(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-23
(45)【発行日】2024-10-31
(54)【発明の名称】ガラスフィルムの製造方法、及びガラスフィルムの製造装置
(51)【国際特許分類】
B65H 20/10 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
B65H20/10 B
(21)【出願番号】P 2021570051
(86)(22)【出願日】2021-01-05
(86)【国際出願番号】 JP2021000099
(87)【国際公開番号】W WO2021141022
(87)【国際公開日】2021-07-15
【審査請求日】2023-09-12
(31)【優先権主張番号】P 2020001527
(32)【優先日】2020-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100196346
【氏名又は名称】吉川 貴士
(72)【発明者】
【氏名】猪飼 直弘
(72)【発明者】
【氏名】村田 憲一
【審査官】正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-048734(JP,A)
【文献】特開2000-255855(JP,A)
【文献】特開2017-144433(JP,A)
【文献】特開2012-031031(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 20/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスフィルムをベルトコンベアで搬送しながら、前記ガラスフィルムを切断する製造 関連処理部としての切断部により前記ガラスフィルムを切断するガラスフィルムの製造方法であって、
前記ベルトコンベアは、前記切断部よりも前記ガラスフィルムの搬送方向上流側に位置する上流側コンベアであって、
前記上流側コンベアは、前記ガラスフィルムをベルトに吸着可能な吸着構造を有し、かつ、前記ガラスフィルムに対する吸着力を前記ガラスフィルムの搬送方向で変更可能に構成され
、
前記上流側コンベアを構成する複数の上流側ベルトコンベアのうち、吸着構造を有する上流側ベルトコンベアが、前記ガラスフィルムの幅方向中央部を支持し、
前記吸着構造を有さず前記ガラスフィルムを吸着不能に構成されている複数の上流側ベルトコンベアが、前記ガラスフィルムの幅方向両端を各々支持するよう構成されていることを特徴とするガラスフィルムの製造方法。
【請求項2】
前記ガラスフィルムを吸着可能な前記ベルトの吸着面は、前記ガラスフィルムの搬送方向所定領域において、前記ガラスフィルムに対する吸着力を互いに異ならせることができる複数の吸着ゾーンに区画されている請求項1に記載のガラスフィルムの製造方法。
【請求項3】
前記吸着面は、前記ガラスフィルムの搬送方向で、二つの吸着ゾーンに区画されている請求項
2に記載のガラスフィルムの製造方法。
【請求項4】
前記ガラスフィルムの搬送方向上流側に位置する前記吸着面の第一吸着ゾーンにおける前記吸着力が相対的に大きく、前記第一吸着ゾーンよりも前記ガラスフィルムの搬送方向下流側に位置する前記吸着面の第二吸着ゾーンにおける前記吸着力が相対的に小さくなるように、前記各吸着ゾーンにおける前記吸着力の大きさが制御される請求項
3に記載のガラスフィルムの製造方法。
【請求項5】
前記吸着面は、前記ガラスフィルムの搬送方向で、三つの吸着ゾーンに区画されている請求項
2に記載のガラスフィルムの製造方法。
【請求項6】
前記三つの吸着ゾーンを前記ガラスフィルムの搬送方向上流側から下流側に向けて順に第一吸着ゾーン、第二吸着ゾーン、及び第三吸着ゾーンとしたとき、前記第二吸着ゾーンにおける前記吸着力が最も大きく、前記第一及び第三吸着ゾーンにおける前記吸着力がそれぞれ前記第二吸着ゾーンにおける前記吸着力よりも小さくなるように、前記各吸着ゾーンにおける前記吸着力の大きさが制御される請求項
5に記載のガラスフィルムの製造方法。
【請求項7】
前記ベルトコンベアは、前記ベルトを支持する中空形状の支持体をさらに有し、
前記支持体は、その内部に排気可能な排気空間を有すると共に、前記排気空間は、前記ガラスフィルムの搬送方向で、前記吸着ゾーンに対応して分割されており、かつ
前記支持体と前記ベルトには、前記ベルトと前記支持体との間の空間と、前記排気空間とを連通させる連通部が設けられている請求項
2~6の何れか一項に記載のガラスフィルムの製造方法。
【請求項8】
前記排気空間を分割してなる各分割空間には、互いに独立して制御可能なブロアがそれぞれ接続されている請求項
7に記載のガラスフィルムの製造方法。
【請求項9】
前記上流側コンベアよりも前記ガラスフィルムの搬送方向下流側に下流側コンベアが配設され、
前記切断部は、前記上流側コンベアと前記下流側コンベアとの間に配設されて いる請求項1~
8の何れか一項に記載のガラスフィルムの製造方法。
【請求項10】
前記上流側コンベアの下流側に前記ガラスフィルムを支持可能な定盤が配設され 、
前記切断部は、前記定盤上で前記ガラスフィルムを切断する、請求項
9に記載のガラスフィルムの製造方法。
【請求項11】
前記定盤は 、
前記ガラスフィルムを接触支持可能な支持面と、
前記ガラスフィルムを支持面に向けて吸引可能な吸引部と、を備え、
前記切断部は、前記定盤に吸引支持された状態の前記ガラスフィルムを切断する、請求項
10に記載のガラスフィルムの製造方法。
【請求項12】
前記切断部は、前記ガラスフィルムをその長手方向に沿って切断可能なレーザー切断部である請求項1~
11の何れか一項に記載のガラスフィルムの製造方法。
【請求項13】
ガラスフィルムを搬送するベルトコンベアと、前記ベルトコンベアで搬送中の前記ガラスフィルムを切断する製造関連処理部としての切断部とを備えたガラスフィルムの製造装置であって、
前記ベルトコンベアは、前記切断部よりも前記ガラスフィルムの搬送方向上流側に位置する上流側コンベアであって、
前記上流側コンベアは、前記ガラスフィルムをベルトに吸着可能な吸着構造を有し、かつ、前記ガラスフィルムに対する吸着力を前記ガラスフィルムの搬送方向で変更可能に構成され
、
前記上流側コンベアを構成する複数の上流側ベルトコンベアのうち、吸着構造を有する上流側ベルトコンベアが、前記ガラスフィルムの幅方向中央部を支持し、
前記吸着構造を有さず前記ガラスフィルムを吸着不能に構成されている複数の上流側ベルトコンベアが、前記ガラスフィルムの幅方向両端を各々支持するよう構成されていることを特徴とするガラスフィルムの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスフィルムの製造方法、及びガラスフィルムの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラスフィルムの製造工程では、ガラスフィルムを所定方向に搬送しながら、ガラスフィルムに切断や印刷などの製造関連処理を施すのが一般的である。この際、製造関連処理を行う領域又はその周辺で、ガラスフィルムをベルトコンベアのベルト表面に吸着した状態で搬送する場合がある(例えば、特許文献1を参照)。吸着可能なベルトコンベアを用いることで、ガラスフィルムの一方の面が非接触の状態で搬送できること、搬送停止時にもガラスフィルムを安定的に保持できることなどの利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、実際に、上述のようにガラスフィルムをベルトコンベアで吸着して搬送しながら切断等の製造関連処理を施す場合には、ガラスフィルムに対する吸着力の調整が非常に難しいことがある。ガラスフィルムはベルトの駆動に伴って連続的に搬送されているため、例えばガラスフィルムに対する吸着力が不十分な場合、搬送中にガラスフィルムの吸着状態が解消される事態が起こり得る。吸着状態が解消されることで、ガラスフィルムに対する拘束力が低下もしくは一時的に消失するため、ベルトに対して位置ずれを生じるおそれが高まる。その一方で、搬送中における吸着状態の解消を回避するために、ガラスフィルムに対する吸着力を増大させてガラスフィルムを強く吸着した場合、吸着力の程度によっては、ガラスフィルムを強く拘束することになる。この場合、周囲との間に生じた速度差に起因してしわ等の変形が生じるおそれが高まるといった問題があった。
【0005】
以上の事情に鑑み、本発明は、しわ等の変形を防止しつつもベルトに対する吸着状態を維持してガラスフィルムを位置ずれなく搬送することができ、これによりガラスフィルムに良好な製造関連処理を施すことを、解決すべき技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題の解決は、本発明に係るガラスフィルムの製造方法により達成される。すなわち、この製造方法は、ガラスフィルムをベルトコンベアで搬送しながら製造関連処理部によりガラスフィルムに製造関連処理を施すガラスフィルムの製造方法であって、ベルトコンベアは、製造関連処理部よりもガラスフィルムの搬送方向上流側で、ガラスフィルムをベルトに吸着可能に構成され、かつベルトコンベアは、ガラスフィルムに対する吸着力をガラスフィルムの搬送方向で変更可能に構成されている点をもって特徴付けられる。
【0007】
