(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-23
(45)【発行日】2024-10-31
(54)【発明の名称】突出ピンを有するヒートシンクおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
F21S 41/19 20180101AFI20241024BHJP
F21V 29/503 20150101ALI20241024BHJP
F21V 29/508 20150101ALI20241024BHJP
F21V 29/70 20150101ALI20241024BHJP
F21S 41/143 20180101ALI20241024BHJP
F21S 41/148 20180101ALI20241024BHJP
F21S 45/47 20180101ALI20241024BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20241024BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20241024BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20241024BHJP
【FI】
F21S41/19
F21V29/503
F21V29/508
F21V29/70
F21S41/143
F21S41/148
F21S45/47
F21V19/00 450
F21V19/00 170
F21V19/00 150
H05K1/02 C
H05K1/02 F
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2023571639
(86)(22)【出願日】2022-05-19
(86)【国際出願番号】 US2022030060
(87)【国際公開番号】W WO2022246080
(87)【国際公開日】2022-11-24
【審査請求日】2023-11-28
(32)【優先日】2021-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500507009
【氏名又は名称】ルミレッズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ドローゲラー,マルク
(72)【発明者】
【氏名】レンゼン,トールステン
(72)【発明者】
【氏名】ホルトラップ マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブス,ジョゼフ ヘンドリック アンナ マリア
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0169235(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/00- 9/90
F21S 2/00-45/70
F21V 19/00-19/06
F21V 23/00-99/00
H05K 1/02
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートシンクであって、
第1のピンを有する導電性ヒートシンクコアであって、前記第1のピンは、前記導電性ヒートシンクコアと一体化され、前記ヒートシンクコアの第1の表面から突出する、導電性ヒートシンクコアと、
前記導電性ヒートシンクコアの少なくとも前記第1の表面を被覆する電気絶縁層であって、前記第1のピンの横方向表面の少なくとも一部は、前記電気絶縁層から露出されたまま残される、電気絶縁層と、
を有
し、
前記第1のピンは、回路基板または少なくとも1つの光学素子との機械的結合の1つのために構成され、
当該ヒートシンクは、さらに、前記回路基板または前記少なくとも1つの光学素子との前記機械的結合の他方の1つのために構成された第2のピンを有する、ヒートシンク。
【請求項2】
前記第2のピンは、前記導電性ヒートシンクコアと一体化され、前記ヒートシンクコアの前記表面から突出し、前記電気絶縁層から露出された横方向表面の少なくとも一部を有する、請求項
1に記載のヒートシンク。
【請求項3】
さらに、前記電気絶縁層からも露出された発光ダイオード(LED)取り付け領域を有する、請求項1に記載のヒートシンク。
【請求項4】
LEDモジュールであって、
ヒートシンクであって、
