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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-23
(45)【発行日】2024-10-31
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 65/30 20060101AFI20241024BHJP
   B65G 47/53 20060101ALI20241024BHJP
   B65G 69/20 20060101ALI20241024BHJP
   B65G 3/04 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
B65G65/30 Z
B65G47/53 G
B65G69/20
B65G3/04 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021005662
(22)【出願日】2021-01-18
(65)【公開番号】P2022110331
(43)【公開日】2022-07-29
【審査請求日】2023-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】二井 隆博
(72)【発明者】
【氏名】藤沖 春美
(72)【発明者】
【氏名】丹 光義
(72)【発明者】
【氏名】宮迫 義巳
(72)【発明者】
【氏名】若林 信
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-145706(JP,A)
【文献】特開昭51-047771(JP,A)
【文献】特開2000-198547(JP,A)
【文献】特開2012-241971(JP,A)
【文献】特開2011-195260(JP,A)
【文献】特開昭52-022274(JP,A)
【文献】特開2021-107270(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 65/30
B65G 47/53
B65G 69/18
B65G 3/04
F23C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
石炭及び固形バイオマス燃料を搬送物として搬送するコンベヤ装置と、霧状の液体を噴出する噴霧手段と、を備え、
前記噴霧手段は、前記コンベヤ装置が少なくとも前記固形バイオマス燃料を搬送している時に、該コンベヤ装置で搬送される前記固形バイオマス燃料に対して噴霧し、
前記コンベヤ装置は、前記搬送物を載せて水平方向に搬送するコンベヤ本体と、該コンベヤ本体の下方に設けられ、前記コンベヤ本体によって搬送された搬送物が投入されるバンカ部と、を備え、
前記バンカ部は、前記コンベヤ本体で搬送された前記固形バイオマス燃料が投入されるバイオマス用バンカ部を備え、
前記噴霧手段は、前記コンベヤ本体で搬送されて前記バイオマス用バンカ部における前記固形バイオマス燃料が投入される投入口に対して霧状の前記液体を噴出する搬送装置。
【請求項2】
石炭及び固形バイオマス燃料を搬送物として搬送するコンベヤ装置と、霧状の液体を噴出する噴霧手段と、を備え、
前記噴霧手段は、前記コンベヤ装置が少なくとも前記固形バイオマス燃料を搬送している時に、該コンベヤ装置で搬送される前記固形バイオマス燃料に対して噴霧し、
前記コンベヤ装置は、前記搬送物を載せて水平方向に搬送するコンベヤ本体と、該コンベヤ本体の下方に設けられ、前記コンベヤ本体で搬送された搬送物が投入されるバンカ部と、を備え、
前記バンカ部は、前記コンベヤ本体で搬送された前記固形バイオマス燃料が投入されるバイオマス用バンカ部と、該バイオマス用バンカ部に対して前記搬送物の搬送方向に隣接して設けられ、前記コンベヤ本体によって搬送された石炭が投入される石炭用バンカ部と、を備え、
前記噴霧手段は、少なくとも一つの前記石炭用バンカ部における前記石炭の投入口に対して、霧状の前記液体を噴出する搬送装置。
【請求項3】
前記噴霧手段は、前記コンベヤ本体で搬送されて前記バイオマス用バンカ部における前記固形バイオマス燃料が投入される投入口に対して霧状の前記液体を噴出する請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記コンベヤ装置は、複数の前記コンベヤ本体と、隣接する前記コンベヤ本体の間に配置され、上流側の前記コンベヤ本体から下流側の前記コンベヤ本体に前記搬送物を落下させて乗り継がせる乗継部と、を備え、
前記噴霧手段は、少なくとも前記乗継部における前記搬送物が落下する経路に対して霧状の前記液体を噴出する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記コンベヤ装置は、前記コンベヤ本体と、該コンベヤ本体の下方において前記搬送物の搬送方向に並べて設けられ、前記コンベヤ本体で搬送された前記搬送物が投入される複数のバンカ部と、を備え、
前記噴霧手段は、前記複数のバンカ部のうち前記搬送方向で最下流位置に配置された前記バンカ部における前記搬送物の投入口に対して霧状の前記液体を噴出する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記コンベヤ装置は、複数の前記コンベヤ本体と、隣接する前記コンベヤ本体の間に配置され、上流側の前記コンベヤ本体から下流側の前記コンベヤ本体に前記搬送物を落下させて乗り継がせる乗継部と、を備え、
前記噴霧手段は、少なくとも前記下流側のコンベヤ本体における前記乗継部よりも搬送方向上流側の位置及び搬送方向下流側の位置の両方において霧状の前記液体を噴出する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記噴霧手段は、前記コンベヤ本体の下流側の端部に対して霧状の前記液体を噴出する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項8】
