(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-23
(45)【発行日】2024-10-31
(54)【発明の名称】グリカン調製物及び高アンモニア血症のための使用方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/702 20060101AFI20241024BHJP
A61K 31/716 20060101ALI20241024BHJP
A61K 31/192 20060101ALI20241024BHJP
A61K 35/74 20150101ALI20241024BHJP
A61K 31/198 20060101ALI20241024BHJP
A61K 35/741 20150101ALI20241024BHJP
A61K 31/7016 20060101ALI20241024BHJP
A61K 31/352 20060101ALI20241024BHJP
A61K 31/37 20060101ALI20241024BHJP
A61K 31/437 20060101ALI20241024BHJP
A61K 31/216 20060101ALI20241024BHJP
A61K 31/205 20060101ALI20241024BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241024BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20241024BHJP
A61P 39/02 20060101ALI20241024BHJP
A61P 3/12 20060101ALI20241024BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20241024BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20241024BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20241024BHJP
A61P 1/08 20060101ALI20241024BHJP
A61P 1/14 20060101ALI20241024BHJP
A61P 1/12 20060101ALI20241024BHJP
A61P 1/10 20060101ALI20241024BHJP
A61P 25/20 20060101ALI20241024BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20241024BHJP
A61P 25/06 20060101ALI20241024BHJP
A61K 31/19 20060101ALI20241024BHJP
A23L 33/125 20160101ALI20241024BHJP
A23L 33/21 20160101ALI20241024BHJP
A23L 33/135 20160101ALI20241024BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20241024BHJP
【FI】
A61K31/702
A61K31/716
A61K31/192
A61K35/74 B
A61K35/74 G
A61K31/198
A61K35/741
A61K31/7016
A61K31/352
A61K31/37
A61K31/437
A61K31/216
A61K31/205
A61P43/00 111
A61P1/16
A61P39/02
A61P3/12
A61P25/28
A61P25/14
A61P25/08
A61P1/08
A61P1/14
A61P1/12
A61P1/10
A61P25/20
A61P25/18
A61P25/06
A61P43/00 121
A61K31/19
A23L33/125
A23L33/21
A23L33/135
A23L33/105
(21)【出願番号】P 2020524305
(86)(22)【出願日】2018-11-03
(86)【国際出願番号】 US2018059102
(87)【国際公開番号】W WO2019090182
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-11-02
(32)【優先日】2018-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517258420
【氏名又は名称】カレイド・バイオサイエンシズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【氏名又は名称】今藤 敏和
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ギブソン,モリー・クリースアン
(72)【発明者】
【氏名】ステビンス,ネイサン・ウィルソン
(72)【発明者】
【氏名】ティエロフ-エケルト,ルース
(72)【発明者】
【氏名】フォン・マルトツァーン,ジェフリー・エイ
【審査官】石井 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】特公平01-031487(JP,B2)
【文献】国際公開第2016/172657(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/122889(WO,A1)
【文献】特開2009-102324(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0213702(US,A1)
【文献】国際公開第2017/035412(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61K 35/00-35/768
A61P 1/00-43/00
A23L 33/00-33/29
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト対象における尿素サイクル異常症(UCD)を治療する方法における使用のためのグリカン調製物であって、
前記方法は、UCDを治療するのに有効な量において且つ十分な時間にわたってグリカン調製物を投与することを含み、
ここで、
i)前記グリカン調製物は、グルコースグリカン単位を含むグリカンポリマーを含み、
さらにここで、
ii)前記グリカン調製物中の前記グリカンポリマーの平均分岐度(DB)は、0.1~0.4であ
り;
iii)前記グリカン調製物中の前記グリカンポリマーの少なくとも50%は、少なくとも3~10未満のグリカン単位の重合度(DP)を有
し;
iv)前記グリカン調製物の平均DP(平均DP)は、約5~8であ
り;
v)前記グリカン調製物の前記グリカンポリマー中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比は、1:1~3:1であ
り;
vi)前記グリカン調製物は、20モル%~60モル%の1,6グリコシド結合を含
み;
vii)前記グリカン調製物は、5モル%~25モル%の、1,2グリコシド結合、1,3グリコシド結合及び1,4グリコシド結合の少なくとも1、2、3個を含
み;
viii)前記グリカン調製物は、23℃で少なくとも70Brixの水中最終溶解限度を有
し;
および
ix)前記グリカン調製物は、少なくとも70%の食物繊維含有量を有する
、前記グリカン調製物。
【請求項2】
前記対象は、
低下した意識レベル、変化した精神状態、異常な運動機能及び発作;嘔吐、摂食不良、下痢、吐き気、便秘及びタンパク質忌避; 過換気症、呼吸性アルカローシス、異常肢位、低換気を伴う進行性脳症および呼吸停止;慢性嘔吐、発達遅延、発作障害、睡眠障害、精神疾患、頭痛、食欲不振、嘔吐、嗜眠、運動失調、行動異常; 肝機能障害、肝酵素の上昇、凝固障害及びグリコーゲノースの組織学的エビデンス;高アンモニア血症;痙縮、ジストニアおよび運動失調からなる群から選択されるUCDに関連する症状を示す、請求項1に記載のグリカン調製物。
【請求項3】
前記対象は、低下した意識レベル、変化した精神状態、異常な運動機能、痙縮及び発作の1つ以上を含む、UCDと関連する神経学的症状を有する、または、前記対象は、嘔吐、摂食不良、下痢、吐き気、便秘及びタンパク質忌避の1つ以上を含む、UCDと関連する胃腸症状を有する請求項1または2に記載のグリカン調製物。
【請求項4】
前記対象の血液は、UCDを有しない対象と比較して上昇したアンモニアのレベルを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のグリカン調製物。
【請求項5】
前記対象の血液において、UCDを有しない対象と比較して、シトルリンのレベルは上昇しており、且つ/又はアルギニノコハク酸のレベルは、低下しているか若しくは存在しない;
前記対象の血液において、UCDを有しない対象と比較して、シトルリン及び/又はアルギニノコハク酸のレベルは
上昇している;
前記対象の血液において、UCDを有しない対象と比較して、シトルリン、アルギニン及び/若しくはオロチン酸のレベルは、低下しているか若しくは存在せず、且つ/又はグルタミンのレベルは上昇している;
前記対象の血液において、UCDを有しない対象と比較して、シトルリン及び/若しくはアルギニンのレベルは、低下しているか若しくは存在せず、且つ/又はオロチン酸及び/若しくはグルタミンのレベルは上昇している;
前記対象の血液において、UCDを有しない対象と比較して、シトルリン及び/若しくはアルギニンのレベルは、低下しているか若しくは存在せず、且つ/又はグルタミンのレベルは、上昇している;または
前記対象の血液において、UCDを有しない対象と比較して、
アルギニンのレベルは上昇している、請求項1~4のいずれか一項に記載のグリカン調製物。
【請求項6】
前記グリカン調製物は、毎日、毎週又は毎月投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載のグリカン調製物。
【請求項7】
前記グリカン調製物は、医療食品、栄養補助食品、医薬組成物又は食品成分として処方される、請求項1~6のいずれか一項に記載のグリカン調製物。
【請求項8】
前記対象を、UCD、肝性脳症(HE
)又はUCD関連状態を治療するための追加の療法で治療することをさらに含
む、請求項1~7のいずれか一項に記載のグリカン調製物。
【請求項9】
前記追加の療法は、前記グリカン調製物と組み合わせて投与される、請求項8に記載のグリカン調製物。
【請求項10】
前記追加の療法は、水分補給;血液透析;フェニル酢酸ナトリウム;安息香酸ナトリウム;フェニル酢酸ナトリウム及び安息香酸ナトリウム;アルギニン;シトルリン;カルグルミン酸;タンパク質制限;バクテロイデス(Bacteroides);並びに肝移植の1つ以上から選択される、請求項8
または9に記載のグリカン調製物。
【請求項11】
ポリフェノールをさらに含む、請求項1~
10のいずれか一項に記載のグリカン調製物。
【請求項12】
プロバイオティクス細菌又はその調製物をさらに含む、請求項1~
11のいずれか一項に記載のグリカン調製物。
【請求項13】
前記グリカン調製物は、20mol%~60mol%の1,6グリコシド結合を含む、請求項1~
12のいずれか一項に記載のグリカン調製物。
【請求項14】
前記グリカン調製物は、5mol%~25mol%の、1,2グリコシド結合、1,3グリコシド結合及び1,4グリコシド結合のそれぞれを含む、請求項1~
12のいずれか一項に記載のグリカン調製物。
【請求項15】
投与することは、自己投与することを含む、請求項1~
14のいずれか一項に記載のグリカン調製物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、「GLYCAN PREPARATIONS AND METHODS OF USE IN UREA CYCLE DISORDERS」という名称の、2017年11月3日に出願された米国仮特許出願第62/581583号明細書、「GLYCAN PREPARATIONS AND METHODS OF USE IN UREA CYCLE DISORDERS」という名称の、2018年5月18日に出願された米国仮特許出願第62/673754号明細書及び「OLIGOSACCHARIDE COMPOSITIONS AND METHODS OF USE THEREOF FOR REDUCING AMMONIA LEVELS」という名称の、2018年8月21日に出願された米国仮特許出願第62/720,924号明細書の35U.S.C.§119(e)の下での利益を主張するものであり、それぞれの全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
ヒトの健康の維持又は回復は、効果的な処置の選択肢がないことに起因する多くの課題に直面している。新規治療法及び処置計画が引き続き必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、部分的には、グリカン調製物が、対象における高アンモニア血症に関連する疾患、例えば尿素サイクル異常症(UCD)及び肝性脳症(HE)を治療すること;対象における酵素活性を増加又は減少させること;対象における代謝産物のレベルを増加又は減少させること;対象における代謝産物、例えばアンモニア、シトルリン、アルギニノコハク酸、グルタミン、グルタミン酸、オロチン酸若しくはアルギニンの処理を調節するか又は酵素活性を調節する、例えば増加又は減少させること;及びUCDを有する対象の治療レジメンを特定又は選択するために有用であるという発見に基づく。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のグリカン調製物は、UCDの治療に有用である。他の実施形態では、本明細書に記載のグリカン調製物は、HEの治療に有用である。
【0004】
したがって、一態様では、本発明は、対象、例えばヒト対象における尿素サイクル異常症(UCD)(例えば、カルバミルリン酸シンテターゼI(CPSI)欠乏症、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠乏症、アルギニノコハク酸シンテターゼ(ASS)欠乏症、アルギニノコハク酸リアーゼ(ASL)欠乏症、N-アセチルグルタミン酸シンテターゼ(NAGS)欠乏症、高オルニチン血症-高アンモニア血症-ホモシトルリン尿症(HHH)症候群、シトルリン血症II型(CIT II)障害又はアルギナーゼ欠乏症)を治療する方法を対象とし、方法は、UCDを治療するのに有効な量において且つ十分な時間にわたってグリカン調製物を投与することを含み、
i)グリカン調製物は、グルコース、ガラクトース、アラビノース、マンノース、フルクトース、キシロース、フコース又はラムノースグリカン単位を含むグリカンポリマーを含むか;
ii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの平均分岐度(DB)は、0、0.01~0.6、0.05~0.5、0.1~0.4又は0.15~0.4であるか;
iii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの少なくとも50%(少なくとも60%、65%、70%、75%、80%若しくは85%又は50%未満)は、少なくとも3~30未満のグリカン単位、少なくとも3~10未満のグリカン単位、少なくとも5~25未満のグリカン単位又は少なくとも10~35未満のグリカン単位の重合度(DP)を有するか;
iv)グリカン調製物の平均DP(平均DP)は、約5~8、約8~13、約13~25、約5~15、約5~20又は約5~15であるか;
v)グリカン調製物のグリカンポリマー中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比は、0又は約0.8:1~約5:1、約1:1~約5:1、約1:1~約3:1、約3:2~約2:1若しくは約3:2~約3:1であるか;
vi)グリカン調製物は、15mol%~75mol%(20mol%~60mol%、25mol%~50mol%又は30mol%~45mol%)の1,6グリコシド結合を含むか;
vii)グリカン調製物は、1mol%~40mol%(1mol%~30mol%、5mol%~25mol%、10mol%~20mol%)の、1,2グリコシド結合、1,3グリコシド結合及び1,4グリコシド結合のそれぞれ少なくとも1つ、2つ又は3つを含むか;
viii)グリカン調製物は、23℃で少なくとも約50(少なくとも約60、70、少なくとも約75又は50未満)Brixの水中最終溶解限度を有するか;
ix)グリカン調製物は、少なくとも50%(少なくとも60%、70%、80%若しくは少なくとも90%又は50%未満)の食物繊維含量を有するか;又は
x)i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)、vii)、viii)及びix)の2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ又は9つのいずれかの組み合わせである。
【0005】
別の態様では、本発明は、対象、例えばヒト対象における酵素活性(例えば、カルバミルリン酸シンテターゼI(CPSI)、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)、アルギニノコハク酸シンテターゼ(ASS)、アルギニノコハク酸リアーゼ(ASL)、N-アセチルグルタミン酸シンテターゼ(NAGS)、オルニチントランスロカーゼ、シトリン又はアルギナーゼ活性)を増加又は減少させる方法を対象とし、方法は、酵素活性(例えば、カルバミルリン酸シンテターゼI(CPSI)、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)、アルギニノコハク酸シンテターゼ(ASS)、アルギニノコハク酸リアーゼ(ASL)、N-アセチルグルタミン酸シンテターゼ(NAGS)、オルニチントランスロカーゼ、シトリン又はアルギナーゼ活性)を増加又は減少させるのに有効な量において且つ十分な時間にわたってグリカン調製物を投与することを含み、
i)グリカン調製物は、グルコース、ガラクトース、アラビノース、マンノース、フルクトース、キシロース、フコース又はラムノースグリカン単位を含むグリカンポリマーを含むか;
ii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの平均分岐度(DB)は、0、0.01~0.6、0.05~0.5、0.1~0.4又は0.15~0.4であるか;
iii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの少なくとも50%(少なくとも60%、65%、70%、75%、80%若しくは85%又は50%未満)は、少なくとも3~30未満のグリカン単位、少なくとも3~10未満のグリカン単位、少なくとも5~25未満のグリカン単位又は少なくとも10~35未満のグリカン単位の重合度(DP)を有するか;
iv)グリカン調製物の平均DP(平均DP)は、約5~8、約8~13、約13~25、約5~15、約5~20又は約5~15であるか;
v)グリカン調製物のグリカンポリマー中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比は、0又は約0.8:1~約5:1、約1:1~約5:1、約1:1~約3:1、約3:2~約2:1若しくは約3:2~約3:1であるか;
vi)グリカン調製物は、15mol%~75mol%(20mol%~60mol%、25mol%~50mol%又は30mol%~45mol%)の1,6グリコシド結合を含むか;
vii)グリカン調製物は、1mol%~40mol%(1mol%~30mol%、5mol%~25mol%、10mol%~20mol%)の、1,2グリコシド結合、1,3グリコシド結合及び1,4グリコシド結合のそれぞれ少なくとも1つ、2つ又は3つを含むか;
viii)グリカン調製物は、23℃で少なくとも約50(少なくとも約60、70、少なくとも約75又は50未満)Brixの水中最終溶解限度を有するか;
ix)グリカン調製物は、少なくとも50%(少なくとも60%、70%、80%若しくは少なくとも90%又は50%未満)の食物繊維含量を有するか;又は
x)i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)、vii)、viii)及びix)の2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ又は9つのいずれかの組み合わせである。
【0006】
別の態様では、本発明は、対象、例えばヒト対象における代謝産物、例えばアンモニア、シトルリン、アルギニノコハク酸、グルタミン、グルタミン酸、オロチン酸又はアルギニンのレベルを減少させる方法を対象とし、方法は、代謝産物、例えばアンモニア、シトルリン、アルギニノコハク酸、グルタミン、グルタミン酸、オロチン酸又はアルギニンのレベルを減少させるのに有効な量において且つ十分な時間にわたってグリカン調製物を投与することを含み、
i)グリカン調製物は、グルコース、ガラクトース、アラビノース、マンノース、フルクトース、キシロース、フコース又はラムノースグリカン単位を含むグリカンポリマーを含むか;
ii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの平均分岐度(DB)は、0、0.01~0.6、0.05~0.5、0.1~0.4又は0.15~0.4であるか;
iii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの少なくとも50%(少なくとも60%、65%、70%、75%、80%若しくは85%又は50%未満)は、少なくとも3~30未満のグリカン単位、少なくとも3~10未満のグリカン単位、少なくとも5~25未満のグリカン単位又は少なくとも10~35未満のグリカン単位の重合度(DP)を有するか;
iv)グリカン調製物の平均DP(平均DP)は、約5~8、約8~13、約13~25、約5~15、約5~20又は約5~15であるか;
v)グリカン調製物のグリカンポリマー中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比は、0又は約0.8:1~約5:1、約1:1~約5:1、約1:1~約3:1、約3:2~約2:1若しくは約3:2~約3:1であるか;
vi)グリカン調製物は、15mol%~75mol%(20mol%~60mol%、25mol%~50mol%又は30mol%~45mol%)の1,6グリコシド結合を含むか;
vii)グリカン調製物は、1mol%~40mol%(1mol%~30mol%、5mol%~25mol%、10mol%~20mol%)の、1,2グリコシド結合、1,3グリコシド結合及び1,4グリコシド結合のそれぞれ少なくとも1つ、2つ又は3つを含むか;
viii)グリカン調製物は、23℃で少なくとも約50(少なくとも約60、70、少なくとも約75又は50未満)Brixの水中最終溶解限度を有するか;
ix)グリカン調製物は、少なくとも50%(少なくとも60%、70%、80%若しくは少なくとも90%又は50%未満)の食物繊維含量を有するか;又は
x)i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)、vii)、viii)及びix)の2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ又は9つのいずれかの組み合わせである。
【0007】
別の態様では、本発明は、
(a)代謝産物、例えばアンモニア、シトルリン、アルギニノコハク酸、グルタミン、グルタミン酸、オロチン酸若しくはアルギニンの処理を調節するか、又は
(b)対象の胃腸管内の酵素活性(例えば、カルバミルリン酸シンテターゼI(CPSI)、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)、アルギニノコハク酸シンテターゼ(ASS)、アルギニノコハク酸リアーゼ(ASL)、N-アセチルグルタミン酸シンテターゼ(NAGS)、オルニチントランスロカーゼ、シトリン又はアルギナーゼ活性)を調節、例えば増加又は減少させる方法を対象とし、方法は、代謝産物、例えばアンモニア、シトルリン、アルギニノコハク酸、グルタミン、グルタミン酸、オロチン酸若しくはアルギニンの処理を調節するか、又は酵素活性(例えば、カルバミルリン酸シンテターゼI(CPSI)、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)、アルギニノコハク酸シンテターゼ(ASS)、アルギニノコハク酸リアーゼ(ASL)、N-アセチルグルタミン酸シンテターゼ(NAGS)、オルニチントランスロカーゼ、シトリン若しくはアルギナーゼ活性)を調節する、例えば増加若しくは減少させるのに有効な量において且つ十分な時間にわたってグリカン組成物を投与することを含み、
i)グリカン調製物は、グルコース、ガラクトース、アラビノース、マンノース、フルクトース、キシロース、フコース又はラムノースグリカン単位を含むグリカンポリマーを含むか;
ii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの平均分岐度(DB)は、0、0.01~0.6、0.05~0.5、0.1~0.4又は0.15~0.4であるか;
iii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの少なくとも50%(少なくとも60%、65%、70%、75%、80%若しくは85%又は50%未満)は、少なくとも3~30未満のグリカン単位、少なくとも3~10未満のグリカン単位、少なくとも5~25未満のグリカン単位又は少なくとも10~35未満のグリカン単位の重合度(DP)を有するか;
iv)グリカン調製物の平均DP(平均DP)は、約5~8、約8~13、約13~25、約5~15、約5~20又は約5~15であるか;
v)グリカン調製物のグリカンポリマー中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比は、0又は約0.8:1~約5:1、約1:1~約5:1、約1:1~約3:1、約3:2~約2:1若しくは約3:2~約3:1であるか;
vi)グリカン調製物は、15mol%~75mol%(20mol%~60mol%、25mol%~50mol%又は30mol%~45mol%)の1,6グリコシド結合を含むか;
vii)グリカン調製物は、1mol%~40mol%(1mol%~30mol%、5mol%~25mol%、10mol%~20mol%)の、1,2グリコシド結合、1,3グリコシド結合及び1,4グリコシド結合のそれぞれ少なくとも1つ、2つ又は3つを含むか;
viii)グリカン調製物は、23℃で少なくとも約50(少なくとも約60、70、少なくとも約75又は50未満)Brixの水中最終溶解限度を有するか;
ix)グリカン調製物は、少なくとも50%(少なくとも60%、70%、80%若しくは少なくとも90%又は50%未満)の食物繊維含量を有するか;又は
x)i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)、vii)、viii)及びix)の2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ又は9つのいずれかの組み合わせである。
【0008】
別の態様では、本発明は、尿素サイクル異常症(UCD)(例えば、カルバミルリン酸シンテターゼI(CPSI)欠乏症、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠乏症、アルギニノコハク酸シンテターゼ(ASS)欠乏症、アルギニノコハク酸リアーゼ(ASL)欠乏症、N-アセチルグルタミン酸シンテターゼ(NAGS)欠乏症、高オルニチン血症-高アンモニア血症-ホモシトルリン尿症(HHH)症候群、シトルリン血症II型(CIT II)障害又はアルギナーゼ欠乏症)を有する対象のための治療レジメンを特定又は選択する方法を対象とし、方法は、
a)対象における細菌分類群若しくは微生物代謝産物の存在若しくはレベル又は酵素活性の値を取得すること;
b)その値に応じて、対象を治療するためのグリカン調製物を含む治療を選択すること;及び
c)対象を治療するのに有効な量において且つ十分な時間にわたってグリカン調製物を投与すること
を含み、
i)グリカン調製物は、グルコース、ガラクトース、アラビノース、マンノース、フルクトース、キシロース、フコース又はラムノースグリカン単位を含むグリカンポリマーを含むか;
ii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの平均分岐度(DB)は、0、0.01~0.6、0.05~0.5、0.1~0.4又は0.15~0.4であるか;
iii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの少なくとも50%(少なくとも60%、65%、70%、75%、80%若しくは85%又は50%未満)は、少なくとも3~30未満のグリカン単位、少なくとも3~10未満のグリカン単位、少なくとも5~25未満のグリカン単位又は少なくとも10~35未満のグリカン単位の重合度(DP)を有するか;
iv)グリカン調製物の平均DP(平均DP)は、約5~8、約8~13、約13~25、約5~15、約5~20又は約5~15であるか;
v)グリカン調製物のグリカンポリマー中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比は、0又は約0.8:1~約5:1、約1:1~約5:1、約1:1~約3:1、約3:2~約2:1若しくは約3:2~約3:1であるか;
vi)グリカン調製物は、15mol%~75mol%(20mol%~60mol%、25mol%~50mol%又は30mol%~45mol%)の1,6グリコシド結合を含むか;
vii)グリカン調製物は、1mol%~40mol%(1mol%~30mol%、5mol%~25mol%、10mol%~20mol%)の、1,2グリコシド結合、1,3グリコシド結合及び1,4グリコシド結合のそれぞれ少なくとも1つ、2つ又は3つを含むか;
viii)グリカン調製物は、23℃で少なくとも約50(少なくとも約60、70、少なくとも約75又は50未満)Brixの水中最終溶解限度を有するか;
ix)グリカン調製物は、少なくとも50%(少なくとも60%、70%、80%若しくは少なくとも90%又は50%未満)の食物繊維含量を有するか;又は
x)i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)、vii)、viii)及びix)の2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ又は9つのいずれかの組み合わせである。
【0009】
別の態様では、本発明は、対象、例えばヒト対象における腸管由来のアンモニアを低減する方法を対象とし、方法は、対象における腸管由来のアンモニアを低減するのに有効な量において且つ十分な時間にわたってグリカン調製物を投与することを含み、
i)グリカン調製物は、グルコース、ガラクトース、アラビノース、マンノース、フルクトース、キシロース、フコース又はラムノースグリカン単位を含むグリカンポリマーを含むか;
ii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの平均分岐度(DB)は、0、0.01~0.6、0.05~0.5、0.1~0.4又は0.15~0.4であるか;
iii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの少なくとも50%(少なくとも60%、65%、70%、75%、80%若しくは85%又は50%未満)は、少なくとも3~30未満のグリカン単位、少なくとも3~10未満のグリカン単位、少なくとも5~25未満のグリカン単位又は少なくとも10~35未満のグリカン単位の重合度(DP)を有するか;
iv)グリカン調製物の平均DP(平均DP)は、約5~8、約8~13、約13~25、約5~15、約5~20又は約5~15であるか;
v)グリカン調製物のグリカンポリマー中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比は、0又は約0.8:1~約5:1、約1:1~約5:1、約1:1~約3:1、約3:2~約2:1若しくは約3:2~約3:1であるか;
vi)グリカン調製物は、15mol%~75mol%(20mol%~60mol%、25mol%~50mol%又は30mol%~45mol%)の1,6グリコシド結合を含むか;
vii)グリカン調製物は、1mol%~40mol%(1mol%~30mol%、5mol%~25mol%、10mol%~20mol%)の、1,2グリコシド結合、1,3グリコシド結合及び1,4グリコシド結合のそれぞれ少なくとも1つ、2つ又は3つを含むか;
viii)グリカン調製物は、23℃で少なくとも約50(少なくとも約60、70、少なくとも約75又は50未満)Brixの水中最終溶解限度を有するか;
ix)グリカン調製物は、少なくとも50%(少なくとも60%、70%、80%若しくは少なくとも90%又は50%未満)の食物繊維含量を有するか;又は
x)i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)、vii)、viii)及びix)の2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ又は9つのいずれかの組み合わせである。いくつかの実施形態では、グリカン調製物は、実施例10で記載又は使用されるグリカン調製物である。
【0010】
別の態様では、本発明は、対象、例えばヒト対象における高アンモニア血症を治療する方法を対象とし、方法は、対象における高アンモニア血症を治療するのに有効な量において且つ十分な時間にわたってグリカン調製物を投与することを含み、
i)グリカン調製物は、グルコース、ガラクトース、アラビノース、マンノース、フルクトース、キシロース、フコース又はラムノースグリカン単位を含むグリカンポリマーを含むか;
ii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの平均分岐度(DB)は、0、0.01~0.6、0.05~0.5、0.1~0.4又は0.15~0.4であるか;
iii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの少なくとも50%(少なくとも60%、65%、70%、75%、80%若しくは85%又は50%未満)は、少なくとも3~30未満のグリカン単位、少なくとも3~10未満のグリカン単位、少なくとも5~25未満のグリカン単位又は少なくとも10~35未満のグリカン単位の重合度(DP)を有するか;
iv)グリカン調製物の平均DP(平均DP)は、約5~8、約8~13、約13~25、約5~15、約5~20又は約5~15であるか;
v)グリカン調製物のグリカンポリマー中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比は、0又は約0.8:1~約5:1、約1:1~約5:1、約1:1~約3:1、約3:2~約2:1若しくは約3:2~約3:1であるか;
vi)グリカン調製物は、15mol%~75mol%(20mol%~60mol%、25mol%~50mol%又は30mol%~45mol%)の1,6グリコシド結合を含むか;
vii)グリカン調製物は、1mol%~40mol%(1mol%~30mol%、5mol%~25mol%、10mol%~20mol%)の、1,2グリコシド結合、1,3グリコシド結合及び1,4グリコシド結合のそれぞれ少なくとも1つ、2つ又は3つを含むか;
viii)グリカン調製物は、23℃で少なくとも約50(少なくとも約60、70、少なくとも約75又は50未満)Brixの水中最終溶解限度を有するか;
ix)グリカン調製物は、少なくとも50%(少なくとも60%、70%、80%若しくは少なくとも90%又は50%未満)の食物繊維含量を有するか;又は
x)i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)、vii)、viii)及びix)の2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ又は9つのいずれかの組み合わせである。いくつかの実施形態では、グリカン調製物は、実施例10で記載又は使用されるグリカン調製物である。
【0011】
別の態様では、本発明は、
i)グルコースグリカン単位;
ii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの平均分岐度(DB)は、0.05~0.25又は0.1~0.2であること;
iii)グリカン調製物のMWw(g/mol)は、約700~1200、約800~1100又は約850~1050であること;
iv)グリカン調製物のMWn(g/mol)は、約500~800、約550~750又は約600~700であること;
v)グリカン調製物のグリカンポリマー中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比は、約1:1~約1.5:1であること;
vi)グリカン調製物は、30mol%~60mol%、35mol%~55mol%又は40mol%~50mol%の1,6グリコシド結合を含むこと;
vii)グリカン調製物は、5mol%~30mol%、10mol%~25mol%又は15mol%~25mol%の、1,2グリコシド結合、1,3グリコシド結合及び1,4グリコシド結合のそれぞれを含むこと;
viii)グリカン調製物は、23℃で少なくとも約50、60又は少なくとも約70Brixの水中最終溶解限度を有すること;
ix)グリカン調製物は、少なくとも60%、70%又は少なくとも80%の食物繊維含有量を有すること;
x)グリカン調製物は、15%未満、10%未満又は5%未満のグルコースモノマー含有量を有すること;
xi)グリカン調製物は、少なくとも80%、85%、90%又は少なくとも約95%のDP2+含有量を有すること;
xii)グリカン調製物は、10~30、15~25又は16~24のデキストロース当量(DE)を有すること;
xiii)グリカン調製物は、1%~10%又は2%~6%のフラノース総含有量を有すること;又は
x)i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)、vii)、viii)、ix)、x)、xi)、xii)及びxiii)の2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ又は9つ、10、11、12又は13のいずれかの組み合わせ
を含む、グリカンポリマーを含むグリカン調製物を対象とする。いくつかの実施形態では、グリカン調製物は、実施例10で記載又は使用されるグリカン調製物(glu100)である。
【0012】
別の態様では、本発明は、
i)グルコース及びガラクトースグリカン単位;
ii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの平均分岐度(DB)は、0.05~0.25又は0.1~0.2であること;
iii)グリカン調製物のMWw(g/mol)は、約800~1300、約900~1200又は約950~1150であること;
iv)グリカン調製物のMWn(g/mol)は、約600~900、約650~850又は約700~850であること;
v)グリカン調製物のグリカンポリマー中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比は、約1:1~約2:1であること;
vi)グリカン調製物は、30mol%~60mol%、35mol%~55mol%又は40mol%~50mol%の1,6グリコシド結合を含むこと;
vii)グリカン調製物は、5mol%~35mol%、10mol%~30mol%又は15mol%~25mol%の1,2グリコシド結合、1,3グリコシド結合及び1,4グリコシド結合のそれぞれを含むこと;
viii)グリカン調製物は、23℃で少なくとも約50、60又は少なくとも約70Brixの水中最終溶解限度を有すること;
ix)グリカン調製物は、少なくとも60%、70%又は少なくとも80%の食物繊維含有量を有すること;
x)グリカン調製物は、15%未満、10%未満又は5%未満のグルコースモノマー含有量を有すること;
xi)グリカン調製物は、少なくとも80%、85%、90%又は少なくとも約95%のDP2+含有量を有すること;
xii)グリカン調製物は、5~40、10~30又は15~25のデキストロース当量(DE)を有すること;
xiii)グリカン調製物は、1%~25%、5%~25%又は15%~20%のフラノース総含有量を有すること;
x)i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)、vii)、viii)、ix)、x)、xi)、xii)及びxiii)の2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ又は9つ、10、11、12又は13のいずれかの組み合わせ
を含む、グリカンポリマーを含むグリカン調製物を対象とする。一実施形態では、グリカン調製物は、glu50gal50である。いくつかの実施形態では、グリカン調製物は、実施例10に記載されるように使用することができる。
【0013】
別の態様では、本発明は、対象、例えばヒト対象における肝性脳症(HE)を治療する方法を対象とし、方法は、HEを治療するのに有効な量において且つ十分な時間にわたってグリカン調製物を投与することを含み、
i)グリカン調製物は、グルコース、ガラクトース、アラビノース、マンノース、フルクトース、キシロース、フコース又はラムノースグリカン単位を含むグリカンポリマーを含み;
ii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの平均分岐度(DB)は、0、0.01~0.6、0.05~0.5、0.1~0.4又は0.15~0.4であり;
