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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-23
(45)【発行日】2024-10-31
(54)【発明の名称】車両用表示制御システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20241024BHJP
   B60R 1/20 20220101ALI20241024BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
H04N7/18 J
B60R1/20 100
G06T1/00 330B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020184394
(22)【出願日】2020-11-04
(65)【公開番号】P2022074395
(43)【公開日】2022-05-18
【審査請求日】2023-09-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】陶山 羊三
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/141846(WO,A1)
【文献】特開2014-004931(JP,A)
【文献】特開2020-088414(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0103650(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
B60R 1/00-1/31
B60R 99/00
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に対してその進行方向側かつ前記車両の幅方向の中央に位置する中央区域、及び前記中央区域に対して前記車両の幅方向の両側方にそれぞれ隣接する2つの側方区域を含む進行領域を撮像可能とする進行側撮像部を有する撮像装置と、
複数の画像を表示可能とする表示部を有する表示装置と、
前記表示部の表示を制御可能とする表示制御部を有する表示制御装置と
を備え、
前記複数の画像が、前記進行側撮像部により撮像される撮像画像と、前記車両及びその周辺を示す俯瞰画像とを含み、
前記撮像画像が、前記中央区域を撮像した中央画像と、前記2つの側方区域をそれぞれ撮像した2つの側方画像とを含み、
前記表示制御装置は、前記2つの側方区域に位置する障害物の有無を判定可能に構成される判定部を有する、車両用表示制御システムであって、
前記表示制御部は、前記2つの側方区域に位置する前記障害物が無いと前記判定部が判定した場合に、前記中央画像と、前記俯瞰画像とを前記幅方向に並べた基本状態で前記表示部に表示し、かつ前記2つの側方区域における一方又は両方にそれぞれ位置する前記障害物が存在すると前記判定部が判定した場合に、前記俯瞰画像の幅方向の長さを前記基本状態のものから、前記2つの側方区域における一方又は両方をそれぞれ撮像した前記2つの側方画像における一方又は両方の幅方向の長さ分減少させるように設定しながら、前記中央画像と、前記2つの側方画像において前記障害物が写っている一方又は両方と、前記俯瞰画像とを幅方向に並べた幅広状態で前記表示部に表示するように構成されている、車両用表示制御システム。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記表示部にて前記2つの側方画像における一方が前記幅方向にて前記中央画像に対して前記俯瞰画像の側に表示される場合、前記表示部にて前記中央画像を前記基本状態と同じ位置に表示し、かつ前記表示部にて前記2つの側方画像における一方が前記幅方向にて前記中央画像に対して前記俯瞰画像とは反対側に表示される場合、前記表示部にて前記中央画像を前記基本状態に対して前記幅方向にて前記俯瞰画像の側に移動させるように構成される、請求項1に記載の車両用表示制御システム。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記表示部における前記2つの側方画像における一方又は両方の幅方向の長さを変更可能に構成され、
