(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-23
(45)【発行日】2024-10-31
(54)【発明の名称】高耐食性アルミニウム合金
(51)【国際特許分類】
C22C 21/00 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
C22C21/00 L
C22C21/00 J
(21)【出願番号】P 2022569161
(86)(22)【出願日】2021-03-31
(86)【国際出願番号】 KR2021003980
(87)【国際公開番号】W WO2022211148
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2022-11-11
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】522442087
【氏名又は名称】ウィール コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110004381
【氏名又は名称】弁理士法人ITOH
(72)【発明者】
【氏名】ユ,テ スン
【審査官】鈴木 毅
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-112000(JP,A)
【文献】特開2002-180171(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108531783(CN,A)
【文献】特開平11-241136(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0076184(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0056931(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C 21/00 - 21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量%で、Cu:0.1%以下(0%を除く)、Si:0.15%以下(0%を除く)、Fe:0.09%以下(0%を除く)、Mn:0.9~1.5%に加えて、Ti、Cr及びZrを含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる、高耐食性アルミニウム合金であって、前記Ti、Cr及びZrを同じ重量%で含有し、その重量%を0.03~0.15重量%として、塩水環境における当該高耐食性アルミニウム合金の耐食性を向上させ
、前記Ti、Cr及びZrの含有量は、小数点以下2桁で一致することを特徴とする、高耐食性アルミニウム合金。
【請求項2】
前記Ti、Cr及びZrは、0.05~0.1重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の高耐食性アルミニウム合金。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術的思想は、高耐食性アルミニウム合金に関し、より詳細には、優れた引張強度及び降伏強度のレベルで塩水環境における耐食性が向上したアルミニウム合金に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両に多く使用されるアルミニウム合金は、純アルミニウムの強度が低いため、各種元素(Mn、Si、Mg、Cu、Zn、Crなど)を添加して主に析出硬化による強度向上を図るために使用する。アルミニウムは、pH4.5~8.5の環境下で酸化皮膜が母材を保護するため、耐食性には優れるものの、イオン化傾向が大きいため、腐食環境下でFe、Cu、Pbなどと接触すると激しく腐食し、わずかppm単位だけの水銀が存在しても激しく腐食する。
【0003】
3xxx系のアルミニウム合金は、Mnを主添加成分とした合金であり、冷却加工によって各種性質を有する非熱処理合金である。純アルミニウムに比べて強度はやや高く、溶接性、耐食性、成形加工性などが良い。特に、3003アルミニウム合金は、この系の代表的な合金であって、Mnの添加によって、純アルミニウムの加工性、耐食性を低下させないながらも強度を少し増加させた合金である。このような合金は、アルミニウム素材の器物、建築材料、容器などの広い用途を有する。3003に相当する合金にMgを1重量%程度添加した3004、3014アルミニウム合金は、一層強度がさらに増加した合金である。しかし、さらに高品質が要求される部品特性に符合する成形性及び強度を満たさないだけでなく、塩水環境下で腐食が発生するという問題を持っている。
