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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-23
(45)【発行日】2024-10-31
(54)【発明の名称】樹脂封止装置及び封止金型
(51)【国際特許分類】
   B29C 43/36 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
B29C43/36
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021198034
(22)【出願日】2021-12-06
(65)【公開番号】P2023083988
(43)【公開日】2023-06-16
【審査請求日】2024-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000144821
【氏名又は名称】アピックヤマダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】野村 祐大
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-088395(JP,A)
【文献】特開2016-101743(JP,A)
【文献】特開2005-053143(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 43/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材に電子部品が搭載されたワークを樹脂により封止して成形品に加工する封止金型であって、
前記ワークを保持するワーク保持部を有する第一型と、
前記ワーク保持部に保持された前記基材に一つの前記電子部品が搭載された複数の前記ワークまたは前記基材に複数の前記電子部品が搭載された前記ワークを個別にクランプする相互に分割された構造を有する複数個のクランパーと、複数個の前記クランパーのそれぞれにおける平面視中央位置に該クランパーとは非連動で上下動可能なキャビティ駒と、前記クランパーを前記ワーク保持部に向けて付勢するクランパーバネと、前記キャビティ駒を前記ワーク保持部に向けて付勢するキャビティ駒バネと、前記クランパー、前記キャビティ駒、及び前記クランパーバネを収容する内部空間並びに隣り合う前記内部空間を離隔する離隔部が設けられたキャビティブロックと、を有する第二型と、を備えること
を特徴とする封止金型。
【請求項2】
前記第二型は、前記キャビティブロックを貫通して前記内部空間へ挿通され、前記キャビティ駒バネの付勢力を前記キャビティ駒に伝達する可動ピンをさらに有すること
を特徴とする請求項1記載の封止金型。
【請求項3】
前記第二型は、前記キャビティブロックと接続すると共に、前記キャビティ駒バネを収容するプレートをさらに有すること
を特徴とする請求項1記載の封止金型。
【請求項4】
複数個の前記クランパーは、所定の一方向において並列状に配設された構成、もしくは、水平面内においてマトリクス状に配設された構成であること
を特徴とする請求項1記載の封止金型。
【請求項5】
前記クランパーバネは、平面視において、前記キャビティ駒バネと中心を一致させて配置された一つのバネ、もしくは、前記キャビティ駒バネを取り囲むように配置された複数個のバネによって構成されていること
を特徴とする請求項1記載の封止金型。
【請求項6】
前記クランパーバネによって、樹脂封止する際のワーククランプ力が設定され、
前記キャビティ駒バネによって、樹脂封止する際の成形圧力が設定される構成であること
を特徴とする請求項1記載の封止金型。
【請求項7】
前記クランパーバネは、バネ定数が異なる複数種類が設けられると共に、樹脂封止条件に応じた一つが選択されて前記第二型に着脱可能に固定される構成であること
を特徴とする請求項記載の封止金型。
【請求項8】
前記キャビティ駒バネは、バネ定数が異なる複数種類が設けられると共に、樹脂封止条件に応じた一つが選択されて前記第二型に着脱可能に固定される構成であること
を特徴とする請求項記載の封止金型。
【請求項9】
請求項1~請求項のいずれか一項に記載の封止金型を備える樹脂封止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂封止装置及び封止金型に関する。
【背景技術】
【0002】
基材に電子部品が搭載されたワークを封止樹脂(以下、単に「樹脂」と称する場合がある)により封止して成形品に加工する樹脂封止装置の例として、圧縮成形方式によるものが知られている。
【0003】
この圧縮成形方式は、上型と下型とを備えて構成される封止金型に設けられる封止領域(キャビティ)に所定量の樹脂を供給すると共に当該封止領域にワークを配置して、上型と下型とでクランプする操作によって樹脂封止する技術である(特許文献1:特開2019-136942号公報参照)。一例として、上型にキャビティを設けた封止金型を用いる場合、ワーク上の中心位置に一括して樹脂を供給して成形する技術等が知られている。一方、下型にキャビティを設けた封止金型を用いる場合、当該キャビティを含む金型面を覆うフィルム及び樹脂を供給して成形する技術等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-136942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
