(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-23
(45)【発行日】2024-10-31
(54)【発明の名称】プレスカウンタシステム
(51)【国際特許分類】
B30B 15/28 20060101AFI20241024BHJP
B30B 15/14 20060101ALI20241024BHJP
B30B 15/26 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
B30B15/28 Z
B30B15/14 Z
B30B15/26
(21)【出願番号】P 2021028834
(22)【出願日】2021-02-25
【審査請求日】2023-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】595007149
【氏名又は名称】株式会社コスモネット
(74)【代理人】
【識別番号】100129643
【氏名又は名称】皆川 祐一
(72)【発明者】
【氏名】山本 猛
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-155700(JP,A)
【文献】実開平6-5799(JP,U)
【文献】特開2018-94567(JP,A)
【文献】米国特許第6594597(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 15/28
B30B 15/14
B30B 15/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレス機械に取り付けられるプレスカウンタと、作業者によって操作されるハンディターミナルとを含み、前記プレスカウンタと前記ハンディターミナルとの間で光を搬送波とする通信を行うプレスカウンタシステムであって、
前記プレスカウンタは、
振動を検出する振動検出手段と、
前記プレス機械のプレス動作の回数を計数する計数手段と、
前記ハンディターミナルからの指示により、ティーチングモードと、プレス回数カウントモードとを設定するモード設定手段と、
前記ティーチングモードが設定された状態において、前記プレス機械が1回のプレス動作を行った際に、前記振動検出手段により最初の振動が検出された時点から最後の振動が検出された時点までの時間を求めて、当該時間に基づくオン時間を設定し、前記オン時間の終了からの所定時間をウェイト時間に設定する時間設定手段と、
前記プレス回数カウントモードが設定された状態において、前記プレス機械のプレス動作の開始後、前記振動検出手段により最初の振動が検出されてから前記オン時間が経過するまでに、前記振動検出手段により最初の振動を含めて2回以上振動が検出された場合に、前記計数手段の計数値をインクリメントし、前記オン時間が経過した後、前記ウェイト時間が経過するまでの期間、前記振動検出手段による振動の検出を停止する回数検出制御手段と、を含む、プレスカウンタシステム。
【請求項2】
前記モード設定手段は、前記ティーチングモードが設定された状態において、前記ハンディターミナルから前記ティーチングモードの終了が指示されたことに応じて、前記ティーチングモードを終了し、
前記時間設定手段は、前記モード設定手段により前記ティーチングモードが終了された場合、前記オン時間の終了から前記ティーチングモードの終了までの時間を前記ウェイト時間に設定する、請求項1に記載のプレスカウンタシステム。
【請求項3】
前記時間設定手段は、最後に振動が検出されてから一定時間が経過しても、前記ティーチングモードが終了していない場合、前記ウェイト時間を固定値に設定する、請求項1または2に記載のプレスカウンタシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレス機械におけるプレス回数を計数するプレスカウンタシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
金属製品の加工には、プレス機械が広く使用されている。
【0003】
プレス機械には、その種類に応じて、せん断加工、曲げ加工または絞り加工に用いられるプレス金型、ワイヤハーネスの電線への圧着端子の圧着に用いられるアプリケータ、シャーリング加工に用いられるシャーリング刃などの工具が備えられている。それらの工具類は、使用に伴って摩耗や変形を生じる。工具類に摩耗や変形が生じると、精度のよく加工できなくなるため、一定回数以上使用した工具類は、新品と交換する必要がある。
【0004】
プレス機械におけるプレス回数(工具類の使用回数)を計数する構成として、たとえば、リミットスイッチをプレス動作時に移動する部材が当接する位置に設けて、リミットスイッチからの検出信号の出力回数をカウンタ回路により計数する構成が公知である(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、かかる構成は、プレス機械の製品ごとにリミットスイッチの取付位置などを設計しなければならず、プレス機械の種類を問わずに汎用することはできない。
