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特許7576222排水弁装置、及び、この排水弁装置を備えた洗浄水タンク装置
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  • 特許-排水弁装置、及び、この排水弁装置を備えた洗浄水タンク装置 図1
  • 特許-排水弁装置、及び、この排水弁装置を備えた洗浄水タンク装置 図2
  • 特許-排水弁装置、及び、この排水弁装置を備えた洗浄水タンク装置 図3
  • 特許-排水弁装置、及び、この排水弁装置を備えた洗浄水タンク装置 図4
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  • 特許-排水弁装置、及び、この排水弁装置を備えた洗浄水タンク装置 図6
  • 特許-排水弁装置、及び、この排水弁装置を備えた洗浄水タンク装置 図7
  • 特許-排水弁装置、及び、この排水弁装置を備えた洗浄水タンク装置 図8
  • 特許-排水弁装置、及び、この排水弁装置を備えた洗浄水タンク装置 図9
  • 特許-排水弁装置、及び、この排水弁装置を備えた洗浄水タンク装置 図10
  • 特許-排水弁装置、及び、この排水弁装置を備えた洗浄水タンク装置 図11
  • 特許-排水弁装置、及び、この排水弁装置を備えた洗浄水タンク装置 図12
  • 特許-排水弁装置、及び、この排水弁装置を備えた洗浄水タンク装置 図13
  • 特許-排水弁装置、及び、この排水弁装置を備えた洗浄水タンク装置 図14
  • 特許-排水弁装置、及び、この排水弁装置を備えた洗浄水タンク装置 図15
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-23
(45)【発行日】2024-10-31
(54)【発明の名称】排水弁装置、及び、この排水弁装置を備えた洗浄水タンク装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 1/34 20060101AFI20241024BHJP
   E03D 1/26 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
E03D1/34
E03D1/26
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020191063
(22)【出願日】2020-11-17
(65)【公開番号】P2022080091
(43)【公開日】2022-05-27
【審査請求日】2023-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100159846
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 尚
(72)【発明者】
【氏名】松田 春喜
(72)【発明者】
【氏名】神渡 幹也
(72)【発明者】
【氏名】篠原 弘毅
(72)【発明者】
【氏名】アムシャー ザフラン
(72)【発明者】
【氏名】米原 龍平
(72)【発明者】
【氏名】谷沢 勝美
(72)【発明者】
【氏名】安倍 誠
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-266937(JP,A)
【文献】特開平10-204952(JP,A)
【文献】特開2005-213906(JP,A)
【文献】特開2002-070109(JP,A)
【文献】特開2013-104271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 1/00- 7/00
E03D 11/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器本体を洗浄するための洗浄水を貯水する洗浄水タンクの排水口部に取り付けられる排水弁装置であって、
上記排水口部に取り付けられ、上記洗浄水タンク内の洗浄水を上記排水口部内の排水流路に排水する筒状の排水部本体と、
上記排水部本体を上記排水口部に固定する固定部とを備え、
上記排水部本体は、
上記排水流路を開閉する排水弁体と、
上記排水弁体が着座する弁座部と、
上記弁座部の内側部分から下方側に延び、内側に上記排水流路を形成する内筒部と、
上記弁座部の下方側において上記内筒部の側面から外側に突出すると共に、上記排水口部の周りの上記洗浄水タンクの底面上に配置される鍔部と、を備え、
上記排水部本体は、上記鍔部に上記洗浄水タンクの底部に向かう荷重を生じさせるように上記固定部により上記排水口部に固定され、
上記排水部本体は、さらに、
上記内筒部の外側において上記弁座部と上記鍔部との間を上下方向に接続する縦リブと、
上記弁座部と上記鍔部との間において上記弁座部と上記鍔部とを接続するように形成される傾斜リブであって、上記傾斜リブは、上記内筒部の外周方向に沿うように斜めに延びる、上記傾斜リブと、を備えていることを特徴とする排水弁装置。
【請求項2】
上記固定部は、上記排水部本体の上記排水流路内に突出するように形成され、上記傾斜リブは、上記内筒部の外側に向けてさらに突出するように設けられている、請求項1記載の排水弁装置。
【請求項3】
上記縦リブのうち少なくとも一部は、垂直方向に延びるように形成される、請求項1記載の排水弁装置。
【請求項4】
便器本体を洗浄するための洗浄水を貯水する洗浄水タンクの排水口部に取り付けられる排水弁装置であって、
上記排水口部に取り付けられ、上記洗浄水タンク内の洗浄水を上記排水口部内の排水流路に排水する筒状の排水部本体と、
上記排水部本体を上記排水口部に固定する固定部とを有し、
上記排水部本体は、
上記排水流路を開閉する排水弁体と、
上記排水弁体が着座する弁座部と、
上記弁座部の内側部分から下方側に延び、内側に上記排水流路を形成する内筒部と、
上記弁座部の下方側において上記内筒部の側面から外側に突出すると共に、上記排水口部の周りの上記洗浄水タンクの底面上に配置される鍔部と、を備え、
上記排水部本体は、上記鍔部に上記洗浄水タンクの底部に向かう荷重を生じさせるように上記固定部により上記排水口部に固定され、
上記排水部本体は、さらに、
上記内筒部の外側において上記弁座部と上記鍔部との間を上下方向に接続する縦リブと、
上記弁座部と上記鍔部との間に配置され、少なくとも2つの上記縦リブを横方向に連結する横リブと、を備えていることを特徴とする排水弁装置。
【請求項5】
上記縦リブのうち少なくとも一部は、垂直方向に延びるように形成され、
上記横リブは、水平方向に延びるように形成される、請求項4記載の排水弁装置。
【請求項6】
さらに、上記弁座部と上記鍔部との間において上記弁座部と上記鍔部とを接続するように形成される傾斜リブであって、上記傾斜リブは、上記内筒部の外周方向に沿うように斜めに延びる、上記傾斜リブを備える、請求項4又は5記載の排水弁装置。
【請求項7】
上記固定部は、上記排水部本体の上記排水流路内に突出するように形成され、上記傾斜リブは、上記内筒部の外側に向けてさらに突出するように設けられている、請求項6記載の排水弁装置。
【請求項8】
上記固定部のうち少なくとも一部は、上記排水口部の両側の対向する位置に対となるように配置され、上面視において、この対となるように配置された上記固定部を結ぶ対向線と平行な仮想線に沿うように上記縦リブのうち少なくとも一部が形成されている、請求項1乃至7の何れか1項に記載の排水弁装置。
【請求項9】
上記縦リブは、上面視において、上記対向線と、上記対向線から見て上記鍔部の遠位側の端部と、の間に複数形成されている、請求項8に記載の排水弁装置。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか1項に記載の排水弁装置を備えた洗浄水タンク装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水弁装置、及び、この排水弁装置を備えた洗浄水タンク装置に係り、特に、便器本体を洗浄するための洗浄水を貯水する洗浄水タンクの排水口部に取り付けられる排水弁装置、及び、この排水弁装置を備えた洗浄水タンク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、便器本体を洗浄するための洗浄水を貯水する洗浄水タンクの排水口部に取り付けられる排水弁装置として、例えば、特許文献1に記載されているように、洗浄水タンクに設けられた排水口を開閉するための弁体と、排水口に対して水密に取り付けられて弁体が排水口を閉弁する際に着座する弁座を提供する排水口取付部と、を備えるタイプの排水弁装置が知られている。このような排水弁装置においては、排水口内に延びる筒部の雄ネジ部を洗浄水タンクの下方側から締結部材の雌ネジ部で締め付けることにより排水口取付部を洗浄水タンクの底面に締め付けるようになっている。
【0003】
また、特許文献2に記載されているように、便器本体を洗浄するための洗浄水を貯水する洗浄水タンクの排水口に取り付けられる排水弁装置として、洗浄水タンクの底部が排水部本体のベース部と固定金具とによって挟持された状態で、皿ねじを締め付ける方向に回転させることにより、固定金具を上昇させ、排水部本体のベース部が洗浄水タンクの底部に対して固定されるものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-33740号公報
