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  • 特許-塗装装置及び塗装システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-23
(45)【発行日】2024-10-31
(54)【発明の名称】塗装装置及び塗装システム
(51)【国際特許分類】
   B05B 7/06 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
B05B7/06
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021024817
(22)【出願日】2021-02-19
(65)【公開番号】P2022126950
(43)【公開日】2022-08-31
【審査請求日】2024-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000109314
【氏名又は名称】エムオースプレーイング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】牛越 一宏
【審査官】吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-087131(JP,A)
【文献】特開2006-007183(JP,A)
【文献】特開2017-035673(JP,A)
【文献】実開昭61-171558(JP,U)
【文献】特開昭47-031211(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第2878380(EP,A1)
【文献】米国特許第05188290(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気送出路に供給された圧縮空気で塗装材を霧化して噴霧させる噴霧銃と、
圧縮空気を吐出させる空気圧縮機と、
前記空気圧縮機から供給された前記圧縮空気の圧力及び流量を調整して、この調整後の圧縮空気を前記空気送出路に供給する空気調整器と、
を備え、
前記空気調整器は、
前記空気圧縮機から前記圧縮空気が供給される第1流路と、
前記第1流路の前記圧縮空気を減圧して吐出させるノズルと、
前記ノズルから吐出された前記圧縮空気を流入させる第2流路と、
前記空気送出路に連通させ、前記空気送出路に送り込む前記第2流路の前記圧縮空気を吐出させる吐出口と、
前記ノズルから前記第2流路に吐出された前記圧縮空気の流れによって外部空気を前記第2流路に吸入させる外気吸入口と、
を備え、
前記ノズルと前記第2流路と前記外気吸入口は、前記ノズルから前記第2流路に吐出された前記圧縮空気と前記外気吸入口から前記第2流路に吸入された前記外部空気とによって、前記吐出口における前記圧縮空気の単位時間当りの流量を前記ノズルにおける前記圧縮空気の単位時間当りの吐出量よりも増量させつつ、前記吐出口における前記圧縮空気の圧力が前記噴霧銃の吹付空気圧力に応じた大きさとなるように、前記ノズルから吐出された前記圧縮空気を減圧させる形状に形成されることを特徴とした塗装装置。
【請求項2】
前記ノズルと前記第2流路と前記外気吸入口は、前記ノズルから前記第2流路に吐出された前記圧縮空気と前記外気吸入口から前記第2流路に吸入された前記外部空気とによって、前記吐出口の前記圧縮空気が0.02MPaから0.05MPaの間の何れかの圧力となるように調整可能で、かつ、前記吐出口の前記圧縮空気が毎分100Lから2,000Lの間の何れかの流量となるように調整可能な形状のものとして形成されることを特徴とした請求項1に記載の塗装装置。
【請求項3】
前記ノズルは、テーパ角度が鋭角の円錐筒形状から成り、テーパ角度が鋭角の円錐形状の内部空間が形成されたノズル先端部を有し、
前記ノズル先端部は、前記内部空間に供給された前記第1流路の前記圧縮空気を前記第2流路に吐出させる1.5mmから2.5mmの間の何れかの直径から成る先端の円形貫通孔を有し、
前記第2流路は、5mmから8mmの間の何れかの直径から成る円柱状の流路に形成されることを特徴とした請求項2に記載の塗装装置。
【請求項4】
前記空気調整器は、前記吐出口を前記噴霧銃に内在させたまま当該噴霧銃の接続部に接続させる被接続部を有し、又は、前記吐出口から吐出された前記第2流路の前記圧縮空気を前記空気送出路に送る柔軟な配管を介して前記噴霧銃に接続され、又は、前記噴霧銃に内蔵させることを特徴とした請求項1,2又は3に記載の塗装装置。
【請求項5】
前記空気圧縮機と前記空気調整器との間に、前記空気圧縮機から吐出された前記圧縮空気の圧力を調節し、この調節後の前記圧縮空気を前記第1流路に供給する圧力調節器を備えることを特徴とした請求項1から4の内の何れか1つに記載の塗装装置。
【請求項6】
空気送出路に供給された圧縮空気で塗装材を霧化して噴霧させる噴霧銃、圧縮空気を吐出させる空気圧縮機、及び、前記空気圧縮機から供給された前記圧縮空気の圧力及び流量を調整して、この調整後の圧縮空気を前記空気送出路に供給する空気調整器を備えた塗装装置と、
前記空気圧縮機から吐出された前記圧縮空気を動力源にして移動する無人移動機器と、
を備え、
前記空気調整器は、
前記空気圧縮機から前記圧縮空気が供給される第1流路と、
前記第1流路の前記圧縮空気を減圧して吐出させるノズルと、
前記ノズルから吐出された前記圧縮空気を流入させる第2流路と、
