(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-23
(45)【発行日】2024-10-31
(54)【発明の名称】什器
(51)【国際特許分類】
A47F 5/10 20060101AFI20241024BHJP
A47B 31/04 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
A47F5/10 A
A47B31/04 B
(21)【出願番号】P 2021024778
(22)【出願日】2021-02-19
【審査請求日】2024-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】591241512
【氏名又は名称】寿精版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辻 典彦
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭50-024092(JP,U)
【文献】実開昭49-038194(JP,U)
【文献】特開平07-008361(JP,A)
【文献】登録実用新案第3023075(JP,U)
【文献】特開2019-187738(JP,A)
【文献】実開昭63-152460(JP,U)
【文献】実開平04-061284(JP,U)
【文献】登録実用新案第3149981(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 5/10
A47B 31/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一枠体と、
第二枠体と、
前記第一枠体と前記第二枠体との間に接続されて谷折状に屈折可能な複数の側枠部と、
展開状態において、前記第一枠体、前記第二枠体及び前記側枠部のうちの一部又は全部に懸架されて前記側枠部の屈折を規制する棚部材と、
を備え
、
前記棚部材は、前記第二枠体に対して回動可能に接続され、前記展開状態では前記第一枠体に対して支持される第一棚部材であり、
前記第一枠体は、左前支柱と、右前支柱と、前記左前支柱及び前記右前支柱に接続された前支持梁とを有する前枠体であり、
前記第二枠体は、左後支柱と、右後支柱と、前記左後支柱及び前記右後支柱に接続されて前記第一棚部材を回動可能に支持する回動軸とを有する後枠体であり、
前記後枠体の前記左後支柱及び前記右後支柱の下方側において接続される後支持梁と、前記後支持梁の上面部に配設され前記第一棚部材を回動可能に支持するヒンジ部と、を備え、
前記第一棚部材は、前記展開状態において前記前支持梁により支持され、前記展開状態において商品を載置可能な載置部と、前記展開状態において前記第一枠体の外面に配置されるように前記載置部と接続された前面告知部と、前記載置部の裏面に面接続され前記前面告知部から前記ヒンジ部に亘って設けられた裏支持板と、前記裏支持板の左右両端が前記裏面に対し略直角に折り曲げられてなるリブ部と、を有し、
折畳状態において、前記第一棚部材が前記後枠体と略平行となるように立ち、かつ、前記リブ部の後端部と前記後支持梁とが当接することを特徴とする什器。
【請求項2】
前記第一枠体は、前記左前支柱及び前記右前支柱に接続されて前側被係合部を含む前壁部を有し、
前記第二枠体は、前記左後支柱及び前記右後支柱に接続されて後側被係合部を含む後壁部を有し、
前記展開状態において、前記前側被係合部及び前記後側被係合部に係合支持される第二棚部材をさらに備えることを特徴とする請求項
1に記載の什器。
【請求項3】
前記第一棚部材は、左右の両縁部側に規制部を有し、
前記規制部は、前記左後支柱又は前記右後支柱と干渉するように突出させて前記第一棚部材の回動を規制する規制状態と、前記左後支柱又は前記右後支柱と干渉しないように収納させて前記第一棚部材の回動を許容する非規制状態とを切換可能に構成される、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の什器。
【請求項4】
前記側枠部に係合させて前記側枠部の屈折を規制する係合部と、前記係合部に接続され前記側枠部の外面側に配置される側面告知部と、を含む告知板を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項
3の何れかに記載の什器。
【請求項5】
前記左前支柱、前記右前支柱、前記左後支柱及び前記右後支柱は、各々円筒パイプ状の下支柱と、前記下支柱の内径よりも小さい外形の円筒パイプ状の上支柱と、により棒状に形成され、