前記噴霧手段は、前記コンベヤ本体に載る前記搬送物上に落下する前に気化するように前記液体を噴出する請求項1乃至7のいずれか1項に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも石炭及び固形バイオマス燃料を搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のような火力発電所には、石炭を搬送するためのコンベヤが設けられる。具体的に、火力発電所は、石炭船から陸揚げされた石炭を一時的に貯蔵する石炭サイロと、燃焼設備の手前に設けられるバンカと、石炭サイロからバンカまで石炭を搬送するバンカ行きコンベヤと、を備える。
【0003】
上記のような火力発電所では、石炭サイロとバンカとの間にバンカ行きコンベヤが設けられるので、石炭サイロからバンカまでスムーズに石炭を搬送することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-241053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、火力発電所のような、石炭を燃焼させて熱エネルギを得る設備においては、例えば再生可能エネルギを活用するために、石炭と固形バイオマス燃料とを混焼させることがある。このような場合には、石炭と同様に、固形バイオマス燃料をバンカ行きコンベヤでバンカへ搬送する。しかしながら、固形バイオマス燃料の粉塵は、石炭の粉塵よりも比重が小さいので、粉塵が飛散しやすく、バンカ行きコンベヤでの搬送時に大量の粉塵が飛散するおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明は、固形バイオマス燃料をコンベヤで搬送する際に、粉塵の飛散を抑制できる搬送装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の搬送装置は、石炭及び固形バイオマス燃料を搬送物として搬送するコンベヤ装置と、霧状の液体を噴出する噴霧手段と、を備え、前記噴霧手段は、前記コンベヤ装置が少なくとも前記固形バイオマス燃料を搬送している時に、該コンベヤ装置で搬送される前記固形バイオマス燃料に対して噴霧するよう構成される。
【0008】
かかる構成によれば、石炭及び固形バイオマス燃料を搬送するコンベヤ装置において、固形バイオマス燃料の搬送時に、該コンベヤ装置で搬送される固形バイオマス燃料に対して霧状の液体を噴出するので、固形バイオマス燃料の搬送時に発生する粉塵の飛散を抑制することができる。
【0009】
また、前記コンベヤ装置は、前記搬送物の搬送方向に並べて配置され、前記搬送物を載せて水平方向に搬送する複数のコンベヤ本体と、隣接する前記コンベヤ本体の間に配置され、上流側の前記コンベヤ本体から下流側の前記コンベヤ本体に前記搬送物を落下させて乗り継がせる乗継部と、を備え、前記噴霧手段は、少なくとも前記乗継部における前記搬送物が落下する経路に対して霧状の前記液体を噴出するよう構成することもできる。
【0010】
かかる構成によれば、噴霧手段は、乗継部で落下する搬送物に対して霧状の液体を噴出するので、上流側のコンベヤ本体から下流側のコンベヤ本体に乗継部を介して固形バイオマス燃料を乗り継がせる際に生じる粉塵の飛散を抑制することができる。
【0011】
また、前記コンベヤ装置は、前記搬送物を載せて水平方向に搬送するコンベヤ本体と、該コンベヤ本体の下方に設けられ、前記コンベヤ本体によって搬送された搬送物が投入されるバンカ部と、を備え、前記バンカ部は、前記コンベヤ本体で搬送された前記固形バイオマス燃料が投入されるバイオマス用バンカ部を備え、前記噴霧手段は、前記コンベヤ本体で搬送されて前記バイオマス用バンカ部における前記固形バイオマス燃料が投入される投入口に対して霧状の前記液体を噴出するよう構成することもできる。
【0012】
かかる構成によれば、前記投入口からバイオマス用バンカ部に投入される固形バイオマス燃料に対して霧状の液体が噴出されるので、コンベヤ本体で搬送された固形バイオマス燃料をバンカ部に投入する際に生じる粉塵の飛散を抑制することができる。
【0013】
また、前記コンベヤ装置は、前記搬送物を載せて水平方向に搬送する前記コンベヤ本体と、該コンベヤ本体の下方に設けられ、前記コンベヤ本体で搬送された搬送物が投入されるバンカ部と、を備え、前記バンカ部は、前記コンベヤ本体で搬送された前記固形バイオマス燃料が投入されるバイオマス用バンカ部と、該バイオマス用バンカ部に対して前記搬送物の搬送方向に隣接して設けられ、前記コンベヤ本体によって搬送された石炭が投入される石炭用バンカ部と、を備え、前記噴霧手段は、少なくとも一つの前記石炭用バンカ部における前記石炭の投入口に対して、霧状の前記液体を噴出するよう構成することもできる。
【0014】
かかる構成によれば、固形バイオマス燃料が投入されるバイオマス用バンカ部に隣り合う石炭用バンカ部の投入口に霧状の液体が噴出されるので、固形バイオマス燃料をバイオマス用バンカ部に投入する際に生じる粉塵が、隣り合う石炭用バンカ部の投入口から飛散することを抑制することができる。
【0015】
また、前記コンベヤ装置は、前記搬送物を載せて水平方向に搬送するコンベヤ本体と、該コンベヤ本体の下方において前記搬送物の搬送方向に並べて複数設けられ、前記コンベヤ本体で搬送された前記搬送物が投入されるバンカ部と、を備え、前記噴霧手段は、前記複数のバンカ部のうち前記搬送方向で最下流位置に配置された前記バンカ部における前記搬送物の投入口に対して霧状の前記液体を噴出するよう構成することもできる。
【0016】
かかる構成によれば、噴霧手段は、最下流位置のバンカ部の投入口に霧状の液体を噴出するので、最下流位置のバンカ部の投入口から粉塵が飛散することを抑制できる。
【0017】
また、前記コンベヤ装置は、前記搬送物を載せて水平方向に搬送し、前記搬送物の搬送方向に並べて配置された複数のコンベヤ本体と、隣接する前記コンベヤ本体の間に配置され、上流側の前記コンベヤ本体から下流側の前記コンベヤ本体に前記搬送物を落下させて乗り継がせる乗継部と、を備え、前記噴霧手段は、少なくとも前記下流側のコンベヤ本体における前記乗継部よりも搬送方向上流側の位置及び搬送方向下流側の位置の両方において霧状の前記液体を噴出するよう構成することもできる。
【0018】
