(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-23
(45)【発行日】2024-10-31
(54)【発明の名称】LNG燃料船の低温炭素捕集を結合した冷熱エネルギー及び廃熱のカスケード利用システム
(51)【国際特許分類】
F01K 25/10 20060101AFI20241024BHJP
F25J 3/04 20060101ALI20241024BHJP
B63B 25/16 20060101ALI20241024BHJP
B01D 53/92 20060101ALI20241024BHJP
F25J 1/00 20060101ALI20241024BHJP
F02G 5/02 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
F01K25/10 Z
F25J3/04 B ZAB
F25J3/04 102
B63B25/16 H
B63B25/16 D
B01D53/92 240
F25J1/00 D
F02G5/02 B
(21)【出願番号】P 2023526038
(86)(22)【出願日】2022-10-19
(86)【国際出願番号】 CN2022126053
(87)【国際公開番号】W WO2024011780
(87)【国際公開日】2024-01-18
【審査請求日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】202210819925.3
(32)【優先日】2022-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520154254
【氏名又は名称】江蘇科技大学
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU UNIVERSITY OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】No.2 Mengxi Road,Zhenjiang,Jiangsu 212003,China
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】姚 寿広
(72)【発明者】
【氏名】李 辰
【審査官】津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第113309985(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112523825(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108625990(CN,A)
【文献】特表2014-512471(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103628982(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01K 25/10
F25J 3/04
B63B 25/16
B01D 53/92
F25J 1/00
F02G 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LNG燃料船の低温炭素捕集を結合した冷熱エネルギー及び廃熱のカスケード利用システムであって、
LNG貯蔵タンクから排出されたLNGは、1段目の加圧、1段目のLNG熱交換、2段目の加圧、2段目のLNG熱交換及び海水による温度調整を経てNGを形成して主機に送られるLNG蒸発側と、
主機から排出された排ガスは、1段目の排ガスの膨張仕事、1段目の排ガスによる熱交換、2段目の排ガスの膨張仕事、2段目の排ガスによる熱交換、3段目の排ガスによる熱交換及び海水による冷却を経た後に第1排ガス水分離器により水が分離され、さらに2つの経路に分流され、1つの経路は、主機に送られ、もう1つの経路は、順に排ガス予冷器、第2排ガス水分離器、排ガス圧縮機を通った後に4段目の排ガスによる熱交換及び5段目の排ガスによる熱交換をして低温液化捕集を完了し、LCO
2貯蔵タンクに送られる排ガス側と、
空気に多段の冷却加圧及び2段の精留を順に行う流路を含み、空気に前記2段の精留を行って形成された廃窒素は、空気に多段の冷却加圧のうち最後段の冷却以外の前段の冷却を行い、3段目の排ガス熱交換器により熱エネルギーを吸収した後に、廃窒素タービンにより仕事をするために用いられ、空気に前記2段の精留を行って形成された廃アルゴンは、廃窒素タービンから排出された前記廃窒素と混合され、次に順に前記排ガス予冷器及び炭素捕集熱交換器に冷熱エネルギーを提供した後に排出され、空気に前記2段の精留を行って形成された液体酸素は、空気に最後段の冷却を行った後に炭素捕集熱交換器において再気化されて主機に送られるために用いられる空気側と、
サイクル回路は、1段目のサイクル作動流体を加圧した後に1段目のサイクル蒸発器において2段目のサイクル作動流体で加熱し、膨張仕事をした後に前記1段目のLNG熱交換によって再加圧する回路である1段目の有機ランキンサイクル発電ユニットと、
サイクル回路は、2段目のサイクル作動流体を加圧した後に前記排ガス圧縮機から排出された排ガスで加熱し、膨張仕事をした後に前記1段目のサイクル蒸発器及び2段目のサイクル海水冷却器で順に熱交換して再加圧する回路である2段目の有機ランキンサイクル発電ユニットと、
サイクル回路は、3段目のサイクル作動流体を加圧した後に前記3段目のサイクル予熱器で熱交換して排ガスと2段目の排ガスによる熱交換を行い、膨張仕事をした後に3段目のサイクル海水冷却器で熱交換して再加圧する回路である3段目の有機ランキンサイクル発電ユニットと、
サイクル回路は、4段目の超臨界ランキンサイクル作動流体を加圧した後に順に高温ジャケット冷却水で予熱し、4段目のサイクル再生器で再生して排ガスと1段目の排ガスによる熱交換を行い、膨張仕事をした後に4段目のサイクル再生器、3段目のサイクル予熱器及び4段目のサイクル海水冷却器で順に熱交換して再加圧する回路である4段目の超臨界ランキンサイクル発電ユニットとを含み、
前記1段目のLNG熱交換は、LNGが1段目の有機ランキンサイクル作動流体に冷熱エネルギーを提供することであり、前記2段目のLNG熱交換は、LNGが炭素捕集熱交換器に冷熱エネルギーを提供することであり、前記1段目の排ガスによる熱交換は、排ガスが4段目のランキンサイクル作動流体に熱エネルギーを提供することであり、前記2段目の排ガスによる熱交換は、排ガスが3段目のランキンサイクル作動流体に熱エネルギーを提供することであり、前記3段目の排ガスによる熱交換は、排ガスが空気に1段目の冷却を行った後の廃窒素に熱エネルギーを提供することであり、前記4段目の排ガスによる熱交換は、排ガス圧縮機で圧縮された後の排ガスが前記2段目のサイクル作動流体に熱エネルギーを放出することであり、前記5段目の排ガスによる熱交換は、排ガスが炭素捕集熱交換器に熱エネルギーを放出することであり、前記炭素捕集熱交換器において、2段目の加圧後の前記LNG、空気に最後段の冷却を行った後の酸素ガス及び排ガス予冷器により熱交換された後の前記廃窒素と廃アルゴンはともに前記2段目のサイクル作動流体と熱交換した後の排ガスから吸熱する、ことを特徴とするLNG燃料船の低温炭素捕集を結合した冷熱エネルギー及び廃熱のカスケード利用システム。
【請求項2】