【文献】特開2019-52442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1及び2に記載されている排水弁装置は、例えば施工時やメンテナンス時等に、設置現場にて施工者によって排水弁装置が洗浄水タンクに固定されることとなる。このとき、締め付けトルクの強さの管理が難しく、施工者よっては、締め付けトルクが強すぎることとなり、排水部本体のベース部や排水口取付部に接続されている弁座が変形したり、すぐに変形しなくとも時間経過とともに排水部本体のベース部や排水口取付部に接続されている弁座が変形し、弁座と弁体との間のシール性能を低下させるという課題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、排水部本体が、鍔部に上記洗浄水タンクの底面に向かう荷重を生じさせるように固定部により排水口部に固定される場合においても、弁座部と排水弁体とのシール性能を向上できる排水弁装置、この排水弁装置を備えた洗浄水タンク装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の一実施形態は、便器本体を洗浄するための洗浄水を貯水する洗浄水タンクの排水口部に取り付けられる排水弁装置であって、上記排水口部に取り付けられ、上記洗浄水タンク内の洗浄水を上記排水口部内の排水流路に排水する筒状の排水部本体と、上記排水部本体を上記排水口部に固定する固定部とを備え、上記排水部本体は、上記排水流路を開閉する排水弁体と、上記排水弁体が着座する弁座部と、上記弁座部の内側部分から下方側に延び、内側に上記排水流路を形成する内筒部と、上記弁座部の下方側において上記内筒部の側面から外側に突出すると共に、上記排水口部の周りの上記洗浄水タンクの底面上に配置される鍔部と、を備え、上記排水部本体は、上記鍔部に上記洗浄水タンクの底部に向かう荷重を生じさせるように上記固定部により上記排水口部に固定され、上記排水部本体は、さらに、上記内筒部の外側において上記弁座部と上記鍔部との間を上下方向に接続する縦リブと、上記弁座部と上記鍔部との間において上記弁座部と上記鍔部とを接続するように形成される傾斜リブであって、上記傾斜リブは、上記内筒部の外周方向に沿うように斜めに延びる、上記傾斜リブと、を備えていることを特徴としている。
このように構成された本発明の一実施形態においては、縦リブが上記弁座部と上記鍔部との間において上記弁座部と上記鍔部とを接続しているので、鍔部に洗浄水タンクの底面に向かう荷重を生じさせる場合、鍔部と内筒部を介して接続される弁座部の一部が上方に上昇するように変形されることを抑制できる、従って、弁座部の一部が上方に上昇することにより弁座部と排水弁体とのシール性能が低下することを抑制できる。さらに、傾斜リブが内筒部の外周方向に沿うように斜めに延びるように弁座部と鍔部とを接続しているので、鍔部に洗浄水タンクの底面に向かう荷重を生じさせる場合、鍔部と内筒部を介して接続される弁座部の一部が斜め上方に上昇するように変形されることを抑制できる。従って、弁座部の一部が斜め上方に上昇することにより弁座部と排水弁体とのシール性能が低下することを抑制できる。よって、排水部本体が、鍔部に上記洗浄水タンクの底面に向かう荷重を生じさせるように固定部により排水口部に固定される場合においても、弁座部と排水弁体とのシール性能を向上できる。
【0008】
本発明の一実施形態において、好ましくは、上記傾斜リブは、上記固定部に対して遠位側が下降するように形成されている。
このように構成された本発明の一実施形態においては、上記傾斜リブは、上記固定部に対して遠位側が下降するように形成されているので、固定部が鍔部に上記洗浄水タンクの底面に向かう荷重を下向きに生じさせるとき、固定部の近傍の鍔部及び弁座部が上方に上昇するように歪む動きを、固定部側に近い傾斜リブの近位側が接続された弁座部を、傾斜リブの遠位側に接続された鍔部から下方に抑えるようにして上昇の動きを抑制でき、固定部の近傍の鍔部及び弁座部が上方に上昇する変形を抑制できる。
【0009】
本発明の一実施形態において、好ましくは、上記縦リブのうち少なくとも一部は、垂直方向に延びるように形成される。
このように構成された本発明の一実施形態においては、上記縦リブのうち少なくとも一部は、垂直方向に延びるように形成される。これにより、縦リブが弁座部と鍔部との間を比較的短い距離で接続でき、鍔部及び弁座部が垂直方向上方に上昇する変形をより効果的に抑制できる。さらに、垂直方向に延びる縦リブにより、固定部によりに生じる上記洗浄水タンクの底部に向かう垂直方向下方向きの荷重に対する排水部本体の変形への耐性をより向上させることができる。
【0010】
本発明の一実施形態において、便器本体を洗浄するための洗浄水を貯水する洗浄水タンクの排水口部に取り付けられる排水弁装置であって、上記排水口部に取り付けられ、上記洗浄水タンク内の洗浄水を上記排水口部内の排水流路に排水する筒状の排水部本体と、上記排水部本体を上記排水口部に固定する固定部とを有し、上記排水部本体は、上記排水流路を開閉する排水弁体と、上記排水弁体が着座する弁座部と、上記弁座部の内側部分から下方側に延び、内側に上記排水流路を形成する内筒部と、上記弁座部の下方側において上記内筒部の側面から外側に突出すると共に、上記排水口部の周りの上記洗浄水タンクの底面上に配置される鍔部と、を備え、上記排水部本体は、上記鍔部に上記洗浄水タンクの底部に向かう荷重を生じさせるように上記固定部により上記排水口部に固定され、上記排水部本体は、さらに、上記内筒部の外側において上記弁座部と上記鍔部との間を上下方向に接続する縦リブと、上記弁座部と上記鍔部との間に配置され、少なくとも2つの上記縦リブを横方向に連結する横リブと、を備えている。
このように構成された本発明の一実施形態においては、縦リブが上記弁座部と上記鍔部との間において上記弁座部と上記鍔部とを接続しているので、鍔部に洗浄水タンクの底面に向かう荷重を生じさせる場合、鍔部と内筒部を介して接続される弁座部の一部が上方に上昇するように変形されることを抑制できる、従って、弁座部の一部が上方に上昇することにより弁座部と排水弁体とのシール性能が低下することを抑制できる。さらに、横リブが少なくとも2つの上記縦リブを横方向に連結するように配置されているので、連結された縦リブが互いに補強され、連結された縦リブの変形がより抑制できる。これにより、鍔部に上記洗浄水タンクの底面に向かう荷重を生じさせる場合、鍔部と内筒部を介して接続される弁座部の一部とが変形されることを抑制できる、従って、弁座部の一部が変形することにより弁座部と排水弁体とのシール性能が低下することを抑制できる。よって、排水部本体が、鍔部に上記洗浄水タンクの底面に向かう荷重を生じさせるように固定部により排水口部に固定される場合においても、弁座部と排水弁体とのシール性能を向上できる。
【0011】
本発明の一実施形態において、好ましくは、上記縦リブのうち少なくとも一部は、垂直方向に延びるように形成され、上記横リブは、水平方向に延びるように形成される。
このように構成された本発明の一実施形態においては、上記縦リブのうち少なくとも一部は、垂直方向に延びるように形成される。これにより、縦リブが弁座部と鍔部との間を比較的短い距離で接続でき、鍔部及び弁座部が垂直方向上方に上昇する変形をより効果的に抑制できる。また、横リブが垂直方向に延びる縦リブの間を水平方向に連結するように形成されるので、縦リブと横リブが格子状構造を形成し、連結された縦リブが互いにより補強され、連結された縦リブの変形がさらに抑制できる。これにより、鍔部に上記洗浄水タンクの底面に向かう荷重を生じさせる場合、鍔部と内筒部を介して接続される弁座部の一部が変形されることをさらに抑制できる、従って、弁座部の一部が変形することにより弁座部と排水弁体とのシール性能が低下することをさらに抑制できる。よって、排水部本体が、鍔部に上記洗浄水タンクの底面に向かう荷重を生じさせるように固定部により排水口部に固定される場合においても、弁座部と排水弁体とのシール性能をさらに向上できる。
【0012】
本発明の一実施形態において、好ましくは、さらに、上記弁座部と上記鍔部との間において上記弁座部と上記鍔部とを接続するように形成される傾斜リブであって、上記傾斜リブは、上記内筒部の外周方向に沿うように斜めに延びる、上記傾斜リブを備える。
このように構成された本発明の一実施形態においては、傾斜リブが内筒部の外周方向に沿うように斜めに延びるように弁座部と鍔部とを接続しているので、鍔部に洗浄水タンクの底面に向かう荷重を生じさせる場合、鍔部と内筒部を介して接続される弁座部の一部が斜め上方に上昇するように変形されることを抑制できる。従って、弁座部の一部が斜め上方に上昇することにより弁座部と排水弁体とのシール性能が低下することを抑制できる。さらに、例えば、横リブが少なくとも傾斜リブを横方向に連結するように配置される場合には、連結された傾斜リブが互いにより補強され、連結された傾斜リブの変形がより抑制できる。これにより、鍔部に上記洗浄水タンクの底面に向かう荷重を生じさせる場合、鍔部と内筒部を介して接続される弁座部の一部が斜め上方に上昇するように変形されることをより抑制できる、従って、弁座部の一部が斜め上方に上昇するように変形することにより弁座部と排水弁体とのシール性能が低下することをより抑制できる。よって、排水部本体が、鍔部に上記洗浄水タンクの底面に向かう荷重を生じさせるように固定部により排水口部に固定される場合においても、弁座部と排水弁体とのシール性能をさらに向上できる。