かかる構成によれば、噴霧手段は、下流側のコンベヤ本体の乗継部よりも搬送方向上流側の位置及び搬送方向下流側の位置の少なくとも一方において霧状の液体を噴出するので、乗継部にて上流側のコンベヤ本体から下流側のコンベヤ本体に固形バイオマス燃料が乗り継いだときに生じた粉塵が下流側のコンベヤ本体の搬送方向上流側又は下流側に流れた場合でも粉塵の飛散を抑制できる。
【0019】
また、前記コンベヤ装置は、前記搬送物を載せて水平方向に搬送するコンベヤ本体を備え、前記噴霧手段は、前記コンベヤ本体の下流側の端部に対して霧状の前記液体を噴出するよう構成してもよい。
【0020】
かかる構成によれば、噴霧手段は、コンベヤ本体の下流側の端部に霧状の液体を噴出するので、コンベヤ本体の表面に付着した固形バイオマス燃料がコンベヤ本体の下流側の端部から粉塵として飛散することを防止できる。
【0021】
また、前記噴霧手段は、前記コンベヤ本体に載る前記搬送物上に落下する前に気化するように前記液体を噴出するよう構成してもよい。
【0022】
かかる構成によれば、液体が搬送物上に落下する前に気化するので、液体で搬送物が濡れることを抑制しつつ、発生した粉塵を液体で捕捉して沈降させることができるため、粉塵の飛散を抑制しつつ搬送物の濡れを抑制できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、固形バイオマス燃料をコンベヤ装置で搬送する際に、固形バイオマス燃料に起因する粉塵の飛散を抑制できる搬送装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係る搬送装置を示す平面図である。
図2図1に示すII矢視図である。
図3】掻き板が第二コンベヤに当接した状態を表す概略図である。
図4図3の要部拡大図である。
図5図1に示すV-V断面図である。
図6図1に示すVI-VI断面図である。
図7】第二コンベヤ本体の下流側の端部を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の一実施形態に係る搬送装置1について図1乃至図7を参照して説明する。本実施形態の搬送装置1は、外部から搬入された石炭及び固形バイオマス燃料を一時的に貯留する一時貯留部Sに貯留された石炭及び固形バイオマス燃料を搬送する。固形バイオマス燃料は、草木を原料とする固形燃料であり、例えば木材を粉砕した粉末を押し固めて形成された木質ペレットである。
【0026】
図1及び図2に示すように、搬送装置1は、コンベヤ装置2と、噴霧手段3と、を備える。また、搬送装置1は、粉塵を吸引可能な粉塵吸引装置(図示しない)を備える。粉塵吸引装置は、コンベヤ装置の上方に設けられる。粉塵吸引装置は、石炭搬送時に発生した粉塵を吸引して、粉塵の飛散を抑制するよう構成される。本実施形態で、粉塵吸引装置は、1台設けられ、石炭搬送時に発生した粉塵の量が多い場合に、コンベヤ装置2が設けられる空間内の粉塵を吸引する。
【0027】
コンベヤ装置2は、石炭及び固形バイオマス燃料を搬送物として搬送する。また、コンベヤ装置2は、搬送物の搬送方向に並べて配置され、コンベヤによって搬送物を水平方向に搬送する複数のコンベヤ本体21と、コンベヤ本体21によって搬送された搬送物が投入される複数のバンカ部22と、を備える。また、コンベヤ装置2は、隣接するコンベヤ本体21の間に配置され、上流側のコンベヤ本体21(第一コンベヤ本体211)から下流側のコンベヤ本体21(第二コンベヤ本体212)に搬送物を乗り継がせる乗継部23を備える。
【0028】
コンベヤ本体21は、搬送物を一時貯留部Sからバンカ部22に搬送する。具体的に、コンベヤ本体21は、搬送物を搬送する第一コンベヤ本体211と、第一コンベヤ本体211の搬送方向下流側に配置され、搬送物を搬送する第二コンベヤ本体212と、を備える。本実施形態で、第一コンベヤ本体211及び第二コンベヤ本体212は、ベルトコンベヤである。
【0029】
図1に示すように、第一コンベヤ本体211は、搬送物を一時貯留部Sから乗継部23を介して第二コンベヤ本体212に搬送する(搬送経路H1)。具体的に、第一コンベヤ本体211は、一時貯留部Sから乗継部23に亘って延びるベルトコンベヤであり、一時貯留部Sから乗継部23に搬送物を搬送可能に構成される。本実施形態で、第一コンベヤ本体211は2基設けられており、各基が独立して一時貯留部Sから第二コンベヤ本体212に搬送物を搬送する。また、本実施形態の第一コンベヤ本体211は、下流側が上方に位置するように傾斜して設けられている。
【0030】
第二コンベヤ本体212は、第一コンベヤ本体211の下方に設けられ、乗継部23からバンカ部22まで搬送物を搬送する(搬送経路H3)。具体的に、第二コンベヤ本体212は、乗継部23からバンカ部22に亘って延びるベルトコンベヤである。本実施形態で、第二コンベヤ本体212は、乗継部23から最も下流側のバンカ部22(下流バンカ部4)まで搬送物を搬送可能に構成される。本実施形態で、第二コンベヤ本体212は2基設けられており、各基が独立して乗継部23からバンカ部22に搬送物を搬送する。
【0031】
また、第二コンベヤ本体212の上部には、掻き板2121が搬送方向に離隔して複数設けられる。掻き板2121は、第二コンベヤ本体212の幅方向に亘って延びる板状体であり、昇降装置(図示しない)によって第二コンベヤ本体212に対して接離して、接近時には第二コンベヤ本体212の上面に当接するように構成される。本実施形態では、第二コンベヤ本体212の一部が昇降装置によって上方に持ち上げられ、掻き板2121と当接する。本実施形態で、掻き板2121は、第二コンベヤ本体212の幅方向(図1左右方向)において、中央部分が第二コンベヤ本体212の搬送方向で上流側、両端部分が下流側となるように搬送方向に対して傾斜するように設けられる。さらに、図2及び図7に示すように、第二コンベヤ本体212の下流側の端部には、コンベヤの表面に付着した付着物を掻き落とすクリーナ2122を備える。クリーナ2122は、第二コンベヤ本体212の表面に当接するように設けられる。
【0032】
図2乃至図4に示すように、バンカ部22は、コンベヤ本体21によって搬送された搬送物が投入されるように構成される。具体的に、バンカ部22は、コンベヤ本体21の下方に設けられ、投入された搬送物を受け止め、一時的に貯蔵する。また、バンカ部22は、第二コンベヤ本体212の搬送方向に離隔して複数設けられる。