5段目の有機ランキンサイクル発電ユニットを含み、前記5段目の有機ランキンサイクル発電ユニットのサイクル回路は、5段目のサイクル作動流体を加圧した後に5段目のサイクル再生器で熱交換して高温ジャケット冷却水で加熱し、膨張仕事をした後に順に前記5段目のサイクル再生器で熱交換し、前記炭素捕集熱交換器から排出された廃窒素廃アルゴンで冷却して再加圧する回路である、ことを特徴とする請求項1に記載のLNG燃料船の低温炭素捕集を結合した冷熱エネルギー及び廃熱のカスケード利用システム。
【請求項3】
6段目の有機ランキンサイクル発電ユニットを含み、前記6段目の有機ランキンサイクル発電ユニットのサイクル回路は、6段目のサイクル作動流体を加圧した後に2段目の排ガスによる熱交換後の排ガスで加熱し、膨張仕事をした後に6段目の海水冷却器で熱交換して再加圧する回路であり、加圧後の前記6段目のサイクル作動流体を加熱した後の排ガスに対して3段目の排ガスによる熱交換を行う、ことを特徴とする請求項2に記載のLNG燃料船の低温炭素捕集を結合した冷熱エネルギー及び廃熱のカスケード利用システム。
【請求項4】
前記LNG蒸発側は、順に接続されるLNG貯蔵タンクと、1段目のLNG加圧ポンプと、LNG熱交換器と、2段目のLNG加圧ポンプと、炭素捕集熱交換器と、海水温度調整装置と、船舶主機とを含み、前記1段目のLNG加圧ポンプの出口が前記LNG熱交換器の冷熱源入口側に接続され、前記LNG熱交換器の冷熱源出口側が前記2段目のLNG加圧ポンプの入口側に接続され、前記2段目のLNG加圧ポンプの出口側が前記炭素捕集熱交換器の第1冷熱源入口側に接続され、前記炭素捕集熱交換器の第1冷熱源出口側が海水温度調整装置の入口側に接続され、前記1段目のLNG熱交換が前記LNG熱交換器において行われる、ことを特徴とする請求項1に記載のLNG燃料船の低温炭素捕集を結合した冷熱エネルギー及び廃熱のカスケード利用システム。
【請求項5】
前記排ガス側は、順に接続される1段目の排ガスタービンと、1段目の排ガス熱交換器と、2段目の排ガスタービンと、2段目の排ガス熱交換器と、4段目の排ガス熱交換器と、3段目の排ガス熱交換器と、海水冷却器と、第1排ガス水分離器と、排ガス分流器とを含み、前記排ガス分流器により分流された1つの経路は、船舶主機に直接接続され、もう1つの経路は、順に接続される排ガス予冷器と、第2排ガス水分離器と、排ガス圧縮機と、2段目のサイクル蒸発器と、炭素捕集熱交換器と、LCO
2貯蔵タンクとを含み、前記1段目の排ガス熱交換器は、1段目の排ガスによる熱交換を行い、前記2段目の排ガス熱交換器は、2段目の排ガスによる熱交換を行い、前記4段目の排ガス熱交換器において、2段目の排ガスにより熱交換された後の排ガスは、加圧後の6段目のサイクル作動流体を加熱し、前記3段目の排ガス熱交換器は、3段目の排ガスによる熱交換を行い、前記2段目のサイクル蒸発器は、4段目の排ガスによる熱交換を行い、前記炭素捕集熱交換器は、5段目の排ガスによる熱交換を行う、ことを特徴とする請求項3に記載のLNG燃料船の低温炭素捕集を結合した冷熱エネルギー及び廃熱のカスケード利用システム。
【請求項6】
前記空気側は、順に接続されるエアフィルタと、1段目の冷却器と、空気水分離器と、2段目の冷却器と、1段目の圧縮機と、3段目の冷却器と、4段目の冷却器と、空気絞り弁と、1段目の精留塔と、2段目の精留塔とを含み、前記1段目の精留塔の上塔から吐出された廃窒素の流路は、順に接続される3段目の冷却器と、2段目の冷却器と、1段目の冷却器と、3段目の排ガス熱交換器と、廃窒素タービンと、廃窒素廃アルゴン集流装置とを含み、前記廃窒素廃アルゴン集流装置のもう1つの入口側が2段目の精留塔の上塔出口側に接続され、前記廃窒素廃アルゴン集流装置から吐出された廃窒素廃アルゴンの流路は、順に接続される排ガス予冷器と炭素捕集熱交換器とを含み、前記排ガス予冷器の冷熱源出口側が炭素捕集熱交換器の第3冷熱源入口側に接続され、前記2段目の精留塔の下塔から吐出された酸素ガスの流路は、順に接続される4段目の冷却器と、酸素ガス絞り弁と、炭素捕集熱交換器と、船舶主機とを含み、前記酸素ガス絞り弁の出口側が前記炭素捕集熱交換器の第2冷熱源入口側に接続され、前記炭素捕集熱交換器の第2冷熱源出口側が船舶主機に接続される、ことを特徴とする請求項1に記載のLNG燃料船の低温炭素捕集を結合した冷熱エネルギー及び廃熱のカスケード利用システム。
【請求項7】
前記1段目の有機ランキンサイクルにおける1段目のサイクル作動流体の作動温度区間は、-100~70℃であり、前記2段目の有機ランキンサイクルにおける2段目のサイクル作動流体の作動温度区間は、25~150℃であり、前記3段目の有機ランキンサイクルにおける3段目のサイクル作動流体の作動温度区間は、0~85℃であり、前記4段目の超臨界ランキンサイクルにおける4段目のサイクル作動流体の作動温度区間は、25~261℃である、ことを特徴とする請求項1に記載のLNG燃料船の低温炭素捕集を結合した冷熱エネルギー及び廃熱のカスケード利用システム。
【請求項8】
前記5段目の有機ランキンサイクルにおける5段目のサイクル作動流体の作動温度区間は、25~115℃であり、前記6段目の有機ランキンサイクルにおける6段目のサイクル作動流体の作動温度区間は、25~90℃である、ことを特徴とする請求項3に記載のLNG燃料船の低温炭素捕集を結合した冷熱エネルギー及び廃熱のカスケード利用システム。
【請求項9】
前記1段目のサイクル作動流体は、R1150であり、前記2段目のサイクル作動流体は、n-Pentaneであり、前記3段目のサイクル作動流体は、R600であり、前記4段目のサイクル作動流体は、CO
2である、ことを特徴とする請求項7に記載のLNG燃料船の低温炭素捕集を結合した冷熱エネルギー及び廃熱のカスケード利用システム。
【請求項10】
前記5段目のサイクル作動流体は、R600であり、前記6段目のサイクル作動流体は、n-Pentaneである、ことを特徴とする請求項8に記載のLNG燃料船の低温炭素捕集を結合した冷熱エネルギー及び廃熱のカスケード利用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LNG燃料船のエネルギー利用システム、特にLNG燃料船の低温炭素捕集を結合した冷熱エネルギー及び廃熱のカスケード利用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のLNG燃料船では、LNGが気化中に放出する大量の冷熱エネルギーは、ほとんど海水に直接持ち去られ、エネルギーの浪費をもたらすとともに、海洋の生態系に害を及ぼし、そして排出された排ガスが持つ大量の熱エネルギー及び運動エネルギーを十分に利用していない。また、LNGは、船舶の動力燃料として排出削減効果が顕著であるが、船輸送業界全体から排出されるCO2量は軽視できない。
【0003】
公開番号がCN113669175Aの中国特許は、船用天然ガスエンジンの排ガスの低温凝華炭素捕集システム及び方法を提案し、該システムは、LNGガス供給システムと、船用主機燃焼システムと、炭素富化システムと、低温凝華炭素捕集システムとを含み、アルコールアミン法により90%以上の高濃度の炭素含有排ガスを富化し、LNG気化中の冷熱エネルギーと組み合わせて、95%以上の常圧排ガス中のCO2捕集及び貯留を実現するが、該システムは化学吸収法を使用してCO2を富化するため、ゼロ炭素排出を実現できず、化学吸着剤の再生が困難であるため、富化効率が低下するとともに、システム全体のエネルギー消費と化学品の消費が大きい。
