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特許7576362修飾植物胚乳特異的プロモータとその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-23
(45)【発行日】2024-10-31
(54)【発明の名称】修飾植物胚乳特異的プロモータとその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/82 20060101AFI20241024BHJP
   C12N 15/84 20060101ALI20241024BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20241024BHJP
   C12N 5/04 20060101ALI20241024BHJP
   A01H 5/00 20180101ALI20241024BHJP
   A01H 6/46 20180101ALI20241024BHJP
   A01H 6/00 20180101ALI20241024BHJP
   A01H 6/54 20180101ALI20241024BHJP
   A01H 6/20 20180101ALI20241024BHJP
   A01H 6/14 20180101ALI20241024BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
C12N15/82 126Z
C12N15/84 Z ZNA
C12N5/10
C12N5/04
A01H5/00 A
A01H6/46
A01H6/00
A01H6/54
A01H6/20
A01H6/14
C12P21/02 C
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023547732
(86)(22)【出願日】2021-08-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-01
(86)【国際出願番号】 CN2021112887
(87)【国際公開番号】W WO2022078049
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2023-06-07
(31)【優先権主張番号】202011109663.9
(32)【優先日】2020-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】523142582
【氏名又は名称】武漢禾元生物科技股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】楊代常
(72)【発明者】
【氏名】李坤鵬
【審査官】田ノ上 拓自
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104962557(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/82
C12N 15/84
C12N 5/10
C12N 5/04
A01H 5/00
A01H 6/46
A01H 6/00
A01H 6/54
A01H 6/20
A01H 6/14
C12P 21/02
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
SEQ ID NO.に示されるヌクレオチド配列のプロモータを有する修飾植物胚乳特異的発現プロモータ。
【請求項2】
請求項1に記載の植物胚乳特異的発現プロモータを含む発現カセット。
【請求項3】
請求項1に記載の植物胚乳特異的発現プロモータを含む組換発現ベクター。
【請求項4】
請求項1に記載の植物胚乳特異的発現プロモータを含む宿主アグロバクテリウム。
【請求項5】
請求項1に記載の植物胚乳特異的発現プロモータを含む遺伝子形質転換植物又は細胞株。
【請求項6】
遺伝子操作された植物又は遺伝子形質転換植物の調製における請求項1の植物胚乳特異的発現プロモータの使用。
【請求項7】
組換タンパク質又は代謝物を発現する遺伝子操作された植物又は遺伝子形質転換植物の調製における請求項1の植物胚乳特異的発現プロモータの使用。
【請求項8】
前記植物は、単子葉植物又は双子葉植物である請求項6に記載の使用。
【請求項9】
前記単子葉植物は、イネ、コムギ、トウモロコシ、オオムギ、クリ、ソルガム、又はオーツであり、前記双子葉植物は、ダイズ、セイヨウアブラナ、又はヒマワリである請求項8に記載の使用。
【請求項10】
請求項1に記載の植物胚乳特異的発現プロモータを使用した組換タンパク質の調製方法であって、
1)請求項1に記載の前記植物胚乳特異的発現プロモータを使用して、イネ胚乳細胞特異的媒介ベクターを構築することと、
2)組換タンパク質遺伝子を合成することと、
3)ステップ1)の前記ベクターをステップ2)の前記遺伝子に操作可能に結合することにより、前記プロモータによって媒介された組換タンパク質発現のためのベクターを得ることと、
4)ステップ3)の前記発現ベクターによって植物を形質転換し、前記胚乳中に前記組換タンパク質を発現することと、
5)前記植物から前記組換タンパク質を抽出及び精製することと、を含む方法。
【請求項11】
前記組換タンパク質は、ネコ血清アルブミンである請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遺伝子工学とバイオテクノロジーの分野に属し、特に、人工修飾植物胚乳特異的プロモータEnhGt13a及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
植物遺伝子工学を通じた植物細胞中の種々の組換タンパク質の発現及び作成も、分子薬学として既知であり、組換タンパク質産物は、植物性医薬品(PMP)として既知である。現在、遺伝子操作された植物において発現の成功した組換薬剤には、ホルモン、抗体、酵素、サイトカイン、血漿タンパク質因子、及びワクチンがある。分子薬学は、組換タンパク質生成において多数の効果を示してきており、特にイネ胚乳は、理想的な組換タンパク質発現システムとして以下の効果を有している。1)モデル植物として、イネは、明確な遺伝子背景と詳細なゲノム情報とを有する。2)成熟した遺伝子形質転換技術である。3)イネは、自家受粉を行い、他家受粉の頻度は非常に低く、通常は1~5%未満であり、遺伝的浮動の頻度は、0.036%しかなく、花粉は葯を離れた後、5分でその活動を失い、バイオセイフティが良好である。4)イネの種子は、成熟及び乾燥後に、組換タンパク質の理想的な貯蔵場所を提供するものであり、そこで組換タンパク質が容易には劣化しない。5)種子は、長期貯蔵可能である。6)イネ胚乳は、可溶性の低い数種の貯蔵タンパク質を含有し、標的タンパク質の分離及び精製に有利である。7)最近の研究において、イネ胚乳中で生成された組換糖タンパク質が低い免疫原性を示すことを示している。8)イネは、田畑での育成及び管理がより容易であるため、遺伝子操作されたイネの大規模耕作が促進される。
【0003】
組換タンパク質の発現レベルは、生成コスト及び市場競争力に直接影響し、PMP産物が市場に入れるか否かに影響を及ぼす鍵となる。したがって、組換タンパク質発現の連続的な改善が、分子薬学の研究における恒常的なテーマである。過去20年間、植物細胞中の組換タンパク質の発現レベルを向上するために、広範な研究が行われ、多大な進歩を遂げてきた。組換タンパク質の発現を向上するストラテジーは、主に、以下の側面を焦点にしている。1)転写アクティビティの高いプロモータを使用することで、外来遺伝子の転写レベルを上げて種子中の組換タンパク質の特異的発現を可能にする。2)イネに好適なコドンを備えた標的遺伝子のコドン最適化により、mRNAの不安定性を生じる希少コドンと潜在的なイントロンスプライシング部位を回避して、翻訳段階での組換タンパク質発現を改善し得るようにする。3)特異的5’及び3’UTRの選択により、翻訳開始とmRNA安定性を向上することができる。4)特異的細胞内空胞に組換タンパク質を位置づける特異的タンパク質ソートシグナルを使用することで、組換タンパク質の発現レベルを上昇させるのみならず、下流の分離及び精製を促進する。特に、イネ胚乳に特異的な、より強いプロモータGtl及びGt13a等を使用するなど、より強いプロモータを選択することが最も効果的である。例えば、Gt13aプロモータの転写アクティビティは、Gtlより少なくとも48.8%高い(Ningら、2008年、イネ胚乳において発現した組換ヒト顆粒球マクロファージコロニー刺激因子の経口投与によるマウスの白血球を増加することができる。Biotechnol Lett.30:1679~1686)。