前記上支柱の下端一部は、前記下支柱の上方開口内に収納された状態で、螺子止め固定可能である、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の什器。
【請求項6】
前記第二棚部材の載置部には、前記第二棚部材の厚さ方向に貫通する複数の開口部が設けられたことを特徴とする請求項2に記載の什器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、什器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、商品を積載可能とした折り畳み式の什器が開示されている。例えば、特許文献1には、陳列棚を取り外し自在若しくは折り畳み自在に設けた什器(陳列棚兼用搬送機)が開示されている。この什器は、左右の側枠の夫々の幅を陳列棚の奥行きに適する幅に形成し、背枠の幅を側枠の幅よりも広く搬送機の正面幅に適する幅に形成しており、左右の側枠を背枠に沿うように折り畳み自在に設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の什器では、側枠の幅を広くすると折畳状態において左右の側枠同士が干渉してコンパクトに折り畳むことが難しくなるため、左右の側枠の幅を、背枠の半分以下にする必要がある。そのため、展開状態における収納容積を大きくすることができない。
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、展開状態における収納容積を確保しながらコンパクトに折り畳み可能な什器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の什器は、第一枠体と、第二枠体と、前記第一枠体と前記第二枠体との間に接続されて谷折状に屈折可能な複数の側枠部と、展開状態において、前記第一枠体、前記第二枠体及び前記側枠部のうちの一部又は全部に懸架されて前記側枠部の屈折を規制する棚部材と、を備え、前記棚部材は、前記第二枠体に対して回動可能に接続され、前記展開状態では前記第一枠体に対して支持される第一棚部材であり、前記第一枠体は、左前支柱と、右前支柱と、前記左前支柱及び前記右前支柱に接続された前支持梁とを有する前枠体であり、前記第二枠体は、左後支柱と、右後支柱と、前記左後支柱及び前記右後支柱に接続されて前記第一棚部材を回動可能に支持する回動軸とを有する後枠体であり、前記後枠体の前記左後支柱及び前記右後支柱の下方側において接続される後支持梁と、前記後支持梁の上面部に配設され前記第一棚部材を回動可能に支持するヒンジ部と、を備え、前記第一棚部材は、前記展開状態において前記前支持梁により支持され、前記展開状態において商品を載置可能な載置部と、前記展開状態において前記第一枠体の外面に配置されるように前記載置部と接続された前面告知部と、前記載置部の裏面に面接続され前記前面告知部から前記ヒンジ部に亘って設けられた裏支持板と、前記裏支持板の左右両端が前記裏面に対し略直角に折り曲げられてなるリブ部と、を有し、折畳状態において、前記第一棚部材が前記後枠体と略平行となるように立ち、かつ、前記リブ部の後端部と前記後支持梁とが当接することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、展開状態における収納容積を確保しながらコンパクトに折り畳み可能な什器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る什器の展開状態の斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る什器の第一棚部材を畳んだ状態の正面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る什器の第一棚部材を畳んだ状態の背面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る什器の右側面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る第二棚部材を示し、(a)は第二棚部材の平面図であり、(b)は
図5(a)の第二棚部材のVb-Vb断面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る側板を示し、(a)は側板の正面図であり、(b)は側板の右側面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る什器を示し、(a)は展開状態の平面図であり、(b)は折畳状態の平面図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る什器の折畳状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