【0004】
公開番号がCN113738467Aの中国特許は、液化天然ガスを利用して炭素捕集を統合した発電を行う統合システムを提案し、該システムは、LNG気化と、冷熱エネルギーによる酸素製造と、酸素富化発電と、炭素捕集とを一体化することで、LNG気化、酸素製造及び炭素捕集工程のエネルギー消費を大幅に低減でき、LNG冷熱エネルギーの利用率が高まり、発電効率が高まり、捕集した二酸化炭素を地中の帯水層に貯留することで、ゼロ炭素排出の発電効果を実現できる。しかし、該システムは、陸上応用シーンに向けており、そのLNG流量が十分に大きく、酸素製造及び炭素捕集工程に必要な冷熱エネルギーを提供できるが、船舶におけるLNGのガス供給流量が排ガス流量よりもはるかに小さく、酸素製造及び炭素捕集の冷熱要件を満たすことができないため、該システムは船舶に応用することが難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術の欠点に対して、本発明のタスクは、船舶のLNG冷熱が小さい場合、低炭素排出及びエネルギー消費を低下させる、LNG燃料船の低温炭素捕集を結合した冷熱エネルギー及び廃熱のカスケード利用システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の技術案は、以下のとおりである。LNG燃料船の低温炭素捕集を結合した冷熱エネルギー及び廃熱のカスケード利用システムであって、
LNG貯蔵タンクから排出されたLNGは、1段目の加圧、1段目のLNG熱交換、2段目の加圧、2段目のLNG熱交換及び海水による温度調整を経てNGを形成して主機に送られるLNG蒸発側と、
主機から排出された排ガスは、1段目の排ガスの膨張仕事、1段目の排ガスによる熱交換、2段目の排ガスの膨張仕事、2段目の排ガスによる熱交換、3段目の排ガスによる熱交換及び海水による冷却を経た後に第1排ガス水分離器により水が分離され、さらに2つの経路に分流され、1つの経路は、主機に送られ、もう1つの経路は、順に排ガス予冷器、第2排ガス水分離器、排ガス圧縮機を通った後に4段目の排ガスによる熱交換及び5段目の排ガスによる熱交換をして低温液化捕集を完了し、LCO2貯蔵タンクに送られる排ガス側と、
空気に多段の冷却加圧及び2段の精留を順に行う流路を含み、空気に前記2段の精留を行って形成された廃窒素は、空気に多段の冷却加圧のうち最後段の冷却以外の前段の冷却を行い、さらに3段目の排ガス熱交換器により熱エネルギーを吸収した後に、廃窒素タービンにより仕事をするために用いられ、空気に前記2段の精留を行って形成された廃アルゴンは、廃窒素タービンから排出された前記廃窒素と混合され、次に順に前記排ガス予冷器及び炭素捕集熱交換器に冷熱エネルギーを提供した後に排出され、空気に前記2段の精留を行って形成された液体酸素は、空気に最後段の冷却を行った後に炭素捕集熱交換器において再気化されて主機に送られるために用いられる空気側と、
サイクル回路は、1段目のサイクル作動流体を加圧した後に1段目のサイクル蒸発器において2段目のサイクル作動流体で加熱し、膨張仕事をした後に前記1段目のLNG熱交換によって再加圧する回路である1段目の有機ランキンサイクル発電ユニットと、
サイクル回路は、2段目のサイクル作動流体を加圧した後に前記排ガス圧縮機から排出された排ガスで加熱し、膨張仕事をした後に前記1段目のサイクル蒸発器及び2段目のサイクル海水冷却器で順に熱交換して再加圧する回路である2段目の有機ランキンサイクル発電ユニットと、
サイクル回路は、3段目のサイクル作動流体を加圧した後に前記3段目のサイクル予熱器で熱交換して排ガスと2段目の排ガスによる熱交換を行い、膨張仕事をした後に3段目のサイクル海水冷却器で熱交換して再加圧する回路である3段目の有機ランキンサイクル発電ユニットと、
サイクル回路は、4段目の超臨界ランキンサイクル作動流体を加圧した後に順に高温ジャケット冷却水で予熱し、4段目のサイクル再生器で再生して排ガスと1段目の排ガスによる熱交換を行い、膨張仕事をした後に4段目のサイクル再生器、3段目のサイクル予熱器及び4段目のサイクル海水冷却器で順に熱交換して再加圧する回路である4段目の超臨界ランキンサイクル発電ユニットとを含み、
前記1段目のLNG熱交換は、LNGが1段目の有機ランキンサイクル作動流体に冷熱エネルギーを提供することであり、前記2段目のLNG熱交換は、LNGが炭素捕集熱交換器に冷熱エネルギーを提供することであり、前記1段目の排ガスによる熱交換は、排ガスが4段目のランキンサイクル作動流体に熱エネルギーを提供することであり、前記2段目の排ガスによる熱交換は、排ガスが3段目のランキンサイクル作動流体に熱エネルギーを提供することであり、前記3段目の排ガスによる熱交換は、排ガスが空気に1段目の冷却を行った後の廃窒素に熱エネルギーを提供することであり、前記4段目の排ガスによる熱交換は、排ガス圧縮機で圧縮された後の排ガスが前記2段目のサイクル作動流体に熱エネルギーを放出することであり、前記5段目の排ガスによる熱交換は、排ガスが炭素捕集熱交換器に熱エネルギーを放出することであり、前記炭素捕集熱交換器において、2段目の加圧後の前記LNG、空気に最後段の冷却を行った後の酸素ガス及び排ガス予冷器により熱交換された後の前記廃窒素と廃アルゴンは、ともに前記2段目のサイクル作動流体と熱交換した後の排ガスから吸熱する。
【0007】
さらに、5段目の有機ランキンサイクル発電ユニットを含み、前記5段目の有機ランキンサイクル発電ユニットのサイクル回路は、5段目のサイクル作動流体を加圧した後に5段目のサイクル再生器で熱交換して高温ジャケット冷却水で加熱し、膨張仕事をした後に順に前記5段目のサイクル再生器で熱交換し、前記炭素捕集熱交換器から排出された廃窒素廃アルゴンで冷却して再加圧する回路である。
【0008】
さらに、6段目の有機ランキンサイクル発電ユニットを含み、前記6段目の有機ランキンサイクル発電ユニットのサイクル回路は、6段目のサイクル作動流体を加圧した後に2段目の排ガスによる熱交換後の排ガスで加熱し、膨張仕事をした後に6段目の海水冷却器で熱交換して再加圧する回路であり、加圧後の前記6段目のサイクル作動流体を加熱した後の排ガスに対して3段目の排ガスによる熱交換を行う。
【0009】
さらに、前記LNG蒸発側は、順に接続されるLNG貯蔵タンクと、1段目のLNG加圧ポンプと、LNG熱交換器と、2段目のLNG加圧ポンプと、炭素捕集熱交換器と、海水温度調整装置と、船舶主機とを含み、前記1段目のLNG加圧ポンプの出口が前記LNG熱交換器の冷熱源入口側に接続され、前記LNG熱交換器の冷熱源出口側が前記2段目のLNG加圧ポンプの入口側に接続され、前記2段目のLNG加圧ポンプの出口側が前記炭素捕集熱交換器の第1冷熱源入口側に接続され、前記炭素捕集熱交換器の第1冷熱源出口側が海水温度調整装置の入口側に接続され、前記1段目のLNG熱交換が前記LNG熱交換器において行われる。
【0010】