【0033】
各々のバンカ部22は、搬送物が投入されるバンカ部本体221と、バンカ部本体221の上方に設けられ、第二コンベヤ本体212とバンカ部本体221とを連通する投入口222と、を備える。また、バンカ部本体221は、コンベヤ本体21が設置される床Fから下方に離隔して設けられる。即ち、床Fとバンカ部本体221との間には、空間F1が形成される。本実施形態で、複数のバンカ部本体221は、第二コンベヤ本体212の搬送方向に並べて配置され、空間F1は、複数のバンカ部本体221の上方に、搬送方向に亘って連続して設けられる。
【0034】
また、本実施形態で、複数のバンカ部22は、最も下流側に設けられる下流バンカ部4と、下流バンカ部以外のバンカ部22である中途バンカ部5と、を含む。下流バンカ部4は、第二コンベヤ本体212の下流側の端部の下方に設けられる。さらに、中途バンカ部5は、搬送方向で第二コンベヤ本体212の中途部分に設けられる。
【0035】
さらに、バンカ部22には、固形バイオマス燃料又は石炭が投入される。以下説明では、固形バイオマス燃料が投入されるバンカ部22をバイオマス用バンカ部22Bとして説明し、石炭が投入されるバンカ部22を石炭用バンカ部22Cとして説明する。
【0036】
図2及び図7に示すように、下流バンカ部4は、第二コンベヤ本体212の下流側の端部と下流バンカ部4のバンカ部本体221とを連通する端部投入口41を備える。端部投入口41は、第二コンベヤ本体212の下流側の端部とバンカ部本体221とを連通する端部連通部411と、第二コンベヤ本体212の下流側の端部の上方及び端部連通部411の上方を覆う端部カバー部412と、を備える。また、本実施形態で、下流バンカ部4は、コンベヤ本体21によって搬送された石炭が投入される石炭用バンカ部22Cである。
【0037】
図2乃至図4に示すように、中途バンカ部5は、第二コンベヤ本体212の幅方向の端部と各中途バンカ部5のバンカ部本体221とを連通する中途連通部51を備える。中途連通部51は、第二コンベヤ本体212の搬送方向中途部分かつ幅方向両端部に設けられる。具体的に、中途連通部51は、掻き板2121に隣接する位置に設けられている。また、中途連通部51は、上部に開口51aが形成されており、該開口51aは、掻き板2121に沿って移動した搬送物が、中途連通部51の内部に移動可能に形成されている。
【0038】
図2に示すように、複数の中途バンカ部5のうち1又は複数の中途バンカ部5は、固形バイオマス燃料が投入されるバイオマス用バンカ部22Bである。具体的に、一又は複数の中途バンカ部5には、コンベヤ本体21によって搬送された固形バイオマス燃料が投入される。即ち、最も下流側のバンカ部22を除いたいずれかのバンカ部22は、バイオマス用バンカ部22Bである。さらに、一又は複数の中途バンカ部5に、第二コンベヤ本体212によって搬送された固形バイオマス燃料が投入される。本実施形態では、搬送方向に並んだ中途バンカ部5のうち、中央部分に位置する中途バンカ部5に第二コンベヤ本体212によって搬送された固形バイオマス燃料が投入される。また、第二コンベヤ本体212によって搬送された固形バイオマス燃料が投入される中途バンカ部5を除いた中途バンカ部5には、第二コンベヤ本体212によって搬送された石炭が投入される。即ち、少なくともバイオマス用バンカ部22Bに上流側及び下流側で隣接するバンカ部22は、石炭用バンカ部22Cである。
【0039】
さらに、バイオマス用バンカ部22Bの搬送方向上流側及び下流側の少なくとも一方の石炭用バンカ部22Cは、中途連通部51の上方を覆う投入口カバー部22C1を備える。本実施形態で、バイオマス用バンカ部22Bの下流側の石炭用バンカ部22Cは、中途連通部51の上方を覆う投入口カバー部22C1を備える。また、バイオマス用バンカ部22Bは、第二コンベヤ本体212の幅方向の両端に設けられる投入口222及び、少なくとも第二コンベヤ本体212のうち両投入口222に挟まれる範囲を覆うバイオマス用カバー部22B1を備える(図1参照)。
【0040】
図5に示すように、乗継部23は、第一コンベヤ本体211から第二コンベヤ本体212に搬送物を落下させて乗り継がせる(搬送経路H2)。具体的に、乗継部23は、第一コンベヤ本体211から搬送物が投入される乗継投入口23aを画定する乗継投入部231と、乗継投入部231の下方に設けられ、第二コンベヤ本体212に搬送物を排出する乗継排出部232と、乗継投入部231及び乗継排出部232を連結し、内部を連通させる乗継連結部233と、を備える。本実施形態で、乗継排出部232は、第二コンベヤ本体212のうち、一方の第二コンベヤ本体212に搬送物を排出する第一乗継排出部2321と、他方の第二コンベヤ本体212に搬送物を排出する第二乗継排出部2322と、を備え、乗継連結部233は、乗継投入部231と第一乗継排出部2321及び第二乗継排出部2322とを連結する連結本体部2331と、乗継投入部231に投入された搬送物を第一乗継排出部2321又は第二乗継排出部2322のうち選択されたいずれか一方または両方にガイドする乗継方向決定部2332と、を備える。
【0041】
具体的に、乗継方向決定部2332は、乗継投入部231及び第一乗継排出部2321を連通する経路を塞ぐ位置(図5に実線で示す位置)、若しくは、乗継投入部231及び第二乗継排出部2322を連通する経路を塞ぐ位置(図5に破線で示す位置)、又は、乗継投入部231及び第一乗継排出部2321を連通する経路を塞ぐ位置(図5に実線で示す位置)、及び、乗継投入部231及び第二乗継排出部2322を連通する経路を塞ぐ位置(図5に破線で示す位置)の中間の位置、に移動して、塞いだ経路を搬送物が通れないように、又はいずれの経路にも搬送物を流すようにする。即ち、本実施形態の乗継部23は、第一コンベヤ本体211から投入された搬送物を、2基の第二コンベヤ本体212のうち、選択されたいずれか一方又は両方の第二コンベヤ本体212に落下させて乗り継がせる。さらに、本実施形態では、一方の第一コンベヤ本体211から搬送物が投入される第一乗継部23Aと、他方の第一コンベヤ本体211から搬送物が投入される第二乗継部23Bと、を備える。また、本実施形態のコンベヤ装置2には、少なくとも乗継投入口23aの上方を覆う乗継上部カバー部2Aが設けられる。本実施形態の乗継上部カバー部2Aは、乗継部23(乗継投入部231)の上方を覆う。さらに、本実施形態のコンベヤ装置2には、第二コンベヤ本体212の上部のうち少なくとも乗継部23の下方の範囲を覆う乗継下部カバー部2Bが設けられる。乗継下部カバー部2Bは、第二コンベヤ本体212のうち、乗継部23の上流側の一定範囲及び下流側の一定範囲を覆う。