前記表示制御部は、前記表示部における前記2つの側方画像における一方又は両方の幅方向の長さが所定の長さ閾値以上になった場合に、前記表示部から前記俯瞰画像を消すように構成される、請求項1又は2に記載の車両用表示制御システム。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記表示部における前記中央画像に前記車両の幅方向の中心を示す中心線を表示するように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の車両用表示制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置の表示部における撮像画像及び俯瞰画像の表示を制御可能とする車両用表示制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両には、ドライバの車両操作をアシストすべく、カメラ等の撮像部により撮像された車両周辺の画像を車室内に配置された液晶ディスプレイ等の表示部に表示する表示制御システムが搭載されてきている。特に、車両の後退時に車両後方の画像を表示部に表示する表示制御システムの普及が進んでおり、かかる表示制御システムは「バックモニタ」と呼ばれることがある。
【0003】
表示制御システムにおいては、より多くの情報をドライバに伝えるために、2つ以上の画像が表示部に表示されることがある。典型的には、表示制御システムにおいて、車両進行方向側の領域を撮像した撮像画像と、車両及びその周辺を示す俯瞰画像とが表示部に表示されることがある。
【0004】
このような表示制御システムにおいては、車両進行方向側の領域に障害物が出現した場合、安全運転を促す上では、この障害物の存在をドライバに明確に伝えることが重要となる。そのため、障害物の存在をドライバに明確に伝えることを可能とする種々の表示制御システムが提案されている。
【0005】
このような表示制御システムの一例としては、監視対象の画像を取得するための撮像手段と、各種の情報を表示するための表示手段と、撮像手段により取得した画像の一部の領域を、拡大状態で表示手段に表示させながら、拡大状態で表示する領域以外の領域を、拡大状態で表示する領域と一緒に表示手段に圧縮処理状態で表示させる表示制御手段とを有し、表示制御手段が、拡大状態で表示する領域と圧縮処理状態で表示する領域とを一体画像として表示し、さらに、表示制御手段が、圧縮処理状態で表示する領域に警告対象物等の障害物が検出された場合、障害物を含む所定の領域を拡大状態で表示する、画像表示装置が挙げられる。(例えば、特許文献1を参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2009-017007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記表示制御システムの一例においては、障害物を含む所定の領域を拡大状態で表示する前後で、障害物の移動速度に対するドライバの感覚が変化するおそれがある。そのため、ドライバが車両及び障害物間の距離等のような車両及び障害物間の関係を誤って認識するおそれがある。
【0008】
このような実情を鑑みると、車両用表示制御システムにおいては、ドライバが車両及び障害物間の関係を正確に認識できるようにすることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
課題を解決するために、一態様に係る車両用表示制御システムは、車両に対してその進行方向側かつ前記車両の幅方向の中央に位置する中央区域、及び前記中央区域に対して前記車両の幅方向の両側方にそれぞれ隣接する2つの側方区域を含む進行領域を撮像可能とする進行側撮像部を有する撮像装置と、複数の画像を表示可能とする表示部を有する表示装置と、前記表示部の表示を制御可能とする表示制御部を有する表示制御装置とを備え、前記複数の画像が、前記進行側撮像部により撮像される撮像画像と、前記車両及びその周辺を示す俯瞰画像とを含み、前記撮像画像が、前記中央区域を撮像した中央画像と、前記2つの側方区域をそれぞれ撮像した2つの側方画像とを含み、前記表示制御装置は、前記2つの側方区域に位置する障害物の有無を判定可能に構成される判定部を有する、車両用表示制御システムであって、前記表示制御部は、前記2つの側方区域に位置する前記障害物が無いと前記判定部が判定した場合に、前記中央画像と、前記俯瞰画像とを前記幅方向に並べた基本状態で前記表示部に表示し、かつ前記2つの側方区域における一方又は両方にそれぞれ位置する前記障害物が存在すると前記判定部が判定した場合に、前記俯瞰画像の幅方向の長さを前記基本状態のものから、前記2つの側方区域における一方又は両方をそれぞれ撮像した前記2つの側方画像における一方又は両方の幅方向の長さ分減少させるように設定しながら、前記中央画像と、前記2つの側方画像において前記障害物が写っている一方又は両方と、前記俯瞰画像とを幅方向に並べた幅広状態で前記表示部に表示するように構成される。
【発明の効果】
【0010】
