(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-23
(45)【発行日】2024-10-31
(54)【発明の名称】バルブユニット、及び、それを備えた水洗大便器
(51)【国際特許分類】
E03D 3/06 20060101AFI20241024BHJP
F16K 31/145 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
E03D3/06
F16K31/145
(21)【出願番号】P 2020183748
(22)【出願日】2020-11-02
【審査請求日】2023-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】岡部 凌平
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 謙治
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-024062(JP,A)
【文献】特開2018-119328(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 1/00- 7/00
E03D 11/00-13/00
F16K 31/12-31/165
F16K 31/36-31/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水洗大便器に洗浄水を給水する給水路に設けられるバルブユニットであって、
上流側及び下流側にそれぞれ設けられる一次側給水路及び二次側給水路と、
上記一次側給水路と上記二次側給水路との間に設けられた主弁と、
上記主弁を圧力により開閉させる圧力室と、
上記圧力室内の圧力を開放可能にする圧力開放部と、を有し、
上記圧力開放部は、上記圧力室に設けられた圧力開放穴と、
この圧力開放穴の軸方向外側に設けられたシール部と、
このシール部の軸方向外側に設けられたガイド部と、
上記シール部内に軸方向に移動可能に設けられ
た圧力開放弁と、
この圧力開放弁に設けられた環状シール部材と、を備えており、
上記シール部は、上記圧力開放穴の下流側に第1開放流路を形成すると共に、この第1開放流路を形成する壁面が上記環状シール部材によりシールされるように構成され、
上記ガイド部は、上記シール部の
上記第1開放流路の下流側に第2開放流路を形成すると共に、上記環状シール部材をガイドするように構成され、
上記圧力開放弁は、その開弁時において上記圧力開放穴に対して軸方向外側に作動することにより、上記環状シール部材を上記シール部から上記ガイド部に移動させると共に、上記圧力室内の圧力を上記圧力開放穴から上記第1開放流路を経て上記第2開放流路に開放可能であり、
上記ガイド部は、上記圧力開放弁が開弁した状態において上記第1開放流路から上記第2開放流路内に流入した水を上記第2開放流路の下流側の第3開放流路に流通させつつ、上記第2開放流路を形成する壁面が上記環状シール部材の位置を規制するように構成されていることを特徴とするバルブユニット。
【請求項2】
上記ガイド部は、上記第2開放流路の壁面に沿って上記シール部よりも軸方向下流側に延びるように形成されており、上記圧力室と上記第2開放流路とを上記圧力開放穴及び上記第1開放流路を介して連通させるように構成されている請求項1記載のバルブユニット。
【請求項3】
上記ガイド部は、その軸方向外側の端部が上記第3開放流路の入口部の上流側を取り囲むように、上記シール部の出口部近傍から下流側に延びている請求項2に記載のバルブユニット。
【請求項4】
上記ガイド部は、上記第2開放流路内の水を周方向から径方向外側の上記第3開放流路に向けて流通可能に形成されている請求項1乃至3の何れか1項に記載のバルブユニット。
【請求項5】
上記ガイド部は、上記第2開放流路を形成する壁面において周方向に所定間隔を置いて設けられた複数のリブを備えている請求項4記載のバルブユニット。
【請求項6】
上記ガイド部は、上記第2開放流路を形成する流路断面の最小直径が、上記シール部の上記第1開放流路を形成する流路断面の最大直径よりも大きく設定されている請求項1乃至5の何れか1項に記載のバルブユニット。
【請求項7】
上記シール部は、その出口部が上流側から下流側に向かって拡径する拡径部を備えており、
上記ガイド部は、上記第2開放流路を形成する壁面における上記拡径部の下流端近傍部分から軸方向外側に延びており、
上記第3開放流路は、その入口部が上記第2開放流路における上記拡径部の下流端近傍部分に配置され、かつ、上記第3開放流路の入口部から下流側に向かって上記ガイド部の径方向外側
に延びている請求項1乃至6の何れか1項に記載のバルブユニット。
【請求項8】
上記請求項1乃至7の何れか1項に記載のバルブユニットを備えた水洗大便器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブユニット、及び、それを備えた水洗大便器に関し、特に、水洗大便器に洗浄水を給水する給水路に設けられるバルブユニット、及び、それを備えた水洗大便器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、水洗大便器に洗浄水を給水する給水路に設けられるバルブユニットとして、例えば、特許文献1に記載されているように、通常時にシールされた圧力室の圧力開放部が開弁して圧力室内の圧力を開放することにより、ダイヤフラム弁を作動させ、下流側の便器装置に洗浄水を供給するものが知られている。
このような特許文献1に記載されている従来のバルブユニットにおいては、圧力室の圧力が開放されると、圧力室内の水を流通させる開放流路が圧力室の下流側に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来のバルブユニットにおいては、圧力室の圧力解放時において、圧力室の圧力開放部を開放した際に、圧力開放部をシールしているシール部材が水圧の影響を受けて変形した状態となる。
そして、圧力室の圧力開放部を再び閉弁する際には、圧力開放弁の閉弁動作と共にシール部材が周囲の壁面と過度に接触し、損傷してしまうおそれがあるという問題がある。
したがって、圧力室の圧力開放部のシール性能が低下し、バルブユニット全体の機能が低下するという問題がある。
したがって、圧力室の圧力開放部における開弁時及び閉弁時において、シール部材が損傷し難い圧力開放部の弁構造をいかに実現するかが、近年要請されている課題となっている。
【0005】
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題及び近年要請されている課題を解決するためになされたものであり、圧力開放弁の開閉動作に関わらず、圧力室の圧力開放部のシール性能の低下を抑制することができ、バルブユニット全体の機能性を確保することができるバルブユニット、及び、それを備えた水洗大便器を提供すること目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、水洗大便器に洗浄水を給水する給水路に設けられるバルブユニットであって、上流側及び下流側にそれぞれ設けられる一次側給水路及び二次側給水路と、上記一次側給水路と上記二次側給水路との間に設けられた主弁と、上記主弁を圧力により開閉させる圧力室と、上記圧力室内の圧力を開放可能にする圧力開放部と、を有し、上記圧力開放部は、上記圧力室に設けられた圧力開放穴と、この圧力開放穴の軸方向外側に設けられたシール部と、このシール部の軸方向外側に設けられたガイド部と、上記シール部内に軸方向に移動可能に設けられて上記圧力開放穴を開閉する圧力開放弁と、この圧力開放弁に設けられた環状シール部材と、を備えており、上記シール部は、上記圧力開放穴の下流側に第1開放流路を形成すると共に、この第1開放流路を形成する壁面が上記環状シール部材によりシールされるように構成され、上記ガイド部は、上記シール部の第1開放流路の下流側に第2開放流路を形成すると共に、上記環状シール部材をガイドするように構成され、上記圧力開放弁は、その開弁時において上記圧力開放穴に対して軸方向外側に作動することにより、上記環状シール部材を上記シール部から上記ガイド部に移動させると共に、上記圧力室内の圧力を上記圧力開放穴から上記第1開放流路を経て上記第2開放流路に開放可能であり、上記ガイド部は、上記圧力開放弁が開弁した状態において上記第1開放流路から上記第2開放流路内に流入した水を上記第2開放流路の下流側の第3開放流路に流通させつつ、上記第2開放流路を形成する壁面が上記環状シール部材の位置を規制するように構成されていることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、圧力室内の圧力を開放する際、圧力開放部において、圧力開放弁を軸方向外側に作動させることにより、圧力開放弁が開弁し、圧力開放穴が開放される。