このように、本発明に係るガラスフィルムの製造方法では、ベルトコンベアの少なくとも所定の一部を、ガラスフィルムがベルトに吸着可能な構造にすると共に、このベルトコンベアにおけるガラスフィルムに対する吸着力を、ガラスフィルムの搬送方向で変更可能とした。このように構成することによって、ガラスフィルムをその搬送方向位置によって適切な大きさの吸着力で吸着しながら搬送することができる。よって、ガラスフィルムを強く吸着し過ぎる箇所が生じる場合には、当該箇所の吸着力を小さくすることで、しわ等の変形を可及的に防止又は抑制することができる。一方で、その他の箇所については、例えば相対的に吸着力を大きくすることで、ガラスフィルムのベルトに対する滑りを防止して、位置ずれなくガラスフィルムを搬送することが可能となる。
【0008】
また、本発明に係るガラスフィルムの製造方法においては、ガラスフィルムの搬送方向で見た場合に、製造関連処理部に近い側でガラスフィルムに対する吸着力が相対的に小さく、製造関連処理部から遠い側でガラスフィルムに対する吸着力が相対的に大きくてもよい。
【0009】
しわ等の変形について、仮に搬送途中でしわ等の変形が生じたとしても、最終的な品質に影響を及ぼす可能性が高い製造関連処理を施す際(施す箇所を通過する際)にしわ等の変形が解消又は縮小していることが肝要となる。この点に鑑み、製造関連処理部に近い側でガラスフィルムに対する吸着力が相対的に小さく、製造関連処理部から遠い側でガラスフィルムに対する吸着力が相対的に大きくなるようにすることで、製造関連処理部よりも上流側では、ガラスフィルムを強く吸着して位置ずれなく当該ガラスフィルムを搬送することができる。また、強く吸着した際にしわ等の変形が生じたとしても、しわ等の変形が生じた箇所よりも下流側でかつ製造関連処理部よりも上流側の領域で、吸着力を相対的に小さくしておくことで、一旦生じたしわ等の変形を製造関連処理部に到達する前に解消又は縮小させることができる。これにより、位置ずれなくかつしわ等の変形がない状態でガラスフィルムを製造関連処理部に搬入することができるので、より安定的に高品質の製造関連処理を施すことが可能となる。
【0010】
また、本発明に係るガラスフィルムの製造方法においては、ガラスフィルムを吸着可能なベルトの吸着面は、ガラスフィルムの搬送方向で、ガラスフィルムに対する吸着力を互いに異ならせることができる複数の吸着ゾーンに区画されてもよい。
【0011】
このようにベルトの吸着面をガラスフィルムの搬送方向で複数の吸着ゾーンに区画することによって、吸着ゾーンごとに吸着力を設定するだけで済む。そのため、例えば搬送方向で連続的に吸着力を変化させる場合等と比べて、ガラスフィルムに対する吸着力分布を容易に設定し、また変更することができる。また、搬送方向で複数の吸着ゾーンに区画されているので、吸着機構も比較的簡易に形成できる。よって設備コストの面でも好適である。
【0012】
また、吸着面が複数の吸着ゾーンに区画される場合、本発明に係るガラスフィルムの製造方法においては、吸着面は、ガラスフィルムの搬送方向で、二つの吸着ゾーンに区画されてもよい。また、この場合、ガラスフィルムの搬送方向上流側に位置する吸着面の第一吸着ゾーンにおける吸着力が相対的に大きく、第一吸着ゾーンよりもガラスフィルムの搬送方向下流側に位置する吸着面の第二吸着ゾーンにおける吸着力が相対的に小さくなるように、各吸着ゾーンにおける吸着力の大きさが制御されてもよい。
【0013】
上述のように、ベルトの吸着面を二つの吸着ゾーンに区画する場合、搬送方向上流側に位置する吸着ゾーン(第一吸着ゾーン)における吸着力を相対的に大きくし、搬送方向下流側に位置する吸着ゾーン(第二吸着ゾーン)における吸着力を相対的に小さくすることによって、上述したように、第一吸着ゾーンでガラスフィルムを強く吸着して位置ずれなく当該ガラスフィルムを搬送することができる。また、第一吸着ゾーンでガラスフィルムを強く吸着した際にしわ等の変形が生じたとしても、しわ等の変形が生じた箇所よりも搬送方向下流側の領域で、吸着力を相対的に小さくしておくことで、一旦生じたしわ等の変形を解消又は縮小させることができる。これにより、位置ずれなくかつしわ等の変形がない状態でガラスフィルムを搬送することができるので、例えば第二吸着ゾーン上又は第二吸着ゾーンよりも搬送方向下流側に製造関連処理部を配置することで、安定的に高品質の製造関連処理を施すことが可能となる。また、二つの吸着ゾーンについて吸着力の設定を行うだけで済むので、吸着力分布の設定、変更も容易である。
【0014】
また、吸着面が複数の吸着ゾーンに区画される場合、本発明に係るガラスフィルムの製造方法においては、吸着面は、ガラスフィルムの搬送方向で、三つの吸着ゾーンに区画されてもよい。また、この場合、三つの吸着ゾーンをガラスフィルムの搬送方向上流側から下流側に向けて順に第一吸着ゾーン、第二吸着ゾーン、及び第三吸着ゾーンとしたとき、第二吸着ゾーンにおける吸着力が最も大きく、第一及び第三吸着ゾーンにおける吸着力がそれぞれ第二吸着ゾーンにおける吸着力よりも小さくなるように、各吸着ゾーンにおける吸着力の大きさが制御されてもよい。
【0015】
上述のように、ベルトの吸着面を三つの吸着ゾーンに区画する場合、これら三つの吸着ゾーンにおける吸着力のうち、搬送方向中間に位置する吸着ゾーン(第二吸着ゾーン)の吸着力を最も大きくし、この吸着ゾーンよりも搬送方向下流側の吸着ゾーン(第三吸着ゾーン)及び搬送方向上流側における吸着ゾーン(第一吸着ゾーン)における吸着力をそれぞれ第二吸着ゾーンにおける吸着力よりも小さくした。ガラスフィルムは、成形された後、場合によっては種々の処理を受けた後、例えば他のコンベア上から本発明に係るベルトコンベア上に移載される。そのため、この移載時に、ガラスフィルムを強く吸着しようとすると、しわ等の変形が生じやすいといった問題がある。これに対して、最も上流側の吸着ゾーンにおける吸着力を相対的に小さくすることで、上述した移載直後にしわ等の変形が発生する事態を防止することができる。これにより移載後のガラスフィルムにしわ等の変形がない状態で製造関連処理部に向けて当該ガラスフィルムを搬送することができる。また、第二吸着ゾーンでガラスフィルムを強く吸着して位置ずれなく当該ガラスフィルムを搬送しつつも、第二吸着ゾーンよりも搬送方向下流側の吸着ゾーン(第三吸着ゾーン)で、吸着力を相対的に小さくしておくことで、仮に第二吸着ゾーンでしわ等の変形が新たに生じたとしても、当該しわ等の変形を解消又は縮小させることができる。これにより、位置ずれなくかつしわ等の変形がない状態でガラスフィルムを搬送することができるので、例えば第三吸着ゾーン上又は第三吸着ゾーンよりも搬送方向下流側に製造関連処理部を配置することで、安定的に高品質の製造関連処理を施すことが可能となる。また、三つの吸着ゾーンについて吸着力の設定を行うだけで済むので、吸着力分布の設定も容易である。
【0016】
また、吸着面が複数の吸着ゾーンに区画される場合、本発明に係るガラスフィルムの製造方法においては、ベルトコンベアは、ベルトを支持する中空形状の支持体をさらに有し、支持体は、その内部に排気可能な排気空間を有すると共に、排気空間は、ガラスフィルムの搬送方向で、吸着ゾーンに対応して分割されており、かつ支持体とベルトには、ベルトと支持体との間の空間と、排気空間とを連通させる連通部が設けられてもよい。
【0017】
このように構成することで、ベルトの上面のうち、支持体の排気空間が設けられた部分の上方を通過する部分が、ガラスフィルムに対する吸着面として機能する。また、排気空間が吸着ゾーンに対応して分割されていることから、各分割空間における排気量(ひいては各分割空間内に生じる負圧の大きさ)を調整することにより、ベルト上にそれぞれ所定の吸着力を発揮し得る吸着ゾーンを形成することが可能となる。上記構成によれば、従来からある支持体に対し最小限の改良を加えるだけで済むため、装置の大型化、複雑化を避けて極力低コストに所望の吸着力分布をベルト上に形成することが可能となる。
【0018】
また、支持体内部の排気空間を吸着ゾーンに対応して分割する場合、本発明に係るガラスフィルムの製造方法においては、排気空間を分割してなる各分割空間に、互いに独立して制御可能なブロアがそれぞれ接続されてもよい。
【0019】
例えば一台のブロアを排気空間の各分割空間に接続すると共に、各分割空間とブロアとの間にバルブを取付けることによっても、各分割空間の排気量を調整することはできるが、これだと精度よく吸着力を調整することが難しい。これに対して、本発明では、分割空間ごとにブロアを接続したので、例えばブロアの動力源となるモータの周波数を調整するだけで、簡便にかつ高精度に各分割空間の排気量ひいては負圧を精度よく制御することが可能となる。
【0020】
また、本発明に係るガラスフィルムの製造方法においては、ベルトコンベアは、相対的にガラスフィルムの搬送方向上流側に位置する上流側ベルトコンベアであって、上流側ベルトコンベアよりもガラスフィルムの搬送方向下流側に下流側コンベアが配設されてもよい。
【0021】
このように、下流側コンベアを配設することによって、ガラスフィルムが帯状をなす場合、吸着構造をなすベルトコンベアの下流側を通過する部分に対して引張り力を付与することができる。よって、ガラスフィルムに生じたしわ等の変形をより効果的に解消又は抑制して、より確実に製造関連処理部にしわ等の変形がない状態でガラスフィルムを搬入することが可能となる。
【0022】