【0013】
本発明の一実施形態において、好ましくは、上記傾斜リブは、上記固定部に対して遠位側が下降するように形成されている。
このように構成された本発明の一実施形態においては、上記傾斜リブは、上記固定部に対して遠位側が下降するように形成されているので、固定部が鍔部に上記洗浄水タンクの底面に向かう荷重を下向きに生じさせるとき、固定部の近傍の鍔部及び弁座部が上方に上昇するように歪む動きを、固定部側に近い傾斜リブの近位側が接続された弁座部を、傾斜リブの遠位側に接続された鍔部から下方に抑えるようにして上昇の動きを抑制でき、固定部の近傍の鍔部及び弁座部が上方に上昇する変形を抑制できる。
【0014】
本発明の一実施形態において、好ましくは、上記固定部のうち少なくとも一部は、上記排水口部の両側の対向する位置に対となるように配置され、上面視において、この対となるように配置された上記固定部を結ぶ対向線と平行な仮想線に沿うように上記縦リブのうち少なくとも一部が形成されている。
このように構成された本発明の一実施形態においては、上面視において、対となるように配置された上記固定部を結ぶ対向線と平行な仮想線に沿って上記縦リブのうち少なくとも一部が形成されている。これにより、固定部が排水口部の両側の対向する位置に対となるように配置されている場合に、固定部を結ぶ対向線上の弁座部に対して、上記対向線と平行な仮想線に沿った位置の弁座部が、反るように上昇する変形を効果的に抑制できる。
【0015】
本発明の一実施形態において、好ましくは、上記縦リブは、上面視において、上記対向線と、上記対向線から見て上記鍔部の遠位側の端部と、の間に複数形成されている。
このように構成された本発明の一実施形態においては、上記縦リブは、上面視において、上記対向線と、上記対向線から見て上記鍔部の遠位側の端部と、の間に複数形成されている。これにより、固定部を結ぶ対向線と、上記対向線から見て鍔部の遠位側の端部との間において弁座部の変形を効果的に抑制できる。
【0016】
つぎに、本発明の一実施形態は、上記排水弁装置を備えた洗浄水タンク装置である。
このように構成された本発明の一実施形態においては、排水部本体が、鍔部に上記洗浄水タンクの底面に向かう荷重を生じさせるように固定部により排水口部に固定される場合においても、排水弁装置の弁座部と排水弁体とのシール性能を向上できる洗浄水タンク装置を提供できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の排水弁装置によれば、排水部本体が、鍔部に上記洗浄水タンクの底面に向かう荷重を生じさせるように固定部により排水口部に固定される場合においても、弁座部と排水弁体とのシール性能を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態による排水弁装置が適用されたワンピースの水洗大便器の斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態による排水弁装置が適用されたワンピースの水洗大便器の側面断面図である。
図3】本発明の第1実施形態による排水弁装置が適用されたワンピースの水洗大便器の洗浄水タンク部について、洗浄水タンクの上蓋及び前側壁面を省略して内部構造を前方斜め上方から見た斜視図である。
図4】本発明の第1実施形態による排水弁装置を示す正面図である。
図5】本発明の第1実施形態による排水弁装置を示す正面断面図である。
図6】本発明の第1実施形態による排水弁装置の排水部本体部材及びオーバーフロー管の背面図である。
図7】本発明の第1実施形態による排水弁装置の排水部本体部材及びオーバーフロー管の上面図である。
図8図6のVIII-VIII線に沿って見た断面図である。
図9図7のIX-IX線に沿って見た断面図である。
図10】本発明の第2実施形態による排水弁装置を示す正面断面図である。
図11】本発明の第2実施形態による排水弁装置の排水部本体部材及びオーバーフロー管の斜視図である。
図12】本発明の第2実施形態による排水弁装置の排水部本体部材及びオーバーフロー管の背面図である。
図13】本発明の第2実施形態による排水弁装置の排水部本体部材及びオーバーフロー管の上面図である。
図14図12のXIV-XIV線に沿って見た断面図である。
図15図13のXV-XV線に沿って見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
つぎに、添付図面により、本発明の第1実施形態による排水弁装置について説明する。
まず、図1及び図2により、本発明の第1実施形態による排水弁装置が適用されるワンピースの水洗大便器について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態による排水弁装置が適用されたワンピースの水洗大便器の斜視図であり、図2は、本発明の第1実施形態による排水弁装置が適用されたワンピースの水洗大便器の側面断面図である。
【0020】
図1及び図2に示すように、本発明の第1実施形態による排水弁装置1が適用されたワンピースの水洗大便器2は、便器本体である便器本体部4と、この便器本体部4の上面後方に一体的に形成された洗浄水タンク部6とを備えている。洗浄水タンク部6は、排水弁装置1を備えた洗浄水タンク装置を構成している。洗浄水タンク部6は、便器本体部4を洗浄するための洗浄水を貯水する洗浄水タンク8を備えている。また、この洗浄水タンク8の底部8aには、上下方向に貫く排水口部10が設けられている。この排水口部10は、より厳密には、詳細は後述する本実施形態の排水弁装置1が取り付けられる洗浄水タンク8の底部8aの取付穴8bに相当している。なお、本実施形態の排水弁装置1においては、便器本体部4と洗浄水タンク部6とが一体的に形成されたワンピースの水洗大便器2に適用した形態について説明するが、このような形態に限られず、適用されるワンピースの水洗大便器2の洗浄水タンク部6の洗浄水タンク8の底部8aの取付穴8bと同一径の取付穴の洗浄水タンクを備えたツーピースの水洗大便器(便器本体部と洗浄水タンク部とが別体として形成された水洗大便器)にも容易に適用することができるようになっている。
【0021】
水洗大便器2の便器本体部4は、その前方側に設けられたボウル部12と、このボウル部12の上縁に形成されたリム部14と、このリム部14の内周に形成された棚部16とを備えている。
また、便器本体部4のボウル部12の底部には、排水トラップ管路18の入口18aが開口し、この排水トラップ管路18は、上方に延びる上昇管18bと、下方に延びる下降管18cを備えている。この排水トラップ管路18の形状から分かるように、本実施形態による水洗大便器2は、サイホン作用を利用してボウル部内の汚物を吸い込んで排水トラップ管路から一気に外部に排出する、いわゆる、サイホン式の水洗大便器である。
なお、水洗大便器2としては、サイホン式の水洗大便器に限定されず、ボウル部内の水の落差による流水作用で汚物を押し流す、いわゆる、洗い落し式の水洗大便器等の他のタイプの水洗便器にも適用可能である。
【0022】
つぎに、便器本体部4は、洗浄水タンク部6の排水口部10から排出される洗浄水が流入する導水路20と、リム部14の前方から見て左側中央に形成された第1リム吐水口22と、リム部14の前方から見て右側後方に形成された第2リム吐水口24(図1参照)とを備えている。
また、導水路20は、下流に向かってリム部14の後壁面14a付近の分岐領域20aまで延びた後、この分岐領域20aから第1リム吐水口22まで延びる第1導水路20bと、分岐領域20aから第2リム吐水口24まで延びる第2導水路20cと備えており、導水路20の洗浄水は、分岐領域20aから第1導水路20bを経て第1リム吐水口22に到達する一方、分岐領域20aから第2導水路20cを経て第2リム吐水口24に到達し、第1リム吐水口22及び第2リム吐水口24のそれぞれから吐水され、ボウル部12が洗浄され、汚物が排水トラップ管路18から排出されるようになっている。
【0023】
つぎに、図2及び図3により、本発明の第1実施形態による排水弁装置が適用されたワンピースの水洗大便器の洗浄水タンク部の内部構造について説明する。
図3は、本発明の第1実施形態による排水弁装置が適用されたワンピースの水洗大便器の洗浄水タンク部について、洗浄水タンクの上蓋及び前側壁面を省略して内部構造を前方斜め上方から見た斜視図である。
図2及び図3に示すように、本発明の第1実施形態による排水弁装置1が適用されたワンピースの水洗大便器2の洗浄水タンク部6の洗浄水タンク8内には、この洗浄水タンク8内に洗浄水を供給する給水装置26と、洗浄水タンク8に貯えられた洗浄水について排水口部10を開放して便器本体部4の導水路20に流出させる、詳細は後述する排水弁装置1が設けられている。この排水弁装置1は、操作装置28の操作レバー30の操作により1本の操作ワイヤ32が引き上げられることによって排水弁体34が上昇して洗浄水タンク8の排水口部10が開放される、いわゆる、ワイヤ駆動式の直動型の排水弁装置である。