一態様に係る車両用表示制御システムにおいては、ドライバが車両及び障害物間の関係を正確に認識できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、一実施形態に係る車両用表示制御システムを含む車両の構成図である。
図2図2は、一実施形態に係る車両用表示制御システムを含む車両と、この車両の周辺に位置する障害物との関係を模式的に示す平面図である。
図3図3は、一実施形態に係る車両用表示制御システムの表示装置の表示部を、中央画像と、俯瞰画像とを表示した状態で模式的に示す正面図である。
図4図4は、一実施形態に係る車両用表示制御システムの表示装置の表示部を、中央画像と、左側側方画像と、俯瞰画像とを表示した状態で模式的に示す正面図である。
図5図5は、一実施形態に係る車両用表示制御システムの表示装置の表示部を、中央画像と、右側側方画像と、俯瞰画像とを表示した状態で模式的に示す正面図である。
図6図6は、一実施形態に係る車両用表示制御システムの表示装置の表示部を、中央画像と、左側側方画像とを表示した状態で模式的に示す正面図である。
図7図7は、一実施形態に係る車両用表示制御方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
一実施形態に係る車両用表示制御システムについて以下に説明する。なお、本実施形態に係る車両用表示制御システム(以下、必要に応じて、単に「表示制御システム」という)を適用する車両は自動車となっている。しかしながら、表示制御システムは、自動車以外の車両にも適用することができる。
【0013】
以下の説明においては、特に詳細な条件に言及しない限り、左側は、車両の進行方向を向いた状態での車両幅方向の左側を意味し、かつ右側は、車両の進行方向を向いた状態での車両幅方向の右側を意味する。また、幅方向は車両幅方向を意味する。
【0014】
「車両用表示制御システムの概略」
図1図6を参照して、本実施形態に係る車両用表示制御システム10の概略について説明する。すなわち、本実施形態に係る表示制御システム10は、概略的には次のように構成される。図1及び図2に示すように、表示制御システム10は、車両1に搭載される。かかる表示制御システム10は、車両1の進行方向(片側矢印Aにより示す)側に位置する進行領域Bを撮像可能とする進行側撮像部21を有する撮像装置20を含む。ここでは、車両1の進行方向は車両1の後退方向となっている。しかしながら、車両の進行方向を車両の前進方向とすることもできる。
【0015】
図2に示すように、進行領域Bは、車両1に対してその進行方向側かつ車両1の幅方向の中央に位置する中央区域B1を有する。進行領域Bは、中央区域B1に対して幅方向の両側方にそれぞれ隣接する2つの側方区域B2,B3を有する。2つの側方区域B2,B3は、中央区域B1に対して左側に位置する左側方区域B2と、中央区域B1に対して右側に位置する右側方区域B3とから成る。
【0016】
図1及び図3図6を参照すると、表示制御システム10は、複数の画像C,Dを表示可能とする表示部31を有する表示装置30を有する。複数の画像C,Dは、進行側撮像部21により撮像される撮像画像Cと、車両1及びその周辺を示す俯瞰画像Dとを含む。撮像画像Cは、中央区域B1を撮像した中央画像C1と、2つの側方区域B2,B3をそれぞれ撮像した2つの側方画像C2,C3とを含む。
【0017】
2つの側方画像C2,C3は、左側方区域B2を撮像した左側方画像C2と、右側方区域B3を撮像した右側方画像C3とから成る。表示部31を見た状態において、左側方画像C2は、中央画像C1に対して左側にて中央画像C1に隣接する。表示部31を見た状態において、右側方画像C3は、中央画像C1に対して右側にて中央画像C1に隣接する。図3図6においては、表示部31を見た状態において、中央画像C1と左又は右側方画像C2,C3との境界縁E1を仮想線(二点鎖線)により示す。また、俯瞰画像D上に俯瞰視された車両1が示されている。
【0018】
図1に示すように、表示制御システム10は、表示部31の表示を制御可能とする表示制御部41を有する表示制御装置40を含む。図1及び図2を参照すると、表示制御装置40は、2つの側方区域B2,B3に位置する障害物Fの有無を判定可能に構成される判定部42を有する。なお、図3図6においては、一例として、撮像画像C上で、障害物Fを歩行者Fとしている。しかしながら、障害物は、もちろん、歩行者以外である場合がある。
【0019】
図3に示すように、表示制御部41は、2つの側方区域B2,B3に位置する障害物Fが無いと判定部42が判定した場合に、中央画像C1と、俯瞰画像Dとを車両1の幅方向に並べた基本状態で表示部31に表示する。基本状態では、中央画像C1と俯瞰画像Dとは幅方向にて互いに隣接する。
【0020】