また、以上の説明に係るガラスフィルムの製造方法によれば、しわ等の変形を防止しつつもベルトとの吸着状態を維持してガラスフィルムを位置ずれなく搬送することができ、これによりガラスフィルムに良好な製造関連処理を施すことが可能となる。そのため、例えば製造関連処理部が、ガラスフィルムをその長手方向に沿って切断可能なレーザー切断部である場合、本発明が好適である。すなわち、ベルトコンベアで搬送されるガラスフィルムのレーザー切断に本発明を適用することによって、ガラスフィルムの正確な切断を安定的に実施することが可能となる。
【0023】
また、前記課題の解決は、本発明に係るガラスフィルムの製造装置によっても達成される。すなわち、この製造装置は、ガラスフィルムを搬送するベルトコンベアと、ベルトコンベアで搬送中のガラスフィルムに製造関連処理を施す製造関連処理部とを備えたガラスフィルムの製造装置であって、ベルトコンベアは、製造関連処理部よりもガラスフィルムの搬送方向上流側で、ガラスフィルムをベルトに吸着可能に構成され、かつベルトコンベアは、ガラスフィルムに対する吸着力をガラスフィルムの搬送方向で変更可能に構成されている点をもって特徴付けられる。
【0024】
このように、本発明に係るガラスフィルムの製造装置においても、ベルトコンベアの少なくとも所定の一部を、ガラスフィルムがベルトに吸着可能な構造にすると共に、このベルトコンベアにおけるガラスフィルムに対する吸着力を、ガラスフィルムの搬送方向で変更可能とした。このように構成することによって、ガラスフィルムをその搬送方向位置によって適切な大きさの吸着力で吸着しながら搬送することができる。よって、ガラスフィルムを強く吸着し過ぎる箇所が生じる場合には、当該箇所の吸着力を小さくすることで、しわ等の変形を可及的に防止又は抑制することができる。一方で、その他の箇所については、例えば相対的に吸着力を大きくすることで、ガラスフィルムのベルトに対する滑りを防止して、位置ずれなくガラスフィルムを搬送することが可能となる。
【発明の効果】
【0025】
以上に述べたように、本発明によれば、しわ等の変形を防止しつつもベルトとの吸着状態を維持してガラスフィルムを位置ずれなく搬送することができ、これによりガラスフィルムに良好な製造関連処理を施すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の第一実施形態に係るガラスフィルムの製造装置の全体構成を示す側面図である。
【
図4】
図2中のA-A切断線に沿った搬送装置の要部断面図である。
【
図5】
図4に示す搬送装置における搬送方向位置と吸着力との関係を示すグラフである。
【
図6】本発明の第二実施形態に係る搬送装置の要部断面図である。
【
図7】
図6に示す搬送装置における搬送方向位置と吸着力との関係を示すグラフである。
【
図8】本発明の第三実施形態に係る吸着力制御システムの要部断面図で、
図2中のB-B切断線に沿った要部断面図である。
【
図9】本発明の第三実施形態に係る搬送装置における搬送方向位置と吸着力との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係るガラスフィルムの製造方法の第一実施形態を、
図1~
図5に基づいて説明する。なお、以下では、ガラスフィルムをロール状に巻き取ってガラスロールを最終的に得る場合を例にとって説明する。
【0028】
本発明の一実施形態に係るガラスフィルム(ガラスロール)の製造装置1は、
図1に示すように、帯状の母材ガラスフィルムGを成形する成形部2と、母材ガラスフィルムGの進行方向を縦方向下方から横方向に変換する方向変換部3と、方向変換後に母材ガラスフィルムGを横方向に搬送する第一搬送部4と、母材ガラスフィルムGにおける幅方向両端部を切断する第一切断部5と、幅方向両端部が除去されたガラスフィルム(以下、第一ガラスフィルムと称する。)G1をロール状に巻き取って第一ガラスロールGRL1を得る第一巻取り部6とを備える。なお、本実施形態では、縦方向は鉛直方向であり、横方向は水平方向である。
【0029】
また、ガラスロールの製造装置1は、第一ガラスロールGRL1から第一ガラスフィルムG1を引き出す引出し部7と、引出し部7から引き出された第一ガラスフィルムG1を横方向に搬送する第二搬送部8と、第一ガラスフィルムG1の一部を切断する第二切断部9と、第二切断部9により切断されてなるガラスフィルム(以下、第二ガラスフィルムと称する。)G2a,G2bをロール状に巻き取って第二ガラスロールGRL2a,GRL2bを得る第二巻取り部10とをさらに備える。なお、本実施形態における第二切断部9が本発明に係る製造関連処理部に相当する。
【0030】
成形部2は、上端部にオーバーフロー溝11aが形成された断面視略楔形の成形体11と、成形体11の直下に配置され、成形体11から溢れ出した溶融ガラスGMを表裏両側から挟むエッジローラ12と、エッジローラ12の直下に配備されるアニーラ13とを有する。
【0031】
成形部2は、成形体11のオーバーフロー溝11aから溢れ出した溶融ガラスGMを、両側面に沿ってそれぞれ流下させ、その下端部で合流させてフィルム状に成形する。エッジローラ12は、この溶融ガラスGMの幅方向収縮を規制して母材ガラスフィルムGの幅方向寸法を調整する。アニーラ13は、母材ガラスフィルムGに対して除歪処理を施すためのものである。アニーラ13は、上下方向複数段に配設されたアニーラローラ14を有する。
【0032】
アニーラ13の下方には、母材ガラスフィルムGを表裏両側から挟持する支持ローラ15が配設されている。支持ローラ15とエッジローラ12との間、又は支持ローラ15と何れか一箇所のアニーラローラ14との間には、母材ガラスフィルムGを薄肉にすることを助長するための張力が付与されている。
【0033】
方向変換部3は、支持ローラ15の下方位置に設けられている。方向変換部3には、母材ガラスフィルムGを案内する複数のガイドローラ16が湾曲状に配列されている。これらのガイドローラ16は、鉛直方向に搬送される母材ガラスフィルムGを横方向へと案内する。
【0034】
第一搬送部4は、方向変換部3の進行方向前方(下流側)に配置される。第一搬送部4は、支持搬送面を有する駆動部を駆動することにより、方向変換部3を通過した母材ガラスフィルムGをその長手方向に沿って下流側に搬送する。なお、第一搬送部4は任意の構成をとることが可能であり、例えば一又は複数のベルトコンベアで構成することが可能である。この場合、支持搬送面を有する駆動部はベルトであり、このベルトを駆動することにより、母材ガラスフィルムGを上述の態様で搬送し得る。もちろん、第一搬送部4は、上記例示の構成に限らず、ローラコンベアその他の各種搬送装置を使用することも可能である。
【0035】
第一切断部5は、第一搬送部4の上方に配置される。本実施形態では、第一切断部5は、レーザー割断により母材ガラスフィルムGを切断可能に構成される。具体的には、第一切断部5は、一対のレーザー照射装置17aと、当該レーザー照射装置17aの下流側に配置される一対の冷却装置17bとを有する。第一切断部5は、搬送される母材ガラスフィルムGの所定部位に各レーザー照射装置17aからレーザー光Lを照射して加熱した後、冷却装置17bから冷媒Rを放出して当該加熱部位を冷却する。
【0036】
第一巻取り部6は、第一搬送部4及び第一切断部5の下流側に設置されている。第一巻取り部6は、巻芯18を回転させることで、第一ガラスフィルムG1をロール状に巻き取る。このようにして得られる第一ガラスロールGRL1は、引出し部7の位置まで搬送される。引出し部7は、第一巻取り部6によって得られた第一ガラスロールGRL1から第一ガラスフィルムG1を引き出して、第二搬送部8上に供給する。
【0037】
第二搬送部8は、引出し部7において第一ガラスロールGRL1から引き出された第一ガラスフィルムG1を横方向(以下、搬送方向Xと称する。)に沿って搬送する。ここで、第二搬送部8は、
図2及び
図3に示すように、相対的に第一ガラスフィルムG1の搬送方向上流側に位置する上流側コンベア19と、上流側コンベア19よりも第一ガラスフィルムG1の搬送方向下流側に位置する下流側コンベア20とで構成される。この場合、製造関連処理部としての第二切断部9は、上流側コンベア19と下流側コンベア20との間に配設される。よって、第二切断部9による第一ガラスフィルムG1の切断ゾーン21(
図2中の一点鎖線で囲まれた領域)は、上流側コンベア19の支持搬送面上と下流側コンベア20の支持搬送面上の何れにもない。
【0038】
上流側コンベア19はベルトコンベアで構成される。この場合、上流側コンベア19が本発明に係るベルトコンベアに相当する。本実施形態では、上流側コンベア19は、複数の上流側ベルトコンベア22a~22gで構成される。これら複数の上流側ベルトコンベア22a~22gは何れも、ベルト(以下、第一ベルト23a~23gと称する。)で同じ方向に第一ガラスフィルムG1を接触支持して下流側に搬送可能に構成される。ここで、各第一ベルト23a~23gは例えば無端帯状のベルトであり、第一ガラスフィルムG1をその長手方向で接触する全域にわたって略水平姿勢に保持するように、各第一ベルト23a~23gが同じ高さ方向位置に設定される。
【0039】
ここで、各上流側ベルトコンベア22a~22gは何れも同じベルト駆動構造を有する。最も幅方向一端側(
図2の下側)の上流側ベルトコンベア22gを例にとると、この上流側ベルトコンベア22gは、