前記空気送出路に連通させ、前記空気送出路に送り込む前記第2流路の前記圧縮空気を吐出させる吐出口と、
前記ノズルから前記第2流路に吐出された前記圧縮空気の流れによって外部空気を前記第2流路に吸入させる外気吸入口と、
を備え、
前記ノズルと前記第2流路と前記外気吸入口は、前記ノズルから前記第2流路に吐出された前記圧縮空気と前記外気吸入口から前記第2流路に吸入された前記外部空気とによって、前記吐出口における前記圧縮空気の単位時間当りの流量を前記ノズルにおける前記圧縮空気の単位時間当りの吐出量よりも増量させつつ、前記吐出口における前記圧縮空気の圧力が前記噴霧銃の吹付空気圧力に応じた大きさとなるように、前記ノズルから吐出された前記圧縮空気を減圧させる形状に形成され、
前記無人移動機器には、前記噴霧銃を搭載させることを特徴とした塗装システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装装置及び塗装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、塗装装置としては、空気の吐出圧力と空気風量で塗料等の液状の塗装材を霧化させる噴霧銃と、この噴霧銃に空気を供給する空気供給源と、を備え、その噴霧銃から低圧かつ大風量の吹付空気で塗装材を噴霧させるものが知られている(下記の特許文献1及び2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平6-64745号公報
【文献】実開昭49-136867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の塗装装置においては、電動ブロワが空気供給源として利用される。例えば、電動ブロワを用いた場合には、この電動ブロワからエアホース等の配管を介して低圧かつ大流量の空気を噴霧銃に供給することで、高い塗着効率の塗装が可能になる。その一方で、電動ブロワは、空気圧縮機と比較して、吐出させる空気の圧力が低く、配管を長くした場合に圧力損失が生じるため、噴霧銃から離れた場所に設置することが難しい。また、電動ブロワは、内蔵された電動モータを駆動源にしており、この電動モータに給電するための電源を必要とする。このため、電動ブロワを用いる場合には、作業場に既設の電源であるのか可搬タイプの電源であるのかに拘わらず、何かしらの電源が作業場の近くに必要になる。このように、この塗装装置においては、利便性という観点に立つならば、電動ブロワよりも汎用性に優れた空気圧縮機を空気供給源に用いることが望ましい。しかしながら、空気圧縮機を用いた場合には、例えば電動ブロワと同等の低圧の吹付空気圧力で塗装材を噴霧するために、空気圧縮機からの圧縮空気をエアレギュレータ等によって減圧させた上で噴霧銃に供給する必要がある。このため、この場合には、電動ブロワと同程度の低圧の圧縮空気へと調圧した際に、その圧縮空気の噴霧銃への供給量が低下して、この噴霧銃で必要とされる圧縮空気の供給条件を満たすことができないので、電動ブロワを用いた場合と比較して、塗着効率を高めることが難しい。
【0005】
そこで、本発明は、高い利便性を得ながらも、塗着効率に優れた塗装を可能にする塗装装置及び塗装システムを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する為、本発明は、空気送出路に供給された圧縮空気で塗装材を霧化して噴霧させる噴霧銃と、圧縮空気を吐出させる空気圧縮機と、前記空気圧縮機から供給された前記圧縮空気の圧力及び流量を調整して、この調整後の圧縮空気を前記空気送出路に供給する空気調整器と、を備える。前記空気調整器は、前記空気圧縮機から前記圧縮空気が供給される第1流路と、前記第1流路の前記圧縮空気を減圧して吐出させるノズルと、前記ノズルから吐出された前記圧縮空気を流入させる第2流路と、前記空気送出路に連通させ、前記空気送出路に送り込む前記第2流路の前記圧縮空気を吐出させる吐出口と、前記ノズルから前記第2流路に吐出された前記圧縮空気の流れによって外部空気を前記第2流路に吸入させる外気吸入口と、を備える。そして、前記ノズルと前記第2流路と前記外気吸入口は、前記ノズルから前記第2流路に吐出された前記圧縮空気と前記外気吸入口から前記第2流路に吸入された前記外部空気とによって、前記吐出口における前記圧縮空気の単位時間当りの流量を前記ノズルにおける前記圧縮空気の単位時間当りの吐出量よりも増量させつつ、前記吐出口における前記圧縮空気の圧力が前記噴霧銃の吹付空気圧力に応じた大きさとなるように、前記ノズルから吐出された前記圧縮空気を減圧させる形状に形成されることを特徴としている。
【0007】