圧縮成形方式による成形に際して、生産効率の向上を図るため、封止金型における一つのワーク保持部に複数個のワークを保持し、一括して樹脂封止を行って成形品に加工する技術(いわゆる、「他列取り成形」)の研究開発がなされている。
【0006】
上記の他列取り成形に関して、本願発明者らは、先ず、一つのワーク保持部に保持される複数個のワークをクランプするクランパーを、一つ(すなわち一体)とする構成について検討を行った。この構成によれば、複数個のワークに対してクランパーが一つ(一体構造)で済むため、装置構造の簡素化を図ることができる。しかしながら、その一方で、クランパーを上下動可能に構成したとしても、ワークにおける厚みバラツキの吸収が不可能(もしくは困難)であった。その結果、厚いワークを破損させてしまう、あるいは、薄いワークのクランプ力が不足する、封止金型が傾くことにより成形品の平坦度が得られない等の課題が生じることとなった。さらに、樹脂量のバラツキも吸収が不可能(もしくは困難)であった。
【0007】
この課題に対して、本願発明者らは、ワーク保持部をワーク毎に上下動可能となる機構を備えることにより、ワーク厚みのバラツキ及び樹脂量のバラツキを吸収する構成について検討を行った。しかしながら、そのような構成によれば、一方の金型(例えば、上型)側において付勢部材を用いた上下動機構(例えば、クランパーの上下動機構)と、他方の金型(例えば、下型)側において付勢部材を用いた上下動機構(例えば、ワーク保持部の上下動機構)とが相互に作用しあうこととなり、樹脂封止する際の作用力、具体的には、ワーククランプ力及び成形圧力の調整がきわめて複雑となり、最適な作用力へ調整する際に多大な労力と時間を要する課題が生じることとなった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、簡素な装置構成によって、ワーク厚みのバラツキ及び樹脂量のバラツキのいずれも吸収が可能であると共に、樹脂封止する際のワーククランプ力及び成形圧力の設定を、いずれか一方の金型のみにおける調整によって容易且つ速やかに行うことが可能な封止金型と当該封止金型を備える樹脂封止装置を提供することを目的とする。
【0009】
本発明は、一実施形態として以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0010】
本発明に係る封止金型は、基材に電子部品が搭載されたワークを樹脂により封止して成形品に加工する封止金型であって、前記ワークを保持するワーク保持部を有する第一型と、前記ワーク保持部に保持された前記基材に一つの前記電子部品が搭載された複数の前記ワークまたは前記基材に複数の前記電子部品が搭載された前記ワークを個別にクランプする相互に分割された構造を有する複数個のクランパーと、複数個の前記クランパーのそれぞれにおける平面視中央位置に該クランパーとは非連動で上下動可能なキャビティ駒と、前記クランパーを前記ワーク保持部に向けて付勢するクランパーバネと、前記キャビティ駒を前記ワーク保持部に向けて付勢するキャビティ駒バネと、前記クランパー、前記キャビティ駒、及び前記クランパーバネを収容する内部空間並びに隣り合う前記内部空間を離隔する離隔部が設けられたキャビティブロックと、を有する第二型と、を備えることを要件とする。
【0011】
これによれば、複数個のワークに対して分割したクランパーにより個別に且つ上下動可能にクランプすることができるため、ワークにおける厚みバラツキの吸収が可能となり、ワークの破損や、クランプ力不足の発生を防ぐことができる。さらに、当該複数個のワークに対してキャビティ駒を個別に上下動させることができるため、樹脂量のバラツキの吸収も可能となる。
【0012】
また、一個の基材に段差(厚みの寸法差)がある場合や、一個の基材に搭載される複数個の電子部品毎に厚みの寸法差がある場合、さらには、当該電子部品毎に載置される樹脂の量にバラツキが有る場合等に対して、当該寸法差及び当該樹脂量バラツキのいずれも吸収することができる。
【0013】
また、クランパーバネによってワーククランプ力が設定でき、キャビティ駒バネによって成形圧力が設定できる。これによれば、ワーククランプ力及び成形圧力を、それぞれ個別に設定・調整することができるため、ワーク毎に(製品毎に)、封止条件の変更を細やかに行うことが可能となる。さらに、上記の作用力を、いずれか一方の金型のみにおける設定・調整で完結できるため、条件変更をきわめて容易に行うことが可能となる。
【0014】
また、複数個の前記クランパーは、所定の一方向において並列状に配設された構成、もしくは、水平面内においてマトリクス状に配設された構成であることが好ましい。これによれば、クランパー及びキャビティを並列状もしくはマトリクス状に複数個配設することができ、当該クランパー及びキャビティ毎に、ワーククランプ力及び成形圧力の調整が可能となる。したがって、例えば少量での試作を行った後、取り個数を増やす量産展開の際も、試作型の組込み設定をそのまま量産型へ移行することができる。