このとき、圧力開放弁に設けられた環状シール部材は、圧力開放弁が軸方向外側に作動することにより、シール部において第1開放流路をシールしている状態を維持しながら、圧力開放弁と共にガイド部に移動することができる。
これにより、ガイド部においては、環状シール部材の位置を規制しながら、シール部の第1開放流路とガイド部の第2開放流路とを連通されることができる。
したがって、圧力室の圧力開放穴からシール部の第1開放流路に流れ込んだ水をガイド部の第2開放流路に流出させた後、この第2開放流路内の水を下流側の第3開放流路に流通させることができる。
また、圧力室の圧力開放時において、シール部の第1開放流路からガイド部の第2開放流路に流れる水の圧力が環状シール部材に対して作用しても、環状シール部材の位置がガイド部により規制されている状態を維持することができるため、環状シール部材が水圧で下流側にはみ出すように変形することを抑制することができる。
さらに、圧力開放弁を軸方向に開閉操作した際に、環状シール部材が、シール部の第1開放流路を形成する壁面やガイド部の第2開放流路を形成する壁面と接触して損傷することを抑制することもできる。
これらの結果、圧力開放弁の開閉動作に関わらず、圧力室の圧力開放部のシール性能の低下を抑制することができ、バルブユニット全体の機能性を確保することができる。
【0007】
本発明において、好ましくは、上記ガイド部は、上記第2開放流路の壁面に沿って上記シール部よりも軸方向下流側に延びるように形成されており、上記圧力室と上記第2開放流路とを上記圧力開放穴及び上記第1開放流路を介して連通させるように構成されている。
このように構成された本発明においては、ガイド部が第2開放流路の壁面に沿ってシール部よりも軸方向下流側に延びるように形成されていることにより、ガイド部の領域内にある環状シール部材の位置をガイド部の第2開放流路の壁面に沿って所定距離に亘って確実に規制することができる。
これにより、圧力室の圧力開放時において、シール部の第1開放流路からガイド部の第2開放流路に流れる水の圧力がガイド部の領域内にある環状シール部材に作用しても、環状シール部材の変形を抑制することができる。
したがって、圧力開放弁の開弁操作に関わらず、環状シール部材の変形を抑制することができる。
【0008】
本発明において、好ましくは、上記ガイド部は、その軸方向外側の端部が上記第3開放流路の入口部の上流側を取り囲むように、上記シール部の出口部近傍から下流側に延びている。
このように構成された本発明においては、ガイド部の軸方向外側の端部が第3開放流路の入口部の上流側を取り囲むように下流側に延びているため、第3開放流路の入口部の上流側がガイド部の軸方向外側の端部よりも上流側に位置する部分が存在することになる。
これにより、圧力室の圧力開放時において、シール部の第1開放流路を通過する水の圧力が変動したとしても、その後、シール部の第1開放流路からガイド部の第2開放流路内に流入した水が、ガイド部の軸方向外側の端部に向かって流れた後に第3開放流路の入口部から第3開放流路内にスムーズに流れる流れを形成することができる。
したがって、環状シール部材に対して作用する水圧を抑制することができるため、環状シール部材に対して作用する水圧が変動しやすい圧力開放弁の開弁時において、環状シール部材が大きく変形することを抑制することができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、上記ガイド部は、上記第2開放流路内の水を周方向から径方向外側の上記第3開放流路に向けて流通可能に形成されている。
このように構成された本発明においては、シール部の第1開放流路からガイド部の第2開放流路内に流れ込んだ水をガイド部により径方向外側の第3開放流路に向けて流通させて、周方向から下流側への水抜きを行うことができる。
したがって、環状シール部材に作用する水圧を周方向にほぼ均一に作用させることができるため、環状シール部材が局所的に大きく変形することを抑制することができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、上記ガイド部は、上記第2開放流路を形成する壁面において周方向に所定間隔を置いて設けられた複数のリブを備えている。
このように構成された本発明においては、ガイド部の第2開放流路を形成する壁面において周方向に所定間隔を置いて設けられた複数のリブにより、ガイド部の第2開放流路を形成する壁面を概ねスプライン状に形成することができる。
したがって、環状シール部材に作用する水圧をより周方向に均一に作用させることができるため、環状シール部材が局所的に大きく変形することをより効果的に抑制することができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、上記ガイド部は、上記第2開放流路を形成する流路断面の最小直径が、上記シール部の上記第1開放流路を形成する流路断面の最大直径よりも大きく設定されている。
このように構成された本発明においては、圧力開放弁の開閉時に環状シール部材が圧力開放弁と共にシール部に対して軸方向に移動する際に、環状シール部材がシール部の第1開放流路を形成する壁面に接触して変形するため、シール部の領域内では変形したシール状態となる。
一方、圧力開放弁の開閉時に環状シール部材が圧力開放弁と共にガイド部に対して軸方向に移動する際には、環状シール部材がガイド部の第2開放流路を形成する壁面に接触して変形したとしても、ガイド部の第2開放流路を形成する流路断面の最小直径がシール部の第1開放流路を形成する流路断面の最大直径よりも大きく設定されているため、環状シール部材がガイド部の領域内で変形する変形量は、環状シール部材がシール部の領域内で変形する変形量に比べて小さくなる。
したがって、ガイド部の領域内で変形する環状シール部材の変形を抑制することができ、圧力開放弁の開閉時に、環状シール部材が損傷することを抑制することができる。
【0012】
本発明において、好ましくは、上記シール部は、その出口部が上流側から下流側に向かって拡径する拡径部を備えており、上記ガイド部は、上記第2開放流路を形成する壁面における上記拡径部の下流端近傍部分から軸方向外側に延びており、上記第3開放流路は、その入口部が上記第2開放流路における上記拡径部の下流端近傍部分に配置され、かつ、上記第3開放流路の入口部から下流側に向かって上記ガイド部の径方向外側延びている。
このように構成された本発明においては、シール部の第1開放流路内の水が、ガイド部の第2開放流路に向かってシール部の出口部の拡径部を通過する際に、水圧が変動し易い状態であるが、ガイド部が拡径部の下流端近傍部分から軸方向外側に延びているため、ガイド部がその領域内の環状シール部材を確実にガイドすることができる。