iii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの少なくとも50%(少なくとも60%、65%、70%、75%、80%若しくは85%又は50%未満)は、少なくとも3~30未満のグリカン単位、少なくとも3~10未満のグリカン単位、少なくとも5~25未満のグリカン単位又は少なくとも10~35未満のグリカン単位の重合度(DP)を有し;
iv)グリカン調製物の平均DP(平均DP)は、約5~8、約8~13、約13~25、約5~15、約5~20又は約5~15であり;
v)グリカン調製物のグリカンポリマー中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比は、0又は約0.8:1~約5:1、約1:1~約5:1、約1:1~約3:1、約3:2~約2:1若しくは約3:2~約3:1であり;
vi)グリカン調製物は、15mol%~75mol%(20mol%~60mol%、25mol%~50mol%又は30mol%~45mol%)の1,6グリコシド結合を含み;
vii)グリカン調製物は、1mol%~40mol%(1mol%~30mol%、5mol%~25mol%、10mol%~20mol%)の、1,2グリコシド結合、1,3グリコシド結合及び1,4グリコシド結合のそれぞれ少なくとも1つ、2つ又は3つを含み;
viii)グリカン調製物は、23℃で少なくとも約50(少なくとも約60、70、少なくとも約75又は50未満)Brixの水中最終溶解限度を有し;及び/又は
ix)グリカン調製物は、少なくとも50%(少なくとも60%、70%、80%若しくは少なくとも90%又は50%未満)の食物繊維含量を有し;
任意選択により、グリカン調製物は、i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)、vii)、viii)及びix)の選択された特性の2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ又は9つを含む。
【0014】
別の態様では、本発明は、対象、例えばヒト対象における尿素サイクル異常症(UCD)を治療する方法を対象とし、方法は、UCDを治療するのに有効な量において且つ十分な時間にわたってグリカン調製物を投与することを含み、
i)グルコース、ガラクトース、アラビノース、マンノース、フルクトース、キシロース、フコース又はラムノースグリカン単位を含むグリカンポリマーであり;
ii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの平均分岐度(DB)は、0.05~0.5であり;
iii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの少なくとも50%は、少なくとも3~30未満のグリカン単位の重合度(DP)を有し;
iv)グリカン調製物の平均DP(平均DP)は、約5~20であり;
v)グリカン調製物のグリカンポリマー中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比は、約0.8:1~約5:1であり;
vi)グリカン調製物は、15モル%~75モル%の1,6グリコシド結合を含み;
vii)グリカン調製物は、1モル%~30モル%の、1,2グリコシド結合、1,3グリコシド結合及び1,4グリコシド結合の少なくとも1つ、2つ又は3つを含み;
viii)グリカン調製物は、23℃で少なくとも約70Brixの水中最終溶解限度を有し;及び/又は
ix)グリカン調製物は、少なくとも70%の食物繊維含有量を有し;
任意選択により、グリカン調製物は、i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)、vii)、viii)及びix)の選択された特性の2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ又は9つを含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、UCDを有する対象にグリカン調製物を投与することにより、高アンモニア血症発症のリスク、重症度及び/又は頻度が低下する(例えば、グリカン調製物を投与されない対象(同一対象を含む)と比較した場合)。いくつかの実施形態では、対象は、低タンパク質又は他の補足食を摂取している。いくつかの実施形態では、対象は、グリセロールフェニル酪酸(例えば、Ravicti)(又は同様の窒素スカベンジャー療法)で同時に治療される。いくつかの実施形態では、対象は、低タンパク質又は他の補足食を摂取しており、且つグリセロールフェニル酪酸(例えば、Ravicti)(又は同様の窒素スカベンジャー療法)で同時に治療されている。いくつかの実施形態では、対象は、窒素スカベンジャー(例えば、グリセロールフェニル酪酸)による治療に応答しない。いくつかの実施形態では、対象は、乳児、小児又は若年成人である。いくつかの実施形態では、対象は、肝移植を(依然として)受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、尿素サイクル異常症(UCD)(例えば、カルバミルリン酸シンテターゼI(CPSI)欠乏症、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠乏症、アルギニノコハク酸シンテターゼ(ASS)欠乏症、アルギニノコハク酸リアーゼ(ASL)欠乏症、N-アセチルグルタミン酸シンテターゼ(NAGS)欠乏症又はアルギナーゼ欠乏症、オルニチントランスロカーゼ欠乏症(HHH)又はシトリン(CIT II)欠乏症を有する。いくつかの実施形態では、グリカン調製物を投与することを含むUCDの治療は、慢性的である(例えば、1年、5年、10年、20年、50年の期間又は一生の間)。
【0016】
別の態様では、本発明は、対象、例えばヒト対象における尿素サイクル異常症(UCD)を治療する方法を対象とし、方法は、UCDを治療するのに有効な量において且つ十分な時間にわたってグリカン調製物を投与することを含み、
i)グルコース、ガラクトース、アラビノース、マンノース、フルクトース、キシロース、フコース又はラムノースグリカン単位を含むグリカンポリマーであり;
ii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの平均分岐度(DB)は、0.05~0.5であり;
iii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの少なくとも50%は、少なくとも3~30未満のグリカン単位の重合度(DP)を有し;
iv)グリカン調製物の平均DP(平均DP)は、約5~15であり;
v)グリカン調製物のグリカンポリマー中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比は、約0.8:1~約5:1であり;
vi)グリカン調製物は、15モル%~75モル%の1,6グリコシド結合を含み;
vii)グリカン調製物は、1モル%~30モル%の、1,2グリコシド結合、1,3グリコシド結合及び1,4グリコシド結合の少なくとも1つ、2つ又は3つを含み;
viii)グリカン調製物は、23℃で少なくとも約70Brixの水中最終溶解限度を有し;及び/又は
ix)グリカン調製物は、少なくとも70%の食物繊維含有量を有し;
任意選択により、グリカン調製物は、i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)、vii)、viii)及びix)の選択された特性の2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ又は9つを含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、UCDを有する対象にグリカン調製物を投与することにより、高アンモニア血症発症のリスク、重症度及び/又は頻度が低下する(例えば、グリカン調製物を投与されない対象(同一対象を含む)と比較した場合)。いくつかの実施形態では、対象は、低タンパク質又は他の補足食を摂取している。いくつかの実施形態では、対象は、グリセロールフェニル酪酸(例えば、Ravicti)(又は同様の窒素スカベンジャー療法)で同時に治療される。いくつかの実施形態では、対象は、低タンパク質又は他の補足食を摂取しており、且つグリセロールフェニル酪酸(例えば、Ravicti)(又は同様の窒素スカベンジャー療法)で同時に治療されている。いくつかの実施形態では、対象は、窒素スカベンジャー(例えば、グリセロールフェニル酪酸)による治療に応答しない。いくつかの実施形態では、対象は、乳児、小児又は若年成人である。いくつかの実施形態では、対象は、肝移植を(依然として)受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、尿素サイクル異常症(UCD)(例えば、カルバミルリン酸シンテターゼI(CPSI)欠乏症、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠乏症、アルギニノコハク酸シンテターゼ(ASS)欠乏症、アルギニノコハク酸リアーゼ(ASL)欠乏症、N-アセチルグルタミン酸シンテターゼ(NAGS)欠乏症又はアルギナーゼ欠乏症、オルニチントランスロカーゼ欠乏症(HHH)又はシトリン(CIT II)欠乏症を有する。いくつかの実施形態では、グリカン調製物を投与することを含むUCDの治療は、慢性的である(例えば、1年、5年、10年、20年、50年の期間又は一生の間)。
【0018】
別の態様では、本発明は、対象、例えばヒト対象における尿素サイクル異常症(UCD)を治療する方法を対象とし、方法は、UCDを治療するのに有効な量において且つ十分な時間にわたってグリカン調製物を投与することを含み、
i)グルコース又はガラクトースグリカン単位を含むグリカンポリマーであり;
ii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの平均分岐度(DB)は、0.1~0.4であり;
iii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの少なくとも50%は、少なくとも3~10未満のグリカン単位の重合度(DP)を有し;
iv)グリカン調製物の平均DP(平均DP)は、約5~8であり;
v)グリカン調製物のグリカンポリマー中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比は、約1:1~約3:1であり;
vi)グリカン調製物は、20モル%~60モル%の1,6グリコシド結合を含み;
vii)グリカン調製物は、5モル%~25モル%の、1,2グリコシド結合、1,3グリコシド結合及び1,4グリコシド結合の少なくとも1つ、2つ又は3つを含み;
viii)グリカン調製物は、23℃で少なくとも約70Brixの水中最終溶解限度を有し;及び/又は
ix)グリカン調製物は、少なくとも70%の食物繊維含有量を有し;
任意選択により、グリカン調製物は、i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)、vii)、viii)及びix)の選択された特性の2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ又は9つを含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、UCDを有する対象にグリカン調製物を投与することにより、高アンモニア血症発症のリスク、重症度及び/又は頻度が低下する(例えば、グリカン調製物を投与されない対象(同一対象を含む)と比較した場合)。いくつかの実施形態では、対象は、低タンパク質又は他の補足食を摂取している。いくつかの実施形態では、対象は、グリセロールフェニル酪酸(例えば、Ravicti)(又は同様の窒素スカベンジャー療法)で同時に治療される。いくつかの実施形態では、対象は、低タンパク質又は他の補足食を摂取しており、且つグリセロールフェニル酪酸(例えば、Ravicti)(又は同様の窒素スカベンジャー療法)で同時に治療されている。いくつかの実施形態では、対象は、窒素スカベンジャー(例えば、グリセロールフェニル酪酸)による治療に応答しない。いくつかの実施形態では、対象は、乳児、小児又は若年成人である。いくつかの実施形態では、対象は、肝移植を(依然として)受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、尿素サイクル異常症(UCD)(例えば、カルバミルリン酸シンテターゼI(CPSI)欠乏症、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠乏症、アルギニノコハク酸シンテターゼ(ASS)欠乏症、アルギニノコハク酸リアーゼ(ASL)欠乏症、N-アセチルグルタミン酸シンテターゼ(NAGS)欠乏症又はアルギナーゼ欠乏症、オルニチントランスロカーゼ欠乏症(HHH)又はシトリン(CIT II)欠乏症を有する。いくつかの実施形態では、グリカン調製物を投与することを含むUCDの治療は、慢性的である(例えば、1年、5年、10年、20年、50年の期間又は一生の間)。
【0020】
別の態様では、本発明は、対象、例えばヒト対象における尿素サイクル異常症(UCD)を治療する方法を対象とし、方法は、UCDを治療するのに有効な量において且つ十分な時間にわたってグリカン調製物を投与することを含み、グリカン調製物は、
i)グルコース又はガラクトースグリカン単位を含むグリカンポリマー;
ii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの平均分岐度(DB)は、0.1~0.8(例えば、0.1~0.5又は0.1~0.6)であること;
iii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの少なくとも50%は、少なくとも3~30未満のグリカン単位の重合度(DP)を有すること;
iv)グリカン調製物の平均DP(平均DP)は、約DP3~約DP15(例えば、約DP5~約DP10、約DP5~約DP15、約DP4~約DP12又は約DP6~約DP12の平均DP)であること;
v)グリカン調製物のグリカンポリマー中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比は、約1:1~約4:1(例えば、約1:1~約2:1又は約1:1~約3:1)であること;
vi)約50%~約90%のアルファグリコシド結合(例えば、約55%~約75%又は約50%~約70%のアルファグリコシド結合)を含む調製物、
vii)約10%~約50%のベータグリコシド結合(例えば、約25%~約45%又は約30%~約50%のベータグリコシド結合)を含む調製物、
vii)グリカン調製物は、10~70モル%(例えば、30~60モル%)の1,6-グリコシド結合(例えば、キシロース、フコース及びアラビノース含有グリカンポリマー調製物:0~60モル%の1,6-グリコシド結合、例えば0モル%)を含むこと、
ix)グリカン調製物は、1~30モル%(例えば、3~30モル%)の1,2-グリコシド結合;1~30モル%(例えば、3~30モル%)の1,3-グリコシド結合及び1~30モル%(例えば、3~30モル%)の1,4-グリコシド結合を含むこと;
x)グリカン調製物は、23℃で少なくとも約70Brixの水中最終溶解限度を有すること;
xi)グリカン調製物は、少なくとも70%(方法AOAC 2009.01で測定)の食物繊維含有量を有すること;
xii)グリカン調製物は、約1~2.8(例えば、約1.1~約2.2)の多分散性(PD)を有すること;
xiii)グリカン調製物は、約1%~約50%(例えば、約5%~30%又は約1%~15%)のフラノース総含有量を有すること;又は
xiv)i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)、vii)、viii)、ix)、x)、xi)、xii)及びxiii)の2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12又は13のいずれかの組み合わせを含み、任意選択により、グリカン調製物は、医薬品グレードである(例えば、医薬品GMPの下で製造される)か;又はグリカンポリマー調製物は、食品グレードであり(例えば、食品GMPの下で製造される);さらに、任意選択により、グリカン調製物は、粉末(例えば、乾燥粉末)又はシロップである。いくつかの実施形態では、グリカンポリマーは、グルコースグリカン単位を含む。いくつかの実施形態では、グリカン調製物は、glu100である。いくつかの実施形態では、glu100グリカン調製物は、表5a及び5bに記載されているglu100の特性を有する。
【0021】
いくつかの実施形態では、グリカンポリマーは、グルコース及びガラクトースグリカン単位を含む。いくつかの実施形態では、グリカン調製物は、glu50gal50である。いくつかの実施形態では、glu50gal50グリカン調製物は、表5a及び5bに記載されているglu50gal50の特性を有する。
【0022】
いくつかの実施形態では、UCDを有する対象にグリカン調製物を投与することにより、高アンモニア血症発症のリスク、重症度及び/又は頻度が低下する(例えば、グリカン調製物を投与されない対象(同一対象を含む)と比較した場合)。いくつかの実施形態では、対象は、低タンパク質又は他の補足食を摂取している。いくつかの実施形態では、対象は、グリセロールフェニル酪酸(例えば、Ravicti)(又は同様の窒素スカベンジャー療法)で同時に治療される。いくつかの実施形態では、対象は、低タンパク質又は他の補足食を摂取しており、且つグリセロールフェニル酪酸(例えば、Ravicti)(又は同様の窒素スカベンジャー療法)で同時に治療されている。いくつかの実施形態では、対象は、窒素スカベンジャー(例えば、グリセロールフェニル酪酸)による治療に応答しない。いくつかの実施形態では、対象は、乳児、小児又は若年成人である。いくつかの実施形態では、対象は、肝移植を(依然として)受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、尿素サイクル異常症(UCD)(例えば、カルバミルリン酸シンテターゼI(CPSI)欠乏症、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠乏症、アルギニノコハク酸シンテターゼ(ASS)欠乏症、アルギニノコハク酸リアーゼ(ASL)欠乏症、N-アセチルグルタミン酸シンテターゼ(NAGS)欠乏症又はアルギナーゼ欠乏症、オルニチントランスロカーゼ欠乏症(HHH)又はシトリン(CIT II)欠乏症を有する。いくつかの実施形態では、グリカン調製物を投与することを含むUCDの治療は、慢性的である(例えば、1年、5年、10年、20年、50年の期間又は一生の間)。いくつかの実施形態では、グリカン調製物を投与することを含むUCDの治療は、慢性的である(例えば、1年、5年、10年、20年、50年の期間又は一生の間)。
【0023】
別の態様では、本発明は、対象、例えばヒト対象における尿素サイクル異常症(UCD)を治療する方法を対象とし、方法は、UCDを治療するのに有効な量において且つ十分な時間にわたってグリカン調製物を投与することを含み、グリカン調製物は、
i)グルコースグリカン単位を含むグリカンポリマー;
ii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの平均分岐度(DB)は、0.1~0.5であること;
iii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの少なくとも50%は、少なくとも3~30未満のグリカン単位の重合度(DP)を有すること;
iv)グリカン調製物の平均DP(平均DP)は、約DP4~約DP12(例えば、約DP5~約DP10)であること;
v)グリカン調製物のグリカンポリマー中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比は、約1:1~約2:1であること;
vi)約50%~約75%のアルファグリコシド結合を含む調製物、
vii)約25%~約50%のベータグリコシド結合を含む調製物、
vii)グリカン調製物は、30~70モル%の1,6グリコシド結合を含むこと;
ix)グリカン調製物は、1~30モル%の1,2-グリコシド結合;3~30モル%の1,3-グリコシド結合及び3~30モル%の1,4-グリコシド結合を含むこと;
x)グリカン調製物は、23℃で少なくとも約70Brixの水中最終溶解限度を有すること;
xi)グリカン調製物は、少なくとも70%(方法AOAC 2009.01で測定)の食物繊維含有量を有すること;
xii)グリカン調製物は、約1.1~約2.2の多分散性(PD)を有すること;
xiii)グリカン調製物は、約1%~約30%のフラノース総含有量を有すること;又は
xiv)i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)、vii)、viii)、ix)、x)、xi)、xii)及びxiii)の2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12又は13のいずれかの組み合わせを含み、任意選択により、グリカン調製物は、医薬品グレードである(例えば、医薬品GMPの下で製造される)か;又はグリカンポリマー調製物は、食品グレードであり(例えば、食品GMPの下で製造される);さらに、任意選択により、グリカン調製物は、粉末(例えば、乾燥粉末)又はシロップである。
【0024】
いくつかの実施形態では、UCDを有する対象にグリカン調製物を投与することにより、高アンモニア血症発症のリスク、重症度及び/又は頻度が低下する(例えば、グリカン調製物を投与されない対象(同一対象を含む)と比較した場合)。いくつかの実施形態では、対象は、低タンパク質又は他の補足食を摂取している。いくつかの実施形態では、対象は、グリセロールフェニル酪酸(例えば、Ravicti)(又は同様の窒素スカベンジャー療法)で同時に治療される。いくつかの実施形態では、対象は、低タンパク質又は他の補足食を摂取しており、且つグリセロールフェニル酪酸(例えば、Ravicti)(又は同様の窒素スカベンジャー療法)で同時に治療されている。いくつかの実施形態では、対象は、窒素スカベンジャー(例えば、グリセロールフェニル酪酸)による治療に応答しない。いくつかの実施形態では、対象は、乳児、小児又は若年成人である。いくつかの実施形態では、対象は、肝移植を(依然として)受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、尿素サイクル異常症(UCD)(例えば、カルバミルリン酸シンテターゼI(CPSI)欠乏症、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠乏症、アルギニノコハク酸シンテターゼ(ASS)欠乏症、アルギニノコハク酸リアーゼ(ASL)欠乏症、N-アセチルグルタミン酸シンテターゼ(NAGS)欠乏症又はアルギナーゼ欠乏症、オルニチントランスロカーゼ欠乏症(HHH)又はシトリン(CIT II)欠乏症を有する。いくつかの実施形態では、グリカン調製物を投与することを含むUCDの治療は、慢性的である(例えば、1年、5年、10年、20年、50年の期間又は一生の間)。
【0025】
別の態様では、本発明は、対象、例えばヒト対象における尿素サイクル異常症(UCD)を治療する方法を対象とし、方法は、UCDを治療するのに有効な量において且つ十分な時間にわたってグリカン調製物を投与することを含み、グリカン調製物は、
i)グルコース及びガラクトースグリカン単位を含むグリカンポリマー;
ii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの平均分岐度(DB)は、0.1~0.6であること;
iii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの少なくとも50%は、少なくとも3~30未満のグリカン単位の重合度(DP)を有すること;
iv)グリカン調製物の平均DP(平均DP)は、約DP5~約DP15(DP6~約DP12)であること;
v)グリカン調製物のグリカンポリマー中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比は、約1:1~約3:1であること;
vi)約55%~約75%を含む調製物、
vii)約25%~約45%のベータグリコシド結合を含む調製物、
vii)グリカン調製物は、10~70モル%の1,6グリコシド結合を含むこと;
ix)グリカン調製物は、1~30モル%の1,2-グリコシド結合;1~30モル%の1,3-グリコシド結合及び1~30モル%の1,4-グリコシド結合を含むこと;
x)グリカン調製物は、23℃で少なくとも約70Brixの水中最終溶解限度を有すること;
xi)グリカン調製物は、少なくとも70%(方法AOAC 2009.01で測定)の食物繊維含有量を有すること;
xii)グリカン調製物は、約1.1~約2.5の多分散性(PD)を有すること;
xiii)グリカン調製物は、約1%~約50%(例えば、約5%~30%)のフラノース総含有量を有すること;又は
xiv)i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)、vii)、viii)、ix)、x)、xi)、xii)及びxiii)の2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12又は13のいずれかの組み合わせを含み、任意選択により、グリカン調製物は、医薬品グレードである(例えば、医薬品GMPの下で製造される)か;又はグリカンポリマー調製物は、食品グレードであり(例えば、食品GMPの下で製造される);さらに、任意選択により、グリカン調製物は、粉末(例えば、乾燥粉末)又はシロップである。
【0026】
いくつかの実施形態では、UCDを有する対象にグリカン調製物を投与することにより、高アンモニア血症発症のリスク、重症度及び/又は頻度が低下する(例えば、グリカン調製物を投与されない対象(同一対象を含む)と比較した場合)。いくつかの実施形態では、対象は、低タンパク質又は他の補足食を摂取している。いくつかの実施形態では、対象は、グリセロールフェニル酪酸(例えば、Ravicti)(又は同様の窒素スカベンジャー療法)で同時に治療される。いくつかの実施形態では、対象は、低タンパク質又は他の補足食を摂取しており、且つグリセロールフェニル酪酸(例えば、Ravicti)(又は同様の窒素スカベンジャー療法)で同時に治療されている。いくつかの実施形態では、対象は、窒素スカベンジャー(例えば、グリセロールフェニル酪酸)による治療に応答しない。いくつかの実施形態では、対象は、乳児、小児又は若年成人である。いくつかの実施形態では、対象は、肝移植を(依然として)受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、尿素サイクル異常症(UCD)(例えば、カルバミルリン酸シンテターゼI(CPSI)欠乏症、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠乏症、アルギニノコハク酸シンテターゼ(ASS)欠乏症、アルギニノコハク酸リアーゼ(ASL)欠乏症、N-アセチルグルタミン酸シンテターゼ(NAGS)欠乏症又はアルギナーゼ欠乏症、オルニチントランスロカーゼ欠乏症(HHH)又はシトリン(CIT II)欠乏症を有する。いくつかの実施形態では、グリカン調製物を投与することを含むUCDの治療は、慢性的である(例えば、1年、5年、10年、20年、50年の期間又は一生の間)。
【0027】
別の態様では、本発明は、対象、例えばヒト対象における尿素サイクル異常症(UCD)を治療する方法を対象とし、方法は、UCDを治療するのに有効な量において且つ十分な時間にわたってグリカン調製物を投与することを含み、グリカン調製物は、
i)グルコースグリカン単位を含むグリカンポリマー;
ii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの平均分岐度(DB)は、0.1~0.4であること;
iii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの45%~55%は、少なくとも3~10未満のグリカン単位以下の重合度(DP)を有すること;
iv)グリカン調製物の平均DP(平均DP)は、約5~8であること;
v)グリカン調製物のグリカンポリマー中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比は、約1:1~約1.5:1であること;
vi)グリカン調製物は、20モル%~60モル%の1,6グリコシド結合を含むこと;
vii)グリカン調製物は、5モル%~25モル%の、1,2グリコシド結合、1,3グリコシド結合及び1,4グリコシド結合の少なくとも1つ、2つ又は3つを含むこと;
viii)グリカン調製物は、23℃で少なくとも約70Brixの水中最終溶解限度を有すること;及び/又は
ix)グリカン調製物は、少なくとも70%の食物繊維含有量を有すること
を含み、任意選択により、グリカン調製物は、i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)、vii)、viii)及びix)の選択された特性の2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ又は9つを含み;任意選択により、グリカン調製物は、医薬品グレードである(例えば、医薬品GMPの下で製造される)か;又はグリカンポリマー調製物は、食品グレードであり(例えば、食品GMPの下で製造される);さらに、任意選択により、グリカン調製物は、粉末(例えば、乾燥粉末)又はシロップである。
【0028】
いくつかの実施形態では、UCDを有する対象にグリカン調製物を投与することにより、高アンモニア血症発症のリスク、重症度及び/又は頻度が低下する(例えば、グリカン調製物を投与されない対象(同一対象を含む)と比較した場合)。いくつかの実施形態では、対象は、低タンパク質又は他の補足食を摂取している。いくつかの実施形態では、対象は、グリセロールフェニル酪酸(例えば、Ravicti)(又は同様の窒素スカベンジャー療法)で同時に治療される。いくつかの実施形態では、対象は、低タンパク質又は他の補足食を摂取しており、且つグリセロールフェニル酪酸(例えば、Ravicti)(又は同様の窒素スカベンジャー療法)で同時に治療されている。いくつかの実施形態では、対象は、窒素スカベンジャー(例えば、グリセロールフェニル酪酸)による治療に応答しない。いくつかの実施形態では、対象は、乳児、小児又は若年成人である。いくつかの実施形態では、対象は、肝移植を(依然として)受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、尿素サイクル異常症(UCD)(例えば、カルバミルリン酸シンテターゼI(CPSI)欠乏症、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠乏症、アルギニノコハク酸シンテターゼ(ASS)欠乏症、アルギニノコハク酸リアーゼ(ASL)欠乏症、N-アセチルグルタミン酸シンテターゼ(NAGS)欠乏症又はアルギナーゼ欠乏症、オルニチントランスロカーゼ欠乏症(HHH)又はシトリン(CIT II)欠乏症を有する。いくつかの実施形態では、グリカン調製物を投与することを含むUCDの治療は、慢性的である(例えば、1年、5年、10年、20年、50年の期間又は一生の間)。
【0029】
別の態様では、本発明は、対象、例えばヒト対象における尿素サイクル異常症(UCD)を治療する方法を対象とし、方法は、UCDを治療するのに有効な量において且つ十分な時間にわたってグリカン調製物を投与することを含み、グリカン調製物は、
i)グルコース及びガラクトースグリカン単位を含むグリカンポリマー;
ii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの平均分岐度(DB)は、0.1~0.4であること;
iii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの45%~55%は、少なくとも3~10以下のグリカン単位の重合度(DP)を有すること;
iv)グリカン調製物の平均DP(平均DP)は、約5~8であること;
v)グリカン調製物のグリカンポリマー中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比は、約2:1~約3:1であること;
vi)グリカン調製物は、20モル%~60モル%の1,6グリコシド結合を含むこと;
vii)グリカン調製物は、5モル%~25モル%の、1,2グリコシド結合、1,3グリコシド結合及び1,4グリコシド結合の少なくとも1つ、2つ又は3つを含むこと;
viii)グリカン調製物は、23℃で少なくとも約70Brixの水中最終溶解限度を有すること;及び/又は
ix)グリカン調製物は、少なくとも70%の食物繊維含有量を有すること
を含み、任意選択により、グリカン調製物は、i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)、vii)、viii)及びix)の選択された特性の2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ又は9つを含み;任意選択により、グリカン調製物は、医薬品グレードである(例えば、医薬品GMPの下で製造される)か;又はグリカンポリマー調製物は、食品グレードであり(例えば、食品GMPの下で製造される);さらに、任意選択により、グリカン調製物は、粉末(例えば、乾燥粉末)又はシロップである。
【0030】
いくつかの実施形態では、UCDを有する対象にグリカン調製物を投与することにより、高アンモニア血症発症のリスク、重症度及び/又は頻度が低下する(例えば、グリカン調製物を投与されない対象(同一対象を含む)と比較した場合)。いくつかの実施形態では、対象は、低タンパク質又は他の補足食を摂取している。いくつかの実施形態では、対象は、グリセロールフェニル酪酸(例えば、Ravicti)(又は同様の窒素スカベンジャー療法)で同時に治療される。いくつかの実施形態では、対象は、低タンパク質又は他の補足食を摂取しており、且つグリセロールフェニル酪酸(例えば、Ravicti)(又は同様の窒素スカベンジャー療法)で同時に治療されている。いくつかの実施形態では、対象は、窒素スカベンジャー(例えば、グリセロールフェニル酪酸)による治療に応答しない。いくつかの実施形態では、対象は、乳児、小児又は若年成人である。いくつかの実施形態では、対象は、肝移植を(依然として)受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、尿素サイクル異常症(UCD)(例えば、カルバミルリン酸シンテターゼI(CPSI)欠乏症、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠乏症、アルギニノコハク酸シンテターゼ(ASS)欠乏症、アルギニノコハク酸リアーゼ(ASL)欠乏症、N-アセチルグルタミン酸シンテターゼ(NAGS)欠乏症又はアルギナーゼ欠乏症、オルニチントランスロカーゼ欠乏症(HHH)又はシトリン(CIT II)欠乏症を有する。いくつかの実施形態では、グリカン調製物を投与することを含むUCDの治療は、慢性的である(例えば、1年、5年、10年、20年、50年の期間又は一生の間)。
【0031】
別の態様では、本発明は、対象、例えばヒト対象における肝性脳症(HE)を治療する方法を対象とし、方法は、HEを治療するのに有効な量において且つ十分な時間にわたってグリカン調製物を投与することを含み、
i)グルコース、ガラクトース、アラビノース、マンノース、フルクトース、キシロース、フコース又はラムノースグリカン単位を含むグリカンポリマーであり;
ii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの平均分岐度(DB)は、0.05~0.5であり;
iii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの少なくとも50%は、少なくとも3~30未満のグリカン単位の重合度(DP)を有し;
iv)グリカン調製物の平均DP(平均DP)は、約5~20であり;
v)グリカン調製物のグリカンポリマー中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比は、約0.8:1~約5:1であり;
vi)グリカン調製物は、15モル%~75モル%の1,6グリコシド結合を含み;
vii)グリカン調製物は、1モル%~30モル%の、1,2グリコシド結合、1,3グリコシド結合及び1,4グリコシド結合の少なくとも1つ、2つ又は3つを含み;
viii)グリカン調製物は、23℃で少なくとも約70Brixの水中最終溶解限度を有し;及び/又は
ix)グリカン調製物は、少なくとも70%の食物繊維含有量を有するか;又は
任意選択により、グリカン調製物は、i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)、vii)、viii)及びix)の選択された特性の2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ又は9つを含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、HEを有する対象にグリカン調製物を投与することにより、例えばグリカン調製物を投与されない対象(同一対象を含む)と比較した場合のHEのリスク及び/又は再発(例えば、HEの重症度及び/又は頻度)が低下する。いくつかの実施形態では、対象は、ラクツロースで同時に治療される。いくつかの実施形態では、対象は、リファキシミンで同時に治療される。いくつかの実施形態では、対象は、グリカン調製物を投与する前にラクツロースで治療されている。いくつかの実施形態では、対象は、グリカン調製物を投与する前にリファキシミンで治療されている。いくつかの実施形態では、対象は、グリカン調製物を投与する前にラクツロース及びリファキシミンで治療されている。いくつかの実施形態では、対象は、顕性の肝性脳症(OHE)を有するか又は有するとして診断されている。いくつかの実施形態では、対象は、(例えば、グリカン調製物を投与する前に)HEについて(依然として)治療されていない。いくつかの実施形態では、対象は、ミニマル肝性脳症(MHE)を有し、いくつかの実施形態では、対象は、(例えば、OHE症状について)主に無症候性である。いくつかの実施形態では、高アンモニア血症を有する対象は、肝性脳症(HE)に罹患している。いくつかの実施形態では、高アンモニア血症は、少なくとも部分的に、アルコール及び/又はアルコール性肝硬変、自己免疫性肝炎、慢性B型肝炎又は慢性C型肝炎、脂肪肝、C型肝炎、C型肝炎及びアルコール、鉄過剰及び脂肪症、非アルコール性脂肪性肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎及びB型肝炎又は原発性胆汁性肝硬変によって引き起こされるか又はそれに関連している。いくつかの実施形態では、高アンモニア血症を有する対象は、ラクツロース又はリファキシミンで以前に治療されているか又はそれを投与されている。いくつかの実施形態では、対象は、成人(例えば、20~64歳)又は高齢者(例えば、65歳以上)である。いくつかの実施形態では、グリカン調製物を投与することを含むHEの治療は、慢性的である(例えば、1年、5年、10年、20年、50年の期間又は一生の間)。いくつかの実施形態では、HEは、顕性の肝性脳症(OHE)である。いくつかの実施形態では、HEは、ミニマル肝性脳症(MHE)である。いくつかの実施形態では、グリカン調製物は、実施例10に記載されるように使用することができる。
【0033】
別の態様では、本発明は、対象、例えばヒト対象における肝性脳症(HE)を治療する方法を対象とし、方法は、HEを治療するのに有効な量において且つ十分な時間にわたってグリカン調製物を投与することを含み、
i)グルコース、ガラクトース、アラビノース、マンノース、フルクトース、キシロース、フコース又はラムノースグリカン単位を含むグリカンポリマーであり;
ii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの平均分岐度(DB)は、0.05~0.5であり;
iii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの少なくとも50%は、少なくとも3~30未満のグリカン単位の重合度(DP)を有し;
iv)グリカン調製物の平均DP(平均DP)は、約5~15であり;
v)グリカン調製物のグリカンポリマー中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比は、約0.8:1~約5:1であり;
vi)グリカン調製物は、15モル%~75モル%の1,6グリコシド結合を含み;
vii)グリカン調製物は、1モル%~30モル%の、1,2グリコシド結合、1,3グリコシド結合及び1,4グリコシド結合の少なくとも1つ、2つ又は3つを含み;
viii)グリカン調製物は、23℃で少なくとも約70Brixの水中最終溶解限度を有し;及び/又は
ix)グリカン調製物は、少なくとも70%の食物繊維含有量を有し;