【0024】
また、給水装置26は、外部の給水源(図示せず)に接続され且つ洗浄水タンク8の底部から上方に延びるように設けられた給水管36と、この給水管36の上端部に取り付けられ、給水管36から給水される洗浄水の洗浄水タンク8内への吐水と止水を切り替える給水バルブ38と、洗浄水タンク8内の水位の変動に応じて上下動して給水バルブ38による吐水と止水を切り替えるフロート40とを備えている。
【0025】
給水管36の外周側下端部には、複数の吐水口42が形成され、給水バルブ38を通過した洗浄水が吐水口42から洗浄水タンク8内に吐水されるようになっている。また、給水装置26においては、排水弁装置1により、洗浄水タンク8内の洗浄水が便器に排水されると、洗浄水の水位が低下してフロート40が下降し、それにより給水バルブ38が開き、吐水口42からの吐水が開始され、洗浄水タンク部6の外部の給水源(図示せず)から洗浄水タンク8内への吐水が開始されるようになっている。さらに、吐水が継続されて洗浄水タンク8内の水位が上昇すると、フロート40が上昇し、それにより給水バルブ38が閉鎖され、吐水口42からの吐水が止水されるようになっている。これにより、洗浄水タンク8内の洗浄水の水位が満水時の所定水位(以下「満水水位W0」)に維持されるようになっている。ここで、満水水位W0は、実質的には、排水開始前の洗浄水タンク8内の初期水位にも相当している。
【0026】
また、図3に示すように、排水弁装置1の動作を操作する操作装置28は、洗浄水タンク8の外部に取り付けられた操作レバー30と、洗浄水タンク8の内部に設けられて操作レバー30に連結されるワイヤ巻取り装置46を備えている。このワイヤ巻取り装置46は、操作レバー30が手動により回転操作されたときの回転力がワイヤ巻取り装置46のケーシング46a内のプーリやギヤ等の回転機構部材(図示せず)に伝達されるようになっている。また、ワイヤ巻取り装置46と排水弁装置1とは、操作ワイヤ32によって互いに連結されており、操作装置28の操作レバー30を手動で回転操作することにより、ワイヤ巻取り装置46を介して1本の操作ワイヤ32が引き上げられ、排水弁体34が上昇して洗浄水タンク8の排水口部10が開放されるようになっている。
【0027】
なお、本実施形態では、操作装置28の操作レバー30を手動で回転操作することによりワイヤ巻取り装置46を操作し、操作ワイヤ32の引き上げ操作が可能な例について説明するが、操作レバー30の代わりに押しボタンのようなものを採用して引き上げ操作を行ってもよいし、操作レバーを回動させるためのモータ等の駆動手段を設け、操作装置の操作レバーやワイヤ巻取り装置を電動で駆動させるような形態にしてもよい。また、外部に設定された操作ボタン又は人感センサーからの指令信号によって駆動手段の作動を自動的に制御するようにしてもよい。
【0028】
つぎに、図4図9を参照して、本発明の第1実施形態による排水弁装置の詳細について説明する。
まず、図4は、本発明の第1実施形態による排水弁装置を示す正面図であり、図5は、本発明の第1実施形態による排水弁装置を示す正面断面図である。また、図6は、本発明の第1実施形態による排水弁装置の排水部本体部材及びオーバーフロー管の背面図であり、図7は、本発明の第1実施形態による排水弁装置の排水部本体部材及びオーバーフロー管の上面図であり、図8は、図6のVIII-VIII線に沿って見た断面図であり、図9は、図7のIX-IX線に沿って見た断面図である。
【0029】
図4図9に示すように、本実施形態の排水弁装置1は、洗浄水タンクの排水口部10に取り付けられる。排水弁装置1は、洗浄水タンク8の底部8aの取付穴8bに取り付けられ且つ便器本体部4の導水路20に連通する排水口部10を形成する排水部本体である排水部本体部材48と、排水部本体部材48を排水口部10に固定する固定部58とを備えている。この排水部本体部材48の側方には、上下方向に延びるオーバーフロー管44が設けられており、このオーバーフロー管44内の下方流路44aの下流側端部は、排水部本体部材48の内側に形成されている排水流路50と連通している。
【0030】
排水部本体部材48は、排水口部10に取り付けられ、洗浄水タンク8内の洗浄水を排水口部10内の排水流路50に排水する。排水部本体部材48は、筒状に形成されている。排水部本体部材48は、排水流路50を開閉する排水弁体34と、排水弁体34が着座する弁座部78と、弁座部78の内側部分から下方側に延び、内側に排水流路50を形成する内筒部52と、排水口部10の周りの洗浄水タンク8の底面上に配置される鍔部54と、内筒部52の外側且つ鍔部54の下方側に配置されるシール部材56と、弁座部78の環状部88から上方側に延びる支柱部92と、支柱部92の上方に設けられるハウジング82と、を備えている。
【0031】
図5に示すように、排水弁体34は、上下方向に延びる排水弁軸部材80の下端部に固定されている。この排水弁軸部材80の上端部には、操作ワイヤ32の下端接続部32aが上下方向に摺動可能に接続されるフック部80aが一体的に設けられている。
また、排水弁軸部材80は、ハウジング82内で上下動可能に設けられている。排水弁軸部材80は、操作装置28の操作レバー30の操作により1本の操作ワイヤ32が引き上げられることによってフック部80aが引き上げられて上昇するようになっている。そして、排水弁体34が排水弁軸部材80と共に上昇し、排水流路50の流入口50bが開放され、排水流路50(排水口部10)が開放された状態となり、洗浄水タンク8内の洗浄水が便器本体部4の導水路20に供給されるようになっている。
なお、図5に実線で示す排水弁体34は、弁座部78に対して最大の上昇高さ(最大ストローク)で引き上げられて大洗浄モードの便器洗浄が開始される状態を示している。
排水弁体34は、円形の弁体を形成している。
【0032】
弁座部78は、排水部本体部材48の排水流路50の流入口50bの上縁全周に亘って形成される。さらに、弁座部78には、排水弁体34が当接可能に設けられており、図5に鎖線で示すように、排水弁体34が弁座部78に当接して排水流路50の流入口50bを閉止した状態では、排水流路50(排水口部10)が閉鎖された状態となり、洗浄水タンク8内の洗浄水が便器本体部4の導水路20に供給されないようになっている。弁座部78は、排水弁体34との当接部分からさらに半径方向外側に広がるように延びている。弁座部78は、排水弁体34との当接部分との外側に水平方向に延びる環状部88を形成している。
【0033】
内筒部52は、筒状に形成され、内側に管状の排水流路50を形成している。内筒部52は、下方側に向けて延び、洗浄水タンク8の底部8aの取付穴8bの内側に配置された状態で取り付けられる。内筒部52は、取付穴8bの開口径よりもわずかに小さい外径を有している。内筒部52の上部は、弁座部78の内側部分に接続されている。内筒部52は、弁座部78より下方側の部分においてオーバーフロー管44内の下方流路44aと接続され、排水流路50と下方流路44aとを接続するように形成されている。内筒部52は、鍔部54よりもさらに下方側に向けて延びると共にシール部材56よりもさらに下方側に延びる。
【0034】
鍔部54は、弁座部78の下方側において内筒部52の側面から外側に突出するように設けられる。鍔部54は、円環状に形成される。鍔部54は、水平方向に延びる。鍔部54は、上面視で排水口部10の外側の洗浄水タンク8の底部8aにかかるように形成されている。鍔部54は、取付穴8b(排水口部10)の開口径よりも大きな半径を有しているので、後述する固定部58により排水部本体部材48及び内筒部52が下方に引かれるように荷重を受ける場合に、この固定部58は、鍔部54に、洗浄水タンク8の底部8aに向かう荷重を生じさせるようになっている。
【0035】
シール部材56は、パッキン等により形成され、環状に形成されている。シール部材56は、洗浄水タンク8の底部8aの上側面8c上に配置され、底部8aと鍔部54との間に配置されている。シール部材56の半径方向外側端部は、鍔部54の外縁より外側に位置している。このシール部材56により、内筒部52の外側且つ洗浄水タンク8内の洗浄水が洗浄水タンク8の底部8aの取付穴8bと内筒部の外側面52aとの隙間から漏出しないように密封されている。
【0036】
固定部58は、排水部本体部材48の排水流路50内に突出するように形成され、排水部本体部材48を洗浄水タンク8の底部8aの取付穴8bに取り付けた状態で固定する。固定部58は、内筒部52の内側面52cの両側の対向する位置に一対に形成されている。よって、固定部58のうち少なくとも一部は、排水口部10の両側の対向する位置に対となるように配置されている。固定部58は、上面視でオーバーフロー管44内の下方流路44aが接続される方向の仮想線Gと斜めに交差する方向且つ内筒部52の中心Hを通る仮想線I上に設けられている。また、固定部58は、支柱部92の斜め下方側に位置している。
【0037】