図3に示すように、上述した無端帯状の第一ベルト23gと、第一ベルト23gに張力を付与しつつ第一ベルト23gを所定の位置に配設するための複数のプーリ24と、これら複数のプーリ24を支持する第一支持体25とを有する。第一支持体25は床面に固定されている。また、複数のプーリ24のうち所定のプーリ24(ドライブプーリ24a)には、モータなどの駆動源26が連結されており(
図2を参照)、この駆動源26によりドライブプーリ24aに駆動力を付与することで、上流側ベルトコンベア22gの第一ベルト23gが所定の向きに駆動可能とされている。
【0040】
また、上記構成の複数の上流側ベルトコンベア22a~22gは、それぞれ所定の幅方向位置に設置されている。ここでは、幅方向寸法が互いに異なる複数種類の第一ガラスフィルムG1が上流側コンベア19上を搬送されることを想定して、想定される各第一ガラスフィルムG1の幅方向両端側で接触支持するように、各第一ベルト23a~23gの幅方向位置が設定される。また、本実施形態では、幅方向寸法の大きさの如何によらず、全ての第一ガラスフィルムG1をその幅方向中央位置で接触支持可能なように上流側ベルトコンベア22dが配設されている(
図2を参照)。この幅方向中央の上流側ベルトコンベア22dは、本実施形態では、支持搬送面となる第一ベルト23dの表面(吸着面23d1)に第一ガラスフィルムG1を吸着可能なように構成されている。この吸着構造については後述する。また、残りの上流側ベルトコンベア22a~22c,22e~22gについては、本実施形態では、第一ベルト23a~23c,23e~23gの表面が平滑なことからも分かるように、何らの吸着構造も有していない(吸着不能に構成されている)。
【0041】
下流側コンベア20は、本実施形態では、ベルトコンベアで構成される。この場合、下流側コンベア20は、複数の下流側ベルトコンベア27a~27gで構成される。これら複数の下流側ベルトコンベア27a~27gは何れも、ベルト(以下、第二ベルト28a~28gと称する。)で同じ方向に切断後の第一ガラスフィルムG1、すなわち第二ガラスフィルムG2a,G2bを接触支持して下流側に搬送可能に構成される。ここで、各第二ベルト28a~28gは例えば無端帯状のベルトであり、第二ガラスフィルムG2a,G2bをその長手方向で接触する全域にわたって略水平姿勢に保持するように、各第二ベルト28a~28gが同じ高さ方向位置に設定される。
【0042】
ここで、各下流側ベルトコンベア27a~27gは何れも同じベルト駆動構造を有する。最も幅方向一端側(
図2の下側)の下流側ベルトコンベア27gを例にとると、この下流側ベルトコンベア27gは、
図3に示すように、上述した無端帯状の第二ベルト28a~28gと、第二ベルト28a~28gに張力を付与しつつ第二ベルト28a~28gを所定の位置に配設するための複数のプーリ29と、これら複数のプーリ29を支持する第一支持体30とを有する。また、複数のプーリ29のうち所定のプーリ29(ドライブプーリ29a)には、モータなどの駆動源31が連結されており(
図2を参照)、駆動源31によりドライブプーリ29aに駆動力を付与することで、各下流側ベルトコンベア27a~27gの第二ベルト28a~28gが所定の向きに駆動可能とされている。この駆動源31は、上流側ベルトコンベア22a~22gの駆動源26と別個独立して設けられている。そのため、連動することなく互いに独立して各駆動源26,31、ひいては上流側ベルトコンベア22a~22gと下流側ベルトコンベア27a~27gの駆動を制御可能とされる。
【0043】
また、本実施形態では、複数の下流側ベルトコンベア27a~27gは、それぞれ所定の幅方向位置に設置可能であると共に、各第二ベルト28a~28gの位置が、第一ガラスフィルムG1の幅方向に調整可能に構成されている。具体的には、各下流側ベルトコンベア27a~27gの下方には、第一ガラスフィルムG1の幅方向に延びるレール部32が配設されている。そして、各下流側ベルトコンベア27a~27gを構成する各第一支持体30の下部には、レール部32との間で相対移動可能なスライド部33が取付けられている。これにより、レール部32に対して各第一支持体30のスライド部33が幅方向にスライドすることで、各第一支持体30に支持された複数のプーリ29及びこれらプーリ29に支持された第二ベルト28a~28gが一体的に幅方向にスライド可能とされている。なお、各下流側ベルトコンベア27a~27gのドライブプーリ29aは、共通のシャフト34に対して幅方向にスライド可能に支持されている。そのため、シャフト34に対する幅方向の位置を自由に変更しつつも、任意の幅方向位置で駆動源31からの駆動力を受けて駆動することが可能とされている。なお、図示例では、最も幅方向他端側(
図2の最も上側)に位置する下流側ベルトコンベア27aが、第二ガラスフィルムG2a,G2bの搬送路から幅方向に外れた位置(退避スペース35)に配置されている。
【0044】
また、本実施形態では、全ての下流側ベルトコンベア27a~27gの第二ベルト28a~28gが、
図2に示すように、その支持搬送面となる表面に第二ガラスフィルムG2a,G2bを吸着可能に構成されている。
【0045】
次に、上流側ベルトコンベア22dの吸着構造を詳細に説明する。
【0046】
この上流側ベルトコンベア22dは、上述したように、無端帯状の第一ベルト23dと、複数のプーリ24と、第一支持体25と、駆動源26とを有し(
図2及び
図3を参照)、さらに
図4に示すように、第一ベルト23dを下方から支持する第二支持体36と、排気空間37と、第一ベルト23dと第二支持体36との間の空間と、排気空間37とを連通可能な連通部38とを有する。
【0047】
第二支持体36は第一支持体25に取付けられ、これにより床面に固定されている。この第二支持体36は、本実施形態では中空形状をなす枠状体、例えば角パイプで構成されている。この場合、第二支持体36の内部に排気空間37が設けられる。排気空間37は、第一ガラスフィルムG1の搬送方向で、複数の空間に分割、ここでは二つの空間(第一分割空間39a、第二分割空間39b)に分割されている。この場合、各分割空間39a,39bはそれぞれ、排気装置としてのブロア40a,40bと接続されている。これら複数のブロア40a,40bは、互いに独立して制御部41により制御可能とされている。制御態様の詳細は後述する。
【0048】
また、この場合、連通部38は、第二支持体36の上面に設けられ第一ベルト23dの長手方向に沿って延びる一又は複数の溝部42と、第二支持体36に設けられ溝部42と排気空間37の各分割空間39a,39bとを連通する穴部43と、第一ベルト23dに設けられ、第一ベルト23dの幅方向で溝部42と重複する位置に形成される複数の貫通穴44とで構成されている。よって、各ブロア40a,40bの駆動により各分割空間39a,39bの排気を行うことで、溝部42と穴部43、及び貫通穴44を介して第一ベルト23d上の第一ガラスフィルムG1に下方への吸引力が作用し、これにより第一ガラスフィルムG1が第一ベルト23dに吸着可能とされている。これにより、第一ベルト23dの表面のうち、排気空間37上を通過する部分が、第一ガラスフィルムG1に対する吸着面23d1として機能する。また、上述のように、排気空間37が第一ガラスフィルムG1の長手方向で複数の空間に分割される場合、第一ベルト23dの吸着面23d1は、第一ガラスフィルムG1の搬送方向Xの所定領域において、第一ガラスフィルムG1に対する吸着力を互いに異ならせることができる複数の吸着ゾーンZ11,Z12に区画される。この場合、各吸着ゾーンZ11,Z12はそれぞれ、下方に位置する各分割空間39a,39bに対応した位置及び大きさに設定される。本実施形態では、
図4に示すように、第一吸着ゾーンZ11の搬送方向Xに沿った向きの寸法と、第二吸着ゾーンZ12の搬送方向Xに沿った向きの寸法とが等しくなるように、各分割空間39a,39bの位置及び大きさが設定される。また、図示は省略するが、第一吸着ゾーンZ11の幅方向寸法と、第二吸着ゾーンZ12の幅方向寸法とが等しくなるように、各分割空間39a,39bの位置及び大きさが設定される。
【0049】
上述した吸着構造をなす上流側ベルトコンベア22dは、その長手方向で、言い換えると、第一ガラスフィルムG1の搬送方向Xで、第一ガラスフィルムG1に対する吸着力を変更可能に構成されている。本実施形態のように、分割空間39a,39bごとにブロア40a,40bが接続され、各ブロア40a,40bが制御部41により制御可能に構成される場合、例えば制御部41により各ブロア40a,40bの出力(排気量)を調整することにより、各分割空間39a,39b内の負圧、ひいては第一ガラスフィルムG1に対する吸着力が、各分割空間39a,39b上に形成される設定される吸着ゾーンZ11,Z12ごとに独立して設定される。以上より、二つの吸着ゾーンZ11,Z12で第一ガラスフィルムG1に対する吸着力が異なるように、各ブロア40a,40bの出力が制御部41により制御される。
【0050】
図5は、本実施形態に係る吸着ゾーンZ11,Z12と吸着力P11,P12との関係を示したグラフである。
図5に示すように、上流側ベルトコンベア22dが上述した構成をなす場合、例えば第一吸着ゾーンZ11の上流端となる搬送方向X上の位置X11から位置X12までの間(
