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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-23
(45)【発行日】2024-10-31
(54)【発明の名称】曲げ制限器
(51)【国際特許分類】
   F16G 13/16 20060101AFI20241024BHJP
   F16C 11/04 20060101ALI20241024BHJP
   F16L 57/00 20060101ALI20241024BHJP
   H02G 15/08 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
F16G13/16
F16C11/04 V
F16L57/00 A
H02G15/08
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021531630
(86)(22)【出願日】2019-01-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-25
(86)【国際出願番号】 EP2019052259
(87)【国際公開番号】W WO2020156661
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-06-02
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】521037097
【氏名又は名称】エイチエムエヌ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フロスト, ピーター
(72)【発明者】
【氏名】マフティ, イオン
【合議体】
【審判長】中屋 裕一郎
【審判官】尾崎 和寛
【審判官】平城 俊雅
(56)【参考文献】
【文献】仏国特許出願公開第2599113(FR,A1)
【文献】中国実用新案第206789840(CN,U)
【文献】実開昭53-137692(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16G 13/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列に配置された複数のカラー(7、8、9)と、複数のカプラー(10、11)と、を備える曲げ制限器(6)であって、
各カラーは、直列の他の2つのカラーに隣接し、互いに隣接するカラーは、その間に位置するカプラーを介して連結され、
各カラーは、その両端にそれぞれ回転ジョイントを有し、一方の回転ジョイントは、第1軸(20)を有し、他方の回転ジョイントは、前記第1軸(20)とは平行でない第2軸(21)を有し、
各カラーは、一方の回転ジョイントを介して当該カラーの一端側のカプラーに接続され、他方の回転ジョイントを介して当該カラーの他端側のカプラーに接続され、
前記曲げ制限器(6)は、前記曲げ制限器(6)を通る導管の曲げに適応するとともに、各回転ジョイントの第1軸(20)又は第2軸(21)を中心として回転するときに、互いに隣接するカラーの当接によって前記曲げを制限するように構成され、
各カラーは、その両端面に軸受面を有し、互いに隣接するカラーが各自の回転ジョイントの第1軸(20)又は第2軸(21)を中心として回転して当該互いに隣接するカラーの軸受面同士が当接すると、当該互いに隣接するカラーは最大傾斜角となり、
前記軸受面の形状は、互いに隣接するカラー間の傾斜方向にかかわらず、前記互いに隣接するカラーの軸受面同士が当接してこの互いに隣接するカラーが最大傾斜角となったときに前記カラーの軸受面同士が線形又は2次元の接触面で当接するように設計される、
ことを特徴とする曲げ制限器。
【請求項2】
各カラーの両端側に接続されたカプラー同士は、前記曲げ制限器の長手方向に沿ってオフセットし、各カラーは、前記カプラー同士の間で前記長手方向に沿って延在している、
ことを特徴とする請求項1に記載の曲げ制限器。
【請求項3】
単一のカラーにおける前記第1軸(20)と前記第2軸とは、前記曲げ制限器の前記長手方向に沿ってオフセットし、各カラーは、自身の回転ジョイントを介して当該カラーの両側に位置するカプラーに接続される、
ことを特徴とする請求項2に記載の曲げ制限器。
【請求項4】