また、上記目的を達成する為、本発明は、空気送出路に供給された圧縮空気で塗装材を霧化して噴霧させる噴霧銃、圧縮空気を吐出させる空気圧縮機、及び、前記空気圧縮機から供給された前記圧縮空気の圧力及び流量を調整して、この調整後の圧縮空気を前記空気送出路に供給する空気調整器を備えた塗装装置と、前記空気圧縮機から吐出された前記圧縮空気を動力源にして移動する無人移動機器と、を備える。前記空気調整器は、前記空気圧縮機から前記圧縮空気が供給される第1流路と、前記第1流路の前記圧縮空気を減圧して吐出させるノズルと、前記ノズルから吐出された前記圧縮空気を流入させる第2流路と、前記空気送出路に連通させ、前記空気送出路に送り込む前記第2流路の前記圧縮空気を吐出させる吐出口と、前記ノズルから前記第2流路に吐出された前記圧縮空気の流れによって外部空気を前記第2流路に吸入させる外気吸入口と、を備える。そして、前記ノズルと前記第2流路と前記外気吸入口は、前記ノズルから前記第2流路に吐出された前記圧縮空気と前記外気吸入口から前記第2流路に吸入された前記外部空気とによって、前記吐出口における前記圧縮空気の単位時間当りの流量を前記ノズルにおける前記圧縮空気の単位時間当りの吐出量よりも増量させつつ、前記吐出口における前記圧縮空気の圧力が前記噴霧銃の吹付空気圧力に応じた大きさとなるように、前記ノズルから吐出された前記圧縮空気を減圧させる形状に形成され、前記無人移動機器には、前記噴霧銃を搭載させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る塗装装置は、空気供給源に空気圧縮機を用いたとしても、その空気圧縮機と噴霧銃との間に空気調整器を介在させることで、電動ブロワを用いた従来の塗装装置と同じように、低圧で且つ大流量の圧縮空気を噴霧銃に供給することができる。このため、この塗装装置は、その従来の塗装装置と同じように、霧化した塗装材の粒径を小さくすることができ、かつ、被塗装面からの塗装材の跳ね返りを軽減させることができるので、塗着効率に優れた塗装が可能になる。
【0009】
更に、本発明に係る塗装装置は、空気供給源に空気圧縮機を用いることによって、少なくとも噴霧銃と空気調整器を作業者が携行すればよく、電動ブロワを用いた従来の塗装装置のように、作業者が電動ブロワの如き重量物で且つ嵩張る道具を携行する必要が無いので、作業者の負担が軽減され、作業性を向上させることができる。また更に、本発明に係る塗装装置は、空気供給源に空気圧縮機を用いることによって、電動ブロワを用いた従来の塗装装置と比較して、空気調整器と空気圧縮機を繋ぐ配管を噴霧銃と電動ブロワを繋ぐ配管よりも長くできるので、空気圧縮機及びその電源を電動ブロワ及びその電源よりも噴霧銃から引き離した場所に設置することができる。このため、この塗装装置は、作業場の近くに電源が無くても塗装作業を行うことができる。また、この塗装装置は、空気供給源に空気圧縮機を用いることによって、電動ブロワを用いた従来の塗装装置のように、作業者の近くに電動ブロワや発電機等の嵩張る機器を設置する必要も無いので、狭い作業場や足場の悪い作業場での作業性を向上させることができる。また、この塗装装置は、防爆エリア(例えば、ガスタンクの中、地下通路、空港、製油所等)が作業場となる場合に、防爆エリア外の電源を利用したり、防爆エリア外に可搬タイプの電源を設置したりすることができ、防爆エリア外の空気圧縮機又は防爆式の空気圧縮機の圧縮空気を利用できるので、防爆エリアでの作業が可能になる。また更に、本発明に係る塗装装置は、空気供給源に空気圧縮機を用いているので、1つの空気圧縮機と当該空気圧縮機に給電する1箇所の既設の電源又は1つの可搬タイプの電源とを用意することによって、その空気圧縮機から複数の噴霧銃に圧縮空気を供給することができる。
【0010】
このように、本発明に係る塗装装置及び当該塗装装置を具備する塗装システムは、高い利便性を得ながらも、塗着効率に優れた塗装を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態の塗装装置について説明する説明図である。
図2図2は、噴霧銃と空気調整期とを示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る塗装装置及び塗装システムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
[実施形態]
本発明に係る塗装装置及び塗装システムの実施形態の1つを図1及び図2に基づいて説明する。
【0014】
図1に示す符号1は、本実施形態の塗装装置を示す。この塗装装置1は、圧縮空気を所定の圧力及び流量に調整し、この調整後の圧縮空気で塗料等の液状の塗装材を霧化して噴霧させるものである。具体的に、この塗装装置1は、塗装材の塗着効率を高めるべく、空気供給源の圧縮空気を減圧させつつも、この減圧後の圧縮空気の単位時間当りの流量を増幅させることによって、大流量の低圧の圧縮空気で塗装材を霧化して噴霧させるものである。ここで、その低圧とは、この塗装装置1の技術分野における吹付空気圧力の高低を表すものであり、この技術分野で周知の圧力値を示している。
【0015】
この塗装装置1は、塗装材と圧縮空気とが供給され、その供給された圧縮空気で塗装材を霧化して噴霧させる噴霧銃10と、圧縮空気を吐出させる空気供給源としての空気圧縮機20と、この空気圧縮機20から供給された圧縮空気の圧力及び流量を調整して、この調整後の圧縮空気を噴霧銃10に供給する空気調整器30と、を備える(図1)。また、この塗装装置1は、塗装材が室内に貯留された貯留容器41を備えており、この貯留容器41から塗装材を噴霧銃10に供給する(図1)。尚、この塗装装置1は、そのような貯留容器41に替えて、塗装材の圧送が可能な塗装材用供給装置を噴霧銃10に接続することも可能である。
【0016】
噴霧銃10は、塗装材の噴霧機構が設けられた銃身11を備える(図1及び図2)。この銃身11は、両端部を開口させた筒状に形成されており、その一端部の開口側から塗装材を噴霧させる。ここで示す銃身11は、円筒状に形成されている。
【0017】