図4を参照)、第一ガラスフィルムG1に対して相対的に大きな吸着力P11が作用する。この場合、吸着力P11は、位置X11から位置X12の間で一定の大きさ(均等)に設定される。また、第二吸着ゾーンZ12の上流端となる搬送方向X上の位置X12から位置X13までの間(
図4を参照)、第一ガラスフィルムG1に対して相対的に小さな吸着力P12が作用する。この場合、吸着力P12は、位置X12から位置X13の間で一定の大きさに設定される。この場合において、第一吸着ゾーンZ11における吸着力P11と第二吸着ゾーンZ12における吸着力P12との差は、1kPa~1.5kPaであることが好ましい。このように、本実施形態では、第一ガラスフィルムG1の搬送方向Xで見た場合に、第二切断部9に近い側(第二吸着ゾーンZ12)で第一ガラスフィルムG1に対する吸着力P12が相対的に小さく、第二切断部9から遠い側(第一吸着ゾーンZ11)で第一ガラスフィルムG1に対する吸着力P11が相対的に大きくなるように、制御部41による各ブロア40a,40bの駆動制御が行われる。
【0051】
第二切断部9は、第二搬送部8のうち上流側コンベア19と下流側コンベア20との間に位置する領域の上方に配置される(
図1及び
図3を参照)。本実施形態では、第二切断部9は、レーザー割断により第一ガラスフィルムG1を切断可能に構成され、複数のレーザー照射装置45と、各レーザー照射装置45の下流側に配置される冷却装置46とを有する。この場合、冷却装置46はレーザー照射装置45と同数だけ配置される。本実施形態では、第二切断部9による第一ガラスフィルムG1の切断ゾーン21が幅方向の三箇所に設けられるため(
図2を参照)、レーザー照射装置45と冷却装置46とが三個ずつ配設される。上記構成の第二切断部9は、搬送される第一ガラスフィルムG1の所定部位に各レーザー照射装置45からレーザー光Lを照射して加熱した後、冷却装置46から冷媒Rを放出して当該加熱部位を冷却可能に構成される。
【0052】
また、本実施形態では、上述した第一ガラスフィルムG1の切断ゾーン21から幅方向に離れた位置に、
図2に示すように、第二搬送部8により搬送されている第一ガラスフィルムG1を接触支持可能な第一定盤47が配設されている。正確には、切断後の第一ガラスフィルムG1(第二ガラスフィルムG2a,G2b)の幅方向中央側に対応する位置に、第一定盤47が配設されている。本実施形態では、二枚の第二ガラスフィルムG2a,G2bが一枚の第一ガラスフィルムG1から切り出されるので、切断ゾーン21に対して幅方向に位置し、かつ各第二ガラスフィルムG2a,G2bの幅方向中央に対応する位置に、第一定盤47がそれぞれ配設されている。これら第一定盤47は、図示は省略するが、床面に設置固定されており、常に静止した状態にある。
【0053】
また、第一定盤47は、
図2に示すように、第一ガラスフィルムG1を接触支持可能な第一支持面48と、第一ガラスフィルムG1を第一支持面48に向けて吸引可能な第一吸引部49とを有する。この第一吸引部49によれば、第一定盤47の第一支持面48上に第一ガラスフィルムG1が搬送される場合、第一ガラスフィルムG1が第一支持面48に対して吸引可能とされる。
【0054】
また、本実施形態では、上述した第一ガラスフィルムG1の切断ゾーン21に、
図2に示すように、第一ガラスフィルムG1を接触支持可能な第二定盤50が配設されている。本実施形態では、第一ガラスフィルムG1を幅方向の三箇所で切断する形態を採っていることから、三箇所の切断ゾーン21それぞれに対して三個の第二定盤50が配設されている。これら第二定盤50は、図示は省略するが、床面に設置固定されており、常に静止した状態にある。
【0055】
ここで、第二定盤50は、
図2に示すように、第一ガラスフィルムG1を接触支持可能な第二支持面51と、第一ガラスフィルムG1を第二支持面51に向けて吸引可能な第二吸引部52とを有する。この第二吸引部52によれば、第二定盤50の第二支持面51上に第一ガラスフィルムG1が搬送される場合、第一ガラスフィルムG1が第二支持面51に対して吸引可能とされる。
【0056】
第二搬送部8よりも下流側には、幅方向で隣り合う一組の第二ガラスフィルムG2a,G2bの間に幅方向隙間を形成するための隙間形成部53が設けられている。この隙間形成部53は、本実施形態では、各第二ガラスフィルムG2a,G2bが上方に凸となる向きに湾曲変形するように、幅方向中央が最も大径となる樽状の支持ローラ54a,54bを有する。本実施形態では二枚の第二ガラスフィルムG2a,G2bが切り出されるので、二個の支持ローラ54a,54bが配設される。
【0057】
第二巻取り部10は、第二搬送部8よりも下流側に配設される。具体的に、第二巻取り部10は、第二搬送部8で搬送される第二ガラスフィルムG2a,G2bを巻芯55a,55bによって巻き取ることで第二ガラスロールGRL2a,GRL2bを得る。本実施形態では、二枚の第二ガラスフィルムG2a,G2bが切り出されるので、これら二枚の第二ガラスフィルムG2a,G2bをそれぞれ巻き取ることで、二個の第二ガラスロールGRL2a,GRL2bが得られる。
【0058】
上記構成の製造装置1により製造される第二ガラスフィルムG2a,G2b(第一ガラスフィルムG1)の材質としては、ケイ酸塩ガラス、シリカガラスが用いられ、好ましくはホウ珪酸ガラス、ソーダライムガラス、アルミノ珪酸塩ガラス、化学強化ガラスが用いられ、最も好ましくは無アルカリガラスが用いられる。ここで、無アルカリガラスとは、アルカリ成分(アルカリ金属酸化物)が実質的に含まれていないガラスのことであって、具体的には、アルカリ成分の重量比が3000ppm以下のガラスのことである。本発明におけるアルカリ成分の重量比は、好ましくは1000ppm以下であり、より好ましくは500ppm以下であり、最も好ましくは300ppm以下である。
【0059】
また、第二ガラスフィルムG2a,G2b(第一ガラスフィルムG1)の厚み寸法は、10μm以上300μm以下とされ、好ましくは30μm以上200μm以下であり、最も好ましくは30μm以上100μm以下である。
【0060】
以下、上記構成の製造装置1を使用して第二ガラスフィルムG2a,G2b(本実施形態では第二ガラスロールGRL2a,GRL2b)を製造する方法について説明する。本方法は、成形工程S1と、両端部除去工程S2と、第一巻取り工程S3と、引出し工程S4と、切断工程S5と、第二巻取り工程S6とを備える。
【0061】
成形工程S1では、
図1に示すように、成形部2における成形体11のオーバーフロー溝11aから溢れ出した溶融ガラスGMを成形体11の両側面に沿ってそれぞれ流下させ、その下端で合流させてフィルム状に成形する。この際、溶融ガラスGMの幅方向収縮をエッジローラ12により規制して所定幅の母材ガラスフィルムGとする。その後、母材ガラスフィルムGに対してアニーラ13により除歪処理を施す(徐冷工程)。支持ローラ15の張力により、母材ガラスフィルムGは所定の厚みに形成される。
【0062】
両端部除去工程S2では、同じく
図1に示すように、方向変換部3及び第一搬送部4によって母材ガラスフィルムGを下流側に送りつつ、第一切断部5において、レーザー照射装置17aからレーザー光Lを母材ガラスフィルムGの一部に照射して加熱する。その後、加熱した部位に冷却装置17bで冷媒Rを吹き付ける。これにより、母材ガラスフィルムGに熱応力が生じる。母材ガラスフィルムGには、予め初期クラックが形成されており、このクラックを熱応力によって進展させる。これにより、母材ガラスフィルムGの幅方向両端部が除去され、第一ガラスフィルムG1が形成される。
【0063】
続く第一巻取工程S3では、同じく
図1に示すように、第一ガラスフィルムG1を巻芯18に巻き取ることにより、第一ガラスロールGRL1を得る。その後、第一ガラスロールGRL1は、引出し部7に移送される。引出し工程S4では、引出し部7に移送された第一ガラスロールGRL1から第一ガラスフィルムG1を引き出し、第二搬送部8によって第二搬送部8上の切断ゾーン21へと搬送する(
図2及び
図3を参照)。
【0064】
切断工程S5では、第一ガラスフィルムG1のうち第二搬送部8上の切断ゾーン21を通過する部分に、レーザー照射装置45によりレーザー光Lを照射し、かつ照射した領域に冷媒Rを吹き付けることにより、第一ガラスフィルムG1の搬送方向Xに沿った向きの切断を行う。また、この際、第一ガラスフィルムG1は、上流側コンベア19により搬送方向Xに沿った向きに搬送される。この際、上流側コンベア19を構成する複数の上流側ベルトコンベア22a~22gのうち、第一ガラスフィルムG1の幅方向中央位置に対応する上流側ベルトコンベア22dについて、その第二支持体36内の排気空間37をブロア40a,40bにより排気することで排気空間37内に負圧を発生させる。これにより、溝部42、穴部43、及び貫通穴44を介して(
図4を参照)、第一ベルト23d上の第一ガラスフィルムG1に下向きの吸着力が作用するので、第一ガラスフィルムG1が上流側ベルトコンベア22dの第一ベルト23dに吸着した状態で搬送方向Xに沿って搬送される。
【0065】
また、この際、吸着構造を有する上流側ベルトコンベア22dは、第一ガラスフィルムG1に対する吸着力P11,P12を第一ガラスフィルムGの搬送方向Xで変更可能に構成されている。具体的には、第一ガラスフィルムG1の搬送方向Xで見た場合に、第二切断部9に近い側で第一ガラスフィルムG1に対する吸着力P12が相対的に小さく、第二切断部9から遠い側で第一ガラスフィルムG1に対する吸着力P11が相対的に大きくなるように調整されている(