【0042】
噴霧手段3は、コンベヤ装置2で搬送される固形バイオマス燃料に対して霧状の液体を噴出する。即ち、噴霧手段3は、液体を霧状にして、固形バイオマス燃料及びコンベヤ装置2に対して放出する。また、噴霧手段3は、コンベヤ装置2が固形バイオマス燃料を搬送している時に、霧状の液体を噴出する。本実施形態で、噴霧手段3は霧状の水を噴出する。さらに、本実施形態で、噴霧手段3が噴出する水の粒径は、噴出された水が固形バイオマス燃料に付着しても、バンカ部22内で付着した水が気化する程度に小さく、例えば10マイクロメートル以下である。本実施形態で、噴霧手段3は、霧状の液体を放出する噴霧口をコンベヤ装置2に向けて配置され、コンベヤ装置2に向けて液体を噴出する。なお、噴霧手段3は、噴霧口を上方の最適な角度に向けて配置され、液体をコンベヤ装置2の上方に噴出し、噴出された霧状の液体が粉塵を捕捉後に重力でコンベヤ装置2に落下するように構成してもよい。
【0043】
図2図5及び図6に示すように、噴霧手段3は、コンベヤ装置2の複数個所に対して霧状の液体を噴出するように配置される。具体的に、噴霧手段3は、乗継部23に対して霧状の液体を噴出する乗継噴霧手段31と、第二コンベヤ本体212に対して霧状の液体を噴出するコンベヤ噴霧手段32と、バンカ部22に対して霧状の液体を噴出するバンカ噴霧手段33と、を備える。本実施形態で、噴霧手段3は、固形バイオマス燃料の搬送開始時から搬送終了までの間に亘って霧状の液体を噴出し続けるように構成される。また、本実施形態で、噴霧手段3は、石炭の搬送時に霧状の液体を噴出しない(噴霧を停止する)ように構成される。さらに、本実施形態の噴霧手段3は、噴出された液体が直接搬送物にかからないように霧状の液体を噴出する。具体的に、本実施形態の噴霧手段3は、噴出された液体が噴霧手段3から搬送物までの間で気化するように霧状の液体を噴出する。即ち、噴霧手段3は、噴霧する環境に合わせて、水の粒径や、コンベヤとの距離などを調整されることで、噴出した霧状の液体が搬送物を濡らすことがないように構成されている。
【0044】
図5及び図6に示すように、乗継噴霧手段31は、乗継部23に対して霧状の液体を噴出する。具体的に、乗継噴霧手段31は、乗継投入部231の上方から乗継部23の内部に対して霧状の液体を噴出する。即ち、乗継噴霧手段31は、乗継部23を通る固形バイオマス燃料からの粉塵に対して霧状の液体を噴出する。また、乗継噴霧手段31は、乗継上部カバー部2Aの内部に設けられる。さらに、乗継噴霧手段31は、第一乗継部23A及び第二乗継部23Bのそれぞれに対して霧状の液体を噴出する様に構成される。さらに、乗継噴霧手段31は、乗継部23に搬送物を投入する第一コンベヤ本体211の下流側の端部に対しても霧状の液体を噴出する。具体的に、乗継噴霧手段31は、乗継部23及び第一コンベヤ本体211の上方に設けられ、乗継部23に対して霧状の液体を噴出しつつ、第一コンベヤ本体211の下流側の端部の上方から霧状の液体を噴出する。また、乗継噴霧手段31は、乗継部23及び第一コンベヤ本体211の上方から霧状の液体を、乗継部23から発生する固形バイオマス燃料の粉塵の流路(経路R1又は経路R2)に対向するように噴出する。
【0045】
図6及び図7に示すように、コンベヤ噴霧手段32は、第二コンベヤ本体212に対して霧状の液体を噴出する。また、コンベヤ噴霧手段32は、第二コンベヤ本体212のうち、少なくとも乗継部23周辺の位置と、下流側の端部と、に霧状の液体を噴出するよう配置される。具体的に、コンベヤ噴霧手段32は、乗継部23よりも上流側の位置に設けられる上流噴霧手段321と、乗継部23に隣接して下流側に設けられる下流噴霧手段322と、第二コンベヤ本体212の下流側の端部に設けられる端部噴霧手段323と、を備える。即ち、上流噴霧手段321と下流噴霧手段322は、乗継部23を挟んで設けられる。また、コンベヤ噴霧手段32は、霧状の液体を、乗継部23から発生する固形バイオマス燃料の粉塵の流路(経路R3から経路R6)に対向するように噴出する。
【0046】
また、上流噴霧手段321は、第一乗継部23Aの上流側(第二コンベヤ本体212の上流側の端部)に配置される第一上流噴霧手段321Aと、第一乗継部23Aの下流側かつ第二乗継部23Bの上流側に配置される第二上流噴霧手段321Bと、を備える。さらに、第二上流噴霧手段321Bは、第一乗継部23Aの下流側かつ第二乗継部23Bの上流側に霧状の液体を噴出するため、上流噴霧手段321と下流噴霧手段322を兼ねている。本実施形態で、上流噴霧手段321は、第二コンベヤ本体212の上流側の端部に設けられる。また、下流噴霧手段322は乗継部23から第二コンベヤ本体212に排出された固形バイオマス燃料に対して霧状の液体を噴出する。さらに、第一上流噴霧手段321A、第二上流噴霧手段321B及び下流噴霧手段322は、カバー(乗継下部カバー部2B)の内部に霧状の液体を噴出する。
【0047】
また、端部噴霧手段323は、第二コンベヤ本体212の下流側に端部に設けられるクリーナ2122よりも上方から、第二コンベヤ本体212の端部に対して霧状の液体を噴出する。即ち、端部噴霧手段323は、コンベヤ装置2の下流側の端部に対して霧状の液体を噴出する。また、端部噴霧手段323は、第二コンベヤ本体212の端部に霧状の液体を噴出しつつ、下流バンカ部4に対して霧状の液体を噴出する。具体的に、端部噴霧手段323は、端部カバー部412の内部に設けられ、第二コンベヤ本体212の下流側の端部に対して霧状の液体を噴出しつつ、端部連通部411に霧状の液体を噴出する。即ち、端部噴霧手段323は、端部投入口41の内部に霧状の液体を噴出する。
【0048】