さらに、前記排ガス側は、順に接続される1段目の排ガスタービンと、1段目の排ガス熱交換器と、2段目の排ガスタービンと、2段目の排ガス熱交換器と、4段目の排ガス熱交換器と、3段目の排ガス熱交換器と、海水冷却器と、第1排ガス水分離器と、排ガス分流器とを含み、前記排ガス分流器により分流された1つの経路は、船舶主機に直接接続され、もう1つの経路は、順に接続される排ガス予冷器と、第2排ガス水分離器と、排ガス圧縮機と、2段目のサイクル蒸発器と、炭素捕集熱交換器と、LCO2貯蔵タンクとを含み、前記1段目の排ガス熱交換器は、1段目の排ガスによる熱交換を行い、前記2段目の排ガス熱交換器は、2段目の排ガスによる熱交換を行い、前記4段目の排ガス熱交換器において、2段目の排ガスにより熱交換された後の排ガスは、加圧後の6段目のサイクル作動流体を加熱し、前記3段目の排ガス熱交換器は、3段目の排ガスによる熱交換を行い、前記2段目のサイクル蒸発器は、4段目の排ガスによる熱交換を行い、前記炭素捕集熱交換器は、5段目の排ガスによる熱交換を行う。
【0011】
さらに、前記空気側は、順に接続されるエアフィルタと、1段目の冷却器と、空気水分離器と、2段目の冷却器と、1段目の圧縮機と、3段目の冷却器と、2段目の圧縮機と、4段目の冷却器と、空気絞り弁と、1段目の精留塔と、2段目の精留塔とを含み、前記1段目の精留塔の上塔から吐出された廃窒素の流路は、順に接続される3段目の冷却器と、2段目の冷却器と、1段目の冷却器と、3段目の排ガス熱交換器と、廃窒素タービンと、廃窒素廃アルゴン集流装置とを含み、前記廃窒素廃アルゴン集流装置のもう1つの入口側が2段目の精留塔の上塔出口側に接続され、前記廃窒素廃アルゴン集流装置から吐出された廃窒素廃アルゴンの流路は、順に接続される排ガス予冷器と炭素捕集熱交換器とを含み、前記排ガス予冷器の冷熱源出口側が炭素捕集熱交換器の第3冷熱源入口側に接続され、前記2段目の精留塔の下塔から吐出された酸素ガスの流路は、順に接続される4段目の冷却器と、酸素ガス絞り弁と、炭素捕集熱交換器と、船舶主機とを含み、前記酸素ガス絞り弁の出口側が前記炭素捕集熱交換器の第2冷熱源入口側に接続され、前記炭素捕集熱交換器の第2冷熱源出口側が船舶主機に接続される。
【0012】
さらに、前記1段目の有機ランキンサイクルにおける1段目のサイクル作動流体の作動温度区間は、-100~70℃であり、前記2段目の有機ランキンサイクルにおける2段目のサイクル作動流体の作動温度区間は、25~150℃であり、前記3段目の有機ランキンサイクルにおける3段目のサイクル作動流体の作動温度区間は、25~115℃であり、前記4段目の超臨界ランキンサイクルにおける4段目のサイクル作動流体の作動温度区間は、25~261℃である。
【0013】
前記5段目の有機ランキンサイクルにおける5段目のサイクル作動流体の作動温度区間は、0~85℃であり、前記6段目の有機ランキンサイクルにおける6段目のサイクル作動流体の作動温度区間は、25~90℃である。
【0014】
前記1段目のサイクル作動流体は、R1150であり、前記2段目のサイクル作動流体は、n-Pentaneであり、前記3段目のサイクル作動流体は、R600であり、前記4段目のサイクル作動流体は、CO2であり、前記5段目のサイクル作動流体は、R600であり、前記6段目のサイクル作動流体は、n-Pentaneである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、主機のガス供給条件を満たした上で、主機の酸素富化燃焼系を構築することで、排ガスの成分がH2O、CO2及び少量のArのみであり、従来の技術案でCO2を分離させる複雑なステップを省き、排ガス中のCO2を効率的に捕集することができ、また、本発明は、船舶の廃熱及び冷熱エネルギーをカスケード利用し、省電力及び排出削減の二重の目標を実現し、従来技術と比較する利点は以下のとおりである。
【0016】
1、船舶の応用シーンに向けており、船舶のガス供給条件を満たした上で、「温度が適切で、カスケード利用する」原則に基づいて冷熱源の間に1段の有機ランキンサイクル、超臨界ランキンサイクル、カスケード接続される2段のランキンサイクルを合理的に構築して船舶の冷熱エネルギー及び廃熱をカスケード利用する。
【0017】
2、船舶主機を中心として酸素富化燃焼系を構築し、高濃度CO2を有する排ガスを得、従来の技術方法での分離精製ステップを省き、捕集しやすく、空気分離生成物の冷熱エネルギーを空気冷却、排ガスの冷却及び炭素捕集に再利用し、船全体のエネルギー消費を低減させる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施例によるLNG燃料船の低温炭素捕集を結合した冷熱エネルギー及び廃熱のカスケード利用システムの構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施例を併せて本発明をさらに説明し、理解すべきこととして、これらの実施例は、本発明を説明するためだけに使用され、本発明の範囲を限定するために使用されない。本説明を閲覧した後に、当業者による本説明の様々な均等形式の修正は、いずれも本出願の添付の請求項に限定された範囲内にある。
【0020】
図1に示すように、本発明の実施例に係るLNG燃料船の低温炭素捕集を結合した冷熱エネルギー及び廃熱のカスケード利用システムは、LNG蒸発側と、排ガス側と、空気側と、1段目の有機ランキンサイクル発電ユニットと、2段目の有機ランキンサイクル発電ユニットと、3段目の有機ランキンサイクル発電ユニットと、4段目の超臨界ランキンサイクル発電ユニットと、5段目の有機ランキンサイクル発電ユニットと、6段目の有機ランキンサイクル発電ユニットと、を含み、
LNG蒸発側は、順にパイプを介して接続されるLNG貯蔵タンク1と、1段目のLNG加圧ポンプ2と、LNG熱交換器3と、2段目のLNG加圧ポンプ4と、炭素捕集熱交換器5と、海水温度調整装置6と、船舶主機7とを含み、1段目のLNG加圧ポンプ2の出口がLNG熱交換器3の冷熱源入口側301に接続され、LNG熱交換器3の冷熱源出口側302が2段目のLNG加圧ポンプ4の入口に接続され、2段目のLNG加圧ポンプ4の出口が炭素捕集熱交換器5の第1冷熱源入口側501に接続され、炭素捕集熱交換器5の第1冷熱源出口側502が海水温度調整装置6の入口側に接続される。
【0021】
排ガス側は、順にパイプを介して接続される1段目の排ガスタービン8と、1段目の排ガス熱交換器9と、2段目の排ガスタービン10と、2段目の排ガス熱交換器11と、4段目の排ガス熱交換器12と、3段目の排ガス熱交換器13と、海水冷却器14と、第1排ガス水分離器15と、排ガス分流器16とを含み、排ガス分流器16により分流された1つの経路は、船舶主機7に直接接続され、もう1つの経路は、順に接続される排ガス予冷器17と、第2排ガス水分離器18と、排ガス圧縮機19と、2段目のサイクル蒸発器20と、炭素捕集熱交換器5と、LCO2貯蔵タンク21とを含み、1段目の排ガスタービン8の出口が1段目の排ガス熱交換器9の熱源入口側903に接続され、1段目の排ガス熱交換器9の熱源出口側904が2段目の排ガスタービン10の入口に接続され、2段目の排ガスタービン10の出口が2段目の排ガス熱交換器11の熱源入口側1103に接続され、2段目の排ガス熱交換器11の熱源出口側1104が4段目の排ガス熱交換器12の熱源入口側1203に接続され、4段目の排ガス熱交換器12の熱源出口側1204が3段目の排ガス熱交換器13の熱源入口側1303に接続され、3段目の排ガス熱交換器13の熱源出口側1304が海水冷却器14の入口側に接続され、第1排ガス水分離器15のガス出口側が排ガス分流器16の入口側に接続され、排ガス分流器16の出口側の1つの経路が船舶主機7に接続され、もう1つの経路が排ガス予冷器17の熱源入口側1703に接続され、排ガス予冷器17の熱源出口側1704が第2排ガス水分離器18の出口側に接続され、排ガス圧縮機19の出口が2段目のサイクル蒸発器20の熱源入口側2003に接続され、2段目のサイクル蒸発器20の熱源出口側2004が炭素捕集熱交換器5の熱源入口側507に接続され、炭素捕集熱交換器の熱源出口側507がLCO2貯蔵タンク21に接続される。