第1のピンを有する導電性ヒートシンクコアであって、前記第1のピンは、前記導電性ヒートシンクコアと一体化され、前記ヒートシンクコアの第1の表面から突出する、導電性ヒートシンクコア、
前記導電性ヒートシンクコアの少なくとも前記第1の表面を被覆する電気絶縁層であって、前記第1のピンの横方向表面の少なくとも一部は、前記電気絶縁層から露出されたまま残される、電気絶縁層、および
前記電気絶縁層からも露出された発光ダイオード(LED)取り付け領域、
を有する、ヒートシンクと、
前記ヒートシンクの前記LED取り付け領域に取り付けられたLEDと、
前記導電性ヒートシンクコアと一体化された第2のピンであって、前記ヒートシンクコアの前記表面から突出し、前記電気絶縁層から露出された横方向表面の少なくとも一部を有する、第2のピンと、
を有する、LEDモジュール。
【請求項5】
さらに、少なくとも第1の表面と、前記第1の表面と対向する第2の表面とを有するプリント回路基板(PCB)を有し、
該PCBは、
前記PCBの少なくとも前記第1の表面上の導電性
トラック、
前記PCBの前記第1の表面上の電気コネクタであって、導電性
トラックに電気的に結合された、電気コネクタ、および
貫通孔、
を有し、
前記PCBは、
前記ヒートシンクコアの前記第1の表面に取り付けられ、
前記ヒートシンクの前記第1のピンは、前記PCBにおいて前記貫通孔を貫通し、前記第1のピンのヘッドが変形し、
前記第1のピンの変形したヘッドは、前記電気絶縁層から露出された前記第1のピンの前記横方向表面の前記少なくとも一部、および前記PCBの前記少なくとも第1の表面上の前記導電性
トラックの1つを介して、前記ヒートシンクコアをグラウンドに電気的に結合する、請求項
4に記載のLEDモジュール。
【請求項6】
さらに、
前記第2のピンを介して前記ヒートシンクの前記第1の表面に取り付けられた反射器
を有する、請求項
4に記載のLEDモジュール。
【請求項7】
前記反射器は、前記電気絶縁層から露出された前記第1のピンの前記横方向表面の前記少なくとも一部の少なくとも1つに接触するカーブアウト(carve out)を有する、請求項
6に記載のLEDモジュール。
【請求項8】
前記反射器は、導電性反射表面を有し、該導電性反射表面は、前記反射器の前記カーブアウトまで延在し、前記カーブアウトを被覆し、前記電気絶縁層から露出された前記第1のピンの前記横方向表面の前記少なくとも一部の前記少なくとも1つを介して、前記ヒートシンクコアに電気的に結合される、請求項
7に記載のLEDモジュール。
【請求項9】
さらに、
前記第2のピンを介して前記ヒートシンクの前記第1の表面に取り付けられた反射器であって、カーブアウトと、該カーブアウトまで延在し前記カーブアウトを被覆する導電性反射表面と、を有する、反射器
を有し、
前記電気絶縁層から露出された前記第1のピンの前記横方向表面の前記少なくとも一部に接触する前記反射器の前記カーブアウトにより、前記電気絶縁層から露出された前記第1のピンの前記横方向表面の前記少なくとも一部、前記ヒートシンクコア、前記第1
のピンの変形ヘッド、および前記PCBの前記導電性
トラックの1つを介して、前記反射器の前記反射表面が電気的に結合される、請求項
5に記載のLEDモジュール。
【請求項10】
デバイスを製造する方法であって、
シート金属を提供するステップと、
前記シート金属の表面を陽極酸化して、前記表面を被覆する電気絶縁層を形成するステップと、
前記シート金属の前記陽極酸化された表面から突出する第1のピンを形成するステップであって、前記
第1のピンの形成により、前記
第1のピンの横方向表面の少なくとも一部が前記電気絶縁層から露出される、ステップと、
前記シート金属の前記陽極酸化された表面から突出する第2のピンを形成するステップであって、前記第2のピンの形成により、前記第2のピンの横方向表面の少なくとも一部が前記電気絶縁層から露出される、ステップと、
を有する、方法。
【請求項11】
前記第1のピンを形成するステップは、前記シート金属の前記陽極酸化された表面から、前記第1のピンをスタンプ処理するステップまたは深絞り加工するステップの1つを有する、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
さらに、
反射器の貫通孔に前記第1のピンまたは前記第2のピンの一方を少なくとも部分的に挿入することにより、前記シート金属の前記陽極酸化された表面に前記反射器を取り付けるステップと、
回路基板の貫通孔に、前記第1のピンまたは前記第2のピンの他方の1つを少なくとも部分的に挿入することにより、前記シート金属の前記陽極酸化された表面に、前記回路基板を取り付けるステップと、