【0004】
特許第ZL200510019084.4号及び第ZL200610019285.9号は、イネ貯蔵タンパク質Gt13aプロモータの使用について記載している。Gt13aプロモータは、天然のイネをコードする13のイネ貯蔵グルテニン遺伝子のうち、最も転写アクティビティの高いプロモータであるが(Kusabaら(2003年)低グルテリン含有量1:イネにおけるRNAサイレンシングを介したグルテリン多重遺伝子族を抑制する優性突然変異、Plant Cell 15:1455~1467)、イネ胚乳細胞における組換ヒト血清アルブミンの収率は、2.75g/kg玄米までに達した(Heら(2011年)遺伝子形質転換イネ種子からの機能的ヒト血清アルブミンの大規模生成、Proc.Natl.Acad.Sci.,米国,2011年,vol.108(47):19078~19083)。イネ胚乳細胞中の組換タンパク質の発現をさらに増加させるには、Gt13aプロモータがイネ貯蔵タンパク質遺伝子の中でも最も強いプロモータであるため、天然においてGt13aプロモータよりも強いプロモータを見つけることは困難である。したがって、イネ胚乳細胞中の組換タンパク質のさらに高い発現を駆動するために、Gt13aよりも転写アクティビティの高いプロモータを人工的に作成する必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、イネ胚乳細胞における組換タンパク質の発現をさらに向上するための、人工修飾胚乳特異的プロモータタEnhGt13a(Enhanced Gt13a)とその使用を提供することである。発現に負の調節を行ういくつかの転写シス作用性エレメント(リプレッサ)が、除去され、Gt13a(Os01g0762500、EU264102)におけるシス作用性エレメントへの部位特異的突然変異によって、発現に正の調節を行う新たなシス作用性エレメント(エンハンサ、又はTATAカセット及びマトリクス付着領域(MAR)のエンハンサ等)が生成される。一過性GUS遺伝子発現によって試験されたプロモータの転写アクティビティの増加と、外来タンパク質の発現のさらなる増加とが、イネ胚乳において認められる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の技術的解決を提供するものである。
【0007】
SEQ ID NO.1~SEQ ID NO.5のいずれか1つに示されるようなヌクレオチド配列を有する修飾植物胚乳特的プロモータであって、特に、以下のヌクレオチド配列を有する。
【0008】
1)SEQ ID NO.1に示されるようなDNA配列を有する。この配列は、Gt13aプロモータ(SEQ ID NO.6に示される)の5’末端の281ベースの削除によるGt13aΔ281bp欠失プロモータである。又は、
【0009】
2)SEQ ID NO.2に示されるようなDNA配列を有する。この配列は、322位、708位、及び712位における部位特異的G→T突然変異と、733位における部位特異的G→A突然変異とを伴う、SEQ ID NO.1に示されるようなDNA配列による人工修飾ATリッチプロモータである。又は、
【0010】
3)SEQ ID NO.3に示されるようなDNA配列を有する。この配列は、620位にCCからTTの突然変異を示して新たなCAATを生じ、340位に配列TACAAATGATGTGTCAATTA CAを挿入してCAATエレメントを3回反復した、SEQ ID NO.1に示されるような新たな候補プロモータGt13aΔ281+CAATモチーフである。又は、
【0011】
4)SEQ ID NO.4に示されるようなDNA配列を有する。この配列は、301~322位においてAAGTCATAACTGATモチーフを削除し、555位においてCAGTGエレメントを削除し、708位においてGAAAGからCAATTの突然変異を伴う、SEQ ID NO.1に示されるようなDELの新たな候補プロモータである。又は、
【0012】
5)SEQ ID NO.5に示されるようなDNA配列を有する。この配列は、808位及び841位に配列ATATATCATGAGTCACTTCAT及びAACAAACTCTATCTT AACATTを各々挿入してGCN4エレメントを増加させた、SEQ ID NO.1に示されるような新たなGCN4エレメントリッチ候補プロモータである。
【0013】
本発明の新たな植物胚乳特異的プロモータは、配列表のSEQ ID NO.1又はSEQ ID NO.2に示されるようなヌクレオチド配列を有することが好ましい。最も好適なプロモータは、SEQ ID NO.2に示されるようなヌクレオチド配列を有する。
【0014】
本発明はまた、上記植物胚乳特異的プロモータのうちのいずれか1つを含む発現カセットも提供する。
【0015】
本発明はまた、上記植物胚乳特異的プロモータのうちのいずれか1つを含む組換発現ベクターも提供する。
【0016】
本発明はまた、上記植物胚乳特異的プロモータのいずれか1つを含む宿主バクテリアも提供する。
【0017】
本発明はまた、上記胚乳特異的プロモータの1つを含む遺伝子操作された植物細胞株、又は遺伝子形質転換植物、又は細胞株も提供する。
【0018】
本発明はまた、遺伝子操作されたか、又は遺伝子形質転換された植物の調製における上記植物胚乳特異的プロモータと、その使用も提供する。
【0019】
本発明はまた、いずれかの組換タンパク質又は代謝物を発現する遺伝操作されたか、又は遺伝子形質転換された植物における上記植物胚乳特異的プロモータの使用も提供する。
【0020】
上記植物胚乳特異的プロモータを使用することによる外来遺伝子の植物胚乳特異的発現の育種方法も、本発明の範囲内である。
【0021】
外来遺伝子の胚乳特異的発現を伴う植物の育種方法は、胚乳における外来遺伝子を特異的に発現する遺伝子形質転換植物に対するスクリーニングを行うために、植物発現ベクターを植物に形質転換することを含む。
【0022】
上述した遺伝子形質転換植物はいずれも、単子葉植物又は双子葉植物である。単子葉植物は、イネ、コムギ、トウモロコシ、オオムギ、クリ、ソルガム、又はオーツ等のイネ科の植物であってもよく、双子葉植物は、ダイズ、セイヨウアブラナ、又はヒマワリであってもよい。
【0023】
本発明はまた、請求項1に記載の植物胚乳特異的プロモータを使用した組換タンパク質の作成方法であって、
1)請求項1に記載の植物胚乳特異的発現プロモータを使用して、イネ胚乳細胞特異的媒介ベクターを構築することと、
2)組換タンパク質遺伝子を合成することと、
3)ステップ1)のベクターをステップ2)の遺伝子に操作可能に結合することにより、プロモータによって駆動された組換タンパク質発現のためのベクターを得ることと、
4)ステップ3)の発現ベクターによって植物を形質転換し、胚乳中に前記組換タンパク質を発現することと、
5)植物から組換タンパク質を抽出及び精製することと、を含む方法も提供する。
本発明の特定の実施形態において、組換ネコ血清アルブミン(FSA)の調製方法を提供し、FSAの遺伝子は、SEQ ID NO.7に示されるようなヌクレオチド配列を有する。
【発明の効果】
【0024】
Gt13aプロモータと比較すると、本発明の修飾プロモータの有利な効果は、以下において反映される。
1)新たなプロモータ配列は、Gt13aの削除によって得られ、これにより非修飾プロモータに比較して7.2%、βグルコシダーゼ(GUS)遺伝子の転写アクティビティを増加させる。
【0025】
2)新たなプロモータは、EnhGt13aとして指定され、削除バージョンのGt13aにおけるシス要素のコア領域の突然変異によって得られるが、インビトロにおけるイネの未成熟胚乳一過性GUS発現システムを使用したGt13aプロモータと比較して、相対GUSアクティビティが28.52%増加する。
【0026】
3)本発明のEnhGt13aは、外来遺伝子の安定的な発現を駆動し、胚乳バイオリアクタ中の外来組換タンパク質FSAのレベルは、非修飾Gt13aに比較して46.57%、著しく増加した。
【0027】