【0022】
空気側は、順にパイプを介して接続される空気フィルタ22と、1段目の冷却器23と、空気水分離器24と、2段目の冷却器25と、1段目の圧縮機26と、3段目の冷却器27と、2段目の圧縮機28と、4段目の冷却器29と、空気絞り弁30と、1段目の精留塔31と、2段目の精留塔32とを含み、1段目の精留塔31の上塔から吐出された廃窒素の流路は、順にパイプを介して接続される3段目の冷却器27と、2段目の冷却器25と、1段目の冷却器23と、3段目の排ガス熱交換器13と、廃窒素タービン33と、廃窒素廃アルゴン集流装置34とを含み、廃窒素廃アルゴン集流装置34のもう1つの入口側が2段目の精留塔32の上塔出口側に接続され、廃窒素廃アルゴン集流装置34から吐出された廃窒素廃アルゴンの流路は、順にパイプを介して接続される排ガス予冷器17と、炭素捕集熱交換器5と、5段目のサイクル凝縮器35とを含み、2段目の精留塔32の下塔から吐出された酸素ガスの流路は、順にパイプを介して接続される4段目の冷却器29と、酸素ガス絞り弁36と、炭素捕集熱交換器5と、船舶主機7とを含む。空気フィルタ22の出口側が1段目の冷却器23の熱源入口側2303に接続され、1段目の冷却器23の熱源出口側2304が空気水分離器24の入口側に接続され、空気水分離器24のガス出口側が2段目の冷却器25の熱源入口側2503に接続され、2段目の冷却器25の熱源出口側2504が1段目の圧縮機26の入口に接続され、1段目の圧縮機26の出口が3段目の冷却器27の熱源入口側2703に接続され、3段目の冷却器27の熱源出口側2704が2段目の圧縮機28の入口に接続され、2段目の圧縮機28の出口が4段目の冷却器29の熱源入口側2903に接続され、4段目の冷却器29の熱源出口側2904が空気絞り弁30を介して1段目の精留塔31に接続され、1段目の精留塔31の下塔出口側が2段目の精留塔32に接続され、1段目の精留塔31の上塔出口側が3段目の冷却器27の冷熱源入口側2701に接続され、3段目の冷却器27の冷熱源出口側2702が2段目の冷却器25の冷熱源入口側2501に接続され、2段目の冷却器25の冷熱源出口側2502が1段目の冷却器23の冷熱源入口側2301に接続され、1段目の冷却器23の冷熱源出口側2302が3段目の排ガス熱交換器13の冷熱源入口側1301に接続され、3段目の排ガス熱交換器13の冷熱源出口側1302が廃窒素タービン33の入口に接続され、廃窒素廃アルゴン集流装置34の出口側が排ガス予冷器17の冷熱源入口側1701に接続され、排ガス予冷器17の冷熱源出口側1702が炭素捕集熱交換器5の第3冷熱源入口側505に接続され、炭素捕集熱交換器5の第3冷熱源出口側506が5段目のサイクル凝縮器35の冷熱源入口側3501に接続され、2段目の精留塔32の下塔出口側が4段目の冷却器29の冷熱源入口側2901に接続され、4段目の冷却器29の冷熱源出口側2902が酸素ガス絞り弁36を介して炭素捕集熱交換器5の第2冷熱源入口側503に接続され、炭素捕集熱交換器5の第2冷熱源出口側504が船舶主機7に接続される。
【0023】
1段目の有機ランキンサイクル発電ユニットは、1段目のサイクル作動流体ポンプ38と、1段目のサイクル蒸発器39と、1段目のサイクルタービン37と、LNG熱交換器3とを接続して構成されるサイクル回路を含み、1段目のサイクルタービン37の出口がLNG熱交換器3の熱源入口側303に接続され、LNG熱交換器5の熱源出口側304が1段目のサイクル作動流体ポンプ38の入口に接続され、1段目のサイクル作動流体ポンプ38の出口が1段目のサイクル蒸発器39の冷熱源入口側3901に接続され、1段目のサイクル蒸発器39の冷熱源出口側3902が1段目のサイクルタービン37の入口に接続される。
【0024】
2段目の有機ランキンサイクル発電ユニットは、2段目のサイクル作動流体ポンプ42と、2段目のサイクル蒸発器20と、2段目のサイクルタービン40と、1段目のサイクル蒸発器39と、2段目のサイクル海水冷却器41とを接続して構成されるサイクル回路を含み、2段目のサイクルタービン40の出口が1段目のサイクル蒸発器39の熱源入口側3903に接続され、1段目のサイクル蒸発器39の熱源出口側3904が2段目のサイクル海水冷却器41の入口側に接続され、2段目のサイクル作動流体ポンプ42の出口が2段目のサイクル蒸発器20の冷熱源入口側2001に接続され、2段目のサイクル蒸発器20の冷熱源出口側2002が2段目のサイクルタービン40の入口に接続される。
【0025】
3段目の有機ランキンサイクル発電ユニットは、3段目のサイクル作動流体ポンプ55と、3段目のサイクル予熱器49と、2段目の排ガス熱交換器11と、3段目のサイクルタービン53と、3段目の海水冷却器54とを接続して構成されるサイクル回路を含み、3段目のサイクルタービン53の出口が3段目のサイクル海水冷却器54の入口側に接続され、3段目のサイクル海水冷却器54の出口側が3段目のサイクル作動流体ポンプ55の入口に接続され、3段目のサイクル作動流体ポンプ55の出口が3段目のサイクル予熱器49の冷熱源入口側4901に接続され、3段目のサイクル予熱器49の冷熱源出口側4902が2段目の排ガス熱交換器11の冷熱源入口側1101に接続され、2段目の排ガス熱交換器11の冷熱源出口側1102が3段目のサイクルタービン53の入口に接続される。
【0026】
4段目の超臨界ランキンサイクル発電ユニットは、4段目のサイクル作動流体ポンプ51と、4段目のサイクル予熱器52と、4段目のサイクル再生器48と、1段目の排ガス熱交換器9と、4段目のサイクルタービン47と、3段目のサイクル予熱器49と、4段目のサイクル海水冷却器50とを接続して構成されるサイクル回路を含み、4段目のサイクルタービン47の出口が4段目のサイクル再生器48の熱源入口側4803に接続され、4段目のサイクル再生器48の熱源出口側4804が3段目のサイクル予熱器49の熱源入口側4903に接続され、3段目のサイクル予熱器49の熱源出口側4904が4段目のサイクル海水冷却器50の入口側に接続され、4段目のサイクル海水冷却器50の出口側が4段目のサイクル作動流体ポンプ51の入口に接続され、4段目のサイクル作動流体ポンプ51の出口が4段目のサイクル予熱器52の冷熱源入口側5201に接続され、4段目のサイクル予熱器52の冷熱源出口側5202が4段目のサイクル再生器48の冷熱源入口側4801に接続され、4段目のサイクル再生器48の冷熱源出口側4802が1段目の排ガス熱交換器9の冷熱源入口側901に接続され、1段目の排ガス熱交換器9の冷熱源出口側902が4段目のサイクルタービン47の入口に接続される。
【0027】
5段目の有機ランキンサイクル発電ユニットは、5段目のサイクル作動流体ポンプ45と、5段目のサイクル再生器44と、5段目のサイクル蒸発器46と、5段目のサイクルタービン43と、5段目のサイクル凝縮器35とを接続して構成されるサイクル回路を含み、5段目のサイクルタービン43の出口が5段目のサイクル再生器44の熱源入口側4403に接続され、5段目のサイクル再生器44の熱源出口側4404が5段目のサイクル凝縮器35の熱源入口側3503に接続され、5段目のサイクル凝縮器35の熱源出口側3504が5段目のサイクル作動流体ポンプ45の入口に接続され、5段目のサイクル作動流体ポンプ45の出口が5段目のサイクル再生器44の冷熱源入口側4401に接続され、5段目のサイクル再生器44の冷熱源出口側4402が5段目のサイクル蒸発器46の冷熱源入口側4601に接続され、5段目のサイクル蒸発器46の冷熱源出口側4602が5段目のサイクルタービン43の入口に接続される。