各カプラーは、自身の回転ジョイントを介して当該カプラーの両側に位置するカラーに
接続され、互いに隣接する両カラーにおいて、一方のカラーの回転ジョイントの第1軸(20)と他方のカラーの回転ジョイントの第2軸(21)とは、前記曲げ制限器の前記長手方向に垂直な共通の平面内にある、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の曲げ制限器。
【請求項5】
各カラーは、前記曲げ制限器の長手方向に沿って反対方向を向いている2つの軸受面を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の曲げ制限器。
【請求項6】
前記軸受表面の形状は、前記曲げ制限器の最大曲げ角度を70度未満に制御するように設計される、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の曲げ制限器。
【請求項7】
前記軸受表面の形状は、互いに隣接するカラー間の最大傾斜角度が20度未満となるように設計される、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の曲げ制限器。
【請求項8】
前記カラー及び/又は前記カプラーは、環状でありかつ前記導管を通すための通路が画定されている、
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の曲げ制限器。
【請求項9】
各カラーは、それぞれ前記第1軸及び前記第2軸と平行に延在するコネクタピンを介して各々に対応するカプラーに取り付けられる、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の曲げ制限器。
【請求項10】
前記曲げ制限器は、回転ジョイントを有する2つの端部(15、16)をさらに有し、各端部は、それぞれ前記曲げ制限器の対応する第1端部と第2端部においてカラーに隣接し、且つ自身の回転ジョイントを介して当該端部とそれに隣接するカラーとの間に位置するカプラーに接続されている、
ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の曲げ制限器。
【請求項11】
前記カラー及び前記カプラーは、前記端部間に印加される引張荷重に耐えるように構成される、
ことを特徴とする請求項10に記載の曲げ制限器。
【請求項12】
前記カラー及び/又は前記カプラーは、剛性のものである、
ことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の曲げ制限器。
【請求項13】
各カラーの両側に位置する両カプラーは、それぞれ前記曲げ制限器の長手方向軸を中心として当該カラーとそれに隣接するカラーとによって形成された内部空間に収納される、
ことを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の曲げ制限器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばケーブルと海底電気通信設備との間のフレキシブル機械的カプリングとして機能するように、曲げ制限器を通る導管の曲げを制限するための曲げ制限器に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的な海底湿式設備(例えば、海底中継器)とそれらの接続ケーブルとの間の接合部には、2つの部品間のヒンジ接続を可能にする機械的接続がある。この接続は、敷設及び回収作業において引張荷重に耐える必要がある。その条件は、部品がケーブル敷設船の滑車の上方を通過するときに、引張荷重と曲げ荷重との両方が組み合わせされて、複雑な方式で部品に応力が印加されるように、特に厳しくなる。
【0003】
ケーブルと湿式設備との間のフレキシブル的な機械的カプリング(曲げ制限器と呼ばれる)は、重装ケーブル(heavy armoured cable)のケーブル破断荷重の超過に耐える必要があるので、曲げ制限器は高強度の材料で製造され、通常、多くの場合には金属で製造される。
【0004】
図1は、ケーブル3とケーブル13とが接続された海底中継器1の例を示す。金属製の曲げ制限器2は、中継器1とケーブル3との間の接合部に配置される。図2(a)及び図2(b)に示すように、曲げ制限器は、一連の外側ヨーク又はカラー4と内側リング5とから形成され、これらは、接合部に適応しながら接合部での曲げが制限されるように、互いに相手に対して回転することができる。