4)イネ胚乳における本発明の駆動GUSレポータ遺伝子発現のEnhGt13aプロモータは、あらゆる胚乳種子植物に好適であり、特に、医薬用タンパク質を発現する、遺伝子操作されたイネの種類の育種に好適である、
【0028】
5)本発明のEnhGt13aプロモータは、胚乳における外来タンパク質の発現及び蓄積を著しく改善することができ、これにより、バイオテクノロジーを使用した種子品質及び分子薬学の改善の研究基礎をなし、広範にわたる適用が見込まれる。
【0029】
本発明によると、新たな植物胚乳特異的プロモータは、構造遺伝子、調節遺伝子、構造遺伝子のアンチセンス遺伝子及び調節遺伝子のアンチセンス遺伝子、代謝物を調節する遺伝子、代謝物を調節する遺伝子のアンチセンス遺伝子の発現を駆動するための、医薬用又は産業用タンパク質、又はポリペプチド遺伝子、構造遺伝子、調節遺伝子、構造遺伝子のアンチセンス遺伝子、調節遺伝子のアンチセンス遺伝子でコードされた遺伝子に融合される。
【0030】
組換タンパク質発現ベクターは、プラスミド内に上記発現カセットと、デリバリベクターとを含有することによって構築される組換タンパク質発現ベクターである。組換タンパク質発現ベクターは、組換タンパク質植物発現ベクターであり、組換タンパク質発現ベクターは、上記発現カセットを含み、この発現カセットを植物宿主細胞、組織、又は器官に形質転換することができ、その子種は、自らを宿主のゲノム内に組み込む能力を有する。
【0031】
組換タンパク質発現ベクターは、遺伝子操作された遺伝子形質転換植物細胞、組織、又は器官と、これから分化及び再生を行う完全植物及びそのクローン又は子孫とを得るために、Tiプラスミド、Riプラスミド、植物ウイルスベクター、直接DNA形質転換、微量注入、アグロバクテリウム媒介又は遺伝子銃等、従来の遺伝子形質転換アプローチを使用して、植物細胞、組織、又は器官に形質転換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1はベクターpOsPMP42駆動GUS発現の構造の概略図である。
図2図2は未成熟イネ胚乳発現におけるGUS一過性発現の染色画像である。
図3図3は人工的な修飾ポロモータによって媒介された相対GUSアクティビティの比較図である。
図4図4はイネ胚乳特異的発現ベクターpOsPMP849及びpOsPMP852の構造の概略図である。
図5図5はT0世代植物における標的遺伝子のPCR産物の電気泳動図である。
図6図6はpOsPMP849を使用したT0世代種子から抽出したFSAタンパク質のSDS-PAGEである。
図7図7はpOsPMP852を使用したT0世代種子から抽出したFSAタンパク質のSDS-PAGEである。
図8図8はGt13a及びEnhGt13aプロモータによって駆動されるイネ胚乳のFSA発現レベルの比較図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の効果をよりよく理解できるように、本発明の技術的提案について、実施例及び図面データにより、以下に詳細に説明する。提供される例は、例示的な本発明の方法として解釈されなければならず、どのような意味においても本発明によって明らかにされる技術的提案及び保護の範囲を限定することを意味するものでない。
【0034】
実験材料
ベクターpOsPMP42、ベクターpOsPMP002:Ningら、2008年、Biotechnol Lett.30:1679~1686に従って調製した。
ゴールドマイクロキャリア:Cat.No.:1652263,BioRad, Inc.
pBI221ベクター:Clontech, Inc.,米国
pUC57ベクター:GenScript Biotech Corporation
大腸菌株DH5α:Cat.No:9057,Takara Corporation
アグロバクテリウムプラスミドpCAMBIA1300:Cat.No:HG-VZC0323、CAMBIA(オーストラリア)
イネ(Oryza sativa):Variety 9-2-5
アグロバクテリウムEHA105:Cat.No:MF2302-1000UL,MKBio Inc.
遺伝子銃PDS-1000/He:BioRad Inc.
マイクロプレートリーダ:スペクトロフォトメータ,Varioskan, Thermo Scientific Inc.
【0035】
[実施例1]イネ胚乳プロモータGT13aのクローニング、シークエンシング、及びバイオインフォマティクス分析
1.イネ胚乳特異的プロモータGT13aの部位特異的突然変異
植物シス作用性エレメント用のオンライン分析ツールであるPLANTCARE(http://bioinformatics.psb.ugent.be/webtools/plantcare/html)を使用して、イネ胚乳Gt13aプロモータ配列のバイオインフォマティクス分析を実施した。これらの結果は、イネ胚乳Gt13aプロモータが、AACAモチーフ、CAATボックス、及びGCN4モチーフ等の胚乳特異的調節エレメントを有することを示した。本発明により、表1のとおり、5つの人工修飾プロモータ配列を設計した。
【0036】
【表1】
【0037】
表1中、
プロモータGt13aΔ281bp(SEQ ID NO.1)は、プロモータGt13aの5’末端における281bpの削除によって得た。これは、負の転写調節WRKYの2つのシス作用性エレメントを含むものであった。
【0038】
プロモータGt13aΔ281bp+AT(SEQ ID NO.2)は、SEQ ID NO.1に基づいて得られたが、322位、708位、及び712位にてG→Tを、733位にてG→Aを含み、新たなマトリクス結合領域とTATA BOX5(TTATTT)とを生成し、710位にて点突然変異を含んで、転写アクティベータシス作用性エレメントTAAAGを生成し、701位及び706位にて点突然変異を含んで、TATA BOX5(TTATTT)を生成し、710位にて点突然変異を含んで転写アクティベータシス作用性エレメントTAAAGを生成し、701位及び706位にて点突然変異を含んでTATA BOX配列を作成した。
【0039】
プロモータGt13aΔ281+CAAT(SEQ ID NO.3)は、SEQ ID NO.1に基づいて得られたが、620位にてCC~TTの突然変異を含んで新たなCAATを生成し、340位にTACAAATGATGTGTCAATTACA配列を挿入して、3つのCAAT反復要素を生成した。
【0040】
プロモータGt13aΔ281/Del(SEQ ID NO.4)は、SEQ ID NO.1に基づいて得られたが、526位におけるCAGTGエレメントを削除し、708位にてGAAAG~CAATT突然変異を含んでいた。
【0041】
プロモータGt13aΔ(SEQ ID NO.5)は、SEQ ID NO.1に基づいて得られたが、808位にATATATCATGAGTCACTTC AT配列を挿入し、841位にAACAAACTCTATCTTAACATT配列を挿入して2つのGCN4エレメントを作成した。
【0042】
GenScript Biotech Corporationにより、人工修飾プロモータ配列を合成した。合成した配列をGUS発現ベクターに結合して、異なる人工修飾プロモータに駆動される一連のGUS遺伝子発現プラスミドを作成した。図1は、ベクターpOsPMP42のうちの1つの構造を示している。
【0043】
[実施例2]人工プロモータのGUS転写アクティビティの検出
人工修飾プロモータが胚乳における転写アクティビティを向上するか否かを検出するために、一過性発現システムとして未成熟イネ胚乳細胞を使用した。人工修飾プロモータによって駆動されるGUS一過性発現ベクターを構築した。プロモータの転写アクティビティを、インビトロで未成熟なイネ胚乳細胞中のGUS一過性発現によって検出した。主なステップは、以下のとおりである。
【0044】
1.ゴールドナノキャリアの事前処理
1)1μmの直径を備えた50mgのゴールドマイクロキャリアを秤量し、1.5mL遠心分離管に入れた。
2)1mLの無水エタノールを添加した。
3)各30秒の超音波処理後、30秒の間隔で2分間、氷浴中での超音波処理を施した。
4)4000rpm未満で1秒間、遠心分離を行った後、上澄みを吸引した。
5)1mLの滅菌水を添加し、氷浴中で2分間、超音波処理を施した後、ステップ3及び4を繰り返すことによって上澄みを除去した。
6)ステップ5)を一度繰り返した。
