドレイン電極接続用開口部801a領域を開口したフォトレジスト800aを形成し、その後にドライエッチにてフォトレジスト800aの開口部の第4絶縁層204、第3絶縁層203、第2絶縁層と202および第1絶縁層201を開口する。
【0167】
次に、アッシングによりフォトレジスト800aを除去した後に、
図21Aおよび
図21Bに示すように、第4絶縁層204およびソース・ドレイン電極接続用開口部801aの上に、第1配線層801領域を開口したフォトレジスト800を形成し、フォトレジスト800の開口部にTiを50nmとAuを50nmとを蒸着法により順次堆積した後に、Auをメッキにて3.0μm形成し、第1配線層801が形成される。また、フォトレジスト800には第1の抵抗端子805および第2の抵抗端子806に対応する位置にも開口部が形成されており、
図21Aおよび
図21Bに示す第1配線層801に加えて第1の抵抗端子805および第2の抵抗端子806が形成される。
【0168】
次に、フォトレジスト800を有機溶剤により除去することで、
図1、
図2Aおよび
図2Bに示される、実施の形態1に係る高周波増幅用半導体装置100が形成される。
【0169】
以上、本開示の1つまたは複数の態様に係る高周波増幅用半導体装置について、実施の形態等に基づいて説明したが、本開示は、この各実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の1つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0170】
例えば、上記実施の形態等に係る高周波増幅用半導体装置は、AB級動作またはB級動作をするキャリアアンプとして用いられてもよいし、C級動作をするピークアンプとして用いられてもよい。例えば、高周波増幅用半導体装置は、キャリアアンプとピークアンプとを組み合わせて構成されるドハティ増幅器に用いられてもよい。
【0171】
また、上記実施の形態等における第1端子パッドおよび第2端子パッドは、高周波増幅用半導体装置の最上部に設けられ、最上位配線層(例えば、第1配線層801や第2配線層901)を覆う絶縁層(図示しない)に開口部が形成され、最上位配線層が露出している部分を指す。当該開口部は、平面視において、第1端子パッドおよび第2端子パッドを含む最上位配線層の形状より小さい開口サイズである。
【0172】
また、上記実施の形態等では、高周波増幅用半導体装置は、第1端子パッドおよび第2端子パッドの面を上向き(実装基板とは反対向き)にして実装基板等に実装する、いわゆるフェースアップ(face up)実装により実装される例について説明したが、第1端子パッドおよび第2端子パッドの面を下向き(実装基板向き)にして実装基板等に実装する、いわゆるフェースダウン(face down)実装により実装されてもよい。
【0173】
例えば、フェースアップ実装の場合は、ソース電位の第1配線層801にソースパッド(図示しない)が第1端子パッドとして形成され、当該ソースパッドと実装基板上のGNDパターンとがワイヤなどで接続されてソース電圧が供給されてもよいし、裏面金属が実装基板のGNDパターンと接続されてソース電圧が供給されてもよい。
【0174】
例えば、フェースダウン実装の場合は、ソース電位の第1配線層801にソースパッドが第1端子パッドとして形成され、当該ソースパッドと実装基板上のGNDパターンとが半田バンプなどで接続されてソース電圧が供給されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0175】
本開示に係る高周波増幅用半導体装置は、動作中の温度変化の検出応答性に優れるため、温度検出技術と組み合わせた通信用増幅器等に有用である。
【符号の説明】
【0176】
100、100A1、100A2、100B1~100B9、100C1~100C4、100D1~100D3、100E1~100E3、200、200A、200B 高周波増幅用半導体装置(電力増幅用半導体装置)
101 基板
102 バッファ層
103 第1窒化物半導体層
104 第2窒化物半導体層
105 二次元電子ガス層
201 第1絶縁層
202 第2絶縁層
202a 掘り込み
203 第3絶縁層
204 第4絶縁層
300、400、500、600、800、800a、900、900a フォトレジスト
301 ソース電極
302 ドレイン電極
401 ゲート電極
501 ソースフィールドプレート電極(フィールドプレート)
601 抵抗体
601a 抵抗体-ソースフィールドプレート電極接続用開口部
602a 仮想線(仮想直線)
602b、602d、602e 仮想線
603 第1の抵抗体(第1抵抗体)
604 第2の抵抗体(第2抵抗体)
701 活性領域
704 非活性領域
801 第1配線層
801a ソース・ドレイン電極接続用開口部
801b ソースフィールドプレート電極接続用開口部
801c ゲート電極接続用開口部
801d 第2配線層接続用開口部
801e、901a 抵抗体接続用開口部
802 ソースビアホール
803 ドレイン端子(第1端子パッド)
804 ゲート端子(第1端子パッド)
805 第1の抵抗端子(第2端子パッド)
806 第2の抵抗端子(第2端子パッド)
807 第3の抵抗端子(第2端子パッド)
808 第4の抵抗端子(第2端子パッド)
901 第2配線層
Cx、Cy 一点鎖線
L1、L2 長さ
P1、P2 点
P3 交点
R 破線領域