任意選択により、グリカン調製物は、i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)、vii)、viii)及びix)の選択された特性の2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ又は9つを含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、HEを有する対象にグリカン調製物を投与することにより、例えばグリカン調製物を投与されない対象(同一対象を含む)と比較した場合のHEのリスク及び/又は再発(例えば、HEの重症度及び/又は頻度)が低下する。いくつかの実施形態では、対象は、ラクツロースで同時に治療される。いくつかの実施形態では、対象は、リファキシミンで同時に治療される。いくつかの実施形態では、対象は、グリカン調製物を投与する前にラクツロースで治療されている。いくつかの実施形態では、対象は、グリカン調製物を投与する前にリファキシミンで治療されている。いくつかの実施形態では、対象は、グリカン調製物を投与する前にラクツロース及びリファキシミンで治療されている。いくつかの実施形態では、対象は、顕性の肝性脳症(OHE)を有するか又は有するとして診断されている。いくつかの実施形態では、対象は、(例えば、グリカン調製物を投与する前に)HEについて(依然として)治療されていない。いくつかの実施形態では、対象は、ミニマル肝性脳症(MHE)を有し、いくつかの実施形態では、対象は、(例えば、OHE症状について)主に無症候性である。いくつかの実施形態では、高アンモニア血症を有する対象は、肝性脳症(HE)に罹患している。いくつかの実施形態では、高アンモニア血症は、少なくとも部分的に、アルコール及び/又はアルコール性肝硬変、自己免疫性肝炎、慢性B型肝炎又は慢性C型肝炎、脂肪肝、C型肝炎、C型肝炎及びアルコール、鉄過剰及び脂肪症、非アルコール性脂肪性肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎及びB型肝炎又は原発性胆汁性肝硬変によって引き起こされるか又はそれに関連している。いくつかの実施形態では、高アンモニア血症を有する対象は、ラクツロース又はリファキシミンで以前に治療されているか又はそれを投与されている。いくつかの実施形態では、対象は、成人(例えば、20~64歳)又は高齢者(例えば、65歳以上)である。いくつかの実施形態では、グリカン調製物を投与することを含むHEの治療は、慢性的である(例えば、1年、5年、10年、20年、50年の期間又は一生の間)。いくつかの実施形態では、HEは、顕性の肝性脳症(OHE)である。いくつかの実施形態では、HEは、ミニマル肝性脳症(MHE)である。いくつかの実施形態では、グリカン調製物は、実施例10に記載されるように使用することができる。
【0035】
別の態様では、本発明は、対象、例えばヒト対象における肝性脳症(HE)を治療する方法を対象とし、方法は、HEを治療するのに有効な量において且つ十分な時間にわたってグリカン調製物を投与することを含み、
i)グルコース又はガラクトースグリカン単位を含むグリカンポリマーであり;
ii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの平均分岐度(DB)は、0.1~0.4であり;
iii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの少なくとも50%は、少なくとも3~10未満のグリカン単位の重合度(DP)を有し;
iv)グリカン調製物の平均DP(平均DP)は、約5~8であり;
v)グリカン調製物のグリカンポリマー中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比は、約1:1~約3:1であり;
vi)グリカン調製物は、20モル%~60モル%の1,6グリコシド結合を含み;
vii)グリカン調製物は、5モル%~25モル%の、1,2グリコシド結合、1,3グリコシド結合及び1,4グリコシド結合の少なくとも1つ、2つ又は3つを含み;
viii)グリカン調製物は、23℃で少なくとも約70Brixの水中最終溶解限度を有し;及び/又は
ix)グリカン調製物は、少なくとも70%の食物繊維含有量を有するか;又は
任意選択により、グリカン調製物は、i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)、vii)、viii)及びix)の選択された特性の2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ又は9つを含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、HEを有する対象にグリカン調製物を投与することにより、例えばグリカン調製物を投与されない対象(同一対象を含む)と比較した場合のHEのリスク及び/又は再発(例えば、HEの重症度及び/又は頻度)が低下する。いくつかの実施形態では、対象は、ラクツロースで同時に治療される。いくつかの実施形態では、対象は、リファキシミンで同時に治療される。いくつかの実施形態では、対象は、グリカン調製物を投与する前にラクツロースで治療されている。いくつかの実施形態では、対象は、グリカン調製物を投与する前にリファキシミンで治療されている。いくつかの実施形態では、対象は、グリカン調製物を投与する前にラクツロース及びリファキシミンで治療されている。いくつかの実施形態では、対象は、顕性の肝性脳症(OHE)を有するか又は有するとして診断されている。いくつかの実施形態では、対象は、(例えば、グリカン調製物を投与する前に)HEについて(依然として)治療されていない。いくつかの実施形態では、対象は、ミニマル肝性脳症(MHE)を有し、いくつかの実施形態では、対象は、(例えば、OHE症状について)主に無症候性である。いくつかの実施形態では、高アンモニア血症を有する対象は、肝性脳症(HE)に罹患している。いくつかの実施形態では、高アンモニア血症は、少なくとも部分的に、アルコール及び/又はアルコール性肝硬変、自己免疫性肝炎、慢性B型肝炎又は慢性C型肝炎、脂肪肝、C型肝炎、C型肝炎及びアルコール、鉄過剰及び脂肪症、非アルコール性脂肪性肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎及びB型肝炎又は原発性胆汁性肝硬変によって引き起こされるか又はそれに関連している。いくつかの実施形態では、高アンモニア血症を有する対象は、ラクツロース又はリファキシミンで以前に治療されているか又はそれを投与されている。いくつかの実施形態では、対象は、成人(例えば、20~64歳)又は高齢者(例えば、65歳以上)である。いくつかの実施形態では、グリカン調製物を投与することを含むHEの治療は、慢性的である(例えば、1年、5年、10年、20年、50年の期間又は一生の間)。いくつかの実施形態では、HEは、顕性の肝性脳症(OHE)である。いくつかの実施形態では、HEは、ミニマル肝性脳症(MHE)である。いくつかの実施形態では、グリカン調製物は、実施例10に記載されるように使用することができる。
【0037】
別の態様では、本発明は、対象、例えばヒト対象における肝性脳症(HE)を治療する方法を対象とし、方法は、HEを治療するのに有効な量において且つ十分な時間にわたってグリカン調製物を投与することを含み、グリカン調製物は、
i)グルコース、ガラクトース、マンノース、ラムノース、フコース、キシロース又はアラビノースグリカン単位を含むグリカンポリマー;
ii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの平均分岐度(DB)は、0.1~0.8(例えば、0.1~0.5又は0.1~0.6)であること;
iii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの少なくとも50%は、少なくとも3~30未満のグリカン単位の重合度(DP)を有すること;
iv)グリカン調製物の平均DP(平均DP)は、約DP3~約DP15(例えば、約DP5~約DP10、約DP5~約DP15、約DP4~約DP12又は約DP6~約DP12の平均DP)であること;
v)グリカン調製物のグリカンポリマー中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比は、約1:1~約4:1(例えば、約1:1~約2:1又は約1:1~約3:1)であること;
vi)約50%~約90%のアルファグリコシド結合(例えば、約55%~約75%又は約50%~約70%のアルファグリコシド結合)を含む調製物、
vii)約10%~約50%のベータグリコシド結合(例えば、約25%~約45%又は約30%~約50%のベータグリコシド結合)を含む調製物、
vi)グリカン調製物は、10~70モル%(例えば、30~60モル%)の1,6-グリコシド結合(例えば、キシロース、フコース及びアラビノース含有グリカンポリマー調製物:0~60モル%の1,6-グリコシド結合、例えば0モル%)を含むこと、
ix)グリカン調製物は、1~30モル%(例えば、3~30モル%)の1,2-グリコシド結合;1~30モル%(例えば、3~30モル%)の1,3-グリコシド結合及び1~30モル%(例えば、3~30モル%)の1,4-グリコシド結合を含むこと;
x)グリカン調製物は、23℃で少なくとも約70Brixの水中最終溶解限度を有すること;
xi)グリカン調製物は、少なくとも70%(方法AOAC 2009.01で測定)の食物繊維含有量を有すること;
xii)グリカン調製物は、約1~2.8(例えば、約1.1~約2.2)の多分散性(PD)を有すること;
xiii)グリカン調製物は、約1%~約50%(例えば、約5%~30%又は約1%~15%)のフラノース総含有量を有すること;又は
xiv)i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)、vii)、viii)、ix)、x)、xi)、xii)及びxiii)の2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12又は13のいずれかの組み合わせを含み、任意選択により、グリカン調製物は、医薬品グレードである(例えば、医薬品GMPの下で製造される)か;又はグリカンポリマー調製物は、食品グレードであり(例えば、食品GMPの下で製造される);さらに、任意選択により、グリカン調製物は、粉末(例えば、乾燥粉末)又はシロップである。いくつかの実施形態では、グリカンポリマーは、グルコースグリカン単位を含む。いくつかの実施形態では、グリカン調製物は、glu100である。いくつかの実施形態では、glu100グリカン調製物は、表5a及び5bに記載されているglu100の特性を有する。
【0038】
いくつかの実施形態では、グリカンポリマーは、グルコース及びガラクトースグリカン単位を含む。いくつかの実施形態では、グリカン調製物は、glu50gal50である。いくつかの実施形態では、glu50gal50グリカン調製物は、表5a及び5bに記載されているglu50gal50の特性を有する。
【0039】
いくつかの実施形態では、HEを有する対象にグリカン調製物を投与することにより、例えばグリカン調製物を投与されない対象(同一対象を含む)と比較した場合のHEのリスク及び/又は再発(例えば、HEの重症度及び/又は頻度)が低下する。いくつかの実施形態では、対象は、ラクツロースで同時に治療される。いくつかの実施形態では、対象は、リファキシミンで同時に治療される。いくつかの実施形態では、対象は、グリカン調製物を投与する前にラクツロースで治療されている。いくつかの実施形態では、対象は、グリカン調製物を投与する前にリファキシミンで治療されている。いくつかの実施形態では、対象は、グリカン調製物を投与する前にラクツロース及びリファキシミンで治療されている。いくつかの実施形態では、対象は、顕性の肝性脳症(OHE)を有するか又は有するとして診断されている。いくつかの実施形態では、対象は、(例えば、グリカン調製物を投与する前に)HEについて(依然として)治療されていない。いくつかの実施形態では、対象は、ミニマル肝性脳症(MHE)を有し、いくつかの実施形態では、対象は、(例えば、OHE症状について)主に無症候性である。いくつかの実施形態では、高アンモニア血症を有する対象は、肝性脳症(HE)に罹患している。いくつかの実施形態では、高アンモニア血症は、少なくとも部分的に、アルコール及び/又はアルコール性肝硬変、自己免疫性肝炎、慢性B型肝炎又は慢性C型肝炎、脂肪肝、C型肝炎、C型肝炎及びアルコール、鉄過剰及び脂肪症、非アルコール性脂肪性肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎及びB型肝炎又は原発性胆汁性肝硬変によって引き起こされるか又はそれに関連している。いくつかの実施形態では、高アンモニア血症を有する対象は、ラクツロース又はリファキシミンで以前に治療されているか又はそれを投与されている。いくつかの実施形態では、対象は、成人(例えば、20~64歳)又は高齢者(例えば、65歳以上)である。いくつかの実施形態では、グリカン調製物を投与することを含むHEの治療は、慢性的である(例えば、1年、5年、10年、20年、50年の期間又は一生の間)。いくつかの実施形態では、HEは、顕性の肝性脳症(OHE)である。いくつかの実施形態では、HEは、ミニマル肝性脳症(MHE)である。いくつかの実施形態では、グリカン調製物は、実施例10に記載されるように使用することができる。
【0040】
別の態様では、本発明は、対象、例えばヒト対象における肝性脳症(HE)を治療する方法を対象とし、方法は、HEを治療するのに有効な量において且つ十分な時間にわたってグリカン調製物を投与することを含み、グリカン調製物は、
i)グルコースグリカン単位を含むグリカンポリマー;
ii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの平均分岐度(DB)は、0.1~0.5であること;
iii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの少なくとも50%は、少なくとも3~30未満のグリカン単位の重合度(DP)を有すること;
iv)グリカン調製物の平均DP(平均DP)は、約DP4~約DP12(例えば、約DP5~約DP10)であること;
v)グリカン調製物のグリカンポリマー中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比は、約1:1~約2:1であること;
vi)約50%~約75%のアルファグリコシド結合を含む調製物、
vii)約25%~約50%のベータグリコシド結合を含む調製物、
vii)グリカン調製物は、30~70モル%の1,6グリコシド結合を含むこと;
ix)グリカン調製物は、1~30モル%の1,2-グリコシド結合;3~30モル%の1,3-グリコシド結合及び3~30モル%の1,4-グリコシド結合を含むこと;
x)グリカン調製物は、23℃で少なくとも約70Brixの水中最終溶解限度を有すること;
xi)グリカン調製物は、少なくとも70%(方法AOAC 2009.01で測定)の食物繊維含有量を有すること;
xii)グリカン調製物は、約1.1~約2.2の多分散性(PD)を有すること;
xiii)グリカン調製物は、約1%~約30%のフラノース総含有量を有すること;又は
xiv)i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)、vii)、viii)、ix)、x)、xi)、xii)及びxiii)の2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12又は13のいずれかの組み合わせを含み、任意選択により、グリカン調製物は、医薬品グレードである(例えば、医薬品GMPの下で製造される)か;又はグリカンポリマー調製物は、食品グレードであり(例えば、食品GMPの下で製造される);さらに、任意選択により、グリカン調製物は、粉末(例えば、乾燥粉末)又はシロップである。
【0041】
いくつかの実施形態では、HEを有する対象にグリカン調製物を投与することにより、例えばグリカン調製物を投与されない対象(同一対象を含む)と比較した場合のHEのリスク及び/又は再発(例えば、HEの重症度及び/又は頻度)が低下する。いくつかの実施形態では、対象は、ラクツロースで同時に治療される。いくつかの実施形態では、対象は、リファキシミンで同時に治療される。いくつかの実施形態では、対象は、グリカン調製物を投与する前にラクツロースで治療されている。いくつかの実施形態では、対象は、グリカン調製物を投与する前にリファキシミンで治療されている。いくつかの実施形態では、対象は、グリカン調製物を投与する前にラクツロース及びリファキシミンで治療されている。いくつかの実施形態では、対象は、顕性の肝性脳症(OHE)を有するか又は有するとして診断されている。いくつかの実施形態では、対象は、(例えば、グリカン調製物を投与する前に)HEについて(依然として)治療されていない。いくつかの実施形態では、対象は、ミニマル肝性脳症(MHE)を有し、いくつかの実施形態では、対象は、(例えば、OHE症状について)主に無症候性である。いくつかの実施形態では、高アンモニア血症を有する対象は、肝性脳症(HE)に罹患している。いくつかの実施形態では、高アンモニア血症は、少なくとも部分的に、アルコール及び/又はアルコール性肝硬変、自己免疫性肝炎、慢性B型肝炎又は慢性C型肝炎、脂肪肝、C型肝炎、C型肝炎及びアルコール、鉄過剰及び脂肪症、非アルコール性脂肪性肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎及びB型肝炎又は原発性胆汁性肝硬変によって引き起こされるか又はそれに関連している。いくつかの実施形態では、高アンモニア血症を有する対象は、ラクツロース又はリファキシミンで以前に治療されているか又はそれを投与されている。いくつかの実施形態では、対象は、成人(例えば、20~64歳)又は高齢者(例えば、65歳以上)である。いくつかの実施形態では、グリカン調製物を投与することを含むHEの治療は、慢性的である(例えば、1年、5年、10年、20年、50年の期間又は一生の間)。いくつかの実施形態では、HEは、顕性の肝性脳症(OHE)である。いくつかの実施形態では、HEは、ミニマル肝性脳症(MHE)である。一実施形態では、グリカン調製物は、glu100である。いくつかの実施形態では、グリカン調製物は、実施例10に記載されるように使用することができる。
【0042】
別の態様では、本発明は、対象、例えばヒト対象における肝性脳症(HE)を治療する方法を対象とし、方法は、HEを治療するのに有効な量において且つ十分な時間にわたってグリカン調製物を投与することを含み、グリカン調製物は、
i)グルコース及びガラクツロースグリカン単位を含むグリカンポリマー;
ii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの平均分岐度(DB)は、0.1~0.6であること;
iii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの少なくとも50%は、少なくとも3~30未満のグリカン単位の重合度(DP)を有すること;
iv)グリカン調製物の平均DP(平均DP)は、約DP5~約DP15(DP6~約DP12)であること;
v)グリカン調製物のグリカンポリマー中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比は、約1:1~約3:1であること;
vi)約55%~約75%を含む調製物、
vii)約25%~約45%のベータグリコシド結合を含む調製物、
vii)グリカン調製物は、10~70モル%の1,6グリコシド結合を含むこと;
ix)グリカン調製物は、1~30モル%の1,2-グリコシド結合;1~30モル%の1,3-グリコシド結合及び1~30モル%の1,4-グリコシド結合を含むこと;
x)グリカン調製物は、23℃で少なくとも約70Brixの水中最終溶解限度を有すること;
xi)グリカン調製物は、少なくとも70%(方法AOAC 2009.01で測定)の食物繊維含有量を有すること;
xii)グリカン調製物は、約1.1~約2.5の多分散性(PD)を有すること;
xiii)グリカン調製物は、約1%~約50%(例えば、約5%~30%)のフラノース総含有量を有すること;又は
xiv)i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)、vii)、viii)、ix)、x)、xi)、xii)及びxiii)の2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12又は13のいずれかの組み合わせを含み、任意選択により、グリカン調製物は、医薬品グレードである(例えば、医薬品GMPの下で製造される)か;又はグリカンポリマー調製物は、食品グレードであり(例えば、食品GMPの下で製造される);さらに、任意選択により、グリカン調製物は、粉末(例えば、乾燥粉末)又はシロップである。
【0043】
いくつかの実施形態では、HEを有する対象にグリカン調製物を投与することにより、例えばグリカン調製物を投与されない対象(同一対象を含む)と比較した場合のHEのリスク及び/又は再発(例えば、HEの重症度及び/又は頻度)が低下する。いくつかの実施形態では、対象は、ラクツロースで同時に治療される。いくつかの実施形態では、対象は、リファキシミンで同時に治療される。いくつかの実施形態では、対象は、グリカン調製物を投与する前にラクツロースで治療されている。いくつかの実施形態では、対象は、グリカン調製物を投与する前にリファキシミンで治療されている。いくつかの実施形態では、対象は、グリカン調製物を投与する前にラクツロース及びリファキシミンで治療されている。いくつかの実施形態では、対象は、顕性の肝性脳症(OHE)を有するか又は有するとして診断されている。いくつかの実施形態では、対象は、(例えば、グリカン調製物を投与する前に)HEについて(依然として)治療されていない。いくつかの実施形態では、対象は、ミニマル肝性脳症(MHE)を有し、いくつかの実施形態では、対象は、(例えば、OHE症状について)主に無症候性である。いくつかの実施形態では、高アンモニア血症を有する対象は、肝性脳症(HE)に罹患している。いくつかの実施形態では、高アンモニア血症は、少なくとも部分的に、アルコール及び/又はアルコール性肝硬変、自己免疫性肝炎、慢性B型肝炎又は慢性C型肝炎、脂肪肝、C型肝炎、C型肝炎及びアルコール、鉄過剰及び脂肪症、非アルコール性脂肪性肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎及びB型肝炎又は原発性胆汁性肝硬変によって引き起こされるか又はそれに関連している。いくつかの実施形態では、高アンモニア血症を有する対象は、ラクツロース又はリファキシミンで以前に治療されているか又はそれを投与されている。いくつかの実施形態では、対象は、成人(例えば、20~64歳)又は高齢者(例えば、65歳以上)である。いくつかの実施形態では、グリカン調製物を投与することを含むHEの治療は、慢性的である(例えば、1年、5年、10年、20年、50年の期間又は一生の間)。いくつかの実施形態では、HEは、顕性の肝性脳症(OHE)である。いくつかの実施形態では、HEは、ミニマル肝性脳症(MHE)である。一実施形態では、グリカン調製物は、glu50gal50である。いくつかの実施形態では、グリカン調製物は、実施例10に記載されるように使用することができる。
【0044】
別の態様では、本発明は、対象、例えばヒト対象における肝性脳症(HE)を治療する方法を対象とし、方法は、HEを治療するのに有効な量において且つ十分な時間にわたってグリカン調製物を投与することを含み、グリカン調製物は、
i)グルコースグリカン単位を含むグリカンポリマー;
ii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの平均分岐度(DB)は、0.1~0.4であること;
iii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの45%~55%は、少なくとも3~10以下のグリカン単位の重合度(DP)を有すること;
iv)グリカン調製物の平均DP(平均DP)は、約5~8であること;
v)グリカン調製物のグリカンポリマー中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比は、約1:1~約1.5:1であること;
vi)グリカン調製物は、20モル%~60モル%の1,6グリコシド結合を含むこと;
vii)グリカン調製物は、5モル%~25モル%の、1,2グリコシド結合、1,3グリコシド結合及び1,4グリコシド結合の少なくとも1つ、2つ又は3つを含むこと;
viii)グリカン調製物は、23℃で少なくとも約70Brixの水中最終溶解限度を有すること;及び/又は
ix)グリカン調製物は、少なくとも70%の食物繊維含有量を有すること
を含み、任意選択により、グリカン調製物は、i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)、vii)、viii)及びix)の選択された特性の2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ又は9つを含み;任意選択により、グリカン調製物は、医薬品グレードである(例えば、医薬品GMPの下で製造される)か;又はグリカンポリマー調製物は、食品グレードであり(例えば、食品GMPの下で製造される);さらに、任意選択により、グリカン調製物は、粉末(例えば、乾燥粉末)又はシロップである。
【0045】
いくつかの実施形態では、HEを有する対象にグリカン調製物を投与することにより、例えばグリカン調製物を投与されない対象(同一対象を含む)と比較した場合のHEのリスク及び/又は再発(例えば、HEの重症度及び/又は頻度)が低下する。いくつかの実施形態では、対象は、ラクツロースで同時に治療される。いくつかの実施形態では、対象は、リファキシミンで同時に治療される。いくつかの実施形態では、対象は、グリカン調製物を投与する前にラクツロースで治療されている。いくつかの実施形態では、対象は、グリカン調製物を投与する前にリファキシミンで治療されている。いくつかの実施形態では、対象は、グリカン調製物を投与する前にラクツロース及びリファキシミンで治療されている。いくつかの実施形態では、対象は、顕性の肝性脳症(OHE)を有するか又は有するとして診断されている。いくつかの実施形態では、対象は、(例えば、グリカン調製物を投与する前に)HEについて(依然として)治療されていない。いくつかの実施形態では、対象は、ミニマル肝性脳症(MHE)を有し、いくつかの実施形態では、対象は、(例えば、OHE症状について)主に無症候性である。いくつかの実施形態では、高アンモニア血症を有する対象は、肝性脳症(HE)に罹患している。いくつかの実施形態では、高アンモニア血症は、少なくとも部分的に、アルコール及び/又はアルコール性肝硬変、自己免疫性肝炎、慢性B型肝炎又は慢性C型肝炎、脂肪肝、C型肝炎、C型肝炎及びアルコール、鉄過剰及び脂肪症、非アルコール性脂肪性肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎及びB型肝炎又は原発性胆汁性肝硬変によって引き起こされるか又はそれに関連している。いくつかの実施形態では、高アンモニア血症を有する対象は、ラクツロース又はリファキシミンで以前に治療されているか又はそれを投与されている。いくつかの実施形態では、対象は、成人(例えば、20~64歳)又は高齢者(例えば、65歳以上)である。いくつかの実施形態では、グリカン調製物を投与することを含むHEの治療は、慢性的である(例えば、1年、5年、10年、20年、50年の期間又は一生の間)。いくつかの実施形態では、HEは、顕性の肝性脳症(OHE)である。いくつかの実施形態では、HEは、ミニマル肝性脳症(MHE)である。一実施形態では、グリカン調製物は、glu100である。いくつかの実施形態では、グリカン調製物は、実施例10に記載されるように使用することができる。
【0046】
別の態様では、本発明は、対象、例えばヒト対象における肝性脳症(HE)を治療する方法を対象とし、方法は、HEを治療するのに有効な量において且つ十分な時間にわたってグリカン調製物を投与することを含み、グリカン調製物は、
i)グルコース及びガラクトースグリカン単位を含むグリカンポリマー;
ii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの平均分岐度(DB)は、0.1~0.4であること;
iii)グリカン調製物中のグリカンポリマーの45%~55%は、少なくとも3~10以下のグリカン単位の重合度(DP)を有すること;
iv)グリカン調製物の平均DP(平均DP)は、約5~8であること;
v)グリカン調製物のグリカンポリマー中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比は、約2:1~約3:1であること;
vi)グリカン調製物は、20モル%~60モル%の1,6グリコシド結合を含むこと;
vii)グリカン調製物は、5モル%~25モル%の、1,2グリコシド結合、1,3グリコシド結合及び1,4グリコシド結合の少なくとも1つ、2つ又は3つを含むこと;
viii)グリカン調製物は、23℃で少なくとも約70Brixの水中最終溶解限度を有すること;及び/又は
ix)グリカン調製物は、少なくとも70%の食物繊維含有量を有すること
を含み、任意選択により、グリカン調製物は、i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)、vii)、viii)及びix)の選択された特性の2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ又は9つを含み;任意選択により、グリカン調製物は、医薬品グレードである(例えば、医薬品GMPの下で製造される)か;又はグリカンポリマー調製物は、食品グレードであり(例えば、食品GMPの下で製造される);さらに、任意選択により、グリカン調製物は、粉末(例えば、乾燥粉末)又はシロップである。
【0047】
いくつかの実施形態では、HEを有する対象にグリカン調製物を投与することにより、例えばグリカン調製物を投与されない対象(同一対象を含む)と比較した場合のHEのリスク及び/又は再発(例えば、HEの重症度及び/又は頻度)が低下する。いくつかの実施形態では、対象は、ラクツロースで同時に治療される。いくつかの実施形態では、対象は、リファキシミンで同時に治療される。いくつかの実施形態では、対象は、グリカン調製物を投与する前にラクツロースで治療されている。いくつかの実施形態では、対象は、グリカン調製物を投与する前にリファキシミンで治療されている。いくつかの実施形態では、対象は、グリカン調製物を投与する前にラクツロース及びリファキシミンで治療されている。いくつかの実施形態では、対象は、顕性の肝性脳症(OHE)を有するか又は有するとして診断されている。いくつかの実施形態では、対象は、(例えば、グリカン調製物を投与する前に)HEについて(依然として)治療されていない。いくつかの実施形態では、対象は、ミニマル肝性脳症(MHE)を有し、いくつかの実施形態では、対象は、(例えば、OHE症状について)主に無症候性である。いくつかの実施形態では、高アンモニア血症を有する対象は、肝性脳症(HE)に罹患している。いくつかの実施形態では、高アンモニア血症は、少なくとも部分的に、アルコール及び/又はアルコール性肝硬変、自己免疫性肝炎、慢性B型肝炎又は慢性C型肝炎、脂肪肝、C型肝炎、C型肝炎及びアルコール、鉄過剰及び脂肪症、非アルコール性脂肪性肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎及びB型肝炎又は原発性胆汁性肝硬変によって引き起こされるか又はそれに関連している。いくつかの実施形態では、高アンモニア血症を有する対象は、ラクツロース又はリファキシミンで以前に治療されているか又はそれを投与されている。いくつかの実施形態では、対象は、成人(例えば、20~64歳)又は高齢者(例えば、65歳以上)である。いくつかの実施形態では、グリカン調製物を投与することを含むHEの治療は、慢性的である(例えば、1年、5年、10年、20年、50年の期間又は一生の間)。いくつかの実施形態では、HEは、顕性の肝性脳症(OHE)である。いくつかの実施形態では、HEは、ミニマル肝性脳症(MHE)である。一実施形態では、グリカン調製物は、glu50gal50である。いくつかの実施形態では、グリカン調製物は、実施例10に記載されるように使用することができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、前述の特性のいずれかを含むグリカン調製物が提供される。いくつかの実施形態では、前述の方法(又はプロセス)のいずれかによって得ることができる(又はそれから製造することができる)グリカン調製物が提供される。
【0049】
特許又は出願ファイルは、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含有する。本特許又は特許出願公開及びカラー図面の写しは、要求に応じて、必要な手数料を支払うことにより官庁から提供される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】16~20.5分でのglu100サンプルの代表的なSEC曲線であり、平均MW並びに曲線の前縁及び後縁の両方における最大吸収の10%位置でのMWを示す。
【
図2】glu100サンプルの
1H-
13C HSQCスペクトルの代表的なアノマー領域であり、アルファ-及びベータ-グリコシド結合のシグナル分布を示す。
【
図3A】glu100(
図3A)、glu50gal50(
図3B)及びgal100(
図3C)試料の
1H-
13C HSQCスペクトルの一連の代表的なアノマー領域であり、フィンガープリントピークの相加効果を示す。
【
図3B】glu100(
図3A)、glu50gal50(
図3B)及びgal100(
図3C)試料の
1H-
13C HSQCスペクトルの一連の代表的なアノマー領域であり、フィンガープリントピークの相加効果を示す。
【
図3C】glu100(
図3A)、glu50gal50(
図3B)及びgal100(
図3C)試料の
1H-
13C HSQCスペクトルの一連の代表的なアノマー領域であり、フィンガープリントピークの相加効果を示す。
【
図4】3つの代表的な過メチル化及び加水分解グリカンの代表的なGCクロマトグラムであり、既知の標準との比較によって割り当てた位置化学の分布を示す。
【
図5】glu100サンプル
1H-
13C HSQCスペクトルのアノマー領域におけるピークの代表的な部分的帰属であり、アルファ異性体を低磁場(この場合、
1H>4.8ppm)に、ベータ異性体を高磁場(この場合、
1H<4.8ppm)に有する
1H軸での、アルファ異性体とベータ異性体間の分離を示す。さらに、末端糖及び内部糖は、末端糖を高磁場(この場合、アルファでは
13C<94ppm、ベータでは
13C<100ppm)に、内部糖を低磁場(この場合、アルファでは
13C>94ppm、ベータでは
13C>100ppm)に有する
13C軸において区別することができる。
【
図6A】man100(
図6A)及びxyl100(
図6B)の1H-13C HSQCスペクトルの一連のアノマー領域である。
【
図6B】man100(
図6A)及びxyl100(
図6B)の1H-13C HSQCスペクトルの一連のアノマー領域である。
【
図7A】糞便スラリー中のバクテロイデス(Bacteroides)の存在度がアンモニア減少の増加と関連していることを示すグラフである。
【
図7B】アンモニア減少に対するグルコース含有グリカン中の結合分布の影響を示すグラフである。
【
図7C】グリカンを与えられた肝機能障害患者におけるアンモニア減少のグラフである。全てのアンモニア減少は、水対照に対して正規化された。上のパネルは、24時間のインキュベーション後のアンモニア減少を表し、下のパネルは、45時間のインキュベーション後のアンモニア減少を表す。
【
図8】尿素サイクル異常症患者から得られた糞便試料のアンモニア減少のヒートマップである。試料をグリカンと45時間インキュベートした後のグリカン調製物により、各患者群試料の対照(水)とのパーセント差がプロットされる。
【
図9A】糞便スラリーが、異なるグリカン調製物とインキュベートされたエクスビボのアンモニア減少アッセイにおける(水対照に対して正規化された)アンモニア減少の結果を示す非限定的なグラフを提供する。
図9Aは、陰性対照(水)に対して正規化された、アンモニアレベルの調節におけるそれらの有効性に基づくグリカン調製物の順位を示すグラフである。矢印は、陰性対照(水)及び選択されたグリカン調製物「選択されたオリゴ糖組成物」(glu100、組成物特性は、例えば、表5A及び5B、例えばGlu100-94及びGlu100-5で見ることができる))を示す。
図9Bは、選択されたオリゴ糖組成物(glu100)について、陰性対照(水)に対して正規化されたアンモニアレベルの棒グラフを示す。
【
図9B】糞便スラリーが、異なるグリカン調製物とインキュベートされたエクスビボのアンモニア減少アッセイにおける(水対照に対して正規化された)アンモニア減少の結果を示す非限定的なグラフを提供する。
図9Aは、陰性対照(水)に対して正規化された、アンモニアレベルの調節におけるそれらの有効性に基づくグリカン調製物の順位を示すグラフである。矢印は、陰性対照(水)及び選択されたグリカン調製物「選択されたオリゴ糖組成物」(glu100、組成物特性は、例えば、表5A及び5B、例えばGlu100-94及びGlu100-5で見ることができる))を示す。
図9Bは、選択されたオリゴ糖組成物(glu100)について、陰性対照(水)に対して正規化されたアンモニアレベルの棒グラフを示す。
【
図10】オリゴ糖組成物の消費に応じた患者の忍容性のグラフを提供する。
図10は、異なる摂取量レベルで、下痢を報告している患者の数を示す(各アーム12人の患者から:マルトデキストリン(プラセボ)、選択されたグリカン調製物「選択されたオリゴ糖組成物」(glu100、組成物特性は、例えば、表5A及び5B、例えばGlu100-94及びGlu100-5で見ることができる)及び陽性対照繊維)。
【
図11A】患者からの糞便試料が、選択されたグリカン調製物「選択されたオリゴ糖組成物」(glu100)とインキュベートされたエクスビボのアンモニア減少アッセイにおける(水対照に対して正規化された)アンモニア減少を示すグラフを提供する。
図11Aは、尿素サイクル異常症(UCD)患者からの試料における選択されたグリカン調製物「選択されたオリゴ糖組成物」(glu100)によるアンモニアの減少を示すグラフである。
図11Bは、肝機能障害患者からの試料における選択されたグリカン調製物「選択されたオリゴ糖組成物」(glu100)によるアンモニアの減少を示すグラフである。
【
図11B】患者からの糞便試料が、選択されたグリカン調製物「選択されたオリゴ糖組成物」(glu100)とインキュベートされたエクスビボのアンモニア減少アッセイにおける(水対照に対して正規化された)アンモニア減少を示すグラフを提供する。
図11Aは、尿素サイクル異常症(UCD)患者からの試料における選択されたグリカン調製物「選択されたオリゴ糖組成物」(glu100)によるアンモニアの減少を示すグラフである。
図11Bは、肝機能障害患者からの試料における選択されたグリカン調製物「選択されたオリゴ糖組成物」(glu100)によるアンモニアの減少を示すグラフである。
【
図12】未修飾グリカンと、実施例19に記載されるように、アミンカラムフラッシュクロマトグラフィーによって脱モノマー化されたグリカンとのSEC-HPLCクロマトグラムを重ねて示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本発明は、部分的には、グリカン調製物が、対象における高アンモニア血症に関連する状態、例えば尿素サイクル異常症(UCD)及び肝性脳症(HE、例えばMHE又はOHE)を治療すること;対象における酵素活性(例えば、カルバミルリン酸シンテターゼI(CPSI)、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)、アルギニノコハク酸シンテターゼ(ASS)、アルギニノコハク酸リアーゼ(ASL)、N-アセチルグルタミン酸シンテターゼ(NAGS)、オルニチントランスロカーゼ、シトリン又はアルギナーゼ活性)を増加又は減少させること:対象における代謝産物(例えば、アンモニア、シトルリン、アルギニノコハク酸、グルタミン、グルタミン酸、オロチン酸又はアルギニン)のレベルを増加又は減少させること;対象における代謝産物を調節するか又は酵素活性を調節する、例えば増加又は減少させること;及びUCDを有するか又はHE(例えば、MHE又はOHE)を有する対象の治療レジメンを特定又は選択するために有用であるという発見に基づく。
【0052】
いくつかの実施形態では、UCDは、対象における1つ以上の酵素活性の過剰又は欠乏の結果として起こる疾患及び/又は状態である。酵素活性の過剰又は欠乏のために、1つ以上の代謝産物(例えば、アンモニア)が対象に蓄積し、疾患の症状を引き起こす。対象内、例えば対象の胃腸管内の微生物細胞も、対象において過剰であるか、又は欠乏している同じ酵素活性を提供し得る。理論に拘束されることを望むものではないが、グリカン調製物を対象(例えば、UCD又はHE(例えば、MHE又はOHE)を有する対象)に投与することは、酵素活性を調節(例えば、増加又は減少)し、且つ/又は代謝産物(例えば、蓄積し、疾患症状に関連する代謝産物、例えばアンモニア)、例えば代謝産物のレベルを調節(例えば、増加又は減少)し得る。いくつかの実施形態では、グリカン調製物を投与することは、対象(例えば、対象の胃腸管)内、例えばUCD又はHE(例えば、MHE又はOHE)を有する対象内の微生物(例えば、微生物群、例えばマイクロバイオーム)を、微生物酵素活性を調節(例えば、増加又は減少)し、且つ/又は代謝産物(例えば、蓄積し、疾患症状に関連する代謝産物、例えばアンモニア)、例えば代謝産物のレベルを調節(例えば、増加又は減少)することによって調節する。いくつかの実施形態では、グリカン調製物を投与することは、対象(例えば、対象の胃腸管)内、例えばUCD又はHE(例えば、MHE又はOHE)を有する対象内の微生物の1つ以上の分類群のレベルを調節(例えば、増加又は減少)し、効果的に微生物酵素活性を調節(例えば、増加又は減少)し、且つ/又は代謝産物(例えば、蓄積し、疾患症状に関連する代謝産物、例えばアンモニア)、例えば代謝産物のレベルを調節(例えば、増加又は減少)する。
【0053】