その一方で、図4及び図5に示すように、表示制御部41は、2つの側方区域B2,B3における一方又は両方にそれぞれ位置する障害物Fが存在すると判定部42が判定した場合に、俯瞰画像Dの幅方向の長さを基本状態のものから、2つの側方区域B2,B3における一方又は両方をそれぞれ撮像した2つの側方画像C2,C3における一方又は両方の幅方向の長さG分減少させるように設定しながら、中央画像C1と、2つの側方画像C2,C3における一方又は両方と、俯瞰画像Dとを幅方向に並べた幅広状態で表示部31に表示する。なお、図4図6においては、一例として、2つの側方区域B2,B3における一方に位置する障害物Fのみが存在する場合が示されている。
【0021】
さらに、本実施形態に係る表示制御システム10は、概略的には次のように構成することができる。図4に示すように、表示制御部41は、表示部31にて2つの側方画像C2,C3における一方が幅方向にて中央画像C1に対して俯瞰画像Dの側に表示される場合、表示部31にて中央画像C1を基本状態と同じ位置に表示する。図5に示すように、表示制御部41は、表示部31にて2つの側方画像C2,C3における一方が車両1の幅方向にて中央画像C1に対して俯瞰画像Dとは反対側に表示される場合、表示部31にて中央画像C1を基本状態に対して車両1の幅方向にて俯瞰画像Dの側に移動させる。
【0022】
表示制御部41は、表示部31における2つの側方画像C2,C3における一方又は両方の幅方向の長さGを変更可能とする。表示制御部41は、表示部31における2つの側方画像C2,C3における一方又は両方の幅方向の長さGが所定の長さ閾値G1以上になった場合に、表示部31から俯瞰画像Dを消す。図3図6に示すように、表示制御部41は、表示部31における中央画像C1の幅方向の中心を示す中心線H(一点鎖線により示す)を表示する。
【0023】
「車両用表示制御システムの詳細」
図1及び図2を参照すると、本実施形態に係る表示制御システム10は、詳細には次のように構成することができる。図1及び図2に示すように、表示制御システム10は、2つの側方区域B2,B3に位置する障害物Fを検知可能とするように構成される進行側検知部51を有する検知装置50を含む。
【0024】
図2に示すように、特に、検知装置50は、2つの側方区域B2,B3に位置する障害物Fをそれぞれ検知可能とする2つの進行側検知部51を有することができる。検知装置50はまた、このような2つの進行側検知部51に加えて、中央区域B1に位置する障害物Fを検知可能とするさらなる進行側検知部51を有することもできる。
【0025】
図2に示すように、進行側検知部51は、車両1の進行方向に位置する進行側部分1aに設置される。本実施形態のように、車両1の進行方向が車両1の後退方向である場合において、進行側検知部51は、車両1の後方部分1aに設置される後側検知部51となる。なお、車両の進行方向が車両の前進方向である場合、進行側検知部は、車両の前方部分に設置される前側検知部となる。
【0026】
図1及び図2に示すように、検知装置50は、車両1の進行方向とは反対側に位置する障害物(図示せず)を検知可能とする反対側検知部52を有する。検知装置50は、車両1の両側方にそれぞれ位置する障害物(図示せず)をそれぞれ検知可能とする2つの側方検知部53を有する。
【0027】
進行側、反対側、及び2つの側方検知部51,52,53は、カメラとする。このようなカメラの視野内に位置する障害物は、当該カメラによって撮像された画像を処理することによって認識されることができる。しかしながら、進行側、反対側、及び2つの側方検知部は、カメラに限定されない。例えば、進行側、反対側、及び2つの側方検知部の少なくとも1つを、カメラ以外のセンサとすることができる。例えば、進行側、反対側、及び2つの側方検知部の少なくとも1つを、赤外線ライダとすることもできる。このような検知装置のカメラは、撮像装置のカメラと共通させることもできる。
【0028】
図1に示すように、撮像装置20は、表示制御装置40と電気的に接続されている。検知装置50は、表示制御装置40と電気的に接続されている。表示制御装置40は、表示装置30と電気的に接続される。例えば、検知装置50及び表示制御装置40間の接続は、CAN(Controller Area Network)によってもたらすことができる。しかしながら、これらの接続は、CANに限定されない。
【0029】
「撮像装置の詳細」
図1及び図2を参照すると、撮像装置20は、詳細には次のように構成することができる。図2に示すように、進行側撮像部21は、車両1の進行側部分1aに設置される。本実施形態のように、車両1の進行方向が車両1の後退方向である場合において、進行側撮像部21は、車両1の後方部分1aに設置される後側撮像部21となる。なお、車両の進行方向が車両の前進方向である場合、進行側撮像部は、車両の前方部分に設置される前側撮像部となる。