7)1mLの滅菌水を添加し、氷浴中で超音波処理を施し、使用のために再び懸濁させた(50mg/mLのゴールドマイクロキャリア懸濁液)。
【0045】
2.ベクターDNAによるコーティング
1)50μLのゴールドマイクロキャリア懸濁溶液を取り出す。
2)15μgのGUSプラスミドDNAと15μgのLUCプラスミドDNAを含有した30μL(2μg/μL)のプラスミドDNAを添加する。
3)50μLの2.5M塩化カルシウムをボルテックスで徐々に滴下して添加した。
4)20μLの0.1Mスペルミジンをボルテックスで徐々に滴下して添加した。
5)1分間隔で10分間、ボルテックスを行うことにより、これらをよく混合した。
6)上澄みを取り除いた。
7)50μLの無水エタノールを添加して、チューブの底でゴールドマイクロキャリアを再懸濁させた。
8)さらに500μLの無水エタノールを添加して、コーティングされたゴールド粒子を洗浄した。
9)短く遠心分離を行って上澄みを除去した後、すぐに使用できるように40μLの無水エタノールで再懸濁させた。
10)12μLの再懸濁液を取り出し、滅菌したキャリア膜の中央に添加した。
【0046】
3.遺伝子銃による未成熟のイネ胚乳中のGUS一過性発現
1)未成熟のイネ胚乳の分離。7~10日間の開花の後、イネ穂を取り出し、70%アルコールで1分間滅菌し、20%次亜塩素酸ナトリウムで15分間滅菌し、滅菌水で5回濯いで、使用に備えた滅菌水中に載置した。
2)適量のTAIB(20mMのNHNO、100μg/mLのセフォタキシム、100μg/mLのチメンチンを補った完全媒体)媒体を、濾紙を2層備えたペトリ皿上に載置した。メスを使用して、未成熟胚で切断した後、完全な未成熟胚乳を優しく引っ張り出し、各皿に約15ずつの未成熟胚乳が置かれるようにTAIBを含有する媒体の中央に載置した。
3)メーカーの指示に従い、形質転換のためにPDS-1000He遺伝子銃を使用した。
4)25℃で一晩、撃ち込まれた未成熟胚乳のインキュベーションを行った。
【0047】
4.GUS染色の定性的分析
未成熟イネ胚乳におけるGUS一過性発現システムの生存能力を試験するために、25℃で18~24時間、形質転換された未成熟胚乳のインキュベーションを行った。皿内の媒介流体を吸引し、2mlのGUS染色溶液を胚乳に直接添加した。37℃における2~10時間の発色現像後、観察及び写真撮影を行った。
【0048】
5.胚乳特異的プロモータによって仲介された相対転写アクティビティの定量的GUSアッセイ
1)25℃で24時間、撃ち込まれた未成熟イネ胚乳のインキュベーションを行った。胚乳を遠心分離管に移し、磨り潰して、55μLの抽出液(ルシフェラーゼ細胞培養溶解試薬1X,Promega Ltd.,米国,Cat no.E1500)で抽出し、13,000rpmで5分間遠心分離を行った。GUS及びLUCのアクティビティを各々検出するために、20μLの各上澄みサンプルを96-ウェルELISAプレートに分配した。
2)LUCの定量的アッセイ。100μLの反応液(ルシフェラーゼ検出試薬、Promega Ltd.,米国,Cat no.E1500)を抽出剤中に添加し、25℃で25分間、インキュベーションを行った。またマイクロプレートリーダを使用した化学発光法により、これらのサンプルを検出して、LUVアクティビティを得た。
3)GUSの定量的アッセイ。10μLの4-MUG(2mmol/L)をサンプルに添加し、37℃で1時間、インキュベーションを行った。その後、停止溶液(200mM NaCO)によって反応を停止させた。マイクロプレートリーダを使用して、発光用に445nm、励起光用に365nmについて蛍光値を測定した。各サンプルのGUSアクティビティ値を得た。2及び3のステップで測定したLUC及びGUSのアクティビティ値に基づき、相対GUS遺伝子酵素アクティビティを計算した。
【0049】
6.実験結果
1)未成熟イネ胚乳の一過性発現が作用しているか否かを試験するために、撃ち込みによって媒介された形質転換未成熟胚乳にGUS染色を実施した。結果は、すべての未成熟イネ胚乳細胞がGUS染色液で染色可能であったことを示し、これは、未成熟胚乳の一過性発現システムが適正に作用していることを示した(図2)。
2)コントロールとしてGt13aプロモータを使用して、未成熟イネ胚乳細胞中の5つの修飾胚乳特異的プロモータに対する相対GUSアクティビティアッセイの試験を行った。
【0050】
結果は、5’末端(Gt13aΔ281)で削除された281bpのプロモータの相対GUSアクティビティが、コントロールGt13aプロモータに比較して7.27%増加したことを示している。転写アクティビティ(Gt13aΔ281+AT)のコア領域に部位特異的突然変異を含むプロモータの相対GUSアクティビティは、コントロールGt13aプロモータと比較して、28.53%増加し、著しいレベル(P<0.05)に達した。Gt13aΔ281+CAATの相対GUSアクティビティは、Gt13aプロモータと比較して23.08%減少した。Gt13aΔ281+DELの相対GUSアクティビティは、Gt13aプロモータと比較して64.49%減少した。Gt13aΔ281+GCN4の相対GUSアクティビティは、Gt13aプロモータと比較して86.53%減少した(図3)。これらの結果は、Gt13aプロモータ(Gt13aΔ281)の5’末端と、コア転写調節領域(Gt13aΔ281+AT)にATの部位特異的突然変異を含むプロモータとの2つの負の調節を行うシス作用性エレメントが削除されたプロモータにより、未成熟胚乳の一過性発現システムにおける転写アクティビティを著しく増加できることを示した。
【0051】
[実施例3]突然変異部位の機能分析
削除及び部位特異的突然変異後に作成された新たなシス要素が生成されたか否かを明らかにするために、転写アクティビティの著しく増加した2つの人工修飾プロモータシス作用性エレメントを、PLACECAREプロモータ分析ソフトウェアを使用して分析した。
【0052】
Gt13aΔ281bp(SEQ ID NO.1)のシス作用性エレメントの分析結果は、Gt13aの5’末端において削除された281bpが、転写の負のレギュレータWRKYの2つのシス作用性エレメントを含むことを示した(表2を参照のこと)。2つの転写の負のレギュレータWRKYモチーフをGt13aΔ281bpから取り除くと、結果として、Gt13aプロモータよりも相対GUSアクティビティが7.2%増加を示した。
【0053】
【表2】
【0054】
Gt13aΔ281bp+AT(SEQ ID NO.2)の点突然変異の分析では、複数のポジティブな転写調節シス作用性エレメントが、部位特異的AT突然変異により、すなわち、701位及び706位におけるATの部位特異点点突然変異によって生成されることを示し、1)AAGAAモチーフの転写リプレッサを取り除き(Intnatl Rev Cyto Vol 119:57-96)、2)新たな核マトリクス付着領域(Matrix Attachment Region, Plant Journal, 21, 281~288)及びTATABOX5(TTATTT)を生成し、3)TATABOX配列を追加し、4)710位における点突然変異により、転写アクティベータシス作用性エレメントTAAAGを生成し、317位における点突然変異により、新たなシス作用性エレメントを生成し、組織特異性CAAT BOX1とDPBF CORE DCDC3転写アクティベータZIP結合ファクターを増加させた(表3)。
【0055】
【表3】
【0056】
したがって、本発明のプロモータGt13aΔ281+ATは、遺伝子発現を著しく向上した。このプロモータをEnhGt13aと指定する(改良Gt13a)。
【0057】
[実施例4]EnhGt13aプロモータの適用
イネ胚乳細胞におけるEnhGt13aを使用した胚乳における組換タンパク質発現を向上する効果を確認するために、各々、Gt13a及びEnhGt13aに媒介されたネコ血清アルブミン(FSA)を含有する2つの発現ベクターを構築し、これらを使用して、EnhGt13aプロモータはイネ胚乳細胞中のネコ血清アルブミンの発現を向上することができるか否かを確認した。
【0058】
1.発現ベクターの構築
発現媒介ベクターは、EnhGt13aプロモータを使用して構築した。Gt13aシグナルペプチドを伴うEnhGt13aの930bp DNAフラグメントを、pB1221ベクターにクローンを行って媒介プラスミドを作成した後、大腸菌株DH5αに導入し、pOsPMP862と称されるイネ胚乳特異的媒介ベクター菌株を構築した。