【0007】
本発明の目的は、種々のプレス機械に汎用できる、プレスカウンタシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するため、本発明に係るプレスカウンタシステムは、プレス機械に取り付けられるプレスカウンタと、作業者によって操作されるハンディターミナルとを含み、プレスカウンタとハンディターミナルとの間で光を搬送波とする通信を行うプレスカウンタシステムであって、プレスカウンタは、振動を検出する振動検出手段と、プレス機械のプレス動作の回数を計数する計数手段と、ハンディターミナルからの指示により、ティーチングモードと、プレス回数カウントモードとを設定するモード設定手段と、ティーチングモードが設定された状態において、プレス機械が1回のプレス動作を行った際に、振動検出手段により最初の振動が検出された時点から最後の振動が検出された時点までの時間を求めて、当該時間に基づくオン時間を設定し、オン時間の終了からの所定時間をウェイト時間に設定する時間設定手段と、プレス回数カウントモードが設定された状態において、プレス機械のプレス動作の開始後、振動検出手段により最初の振動が検出されてからオン時間が経過するまでに、振動検出手段により最初の振動を含めて2回以上振動が検出された場合に、計数手段の計数値をインクリメントし、オン時間が経過した後、ウェイト時間が経過するまでの期間、振動検出手段による振動の検出を停止する回数検出制御手段とを含む。
【0009】
この構成によれば、プレスカウンタとハンディターミナルとの間では、光を搬送波とする通信が行われる。
【0010】
プレスカウンタには、ハンディターミナルからの指示により、ティーチングモードとプレス回数カウントモードとが設定される。ティーチングモードでは、プレス機械が1回のプレス動作を行った際に、振動検出手段によって振動が検出され、最初の振動が検出された時点から最後の振動が検出された時点までの時間が求められる。そして、その時間に基づくオン時間が設定されるとともに、オン時間の終了からの所定時間がウェイト時間に設定される。そして、プレス回数カウントモードでは、プレス機械のプレス動作の開始後、振動検出手段により最初の振動が検出されてからオン時間が経過するまでに、振動検出手段により最初の振動を含めて2回以上振動が検出された場合に、プレス動作の回数を計数する計数手段の計数値がインクリメントされる。
【0011】
プレス機械では、プレス動作が行われると、少なくともプレス金型(雄型)やアプリケータなどの工具が被加工材に当接した時と被加工材のせん断や変形などの加工が完了した時との2回の振動が発生する。したがって、ティーチングモードで設定されたオン時間に2回以上の振動が検出された場合、プレス動作が行われたと判断することができ、計数手段の計数値をインクリメントすることにより、プレス動作が行われた回数を正確に計数することができる。
【0012】
また、プレス回数カウントモードでは、オン時間の経過時からウェイト時間が経過するまでの期間、振動検出手段による振動の検出が停止されるので、その期間に2回以上の振動が生じても、プレス動作の回数を計数する計数手段の計数値がインクリメントされることがない。これにより、プレス動作が行われた回数の誤計数を防止することができる。
【0013】
プレスカウンタの取付位置は、プレス動作による振動が伝わる部位であればよく、プレス動作時に移動する部材の位置による制約を受けない。また、プレスカウンタとハンディターミナルとが無線で通信可能に接続されるので、それらを接続する通信線の配索の制約もない。さらに、ティーチングモードが設けられているので、種々のプレス機械において、プレス動作による振動パターンによるオン時間およびウェイト時間を適切設定して、そのオン時間およびウェイト時間を用いることにより、プレス動作が行われたことを正確に判断することができる。
【0014】
よって、プレスカウンタシステムは、種々のプレス機械に汎用することができ、種々のプレス機械におけるプレス動作の回数を正確に計数することができる。
【0015】
モード設定手段は、ティーチングモードが設定された状態において、ハンディターミナルからティーチングモードの終了が指示されたことに応じて、ティーチングモードを終了し、時間設定手段は、モード設定手段によりティーチングモードが終了された場合、オン時間の終了からティーチングモードの終了までの時間をウェイト時間に設定してもよい。
【0016】
また、時間設定手段は、最後に振動が検出されてから一定時間が経過しても、ティーチングモードが終了していない場合、ウェイト時間を固定値に設定してもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、種々のプレス機械に汎用することができ、種々のプレス機械におけるプレス動作の回数を正確に計数することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係るプレスカウンタシステムの構成を示すブロック図である。