【0028】
6段目の有機ランキンサイクル発電ユニットは、6段目のサイクル作動流体ポンプ58と、4段目の排ガス熱交換器12と、6段目のサイクルタービン56と、6段目のサイクル海水冷却器57とを接続して構成されるサイクル回路を含み、6段目のサイクルタービン56の出口が6段目のサイクル海水冷却器57の入口に接続され、6段目のサイクル海水冷却器57の出口が6段目のサイクル作動流体ポンプ58の入口に接続され、6段目のサイクル作動流体ポンプ58の出口が4段目の排ガス熱交換器12の冷熱源入口側1201に接続され、4段目の排ガス熱交換器12の冷熱源出口側1202が6段目のサイクルタービン56の入口に接続される。
【0029】
296600トンのVLCC-LNG燃料船を併せて、本実施例のLNG燃料船の低温炭素捕集を結合した冷熱エネルギー及び廃熱のカスケード利用システムにおける各部分の作動過程についてさらに説明する。LNG貯蔵タンクにおけるLNG成分は、メタン95%、エタン3%、プロパン2%である。空気成分は、窒素ガス78.1%、酸素ガス20.9%、アルゴンガス0.94%、二酸化炭素0.03%、水蒸気0.03%である。エンジンに導入される酸素ガス(純酸素ではない)成分は、酸素ガス98.35%、アルゴンガス1.65%である。この例で導入される酸素ガスは純酸素ではないので、システムのゼロ炭素排出を実現するために、サイクルCO2成分を二酸化炭素94.31%、アルゴンガス2.82%、水蒸気2.87%に調整する。
【0030】
フローのパラメータについての説明
LNGフロー:LNG(3000kg/h、600kPa、-162℃)は、LNG貯蔵タンク1から排出され、1段目のLNG加圧ポンプ2により1回目に15MPa(-154.3℃)まで加圧され、その後にLNG熱交換器3において1段目のサイクル作動流体(R1150、150kPa、-51.43℃)と熱交換して-91.08℃になる。次に、2段目のLNG加圧ポンプ4により2回目に30Mpa(-75.82)まで加圧され、さらに低温炭素捕集熱交換器5に入って熱交換して0℃まで昇温し、このとき、LNGの利用できる冷熱エネルギーが少なく、海水温度調整装置6により直接熱交換して15℃になって船舶主機7に送られる。
【0031】
排ガスフロー:船舶主機7から排出された排ガス(350℃、500kPa、196070kg/h)は、1段目の排ガスタービン8により仕事をし(ここで、タービン出口の圧力が150kPa以上に限制される)、仕事をした後の排ガス(150kPa、266℃)は、1段目の排ガス熱交換器9において、4段目のサイクル再生器48から排出された4段目のサイクル作動流体(CO2、126.9℃)と熱交換し、熱交換後の排ガス(150kPa、144.4℃)は、2段目の排ガスタービン10により110kPa(123.6℃)まで膨張仕事をし、さらに2段目の排ガス熱交換器11において、5段目のサイクル予熱器49から排出された5段目のサイクル作動流体(R600、80℃)と熱交換して94.07℃まで降温する。次に4段目の排ガス熱交換器12において、6段目のランキンサイクル作動流体(n-Pentane、25.16℃)に熱を供給し、77.63℃まで降温し、さらに3段目の排ガス熱交換器13において廃窒素(623kPa、8.114℃)と熱交換して73.08℃になった後に海水冷却器14により熱交換して25℃になり、その後に第1排ガス水分離器15によりほとんどの水が分離された後に排ガス分流器16により2つの経路に分けられ、1つの経路をサイクル排ガスとして船舶主機7に送り、もう1つの経路に対して炭素捕集を行う。
【0032】
捕集フロー:排ガス分流器16により分流された1つの経路の捕集排ガス(9108kg/h、110kPa、25℃)は、排ガス予冷器17において、廃窒素廃アルゴン集流装置34から排出された廃窒素(110kPa、-70.45℃)と熱交換して-52℃まで降温し、さらに第2排ガス水分離器18により水が分離された後に得られた捕集排ガス(8995kg/h)は、排ガス圧縮機19により1950kPa(202.9℃)まで加圧され、その後に2段目のサイクル蒸発器20により2段目のサイクル作動流体(25.75℃)と熱交換して67.59℃まで降温し、最後に捕集排ガスは、炭素捕集熱交換器5により酸素ガス(-110.8℃)、廃窒素(-50.19℃)及びLNG(-75.82℃)と熱交換し、-36.5℃、1950kPaで液化して捕集を完了してLCO2貯蔵タンク21に送る。
【0033】
空気分離フロー:空気(25℃、110kPa、52250kg/h)は、エアフィルタ22を通して不純物を濾過し、1段目の冷却器23において、2段目の冷却器25から排出された廃窒素(-87.94℃、623kPa)と熱交換し、温度が-52℃に下がった後に空気水分離器24により水が分離され、次に2段目の冷却器25において、3段目の冷却器27から排出された廃窒素(-175.9℃、623kPa、気相分率0.7356)と熱交換して-162℃まで降温した後に1段目の圧縮機26により570kPa(-69.38℃)まで1回目に加圧され、さらに3段目の冷却器27において、4段目の冷却器29から排出された廃窒素(-176.1℃、623kPa、液相分率1)と熱交換して-162℃まで降温する。さらに2段目の圧縮機28において、1600kPa(-109.5℃)まで2回目に加圧し、その後に空気は、2段目の精留塔32の下塔から排出された液体酸素(-182.7℃、112kPa)と4段目の冷却器29において熱交換して-157℃まで降温し、さらに空気絞り弁30を通り、圧力が1200kPaに下がり、温度が-162℃に下がる。空気絞り弁30から流出された空気は、1段目の精留塔31に入って分離され、底部から液体酸素(625kPa、-161.7℃、O2モル分率0.9546)が流出し、上部から流出された廃窒素(623kPa、液相分率1、-176.1℃)は、冷熱源として3段目の冷却器27、2段目の冷却器25、1段目の冷却器23及び3段目の排ガス熱交換器13に順に入って熱交換して27℃まで昇温し、その後に廃窒素タービン33に入って110kPa(-68.04℃)まで膨張仕事をする。仕事をした後の廃窒素は、2段目の精留塔32の上塔から排出された廃アルゴンと廃窒素廃アルゴン集流装置34により混合された後に、排ガス予冷器17において、捕集排ガス(25℃)と熱交換して-50.19℃まで昇温し、その後に低温炭素捕集熱交換器5に入って冷熱を供給し、次に排出された廃窒素(-17.89)は、熱交換器の5段目のサイクル凝縮器35において5段目のサイクル作動流体(R600、8℃)に冷熱を供給した後に排出される。1段目の精留塔31の下塔から排出された液体酸素は、2段目の精留塔32に入ってさらに分離精製され、上部から流出された廃アルゴン(110kPa、-192℃)は、廃窒素廃アルゴン集流装置34により廃窒素と混合され、底部から流出された酸素ガス(112kPa、-182.3℃、O2モル分率0.9835、液相分率1)は、4段目の冷却器29に入って冷熱源として熱交換し、温度が-110.8℃まで上がり、酸素ガス絞り弁36を通り、110kPaまで下がり、次に炭素捕集熱交換器5において冷熱源として熱交換して20℃まで昇温して船舶主機7に送られる。