この固定部58は、一対の皿ねじ60,62を備えている。また、固定部58は、排水部本体部材48の内筒部52の内側面52cに一体的に形成されて排水流路50内に突出し且つ各皿ねじ60,62の取付穴64,66が上下方向に貫くように形成されている一対の皿ねじ取付部68,70を備えている。さらに、固定部58は、各皿ねじ取付部68,70に取り付けられた各皿ねじ60,62の下方部分にそれぞれ螺合される一対の固定金具72,74を備えている。図8に示すように、各固定金具72,74の外側先端部72a,74aは、排水部本体部材48の内筒部52よりも外側に位置しており、図5に示すように、各固定金具72,74は、排水部本体部材48の内筒部52の下端面52bよりも下方に位置している。また、各皿ねじ60,62をその中心軸線回りに締め付ける方向に回転させると、各固定金具72,74を上昇させるように調整することができるようになっており、各固定金具72,74の外側先端部72a,74aの上面が洗浄水タンク8の底部8aの下側面8dに当接することにより、洗浄水タンク8の底部8aが上方の排水部本体部材48の鍔部54及びシール部材56と下方の各固定金具72,74とによって挟持されるようになっている。そして、このように洗浄水タンク8の底部8aが排水部本体部材48の鍔部54及びシール部材56と各固定金具72,74とにより挟持された状態で各皿ねじ60,62を締め付けると、排水部本体部材48が洗浄水タンク8の底部8aに対して固定されるようになっている。よって、排水部本体部材48は、鍔部54に洗浄水タンク8の底部8aに向かう荷重を生じさせるように固定部58により排水口部10に固定される。
【0038】
支柱部92は、排水部本体部材48の周方向に沿って所定間隔を置いて例えば4本配置されている。支柱部92は、環状部88から上方に延びハウジング82の下部に接続されている。支柱部92は、上面視で仮想線G上に2つ、及び排水口部10及び内筒部52の中心Hを通り且つ仮想線Gと直交する仮想線J上に2つ設けられている。このように、支柱部92のうち少なくとも一部は、排水口部10の両側に対となるように配置される。支柱部92は、隣り合う支柱部92同士の間に排水弁装置1の外側の洗浄水を排水流路50(排水口部10)へ流入させるための複数の連通口86を形成している。支柱部92は、環状部88の周囲に4つ形成されている。
【0039】
ハウジング82は、排水部本体部材48の上方に設けられ、排水部本体部材48内の機構の上部を覆うようなカバーを形成している。ハウジング82は、概ね筒状に形成されている。なお、図7に示すように、ハウジング82の内部には、排水弁軸部材80及び排水弁体34以外にも、大洗浄モードと小洗浄モードのそれぞれの場合の便器洗浄が開始されるタイミングを調整するための種々の関連部材等が設けられているが、これらの関連部材については、省略しても、操作ワイヤ32による排水弁軸部材80及び排水弁体34の引き上げ機能は最低限確保することができるため、説明は省略する。
【0040】
つぎに、図6乃至図9を参照して、弁座部78と、鍔部54との間に設けられる縦リブ及び横リブ等について説明する。
排水部本体部材48は、さらに、内筒部52の外側において弁座部78と鍔部54との間を上下方向に接続する縦リブ76と、弁座部78と鍔部54との間に配置され、少なくとも2つの縦リブ76を横方向に連結する横リブ90とを備えている。
【0041】
縦リブ76は、弁座部78と鍔部54との間を上下方向に接続するように形成されている。縦リブ76は、縦方向に延びる補強リブである。縦リブ76は、台形状に形成されている。縦リブ76は、平板状のリブにより弁座部78と鍔部54との間を直線的に上下方向に接続する。例えば、縦リブ76のうち少なくとも一部は、垂直方向に延びるように形成される。本実施形態においては、全ての縦リブ76は、垂直方向に延びるように形成される。なお、縦リブ76は、必ずしも垂直方向に延びるように形成されていなくともよい。例えば、縦リブ76は、弁座部78と鍔部54との間を階段状に上下方向に接続してもよいし、湾曲部分を有しながら上下方向に接続してもよい。縦リブ76は、必ずしも平板状ではなく、一定の範囲のブロック状の接続部分により形成されてもよい。縦リブ76は、平板状に限られず、弁座部78と鍔部54との間を接続する他の形状の接続部分により形成されてもよい。
【0042】
なお、内筒部52は弁座部78から鍔部54までの排水流路50を形成するために必要な部材であるため、縦リブ76及び横リブ90は内筒部52と区別される。縦リブ76及び横リブ90は内筒部52の外側に向けてさらに突出するように設けられた構造部材である。また、本実施形態のように弁座部78と鍔部54との間にオーバーフロー管44内の下方流路44aが接続される場合には、オーバーフロー管44の下方流路44aを形成する構成部材が弁座部78と鍔部54との間を接続する場合がある。このときは、縦リブ76及び横リブ90は、オーバーフロー管44の構成部材とは区別され、オーバーフロー管44の構成部材以外の部材により形成される構造部材となっている。また、弁座部78よりも上方側に延びてハウジング82を支持するための支柱部92は、ハウジング82を支持するための構造部材であり、縦リブ76及び横リブ90とは異なる形状且つ異なる部材として設けられている。縦リブ76及び横リブ90は、このような支柱部92とは別に、弁座部78から鍔部54までの間においてさらに設けられた構造部材である。
【0043】
図8に示すように、縦リブ76は、上面視において、対となるように配置された固定部58を結ぶ対向線A1と対向線A1から見て遠位側の鍔部54の端部54aとの間に複数形成されている。例えば、縦リブ76A、76B、76C、76Dが対向線A1と対向線A1から見て遠位側の鍔部54の端部54aとの間の領域内に別々に延びる縦リブとして延びるように設けられている。
【0044】
縦リブ76のうち少なくとも一部は、上面視において、対となるように配置された支柱部92を結ぶ対向線A2(図7及び図8参照)と平行な仮想線B1(図8参照)に沿うように形成されていてもよい。
なお、変形例として、縦リブ76のうち少なくとも一部は、上面視において、対となるように配置された固定部58を結ぶ対向線Aと平行な仮想線に沿うように形成されていてもよい。
【0045】
図8に示すように、縦リブ76のうち縦リブ76A、縦リブ76B、縦リブ76D~縦リブ76Hは、縦リブ76の内筒部側の内側辺76aが内筒部52に接続されるように形成されている。縦リブ76の内筒部52に対する歪み等を抑制できる。縦リブ76Cは、縦リブ76Dと直交するように縦リブ76Dと接続されている。
図9に示すように、縦リブ76のうち縦リブ76A、縦リブ76B、縦リブ76D~縦リブ76Hは、縦リブ76の上部辺76bが弁座部78の環状部88の下面の内側端から外側端までに接続されるように形成されている。よって、縦リブ76は、弁座部78の内側端から外側端までの変形を効率よく抑制できる。縦リブ76Cの上部辺76bは、環状部88の下面の外側端から別の位置の外側端までと接続するように形成されている。
【0046】
図6及び図7等に示すように、上面視で、鍔部54は、弁座部78の外側まで広がるように形成されている。このとき、縦リブ76の外側辺76cは、弁座部78の環状部88の外側端から鍔部54の外側端まで斜めに延びるような傾斜面を形成している。よって、縦リブ76は、弁座部78の外側端までの変形と、鍔部54の外側端までの変形とを効率よく抑制すると共に、縦リブ76の大きさをこのような外側端を結ぶ程度の大きさまで抑制できる。
図8及び図9に示すように、縦リブ76のうち縦リブ76A、縦リブ76B、縦リブ76D~縦リブ76Hは、縦リブ76の下部辺76dが鍔部54の上面の内側端から外側端までに接続されるように形成されている。よって、縦リブ76は、鍔部54の内側端から外側端までの変形を効率よく抑制できる。縦リブ76Cの下部辺76dは、鍔部54の上面の外側端から別の位置の外側端までと接続するように形成されている。
【0047】
横リブ90は、内筒部52の外側において管状に形成されている。横リブ90は、横方向に延びる補強リブである。横リブ90は、平板状のリブにより縦リブ76の間を直線的に横方向に接続する。例えば、横リブ90のうち少なくとも一部は、水平方向に延びるように形成される。本実施形態においては、全ての横リブ90は、水平方向に延びるように形成される。横リブ90は、鍔部と平行な外周方向に延びる。
なお、横リブ90は、必ずしも水平方向に延びるように形成されていなくともよい。例えば、横リブ90は、縦リブ76の間を階段状に横方向に接続してもよいし、湾曲部分を有しながら横方向に接続してもよい。横リブ90は、必ずしも平板状ではなく、一定の範囲のブロック状の接続部分により形成されてもよい。横リブ90は、平板状に限られず、縦リブ76の間を接続する他の形状の接続部分により形成されてもよい。
横リブ90は、内筒部52の外周側の全周にわたって形成される必要はなく、一部に形成されていてもよい。また、横リブ90は、連続した平板として形成されていなくともよく、断続的に縦リブ76の間を結ぶように形成されていてもよい。
【0048】