【0004】
したがって、自動車用レシーバードライヤー又は自動車冷媒運搬システムの冷媒ライン、冷却水ライン、変速オイルクーラーラインとして用いられるパイプ構造物などに適用することができる優れた引張強度及び降伏強度のレベルで塩水環境における耐食性が向上したアルミニウム合金組成が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】日本国登録特許第04411803号公報
【文献】韓国公開特許第10-2005-0035447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の技術的思想が解決しようとする技術的課題は、アルミニウム合金にTi、Cr及びZrの成分をさらに添加するか、特にこれらを同量の割合で添加して優れた引張強度及び降伏強度のレベルで塩水環境における耐食性が向上したアルミニウム合金を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の技術的課題を解決するための本発明の技術的思想による高耐食性アルミニウム合金は、重量%で、Cu:0.1%以下(0%を除く)、Si:0.15%以下(0%を除く)、Fe:0.2%以下(0%を除く)、Mn:0.9~1.5%に加えて、Ti:0.03~0.15%、Cr:0.03~0.15%及びZr:0.03~0.15%のうちの1種以上を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなることができる。
【0008】
本発明の幾つかの実施例において、前記Ti:0.03~0.15%、Cr:0.03~0.15%及びZr:0.03~0.15%を全て含有することができる。
【0009】
本発明の幾つかの実施例において、前記Ti:0.03~0.15%、Cr:0.03~0.15%及びZr:0.03~0.15%を全て含有し、前記Ti、Cr及びZrは、同量の割合で含有することができる。
【0010】
本発明の幾つかの実施例において、前記Ti:0.05~0.1%、Cr:0.05~0.1%及びZr:0.05~0.1%を全て含有することができる。
【0011】
本発明の幾つかの実施例において、前記Ti:0.05~0.1%、Cr:0.05~0.1%及びZr:0.05~0.1%を全て含有し、前記Ti、Cr及びZrは、同量の割合で含有することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の技術的思想による高耐食性アルミニウム合金は、アルミニウム合金にTi、Cr及びZrの成分をさらに添加するか、特にこれらを同量の割合で添加して優れた引張強度及び降伏強度のレベルで耐食性が向上したアルミニウム合金を提供することができる。
【0013】
上述した本発明の効果は例示的に記載されており、本発明の効果はこれらの効果に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】自動車エアコン/エンジン冷却システムを示す構成図である。
【
図2】自動車エアコン(熱交換器)とレシーバードライヤーの構成図である。
【
図3】
図3a及び
図3bは、本発明の実施例によるアルミニウム合金組成で製造されたレシーバードライヤーの耐食性評価前後の写真である。
【
図4】
図4a及び
図4bは、本発明の比較例によるアルミニウム合金組成で製造されたレシーバードライヤーの耐食性評価前後の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施例を詳細に説明する。本発明の実施例は、当技術分野における通常の知識を有する者に本発明の技術的思想をより完全に説明するために提供されるものであり、下記の実施例は、種々の他の形態に変形することができる。本発明の技術的思想の範囲が下記の実施例に限定されるものではない。むしろ、これらの実施例は、本開示をより忠実かつ完全にし、当業者に本発明の技術的思想を完全に伝達するために提供されるものである。本明細書で使用されているように、用語「及び/又は」は、当該列挙された項目のうちのいずれか1つ及びそれ以上のすべての組み合わせを含む。同じ符号は同じ要素を意味する。さらに、図面における様々な要素と領域は概略的に描かれたものである。したがって、本発明の技術的思想は、添付図面に描かれた相対的なサイズ又は間隔によって制限されない。