【0015】
また、前記クランパーバネは、平面視において、前記キャビティ駒バネと中心を一致させて配置された一つのバネ、もしくは、前記キャビティ駒バネを取り囲むように配置された複数個のバネによって構成されていることが好ましい。これによれば、一つのキャビティ駒バネに対して一つのバネで構成すれば、簡素でコンパクトな装置が実現できる。一方、一つのキャビティ駒バネに対して取り囲む配置による複数個のバネで構成すれば、大型のワークに対して、作用力特に(ワーククランプ力)のアンバランスを生じさせることなく、均一なクランプが可能となり、ワークの破損やクランプ力不足の発生を防ぐことができる。
【0016】
また、前記クランパーを支持するクランパー支持部と、前記クランパー支持部を貫通して上下動可能に配設される可動ピンと、をさらに備え、前記可動ピンを介して、前記クランパーバネの付勢力が前記キャビティ駒に伝達される構成であることが好ましい。これによれば、クランパーバネによりクランパーを付勢し、且つ、キャビティ駒バネによりキャビティ駒を付勢する構成を実現することができる。
【0017】
また、前記クランパーバネは、バネ定数が異なる複数種類が設けられると共に、樹脂封止条件に応じた一つが選択されて前記上型もしくは前記下型の前記他方に着脱可能に固定される構成であることが好ましい。また、前記キャビティ駒バネは、バネ定数が異なる複数種類が設けられると共に、樹脂封止条件に応じた一つが選択されて前記上型もしくは前記下型の前記他方に着脱可能に固定される構成であることが好ましい。これによれば、ワークに応じて、すなわち製品種別に応じて適切な作用力となるように、ワーククランプ力及び成形圧力の条件変更を、個別に且つきわめて容易に行うことが可能となる。
【0018】
また、本発明に係る樹脂封止装置は、前記封止金型を備えることを要件とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、簡素な装置構成によって、ワーク厚みのバラツキ、電子部品厚みのバラツキ、及び樹脂量のバラツキのいずれも吸収が可能となり、成形品質を向上させることが可能となる。また、樹脂封止する際のワーククランプ力及び成形圧力の設定を、いずれか一方の金型のみにおける調整によって容易且つ速やかに行うことが可能となり、生産効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第一の実施形態に係る封止金型及び樹脂封止装置の例を示す平面図である。
図2図1の樹脂封止装置の型開閉機構の例を示す正面断面図である。
図3図1の樹脂封止装置の封止金型の例を示す正面断面図である。
図4図1の樹脂封止装置の上型の例を示す平面視の説明図である。
図5図1の樹脂封止装置の上型の他の例を示す平面視の説明図である。
図6図1の樹脂封止装置の上型の他の例を示す平面視の説明図である。
図7】本発明の第二の実施形態に係る封止金型の例を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第一の実施形態]
(全体構成)
以下、図面を参照して、本発明の第一の実施形態について詳しく説明する。図1は、本実施形態に係る封止金型202と当該封止金型202を備える樹脂封止装置1の例を示す平面図(概略図)である。尚、説明の便宜上、図中において矢印により樹脂封止装置1における左右方向(X方向)、前後方向(Y方向)、上下方向(Z方向)を示す。また、各実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰返しの説明は省略する場合がある。
【0022】
本実施形態に係る樹脂封止装置1は、上型204及び下型206を備える封止金型202を用いて、ワーク(被成形品)Wを樹脂封止する装置である。以下、樹脂封止装置1として、下型206で複数個のワークWを保持し、対応する配置で上型204に設けられた複数個のキャビティ208(金型面204aを一部含む)をリリースフィルム(以下、単に「フィルム」と称する場合がある)Fで覆って、上型204と下型206とのクランプ動作を行い、複数個のワークWを一括して樹脂Rで封止する圧縮成形装置を例に挙げて説明する。
【0023】
先ず、成形対象であるワークWは、基材Waに複数個の電子部品Wbが行列状に搭載された構成を備えている。より具体的には、基材Waの例として、長方形状、円形状等に形成された樹脂基板、セラミックス基板、金属基板、キャリアプレート、リードフレーム、ウェハ等の板状部材が挙げられる。また、電子部品Wbの例として、半導体チップ、MEMSチップ、受動素子、放熱板、導電部材、スペーサ等が挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
【0024】
基材Waに電子部品Wbを搭載する方法の例として、ワイヤボンディング実装、フリップチップ実装等による搭載方法がある。あるいは、樹脂封止後に成形品Wpから基材(ガラス製や金属製のキャリアプレート)Waを剥離する構成の場合には、熱剥離性を有する粘着テープや紫外線照射により硬化する紫外線硬化性樹脂を用いて電子部品Wbを貼付ける方法もある。
【0025】