いくつかの実施形態では、UCDを有する対象にグリカン調製物を投与することにより、高アンモニア血症発症のリスク、重症度及び/又は頻度が低下する(例えば、グリカン調製物を投与されない対象(同一対象を含む)と比較した場合)。いくつかの実施形態では、対象は、低タンパク質又は他の補足食を摂取している。いくつかの実施形態では、対象は、グリセロールフェニル酪酸(例えば、Ravicti)(又は同様の窒素スカベンジャー療法)で同時に治療される。いくつかの実施形態では、対象は、低タンパク質又は他の補足食を摂取しており、且つグリセロールフェニル酪酸(例えば、Ravicti)(又は同様の窒素スカベンジャー療法)で同時に治療されている。いくつかの実施形態では、対象は、窒素スカベンジャー(例えば、グリセロールフェニル酪酸)による治療に応答しない。いくつかの実施形態では、対象は、乳児、小児又は若年成人である。いくつかの実施形態では、対象は、肝移植を(依然として)受けていない。
【0054】
いくつかの実施形態では、HEを有する対象にグリカン調製物を投与することにより、例えばグリカン調製物を投与されない対象(同一対象を含む)と比較した場合のHEのリスク及び/又は再発(例えば、HEの重症度及び/又は頻度)が低下する。いくつかの実施形態では、対象は、ラクツロースで同時に治療される。いくつかの実施形態では、対象は、リファキシミンで同時に治療される。いくつかの実施形態では、対象は、グリカン調製物を投与する前にラクツロースで治療されている。いくつかの実施形態では、対象は、グリカン調製物を投与する前にリファキシミンで治療されている。いくつかの実施形態では、対象は、グリカン調製物を投与する前にラクツロース及びリファキシミンで治療されている。いくつかの実施形態では、対象は、顕性の肝性脳症(OHE)を有するか又は有するとして診断されている。いくつかの実施形態では、対象は、(例えば、グリカン調製物を投与する前に)HEについて(依然として)治療されていない。いくつかの実施形態では、対象は、ミニマル肝性脳症(MHE)を有し、いくつかの実施形態では、対象は、(例えば、OHE症状について)主に無症候性である。
【0055】
いくつかの実施形態では、グリカン調製物を投与することを含むUCD又はHEの治療は、慢性的である(例えば、1年、5年、10年、20年、50年の期間又は一生の間)。
【0056】
定義
本明細書中で使用される場合、「存在量」又は「存在率」という用語は、それが微生物分類群に関する場合、GI管などの定義された微生物の生態的地位又は宿主生物全体(例えば、ヒト若しくは動物モデル)における、別の微生物分類群と比較した1つの微生物分類群の存在を指す。
【0057】
用語が本明細書に使用される場合、「取得する」又は「取得すること」は、例えば、値又は物理的実体を「直接取得すること」又は「間接的に取得すること」により、値、例えば、数値、又は画像、又は物理的実体(例えば試料)を入手することを指す。「直接取得すること」は、処理を行って(例えば、合成又は分析方法又はプロトコルを行って)、値又は物理的実体を得ることを意味する。「間接的に取得すること」とは、値又は物理的実体を別の団体又は供給元(例えば、物理的実体又は値を直接取得した第3者研究所)から受領することを指す。値又は物理的実体を直接取得することは、物理的物質の物理的変化又は機械若しくはデバイスの使用を含む処理を行うことを含む。値を直接取得することの例は、ヒト対象から試料を得ることを含む。値を直接取得することは、機械若しくはデバイス、例えば、NMR分光計を使用して、NMRスペクトルを得る処理を行うことを含む。
【0058】
本明細書に使用される場合、「抗体」は最も広い意味で使用され、モノクローナル抗体(完全長又は無傷のモノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多価抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)及び抗体フラグメント(それらが所望の活性、典型的には抗原結合を示す限り)を含む。
【0059】
本明細書に使用される場合、「併用療法」、「併用治療」又は「組み合わせて投与される」とは、2つ(以上)の異なる薬剤又は処置が、特定の疾患又は状態のために定義された治療レジメンの一部として対象に投与されることを意味する。治療レジメンは、別個の薬剤の対象への影響が重複するように、各薬剤の投与の用量及び周期性を定義する。いくつかの実施形態では、2つ以上の薬剤の送達は同時又は一緒であり、薬剤は共に製剤化され得る。他の実施形態では、2つ以上の薬剤は、共に製剤化されず、処方されレジメンの一部として逐次的に投与される。いくつかの実施形態では、2つ以上の薬剤又は処置との組み合わせ投与は、症状の軽減又はその疾患に関連する他のパラメータの減少が、単独で又は他の薬剤の不在下で送達される1つの薬剤又は処置を用いて観察されるであろうものよりも大きい。2つの処置の効果は、部分的に相加的、完全に相加的又は相加的より大きく(例えば、相乗的)し得る。各治療剤の連続的投与又は実質的に同時の投与は、経口経路、静脈内経路、筋肉内経路及び粘膜組織を介した直接吸収を含む任意の適切な経路によって行うことができる。治療剤は、同じ経路又は異なる経路によって投与することができる。例えば、組み合わせの第1の治療剤は静脈内注射により投与し、一方、組み合わせの第2の治療剤は経口的に投与し得る。いくつかの実施形態では、併用療法は、2つ(以上)の異なる薬剤の1つ(以上)の以前の投与に関連する状態に応えて、2つ(以上)の異なる薬剤又は治療が定義された治療レジメンの一部として対象に投与されることを意味する。例えば、第1の薬剤の投与は対象において望ましくない状態を生じ得、第1の薬剤と、その望ましくない状態に対処する、例えば、望ましくない状態を治療、改善又は緩和する、(一緒に又は別々に摂取/処方される)第2の(又はさらなる)薬剤とを含む併用療法の投与を促進する。
【0060】
例えば、グリカンポリマーの種類に関連して、本明細書に使用される場合、「明確に区別できる」は、それが化学的及び/又は構造的に他と異なることを意味するものとする。例えば、2つの糖が化学的に異なる場合(例えば、フコース及びキシロース)又は構造的に異なる場合(例えば、環状対非環状、L体対D体)、それらは「明確に区別できる」。2つの二量体が同じ2つの単量体からなるが、一方の対がアルファ-1,4結合を含み、他方の対がベータ-1,6結合を含む場合、それらは明確に区別できる。明確に区別できる実体は、当技術分野で知られており、且つ/又は本明細書に記載される方法によって検出することができる任意の他の適切な別個の特徴又は特性を有し得る。
【0061】
本明細書に使用される場合、「投薬レジメン」、「投与レジメン」又は「治療レジメン」は、治療目標を達成する薬物投与のモダリティである。投薬レジメンは、投与経路、単位用量、投薬頻度又は治療の長さの1つ、2つ、3つ又は4つの定義を含む。
【0062】
例えば非医薬組成物(例えば、食品若しくは食品成分、又はサプリメント、又は医療用食品)の「有効量」及び例えば医薬組成物又は薬物の「治療有効量」は、所望の効果(例えば、調節(増加/減少)、治療、改善など)を提供するのに十分な量の組成物又は薬剤を意味する。いくつかの実施形態では、医師又は他の医療従事者は、適切な量及び投与レジメンを決定する。有効量は、医学的状態の発症又は再発を防ぐ医薬組成物又は薬剤の量も指す。
【0063】
本明細書で使用される場合、量、持続時間などの測定可能な値を指すときの「約」は、特定の値から±20%、又はいくつかの例では±10%、又はいくつかの例では±5%、又はいくつかの例では±1%、又はいくつかの例では±0.1%の変動を包含することを意味する。これは、そのような変動が、開示された方法を実行するのに適切であるためである。
【0064】
本明細書に使用される場合、「グリカン単位」は、本明細書で開示されるグリカンの個々の単位、例えば、グリカンを作る構成要素を指す。
【0065】
本明細書に使用される場合、「単離された」又は「精製された」グリカン組成物(又はその成分)は、実質的に純粋であり、且つ混入物質がなく、例えば、病原体又はそうでなければ、望まれていない生物物質又は毒性又はそうでなければ、望まれていない有機若しくは無機化合物である。いくつかの実施形態では、純粋な又は単離された化合物、組成物又は調製物は、微量の溶媒及び/又は塩を含み得る(例えば、w/w、w/v、v/v又はモル%で、10%未満、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%未満又は0.1%)。精製された化合物又は調製物は、対象となる化合物のw/w、w/v、v/v又はモル%で少なくとも約60%(w/w、w/v、v/v又はモル%で)、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%又は少なくとも約99%含有する。例えば、精製された(実質的に純粋な)又は単離されたグリカン組成物は、w/w、w/v、v/v又はモル%で、グリカン治療の少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、98%、99%、99.5%、99.8%、99.9%又は100%であり(すなわち、いかなる溶媒、例えば、水も含まず、グリカン組成物は溶解され得る)、例えば、製造、抽出/精製及び/又は処理中に、それらと同時に生じる構成成分から分離される(例えば、グリカン組成物が望ましくない化合物を実質的に含まない)ものである。純度は、任意の適切な標準方法により、例えばカラムクロマトグラフィー(例えば、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC))、薄層クロマトグラフィー(TLC)、ガスクロマトグラフィー(GC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)又は核磁気共鳴(NMR)分光計によって測定され得る。精製された又は純度は、ヒト対象への投与において安全である、例えば、生存能力のある感染性又は毒性薬剤を欠いている、滅菌の度合いも定義し得る。
【0066】
本明細書に使用される場合、「マイクロバイオーム」は、対象、例えばヒト対象内及び上に持続的及び一時的の両方で生息する微生物群の遺伝的内容物であり、これには、真核生物、古細菌、細菌及びウイルス(細菌ウイルス(例えば、ファージ)を含む)が含まれ、「遺伝的内容物」には、ゲノムDNA、リボソームRNA及びメッセンジャーRNA等のRNA、エピゲノム、プラスミド及び他の種類のゲノム情報の全てが包含される。いくつかの実施形態では、マイクロバイオームは、具体的には、生態学的地位における微生物群の遺伝子内容物を指す。
【0067】
「微生物叢」は、本明細書に使用される場合、対象、例えばヒト対象内及び上に(持続的及び一時的に)生じる微生物群を指し、真核生物、古細菌、細菌及びウイルス(細菌ウイルス、例えばファージを含む)が包含される。いくつかの実施形態では、微生物叢は、具体的には、生態学的地位における微生物群を指す。
【0068】
本明細書で使用される「微生物叢を調節する」又は「微生物叢の調節」は、微生物叢の状態を変化させることを意味する。微生物叢の状態を変化させることは、微生物叢の構造及び/又は機能を変化させることを含み得る。微生物叢の構造の変化は、例えば、盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸及び/又は直腸などのGI管の1つ以上の領域における、例えば、分類群の相対的な構成の変化である。一実施形態では、微生物叢の構造の変化は、分類群の存在度における変化(例えば、他の分類群に対して又はその調節がなかった場合に観察されるであろうものに対して)を含む。微生物叢の調節は、同様に又は加えて、微生物叢における遺伝子発現の変化、遺伝子産物(例えば、RNA又はタンパク質)のレベル又は微生物叢の代謝出力の変化など、微生物叢の機能の変化を含み得る。微生物叢の構造又は機能の調節は、さらに、微生物叢又はその機能の変化の結果として、宿主の1つ以上の機能的経路の変化(例えば、遺伝子発現の変化、遺伝子産物のレベル及び/又は宿主細胞又は宿主プロセスの代謝出力)を誘導し得る。
【0069】
本明細書に使用される場合、「オリゴ糖」という用語は、複数の(すなわち、2つ以上)共有結合した個々のグリカン単位からなる分子を指す。各グリカン単位は、アルファ配置又はベータ配置のいずれかに存在するグリコシド結合(例えば、1->2グリコシド結合、1->3グリコシド結合、1->4グリコシド結合、1->5グリコシド結合又は1->6グリコシド結合)を介して結合し得る。
【0070】
本明細書に使用される場合、「医薬組成物」又は「医薬調製物」は、組成物又は調製物であり、薬理学的活性又は疾患の緩和、治療若しくは予防における他の直接効果及び/又は完成した剤形若しくはその製剤化を有する、組成物又は調製物であり、且つヒトに使用されるものである。医薬組成物又は医薬調製物は、典型的には、適正製造基準(GMP)の条件下で生成される。医薬組成物又は調製物は、滅菌又は非滅菌であり得る。非滅菌である場合、かかる医薬組成物は、微生物学的規格及び米国薬局方(USP)又はヨーロッパ薬局方(EP)において記載される非滅菌薬学的製品のための基準を満たす。医薬組成物は、さらなる活性剤、例えば、さらなる治療剤をさらに含み得るか又はそれらと共に同時投与され得る。医薬組成物は、薬学的に許容される賦形剤、溶媒、担体、フィルター又はこれらの任意の組み合わせも含み得る。
【0071】
本明細書で使用される場合、「多糖」という用語は、共有結合した複数の個々のグリカン単位からなるポリマー分子を意味する。いくつかの実施形態では、多糖はグリカン単位の少なくとも10又はそれを超える(例えば、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25又は少なくとも50、少なくとも100、少なくとも250、少なくとも500又は少なくとも1000グリカン単位)を含む。各グリカン単位は、アルファ配置又はベータ配置のいずれかに存在するグリコシド結合(例えば、1->2グリコシド結合、1->3グリコシド結合、1->4グリコシド結合、1->5グリコシド結合及び1->6グリコシド結合)を介して結合し得る。いくつかの実施形態では、多糖は同一の繰り返し単位を有する均質なポリマーである。他の実施形態では、多糖は異なる繰り返し単位を有する不均質なポリマーである。多糖は、さらに、分岐度(DB、残基あたりの分岐点)又は重合度(DP)により特徴づけることができる。
【0072】
本明細書に使用される場合、「対象」又は「患者」という用語は、一般的に任意のヒト対象を指す。この用語は、特定の年齢又は性別を示さない。対象は、妊婦を含み得る。対象は、新生児(早産児、満期新生児)、1歳までの乳児、幼児(例えば、1歳~12歳)、十代の若者(例えば、13~19歳)、成人(例えば、20~64歳)及び高齢者(65歳以上)を含み得る。一般に、対象は宿主とその対応する微生物叢とを含む。
【0073】
「実質的減少」は、本明細書に使用される場合、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、97%、98%、99%、99.9%又は100%の減少である。
【0074】
「実質的増加」は、本明細書に使用される場合、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、150%、200%、250%、300%、350%、400%、450%、500%、550%、600%、650%、700%、750%、800%、850%、900%、950%、1000%又は1000%を超える増加である。
【0075】
「合成物質」は、本明細書に使用される場合、天然に存在しない、グリカン組成物等の人工の化合物又は調製物を指す。一実施形態では、本明細書に記載されるポリマー触媒は、好適な反応条件下、例えば、反応物に添加される個々のグリカン単位からオリゴマー及びポリマーを作製する重合反応により、調製物のグリカンを合成するために使用される。いくつかの実施形態では、ポリマー触媒は、加水分解剤として作用し、グリコシド結合を破壊し得る。他の実施形態では、ポリマー触媒は、グリコシド結合を形成し得る。
【0076】
本明細書に使用される場合、「治療すること」及び「治療」という用語は、症状の重症度及び/又は頻度の減少に影響を及ぼす、症状及び/又はその根本原因を解消する、且つ/又は損傷の改善若しくは修復を促進する、且つ/又は特定の有害な状態、障害若しくは疾患にかかりやすいか、又は状態、障害若しくは疾患を発症する若しくはそれらを発症する危険性がある無症候性対象における有害な状態、障害若しくは疾患を予防するための、対象(例えば、有害な状態、障害若しくは疾患を患っている症候性の対象又は非症候性の対象)への薬剤又は組成物の投与を指す。
【0077】
「抗原」という用語は、免疫反応を誘発する物質を指し、通常、これは、抗原と抗体の相互作用を証明するために利用可能な多くのインビトロ及びインビボでの免疫学的方法により、対応する抗体を検出するために使用される物質でもある。同様に、アレルゲンという用語は、抗体を誘導し、抗体と結合する能力を有する抗原を示すために使用されるが、この定義は、アレルゲンがIgE以外の分類の抗体も誘導し得る可能性を排除しない。
【0078】
本明細書に使用される場合、「誘導体」は、処理された外因性物質の生成物を指す。誘導体は、本明細書に記載の任意の酵素反応の代謝産物及び/又は生成物を含み得る。
【0079】
「フラクトオリゴ糖」又は「FOS」は、これらの用語が本明細書に使用される場合、任意選択により末端グルコースを含む、以下の配列からなるフルクトースポリマーを指す:ベータ2,1、ベータ2,6、アルファ1,2及びベータ1,2グリコシド結合の1つ以上からなる(Fru)n-Glc(ここで、nは、通常、3~10である)。変異体には、主鎖中のフルクトシル単位間のイヌリン型β-1,2及びレバン型β-2,6結合が含まれる。一実施形態では、FOSは、B.マセランス(B.macerans)、Z.モビリス(Z.mobilis)、L.ロイテリー(L.reutri)、A.ニガー(A.niger)、A.ヤポニクス(A.japonicas)、A.フェチダス(A.foetidus)、A.シドウイイ(A.sydowi)、A.プルランス(A.pullans)、C.プルプレア(C.purpurea)、F.オキシスポルム(F.oxysporum)、P.シトリヌム(P.citrinum)、P.フレクエンタンス(P.frequentans)、P.スピヌロサム(P.spinulosum)、P.ルグロサム(P.rigulosum)、P.パラシティカ(P.parasitica)、S.ブレビカウリス(S.brevicaulis)、S.セレビシエ(S.cerevisiae)又はK.マルキシアヌス(K.marxianus)由来の酵素から作られる。実施形態では、FOSは、フルクトシルトランスフェラーゼ、β-フルクトフラノシダーゼ(EC 3.2.1.26)、イヌロスクラーゼ(EC 2.4.1.9)、レバンスクラーゼ(EC 2.4.1.10)又はエンドイヌリナーゼの酵素作用によって産生される。
【0080】
本明細書に使用される場合、「グリカンポリマー調製物」(「グリカンの調製物」、「グリカン調製物」、「グリカンポリマー組成物」、「グリカン組成物」、「オリゴ糖調製物」、「オリゴ糖組成物」又は「グリカン」とも呼ばれる)は、所望の効果(例えば、治療効果又は調節効果(例えば、外因性物質に関して)又は有益な効果(例えば、対象の健康に関して))を示すグリカンポリマーを含む調製物である。いくつかの実施形態では、グリカンポリマーの調製物は、1つ以上の天然に存在するオリゴ糖、例えばグルコオリゴ糖、マンナンオリゴ糖、イヌリン、リクノース、マルトテトラオース、ニゲロテトラオース、ニストース、セセモース(sesemose)、スタキオース、イソマルトトリオース、ニゲロトリオース、マルトトリオース、メレジトース、マルトトリウロース、ラフィノース、ケストース、フラクトオリゴ糖、2’-フコシルラクトース、ガラクトオリゴ糖、グリコシル、イドラパリナックス、イソマルトオリゴ糖、マルトデキストリン、キシロオリゴ糖、寒天、アガロース、アルギン酸、アルグロン酸、アルファグルカン、アミロペクチン、アミロース、アラビオキシラン、ベータ-グルカン、カロース、カプシュラン(capsulan)、カラギナン、セロデキストリン、セルリン、セルロース、キチン、キチンナノフィブリル、キチン-グルカン複合体、キトサン、クリソラミナリン、カードラン、シクロデキストリン、アルファ-シクロデキストリン、デキストラン、デキストリン、ジアルデヒドデンプン、フィコール、フルクタン、フコイダン、ガラクトグルコマンナン、ガラクトマンナン、ガラクトサミノガラクタン、ゲランガム、グルカン、グルコマンナン、グルクロノキシラン、グリコカリックス、グリコーゲン、ヘミセルロース、ヒプロメロース、イコデキストリン、ケフィラン、ラミナリン、レンチナン、レバン多糖、リケニン、マンナン、粘液、天然ガム、パラミロン、ペクチン酸、ペクチン、ペンタスターチ、植物グリコーゲン、プルーラン、ポリギーナン、ポリデキストロース、ポルフィラン、プルラン、シゾフィラン(schizophyllan)、セファロース、シニストリン、シゾフィラン(sizofiran)、スガマデックス、ウェランガム、キサンタンガム、キシラン、キシログルカン、ザイモサンなどを含有しない。いくつかの実施形態では、グリカンポリマーは、塩、例えば薬学的に許容される塩として存在する。いくつかの実施形態では、グリカン調製物は、ソルビトールを含有しない。いくつかの実施形態では、グリカン調製物は、クエン酸を含有しない。いくつかの実施形態では、グリカン調製物は、環状のグリカンを含有しない。いくつかの実施形態では、グリカンポリマーの調製物は、1つ以上の天然に存在するオリゴ糖、例えばグルコオリゴ糖、マンナンオリゴ糖、イヌリン、リクノース、マルトテトラオース、ニゲロテトラオース、ニストース、セセモース(sesemose)、スタキオース、イソマルトトリオース、ニゲロトリオース、マルトトリオース、メレジトース、マルトトリウロース、ラフィノース、ケストース、フラクトオリゴ糖、2’-フコシルラクトース、ガラクトオリゴ糖、グリコシル、イドラパリナックス、イソマルトオリゴ糖、マルトデキストリン、キシロオリゴ糖、寒天、アガロース、アルギン酸、アルグロン酸、アルファグルカン、アミロペクチン、アミロース、アラビオキシラン、ベータ-グルカン、カロース、カプシュラン(capsulan)、カラギナン、セロデキストリン、セルリン、セルロース、キチン、キチンナノフィブリル、キチン-グルカン複合体、キトサン、クリソラミナリン、カードラン、シクロデキストリン、アルファ-シクロデキストリン、デキストラン、デキストリン、ジアルデヒドデンプン、フィコール、フルクタン、フコイダン、ガラクトグルコマンナン、ガラクトマンナン、ガラクトサミノガラクタン、ゲランガム、グルカン、グルコマンナン、グルクロノキシラン、グリコカリックス、グリコーゲン、ヘミセルロース、ヒプロメロース、イコデキストリン、ケフィラン、ラミナリン、レンチナン、レバン多糖、リケニン、マンナン、粘液、天然ガム、パラミロン、ペクチン酸、ペクチン、ペンタスターチ、植物グリコーゲン、プルーラン、ポリギーナン、ポリデキストロース、ポルフィラン、プルラン、シゾフィラン(schizophyllan)、セファロース、シニストリン、シゾフィラン(sizofiran)、スガマデックス、ウェランガム、キサンタンガム、キシラン、キシログルカン、ザイモサンなどを含有する。いくつかの実施形態では、グリカンポリマーは、塩、例えば薬学的に許容される塩として存在する。いくつかの実施形態では、グリカン調製物は、ソルビトールを含有する(例えば、約1%~10%)。いくつかの実施形態では、グリカン調製物は、クエン酸を含有する(例えば、約0.1%~1%又は約0.1%~2%)。
【0081】
本明細書で使用される場合、「動物宿主」は、微生物(例えば、微生物群、例えばマイクロバイオーム)を含む、胃腸管(例えば、腸、例えば小腸、大腸及び/又は結腸)を有する任意の動物である。いくつかの実施形態では、動物宿主は、哺乳動物、例えばウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、イヌ、ネコ、フェレット、マウス、ラット又はヒトである。いくつかの実施形態では、動物宿主は、ヒト、例えばヒト患者又は対象である。
【0082】
本明細書中で使用される場合、「酵素活性」は、1つ以上の酵素の機能性を指す。酵素活性は、単一の酵素の触媒機能を含み得る(例えば、代謝産物Aから代謝産物Bへの反応を触媒する酵素は、代謝産物Aから代謝産物Bへの反応を触媒する酵素活性を有する)。酵素活性は、2つ以上の酵素(例えば、代謝産物Aから代謝産物Bへの反応を一緒に触媒する複数の酵素)の触媒機能を含み得る。例えば、1つ以上の酵素の触媒機能を含む酵素活性は、第1の酵素が代謝産物Aから代謝産物Cへの反応を触媒し、第2の酵素が代謝産物Cから代謝産物Dへの反応を触媒し、第3の酵素が代謝産物Dから代謝産物Eへの反応を触媒し、第4の酵素が代謝産物Eから代謝産物Bへの反応を触媒するような複数の酵素の活性を含み得る。前記例では、この複数の酵素の酵素活性は、代謝産物Aの代謝産物Bへの反応を触媒することを含むであろう。また、前記例では、この複数の酵素の酵素活性は、代謝産物Aの代謝産物Bへの反応を触媒する酵素を参照することによって同等に説明され得る。したがって、代謝産物Aから代謝産物Bへの反応を触媒する酵素の酵素活性は、代謝産物Aから代謝産物Bへの反応を触媒する1つの酵素;又は代謝産物Aから代謝産物Bへの反応を触媒する触媒機能を一緒に含む複数の酵素の触媒機能のいずれかの触媒機能を含み得る。酵素活性は、補因子、補酵素、追加のサブユニット、イオン、塩及び酵素活性に必要な他の触媒性及び非触媒性補因子及び補酵素を含む1つ又は複数の酵素に関連し得る。酵素活性の機能不全は、対象(例えば、動物宿主、ヒト対象又はヒト患者)、例えば対象の胃腸管(例えば、腸、例えば、小腸、大腸及び/又は結腸)における酵素活性(例えば、動物宿主酵素活性、微生物酵素活性又はその両方)の欠乏又は過剰を含み得る。いくつかの実施形態では、酵素活性の欠乏又は過剰は、疾患又は状態、例えば高シュウ酸尿症を有しないか又は酵素活性の機能不全を有しない対象と比較したものである。
【0083】
本明細書で使用される場合、「動物宿主酵素活性」は、動物宿主の細胞によって産生される酵素から生じる酵素活性である。
【0084】
本明細書で使用される場合、「微生物酵素活性」は、微生物細胞、例えば動物宿主の胃腸管、例えば小腸又は大腸、例えば結腸内に含まれる微生物細胞によって産生される酵素から生じる酵素活性である。
【0085】
本明細書で使用される場合、「代謝産物」は、酵素触媒反応の基質又は産物(例えば、酵素活性の基質又は産物)を指す。いくつかの実施形態では、代謝産物は、動物宿主酵素活性の基質又は産物である。いくつかの実施形態では、代謝産物は、微生物酵素活性の基質又は産物である。いくつかの実施形態では、代謝産物は、動物宿主酵素活性及び微生物酵素活性の両方の基質又は産物である。いくつかの実施形態では、代謝産物は、動物宿主及び/又は微生物に対して内因性であり、例えば、それは、動物宿主及び/又は微生物において天然に見出される。代謝産物のレベルは、対象、例えば動物宿主における代謝産物の存在量の尺度である。いくつかの実施形態では、代謝産物のレベルは、疾患又は状態に関連し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、代謝産物のレベルを調節、例えば増加又は減少させ得る。いくつかの実施形態では、代謝産物の存在自体ではなく、代謝産物のレベルは、動物宿主、例えばヒト患者又は対象における1つ以上の毒性効果、疾患、障害又は状態に関連し得る。
【0086】
本明細書で使用される場合、「GI忍容性」は、グリカン又はグリカン調製物が下部胃腸管におけるガス産生にどのように影響し、例えば不快感、鼓腸及び/又は膨満感などの症状に影響するかについての値である。下部消化管におけるガス産生の速度が速いと、鼓腸及び膨満感などの胃腸不快感が生じ得る。対象における(急速なガス産生速度とは対照的に)より緩やかな/低いガス産生は、より少ない不快感につながると考えられている。イヌリンは、対象に(例えば、経口的に)投与されると、迅速且つ高いガス産生の上昇を与えると考えられている。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のグリカン調製物は、同等の投与量(数グラムの可溶性繊維)でのイヌリンよりも低い、(グリカン調製物が投与された)対象におけるガス放出速度をもたらす。一実施形態では、本明細書に記載のグリカン調製物からのガス産生の速度は、同様の条件下で(例えば、同等の投与量で)イヌリンについて観察された速度以下であるか、同様の条件下でイヌリンについて観察された速度とほぼ同じ又はそれより低いか、同様の条件下でイヌリンについて観察された速度より低いか又は少なくとも10%(例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、50倍、100倍又はそれを超える)である。別の実施形態では、本明細書に記載のグリカン調製物からのガス形成の速度は、1~36時間(例えば、約3~24時間、例えば約3時間又は約24時間)にわたって測定される。
【0087】
本明細書で使用される場合、「発酵度」は、グリカン又はグリカン調製物が、微生物、微生物群又はマイクロバイオーム(例えば、対象の胃腸管内)による発酵にどの程度容易に使用できるかについての値である。いくつかの例では、「非発酵性」は、例えば、40重量%未満、例えば40%、35%、30%、20%、15%未満(重量)の比較的低い発酵度を有するグリカン調製物を指す。いくつかの例において、「発酵性」は、比較的高い発酵度、例えば少なくとも60重量%、例えば少なくとも60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%又はそれを超えるものを有するグリカン調製物を指す。発酵性は、AMERICAN JOURNAL CLINICAL NUTRITION,1991,53 1418-1424の「Fermentability of Various Fiber Sources by Human Fecal Bacteria In Vitro」;又は米国特許第5,085,883号明細書に記載の方法により決定することができ、これらの両方は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0088】
本明細書で使用される場合、「消化率」は、例えば、対象の胃腸管におけるグリカン又はグリカン調製物のカロリー値に関する値である。グリカン調製物は、宿主、例えば宿主酵素が(該当する場合に)どの程度良好にそれを消化できるかに応じて、様々なカロリー値を有し得る。例えば、宿主(例えば、哺乳動物、例えばヒト酵素)によって消化されにくいグリカン調製物は、最小のカロリー値を含有する(例えば、カロリー値がなく、ノンカロリーである)。本明細書で使用されるカロリー値は、ボンベ熱量計又は同様の装置で決定されるカロリー値ではなく、対象が使用可能なカロリー値を指す。いくつかの例では、難消化性のグリカン調製物は、吸収されないため、ヒト身体のエネルギーとして吸収又は利用されない。カロリー値は、使用可能なカロリー値、例えばヒト身体のエネルギーとして吸収又は利用されるカロリーを指す。消化率は、McCleary(AOAC Method 2009.01、AACC International Approved Method 32-45.01とも称される)(McCleary et al.(2010)J.AOAC Int.,93(1),221-233)に記載されているように、例えば酵素インキュベーション工程に、膵臓α-アミラーゼ及び生理的条件に近い条件(pH6、37℃)を使用して測定され得る。他の実施形態では、消化率は、例えば、AOAC 201 1.25(Integrated Total Dietary Fiber Assay)を使用して、McCleary et al.,(2012)J.AOAC Int.,95(3),824-844に記載されるように測定され得る。
【0089】
尿素サイクル異常症
本明細書に記載の方法は、尿素サイクル異常症(UCD)を治療する。いくつかの実施形態では、方法は、対象において欠乏している酵素活性を増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、対象において過剰である酵素活性を減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、代謝産物、例えばUCDを有する対象において蓄積する代謝産物のレベルを減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、対象、例えば対象の胃腸管における微生物又は微生物の分類群の存在率を減少又は増加させる。
【0090】
尿素サイクルは、身体からの排泄のために窒素を尿素に変換する代謝経路である。経路における酵素の欠乏は、尿素サイクル異常症(UCD)、例えば尿素サイクルの代謝産物の蓄積及びそれから生じる症状を引き起こす。根底にある酵素欠乏に基づいて命名されたいくつかのUCDが存在する(Gene Reviews:Urea Cycle Disorders Overview.http://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK1217/(2011年6月14日アクセス))。これらは、以下を含むが、これらに限定されない。
- カルバミルリン酸シンテターゼI(CPSI)欠乏症(MIM#237300)
- オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠乏症(MIM#311250)
- アルギニノコハク酸シンテターゼ(ASS)欠乏症(古典型シトルリン血症又はI型シトルリン血症、CTLN1としても知られる、MIM#215700)(Gene Reviews:Citrullinemia type 1.http://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK1458/(2011年6月14日アクセス))
- アルギニノコハク酸リアーゼ(ASL)欠乏症(アルギニノコハク酸尿症としても知られる、MIM#207900)(Gene Reviews:Argininosuccinate lyase deficiency.http://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK51784/(2011年6月14日アクセス))
- N-アセチルグルタミン酸シンテターゼ(NAGS)欠乏症(MIM#237310)
- 高オルニチン血症-高アンモニア血症-ホモシトルリン尿症(HHH)症候群(オルニチントランスロカーゼ欠乏症とも呼ばれる)は、SLC25A15遺伝子において酵素オルニチントランスロカーゼに影響を与える稀な常染色体劣性尿素サイクル異常症である(Hommes FA,et al.(1986年2月).Neuropediatrics.17(1):48-52)。
- シトルリン血症II型(CIT II)障害は、シトリンタンパク質(SLC25A13遺伝子)に変異を有する常染色体劣性尿素サイクル異常症(例えば、日本人集団で見られる)である(Freedberg,et al.(2003).Fitzpatrick’s Dermatology in General Medicine.(6th ed.).McGraw-Hill)。
- アルギナーゼ欠乏症(MIM#207800)(Gene Reviews:Arginase deficiency.http://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK1159/(2011年6月14日アクセス))。
【0091】
本明細書で使用される場合、「尿素サイクル異常症」又は「UCD」は、本明細書で列挙される任意の特定のUCD酵素欠乏症(例えば、カルバミルリン酸シンテターゼI(CPSI)欠乏症、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠乏症、アルギニノコハク酸シンテターゼ(ASS)乏症、アルギニノコハク酸リアーゼ(ASL)欠乏症、N-アセチルグルタミン酸シンテターゼ(NAGS)欠乏症、高オルニチン血症-高アンモニア血症-ホモシトルリン尿症(HHH)症候群、シトルリン血症II型(CIT II)障害又はアルギナーゼ欠乏症)を指す。
【0092】
UCDは、アルギナーゼ欠乏症を除いて、高アンモニア血症及び/又は生命を脅かす代謝代償不全を引き起こし得る。いくつかの実施形態では、UCDは、乳児期に存在する。代謝代償不全の生存者は、頻繁に重篤な神経学的損傷を有する。
【0093】
尿素サイクルは、末梢(筋肉)及び腸内源(タンパク質摂取)からの窒素を、水溶性で排泄可能な尿素に変換する。2モルの窒素(アンモニアから1モル及びアスパラギン酸から1モル)が各サイクルで尿素に変換される。アンモニア性窒素は、循環アミノ酸、主にグルタミン及びアラニンに由来する。アスパラギン酸は、アルギニノコハク酸合成の基質である。
【0094】
サイクルの最初の4つの酵素(CPSI、OTC、ASS又はASL)又はNAGS(N-アセチルグルタミン酸の産生を触媒する酵素)の欠乏は、アンモニア及びアンモニア前駆体代謝産物の蓄積をもたらす(Braissant O.Mol Genet Metab 2010;100 Suppl 1:S3)。CPSI、NAGS及びOTCは、ミトコンドリア内に位置するため、原発性ミトコンドリア病は、副次的に尿素サイクル活性に影響を与え、例えば対象においてUCD又はUCD症状を引き起こし得る。アルギナーゼ欠乏症を有する対象では、高アンモニア血症は、CPSI、OTC、ASS、ASL又はNAGS欠乏症よりも稀であるか又は重症度が低い可能性がある(GeneReviews:Arginase Deficiency.http://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK1159/(2011年9月21日アクセス)。
【0095】
症状及び患者の呈示
UCDを有する対象(例えば、患者)の大半は、幼児期(例えば、新生児(早産児、満期産児)、1歳までの乳児又は小児(例えば、1歳~12歳))にUCDの症状を示す。部分的な酵素欠乏症を有する対象は、小児期の後期に又は成人として、例えばティーンエイジャー(例えば、13~19歳)又は成人(例えば、20~64歳)として症候性になり得る。特定の研究では、1日~53歳の範囲でのUCD症状が現れた年齢の中央値は2歳であると決定された(Summar ML,et al.Acta Paediatr 2008;97:1420)。
【0096】
UCDを有する対象(例えば、患者)は、UCDの1つ以上(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ又はそれを超える)の症状を呈し得る。UCDの症状には、神経学的症状及び胃腸症状が含まれる。神経学的症状には、例えば、低下した意識レベル、変化した精神状態、異常な運動機能及び発作が含まれる。胃腸症状には、例えば、嘔吐、摂食不良、下痢、吐き気、便秘及びタンパク質忌避が含まれる。いくつかの実施形態では、母乳又は乳児用調製粉乳がタンパク質負荷を提供するため、乳児対象は、摂食後に症候性になる。対象(例えば、患者)が乳児として存在する場合、UCDの初期兆候には、傾眠、正常な体温を維持できなくなること及び摂食不良が含まれ得、通常、嘔吐、嗜眠、昏睡が続く(Burton BK.Pediatrics 1998;102:E69;Summar M.J Pediatr 2001;138:S30)。高アンモニア血症、例えばUCDによる高アンモニア血症を有する新生児は、呼吸性アルカローシスにつながる中枢性過換気症を有し得る。過換気症は、アンモニア、グルタミン及び他の代謝産物の蓄積によって引き起こされる脳浮腫から生じると考えられている(Butterworth RF.J Inherit Metab Dis 1998;21 Suppl 1:6)。脳浮腫の増加はまた、低換気及び呼吸停止を伴う異常肢位及び進行性脳症をもたらし得る。重度の高アンモニア血症、例えばUCDによる高アンモニア血症を有する乳児のおよそ50%が発作を有する(Brusilow SW,Maestri NE.Adv Pediatr 1996;43:127)。
【0097】
UCDを有する対象(例えば、患者)は、典型的には乳児として現れるが、UCDを有する対象は、併発性高アンモニア血症を伴う代謝代償不全の生涯リスクを有する。代謝代償不全は、感染症(例えば、胃腸炎、中耳炎)、絶食、手術又は外傷など、増加した異化反応のエピソード中に引き起こされ得る。
【0098】
部分的酵素欠乏症によるUCDを有する対象(例えば、患者)は、新生児期の後に起こる非定型の症状呈示を有し得る(Brusilow SW,Horwich AL.Urea cycle enzymes.In:The metabolic and molecular bases of inherited disease,8th ed,Scriver CR,Beaudet AL,Sly WS,Valle D(Eds),McGraw-Hill,New York 2001.p.1909;Leonard JV,Morris AA.Semin Neonatol 2002;7:27)。この遅延した呈示は、女性のキャリアなどの部分的なOTC欠乏症を有する対象において最も一般的に見られるが、尿素サイクル酵素の部分的活性によっても発生し得る。UCD症状の遅延した呈示を有する対象、例えば尿素サイクル酵素欠乏症を有する対象は、慢性嘔吐、発達遅延、発作障害、睡眠障害、精神疾患、頭痛、食欲不振、嘔吐、嗜眠、運動失調、行動異常の1つ以上を示し得る(Brusilow SW,Horwich AL.Urea cycle enzymes.In:The metabolic and molecular bases of inherited disease,8th ed,Scriver CR,Beaudet AL,Sly WS,Valle D(Eds),McGraw-Hill,New York 2001.p.1909;Leonard JV,Morris AA.Semin Neonatol 2002;7:27;Maestri NE,et al.Medicine(Baltimore)1998;77:389;Serrano M,et al.J Child Neurol 2010;25:352;Sedel F,et al.J Inherit Metab Dis 2007;30:631;Houston B,et al.Am J Med 2011;124:303)。いくつかの実施形態では、これらの症状は、タンパク質摂取の増加後又は異化ストレスの期間(例えば、ウイルス性疾患、妊娠)中に現れるか、又は重症度が増加する。UCD症状の遅延した呈示を有する対象、例えば尿素サイクル酵素欠乏症を有する対象は、食物タンパク質の摂取が頭痛に関連していることが多いため、ベジタリアン食を好む可能性がある。