図4及び
図5を参照)。そのため、第二切断部9よりも上流側では、第一ガラスフィルムG1を強く吸着して位置ずれなく第一ガラスフィルムG1が第二切断部9に向けて搬送される。また、強く吸着した際にしわ等の変形が生じたとしても、しわ等の変形が生じた箇所よりも下流側でかつ第二切断部9よりも上流側の領域で、吸着力P12を相対的に小さくしておくことで、一旦生じたしわ等の変形が第二切断部9に到達する前に解消又は縮小する。これにより、位置ずれなくかつしわ等の変形がない状態で第一ガラスフィルムG1が第二切断部9に搬入される。
【0066】
残りの上流側ベルトコンベア22a~22c,22e~22gについては、上述したように、第一ガラスフィルムG1を第一ベルト23a~23c,23e~23gに吸着不能に構成されているので、第一ガラスフィルムG1は各第一ベルト23a~23c,23e~23gに接触支持された状態で搬送方向Xに沿って搬送される。
【0067】
切断工程S5では、上記のように上流側ベルトコンベア22a~22gによって第一ガラスフィルムG1を所定の搬送方向Xに搬送しながら、レーザー照射装置45のレーザー照射部から複数のレーザー光Lを第一ガラスフィルムG1に照射する(レーザー照射工程)。
【0068】
上記のようなレーザー光Lの照射により、第一ガラスフィルムG1が加熱される。その後、第一ガラスフィルムG1のうち加熱された部分は、冷却装置46の直下に到達すると、冷却装置46から下方に向けて噴射された冷媒Rを浴びて冷却される。レーザー照射装置45の局部加熱による膨張と冷却装置46の冷却による収縮とにより第一ガラスフィルムG1に熱応力が生じる。第一ガラスフィルムG1には、図示しない手段により予め初期クラックが形成されており、上述した熱応力を利用して初期クラックを進展させることで、第一ガラスフィルムG1がその幅方向所定位置において連続的に切断(割断)される。本実施形態では、幅方向の三箇所で上述したレーザー切断を行うことにより、第一ガラスフィルムG1の幅方向両端部が切り捨てられると共に、それぞれ所定の幅方向寸法を有する二枚の第二ガラスフィルムG2a,G2bが切り出される(
図2を参照)。これら第二ガラスフィルムG2a,G2bは切断ゾーン21よりも搬送方向Xの下流側に位置する下流側コンベア20により、下流側コンベア20よりも搬送方向Xの下流側に位置する第二巻取り部10に向けて搬送される。
【0069】
この際、下流側コンベア20を構成する複数の下流側ベルトコンベア27a~27gには、支持搬送する第二ガラスフィルムG2a,G2bを吸着可能な構造が設けられている(
図2を参照)。これにより、第二ガラスフィルムG2a,G2bが下流側ベルトコンベア27a~27fの第二ベルト28a~28fに吸着した状態で搬送方向Xに沿って搬送される。
【0070】
第二巻取り工程S6では、それぞれ所定の位置に配設された巻芯55a,55bによって第二ガラスフィルムG2a,G2bが巻き取られる。所定長さの第二ガラスフィルムG2a,G2bが巻き取られることで、第二ガラスロールGRL2a,GRL2bが得られる。
【0071】
また、本実施形態では、下流側コンベア20と、第二巻取り部10との間に、隙間形成部53としての支持ローラ54a,54bを配設したので、各支持ローラ54a,54b上を通過する第二ガラスフィルムG2a,G2bが支持ローラ54a,54bの外周面形状に倣って変形(ここでは上方に凸となる向きに湾曲変形)しながら下流側に搬送される。これにより、切断直後の第二ガラスフィルムG2a,G2bの間に所定の幅方向隙間が形成されるので、切断面同士の干渉を回避してそれぞれ第二巻取り部10に搬送することができる。
【0072】
以上説明したように、本実施形態に係るガラスフィルム(第二ガラスフィルムG2a,G2b)の製造方法では、第二切断部9よりも第一ガラスフィルムG1の搬送方向Xの上流側に位置する上流側ベルトコンベア22a~22gの少なくとも一部(第一ガラスフィルムG1の幅方向中央に対応する上流側ベルトコンベア22d)を、第一ガラスフィルムG1が第一ベルト23dに吸着可能な構造にすると共に、この上流側ベルトコンベア22dにおける第一ガラスフィルムG1に対する吸着力P11,P12を、第一ガラスフィルムG1の搬送方向Xで変更可能とした。このように構成することによって、第一ガラスフィルムG1をその搬送方向Xの位置によって適切な大きさの吸着力で吸着しながら搬送することができる。よって、第一ガラスフィルムG1を強く吸着し過ぎる箇所が生じる場合には、当該箇所の吸着力を小さくすることで、しわ等の変形を可及的に防止又は抑制することができる。一方で、その他の箇所については、例えば相対的に吸着力を大きくすることで、第一ガラスフィルムG1の第一ベルト23d(の吸着面23d1)に対する滑りを防止して、位置ずれなく第一ガラスフィルムG1を搬送することが可能となる。従って、第一ガラスフィルムG1の正確な切断を安定的に実施することが可能となり、ひいては高品質の製品ガラスロール(第二ガラスロールGRL2a,GRL2b)を安定的に提供することが可能となる。
【0073】
また、本実施形態では、第一ベルト23dの吸着面23d1を、第一ガラスフィルムG1の搬送方向Xの所定領域において、第一ガラスフィルムG1に対する吸着力P11,P12を互いに異ならせることができる二つの吸着ゾーンZ11,Z12に区画した。また、この場合に、搬送方向Xの上流側に位置する吸着面23d1の第一吸着ゾーンZ11における吸着力P11が相対的に大きく、第一吸着ゾーンZ11よりも第一ガラスフィルムG1の搬送方向Xの下流側に位置する吸着面23d1の第二吸着ゾーンZ12における吸着力P12が相対的に小さくなるように、各吸着ゾーンZ11,Z12における吸着力P11,P12の大きさを制御するようにした。このように吸着力P11,P12を制御することによって、相対的に搬送方向Xの上流側で第一ガラスフィルムG1を強く吸着することができるので位置ずれなく第一ガラスフィルムG1を第二切断部9に向けて搬送することができる。また、第一吸着ゾーンZ11で第一ガラスフィルムG1を強く吸着した際にしわ等の変形が生じたとしても、しわ等の変形が生じた箇所よりも搬送方向Xの下流側の領域で、吸着力P12を相対的に小さくしておくことで、一旦生じたしわ等の変形を解消又は縮小させることができる。これにより、位置ずれなくかつしわ等の変形がない状態で第一ガラスフィルムG1を搬送することができるので、第二吸着ゾーンZ12よりも搬送方向Xの下流側に第二切断部9を配置した場合においても、安定的に高品質の製造関連処理を施すことが可能となる。また、二つの吸着ゾーンZ11,Z12について吸着力P11,P12の設定をそれぞれ行うだけで済むので、吸着力分布の設定、変更も容易である。
【0074】
以上、本発明に係るガラスフィルムの製造方法及び製造装置の一実施形態を説明したが、この製造方法及び製造装置は、当然に本発明の範囲内において任意の形態を採ることができる。
【0075】
図6は、本発明の第二実施形態に係る上流側ベルトコンベア60dの要部断面図を示している。この上流側ベルトコンベア60dは、本発明の第一実施形態と同様に、残りの上流側ベルトコンベア22a~22c,22e~22gと共に第二搬送部8の上流側コンベア19を構成する。また、第一実施形態に係る上流側ベルトコンベア22dと同じように、無端帯状の第一ベルト23dと、複数のプーリ24と、第一支持体25と、駆動源26とを有すると共に(
図2及び
図3を参照)、第一ベルト23dを下方から支持する第二支持体61と、第二支持体61の内部に設けられる排気空間62と、第一ベルト23dと第二支持体61との間の空間と、排気空間62とを連通可能な連通部63とを有する。また、排気空間62は第二支持体61の内部に設けられている。
【0076】
本実施形態では、排気空間62は、第一ガラスフィルムG1の搬送方向Xで、三つの空間(第一分割空間64a、第二分割空間64b、第三分割空間64c)に分割されている。この場合、各分割空間64a~64cはそれぞれ、排気装置としてのブロア65a~65cと接続されている。これら複数のブロア65a~65cは、互いに独立して制御部41により制御可能とされている。なお、連通部63の構成は、第一実施形態における連通部の構成(溝部42、穴部43、貫通穴44)と同じであるので、説明を省略する。
【0077】
上記構成の吸着構造を有する上流側ベルトコンベア60dによれば、各ブロア65a~65cの駆動により対応する各分割空間64a~64cの排気を行うことで、連通部63(溝部42と穴部43、及び貫通穴44)を介して第一ベルト23d上の第一ガラスフィルムG1に下方への吸引力が作用し、これにより第一ガラスフィルムG1が第一ベルト23dの吸着面23d1に吸着可能とされている。また、上述のように、排気空間62が第一ガラスフィルムG1の長手方向で三つの空間に分割される場合、第一ベルト23dの吸着面23d1は、第一ガラスフィルムG1の搬送方向Xの所定領域において、第一ガラスフィルムG1に対する吸着力を互いに異ならせることができる三つの吸着ゾーンZ21~Z23に区画される。この場合、各吸着ゾーンZ21~Z23はそれぞれ、下方に位置する各分割空間64a~64cに対応した位置及び大きさに設定される。本実施形態では、