したがって、環状シール部材が水圧で下流側にはみ出すように変形することを抑制することができる。
また、シール部の第1開放流路からガイド部の第2開放流路に流入した直後の水について、シール部の出口部の拡径部の下流端近傍部分にある第3開放流路の入口部から、ガイド部の径方向外側延びている第3開放流路に流通させることができる。
したがって、圧力室の圧力開放時において、シール部の第1開放流路からガイド部の第2開放流路内に流れ込んだ水をガイド部の周方向から径方向外側の第3開放流路への水抜きを効率良く行うことができる。
よって、環状シール部材に作用する水圧を周方向にほぼ均一に作用させることができるため、環状シール部材が局所的に大きく変形することを抑制することができる。
【0013】
つぎに、本発明は、上記バルブユニットを備えた水洗大便器である。
このように構成された本発明においては、圧力室の圧力開放時において、シール部の第1開放流路からガイド部の第2開放流路に流れる水の圧力が環状シール部材に対して作用しても、環状シール部材が水圧で下流側にはみ出すように変形することを抑制することができるバルブユニットを備えた水洗大便器を提供することができる。
また、圧力開放弁の開閉時において、環状シール部材がシール部の第1開放流路の壁面やガイド部の第2開放流路の壁面と接触して損傷することを抑制することもできるバルブユニットを備えた水洗大便器を提供することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のバルブユニット、及び、それを備えた水洗大便器によれば、圧力開放弁の開閉動作に関わらず、圧力室の圧力開放部のシール性能の低下を抑制することができ、バルブユニット全体の機能性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態による水洗大便器の全体構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態による水洗大便器の側面図である。
【
図3】
図2に示す本発明の一実施形態による水洗大便器のバルブユニットのIII-III線に沿った断面図である。
【
図4】
図2に示す本発明の一実施形態による水洗大便器のバルブユニットにおけるIV-IV線に沿った断面図であり、通常時及び停電時における電磁弁ユニット及び主弁体の閉弁状態(止水状態)を示す。
【
図5】本発明の一実施形態による水洗大便器のバルブユニットにおける
図4と同様な断面図であり、通常時において電磁弁を開弁操作して主弁体を開弁操作した状態(通水状態)を示す。
【
図6】本発明の一実施形態による水洗大便器のバルブユニットにおける
図4及び
図5と同様な断面図であり、停電時における主弁体を手動で開弁操作した状態(通水状態)を示す。
【
図7A】本発明の一実施形態による水洗大便器のバルブユニットの圧力開放部の拡大断面図であり、圧力開放部が閉鎖されている状態を示す。
【
図7B】本発明の一実施形態による水洗大便器のバルブユニットの圧力開放部の拡大断面図であり、圧力開放部が閉鎖されている状態を示す。
【
図8】本発明の一実施形態による水洗大便器のバルブユニットにおける圧力開放部の拡大斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態による水洗大便器について説明する。
まず、
図1は、本発明の一実施形態による水洗大便器の全体構成図である。また、
図2は、本発明の一実施形態による水洗大便器の側面図である。
図1及び
図2に示すように、本発明の一実施形態による水洗大便器1は、陶器製の便器本体2と、その後方側に設けられたタンク装置4と、を備えている。
また、便器本体2は、汚物を受けるボウル部2aと、このボウル部2aの底部から延びてボウル部2a内の汚物を排出する排水トラップ部(排水トラップ管2b)と、ボウル部2aの上縁に形成されるリム部2cと、を備えている。
さらに、タンク装置4の各構成要素については、詳細は後述するように、便器本体2に洗浄水を供給する給水ユニットU1の一部として機能するようになっている。
【0017】
つぎに、
図1及び
図2に示すように、タンク装置4は、その上流側及び下流側にそれぞれ接続された給水管6及び吐水管8をそれぞれ備えている。
給水管6の上流側は、水道等の外部の給水源(図示せず)に接続されている。
一方、給水管6の下流側は、タンク装置4の貯水タンク10に接続されている。これらにより、給水管6から貯水タンク10に洗浄水が供給されるようになっている。
また、給水管6には、上流側から下流側に向かって、止水栓12、バルブユニット14がそれぞれ設けられている。
さらに、バルブユニット14の上流側及び下流側のそれぞれには、一次側給水路6a及び二次側給水路6bがそれぞれ設けられている。
また、一次側給水路6aと二次側給水路6bとの間には、両給水路6a,6bを連通させる連通流路6c(詳細は後述する)が設けられている。
【0018】
つぎに、バルブユニット14は、詳細な構造については後述するが、一次側給水路6aに設けられた定流量弁16と、この定流量弁16の下流側にそれぞれ設けられた主弁ユニット17及び電磁弁ユニット18とをそれぞれ備えている。
また、主弁ユニット17は、一次側給水路6aと二次側給水路6bとの間の圧力室(図示せず)内に設けられた主弁である主弁体(ダイヤフラム式の主弁体17a)を備えてお さらに、主弁ユニット17は、主弁体17aが閉止可能に設けられる主弁座17bをそなえており、この主弁座17bは、連通流路6cの流入口6dの口縁部に設けられ、主弁体17aにより開閉される弁座開口部を形成している。
また、電磁弁ユニット18は、詳細は後述するが、給水系機能部の一部であり、主弁体17aを圧力により開閉される圧力室(図示せず)を開閉することにより、主弁体17aを開閉することができるようになっている。
【0019】
つぎに、
図1に示すように、タンク装置4は、さらに、給水管6のバルブユニット14の下流側に接続されている連結ユニット20と、この連結ユニット20の下流側に接続されて貯水タンク10を含むタンクユニット22とを備えている。
バルブユニット14において、給水管6内の洗浄水が定流量弁16により流量が一定に調整されるようになっている。
その後、電磁弁ユニット18が電磁的に開弁し、主弁体17aにより連通流路6cの流入口6dが開放されると、給水管6の一次側給水路6aから連通流路6cを経て二次側給水路6bに供給された洗浄水が連結ユニット20を経てタンクユニット22に給水されるようになっている。
【0020】
図1に示すように、連結ユニット20は、ハウジング24と、オーバーフロー管26と、逆止弁28と、を備えている。
また、ハウジング24は、その下方開口部24aがタンクユニット22の貯水タンク10の上方開口部10aに着脱可能に接続されている。
【0021】
つぎに、オーバーフロー管26は、ハウジング24の側壁の一部に設けられたオーバーフロー口24bと吐水管8とを接続している。
吐水管8は、その上流側がタンク装置4のポンプ30に接続された接続管(洗浄水供給管)であり、その下流側が便器本体2のリム部2cの内部のリム導水路2dに接続されている。
さらに、逆止弁28は、オーバーフロー口24bに設けられており、ハウジング24内の洗浄水がオーバーフロー口24bからオーバーフロー管26に流入することを可能にする一方、オーバーフロー管26内の洗浄水がハウジング24内へ逆流することを妨げることができるようになっている。
すなわち、これらのオーバーフロー口24b、オーバーフロー管26、及び、逆止弁28のそれぞれは、貯水タンク10からハウジング24内にオーバーフローした後、ハウジング24内の水位が所定水位以上(オーバーフロー口24bの下縁以上の水位)であるときに、ハウジング24のオーバーフロー口24bからオーバーフローした洗浄水をポンプ30の下流側の給水路(吐水管8)へバイパスさせるオーバーフロー流路部として機能するようになっている。