一方、樹脂Rの例として、粒状(顆粒状、粉砕状、粉末状等の総称として用いる)の熱硬化性樹脂(例えば、フィラー含有のエポキシ系樹脂等)が用いられる。尚、樹脂Rは、上記の状態に限定されるものではなく、液状、板状、シート状等、他の状態(形状)であってもよく、エポキシ系熱硬化性樹脂以外の樹脂であってもよい。
【0026】
また、フィルムFの例として、耐熱性、剥離容易性、柔軟性、伸展性に優れたフィルム材、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(ポリテトラフルオロエチレン重合体)、PET、FEP、フッ素含浸ガラスクロス、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリジン等が好適に用いられる。本実施形態においては、フィルムFとしてロール状のフィルムが用いられる。尚、他の例として、短冊状のフィルムを用いる構成としてもよい(不図示)。
【0027】
続いて、本実施形態に係る樹脂封止装置1の概要について説明する。図1に示すように、樹脂封止装置1は、ワークW及び樹脂Rの供給を主に行う供給ユニット100A、ワークWを樹脂封止して成形品Wpへの加工を主に行うプレスユニット100B、樹脂封止後の成形品Wpの収納を主に行う収納ユニット100Cを主要構成として備えている。
【0028】
また、樹脂封止装置1は、各ユニット間を移動して、ワークW、樹脂R、及び成形品Wpの搬送を行う搬送機構100Dを備えている。一例として、搬送機構100Dは、ワークW及び樹脂Rをプレスユニット100Bへ搬入するワークローダ122と、成形品Wpをプレスユニット100Bから搬出する成形品ローダ124と、ワークローダ122及び成形品ローダ124に共用のガイドレール126と、を備えている。尚、搬送機構100Dは、ローダを備える構成に限定されるものではなく、多関節ロボットを備える構成としてもよい(不図示)。
【0029】
ここで、ワークローダ122は、供給ユニット100AにおいてワークW(樹脂Rが載置された状態)を受け取って、プレスユニット100Bへ搬送する作用をなす。構成例として、X方向に二列並設されてそれぞれ一個のワークWを保持可能なワーク保持部122A、122Bが設けられている。尚、ワーク保持部122A、122Bには、公知の保持機構(例えば、保持爪を有して挟持する構成、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成、等)が用いられる(不図示)。
【0030】
本実施形態に係るワークローダ122は、X方向及びY方向に移動して、ワークW(樹脂Rが載置された状態)を封止金型202内へ搬入し、下型206へ載置する構成としている。但し、これに限定されるものではなく、X方向に移動してユニット間の搬送を行うローダと、Y方向に移動して封止金型202への搬入を行うローダとを別個に備える構成としてもよい(不図示)。
【0031】
また、成形品ローダ124は、プレスユニット100Bにおいて成形品Wpを受け取って、収納ユニット100Cへ搬送する作用をなす。構成例として、X方向に二列並設されてそれぞれ一個の成形品Wpを保持可能な成形品保持部124A、124Bが設けられている。尚、成形品保持部124A、124Bには、公知の保持機構(例えば、保持爪を有して挟持する構成、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成、等)が用いられる(不図示)。
【0032】
本実施形態に係る成形品ローダ124は、X方向及びY方向に移動して、成形品Wpを封止金型202外へ搬出し、収納テーブル114へ載置する構成としている。但し、これに限定されるものではなく、Y方向に移動して封止金型202からの搬出を行うローダと、X方向に移動してユニット間の搬送を行うローダとを別個に備える構成としてもよい(不図示)。
【0033】
尚、樹脂封止装置1は、ユニットの構成を変えることによって、全体の構成態様を変更することができる。例えば、図1に示す構成は、プレスユニット100Bを二台設置した例であるが、プレスユニット100Bを一台のみ設置する、あるいは三台以上設置する構成等も可能である。また、他のユニットを追加設置する構成等も可能である(いずれも不図示)。
【0034】
(供給ユニット)
続いて、樹脂封止装置1が備える供給ユニット100Aについて説明する。
【0035】
供給ユニット100Aは、ワークWの収容に用いられるワークストッカ102を備えている。一例として、ワークストッカ102には、公知のスタックマガジン、スリットマガジン等が用いられ、複数個のワークWを一括して収容可能となっている。ここで、ワークストッカ102から取り出されたワークWは、供給テーブル104上に載置される構成となっている。
【0036】
また、供給ユニット100Aは、供給テーブル104上に載置されたワークWの上面に樹脂Rを供給するディスペンサ106を備えている。ワークWは、上面に樹脂Rが載置された状態で、ワークローダ122によって、封止金型202へ搬送される。但し、これに限定されるものではなく、ワークWとは別に、樹脂Rを直接、封止金型202内へ搬入する樹脂ローダを備える構成としてもよい(不図示)。
【0037】
尚、供給ユニット100A等において、ワークWの外観検査を行う検査機構や、ワークWの予熱を行うワークヒータ等を備える構成としてもよい(いずれも不図示)。
