IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 江蘇科技大学の特許一覧

特許7576372マルチサブルーチンの組み合わせに基づくカム成形面の転がり摩耗体積のシミュレーション方法
<>
  • 特許-マルチサブルーチンの組み合わせに基づくカム成形面の転がり摩耗体積のシミュレーション方法 図1
  • 特許-マルチサブルーチンの組み合わせに基づくカム成形面の転がり摩耗体積のシミュレーション方法 図2
  • 特許-マルチサブルーチンの組み合わせに基づくカム成形面の転がり摩耗体積のシミュレーション方法 図3
  • 特許-マルチサブルーチンの組み合わせに基づくカム成形面の転がり摩耗体積のシミュレーション方法 図4
  • 特許-マルチサブルーチンの組み合わせに基づくカム成形面の転がり摩耗体積のシミュレーション方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-23
(45)【発行日】2024-10-31
(54)【発明の名称】マルチサブルーチンの組み合わせに基づくカム成形面の転がり摩耗体積のシミュレーション方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/23 20200101AFI20241024BHJP
   F01L 1/08 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
G06F30/23
F01L1/08 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2024092535
(22)【出願日】2024-06-06
【審査請求日】2024-06-07
(31)【優先権主張番号】202410191538.9
(32)【優先日】2024-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520154254
【氏名又は名称】江蘇科技大学
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU UNIVERSITY OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】No.2 Mengxi Road,Zhenjiang,Jiangsu 212003,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳 建志
(72)【発明者】
【氏名】唐 杰
(72)【発明者】
【氏名】尚 凡敏
(72)【発明者】
【氏名】李 国超
(72)【発明者】
【氏名】周 宏根
(72)【発明者】
【氏名】景 旭文
【審査官】合田 幸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-126831(JP,A)
【文献】特開2015-169248(JP,A)
【文献】特開2021-169934(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第114357819(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111090953(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第114638057(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00 - 30/398
F01L 1/08
IEEE Xplore
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カムとローラとの間の転がり接触状態について、カムとローラの転がり接触摩耗モデルを確立するステップS1と、
umeshmotionサブルーチン及びufieldサブルーチンの二次開発と組み合わせて転がり摩耗によるカム摩耗体積の伝達及び蓄積プロセスのシミュレーションを完了し、金属の塑性変形及び残留応力の要因の影響を排除した転がり正味摩耗体積分布クラウドマップを取得するステップS2と、
Pythonで二次開発してカムーローラ接触ノードの摩耗体積を描画し、さらにカムの摩耗体積の変化を正確に計算するステップS3とを含むことを特徴とする、マルチサブルーチンの組み合わせに基づくカム成形面の転がり摩耗体積のシミュレーション方法。
【請求項2】