【0022】
つぎに、
図1に示すように、タンクユニット22は、貯水タンク10と、ポンプ30と、フロートスイッチ32と、水抜き栓34と、を備えている。
ポンプ30は、吐水管8の上流側に接続されている通水管36の一部(途中)に設けられている。この通水管36の上流端36aは、貯水タンク10内に設けられた吸引管38の下流端38aに接続されている。
【0023】
貯水タンク10内に貯水されている洗浄水は、ポンプ30が作動することにより、吸引管38から通水管36内に吸引された後、ポンプ30を経て吐水管8に圧送されるようになっている。
これにより、貯水タンク10からポンプ30により吐水管8に供給された洗浄水のうちのすべてがリム導水路2dの入口2eからリム導水路2d内に供給されるようになっている。
そして、リム導水路2d内の洗浄水はリム導水路2dの下流端のリム吐水口2fからボウル部2a内に吐水され、便器洗浄(いわゆる、リム吐水100%による便器洗浄)が行われるようになっている。
すなわち、これらの通水管36及び吐水管8のそれぞれは、貯水タンク10からポンプ30によって圧送された洗浄水を便器本体2に供給する洗浄水供給管として機能するようになっている。
【0024】
フロートスイッチ32は、貯水タンク10内の水位を検知するものであり、バルブユニット14の電磁弁ユニット18の開閉動作は、フロートスイッチ32が検知した貯水タンク10内の水位に基づいてコントローラCにより制御されるようになっている。
また、ポンプ30の作動についても、フロートスイッチ32が検知した貯水タンク10内の水位に基づいてコントローラCにより制御されるようになっている。
例えば、フロートスイッチ32が検知した貯水タンク10内の水位が所定以下である場合には、電磁弁ユニット18が開弁して給水管6が開放され、ポンプ30が作動されるようになっている。
そして、貯水タンク10内の水位が所定水位まで到達すると、電磁弁ユニット18が閉弁して給水管6が閉鎖され、ポンプ30が停止されるようになっている。
【0025】
水抜き栓34は、貯水タンク10の底面に設けられている。この水抜き栓34は、通常時では、常時閉鎖されており、必要に応じて開放され、貯水タンク10内の洗浄水を外部に排出することができるようになっている。
【0026】
これらにより、上述した給水管6、吐水管8、バルブユニット14の各部16,17,18、連結ユニット20の各部24,26,28、タンクユニット22、及び、ポンプ30のそれぞれを含むタンク装置4は、便器本体2の上流側に設けられて便器本体2に洗浄水を供給する給水ユニットU1の一部として機能するようになっている。
【0027】
つぎに、
図1~
図9を参照して、本発明の一実施形態による水洗大便器のバルブユニットの詳細について説明する。
まず、
図3は、
図2に示す本発明の一実施形態による水洗大便器のバルブユニットのIII-III線に沿った断面図である。
図2及び
図3に示すように、バルブユニット14は、便器本体2のボウル部2aよりも後方の領域(以下「便器本体2の後方領域R1」に設けられたタンク装置4の貯水タンク10の下端に設けられている。
すなわち、バルブユニット14は、便器本体2の後方領域R1におけるタンク装置4の貯水タンク10よりも下方且つ側方(便器本体2及びタンク装置4を前方側から見て左側)に設けられている。
また、バルブユニット14は、便器本体2の後方領域R1に対して左右一方側の側方(便器本体2及びタンク装置4を前方側から見て左側)に取り外し可能に設けられた一枚のカバー部材(外装パネルP)により覆われている。
なお、
図2に示す水洗大便器1においては、外装パネルPについては、省略し、想像線のみで示している。
【0028】
つぎに、
図4は、
図2に示す本発明の一実施形態による水洗大便器のバルブユニットのIV-IV線に沿った断面図であり、通常時及び停電時における主弁体17a及び電磁弁ユニット18の閉弁状態(止水状態)を示す。
また、
図5は、本発明の一実施形態による水洗大便器のバルブユニットの
図4と同様な断面図であり、通常時において電磁弁ユニット18を開弁操作して主弁体17aを開弁操作した状態(通水状態)を示す。
さらに、
図6は、本発明の一実施形態による水洗大便器のバルブユニットの
図4及び
図5と同様な断面図であり、停電時における主弁体17aを手動で開弁操作した状態(通水状態)を示す。
【0029】
まず、
図1~
図6に示すように、バルブユニット14の電磁弁ユニット18は、パイロット穴(電磁弁側パイロット穴18a)と、この電磁弁側パイロット穴18aを開閉するパイロット弁体(電磁弁側パイロット弁体18b)と、この電磁弁側パイロット弁体18bを収容する電磁弁側パイロット弁室18cと、電磁弁側パイロット弁体18bを駆動させる駆動部であるソレノイド18dと、を備えている。
つぎに、
図1~
図6に示すように、バルブユニット14は、上述した定流量弁16、ダイヤフラム式の主弁体17a及び電磁弁ユニット18以外に加えて、停電時においても便器洗浄を可能にする停電時手動給水操作装置40(詳細は後述する)を備えている。
また、停電時手動給水操作装置40は、後述する停電時手動排水操作装置42と共に、停電時においても便器洗浄を可能にする停電対策用の手動操作部として機能するようになっている。
【0030】
さらに、
図1~
図6に示すように、バルブユニット14の停電時手動給水操作装置40は、バルブユニット14の側方(便器本体2及びタンク装置4を前方側から見て左側)に回転可能に設けられたハンドル部44を備えている。
また、停電時手動給水操作装置40は、ハンドル部44に外側端部が固定されたスピンドルバルブ46を備えている。このスピンドルバルブ46は、ハンドル部44をその回転中心軸線(操作軸線A0)回りに回転させると、この操作軸線A0の軸線方向に移動(摺動)することができるようになっている。
これにより、スピンドルバルブ46は、停電時において停電時手動給水操作装置40のハンドル部44を手動で回転操作することにより、バルブユニット14の圧力開放部Q(詳細は後述する)を開閉し、主弁体17aを開閉可能にする手動操作弁として機能するようになっている。
なお、
図4~
図6に示すように、操作軸線A0及び連通流路6cの流路軸線A2は、主弁体17aが開閉する方向の中心軸線(以下「主弁体17aの開閉軸線A4」)と同一又はほぼ同一軸線上に配置されている。
【0031】
つぎに、
図4~
図9を参照して、バルブユニット14における圧力室50、圧力開放部Q、及び、これら以外の本体部48の内部流路の詳細について説明する。
図7A及び
図7Bのそれぞれは、本発明の一実施形態による水洗大便器1のバルブユニット14の圧力開放部Qの拡大断面図であり、圧力開放部Qが閉鎖されている状態及び閉鎖されている状態をそれぞれ示す。また、
図8は、本発明の一実施形態による水洗大便器1のバルブユニット14における圧力開放部Qの拡大斜視断面図である。さらに、
図9は、
図8のIX-IX線に沿った断面図である。
まず、
図4~
図9に示すように、バルブユニット14の本体部48の内部には、主弁体17aを圧力により開閉させる圧力室50が設けられており、圧力開放部Qは、この圧力室50内の圧力を開放可能にするものである。
【0032】
図4~
図9に示すように、圧力開放部Qは、具体的には、圧力室50と電磁弁側パイロット弁室18cとを互いに連通させる圧力逃がし通路52(
図4~
図6参照)と、圧力室50の軸方向外側に貫くように設けられた圧力開放穴54と、を備えている。
また、
図7A~
図9に示すように、圧力開放部Qは、圧力開放穴54の軸方向外側に設けられたシール部Sと、このシール部Sの軸方向外側に設けられたガイド部Gと、を備えている。
さらに、
図7A~