【0038】
(プレスユニット)
続いて、樹脂封止装置1が備えるプレスユニット100Bについて説明する。ここで、図2に樹脂封止装置1の型開閉機構250の正面断面図(概略図)を示す。また、図3に樹脂封止装置1の封止金型202の正面断面図(概略図)を示す。
【0039】
プレスユニット100Bは、開閉される一対の金型(例えば、複数のブロック、プレート、ピラー等やその他の部材が組み付けられたもの)を有する封止金型202を備えている。本実施形態においては、一対の金型として、鉛直方向上方側の上型204と、下方側の下型206とを備えている。この上型204と下型206とが相互に接近・離反することで型閉じ・型開きがなされる構成となっている。すなわち、鉛直方向(上下方向)が型開閉方向となる。
【0040】
また、封止金型202は、公知の型開閉機構250によって型開閉が行われる。一例として図2に示すように、型開閉機構250は、一対のプラテン252、254と、一対のプラテン252、254が架設される複数の連結機構256と、プラテン254を可動(昇降)させる駆動源(例えば、電動モータ)260及び駆動伝達機構(例えば、ボールねじやトグルリンク機構)262等を備えて構成されている。
【0041】
ここで、封止金型202は、当該型開閉機構250における一対のプラテン252、254間に配設されている。本実施形態においては、上型204が固定プラテン(連結機構256に固定されるプラテン)252に組み付けられ、下型206が可動プラテン(連結機構256に沿って昇降するプラテン)254に組み付けられている。但し、この構成に限定されるものではなく、上型204を可動プラテンに組み付け、下型206を固定プラテンに組み付けてもよく、あるいは、上型204、下型206共に可動プラテンに組み付けてもよい。
【0042】
次に、封止金型202の上型204について詳しく説明する。図3に示すように、上型204は、後述する下型206の一つのワーク保持部205に保持された複数個のワークWを個別にクランプする相互に分割された構造を有する複数個のクランパー228を備えている。また、複数個のクランパー228のそれぞれにおける平面視中央位置に、当該クランパー228とは非連動で上下動可能なキャビティ駒226を備えている。すなわち、各キャビティ駒226がキャビティ208の奥部(底部)を構成し、その周囲の各クランパー228がキャビティ208の側部を構成する。尚、キャビティ208における脱気機構やフィルム吸着機構については図示を省略する。本実施形態においては、一個の上型204にキャビティ208が所定の一方向(一例として、X方向)に二組並設されており(図1中の208A、208B)、二個のワークWを一括して樹脂封止する構成となっている。但し、この構成に限定されるものではなく、キャビティを一組もしくは三組以上備える構成としてもよい(不図示)。
【0043】
また、上型204は、クランパー228をワーク保持部205に向けて付勢する付勢部材としてのクランパーバネ232と、キャビティ駒226をワーク保持部205に向けて付勢する付勢部材としてのキャビティ駒バネ230と、を備えている。一例として、クランパー228は、クランパーバネ232によって付勢された状態で上下動可能にキャビティブロック240に保持されている。また、キャビティ駒226は、キャビティ駒バネ230によって付勢された状態で上下動可能にクランパー228に保持されている。当該クランパーバネ232によって、樹脂封止する際のワーククランプ力が設定される。また、当該キャビティ駒バネ230によって、樹脂封止する際の成形圧力が設定される。
【0044】
上記の構成によれば、複数個のワークWに対して分割したクランパー228により個別に且つ上下動可能にクランプすることができるため、ワークWの厚みバラツキの吸収が可能となり、ワークWの破損や、クランプ力不足の発生を防ぐことができる。さらに、当該複数個のワークWに対してキャビティ駒226を個別に上下動させることができるため、ワークW上に載置された樹脂Rの量のバラツキの吸収も可能となる。また、クランパーバネ232によって樹脂封止する際のワーククランプ力を設定し、キャビティ駒バネ230によって樹脂封止する際の成形圧力が設定する構成が実現できる。すなわち、それぞれの作用力を個別に把握し、個別に調整することができるため、ワークW毎に(製品種別毎に)、封止条件の変更を細やかに行うことが可能となる。さらに、上記の作用力を、一方の金型(一例として、上型204)のみにおける調整で完結できるため、条件変更をきわめて容易に行うことが可能となる。
【0045】
前述の通り、本実施形態においては、図4の説明図(図3におけるIV-IV線断面図)に示すように、一個の上型204にキャビティ208がX方向に複数組(一例として、二組208A、208B)並設され、これに対応して、複数個(一例として、二個)のクランパー228が、X方向において並列状に配設された構成となっている。あるいは、変形例として、図5の説明図(図4と同位置で表示)に示すように、一個の上型204にキャビティ208がX-Y面内でマトリクス状に複数組(一例として、二行×二列による四組208A、208B、208C、208D)並設され、これに対応して、複数個(一例として、二行×二列による四個)のクランパー228が、X-Y面内でマトリクス状に配設された構成とすることもできる。但し、これらの組数(個数)に限定されるものではない。