を有する、請求項
10に記載の方法。
【請求項13】
さらに、研削、ミリング(milling)、またはレーザアブレーションにより、前記
デバイスの発光ダイオード(LED)取り付け領域における前記電気絶縁層を除去するステップを有する、請求項
10に記載の方法。
【請求項14】
さらに、前記LED取り付け領域にLEDを取り付けるステップを有する、請求項
13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年5月19日に出願された米国非仮出願第63/190,536号の利益を主張する出願であり、その内容は参照により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)は、エネルギー効率および寿命等の点での優れた技術的特性のため、益々、古い技術の光源と置換されている。これは、例えば、輝度、光度、および/またはビーム整形性(例えば、車両のヘッドライト用等)の要求の厳しい用途にも当てはまる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、これらのエネルギー効率にもかかわらず、LED、特に高出力のLEDは、依然としてかなりの熱を発生する場合があり、冷却が必要となり得る。これは、通常、LEDをヒートシンクに接続することにより実施され、LED接合温度が低く維持される。そのようなヒートシンクは、しばしば、多くの他のハイパワー半導体部材において使用される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
ヒートシンク、発光ダイオード(LED)モジュール、および対応する製造方法が記載される。ヒートシンクは、導電性ヒートシンクコアと、該導電性ヒートシンクコアの少なくとも第1の表面を被覆する電気絶縁層と、を有する。導電性ヒートシンクコアは、第1のピンを有し、このピンは、導電性ヒートシンクコアと一体化され、ヒートシンクコアの第1の表面から突出する。少なくともヒートシンクコアの第1の表面は、電気絶縁層によって被覆され、第1ピンの横方向表面の少なくとも一部は、電気絶縁層から露出されたまま残される。
【0005】
添付図面と共に、例示として提供される以下の説明から、詳細な理解を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】ヒートシンクを有するLEDモジュールの概略的な斜視図である。
【
図2】反射器が追加された
図1のLEDモジュールの概略的な斜視図である。
【
図3】製造方法の各種段階におけるヒートシンクの概略的な断面図である。
【
図5】車両のヘッドランプシステムの一例を示した図である。
【
図6】別の例示的な車両のヘッドランプシステムの図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付図面を参照して、異なる光照明システムおよび/または発光ダイオード(「LED」)の例が、より詳細に説明される。これらの例は、相互に排他的ではなく、一つの例に見出される特徴は、1つ以上の他の例において見出される特徴と組み合わされ、追加の実施形態が得られてもよい。従って、添付図面に示された例は、単なる例示として示されており、それらは、本開示を限定することを意図するものではないことが理解される。全体を通して、同様の参照符号は、同様の素子を表す。
【0008】
本願では、第1、第2、第3等の用語を用いて各種要素が記載されるが、これらの要素は、これらの用語に限定されるものではないことが理解される。これらの用語は、1つの要素を別の要素から区別するために使用され得る。本発明の範囲から逸脱することなく、例えば、第1の要素は、第2の要素と称され、第2の要素は、第1の要素と称されてもよい。本願において使用される「および/または」という用語は、関連するリストされた事項の1つ以上の任意のおよび全ての組み合わせを含んでもよい。
【0009】
層、領域、または基板のような素子が、別の素子の「上に」ある、または別の素子の「上に」延在していると称される場合、これは、他の素子の直上にあり、または、他の素子の直上に延在していてもよく、あるいはさらに介在素子が存在していてもよいことが理解される。一方、ある素子が別の素子の「直上」にある、または別の素子の「直上に延在」していると称される場合、介在素子は存在しなくてもよい。また、素子が別の素子に「接続される」、または別の素子と「結合される」と称される場合、これは、他の素子と直接接続されもしくは結合され、および/または1つ以上の介在素子を介して、他の素子と接続もしくは結合されてもよいことが理解される。これに対して、ある素子が別の素子と「直接接続される」または「直接結合される」と称される場合、素子と他の素子との間に介在素子は存在しない。これらの用語は、図面に示された任意の方向に加えて、素子の異なる配向をも包含することを意図することが理解される。