図9に示すように、圧力開放部Qは、シール部S内に軸方向に移動可能に設けられて圧力開放穴54を開閉する圧力開放弁であるスピンドルバルブ46を備えている。
また、圧力開放部Qは、スピンドルバルブ46の軸方向内側端部46aの近傍の外周面に水密に設けられた環状シール部材(Oリング56)を備えている。
【0033】
つぎに、
図7A~
図9に示すように、圧力開放部Qのシール部Sは、圧力開放穴54の下流側に第1開放流路58を形成すると共に、この第1開放流路58を形成する壁面58aがOリング56によりシールされるようになっている。
また、ガイド部Gは、シール部Sの第1開放流路58の下流側に第2開放流路60を形成すると共に、Oリング56をガイドする複数のリブ(ガイドリブ62)を備えている。
さらに、スピンドルバルブ46は、その開弁時において圧力開放穴54に対して軸方向外側に作動することにより、Oリング56をシール部Sからガイド部Gに移動させると共に、圧力室50内の圧力を圧力開放穴54からシール部Sの第1開放流路を58経てガイド部Gの第2開放流路60に開放することができようになっている。
また、ガイド部Gは、スピンドルバルブ46が開弁した状態において、シール部Sの第1開放流路を58からガイド部Gの第2開放流路60内に流入した水W0を第2開放流路60の下流側の第3開放流路64に流通させつつ、ガイド部Gの第2開放流路60を形成する壁面(より具体的には、ガイドリブ62の内側壁面62a)がOリング56の位置を規制することができるようになっている。
さらに、
図4~
図7Bに示すように、スピンドルバルブ46におけるガイド部Gの第2開放流路60及び第3開放流路64の流入口64aよりも軸方向外側の外周面には、Oリング65が水密に設けられている。このOリング65により、ガイド部Gの第2開放流路60内の水W0がスピンドルバルブ46の軸方向外側から外部に漏水しないように、スピンドルバルブ46の外周面とこれと対向するバルブユニット14の本体部48の内周面とがシールされるようになっている。
【0034】
つぎに、
図7A~
図9に示すように、ガイド部Gの各ガイドリブ62は、第2開放流路60を形成する軸方向に延びる壁面、より具体的には、ガイドリブ62の内側壁面62aよりも外側の壁面(外側壁面62b)に沿って、シール部Sよりも軸方向下流側(軸方向外側)に延びるように形成されている。
また、
図8及び
図9に示すように、各ガイドリブ62は、第2開放流路60を形成する壁面(外側壁面62b)において周方向に所定間隔を置いて設けられている。これにより、複数のガイドリブ62は、ガイド部Gの第2開放流路60を形成する壁面(外側壁面62b)に対して概ねスプライン状に形成されている。
よって、ガイド部Gの各ガイドリブ62により、圧力室50が、圧力開放穴54及びシール部Sの第1開放流路58を介して、ガイド部Gの第2開放流路60及び第3開放流路64と連通させるようになっている。
【0035】
また、
図8に示すように、ガイド部Gの複数(6つ)のガイドリブ62のうちの第3開放流路64の入口部(流入口64a)に隣接する2つのガイドリブ62A,62Bは、その軸方向外側の端部が第3開放流路64の入口部(流入口64a)の上流側を取り囲むように、シール部Sの出口部58bの近傍から下流側(軸方向外側)に延びている。
ここで、
図7A、
図7B及び
図8に示すように、シール部Sの出口部58bは、上流側(軸方向内側)から下流側(軸方向外側)に向かって第1開放流路58の流路断面が拡径する拡径部となっている。
そして、
図7B、
図8及び
図9に示すように、ガイド部Gの各ガイドリブ62は、第2開放流路60を形成する外側壁面62bにおけるシール部Sの出口部(拡径部)58bの下流端近傍部分から軸方向外側に延びている。これにより、ガイド部Gの各ガイドリブ62は、第2開放流路60内の水W0を周方向から径方向外側の第3開放流路64に向けて流通可能に形成されている。
【0036】
ここで、第3開放流路64は、詳細については後述するが、入口部(流入口64a)が第2開放流路60における拡径部58bの下流端近傍部分に配置され、かつ、第3開放流路64の入口部(流入口64a)から下流側に向かってガイド部Gの径方向外側延びている。
【0037】
つぎに、
図7A、
図8及び
図9に示すように、ガイド部Gにおける第2開放流路60を形成する流路断面の最小直径(すなわち、複数のガイドリブ62の互いに径方向に対向する内側壁面62a同士の直径D1)は、シール部Sの第1開放流路58を形成する流路断面の最大直径(すなわち、シール部Sの第1開放流路58を形成する円筒状の壁面58aの直径D2)よりも大きく設定されている(D1>D2)。
【0038】
つぎに、
図4~
図6に示すように、バルブユニット14の本体部48の内部流路の一部である連通流路6cは、その流入口6dから水平左右方向(バルブユニット14の横方向)に延びる流路軸線A2の内側に向かって形成されている。
また、二次側給水路6bは、連通流路6cの下流端部の上方(連通流路6cの水平左右方向の内側且つ前端部の上方)から水平前後方向(バルブユニット14の長手方向)に延びる流路軸線A3の前側に向かって形成されている。
【0039】
ここで、
図4~
図6に示すように、定流量弁16が設けられている一次側給水路6aは、水平前後方向に延びる流路軸線A1に沿って概ね前後方向に延びた後、圧力室50に向かって水平左右方向(バルブユニット14の横方向)の外側に向かって形成されている。
そして、連通流路6cの流路軸線A2と二次側給水路6bの流路軸線A3とは、互いに直交する方向に延びている。
また、二次側給水路6bは、その流路軸線A3が、
図4の平面視において、一次側給水路6aの水平前後方向に延びる流路軸線A1とほぼ平行となるように形成されている。これにより、一次側給水路6a及び二次側給水路6bのそれぞれは、上流側から下流側に向かって延びる各流路軸線A1,A3の方向が互いに同一方向になるように形成されている。
【0040】
つぎに、
図4~
図6に示すように、連通流路6cは、
図4の平面視において、その流路軸線A2が一次側給水路及び二次側給水路のそれぞれの流路軸線A1,A3の方向に対して直交する方向に延びている。
また、
図4~
図6に示すように、二次側給水路6bは、連通流路6cの下流側端部から一次側給水路6aの流路軸線A1の方向と同一方向に延びるように形成されている。
【0041】
さらに、
図4~
図6に示すように、連通流路6cの下流側端部(水平左右方向の内側端部)は、主弁体17aと流路軸線A2方向に対向する対向壁面6eを備えている。
この対向壁面6eは、二次側給水路6b内の側壁面6fよりも連通流路6cの流路軸線A2の方向の下流側(水平左右方向の内側)に凹み、連通流路6cの下流端部の流路スペースを拡張させる拡張部Eを形成している。
【0042】
つぎに、
図4~
図6に示すように、圧力室50は、連通流路6cの弁座開口部(流入口6d)に対して連通流路6cの流路軸線A2の方向とは対向する側(反対側)に配置されている。
また、
図4~
図6に示すように、圧力逃がし通路52は、圧力室50内の上方に対して連通可能に設けられ、その下流側が電磁弁側パイロット弁室18cまで延びている。ここで、「圧力室50内の上方」とは、圧力室50内の上端位置と下端位置との間の鉛直方向距離を二等分する中間位置よりも上方であればよい。
そして、電磁弁側パイロット弁体18bが開弁した状態では、圧力室50が、圧力逃がし通路52、電磁弁側パイロット弁室18c及び電磁弁側パイロット穴18aを介して、外部と通気可能となっている。
さらに、
図4に示すように、圧力逃がし通路52、電磁弁側パイロット穴18a及び二次側給水路6bのそれぞれは、上流側から下流側に向かって水平前後方向に延びるように形成されている。
【0043】
つぎに、
図4~
