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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-23
(45)【発行日】2024-10-31
(54)【発明の名称】溝形鋼用振れ止め金具
(51)【国際特許分類】
   F16B 7/18 20060101AFI20241024BHJP
   E04B 9/18 20060101ALI20241024BHJP
   F16B 1/00 20060101ALI20241024BHJP
   F16B 9/02 20060101ALI20241024BHJP
   H02G 3/04 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
F16B7/18 D
E04B9/18 F
F16B1/00 A
F16B7/18 C
F16B9/02 J
H02G3/04 056
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021160083
(22)【出願日】2021-08-26
(65)【公開番号】P2023033046
(43)【公開日】2023-03-09
【審査請求日】2024-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000157197
【氏名又は名称】丸井産業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】浅居 貴志
(72)【発明者】
【氏名】松島 光秀
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-312164(JP,A)
【文献】特開2015-215012(JP,A)
【文献】特開2018-028355(JP,A)
【文献】米国特許第06837009(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 7/18
F16B 9/02
F16B 1/00
H02G 3/04
E04B 9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項2】
前記連結材の内周面に、中心に向う複数の突出片を設けたことを特徴とする請求項1に記載の溝形鋼用振れ止め金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井スラブ下にケーブルラックや電線管等の長尺材を配設する際、天井スラブから懸垂する吊りボルトに支持され、それら長尺材を適宜間隔で載置、固定する溝形鋼に地震等による振れを抑制するための振れ止めボルトを取り付けるための溝形鋼用振れ止め金具に関する。
【0002】
従来、天井スラブから懸垂される吊りボルトに支持される溝形鋼に振れ止めボルトを取り付ける場合、連結金具を別途用意する必要があり、その手順は以下の通りである。
まず、吊りボルトBに締付けナットDと、透孔を挿通して取り付けた装着カバー60を配した状態で、前記吊りボルトの下端に溝形鋼Aの開口両片に係止する係止ナットを螺着させ、その係止ナットを介して溝形鋼を吊りボルトに取り付け、上方に向く溝形鋼の開口面に前記装着カバー60を装着し、前記締付けナットDを締付けて固定する。
又は、吊りボルトBに締付けナットDと、透孔を挿通して取り付けた装着カバー60を配した状態で、両側に透孔を設けた溝形鋼をそれら透孔に吊りボルトを挿通させ、下側から受けナットを螺着して吊りボルトに取り付け、上方に向く溝形鋼Aの開口面に前記装着カバーを装着し、前記締付けナットDを締付けて固定する。
次に、前記吊りボルトBに、その吊りボルトに対して斜めに配設される振れ止めボルトCを取り付けるための連結金具70を取り付けると共に、その連結金具70に振れ止めボルトCを取り付けて連結していた。(図8参照)
【0003】
前記連結金具に関するものとして、これまで種々のものが開示されており、例えば、特許文献1には、溝形鋼に固定した吊りボルトに一対の固定板を両側から挟んで重合し、ナットを締付けて固定した後、重合部から外側に屈曲する一方の固定板の先端に設けた透孔に、前記振れ止めボルトを挿通した状態で両側からナットを締付けるものが開示されている。
また、特許文献2には基板とその基板に取り付けられ、吊りボルト及び複数本の振れ止めボルトを締付けボルトの締め付けにより挟持した状態で固定できる挟持部を設けた形態のものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実公平04-048087号公報