まず、本発明の実施形態1を図に基づいて説明する。
図1は、折り畳み式の什器1の展開状態(組立状態)の全体斜視図である。展開状態における什器1は、二段の棚板(第一棚部材5及び第二棚部材7)を配置して商品等を載置することができる。本実施形態の什器1は、全体が略直方体枠状であり、側面告知部82やキャスター3の車輪等の一部を除いて金属により形成される。また、折畳状態の什器1は、
図8に示すように前後方向に折り畳まれて扁平状に変形することができる。以下、什器1の説明において、
図1の前面告知部52側から見た手前側を前、その反対側を後ろとし、第一棚部材5側を下、その反対側を上とする。また、什器1の後方から前方を見た左側を左、その反対側を右とする。
【0010】
什器1は、前枠体11(第一枠体)、後枠体12(第二枠体)、左枠体13及び右枠体14により前後左右が囲われて、全体形状が略直方体状に形成される。什器1の上方から見た四隅の位置には、上下方向に長軸を向けて配置された支柱(左前支柱21、右前支柱22、左後支柱23及び右後支柱24)が設けられる。左前支柱21、右前支柱22、左後支柱23及び右後支柱24の各下端部にはキャスター3が取り付けられる。キャスター3の一部(
図1では左前側及び右後側の一部)又は全部には回転の規制又は非規制を切り換える切換部が設けられている。
【0011】
また、左前支柱21、右前支柱22、左後支柱23及び右後支柱24は、各々円筒パイプ状の下支柱21b,22b,23b,24bと、下支柱21b,22b,23b,24bの内径よりも小さい外形の円筒パイプ状の上支柱21a,22a,23a,24aと、により棒状に形成される。上支柱21a,22a,23a,24aの下端一部は、下支柱21b,22b,23b,24bの上方開口内に収納された状態で、螺子止め固定される。したがって、什器1は
図1の展開状態及び
図8の折畳状態のいずれの状態においても、支柱(左前支柱21、右前支柱22、左後支柱23及び右後支柱24)の長さを任意に設定して、全体の高さを調整することができる。
【0012】
左前支柱21及び右前支柱22は、
図2に示すように、下方側において二本の前支持梁251,252により接続されている。前支持梁251及び前支持梁252は、左右方向に亘って互いに平行に配置される。前支持梁251及び前支持梁252は、断面視長方形状の角柱状に形成されている。
【0013】
また、左前支柱21及び右前支柱22は、上方側において前壁部41により接続されている。前壁部41は、左前支柱21及び右前支柱22の内側に配置される長矩形環状の外枠部43と、外枠部43の内側に複数(
図2では四個)配置されて長矩形環状の内枠部44とにより、全体が略平板状となるように構成される。左前支柱21、右前支柱22、外枠部43及び内枠部44は、それぞれ溶接されて接続されている。外枠部43は、左右方向に長尺に配置される。また、内枠部44は上下方向に長尺に配置される。内枠部44の上下に延設される各縦桟441は、略等間隔に配置される。内枠部44は、外枠部43よりも小径に形成される。さらに、内側の二個の内枠部44の上部には、左右に長尺な長矩形板状の前方告知部45が設けられる。前方告知部45は、内枠部44の前面側(什器1に対する外側)に接続されている。前方告知部45には、告知媒体を貼着や接着により設けたり、塗装を行う等の任意の方法により、ポップ広告等の告知情報を表示させることができる。外枠部43は、左右方向に亘って配置された下梁部431を有する。この下梁部431のうち、内枠部44間に位置する二箇所の前側被係合部431aには、後述する第二棚部材7の係合部74を係合させることができる。
【0014】
このように、前枠体11は、左前支柱21及び右前支柱22と、左前支柱21及び右前支柱22の間に設けられた前壁部41及び前支持梁251,252を有して構成される。
【0015】
また、後枠体12の左後支柱23及び右後支柱24は、
図3に示すように、下方側において二本の後支持梁253,254により接続されている。後支持梁253及び後支持梁254は、左右方向に亘って互いに平行に配置される。後支持梁253及び後支持梁254は、断面視長方形状の角柱状に形成されている。また、後支持梁253及び後支持梁254は、前方側に配置された前支持梁251及び前支持梁252と略同じ高さ位置に設けられる。
【0016】