図6に示すように、上述した圧力開放部Qの第3開放流路64は、バルブユニット14の本体部48の内部流路の一部であり、圧力室50から連通流路6cの流入口6dをバイパスするように、圧力開放部Qのガイド部Gの第2開放流路60から下流側に延びて、二次側給水路6bの途中に連通する連通路である。
この第3開放流路64は、具体的には、圧力室50の側方の圧力開放穴54からハンドル部44の操作軸線A0方向の外側に延びる圧力開放部Qのシール部Sの第1開放流路58、ガイド部Gの第2開放流路60に対して、前方側に延びる上流側連通路64bを備えている。
また、第3開放流路64は、この上流側連通路64bの前端の屈曲部Bから二次側給水路6bに向かって内側に延びる下流側連通路64cを備えている。この下流側連通路64cは、電磁弁ユニット18の電磁弁側パイロット穴18aとも直交した状態で常時連通している。
【0044】
ここで、上流側連通路64bは、
図4~
図6の平面視において、スピンドルバルブ46の近傍の開口部56cから屈曲部Bまで、二次側給水路6bの流路軸線A3と平行に延びるように形成されている。
一方、下流側連通路64cは、屈曲部Bから下流端部まで二次側給水路6bの流路軸線A3と直交する方向に(連通流路6cの流路軸線A2と平行に)延びるように形成されている。
【0045】
つぎに、
図5に示すように、通常時において、コントローラCから送信された指令信号(開弁操作信号)により電磁弁ユニット18が作動し、
図4に示す閉弁状態の電磁弁側パイロット弁体18bが、
図5に示す開弁状態になると、圧力室50が、圧力逃がし通路52、電磁弁側パイロット弁室18c及び電磁弁側パイロット穴18aを経て第3開放流路64と連通する。
これにより、圧力室50内と外部との通気V1が行われ、主弁体17aを押圧する圧力室50内の空気の圧力が一次側給水路6aの給水圧よりも低下すると、主弁体17aが開弁する方向に移動し、一次側給水路6aと二次側給水路6bとを連通させる連通流路6cの流入口6dが開放されるようになっている。
この結果、定流量弁16を通過した一次側給水路6aの洗浄水W1が連通流路6cの流入口6dから連通流路6c内に流入するようになっている。
【0046】
一方、
図4に示すように、再び、コントローラCから送信された指令信号(閉弁操作信号)により、電磁弁ユニット18の電磁弁側パイロット弁体18bが電磁弁側パイロット穴18aを閉弁すると、圧力室50内の空気が圧力逃がし通路52に逃げる圧抜きができなくなる。
このとき、連通流路6cの流入口6dを形成する主弁座17bの周囲の一次側給水路6aの洗浄水の一部は、主弁体17aのブリード穴17cを通過して圧力室50内に流入するようになっている。
これにより、圧力室50内の圧力が高められるため、主弁体17aが圧力室50内の圧力により主弁座17bに向かって押圧されるようになっている。
よって、連通流路6cの流入口6dを形成する主弁座17bが主弁体17aにより閉止された状態(止水状態)となっている。
ここで、
図5及び
図7Aに示すように、通常時の主弁体17aの閉弁状態においては、圧力室50と第3開放流路64とが連通しないように、圧力開放部Qのシール部Sの第1開放流路58の壁面58aがスピンドルバルブ46のOリング56によりシールされた状態となっている。
【0047】
つぎに、
図6に示すように、停電時手動給水操作装置40のハンドル部44は、バルブユニット14の本体部48の一部に螺合されている共に、スピンドルバルブ46の一端部に対して留め具66よって固定されている。
停電時においては、電磁弁ユニット18が作動しないため、停電時手動給水操作装置40のハンドル部44を操作軸線A0回りに一方向に回転操作することにより、スピンドルバルブ46が操作軸線A0の軸線方向外側(圧力開放穴54に対して遠位側)に移動するようになっている。
そして、スピンドルバルブ46と共にOリング56が、シール部Sからガイド部Gへ移動すると、圧力室50が、第1開放流路58及び第2開放流路60を介して、第3開放流路64と互いに連通する状態になる。
これにより、
図6に示すように、圧力室50内の水W0が圧力開放穴54、シール部Sの第1開放流路58、ガイド部Gの第2開放流路60を経て、第3開放流路64を通過した後、二次側給水路6bに流出するようになっている。
そして、圧力室50内の圧力が一次側給水路6aの給水圧よりも低下すると、主弁体17aが開弁する方向に移動し、連通流路6cの流入口6dが開放されるようになっている。
この結果、定流量弁16を通過した一次側給水路6aの洗浄水が連通流路6cの流入口6dから連通流路6c内に流入するようになっている。
【0048】
図4及び
図6に示すように、停電時において、停電時手動給水操作装置40のハンドル部44を操作軸線A0回りに他方向に回転操作することにより、スピンドルバルブ46が操作軸線A0の軸線方向内側(圧力開放穴54に対して近位側)に移動するようになっている。
これにより、圧力室50内の空気が圧力逃がし通路52及び第3開放流路64に圧抜きすることができなくなる一方、主弁座17bの周囲の一次側給水路6aの洗浄水が主弁体17aのブリード穴17cを通過して圧力室50内に流入するようになっている。
よって、圧力室50内の圧力が高められ、ダイヤフラム式の主弁体17aが圧力室50内の圧力により主弁座17bに向かって押圧されるようになっている。
この結果、連通流路6cの流入口6dは、主弁体17aにより開放された通水状態(
図6参照)から、主弁体17aにより閉止された止水状態(
図4参照)となるようになっている。
したがって、停電時においては、
図4及び
図6に示すように、ハンドル部44の手動操作により、給水管6内の洗浄水が連結ユニット20を経てタンクユニット22へ給止水される操作(給止水操作)が可能となっている。
【0049】
ここで、
図4~
図6に示すように、停電時手動給水操作装置40のスピンドルバルブ46の軸方向の外側端面46bは、ハンドル部44の軸方向の外側端面44aよりも常時外側に突出しており、スピンドルバルブ46の軸方向の外側端部がハンドル部44の軸方向の外側に突出した突出部となっている。
特に、
図6に示すように、停電時において主弁体17aが開弁した状態では、ハンドル部44及びスピンドルバルブ46のそれぞれが、
図4に示す主弁体17aが閉弁した状態よりも、軸方向の外側に移動した位置にある。
これにより、
図6に示すように、停電時において主弁体17aが開弁した状態では、スピンドルバルブ46の軸方向の外側端面46bが外装パネルPの内側面に接触した状態となっており、外装パネルPと干渉する接触部となっている。
すなわち、停電時において主弁体17aが開弁した状態では、スピンドルバルブ46の軸方向の外側端面46b(接触部)が、外装パネルPの取付位置P0よりも左右方向の外側に突出している。
これにより、使用者は、このスピンドルバルブ46の軸方向の外側端面46bが外装パネルPの内側面に接触した状態を接触音等で確認することができ、停電時に停電時手動給水操作装置40の手動給水操作が行われ、主弁体17aが開弁している状態であることを確認することができるようになっている。
【0050】
つぎに、
図1に示すように、便器本体2の排水トラップ管2bの下流側、すなわち、排水トラップ管2bの後方側且つ下端の出口部2gには、排水ソケット68(排水ソケット部)が設けられている。この排水ソケット68の内部には、その流路を開閉可能にする開閉弁70が設けられている。
また、停電時手動排水操作装置42は、排水ソケット68の開閉弁70に対して開閉操作可能に連結された操作ワイヤ72と、この操作ワイヤ72を摺動可能に保持し且つ便器本体2に対して固定する固定ユニット74と、を備えている。
【0051】
つぎに、操作ワイヤ72は、その排水ソケット側の端部が開閉弁70の一部に対して直接的又は間接的に連結されている。