【0030】
図1及び図2に示すように、撮像装置20は、車両1の進行方向とは反対側に位置する反対領域を撮像可能とする反対側撮像部22を有する。撮像装置20は、車両1の両側方にそれぞれ位置する2つの側方領域をそれぞれ撮像可能とする2つの側方撮像部23を有する。進行側、反対側、及び2つの側方撮像部21,22,23は、カメラとなっている。しかしながら、進行側、反対側、及び2つの側方撮像部は、カメラに限定されない。
【0031】
「進行側撮像部の詳細」
図1及び図2を参照すると、進行側撮像部21は、詳細には次のように構成することができる。図2に示すように、進行側撮像部21の性能上で進行側撮像部21により撮像可能な最大撮像領域Bは、平面視にて、それを通ると共に車両前後方向に延びる中心基準線21a(一点鎖線により示す)及び進行側撮像部21上の中心基準点21bに基づく最大視野角α内に定められる範囲に相当する。進行側撮像部21により撮像される進行領域Bは、この最大撮像領域Bに相当する。
【0032】
進行側撮像部21により撮像される中央区域B1は、平面視にて、上記中心基準線21a及び中心基準点21bに基づく基本視野角β内に定められる範囲に相当する。進行側撮像部21により撮像される2つの側方区域B2,B3は、平面視にて、上記中心基準線21a及び中心基準点21bに基づく基本視野角β外かつ最大視野角α内に定められる2つの範囲にそれぞれ相当する
【0033】
最大視野角αは、基本視野角βよりも大きく設定される。例えば、最大視野角αは、約180度に設定することができる。例えば、基本視野角βは、約140度に設定することができる。しかしながら、最大視野角は、もちろん、約180度以外の角度に設定することもできる。基本視野角は、もちろん、約140度以外の角度に設定することもできる。
【0034】
「表示装置の詳細」
図3図6を参照すると、表示装置30は、詳細には次のように構成することができる。表示装置30は、液晶ディスプレイ装置30となっており、表示部31は、液晶パネルとなっている。しかしながら、表示装置は、液晶ディスプレイ装置に限定されず、かつ表示部は、液晶パネルに限定されない。例えば、表示装置を、有機EL(Electro-Luminescence)装置とすることができ、かつ表示部を、有機ELパネルとすることもできる。
【0035】
特に図示はしないが、表示装置30の表示部31は、車両1のドライバが視認可能となるように車室の前方に位置するインストルメントパネル(図示せず)に設置される。表示装置30は、カーナビゲーションシステムに搭載されるものとすることができる。
【0036】
図3図6に示すように、表示部31は、正面視にて略四角形状に形成される。より具体的には、表示部31は、正面視にて略長方形状に形成される。しかしながら、表示部の形状は、これに限定されない。
【0037】
「表示制御装置の詳細」
図1図6を参照すると、表示制御装置40は、詳細には次のように構成することができる。表示制御装置40は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、入力インターフェース、出力インターフェース等の電子部品と、かかる電子部品を配置した電気回路とを含むように構成されるとよい。しかしながら、表示制御装置はこれに限定されない。
【0038】
図1及び図2を参照すると、判定部42は、上述のように2つの側方区域B2,B3における一方又は両方にそれぞれ位置する障害物Fが存在することを検知装置50の進行側検知部51が検知したか否かを判定可能とする。しかしながら、判定部42は、2つの側方区域B2,B3における一方又は両方にそれぞれ位置する障害物Fが存在することを撮像装置20の進行側撮像部21が検知したか否かを判定可能とすることもできる。
【0039】
図1図6を参照すると、進行側検知部51が2つの側方区域B2,B3における一方又は両方にそれぞれ位置する障害物Fを検知したと判定部42が判定した場合において、表示制御部41は、2つの側方区域B2,B3における一方又は両方にそれぞれ位置する障害物F全体を2つの側方画像C2,C3における一方又は両方にそれぞれ表示するように、このような2つの側方画像C2,C3における一方又は両方の幅方向の長さGを設定する。
【0040】