【
図2】プレス回数カウントモードにおけるプレス回数検出動作について説明するためのタイミングチャートである。
【
図3】ティーチングモードにおけるオン時間およびウェイト時間の設定の一例について説明するためのタイミングチャートである。
【
図4】ティーチングモードにおけるオン時間およびウェイト時間の設定の他の例について説明するためのタイミングチャートである。
【
図5】ティーチングモードにおけるオン時間およびウェイト時間の設定の失敗例について説明するためのタイミングチャートである。
【
図6】ティーチングモードにおけるオン時間およびウェイト時間の設定の他の失敗例について説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0020】
<プレスカウンタシステム>
図1は、本発明の一実施形態に係るプレスカウンタシステム1の構成を示すブロック図である。
【0021】
プレスカウンタシステム1は、プレス機械4(
図2参照)に取り付けられるプレスカウンタ2と、作業者によって操作されるハンディターミナル3とを含む。
【0022】
プレスカウンタ2は、プレス機械4におけるプレス動作の回数を計数する機器であり、プレス機械4に着脱可能に取り付けることができる。プレスカウンタ2には、振動を検出するためのピエゾ素子(圧電変換素子)21と、CPU22およびメモリ23を含む制御部24と、ハンディターミナル3との光通信のための光IC25と、動作状態を表示するための表示LED26と、各部に動作電力を供給する電池27とが備えられている。制御部24には、ピエゾ素子21の出力信号からプレス機械4の振動を検出する振動検出回路が設けられている。
【0023】
ピエゾ素子21の出力信号からプレス機械4の振動が検出されて、その振動に基づいて、制御部24のCPU22により、プレス動作が行われたと判断されると、回数カウンタのカウント値(計数値)がインクリメント(+1)される。回数カウンタは、プレス動作の回数をカウントするカウンタであり、メモリ23に設定されている。メモリ23は、たとえば、フラッシュメモリである。
【0024】
プレスカウンタ2とハンディターミナル3との間では、光を搬送波とする通信を行うことができる。その通信により、プレスカウンタ2の回数カウンタの計数値、つまりプレスカウンタ2で計数されたプレス動作の回数をハンディターミナル3に読み出すことができる。また、ハンディターミナル3をPC(パソコン)などの端末に接続して、ハンディターミナル3に収集された情報を端末に転送することができる。これにより、端末において、複数のプレス機械4におけるプレス動作の回数を一元的に管理することができる。
【0025】
<プレス回数カウントモード>
図2は、プレス回数カウントモードにおけるプレス回数検出動作について説明するためのタイミングチャートである。
【0026】
プレス機械4は、たとえば、プレス金型を用いた打ち抜き加工を行う機械である。プレス金型には、プレス機械4内に固定的に設けられるダイ(雌型)41と、プレス機械4内でダイ41に対して昇降可能に設けられるパンチ(雄型)42とが含まれる。ダイ41には、パンチ42に対応するダイ穴が形成されている。
【0027】
被加工材の打ち抜き加工時には、被加工材がダイ41とパンチ42との間に配置される。そして、パンチ42がダイ穴に向けて下降する。パンチ42の下端面が被加工材に接触した後、パンチ42がさらに下降すると、被加工材がダイ41およびパンチ42からせん断力を受ける。このせん断力により、被加工物にダイおよびパンチとの当接部分付近からクラックが生じる。パンチ42の下降が進み、それらのクラックがつながると、被加工物におけるパンチ42に押されている部分がダイ穴に抜け落ちる。したがって、プレス機械4では、パンチ42が被加工材に当接した時と、被加工物におけるパンチ42に押されている部分が抜け落ちた時とにそれぞれ振動が発生するので、プレス加工時には、少なくとも2回の振動が発生する。
【0028】
プレスカウンタ2は、動作モードとして、プレス機械4のプレス動作が行われたか否かを判定する条件を設定するためのティーチングモードと、プレス動作が行われた回数を計数するためのプレス回数カウントモードとを有している。ティーチングモードおよびプレス回数カウントモードは、作業者がハンディターミナル3を操作することにより選択的に設定される。すなわち、ハンディターミナル3において、選択スイッチの押操作によりティーチングモードが選択された後、エンターキーが押操作されると、ハンディターミナル3からプレスカウンタ2に、ティーチングモードの設定の指示が送信される。プレスカウンタ2では、ハンディターミナル3からティーチングモードの設定の指示を受信すると、CPU22により、プレスカウンタ2の動作モードとして、ティーチングモードが設定される。一方、ハンディターミナル3において、選択スイッチの押操作によりプレス回数カウントモードが選択された後、エンターキーが押操作されると、ハンディターミナル3からプレスカウンタ2に、プレス回数カウントモードの設定の指示が送信される。プレスカウンタ2では、ハンディターミナル3からプレス回数カウントモードの設定の指示を受信すると、CPU22により、プレスカウンタ2の動作モードとして、プレス回数カウントモードが設定される。