前記ステップS1におけるカムとローラの転がり接触摩耗モデルの確立方法は、
カムとローラのモデルをABAQUSソフトウェアに導入し、カムの実際の作業状態を参照してシミュレーションパラメータを設定し、カムとローラの材料パラメータを与え、モデル作業状態の荷重のロードを実現する第一分析ステップとカム及びローラの回転を実現する第二分析ステップという2つの分析ステップを設定し、これにより、作業成形面の接触疲労及び摩耗が発生し、次にカムとローラの相互作用のための荷重及び回転速度を作成し、メッシュを区切り、要素タイプを選択し、最後に作業タスクを作成することであることを特徴とする、請求項1に記載のマルチサブルーチンの組み合わせに基づくカム成形
面の転がり摩耗体積のシミュレーション方法。
【請求項3】
前記ステップS2におけるumeshmotionサブルーチンにより転がり摩耗によるカム摩耗体積の計算を完了する具体的なプロセスは、
umeshmotionサブルーチンを編集し、シミュレーションモデルでumeshmotionサブルーチンを自己適応メッシュ制御によって導入し、umeshmotionサブルーチンにおいてカム転がりプロセスにおける接触圧力と滑り距離をユーティリティルーチンGETNODETOELEMCONN及びGETVRMAVGATNODEによって取得し、それらをArchard摩耗モデルに取り込み、局所摩耗体積を求め、反復によって摩耗体積を出力することであることを特徴とする、請求項1に記載のマルチサブルーチンの組み合わせに基づくカム成形面の転がり摩耗体積のシミュレーション方法。
【請求項4】
前記Archard摩耗モデルは、Archard摩耗公式によって局所摩耗深さを計算し、局所摩耗深さに摩耗接触幅と局所摩耗経路を乗じて局所摩耗体積を得て、摩耗公式が次のとおりであり、
【数5】
tが時間であり、ΔNが転がりターン数であり、p(x,t)が接触応力であり、Kが摩擦係数であり、δ(x,t)が相対的な滑り距離であり、Δh(x,t)が摩耗深さ増分であり、
【数6】
Δv(x,t)が摩耗体積であり、dwearが摩耗接触幅であり、s(x,t)が相対的な転がり経路であることを特徴とする、請求項3に記載のマルチサブルーチンの組み合わせに基づくカム成形面の転がり摩耗体積のシミュレーション方法。
【請求項5】
前記ステップS2におけるufieldサブルーチンにより転がり摩耗によるカム摩耗体積の伝達及び蓄積を完了する具体的なプロセスは、まず、分析ステップモジュールでFVの事前に定義されたフィールド変数を選択し、次にufieldサブルーチンにおいてフィールド変数を宣言し、umeshmotionによって得られた摩耗体積をフィールド変数によって蓄積し、即ちノードのフィールド変数の値を伝達及び蓄積し、増分ステップを解き始める時に機能し、陰的分析の反復解法プロセスに参加し、Archard摩耗モデルによる正味摩耗体積のフィールド変数クラウドマップとodb結果ファイルを求め
ることであることを特徴とする、請求項3に記載のマルチサブルーチンの組み合わせに基づくカム成形面の転がり摩耗体積のシミュレーション方法。
【請求項6】
前記ステップS2でufieldサブルーチンを呼び出し、自己適応メッシュ制御のノードセットの後にキーワードfield、user、number=2を追加し、自己適応メッシュ制御のノードセット名前をエンターキーで追加し、同時にフィールド出力に摩耗体積の事前に定義されたフィールド変数を開くことを特徴とする、請求項5に記載のマルチサブルーチンの組み合わせに基づくカム成形面の転がり摩耗体積のシミュレーション方法。
【請求項7】
前記ステップS3は、具体的には、Python言語を使用して二次開発を行い、後処理されたクラウドマップからノード座標を抽出するためのプラグインを編集し、カムの摩耗成形面上のノードを接続して閉じた線ループを描画し、摩耗後のこれらのノードの摩耗方向に沿った座標を抽出し、摩耗前後の摩耗ノードデータを抽出し、excelテーブルを生成し、カム成形面の異なる接触ノードの摩耗体積変化データを取得することであることを特徴とする、請求項1に記載のマルチサブルーチンの組み合わせに基づくカム成形面の転がり摩耗体積のシミュレーション方法。
【請求項8】
前記ABAQUSソフトウェアの実行には、初期条件の定義、分析ステップの開始及び増分ステップの開始が順次含まれ、umeshmotionサブルーチン及びufieldサブルーチンが増分ステップで適用されることを特徴とする、請求項2に記載のマルチサブルーチンの組み合わせに基づくカム成形面の転がり摩耗体積のシミュレーション方法。
【請求項9】