また、左後支柱23及び右後支柱24は、上方側において後壁部42により接続されている。後壁部42は、前壁部41と同様に構成される。即ち、後壁部42は、左後支柱23及び右後支柱24の内側に配置される外枠部43と、外枠部43の内側に複数配置された内枠部44とにより、全体が略平板状となるように構成される。左後支柱23、右後支柱24、外枠部43及び内枠部44は、それぞれ溶接されて接続されている。なお、後壁部42においても、内側の二個の内枠部444の上部には、左右に長尺な長矩形板状の後方告知部46が設けられる。後方告知部46は、内枠部44の後面側(什器1に対する外側)に接続されている。後方告知部46にも、告知媒体を貼着や接着により設けたり、塗装を行う等の任意の方法により、ポップ広告等の告知情報を表示させることができる。
【0017】
後壁部42における外枠部43も、前壁部41と同様に、左右方向に亘って配置された下梁部431を有する。この下梁部431のうち、内枠部44間に位置する二箇所の後側被係合部431bにも、第二棚部材7の係合部74を係合させることができる。従って、前枠体11側の前側被係合部431aと、後枠体12側の後側被係合部431bの対向部位に、第二棚部材7を懸架させるように配置することができる。このように、後枠体12は、左後支柱23及び右後支柱24と、左後支柱23及び右後支柱24に設けられた後壁部42及び後支持梁253,254を有して構成される。
【0018】
各支柱(左前支柱21、右前支柱22、左後支柱23及び右後支柱24)の内側には、後述する側枠部6を回動可能に支持する軸筒部27が設けられている。軸筒部27は、上端及び下端に開口部を有して、上下方向に回動軸Q(
図4参照)を有する。
【0019】
図2のA部拡大図に示すように、後支持梁253の上面部には、第一棚部材5を回動可能に支持するヒンジ部15が設けられる(
図8の斜視図も参照)。後支持梁253の左右二箇所の上面部には、両端が折り曲げられた板状の支持部材255が接続されている。支持部材255の端部255aは、上方に向かって突出している。左右の端部255aには、略同軸上に位置するよう軸孔255bが設けられる。軸孔255bには、略L字状の軸部材26の長尺棒状部分が挿通される。
【0020】
図1において、第一棚部材5は、全体が略長矩形板状に形成される。第一棚部材5は、載置部51と、載置部51の前端縁側に接続される平板状の前面告知部52と、載置部51の左右の縁部に接続される側板部53を有する。
【0021】
載置部51は、第一棚部材5が前方の前枠体11側に回動した
図1の展開状態において載置面51aに商品等の物品を載置可能に左右方向に長尺な矩形板状に構成される。
図2に示す載置部51の裏面51bには、裏支持板54が二箇所に設けられる(
図8も参照)。裏支持板54は、側板部53と略同じ長さで設けられ、前面告知部52からヒンジ部15に亘って
図2の上下方向(
図1の展開状態では前後方向)に配置される。裏支持板54と裏面51bとは大部分が面接続されている。各裏支持板54の左右両端は裏面51bに対し略直角に折り曲げられて、裏面51bを補強するリブ部541として設けられる。リブ部541の後端側(前面告知部52とは反対側)には、軸孔255bと略同軸となる位置に軸孔541aが設けられる。軸孔541aにも軸部材26が挿通される。このように、後枠体12には、左後支柱23及び右後支柱24に対し後支持梁253を介して接続される軸部材26と、軸部材26が挿通される軸孔255b,541aとによりヒンジ部15が構成される。第一棚部材5は、軸部材26による回動軸P(
図4参照)周りに回動可能に支持される。
【0022】
前面告知部52は、第一棚部材5の展開状態において前枠体11の外面に配置されるように載置部51と接続されている。前面告知部52は、第一棚部材5の展開状態において前端部から下方へ向けて載置部51に対し略垂直に延設され、板面を前後方向に向けて配置されている。第一棚部材5の展開状態では、載置部51の載置面51aは、上方に配置される。
【0023】
また、
図1及び
図2に示す載置部51の左右の端部には、載置部51の前後方向に亘って長尺に形成された側板部53が設けられる。側板部53は、裏面51b側に向けて突出するように延設されている。また、側板部53は、前後方向に亘って上下幅が同幅に形成される。
図4のB部拡大図は、第一棚部材5の前端側の断面拡大図であり、
図2の右枠体14側の裏支持板54及び側板部53の間の位置について示している。側板部53の前端部にはL字状に切り欠かれた切欠部531が設けられている(
図8も参照)。この切欠部531は、載置部51と前面告知部52との内側である入隅側に配置される。なお、裏支持板54の前端部側にも、切欠部531と同様の切欠部542が設けられている(
図8参照)。
【0024】