【0005】
近年、敷設された大洋横断システムにおいて、湿式設備間を接続するためのケーブルの総数のうち、約20%のみが「鎧装」(armoured)構造であり、残りの80%は「軽量」である。電気通信水中設備のメーカーは、通常、図1図2に示される設計のような「1つのサイズが全てに適合する(one size fits all)」高強度の曲げ制限器設計を使用して、異なるタイプのケーブルを湿式設備に接続する。この状況は、様々な原因によることであり、主に、例えば最小内径の制限、最小長さの制限、及び固定最大曲げ角度の制限などの互換性の要件及びサイズの制限に関する。異なる接合部及び補助素子は、ケーブルタイプごとの異なる用件を満たす必要があるので、異なるケーブル強度に対して2種類(又はそれ以上の種類)の異なる設計を使用することは、潜在的な欠点がある。
【0006】
しかしながら、深海での敷設の場合、通常、鎧装ケーブルの荷重に耐えることができる曲げ制限器の使用は不要である。多くの敷設されているケーブルに対しては、高強度かつ一般的に高コストの曲げ制限器が過大なサイズとなる。このようなカプリングが水中設備の全重量の非常に大きな割合を占めると、この方式は敷設の深さを制限してしまう。
【0007】
より軽量でかつより強度の低い曲げ制限器を使用して「軽量」ケーブルを湿式設備に接続することにより、重量と製造コストを著しく省くことができる。比較的軽い部品に対する要件は、次世代海底設備の設計においてますます重要になってきている。より高い光ファイバー数及びより大きな容量に対する需要が続いているため、敷設と修復(recovery)の深さに悪影響を及ぼす体積と重量が急激に増加する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
必要な荷重及び曲げ角度に耐えることができるとともに、適用されるケーブル重量要件に応じて異なる材料で製造するのにも適することもできる曲げ制限器の開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1態様によれば、直列に配置された複数のカラーと、複数のカプラーと、を備える曲げ制限器を提供し、前記曲げ制限器は、各カラーは、直列の他の2つのカラーに隣接し、カプラーのうちの第1カプラーを介してカラーのうちの第1カラーに連結されるとともに、カプラーのうちの第2カプラーを介してカラーのうちの第2カラーに連結され、各カラーは、第1軸を有する回転ジョイントを介してカプラーのうちの第1カプラーに接続され、前記第1軸とは平行でない第2軸を有する回転ジョイントを介してカプラーのうちの第2カプラーに接続され、この曲げ制限器は、この曲げ制限器を通る導管の曲げに適応するとともに、この第1回転ジョイント及び第2回転ジョイントの周りに回転するときに、隣接するカラーの当接によってこの曲げを制限するように構成される。
【0010】
これにより、金属製及び複合曲げ制限器の両方に適用でき、定常状態での作業で25年の耐用年数を有することができる多目的曲げ制限器の設計が可能にすることができる。
【0011】
各カラーについて、それぞれの第1カプラー及び第2カプラーは、曲げ制限器の長手方向に沿ってオフセットすることができ、それぞれのカラーは、第1カプラーと第2カプラーとの間で長手方向に沿って延在することができる。各カラーについて、回転ジョイントの軸は、曲げ制限器の長手方向に沿ってオフセットすることができ、前記各カラーは、前記回転ジョイントを介して隣接するカプラーに接続される。これにより、曲げ制限器が、曲げ制限器を通る導管の曲げに適応できることを可能にする。
【0012】
各カプラーは、それぞれの回転ジョイントを介して隣接するカラーに接続されてもよく、前記ジョイントの軸は、曲げ制限器の長手方向に垂直な共通の平面内にあってもよい。
【0013】
各カラーは、軸受面を画定でき、前記軸受面は、それらのカラーが各自のジョイントの周りに回転することにより、それらのカラー間に延在しているカプラーに接続されて互いに対して傾斜しているときに、隣接するカラーの軸受面に当接するように構成される。各カラーは、曲げ制限器の長手方向に沿って反対方向を向いている2つのそのような軸受面を画定することができる。これにより、曲げ制限器が、導管の曲げを制限するとともに、引張荷重を耐えることを可能にする。