増分ステップでのumeshmotionサブルーチンとufieldサブルーチンの呼び出し順序及び方法は、各増分ステップが終了する時に、umeshmotionサブルーチンを呼び出し、kmeshsweep=1の場合、メッシュを1回スイープし、相対的な滑り距離を得て、Fortran言語で書かれたArchard摩耗モデル公式に取り込み、摩耗体積の増分を生成し、次の増分ステップの開始時にufieldサブルーチンを実行し、前の増分ステップの終了時に生成された摩耗体積を伝達及び蓄積し、サブルーチン対話による正味摩耗体積変数の出力を形成することであることを特徴とする、請求項8に記載のマルチサブルーチンの組み合わせに基づくカム成形面の転がり摩耗体積のシミュレーション方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶用ディーゼルエンジンの分野に属し、船舶用ディーゼルエンジンのカム-ローラ摩耗故障及び性能評価技術に関し、具体的には、カム-ローラの転がり接触使用状態を考慮した、マルチサブルーチンの組み合わせに基づくカム成形面の転がり摩耗体積のシミュレーション方法に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶用ディーゼルエンジンのカムは、実際の動作過程に表面摩耗が発生し、ディーゼルエンジンの動作効率及び使用性能を悪化させるだけでなく、ディーゼルエンジンの耐用年数に影響を与えるため、摩耗状態でのディーゼルエンジンのカムの耐用年数を事前に予測することは、舶用分野におけるディーゼルエンジンの点検修理及びメンテナンスにおいて重要な意義を有する。既存の機械的ワークピースの摩耗性能シミュレーションソフトウェアは、一般的にANSYS及びABAQUSソフトウェアであり、シミュレーションプロセスは、一般的に、Archard理論に基づいて、umeshmotionサブルーチンの二次開発により摩耗変位分布クラウドマップを得て、変位結果クラウドマップを通じて摩耗深さの変化を分析することである。しかし、上記摩耗有限要素シミュレーションの変位クラウドマップ結果がワークピースの塑性変形及び摩耗深さの両方の影響を受けるため、カム成形面の実摩耗体積指標を得ることができない。
【0003】
したがって、この問題を解決するために、新しい技術的解決手段が必要となる。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、既存の技術の欠陥を克服するために、カム-ローラの転がり接触使用状態を考慮した、マルチサブルーチンの組み合わせに基づくカム成形面の転がり摩耗体積有限要素シミュレーション方法を提供することであり、当該方法は、具体的には、ABAQUSのumeshmotionサブルーチンとufieldサブルーチンの2つのサブサブルーチンの組み合わせにより、塑性変形と残留応力の影響を排除し、Archard摩耗モデルに基づく摩耗体積の変化をフィールド変数の形で蓄積及び伝達し、材料の実摩耗量のみを考慮した摩耗体積分布クラウドマップを取得し、次にPythonプログラミングにより摩耗体積のodbファイルからデータを抽出し、異なるカム-ローラ接触ノードの摩耗体積の結果を得る。
【0005】
技術的解決手段は、次のとおりである。上記目的を達成するために、本発明は、マルチサブルーチンの組み合わせに基づくカム成形面の転がり摩耗体積のシミュレーション方法を提供する。前記方法は、次のステップを含む。
【0006】
S1、カムとローラとの間の転がり接触状態について、カムとローラの転がり接触摩耗モデルを確立する。
【0007】
S2、umeshmotionサブルーチンとufieldサブルーチンの二次開発と組み合わせて転がり摩耗によるカム摩耗体積の伝達及び蓄積プロセスのシミュレーションを完了し、金属の塑性変形及び残留応力などの要因の影響を排除した転がり正味摩耗体積分布クラウドマップを取得する。
【0008】
S3、Pythonで二次開発してカム-ローラ接触ノードの摩耗体積を描画し、さらにカム摩耗体積の変化を正確に計算する。
【0009】
さらに、前記ステップS1におけるカムとローラの転がり接触摩耗モデルの確立方法は、カムとローラのモデルをABAQUSソフトウェアに導入し、カムの実際の作業状態を参照してシミュレーションパラメータを設定し、カムとローラの材料パラメータを与え、モデル作業状態の荷重のロードを実現する第1分析ステップとカム及びローラの回転を実現する第2分析ステップという2つの分析ステップを設定し、これにより、作業成形面の接触疲労及び摩耗が発生し、次にカムとローラの相互作用のための荷重及び回転速度を作成し、メッシュを区切り、適切な要素タイプを選択し、最後に作業タスクを作成することである。