この銃身11には、その内部空間に圧縮空気を送り込む筒状の送気管12が設けられている(図1及び図2)。この送気管12は、分岐管の如く銃身11から分岐させ、その内部空間を銃身11の内部空間に連通させている。また、この送気管12は、銃身11から分岐したその先の端部を開口させている。ここで示す送気管12は、円筒状に形成されている。噴霧銃10においては、空気調整器30で調整された圧縮空気が送気管12の内部空間に供給され、この調整後の圧縮空気が送気管12を介して銃身11の内部空間に送られる。
【0018】
更に、この銃身11には、貯留容器41を繋ぐ第1分岐管13と第2分岐管14とが設けられている(図1及び図2)。この第1分岐管13と第2分岐管14は、各々、銃身11から分岐させ、それぞれの内部空間を銃身11の内部空間に連通させている。また、この第1分岐管13と第2分岐管14は、各々、銃身11から分岐したその先の一方の端部を開口させている。ここで示す第1分岐管13と第2分岐管14は、銃身11の筒軸から見て、送気管12とは逆側で分岐させている。
【0019】
第1分岐管13には、貯留容器41が接続され、この貯留容器41の塗装材を流入させる(図1及び図2)。一方、第2分岐管14には、柔軟な配管42の一端部が接続されている(図1及び図2)。この配管42は、その他端部が貯留容器41における塗装材の液面よりも上の空間(室内)に接続され、この貯留容器41の室内に銃身11の内部空間を連通させる。貯留容器41においては、その室内に配管42を介して銃身11の内部空間の圧縮空気が供給され、この室内の圧力が上昇する。このため、この貯留容器41の塗装材は、その室内の圧力上昇に伴い液面が加圧されて、第1分岐管13に送り込まれる。
【0020】
この銃身11は、送気管12と第1分岐管13と第2分岐管14とが一体になった金属材料等から成る成形体である。
【0021】
この銃身11には、次のような噴霧機構が設けられる。
【0022】
銃身11の内部空間には、第1分岐管13の内部空間に連通させ、この第1分岐管13を介して貯留容器41の塗装材を流入させる塗装材送出管51が設けられる(図2)。この塗装材送出管51は、両端部を開口させた筒状に成形され、銃身11の内部空間で同軸上に配置される。
【0023】
更に、銃身11の内部空間には、塗装材送出管51から送り出された塗装材を円錐筒形状のノズル先端部の噴出口から噴出させる第1噴出ノズル52と、この第1噴出ノズル52の噴出口を開閉させるニードル弁53と、が設けられる(図1及び図2)。第1噴出ノズル52は、塗装材送出管51の一端部の開口に組み付けられる。ニードル弁53は、塗装材送出管51の内部空間に同軸上で収容され、この内部空間で軸線方向に相対移動させることによって、第1噴出ノズル52の噴出口を開閉させる。銃身11の他端部の開口には、このニードル弁53を移動自在に保持する弁ガイド54が組み付けられる(図2)。
【0024】
この噴霧銃10においては、第1噴出ノズル52の噴出口を常時閉塞させた常閉状態でニードル弁53が組み付けられる。そこで、この噴霧銃10には、ニードル弁53を常閉状態に保たせるべく、このニードル弁53に一方の軸線方向(閉方向)の弾発力を与えて、このニードル弁53に第1噴出ノズル52の噴出口を閉塞させる弾性部材55が設けられている(図2)。ここで示す弾性部材55は、所謂弦巻バネである。この弾性部材55は、ニードル弁53に対して他方の軸線方向(開方向)に移動させる力を付与し、このニードル弁53が開方向に移動することで縮み、その力の印加を止めることで、ニードル弁53を再び常閉状態にする。
【0025】
銃身11には、このニードル弁53を開方向に移動させる引き金56が組み付けられている(図1及び図2)。この引き金56は、銃身11の内外に亘って挿通させた操作レバーであり、この銃身11の内部空間に配置された回動軸56aの軸周りに回動させることができる。この噴霧銃10においては、引き金56を引き操作することによって、常閉状態のニードル弁53が弁ガイド54に案内されながら開方向に移動して、第1噴出ノズル52の噴出口を開放させる。これにより、この噴霧銃10においては、塗装材送出管51から送り出された塗装材を第1噴出ノズル52の噴出口から噴出させることができる。また、この噴霧銃10においては、その引き金56の引き操作を止めることによって、弾性部材55がニードル弁53を閉方向に押動するので、そのニードル弁53が弁ガイド54に案内されながら閉方向に移動して、第1噴出ノズル52の噴出口を閉塞させる。
【0026】
更に、銃身11の一端部の開口には、その内部空間の圧縮空気を吹き出させる第2噴出ノズル15が設けられる(図1及び図2)。この第2噴出ノズル15は、銃身11の一端部をノズル形状に形成したものであってもよく、この一端部の開口に組み付けられる別部品であってもよい。ここで示す第2噴出ノズル15は、銃身11の一端部がノズル形状に形成されたものである。
【0027】
ここで、銃身11の内部空間には、銃身11の内壁面と塗装材送出管51の外壁面との間及び銃身11の内壁面と第1噴出ノズル52の外壁面との間に、断面が環状の空間部が形成される。この噴霧銃10においては、その空間部を空気送出路16として利用する(図1及び図2)。この空気送出路16は、送気管12から供給された圧縮空気を第2噴出ノズル15に向けて送り出すための通路である。
【0028】