【0046】
前述の通り、本実施形態においては、図4の説明図(図3におけるIV-IV線断面図)に示すように、一個の上型204にキャビティ208がX方向に複数組(一例として、二組208A、208B)並設され、これに対応して、複数個(一例として、二個)のクランパー228が、X方向において並列状に配設された構成となっている。あるいは、変形例として、図5の説明図(図4と同位置で表示)に示すように、一個の上型204にキャビティ208がX-Y面内でマトリクス状に複数組(一例として、二行×二列による四組208A、208B、208C、208D)並設され、これに対応して、複数個(一例として、二行×二列による四個)のクランパー228が、X-Y面内でマトリクス状に配設された構成とすることもできる。但し、これらの組数(個数)に限定されるものではない。
【0047】
上記の構成によれば、クランパー228及びキャビティ208を並列状もしくはマトリクス状に複数個配設することができ、当該クランパー228及びキャビティ208毎に、ワーククランプ力及び成形圧力の調整が可能となる。したがって、例えば少量での試作を行った後、取り個数を増やす量産展開の際も、試作型の組込み設定をそのまま量産型へ移行することができる。
【0048】
また、本実施形態に係るクランパーバネ232及びキャビティ駒バネ230は、図4の説明図に示すように、それぞれ、平面視において各キャビティ208の中心に対して中心を一致させて配置された一つのバネ(一例として、コイルバネ)によって構成されている。この構成によれば、簡素でコンパクトな装置が実現できる。あるいは、変形例として、図6の説明図(図4と同位置で表示)に示すように、それぞれ、各キャビティ208の中心に対してこれを取り囲んで配置される複数個のバネ(一例として、コイルバネ)によって構成してもよい。その場合、図6A図6B等の配置例が考えらえる。この構成によれば、相対的に大型のワークWに対して、作用力(特にワーククランプ力)のアンバランスを生じさせることなく、均一なクランプが可能となり、ワークWの破損やクランプ力不足の発生を防ぐことができる。
【0049】
さらに、本実施形態に係る上型204に特徴的な構成として、クランパー228を支持するクランパー支持部234と、クランパー支持部234を貫通して上下動可能に配設される可動ピン236と、を備えている。当該可動ピン236を介して、キャビティ駒バネ230の付勢力がキャビティ駒226に伝達される構成となっている。また、クランパー228とクランパーバネ232の間にクランパー支持部234が入っている。これによれば、クランパーバネ232によりクランパー228を付勢し、且つ、キャビティ駒バネ230によりキャビティ駒226を付勢する構成を実現することができる。
【0050】
また、本実施形態において、クランパーバネ232は、バネ定数が異なる複数種類のバネ(一例として、コイルバネ)が設けられると共に、その中から樹脂封止条件に応じた一つが選択されて上型204に着脱可能に固定される構成となっている。これによれば、ワーククランプ力を個別に設定・調整することができるため、ワークW毎に適切なワーククランプ力となるように、条件変更をきわめて容易に行うことが可能となる。
【0051】
これと同様に、キャビティ駒バネ230は、バネ定数が異なる複数種類のバネ(一例として、コイルバネ)が設けられると共に、その中から樹脂封止条件に応じた一つが選択されて上型204に着脱可能に固定される構成となっている。これによれば、成形圧力を個別に設定・調整することができるため、ワークW毎に適切な成形圧力となるように、条件変更をきわめて容易に行うことが可能となる。
【0052】
また、本実施形態においては、上型204を所定温度に加熱する上型加熱機構が設けられている。この上型加熱機構は、ヒータ(例えば、電熱線ヒータ)、温度センサ、電源等を備えており、制御部によって加熱の制御が行われる(いずれも不図示)。一例として、ヒータは、上プレート222やこれらを収容する金型ベース(不図示)に内蔵され、主に上型204全体及び樹脂Rに熱を加える構成となっている(後述)。これにより、上型204が所定温度(例えば、100℃~200℃)に調整されて加熱される。
【0053】
また、本実施形態においては、ロール状でシート面に開口(孔)の無いフィルムFを封止金型202の内部へ搬送(供給)するフィルム供給機構110が設けられている。このフィルム供給機構110は、未使用のフィルムFが巻出し部111から送り出されて型開きした封止金型202に供給され、封止金型202で樹脂封止に使用された後、使用済みのフィルムFとして巻取り部112で巻取られる構成となっている。尚、巻出し部111と巻取り部112とはY方向において逆に配置してもよく、あるいは、X方向に一条のフィルムFを供給するように配置してもよい(いずれも不図示)。また、前述の通り、ロール状のフィルムに代えて短冊状のフィルムを用いる構成としてもよい(不図示)。
【0054】