【0016】
本合金は、自動車エアコン/エンジン冷却システムで使用されるレシーバードライヤー10、冷媒を膨張させる膨張弁70、これらを連結するパイプ30、及びホース40、60の材質として使用できる。自動車の空調装置のうち、コンデンサー20は、気体や蒸気から熱を除去するように作動するが、十分な熱が除去されると、液化が行われる。前記コンデンサー20は、圧縮機50から供給された気体冷媒の熱を大気中に放出させて液体冷媒にする一種の放熱器であって、放出熱が多いほど良い。圧縮機50から送られた高温、高圧の冷媒は、外気の温度によって冷却されて液化した後、長円筒状のアルミニウム製のレシーバードライヤー10に送られる。レシーバードライヤー10は、冷媒を貯蔵するタンクであり、冷媒中の湿気を除去する役目をする。自動車を長期間運行すると、内部から発生した凝縮水によって内部腐食が発生する。しかも、冬季に道路の路面に撒布される塩化カルシウムなどの除雪剤により、外部腐食も激しく発生する。よって、本合金は、高耐食性に優れた特性が要求される。
【0017】
本発明による高耐食性アルミニウム合金は、重量%で、Cu:0.1%以下(0%を除く)、Si:0.15%以下(0%を除く)、Fe:0.2%以下(0%を除く)、Mn:0.9~1.5%に加えて、Ti:0.03~0.15%、Cr:0.03~0.15%及びZr:0.03~0.15%のうちの1種以上を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなることができる。
【0018】
Cuは、合金において、硬化効果による合金の強度及び延性を向上させる役目をする。Cuは、好ましくは0重量%超から0.1重量%(0wt.%<Cu≦0.1wt.%)の範囲に調整する。さらに好ましくは、Cuは、0重量%超から0.05重量%(0wt.%<Cu≦0.05wt.%)の範囲に調整する。Cuが0.1重量%超の場合は、耐食性が低下するにつれて0.1重量%以下で添加されることが好ましく、0.05重量%以下で添加されることがさらに好ましい。
【0019】
Siは、合金において、耐食性を悪化させながらも強度を向上させる役目をする。Siは、析出して機械的性質を向上させる。Siは、好ましくは0重量%超から0.15重量%(0wt.%<Si≦0.15wt.%)の範囲に調整する。さらに好ましくは、Siは、0重量%超から0.05重量%(0wt.%<Si≦0.05wt.%)の範囲に調整する。Siが0.15重量%超の場合には、成形性が低下するだけでなく、成形製品の表面品質が低下するおそれがあり、0.05重量%以下で添加されることが好ましい。
【0020】
Feは、合金において、合金の密度を増加させて強度の向上に寄与することができる。Feは、好ましくは0重量%超から0.2重量%(0wt.%<Fe≦0.2wt.%)の範囲に調整する。さらに好ましくは、Feは、0.05重量%以上から0.15重量%(0.05wt.%≦Fe≦0.15wt.%)の範囲に調整する。Feが0.2重量%超の場合には、延性を低下させるだけでなく、押出性と生産性を低下させるおそれがあり、素材の腐食をもたらすおそれもある。したがって、Feの上限としては、好ましくは0.2重量%以下、さらに好ましくは0.15重量%以下であることがよい。或いは、Feは0.09重量%以下である。
【0021】
Mnは、合金において、耐食性はあまり弱めずに、高温で軟化抵抗を大きくし、表面処理特性を改善する役目をする。また、固溶強化効果及び微析出物分散効果によって強度を改善する。Mnは、好ましくは0.9重量%以上から1.5重量%(0.9wt.%≦Mn≦1.5wt.%)の範囲に調整する。さらに好ましくは、Mnは、1.0重量%以上から1.5重量%(1.0wt.%≦Mn≦1.5wt.%)の範囲に調整する。Mnが0.9重量%未満の場合には、効果が期待できず、Mnが1.5重量%超の場合には、鋳造性が低下して良くない。
【0022】