銃身11の内部空間には、送気管12の内部空間と空気送出路16との間を開閉させる開閉弁57が組み付けられる(図2)。この開閉弁57は、その間を常時閉塞させた常閉状態で組み付けられる。そこで、この噴霧銃10には、この開閉弁57を常閉状態に保たせるべく、この開閉弁57に一方の軸線方向(閉方向)の弾発力を与えて、この開閉弁57に送気管12の内部空間と空気送出路16との間を閉塞させる弾性部材58が設けられている(図2)。ここで示す弾性部材58は、所謂弦巻バネである。この弾性部材58は、開閉弁57に対して他方の軸線方向(開方向)に移動させる力を付与し、この開閉弁57が開方向に移動することで縮み、その力の印加を止めることで、開閉弁57を再び常閉状態にする。この噴霧銃10においては、引き金56を引き操作することによって、常閉状態の開閉弁57がニードル弁53の開動作に連動して開方向に移動し、送気管12の内部空間と空気送出路16との間を開放させる。また、この噴霧銃10においては、その引き金56の引き操作を止めることによって、弾性部材58が開閉弁57を閉方向に押動するので、その開閉弁57が閉方向に移動して、送気管12の内部空間と空気送出路16との間を閉塞させる。
【0029】
この噴霧銃10においては、塗装材送出管51、第1噴出ノズル52、ニードル弁53、弁ガイド54、弾性部材55、引き金56、第2噴出ノズル15、空気送出路16、開閉弁57及び弾性部材58が噴霧機構の構成の要部を成している。この噴霧銃10においては、引き金56の引き操作と共にニードル弁53と開閉弁57を開動作させることによって、送気管12の圧縮空気が銃身11の内部空間に送り込まれる。この銃身11の内部空間に送り込まれた圧縮空気は、空気送出路16を通って第2噴出ノズル15に向かうと共に、配管42を通って貯留容器41に送られる。よって、この噴霧銃10においては、空気送出路16に供給された圧縮空気が第2噴出ノズル15から高速で吹き出され、この高速の圧縮空気によって、第1噴出ノズル52から噴出した塗装材が霧化して噴霧される。
【0030】
尚、この噴霧銃10においては、送気管12が銃把を兼ねている。そこで、この噴霧銃10においては、例えば手で握ったときの安定性を高めるべく、その送気管12を外側から把持具59で覆っている(図2)。この把持具59は、合成樹脂材料で成形されている。
【0031】
空気圧縮機20は、所謂電動エアコンプレッサであり、所定の吐出圧力で圧縮空気を吐出させる。この塗装装置1においては、0.2MPaから0.7MPaの幅を持った圧縮空気の吐出が可能な空気圧縮機20、又は、0.2MPaから0.7MPaの間の何れかの圧力の圧縮空気を吐出させることが可能な空気圧縮機20を用いる。この空気圧縮機20は、一端部が自身に接続されている柔軟な配管61(図1)に圧縮空気を吐出し、この配管61の他端部が接続されている空気調整器30に圧縮空気を供給する。その配管61は、所謂エアホースである。
【0032】
空気調整器30は、空気圧縮機20から供給された圧縮空気を所定の圧力及び流量に調整し、この調整後の圧縮空気を噴霧銃10の空気送出路16に供給する。具体的に、この空気調整器30は、空気圧縮機20から供給された圧縮空気を噴霧銃10の吹付空気圧力に応じた大きさに減圧し、この減圧後の圧縮空気の単位時間当りの流量を空気圧縮機20から供給された圧縮空気の単位時間当りの供給量よりも増量させるものである。そして、この空気調整器30は、その単位時間当りの流量を増幅させた低圧の圧縮空気を噴霧銃10の空気送出路16に供給するものである。ここで示す空気調整器30は、空気送出路16に供給する圧縮空気を0.02MPaから0.05MPaの間の何れかの圧力に調整し、かつ、空気送出路16に供給する圧縮空気を毎分100Lから2,000Lの間の何れかの流量に調整する。後述する具体的な例示における空気調整器30は、空気圧縮機20から供給された0.5MPaの圧縮空気を0.035MPaに減圧させ且つ毎分1000Lの流量に増量させる。
【0033】
この空気調整器30は、空気圧縮機20から圧縮空気が供給される第1流路31aを備える(図1及び図2)。ここで示す空気調整器30は、両端部を開口させた筒状の空気導入部材31を備えており、この空気導入部材31における柱状の内部空間を第1流路31aとして利用している(図2)。ここで示す空気導入部材31は、耐熱性が高く且つ高強度の合成樹脂材料(例えば、エンジニアリングプラスチック)を用いて円筒状に成形されている。先の配管61は、この空気導入部材31の一端部に接続され、空気圧縮機20から吐出された圧縮空気を円柱状の第1流路31aに送り込む。
【0034】
また、この空気調整器30は、第1流路31aの圧縮空気を減圧して吐出させるノズル32を備える(図1及び図2)。このノズル32は、第1流路31aの圧縮空気の流量を減らして吐出させることによって、この吐出後の圧縮空気を第1流路31aの圧縮空気の圧力よりも減圧させる。このノズル32は、一端部を開口させ且つこの開口よりも他端部の開口の開口面積を絞り込んだ筒状に成形され、その一端部が空気導入部材31の他端部に同軸上で接続される。このノズル32は、一端部側から第1流路31aの圧縮空気を流入させ、その圧縮空気を他端部の開口から吐出させる。
【0035】
ここで示すノズル32は、空気導入部材31の他端部に接続される一端部側の円筒状の本体32aと、他端部側の円錐筒形状のノズル先端部32bと、を有している(図2)。このノズル32においては、第1流路31aの圧縮空気が本体32aの内部空間を介してノズル先端部32bの内部空間に供給され、この供給された第1流路31aの圧縮空気をノズル先端部32bの先端の吐出口32bから吐出させる。この吐出口32bは、円形貫通孔として形成されている。このノズル32においては、その一端部の開口(本体32aの開口)から空気導入部材31の他端部が挿入され、この一端部の内壁(本体32aの内壁)に空気導入部材31の他端部が嵌入又は螺着されている。