次に、封止金型202の下型206について詳しく説明する。図3に示すように、下型206は、下プレート224、保持プレート238等を備え、これらが組み付けられて構成されている。ここで、保持プレート238は、下プレート224の上面(上型204側の面)に対して固定して組み付けられている。
【0055】
また、本実施形態においては、一つの下型206に、複数個のワークWを保持プレート238の上面における所定位置に保持するワーク保持部205が一つ設けられている(複数個設けられる構成(不図示)としてもよい)。このワーク保持部205には、ワークWを保持する機構として、保持プレート238及び下プレート224を貫通して吸引装置に連通する吸引路が設けられている(不図示)。これにより、金型面206a(ここでは、保持プレート238の上面)にワークWを吸着させて保持することが可能となる。尚、変形例として、上記の吸着させる機構に代えて、もしくは当該機構と共に、ワークWの外周を挟持する保持爪を備える構成としてもよい(不図示)。
【0056】
ここで、本実施形態においては、前述の図4に示す一個の上型204の構成、すなわちキャビティ208がX方向に複数組(一例として、二組)並設される構成(図4中の208A、208B)に対応して、一個の下型206に複数個(一例として、二個)のワークWを保持可能なワーク保持部205が一つ設けられている(図1参照)。あるいは、変形例として、図5に示す一個の上型204の構成、すなわちキャビティ208がX-Y面内でマトリクス状に複数組(一例として、四組)並設される構成(図5中の208A、208B、208C、208D)に対応して、一個の下型206に複数個(一例として、二行×二列による四個)のワークWを保持可能なワーク保持部205が一つ設けられている(不図示)。尚、上記の構成に限定されるものではなく、複数個のワークWを保持可能なワーク保持部が複数個設けられる構成としてもよい(不図示)。
【0057】
また、本実施形態においては、下型206を所定温度に加熱する下型加熱機構が設けられている。この下型加熱機構は、ヒータ(例えば、電熱線ヒータ)、温度センサ、電源等を備えており、制御部によって加熱の制御が行われる(いずれも不図示)。一例として、ヒータは、下プレート224やこれらを収容する金型ベース(不図示)に内蔵され、主に下型206全体及びワークWに熱を加える構成となっている。これにより、下型206が所定温度(例えば、100℃~200℃)に調整されて加熱される。
【0058】
以上のように、本実施形態に係る封止金型202によれば、「他列取り成形」の実現、すなわち一組の封止金型202当たりの成形品Wpの取り個数を複数個(一例として、二個、四個、等)にすることができる。したがって、成形品の取り個数が一個の従来装置と比較して、封止金型202への材料(ワークW、樹脂R、フィルムF)の供給回数を低減することができるため、生産性を向上することができる。また、プレス回数(すなわち、樹脂封止工程の実施回数)を低減することができるため、製造コストを低減することができる。また、装置全体の小型化と構成の簡素化による装置コストの低減を図ることができる。
【0059】
(成形品収納ユニット)
続いて、樹脂封止装置1が備える収納ユニット100Cについて説明する。
【0060】
収納ユニット100Cは、成形品Wpの収容に用いられる成形品ストッカ108を備えている。一例として、成形品ストッカ108には、公知のスタックマガジン、スリットマガジン等が用いられ、複数個の成形品Wpを一括して収容可能となっている。ここで、成形品Wpは、成形品ローダ124によって搬送され、一旦、収納テーブル114上に載置された後、成形品ストッカ108に搬入される構成となっている。
【0061】
尚、収納ユニット100C等において、成形品Wpの外観検査を行う検査機構等を備える構成としてもよい(不図示)。
【0062】
(樹脂封止動作)
続いて、本実施形態に係る封止金型202と当該封止金型202を備える樹脂封止装置1を用いて樹脂封止を行う動作について説明する。ここでは、一個の上型204に二組のキャビティ208を設けると共に、一個の下型206に二個のワークW(例えば、短冊状等のワーク)を並列配置して一括して樹脂封止を行い、同時に二個の成形品Wpを得る構成を例に挙げる。但し、この構成に限定されるものではなく、一個のワークWを配置もしくは三個以上のワークWを並列配置して、または、複数個のワークWをマトリクス状に配置して、樹脂封止する構成としてもよい。
【0063】
準備工程として、上型加熱機構によって、上型204を所定温度(例えば、100℃~200℃)に調整して加熱する加熱工程(上型加熱工程)を実施する。また、下型加熱機構によって、下型206を所定温度(例えば、100℃~200℃)に調整して加熱する加熱工程(下型加熱工程)を実施する。さらに、フィルム供給機構110によって、巻出し部111から巻取り部112へフィルムFを搬送して(送り出して)封止金型202における所定位置(上型204と下型206との間の位置)にフィルムFを供給する工程(フィルム供給工程)を実施する。
【0064】
次いで、公知のプッシャ等(不図示)によって、ワークストッカ102からワークWを一つずつ搬出し、供給テーブル104上へ載置する工程を実施する(尚、公知のピックアップ機構等を併用してもよい)。
【0065】