【0059】
成熟したネコ血清アルブミン遺伝子(遺伝子バンク登録番号NP_001009961.1)のアミノ酸配列(SEQ ID NO.8)をアメリカ国立生物工学情報センター(NCBI)より得て、FSA遺伝子のアミノ酸配列をヌクレオチド配列に変換し、合成FSA遺伝子(SEQ ID NO.7)に示されるようなイネの好適な遺伝暗号を使用して最適化した。FSA遺伝子の人工的合成において、制限エンドヌクレアーゼMlyI及びXhoI部位を遺伝子の両端に追加した後、pOsPMP850として指定されるpUC57ベクター(Kingsray Biosciences Ltd.)にクローンを行った。
【0060】
Gt13a媒介FSA発現ベクターを構築するために、MlyI及びXhoIによってpOsPMP850 DNAを消化して合成FSA遺伝子を得た後、pOsPMP848として指定されるNael及びXhoIによって消化されたpOsPMP002媒介ベクターに結合した。pOsPMP848をHindIII及びEcoRIで消化して発現カセット全体を得て、アグロバクテリウムプラスミドpCAMBIA1300の同一の酵素部位に結合し、pOsPMP849として指定されるベクターを生成した(図4)。
【0061】
EnhGt13a媒介ベクターを構築するために、MylI及びXhoIでpOsPMP 850プラスミドDNAを消化して、FSA DNAフラグメントを得た。その後、NaeI及びXhoIによって消化されたプラスミドpOsPMP862に結合した。結果として得られたプラスミドをpOsPMP851と指定した。pOsPMP851プラスミドDNAは、HindIII及びEcoRIで消化して全体発現カセットDNAフラグメントを得た後、プラスミドpCAMBIA1300、アグロバクテリウムプラスミドに結合し、同一の酵素で消化した。結果として得られたプラスミドをpOsPMP852と指定した(図4)。
【0062】
pOsPMP849及びpOsPMP852ベクターを、各々、アグロバクテリウム媒介遺伝子形質転換のために、アグロバクテリウムEHA105に移した。
【0063】
2.アグロバクテリウム媒介遺伝子形質転換プロセス
2.1.カルス細胞
1)成熟したイネの種子の外殻を取り除き、70%アルコールに1分浸漬して滅菌し、20%次亜塩素酸ナトリウムでさらに30分間処理した。
2)滅菌水で5~7回洗浄した。
3)滅菌した種子を、各皿に6~8の種子となるようにして、誘導媒体(N媒体)上に接種した。
4)32℃で約5~7日間、光処理を施した。
【0064】
2.2.アグロバクテリウムの調製
各々、プラスミドpOsPMP849及びpOsPMP852を含有するアグロバクテリウムを、28℃で2~3日間、カラマイシンで中央値を含む平皿において培養を行った。
【0065】
2.3.接種ループを使用して、アグロバクテリウムの単一コロニーを懸濁液媒体(AAM液体媒体)中に入れ、振動(160rpm)を伴って28℃でインキュベーションを行った。通常、100mLの媒体が、インキュベーションループを伴って3~4ループ分、掻き取り可能である。
【0066】
2.4.アグロバクテリウム感染(コインキュベーション)
1)カルス細胞を滅菌した三角フラスコに移した。
2)アグロバクテリウム懸濁液のOD600値を0.05~0.1に調整した。
3)カルス細胞を、AAM媒体中に懸濁し、連続振動を伴って1.5分間、インキュベーションを行った。
4)アグロバクテリウム溶液を廃棄し、余剰の溶液で滅菌濾過紙上に染みを付け、カルス細胞を滅菌濾過紙上に載置し、30~45分間、排水した。
5)滅菌濾過紙を2N-AS媒体上に載置した。その後、500μLのAS(アセトシリンゴン、250mg/mL)含有AAMを滅菌濾過紙上に滴下し、感染したカルス細胞を濾過紙上に載置し、暗所において25℃で3日間、共培養した。
【0067】
2.5.水洗い及びスクリーニング
1)カルス組織を移して三角フラスコを滅菌した。
2)カルス組織を滅菌水で5~7回洗浄した。
3)感染したカルス組織を、0.5g/Lのセファレキシンを含有した滅菌水に約30分間浸漬した後、180~200RPM、28℃で20~30分間振った。
4)抗生物質を含有した滅菌水を注ぎ出し、濾過紙を含む滅菌ペトリ皿で三角フラスコを上下逆にして約15分間載置した。
5)滅菌濾過紙上でカルス組織を乾燥させた。
6)カルス組織を、HPT抗生物質を含有する選択的媒体に20~30日間移した。
【0068】
2.6.カルス組織分化
20~30日間の選択後、HPT抵抗を含むカルス組織を分化媒体(N媒体)に移し、26度で20~30日間、光の中でインキュベーションを行った。
【0069】
2.7.発根
20~30日間の分化後、分化された植物を分化媒体から外し、1/2MSを含有する媒体に移し、光の下、28℃で30日間、インキュベーションを行って発根を行い、成長させるために田畑に移した。
【0070】
3.遺伝子操作された種苗における同定及び植え付け
3.1.ゲノムDNAの抽出
1)T0世代HPT-ポジティブ植物から得た約2cmの葉をチューブ内に入れ、600μLのCTAB抽出緩衝液(2%CTAB、1.38M NaCl、0.1M Tris-HCl、20mM EDTA、pH8.0)を添加し、バイブレータクラッシャで磨り潰した後、65℃水浴において60分間インキュベーションを行った。同一容量のクロロホルム/イソアミルアルコールを添加し、反転で優しく混合し、12000rpmで10分間、遠心分離を行った。上澄みを新たな1.5ml遠心分離管に移し、同一容量のイソプロパノールを添加し、反転で優しく混合した。室温で60分間インキュベーションを行った後、これらの材料を12000rpmで10分間遠心分離した。上澄みを取り除き、DNA析出物を事前冷却した70%エタノール中で濯ぎ、空気乾燥した。その後、DNAを80μlのTE緩衝液中に溶解し、-20℃で使用に備えて保管した。
【0071】
2)PCR増幅
遺伝子操作された植物の葉からゲノムDNAを抽出し、FSA特異的プライマ(SEQ ID NO.9:AGCTACCAGGGCAACAGCGAに示されるようなフォワードプライマ配列、SEQ ID NO.10:ATCTCGTAGAGGTACTTGCCGAに示されるようなリバースプライマ配列)を使用してPCRによって同定した。PCRアッセイを以下のように実施した。
【0072】
1)1μLのイネゲノムDNAをテンプレートとして使用し、ポジティブ(プラスミドDNA)とネガティブ(滅菌水)コントロールを提供した。
2)PCR増幅反応には、2.5μLの10×緩衝液、0.15μlの5U/μL rTaqase、4μLの2.5mM dNTP、0.5μLの各フォワード及びリバースプライマが含まれた。25μLまでddHOとともに添加した。
3)94℃で5分間、事前変性を行った後、94℃で30秒間、35サイクルの変性を行い、55℃で30秒間アニーリングを行い、72℃で40秒間伸長し、72℃で10分間、最終伸長を行った。
4)PCR増幅産物を、1%アガロースゲル中で電気泳動し、EBで染色した。PCRの結果をゲルイメージャで観察した。
【0073】
4.発現レベルの判定
T0植物から生じたT1生成種子を、FSAタンパク質アッセイのために収穫した。具体的なステップは以下のとおりである。
1)粗胚乳タンパク質の抽出。5粒の外殻を取り除き(約77mgの玄米)、米粉に磨り潰し、1mLの抽出液(50mM Tris、150mM NaCl、pH7.5)で室温にて60分間抽出を行った後、13000rpmで5分間遠心分離を行った。上澄みをSDS-PAGE分析に使用した。
【0074】
2)SDS-PAGE分析。50μLの粗抽出物又は5μgのFSA標準タンパク質を、10μlのサンプル緩衝液とともに添加、100℃で5分間、変性させた。10μLの各サンプルを10%のポリプロピレンゲル変性ゲル上に投入し、160Vで45分間、電気泳動させた。その後、0.1mg/mLのKomas Brilliant Blueで染色し、脱色した後に写真撮影を行った。
【0075】
3)組換FSA発現の半定量的分析。同一のSDS-PAGEゲルにおける既知の含有量のFSAのグレースケールに基づき、各系統のFSA発現を半定量的に分析した。各系統のFSAタンパク質含有量をグレースケールに応じて計算した。
【0076】
5.結果及び分析
1)標的遺伝子ポジティブ植物の同定