【0010】
本願で使用される「下方側、「上側」、「上方」、「下方」、「水平」または「垂直」等の相対的な用語は、図面に記載のある素子、層、または領域と、別の素子、層、または領域との関係を説明するために使用され得る。これらの用語は、図に示された方向に加えて、装置の異なる配向をも包含することを意図することが理解される。
【0011】
ハロゲンランプは、自動車のヘッドライトのデフォルト光源として、長年使用されてきた。しかしながら、新たな設計の可能性およびエネルギー効率を伴うLED技術の最近の進歩により、LED技術に基づくハロゲンの合法的な代替品、いわゆるLEDレトロフィットを見出すことへの関心が高まっている。そのようなLEDレトロフィットは、数年前から市販されており、ハロゲンヘッドランプのアフターマーケット置換品として人気がある。しかしながら、これらのレトロフィットの大部分は、法的要件を満たしておらず、従って、路上では許可されていない。
【0012】
LEDまたは半導体部材は、一般に壊れやすいデバイスであり、機械的損傷に対してだけではなく、例えば、強い電場、特に電場を介して、または電場の近傍で生じる静電放電(「ESD」)に対しても、保護する必要がある。従って、そのようなESD事象は、回避する必要があり、あるいはLED近傍の接地素子を予測することにより、少なくとも軽減される必要がある。
【0013】
LED近傍の静電荷は、様々な理由により構築され得る。例えば、電気的に非導電性の材料が、LEDの近傍に存在する場合がある。ただし、導電性素子においても、例えば、静電荷が規定の電位から絶縁され、特に接地電位から絶縁されている等の理由により、それらに静電荷が蓄積する場合、問題が生じ得る。LEDの場合、後者は、例えば、動作中のLEDによって放射される光を処理する光学部材に適用され得る。例えば、LEDモジュールでは、LEDに近い反射器に、モジュールを取り付ける必要がある場合がある。反射器は、LEDと対向する反射表面を有し、反射表面は、通常、非導電性プラスチック本体に設置された導電性金属層で構成され、従って、金属層が、規定の電位、特に接地電位から絶縁される。
【0014】
またESD事象は、熱管理のためにLEDに接続されたヒートシンクによって誘発され得る。これは、金属は当然良好な導電体であり、良好な熱伝導率のため、金属ヒートシンクが使用される場合であっても、生じ得る。アルミニウムヒートシンクが陽極酸化される場合があり、これは、それらの表面が酸化され、それらの表面放射率が高まり、ヒートシンクから環境への放射熱伝達が増大することを意味する。しかしながら、酸化物のような陽極酸化層は、電気絶縁体であり、従って、ヒートシンクに取り付けられた部材、例えば光学部材(例えば、反射体)または電気部品(例えば、LEDに電力を供給するプリント回路基板(PCB))に対する、ヒートシンクのAlコアの電気的接触がブロックされ得る。さらに有害なことに、そのような絶縁層は、それ自体、静電荷を蓄積し得る。
【0015】
前述のようなESDの問題を緩和する1つの方法は、金属ヒートシンクコアを接地し、金属コアと電気的に接触するネジと、締結具としての金属ネジとを使用することにより、ヒートシンクの絶縁された表面層に、そのような接地電位を露出させることである。そのような方法は、例えば、参照により本願に組み込まれている米国特許第7837354号に記載されている。ネジ頭は、その後接地され、近くの静電荷を放電することができる。しかしながら、そのような方法では、絶縁された表面層を突き抜けて金属コアに食い込む、ネジの裏側に歯を有する特殊なネジが必要となり、またはネジ頭の位置で絶縁層を除去する必要がある。
【0016】
また、多くの用途では、固定具としてのネジは使用されず、またはプラスチックのような電気的に非導電性のネジが使用される。標準的なネジを有する金属ネジが使用される用途では、そのようなネジによって媒介される電気的接触は、通常、ネジでの応力を回避するため、点的にしか生じず、製造公差のため、ネジ直径は、ネジ孔直径よりもわずかに小さい寸法にされる。しかしながら、点接触では、限定された導電性しか得られず、従って、大きな静電電位を確実に放電することは難しい。また、追加の製造ステップにおいて絶縁された表面層を除去せずに、ヒートシンクの金属コアを確実に接地することは、それ自体が問題となり得る。本願に記載の実施形態では、ESD問題に対処することができる。特に、LEDモジュールの場合のヒートシンクに関連して、ESD問題を解決することができる上、整列、またはヒートシンクに通常存在する他のピンのような素子を使用することによって、一般の他の半導体モジュールについても問題を解決できる。