【0036】
また、この空気調整器30は、ノズル32から吐出された圧縮空気を流入させる第2流路33aと、噴霧銃10の空気送出路16に連通させ、この空気送出路16に送り込む第2流路33aの圧縮空気を吐出させる吐出口33bと、を備える(図1及び図2)。更に、この空気調整器30は、ノズル32から第2流路33aに吐出された圧縮空気の流れによって外部空気を第2流路33aに吸入させる外気吸入口33cを備える(図1及び図2)。この空気調整器30は、その外部空気と共に塵埃を吸引させぬように、その外気吸入口33cにフィルタ34を備える。そのフィルタ34には、例えば、外部空気の吸引抵抗が低い不織布の積層体を用いればよい。
【0037】
ここで示す空気調整器30は、両端部を開口させた筒状の空気導出部材33を備えており、この空気導出部材33に第2流路33aと吐出口33bと外気吸入口33cを設けている(図2)。この空気導出部材33は、空気導入部材31と同様の合成樹脂材料を用いて成形される。この空気導出部材33においては、柱状の内部空間を第2流路33aとして利用する。また、この空気導出部材33においては、その一端部に接続されたノズル32から第2流路33aに圧縮空気が吐出され、この第2流路33aの圧縮空気を他端部の開口から吐出させる。よって、この空気導出部材33においては、その他端部の開口を吐出口33bとして利用する。また、この空気導出部材33においては、その内外を連通させる貫通孔が周壁体に形成されており、この貫通孔を外気吸入口33cとして利用する。外気吸入口33cは、少なくとも1つ設ける。
【0038】
また、ここで示す空気導出部材33は、円筒状に形成された一端部側の第1円筒部33dと、この第1円筒部33dと同軸上で第1円筒部33dよりも外径が小さく且つ第1円筒部33dと内径が同じ円筒状に形成された他端部側の第2円筒部33eと、を有している(図2)。この空気導出部材33においては、その第1円筒部33dと第2円筒部33eのそれぞれの円柱状の内部空間を第2流路33aとして利用し、第2円筒部33eにおける第1円筒部33dとは逆側の端部の開口を吐出口33bとして利用する。そして、この空気導出部材33においては、その第1円筒部33dの周壁体に、外気吸入口33cとして利用する貫通孔が形成されている。
【0039】
この空気導出部材33の一端部には、その開口からノズル先端部32b、本体32aの順に挿入されたノズル32が同軸上で接続される。よって、そのノズル先端部32bは、第1流路31aの圧縮空気を先端の吐出口32bから第2流路33aに吐出させることができる。この空気導出部材33においては、第1円筒部33dの一端部側の開口からノズル32が挿入され、この第1円筒部33dの一端部側の内壁にノズル32の本体32aが嵌入又は螺着されている。このため、第1円筒部33dの一端部側の内径は、その本体32aの外径に合わせた大きさに形成されている。
【0040】
この空気導出部材33においては、ノズル先端部32bの吐出口32bから圧縮空気を第2流路33aに吐出させることによって、このノズル先端部32bの周囲に負圧を発生させ、外気吸入口33cから大気圧の外部空気を第2流路33aに吸入させる。このため、外気吸入口33cは、その外部空気の吸入効率を高めるべく、ノズル先端部32bの軸線に対する直交方向で当該ノズル先端部32bの外壁面に対向配置させることが望ましい。
【0041】
この空気導出部材33は、送気管12の内部空間に吐出口33bを内在させるべく、その吐出口33b側から送気管12の内部空間に挿入され、この送気管12に同軸上で接続される。よって、この空気導出部材33は、第2流路33aの圧縮空気を吐出口33bから送気管12の内部空間に吐出させることができる。ここで示す送気管12には、その端部の開口から第2円筒部33e、第1円筒部33dの順に空気導出部材33が挿入され、この端部の内壁に第1円筒部33dが嵌入又は螺着されている。つまり、ここで示す空気調整器30は、噴霧銃10に対して直接的に接続されている。この空気調整器30の被接続部は、吐出口33bを噴霧銃10に内在させたまま当該噴霧銃10の接続部に接続させる。ここでは、この空気調整器30を噴霧銃10に対して直接的に接続するための当該空気調整器30の被接続部として、空気導出部材33の第1円筒部33dが用いられ、この空気調整器30が直接的に接続される噴霧銃10の接続部として、送気管12の端部が用いられている。
【0042】
この空気調整器30において、ノズル32と第2流路33aと外気吸入口33cは、そのノズル32から第2流路33aに吐出された圧縮空気と外気吸入口33cから第2流路33aに吸入された外部空気とによって、吐出口33bにおける圧縮空気の単位時間当りの流量をノズル32における圧縮空気の単位時間当りの吐出量よりも増量させつつ、この吐出口33bにおける圧縮空気の圧力が噴霧銃10の吹付空気圧力に応じた大きさとなるように、ノズル32から吐出された圧縮空気を減圧させる形状に形成される。具体的に、ノズル32と第2流路33aと外気吸入口33cは、そのノズル32から第2流路33aに吐出された圧縮空気と外気吸入口33cから第2流路33aに吸入された外部空気とによって、吐出口33bの圧縮空気が0.02MPaから0.05MPaの間の何れかの圧力となるように調整可能で、かつ、吐出口33bの圧縮空気が毎分100Lから2,000Lの間の何れかの流量となるように調整可能な形状のものとして形成される。ここでは、吐出口33bでこの調整後の圧縮空気となるように、ノズル32と第2流路33aと外気吸入口33cを以下の如き形状のものに形成する。