プロモータ領域特異的配列をフォワードプライマ(SEQ ID NO.9に示される)として、FSA遺伝子特異的配列をリバースプライマ(SEQ ID NO.10に示される)として使用することにより、14のpOsPMP849(Gt13aプロモータ)の標的遺伝子ポジティブT0植物と、36のpOsPMP852(EnhGt13a)の標的遺伝子ポジティブ植物とを、PCRによって得た(図5)。これらの植物を成熟するまで育成し、このうち、合計10のpOsPMP849の植物が種子を生じた、合計20のpOsPMP852の植物が種子を生じた。
【0077】
2)FSA発現の半定量的分析
各下部のFSA発現を大まかに推定するために、参照として既知のFSA濃度の同一のPAGEゲルを使用してグレースケール比較を実施し、FSAの発現レベルをグレースケールに基づいて推定した。中でも、pOsPMP849発現FSAの7系列(図6)と、pOsPMP852発現FSAの11株(図7)を分析した。結果を図8に示す。pOsPMP849のFSA発現レベルは、3.08~10.01mg/gの玄米の範囲で、6.71mg/gの玄米を平均とした。pOsPMP852のFSA発現は、2.31~13.86mg/gの玄米の範囲で、9.84mg/gの玄米を平均とした。EnhGt13aプロモータ媒介FSA発現は、3.13mg/gの玄米分増加し、Gt13aプロモータ媒介FSA発現よりも46.57%高かった。これらの結果は、EnhGt13aプロモータがイネ胚乳中の組換タンパク質の発現を著しく増加可能であることを示した。
【0078】
まとめると、転写を向上するエンハンサ及び転写をブロックするリプレッサ等、プロモータ領域には種々のシス作用性エレメントがある。これらのシス作用性エレメントは、トランス作用因子と相互作用して、遺伝子の空間的及び時間的発現と、発現のレベルも調節する。大抵は、トランス作用因子は、これらのシス作用性エレメントを通じて遺伝子転写の正又は負の調節を行う。プロモータ領域に核マトリクス接着領域の導入によっても、RNA合成酵素のプロモータ領域への進入を著しく向上することで、転写アクティビティを増加させる。
【0079】
本発明では、転写の負の調節を行うシス作用性エレメントを取り除くか、又は転写の正の当接を行う新たなシス作用性エレメントと核マトリクス付着領域を生成するか、のいずれかにより、Gt13aプロモータのキーとなるシス作用性エレメントの部位特異的突然変異によって天然の胚乳特異的プロモータGt13aよりも転写アクティビティの強い新たなプロモータEnhGt13aが得られる。胚乳特異的プロモータEnhGt13aの相対GUSアクティビティは、Gt13aのインビトロの未成熟胚乳一過性発現システムにおけるGt13aよりも28.52%高い。EnhGt13aプロモータによって媒介される組換ネコ血清アルブミン(FSA)の発現は、9.84mg/gの玄米に達し、6.71mg/kgの玄米のGt13a媒介FSAを超える46.57%の増加に達した。
【0080】
これらの結果は、本発明のEnhGt13aプロモータが、イネ胚乳におけるβグルコシダーゼ(GUS)レポータ遺伝子の発現を媒介するため、胚乳種子を有するあらゆる植物に好適であり、特に、医薬用タンパク質を発現する、遺伝子操作されたイネの種類の育種に好適であることを示している。本発明のEnhGt13aプロモータは、胚乳における外来遺伝子の発現及び蓄積を著しく高めることができ、バイオテクノロジーを使用した種子品質及び分子薬学の改善のための研究の基礎を築くもので、多大な適用が見込まれる。
【0081】
SEQ ID NO.1
>Gt13aΔ281
TGAAACAATA TTATGAGTAA TGTGTGAGCA TTATGGGACC ACGAAATAAA AAAAGAACAT TTTTATGAGC AGTGTGTTCT CAATGAGCCT TGAATGTTAT CACCCAGGAT AAGAAACCCT TAAGCAATGA AACATGCAAG CGTTTAATGT GCAAAGTTGG CATTCTCCAC GACATAATGC AAAAGAAGAT ATAATCTATG ACATAGCAAG TCATGCATCA TTTCATGCCT CTGTCAACCT ATTCATTTCT AGTCATCTAG GTAAGTATCT TAAGCTAAAG TGTTAGAACT TCCCATACAT AAGTCATAAC TGATGACAAT TGGGTGTAAC ACATGACAAA CCAGAGAGTC AAGCAAGATA AAGCAAAAGG ATGTGTACAT AAAACTACAG AGCTATATGT CATGTTGCGA AAAGAGGAGA GCTTATAAGA CAAGCCATGA CTCAAAAAAA ATTCACATGC CTACTGTGGC CCATATATCA TGCAACAATC CAAAAACTCA CAGGTCTCGG TGTTGATCGT GTCAACATGT GACCACCCTA AAAACTCTTC ACTAAATATT AAAGTATTGC TAGAACAGAG CTTCAAGATA TAAGTCATGA TCACCAACAA CCATGTTCAA AAAGAAATAG AAAGCTATGG CACAGCAACA AAAAGCAAAA GCATGCATGG ATATAATCTT TAACATCATC CATGTCATAT TGCAAAAGAA AGAAAGAGAG AACAATACAA ATGATGTGTC AATTACACAT CCATCATTAT CCATCCACCT TCCGTGTACC ACACTTCATA TATCATGAGT CACTTCATGT CTGGACATTA ACAAACTCTA TCTTAACATT CAAATGCATG AGACTTTATC TCACTATAAA TGCACAATGA TTTAGCATTG TTTCTCACAA AACCATTCAA GTTCATTAGT ACTACAACAA
【0082】
SEQ ID NO:2
>Gt13aΔ281+AT
TGAAACAATA TTATGAGTAA TGTGTGAGCA TTATGGGACC ACGAAATAAA AAAAGAACAT TTTTATGAGC AGTGTGTTCT CAATGAGCCT TGAATGTTAT CACCCAGGAT AAGAAACCCT TAAGCAATGA AACATGCAAG CGTTTAATGT GCAAAGTTGG CATTCTCCAC GACATAATGC AAAAGAAGAT ATAATCTATG ACATAGCAAG TCATGCATCA TTTCATGCCT CTGTCAACCT ATTCATTTCT AGTCATCTAG GTAAGTATCT TAAGCTAAAG TGTTAGAACT TCCCATACAT AAGTCATAAC TGATGACAAT TTGGTGTAAC ACATGACAAA CCAGAGAGTC AAGCAAGATA AAGCAAAAGG ATGTGTACAT AAAACTACAG AGCTATATGT CATGTTGCGA AAAGAGGAGA GCTTATAAGA CAAGCCATGA CTCAAAAAAA ATTCACATGC CTACTGTGGC CCATATATCA TGCAACAATC CAAAAACTCA CAGGTCTCGG TGTTGATCGT GTCAACATGT GACCACCCTA AAAACTCTTC ACTAAATATT AAAGTATTGC TAGAACAGAG CTTCAAGATA TAAGTCATGA TCACCAACAA CCATGTTCAA AAAGAAATAG AAAGCTATGG CACAGCAACA AAAAGCAAAA GCATGCATGG ATATAATCTT TAACATCATC CATGTCATAT TGCAAAATAA ATAAAGAGAG AACAATACAA ATGATATGTC AATTACACAT CCATCATTAT CCATCCACCT TCCGTGTACC ACACTTCATA TATCATGAGT CACTTCATGT CTGGACATTA ACAAACTCTA TCTTAACATT CAAATGCATG AGACTTTATC TCACTATAAA TGCACAATGA TTTAGCATTG TTTCTCACAA AACCATTCAA GTTCATTAGT ACTACAACAA
【0083】
SEQ ID NO:3
>Gt13aΔ281+CAAT