【文献】特開2017-145897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の連結金具では、いずれも、吊りボルトに溝形鋼を取り付けた後に連結金具を取り付ける作業を行っており、すなわち、吊りボルトに溝形鋼を取り付ける工程と、吊りボルトに連結金具を取り付ける工程、更に連結金具に振れ止めボルトを取り付ける工程の3つの作業工程を行うことが必要となるため、作業工程が多くなり、省力化の妨げとなる。
また、連結金具自体の構成が複雑になるため、取り付ける手間が掛かるなどの問題があった。
【0006】
本発明は上記従来の課題に鑑みなされたもので、吊りボルトに溝形鋼を取り付ける際に、振れ止めボルトを取り付ける連結金具を同時に取り付けることができ、また、吊りボルトに仮止め可能とすることで、溝形鋼の取り付けも容易にできる溝形鋼用振れ止め金具を提供することを目的とする。
【0007】
その手段として、本発明の請求項1は、天井スラブから懸垂する吊りボルトに取り付けて、長尺材を載置、固定する溝形鋼に吊りボルトに対して斜めに配設される振れ止めボルトを取り付けるための溝形鋼用振れ止め金具であって、前記溝形鋼の開口側に装着する装着部材と、該装着部材と基部を重合させ、先端に前記振れ止めボルトが接続する接続部を設けた斜め支持材とを備え、前記装着部材と前記斜め支持材の基部との重合部に前記吊りボルトが挿通する挿通孔を連設すると共に、双方が回動自在に連結するように前記挿通孔に嵌着するリング状の連結材を設けたことを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項2は、前記連結材の内周面に、中心に向う複数の突出片を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、溝形鋼の開口側に装着する装着部材に振れ止めボルトを取り付ける斜め支持材がリング状の連結材で連結して一体化されているので、吊りボルトに溝形鋼を取り付ける工程において、連結金具となる斜め支持材が吊りボルトに取り付けられる。
すなわち、吊りボルトに溝形鋼を取り付ける工程と、連結金具となる斜め支持材に振れ止めボルトを取り付ける工程の2つの作業工程となるため、作業工程の省力化により、作業効率の向上を図ることができる。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、連結材の内周面に設けた突出片が吊りボルトのねじ山に係止して仮止めすることで、一旦、手を離すことができるので、溝形鋼の取付けが容易になり、作業効率を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態の(a)正面から見た斜視図、(b)背面から見た斜視図である。
図2図1の溝形鋼用振れ止め金具の分解説明図である。
図3図1の溝形鋼用振れ止め金具の中央断面図である。
図4】本発明の斜め支持材の他の実施形態を示す斜視図である。
図5図1の溝形鋼用振れ止め金具の取付け手順を示す説明図である。
図6図1の溝形鋼用振れ止め金具の使用状態を示す斜視図である。
図7】本発明の斜め支持材を2体使用時の場合を示す斜視図である。
図8】従来例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の溝形鋼用振れ止め金具の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明の溝形鋼用振れ止め金具は、図1乃至図4に示すように、装着部材10と斜め支持材20と、双方が回動自在に連結できる連結材30とにより構成されている。
装着部材10は、溝形鋼Aの開口短辺側に外嵌するように略コの字形状の薄鋼板からなり、中央に吊りボルトBが挿通する第1透孔11を形成する。
斜め支持材20は、前記装着部材の第1透孔11と同径の第2透孔21を形成した基部22と、先端に振れ止めボルトCを接続する接続部23とを、吊りボルトBに対して斜め方向に延伸するように屈曲する連結片24を介して、薄帯鋼により一体的に形成する。
接続部23には振れ止めボルトCの外径よりやや大きい幅となる切り欠き部25を形成し、その切り欠き部25に、一対の締付けナットDを螺着した振れ止めボルトCを、それら締付けナットDの間から前記切り欠き部25に挿嵌させ、一対の締付けナットDを両側から締付けることで、振れ止めボルトCを接続することができる。
また、切り欠き部25の開口側には切起部26を形成して、前記締付けナットDが当接して振れ止めボルトCの抜け出しを防止している。