【0099】
UCDを有する対象(例えば、患者)は、肝機能障害も示し得る。肝機能障害は、肝酵素の上昇、凝固障害及びグリコーゲノースの組織学的エビデンスを特徴とし得る(Iorio R,et al.J Gastroenterol 2005;40:820;Miles L,et al.J Pediatr Gastroenterol Nutr 2005;40:471)。
【0100】
UCDを有する対象(例えば、患者)は、高アンモニア血症を示し得る。いくつかの実施形態では、高アンモニア血症は、慢性であり得る。いくつかの実施形態では、高アンモニア血症は、異化ストレスに関連する代謝代償不全中にのみ発生し得る(Arn PH,et al.N Engl J Med 1990;322:1652;Tuchman M,Yudkoff M.Mol Genet Metab 1999;66:10)。
【0101】
アルギナーゼ欠乏症を有する対象(例えば、患者)は、典型的には、後期乳児期又は幼児期(例えば、3ヶ月~6歳)に存在する。いくつかの実施形態では、アルギナーゼ欠乏症によりUCDを呈する対象(例えば、患者)は、痙縮、特に下肢のもの、ジストニア及び運動失調を患っている。そのような対象では、脳性麻痺の診断が多くの場合に疑われる。アルギナーゼ欠乏症によるUCDを有する対象(例えば、患者)が他に呈示する症状は、部分的欠乏症の症状と類似している。
【0102】
アンモニアの試験及び高アンモニア血症を有する対象の診断(例えば、UCD及び肝性脳症、HE)
アンモニア試験
高アンモニア血症(例えば、UCD及び肝性脳症、HE)を有するか、有する疑いがあるか又は有するリスクがある対象は、対照対象(例えば、高アンモニア血症の疑いのない対象)と比較して、血中アンモニアレベル、例えば血漿アンモニアレベル、血清アンモニアレベル又は全血アンモニアレベルが上昇している可能性がある。いくつかの実施形態では、健常な成人対象(例えば、高アンモニア血症を有する疑いのない対象)の血中アンモニアレベルは、15、20、25、30、35、40、45又は50μmol/L未満、例えば30μmol/L未満である。いくつかの実施形態では、正常より約0.5倍、約1倍、約1.5倍、約2倍、約2.5倍又は約3倍高い血中アンモニアレベルがUCD又はHEを示唆する。いくつかの実施形態では、UCD又はHEを有するか又は有すると疑われる対象は、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175又は180μmol/L以上の血中アンモニアレベルを有する。いくつかの実施形態では、UCD又はHEを有するか又は有すると疑われる対象は、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145又は150μmol/L以上の血中アンモニアレベルを有する。いくつかの実施形態では、UCD又はHEを有するか又は有すると疑われる対象は、100μmol/L以上の血中アンモニアレベルを有する。いくつかの実施形態では、UCD又はHEを有するか又は有すると疑われる対象は、150μmol/L以上の血中アンモニアレベルを有する。
【0103】
高アンモニア血症(例えば、UCD)を有するか、有する疑いがあるか又は有するリスクがある新生児及び小児は、健常な新生児又は小児と比較して、血中アンモニアレベル、例えば血漿アンモニアレベル、血清アンモニアレベル又は全血アンモニアレベルが上昇している可能性がある。いくつかの実施形態では、健常な新生児又は小児は、45±10μmol/Lの平均血中アンモニア濃度を有する。いくつかの実施形態では、健常な新生児又は小児(例えば、高アンモニア血症を有する疑いのない対象)は、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、87、88、89、90、91、92、93、94又は95μmol/L以下、例えば80又は90μmol/Lの平均血中アンモニア濃度を有する。いくつかの実施形態では、UCD又はHEを有するか又は有すると疑われる新生児又は小児は、55、60、65、70、75、80、90又は95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175又は180μmol/L以上の血中アンモニアレベルを有する。
【0104】
いくつかの実施形態では、血中アンモニア濃度は、静脈及び動脈血試料において測定され得る。いくつかの実施形態では、血清アンモニアレベルの測定は、本明細書に記載されるグリカン調製物の有効性をモニタリングするために使用され得る。いくつかの実施形態では、高アンモニア血症のグレード又は重症度は、気体アンモニア(pNH3)(例えば、脳内)の分圧を測定することによって評価され得る。pNH3値は、総アンモニア及びpHから計算することができる。いくつかの実施形態では、高アンモニア血症を有する対象は、対照対象(例えば、高アンモニア血症を有する疑いのない対象)と比較して上昇したレベルのpNH3を有する。
【0105】
いくつかの実施形態では、3-ニトロチロシンの血清レベルは、ミニマル肝性脳症(MHE)を有するか、有すると疑われるか又はそのリスクがある対象において上昇し得る。いくつかの実施形態では、MHEを有するか、有すると疑われるか又はそのリスクがある対象は、約10nM、15nM、20nM、30nM、40nM、50nM、60nM、70nM、80nM、90nM又は100nMを超える血清3-ニトロチロシンレベルを有する。いくつかの実施形態では、MHEを有するか、有すると疑われるか又はそのリスクがある対象は、約10nM又は約15nMを超える血清3-ニトロチロシンレベルを有する。
【0106】
神経画像処理
UCDの急性症状を呈示している間の神経画像処理は、脳浮腫のエビデンスを示し得る。長期にわたる高アンモニア血症を伴う新生児発症UCDを有する対象(例えば、患者)の脳の磁気共鳴イメージング(MRI)は、低酸素性虚血性脳症又は肝性脳症と同様の所見を示し得る。例として、長期にわたる高アンモニア血症を伴う新生児OTC欠乏症は、皮質萎縮、白質嚢胞性変化及び低髄鞘形成を含む慢性変化を引き起こし得る。可逆的な白質病変は、より軽度の後期発症例でも見られ得る。
【0107】
診断
UCDを有する対象(例えば、患者)は、UCD症状、例えば本明細書に記載されるか又は当技術分野で公知の症状を呈した後又は家族歴又は異常新生児スクリーニング検査に基づいて診断され得る。
【0108】
いくつかの実施形態では、診断の第1の工程は、対象(例えば、患者)におけるアンモニアレベル、例えば血中アンモニアレベルの値を取得することである。いくつかの実施形態では、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145又は150μmol/L以上の血中アンモニアレベルは、UCDを示唆する。いくつかの実施形態では、100μmol/L以上の血中アンモニアレベルは、UCDを示唆する。いくつかの実施形態では、150μmol/L以上の血中アンモニアレベルは、UCDを示唆する。
【0109】
いくつかの実施形態では、アンモニア試験は、動脈pH、二酸化炭素圧力、血清乳酸、血清グルコース、血清電解質(例えば、陰イオンギャップを計算するため)、血漿アミノ酸及び尿有機酸及び尿オロチン酸の1つ以上の値の取得を伴う(例えば、その前又は後に続く)必要がある。いくつかの実施形態では、正常な血中グルコース及び陰イオンギャップと組み合わされた(例えば、本明細書に記載される参照値と比較して)上昇した血漿アンモニア濃度は、UCDを強く示唆する。
【0110】
特定の酵素欠乏症を特定するために、酵素分析及び分子遺伝学的検査を含むさらなる検査が行われる。この検査は、
・例えば定量的アミノ酸分析を使用してUCDを区別するための、血漿アミノ酸/尿オロチン酸レベルの値の取得(Summar M.J Pediatr 2001;138:S30)
・血漿シトルリン及び血漿アルギニノコハク酸の値の取得(ここで、シトルリンの上昇及びアルギニノコハク酸の減少又は欠如は、アルギニノコハク酸シンテターゼ(ASS)欠乏症を示唆する)
・血漿シトルリン及び血漿アルギニノコハク酸の値の取得(ここで、シトルリンの上昇及びアルギニノコハク酸の上昇は、アルギニノコハク酸リアーゼ(ASL)欠乏症を示唆する)
・血漿シトルリン、血漿アルギニン、血漿グルタミン及び血漿オロチン酸の値の取得(ここで、シトルリンの減少又は欠如、アルギニンの減少、グルタミンの増加及び/又はオロチン酸の減少は、カルバミルリン酸シンテターゼI(CPSI)欠乏症を示唆する)
・血漿シトルリン、血漿アルギニン、血漿グルタミン及び血漿オロチン酸の値の取得(ここで、シトルリンの減少又は欠如、アルギニンの減少又は欠如も低く、グルタミンの上昇及び/又はオロチン酸の上昇は、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠乏症を示唆し;オロチン酸は、クレアチニンを1000マイクロモル/モル超(通常、1~11マイクロモル/モルのオロチン酸/クレアチニン)まで増加させることができる)
・血漿シトルリン、血漿アルギニン及び/又は血漿グルタミンの値の取得(ここで、シトルリンの減少又は欠如、アルギニンの減少又は欠如及び/又はグルタミン酸の上昇は、N-アセチルグルタミン酸シンテターゼ(NAGS)欠乏症を示唆する)
・血漿アルギニンの値の取得(ここで、アルギニンの上昇(例えば、基準値、例えば標準値から、3~4倍高い)は、アルギナーゼ欠乏症を示唆する(GeneReviews:Arginase Deficiency.http://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK1159/(2011年9月21日アクセス))
を含み得る。
【0111】
UCDを有する対象(例えば、患者)における特定の酵素欠乏症の診断は、組織試料の酵素活性分析により確認することができる。いくつかの実施形態では、肝臓生検試料の酵素活性分析は、CPSI、OTC及び/又はNAGS欠乏症の診断に使用され得る。いくつかの実施形態では、皮膚生検試料からの線維芽細胞の酵素活性分析は、ASS及び/又はASL欠乏症の診断に使用され得る。いくつかの実施形態では、赤血球試料の酵素活性分析は、アルギナーゼ欠乏症の診断に使用され得る。ほとんどのインビトロアッセイは、過剰の基質を用いて無細胞抽出液で実施されるため、測定された酵素活性は、残留インビボ酵素活性又は表現型(例えば、UCD症状)の重症度と常に相関するとは限らない。さらに、X連鎖障害OTC欠乏症では、肝生検で測定されたOTC活性のレベルは、肝臓でのX不活性化のパターンに応じて、UCDを有する女性において正常であり得る。いくつかの実施形態では、肝組織、例えば切開又は針パンチ生検によって得られたものを試料として使用して、任意選択によりDNA検査が陰性である、UCDに関連する全ての酵素(例えば、本明細書に開示されている酵素)について活性の値を取得し得る。
【0112】
他の診断技術は、UCDを有する対象(例えば、患者)における異常、特に無症候性の期間中に正常な検査値を有する部分的な酵素欠乏症の異常を検出するのに役立ち得る。アロプリノールの投与後にオロチン酸の尿中排泄の値を取得することは、変異OTCアレルのキャリアである女性を特定するために使用することができる(Hauser ER,et al.N Engl J Med 1990;322:1641;Burlina AB,et al.J Inherit Metab Dis 1992;15:707)。インビボでの同位体の投与は、尿素サイクル活性の変化を評価するために利用することができる(Scaglia F,et al.Pediatrics 2002;109:150;Lee B,et al.Proc Natl Acad Sci U S A 2000;97:8021)。安定同位体は、全身尿素合成及び窒素流出(尿素サイクル活性を評価する)の速度を測定するために使用でき、完全又は部分的な酵素欠乏症を有する対象(例えば、患者)及びUCD関連アレルの無症候性キャリアを識別することができる。
【0113】
DNA配列決定ベースの変異検査は、対象(例えば、患者)がUCD関連変異を有するかを評価するのにも役立ち得る。配列決定ベースは、診断の第一選択アプローチとして使用され得る。OTC欠乏症のDNA検査は、特に血漿アミノ酸分析が診断に役立たない場合、UCDが疑われる患者で考慮され得る。いくつかの実施形態では、OTC欠乏症が最も一般的なUCDである。150を超える変異(その大半が単一塩基置換である)は、OTC欠乏症に基づいてUCDを引き起こすことが報告されている(McCullough BA,et al.Am J Med Genet 2000;93:313)。しかしながら、OTCをコードする遺伝子の一部又は全てが微小欠失すると、DNA配列決定で偽陰性の結果が生じ得る。この潜在的な問題に対処するために、最初のDNA配列決定が陰性の場合、アレイ比較ゲノムハイブリダイゼーション(aCGH)又は遺伝子の微小欠失を検出する染色体マイクロアレイ分析が使用され得る(Shchelochkov OA,et al.Mol Genet Metab 2009;96:97)。
【0114】
標的DNA配列決定変異解析の代替は、臨床的全エクソーム解析に次世代DNA配列決定を適用することであり、これは、全てではないとしても、大半のコード遺伝子における変異を同定する可能性を有する(Bamshad MJ,et al.Nat Rev Genet 2011;12:745)。この手法では、全てのUCD遺伝子及び高アンモニア血症を引き起こし得る他の遺伝子変異体を検出することができる。しかしながら、前記配列決定は、小さい単一又は複数のエクソンの欠失を見逃し得る。単一エクソン感度で設計されたaCGHは、これに対処するためにDNA配列決定と組み合わせて実施され得る(Shchelochkov OA,et al.Mol Genet Metab 2009;96:97)。
【0115】
UCDの症状は、多くの場合、新生児に現れるため、対象(例えば、患者)は、出生前及び新生児の段階で検査され得る。変異が既知である場合、全てのUCDについて出生前検査をDNA分析によって実施することができる(Scaglia F,et al.J Nutr 2004;134:2775S)。両親のキャリア状態は、出生前DNA検査の前に確認され得る。ASS及びASL酵素活性は、羊膜細胞及び絨毛膜絨毛細胞で直接測定することができる。上昇したシトルリン及びアルギニノコハク酸は、羊水で測定することができる。CPSI及びOTCは、胎児肝臓で測定できる。X染色体のランダム不活性化のため、OTC欠乏症を有する女性の臨床表現型は予測できない。タンデム質量分析によるUCD及び他の先天性代謝異常の検査は、現在大半の新生児スクリーニングプログラムに含まれている(Wilcken B.J Inherit Metab Dis 2010;33:S205;Cavicchi C,et al.J Pharm Biomed Anal 2009;49:1292;Huang HP,et al.J Formos Med Assoc 2006;105:882)。
【0116】
UCDの治療
UCDを治療するための既存の治療的選択肢は、水分補給及び良好な尿量の維持(例えば、水分過剰なし)、薬物及び/又は血液透析を使用した身体からの窒素(例えば、アンモニア)の除去、タンパク質摂取の減少/停止及び/又は異化作用の最小化並びに同化作用の刺激及び筋肉による窒素前駆体の取り込みを含む。
【0117】
UCDを有する対象(例えば、患者)は、典型的には、不十分な摂食及び/又は再発性の嘔吐の病歴のために体液量が枯渇している。血管内液の補充が優先事項である。水分補給及び良好な尿量の維持は、輸液を静脈内投与することによって達成できる。静脈内アクセスは、好ましくは、中央カテーテルを介して、採血のために且つ輸液と薬物の投与のために確立することができる。静脈内輸液は、水中10%のデキストロースで構成され得るが、長期にわたる高血糖は、避けるべきである。窒素除去薬の生理食塩水の高含有量のため、生理食塩水注入は、最小限に抑えるべきである。
【0118】
UCDを有する対象(例えば、患者)は、身体からの窒素(例えば、アンモニア)の除去により治療され得る。血液透析は、窒素除去の最も迅速で最も効率的な方法であり、対象においてアンモニアが急速に増加している場合、対象が薬物療法に耐性のある急性高アンモニア血症であり、且つ/又はアンモニアのレベルが持続的に350~400μmol/Lの範囲を超えている場合に使用できる(Schaefer F,et al.Nephrol Dial Transplant 1999;14:910)。血液透析ではなく静脈内輸液投与は、より軽度のUCD症状(例えば、高アンモニア血症)を示すアルギナーゼ欠乏症を有する患者では、多くの場合、十分な治療法である(GeneReviews:Arginase Deficiency.http://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK1159/(2011年9月21日アクセス)。UCDを有する対象(例えば、患者)を治療するために様々な形態の血液透析を使用され得、これは、持続的動静脈又は静静脈血液透析及び血液透析による体外膜型酸素供給(ECMO)を含む。
【0119】
窒素の除去は、フェニル酢酸ナトリウム及び安息香酸ナトリウムを含む医薬組成物を使用して促進し得る。これらの薬物は、窒素前駆体を排出する代替経路を作ることにより、アンモニアを除去する(Summar M.J Pediatr 2001;138:S30)。フェニルアセテートは、グルタミンと組み合わさってフェニルアセチルグルタミンを形成し、ベンゾエートは、グリシンと組み合わさって馬尿酸を形成する(Darmaun D,et al.Am J Physiol 1998;274:E801;Green TP,et al.J Pediatr 1983;102:785)。フェニルアセチルグルタミン及び馬尿酸は、水溶性であり、尿中に排泄される。この治療の有効性には、適切な腎機能が不可欠である(Brusilow SW,et al.Lancet 1979;2:452)。グルタミン及びグリシンを処理すると、総窒素プールが減少する。いくつかの実施形態では、フェニル酢酸ナトリウム及び安息香酸ナトリウムは、UCDを有する対象(例えば、患者)に別個に(例えば、連続的又は同時に)投与され得る。いくつかの実施形態では、フェニル酢酸ナトリウム及び安息香酸ナトリウム(例えば、Ammonul)の組み合わせ調製物は、UCDを有する対象(例えば、患者)に投与される。いくつかの実施形態では、フェニル酢酸ナトリウム及び安息香酸ナトリウムの送達は、非経口的である。いくつかの実施形態では、20kg以下の体重の対象(例えば、患者)について、フェニル酢酸ナトリウム及び安息香酸ナトリウムの負荷投与量は、90分かけて注入される10%デキストロース溶液25~35mL/kgの体積で500mg/kg(各薬物250mg/kg)である。いくつかの実施形態では、体重が20kgを超える対象(例えば、患者)について、投与量は、体表面積に基づき、負荷投与量は、11g/m2(すなわち各薬物5.5g/m2)である。同じ実施形態では、フェニル酢酸ナトリウム-安息香酸ナトリウムの維持注入は、20kg未満の患者について、24時間あたり500mg/kgであり、20kgを超える患者について、連続注入として24時間あたり11g/m2であり得る。負荷投与量が完了すると、維持注入が開始される。Ammonulの維持注入は、フェニル酪酸ナトリウムの経口投与が許容されるまで継続され得る。
【0120】
窒素の除去は、アルギニンの投与によっても促進され得る。尿素サイクルにおける酵素欠乏(アルギナーゼ欠乏を除く)は、アルギニンの形成を防止し、このため、アルギニンは、必須アミノ酸となる(Kline JJ,et al.Am J Dis Child 1981;135:437)。アルギニン欠乏は、タンパク質分解からの窒素のさらなる動員を刺激する異化状態を引き起こす。OTC、ASS及びASL欠乏では、オルニチン、シトルリン、アルギニノコハク酸を含む尿素サイクル中間体を生成するためにもアルギニンが必要とされる。アルギニンが提供されると、これらの水溶性化合物を形成及び排出することができ、これによりアンモニアがさらに除去される(Brusilow SW,Batshaw ML.Lancet 1979;1:124;Batshaw ML,et al.N Engl J Med 1982;306:1387;Lee B,et al.Proc Natl Acad Sci U S A 2000;97:8021)。いくつかの実施形態では、対象(例えば、患者)がCPSI又はOTC欠乏症を有する場合又はUCDの特定の酵素欠乏症が特定されていない場合、アルギニンの維持用量は、20kg以下の患者について、24時間あたり200mg/kgであり、20kgを超える患者について、24時間あたり4g/m2であり得る。いくつかの実施形態では、対象(例えば、患者)がASS又はASL欠乏症を有する場合、アルギニンの維持用量は、静脈内で、20kg以下の患者について、24時間あたり600mg/kgであり、20kgを超える患者について、24時間あたり12g/m2であり得る。
【0121】
窒素の除去は、シトルリンの投与によっても促進され得る。OTC又はCPS欠乏症では、ASSの上流の障害では尿素としてクリアランスのためにアスパラギン酸窒素を組み込むことに利点があり得るため、シトルリンの経口用量(20kg以下の患者について、24時間あたり150~200mg/kg、20kgを超える患者について、24時間あたり3~4g/m2)が提供され得る。UCDの特定の酵素欠乏症が不明である場合、シトルリンを投与すべきではない。これは、ASS及びASL欠乏症ではシトルリンレベルが上昇するためである。
【0122】
窒素の除去は、カルグルミン酸の投与によっても促進され得る。カルグルミン酸は、高アンモニア血症、例えばNAGS欠乏症に関連する高アンモニア血症の治療に使用され得る。カルグルミン酸は、尿素サイクルの第1の酵素(CPSI)を活性化して、血漿アンモニアを通常レベルに急速に低下させることができる。これは、NAGS欠乏症による急性及び慢性高アンモニア血症の両方に使用される。高アンモニア血症が重度の場合、カルグルミン酸に加えてフェニル酢酸ナトリウム-安息香酸ナトリウム(Ammonul)を使用し得るか、又はそうでなければカルグルミン酸を単独で投与し得る。いくつかの実施形態では、急性高アンモニア血症の最初のカルグルミン酸用量は、経口で100~250mg/kg/日の範囲である(液体として調製され、食事の直前に投与される2~4用量に分割される)。患者の症状及び血漿アンモニア値により、用量は、調整され得る。いくつかの実施形態では、慢性高アンモニア血症の維持治療のためのカルグルミン酸の用量は、典型的には100mg/kg/日未満である。
【0123】
UCDを有する対象(例えば、患者)は、タンパク質制限、例えばタンパク質摂取の減少/停止及び/又は異化作用の最小化により治療され得る。タンパク質摂取の過剰且つ長期の制限は窒素の末梢動員を刺激するため、この治療法は、適度に使用されなければならない。いくつかの実施形態、例えば急性高アンモニア血症、例えば脳症を伴うものでは、経口摂食が中止され得る。代わりに、タンパク質が欠如している脂質及びグルコースの静脈内投与を使用し得る。いくつかの実施形態では、投与される1日のタンパク質摂取量は、年齢によって異なり、出生時に1日あたり2.0~2.5g/kgから、成人では1日あたり0.6~0.8g/kg未満の範囲である。UCDを有する小児は、正常な成長のために推奨されるタンパク質の1日摂取量よりもさらに少ない量を要し得る。尿素サイクル酵素の部分的欠乏を有する対象(例えば、患者)は、より多くのタンパク質摂取に耐え得る。いくつかの実施形態では、タンパク質及びアミノ酸の1日摂取量は、患者の年齢、成長率、検査室モニタリング(例えば、血中の必須アミノ酸レベル、プレアルブミン、アルブミン及びヘモグロビン)並びに臨床経過に従って調整される。
【0124】
UCDを有する対象(例えば、患者)は、肝移植、肝細胞移植及び/又は遺伝子治療を含む他の方法で治療され得る。肝移植は、CPSI又はOTC欠乏症UCDの新生児に対して、薬物療法に応答しなかった対象(例えば、患者)及び肝硬変に関連するASL欠乏症UCDで使用され得る。しかしながら、他の治療的選択肢が再発性高アンモニア血症を防止できない場合、任意の形態のUCDを有する対象(例えば、患者)は、肝移植の候補となり得る。
【0125】
肝性脳症(HE)
いくつかの実施形態では、肝性脳症(HE)を有する対象は、本明細書に提供される方法に従って治療され得る。肝性脳症は、非特異的な神経精神症状の複雑なセット及び患者とその親族の両方の生活の質に影響を与える臨床徴候をカバーする。肝性脳症は、全ての形態の肝硬変を含む進行性肝疾患の一般的な合併症であり、肝硬変患者の最大80%は、ミニマル肝性脳症(MHE)から明白な肝性脳症(OHE)までの何らかの形態のHEを有する。
【0126】
OHEは、特別な検査を行わなくても臨床医が観察できる神経学的異常として定義される。症状には、手又は腕の振戦、見当識障害、不明瞭な発話が含まれ、患者は、昏睡に進行し得る。OHEは、肝疾患、肝硬変を有する患者及び経頸静脈的肝内門脈体循環シャント(TIPS)を有する患者で発症し得る。この状態は、胃腸管の出血又は感染に続き得る。OHEの発症は死亡率の増加と関連している。OHEでの入院は、末期肝疾患(ESLD)を有する患者で頻繁に見られる。
【0127】
MHEを有する患者は、特殊な心理測定検査を使用してのみ検出され得る微妙な症状を有し、MHEは、一般的に過少診断される。現在、MHEを定義するための臨床診療における一般的な診断パラダイムはなく、MHEについて承認された治療法はない。MHEは、自立した生活スキル(例えば、運転)の喪失を引き起こし得、OHEのその後の発症を予測する。多くの場合、ある要因によって引き起こされ、その後回復する、OHEの単回エピソードを有する患者も、あるレベルのMHEを有する可能性が高い。
【0128】
呈示及び症状
肝性脳症には、肝臓がアンモニアなどの毒性物質を血液から除去できない場合に発生する複数の有害な神経学的症状が含まれる。肝機能障害には、肝硬変(及び門脈圧亢進症)、例えばA型(急性肝不全(ALF)に起因)、B型(主にPSSに起因)又はC型(硬変に起因)(肝硬変の重症度に関するチャイルド・ピュースコア);硬変不存在の場合 - 自発的又は外科的に作られた門脈体循環シャント(門脈体循環シャント手術);門脈全身バイパス、急性肝不全(ALF)又は急性憎悪した慢性肝不全(ACLF)が含まれる。
【0129】
HEを管理するための2014 AASLD及びEASL臨床診療ガイドラインでは、基礎となる肝疾患、症状の重症度、時間経過及び促進因子に従ってHEを分類することを推奨している。HEの重症度は、臨床症状に基づいて等級付けされ得る:ミニマル(臨床症状のない心理測定又は神経生理学的検査の異常結果);グレードI(軽度の混乱、不明瞭な発話、睡眠障害、行動変化);グレードII(倦怠感、軽度の混乱);グレードIII(著しい混乱(昏迷)、一貫性のない発話、睡眠はあるが覚醒し得る);及びグレードIV(昏睡、痛みに反応しない)。HEは、疾患の時間経過に従ってさらに細分化され得る:突発性;再発性(HEの発作が6か月以下にわたって発生する);及び持続性(行動変化のパターンが常に存在し、明白なHEの再発が散在している)。
【0130】
「ミニマル肝性脳症」(MHE)は、「潜在性肝性脳症」(CHE)という用語と互換的に使用され、見当識障害を有しないか又は羽ばたき振戦を呈さない、慢性肝疾患(CLD)を有する患者における脳機能障害の検査依存性又は臨床的兆候の存在として定義される。「ミニマル」という用語は、HEの臨床的兆候、認知的兆候又は他の兆候がないことを意味する。「潜在性」という用語には、ミニマル及びグレード1のHEが含まれる。CLDを有する患者におけるMHE及びCHEの発生率は、50%に達し得るため、リスクのある患者を検査すべきである。
【0131】
HEを有する対象は、混乱、物忘れ、不安又は興奮、性格又は行動の突然の変化、睡眠パターンの変化、見当識障害、甘い又はカビ臭い息、不明瞭な発話及び/又は運動機能の制御困難を含む認知障害を呈し得る。この状態は、進行性肝疾患又は大規模な門脈体循環シャント(例えば、TIPS)による脳機能のびまん性障害を反映している。患者は、動作緩慢、反射亢進、硬直、ミオクローヌス及び羽ばたき振戦を含む神経筋障害を呈し得る。日中の睡眠パターンの障害(不眠症及び過眠症)は、肝性脳症の一般的な初期症状であり、通常、他の精神状態の変化又は神経筋症状に先行する。
【0132】
診断
HEの診断は、肝機能、血清アンモニアレベル、EEG及び他の血液検査と神経学的検査とを使用して実施され得る。診断のための心理測定検査は、数字つなぎ検査(Reitan Test)(肝性脳症を有しない患者が年齢数以下の秒数でテストを終了するであろう2つのパートで実施される、時間を計った数字つなぎ検査);心理測定肝性脳症スコア(PHES)(認知及び精神運動の処理速度と視覚運動協調を評価する5つのペーパー筆記検査);抑制制御検査(ICT)(注意欠陥障害、統合失調症及び外傷性脳損傷を特徴付けるために使用されている注意及び反応抑制のコンピューター検査);STROOPタスク(前方注意システムの機能を評価し、ミニマル肝性脳症における認知障害の検出に高感度である、精神運動速度と認知柔軟性の検査);神経心理学的状態の評価のための反復可能バッテリー(RBANS)(ミニマル肝性脳症に関連する広範囲の神経認知機能を測定する);及び連続反応時間(CRT)検査((ヘッドフォンを介して)聴覚刺激に対する運動反応時間(ボタンを押す)の繰り返し登録に依存する)を含む。
【0133】
診断のための神経生理学的検査は、臨界フリッカー周波数(CFF)検査(融合光(60Hzから下で示される)が観察者にとってちらつくように見える周波数として定義される心理生理学的ツール);脳波検査(患者の協力又は学習効果のリスクなしに、HEのスペクトル全体で皮質脳活動の変化を検出し得る);及び誘発電位(様々な求心性刺激に応じてニューロンネットワークを介した放電の同期ボレーを反映する外部記録された電気信号)を含む。いくつかの実施形態では、肝性脳症は、2つ以上の心理測定又は神経生理学的検査の任意の組み合わせを使用して診断される。
【0134】
HEの治療
HEの医学的治療には、現在、胃腸出血又は感染症など、基礎となる要因がある場合にその治療が含まれる。HEの標準治療には、ラクツロース、ラクチトール及び抗生物質(例えば、リファキシミン又はネオマイシン)が含まれる。
【0135】
ラクツロースは、OHE患者における高アンモニア血症を軽減するために数十年にわたって使用されてきた非吸収二糖である。ラクツロースの作用機序は、主に便のパージ及び結腸環境の酸性化によって機能し、アンモニアからアンモニウムへの変換を導き、これは、容易には結腸バリアを通過して血流に入らない。ラクツロースは、細菌の成長を刺激し、アンモニアの細菌タンパク質への同化を促進することも示されている。ラクツロースは、プラセボと比較してOHEのエピソードを最大50%減少させる。
【0136】
リファマイシンに由来する吸収性の低い抗生物質であるリファキシミンは、現在OHEの台に第二選択治療として承認されており、ラクツロース単独でOHEを制御できない場合にラクツロースと併用される。ラクツロースと組み合わせて投与すると、リファキシミンは、OHEのエピソードをおよそ50%減少させる。ラクツロースもリファキシミンも、OHE再発のリスクを十分に低減せず、そのエピソードごとに死亡リスクが大幅に増加する。
【0137】
治療には食事改善及びプロバイオティクスも含まれ得る。治療効果は、上記で列挙した症状又は診断基準の分析(例えば、血清アンモニアレベルの低下)、HEの将来のエピソードの発生率の低下又はHEのリスクがある対象では、HEの初期エピソードの発生の減少によって評価され得る。
【0138】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法(例えば、UCDを治療する方法、HE(例えば、MHE又はOHE)を治療する方法、酵素活性を増加又は減少させる方法、代謝産物(例えば、アンモニア)のレベルを減少させる方法及び例えばUCD又はHE(例えば、MHE又はOHE)に対する治療レジメンを特定又は選択する方法)は、UCD又はHE(例えば、MHE又はOHE)を有する対象を治療するために、1つ以上(例えば、1、2、3、4つ又はそれを超える)の既存の治療的選択肢、例えば本明細書に記載の治療的選択肢と組み合わされ得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、UCDの治療のために、水分補給と組み合わされ得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、UCDの治療のために、血液透析の使用と組み合わされ得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、UCDの治療のために、フェニル酢酸ナトリウム及び安息香酸ナトリウムを投与することと組み合わされ得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、UCDの治療のために、アルギニン、シトルリン又はカルグルミン酸を投与することと組み合わされ得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、UCDの治療のために、タンパク質制限(例えば、異化作用の最小化及び同化作用の刺激)と組み合わされ得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、UCDの治療のために、肝移植と組み合わされ得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、UCDの治療のために、1つ以上の遺伝子治療と組み合わされ得る。
【0139】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、HEの治療のために、任意の適切な標準治療と組み合わされ得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、HEの治療のために、ラクツロースと組み合わされ得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、HEの治療のために、抗生物質、例えばリファキシミンと組み合わされ得る。いくつかの実施形態では、対象は、グリカン調製物の投与前にラクツロース又はリファキシミンで治療されている。いくつかの実施形態では、対象は、グリカン調製物の投与と同時に、ラクツロース又は抗生物質、例えばリファキシミンで治療されている。いくつかの実施形態では、対象は、グリカン調製物を投与する前にリファキシミンで治療されている。いくつかの実施形態では、対象は、グリカン調製物を投与する前にラクツロース及びリファキシミンで治療されている。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、HEの治療のために、ラクチトールと組み合わされ得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、HEの治療のために、食事改善と組み合わされ得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、HEの治療のために、共生細菌又はプロバイオティクスと組み合わされ得る。
【0140】
いくつかの実施形態では、アルファ-1,6結合、例えば他のグリカンと比較して増加した数、例えば30%超のアルファ-1,6結合を含むグリカン調製物[例えば、glu100-133は、32.33%のアルファ-1,6結合を含み、アンモニアを1.35mM NH3に減少させ;glu100-17は、42.86%のアルファ-1,6結合を含み、アンモニアを0.51mM NH3に減少させる]は、アンモニアを例えば対象において減少させるのに役立ち得る。いくつかの実施形態では、より少ないベータ-1,6結合及びベータ-1,4結合、例えば他のグリカンと比較して減少した数、例えば35%以下のベータ-1,6結合及びベータ-1,4結合を含むグリカン調製物[例えば、glu100-133は、31.99%のベータ-1,4/1,6結合を含み、アンモニアを1.35mM NH3に減少させ;glu100-18は、27.35%のベータ-1,4/1,6結合を含み、アンモニアを0.22mM NH3に減少させる]は、アンモニアを例えば対象において減少させるのに役立ち得る。いくつかの実施形態では、ベータ-1,3結合、例えば他のグリカンと比較して増加した数、例えば3%超のベータ-1,3結合を含むグリカン調製物[例えば、glu100-133は、4.76%のベータ-1,3結合を含み、アンモニアを1.35mM NH3に減少させ;glu100-78は、5.90%のベータ-1,3結合を含み、アンモニアを0.18mM NH3に減少させる]は、アンモニアを例えば対象において減少させるのに役立ち得る。いくつかの実施形態では、アルファ結合、例えば他のグリカンと比較して増加した数のアルファ結合を含むグリカン調製物は、アンモニアを例えば対象において減少させるのに役立つ。いくつかの実施形態では、分岐の増加、例えば他のグリカンと比較して増加した分岐のレベルを含むグリカン調製物は、アンモニアを例えば対象において減少させるのに役立つ。いくつかの実施形態では、結合多様性の増加、例えば他のグリカンと比較して増加した結合多様性のレベルを含むグリカン調製物は、アンモニアを例えば対象において減少させるのに役立つ。いくつかの実施形態では、これらの特性は、グルコースを含むグリカン及びグリカン調製物に適用される。
【0141】
患者集団
いくつかの実施形態では、対象は、高アンモニア血症に罹患している。いくつかの実施形態では、高アンモニア血症を有する対象は、尿素サイクル異常症(UCD)に罹患している。いくつかの実施形態では、高アンモニア血症を有する対象は、肝性脳症(HE)に罹患している。いくつかの実施形態では、高アンモニア血症は、少なくとも部分的に、アルコール及び/又はアルコール性肝硬変によって引き起こされるか又はそれに関連している。いくつかの実施形態では、高アンモニア血症は、少なくとも部分的に、自己免疫性肝炎、慢性B型肝炎又は慢性C型肝炎によって引き起こされるか又はそれに関連している。いくつかの実施形態では、高アンモニア血症は、少なくとも部分的に、脂肪肝によって引き起こされるか又はそれに関連している。いくつかの実施形態では、高アンモニア血症は、少なくとも部分的に、C型肝炎によって引き起こされるか又はそれに関連している。いくつかの実施形態では、高アンモニア血症は、少なくとも部分的に、C型肝炎及びアルコールによって引き起こされるか又はそれに関連している。いくつかの実施形態では、高アンモニア血症は、少なくとも部分的に、鉄過剰及び脂肪症によって引き起こされるか又はそれに関連している。いくつかの実施形態では、高アンモニア血症は、少なくとも部分的に、非アルコール性脂肪性肝炎によって引き起こされるか又はそれに関連している。いくつかの実施形態では、高アンモニア血症は、少なくとも部分的に、非アルコール性脂肪性肝炎及びB型肝炎によって引き起こされるか又はそれに関連している。いくつかの実施形態では、高アンモニア血症は、少なくとも部分的に、原発性胆汁性肝硬変によって引き起こされるか又はそれに関連している。
【0142】
いくつかの実施形態では、高アンモニア血症を有する対象は、ラクツロース又はリファキシミンで以前に治療されているか又はそれを投与されている。いくつかの実施形態では、少なくとも部分的に、アルコール、アルコール性肝硬変、C型肝炎及びアルコール又は非アルコール性脂肪性肝炎によって引き起こされるか又はそれに関連している高アンモニア血症を有する対象は、ラクツロース又はリファキシミンで以前に治療されているか又はそれを投与されている。
【0143】
いくつかの実施形態では、高アンモニア血症を有する対象は、少なくとも5のチャイルド・ピュースコアを有する。いくつかの実施形態では、高アンモニア血症を有する対象は、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15のチャイルド・ピュースコアを有する。いくつかの実施形態では、高アンモニア血症を有する対象は、5~6のチャイルド・ピュースコアを有する。いくつかの実施形態では、高アンモニア血症を有する対象は、7~9のチャイルド・ピュースコアを有する。いくつかの実施形態では、高アンモニア血症を有する対象は、10~15のチャイルド・ピュースコアを有する。
【0144】
いくつかの実施形態では、高アンモニア血症を有する対象は、高アンモニア血症を有しない対象と比較して高いアンモニアレベル、例えば血中アンモニアレベルを有する。いくつかの実施形態では、高アンモニア血症を有する対象は、高アンモニア血症を有しない対象と比較して高いアンモニアレベル、例えば血中アンモニアレベルを有しない。
【0145】
いくつかの実施形態では、高アンモニア血症を有する対象は、高アンモニア血症を有しない対象と比較して高いアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルを有する。いくつかの実施形態では、高アンモニア血症を有する対象は、高アンモニア血症を有しない対象と比較して高いアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルを有しない。
【0146】
いくつかの実施形態では、高アンモニア血症を有する対象は、高アンモニア血症を有しない対象と比較して高いガンマグルタミルトランスフェラーゼ(GGT)レベルを有する。いくつかの実施形態では、高アンモニア血症を有する対象は、高アンモニア血症を有しない対象と比較して高いガンマグルタミルトランスフェラーゼ(GGT)レベルを有しない。
【0147】
いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも部分的に、アルコール又はアルコール性肝硬変によって引き起こされた又はそれに関連した高アンモニア血症を有し、任意選択により、対象は、以前にラクツロース又はリファキシミンで治療されており、任意選択により、対象は、高アンモニア、高ALT及び/又は高GGTレベルを有する。
【0148】
いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも部分的に、自己免疫性肝炎、慢性B型肝炎又は慢性C型肝炎によって引き起こされた又はそれに関連した高アンモニア血症を有し、対象は、以前にラクツロース又はリファキシミンで治療されておらず、対象は、高アンモニア、高ALT又は高GGTレベルを有しない。
【0149】
いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも部分的に、脂肪肝又は脂肪肝疾患によって引き起こされた又はそれに関連した高アンモニア血症を有し、対象は、以前にラクツロース又はリファキシミンで治療されておらず、任意選択により、対象は、高ALT及び/又は高GGTレベルを有する。
【0150】
いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも部分的に、C型肝炎によって引き起こされた又はそれに関連した高アンモニア血症を有し、任意選択により、対象は、以前にラクツロース又はリファキシミンで治療されておらず、任意選択により、対象は、高アンモニア、高ALT及び/又は高GGTレベルを有する。
【0151】
いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも部分的に、鉄過剰及び脂肪症によって引き起こされた又はそれに関連した高アンモニア血症を有し、対象は、以前にラクツロース又はリファキシミンで治療されておらず、対象は、高ALTレベルを有する。
【0152】
いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも部分的に、非アルコール性脂肪性肝炎によって引き起こされた又はそれに関連した高アンモニア血症を有し、任意選択により、対象は、以前にラクツロース又はリファキシミンで治療されており、任意選択により、対象は、高アンモニア、高ALT及び/又は高GGTレベルを有する。
【0153】
いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも部分的に、原発性胆汁性肝硬変によって引き起こされた又はそれに関連した高アンモニア血症を有し、対象は、高GGTレベルを有する。
【0154】
グリカン組成物及びその製造
グリカン組成物は、本明細書中に記載されるグリカン、食物繊維、例えば、FOS(フルクトオリゴ糖)、他の糖類(例えばモノマー、ダイマー、例えば、ラクツロース(lactulose)など)及び糖アルコール並びに任意選択により、他の成分、例えばポリフェノール、脂肪酸、ペプチド、微量栄養素など、例えば、国際公開第2016/172658号パンフレット、“MICROBIOME REGULATORS AND RELATED USES THEREOF”に記載されるもの及び細菌などの微生物を含み得る。
【0155】
国際公開第2016/122889号パンフレット、“GLYCAN THERAPEUTICS AND RELATED METHODS THEREOF”及び国際公開第2016/172657号パンフレット“GLYCAN THERAPEUTICS AND METHODS OF TREATMENT”(これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されるグリカン調製物は、本明細書に記載の方法及び組成物に好適である。
【0156】
グリカンを含む調製物は、非酵素触媒、例えば、国際公開第2012/118767号パンフレット、“POLYMERIC ACID CATALYSTS AND USES THEREOF”に記載のポリマー触媒又は他の好適な方法によって生成することができる。他の酸触媒(例えば、固体触媒)が使用され得る。本明細書に記載されるポリマー触媒及び固体担持触媒を調製する方法は、国際公開第2014/031956号パンフレット、“POLYMERIC AND SOLID-SUPPORTED CATALYSTS、AND METHODS OF DIGESTING CELLULOSIC MATERIALS USING SUCH CATALYSTS”中に見出すことができる。例えば、国際公開第2016/007778号パンフレット、“OLIGOSACCHARIDE COMPOSITIONS AND METHODS FOR PRODUCING THEREOF”に記載されているような触媒を使用することによって生成されるグリカンは、本明細書に記載の方法及び組成物に好適である。全ての特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0157】
いくつかの実施形態では、グリカンは、固相オリゴ糖合成により、例えばグリカン合成を達成する種々の保護基を用いて作製される。例示的な方法は、“Solid-Phase Oligosaccharide Synthesis and Combinatorial Carbohydrate Libraries”,Peter H.Seeberger and Wilm-Christian Haase,American Chemical Society,2000;及び“Opportunities and challenges in synthetic oligosaccharide and glycoconjugate research”,Thomas J.Boltje et al.,Nat Chem.2009 November 1;1(8):611-622に記載されている。
【0158】
いくつかの実施形態では、グリカンは、酵素触媒(例えば、グリコシダーゼ又はグリコシルトランスフェラーゼ、細菌で単離又は発現される)を使用して合成され、反応に添加される個々のグリカンサブユニットからオリゴマーを作製する重合反応によってグリカンを合成し得る。例示的な方法は、“Synthesis and Purification of Galacto-Oligosaccharides:State of the Art”,Carlos Vera et al.,World J.Microbiol Biotechnol.2016;32:197;“Synthesis of Novel Bioactive Lactose-Derived Oligosaccharides by Microbial Glycoside Hydrolases”,Marina Diez-Municio et al.,Microbial Biotechnol.2014;7(4),315-331;及び“Methods of Improving Enzymatic Trans-Glycosylation for Synthesis of Human Milk Oligosaccharide Biomimetics”,Birgitte Zeuner et al.,J.Agric.Food Chem.2014,62,9615-9631、国際公開第2005/003329号パンフレット「NOVEL GALACTOOLIGOSACCHARIDE COMPOSITION AND THE PREPARATION THEREOF」に記載され、これらは、全て参照により本明細書に組み込まれる。
【0159】
いくつかの実施形態では、グリカン調製物は、デンプン及び食物繊維(本明細書に記載のものなど)などの他の繊維などのグリカンポリマーを使用して調製され得、それらを触媒(例えば、酸触媒、固体又はポリマー触媒、酵素触媒)に供して、1つ以上のグリカン(又は繊維)特性、例えば重合度(例えば、解重合)、分岐度(例えば、脱分岐)又はグリコシド結合分布(例えば、新しいタイプのグリコシド結合の追加又は既存の結合の除去による)を変更し得る。コーンシロップの例示的な方法は、参照により組み込まれる米国特許出願公開第2016/0007642号明細書、実施例101に記載されている。難消化性デンプンの調製に使用される方法などの他の方法(例えば、M.G.Sajilata et al.,“Resistant Starch-A Review,” Comprehensive Reviews in Food Science and Food Safety-Vol.5,2006及び米国特許出願公開第2006/0257977号明細書「Slowly digestible starch」に記載される)、例えば熱処理、酵素処理、化学処理又はそれらの組み合わせなどを使用して、本明細書に記載のグリカン調製物を産生し得る。
【0160】
グリカン調製物特性
グリカン調製物は、国際公開第2016/122889号パンフレット、国際公開第2016/172657号パンフレット、国際公開第2016/007778号パンフレット及び国際公開第2016/172658号パンフレット(これらはそれぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載される特徴及び特性の1つ以上、並びに本明細書に記載の特徴及び特性を有し得る。
【0161】
本明細書に記載の方法によって製造されるグリカンは、オリゴ糖を含み得る。いくつかの実施形態では、グリカンは、ホモオリゴ糖(又はホモグリカン)を含み、ここで、ポリマー中の全ての単糖は同じ型である。
【0162】
いくつかの実施形態では、グリカンは、ヘテロオリゴ糖(又はヘテログリカン)を含み、このポリマー中には複数の型の単糖が存在する。いくつかの実施形態では、グリカンは、本明細書に記載の特性の1つ以上を有する。いくつかの実施形態では、グリカン調製物は、本明細書に記載のバルク特性の1つ以上を有する。
【0163】
重合度(DP)
いくつかの実施形態では、グリカン調製物は、例えば、本明細書中に記載される方法を用いて製造されるが、それらは、多分散系であり、ある範囲の重合度を示す。
【0164】
任意選択により、調製物は、例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%又は98%超の短い(DPが約1~2)、中等度(DPが約3~10)、長い(DPが約11~18)又は非常に長い(DPが>18)種を表すように分画し得る。一実施形態では、約3~10のDPを有する少なくとも85%、90%又は少なくとも95%の中等度の長さの種を含む多分散の分画グリカン調製物が提供される。一実施形態では、約11~18のDPを有する少なくとも85%、90%又は少なくとも95%の長尺の種を含む多分散の分画グリカン調製物が提供される。一実施形態では、約18~30のDPを有する少なくとも85%、90%又は少なくとも95%の超長尺の種を含む多分散の分画グリカン調製物が提供される。
【0165】
任意選択により、調製物は、例えば、調製物中に60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%又は98%超の短い(DPが約1~2)又は中等度(DPが約3~10)のグリカンを表すように分画し得る。代替として又は分画に加えて、小さいDP画分(例えば、モノマー及びダイマー)は、例えば、これらの糖を分解するのに適した酵母を用いて、酵素による発酵に供される。一実施形態では、約3~10のDPを有するグリカンを少なくとも85%、90%又は少なくとも95%含む、多分散の分画グリカン調製物が、本明細書に記載の方法を用いて調製される。
【0166】
いくつかの実施形態では、グリカン調製物のグリカンの約55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は約97%は、少なくともDP3、DP4、DP5、DP6又はDP7のDPを有する。いくつかの実施形態では、グリカン調製物のグリカンの約55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は約97%は、約DP3~約DP10、約DP3~約DP8、約DP3~約DP6、約DP3~約DP5、約DP3~約DP4、約DP2~約DP4、約DP2~約DP5、約DP2~約DP6、約DP2~約DP8又は約DP2~約DP10のDPを有する。いくつかの実施形態では、グリカン調製物のグリカンの1%未満、2%、3%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%又は50%未満は、DP2以下のDPを有する。
【0167】
いくつかの実施形態では、グリカン調製物の約55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は約97%は、2~25、3~25、4~25、5~25、6~25、7~25、8~25、9~25、10~25、2~30、3~30、4~30、5~30、6~30、7~30、8~30、9~30又は10~30のDPを有する。一実施形態では、グリカン調製物は、少なくとも3~30未満のグリカン単位の重合度(DP)を有する。
【0168】
いくつかの実施形態では、グリカン調製物の約55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は約97%は、少なくとも5~30未満のグリカン単位のDPを有する。いくつかの実施形態では、グリカン調製物の約55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は約97%は、少なくとも8~30未満のグリカン単位のDPを有する。いくつかの実施形態では、グリカン調製物の約55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は約97%は、10以上30未満のグリカン単位のDPを有する。いくつかの実施形態では、グリカン調製物の約55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は約97%は、3、4、5、6、7、8~10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20のグリカン単位のDPを有する。いくつかの実施形態では、グリカン調製物の約55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は約97%は、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19~20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30のグリカン単位のDPを有する。いくつかの実施形態では、グリカン調製物の約55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は約97%は、3、4、5、6、7、8、9、10~20、21、22、23、24、25、26、27、28のグリカン単位のDPを有する。一実施形態では、グリカン調製物の約55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は約97%は、少なくとも2のDPを有する。一実施形態では、グリカン調製物の約55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は約97%は、少なくとも3のDPを有する。
【0169】
平均DP
いくつかの実施形態では、グリカン調製物は、約DP2、DP3、DP4、DP5、DP6、DP7、DP8又はDP9の平均重合度(平均DP)を有する。いくつかの実施形態では、グリカン調製物は、約2~約10、約2~約8、約2~約6、約2~約4、約3~約10、約3~約8、約3~約6又は約3~約4の平均重合度(平均DP)を有する。
【0170】
いくつかの実施形態では、グリカン調製物の約55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は約97%は、約DP5、DP6、DP7、DP8、DP9、DP10、DP11又はDP12の平均重合度(平均DP)を有する。いくつかの実施形態では、グリカン調製物の平均DPは、約DP5~DP10、約DP6~DP10、約DP6~DP12、約DP6~DP14、約DP8~DP12、約DP8~DP14、約DP8~DP16、約DP10~DP16、約DP10~DP18、約DP4~DP18、約DP6~DP18又は約DP8~DP18である。
【0171】
平均分子量
いくつかの実施形態では、調製物のグリカンの約55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は約97%は、約200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1050、1100、1150、1200、1250、1300、1350、1400、1450、1500、1550、1600、1650、1700、1750、1800g/molで、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、3000、3100、3200、3300、3400、3500、3600、3700、3800、3900、4000、4100、4200、4300、4400、4500、4600、4700、4800、4900及び5000g/mol未満の平均分子量を有する。
【0172】
分岐度(DB)
いくつかの実施形態では、グリカン調製物は、構造が直鎖状から分枝状まで様々である。分岐グリカンは、分岐を形成するように、アルファ又はベータグリコシド結合を介して連結している少なくとも1つのグリカンサブユニットを含み得る。分岐率又は分岐度(DB)は、調製物のグリカンがグリカン中に少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ又は少なくとも約6つの分岐点を含むように変化し得る。いくつかの実施形態では、グリカン調製物のグリカンは非分岐である(DB=0)。
【0173】
いくつかの実施形態では、グリカン調製物(例えば、オリゴ又は多糖類)は、線形から高度分岐の構造に及ぶ。非分岐グリカンは、アルファ結合のみ又はベータ結合のみを含有し得る。非分岐グリカンは、少なくとも1つのアルファ結合及び少なくとも1つのベータ結合を含有し得る。分岐グリカンは、アルファグリコシド結合又はベータグリコシド結合を介して結合して、分岐を形成する少なくとも1つのグリカン単位を含有し得る。分岐速度又は分岐度(DB)は、変化し得、そのため、約2番目、3番目、4番目、5番目、6番目、7番目、8番目、9番目、10番目、15番目、20番目、25番目、30番目、35番目、40番目、45番目、50番目、60番目又は70番目毎の単位は、少なくとも1つの分岐点を含む。例えば、動物グリコーゲンは、ほぼ10毎の単位に分岐点を含有する。
【0174】
いくつかの実施形態では、グリカンの調製物が提供され、その調製物は、分岐グリカンの混合物を含み、その平均分岐度(DB、1残基あたりの分岐点)は、0(非分岐)、0.01.0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、0.95、0.99、1又は2である。いくつかの実施形態では、グリカンの調製物が提供され、その平均分岐度は、少なくとも0.01、0.05、0.1、0.2、0.3又は少なくとも0.4である。いくつかの実施形態では、グリカンの調製物が提供され、その平均分岐度は、約0.01~0.1、0.01~0.2、0.01~0.3、0.01~0.4、0.01~0.5、0.01~0.6又は約0.01~0.7である。いくつかの実施形態では、グリカンの調製物が提供され、その平均分岐度は、約0.05~0.1、0.05~0.2、0.05~0.3、0.05~0.4、0.05~0.5、0.05~0.6又は約0.05~0.7である。いくつかの実施形態では、グリカンの調製物が提供され、その平均分岐度は、0ではない。いくつかの実施形態では、グリカンの調製物が提供され、その平均分岐度は、0.1以上0.4未満でも、0.2以上0.4未満でもない。いくつかの実施形態では、グリカンの調製物は、直鎖状グリカンを含む。いくつかの実施形態では、グリカンの調製物は、分岐又はブランチオンブランチ(branch-on-branch)構造を示すグリカンを含む。
【0175】
いくつかの実施形態では、グリカンの調製物が提供され、その平均分岐度(DB)は、0ではなく、少なくとも0.01、0.05、0.1若しくは少なくとも0.2であるか、又は約0.01~約0.2若しくは約0.05~0.1の範囲である。
【0176】
グリコシド結合及びグリコシド連結
グリカンの調製物中に見出される個々のグリカンサブユニット間の連結には、アルファ1->2、アルファ1->3、アルファ1->4、アルファ1->5、アルファ1->6、アルファ2->1、アルファ2->3、アルファ2->4、アルファ2->6、ベータ1->2、ベータ1->3、ベータ1->4、ベータ1->5、ベータ1->6、ベータ2->1、ベータ2->3、ベータ2->4及びベータ2->6が含まれ得る。
【0177】
いくつかの実施形態では、グリカン調製物は、アルファ連結のみを含む。いくつかの実施形態では、グリカンは、ベータ連結のみを含む。いくつかの実施形態では、グリカンは、アルファ連結及びベータ連結の混合物を含む。
【0178】
いくつかの実施形態では、調製物中のアルファグリコシド結合:ベータグリコシド結合の比は、約1:1、2:1、3:1、4:1又は5:1である。いくつかの実施形態では、調製物中のベータグリコシド結合:アルファグリコシド結合の比は、約1:1、2:1、3:1、4:1又は5:1である。
【0179】
いくつかの実施形態では、調製物中のアルファグリコシド結合:ベータグリコシド結合の比は、約0.1:1、0.2:1、0.3:1、0.4:1、0.5:1、0.6:1、0.7:1、0.8:1、0.9:1、1:1、1.2:1、1.5:1、1.7:1、2:1、2.2:1、2.5:1、2.7:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1又は約10:1である。
【0180】
いくつかの実施形態では、グリカン調製物のグリカンは、1->2グリコシド結合、1->3グリコシド結合、1->4グリコシド結合、1->5グリコシド結合及び1->6グリコシド結合からなる群から選択されるアルファグリコシド結合及びベータグリコシド結合の両方を含む。いくつかの実施形態では、グリカン調製物は、少なくとも2つ又は少なくとも3つの、アルファ及びベータ1->2グリコシド結合、アルファ及びベータ1->3グリコシド結合、アルファ及びベータ1->4グリコシド結合、アルファ及びベータ1->5グリコシド結合、並びに/又はアルファ及びベータ1->6グリコシド結合を含む。
【0181】
いくつかの実施形態では、グリカン調製物のグリカンは、実質的に全てアルファ配置又はベータ配置のグリカンサブユニットを含み、任意選択により、それぞれ他の配置を約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%又は20%含む。
【0182】
いくつかの実施形態では、グリカンの調製物は、アルファグリコシド結合を有する少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、少なくとも99.9%又はさらに100%のグリカンを含む。いくつかの実施形態では、グリカンの調製物は、ベータグリコシド結合を有する少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、少なくとも99.9%又はさらに100%のグリカンを含む。いくつかの実施形態では、グリコシド結合を有する少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%又は少なくとも85%のグリカンはアルファグリコシド結合であり、グリコシド結合を有する少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%又は少なくとも85%のグリカンはベータグリコシド結合であり、アルファグリコシド結合及びベータグリコシド結合の割合は、100%を超えない、グリカンの調製物が提供される。
【0183】
いくつかの実施形態では、グリカングリコシド結合の少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、少なくとも99.9%又はさらに100%は、1->2グリコシド結合、1->3グリコシド結合、1->4グリコシド結合及び1->6グリコシド結合の1つ以上である、グリカンの調製物が提供される。いくつかの実施形態では、グリカングリコシド結合の各々の少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、少なくとも20%又は25%は、1->2、1->3、1->4及び1->6グリコシド結合である、グリカンの調製物が提供される。任意選択により、グリカンの調製物は、アルファ2->1、アルファ2->3、アルファ2->4、アルファ2->6、ベータ2->1、ベータ2->3、ベータ2->4及びベータ2->6グリコシド結合からなる群から選択されるグリカングリコシド結合の少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%又は少なくとも85%をさらに含む。
【0184】
いくつかの実施形態では、グリカン調製物のグリカンは、アルファ1->2及びアルファ1->3、アルファ1->2及びアルファ1->4、アルファ1->2及びアルファ1->6、アルファ1->2及びベータ1->2、アルファ1->2及びベータ1->3、アルファ1->2及びベータ1->4、アルファ1->2及びベータ1->6、アルファ1->3及びアルファ1->4、アルファ1->3及びアルファ1->6、アルファ1->3及びベータ1->2、アルファ1->3及びベータ1->3、アルファ1->3及びベータ1->4、アルファ1->3及びベータ1->6、アルファ1->4及びアルファ1->6、アルファ1->4及びベータ1->2、アルファ1->4及びベータ1->3、アルファ1->4及びベータ1->4、アルファ1->4及びベータ1->6、アルファ1->6及びベータ1->2、アルファ1->6及びベータ1->3、アルファ1->6及びベータ1->4、アルファ1->6及びベータ1->6、ベータ1->2及びベータ1->3、ベータ1->2及びベータ1->4、ベータ1->2及びベータ1->6、ベータ1->3及びベータ1->4、ベータ1->3及びベータ1->6、並びにベータ1->4及びベータ1->6からなる群から選択される少なくとも2つのグリコシド結合を含む。
【0185】
L型及びD型
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのグリカンサブユニットがL型の糖であるグリカンの調製物が提供される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのグリカンサブユニットがD型の糖であるグリカンの調製物が提供される。いくつかの実施形態では、グリカンサブユニットが天然に存在するか、又はより一般的である(例えば、D-グルコース、D-キシロース、L-アラビノース)L型又はD型の糖であるグリカンの調製物が提供される。
【0186】
いくつかの実施形態では、グリカンの調製物(例えば、オリゴ糖及び多糖)は、グリカンサブユニットのL型及びD型の所望の混合物、例えば、L型対D型又はD型対L型が1:1、1:2、1:3、1:4、1:5などの所望の比の混合物を含む。
【0187】
いくつかの実施形態では、グリカンの調製物は、グリカンユニットのL型及びD型の所望の混合物、例えば、L型対D型又はD型対L型が1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:12、1:14、1:16、1:18、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45、1:50、1:55、1:60、1:65、1:70、1:75、1:80、1:85、1:90、1:100、1:150などの所望の比の混合物を含む。
【0188】
いくつかの実施形態では、グリカンの調製物は、実質的に全てL型又はD型のグリカンサブユニットを有するグリカンを含み、任意選択により、それぞれ他の型を約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%又は20%含む。
【0189】
グリカン単位の内容
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのグリカンサブユニットが、テトロース、ペントース、ヘキソース又はヘプトースであるグリカンの調製物が提供される。任意選択により、グリカン調製物のグリカンの形成に関与するグリカンサブユニットは変化する。単糖グリカンサブユニットの例には、グルコース、ガラクトース及びフルクトースなどのヘキソース並びにキシロースなどのペントースが含まれる。単糖類は、一般に、化学式:Cx(H2O)y(ここで、通常、x≧3である)を有する。単糖類は、それらが含有する炭素原子の数xによって分類することができる:例えば、ジオース(2)、トリオース(3)、テトロース(4)、ペントース(5)、ヘキソース(6)及びヘプトース(7)。単糖グリカンサブユニットは、非環式(開鎖)形態で存在し得る。同じ分子グラフを有する開鎖の単糖類は、2つ以上の立体異性体として存在し得る。単糖類は、カルボニル基と同じ分子のヒドロキシルの1つとの間で求核付加反応を介して環状形態でも存在し得る。反応物は、1個の架橋酸素原子によって閉口している炭素原子の環を形成する。これらの環状形態では、環は、通常、5個の原子(フラノース)又は6個の原子(ピラノース)を有する。
【0190】
いくつかの実施形態では、グリカンの調製物は、異なる単糖グリカンサブユニットの所望の混合物、例えば、ジオース(2)、トリオース(3)、テトロース(4)、ペントース(5)、ヘキソース(6)又はヘプトース(7)の混合物を含む。いくつかの実施形態では、グリカン調製物のグリカンは、ペントース(5)及びヘキソース(6)の所望の混合物を含む。
【0191】
いくつかの実施形態では、グリカンの調製物は、2つ、3つ、4つ又は5つの異なるグリカンサブユニットの所望の混合物、例えば、i)グルコース、ガラクトース、アラビノース、マンノース、フルクトース、キシロース、フコース及びラムノースから選択される単糖類から選択される1つ以上のグリカンサブユニット、ii)アカルビオシン、n-アセチルラクトサミン、アロラクトース、セロビオース、キトビオース、ガラクトース-アルファ-1,3-ガラクトース、ゲンチオビオース、イソマルト、イソマルトース、イソマルツロース、コージビオース、ラクチトール、ラクトビオン酸、ラクトース、ラクツロース、ラミナリビオース、マルチトール、マルトース、マンノビオース、メリビオース、メリビウロース、ネオヘスペリドース、ニゲロース、ロビノース、ルチノース、サンブビオース、ソホロース、スクラロース、スクロース、スクロース酢酸イソ酪酸エステル、オクタアセチルスクロース、トレハロース、ツラノース、ビシアノース及びキシロビオースから選択される二糖類から選択される1つ以上のグリカンサブユニット、iii)アカルボース、N-アセチルエマンノサミン、N-アセチルムラミン酸、N-アセチルノイラミン酸、N-アセチルエタロサミヌロニン酸(acetyletalosaminuronic acid)、アラビノピラノシル-N-メチル-N-ニトロソ尿素、D-フルクトース-L-ヒスチジン、N-グリコリルノイラミン酸、ケトサミン、キダマイシン、マンノサミン、1B-メチルセレノ-N-アセチル-D-ガラクトサミン、ムラミン酸、ムラミルジペプチド、ホスホリボシールアミン、PUGNAc、シアリル-Lewis A、シアリル-Lewis X、バリダマイシン、ボグリボース、N-アセチルガラクトサミン、N-アセチルグルコミサン、アスパルチルグルコサミン、バシリチオール、ダウノサミン、デソサミン、フルクトサミン、ガラクトサミン、グルコサミン、メグルミン及びペロサミンから選択されるアミノ糖から選択される1つ以上のグリカンサブユニット、iv)1-5-アヒドログルシトール、クラジノース、コリトース、2-デオキシ-D-グルコース、3-デオキシグルカソン、デオキシリボース、ジデオキシヌクレオチド、ジギタロース、フルデオオキシグルコース、サルメントース及びスルホキノボースから選択されるデオキシ糖から選択される1つ以上のグリカンサブユニット;v)カスタノスペルミン、1-デオキシノジリマイシン、イミノ糖、ミグリトール、ミグルスタット及びスワインソニンから選択されるイミノ糖から選択される1つ以上のグリカンサブユニット、N-アセチルノイラミン酸、N-アセチルタロサムヌロニン酸(acetyltalosamnuronic acid)、アルダル酸、アルドン酸、3-デオキシ-D-マンノ-オクト-2-ウロソニック酸、グルクロン酸、グルコサミンウロニック酸、グリセリン酸、N-グリコリルノイラミン酸、イズロン酸、イソサッカリン酸、パンガミン酸、シアル酸、トレオン酸、ウロソニック酸、ウロニック酸、キシロン酸、グルコン酸、アスコルビン酸、ケトデオキシオクツロソニック酸、ガラクツロン酸、ガラクトサミヌロン酸、マンヌロン酸、マンノサミヌロン酸、酒石酸、粘液酸、糖酸、乳酸、シュウ酸、コハク酸、ヘキサン酸、フマル酸、マレイン酸、酪酸、クエン酸、グルコサミン酸、リンゴ酸、スクシンアミド酸、セバシン酸及びカプリン酸から選択される糖酸から選択される1つ以上のグリカンサブユニット、vi)ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブチル酸、イソブチル酸、吉草酸及びイソ吉草酸から選択される短鎖脂肪酸から選択される1つ以上のグリカンサブユニット、並びにvii)メタノール、エチレングリコール、グリセロール、エリトリトール、トレイトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、ガラクチトール、イジトール、ボレミトール、フシトール、イノシトール、マルトトリイトール、マルトテトライトール及びポリグリシトールから選択される糖アルコールから選択される1つ以上のグリカンサブユニットの混合物を含む。
【0192】
例示的なグリカンは、モノマーが構成する物質の割合を反映する100の中からの数に従って、単量体の糖成分を表す3文字コードによって記載されている。それ故に、「glu100」は、100%のD-グルコース(グリカン単位)の入力から生成されるグリカンに属し、「glu50gal50」は、50%のD-グルコース及び50%のD-ガラクトース(グリカン単位)の入力から、又は代わりにラクトース二量体(グリカン単位)の入力から生成されるグリカンに属するものとみなす。本明細書に使用される場合、xyl=D-キシロース、ara=L-アラビノース、gal=D-ガラクトース、glu=D-グルコース、rha=L-ラムノース、fuc=L-フコース、man=D-マンノース、sor=D-ソルビトール、gly=D-グリセロール、neu=NAc-ノイラミン酸。
【0193】
いくつかの実施形態では、グリカンの調製物は、上のi)~vii)から選択される1つのグリカン単位Aを含み、グリカン単位Aは、100%のグリカン単位の入力を含む。例えば、いくつかの実施形態では、グリカン調製物は、ホモグリカンxyl100、rha100、ara100、gal100、glu100及びman100から選択される。いくつかの実施形態では、グリカン調製物は、ホモグリカンfuc100及びfru100から選択される。
【0194】
いくつかの実施形態では、グリカンの調製物は、上のi)~vii)から独立して選択される2つのグリカン単位A及びBの混合物を含み、A及びBは、i)~vii)の同じか又は異なる群から選択され得、且つA及びBは、任意の所望の比率(例えば、100%を超えない、1~99%のA及び99~1%のBの範囲)で選択され得る。
【0195】
例えば、いくつかの実施形態では、グリカン調製物は、ヘテログリカンara50gal50、ara50gal50、xyl75gal25、ara80xyl20、ara60xyl40、ara50xyl50、glu80man20、glu60man40、man80glu20、man60glu40、xyl75ara25、gal75xyl25、man80gal20、gal75xyl25、man66gal33、man75gal25、glu80gal20、glu60gal40、glu40gal60、glu20gal80、gal80man20、gal60man40、gal40man60、glu80xyl20、glu60xyl40、glu40xyl60、glu20xyl80、glu80ara20、glu60ara40、glu40ara60、glu20ara80、gal80xyl20、gal60xyl40、gal40xyl60、gal20xyl80、gal80ara20、gal60ara40、gal40ara60、gal20ara80、man80xyl20、man60xyl40、man40xyl60、man20xyl80、man80ara20、man60ara40、man40ara60、man20ara80、xyl80ara20、xyl60ara40、glu50gal50及びman62glu38から選択される。
【0196】
いくつかの実施形態では、グリカンの調製物は、上のi)~vii)から独立して選択される3つのグリカン単位A、B及びCの混合物を含み、A、B及びCは、i)~vii)の同じ又は異なる群から選択され得、A、B及びCは、任意の所望の比率(例えば、100%を超えない、1~99%のA、1~99%のB及び1~99%のCの範囲)で選択され得る。
【0197】
例えば、いくつかの実施形態では、グリカン調製物は、ヘテログリカンxyl75glu12gal12、xyl33glu33gal33、xyl75glu12gal12、glu33gal33fuc33、glu33gal33nman33、glu33gal33xyl33、glu33gal33ara33、gal33man33xyl33、gal33man33ara33、man52glu29gal19、glu33man33xyl33、glu33man33ara33、glu33xyl33ara33、gal33man33xyl33、gal33man33ara33、gal33xyl33ara33、man33xyl33ara33、glu90gal5man5、glu80gal10man10、glu60gal20man20、glu40gal30man30、glu20gal40man40、glu10gal45man45、glu5gal90man5、glu10gal80man10、glu20gal60man20、glu30gal40man30、glu40gal20man40、glu45gal10man45、glu5gal5man90、glu10gal10man80、glu20gal20man60、glu30gal30man40、glu40gal40man20及びglu45gal45man10から選択される。
【0198】
いくつかの実施形態では、グリカンの調製物は、上のi)~vii)から独立して選択される4つのグリカン単位A、B、C及びDの混合物を含み、A、B、C及びDは、i)~vii)の同じ又は異なる群から選択され得、A、B、C及びDは、任意の所望の比率(例えば、100%を超えない、1~99%のA、1~99%のB、1~99%のC及び1~99%のDの範囲)で選択され得る。
【0199】
いくつかの実施形態では、グリカンの調製物は、上のi)~vii)から独立して選択される5つのグリカン単位A、B、C、D及びEの混合物を含み、A、B、C、D及びEは、i)~vii)の同じ又は異なる群から選択され得、A、B、C、D及びEは、任意の所望の比率(例えば、100%を超えない、1~99%のA、1~99%のB、1~99%のC、1~99%のD及び1~99%のEの範囲)で選択され得る。
【0200】
本明細書で提供されるのは、グリカン調製物(本明細書に記載があるように、例えば、任意のDP、DB、アルファ:ベータのグリコシド結合比、グリコシド結合の数、結合位置化学及び結合立体化学、並びに本明細書中に記載がある他の特性(例えば、溶解度、醗酵性、粘度、甘味など)を有する)であって、
任意選択により、1%~100%の任意の量のグルコースを含み、さらに、任意選択により、第2、第3、第4又は第5のグリカン単位(任意選択により、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マンノース、ラムノース、フルクトース又はフコースから独立して選択される)を含み、さらに、任意選択により、gal50glu25fru25、gal57glu43、gal57glu43、glu100、glu10gal10man80、glu10gal45man45、glu10gal80man10、glu20ara80、glu20gal20man20xyl20ara20、glu20gal20man60、glu20gal40man40、glu20gal60man20、glu20gal80、glu20xyl80、glu25gal25man25ara25、glu25gal25man25xyl25、glu25gal25xyl25ara25、glu25man25xyl25ara25、glu30gal30man40、glu30gal40man30、glu33gal33ara33、glu33gal33fuc33、glu33gal33man33、glu33gal33xyl33、glu33man33ara33、glu33man33xyl33、glu33xyl33ara33、glu40ara60、glu40gal20man40、glu40gal30man30、glu40gal40man20、glu40gal60、glu40xyl60、glu45gal10man45、glu45gal45man10、glu50gal50、glu5gal5man90、glu5gal90man5、glu60ara40、glu60gal20man20、glu60gal40、glu60man40、glu60xyl40、glu66fru33、glu80ara20、glu80gal10man10、glu80gal20、glu80man20、glu80man20、glu80xyl20、glu90gal5man5、man52glu29gal19、man60glu40、man62glu38、man80glu20、xyl33glu33gal33又はxyl75glu12gal12の1つであるグルコースグリカン単位;