【0017】
図1は、LEDモジュール200の概略的な斜視図である。LEDモジュール200は、ヒートシンク1と、リボンボンド12を介してPCB20に電気的に結合された3つのLED11と、PCB20を介してヒートシンク1に取り付けられたコネクタ30と、を有する。ヒートシンク1は、ヒートシンクの上部表面(符号なし)から突出する突出ピン3および4を含んでもよい。ピン3は、PCB20をヒートシンク1に固定するように機能してもよく、ピン4は、ヒートシンク1に取り付けられる反射器40の位置合わせ素子として機能してもよい(
図2参照)。ヒートシンク1の表面は、電気的絶縁層2によって被覆され、この層は、ピン3、4の上部表面を被覆してもよい。しかしながら、ピン3、4の横方向表面(または側表面)5は、少なくとも部分的に絶縁層2によって被覆されておらず、ヒートシンクコアの材料が環境に露出されてもよい。
【0018】
ヒートシンクコアは、良好な熱特性、低重量、および比較的低価格のため、アルミニウム(Al)のような導電性材料で構成されてもよい。Alコアを有する絶縁層2は、Al表面を陽極酸化処理(酸化)した結果、生じてもよい。陽極酸化は、ヒートシンクの環境への放射熱伝達を改善するために実施され得る。いくつかの実施形態において、ヒートシンクは、ヒートシンク1を製造する際の素材形状としてのシート金属から製造されてもよい。そのような実施形態では、ピン3、4は、以下の
図3および4に関してより詳細に説明されるように、ヒートシンクの素材形状から型抜き(stamping)処理され、または深絞り加工されてもよい。一実施形態では、そのようなスタンプ処理/深絞り加工は、絶縁層2をピンの上部表面に維持したまま、スタンプ処理/深絞り加工において絶縁層2がピンの横方向の表面積の増加に追従しないように、実施されてもよい。従って、ある意味で絶縁層2は、スタンプ処理/深絞り加工の際に破断してもよい。この結果、少なくとも部分的に、絶縁層2によって被覆されていないピン3、4の横方向表面5が生じ得る。
【0019】
しかしながら、本開示では、シート金属の素材形状からヒートシンクを製造する必要はなく、スタンプ処理または深絞り加工によってピンを製造する必要はなく、本願に記載の実施形態は、鋳造(casting)のような、突出ピンでヒートシンクを製造することを含む、他の全ての製造方法を網羅してもよい。そのような他の製造方法によって、ピンの横方向表面の絶縁層がヒートシンクの絶縁層によって被覆される結果となる限り、絶縁層は、ピンの横方向表面で、少なくとも部分的に、後の機械加工、例えば、研削、ミリング、またはレーザアブレーションによって除去される必要がある。あるいは、エッチングプロセス等によるマスキングおよび層の除去を用いて、少なくとも部分的に、ヒートシンクコア材料が環境に露出される、横方向のピン表面が得られてもよい。
【0020】
そのような追加の製造ステップの場合でも、本願に記載の実施形態では、しばしば、ESD保護のため、ヒートシンク内に既に存在するピンのみに依存する利点を提供することができ(例えば、固定および/または位置合わせのため)、従って、導電性ネジのような、追加のまたは特殊な素子が必要ではなくなってもよい。
【0021】
ピン3は、例えばリベット状に、PCB 20をヒートシンク1に固定するために使用されてもよい。そのため、ピン3は、直立した円柱の形状を有してもよく、PCB20は、ピン3に対応する貫通孔(図示せず)を有してもよい。PCB20をヒートシンク1に取り付けるため、PCB20がヒートシンク1に配置され、ピン3が貫通孔を貫通してもよい。ピン3のヘッドは、PCB20の上部表面に接触するように変形され、これによりPCB20がヒートシンク1に固定されてもよい。ヘッドを変形させると、ピン3の横方向表面5の未被覆部分から、導電性材料がPCB20の上部表面に接触され得る。ピン3の変形ヘッドの下方のPCBの上部表面上の導電性トラック21(概略的にのみ示されている)は、これにより、ヒートシンクの導電性コア材料と電気的に接触し、外部接地電位に接続され得るコネクタ30内のコンタクトに、ヒートシンクコアを接続することができる。このように、ヒートシンクコアは、導電性ネジのような追加のまたは特殊な構成素子を使用せずに接地され得る。