図3に示すように、第一棚部材5は、載置面51aにおける左右の両縁部側に規制部56を有する。規制部56は平板状に形成される。規制部56は、矩形形状の一辺側を凸湾曲させた端部561と、端部561と反対の辺側を直線状に形成した端部562とを有する。端部561は端部562よりも軸部56aに対し遠方に設けられる。規制部56は、第一棚部材5の載置部51と軸部56aによって回動可能に接続されている。端部561が第一棚部材5の側板部53側に位置するように規制部56を回動させた場合(
図3の状態)、規制部56は載置面51a側から見て側板部53よりも外側に突出するように位置する。他方、端部562が第一棚部材5の側板部53側に位置するように規制部56を回動させた場合、規制部56は載置面51a側から見て側板部53よりも外側に突出しない(即ち、側板部53上又は側板部53よりも内側)に位置する。
【0025】
図1に示すように、前枠体11と、後枠体12の左右には、側枠部6が接続される。側枠部6は、什器1の外部から見た内側に向けて谷折状に屈折可能に全体が略平板状に形成される。
図4に示すように、側枠部6は、二個の外枠部61(61A,61B)を有する。外枠部61は、一部が途切れた矩形環状に形成される。外枠部61の両端部61a,61bは、軸筒部27内に上下の各開口部から挟み込むように収納されている(C部拡大図及びD部拡大図も参照)。
図4に示す左枠体13側の側枠部6において、外枠部61Aは左前支柱21に対して回動可能に接続され、外枠部61Bは左後支柱23に対して回動可能に接続される。右枠体14側も左右対称に構成され、外枠部61Aは右前支柱22に対して回動可能に接続され、外枠部61Bは右後支柱24に対して回動可能に接続される(
図1参照)。また、各軸筒部27には、移動規制部材として螺子部材271が締結されている。D部拡大図に示すように、螺子部材271は、軸筒部27内に挿入された螺子胴部271aによって外枠部61の下側の端部61aが上方へ移動することを規制する。また、外枠部61の他の端部61b側は、外枠部61の上梁部614が軸筒部27の上端部と当接して、下方への移動が規制される。従って、外枠部61は上下方向への移動が規制された状態で、軸筒部27の回動軸Q周りに対して回動可能に支持される。
【0026】
前方側に配置される外枠部61Aには、軸筒部611が設けられる。また、後方側に配置される外枠部61Bには軸筒部612が二箇所設けられる。軸筒部611は、軸筒部612の上下に配置されている。各軸筒部611,612は、上下が開口しており、同軸となるように配置された
図4の状態で、内部に軸部材613が挿通される。従って、外枠部61A及び外枠部61Bは、軸筒部611,612及び軸部材613により形成された回動軸R周りに回動可能に接続されている。
図4の展開状態の外枠部61A及び外枠部61Bは、前後に並設されている。
【0027】
外枠部61の内側には、長矩形環状の内枠部62が配置される。内枠部62は、上部及び下部において外枠部61の内面側と接続される。
【0028】
図5(a)は、第二棚部材7の上方から見た平面図であり、
図5(b)は
図5(a)の第二棚部材7のVb-Vb断面図である。第二棚部材7は、長矩形板状の載置部71と、載置部71の外周縁から裏面71b側に延設された側板部72,73と、を有する。側板部72は載置部71の長辺縁側に設けられ、側板部73は載置部71の短辺縁側に設けられる。側板部72の外面には、略U字フック状に湾曲した板状の係合部74が接続される。係合部74は、各側板部72において二箇所ずつ離間して設けられる。また、載置部71には、円形の開口部711が複数(本実施形態では八個)設けられる。第二棚部材7は、この開口部711に指を入れる等して着脱や持ち運びを容易に行うことができる。
【0029】
載置部71の裏面71bには、補強部材75が設けられる。補強部材75は、
図5(b)に示すように、載置部71の長尺方向(左右方向)に亘って形成され、脚部751により裏面71bに対して大部分が離間した状態で固定されている。
【0030】
図6(a)は側板8の正面図であり、
図6(b)は側板8の右側面図である。側板8は、係合部81と、係合部81に接続された側面告知部82とを備える。係合部81は、側面視において両縁部が下方に位置するように逆J字状に屈折させた板状部材により形成される。係合部81は、
図4に示した側枠部6の上縁(上梁部614)に引っ掛けるように係合させて側板8の全体を吊支させることができる。側枠部6に側板8が設置されると(
図1に示した状態)、外枠部61A及び外枠部61Bの回動軸R周りの屈折が内側空間811(
図6(b)のE部拡大図参照)により規制され、側枠部6は平板状の形態を維持することができる。
【0031】