横リブ90は、上面視で、弁座部78の外側まで広がるように形成されている。図8に示すように、横リブ90は、横リブ90の内筒部側の内側辺90aが内筒部52に接続されるように形成されている。よって、横リブ90の内筒部52に対する上下方向の歪み等を抑制できる。横リブ90は、縦リブ76の間を梁状に連結する。よって、縦リブ76にかかる荷重を横リブ90を介して分散させることができ、また、縦リブ76を横リブ90により補強できる。また、このような横リブ90は、縦リブ76の途中に接続され、縦リブ76を縦方向に分割している。このとき、縦リブ76と横リブ90との連結部から弁座部78又は鍔部54までの縦リブ76の長さが、横リブ90を備えていない場合と比べてより短くできるので、縦リブ76の変形をより抑制できる。
【0049】
なお、変形例として、縦リブ76又は横リブ90のうちの全部又は一部に代えて、及び/又は、縦リブ76又は横リブ90のうちの全部又は一部に加えて、後述する第2実施形態において形成されているような傾斜リブが全部又は一部に設けられてもよい。このとき、排水部本体部材48は、さらに、弁座部78と鍔部54との間において弁座部78と鍔部54とを接続するように形成される傾斜リブであって、傾斜リブは、内筒部52の外周方向に沿うように斜めに延びる、傾斜リブとを備える。
【0050】
上述した本発明の第1実施形態による排水弁装置1によれば、縦リブ76が弁座部78と鍔部54との間において弁座部78と鍔部54とを接続しているので、鍔部54に洗浄水タンク8の底面に向かう荷重を生じさせる場合、鍔部54と内筒部52を介して接続される弁座部78の一部が上方に上昇するように変形されることを抑制できる、従って、弁座部78の一部が上方に上昇することにより弁座部78と排水弁体34とのシール性能が低下することを抑制できる。さらに、横リブ90が少なくとも2つの縦リブ76を横方向に連結するように配置されているので、連結された縦リブ76が互いに補強され、連結された縦リブ76の変形がより抑制できる。これにより、鍔部54に洗浄水タンク8の底面に向かう荷重を生じさせる場合、鍔部54と内筒部52を介して接続される弁座部78の一部とが変形されることを抑制できる、従って、弁座部78の一部が変形することにより弁座部78と排水弁体34とのシール性能が低下することを抑制できる。よって、排水部本体部材48が、鍔部54に洗浄水タンク8の底面に向かう荷重を生じさせるように固定部58により排水口部10に固定される場合においても、弁座部78と排水弁体34とのシール性能を向上できる。
【0051】
さらに、本実施形態の排水弁装置1によれば、縦リブ76のうち少なくとも一部は、垂直方向に延びるように形成される。これにより、縦リブ76が弁座部78と鍔部54との間を比較的短い距離で接続でき、鍔部54及び弁座部78が垂直方向上方に上昇する変形をより効果的に抑制できる。また、横リブ90が垂直方向に延びる縦リブ76の間を水平方向に連結するように形成されるので、縦リブ76と横リブ90が格子状構造を形成し、連結された縦リブ76が互いにより補強され、連結された縦リブ76の変形がさらに抑制できる。これにより、鍔部54に洗浄水タンク8の底面に向かう荷重を生じさせる場合、鍔部54と内筒部52を介して接続される弁座部78の一部が変形されることをさらに抑制できる、従って、弁座部78の一部が変形することにより弁座部78と排水弁体34とのシール性能が低下することをさらに抑制できる。よって、排水部本体部材48が、鍔部54に洗浄水タンク8の底面に向かう荷重を生じさせるように固定部58により排水口部10に固定される場合においても、弁座部78と排水弁体34とのシール性能をさらに向上できる。
【0052】
また、本実施形態による排水弁装置1によれば、傾斜リブ194が内筒部52の外周方向に沿うように斜めに延びるように弁座部78と鍔部54とを接続しているので、鍔部54に洗浄水タンク8の底面に向かう荷重を生じさせる場合、鍔部54と内筒部52を介して接続される弁座部78の一部が斜め上方に上昇するように変形されることを抑制できる。従って、弁座部78の一部が斜め上方に上昇することにより弁座部78と排水弁体34とのシール性能が低下することを抑制できる。さらに、例えば、横リブ90が少なくとも傾斜リブ194を横方向に連結するように配置される場合には、連結された傾斜リブ194が互いにより補強され、連結された傾斜リブ194の変形がより抑制できる。これにより、鍔部54に洗浄水タンク8の底面に向かう荷重を生じさせる場合、鍔部54と内筒部52を介して接続される弁座部78の一部が斜め上方に上昇するように変形されることをより抑制できる、従って、弁座部78の一部が斜め上方に上昇するように変形することにより弁座部78と排水弁体34とのシール性能が低下することをより抑制できる。よって、排水部本体部材48が、鍔部54に上記洗浄水タンク8の底面に向かう荷重を生じさせるように固定部58により排水口部10に固定される場合においても、弁座部78と排水弁体34とのシール性能をさらに向上できる。
【0053】
さらに、本実施形態による排水弁装置1によれば、傾斜リブ194は、固定部58に対して遠位側が下降するように形成されているので、固定部58が鍔部54に洗浄水タンク8の底面に向かう荷重を下向きに生じさせるとき、固定部58の近傍の鍔部54及び弁座部78が上方に上昇するように歪む動きを、固定部側に近い傾斜リブ194の近位側が接続された弁座部78を、傾斜リブ194の遠位側に接続された鍔部54から下方に抑えるようにして上昇の動きを抑制でき、固定部58の近傍の鍔部54及び弁座部78が上方に上昇する変形を抑制できる。
【0054】
また、本実施形態による排水弁装置1によれば、上面視において、対となるように配置された固定部58を結ぶ対向線と平行な仮想線に沿って縦リブ76のうち少なくとも一部が形成されている。これにより、固定部58が排水口部10の両側の対向する位置に対となるように配置されている場合に、固定部58を結ぶ対向線上の弁座部78に対して、上記対向線と平行な仮想線に沿った位置の弁座部78が、反るように上昇する変形を効果的に抑制できる。
【0055】
さらに、本実施形態による排水弁装置1によれば、縦リブ76は、上面視において、上記対向線と、上記対向線から見て鍔部54の遠位側の端部と、の間に複数形成されている。これにより、固定部58を結ぶ対向線と、上記対向線から見て鍔部54の遠位側の端部との間において弁座部78の変形を効果的に抑制できる。
【0056】
さらに、本実施形態による排水弁装置1によれば、排水部本体部材48が、鍔部54に洗浄水タンク8の底面に向かう荷重を生じさせるように固定部58により排水口部10に固定される場合においても、排水弁装置の弁座部78と排水弁体34とのシール性能を向上できる洗浄水タンク部6を提供できる。
【0057】
次に、図10乃至図14を参照して、本発明の第2実施形態による排水弁装置101について説明する。第2実施形態の排水弁装置101は、排水部本体部材が傾斜リブを備えている点が上述した第1実施形態とは異なる。ここでは、本発明の第2実施形態の第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様な部分については図面に同じ参照符号を付して説明を省略する。図10においては、第2実施形態における排水弁装置101等の操作ワイヤ32による排水弁軸部材80及び排水弁体34の引き上げ機能に関する基本構造は第1実施形態のものと同様であるため、排水弁体34の高さより上方の部分の図示を省略し、排水弁体34の高さより下方の部分を中心に図示している。
図10は本発明の第2実施形態による排水弁装置を示す正面断面図であり、図11は本発明の第2実施形態による排水弁装置の排水部本体部材及びオーバーフロー管の斜視図であり、図12は、本発明の第2実施形態による排水弁装置の排水部本体部材及びオーバーフロー管の背面図であり、図13は、本発明の第2実施形態による排水弁装置の排水部本体部材及びオーバーフロー管の上面図であり、図14は、図12のXIV-XIV線に沿って見た断面図であり、図15は、図13のXV-XV線に沿って見た断面図である。
【0058】
図10及び図11等に示すように、本発明の第2実施形態による排水弁装置101が適用されたワンピースの水洗大便器の洗浄水タンク部106の洗浄水タンク108内には、洗浄水タンク8に貯えられた洗浄水について排水口部10を開放して便器本体部4の導水路20に流出させる、詳細は後述する排水弁装置101が設けられている。この排水弁装置101は、操作装置28の操作レバー30の操作により1本の操作ワイヤ32が引き上げられることによって排水弁体34が上昇して洗浄水タンク8の排水口部10が開放される、いわゆる、ワイヤ駆動式の直動型の排水弁装置である。
【0059】
図10図15に示すように、本実施形態の排水弁装置101は、洗浄水タンクの排水口部10に取り付けられる。排水弁装置101は、洗浄水タンク108の底部108aの取付穴108bに取り付けられ且つ便器本体部4の導水路20に連通する排水口部10を形成する排水部本体である排水部本体部材148と、排水部本体部材148を排水口部10に固定する固定部158とを備えている。
【0060】
排水部本体部材148は、排水口部10に取り付けられ、洗浄水タンク108内の洗浄水を排水口部10内の排水流路50に排水する。排水部本体部材148は、筒状に形成されている。排水部本体部材148は、排水口部10の周りの洗浄水タンク108の底面上に配置される鍔部154と、内筒部52の外側且つ鍔部154の下方側に配置されるシール部材156と、鍔部154から上方側に延びる支柱部192とを備えている。