【0043】
ノズル32においては、吐出口33bでその調整後の圧縮空気となるように、ノズル先端部32bの形状を決めている。このノズル先端部32bは、テーパ角度が鋭角の円錐筒形状から成り、テーパ角度が鋭角の円錐形状の内部空間を有している。このノズル先端部32bは、このような鋭角の円錐形状の内部空間を有することによって、第1流路31aから吐出口32bに向かう圧縮空気の流れを緩やかし、この圧縮空気の流動抵抗を減らして、損失を低減させる。更に、このノズル先端部32bにおいては、外気吸入口33cからの外部空気の引き込み易さを考慮して、先端の吐出口32bが1.5mmから2.5mmの間の何れかの直径から成る円形貫通孔として形成される。ここで示す具体的な例示のノズル先端部32bは、テーパ角度が60度の円錐筒形状から成り、テーパ角度が60度の円錐形状の内部空間を有している。そして、ここで示す具体的な例示の吐出口32bは、直径1.9mmの円形貫通孔として形成されている。
【0044】
また、第2流路33aは、外気吸入口33cから外部空気を引き込み易くするために、5mmから8mmの間の何れかの直径から成る円柱状の流路に形成される。ここで示す具体的な例示の第2流路33aは、直径6.7mmの円柱状の流路として形成されている。
【0045】
また、外気吸入口33cについては、ノズル32から吐出された圧縮空気の流量を外部空気で増幅させるために必要な外部空気の単位時間当りの吸入量に応じて、その数と開口面積を決める。ここで示す外気吸入口33cは、その開口面積を200mmとし、軸周りに3つ並べてノズル先端部32bの外壁面に対向配置させている。
【0046】
ここで、第2流路33aは、ノズル32の吐出口32bの位置から他端部の吐出口33bに至るまで、同じ直径の円柱状の流路として形成してもよいが、吐出口33bの前後の圧縮空気の圧力差を減らし又は無くし、送気管12から空気送出路16に至るまでの圧縮空気の流れを均一にして、塗装材の噴霧パターンの安定化を図るべく、次のような形状に形成してもよい。例えば、第2流路33aは、ノズル32側の円柱状の円柱流路33aと、この円柱流路33aの端部を上底とし且つ吐出口33bを下底とする円錐台形状の円錐台流路33aと、を有する形状のものであってもよい(図2)。ここで示す第2流路33aは、5mmから8mmの間の何れかの直径(ここで示す具体的な例示では直径6.7mm)から成る円柱状の円柱流路33aと、この円柱流路33aの端部を上底とし且つ直径12mmの円形の吐出口33bを下底とする円錐台形状の円錐台流路33aと、を有している。
【0047】
この空気調整器30は、第1流路31aを開閉させる開閉弁35を空気導入部材31に備えている(図1及び図2)。ここで示す開閉弁35は、開弁時に第1流路31aとの連通が可能な連通路35aを有する球体状の弁体35aと、この弁体35aを開弁状態と閉弁状体との間で回動させる操作レバー35bと、を備える(図2)。
【0048】
以上示したように、本実施形態の塗装装置1は、空気供給源に空気圧縮機20を用いたとしても、その空気圧縮機20と噴霧銃10との間に空気調整器30を介在させることで、電動ブロワを用いた従来の塗装装置と同じように、低圧で且つ大流量の圧縮空気を噴霧銃10に供給することができる。このため、この塗装装置1は、その従来の塗装装置と同じように、霧化した塗装材の粒径を小さくすることができ、かつ、被塗装面からの塗装材の跳ね返りを軽減させることができるので、塗着効率に優れた塗装が可能になる。
【0049】
ここで、電動ブロワを用いた従来の塗装装置においては、作業者が電動ブロワを背負う若しくは肩に掛けるなどして身に付ける。しかしながら、本実施形態の塗装装置1は、空気供給源に空気圧縮機20を用いることによって、少なくとも噴霧銃10と空気調整器30を作業者が携行すればよく、電動ブロワを用いた従来の塗装装置のように、作業者が電動ブロワの如き重量物で且つ嵩張る道具を携行する必要が無いので、作業者の負担が軽減され、作業性を向上させることができる。従って、この塗装装置1は、電動ブロワを用いた従来の塗装装置と比較して、利便性の高いものとなる。
【0050】
尚、空気調整器30は、噴霧銃10に内蔵してもよい。この場合でも、この塗装装置1は、電動ブロワを用いた従来の塗装装置と比較して、作業者の負担が軽減され、作業性を向上させることができるので、利便性の高いものとなる。
【0051】