また、操作ワイヤ72における、便器本体側(使用者側)の端部には、把持用のリング部材76が設けられており、使用者が把持可能となっている。
そして、停電時には、使用者がリング部材76を把持し、操作ワイヤ72を固定ユニット74に対して前後方向に摺動させることにより、排水ソケット68の開閉弁70の開閉操作が可能となっている。
【0052】
例えば、停電時の給排水操作の例として、まず、停電時手動給水操作装置40のハンドル部44を手動で回転操作することにより、バルブユニット14の開閉弁(主弁体17a)を開弁し、給水ユニットU1の貯水タンク10への給水を行う。
つぎに、停電時手動排水操作装置42の把持用のリング部材76を手動で操作し、排水ソケット68の開閉弁70を閉鎖する。
そして、貯水タンク10内の水位が所定水位以上になり、貯水タンク10の上方のハウジング24内まで上昇すると、ハウジング24内の洗浄水は、オーバーフロー管26からポンプ30の下流側の給水路(吐水管8)に洗浄水がバイパスされた後、便器本体2に供給される。
これにより、排水ソケット68の開閉弁70よりも上流側の排水ソケット68内の流路や便器本体2の排水トラップ管2b内において封水が可能となり、便器本体2のボウル部2a内において溜水が可能となる。
つぎに、再び、停電時手動排水操作装置42を操作して排水ソケット68の開閉弁70を開放すると、便器本体2のボウル部2a内の洗浄水を排水トラップ管2bから排水ソケット68を経て外部へ確実に排出することができる。
その後、停電時手動給水操作装置40のハンドル部44を手動で回転操作してバルブユニット14の開閉弁(主弁体17a)を閉弁すると、停電時における便器本体2に対する一連の給排水が完了する。
【0053】
つぎに、
図1~
図9を参照して、上述した本発明の一実施形態によるバルブユニット14、及び、それを備えた水洗大便器1の作用について説明する。
本発明の一実施形態によるバルブユニット14、及び、それを備えた水洗大便器1によれば、停電時において、停電時手動給水操作装置40により圧力室50内の圧力を開放する際、圧力開放部Qの圧力開放弁(スピンドルバルブ46)を軸方向外側に作動させることにより、スピンドルバルブ46が開弁し、圧力開放穴54が開放される。
このとき、スピンドルバルブ46に設けられた環状シール部材(Oリング56)は、スピンドルバルブ46が軸方向外側に作動することにより、シール部Sにおいて第1開放流路をシールしている状態を維持しながら、スピンドルバルブ46と共にガイド部に移動することができる。
これにより、ガイド部Gにおいては、環状シール部材(Oリング56)の位置を規制しながら、シール部Sの第1開放流路58とガイド部Gの第2開放流路60とを連通されることができる。
したがって、圧力室50の圧力開放穴54からシール部Sの第1開放流路58に流れ込んだ水をガイド部Gの第2開放流路60に流出させた後、この第2開放流路60内の水を下流側の第3開放流路64に流通させることができる。
また、
図7Bに示すように、圧力室50の圧力開放時において、シール部Sの第1開放流路58からガイド部Gの第2開放流路60に流れる水W0の圧力が環状シール部材(Oリング56)に対して作用しても、環状シール部材(Oリング56)の位置がガイド部Gにより規制されている状態を維持することができる。
これにより、シール部Sの第1開放流路58からガイド部Gの第2開放流路60に流れる水W0の水圧により、環状シール部材(Oリング56)が下流側にはみ出すように変形することを抑制することができる。
さらに、スピンドルバルブ46を軸方向に開閉操作した際に、環状シール部材(Oリング56)が、シール部Sの第1開放流路58を形成する壁面58aやガイド部Gの第2開放流路60を形成する壁面(ガイドリブ62の内側壁面62a)と接触して損傷することを抑制することもできる。
これらの結果、スピンドルバルブ46の開閉動作に関わらず、圧力室50の圧力開放部Qのシール性能の低下を抑制することができ、バルブユニット14の全体の機能性を確保することができる。
【0054】
つぎに、本実施形態によるバルブユニット14、及び、それを備えた水洗大便器1によれば、ガイド部Gが第2開放流路60の壁面(ガイドリブ62の外側壁面62b)に沿ってシール部Sよりも軸方向下流側に延びるように形成されている。
これにより、ガイド部Gの領域内にある環状シール部材(Oリング56)の位置をガイド部Gの第2開放流路60の壁面(ガイドリブ62の内側壁面62a)に沿って所定距離に亘って確実に規制することができる。
これにより、圧力室50の圧力開放時において、シール部Sの第1開放流路58からガイド部Gの第2開放流路60に流れる水W0の圧力がガイド部Gの領域内にある環状シール部材(Oリング56)に作用しても、環状シール部材(Oリング56)の変形を抑制することができる。
したがって、スピンドルバルブ46の開弁操作に関わらず、環状シール部材(Oリング56)の変形を抑制することができる。
【0055】
つぎに、本実施形態によるバルブユニット14、及び、それを備えた水洗大便器1によれば、ガイド部Gの軸方向外側の端部が第3開放流路64の流入口64aの上流側を取り囲むように下流側に延びているため、第3開放流路64の流入口64aの上流側がガイド部Gの軸方向外側の端部よりも上流側に位置する部分が存在することになる(
図8参照)。
これにより、圧力室50の圧力開放時において、シール部Sの第1開放流路58を通過する水の圧力が変動したとしても、その後、シール部Sの第1開放流路58からガイド部Gの第2開放流路60内に流入した水W0が、ガイド部Gの軸方向外側の端部に向かって流れた後に第3開放流路64の流入口64aから第3開放流路64内にスムーズに流れる流れを形成することができる。
したがって、環状シール部材(Oリング56)に対して作用する水圧を抑制することができるため、環状シール部材(Oリング56)に対して作用する水圧が変動しやすいスピンドルバルブ46の開弁時において、環状シール部材(Oリング56)が大きく変形することを抑制することができる。
【0056】
つぎに、本実施形態によるバルブユニット14、及び、それを備えた水洗大便器1によれば、シール部Sの第1開放流路58からガイド部Gの第2開放流路60内に流れ込んだ水W0をガイド部Gにより径方向外側の第3開放流路64に向けて流通させて、周方向から下流側への水抜きを行うことができる。
したがって、環状シール部材(Oリング56)に作用する水圧を周方向にほぼ均一に作用させることができるため、環状シール部材(Oリング56)が局所的に大きく変形することを抑制することができる。
【0057】
また、本実施形態によるバルブユニット14、及び、それを備えた水洗大便器1によれば、
図8及び
図9に示すように、ガイド部Gの第2開放流路60を形成する壁面62bにおいて周方向に所定間隔を置いて設けられた複数のガイドリブ62により、ガイド部Gの第2開放流路60を形成する壁面を概ねスプライン状に形成することができる。
したがって、環状シール部材(Oリング56)に作用する水圧をより周方向に均一に作用させることができるため、環状シール部材(Oリング56)が局所的に大きく変形することをより効果的に抑制することができる。
【0058】
さらに、本実施形態によるバルブユニット14、及び、それを備えた水洗大便器1によれば、スピンドルバルブ46の開閉時に環状シール部材(Oリング56)がスピンドルバルブ46と共にシール部Sに対して軸方向に移動する際に、環状シール部材(Oリング56)がシール部Sの第1開放流路58を形成する壁面58aに接触して変形するため、シール部Sの領域内では変形したシール状態となる。