【0029】
プレス回数カウントモードでは、ピエゾ素子21の出力信号が立ち上がり、その出力信号のレベルが閾値を超えると、制御部24に設けられている振動検出回路により、プレス機械4の振動が検出される。振動が検出されると、制御部24に設けられているオンタイマによる計時が開始される(時刻T1)。オンタイマは、ティーチングモードで設定されるオン時間を計測するタイマであり、計時開始からオン時間が経過するとタイムアップする。
【0030】
オン時間内に2回目の振動が検出された場合、CPU22では、プレス動作が行われたと判断される。この場合、CPU22により、メモリ23に設けられている回数カウンタのカウント値がインクリメントされる。
【0031】
オン時間内に2回以上の振動が検出されなかった場合、つまり最初の振動の検出から次の振動が検出されずにオン時間が経過した場合、CPU22では、プレス動作が行われたと判断されず、回数カウンタのカウント値のインクリメントは行われない。
【0032】
オンタイマがタイムアップすると、制御部24に設けられているウェイトタイマによる計時が開始される(時刻T2)。ウェイトタイマは、ティーチングモードで設定されるウェイト時間を計測するタイマであり、計時開始からウェイト時間が経過するとタイムアップする。そして、ウェイトタイマがタイムアップするまでの期間、つまりオン時間の経過時からウェイト時間が経過するまでの間、振動検出回路による振動の検出動作が停止される。なお、振動検出回路による振動の検出動作の停止と振動検出回路による振動の検出の無効とは、等価である。
【0033】
<ティーチングモード>
図3は、ティーチングモードにおけるオン時間およびウェイト時間の設定の一例について説明するためのタイミングチャートである。
【0034】
ティーチングモードでは、作業者は、プレス機械4を操作して、プレス機械4に1回のプレス動作を行わせる。また、プレス動作の開始時に、作業者は、ハンディターミナル3を操作して、ハンディターミナル3からプレスカウンタ2に時間設定処理の開始の指示を送信する(時刻T11)。この指示を受けて、プレスカウンタ2では、時間設定処理が開始される。
【0035】
時間設定処理の開始後、振動検出回路により振動が検出されると、制御部24に設けられている内部タイマによる計時が開始される(時刻T12)。また、振動の検出から約1秒後に、CPU22が表示LED26の点灯制御を行うことにより、表示LED26が高速で点滅し始める(時刻T13)。表示LED26の高速点滅は、約10秒間継続する。
【0036】
その後、振動検出回路により2回目の振動が検出されると、表示LED26の点灯制御により、表示LED26が高速点滅している場合には、表示LED26が消灯されて(時刻T14)、振動の検出から約1秒後に、表示LED26が再び高速点滅し始める(時刻T15)。また、2回目の振動が検出された時点における内部タイマの計測時間がメモリ23に記憶される。
【0037】
さらに、振動検出回路により3回目の振動が検出された場合も同様に、表示LED26の点灯制御により、表示LED26が高速点滅している場合には、表示LED26が消灯されて(時刻T16)、振動の検出から約1秒後に、表示LED26が再び高速点滅し始める(時刻T17)。また、3回目の振動が検出された時点における内部タイマの計測時間がメモリ23に記憶される。
【0038】
そして、プレス機械4における1回のプレス動作が終了すると、作業者は、ハンディターミナル3を操作して、ハンディターミナル3からプレスカウンタ2に時間設定処理の終了の指示を送信する。この指示を受けて、時間設定処理が終了となり、内部タイマによる計時が終了される(時刻T18)。その後、表示LED26が0.2秒間点灯された後に消灯される(時刻T19)。また、時間設定処理の終了とともに、ティーチングモードが終了となる。
【0039】
かかる場合、3回の振動が検出されたので、3回目の振動が最後の振動となり、CPU22により、3回目の振動が検出された時間における内部タイマの計測時間がメモリ23から読み出されて、その読み出された計測時間がオン時間に設定される。
【0040】
また、CPU22により、オン時間の終了時、つまり3回目の振動が検出された時間から時間設定処理の終了までの時間がウェイト時間に設定される。
【0041】
図4は、ティーチングモードにおけるオン時間およびウェイト時間の設定の他の例について説明するためのタイミングチャートである。
【0042】
前述の例では、プレス機械4における1回のプレス動作が終了すると、作業者がハンディターミナル3を操作して、ハンディターミナル3からプレスカウンタ2に時間設定処理の終了の指示が送信されるとした。それに限らず、プレス機械4における1回のプレス動作の終了後、ハンディターミナル3の操作が行われなくても、最後の振動の検出から一定時間が経過すると、時間設定処理が終了となり、内部タイマによる計時が終了されて(時刻T18)、その後、表示LED26が0.2秒間点灯された後に消灯されてもよい(時刻T19)。