任意選択により、1%~100%の任意の量のガラクトースを含み、さらに、任意選択により、第2、第3、第4又は第5のグリカン単位(任意選択により、キシロース、アラビノース、グルコース、マンノース、ラムノース、フルクトース又はフコースから独立して選択される)を含み、さらに、任意選択により、ara50gal50、gal100、gal20ara80、gal20xyl80、gal25man25xyl25ara25、gal33man33ara33、gal33man33xyl33、gal33xyl33ara33、gal40ara60、gal40man60、gal40xyl60、gal50glu25fru25、gal57fru43、gal57glu43、gal60ara40、gal60man40、gal60xyl40、gal75xyl25、gal80ara20、gal80man20、gal80xyl20、glu10gal10man80、glu10gal45man45、glu10gal80man10、glu20gal20man20xyl20ara20、glu20gal20man60、glu20gal40man40、glu20gal60man20、glu20gal80、glu25gal25man25ara25、glu25gal25man25xyl25、glu25gal25xyl25ara25、glu30gal30man40、glu30gal40man30、glu33gal33ara33、glu33gal33fuc33、glu33gal33man33、glu33gal33xyl33、glu40gal20man40、glu40gal30man30、glu40gal40man20、glu40gal60、glu45gal10man45、glu45gal45man10、glu50gal50、glu5gal5man90、glu5gal90man5、glu60gal20man20、glu60gal40、glu80gal10man10、glu80gal20、glu90gal5man5、man52glu29gal19、man66gal33、man75gal25、man80gal20、xyl33glu33gal33、xyl75gal25又はxyl75glu12gal12の1つであるガラクトースグリカン単位;
任意選択により、1%~100%の任意の量のマンノースを含み、さらに、任意選択により、第2、第3、第4又は第5のグリカン単位(任意選択により、キシロース、アラビノース、グルコース、ガラクトース、ラムノース、フルクトース又はフコースから独立して選択される)を含み、さらに、任意選択により、gal25man25xyl25ara25、gal33man33ara33、gal33man33xyl33、gal40man60、gal60man40、gal80man20、glu10gal10man80、glu10gal45man45、glu10gal80man10、glu20gal20man20xyl20ara20、glu20gal20man60、glu20gal40man40、glu20gal60man20、glu25gal25man25ara25、glu25gal25man25xyl25、glu25man25xyl25ara25、glu30gal30man40、glu30gal40man30、glu33gal33man33、glu33man33ara33、glu33man33xyl33、glu40gal20man40、glu40gal30man30、glu40gal40man20、glu45gal10man45、glu45gal45man10、glu5gal5man90、glu5gal90man5、glu60gal20man20、glu60man40、glu80gal10man10、glu80man20、glu80man20、glu90gal5man5、man100、man20ara80、man20xyl80、man33xyl33ara33、man40ara60、man40xyl60、man52glu29gal19、man60ara40、man60glu40、man60xyl40、man62glu38、man66gal33、man75gal25、man80ara20、man80gal20、man80glu20又はman80xyl20の1つであるマンノースグリカン単位;
任意選択により、1%~100%の任意の量のアラビノースを含み、さらに、任意選択により、第2、第3、第4又は第5のグリカン単位(任意選択により、キシロース、グルコース、ガラクトース、マンノース、ラムノース、フルクトース又はフコースから独立して選択される)を含み、さらに、任意選択により、ara100、ara50gal50、ara50xyl50、ara60xyl40、ara80xyl20、gal20ara80、gal25man25xyl25ara25、gal33man33ara33、gal33xyl33ara33、gal40ara60、gal60ara40、gal80ara20、glu20ara80、glu20gal20man20xyl20ara20、glu25gal25man25ara25、glu25gal25xyl25ara25、glu25man25xyl25ara25、glu33gal33ara33、glu33man33ara33、glu33xyl33ara33、glu40ara60、glu60ara40、glu80ara20、man20ara80、man33xyl33ara33、man40ara60、man60ara40、man80ara20、xyl60ara40、xyl75ara25又はxyl80ara20の1つであるアラビノースグリカン単位;
任意選択により、1%~100%の任意の量のキシロースを含み、さらに、任意選択により、第2、第3、第4又は第5のグリカン単位(任意選択により、アラビノース、グルコース、ガラクトース、マンノース、ラムノース、フルクトース又はフコースから独立して選択される)を含み、さらに、任意選択により、ara50xyl50、ara60xyl40、ara80xyl20、gal20xyl80、gal25man25xyl25ara25、gal33man33xyl33、gal33xyl33ara33、gal40xyl60、gal60xyl40、gal75xyl25、gal80xyl20、glu20gal20man20xyl20ara20、glu20xyl80、glu25gal25man25xyl25、glu25gal25xyl25ara25、glu25man25xyl25ara25、glu33gal33xyl33、glu33man33xyl33、glu33xyl33ara33、glu40xyl60、glu60xyl40、glu80xyl20、man20xyl80、man33xyl33ara33、man40xyl60、man60xyl40、man80xyl20、xyl100、xyl33glu33gal33、xyl60ara40、xyl75ara25、xyl75gal25、xyl75glu12gal12又はxyl80ara20の1つであるキシロースグリカン単位;
任意選択により、1%~100%の任意の量のフルクトースを含み、さらに、任意選択により、第2、第3、第4又は第5のグリカン単位(任意選択により、キシロース、アラビノース、グルコース、ガラクトース、マンノース、ラムノース又はフコースから独立して選択される)を含み、さらに、任意選択により、fru100、gal50glu25fru25、gal57fru43又はglu66fru33の1つであるフルクトースグリカン単位、
任意選択により、1%~100%の任意の量のフコースを含み、さらに、任意選択により、第2、第3、第4又は第5のグリカン単位(任意選択により、キシロース、アラビノース、グルコース、ガラクトース、マンノース、ラムノース又はフルクトースから独立して選択される)を含み、さらに、任意選択により、glu33gal33fuc33の1つであるフコースグリカン単位、
任意選択により、1%~100%の任意の量のラムノースを含み、さらに、任意選択により、第2、第3、第4又は第5のグリカン単位(任意選択により、キシロース、アラビノース、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース又はフコースから独立して選択される)を含み、さらに、任意選択により、rha100であるラムノースグリカン単位
を含むグリカンを含み、且つさらに、任意選択により、1つ以上(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ又は9つ)の以下の特性(バルクの特性を含む)を含むグリカン調製物である:
i)グリカン調製物は、グルコース、ガラクトース、アラビノース、マンノース、フルクトース、キシロース、フコース若しくはラムノースグリカン単位を含むグリカンを含むこと;
ii)グリカン調製物中のグリカンの平均分岐度(DB)は、0、0.01~0.6、0.05~0.5、0.1~0.4若しくは0.15~0.4であること;
iii)グリカン調製物中のグリカンの少なくとも50%(少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、若しくは85%、若しくは50%未満)は、少なくとも3~30未満のグリカン単位、少なくとも2~10未満のグリカン単位、少なくとも5~25未満のグリカン単位若しくは少なくとも10~35未満のグリカン単位の重合度(DP)(任意選択により、グリカン単位はモノマー、例えば、単糖である)を有すること;
iv)グリカン調製物の平均DP(平均DP)は、約2~5、約5~8、約8~13、約13~25、約5~15、約5~20若しくは約5~15であること;
v)グリカン調製物のグリカン中に存在するベータ-グリコシド結合に対するアルファ-グリコシド結合の比は、0若しくは約0.8:1~約5:1、約1:1~約5:1、約1:1~約3:1、約3:2~約2:1若しくは約3:2~約3:1であること;
vi)グリカン調製物は、15mol%~75mol%(20mol%~60mol%、25mol%~50mol%若しくは30mol%~45mol%)の1,6グリコシド結合を含むこと;
vii)グリカン調製物は、1mol%~40mol%(1mol%~30mol%、5mol%~25mol%、10mol%~20mol%)の、1,2グリコシド結合、1,3グリコシド結合及び1,4グリコシド結合の少なくとも1つ、2つ若しくは3つを含むこと;
viii)グリカン調製物は、水中最終溶解度の限度として、23℃で少なくとも約50(少なくとも約60、70、少なくとも約75若しくは50未満)Brixであること;又は
ix)グリカン調製物は、少なくとも50%(少なくとも60%、70%、80%、若しくは少なくとも90%、若しくは50%未満)の食物線維含量(例えば、AOAC 2009.01によって測定して)を有すること;
x)
- i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)、vii)、viii)及びix)の任意の2つ;
- i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)、vii)、viii)及びix)の任意の3つ;
- i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)、vii)、viii)及びix)の任意の4つ;
- i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)、vii)、viii)及びix)の任意の5つ;
- i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)、vii)、viii)及びix)の任意の6つ;
- i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)、vii)、viii)及びix)の任意の7つ;
- i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)、vii)、viii)及びix)の任意の8つ;若しくは
- i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)、vii)、viii)及びix)の全部の組み合わせであるグリカン調製物である。
【0201】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのグリカンサブユニットが、グルコース、ガラクトース、アラビノース、マンノース、フルクトース、キシロース、フコース及びラムノースからなる群から選択される、グリカンの調製物が提供される。一実施形態では、少なくとも1つのグリカンサブユニットがグルコースであるグリカン調製物が提供される。一実施形態では、グルコースからなる少なくとも90%、95%、少なくとも99%又は100%のグリカンを含むグリカン調製物が提供される。いくつかの実施形態では、グリカン調製物は、glu100を含む。
【0202】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法、例えばUCD(例えば、CPSI、OTC、ASS、ASL、NAGS又はアルギナーゼ欠乏症)を治療する方法、酵素活性を増加又は減少させる方法、対象における代謝産物(例えば、アンモニア、シトルリン、アルギニノコハク酸、グルタミン、グルタミン酸、オロチン酸又はアルギニン)のレベルを減少させる方法又は治療レジメン(例えば、UCDの治療のための)を特定又は選択する方法における使用のためのグリカン調製物は、gal100、glu10gal10man80、glu30gal30man40、gal33man33xyl33、glu40gal30man30、glu40gal20man40、glu45gal10man45、glu60gal20man20、fructo-oligosaccharide、glu40gal40man20、glu20gal20man20xyl20ara20、glu90gal5man5、glu80xyl20、glu20gal80、glu80ara20、glu40gal60、glu33gal33man33、man100、lactulose、glu80gal10man10、man80glu20、glu50gal50、glu80gal20、glu80man20、glu45gal45man10、glu60gal40、glu60man40、man80gal20、man60glu40、glu100、Glu100-114、Lara100-1、Gal50Fru50-2、Glu100-3、Glu100-94、Fru100-9、Glu100-22及び/又はGlu100-107を含むか、それからなるか、それから本質的になる。
【0203】
いくつかの実施形態では、グリカンの調製物は、例えば、グルコース及びガラクトース、グルコース及びアラビノース、グルコース及びマンノース、グルコース及びフルクトース、グルコース及びキシロース、グルコース及びフコース、グルコース及びラムノース、ガラクトース及びアラビノース、ガラクトース及びマンノース、ガラクトース及びフルクトース、ガラクトース及びキシロース、ガラクトース及びフコース、並びにガラクトース及びラムノース、アラビノース及びマンノース、アラビノース及びフルクトース、アラビノース及びキシロース、アラビノース及びフコース、並びにアラビノース及びラムノース、マンノース及びフルクトース、マンノース及びキシロース、マンノース及びフコース、並びにマンノース及びラムノース、フルクトース及びキシロース、フルクトース及びフコース、並びにフルクトース及びラムノース、キシロース及びフコース、キシロース及びラムノース、並びにフコース及びラムノースなどの混合物のような、2つの異なる単糖グリカンサブユニットの所望の混合物を、例えば、1:1、1:2、1:3、1:4又は1:5の比率又はそれらの逆比率又は1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:12、1:14、1:16、1:18、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45、1:50、1:55、1:60、1:65、1:70、1:75、1:80、1:85、1:90又は1:100の比率又はそれらの逆比率で含む。
【0204】
いくつかの実施形態では、グリカンの調製物は、3つの異なる単糖グリカンサブユニットの所望の混合物、例えば、グルコース含有グリカン調製物については、グルコース、ガラクトース及びアラビノース;グルコース、ガラクトース及びマンノース;グルコース、ガラクトース及びフルクトース;グルコース、ガラクトース及びキシロース;グルコース、ガラクトース及びフコース、グルコース、ガラクトース及びラムノース;グルコース、アラビノース及びマンノース;グルコース、アラビノース及びフルクトース;グルコース、アラビノース及びキシロース;グルコース、アラビノース及びフコース;グルコース、アラビノース及びラムノース;グルコース、マンノース及びフルクトース;グルコース、マンノース及びキシロース;グルコース、マンノース及びフコース;グルコース、マンノース、ラムノース;グルコース、フルクトース及びキシロース;グルコース、フルクトース及びフコース;グルコース、フルクトース及びラムノース;グルコース、フコース及びラムノースなどの混合物等を、例えば、1:1:1、1:2:1、1:3:1、1:4:1、1:5:1、1:1:2、1:2:2、1:3:2、1:4:2、1:1:3、1:2:3、1:3:3、1:1:4、1:2:4、1:1:5、1:2:5等の比率又は1:1:1、1:2:1、1:3:1、1:4:1、1:5:1、1:6:1、1:7:1、1:8:1、1:9:1、1:10:1、1:12:1、1:14:1、1:16:1、1:18:1、1:20:1、1:1:2、1:2:2、1:3:2、1:4:2、1:5:2、1:6:2、1:7:2、1:8:2、1:9:2、1:10:2、1:1:3、1:2:3、1:3:3、1:4:3、1:5:3、1:6:3、1:7:3、1:8:3、1:9:3、1:10:3、1:1:4、1:2:4、1:3:4、1:4:4、1:5:4、1:6:4、1:7:4、1:8:4、1:9:4、1:10:4、1:1:5、1:2:5、1:3:5、1:4:5、1:5:5、1:6:5、1:7:5、1:8:5、1:9:5、1:10:5等の比率で含む。
【0205】
いくつかの実施形態では、グリカンの調製物は、N-アセチルガラクトサミン又はN-アセチルグルコサミンを含まない。いくつかの実施形態では、グリカンの調製物は、シアル酸を含まない。いくつかの実施形態では、グリカンの調製物は、脂質及び脂肪酸を含まない。いくつかの実施形態では、グリカンの調製物は、アミノ酸を含まない。
【0206】
フラノ―ス:ピラノース
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのグリカンサブユニットがフラノ―ス糖であるグリカンの調製物が提供される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのグリカンサブユニットがピラノース糖であるグリカンの調製物が提供される。いくつかの実施形態では、グリカンは、フラノ―ス糖及びピラノース糖の混合物を含む。いくつかの実施形態では、調製物中のフラノース糖:ピラノース糖の比率は、約0.1:1、0.2:1、0.3:1、0.4:1、0.5:1、0.6:1、0.7:1、0.8:1、0.9:1、1:1、1.2:1、1.5:1、1.7:1、2:1、2.2:1、2.5:1、2.7:1、3:1、4:1、5:1若しくは約6:1であるか、又は調製物中のフラノース糖:ピラノース糖の比率は、約7:1、8:1、9:1若しくは約10:1である。
【0207】
いくつかの実施形態では、グリカンの調製物は、実質的に全てフラノース糖又はピラノース糖を含み、任意選択により、それぞれ他の糖を約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%又は20%含む。
【0208】
いくつかの実施形態では、グリカンの調製物は、実質的に全てピラノース糖を含み、調製物中のフラノース型のグリカン単位は約0.1%、02%、0.5%、1%、2%、3%、4%未満又は5%未満である。いくつかの実施形態では、調製物中の単量体グリカン単位の3%、2%未満又は1%未満が、フラノース型である。
【0209】
塩
いくつかの実施形態では、グリカンの調製物は、例えば、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、メタンスルファート、酢酸塩、ギ酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、グルコン酸塩、ピルビン酸塩、フマル酸塩、プロピオン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、安息香酸塩など塩の形態(例えば、薬学的に許容される塩の形態)で存在する1つのグリカンサブユニット又は複数のグリカンサブユニットを含む。
【0210】
誘導体化
必要に応じて、グリカンの単糖類又はオリゴ糖グリカンサブユニットは、さらに置換又は誘導体化され、例えば、ヒドロキシル基は、エーテル化又はエステル化され得る。例えば、グリカン(例えば、オリゴ又は多糖類)は、修飾サッカリド単位、例えば、ヒドロキシル基が除去される2’-デオキシリボース、ヒドロキシル基がフッ素と置換される2’-フルオロリボース又はN-アセチルグルコサミン、グルコース(例えば、2’-フルオロリボース、デオキシリボース及びヘキソース)の窒素含有形態を含有し得る。置換度(DS、1グリコシル単位あたりのヒドロキシル基の平均数)は、1、2若しくは3又は別の好適なDSであり得る。いくつかの実施形態では、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%のグリカンサブユニットが、置換又は誘導体化される。いくつかの実施形態では、置換度は、例えば、ある特定の割合では誘導体化されず、1のDSを示し、2のDSを示し、3のDSを示す、サブユニット間で変動する。任意の望ましい混合物を生成することができ、例えば、0~99%のサブユニットは、誘導体化されず、0~99%のサブユニットは、1のDSを示し、0~99%のサブユニットは、2のDSを示し、0~99%のサブユニットは、3のDSを示し、合計で100%になる。置換度は、グリコシル部分に添加される置換基(モル置換(MS))のモルの平均数を調整することによって制御され得る。グリカンのオリゴ糖又は多糖鎖の長さに沿った置換基の分布は、反応条件、試薬のタイプ及び置換の範囲を調整することによって制御され得る。いくつかの実施形態では、単量体のサブユニットは、酢酸エステル、硫酸半エステル、リン酸エステル又はピルビル環状アセタール基の1つ以上と置換される。
【0211】
溶解度
いくつかの実施形態では、調製物中のグリカンは、高溶解性である。いくつかの実施形態では、グリカン調製物は、23℃で明らかな固化又は結晶化を行わずに(最終溶解限度)、少なくとも55Brix、65Brix、60Brix、65Brix、70Brix、75Brix、80Brix又は少なくとも85Brixまで濃縮され得る。いくつかの実施形態では、グリカン調製物は、23℃で明らかな固化又は結晶化を行わずに(最終溶解限度)、少なくとも約0.5g/ml、1g/ml、1.5g/ml、2g/ml、2.5g/ml、3g/ml、3.5g/ml又は少なくとも4g/mlまで濃縮され得る。
【0212】
いくつかの実施形態では、グリカンの調製物(例えばオリゴ糖)は、分岐しており、例えば、少なくとも0.01、0.05又は0.1の平均DBを有し、且つ23℃で少なくとも約70Brix、75Brix、80Brix又は少なくとも約85Brixの水中に最終溶解限度を有するか、又は少なくとも約1g/ml、2g/ml又は少なくとも約3g/mlである。
【0213】
いくつかの実施形態では、グリカンの調製物は、脱イオン水中又は好適な緩衝液中、例えば、リン酸緩衝生理食塩水、pH7.4又は類似の生理学的pH中、20℃で、少なくとも0.001g/L、0.005g/L、0.01g/L、0.05g/L、0.1g/L、0.2g/L、0.3g/L、0.4g/L、0.5g/L、0.6g/L、0.7g/L、0.8g/L、0.9g/L、1g/L、5g/L、10g/L、20g/L、30g/L、40g/L、50g/L、100g/L、200g/L、300g/L、400g/L、500g/L、600g/L、700g/L、800g/L、900g/L、1000g/Lの最終溶解限度を有する。いくつかの実施形態では、グリカンの調製物は、50%超、60%超、70%超、80%超、90%超、95%超、96%超、97%超、98%超、99%超又は99.5%を超える溶解性があり、脱イオン水中又は好適な緩衝液中、例えば、リン酸緩衝生理食塩水、pH7.4又は類似の生理学的pH中、20℃で、0.001g/L、0.005g/L、0.01g/L、0.05g/L、0.1g/L、0.2g/L、0.3g/L、0.4g/L、0.5g/L、0.6g/L、0.7g/L、0.8g/L、0.9g/L、1g/L、5g/L、10g/L、20g/L、30g/L、40g/L、50g/L、100g/L、200g/L、300g/L、400g/L、500g/L、600g/L、700g/L、800g/L、900g/L、1000g/Lを超える濃度で観察される沈殿物を有しない。
【0214】
甘味度
いくつかの実施形態では、グリカンの調製物は、所望の甘味度を有する。例えば、スクロース(テーブルシュガー)は、プロトタイプの甘味物質である。溶液中のスクロースは、1の甘味知覚評価を有し、他の物質は、これと比較して評価される(例えば、フルクトースは、スクロースの甘味の1.7倍で評価される)。いくつかの実施形態では、グリカンの調製物の甘味は、スクロースと比較して、0.1~500,000の範囲に及ぶ。いくつかの実施形態では、相対的甘味は、スクロースと比較して、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10000、25000、50000、75000、100000、150000、200000、250000、300000、350000、40000、450000、500000又は500,000超である(スクロースが1と得点される)。いくつかの実施形態では、グリカンの調製物は、軽度に甘さ又は甘さと苦味の両方がある。
【0215】
いくつかの実施形態では、グリカンの調製物、例えば、実質的に、DP2+又はDP3+である調製物(例えば、DP2+又はDP3+の少なくとも80%、90%、又は少なくとも95%、又は分画化された調製物)は、実質的に、甘さとして感知できず、相対的な甘味は、スクロースと比較して、約0、0.0001、0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7又は約0.8である(スクロースが1と得点される)。
【0216】
グリカン調製物は、任意の好適な方法、例えば、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2016/122889号パンフレット、国際公開第2016/172657号パンフレット、国際公開第2016/007778号パンフレット及び国際公開第2016/172658号パンフレットに記載の方法によってものを含む好適な方法によって特徴付けることができる。
【0217】
実施形態では、グリカン組成物及びグリカン調製物は、以下の特性(バルク特性を含む)の1つ以上(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ若しくはそれを超える)を含み得る:
グルコース、ガラクトース、アラビノース、マンノース、フルクトース、キシロース、フコース又はラムノースの少なくとも1つを含むグリカン、
高重合度(DP)、例えば、ポリマーの少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%は、DPが約30~100,000、約30~50,000、約30~10,000、約30~5,000、約30~1,000、約30~500、約30~200、約30~100又は約3~50の範囲である、
低重合度、例えば、ポリマーの少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%は、DPが約2~29、約2~25、約2~20、約2~15、約2~10、約2~8、約2~6、約3~8又は約4~8の範囲である、
例えば、20℃、水中で、約100~10,000mPas、100~5,000mPas、100~1,000mPas、100~500mPasの範囲である高粘度、
例えば、20℃、水中で、約1~99mPas、1~50mPas、1~10mPas、1~5mPas、25~75mPas又は10~50mPasの範囲である低粘度、
23℃で少なくとも約60、70又は少なくとも約75Brixの水中における高い最終溶解限度、
23℃で5、10、20、30、40、50Brix未満の低い水中最終溶解限度又は不溶性(0.1Brix未満)、
約0.1cal/g~3cal/g、0.1cal/g~2cal/g、0.1cal/g~1.5cal/g、0.1cal/g~1cal/g、0.1cal/g~0.5cal/gのカロリー値、
ノンカロリー値(例えば、約0cal/g~0.09cal/g、0cal/g~0.05cal/g又は約0cal/g~0.01cal/g、
低消化度、グリカンの約30%、20%、10%、5%、1%、0.5%未満が、ヒトグルコシラーゼ(例えば、アルファ-アミラーゼ)によって消化可能である、
高消化度、グリカンの少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%が、ヒトグルコシラーゼ(例えば、アルファ-アミラーゼ)によって消化可能である、
低発酵度、グリカンの約40%、30%、20%、10%、5%、1%、0.5%未満が、ヒト(例えば、結腸の)微生物群又は単一細菌株により発酵可能である、
高発酵度、グリカンの少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%が、ヒト(例えば、結腸の)微生物群又は単一細菌株により発酵可能である、
遅い発酵速度、グリカンの約0.5%、1%、2%、5%、10%又は15%未満が、ヒト(例えば、結腸の)微生物群又は単一細菌株により12~24時間で発酵する、
速い発酵速度、グリカンの少なくとも約15%、20%、30%、40%又は50%が、ヒト(例えば、結腸の)微生物群又は単一細菌株により12~24時間で発酵する、
消化器の高い耐性度(例えば、対象が、高い1日服用量、例えば、少なくとも約5g/日、10g/日、15g/日、20g/日、30g/日、40g/日、50g/日、60g/日又は70g/日を、膨満感、過剰なガス、GIの不快感、下痢、便秘などの実質的な副作用を生じることなく、許容する)。
- a)、b)、c)、d)、e)、f)、g)、h)、i)、j)、k)、l)、m)、n)、o)、p)の任意の2つ;
- a)、b)、c)、d)、e)、f)、g)、h)、i)、j)、k)、l)、m)、n)、o)、p)の任意の3つ;
- a)、b)、c)、d)、e)、f)、g)、h)、i)、j)、k)、l)、m)、n)、o)、p)の任意の4つ;
- a)、b)、c)、d)、e)、f)、g)、h)、i)、j)、k)、l)、m)、n)、o)、p)の任意の5つ;
- a)、b)、c)、d)、e)、f)、g)、h)、i)、j)、k)、l)、m)、n)、o)、p)の任意の6つ;
- a)、b)、c)、d)、e)、f)、g)、h)、i)、j)、k)、l)、m)、n)、o)、p)の任意の7つ;
- a)、b)、c)、d)、e)、f)、g)、h)、i)、j)、k)、l)、m)、n)、o)、p)の任意の8つ;
- a)、b)、c)、d)、e)、f)、g)、h)、i)、j)、k)、l)、m)、n)、o)、p)の任意の9つ;
- a)、b)、c)、d)、e)、f)、g)、h)、i)、j)、k)、l)、m)、n)、o)、p)の任意の10;又は
- a)、b)、c)、d)、e)、f)、g)、h)、i)、j)、k)、l)、m)、n)、o)、p)の全部の組み合わせ。
【0218】
実施形態では、グリカン組成物及びグリカン調製物は、以下の特性(バルク特性を含む)の1つ以上(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ又はそれを超える)を含み得る:
i)グリカン調製物は、グルコース、ガラクトース、アラビノース、マンノース、フルクトース、キシロース、フコース若しくはラムノースグリカン単位を含むグリカンを含むこと;
ii)グリカン調製物中のグリカンの平均分岐度(DB)は、0、0.01~0.6、0.05~0.5、0.1~0.4又は0.15~0.4であること;
iii)グリカン調製物中のグリカンの少なくとも50%(少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、若しくは85%、若しくは50%未満)は、少なくとも3~30未満のグリカン単位、少なくとも2~10未満のグリカン単位、少なくとも5~25未満のグリカン単位若しくは少なくとも10~35未満のグリカン単位の重合度(DP)(任意選択により、グリカン単位はモノマー、例えば、単糖である)を有すること;
iv)グリカン調製物の平均DP(平均DP)は、約2~5、約5~8、約8~13、約13~25、約5~15、約5~20若しくは約5~15であること;
v)グリカン調製物のグリカン中に存在するベータ-グリコシド結合に対するアルファ-グリコシド結合の比は、0若しくは約0.8:1~約5:1、約1:1~約5:1、約1:1~約3:1、約3:2~約2:1若しくは約3:2~約3:1であること;
vi)グリカン調製物は、15mol%~75mol%(20mol%~60mol%、25mol%~50mol%若しくは30mol%~45mol%)の1,6グリコシド結合を含むこと;
vii)グリカン調製物は、1mol%~40mol%(1mol%~30mol%、5mol%~25mol%、10mol%~20mol%)の、1,2グリコシド結合、1,3グリコシド結合及び1,4グリコシド結合の少なくとも1つ、2つ若しくは3つを含むこと;
viii)グリカン調製物は、23℃で少なくとも約50(少なくとも約60、70、少なくとも約75若しくは50未満)Brixの水中最終溶解限度を有すること;又は
ix)グリカン調製物は、少なくとも50%(少なくとも60%、70%、80%、若しくは少なくとも90%、若しくは50%未満)の食物線維含量(例えば、AOAC 2009.01によって測定して)を有すること;
x)i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)、vii)、viii)及びix)の2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ又は9つの任意の組み合わせ。
【0219】
本明細書に記載のグリカン組成物は、1つ以上の糖及び/又は糖アルコールを含み得る。組成物は、単糖(例えば、単糖、二糖、三糖、四糖又は五糖)、糖アルコール又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、組成物は、代謝可能な糖又は代謝可能な糖アルコールを含み、糖又は糖アルコールは、宿主の消化管において代謝される。国際公開第2016/172658号パンフレット(これは参照により本明細書に組み込まれる)に開示される糖及び糖アルコールは、本明細書に記載される方法及び組成物における使用に好適である。実施形態では、本明細書中に記載の組成物、例えば、本明細書に記載のグリカン組成物は、例えば、本明細書及び参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2016/172658号パンフレット及び表1に記載されるような、ポリフェノール、脂肪酸(例えば、短鎖脂肪酸)、アミノ酸、ペプチド及び微量栄養素を含み得る。
【0220】
本明細書に記載のグリカン組成物及びグリカン調製物は、表5の行3~55のいずれか1つの特性を有し得る。いくつかの実施形態では、グリカン組成物及び/又はグリカン調製物は、表5に記載されるように、Glu5Gal5Man90-2、Glu10Gal10Man80-1、Glu20Gal20Man20Xyl20Ara20-1、Glu20Gal20Man20Xyl20Ara20-2、Gal33Man33Ara33-8、Gal57Glu43-1、Glu100-87、Gal57Glu43-2、Glu50Gal50-11、Glu50Gal50-32、Glu50Gal50-14、Glu50Gal50-27、Glu50Gal50-23、Glu50Gal50-2、Glu100-129、Glu100-136、Glu100-17、Glu100-64、Glu100-76、Glu100-131、Glu100-83、Glu100-139、Glu100-84、Glu100-74、Glu100-98、Glu100-141、Glu100-29、Glu100-18、Glu100-99、Glu100-72、Glu100-82、Glu100-130、Glu100-78、Glu100-66、Glu100-89、Glu100-133、Glu100-68、Glu100-90、Glu100-94、Glu100-5、3-ObnGlu100-1、Gal100-30、Glu33Gal33Fuc33-3、Ara100-12、Xyl100-8、Xyl75Ara25-3、Glu80Man20-2、Glu60Man40-5、Man80Glu20-2、Man60Glu40-2、Man52Glu29Gal19-2、Man52Glu29Gal19-3又はMan100-17の特性を有する。
【0221】
【0222】
【0223】
プロバイオティクス
実施形態では、本明細書中に記載の組成物、例えば本明細書に記載のグリカン組成物は、共生若しくはプロバイオティクス細菌分類群、例えば一般に安全と認められる(GRAS)細菌又は既知の共生若しくはプロバイオティクス微生物を含み得る。実施形態では、本明細書に記載の組成物、例えば、本明細書に記載のグリカン組成物は、表8~10に記載の細菌分類群を含み得る。いくつかの実施形態では、プロバイオティクス若しくは共生細菌分類群(又はその調製物)は、グリカン調製物を受容する対象に投与され得る。
【0224】
いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも約1%(w/w)のプロバイオティクス若しくは共生細菌又はその組み合わせ(例えば、少なくとも約2%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%若しくはそれを超える)をさらに含む。
【0225】
プロバイオティクス微生物はまた、グリカン組成物中に含まれ得るか、又は本明細書に記載されるグリカン組成物と組み合わせて使用され得る。プロバイオティクス微生物は、プロバイオティクスとも呼ばれる。プロバイオティクスには、発酵中にプロバイオティクス微生物によって生成される代謝産物が含まれ得る。これらの代謝産物は、発酵培地、例えば、宿主生物(例えば、対象)に放出され得るか、又は微生物内に保存され得る。プロバイオティクス微生物には、例えば、治療用量で投与された場合、宿主動物に有益な機能を果たす、細菌、細菌ホモジネート、細菌タンパク質、細菌抽出物、細菌発酵上清及びそれらの組み合わせが含まれる。
【0226】
有用なプロバイオティック微生物には、少なくとも1つの乳酸及び/又は酢酸及び/又はプロピオン酸を産生する細菌、例えば、グルコース及びラクトースなどの炭水化物を分解することによって乳酸及び/又は酢酸及び/又はプロピオン酸を産生する微生物が含まれる。好ましくは、プロバイオティクス微生物は菌を産生する乳酸である。実施形態では、乳酸菌には、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、リューコノストック属(Leuconostoc)、ペディオコッカス属(Pediococcus)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)及びビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)の菌が含まれる。好適なプロバイオティクス微生物には、宿主の腸内微生物バランスを改善することによって宿主に有益な影響を与える他の微生物、例えば、以下に限定はされないが、サッカロミセス属(Saccharomyces)、デバリオミセス属(Debaromyces)、カンジダ属(Candida)、ピチア属(Pichia)及びトルロプシス属(Torulopsis)などの酵母、アスペルギルス属(Aspergillus)、リゾプス属(Rhizopus)、ムコール属(Mucor)、及びペニシリウム属(Penicillium)、及びトルロプシス属(Torulopsis)などのカビ並びに以下に限定はされないが、クロストリジウム属(Clostridium)、フソバクテリウム属(Fusobacterium)、メリソコッカス属(Melisscoccus)、プロピオニバクテリウム属(Propionibacterium)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、ブドウ球菌(Staphylococcus)、ペプトストレプトコッカス属(Peptostreptococcus)、バチルス属(Bacillus)、ペディオコッカス属(Pediococcus)、ミクロコッカス属(Micrococcus)、リューコノストック属(Leuconostoc)、ワイセラ属(Weissella)、アエロコッカス属(Aerococcus)及びオエノコッカス属(Oenococcus)などの他の細菌並びにこれらの組み合わせも含まれ得る。
【0227】