【0014】
軸受面は、隣接する2つのカラー間の傾斜方向にかかわらず、カラーの軸受面同士が線形又は2次元の接触面で当接するように画定されてもよい。カラーの隣接する軸受表面の幾何学的形状は、隣接するカラー同士が接触するとともに、全ての曲げ軸に沿って完全な曲げ状態であることを確保する。これにより、優れる曲げ制御、接触応力の最適化、及び摩耗の低減を実現することができる。
【0015】
軸受面は、曲げ制限器の最大曲げ角度を70度未満に制御するように構成できる。軸受面は、隣接するカラー間の最大傾斜角度が20度未満となるように構成できる。これにより、曲げ制限器に連結されたケーブルの移動に、ある程度の柔軟性を提供することができ、損傷を防止する。
【0016】
カラー及び/又はカプラーは、環状であればよく、導管を通すための通路が画定されてもよい。これにより、曲げ制限器が導管の曲げを制限するのを可能にする。
【0017】
各カラーは、それぞれの第1軸及び第2軸に平行に延在するコネクタピンを介して各々
に対応する第1カプラー及び第2カプラーに取り付けられてもよい。コネクタピンにより、曲げ制限器の部品の必要に応じた組み立てと取り外しを容易に可能にすることができる。
【0018】
曲げ制限器は、2つの端部をさらに有し、各端部は、曲げ制限器の対応する第1端部と第2端部においてカラーに隣接し、且つ回転ジョイントを介して、カプラーのうち、カラーに接続されているカプラーに接続されてもよい。曲げ制限器の端部は、システムの他の部分に接続されてもよい。この製品は、用途が広く、様々な海状況の直径に適応できる。海状況の外側カラーの内径及び/又は外径に接続される専用のアダプターを使用することで、この設計は、従来の次世代の湿式設備製品と互換性がある。
【0019】
カラー及びカプラーは、端部間に印加される引張荷重に耐えるように構成できる。これは、定常状態作業で水中設備の耐用年数が25年に達することに寄与する。
【0020】
カラー及び/又はカプラーは、剛性のものである。これにより、曲げ制限器の部品が引張荷重に耐えることを可能にする。
【0021】
各カラーについて、それぞれの第1カプラー及び第2カプラーは、曲げ制限器の長手方向軸を中心としてカラーの内部に収納される。これにより、デザインをよりコンパクトなものにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
以下、図面を参照しながら、実例で本発明を説明する。
【0023】
図1】海底中継器に連結された既知の曲げ制限器を示す。
図2】(a)及び(b)は、それぞれ図1に示す既知の曲げ制限器のクローズアップ図及び分解図を示す。
図3】海底中継器に連結された本発明に係る曲げ制限器の例を示す。
図4】(a)及び(b)は、それぞれ図3に示す曲げ制限器のクローズアップ図及び分解図を示す。
図5】曲げ制限器の最大曲げ角度における曲げ制限器の相対的位置を示す。
図6】各カラーセクションの接触面をどのように画定するかを示す。
図7】ピンを使用して接続されているカラーとリングを示す。
図8】曲げ制限器のカラーとリングを接続するピンの保持を示す。
図9】単一のチューブから曲げ制限器のカラーを加工する様子を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図3は、本発明に係る曲げ制限器6の例を示す。曲げ制限器6は、直列に配置された複数のカラー7、8、9及び複数のカプラーを備え、そのうちの2つのカプラーを10と11で示す。カラー及びカプラーは、剛性かつ環状のものであり、ケーブル3を通すための通路が画定されている。カプラーは、カラーが直列に接続されたときにカプラーがカラーの内部に配置されるように、曲げ制限器の長手方向軸を中心としてカラーの内部に収納される。各カラー7は、直列の他の2つのカラー8、9に隣接し、カプラーのうちの第1カプラー10を介してカラーのうちの第1カラー8に連結され、第1軸20を有する回転ジョイントを介してカプラーのうちの第1カプラー10に接続される。各カラー7は、さらに、カプラーのうちの第2カプラー11を介してカラーのうちの第2カラー9に連結され、第1軸20とは平行でない第2軸21を有する回転ジョイントを介してカプラーのうちの第2カプラー11に接続される。曲げ制限器が真っ直ぐな構成の場合、前記軸は、曲げ制限器の長手方向軸に垂直な平面に投影されたときに直交する。各カラーは、それぞれの第1軸及び第2軸と平行に延在するコネクタピン30を介して各々に対応する第1カプラ