図6に示すように、第一吸着ゾーンZ21の搬送方向Xに沿った向きの寸法と、第二吸着ゾーンZ22の搬送方向Xに沿った向きの寸法、及び第三吸着ゾーンZ23の搬送方向Xに沿った向きの寸法とが等しくなるように、各分割空間64a~64cの位置及び大きさが設定される。また、図示は省略するが、第一吸着ゾーンZ21の幅方向寸法と、第二吸着ゾーンZ22の幅方向寸法、及び第三吸着ゾーンZ23の幅方向寸法とが等しくなるように、各分割空間64a~64cの位置及び大きさが設定される。
【0078】
上述した吸着構造をなす上流側ベルトコンベア60dは、第一ガラスフィルムG1の搬送方向Xで、第一ガラスフィルムG1に対する吸着力を変更可能に構成されている。本実施形態のように、分割空間64a~64cごとにブロア65a~65cが接続され、各ブロア65a~65cが制御部41により制御可能に構成される場合、例えば制御部41により各ブロア65a~65cの出力(排気量)を調整することにより、各分割空間64a~64c内の負圧、ひいては第一ガラスフィルムG1に対する吸着力P21~P23(
図7を参照)が、各分割空間64a~64c上に形成される吸着ゾーンZ21~Z23ごとに独立して設定される。よって、各ブロア65a~65cの出力を制御部41により調整することで、三つの吸着ゾーンZ21~Z23の間で第一ガラスフィルムG1に対する吸着力P21~P23を互いに異ならせるように制御される。
【0079】
図7は、本実施形態に係る吸着ゾーンZ21~Z23と吸着力P21~P23との関係を示したグラフである。
図7に示すように、上流側ベルトコンベア60dが上述した構成をなす場合、例えば第一ガラスフィルムG1の搬送方向Xの中間位置に形成される第二吸着ゾーンZ22において第一ガラスフィルムG1に作用する吸着力P22が最も大きく、搬送方向Xの最も上流側に形成される第一吸着ゾーンZ21において第一ガラスフィルムG1に作用する吸着力P21が次に大きく、搬送方向Xの最も下流側に形成される第三吸着ゾーンZ23において第一ガラスフィルムG1に作用する吸着力P23が最も小さくなるように、制御部41による各ブロア65a~65cの駆動制御が行われる。この場合において、第二吸着ゾーンZ22における吸着力P22と第一吸着ゾーンZ21における吸着力P21との差は、0.2kPa~0.5kPaであることが好ましい。また、第一吸着ゾーンZ21における吸着力P21と第三吸着ゾーンZ23における吸着力P23との差は、0.8kPa~1.1kPaであることが好ましい。なお、本実施形態においても、吸着力P21は、対応する搬送方向Xの位置X21からX22までの間で一定の大きさに設定され、吸着力P22は、対応する位置X22から位置X23までの間で一定の大きさに設定され、吸着力P23は、対応する位置X23から位置X24までの間で一定の大きさに設定される。
【0080】
このように、本実施形態においても、第二切断部9よりも第一ガラスフィルムG1の搬送方向Xの上流側に位置する上流側ベルトコンベア60dに吸着構造を設けると共に、その吸着力P21~P23を、第一ガラスフィルムG1の搬送方向Xで変更可能としたので、しわ等の変形を防ぎつつも位置ずれなく第一ガラスフィルムG1を第二切断部9に向けて搬送することが可能となる。
【0081】
また、本実施形態では、第一ベルト23dの吸着面23d1を三つの吸着ゾーンZ21~Z23に区画する場合、これら三つの吸着ゾーンZ21~Z23における吸着力P21~P23のうち、搬送方向中間に位置する第二吸着ゾーンZ22の吸着力P22を最も大きくし、この吸着ゾーンZ22よりも搬送方向Xの下流側の第三吸着ゾーンZ23及び搬送方向Xの上流側の第一吸着ゾーンZ21における吸着力P21,P23をそれぞれ第二吸着ゾーンZ22における吸着力P22よりも小さくした。例えば第一ガラスフィルムG1が第一ガラスロールGRL1から引き出されて、
図6に示すように、斜め下方から支持ローラ66を介して上流側ベルトコンベア60d(上流側コンベア19)上に移載される場合、移載直後に、第一ガラスフィルムG1を強く吸着してしまうと、しわ等の変形が生じ易いことがある。そのため、最も上流側の第一吸着ゾーンZ21における吸着力P21を、その下流側に位置する第二吸着ゾーンZ22における吸着力P22よりも小さくすることで、上述した移載直後にしわ等の変形が発生する事態を防止することができる。これにより移載後の第一ガラスフィルムG1にしわ等の変形がない状態で第二切断部9に向けて第一ガラスフィルムG1を搬送することができる。また、第二吸着ゾーンZ22で第一ガラスフィルムG1を強く吸着して位置ずれなく第一ガラスフィルムG1を搬送しつつも、第二吸着ゾーンZ22よりも搬送方向Xの下流側に位置する第三吸着ゾーンZ23で、吸着力P23を第二吸着ゾーンZ22における吸着力P22よりも小さくしておくことで(本実施形態では第一吸着ゾーンZ21における吸着力P21よりも小さくすることで)、仮に第二吸着ゾーンZ22でしわ等の変形が新たに生じたとしても、当該しわ等の変形を解消又は縮小させることができる。これにより、位置ずれなくかつしわ等の変形がない状態で第一ガラスフィルムG1を搬送することができるので、第三吸着ゾーンZ23よりも搬送方向Xの下流側に第二切断部9を配置する場合、安定的に高品質の切断処理を施すことが可能となる。
【0082】
図8及び
図9は、本発明の第三実施形態に係る搬送装置の吸着力制御システムの要部断面図であって、下流側ベルトコンベア27a~27gのうち、幅方向中央に位置する下流側ベルトコンベア27dの要部断面図(
図2中のB-B切断線に沿った要部断面図)を代表的に示している。この下流側ベルトコンベア27dは、残りの下流側ベルトコンベア27a~27c,27e~27gと同じように、無端状の第二ベルト28dを下方から支持する第二支持体71と、第二支持体71の内部に設けられる排気空間72と、第二ベルト28dと第二支持体71との間の空間と、排気空間72とを連通可能な連通部73とを有する。
【0083】
ここで排気空間72は、第二支持体71の内部に一つ存在しており、排気装置としてのブロア74と接続されている。このブロア74は、他の複数のブロア65a~65cとは相互に独立して制御部41により制御可能とされている。
【0084】
また、この場合、連通部73は、第二支持体71の上面に設けられ第二ベルト28dの長手方向に沿って延びる一又は複数の溝部75と、第二支持体71に設けられ溝部75と排気空間72とを連通する穴部76と、第二ベルト28dに設けられ、第二ベルト28dの幅方向で溝部75と重複する位置に形成される複数の貫通穴77とで構成されている。よって、ブロア74の駆動により排気空間72の排気を行うことで、溝部75と穴部76、及び貫通穴77を介して第二ベルト28d上の第二ガラスフィルムG2aに下方への吸引力が作用し、これにより第二ガラスフィルムG2aが第二ベルト28dに吸着可能とされている。これにより、第二ベルト28dの表面のうち、排気空間72上を通過する部分が、第二ガラスフィルムG2aに対する吸着面28d1として機能する。この場合、第二ベルト28d上の第四吸着ゾーンZ24は、下方に位置する排気空間72に対応した位置及び大きさに設定される。残りの下流側ベルトコンベア27a~27c,27e~27gについても、上述した吸着構造をなす。
【0085】
上述した吸着構造をなす下流側ベルトコンベア27a~27gと、上流側ベルトコンベア60dは、幅方向両端部を切断したガラスフィルムG1,G2a,G2bの搬送方向Xで、当該ガラスフィルムG1,G2a,G2bに対する吸着力を変更可能に構成されている。第二実施形態のように、上流側ベルトコンベア60dの排気空間62が分割空間64a~64cに分割され、分割空間64a~64c及び排気空間72ごとにブロア65a~65c,74が接続され(
図6及び
図8を参照)、各ブロア65a~65c,74が制御部41により制御可能に構成される場合、例えば制御部41により各ブロア65a~65c,74の出力(排気量)を調整することにより、各分割空間64a~64c及び排気空間72内の負圧、ひいてはガラスフィルムG1,G2a,G2bに対する吸着力が、各分割空間64a~64c及び排気空間72上に形成される吸着ゾーンZ21~Z24ごとに独立して設定される。よって、各ブロア65a~65c,74の出力を制御部41により調整することで、四つの吸着ゾーンZ21~Z24の間でガラスフィルムG1,G2a,G2bに対する吸着力を互いに異ならせるように制御される。
【0086】
図9は、本実施形態に係る吸着ゾーンZ21~Z24と吸着力P21~P24との関係を示したグラフである。
図9に示すように、上流側ベルトコンベア60d及び下流側ベルトコンベア27a~27gが上述した構成をなす場合、例えば第一ベルトコンベア60d上の第一~第三吸着ゾーンZ21~Z23の何れか一つ(ここでは第二吸着ゾーンZ22)においてガラスフィルムG1,G2a,G2bに作用する吸着力P22が最も大きく、第三吸着ゾーンZ23よりも搬送方向Xの下流側に位置する下流側ベルトコンベア28a~28g上の吸着ゾーンZ24においてガラスフィルムG1,G2a,G2bに作用する吸着力P24が最も小さくなるように、制御部41による各ブロア65a~65c,74の駆動制御が行われる。吸着ゾーンZ24の吸着力P24を最も小さくすることで、切断後のガラスフィルムG1,G2,G3がバタつくことで端面同士が擦れるのを防止しつつ、吸引力P24の影響が第二切断部9に及ぶのを防止することができる。なお、本実施形態においても、吸着力P21は、対応する搬送方向Xの位置X21からX22までの間で一定の大きさに設定され、吸着力P22は、対応する位置X22から位置X23までの間で一定の大きさに設定され、吸着力P23は、対応する位置X23から位置X24までの間で一定の大きさに設定され、吸着力P24は、対応する搬送方向Xの位置X25から位置X26までの間で一定の大きさに設定される。