側面告知部82は係合部81に固定される。側面告知部82は、係合部81の長尺方向に亘って設けられ、透明な樹脂等により長矩形板状に形成される。
図6(b)のE部拡大図に示すように、側面告知部82の上部側には、一方の面82a側に折り返された折返部821が設けられる。側面告知部82は、折返部821の外面と、係合部81の平板状の被取付部812とが貼着されて、係合部81に対し固定されている。また、
図6(b)のF部拡大図に示すように、側面告知部82の下部側にも、面82a側に折り返された折返部822が設けられる。
【0032】
また、側面告知部82の面82a側には、告知媒体(不図示)を配置することができる。この告知媒体は、例えば、紙等のシート状の一方面をポップ広告等の広告情報を表示する表示面とした印刷物とすることができる。側面告知部82に告知媒体を配置する際は、告知媒体の表示面を面82a側に向けるとともに、告知媒体の上部を面82aと折返部821との間に配置させ、下部を面82aと折返部822との間に配置させる。また、側枠部6に設置された側板8は、透明な側面告知部82が側枠部6の外面側に配置されるため、告知媒体の表示面が側面告知部82により安定支持された状態で、告知媒体の告知情報を面82aとは反対側の面82bから視認させることができる。従って、側板8は、什器1の折り畳みの規制部として機能するとともに、告知板としても機能することができる。
【0033】
次に、什器1の展開状態及び折畳状態について説明する。
図1に示した展開状態の什器1は、側枠部6を前後に伸ばして前枠体11及び後枠体12を前後に離間して配置している。第一棚部材5は、前方の前枠体11側に回動して、切欠部531(及び切欠部542)と上側の前支持梁251とが係合している(
図4のB部拡大図参照)。第一棚部材5は、前支持梁251の上に支持された状態で、前枠体11と後枠体12と相対的な前後動(本実施形態では近接方向への移動)を規制する。また、第一棚部材5に設けられた規制部56は、端部561が内側を向くように軸部56a周りに回動させて配置されている。
【0034】
第二棚部材7は、什器1の展開状態において、前側被係合部431a及び後側被係合部431bに係合支持されて、第一棚部材5よりも上方に配置されている。第二棚部材7も、係合部74により、前枠体11と後枠体12との相対的な前後動(本実施形態では近接方向への移動)を規制する。
【0035】
什器1の展開状態では、第一棚部材5及び第二棚部材7の各載置部51,71に、任意の物品を載置させることができる。例えば、什器1を店舗の商品陳列棚として使用する場合には、上方に位置する第二棚部材7の上に飲料商品の瓶や缶を載置又は積載し、第二棚部材7よりも下方に位置する第一棚部材5の上にその飲料商品を収納したケースを載置又は積載しておくことができる。また、第二棚部材7の載置部71は、前壁部41、後壁部42及び左右の側枠部6により前後左右が囲われているため、商品等の物品の落下を防止することができる。前方告知部45、後方告知部46、前面告知部52及び左右の側面告知部82には、商品に関連した広告情報を表示させることができる。また、本実施形態の什器1は、キャスター3を有するため、店舗内における任意の場所に容易に移動及び設置することができる。
【0036】
なお、展開状態の什器1は、商品陳列棚としての用途の他にも倉庫の保管用棚とする等、その他の任意の用途で使用することができる。
【0037】
図1の什器1を折り畳む際は、まず、左右の側枠部6から側板8を取り外し(
図7(a)の状態)、前壁部41及び後壁部42から第二棚部材7を取り外す。次に、前方の前支持梁251に支持されている第一棚部材5を、
図4の二点鎖線で示すように、回動軸P周りに回動させて後枠体12と略平行となるように略垂直に立てた状態まで移動させる。このとき、第一棚部材5の後方への回動は、
図2のII-II断面拡大図に示すリブ部541の後端部541bと、後支持梁253との当接により規制される。なお、側板部53の後端部532(
図8参照)と後支持梁253も当接して、第一棚部材5の後方への回動が規制される。また、規制部56は、第一棚部材5の回動を規制する規制状態と、第一棚部材5の回動を許容する非規制状態とを切換可能に構成される。
図3に示すように、略垂直に立てた第一棚部材5の規制部56を軸部56a周りに回動させて、規制部56を左後支柱23及び右後支柱24の後方であって側板部53よりも左右の外側に位置するように設定する。これにより、規制部56は、第一棚部材5を回動した場合に、左後支柱23又は右後支柱24と干渉しないように収納させた非規制状態から、左後支柱23及び右後支柱24と干渉するように突出させた規制状態に設定され、第一棚部材5の前方側への回動が規制される。従って、規制部56を規制状態とした第一棚部材5は、倒立状態で容易に安定維持させることができる。