【0010】
ABAQUSソフトウェアのランタイムプログラムで、要素の幾何学的属性、材料特性及び積分アルゴリズムなどを含む要素剛性マトリックスを定義し、40Crの材料属性を与え、相互作用を設定し、荷重の大きさを定義し、テーブルプログラムコントローラを追加して荷重振幅を設定し、カム-ローラ接触摩耗の幾何学的モデルを確立する。
【0011】
さらに、前記ステップS2にけるumeshmotionサブルーチンにより転がり摩耗によるカム摩耗体積の計算を完了する具体的なプロセスは、umeshmotionサブルーチンを編集し、シミュレーションモデルでumeshmotionサブルーチンを自己適応メッシュ制御によって導入し、umeshmotionサブルーチンにおいてカム転がりプロセスにおける接触圧力と滑り距離をユーティリティルーチンGETNODETOELEMCONN及びGETVRMAVGATNODEによって取得し、それらをArchard摩耗モデルに取り込み、局所摩耗体積を求め、反復によって摩耗体積を出力することである。
【0012】
さらに、前記Archard摩耗モデルは、Archard摩耗公式によって局所摩耗深さを計算し、局所摩耗深さに摩耗接触幅と局所摩耗経路を乗じて局所摩耗体積を得て、摩耗公式が次のとおりであり、
【数1】
ここで、tが時間であり、ΔNが転がりターン数であり、p(x,t)が接触応力であり、Kが摩擦係数であり、δ(x,t)が相対的な滑り距離であり、Δh(x,t)が摩耗深さ増分であり、
【数2】
ここで、Δv(x,t)が摩耗体積であり、dwearが摩耗接触幅であり、s(x,t)が相対的な転がり経路である。
【0013】
さらに、前記ステップS2におけるufieldサブルーチンにより転がり摩耗によるカム摩耗体積の伝達及び蓄積を完了する具体的なプロセスは、まず、分析ステップモジュールでFVの事前に定義されたフィールド変数を選択し、次にufieldサブルーチンにおいてフィールド変数を宣言し、umeshmotionによって得られた摩耗体積をフィールド変数によって蓄積し、即ちノードのフィールド変数の値を伝達及び蓄積し、増分ステップを解き始める時に機能し、陰的分析の反復解法プロセスに参加し、Archard摩耗モデルによる正味摩耗体積のフィールド変数クラウドマップとodb結果ファイルを求めることである。
【0014】
さらに、前記ステップS2でufieldサブルーチンを呼び出し、自己適応メッシュ制御のノードセットの後にキーワードfield、user、number=2を追加し、自己適応メッシュ制御のノードセット名前をエンターキーで追加し、同時にフィールド出力に摩耗体積(FV)の事前に定義されたフィールド変数を開く。
【0015】
さらに、前記ステップS3は、具体的には、Python言語を使用して二次開発を行い、後処理されたクラウドマップからノード座標を抽出するためのプラグインを書き、カムの摩耗成形面上のノードを接続して閉じた線ループを描画し、摩耗後のこれらのノードの摩耗方向に沿った座標を抽出し、摩耗前後の摩耗ノードデータを抽出し、excelテーブルを生成し、カム成形面の異なる接触ノードの摩耗体積変化データを取得することである。
【0016】
さらに、前記ABAQUSソフトウェアプログラムの実行には、初期条件の定義、分析ステップの開始及び増分ステップの開始が順次含まれ、umeshmotionサブルーチン及びufieldサブルーチンが増分ステップで適用される。
【0017】
さらに、増分ステップでのumeshmotionサブルーチンとufieldサブルーチンの呼び出し順序及び方法は、各増分ステップが終了する時に、umeshmotionサブルーチンを呼び出し、kmeshsweep=1の場合、メッシュを1回スイープし、相対的な滑り距離を得て、Fortran言語で書かれたArchard摩耗モデル公式に取り込み、摩耗体積の増分を生成し、次の増分ステップの開始時にufieldサブルーチンを実行し、前の増分ステップの終了時に生成された摩耗体積を伝達及び蓄積し、サブルーチン対話による正味摩耗体積変数の出力を形成することである。
【0018】
本発明は、有限要素二次開発技術の改良技術により、カム成形面の実摩耗体積のシミュレーション方法を確立し、カム-ローラ接触面上のノードの摩耗体積の蓄積量を抽出し、それによってカム摩耗体積の変化規律パターンをより正確かつ直感的に得る。
【0019】