表示制御部41は、幅方向にて境界縁E1とは反対側に位置する2つの側方画像C2,C3における一方又は両方の外方縁E2を、このような2つの側方画像C2,C3における一方又は両方内で幅方向にて移動させることができるように構成される。表示制御部41は、2つの側方区域B2,B3における一方又は両方にそれぞれ位置する障害物F全体を、このような2つの側方画像C2,C3における一方又は両方にそれぞれ表示するように外方縁E2を幅方向にて移動させて、その結果、2つの側方画像C2,C3における一方又は両方の幅方向の長さGが上述のように設定されることとなる。2つの側方画像C2,C3における一方又は両方の幅方向の長さGはまた、2つの側方区域B2,B3における一方又は両方にそれぞれ位置する障害物F全体を2つの側方画像C2,C3における一方又は両方にそれぞれ表示可能とする最小値に設定することができる。
【0041】
表示制御部41は、撮像装置20の進行側、反対側、及び2つの側方撮像部21,22,23、並びに検知装置50の進行側、反対側、及び2つの側方検知部51,52,53により得られる情報に基づいて作成される俯瞰画像Dを、表示装置30の表示部31に表示するように構成される。表示制御部41は、上述のように俯瞰画像Dを消す場合、中央画像C1及び2つの側方画像C2,C3における一方又は両方を一体化した撮像画像Cを表示部31の幅方向の中央に表示する。
【0042】
「表示制御方法」
図7を参照して、本実施形態に係る表示制御方法について説明する。ここでは、2つの側方区域B2,B3における一方に位置する障害物Fのみが存在する場合を説明する。
【0043】
撮像装置20の進行側撮像部21が進行領域Bを監視するように進行領域Bを撮像する(工程S1)。進行領域Bのうち2つの側方区域B2,B3に位置する障害物Fが存在するか否かを判定する(工程S2)。
【0044】
2つの側方区域B2,B3に位置する障害物Fが無い場合(NO)、表示装置30の表示部31に、撮像画像Cの中央画像C1と俯瞰画像Dとをこれらを幅方向に互いに隣接させながら並べた基本状態で表示する(工程S3)。2つの側方区域B2,B3における一方である一方側側方区域B2,B3に位置する障害物Fが存在する場合(YES)、一方側側方区域B2,B3を撮像した一方側側方画像C2,C3の幅方向の長さGを、一方側側方画像C2,C3に障害物F全体を表示するように設定する(工程S4)。一方側側方画像C2,C3の幅方向の長さGが長さ閾値G1以上であるか否かを判定する(工程S5)。
【0045】
一方側側方画像C2,C3の幅方向の長さGが長さ閾値G1よりも小さい場合(NO)、表示部31にて一方側側方画像C2,C3が幅方向にて中央画像C1に対して俯瞰画像Dの側に表示されるか否かを判定する(工程S6)。表示部31にて一方側側方画像C2,C3が幅方向にて中央画像C1に対して俯瞰画像Dの側に表示される場合(YES)、中央画像C1を基本状態と同じ位置に表示しながら、中央画像C1と、一方側側方画像C2,C3と、俯瞰画像Dとを幅方向に並べた第1幅広状態で表示部31に表示する(工程S7)。表示部31にて一方側側方画像C2,C3が幅方向にて中央画像C1に対して俯瞰画像Dとは反対側に表示される場合(NO)、中央画像C1を基本状態に対して車両1の幅方向にて俯瞰画像Dの側に移動させながら、中央画像C1と、一方側側方画像C2,C3と、俯瞰画像Dとを幅方向に並べた第2幅広状態で表示部31に表示する(工程S8)。
【0046】
一方側側方画像C2,C3の幅方向の長さGが長さ閾値G1以上である場合(YES)、俯瞰画像Dを消し、かつ撮像画像Cの中央画像C1及び一方側側方画像C2,C3を第3幅広状態で表示部31に表示する(工程S9)。
【0047】
なお、2つの側方区域B2,B3における両方に位置する障害物Fが存在する場合の表示制御方法は、上記表示制御方法の工程S6~S8の代わりに、中央画像C1と、2つの側方画像C2,C3における両方と、俯瞰画像Dとを幅方向に並べた第3幅広状態で表示部31に表示する工程を実行する点を除いて、上記表示制御方法と同様である。
【0048】
以上、本実施形態に係る車両用表示制御システム10は、車両1に対してその進行方向側かつ前記車両1の幅方向の中央に位置する中央区域B1、及び前記中央区域B1に対して前記車両1の幅方向の両側方にそれぞれ隣接する2つの側方区域B2,B3を含む進行領域Bを撮像可能とする進行側撮像部21を有する撮像装置20と、複数の画像C,Dを表示可能とする表示部31を有する表示装置30と、前記表示部31の表示を制御可能とする表示制御部41を有する表示制御装置40とを備え、前記複数の画像C,Dが、前記進行側撮像部21により撮像される撮像画像Cと、前記車両1及びその周辺を示す俯瞰画像Dとを含み、前記撮像画像Cが、前記中央区域B1を撮像した中央画像C1と、前記2つの側方区域B2,B3をそれぞれ撮像した2つの側方画像C2,C3とを含み、前記表示制御装置40は、前記2つの側方区域B2,B3に位置する障害物Fの有無を判定可能に構成される判定部42を有する、車両用表示制御システム10であって、前記表