ー及び第2カプラーに取り付けられる。曲げ制限器は、2つの端部15、16をさらに有し、各端部は、曲げ制限器の対応する第1端部及び第2端部においてカラーに隣接する。端部15、16は、回転ジョイントを介して1つのカプラーに接続され、このカプラーは、隣接するカラーに接続される。曲げ制限器6のカラー及びカプラーは、端部15、16の間に印加される引張荷重に耐えるように構成される。
【0025】
図4(a)及び(b)は、それぞれ図3に示す曲げ制限器のクローズアップ図と分解図を示す。各カラー7について、それぞれの第1カプラー10と第2カプラー11は、曲げ制限器6の長手方向に沿ってオフセットし、それぞれのカラー7は、それらの第1カプラー10と第2カプラー11との間で長手方向に沿って延在する。各カラーについて、隣接するカプラーに接続されている回転ジョイントの軸は、曲げ制限器の長手方向に沿ってオフセットする。曲げ制限器は、ケーブル3の曲げに適応するとともに、隣接するカラーの第1回転ジョイント及び第2回転ジョイントの周りに回転するときの当接によってこの曲げを制限する。
【0026】
各カラー7、8、9は、2つの軸受面(bearing surfaces)を画定し、2つのカラーが各自のジョイントの周りに回転することにより、各自の2つのカラーの間に延在しているカプラーに接続されて互いに対して傾斜しているときに、前記軸受面は、隣接するカラーの軸受面に当接するように構成される。これらの2つの軸受面は、曲げ制限器の長手方向に沿って反対方向を向いている。軸受面は、隣接する2つのカラー間の傾斜方向にかかわらず、カラーの軸受面同士が線形又は2次元の接触面上で当接するように画定されている。
【0027】
図5は、曲げ制限器がその最大曲げ角度にあるときの部品を示す。軸受面は、曲げ制限器の最大曲げ角度を制限するように構成される。一例において、曲げ制限器の最大曲げ角度は、70度未満に制御される。この例において、軸受面は、隣接するカラー間の最大傾斜角が20度未満になるように構成される。最大曲げ角度は、その他の値であることもできる。曲げ制限器の最大曲げ角度を変える方法の1つは、カラーとカプラーとを接続するとともに回転軸を画定するピンを再配置することである。
【0028】
カラーの隣接する接触面の幾何学的形状は、任意の2つの隣接するカラー同士が連続的に接触するとともに、曲げ角度制限器が全ての軸に沿ってその最大曲げ角度にあることを確保する。従って、本発明の設計は、完全に曲げられたときの接触面積を最大化することで、優れた曲げ制御及び接触応力の最適化を実現する。
【0029】
図6は、接触面のうちの1つの画定をより詳細に示す。各カラーは、曲げ制限器の第1端の方を向く接触面及び曲げ制限器の第2端の方を向く接触面を有する。好ましくは、曲げ制限器の第1端の方を向く全てのカラーの接触面は同じ表面を描く。好ましくは、曲げ制限器の第2端の方を向く全てのカラーの接触面は同じ表面を描く。好ましくは、各カラーの2つの接触面は、反対方向を向っているが、同じ表面を描く。隣接するカラーの接触面は、カラーが任意の傾斜軸の周りで互いに対して最大に傾斜したときに、それらの接触面が1つの点よりも大きい面積(好ましくは1本の直線)上で接触するように、協働的に構成される。この線は、カラーの一方又は両方の中心軸を通る平面上に位置されるため、この線は、基本的に径方向に配向された線であればよい。カラーは、曲げ制限器に対して長手方向に延在しているので、各接触面の長手方向でのずれが容易になる。各接触面は、そのカラーの中心軸の周りに180度の回転対称性を有してもよい。各接触面は、その自体が90度回転した鏡像であってもよい。各接触面は、そのカラーの中心軸の径方向において一定の範囲を有してもよい。この範囲内で、この表面は、カラーの中心軸に対して複数の位置で傾斜していてもよい。便宜上、この表面の、中心軸の周りで互いに180度オフセットした部分は、ある意味で(例えば、それらの径方向外縁が、それらの径方向内縁
よりも曲げ制限器の端部に近い)傾斜してもよく、前記部分に対して90度オフセットしたこの表面の部分は、反対の意味で(例えば、それらの径方向内縁が、それらの径方向外縁よりも曲げ制限器の端部に近い)傾斜していてもよい。カラーの接触面は、カラーの中心軸の周りに回転するとき、全体として正弦曲線の形式を有することができる。このような特徴を有するカラーは、それが完全に曲げられたとき、隣接するカラー間の線接触を容易に可能にすることができる。