本発明のumeshmotionサブルーチンでは、ユーティリティルーチンGETNODETOELEMCONNによりノードと要素との間の接続を確立すると、ノードに接続されている要素の番号を得ることができ、ユーティリティルーチンGETVRMAVGATNODEによりノードでの要素のパラメータ値の平均値を得て、接触圧力と滑り距離を得て、サブルーチンの陰的要素分析では、主に増分ステップ反復計算によって解かれる。
【0020】
本発明は、まず、ABAQUSソフトウェアによりカムとローラの転がり接触摩耗モデルを確立し、ローラの中心の垂直上向きの動作接触荷重を設定し、カムとローラに回転境界条件を与え、同時にローラのy方向の自由度を解放し、カムとローラの接触成形面の摩擦係数を設定し、ヘルツ接触荷重のロードを実現する第1分析ステップとカムとローラの相対的な転がり接触を実現するステップという2つの分析ステップを設定し、Archard摩耗理論に基づいたumeshmotionサブルーチンを編集して、カムの表面の摩擦によるメッシュノードの変位を実現し、ufieldサブルーチンにより、後処理された摩耗体積の出力を行い、フィールド変数による摩耗体積の伝達及び蓄積を実現し、Python言語を使用して二次開発を行い、摩耗体積のフィールド変数FV分布クラウドマップにアクセスし、摩耗体積分布クラウドマップの座標変化を抽出する。
【0021】
本発明は、従来技術と比べて、塑性変形データの干渉を排除するカム実転がり摩耗体積シミュレーション技術を取得し、カムの摩耗体積指標をシミュレーションすることができ、シミュレーション効果が向上し、ディーゼルエンジンのカム成形線とプロセスの最適化において重要な指導的意義を持つという有益な効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明における有限要素シミュレーションモデルのシミュレーションフローチャートである。
図2】本実施例におけるカム-ローラの転がり接触の幾何学的モデル図である。
図3】本実施例における増分ステップでのサブルーチンの動作原理の概略図である。
図4】本実施例における転がり接触の場合のカムの摩耗体積クラウドマップである。
図5】本実施例におけるカム成形面のノードの摩耗体積の抽出図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に図面と具体的な実施例を組み合わせて本発明をさらに説明するが、これらの実施例は、本発明を説明するためのものだけであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことを理解すべきであり、本発明を読んだ後、当業者による本発明の様々な等価形態への修正は、すべて本出願の添付の特許請求の範囲によって限定される範囲内に含まれる。
【0024】
図1に示すように、本発明は、マルチサブルーチンの組み合わせに基づくカム成形面の転がり摩耗体積のシミュレーション方法を提供する。前記方法は、次のステップを含む。
【0025】
S1、カムとローラとの間の転がり接触状態について、カムとローラの転がり接触摩耗モデルを確立する。
【0026】
前記ステップS1は、具体的には、カムとローラのモデルをABAQUSソフトウェアに導入し、カムの実際の作業状態を参照してシミュレーションパラメータを設定し、カムとローラの材料パラメータを与え、モデル作業状態の荷重のロードを実現する第1分析ステップとカム及びローラの回転を実現する第2分析ステップという2つの分析ステップを設定し、これにより、作業成形面の接触疲労及び摩耗が発生し、次にカムとローラの相互作用のための荷重及び回転速度を作成し、メッシュを区切り、要素タイプを選択し、最後に作業タスクを作成することである。
【0027】
ABAQUSソフトウェアのランタイムプログラムで、要素の幾何学的属性、材料特性及び積分アルゴリズムなどを含む要素剛性マトリックスを定義し、40Crの材料属性を与え、相互作用を設定し、荷重の大きさを定義し、テーブルプログラムコントローラを追加して荷重振幅を設定し、カム-ローラ接触摩耗の幾何学的モデルを確立する。
【0028】
本実施例で得られたカムとローラの転がり接触摩耗モデルを図2に示す。
【0029】
S2、umeshmotionサブルーチン及びufieldサブルーチンの二次開発と組み合わせて転がり摩耗によるカム摩耗体積の伝達及び蓄積プロセスのシミュレーションを完了し、金属の塑性変形及び残留応力などの要因の影響を排除した転がり正味摩耗体積分布クラウドマップを取得する。
【0030】