示制御部41は、前記2つの側方区域B2,B3に位置する前記障害物Fが無いと前記判定部42が判定した場合に、前記中央画像C1と、前記俯瞰画像Dとを前記幅方向に並べた基本状態で前記表示部31に表示し、かつ前記2つの側方区域B2,B3における一方又は両方にそれぞれ位置する前記障害物Fが存在すると前記判定部42が判定した場合に、前記俯瞰画像Dの幅方向の長さを前記基本状態のものから、前記2つの側方区域B2,B3における一方又は両方をそれぞれ撮像した前記2つの側方画像C2,C3における一方又は両方の幅方向の長さG分減少させるように設定しながら、前記中央画像C1と、前記2つの側方画像C2,C3における一方又は両方と、前記俯瞰画像Dとを幅方向に並べた幅広状態で前記表示部31に表示するように構成される。
【0049】
このような表示制御システム10によれば、表示部31の表示が基本状態から幅広状態に変化した場合であっても、基本状態の中央画像C1の表示倍率と、幅広状態の中央画像C1及び前記2つの側方画像C2,C3における一方又は両方の表示倍率とは一定となる。そのため、障害物Fの移動速度に対するドライバの感覚が変化するのを防止できる。よって、ドライバが車両1及び障害物F間の距離等のような車両1及び障害物F間の関係を正確に認識できる。
【0050】
一実施形態に係る表示制御システム10においては、前記表示制御部41は、前記表示部31にて前記2つの側方画像C2,C3における一方が前記幅方向にて前記中央画像C1に対して前記俯瞰画像Dの側に表示される場合、前記表示部31にて前記中央画像C1を前記基本状態と同じ位置に表示し、かつ前記表示部31にて前記2つの側方画像C2,C3における一方が前記幅方向にて前記中央画像C1に対して前記俯瞰画像Dとは反対側に表示される場合、前記表示部31にて前記中央画像C1を前記基本状態に対して前記幅方向にて前記俯瞰画像Dの側に移動させるように構成される。
【0051】
このような表示制御システム10によれば、表示部31上で、中央画像C1の幅方向の中央位置をできる限り一定とすることができる。そのため、障害物Fの移動速度に対するドライバの感覚が変化するのを効率的に防止できる。よって、ドライバが車両1及び障害物F間の距離等のような車両1及び障害物F間の関係を正確に認識できる。
【0052】
一実施形態に係る表示制御システム10においては、前記表示制御部41は、前記表示部31における前記2つの側方画像C2,C3における一方又は両方の幅方向の長さGを変更可能に構成され、前記表示制御部41は、前記表示部31における前記2つの側方画像C2,C3における一方又は両方の幅方向の長さGが所定の長さ閾値G1以上になった場合に、前記表示部31から前記俯瞰画像Dを消すように構成される。
【0053】
このような表示制御システム10によれば、ドライバにより視認可能となるような十分な大きさを有さない不要な俯瞰画像Dを表示部31から消しながら、重要な中央画像C1及び前記2つの側方画像C2,C3における一方又は両方を十分な大きさで表示部31に表示することができる。そのため、ドライバは、中央画像C1及び前記2つの側方画像C2,C3における一方又は両方を見ながらの運転操作に集中することができる。よって、ドライバが車両1及び障害物F間の距離等のような車両1及び障害物F間の関係を正確に認識できる。
【0054】
一実施形態に係る表示制御システム10においては、前記表示制御部41は、前記表示部31における前記中央画像C1に前記車両1の幅方向の中心を示す中心線Hを表示するように構成される。
【0055】
このような表示制御システム10によれば、ドライバが、中央画像C1が幅方向に移動したことを明確に認識できる。そのため、障害物Fの移動速度に対するドライバの感覚が変化するのを効率的に防止できる。よって、ドライバが車両1及び障害物F間の距離等のような車両1及び障害物F間の関係を正確に認識できる。
【0056】
ここまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明は、その技術的思想に基づいて変形及び変更可能である。
【符号の説明】
【0057】
1…車両
10…車両用表示制御システム、表示制御システム
20…撮像装置、21…進行側撮像部
30…表示装置、31…表示部
40…表示制御装置、41…表示制御部、42…判定部
B…進行領域、B1…中央区域、B2…側方区域、左側方区域、B3…側方区域、右側方区域
C…画像、撮像画像、C1…中央画像、C2…側方画像、左側方画像、C3…側方画像、右側方画像
D…画像、俯瞰画像
F…障害物
G…長さ、G1…長さ閾値
H…中心線(一点鎖線)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7