Tiは、合金において、結晶粒微細化によって成形性及び強度を向上させる役目をする。Tiは、好ましくは0.03重量%以上から0.15重量%(0.03wt.%≦Ti≦0.15wt.%)の範囲に調整する。さらに好ましくは、Tiは、0.05重量%以上から0.1重量%(0.05wt.%≦Ti≦0.1wt.%)の範囲に調整する。Tiが0.03重量%未満の場合には、効果が期待できず、Tiが0.15重量%超の場合には、TiAl3などの大きくて粗い金属間化合物を多量生産して、合金の機械的特性を低下させて良くない。Tiが0.03重量%未満の場合には、効果が期待できず、Tiが0.15重量%超の場合には、機械的特性が低下して良くない。
【0023】
Crは、合金においてAlと共に化合物を形成して、粒界に分布することにより時効処理時の析出を抑制して延伸率を向上させる役目をする。Crは、好ましくは0.03重量%以上から0.15重量%(0.03wt.%≦Cr≦0.15wt.%)の範囲に調整する。さらに好ましくは、Crは、0.05重量%以上から0.1重量%(0.05wt.%≦Cr≦0.1wt.%)の範囲に調整する。Crが0.03重量%未満の場合には、効果が期待できず、Crが0.15重量%超の場合には、強度が低下して良くない。
【0024】
Zrは、合金において、高温で強度を向上させるとともに耐食性を向上させる役目をする。Zrは、好ましくは、0.03重量%以上から0.15重量%(0.03wt.%≦Zr≦0.15wt.%)の範囲に調整する。さらに好ましくは、Zrは、0.05重量%以上から0.1重量%(0.05wt.%≦Zr≦0.1wt.%)の範囲に調整する。Zrが0.03重量%未満の場合には、効果が期待できず、Zrが0.15重量%超の場合には、クラックや割れが発生して良くない。
【0025】
特に、前記Ti:0.03~0.15%、Cr:0.03~0.15%及びZr:0.03~0.15%を全て含むことができる。また、前記Ti:0.03~0.15%、Cr:0.03~0.15%及びZr:0.03~0.15%を全て含むが、前記Ti、Cr及びZrは同量の割合で含むことができる。さらに好ましくは、前記Ti:0.05~0.1%、Cr:0.05~0.1%及びZr:0.05~0.1%を含むことができる。
【0026】
上述のように、本発明による高耐食性アルミニウム合金は、重量%で、Cu:0.1%以下(0%を除く)、Si:0.15%以下(0%を除く)、Fe:0.2%以下(0%を除く)、Mn:0.9~1.5%に加えて、Ti:0.03~0.15%、Cr:0.03~0.15%及びZr:0.03~0.15%のうちの1種以上を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなることができる。
【0027】
さらに好ましくは、前記Ti:0.05~0.1%、Cr:0.05~0.1%及びZr:0.05~0.1%を全て含むが、前記Ti、Cr及びZrは、同量の割合で含むことにより、優れた引張強度及び降伏強度のレベルで塩水環境における耐食性を向上させる。
【0028】
以下、実施例及び実験例によって本発明の過程の詳細を説明する。
【0029】
アルミニウム合金の準備
表1は、本発明の一実施例による高耐食性アルミニウム合金の組成を重量%で表した表である。本発明によるアルミニウム合金組成物(実施例1~10)とこれと比較されるアルミニウム合金組成物(比較例1~5)を、次の組成比率で準備した。比較例4及び比較例5は、従来の3005合金及び3004合金の組成を使用した。表1において、アルミニウム合金は、合金組成以外には、残部がAl及び不可避的不純物からなる。
【0030】
【表1】
試験片の製作及び機械的評価
本発明による合金のうち、実施例2~4の3種類の合金を用いて、ASTM規格の試験片を作製した後、引張試験機によって常温で降伏強度、引張強度を測定した。その結果、表2に示すように、本発明の実施例2~4はいずれも、引張強度が180N/mm
2以上の特性を示した。実施例2、3、4以外に、他の実施例による合金の引張強度もいずれも180N/mm
2以上の特性を示した。相対的に同一条件の下で測定した比較例の引張強度は、180N/mm
2に及ばない劣等なものと確認された。
【0031】
【表2】
レシーバードライヤーの製作及び耐食性の評価