【0022】
コネクタ30、導電性トラック21、およびピン3の変形したヘッドを介してヒートシンクコアを接地することにより、ピン3、4の未被覆横方向表面5にもそのような接地電位が露出され、これにより、近傍の静電荷がピン3、4の横方向表面5を介して放電され得る。従って、このように既に存在するピン3、4を修正することによって、ヒートシンクコアの容易な接地が可能となり、いかなる追加の、または特殊な素子も使用せずに、ピン3、4の横方向表面5によって、そのような接地電位がヒートシンクの表面に伝搬される。
【0023】
図2は、ヒートシンク1に取り付けられた反射器40を有する、
図1のLEDモジュールの別の斜視図である(ヒートシンク面に垂直な軸を中心に周囲に約90°回転)。反射器40は、PCB20およびヒートシンク1(
図1参照)における貫通孔6を貫通する留め具(図示せず)によって取り付けられてもよく、反射器40のカーブアウト41は、形状適合方法で、ピン4の横方向表面5に接触し、これにより、3つのLED11に対して反射器40が整列される。2つのリボンボンド12は、LED11をPCB20の導電性トラック(図示せず)(コネクタ30内の接点にさらに接続される)に電気的に結合してもよい。
【0024】
反射器40の反射表面42を導電性材料、例えば金属で構成し、そのような反射表面42をカーブアウト41まで延ばし、カーブアウト41を被覆することにより、ピン4の横方向表面5とともにカーブアウト41の全コンタクト領域にわたって、導電性コンタクトが形成されてもよい。これにより、反射表面41は、高い導電率でヒートシンクコアに結合されてもよい。
図1に関して示した前述の素子とともに、反射表面41は、カーブアウト41、ピン4の横方向表面5、ヒートシンクコア、ピン3の変形ヘッドの下側、PCB20の導電性トラック21、およびコネクタ30を外部接地リードに結合することにより、接地されてもよい。これは、例えば、反射器40を研磨することにより生じる反射表面41上の静電荷の蓄積を軽減し、LED11に対するそのような静電荷を飛び越えることができる。そうでなければ、LEDが損傷を受ける可能性がある。
【0025】
図3は、製造方法の各種段階におけるヒートシンクの概略的な断面図である。
図4は、
図3の例示的な方法のフロー図である。
【0026】
シート金属のピースが提供されてもよい(402)。いくつかの実施形態では、シート金属は、Alシートであってもよい。この方法におけるこの段階のシート金属は、シート金属100として
図3(a)に示されている。
図3において、ドットは、2つの長さ(左および右)および厚さ(垂直)の方向におけるシートの連続的な延長を表し得る。
【0027】
電気絶縁層がシート金属の上に形成されてもよい(404)。
図3(b)には、シート金属の上に絶縁層2が形成された後のシート金属が示されており、これは、ヒートシンクコア101とも称される。いくつかの実施形態では、前述のように、これは、シート金属100の表面を陽極酸化することにより実施されてもよい。ただし、前述のように、これは、各種方法で形成されてもよい。
【0028】
第1のピンが、該第1のピンの横方向表面の少なくとも一部が電気絶縁層から露出するように形成されてもよい(406)。これは、例えば、第1ピンを深絞り加工および/またはスタンプ(stamping)処理することにより、実施されてもよい。
図3(c)には、スタンプ(図示せず)を設置し、方向120に動かし、スタンプ処理または深絞り加工によって、最終的に突出ピン3を作製する第1の段階を示す。
図3(c)には、ピン3の開始形状103を示す。ピンヘッドおよび底部の絶縁層2は、スタンプ処理/深絞り加工プロセスに追随することがわかる。しかしながら、本願に記載される実施形態では、開始突出ピン103の横方向表面(図の垂直面)において、適切なプロセスパラメータを選定すると、絶縁層2は、時間の経過とともに、スタンプ処理/深絞り加工に追従しなくなり、従って薄くなり始める場合がある。これは、三角形102を形成する絶縁層2として、
図3(c)に概略的に示されている。方向120においてスタンプ処理/深絞り加工を続けると、最終的に、絶縁層2のない横方向表面5の大きな部分が残留し得る。これは、
図3(d)に認められ、図において、破線の垂直線は、中括弧で表された横方向表面5の未被覆部分が、絶縁層2の残留部分102により被覆された残りの部分よりも大きな延長部を有することを表す。
【0029】