更に、電動ブロワを用いた従来の塗装装置においては、作業者が電動ブロワを身に付けなかった場合、電動ブロワの吐出圧力の低さ故、この電動ブロワを作業者の近くに置く必要がある。このため、この従来の塗装装置においては、長尺の電源コードによる電圧降下を考慮すると、電動ブロワの電源が作業場に必要になり、作業場に既設の電源が無かった場合、エンジン式発電機等の可搬タイプの電源を作業場に持ち込む必要がある。一方、本実施形態の塗装装置1は、空気供給源に空気圧縮機20を用いることによって、電動ブロワを用いた従来の塗装装置と比較して、空気調整器30と空気圧縮機20を繋ぐ配管61を噴霧銃と電動ブロワを繋ぐ配管よりも長くできるので、空気圧縮機20を電動ブロワよりも噴霧銃10から引き離した場所に設置することができる。そして、この塗装装置1は、電動ブロワを用いた従来の塗装装置と比較して、電源(空気圧縮機20の電源)についても、噴霧銃10から離れた場所に既設の電源を利用することができる又は噴霧銃10から離れた場所に可搬タイプの発電機等の電源を設置することができる。このため、この塗装装置1は、作業場の近くに電源が無くても塗装作業を行うことができる。また、この塗装装置1は、空気供給源に空気圧縮機20を用いることによって、電動ブロワを用いた従来の塗装装置のように、作業者の近くに電動ブロワや発電機等の嵩張る機器を設置する必要も無いので、狭い作業場や足場の悪い作業場での作業性を向上させることができる。また、この塗装装置1は、防爆エリア(例えば、ガスタンクの中、地下通路、空港、製油所等)が作業場となる場合に、防爆エリア外の電源を利用したり、防爆エリア外に可搬タイプの電源を設置したりすることができ、防爆エリア外の空気圧縮機20又は防爆式の空気圧縮機20の圧縮空気を利用できるので、防爆エリアでの作業が可能になる。このように、この塗装装置1は、電動ブロワを用いた従来の塗装装置と比較して、利便性の高いものとなる。
【0052】
また更に、本実施形態の塗装装置1は、空気供給源に空気圧縮機20を用いているので、1つの空気圧縮機20と当該空気圧縮機20に給電する1箇所の既設の電源又は1つの可搬タイプの電源とを用意することによって、その空気圧縮機20から複数の噴霧銃10に圧縮空気を供給することができる。つまり、この塗装装置1は、1つの空気圧縮機20と当該空気圧縮機20に給電する1箇所の既設の電源又は1つの可搬タイプの電源とによって、複数の噴霧銃10の同時使用が可能になる。これに対して、電動ブロワを用いた従来の塗装装置においては、複数の噴霧銃10を使用する場合、その噴霧銃10毎の電動ブロワと電動ブロワ毎の電源が必要になる。従って、本実施形態の塗装装置1は、電動ブロワを用いた従来の塗装装置と比較して、利便性の高いものとなる。
【0053】
また更に、本実施形態の塗装装置1は、噴霧銃10と空気調整器30との間に別の柔軟な配管(図示略)を介在させてもよい。つまり、空気調整器30は、吐出口33bから吐出された第2流路33aの圧縮空気を空気送出路16に送る柔軟な配管を介して噴霧銃10に接続してもよい。これにより、この塗装装置1は、作業者が噴霧銃10だけを携行すればよいので、作業者の更なる負担軽減と作業性の向上が可能になる。
【0054】
また更に、本実施形態の塗装装置1は、空気圧縮機20と空気調整器30との間に、空気圧縮機20から吐出された圧縮空気の圧力を調節し、この調節後の圧縮空気を第1流路31aに供給する圧力調節器(図示略)を備えてもよい。その圧力調節器は、例えば、空気導入部材31に組み付ける。
【0055】
また更に、本実施形態の塗装装置1は、空気圧縮機20と空気調整器30との間に、空気圧縮機20から吐出された圧縮空気を加熱可能なヒータ等の温風生成器(図示略)を備えてもよい。これにより、この塗装装置1は、噴霧された塗装材の乾燥を促進させることができる。
【0056】
ここで、本実施形態の塗装装置1は、その空気圧縮機20から吐出された圧縮空気を動力源にして移動する無人移動機器(図示略)と共に塗装システムを構成してもよい。その無人移動機器とは、塗装対象物や塗装箇所まで遠隔操作で無人移動させることが可能な制御対象機器のことである。例えば、この無人移動機器としては、空路を移動する無人航空機、陸路を移動する無人陸送移動機、壁面に沿って移動する無人壁面移動機等が考えられる。無人陸送移動機や無人壁面移動機は、例えば、ガイドレール等に沿って被塗装面を移動するものであってもよく、車輪や転舵装置等を使って被塗装面を移動するものであってもよい。この無人移動機器には、噴霧銃10又は噴霧銃10及び空気調整器30を搭載する。そして、この塗装システムにおいては、少なくとも噴霧銃10からの噴霧とその噴霧の停止を制御する制御装置(図示略)を設ける。その制御装置には、無人移動機器の駆動制御用の制御装置を利用してもよい。
【0057】
この塗装システムは、塗装装置1が奏する効果と同様の効果を得ることができる。そして、この塗装システムは、塗装装置1の空気圧縮機20から吐出された圧縮空気を無人移動機器の動力源に利用するので、無人移動機器の軽量化が可能なる。また、この塗装システムは、無人移動機器の動力源に電動モータや燃機関を使わないので、防爆エリアでの作業が可能になる。また、この塗装システムは、作業者が噴霧銃10を操作する場合と比較して、更に高い位置での高所作業が可能になる。そして、この塗装システムは、噴霧銃10の近くに作業者が居なくてもよいので、噴霧された塗装材の作業者への飛散を抑止することができる。よって、この塗装システムは、そのような塗装材の飛散を抑止するための機構を塗装装置1に設けずともよく又は当該機構の簡素化が可能になり、また、揮発性の高い塗装材の使用を可能にする。
【0058】
以上示したように、本実施形態の塗装装置1及び塗装システムは、高い利便性を得ながらも、塗着効率に優れた塗装を行うことができる。
【符号の説明】
【0059】
1 塗装装置
10 噴霧銃
16 空気送出路
20 空気圧縮機
30 空気調整器
31a 第1流路
32 ノズル
32b ノズル先端部
32b 吐出口(円形貫通孔)
33a 第2流路
33b 吐出口
33c 外気吸入口
図1
図2