【0061】
鍔部154は、弁座部78の下方側において内筒部52の側面から外側に突出するように設けられる。鍔部154は、円環状に形成される。鍔部154は、水平方向に延びる。
鍔部154は、下方に開口する凹部154aを形成し、この凹部154a内にシール部材156が取付けられる。凹部154aは環状に形成される。鍔部154は、上面視で排水口部10の外側の洗浄水タンク108の底部108aにかかるように形成されている。鍔部154は、取付穴108b(排水口部10)の開口径よりも大きな半径を有しているので、固定部158により排水部本体部材148及び内筒部52が下方に引かれるように荷重を受ける場合に、この固定部158は、鍔部154に、洗浄水タンク108の底部108aに向かう荷重を生じさせる(受ける)ようになっている。なお、洗浄水タンク108の底部108aには、凹部154aと対向する位置において下方側に一段へこんだ底面凹部108eが形成されている。底面凹部108e上にシール部材156が取付けられる。
【0062】
シール部材156は、パッキン等により形成され、環状に形成されている。シール部材56は、底部108aの底面凹部108e上に配置され、底部108aと鍔部154の凹部154aとの間に配置されている。このシール部材156により、内筒部52の外側且つ洗浄水タンク108内の洗浄水が底部108aの取付穴108bと内筒部52の外側面52aとの隙間から漏出しないように密封されている。
【0063】
なお、内筒部52は、下方側に向けて延び、洗浄水タンク108の底部108aの取付穴108bの内側に配置された状態で取り付けられる。内筒部52は、取付穴108bの開口径よりもわずかに小さい外径を有している。内筒部52は、鍔部154よりもさらに下方側に向けて延びると共にシール部材156よりもさらに下方側に延びる。
【0064】
固定部158は、排水部本体部材148の排水流路50内に突出するように形成され、排水部本体部材148を洗浄水タンク108の底部108aの取付穴108bに取り付けた状態で固定する。第2実施形態における固定部158は、第1実施形態における固定部58と、基本構造は同様であるが、取付位置が異なっている。固定部158は、内筒部52の内側面52cの両側の対向する位置に一対に形成されている。よって、固定部158のうち少なくとも一部は、排水口部10の両側の対向する位置に対となるように配置されている。固定部158は、上面視でオーバーフロー管44内の下方流路44aが接続される方向の仮想線Gと直交する方向且つ内筒部52の中心Hを通る仮想線J上に設けられている。また、固定部158は、支柱部192の下側に位置している。固定部158は、内筒部52の内側面52cに一体的に形成されている。
【0065】
図8に示すように、各固定金具72,74の外側先端部72a,74aは、排水部本体部材148の内筒部52よりも外側に位置しており、図10に示すように、各固定金具72,74は、内筒部52の下端面52bよりも下方に位置している。また、各皿ねじ60,62をその中心軸線回りに締め付ける方向に回転させると、各固定金具72,74を上昇させるように調整することができるようになっており、各固定金具72,74の外側先端部72a,74aの上面が洗浄水タンク108の底部108aの下側面108dに当接することにより、底部108aが上方の排水部本体部材148の鍔部154及びシール部材156と下方の各固定金具72,74とによって挟持されるようになっている。そして、このように底部108aが排水部本体部材148の鍔部154及びシール部材156と各固定金具72,74とにより挟持された状態で各皿ねじ60,62を締め付けると、排水部本体部材148が底部108aに対して固定されるようになっている。よって、排水部本体部材148は、鍔部154に洗浄水タンク8の底部8aに向かう荷重を生じさせるように固定部158により排水口部10に固定される。
【0066】
支柱部192は、排水部本体部材148の周方向に沿って所定間隔を置いて例えば4本配置されている。支柱部192は、鍔部154から上方に延びハウジング82の下部に接続されている。支柱部192は、上面視で仮想線G上、及び排水口部10及び内筒部52の中心Hを通り且つ仮想線Gと直交する仮想線J上に設けられている。このように、支柱部192のうち少なくとも一部は、排水口部10の両側に対となるように配置される。支柱部192は、隣り合う支柱部192同士の間に排水弁装置1の外側の洗浄水を排水流路50(排水口部10)へ流入させるための複数の連通口86を形成している。支柱部192は、平板状に形成されている。支柱部192は、その外側の斜面が鍔部154の外側端から環状部88の外側端よりも外側を通り、ハウジング82の下部まで直線的に延びるように形成されている。
【0067】
つぎに、図10乃至図15を参照して、弁座部78と、鍔部154との間に設けられる縦リブ及び傾斜リブ等について説明する。
排水部本体部材148は、さらに、内筒部52の外側において弁座部78と鍔部154との間を上下方向に接続する縦リブ176と、弁座部78と鍔部154との間において弁座部78と鍔部154とを接続するように形成される傾斜リブ194とを備えている。
【0068】
縦リブ176は、弁座部78と鍔部154との間を上下方向に接続するように形成されている。縦リブ176は、台形状に形成されている。縦リブ176は、平板状のリブにより弁座部78と鍔部154との間を直線的に上下方向に接続する。例えば、縦リブ176のうち少なくとも一部は、垂直方向に延びるように形成される。本実施形態においては、全ての縦リブ176は、垂直方向に延びるように形成される。なお、縦リブ176は、必ずしも垂直方向に延びるように形成されていなくともよい。例えば、縦リブ176は、弁座部78と鍔部154との間を階段状に上下方向に接続してもよいし、湾曲部分を有しながら上下方向に接続してもよい。縦リブ176は、必ずしも平板状ではなく、一定の範囲のブロック状の接続部分により形成されてもよい。縦リブ176は、平板状に限られず、弁座部78と鍔部154との間を接続する他の形状の接続部分により形成されてもよい。
【0069】
なお、内筒部52は弁座部78から鍔部154までの排水流路50を形成するために必要な部材であるため、縦リブ176及び傾斜リブ194は内筒部52と区別される。縦リブ176及び傾斜リブ194は内筒部52の外側に向けてさらに突出するように設けられた構造部材である。
また、本実施形態のように弁座部78と鍔部154との間にオーバーフロー管44内の下方流路44aが接続される場合には、オーバーフロー管44の下方流路44aを形成する構成部材が弁座部78と鍔部154との間を接続する場合がある。このときは、縦リブ76及び傾斜リブ194は、オーバーフロー管44の構成部材とは区別され、オーバーフロー管44の構成部材以外の部材により形成される構造部材となっている。
また、鍔部154から上方側に延びてハウジング82を支持するための支柱部192は、ハウジング82を支持するための構造部材であり、縦リブ76及び傾斜リブ194とは異なる形状且つ異なる部材として設けられている。縦リブ76及び傾斜リブ194は、このような支柱部192とは別に、弁座部78から鍔部154までの間においてさらに設けられた構造部材である。
【0070】
図13及び図14に示すように、縦リブ76は、上面視において、対となるように配置された固定部58を結ぶ対向線A3と対向線A3から見て遠位側の鍔部154の端部154bとの間に複数形成されている。例えば、縦リブ176A、176B、176C、176D、176E、176Fが対向線A3と端部154bとの間の領域内に別々に延びる縦リブとして設けられている。
【0071】
縦リブ76のうち少なくとも一部は、上面視において、対となるように配置された固定部58を結ぶ対向線A3(図13参照)と平行な仮想線B2(図13及び図14参照)に沿うように形成されていてもよい。本実施形態においては、図14において、上面視で対向線A3と仮想線Jとが一致している。
なお、変形例として、縦リブ76のうち少なくとも一部は、上面視において、対となるように配置された支柱部192を結ぶ仮想線Jと平行な仮想線B2に沿うように形成されていてもよい。
【0072】
図14に示すように、縦リブ176のうち縦リブ176A、縦リブ176B、縦リブ176E~縦リブ176H、縦リブ176I、縦リブ176Jは、縦リブ176の内筒部側の内側辺176aが内筒部52に接続されるように形成されている。縦リブ176の内筒部52に対する歪み等を抑制できる。
図9に示すように、縦リブ176のうち縦リブ176A、縦リブ176B、縦リブ176E~縦リブ176Jは、縦リブ176の上部辺176bが弁座部78の環状部88の下面の内側端から外側端まで延びて縦リブ176と弁座部78とを接続するように形成されている。よって、縦リブ176は、弁座部78の内側端から外側端までの変形を効率よく抑制できる。縦リブ176C及び縦リブ176Dの上部辺176bは、環状部88の下面の外側端から別の位置の外側端までと接続するように形成されている。
【0073】