陽極酸化処理、特に深絞り加工は、通常、Alシート金属からヒートシンクを形成する際の好ましいプロセス工程であり、そのような製造方法では、任意の追加のプロセス工程、または任意の追加のもしくは特殊な部材が使用されず、ESD問題が軽減される。
【0030】
LED11のヒートシンク1(
図2参照)に対する熱接触を改善するため、絶縁層2は、ヒートシンクコアよりも低い熱伝導率を有し、絶縁層2は、LED11の取り付け領域として機能するヒートシンク1の一部のように、LED11の下方で除去されてもよい。LED取り付け領域における絶縁層2のそのような除去は、研削、ミリング、またはレーザアブレーションのような任意の適切な方法により、実施されてもよい。
【0031】
また、そのような方法は、第2のピンおよび/または1つ以上の追加の第1のもしくは第2のピンに使用されてもよい。これらのピンは、例えば、回路基板および反射器をヒートシンクと位置合わせし、取り付けるために使用されてもよい(例えば、第1のピンは、回路基板または反射器の一方に使用され、他方のピンは、回路基板の他方または反射器をヒートシンクに整列させ、取り付けるために使用されてもよい)。本方法は、さらに、ヒートシンクに反射器および/または回路基板を取り付けるステップを有してもよい。
【0032】
図5は、車両用ヘッドランプシステム500の図であり、これには、本願に記載の実施形態および実施例の1つ以上が導入されてもよい。
図5に示す例示的な車両用ヘッドランプシステム500は、電力線502、データバス504、入力フィルタおよび保護モジュール506、バストランシーバ508、センサモジュール510、LED直流対直流(DC/DC)モジュール512、ロジック低ドロップアウト(LDO)モジュール514、マイクロコントローラ516、ならびにアクティブヘッドランプ518を有する。
【0033】
電力線502は、車両から電力を受け取る入力を有してもよく、データバス504は、車両と車両のヘッドランプシステム500との間でデータを交換できる入力/出力を有してもよい。例えば、車両用ヘッドランプシステム500は、信号伝達をオンにする命令、またはヘッドランプをオンにする命令のような、車両の他の場所からの命令を受け、必要に応じて車両内の他の場所に、フィードバックを送信してもよい。センサモジュール510は、データバス504と通信可能に結合されてもよく、車両のヘッドランプシステム500または車両内の他の位置に、例えば環境条件(例えば、時刻、雨、霧、または周囲光レベル)、車両状態(例えば、駐車、動作中、運動速度、または動作の方向)、および他の物体(例えば、車両または歩行者)の存在/位置に関連する、追加のデータを提供してもよい。また、車両ヘッドランプシステム500には、車両データバスに通信可能に結合された任意の車両コントローラから分離されたヘッドランプコントローラが含まれてもよい。
図5において、ヘッドランプコントローラは、マイクロコントローラ(μc)516のような、マイクロコントローラであってもよい。マイクロコントローラ516は、データバス504と通信可能に結合されてもよい。
【0034】
入力フィルタおよび保護モジュール506は、電力線502に電気的に結合されてもよく、例えば、伝導された放射を低減し、電力耐性を提供する各種フィルタを支持してもよい。また、入力フィルタおよび保護モジュール506は、静電放電(ESD)保護、ロードダンプ保護、オルタネータ電界減衰保護、および/または逆極性保護を提供してもよい。
【0035】
LED DC/DCモジュール512は、入力フィルタと保護モジュール506とアクティブヘッドランプ518との間に結合され、フィルタ化された電力を受け取り、駆動電流を供給し、アクティブヘッドランプ518内のLEDアレイのLEDに電力を供給してもよい。LED DC/DCモジュール512は、約13.2ボルトの公称電圧を有する7~18Vの間の入力電圧と、LEDアレイの最大電圧よりもわずかに高い(例えば、0.3V)出力電圧とを有してもよい(例えば、負荷、温度、または他の因子による局所較正および動作条件調整により、決定される)。
【0036】
ロジックLDOモジュール514は、入力フィルタおよび保護モジュール506に結合され、フィルタ化された電力が受容される。また、ロジックLDOモジュール514は、マイクロコントローラ516およびアクティブヘッドランプ518に結合され、CMOSロジックのようなアクティブヘッドランプ518内のマイクロコントローラ516および/または電子機器に、電力を供給してもよい。
【0037】