【0034】
1段目の有機ランキンサイクル:1段目のサイクルタービン37により仕事をして排気された1段目のサイクル作動流体(R1150、-51.43℃、150kPa、1210kg/h)は、LNG熱交換器3においてLNG(-154.3)と熱交換して-100℃になった後に、1段目のサイクル作動流体ポンプ38により2000kPa(-98.69℃)まで加圧され、次に1段目のサイクル蒸発器39において2段目のサイクル作動流体(94.25℃)と熱交換して66℃まで昇温し、最後に1段目のサイクルタービン37により仕事をし、1つのサイクルを完了する。
【0035】
2段目の有機ランキンサイクル:2段目のサイクルタービン40により仕事をして排気された2段目のサイクル作動流体(n-Pentane、94.25℃、110kPa、2100kg/h)は、1段目のサイクル蒸発器39において1段目のサイクル作動流体(-98.69℃)と熱交換して36.87℃まで降温した後に、1段目のサイクル海水冷却器41により熱交換して25℃になり、さらに2段目のサイクル作動流体ポンプ42により1400kPa(25.75℃)まで加圧され、次に2段目のサイクル蒸発器20において、排ガス圧縮機19により圧縮された後の捕集排ガス(202.9℃)と熱交換して150℃まで昇温し、最後に2段目のサイクルタービン40により仕事をし、1つのサイクルを完了する。
【0036】
3段目の有機ランキンサイクル:3段目のサイクルタービン53により仕事をして排気された5段目のサイクル作動流体(R600、66.54℃、250kPa、15600kg/h)は、3段目のサイクル海水冷却器54により熱交換して25℃になり、3段目のサイクル作動流体ポンプ55により1500kPa(25.93℃)まで加圧され、さらに3段目のサイクル予熱器49において、4段目のサイクル作動流体(90℃)と熱交換して80℃まで昇温し、さらに2段目の排ガス熱交換器11において排ガス(123.6℃)と熱交換して115℃まで昇温し、最後に3段目のサイクルタービン53により仕事をし、1つのサイクルを完了する。
【0037】
4段目の超臨界ランキンサイクル:4段目のサイクルタービン47により仕事をして排気された4段目のサイクル作動流体(CO2、165.1℃、6750kPa、126000kg/h)は、まず、4段目のサイクル再生器48において熱交換して90℃になり、次に3段目のサイクル予熱器49において、3段目のサイクル作動流体ポンプ55により加圧された後の3段目のサイクル作動流体(R600、25.93℃)と熱交換し、76.53℃まで降温した後に4段目のサイクル海水冷却器50により熱交換して25℃になり、4段目のサイクル作動流体ポンプ51により20000kPa(53.7℃)まで加圧される。その後に4段目のサイクル作動流体は、まず4段目のサイクル予熱器52において高温ジャケット水の冷却水(90℃)と熱交換して85℃まで昇温し、さらに4段目のサイクル再生器48において126.9℃まで再生され、最後に1段目の排ガス熱交換器9において排ガス(266℃)と熱交換して260.5℃まで昇温した後に、4段目のサイクルタービン47により仕事をし、1つのサイクルを完了する。
【0038】
5段目の有機ランキンサイクル:5段目のサイクルタービン43により仕事をして排気された5段目のサイクル作動流体(R600、27.95℃、110kPa、2190kg/h)は、5段目のサイクル再生器44により熱交換して8℃まで降温した後に5段目のサイクル凝縮器35により廃窒素(-17.82)と熱交換して0℃まで降温し、次に5段目のサイクル作動流体ポンプ45により1100kPa(0.63℃)まで加圧された後に5段目のサイクル再生器44に入って15.26℃まで再生され、さらに5段目のサイクル蒸発器46において高温ジャケット水の冷却水(90℃)と熱交換して85℃まで昇温し、最後に5段目のサイクルタービン43により仕事をし、1つのサイクルを完了する。
【0039】
6段目の有機ランキンサイクル:6段目のサイクルタービン56により仕事をして排気された6段目のサイクル作動流体(n-Pentane、64.97℃、110kPa、6500kg/h)は、6段目のサイクル海水冷却器57により熱交換して25℃になった後に6段目のサイクル作動流体ポンプ58により390kPa(25.16℃)まで加圧され、次に4段目の排ガス熱交換器12において排ガス(94.07℃)と熱交換して88℃まで昇温し、最後に6段目のサイクルタービン56により仕事をし、1つのサイクルを完了する。
【0040】
(付記)
(付記1)
LNG燃料船の低温炭素捕集を結合した冷熱エネルギー及び廃熱のカスケード利用システムであって、
LNG貯蔵タンクから排出されたLNGは、1段目の加圧、1段目のLNG熱交換、2段目の加圧、2段目のLNG熱交換及び海水による温度調整を経てNGを形成して主機に送られるLNG蒸発側と、
主機から排出された排ガスは、1段目の排ガスの膨張仕事、1段目の排ガスによる熱交換、2段目の排ガスの膨張仕事、2段目の排ガスによる熱交換、3段目の排ガスによる熱交換及び海水による冷却を経た後に第1排ガス水分離器により水が分離され、さらに2つの経路に分流され、1つの経路は、主機に送られ、もう1つの経路は、順に排ガス予冷器、第2排ガス水分離器、排ガス圧縮機を通った後に4段目の排ガスによる熱交換及び5段目の排ガスによる熱交換をして低温液化捕集を完了し、LCO2貯蔵タンクに送られる排ガス側と、
空気に多段の冷却加圧及び2段の精留を順に行う流路を含み、空気に前記2段の精留を行って形成された廃窒素は、空気に多段の冷却加圧のうち最後段の冷却以外の前段の冷却を行い、3段目の排ガス熱交換器により熱エネルギーを吸収した後に、廃窒素タービンにより仕事をするために用いられ、空気に前記2段の精留を行って形成された廃アルゴンは、廃窒素タービンから排出された前記廃窒素と混合され、次に順に前記排ガス予冷器及び炭素捕集熱交換器に冷熱エネルギーを提供した後に排出され、空気に前記2段の精留を行って形成された液体酸素は、空気に最後段の冷却を行った後に炭素捕集熱交換器において再気化されて主機に送られるために用いられる空気側と、
サイクル回路は、1段目のサイクル作動流体を加圧した後に1段目のサイクル蒸発器において2段目のサイクル作動流体で加熱し、膨張仕事をした後に前記1段目のLNG熱交換によって再加圧する回路である1段目の有機ランキンサイクル発電ユニットと、
サイクル回路は、2段目のサイクル作動流体を加圧した後に前記排ガス圧縮機から排出された排ガスで加熱し、膨張仕事をした後に前記1段目のサイクル蒸発器及び2段目のサイクル海水冷却器で順に熱交換して再加圧する回路である2段目の有機ランキンサイクル発電ユニットと、
サイクル回路は、3段目のサイクル作動流体を加圧した後に前記3段目のサイクル予熱器で熱交換して排ガスと2段目の排ガスによる熱交換を行い、膨張仕事をした後に3段目のサイクル海水冷却器で熱交換して再加圧する回路である3段目の有機ランキンサイクル発電ユニットと、
サイクル回路は、4段目の超臨界ランキンサイクル作動流体を加圧した後に順に高温ジャケット冷却水で予熱し、4段目のサイクル再生器で再生して排ガスと1段目の排ガスによる熱交換を行い、膨張仕事をした後に4段目のサイクル再生器、3段目のサイクル予熱器及び4段目のサイクル海水冷却器で順に熱交換して再加圧する回路である4段目の超臨界ランキンサイクル発電ユニットとを含み、