umeshmotionサブルーチンにより転がり摩耗によるカム摩耗体積の計算を完了する具体的なプロセスは、umeshmotionサブルーチンを編集し、シミュレーションモデルでumeshmotionサブルーチンを自己適応メッシュ制御によって導入し、umeshmotionサブルーチンにおいてカム転がりプロセスにおける接触圧力と滑り距離をユーティリティルーチンGETNODETOELEMCONN及びGETVRMAVGATNODEによって取得し、それらをArchard摩耗モデルに取り込み、局所摩耗体積を求め、反復によって摩耗体積を出力することである。
【0031】
Archard摩耗モデルは、Archard摩耗公式によって局所摩耗深さを計算し、局所摩耗深さに摩耗接触幅と局所摩耗経路を乗じて局所摩耗体積を得て、摩耗公式が次のとおりであり、
【数3】
ここで、tが時間であり、ΔNが転がりターン数であり、p(x,t)が接触応力であり、Kが摩擦係数であり、δ(x,t)が相対的な滑り距離であり、Δh(x,t)が摩耗深さ増分であり、
【数4】
ここで、Δv(x,t)が摩耗体積であり、dwearが摩耗接触幅であり、s(x,t)が相対的な転がり経路である。
【0032】
ufieldサブルーチンにより転がり摩耗によるカム摩耗体積の伝達及び蓄積を完了する具体的なプロセスは、まず、分析ステップモジュールでFVの事前に定義されたフィールド変数を選択し、次にufieldサブルーチンにおいてフィールド変数を宣言し、umeshmotionによって得られた摩耗体積をフィールド変数によって蓄積し、即ちノードのフィールド変数の値を伝達及び蓄積し、増分ステップを解き始める時に機能し、陰的分析の反復解法プロセスに参加し、Archard摩耗モデルによる正味摩耗体積のフィールド変数クラウドマップとodb結果ファイルを求めることである。
【0033】
ufieldサブルーチンを呼び出し、自己適応メッシュ制御のノードセットの後にキーワードfield、user、number=2を追加し、自己適応メッシュ制御のノードセット名前をエンターキーで追加し、同時にフィールド出力に摩耗体積(FV)の事前に定義されたフィールド変数を開く。
【0034】
ABAQUSソフトウェアプログラムの実行には、初期条件の定義、分析ステップの開始及び増分ステップの開始が順次含まれ、umeshmotionサブルーチン及びufieldサブルーチンが増分ステップで適用される。
【0035】
図3に示すように、増分ステップでのumeshmotionサブルーチンとufieldサブルーチンの呼び出し順序及び方法は、各増分ステップが終了する時に、umeshmotionサブルーチンを呼び出し、kmeshsweep=1の場合、メッシュを1回スイープし、相対的な滑り距離を得て、Fortran言語で書かれたArchard摩耗モデル公式に取り込み、摩耗体積の増分を生成し、次の増分ステップの開始時にufieldサブルーチンを実行し、前の増分ステップの終了時に生成された摩耗体積を伝達及び蓄積し、サブルーチン対話による正味摩耗体積変数の出力を形成することである。本実施例における転がり接触の場合のカムの摩耗体積クラウドマップは、具体的には、図4に示される。
【0036】
S3、図5に示すように、Python言語を使用して二次開発を行い、後処理されたクラウドマップからノード座標を抽出するためのプラグインを書き、カムの摩耗成形面上のノードを接続して閉じた線ループを描画し、摩耗後のこれらのノードの摩耗方向に沿った座標を抽出し、摩耗前後の摩耗ノードデータを抽出し、excelテーブルを生成し、カム成形面の異なる接触ノードの摩耗体積変化データを取得する。
【0037】
本実施例は、マルチサブルーチンの組み合わせに基づくカム成形面の転がり摩耗体積のシミュレーションシステムをさらに提供する。当該システムは、ネットワークインターフェイス、メモリ及びプロセッサを備え、ネットワークインターフェイスは、他の外部ネットワーク要素との情報の送受信のプロセスに、信号を送受信するために使用され、メモリは、前記プロセッサで実行可能なコンピュータプログラム命令を記憶するために使用され、プロセッサは、コンピュータプログラム命令を実行する際に、上記コンセンサス方法のステップを実行するために使用される。
【0038】