【0087】
このように、本実施形態では、上流側ベルトコンベア60d及び下流側ベルトコンベア27a~27gに吸着構造を設けると共に、各々の吸着力P21~P24を、幅方向両端部を切断したガラスフィルムG1,G2a,G2bの搬送方向Xで変更可能としたので、第二切断部9による切断の前後において、しわ等の変形を防ぎつつも位置ずれなくガラスフィルムG1,G2a,G2bを搬送することが可能となる。
【0088】
なお、各吸着力P21~P24が、
図9に示す大小関係を満たす場合において、第二吸着ゾーンZ22における吸着力P22と第一吸着ゾーンZ21における吸着力P21との差は、0.2kPa~0.5kPaであることが好ましい。また、第一吸着ゾーンZ21における吸着力P21と第三吸着ゾーンZ23における吸着力P23との差は、0.8kPa~1.1kPaであることが好ましい。同様に、第三吸着ゾーンZ23における吸着力P23と、第四吸着ゾーンZ24における吸着力P24との差が0.01~0.1kPaとなるように、各吸着力P23,P24の大きさを設定することが好ましい。
【0089】
なお、上記実施形態では、吸着面23d1を複数の吸着ゾーンZ11,Z12(Z21~Z23)に区画する場合、各吸着ゾーンZ11,Z12(Z21~Z23)の搬送方向Xに沿った向きの寸法、及び幅方向寸法を何れも等しく設定した場合を例示したが、もちろんこれには限られない。例えば図示は省略するが、
図6に示す上流側ベルトコンベア60dにおいて、第二吸着ゾーンZ22の搬送方向Xに沿った向きの寸法を、残りの何れの吸着ゾーンZ21,Z23の搬送方向Xに沿った向きの寸法よりも大きく設定してもよい。この場合、第二吸着ゾーンZ22における吸着力P22を、
図6に示す場合の第二吸着ゾーンZ22における吸着力P22よりも小さく設定できる利点がある。吸着面28d1を複数の吸着ゾーンに区画する場合も同様の構成が可能である。
【0090】
また、上記実施形態では、第一ベルト23dの吸着面23d1を第一ガラスフィルムG1の搬送方向Xで二つの吸着ゾーンZ11,Z12、又は三つの吸着ゾーンZ21~Z23に区画する場合を例示したが、もちろんこれには限られない。必要に応じて、吸着面23d1を四つ以上の吸着ゾーンに区画してもよい。この場合、対応する排気空間が四つ以上の空間に分割される。
【0091】
また、
図5や
図7に示した吸着ゾーンZ11,Z12(Z21~Z23)と吸着力P11,P12(P21~P23)との関係、又は
図9に示した吸着ゾーンZ21~Z24と吸着力P21~P24との関係は一例に過ぎず、搬送されるガラスフィルムの材質、寸法、形状、もしくは切断以外の加工の内容等に応じて、吸着ゾーンの数並びに吸着力を任意に設定してもよい。
【0092】
また、上記実施形態では、第一ガラスフィルムG1に対する吸着力が搬送方向位置で段階的に変化する吸着力分布を示す場合を例示したが、もちろんこれ以外の吸着力分布をなすように吸着力を設定してもよい。例えば図示は省略するが、所定の搬送方向領域間で吸着力が一次的に(所定の勾配で)変化するように吸着力分布を設定してもよい。また、吸着力が断続的に作用するように吸着力分布を設定してもよい。もちろん、吸着力分布に応じて吸着構造を変更してもよい。すなわち、所望の吸着力分布を得るために、
図4等に示す第二支持体36内を排気空間37とし、排気空間37を分割する構造以外の吸着構造を採用してもかまわない。
【0093】
また、上記実施形態では、上流側コンベア19を構成する上流側ベルトコンベア22a~22gのうち、所定の上流側ベルトコンベア22dのみに本発明に係る吸着構造を適用した場合を例示したが、もちろんこれ以外のベルトコンベアに本発明に係る吸着構造を適用してもかまわない。例えば図示は省略するが、上流側ベルトコンベア22a~22gのうち二つ以上のベルトコンベアに本発明に係る吸着構造を適用してもよい。
【0094】
また、以上の説明では、第一ガラスフィルムG1の切断ゾーン21に第二定盤50を配置すると共に、切断ゾーン21に対して幅方向に離れた位置に第一定盤47を配置した場合を例示したが、もちろんこれには限られない。レーザー切断に対してそれほど大きな影響を及ぼさないようであれば、切断ゾーン21を支持搬送面が通過するように第三のコンベア(図示は省略)を配設して、第一定盤47と第二定盤50の少なくとも一方を省略してもよい。
【0095】
また、搬送装置(第二搬送部8)の支持搬送面は、必ずしも搬送方向Xで切断ゾーン21に対応する位置において分断されている必要はない。例えば切断ゾーン21から搬送方向Xの下流側にずれた位置で、第二搬送部8の支持搬送面が分断されていてもよい。
【0096】
なお、以上の説明では、切断ゾーン21で搬送装置としての第二搬送部8が分割されてなる上流側コンベア19と下流側コンベア20をともにベルトコンベアで構成した場合を例示したが、もちろんこれ以外の形態をとることも可能である。例えば下流側コンベア20を、ローラコンベアその他の各種搬送装置で構成してもよい。
【0097】
また、以上の説明では、第二搬送部8が、その搬送方向Xで、二つのコンベア19,20で構成される場合を例示したが、もちろんこれには限定されない。例えば第二搬送部8をその搬送方向Xの全域にわたって一つのベルトコンベアで構成し、このベルトコンベア上に切断ゾーン21を設けると共に、本発明に係る吸着構造を適用してもよい。
【0098】
また、以上の説明では、第二搬送部8を、第一ガラスフィルムG1の幅方向に隣接する複数の上流側ベルトコンベア22a~22gと下流側ベルトコンベア27a~27gとで構成した場合を例示したが、もちろんこれ以外の構成をとることも可能である。例えば上流側コンベア19を一つのベルトコンベアで構成し、この一つのベルトコンベアに本発明に係る吸着構造を適用してもよい。あるいは、下流側コンベア20を一つのベルトコンベアで構成してもよい。
【0099】
また、以上の説明では、一枚の第一ガラスフィルムG1から二枚の第二ガラスフィルムG2a,G2bを切り出す場合を例示したが、もちろん、幅方向寸法の異なる一枚の第二ガラスフィルムG2aを切り出す場合に本発明を適用することも可能であり、また三枚以上の第二ガラスフィルムG2a…を切り出す場合に本発明を適用することも可能である。
【0100】
また、以上の説明では、母材ガラスフィルムGの幅方向両端部を第一切断部5で切断して得た第一ガラスフィルムG1に対して本発明を適用した場合を説明したが、母材ガラスフィルムGの第一切断部5による切断に本発明を適用してもかまわない。この場合、第一搬送部4が、
図2等に示す第二搬送部8と同様の構成をとることで、本発明を実施可能となる。また、これら第一切断部5及び第二切断部9には、レーザー切断以外の切断を可能とする構成を採用することも可能である。
【0101】
また、以上の説明では、ガラスフィルムに対する製造関連処理として長手方向に沿った向きの切断処理を行う場合を例示したが、もちろんこれ以外の処理、例えばコーティングや成膜、ラミネートの貼り合わせなど、ベルトコンベアで搬送した状態でガラスフィルムの成形から最終製品の出荷に至るまでに実施され得る限りにおいて、任意の製造関連処理を行う工程に本発明に係るベルトコンベアを適用することも可能である。
【0102】
また、以上の説明では、帯状をなす第一ガラスフィルムG1に本発明を適用した場合を説明したが、もちろんこれ以外の形態をなす第一ガラスフィルムG1に本発明を適用することも可能である。すなわち、図示は省略するが、矩形状など枚葉状の板ガラス(ガラスフィルム)に本発明を適用することも可能である。また、切断して得た第二ガラスフィルムG2a…を必ずしもロール状に巻き取らずともよい。言い換えると、ロール状に巻き取ることのない第二ガラスフィルムG2a…の製造工程に本発明を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0103】
1 ガラスロールの製造装置
2 成形部
3 方向変換部
4 第一搬送部
5 第一切断部
8 第二搬送部
9 第二切断部
11 成形体
17a レーザー照射装置
17b 冷却装置
19 上流側コンベア
20 下流側コンベア
21 切断ゾーン
22a~22g,60d 上流側ベルトコンベア
23a~23g 第一ベルト
24,29 プーリ
25,30 第一支持体
26,31 駆動源
27a~27g 下流側ベルトコンベア
28a~28g 第二ベルト
32 レール部
33 スライド部
36,61,71 第二支持体
37,62,72 排気空間
38,63,73 連通部
39a,39b,64a~64c 分割空間
40a,40b,65a~65c,74 ブロア
41 制御部
42,75 溝部
43,76 穴部
44,77 貫通穴
45 レーザー照射装置
46 冷却装置
47 第一定盤
48 第一支持面
49 第一吸引部
50 第二定盤
51 第二支持面
52 第二吸引部
G,G1,G2a,G2b ガラスフィルム
GRL1,GRL2a,GRL2b ガラスロール
L レーザー光
R 冷媒
P11,P12,P21~P24 吸着力
X 搬送方向
Z11,Z12,Z21~Z24 吸着ゾーン