前記1段目のLNG熱交換は、LNGが1段目の有機ランキンサイクル作動流体に冷熱エネルギーを提供することであり、前記2段目のLNG熱交換は、LNGが炭素捕集熱交換器に冷熱エネルギーを提供することであり、前記1段目の排ガスによる熱交換は、排ガスが4段目のランキンサイクル作動流体に熱エネルギーを提供することであり、前記2段目の排ガスによる熱交換は、排ガスが3段目のランキンサイクル作動流体に熱エネルギーを提供することであり、前記3段目の排ガスによる熱交換は、排ガスが空気に1段目の冷却を行った後の廃窒素に熱エネルギーを提供することであり、前記4段目の排ガスによる熱交換は、排ガス圧縮機で圧縮された後の排ガスが前記2段目のサイクル作動流体に熱エネルギーを放出することであり、前記5段目の排ガスによる熱交換は、排ガスが炭素捕集熱交換器に熱エネルギーを放出することであり、前記炭素捕集熱交換器において、2段目の加圧後の前記LNG、空気に最後段の冷却を行った後の酸素ガス及び排ガス予冷器により熱交換された後の前記廃窒素と廃アルゴンはともに前記2段目のサイクル作動流体と熱交換した後の排ガスから吸熱する、ことを特徴とするLNG燃料船の低温炭素捕集を結合した冷熱エネルギー及び廃熱のカスケード利用システム。
【0041】
(付記2)
5段目の有機ランキンサイクル発電ユニットを含み、前記5段目の有機ランキンサイクル発電ユニットのサイクル回路は、5段目のサイクル作動流体を加圧した後に5段目のサイクル再生器で熱交換して高温ジャケット冷却水で加熱し、膨張仕事をした後に順に前記5段目のサイクル再生器で熱交換し、前記炭素捕集熱交換器から排出された廃窒素廃アルゴンで冷却して再加圧する回路である、ことを特徴とする付記1に記載のLNG燃料船の低温炭素捕集を結合した冷熱エネルギー及び廃熱のカスケード利用システム。
【0042】
(付記3)
6段目の有機ランキンサイクル発電ユニットを含み、前記6段目の有機ランキンサイクル発電ユニットのサイクル回路は、6段目のサイクル作動流体を加圧した後に2段目の排ガスによる熱交換後の排ガスで加熱し、膨張仕事をした後に6段目の海水冷却器で熱交換して再加圧する回路であり、加圧後の前記6段目のサイクル作動流体を加熱した後の排ガスに対して3段目の排ガスによる熱交換を行う、ことを特徴とする付記2に記載のLNG燃料船の低温炭素捕集を結合した冷熱エネルギー及び廃熱のカスケード利用システム。
【0043】
(付記4)
前記LNG蒸発側は、順に接続されるLNG貯蔵タンクと、1段目のLNG加圧ポンプと、LNG熱交換器と、2段目のLNG加圧ポンプと、炭素捕集熱交換器と、海水温度調整装置と、船舶主機とを含み、前記1段目のLNG加圧ポンプの出口が前記LNG熱交換器の冷熱源入口側に接続され、前記LNG熱交換器の冷熱源出口側が前記2段目のLNG加圧ポンプの入口側に接続され、前記2段目のLNG加圧ポンプの出口側が前記炭素捕集熱交換器の第1冷熱源入口側に接続され、前記炭素捕集熱交換器の第1冷熱源出口側が海水温度調整装置の入口側に接続され、前記1段目のLNG熱交換が前記LNG熱交換器において行われる、ことを特徴とする付記1に記載のLNG燃料船の低温炭素捕集を結合した冷熱エネルギー及び廃熱のカスケード利用システム。
【0044】
(付記5)
前記排ガス側は、順に接続される1段目の排ガスタービンと、1段目の排ガス熱交換器と、2段目の排ガスタービンと、2段目の排ガス熱交換器と、4段目の排ガス熱交換器と、3段目の排ガス熱交換器と、海水冷却器と、第1排ガス水分離器と、排ガス分流器とを含み、前記排ガス分流器により分流された1つの経路は、船舶主機に直接接続され、もう1つの経路は、順に接続される排ガス予冷器と、第2排ガス水分離器と、排ガス圧縮機と、2段目のサイクル蒸発器と、炭素捕集熱交換器と、LCO2貯蔵タンクとを含み、前記1段目の排ガス熱交換器は、1段目の排ガスによる熱交換を行い、前記2段目の排ガス熱交換器は、2段目の排ガスによる熱交換を行い、前記4段目の排ガス熱交換器において、2段目の排ガスにより熱交換された後の排ガスは、加圧後の6段目のサイクル作動流体を加熱し、前記3段目の排ガス熱交換器は、3段目の排ガスによる熱交換を行い、前記2段目のサイクル蒸発器は、4段目の排ガスによる熱交換を行い、前記炭素捕集熱交換器は、5段目の排ガスによる熱交換を行う、ことを特徴とする付記3に記載のLNG燃料船の低温炭素捕集を結合した冷熱エネルギー及び廃熱のカスケード利用システム。
【0045】
(付記6)
前記空気側は、順に接続されるエアフィルタと、1段目の冷却器と、空気水分離器と、2段目の冷却器と、1段目の圧縮機と、3段目の冷却器と、4段目の冷却器と、空気絞り弁と、1段目の精留塔と、2段目の精留塔とを含み、前記1段目の精留塔の上塔から吐出された廃窒素の流路は、順に接続される3段目の冷却器と、2段目の冷却器と、1段目の冷却器と、3段目の排ガス熱交換器と、廃窒素タービンと、廃窒素廃アルゴン集流装置とを含み、前記廃窒素廃アルゴン集流装置のもう1つの入口側が2段目の精留塔の上塔出口側に接続され、前記廃窒素廃アルゴン集流装置から吐出された廃窒素廃アルゴンの流路は、順に接続される排ガス予冷器と炭素捕集熱交換器とを含み、前記排ガス予冷器の冷熱源出口側が炭素捕集熱交換器の第3冷熱源入口側に接続され、前記2段目の精留塔の下塔から吐出された酸素ガスの流路は、順に接続される4段目の冷却器と、酸素ガス絞り弁と、炭素捕集熱交換器と、船舶主機とを含み、前記酸素ガス絞り弁の出口側が前記炭素捕集熱交換器の第2冷熱源入口側に接続され、前記炭素捕集熱交換器の第2冷熱源出口側が船舶主機に接続される、ことを特徴とする付記1に記載のLNG燃料船の低温炭素捕集を結合した冷熱エネルギー及び廃熱のカスケード利用システム。
【0046】
(付記7)
前記1段目の有機ランキンサイクルにおける1段目のサイクル作動流体の作動温度区間は、-100~70℃であり、前記2段目の有機ランキンサイクルにおける2段目のサイクル作動流体の作動温度区間は、25~150℃であり、前記3段目の有機ランキンサイクルにおける3段目のサイクル作動流体の作動温度区間は、0~85℃であり、前記4段目の超臨界ランキンサイクルにおける4段目のサイクル作動流体の作動温度区間は、25~261℃である、ことを特徴とする付記1に記載のLNG燃料船の低温炭素捕集を結合した冷熱エネルギー及び廃熱のカスケード利用システム。
【0047】
(付記8)
前記5段目の有機ランキンサイクルにおける5段目のサイクル作動流体の作動温度区間は、25~115℃であり、前記6段目の有機ランキンサイクルにおける6段目のサイクル作動流体の作動温度区間は、25~90℃である、ことを特徴とする付記3に記載のLNG燃料船の低温炭素捕集を結合した冷熱エネルギー及び廃熱のカスケード利用システム。
【0048】
(付記9)
前記1段目のサイクル作動流体は、R1150であり、前記2段目のサイクル作動流体は、n-Pentaneであり、前記3段目のサイクル作動流体は、R600であり、前記4段目のサイクル作動流体は、CO2である、ことを特徴とする付記7に記載のLNG燃料船の低温炭素捕集を結合した冷熱エネルギー及び廃熱のカスケード利用システム。
【0049】
(付記10)
前記5段目のサイクル作動流体は、R600であり、前記6段目のサイクル作動流体は、n-Pentaneである、ことを特徴とする付記8に記載のLNG燃料船の低温炭素捕集を結合した冷熱エネルギー及び廃熱のカスケード利用システム。