【0038】
その後、
図7(b)に示すように、左右の側枠部6を回動軸Q及び回動軸Rにより什器1の外側から見て谷折状に屈折させ、前枠体11及び後枠体12が相対的に近接するように移動させる。これにより、什器1は、
図7(b)及び
図8に示す折畳状態となる。
【0039】
本実施形態の什器1は、折畳状態においても前後の各キャスター3が所定の間隔を空けて配置される。そのため、折畳状態で立てた状態の什器1を、少ないスペースで保管等することができる。また、什器1は折畳状態であってもキャスター3により任意の場所に容易に移動及び設置することができる。
【0040】
なお、左前支柱21、右前支柱22、左後支柱23及び右後支柱24は、伸縮自在であって任意の上下長さで固定可能に構成されるため、例えば什器1を使用しない場合は什器1を低くコンパクトに折り畳むことができ、また什器1を使用する場合は什器1を高くして下段側に配置された第一棚部材5の載置部51により多くの物品を載置させることができる。また、載置する物品の容量に応じて、什器1の高さを調整してもよい。
【0041】
図8の折畳状態の什器1は、上記と逆の操作が行われることで、
図1の展開状態に変形することができる。即ち、
図7(b)の折畳状態の什器1に対し、前枠体11及び後枠体12を前後に離間するように操作すると、側枠部6が回動軸Q及び回動軸R周りに回動して屈折状態から伸長状態に変形する(
図7(a)参照)。そして、第一棚部材5を回動軸P周りに前方へ回動させ、前支持梁251に支持させる。
【0042】
その後、前壁部41及び後壁部42に対して第二棚部材7が取り付けられ、左右の側枠部6に対して側板8を取り付けられる(
図1参照)。このように、本実施形態の什器1は、側枠部6を谷折状に屈曲可能としたため展開状態における収納容積を大きくしながら簡単な操作でコンパクトに折り畳み可能に構成される。
【0043】
なお、本実施形態で説明した什器1の展開状態と折畳状態との間の変形操作は一例であり、構成上不都合が無ければ本実施形態とは異なる手順により行うこともできる。
【0044】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は以上の実施形態によって限定されることはなく、種々の変更を加えて実施することができる。例えば、本実施形態で、第一棚部材5は、後枠体12に対して回動可能に接続される構成について説明したが、前枠体11及び後枠体12の一方に対して回動可能に接続され、什器1の展開状態では前枠体11及び後枠体12の他方に対して懸架するように支持されながら側枠部6の屈折を規制する構成とすることができる。
【0045】
また、本実施形態では、商品などを載置可能な棚部材として、第一棚部材5及び第二棚部材7について説明したが、前枠体11、後枠体12及び側枠部6のうちの任意の一部又は全部に懸架されて、側枠部6の屈折を規制するその他の構成を有する棚部材を設ける構成としてもよい。棚部材は、前枠体11、後枠体12及び側枠部6のうちの任意の対向部位に懸架させることができる。
【符号の説明】
【0046】
1 什器 3 キャスター
5 第一棚部材 6 側枠部
7 第二棚部材 8 側板
11 前枠体 12 後枠体
13 左枠体 14 右枠体
15 ヒンジ部 21 左前支柱
21a 上支柱 21b 下支柱
22 右前支柱 22a 上支柱
22b 下支柱 23 左後支柱
23a 上支柱 23b 下支柱
24 右後支柱 24a 上支柱
24b 下支柱 26 軸部材
27 軸筒部 41 前壁部
42 後壁部 43 外枠部
44 内枠部 45 前方告知部
46 後方告知部 51 載置部
51a 載置面 51b 裏面
52 前面告知部 53 側板部
54 裏支持板 56 規制部
56a 軸部 61(61A,61B) 外枠部
61a 端部 61b 端部
62 内枠部 71 載置部
71b 裏面 72 側板部
73 側板部 74 係合部
75 補強部材 81 係合部
82 側面告知部 82a 面
82b 面 251 前支持梁
252 前支持梁 253 後支持梁
254 後支持梁 255 支持部材
255a 端部 255b 軸孔
271 螺子部材 271a 螺子胴部
431 下梁部 431a 前側被係合部
431b 後側被係合部 441 縦桟
444 内枠部 531 切欠部
532 後端部 541 リブ部
541a 軸孔 541b 後端部
542 切欠部 561 端部
562 端部 611 軸筒部
612 軸筒部 613 軸部材
614 上梁部 711 開口部
751 脚部 811 内側空間
812 被取付部 821 折返部
822 折返部 P,Q,R 回動軸