図2乃至図4に示すように、バンカ噴霧手段33は、投入口222に対して霧状の液体を噴出する。また、バンカ噴霧手段33は、バイオマス用バンカ部22Bの投入口222、並びに、バイオマス用バンカ部22Bの上流側に隣接した石炭用バンカ部22Cの投入口222及び下流側に隣接した石炭用バンカ部22Cの投入口222の少なくとも一方の石炭用バンカ部22Cの投入口222に対して霧状の液体を噴出する。具体的に、バンカ噴霧手段33は、投入口222の上方に設けられ、投入口222に対して上方から霧状の液体を噴出する。さらに、バンカ噴霧手段33は、バイオマス用バンカ部22Bに固形バイオマス燃料が投入される際に、固形バイオマス燃料に対して霧状の液体を噴出する。また、バイオマス用バンカ部22Bの投入口222に噴霧するバンカ噴霧手段33は、バイオマス用カバー部22B1の内部に霧状の液体を噴出する。また、石炭用バンカ部22Cの投入口222に噴霧するバンカ噴霧手段33は、投入口カバー部22C1の外側から霧状の液体を噴出する。
【0049】
以上のような構成の搬送装置1が、固形バイオマス燃料を搬送する際の動きについて説明する。
【0050】
図1に示すように、第一コンベヤ本体211は、一時貯留部Sから乗継部23まで固形バイオマス燃料を搬送する(搬送経路H1)。第一コンベヤ本体211の下流側の端部まで搬送された固形バイオマス燃料は、乗継投入部231に投入される。
【0051】
図5に示すように、乗継投入部231に投入された固形バイオマス燃料は、重力に従って落下し、第二コンベヤ本体212に排出される(搬送経路H2)。具体的に、乗継投入部231に投入された固形バイオマス燃料は、乗継連結部233の内部を通り、第一乗継排出部2321及び第二乗継排出部2322のうち、乗継方向決定部2332によって決定された側(乗継方向決定部2332によって経路が塞がれていない側)に落下する。さらに、固形バイオマス燃料が乗継部23に投入され、第二コンベヤ本体212に排出される際には、乗継噴霧手段31によって、固形バイオマス燃料からの粉塵に最適な角度(粉塵の流路に対向する向き)で霧状の液体が噴出される。
【0052】
図2及び図6に示すように、乗継部23から排出された固形バイオマス燃料は、第二コンベヤ本体212によって、下流側に搬送される(搬送経路H3)。下流側に搬送される際に、下流噴霧手段322によって固形バイオマス燃料に霧状の液体が噴出される。
【0053】
図6に示すように、第二コンベヤ本体212に排出された固形バイオマス燃料は、落下の衝撃などにより、一部が粉化し巻き上がる。具体的に、粉塵は、上方に巻き上がり、乗継部23を通って飛散しようとする(経路R1・R2)。さらに、粉塵は、水平方向に広がり、搬送方向上流側に流れて飛散しようとしたり(経路R3・R4)下流側に流れて飛散しようとしたりする(経路R5・R6)。このような粉塵は、噴霧手段3、並びに、乗継上部カバー部2A及び乗継下部カバー部2Bによって飛散が制限される。具体的に、乗継部23を通って飛散しようとする粉塵(経路R1・R2)は、乗継噴霧手段31によって、上方から霧状の液体を噴出されるので、飛散が抑制される。水平方向に広がり、搬送方向上流側に流れて飛散しようとする粉塵(経路R3・R4)は、上流噴霧手段321によって液体を噴出されるので、飛散が制限される。下流側に流れて飛散しようとする粉塵(経路R5・R6)は、下流噴霧手段322によって霧状の液体を噴出されるので、飛散が制限される。さらに、乗継噴霧手段31、並びに、第二上流噴霧手段321B及び下流噴霧手段322は、乗継上部カバー部2A及び乗継下部カバー部2Bによって覆われた空間内に対して霧状の液体を噴出するので、液体や粉塵の広がりを抑制でき、確実に粉塵の飛散を抑制できる。このように、噴霧手段3は、粉塵に対して霧状の液体を噴出して、液体で粉塵を補足し、沈降させることで粉塵の飛散を抑制できる。
【0054】
図2及び図3に示すように、第二コンベヤ本体212によってバイオマス用バンカ部22Bの上方まで搬送された固形バイオマス燃料は、掻き板2121によって投入口222にガイドされ、第二コンベヤ本体212から投入口222に投入される(搬送経路H4)。具体的に、第二コンベヤ本体212が固形バイオマス燃料をバイオマス用バンカ部22Bに搬送する際には、バイオマス用バンカ部22Bの投入口222に対応した掻き板2121が第二コンベヤ本体212に接近して、第二コンベヤ本体212の上面に当接する。掻き板2121が第二コンベヤ本体212に当接する位置まで搬送された固形バイオマス燃料は、第二コンベヤ本体212に下流側に搬送されることで、掻き板2121に沿って第二コンベヤ本体212の幅方向の端部に移動し、第二コンベヤ本体212から落下して、投入口222に投入される。固形バイオマス燃料が投入口222に投入される際には、バンカ噴霧手段33によって、固形バイオマス燃料からの粉塵に霧状の液体が噴出される。このように、噴霧手段3は、粉塵に対して霧状の液体を噴出して、液体で粉塵を補足し、沈降させることで粉塵の飛散を抑制できる。
【0055】
図4に示すように、投入口222に固形バイオマス燃料が投入された際には、落下の衝撃などにより、固形バイオマス燃料の一部が粉化して巻き上がる。この時、巻き上がる粉塵は、固形バイオマス燃料が投入された投入口222に流れ、投入口222から飛散しようとする(経路R7)。また、粉塵は、固形バイオマス燃料が投入されたバンカ部22に隣接する石炭用バンカ部22Cの投入口222に流れる。具体的に、粉塵は、バンカ部本体221と床Fの間に形成される空間F1を通って、隣接する石炭用バンカ部22Cに流れる。本実施形態では、空間F1に搬送方向上流側から下流側への気流がある場合について説明する。複数のバンカ部本体221の上方に設けられた空間F1には、気流があるので、粉塵は、複数のバンカ部本体221の上方を気流に沿って流れ、固形バイオマス燃料が投入されたバイオマス用バンカ部22Bから下流側の石炭用バンカ部22Cに流れ、下流側の投入口222から飛散しようとする(経路R8)。このような粉塵は、バンカ噴霧手段33、並びに、バイオマス用カバー部22B1及び投入口カバー部22C1によって飛散が制限される。
【0056】