【0030】
図6の例において、接触面の幾何学的形状は、2つの凸状エリア又は「凸部(lobe)」及び2つの凹状エリア又は「凹部(dwelling)」を含む。このような設計の特徴は、任意の2つの隣接するカラー同士が接触するとともに、曲げ制限器がその最大の曲げ角度にあるのを可能にし、これは、1つの「凹部」の幾何学的形状が隣接するカラーの1つの「凸部」の幾何学的形状と一致するからである。各カラーの凸部は、曲げ制限器の長さに沿って隣接するカラーの凹部に嵌合される。
【0031】
図6に示すように、2本のスプライン曲線を使用して各接触面を構築されてもよい。スプライン曲線Aは、カラーを形成するチューブの外径に位置し、スプライン曲線Bは、前記カラーのチューブの内径に位置する。接触面は、2本のスプライン曲線を平滑的につなぐ。所定の点を使用してスプラインを便利に画定できる。前記点は、外側カラーの円周の周りに等間隔で配置される。スプライン曲線Aの各点は、カラーの中心軸の周りの同じ角度の位置に配置されたスプライン曲線B上の対応する点を有する。全てのスプライン曲線Bの点は、スプライン曲線Aの点に対して同じ距離だけ径方向にオフセットしている。この距離により最大曲げ角度が設定される。好ましくは、これは、曲げ制限器内の全てのカラーについて同様である。
【0032】
前記点の軸方向オフセットを規定するために、カラーの回転軸と垂直な平行平面が画定される。2ペアの平面により、有効接触面を画定する。ペアになる2つの平面間の距離は曲げ角度距離である。このペアのうち、第1平面(「長さ平面」と示す)は、「凹部」/「凸部」の幾何学的形状の長さ又は深さを制御する。このペアのうち、第2平面(「角度平面」と示す)は、角度を制御する。
【0033】
スプライン曲線の限界点の位置を変更することで、長さと最大曲げ角度を調節することができるため、設計上の柔軟性に寄与する。パラメータ化設計の結果として、設計の入力パラメータを変更することにより、曲げ特性を容易に調節できる。
【0034】
図7(a)~図7(c)は、カラー及びカプラーがどのようにピンを介して接続されるかを示す。コネクタピンは、部品7と10の、回転ジョイントの周りでの互いに対する回転を可能にするように、対応する第1回転軸及び第2回転軸に平行に延在する。
【0035】
図面に示すように、外側カラー7を内側リングカプラー10に接続するとともに、それらのヒンジ接続過程で回転するのを可能にする回転ピン30は、以下に記載のような2つの異なる保持方法で緩みを防止するように両端に保持されることができる。
【0036】
・内向き保持:ピンの最上部における17で示したようなテーパ状の幾何学的形状は、カラー7の外側の相補的な凹溝と一致するとともに、ピン30がカラー7の外面の下に移動するのを防ぐように、その移動を制限する。ピンのテーパ状の前面がカラー7の外径の面取りと同じ高さになるように、このピンの停止位置を計算する。
【0037】
・外向き保持:リング18、ピン30の底部にある溝19及び内側カプラー10の孔の底部にある対応する凹溝を使用して、ピンを保持する。リングは、ピンに取り付けられ、ピンと孔が同心になるように、外側カラーを内側カプラーに合わせる。そして、凹溝を
内向きに保持する面取りを使用してピン30を外側カラーの孔に挿入して、リングを圧縮するようにピンが所定の位置になると、ピンの環状溝の前面は、内側カプラーの凹溝の前面に合わされ、リングがその「静止」位置にあることを可能にする。内側リングの凹溝の垂直な前面は、ピンが正常な作業条件で抜けるのを防ぐために、リング上のストッパーとして機能する。
【0038】
従って、回転保持ピンは、専用のツールを要せずに取り付けることができので、曲げ制限器の組み立てと取り外しの利便性を向上させる。
【0039】
本構成によれば、単一設計を用いた曲げ制限器を提案する。軽量ケーブル設備を使用する80%の場面では、この曲げ制限器に高強度重量比の複合材料を利用することができ、アーマー設備を使用する残り20%の場面では、この曲げ制限器に金属の解決策を利用することができる。
【0040】
金属の曲げ制限器は、例えば鋼、ベリリウム銅又は高強度チタン合金のような耐食性の高強度金属化合物から、製造され得る。前記材料は、応用の具体的な要求に応じて選択できるが、好ましくは、湿式設備製品が接続される最大の鎧装ケーブルのケーブル破断荷重(目前、550KNの範囲内)に耐えるべきである。