【0043】
図5は、ティーチングモードにおけるオン時間およびウェイト時間の設定の失敗例について説明するためのタイミングチャートである。
【0044】
ハンディターミナル3からプレスカウンタ2に時間設定処理の開始の指示が送信されて(時刻T21)、時間設定処理が開始されてから一定時間(時間T21-T22)が経過すると、振動が検出されていなくても、内部タイマによる計時が開始される(時刻T22)。そして、その後の一定時間(時間T22-T23)、振動が検出されない状態が継続すると(時刻T23)、CPU22により、エラーと判断されて、表示LED26の点灯および消灯が3回繰り返されて、時間設定処理が終了される。
【0045】
図6は、ティーチングモードにおけるオン時間およびウェイト時間の設定の他の失敗例について説明するためのタイミングチャートである。
【0046】
ハンディターミナル3からプレスカウンタ2に時間設定処理の開始の指示が送信されて(時刻T31)、時間設定処理が開始された後、振動検出回路により振動が検出されると、内部タイマによる計時が開始される(時刻T32)。また、振動の検出から約1秒後に、表示LED26が高速で点滅し始める(時刻T33)。表示LED26の高速点滅は、約10秒間継続する。その表示LED26の高速点滅が約10秒間続いている間に、次の振動が検出されなかった場合、CPU22により、エラーと判断されて、表示LED26の高速点滅の終了後(時刻T34)、表示LED26の点灯および消灯が3回繰り返されて、時間設定処理が終了される。
【0047】
<作用効果>
以上のように、プレスカウンタ2とハンディターミナル3との間では、光を搬送波とする通信が行われる。
【0048】
プレスカウンタ2には、ハンディターミナル3からの指示により、ティーチングモードとプレス回数カウントモードとが設定される。ティーチングモードでは、プレス機械4が1回のプレス動作を行った際に、振動検出回路によって振動が検出され、最初の振動が検出された時点から最後の振動が検出された時点までの時間が求められる。そして、その時間に基づくオン時間が設定されるとともに、オン時間の終了からの所定時間がウェイト時間に設定される。そして、プレス回数カウントモードでは、プレス機械4のプレス動作の開始後、振動検出回路により最初の振動が検出されてからオン時間が経過するまでに、振動検出回路により最初の振動を含めて2回以上振動が検出された場合に、プレス動作の回数がインクリメントされる。
【0049】
プレス機械4では、パンチ42が被加工材に当接した時と、被加工物におけるパンチ42に押されている部分が抜け落ちた時とにそれぞれ振動が発生するので、プレス加工時には、少なくとも2回の振動が発生する。したがって、ティーチングモードで設定されたオン時間に2回以上の振動が検出された場合、プレス動作が行われたと判断することができ、プレス動作の回数をインクリメントすることにより、プレス動作が行われた回数を正確に計数することができる。
【0050】
また、プレス回数カウントモードでは、オン時間の経過時からウェイト時間が経過するまでの期間、振動検出回路による振動の検出動作が停止されるので、その期間に2回以上の振動が生じても、プレス動作の回数がインクリメントされることがない。これにより、プレス動作が行われた回数の誤計数を防止することができる。
【0051】
プレスカウンタ2の取付位置は、プレス動作による振動が伝わる部位であればよく、プレス動作時に移動する部材(パンチプレートなど)の位置による制約を受けない。また、プレスカウンタ2とハンディターミナル3とが無線で通信可能に接続されるので、それらを接続する通信線の配索の制約もない。さらに、ティーチングモードが設けられているので、種々のプレス機械4において、プレス動作による振動パターンによるオン時間およびウェイト時間を適切設定して、そのオン時間およびウェイト時間を用いることにより、プレス動作が行われたことを正確に判断することができる。
【0052】
よって、プレスカウンタシステム1は、種々のプレス機械4に汎用することができ、種々のプレス機械4におけるプレス動作の回数を正確に計数することができる。
【0053】
<変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することも可能であり、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0054】
1:プレスカウンタシステム
2:プレスカウンタ
3:ハンディターミナル
4:プレス機械
21:ピエゾ素子(振動検出手段)
22:CPU(モード設定手段、時間設定手段、回数検出制御手段)
23:メモリ(計数手段)
24:制御部(振動検出手段、計数手段、モード設定手段、時間設定手段、回数検出制御手段)
25:光IC