【0013】
また、斜め支持材の別の実施形態として、図4に示すように、斜め支持材40に設けた切り欠き部41に振れ止めボルトCを挿嵌し、振れ止めボルトCと直交する方向から締付けボルト42で押圧することで固定する形態(a)とし、あるいは、斜め支持材50と、振れ止めボルトCの外周に係合する切り欠き部52を設けた挟持部材51と、締付ボルト53と、締付ボルト53に外装したコイルバネ54とを備え、コイルバネ54が挟持部材51を、振れ止めボルトCを押圧する方向へ付勢することで振れ止めボルトCの仮止めができ、締付ボルト53を締付けて一体的に固定する形態(b)としてもよく、(a)(b)共に、一対の締付けナットDを使用することなく、締付けボルト42、53の締付けのみで振れ止めボルトCを固定することができるので、作業の簡素化、効率化を図ることができ、更に、(b)は、締付けボルト53を軸にして挟持部材51が回転可能とすることで、振れ止めボルトCの角度調整が容易に行えるので一層の作業効率化を図ることができる
なお、本発明に係る斜め支持材の上記実施形態の構成は特に限定するものではなく、振れ止めボルトを固定できる構成であればよい。
【0014】
連結材30は、リング状の本体31の一方に、前記斜め支持材20の第2透孔の内径より大径となるフランジ部32を全周に形成し、他方には周縁に沿って本体31より外方に突出する係止爪33を合成樹脂により一体的に形成する。
前記装着部材10の上面に前記斜め支持材20の基部22を重合させ、それぞれの第1透孔11と第2透孔21が連通して吊りボルトBの挿通孔35を形成した状態で、その挿通孔35の内側に沿って前記連結材30を圧入し、前記フランジ部32が斜め支持材20の第2透孔21の周縁に当接すると共に、前記係止爪33が装着部材10の第1透孔11の裏面側周縁に係止することで、装着部材10と斜め支持材20とが回動自在に連結される。
連結材30のリング状の本体31の内周面に、軸中心に向う複数の突出片34を形成することで、吊りボルトBを挿通させる際、吊りボルトBのネジ山に係止して仮止めすることができる。
【0015】
このように構成した溝形鋼用振れ止め金具の使用態様を、図5を用いて取付け手順に沿って説明する。
(a)溝形鋼Aの両端に配置されるように天井スラブから懸垂した一対の吊りボルトBに夫々のボルト下端から締付けナットDを螺着し、本発明の溝形鋼用振れ止め金具の挿通孔35を挿通させて所望の高さに取り付けるが、連結材30の内周面の突出片34が吊りボルトBのネジ山に係止することで仮止状態となり、一旦手を離すことができる。
(b)両側に底面に透孔A1を形成した溝形鋼Aを、それら透孔A1に吊りボルトBを挿通させる。
(c)下側から受けナットEを螺着して吊りボルトに取り付け、上方に向く溝形鋼の開口面に装着部材10を移動して装着し、前記締付けナットDを締付けて固定する。
(d)斜め支持材20の接続部23に形成した切り欠き部25に、一対の締付けナットDを螺着した振れ止めボルトCを、それら締付けナットDの間から切起部26を乗り越えて前記切り欠き部25に挿嵌させ、両側の締付けナットDで固定することで、振れ止めボルトCを接続することができる。
図6は、上記の手順で天井スラブから懸垂した吊りボルトと、振れ止めボルトを取り付けた溝形鋼AにケーブルラックFを載置し、固定金具Gで固定された状態である。
【0016】
なお、ここでは斜め支持材20を1体によりケーブルラックFの長手方向対して直交方向への振れを抑制する場合を説明したが、図7に示すように、この斜め支持材20を前記装着部材に2体重ねとし、溝形鋼Aに載置するケーブルラックFの長手方向に沿って前後2方向の振れ止めボルトと接続することで、長手方向の振れを抑制することができる。
更に、斜め支持材20を3体重ねとし、前記2方向と直交方向を加えた3方向の振れを抑制することもできる。(図示省略)
【符号の説明】
【0017】
10 装着部材
11 第1透孔
20 斜め支持材
21 第2透孔
22 基部
23 接続部
24 連結部
25 切り欠き部
26 切起部
30 連結部材
31 本体
32 フランジ部
33 係止爪
34 突出片
35 挿通孔
40 斜め支持材
41 切り欠き部
42 締付けボルト
50 斜め支持材
51 挟持部材
52 切り欠き部
53 締付けボルト
54 コイルバネ
60 装着カバー
70 連結金具
A 溝形鋼
A1 透孔
B 吊りボルト
C 振れ止めボルト
D 締付けナット
E 受けナット
F ケーブルラック
G 固定金具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8