【0041】
軽量ケーブルに用いられる曲げ制限器は、カーボンファイバー強化樹脂複合材料で製造することができ、最大の軽量ケーブルのケーブル破断荷重(目前、115KNの範囲内)に耐えることができればよい。サイズについて言うと、カーボン複合材料は、この応用に必要となる2つの肝心なパラメータである高い強度及び軽い重量を提供する。カーボンファイバー複合材料は、市販の糸の中で最も高い比弾性率を提供し、230~400GPaの引張弾性率と約3.5~5.0GPaの極限引張強度を有する。また、カーボンファイバー複合材料は、優れる層間剪断強度、耐避労性及び低熱膨張係数も具現する。
【0042】
樹脂系を選択するときの肝心な属性は、良好な機械的性能、低い分解率、良好な耐熱応力性、優れる耐食性、及び低い吸水性である。マット含浸法(matting impregnation method)によれば、樹脂で事前に含浸されたカーボンファイバーマットの完全な飽和及びカーボンファイバートウサイズ(carbon tow size)に固有の良好な繊維濡れ性により、最適な複合材料性能を得られることが知られている。
【0043】
カーボンファイバー複合材料を使用する場合に実現できる優れる強度対重量比の結果として、部品は軽量であり、そのサイズが小さくなり、且つ他の複合材料に比べてより高い性能を提供するとともに、類似の応用に金属の真の代替品を提供することができる。
【0044】
ここで説明した曲げ制限器は、機械加工をより単純化することもできる。図9に示すように、カラー7及び端部15、16は、工具40により同じ材料のチューブから機械加工されてもよい。従って、外側カラー及び内側カプラーは、2つの所定のサイズのチューブからされ得る。これにより、製造の無駄が少なくなる可能性がある。カラーの可動軸受面の同じ幾何学的形状により、2つの連続するカラーの隣接する可動面の間の少量の材料を、単一のプレハブ(prefabricate)チューブから除去することで、カラーを機械加工することを可能にする。
【0045】
従って、ここで説明した曲げ制限器は、金属及び複合の曲げ制限器の両方に適用でき、かつ定常状態作業では25年の耐用年数を有することが可能な、多目的設計である。
【0046】
曲げ制限器の2つの実施例は、同じサイズ(内径と外径、総長、最大完全曲げ角度)及
び幾何学的形状を共有することができ、類似の解決案を使用して湿式設備に接続することができる。この製品は、用途が広く、様々な海状況(sea case)の直径に適応できる。海状況の外側カラーの内径及び/又は外径に接続される専用のアダプターを利用することで、この設計は、従来の次世代の湿式設備製品と互換性がある。
【0047】
本発明は、類似の強度と耐食性を有する金属等価物を用いて実現できる部品よりも重量がより軽い部品を使用することにより、水中設備の最大敷設深さを改善するのを可能にする。これにより、通常、金属部品に制限される深海海底ケーブルシステムの総重量を減らす。さらに、敷設と回収の制限を改善するとともに、湿式設備製品の取り付け能力を向上させることができる。また、金属の場合(例えば、チタン合金グレード5を使用する場合)と比べて、複合曲げ制限器のより低いコスト及び単位体積あたりの質量により、軽量解決案の場合のコストを著しく削減することを可能にする。
【0048】
本発明は、海底中継器と共に使用される曲げ制限器の例について上記のように説明してきたが、本発明は、増幅器、スイッチ、マルチプレクサー、及びデマルチプレクサーなどの他の海底電気通信設備にも適用することができる。例えば、分岐ユニットや再構成可能な光アドドロップマルチプレクサ(ROADM)である。
【0049】
出願人は、ここで本明細書に説明した各個別の特徴及び2つ以上のこれらの特徴の任意の組み合わせを個別に開示し、当業者が、本明細書に基づいて自分の技術常識で特徴又は組み合わせを1つの全体として実現できれば、特徴又は特徴の組み合わせが本文に開示されているいずれの問題を解決するか否かに関係なく、且つ請求項の範囲に限定されない。出願人は、本発明の各態様が、そのような個々の特徴または特徴の組み合わせからなり得ることを示す。上記の説明に鑑みて、本発明の範囲内で様々な変更を行えることは、当業者としては明らかである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9