具体的に、固形バイオマス燃料が投入された投入口222に流れ、投入口222から飛散しようとする粉塵(経路R7)は、バンカ噴霧手段33によって霧状の液体が噴出されるので、飛散が制限される。また、下流側の石炭用バンカ部22Cに流れ、下流側の投入口222から飛散しようとする粉塵(経路R8)は、バンカ噴霧手段33によって霧状の液体が噴出されるので、飛散が制限される。即ち、空間F1を流れる気流の方向で、バイオマス用バンカ部22Bの下流側に位置する石炭用バンカ部22Cの投入口222から飛散しようとする粉塵(経路R8)は、バンカ噴霧手段33によって霧状の液体が噴出されるので、飛散が制限される。さらに、バイオマス用バンカ部22Bの投入口222に噴霧するバンカ噴霧手段33は、バイオマス用カバー部22B1の内部の覆われた空間内に対して霧状の液体を噴出するため、霧状の液体や粉塵の広がりを抑制でき、確実に粉塵の飛散を抑制できる。また、石炭用バンカ部22Cの投入口222には投入口カバー部22C1が設けられるので、霧状の液体の噴出と相まって、効果的に粉塵の飛散を抑制できる。このように、噴霧手段3は、粉塵に対して霧状の液体を噴出して、液体で粉塵を補足し、沈降させることで粉塵の飛散を抑制できる。
【0057】
図7に示すように、第二コンベヤ本体212の表面には、固形バイオマス燃料が付着している場合があり、表面に付着した固形バイオマス燃料が、下流側の端部から飛散しようとする場合がある。具体的に、掻き板2121に当接した衝撃などで粉化した固形バイオマス燃料が、掻き板2121をすり抜けて下流側に搬送される場合がある。このような固形バイオマス燃料は、例えば、慣性で第二コンベヤ本体212から離れて粉塵として飛散しようとしたり(経路R9)、他のコンベヤの下流側の端部に設けられるクリーナ2122に当たった衝撃で粉塵として飛散しようとしたりする(経路R10)。このような粉塵は、端部噴霧手段323によって、飛散が制限される。具体的に、端部噴霧手段323が、他のコンベヤの下流側の端部に霧状の液体を噴出するので、第二コンベヤ本体212の端部から離れて飛散しようとする粉塵(経路R9・R10)の飛散が制限される。また、端部噴霧手段323は、第二コンベヤ本体212の下流側に端部の上方を覆う端部投入口41の内部に噴霧するので、霧状の液体や粉塵の広がりを抑制でき、確実に粉塵の飛散を抑制できる。このように、噴霧手段3は、粉塵に対して霧状の液体を噴出して、液体で粉塵を補足し、沈降させることで粉塵の飛散を抑制できる。
【0058】
以上のような構成の搬送装置1によれば、石炭及び固形バイオマス燃料を搬送するコンベヤ装置2において、固形バイオマス燃料の搬送時に、該コンベヤ装置2で搬送される固形バイオマス燃料に対して霧状の液体を噴出するので、固形バイオマス燃料の搬送時に発生する粉塵の飛散を抑制することができる。
【0059】
また、噴霧手段3は、乗継部23で落下する搬送物に対して霧状の液体を噴出するので、第一コンベヤ本体211から第二コンベヤ本体212に乗継部23を介して固形バイオマス燃料を乗り継がせる際に生じる粉塵の飛散を抑制することができる。
【0060】
さらに、前記投入口222からバイオマス用バンカ部22Bに投入される固形バイオマス燃料に対して霧状の液体が噴出されるので、コンベヤ本体21で搬送された固形バイオマス燃料をバンカ部22に投入する際に生じる粉塵の飛散を抑制することができる。
【0061】
また、バイオマス用バンカ部22Bに隣り合う石炭用バンカ部22Cの投入口222に霧状の液体が噴出されるので、固形バイオマス燃料をバイオマス用バンカ部22Bに投入する際に生じる粉塵が、隣り合う石炭用バンカ部22Cの投入口222から飛散することを抑制することができる。
【0062】
さらに、噴霧手段3は、最下流位置のバンカ部22の投入口222に霧状の液体を噴出するので、最下流位置のバンカ部22の投入口222から粉塵が飛散することを抑制できる。
【0063】
また、噴霧手段3は、第二コンベヤ本体212の乗継部23よりも搬送方向上流側の位置及び搬送方向下流側の位置の両方において霧状の液体を噴出するので、乗継部23にて第一コンベヤ本体211から第二コンベヤ本体212に固形バイオマス燃料が乗り継いだときに生じた粉塵が第二コンベヤ本体212の搬送方向上流側又は下流側に流れた場合でも粉塵の飛散を抑制できる。
【0064】
さらに、噴霧手段3は、コンベヤ本体21の下流側の端部に霧状の液体を噴出するので、コンベヤ本体21の表面に付着した固形バイオマス燃料がコンベヤ本体21の下流側の端部から粉塵として飛散することを防止できる。
【0065】
また、液体が搬送物上に落下する前に気化するので、液体で搬送物が濡れることを抑制しつつ、発生した粉塵を液体で捕捉して沈降させることができるため、粉塵の飛散を抑制しつつ搬送物の濡れを抑制できる。
【0066】
さらに、少なくとも乗継部23の上方を覆う乗継上部カバー部2Aを備え、噴霧手段3は、乗継上部カバー部2Aの内部に霧状の液体を噴出するので、噴霧手段3は、乗継上部カバー部2Aによって覆われた空間内に対して霧状の液体を噴出するため、霧状の液体や粉塵の広がりを抑制でき、確実に粉塵の飛散を抑制できる。
【0067】
また、コンベヤ本体21の下流側の端部には、コンベヤ本体21の表面に当接して、コンベヤ本体21の表面に付着した付着物を掻き落とすクリーナ2122が設けられており、噴霧手段3は、クリーナ2122の上方からクリーナ2122とコンベヤ本体21との当接部分に対して液体を噴出するので、コンベヤ本体21の表面に固形バイオマス燃料が付着していた場合に、クリーナ2122によって掻き落とされた固形バイオマス燃料が粉塵として飛散することを防止できる。
【0068】
さらに、粉塵を吸引可能な吸引装置を備え、コンベヤ本体21が石炭を搬送している際には吸引装置で、石炭に起因する粉塵を吸引して飛散を抑制し、コンベヤ本体21が固形バイオマス燃料を搬送している際には、噴霧手段3が液体を噴出して固形バイオマス燃料に起因する粉塵の飛散を抑制するよう構成される。よって、石炭搬送時に発生する粉塵は吸引装置で吸引されるため、石炭搬送時に噴霧手段3を使用する必要がない。
【0069】
また、バイオマス用バンカ部22Bは、少なくともバイオマス用バンカ部22Bの投入口222を覆うバイオマス用カバー部22B1を備え、噴霧手段3は、バイオマス用カバー部22B1の内部に対して霧状の液体を噴出するので、噴霧手段3は、バイオマス用カバー部22B1によって覆われた空間内に対して霧状の液体を噴出するため、霧状の液体が広範囲に広がって噴出されることを抑制でき、確実に粉塵の飛散を抑制できる。
【0070】