次いで、供給テーブル104上に載置したワークWの上面に、ディスペンサ106から規定量の樹脂Rを供給して載置する工程を実施する。尚、この工程においては、樹脂Rを硬化しない温度で予備加熱する工程を実施してもよい。
【0066】
次いで、ワークローダ122によって、一回の工程で複数個(一例として、二個)のワークW(各上面に樹脂Rが載置された状態)をプレスユニット100Bの封止金型202内へ搬送し、一個の下型206における一つのワーク保持部205に当該複数個のワークWを載置する工程を実施する。この工程においては、ワークローダ122に設けられたヒータによってワークWを予備加熱する工程(予備加熱工程)を実施する。尚、予備加熱工程を省略してもよい。
【0067】
次いで、封止金型202の型閉じを行い、上型204と下型206とでワークWをクランプして樹脂封止する工程(樹脂封止工程)を実施する。このとき、キャビティ208において、キャビティ駒226が相対的に下降して、ワークWに対して樹脂Rを加熱加圧する。これにより、樹脂Rが熱硬化して樹脂封止(圧縮成形)が行われ、成形品Wpが形成される。
【0068】
次いで、封止金型202の型開きを行い、成形品ローダ124によって、成形品Wpを封止金型202内から取り出す工程を実施する。この工程においては、取り出した成形品Wpに対して、成形品ローダ124に設けられたヒータによって加熱する工程(成形後加熱工程)を実施してもよい。
【0069】
これと並行して(もしくは、その後に)、フィルム供給機構110によって、巻出し部111から巻取り部112へフィルムFを搬送することにより、使用済みフィルムFを送り出す工程を実施する。
【0070】
次いで、成形品ローダ124によって、成形品Wpを収納テーブル114上へ載置する工程を実施する(尚、公知のピックアップ機構等を併用してもよい)。次いで、公知のプッシャ等(不図示)によって、成形品Wpを一つずつ成形品ストッカ108へ搬入する工程を実施する。尚、これらの工程の前に、成形品Wpのポストキュアを行う工程を実施してもよい。
【0071】
以上が樹脂封止装置1を用いて行う樹脂封止の主要動作である。但し、上記の工程順は一例であって、支障がない限り先後順の変更や並行実施が可能である。例えば、本実施形態においては、二台のプレスユニット100Bを備える構成であるため、上記の動作を並行して実施することで、効率的な成形品形成が可能となる。
【0072】
[第二の実施形態]
続いて、本発明の第二の実施形態について説明する。本実施形態は、前述の第一の実施形態と比較して、異なる構成のワークWに対応するための構成を備えている。以下、相違点を中心に説明する。ここで、図7に第二の実施形態に係る封止金型202の正面断面図(概略図)を示す。
【0073】
本実施形態において成形対象となるワークWは、一個の基材Waに複数個の電子部品Wbが搭載された構成を備えることを特徴とする。したがって、ワーク保持部205は、当該ワークWを一個保持する構成を備えている。尚、当該ワークWを複数個保持する構成としてもよい(不図示)。
【0074】
これと共に、クランパー228は、一個のワークWにおける複数個の電子部品Wbを個別にクランプする相互に分割された構造を有する複数個が設けられる構成を備えている。
【0075】
上記の構成によれば、分割したクランパー228により複数個の電子部品Wbを個別に且つ上下動可能にクランプすることができる。したがって、一個の基材Waに段差(厚みの寸法差)がある場合や、一個の基材Waに搭載される複数個の電子部品Wb毎に厚みの寸法差がある場合、さらには、当該電子部品Wb毎に載置される樹脂Rの量にバラツキが有る場合等に対して、当該寸法差及び当該樹脂量バラツキのいずれも吸収することができるため、適切なクランプ状態で樹脂封止を行うことが可能となる。
【0076】
尚、本実施形態に係るその他の構成は、前述の第一の実施形態と同様であり、繰り返しの説明を省略する。
【0077】
以上、説明した通り、本発明に係る封止金型と当該封止金型を備える樹脂封止装置によれば、簡素な装置構成によって、ワーク厚みのバラツキ、電子部品厚みのバラツキ、及び樹脂量のバラツキのいずれも吸収が可能となる。したがって、厚いワークの破損や、薄いワークのクランプ力不足等の不具合を防止して、成形品質を向上させることが可能となる。また、樹脂封止する際のワーククランプ力及び成形圧力の設定を、いずれか一方の金型のみにおける調整によって容易且つ速やかに行うことが可能となり、生産効率を向上させることが可能となる。
【0078】
尚、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更可能である。特に、上型にキャビティを備える封止金型と当該封止金型を備える圧縮成形装置を例に挙げて説明したが、下型にキャビティを備える封止金型と当該封止金型を備える圧縮成形装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0079】
1 樹脂封止装置
202 封止金型
204 上型
206 下型
226 キャビティ駒
228 クランパー
230 キャビティ駒バネ
232 クランパーバネ
R 封止樹脂
W ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7