一方、スピンドルバルブ46の開閉時に環状シール部材(Oリング56)がスピンドルバルブ46と共にガイド部Gに対して軸方向に移動する際には、環状シール部材(Oリング56)がガイド部Gの第2開放流路60を形成する壁面62aに接触して変形したとしても、ガイド部Gの第2開放流路60を形成する流路断面の最小直径D1がシール部Sの第1開放流路58を形成する流路断面の最大直径D2よりも大きく設定されているため、環状シール部材(Oリング56)がガイド部Gの領域内で変形する変形量が、環状シール部材(Oリング56)がシール部Sの領域内で変形する変形量に比べて小さくなる。
したがって、ガイド部Gの領域内で変形する環状シール部材(Oリング56)の変形を抑制することができ、スピンドルバルブ46の開閉時に、環状シール部材(Oリング56)が損傷することを抑制することができる。
【0059】
つぎに、本実施形態によるバルブユニット14、及び、それを備えた水洗大便器1によれば、シール部Sの第1開放流路58内の水が、ガイド部Gの第2開放流路60に向かってシール部Sの出口部(拡径部)58bを通過する際に、水圧が変動し易い状態であるが、ガイド部Gが拡径部58bの下流端近傍部分から軸方向外側に延びているため、ガイド部Gがその領域内の環状シール部材(Oリング56)を確実にガイドすることができる。
したがって、環状シール部材(Oリング56)が水圧で下流側にはみ出すように変形することを抑制することができる。
また、シール部Sの第1開放流路58からガイド部Gの第2開放流路60に流入した直後の水W0について、シール部Sの出口部(拡径部)58bの下流端近傍部分にある第3開放流路64の流入口64aから、ガイド部Gの径方向外側延びている第3開放流路64に流通させることができる。
したがって、圧力室50の圧力開放時において、シール部Sの第1開放流路58からガイド部Gの第2開放流路60内に流れ込んだ水W0をガイド部Gの周方向から径方向外側の第3開放流路64への水抜きを効率良く行うことができる。
よって、環状シール部材(Oリング56)に作用する水圧を周方向にほぼ均一に作用させることができるため、環状シール部材(Oリング56)が局所的に大きく変形することを抑制することができる。
【0060】
なお、上述した本発明の一実施形態によるバルブユニット14、及び、それを備えた水洗大便器1においては、水道等の外部の給水源(図示せず)から給水管6に供給されたすべて(100%)の洗浄水がタンク装置4の貯水タンク10に給水された後、この貯水タンク10内の洗浄水がタンク装置4のポンプ30によって吸引されて便器本体2のリム吐水口2fに圧送される、いわゆる、フルポンプ式の水洗大便器に対してバルブユニット14を適用した形態について説明した。
しかしながら、このような形態に限られず、フルポンプ式の水洗大便器以外の他の形態の水洗大便器に対しても、本実施形態のバルブユニット14が適用可能である。
具体的には、フルポンプ式の水洗大便器以外の他の形態の水洗大便器として、水道から直圧で給水路に供給された洗浄水について、そのまま便器本体のリム吐水口に直接的に供給する水道直圧式の水洗大便器に対して、本実施形態のバルブユニット14を適用してもよい。
また、水道から直圧で給水路に供給された洗浄水について、そのまま便器本体のリム吐水口に直接的に供給すると共に、一旦貯水タンク内に供給して貯水した洗浄水をポンプにより便器本体のジェット吐水口に供給する、いわゆる、ハイブリット式の水洗大便器等に対しても、本実施形態のバルブユニット14を適用させてもよい。
【0061】
また、上述した本発明の一実施形態によるバルブユニット14においては、圧力開放部Qのガイド部Gが、第2開放流路60を形成する壁面(外側壁面62b)において周方向に所定間隔を置いて設けられた複数のガイドリブ62によるスプライン形状の形態について説明した。
しかしながら、ガイド部Gについては、このような複数のガイドリブ62によるスプライン形状の形態に限られず、シール部Sの第1開放流路を58から第2開放流路60内に流入した水W0を第3開放流路64に流通させる流路を確保するように第3開放流路64の流入口64aの近傍を切り欠いた形状とし、これ以外の部分は、所定間隔を置いた複数のガイドリブとせずに、周方向に連続的に環状に形成されたガイド形態であってもよい。
【0062】
さらに、上述した本発明の一実施形態によるバルブユニット14においては、ガイド部Gの複数(6つ)のガイドリブ62のうちの第3開放流路64の入口部(流入口64a)に隣接する2つのガイドリブ62A,62Bについて、その軸方向外側の端部が第3開放流路64の入口部(流入口64a)の上流側の一部まで延びている形態について説明した。
しかしながら、このような形態に限られず、第2開放流路60から第3開放流路64に水を流通させる流路を確保していれば、ガイドリブ62A,62Bの全体が第3開放流路64の流入口64aよりも軸方向外側まで延びるような形態であってもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 水洗大便器
2 便器本体
2a ボウル部
2b 排水トラップ管
2c リム部
2d リム導水路
2e リム導水路の入口
2f リム吐水口
2g 排水トラップ管の出口部
2h 便器本体の底壁部
2i 取付穴
2j 便器本体の底壁部の上面
4 タンク装置
6 給水管
6a 一次側給水路
6b 二次側給水路
6c 連通流路
6d 連通流路の流入口(連通流路の弁座開口部)
6e 連通流路の対向壁面
6f 二次側流路内の側壁面
8 吐水管
8a 吐水管の出口部
10 貯水タンク
10a 上方開口部
12 止水栓
14 バルブユニット
16 定流量弁
17 主弁ユニット
17a ダイヤフラム式の主弁体(主弁)
17b 主弁座
17c ブリード穴
18 電磁弁ユニット
18a 電磁弁側パイロット穴
18b 電磁弁側パイロット弁体(パイロット弁体)
18c 電磁弁側パイロット弁室
18d ソレノイド
20 連結ユニット
22 タンクユニット
24 ハウジング
24a 下方開口部
24b オーバーフロー口
26 オーバーフロー管
28 逆止弁
30 ポンプ
32 フロートスイッチ
34 水抜き栓
36 通水管
36a 通水管の上流端
38 吸引管
38a 吸引管の下流端
40 停電時手動給水操作装置
42 停電時手動排水操作装置
44 ハンドル部
44a ハンドル部の軸方向の外側端面
46 スピンドルバルブ(圧力開放部、圧力開放弁)
46a スピンドルバルブの軸方向内側端部
46b スピンドルバルブの軸方向の外側端面
48 バルブユニットの本体部
50 圧力室
52 圧力逃がし通路(圧力開放部)
54 圧力開放穴(圧力開放部)
56 Oリング(環状シール部材)
58 第1開放流路
58a 第1開放流路を形成するシール部の壁面
58b シール部の出口部、拡径部
60 ガイド部の第2開放流路
62 ガイドリブ(ガイド部)
62A ガイドリブ
62B ガイドリブ
62a ガイドリブの内側壁面(ガイド部の第2開放流路を形成する壁面)
62b ガイドリブの外側壁面(ガイド部の第2開放流路を形成する壁面)
64 第3開放流路
64a 第3開放流路の流入口(第3開放流路の入口部)
64b 上流側連通路(圧力開放部、第3開放流路)
64c 下流側連通路(圧力開放部、第3開放流路)
65 Oリング
66 留め具
68 排水ソケット
70 開閉弁
72 操作ワイヤ
74 固定ユニット
76 把持用のリング部材
A0 ハンドル部の操作軸線
A1 一次側給水路の流路軸線
A2 連通流路の流路軸線
A3 二次側給水路の流路軸線
B 連通路の屈曲部
C コントローラ
D1 ガイドリブの互いに径方向に対向する内側壁面同士の直径(ガイド部における第2開放流路を形成する流路断面の最小直径)
D2 シール部の第1開放流路を形成する円筒状の壁面の直径(シール部の第1開放流路を形成する流路断面の最大直径)
E 拡張部
G ガイド部
P 外装パネル
P0 外装パネルの取付位置
Q 圧力開放部
R1 便器本体の後方領域
S シール部
U1 給水ユニット
V1 通気
W0 圧力開放部を通過する水
W1 洗浄水