さらに、噴霧手段3は、水を噴出するので、薬剤を噴出する場合に比べて、固形バイオマス燃料を燃焼させる際に、有害なガスが発生するなどの悪影響が生じない。また、噴出した水はすぐに(噴霧手段3から噴霧されてから搬送物に到達するまでに)気化するため、バイオマス燃料を石炭と混焼した際に、薬剤を噴出する場合のようにボイラ設備への影響や燃焼性を評価する必要がない。
【0071】
以上、本発明の実施形態について一例を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0072】
例えば、コンベヤ本体21がベルトコンベヤである場合について説明したが、このような場合に限らず、コンベヤ本体21は、チェーンコンベヤ、スクリューコンベヤ、振動コンベヤなどの石炭及び固形バイオマス燃料を搬送可能な種々のコンベヤとしてもよいし、これらの組み合わせであってもよい。また、コンベヤ本体21は水平方向に搬送するコンベヤであるとして説明したが、水平方向及び上下方向に搬送する傾斜コンベアであってもよい。
【0073】
また、固形バイオマス燃料と石炭はそれぞれ別々のバンカ部22に投入される場合について説明したが、同じバンカ部22に投入されるよう構成してもよい。
【0074】
さらに、バンカ部22が複数設けられる場合について説明したが、バンカ部22は1つだけ設けられるように構成してもよい。このような場合には、石炭と固形バイオマス燃料は同じバンカ部22に投入される。
【0075】
また、下流バンカ部4は、石炭用バンカ部22Cであるとして説明したが、下流バンカ部4はバイオマス用バンカ部22Bであってもよい。
【0076】
さらに、複数の中途バンカ部5のうち一の中途バンカ部5がバイオマス用バンカ部22Bである場合について説明したが、このような構成に限らず、中途バンカ部5のうち、複数がバイオマス用バンカ部22Bであってもよい。
【0077】
また、コンベヤ装置2は乗継部23を備える場合について説明したが、乗継部23を備えない構成としてもよい。このような場合には、第一コンベヤ本体211と第二コンベヤ本体212とが段違いに配置され、第一コンベヤ本体211から落下した搬送物を第二コンベヤ本体212が直接受け止めるように構成される。
【0078】
さらに、乗継部23は、投入された搬送物を2基の第二コンベヤ本体212のうちのどちら乗り継がせるか選択可能である場合ついて説明したが、この構成に限らず、片方の第二コンベヤ本体212にのみ乗り継がせることができる構成としてもよい。
【0079】
また、バイオマス用バンカ部22Bは、バイオマス用カバー部22B1を備える場合について説明したが、バイオマス用カバー部22B1を備えずに、投入口222が開放されているよう構成してもよい。
【0080】
さらに、バイオマス用バンカ部22Bに下流側で隣接する石炭用バンカ部22Cの投入口222に、投入口カバー部22C1が設けられる場合について説明したが、この構成に限らず、バイオマス用バンカ部22Bに上流側で隣接する石炭用バンカ部22Cに投入口カバー部22C1を設けてもよいし、投入口カバー部22C1を設けなくてもよい。
【0081】
また、第二コンベヤ本体212の下流側の端部には、表面の付着物を掻き落とすクリーナ2122が設けられる場合について説明したが、クリーナ2122を備えない構成としてもよい。
【0082】
さらに、噴霧手段3の配置は、実施形態で挙げた配置に限定されない。例えば、全ての投入口222に対して霧状の液体を噴出するよう配置してもよいし、コンベヤ全体に亘って霧状の液体を噴出するように配置してもよい。また、噴霧手段3は実施形態で挙げた配置よりも少ない数だけ配置されることとしてもよい。例えば、乗継部23の上流側又は下流側のいずれか一方にのみ噴霧手段3を配置する構成としてもよい。
【0083】
また、噴霧手段3は、固形バイオマス燃料を搬送する際に霧状の液体を噴出する場合について説明したが、例えば石炭等の固形バイオマス燃料以外の物を搬送する際にも霧状の液体を噴出するよう構成してもよい。
【0084】
さらに、噴霧手段3は、固形バイオマス燃料の搬送開始時から終了時まで霧状の液体を噴出するとして説明したが、例えば、固形バイオマス燃料が噴霧手段3の近傍を通過する際に噴出するよう構成してもよい。また、空気中の粉塵の濃度を計測し、粉塵の濃度に応じて噴出する霧状の液体の量を調整するよう構成してもよい。
【0085】
また、噴霧手段3は、コンベヤ装置2に対して霧状の液体を噴出するとして説明したが、コンベヤ装置2に向かって霧状の液体を噴射する場合に限らず、例えば上に向かって霧状の液体を噴出し、コンベヤ装置2が設けられる空間に霧状の液体を噴出する様に構成してもよい。
【0086】
さらに、噴霧手段3は、搬送物が濡れないように霧状の液体を噴出する(液体が搬送物に到達する前に気化するように液体を噴出する)場合について説明したが、このような構成に限らず、液体で搬送物を搬送中に乾燥する程度に濡らすよう構成してもよい。このような構成の場合、搬送物が濡れるので、搬送物からの発塵を抑制できるため、粉塵の飛散が抑制される。
【0087】
また、コンベヤ装置2は、石炭と固形バイオマス燃料とを別々に搬送する場合について説明したが、同時に搬送することもできる。
【符号の説明】
【0088】
1…搬送装置、2…コンベヤ装置、2A…乗継上部カバー部、2B…乗継下部カバー部、21…コンベヤ本体、211…第一コンベヤ本体、212…第二コンベヤ本体、2121…掻き板、2122…クリーナ、22…バンカ部、22B…バイオマス用バンカ部、22B1…バイオマス用カバー部、22C…石炭用バンカ部、22C1…投入口カバー部、221…バンカ部本体、222…投入口、23…乗継部、23A…第一乗継部、23B…第二乗継部、23a…乗継投入口、231…乗継投入部、232…乗継排出部、2321…第一乗継排出部、2322…第二乗継排出部、233…乗継連結部、2331…連結本体部、2332…乗継方向決定部、3…噴霧手段、31…乗継噴霧手段、32…コンベヤ噴霧手段、321…上流噴霧手段、322…下流噴霧手段、323…端部噴霧手段、33…バンカ噴霧手段、F…床、F1…空間、H1~H4…搬送経路、R1~R10…経路、S…一時貯留部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7