TGAAACAATA TTATGAGTAA TGTGTGAGCA TTATGGGACC ACGAAATAAA AAAAGAACAT TTTTATGAGC AGTGTGTTCT CAATGAGCCT TGAATGTTAT CACCCAGGAT AAGAAACCCT TAAGCAATGA AACATGCAAG CGTTTAATGT GCAAAGTTGG CATTCTCCAC GACATAATGC AAAAGAAGAT ATAATCTATG ACATAGCAAG TCATGCATCA TTTCATGCCT CTGTCAACCT ATTCATTTCT AGTCATCTAG GTAAGTATCT TAAGCTAAAG TGTTAGAACT TCCCATACAT AAGTCATAAC TGATGACAAT TGGGTGTAAC ACATGACCAA TACAAATGAT GTGTCAATTA CACATGAGAG TCAAGCAAGA TAAAGCAAAA GGATGTGTAC ATAAAACTAC AGAGCTATAT GTCATGTTGC GAAAAGAGGA GAGCTTATAA GACAAGCCAT GACTCAAAAA AAATTCACAT GCCTACTGTG GCCCATATAT CATGCAACAA TCCAAAAACT CACAGGTCTC GGTGTTGATC GTGTCAATAT GTGACCACCC TAAAAACTCT TCACTAAATA TTAAAGTATT GCTAGAACAG AGCTTCAAGA TATAAGTCAT GATCACCAAC AATTATGTTC AAAAAGAAAT AGAAAGCTAT GGCACAGCAA CAAAAAGCAA AAGCATGCAT GGATATAATC TTTAACATCA TCCATGTCAT ATTGCAAAAG AAAGAAAGAG AGAACAATAC AAATGATGTG TCAATTACAC ATCCATCATT ATCCATCCAC CTTCCGTGTA CCACACTTCA TATATCATGA GTCACTTCAT GTCTGGACAT TAACAAACTC TATCTTAACA TTCAAATGCA TGAGACTTTA TCTCACTATA AATGCACAAT GATTTAGCAT TGTTTCTCAC AAAACCATTC AAGTTCATTA GTACTACAAC AA
【0084】
SEQ ID NO:4
>Gt13aΔ281/Del
TGAAACAATA TTATGAGTAA TGTGTGAGCA TTATGGGACC ACGAAATAAA AAAAGAACAT TTTTATGAGC AGTGTGTTCT CAATGAGCCT TGAATGTTAT CACCCAGGAT AAGAAACCCT TAAGCAATGA AACATGCAAG CGTTTAATGT GCAAAGTTGG CATTCTCCAC GACATAATGC AAAAGAAGAT ATAATCTATG ACATAGCAAG TCATGCATCA TTTCATGCCT CTGTCAACCT ATTCATTTCT AGTCATCTAG GTAAGTATCT TAAGCTAAAG TGTTAGAACT TCCCATACAT GACAATTTGG TGTAACACAT GACAAACCAG AGAGTCAAGC AAGATAAAGC AAAAGGATGT GTACATAAAA CTACAGAGCT ATATGTCATG TTGCGAAAAG AGGAGAGCTT ATAAGACAAG CCATGACTCA AAAAAAATTC ACATGCCTAC TGTGGCCCAT ATATCATGCA ACAATCCAAA AACTCACAGG TCTCGGTGTT GATCGTGTCA AACCACCCTA AAAACTCTTC ACTAAATATT AAAGTATTGC TAGAACAGAG CTTCAAGATA TAAGTCATGA TCACCAACAA CCATGTTCAA AAAGAAATAG AAAGCTATGG CACAGCAACA AAAAGCAAAA GCATGCATGG ATATAATCTT TAACATCATC CATGTCATAT TGCAAAACAA TTAAAGAGAG AACAATACAA ATGATGTGTC AATTACACAT CCATCATTAT CCATCCACCT TCCGTGTACC ACACTTCATA TATCATGAGT CACTTCATGT CTGGACATTA ACAAACTCTA TCTTAACATT CAAATGCATG AGACTTTATC TCACTATAAA TGCACAATGA TTTAGCATTG TTTCTCACAA AACCATTCAA GTTCATTAGT ACTACAACAA
【0085】
SEQ ID NO:5
>Gt13aΔ281+GCN4
TGAAACAATA TTATGAGTAA TGTGTGAGCA TTATGGGACC ACGAAATAAA AAAAGAACAT TTTTATGAGC AGTGTGTTCT CAATGAGCCT TGAATGTTAT CACCCAGGAT AAGAAACCCT TAAGCAATGA AACATGCAAG CGTTTAATGT GCAAAGTTGG CATTCTCCAC GACATAATGC AAAAGAAGAT ATAATCTATG ACATAGCAAG TCATGCATCA TTTCATGCCT CTGTCAACCT ATTCATTTCT AGTCATCTAG GTAAGTATCT TAAGCTAAAG TGTTAGAACT TCCCATACAT AAGTCATAAC TGATGACAAT TGGGTGTAAC ACATGACAAA CCAGAGAGTC AAGCAAGATA AAGCAAAAGG ATGTGTACAT AAAACTACAG AGCTATATGT CATGTTGCGA AAAGAGGAGA GCTTATAAGA CAAGCCATGA CTCAAAAAAA ATTCACATGC CTACTGTGGC CCATATATCA TGCAACAATC CAAAAACTCA CAGGTCTCGG TGTTGATCGT GTCAACATGT GACCACCCTA AAAACTCTTC ACTAAATATT AAAGTATTGC TAGAACAGAG CTTCAAGATA TAAGTCATGA TCACCAACAA CCATGTTCAA AAAGAAATAG AAAGCTATGG CACAGCAACA AAAAGCAAAA GCATGCATGG ATATAATCTT TAACATCATC CATGTCATAT TGCAAAAGAA AGAAAGAGAG AACAATACAA ATGATGTGTC AATTACACAT CCATCATTAT CCATCCACCT TCCGTGTACC ACACTTCATA TATCATGAGT CACTTCATAT ATCATGAGTC ACTTCATGTC TGGACATTAA CAAACTCTAT CTTAACATTA ACAAACTCTA TCTTAACATT CAAATGCATG AGACTTTATC TCACTATAAA TGCACAATGA TTTAGCATTG TTTCTCACAA AACCATTCAA GTTCATTAGT ACTACAACAA
【0086】
SEQ ID NO:6
>Gt13a (Control)