図13及び図14等に示すように、上面視で、鍔部154は、弁座部78の外側まで広がるように形成されている。このとき、縦リブ176の外側辺176cは、弁座部78の環状部88の外側端から鍔部154の外側端まで斜めに延びるような傾斜面を形成している。よって、縦リブ176は、弁座部78の外側端までの変形と、鍔部154の外側端までの変形とを効率よく抑制すると共に、縦リブ176の大きさをこのような外側端を結ぶ程度の大きさまで抑制できる。
図14に示すように、縦リブ176のうち縦リブ176A、縦リブ176B、縦リブ176E~縦リブ176Jは、縦リブ176の下部辺176dが鍔部154の上面の内側端から外側端まで延びて縦リブ176と鍔部154とを接続するように形成されている。よって、縦リブ176は、鍔部154の内側端から外側端までの変形を効率よく抑制できる。縦リブ176C及び縦リブ176Dの下部辺176dは、鍔部154の上面のある外側端から別の位置の外側端まで延びて縦リブ176と鍔部154とを接続するように形成されている。
【0074】
傾斜リブ194は、内筒部52の外側に形成されている。傾斜リブ194は、内筒部52の外周に沿うような外周方向C(図14参照)に沿うように斜めに延びる。また、傾斜リブ194は、鉛直方向に対して斜めに形成される。傾斜リブ194は、平板状のリブにより直線的に延びている。傾斜リブ194は、台形状に形成されている。傾斜リブ194は、弁座部78と鍔部154との間において弁座部78と鍔部154とを接続する、また、縦リブ176の間を斜め方向に接続する。例えば、側面視で、傾斜リブ194の内筒部52側の内側辺194aは、排水部本体部材148の中心軸線に対して斜め方向に延びる。例えば、傾斜リブ194は、上部が弁座部78に接続されると共に下部が鍔部154に接続され、また、隣接する一方の縦リブ176の上部と他方の縦リブ176の下部とを接続する。このとき、傾斜リブ194は、固定部158に対して遠位側が下降するように形成されている。傾斜リブ194の固定部158に近い近位側は、弁座部78に接続され、傾斜リブ194の固定部158から遠い遠位側は、鍔部154に接続される。例えば、傾斜リブ194Aの近位側は、縦リブ176Aの上部及び弁座部78に接続され、傾斜リブ194Aの遠位側は、縦リブ176Bの下部及び鍔部154と接続される。また、例えば、傾斜リブ194Bの近位側は、縦リブ176Jの上部及び弁座部78に接続され、傾斜リブ194Bの遠位側は、縦リブ176Iの下部及び鍔部154と接続される。
【0075】
傾斜リブ194は、固定部158に対して一方側(固定部158を通る仮想線Jに対して一方側)において、それぞれの傾斜リブ194が互いに平行に形成されている。また、傾斜リブ194は、固定部158に対して他方側(固定部158を通る仮想線Jに対して他方側)においても、それぞれの傾斜リブ194が互いに平行に形成されている。なお、傾斜リブ194は、必ずしも直線的に形成されていなくともよい。例えば、傾斜リブ194は、弁座部78と鍔部154との間を階段状に斜め方向に接続してもよいし、湾曲部分を有しながら斜め方向に接続してもよい。傾斜リブ194は、平板状に限られず、ブロック状等の他の形状の接続部分により形成されてもよい。
【0076】
図11及び図14に示すように、傾斜リブ194は、傾斜リブ194の内筒部側の内側辺194aが内筒部52に接続されるように形成されている。よって、傾斜リブ194の内筒部52に対する上下方向の歪み等を抑制できる。傾斜リブ194は、縦リブ176の間を筋交い状に連結する。よって、縦リブ176にかかる荷重を傾斜リブ194を介して分散させることができ、また、縦リブ176を傾斜リブ194により補強できる。
【0077】
図11に示すように、傾斜リブ194は、傾斜リブ194の上部辺194bが弁座部78の環状部88の下面の内側端から外側端まで延びて傾斜リブ194と弁座部78とを接続するように形成されている。よって、傾斜リブ194は、弁座部78の内側端から外側端までの変形を効率よく抑制できる。
【0078】
図11及び図14等に示すように、傾斜リブ194は、上面視で、弁座部78の外側まで広がるように形成されている。傾斜リブ194の外側辺194cは、弁座部78の環状部88の外側端から鍔部154の外側端まで斜めに延びるような傾斜面を形成している。よって、傾斜リブ194は、弁座部78の外側端までの変形と、鍔部154の外側端までの変形とを効率よく抑制すると共に、傾斜リブ194の大きさをこのような外側端を結ぶ程度の大きさまで抑制できる。
図14に示すように、傾斜リブ194は、傾斜リブ194の下部辺194dが鍔部154の上面の内側端から外側端まで延びて傾斜リブ194と鍔部154とを接続するように形成されている。よって、傾斜リブ194は、鍔部154の内側端から外側端までの変形を効率よく抑制できる。
【0079】
なお、変形例として、縦リブ176又は傾斜リブ194のうちの全部又は一部に代えて、及び/又は、縦リブ176又は傾斜リブ194のうちの全部又は一部に加えて、第1実施形態において形成されているような横リブが全部又は一部に設けられてもよい。このとき、排水部本体部材148は、さらに、弁座部78と鍔部154との間に配置され、少なくとも2つの縦リブ176を横方向に連結する横リブとを備える。
【0080】
上述した本発明の第2実施形態による排水弁装置101によれば、縦リブ176が弁座部78と鍔部154との間において弁座部78と鍔部154とを接続しているので、鍔部154に洗浄水タンク108の底面に向かう荷重を生じさせる場合、鍔部154と内筒部52を介して接続される弁座部78の一部が上方に上昇するように変形されることを抑制できる、従って、弁座部78の一部が上方に上昇することにより弁座部78と排水弁体34とのシール性能が低下することを抑制できる。さらに、傾斜リブ194が内筒部52の外周方向に沿うように斜めに延びるように弁座部78と鍔部154とを接続しているので、鍔部154に洗浄水タンク108の底面に向かう荷重を生じさせる場合、鍔部154と内筒部52を介して接続される弁座部78の一部が斜め上方に上昇するように変形されることを抑制できる。従って、弁座部78の一部が斜め上方に上昇することにより弁座部78と排水弁体34とのシール性能が低下することを抑制できる。よって、排水部本体部材148が、鍔部154に洗浄水タンク108の底面に向かう荷重を生じさせるように固定部158により排水口部10に固定される場合においても、弁座部78と排水弁体34とのシール性能を向上できる。
【0081】
さらに、本実施形態の排水弁装置101によれば、傾斜リブ194は、固定部158に対して遠位側が下降するように形成されているので、固定部158が鍔部154に洗浄水タンク108の底面に向かう荷重を下向きに生じさせるとき、固定部158の近傍の鍔部154及び弁座部78が上方に上昇するように歪む動きを、固定部側に近い傾斜リブ194の近位側が接続された弁座部78を、傾斜リブ194の遠位側に接続された鍔部154から下方に抑えるようにして上昇の動きを抑制でき、固定部158の近傍の鍔部154及び弁座部78が上方に上昇する変形を抑制できる。
【0082】
さらに、本実施形態の排水弁装置101によれば、縦リブ176のうち少なくとも一部は、垂直方向に延びるように形成される。これにより、縦リブ176が弁座部78と鍔部154との間を比較的短い距離で接続でき、鍔部154及び弁座部78が垂直方向上方に上昇する変形をより効果的に抑制できる。さらに、垂直方向に延びる縦リブ176により、固定部158によりに生じる洗浄水タンク108の底部に向かう垂直方向下方向きの荷重に対する排水部本体部材148の変形への耐性をより向上させることができる。
【0083】
さらに、本実施形態の排水弁装置101によれば、上面視において、対となるように配置された固定部158を結ぶ対向線と平行な仮想線に沿って縦リブ176のうち少なくとも一部が形成されている。これにより、固定部158が排水口部10の両側の対向する位置に対となるように配置されている場合に、固定部158を結ぶ対向線上の弁座部78に対して、上記対向線と平行な仮想線に沿った位置の弁座部78が、反るように上昇する変形を効果的に抑制できる。
【0084】
さらに、本実施形態の排水弁装置101によれば、縦リブ176は、上面視において、上記対向線と、上記対向線から見て鍔部154の遠位側の端部と、の間に複数形成されている。これにより、固定部158を結ぶ対向線と、上記対向線から見て鍔部154の遠位側の端部との間において弁座部78の変形を効果的に抑制できる。
【0085】
さらに、本実施形態の排水弁装置101によれば、排水部本体部材148が、鍔部154に洗浄水タンク108の底面に向かう荷重を生じさせるように固定部158により排水口部10に固定される場合においても、排水弁装置の弁座部78と排水弁体34とのシール性能を向上できる洗浄水タンク部6を提供できる。
【符号の説明】
【0086】
1 排水弁装置
6 洗浄水タンク部
8 洗浄水タンク
8a 底部
10 排水口部
34 排水弁体
48 排水部本体部材
50 排水流路
52 内筒部
54 鍔部
54a 端部
58 固定部
76 縦リブ
78 弁座部
90 横リブ
101 排水弁装置
106 洗浄水タンク部
108 洗浄水タンク
108a 底部
148 排水部本体部材
154 鍔部
154b 端部
158 固定部
176 縦リブ
194 傾斜リブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15