本実施例は、コンピュータプログラムを記憶し、前記コンピュータプログラムがプロセッサに実行されると、上記方法のステップを実現できるコンピュータ記憶媒体をさらに提供する。前記コンピュータ記憶媒体は、有形で非一時的であると考えられる。非一時的な有形のコンピュータ記憶媒体の非限定的な例は、不揮発性メモリ回路(フラッシュメモリ回路、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ回路又はマスク読み取り専用メモリ回路など)、揮発性メモリ回路(スタティックランダムアクセスメモリ回路又はダイナミックランダムアクセスメモリ回路など)、磁気記憶媒体(アナログ又はデジタルテープ、ハードドライブなど)及び光記憶媒体(CD、DVD又はブルーレイディスク)などを含む。コンピュータプログラムは、少なくとも1つの非一時的で有形なコンピュータ記憶媒体に記憶されたプロセッサ実行可能命令を含む。コンピュータプログラムは、記憶されたデータを含み、又はそれに依存することもできる。コンピュータプログラムは、専用コンピュータのハードウェアと対話する基本入出力システム(BIOS)、専用コンピュータの特定のデバイスと対話するデバイス駆動プログラム、1つ又は複数のオペレーティングシステム、ユーザーアプリケーションプログラム、バックグラウンドサービス、バックグラウンドアプリケーションプログラムなどを含むことができる。
【0039】
当業者は、本出願の実施例が方法、システム又はコンピュータプログラム製品として提供され得ることを理解すべきである。したがって、本出願は、完全なハードウェア実施例、完全なソフトウェア実施例、又はハードとソフトを組み合わせた実施例を採用することができる。しかも、本出願は、コンピュータで使用可能なプログラムコードを含む1つ又は複数のコンピュータで使用可能な記憶媒体(磁気ディスクメモリ、CD-ROM、光学メモリなどを含むがこれらに限らない)で実施されるコンピュータプログラム製品の形を採用することができる。
【0040】
本出願は、本出願の実施例に係る方法、デバイス(システム)及びコンピュータプログラム製品のフローチャート及び/又はブロック図を参照して説明される。コンピュータプログラム命令によってフローチャート及び/又はブロック図の各フロー及び/又はブロック、及びフローチャート及び/又はブロック図におけるフロー及び/又はブロックの組み合わせを実現できると理解すべきである。これらのコンピュータプログラム命令を汎用コンピュータ、専用コンピュータ、組み込みプロセッサ又は他のプログラマブルデータ処理デバイスのプロセッサに提供して1つの機械を生成することができ、それによってコンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理デバイスのプロセッサで実行される命令によりフローチャートにおける1つのフロー又は複数のフロー及び/又はブロック図における1つのブロック又は複数のブロックに指定された機能を実現するための装置を生成する。
【0041】
これらのコンピュータプログラム命令は、特定の方式で動作するようにコンピュータ又はその他のプログラマブルデータ処理デバイスを案内することができるコンピュータ可読メモリに記憶されてもよく、それによって当該コンピュータ可読メモリに記憶された命令により命令装置を含む製造品を生成し、当該命令装置は、フローチャートにおける1つのフロー又は複数のフロー及び/又はブロック図における1つのブロック又は複数のブロックに指定された機能を実現する。
【0042】
これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理デバイスにロードされてもよく、コンピュータ又は他のプログラマブルデバイスで一連の動作ステップを実行してコンピュータで実現される処理を発生し、それによってコンピュータ又はプログラマブルデバイスで実行される命令は、フローチャートにおける1つのフロー又は複数のフロー及び/又はブロック図における1つのブロック又は複数のブロックに指定された機能を実現するためのステップを提供する。
【要約】      (修正有)
【課題】塑性変形データの干渉を排除できるカム実転がり摩耗体積シミュレーション技術において、マルチサブルーチンの組み合わせに基づくカム成形面の転がり摩耗体積のシミュレーションを行う。
【解決手段】カムとローラとの間の転がり接触状態について、カムとローラの転がり接触摩耗モデルを確立するステップと、umeshmotionサブルーチン及びufieldサブルーチンの二次開発と組み合わせて転がり摩耗によるカム摩耗体積の伝達及び蓄積プロセスのシミュレーションを完了し、金属の塑性変形及び残留応力などの要因の影響を排除した転がり正味摩耗体積分布クラウドマップを取得するステップと、PYTHON(登録商標)で二次開発してカムーローラ接触ノードの摩耗体積を描画し、さらにカムの摩耗体積の変化を正確に計算するステップとを含む。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5