TCACACCTTA TGTAAAGTAT TTGTTGCAAG AAAAGTCTAA GATGACAGCA ACCTGCTGAG AAGAACAACT GACGATGTCA TAAGGAGAGG GAGCTTTTCG ATAGGTGCCG TGCAGTTCAA AGAGTTAGTT AGCAGTAGGA TGAAGATTTT TGCACATGGC AATGAGAAGT TAATTATGGT GTAGGCAACC CAAATGAAAC ACCAAAATAT GCACAAGACA GTTTGTTGTA TTCTGTAGTA CAGAATAAAC TAAAGTAATG AAAGAAGATG GTGTTAGAAA ATGAAACAAT ATTATGAGTA ATGTGTGAGC ATTATGGGAC CACGAAATAA AAAAAGAACA TTTTTATGAG CAGTGTGTTC TCAATGAGCC TTGAATGTTA TCACCCAGGA TAAGAAACCC TTAAGCAATG AAACATGCAA GCGTTTAATG TGCAAAGTTG GCATTCTCCA CGACATAATG CAAAAGAAGA TATAATCTAT GACATAGCAA GTCATGCATC ATTTCATGCC TCTGTCAACC TATTCATTTC TAGTCATCTA GGTAAGTATC TTAAGCTAAA GTGTTAGAAC TTCCCATACA TAAGTCATAA CTGATGACAA TTGGGTGTAA CACATGACAA ACCAGAGAGT CAAGCAAGAT AAAGCAAAAG GATGTGTACA TAAAACTACA GAGCTATATG TCATGTTGCG AAAAGAGGAG AGCTTATAAG ACAAGCCATG ACTCAAAAAA AATTCACATG CCTACTGTGG CCCATATATC ATGCAACAAT CCAAAAACTC ACAGGTCTCG GTGTTGATCG TGTCAACATG TGACCACCCT AAAAACTCTT CACTAAATAT TAAAGTATTG CTAGAACAGA GCTTCAAGAT ATAAGTCATG ATCACCAACA ACCATGTTCA AAAAGAAATA GAAAGCTATG GCACAGCAAC AAAAAGCAAA AGCATGCATG GATATAATCT TTAACATCAT CCATGTCATA TTGCAAAAGA AAGAAAGAGA GAACAATACA AATGATGTGT CAATTACACA TCCATCATTA TCCATCCACC TTCCGTGTAC CACACTTCAT ATATCATGAG TCACTTCATG TCTGGACATT AACAAACTCT ATCTTAACAT TCAAATGCAT GAGACTTTAT CTCACTATAA ATGCACAATG ATTTAGCATT GTTTCTCACA AAACCATTCA AGTTCATTAG TACTACAACA A
【0087】
SEQ ID NO:7
>FSA-DNA
GAGTCTAGCG GAGGCCCACC AGAGCGAGAT CGCCCACCGC TTCAACGACC TCGGCGAGGA GCACTTCCGC GGCCTCGTGC TCGTGGCCTT CAGCCAGTAC CTCCAGCAGT GCCCGTTCGA GGACCACGTG AAGCTCGTGA ACGAGGTGAC CGAGTTCGCC AAGGGCTGCG TGGCCGACCA GAGCGCCGCC AACTGCGAGA AGAGCCTCCA CGAGCTCCTC GGCGACAAGC TCTGCACCGT GGCCAGCCTC CGCGACAAGT ACGGCGAGAT GGCCGACTGC TGCGAGAAGA AGGAGCCGGA GCGCAACGAG TGCTTCCTCC AGCACAAGGA CGACAACCCG GGCTTCGGCC AGCTCGTGAC CCCGGAGGCC GACGCCATGT GCACCGCCTT CCACGAGAAC GAGCAGCGCT TCCTCGGCAA GTACCTCTAC GAGATCGCCC GCCGCCACCC GTACTTCTAC GCCCCGGAGC TCCTCTACTA CGCCGAGGAG TACAAGGGCG TGTTCACCGA GTGCTGCGAG GCCGCCGACA AGGCCGCCTG CCTCACCCCG AAGGTGGACG CCCTCCGCGA GAAGGTGCTC GCCAGCAGCG CCAAGGAGCG CCTCAAGTGC GCCAGCCTCC AGAAGTTCGG CGAGCGCGCC TTCAAGGCCT GGAGCGTGGC CCGCCTCAGC CAGAAGTTCC CGAAGGCCGA GTTCGCCGAG ATCAGCAAGC TCGTGACCGA CCTCGCCAAG ATCCACAAGG AGTGCTGCCA CGGCGACCTC CTAGAGTGCG CCGACGACCG CGCCGACCTC GCCAAGTACA TCTGCGAGAA CCAGGACAGC ATCAGCACCA AGCTCAAGGA GTGCTGCGGC AAGCCGGTGC TAGAGAAGAG CCACTGCATC AGCGAGGTGG AGCGCGACGA GCTCCCGGCC GACCTCCCGC CGCTCGCCGT GGACTTCGTG GAGGACAAGG AGGTGTGCAA GAACTACCAG GAGGCCAAGG ACGTGTTCCT CGGCACCTTC CTCTACGAGT ACAGCCGCCG CCACCCGGAG TACAGCGTGA GCCTCCTCCT CCGCCTCGCC AAGGAGTACG AGGCCACCCT AGAGAAGTGC TGCGCCACCG ACGACCCGCC GGCCTGCTAC GCCCACGTGT TCGACGAGTT CAAGCCGCTC GTGGAGGAGC CGCACAACCT CGTGAAGACC AACTGCGAGC TCTTCGAGAA GCTCGGCGAG TACGGCTTCC AGAACGCCCT CCTCGTGCGC TACACCAAGA AGGTGCCGCA GGTGAGCACC CCGACCCTCG TGGAGGTGAG CCGCAGCCTC GGCAAGGTGG GCAGCAAGTG CTGCACCCAC CCGGAGGCCG AGCGCCTCAG CTGCGCCGAG GACTACCTCA GCGTGGTGCT CAACCGCCTC TGCGTGCTCC ACGAGAAGAC CCCGGTGAGC GAGCGCGTGA CCAAGTGCTG CACCGAGAGC CTCGTGAACC GCCGCCCGTG CTTCAGCGCC CTCCAGGTGG ACGAGACCTA CGTGCCGAAG GAGTTCAGCG CCGAGACCTT CACCTTCCAC GCCGACCTCT GCACCCTCCC GGAGGCCGAG AAGCAGATCA AGAAGCAGAG CGCCCTCGTG GAGCTCCTCA AGCACAAGCC GAAGGCCACC GAGGAGCAGC TCAAGACCGT GATGGGCGAC TTCGGCAGCT TCGTGGACAA GTGCTGCGCC GCCGAGGACA AGGAGGCCTG CTTCGCCGAG GAGGGCCCGA AGCTCGTGGC CGCCGCCCAG GCCGCCCTCG CCTGAGCTCG AG
【0088】
SEQ ID NO:8
>FSA-AA
EAHQSEIAHR FNDLGEEHFR GLVLVAFSQY LQQCPFEDHV KLVNEVTEFA KGCVADQSAA NCEKSLHELL GDKLCTVASL RDKYGEMADC CEKKEPERNE CFLQHKDDNP GFGQLVTPEA DAMCTAFHEN EQRFLGKYLY EIARRHPYFY APELLYYAEE YKGVFTECCE AADKAACLTP KVDALREKVL ASSAKERLKC ASLQKFGERA FKAWSVARLS QKFPKAEFAE ISKLVTDLAK IHKECCHGDL LECADDRADL AKYICENQDS ISTKLKECCG KPVLEKSHCI SEVERDELPA DLPPLAVDFV EDKEVCKNYQ EAKDVFLGTF LYEYSRRHPE YSVSLLLRLA KEYEATLEKC CATDDPPACY AHVFDEFKPL VEEPHNLVKT NCELFEKLGE YGFQNALLVR YTKKVPQVST PTLVEVSRSL GKVGSKCCTH PEAERLSCAE DYLSVVLNRL CVLHEKTPVS ERVTKCCTES LVNRRPCFSA LQVDETYVPK EFSAETFTFH ADLCTLPEAE KQIKKQSALV ELLKHKPKAT EEQLKTVMGD FGSFVDKCCA AEDKEACFAE EGPKLVAAAQ AALA
【0089】
SEQ ID NO:9
> Forward primer
AGCTACCAGG GCAACAGCGA
【0090】
SEQ ID NO:10
> Reverse primer
ATCTCGTAGA GGTACTTGCC GA
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【配列表】
0007576362000001.xml