バストランシーバ508は、例えば、ユニバーサル非同期受信機送信機(UART)またはシリアル周辺インターフェース(SPI)インターフェースを有してもよく、マイクロコントローラ516に結合されてもよい。マイクロコントローラ516は、センサモジュール510からのデータに基づいて、またはそれを含む車両入力を変換してもよい。変換された車両入力は、アクティブヘッドランプ518内の画像バッファに転送可能なビデオ信号を含んでもよい。また、マイクロコントローラ516は、デフォルトの画像フレームをロードし、起動中にオープン/ショート画素をテストしてもよい。一実施形態では、SPIインターフェースは、CMOS内の画像バッファをロードしてもよい。画像フレームは、フルフレーム、差分フレームまたは部分フレームであってもよい。マイクロコントローラ516の他の特徴は、ダイ温度およびロジックLDO出力を含む、CMOSステータスの制御インターフェースモニタリングを有してもよい。一実施形態では、LED DC/DC出力は、ヘッドルームを最小化するように動的に制御されてもよい。画像フレームデータを提供することに加えて、サイドマーカまたはターンシグナル灯と組み合わされた補完的使用、および/または日中走行灯の作動のような、他のヘッドランプ機能が制御されてもよい。
【0038】
図6は、別の例示的な車両ヘッドランプシステム600の図である。
図6に示す例示的な車両ヘッドランプシステム600は、アプリケーションプラットフォーム602、2つのLED照明システム606、608、および二次光学系610、612を有する。
【0039】
LED照明システム608は、(
図6において矢印614aと614bの間に示される)光ビーム614を放射してもよい。LED照明システム606は、(
図6において矢印616aと616bの間に示される)光ビーム616を放射してもよい。
図6に示す実施形態では、二次光学系610は、LED照明システム608に隣接され、LED照明システム608から放射された光は、二次光学系610を通る。同様に、二次光学系612は、LED照明システム606に隣接しており、LED照明システム606から放射された光は、二次光学系612を通る。別の実施形態では、車両用ヘッドランプシステムに、二次光学系610/612は、提供されない。
【0040】
含まれる場合、二次光学系610/612は、1つ以上の光ガイドであってもよく、または1つ以上の光ガイドを含んでもよい。1つまたは複数の光ガイドは、エッジライトであってもよく、または光ガイドの内部エッジを定める内部開口を有してもよい。LED照明システム608、606は、1つまたは複数の光ガイドの内部エッジ(内部開口光ガイド)または外部エッジ(エッジライト光ガイド)に光が注入されるように、1つまたは複数の光ガイドの内部開口に挿入されてもよい。一実施形態では、1つ以上の光ガイドは、例えば、勾配、面取り分布、狭い分布、広い分布、または角度分布のような、所望の方法で、LED照明システム608および606により放射される光を形状化してもよい。
【0041】
アプリケーションプラットフォーム602は、電力線502および
図5のデータバス504の1つ以上の部分を含む線604を介して、LED照明システム606および/または608に、電力および/またはデータを提供してもよい。1つ以上のセンサ(車両用ヘッドランプシステム600内のセンサまたは他の追加のセンサであってもよい)は、アプリケーションプラットフォーム602のハウジングの内部または外部にあってもよい。これとは別にまたはこれに加えて、
図5の例示的な車両ヘッドランプシステム500に示されるように、各LED照明システム608および606は、それ自体のセンサモジュール、接続および制御モジュール、電力モジュール、および/またはLEDアレイを有してもよい。
【0042】
一実施形態では、車両用ヘッドランプシステム600は、操縦可能な光ビームを有する自動車を表し、LEDは、選択的に活性化され、操縦可能な光が提供されてもよい。例えば、LEDまたはエミッタのアレイを使用して、形状もしくはパターンを画定しまたは投射し、あるいは道路の選択された部分のみを照射してもよい。例示的な実施形態では、LED照明システム606および608内の赤外線カメラまたは検出器画素は、照明を必要とするシーンの部分(例えば、道路または横断歩道)を識別するセンサ(例えば、
図5のセンサモジュール510内のセンサと同様のもの)であってもよい。
【0043】
実施形態について詳細に説明したが、当業者には、本発明の概念の思想から逸脱することなく、本願に記載の実施形態に修正を加え得ることが理解される。従って、本発明の範囲は、示され説明された特定の実施形態に限定されることを意図するものではない。