本発明の実施例1~10によるアルミニウム合金組成及び比較されるアルミニウム合金組成(比較例1及び5)でアルミニウムビレットを製造し、前記ビレットを押し出し及び引き抜き加工してアルミニウムパイプを製造した後、前記アルミニウムパイプの左右の端をフォーミングし、曲げ加工してレシーバードライヤー形状に成形する段階でレシーバードライヤーを製造する。
【0032】
厚さ1.6T及び1.8Tのレシーバードライヤーを製造した後、耐食性評価を行った。
図2は、本発明の実施例によるアルミニウム合金組成で製造されたレシーバードライヤーの耐食性評価前後の写真であり、
図4a及び
図4bは、本発明の比較例によるアルミニウム合金組成で製造されたレシーバードライヤーの耐食性評価前後の写真である。
図4bのように、耐食性の評価後にLEAKを確認することができる。
【0033】
表3は、表1のアルミニウム合金組成で製造されたレシーバードライヤーの耐食性試験を完了した結果である。耐食性試験(SWAAT-Seawater Acidified Test)は、試料に食塩水を規定によって噴射霧曝し、腐食を促進させて耐食性を調べる。コンデンサーの内部に1.6±0.04MPa(16.7kgf/cm2)の窒素圧を加え、濃度:合成海水塩42g/1L、噴霧量:1~2ml/h、比重:1.0255~1.0400、PH:2.8~3.0(ASTM G85 94-A3に準拠すること)で500時間~2000時間を実施する。
【0034】
蒸留水をTankに入れ、合成海水塩を蒸留水量に合わせて入れ、完全に溶けるまでかき混ぜた。酢酸を蒸留水量に合わせて入れ、かき混ぜた後、比重計とPHメーターによって、試験溶液が条件値を満足するかを確認した。1時間試運転して、噴霧量が条件に合うかを確認し、チャンバー内に試料を入れる。チャンバー内の雰囲気を49℃に合わせ、30分噴霧、90分放置の条件で250Cycle(500hr)、500Cycle(1,000hr)及び1000Cycle(2,000hr)試験した。
【0035】
【表3】
表3に示すように、250Cycle_5000hr試験後の耐食性評価において、実施例及び比較例はいずれも、LEAKなしと良好な結果を示した。500Cycle_1,000hr試験後、実施例1~10には発生しないLEAKが比較例1~5でそれぞれ観察された。特に厚さ1.6Tに製造されたレシーバードライヤーの場合、比較例1~5でいずれもLEAKが発生した。したがって、本発明の組成による実施例1~10のアルミニウム合金で製造されたレシーバードライヤーは、500Cycle_1,000hrの塩水環境で厚さ1.6T及び1.8Tの両方でLEAKが発生しないため、レシーバードライヤーに使用するのに十分な耐食性を有することを確認した。
【0036】
さらに1000Cycle_2,000hrの過酷環境で耐食性評価を行った。実験結果、実施例2~4の場合、厚さ1.6T及び1.8Tの両方で1000Cycle_2,000hrの過酷環境でもLEAKが発生しないため、優れた耐食特性を有することを確認した。実施例2~4は、Ti、Cr及びZrが0.05~0.1%内の範囲で同量の割合で含む組成で優れた耐食特性を有することを確認した。
【0037】
上述のように、本発明による高耐食性アルミニウム合金は、優れた引張強度及び降伏強度のレベルで塩水環境下で耐食性が向上したアルミニウム合金を提供することができる。本発明による高耐食性アルミニウム合金は、レシーバードライヤーの他にも全てのアルミニウム部品に適用されることができ、同様の効果も得ることができる。したがって、前記高耐食性アルミニウム合金は、自動車用レシーバードライヤーだけでなく、押し出し及び引き抜き工法で自動車冷媒運搬システムの冷媒ライン、冷却水ライン、変速オイルクーラーラインとして使用されるパイプ構造物などを製造することができる。
【0038】
また、本発明による高耐食性アルミニウム合金は、冷蔵庫、洗濯機、家庭用エアコン、LEDなどの放熱板、電気用品、屋根材、化学装置、厨房器具、船舶外装材など、その他の腐食を防止しようとする全ての製品に多様に使用できる。
【0039】
以上で説明した本発明の技術的思想が上述の実施例及び添付図面に限定されず、本発明の技術的思想から逸脱することなく様々な置換、変形及び変更を加え得ることは、本発明の技術的思想の属する技術分野における通常の知識を有する者にとって明白であろう。
【符号の説明】
【0040】
10 レシーバードライヤー
20 コンデンサー
30 パイプ
40 ホース
50 圧縮機
60 ホース
70 膨張弁
80 蒸発器