本明細書における開示において有用な乳酸菌の非限定的な例には、ストレプトコッカス・ラクティス(Streptococcus lactis)、ストレプトコッカス・クレモリス(Streptococcus cremoris)、ストレプトコッカス・ジアセチラクティス(Streptococcus diacetylactis)、ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)、ラクトバチルス・ブルガリカス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・ビフィダス(Lactobacillus bifidus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・ラクティス(Lactobacillus lactis)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・デルブレッキィ(Lactobacillus delbruekii)、ラクトバチルス・サーモフィラス(Lactobacillus thermophilus)、ラクトバチルス・ファーメンティイ(Lactobacillus fermentii)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・アニマーリス(Bifidobcterium animalis)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobcterium lactis)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobcterium breve)、ビフィドバクテリウム・アドレスセンティス(Bifidobcterium adolescentis)及びペディオコッカス・セレビシアエ(Pediococcus cerevisiae)、並びにこれらの組み合わせ、特に、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)及びその組み合わせの菌株が含まれる。
【0228】
本開示において特に有用なプロバイオティクス微生物は、(ヒト投与のために)ヒト起源のもの(又はプロバイオティクス微生物が投与される哺乳動物起源のもの)であり、宿主に対して非病原性であり、技術的プロセスに耐え(すなわち、処理中及び送達手段中で生存及び活性を維持することができ)、胃内酸度及び胆汁毒性に対して抵抗性があり、腸上皮組織に付着し、消化管にコロニーを形成する能力を有し、抗微生物物質を産生し、宿主における免疫応答を調節し、且つ代謝活性(例えば、コレステロール同化、ラクターゼ活性、ビタミン産生)に影響を及ぼすものが含まれる。
【0229】
プロバイオティクス微生物は、単一の株又は複数の株の組み合わせとしてグリカン調製物に含まれ得、ここで、プロバイオティクス微生物の用量中の細菌の総数は、1用量あたり、約1×103~約1×1014、又は約1×10~約1×1012、又は約1×107~約1×1011CFUである。
【0230】
プロバイオティクス微生物は、生きているが、「仮死」又は傾眠状態にある間に、グリカン調製物に組み込むことができる。一旦凍結乾燥されると、プロバイオティクス微生物の生培養物は、培養物を再び生き返らせる水分への曝露を最小限に抑えるように取り扱われる。なぜなら、一旦生き返らせると、培養物は高水分の環境又は培地中ですぐに培養されない限り、高い罹患率を経験し得るからである。さらに、培養物は、高温(特に、湿気の存在下)に曝露される可能性を低減して罹患率を減少させるように取り扱われる。
【0231】
プロバイオティクス微生物は、乾燥した粉末の形態で使用することができる。プロバイオティクス微生物は、グリカン調製物で、又はグリカン調製物と同時に、又は異なる時間に投与される別個のグリカン調製物で投与することもできる。
【0232】
プロバイオティクスの例には、以下に限定はされないが、腸内病原体を阻害することが報告されている有機酸(乳酸及び酢酸)、過酸化水素及びバクテリオシンを産生することによって腸内微生物叢の健全なバランスを維持すると考えられているラクトバチルス属(Lactobacillus)又はビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)由来のものなど、結腸を酸性化するものが含まれる。
【0233】
使用可能な他のラクトバチルス属(Lactobacillus)の細菌には、以下に限定はされないが、L.クリスパータス(L.Crispatus)、L.カゼイ(L.casei)、L.ラムノーサス(L.rhamnosus)、L.ロイテリー(L.reuteri)、L.ファーメンタム(L.fermentum)、L.プランタルム(L.plantarum)、L.スポロゲネス(L.sporogenes)及びL.ブルガリカス(L.bulgaricus)が含まれる。グリカン組成物に好適な他のプロバイオティクス細菌には、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)、B.アニマーリス(B.animalis)、B.ビフィダム(B.bifidum)、B.ロングム(B.longum)、B.アドレスセンティス(B.adolescentis)及びB.インファンティス(B.infantis)が含まれる。
【0234】
実施形態では、本明細書に記載の組成物において且つ/又は組成物と組み合わせて使用することができる共生微生物分類群は、アッカーマンシア属(Akkermansia)、アナエロコッカス属(Anaerococcus)、バクテロイデス属(Bacteroides)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)(例えば、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis、)、B.アニマーリス(B.animalis)、B.ビフィダム(B.bifidum)、B.ロングム(B.longum)、B.アドレスセンティス(B.adolescentis)、B.ブレーベ(B.breve)及びB.インファンティス(B.infantis))、ブラウティア属(Blautia)、クロストリジウム属(Clostridium)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、ディアリスター属(Dialister)、ユウバクテリウム属(Eubacterium)、フィーカリバクテリウム属(Faecalibacterium)、フィネゴルディア属(Finegoldia)、フソバクテリウム属(Fusobacterium)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)(例えば、L.アシドフィラス(L.acidophilus)、L.ヘルベティカス(L.helveticus)、L.ビフィダス(L.bifidus)、L.ラクティス(L.lactis)、L.ファーメンティイ(L.fermentii)、L.サリバリウス(L.salivarius)、L.パラカゼイ(L.paracasei)、L.ブレビス(L.brevis)、L.デルブレッキィ(L.delbruekii)、L.サーモフィラス(L.thermophiles)、L.クリスパータス(L.crispatus)、L.カゼイ(L.casei)、L.ラムノーサス(L.rhamnosus)、L.ロイテリー(L.reuteri)、L.ファーメンタム(L.fermentum)、L.プランタルム(L.plantarum)、L.スポロゲネス(L.sporogene)及びL.ブルガリカス(L.bulgaricus))、ペプトコッカス属(Peptococcus)、ペプトストレプトコッカス属(Peptostreptococcus)、ペプトニフィラス属(Peptoniphilus)、プレボテーラ属(Prevotella)、ロゼブリア属(Roseburia)、ルミノコッカス属(Ruminococcus)、ブドウ球菌属(Staphylococcus)、並びに/又はストレプトコッカス属(Streptococcus)(例えば、S.ラクティス(S.lactis)、S.クレモリス(S.cremoris)、S.ジアセチラクティス(S.diacetylactis)、S.サーモフィラス(S.thermophiles))を含む。
【0235】
実施形態では、本明細書に記載の組成物において且つ/又は組成物と組み合わせて使用することができる共生細菌分類群、例えば、GRAS株は、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)GBI-30、6086;ビフィドバクテリウム・アニマーリス 亜種 ラクティス(Bifidobacterium animalis subsp.Lactis)BB-12;ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)ヤクルト;ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)35624;ビフィドバクテリウム・アニマーリス 亜種 ラクティス(Bifidobacterium animalis subsp.Lactis)UNO 19(DR10);ビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium longum)BB536;大腸菌(Escherichia coli)M-17;大腸菌(Escherichia coli)Nissle 1917;ラクトバチルス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)DDS-1;ラクトバチルス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)LA-5;ラクトバチルス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)NCFM;ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)DN 114-001(ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)Immunitas/Defensis);ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)CRL431;ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)F19;ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)Stl l(又はNCC2461);ラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)Lai(ラクトバチルス(Lactobacillus)LCI、ラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)NCC533));ラクトバチルス・ラクティス(Lactococcus lactis)L1A;ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)299V;ラクトバチルス・ロイテリー(Lactobacillus reuteri)ATTC 55730(ラクトバチルス・ロイテリー(Lactobacillus reuteri)SD2112);ラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)ATCC 53013;ラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)LB21;サッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)(ブラウディ(boulardii))lyo;ラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)GR-1及びラクトバチルス・ロイテリー(Lactobacillus reuteri)RC-14の混合物;ラクトバチルス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)NCFM及びビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)BB-12若しくはBL-04の混合物;ラクトバチルス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)CL1285及びラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)の混合物;及びラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)R0052、ラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)R0011及び/若しくはラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)GG(LGG)の混合物を含む。
【0236】
シンバイオティクス
本明細書では、微生物の組み合わせ(例えば、細菌分類群)が、例えば、その微生物が増殖の基質として利用することができる、本明細書に開示のグリカン組成物と共に提供される。外因的に導入された微生物、例えば、表8~10に記載されているものなどは、多くの有益な効果を提供することができる。これは、(グリカンを用いて)微生物の増殖を促進し、それによって微生物がコロニー形成部位で他の細菌を成長させることによって起こり得る。
【0237】
本明細書で提供される方法は、1つ以上(例えば、1つ以上、2つ以上、3つ以上、4つ以上など)の細菌分類群、例えば、表8~10に列挙されるような細菌分類群を、グリカン組成物と組み合わせて対象に投与することを含む。このような組み合わせは、特定の細菌分類群を増加、抑制及び/又は改変し得る。本明細書では、1つ以上(例えば、1つ以上、2つ以上、3つ以上、4つ以上など)の細菌分類群を、本明細書に記載のグリカンと組み合わせて対象に投与することを含む方法が提供される。対象には、抗生物質を服用したか、服用しているか又は服用しようとしている対象が含まれ得る。対象には、抗生物質を服用していないか又は服用したことがない対象が含まれ得る。
【0238】
プレバイオティクス
いくつかの実施形態では、グリカン組成物はプレバイオティクス物質を含む。いくつかの実施形態では、プレバイオティクスは、グリカン調製物を受容する対象に投与され得る。プレバイオティクスは、摂取されると、腸内の限られた数の常在細菌の好ましい増殖又は活性を選択的に刺激することにより、宿主に有益な生理学的効果をもたらし得る、宿主に実質的に消化されない物質である(Gibson G R,Roberfroid M B.J Nutr.(1995)125:1401-12.)。食物繊維又はプレバイオティクスオリゴ糖(例えば、結晶性セルロース、コムギふすま、オートムギふすま、トウモロコシ繊維、ダイズ繊維、ビート繊維など)などのプレバイオティクスは、さらに、発酵可能な量の炭水化物を細菌に供給し、それらの微生物集団(例えば、乳酸菌とビフィズス菌)の消化管内のレベルを増加させることにより、腸内でのプロバイオティクス細菌及び/又は共生細菌の増殖を促進し得る。
【0239】
プレバイオティクスとしては、様々なガラクタン及び炭水化物系ガム、例えば、オオバコ、グアー、カラギーン、ジェラン、ラクツロース及びコンニャク等が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、プレバイオティクスは、ガラクトオリゴ糖(GOS)、ラクツロース、ラフィノース、スタキオース、ラクトスクロース、フルクト-オリゴ糖(FOS、例えば、オリゴフルクトース又はオリゴフルクタン)、イヌリン、イソマルト-オリゴ糖、キシロ-オリゴ糖(XOS)、パラチノースオリゴ糖、イソマルトースオリゴ糖(IMOS)、トランスガラクトシル化オリゴ糖(例えば、トランスガラクト-オリゴ糖)、トランスガラクトシル化二糖類、大豆オリゴ糖(例えば、大豆オリゴ糖)、キトサンオリゴ糖(チオセス)、ゲンチオオリゴ糖、大豆及びペクチン性オリゴ糖、グルコオリゴ糖、ペクチンオリゴ糖、パラチノース重縮合物、ジフルクトース無水物III、ソルビトール、マルチトール、ラクチトール、ポリオール、ポリデキストロース、直鎖及び分岐鎖デキストラン、プルラン、ヘミセルロース、還元パラチノース、セルロース、ベータ-グルコース、ベータ-ガラクトース、ベータ-フルクトース、ベルバスコース、ガラクチノール、キシラン、イヌリン、キトサン、ベータ-グルカン、グアーガム、アラビアゴム、ペクチン、高アルギン酸ナトリウム及びラムダカラゲナン又はこれらの混合物の1つ以上を含む。
【0240】
いくつかの実施形態では、gal100、glu10gal10man80、glu30gal30man40、gal33man33xyl33、glu40gal30man30、glu40gal20man40、glu45gal10man45、glu60gal20man20、fructo-oligosaccharide、glu40gal40man20、glu20gal20man20xyl20ara20、glu90gal5man5、glu80xyl20、glu20gal80、glu80ara20、glu40gal60、glu33gal33man33、man100、lactulose、glu80gal10man10、man80glu20、glu50gal50、glu80gal20、glu80man20、glu45gal45man10、glu60gal40、glu60man40、man80gal20、man60glu40、glu100、Glu100-114、Lara100-1、Gal50Fru50-2、Glu100-3、Glu100-94、Fru100-9、Glu100-22及び/又はGlu100-107を含むグリカン調製物が提供される。
【0241】
いくつかの実施形態では、グリカン組成物はプルランを含む。プルランは、グルコース源、例えばコーンシロップを特定の真菌、例えばオウレオバシディウム・プルランス(Aureobasidium pullulans)に供することによって産生することができる。プルランは、マルトトリオースで構成される線状構造を有し、3つのグルコース単位がアルファ1,4-グルコシド結合を介して連結している。ここで、マルトトリオースは、アルファ1,6-グルコシド結合を介して一連の他の3つのマルトトリオースに連結される。プルラン調製物は、およそ5kDa~1.5mDaの範囲の分子量を有し得(例えば、いくつかの調製物は、50kDa~500kDaの範囲)であり、必要に応じて分画され得る(例えば、HMWプルラン(MWおよそ100kDa)及びLMW(MWおよそ6kDa);Hayashibara、日本)。
【0242】
プレバイオティクスは、特定の食品、例えば、チコリー根、キクイモ、タンポポの若葉、ニンニク、リーク、タマネギ、アスパラガス、コムギふすま、小麦粉、バナナ、ミルク、ヨーグルト、モロコシ、ゴボウ、ブロッコリー、芽キャベツ、キャベツ、カリフラワー、カラードグリーン、ケール、ラディシュ、及びルタバガ、及びミソに見出すことができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のグリカン調製物は、プレバイオティクスに富む食品を含む食事と共に対象に投与される。可溶性及び不溶性繊維の好適な供給源は、商業的に入手可能である。
【0243】
いくつかの実施形態では、グリカン組成物は、少なくとも約1%(w/w)のプレバイオティクス物質(例えば、少なくとも約2%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%若しくはそれを超える)を含む。実施形態では、グリカン組成物は、FOSを含む。実施形態では、グリカン組成物は、ラクツロースを含む。
【0244】
細菌集団の変化は、「プレバイオティック指数」によって測定することができる。プレバイオティクス指数は、ビフィズス菌、真正細菌及び乳酸菌の増殖速度の増加を正の効果とみなし、クロストリジウム綱(Clostridia)、バクテリオデス(bacteriodes)、硫酸塩還元細菌及び大腸菌(Escherichia coli)の増加を負の効果とみなす。プレバイオティクス指数(PI)は、(ビフィズス菌/全細菌)+(乳酸菌/全細菌)-(バクテロイデス(Bacteroides)/全細菌)-(クロストリジウム菌/全細菌)の合計をいう(Palframan et al,2003,Lett Appl Microbiol 37:281-284を参照)。実施形態では、対象へのグリカン組成物の投与は、プレバイオティクス指数の増加をもたらし得る。対象へのグリカン組成物の投与は、以下の増加をもたらし得る:バクテロイデス属(Bacteroides)、ブラウティア属(Blautia)、クロストリジウム属(Clostridium)、フソバクテリウム属(Fusobacterium)、ユウバクテリウム属(Eubacterium)、ルミノコッカス属(Ruminococcus)、ペプトコッカス属(Peptococcus)、ペプトストレプトコッカス属(Peptostreptococcus)、アッカーマンシア属(Akkermansia)、フィーカリバクテリウム属(Faecalibacterium)、ロゼブリア属(Roseburia)、プレボテーラ属(Prevotella)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、乳酸菌、クリステンセネラ・ミヌタ(Christensenella minuta)又はクリステンセネラ科(Christensenellaceae)。
【0245】
いくつかの実施形態では、グリカン組成物は、抗生物質、抗真菌剤、抗ウイルス剤又は抗炎症剤(例えば、サイトカイン、ホルモンなど)を含む。
【0246】
いくつかの実施形態では、グリカン組成物は、薬物などの第2の治療剤又はその調製物をさらに含む。
【0247】
本明細書中に記載される方法及び組成物における使用に好適な医薬組成物、医療用食品、サプリメント(例えば、栄養補助食品)及び単位剤形は、国際公開第2016/122889号パンフレット、国際公開第2016/172657号パンフレット及び国際公開第2016/172658号パンフレット(これらは、参照により本明細書に組み込まれる)に見出すことができる。食品サプリメント、食品成分及び機能性食品も本明細書に提供される。
【0248】
いくつかの実施形態では、グリカン組成物はプレバイオティクス物質を含有しない。いくつかの実施形態では、グリカン組成物はプロバイオティクス細菌を含有しない。いくつかの実施形態では、グリカン組成物は、本明細書に記載のグリカン調製物の1つ以上を含む。
【0249】
本明細書に記載のグリカン調製物は、任意の好適な剤形、例えば、経鼻、経口、直腸又は胃内投与用に製剤化され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるグリカン調製物は、経腸投与用に製剤化され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるグリカン調製物は、経管栄養(経鼻胃管、経口胃管又は胃管栄養)用に製剤化され得る。本明細書に記載の剤形は、当業者に知られている方法を用いて製造することができる。
【0250】
剤形は、例えば、液体(例えば、飲料)、ゲル、クリーム、軟膏、粉末、錠剤、丸剤、カプセル剤、小袋、グミ、座薬、使い捨てアプリケータ又は医療デバイス(例えば、シリンジ)の形態で、グリカン調製物を入れる任意の個々の容器などのパケットであり得る。例えば、グリカン調製物の単位剤形を含む容器及びそのようなグリカンの使用説明書を含むラベルなどの製品も提供される。
【0251】
経口的に使用できる組成物の形態には、錠剤、ゼラチン製の押し込み型カプセル剤、並びにゼラチン及び可塑剤(例えば、グリセロール又はソルビトール)製の軟質密封カプセル剤が含まれる。錠剤は、場合により1つ以上の副成分と共に、圧縮又は成形によって製造することができる。圧縮錠剤は、粉末又は顆粒などの自由流動形態の活性成分を、任意選択により、結合剤(例えば、ポビドン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、不活性希釈剤、防腐剤、酸化防止剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム、架橋ポビドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)又は滑沢剤、界面活性剤若しくは分散剤と混合して、好適な機械で圧縮することにより調製することができる。成形錠剤は、不活性な液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を好適な機械で成形することによって製造することができる。錠剤は、任意選択により、コーティング又は刻み目を付けることができ、その中の活性成分の徐放又は制御放出を提供するように製剤化することができる。錠剤は、任意選択により、腸の一部(例えば、結腸、腸管下部)における放出を提供するために、腸溶コーティングを設けることができる。経口投与のための全ての製剤は、そのような投与に好適な用量であり得る。押し込み型カプセルは、活性成分を、ラクトースなどのフィラー、澱粉などの結合剤及び/又はタルク若しくはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤及び任意選択により安定剤と混合して含有することができる。軟カプセル剤では、活性化合物及び/又は他の薬剤(例えば、プレバイオティクス又はプロバイオティクス)は、脂肪油、流動パラフィン又は液体ポリエチレングリコールなどの好適な液体に溶解又は懸濁することができる。さらに、安定剤を添加することができる。糖衣錠コアは好適なコーティングを備える。この目的のために、濃縮された糖溶液が使用され得、これは、任意選択により、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール又は二酸化チタン、ラッカー溶液及び好適な有機溶媒又は溶媒混合物を含み得る。活性化合物用量の異なる組み合わせを識別するため又は特徴付けるために、錠剤又は糖衣錠コーティングに、染料又は色素を添加することができる。
【0252】
経口使用のための製剤は、活性成分が不活性な固体希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム若しくはカオリンと混合される硬質ゼラチンカプセルとして、又は活性成分がポリエチレングリコールなどの水溶性担体若しくは油媒体、例えばピーナッツ油、流動パラフィン若しくはオリーブ油と混合される軟質ゼラチンカプセルとしても提供され得る。
【0253】
一実施形態では、提供されるグリカン調製物は、ソフトゲル製剤を含む。ソフトゲルは、液体充填物を取り囲むゼラチンベースのシェルを含むことができる。シェルは、ゼラチン、可塑剤(例えば、グリセリン及び/又はソルビトール)、改質剤、水、着色剤、酸化防止剤又は香料から作ることができる。シェルは、デンプン又はカラゲナンで作ることができる。外層は腸溶コーティングすることができる。一実施形態では、ソフトゲル製剤は、水又は油溶性充填溶液又はゼラチン層によって覆われた組成物の懸濁液を含むことができる。
【0254】
経口使用のための固体製剤は、腸溶コーティングを含み得、これはグリカン調製物が消化系で吸収される位置を制御し得る。例えば、腸溶コーティングは、グリカン調製物が胃内で溶解せず、むしろ小腸に移動し、そこで溶解するように設計することができる。腸溶コーティングは、低pH(例えば、胃内など)で安定であり、より高いpH(例えば、小腸内)で溶解することができる。腸溶コーティングに使用できる材料には、例えば、アルギン酸、酢酸フタル酸セルロース、プラスチック、蝋、シェラック及び脂肪酸(例えば、ステアリン酸、パルミチン酸)が含まれる。
【0255】
経口使用のための製剤は、液体剤形(例えば、飲料)でも提供され得る。液体調製物は例えば、水性又は油性の懸濁液、溶液、エマルション、シロップ又はエリキシルの形態であり得るか、又は使用前に水又は他の好適な水性ビヒクルで再構成する乾燥製品(例えば、小袋)として提供され得る。このような液体調製物は、懸濁化剤、例えば、ソルビトール、メチルセルロース、グルコースシロップ、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲル又は水素化食用脂;乳化剤、例えば、レシチン、モノオレイン酸ソルビタン、アカシアゴム;非水性ビヒクル(食用脂を含むことができる)、例えば、アーモンド油、油性エステル(グリセリン、プロピレングリコール又はエチルアルコールなど);保存料、例えば、p-ヒドキシ安息香酸メチル若しくはp-ヒドキシ安息香酸プロピル又はソルビン酸及び必要に応じて従来の香味剤又は着色剤を含有することができる。いくつかの実施形態では、液体製剤は、例えば、溶液中水及び/又は懸濁形態の薬剤;並びにポリエトキシル化ヒマシ油、アルコール及び/又はポリオキシエチル化モノオレイン酸ソルビタンを含むビヒクルを、香味料と共に又は香味料なしで含み得る。各剤形は、有効量のグリカンを含み得、また任意選択により、従来の賦形剤、ビヒクル、充填剤、結合剤、崩壊剤、pH調整物質、緩衝剤、溶媒、可溶化剤、甘味料、着色剤及び投与のための医薬剤形に含めることができる任意の他の不活性薬剤などの薬学的に不活性な薬剤を含み得る。このようなビヒクル及び添加剤の例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th edition(1985)に見出すことができる。
【0256】
本明細書に提供される医薬組成物は、単位剤形又は複数回投与剤形であり得る。単位剤形は、本明細書に使用される場合、それを必要とするヒトへの投与に好適な物理的に別々の単位を指す。一実施形態では、単位剤形は、パッケージ内に提供される。各単位用量は、所望の治療効果を生じさせるのに十分な所定の数量の有効成分を、他の薬学的担体又は賦形剤と共に含み得る。単位剤形の例としては、アンプル、シリンジ及び個別にパッケージ化された錠剤及びカプセルが挙げられるが、これらに限定されない。単位剤形は、その一部又はその複数を投与することができる。複数回投与剤形は、単一の容器内に同一の単位投与剤形が複数個パッケージ化されたものであり、区分された単位剤形として投与することができる。複数回投与剤形の例としては、バイアル、錠剤若しくはカプセルの瓶又は数パイント若しくは数ガロンの瓶が挙げられるが、これらに限定されない。別の実施形態では、複数回投与剤形は、異なる薬学的活性薬剤を含む。例えば、グリカンを含む組成物を含む第1の投与エレメントと、プレバイオティクス、治療剤及び/又はプロバイオティクスを含む第2の投与エレメント(これらは、改変放出形態であり得る)とを含む複数回投与剤形が提供され得る。この例では、一対の投与エレメントが単一の単位投与量を構成し得る。一実施形態では、複数の単位投与量を含み、各単位はグリカン調製物を含む組成物を含む第1の投与エレメントと、プロバイオティクス、医薬剤、プレバイオティクス又はこれらの組み合わせを含む第2の投与エレメント(これらは、改変放出形態であり得る)とを含むキットが提供される。別の実施形態では、キットは一組の説明書をさらに含む。
【0257】
いくつかの実施形態では、単位剤形は、約1mg~約100gのグリカン調製物(例えば、本明細書に記載のグリカン)を含む。例えば、単位剤形は、約50mg~約50g、約500mg~約50g、約5g~約50g、約100mg~約100g、約1g~約100g、約10g~約100g、約1g~約10g、約1g~約20g、約1g~約30g、約1g~約40g、約1g~約50g、約1g~約60g、約1g~約70g、約1g~約80g、約1g~約90g、約1g~約100g、約1g~約150g、約1g~約200gのグリカンを含み得る。
【0258】
他の実施形態では、単位剤形は、約0.001mL~約1000mLのグリカン(例えば、本明細書に記載のグリカン)を含む。例えば、単位剤形は、約0.001mL~約950mL、約0.005mL~約900mL、約0.01mL~約850mL、約0.05mL~約800mL、約0.075mL~約750mL、約0.1mL~約700mL、約0.25mL~約650mL、約0.5mL~約600mL、約0.75mL~約550mL、約1mL~約500mL、約2.5mL~約450mL、約5mL~約400mL、約7.5mL~約350mL、約10mL~約300mL、約12.5mL~約250mL、約15mL~約200mL、約17.5mL~約150mL、約20mL~約100mL又は約25mL~約75mLのグリカンを含む。
【0259】
特定の実施形態では、単位剤形は、約0.001mL~約10mL、約0.005mL~約7.5mL、約0.01mL~約5mL、約0.05mL~約2.5mL、約0.1mL~約1mL、約0.25mL~約1mL又は約0.5mL~約1mLのグリカンを含む。他の実施形態では、単位剤形は、約0.01mL~約10mL、約0.025mL~約7.5mL、約0.05mL~約5mL又は約0.1mL~約2.5mLのグリカンを含む。他の実施形態では、単位剤形は、約0.1mL~約10mL、約0.25mL~約7.5mL、約0.5mL~約5mL、約0.5mL~約2.5mL又は約0.5mL~約1mLのグリカンを含む。
【0260】
いくつかの実施形態では、単位剤形、例えば、錠剤、カプセル剤(例えば、硬カプセル剤、押し込み型カプセル剤若しくは軟カプセル剤)又はソフトゲル剤は、約0.1インチ~約1.5インチ(例えば、約0.5インチ及び約1インチ)又は約5mm~約50mm(例えば、約10mm~約25mm)の長さを有する。いくつかの実施形態では、単位剤形、例えば、錠剤、カプセル剤(例えば、硬カプセル剤、押し込み型カプセル剤若しくは軟カプセル剤)又はソフトゲル剤は、約0.05インチ~約1インチ(例えば、約0.1インチ~約0.5インチ)又は約1mm~約25mm(例えば、約5mm~約10mm)の外径を有する。
【0261】
グリカンの各単位剤形は、約0.01kcal~約1000kcalのカロリー値を有し得る。例えば、単位剤形は、約0.01kcal~約100kcal、約0.05kcal~約50kcal、約0.1kcal~約10kcal、約0.25kcal~約2.5kcal、約0.5kcal~約5kcal、約0.75kcal~約7.5kcal、約1kcal~10kcal、約5kcal~約50kcal又は約10kcal~約100kcalのカロリー値を有し得る。特定の実施形態では、グリカンの単位剤形は、10kcal~約500kcalのカロリー値を有する。特定の実施形態では、グリカンの単位剤形は、1kcal~約100kcalのカロリー値を有する。特定の実施形態では、グリカンの単位剤形は、0.1kcal~約10kcalのカロリー値を有する。
【0262】
さらに他の実施形態では、単位剤形は、約0.001kcal~約10kcal、約0.005kcal~約10kcal、約0.01kcal~約10kcal、約0.025kcal~約25kcal、約0.05kcal~約50kcal、約0.075kcal~約75kcal、約0.1kcal~100kcal、約0.25kcal~約10kcal、約0.5kcal~約5kcal、約0.25kcal~約25kcal又は約0.1kcal~約1kcalのカロリー値を有し得る。
【0263】
グリカンの単位剤形は、水溶液(例えば、水、ミルク、ジュースなど)に溶解するように製剤化され得、飲料、シロップ、溶液又は懸濁液として経口投与される。例えば、グリカンの単位剤形は、経口投与前に水溶液に溶解するように製剤化された、キューブ、パケット、トローチ、丸薬、錠剤、カプセル、キャンディ、粉末、エリキシル又は濃縮シロップを含み得る。他の実施形態では、グリカンの単位剤形は、経口投与の際に生体内で、例えば、対象の口、胃、腸又は結腸で溶解するように製剤化された、キューブ、パケット、トローチ、丸薬、錠剤、カプセル、キャンディ、粉末、エリキシル又は濃縮シロップを含み得る。
【0264】
いくつかの実施形態では、グリカン調製物は腸内投与される。これには、経口投与又は経口チューブ若しくは経鼻チューブ(経鼻胃管、経鼻空腸管、経口胃管又は経口空腸管を含む)による投与が優先的に含まれる。他の実施形態では、投与には、直腸投与(注腸、坐薬又は結腸内視鏡を含む)を含む。
【0265】
本明細書に記載の剤形は、当業者に知られている方法を用いて製造することができる。例えば、錠剤の製造では、例えば、高剪断造粒法、低剪断造粒法、流動床造粒法を使用して、又は直接圧縮のためにブレンドすることにより、有効量のプレバイオティクスを1つ以上の賦形剤又は添加剤中に均一に分散させることができる。賦形剤及び添加剤としては、希釈剤、結合剤、崩壊剤、分散剤、滑沢剤、流動促進剤、安定剤、界面活性剤、接着防止剤、吸着剤、甘味料及び着色剤又はそれらの組み合わせが含まれる。充填剤とも呼ばれる希釈剤は、圧縮のために実用的なサイズが提供されるように、錠剤の嵩を増加させるために使用することができる。希釈剤の非限定的な例には、ラクトース、セルロース、微結晶性セルロース、マンニトール、乾燥デンプン、加水分解デンプン、粉末糖、タルク、塩化ナトリウム、二酸化ケイ素、酸化チタン、リン酸二カルシウム二水和物、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、アルミナ及びカオリンが含まれる。結合剤は、錠剤製剤に凝集性を付与することができ、圧縮後に錠剤が無傷のままであるのを助けるために使用することができる。好適な結合剤の非限定的な例としては、デンプン(コーンスターチ及びアルファ化デンプンを含む)、ゼラチン、糖(例えば、グルコース、デキストロース、スクロース、ラクトース及びソルビトール)、セルロース、ポリエチレングリコール、アルギン酸、デキストリン、カゼイン、メチルセルロース、蝋、天然及び合成ゴム、例えば、アカシアゴム、トラガカントゴム、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム、キサンタンゴム、並びにポリメタクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース及びポリビニルピロリドンなどの合成ポリマーが含まれる。滑沢剤は、錠剤の製造を容易にすることもでき、その非限定的な例には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリル及びポリエチレングリコールが挙げられる。崩壊剤は、投与後の錠剤の崩壊を促進することができ、その非限定的な例には、デンプン、アルギン酸、例えば架橋ポリビニルピロリドンなどの架橋ポリマー、例えば、架橋ポリビニルピロリドン、クロスカルメロースナトリウム、グリコール酸デンプンカリウム又はグリコール酸デンプンナトリウム、クレイ、セルロース(例えば、カルボキシメチルセルロース(例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、CMC-Na、CMC-Ca))、デンプン、ゴムなどが含まれる。好適な流動促進剤の非限定的な例には、二酸化ケイ素、タルク等が含まれる。安定剤は、酸化反応を含む、薬物分解反応を阻害する又は遅延させることができる。界面活性剤も含めることができ、陰イオン性、陽イオン性、両性又は非イオン性であり得る。例示的な甘味料には、ステビア抽出物、アスパルテーム、スクロース、アリテーム、サッカリン等が含まれ得る。必要に応じて、錠剤は、pH緩衝剤、保存料、例えば、酸化防止剤、湿潤剤又は乳化剤、可溶化剤、コーティング剤、香味剤(例えば、ミント、チェリー、アニス、モモ、アプリコット、甘草、ラズベリー、バニラ)等の非毒性補助物質も含み得る。さらなる賦形剤及び添加剤には、酢酸アルミニウム、ベンジルアルコール、ブチルパラベン、ブチル化ヒドロキシトルエン、カルシウム二ナトリウムEDTA、リン酸水素カルシウム二水和物、二塩基性リン酸カルシウム、三塩基性リン酸カルシウム、カンデリラ蝋、カルナウバ蝋、水素化ヒマシ油、塩化セチルピリジン、クエン酸、コロイド状二酸化ケイ素、コポリビドン、トウモロコシデンプン、システインHCl、ジメチコン、リン酸水素二ナトリウム、エリトロシンナトリウム、エチルセルロース、ゼラチン、グリセリン、モノオレイン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、グリシン、HPMCフタレート(pthalate)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、ヒプロメロース、赤色酸化鉄若しくは酸化第二鉄、黄色酸化鉄、酸化鉄若しくは酸化第二鉄、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、メチオニン、メタクリル酸コポリマー、メチルパラベン、ケイ化微結晶セルロース、鉱油、リン酸、普通リン酸カルシウム、無水リン酸カルシウム、ポラキサマー407、ポラキサマー188、普通ポラキサマー、ポリエチレンオキシド、ポリオキシ140ステアレート、ポリソルベート80、炭酸水素カリウム、ソルビン酸ナトリウム、ジャガイモデンプン、ポビドン、プロピレングリコール、プロピレンパラベン、プロピルパラベン、レチニルパルミテート、サッカリンナトリウム、セレン、シリカ、シリカゲル、ヒュームドシリカ、安息香酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム二水和物、クロスメロースナトリウム、ラウリン硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ナトリウムデンプン、グリコール酸ナトリウムデンプン、ステアリルフマル酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビトール、モノオレイン酸ソルビタン、アルファ化デンプン、コハク酸、トリアセチン、クエン酸トリエチル、植物ステアリン、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC又はこれらの組み合わせが含まれ得る。これらの賦形剤及び添加剤の量は、他の構成成分との関係及び調合及び生成方法の特性に基づいて適切に選択され得る。
【0266】
有効量のグリカン調製物の即時放出製剤は、薬学的活性剤の迅速な放出(投与後1分~1時間など)を可能にする賦形剤の1つ以上の組み合わせを含み得る。制御放出製剤(持続放出(SR)、長時間放出(ER、XR又はXL)、逐次継続放出(time-release)若しくは時限放出(timed-release)、制御放出(CR)又は継続放出とも称される)とは、剤形が対象に投与された後の特定の所望の時点での、剤形からのグリカンの調製物の放出のことを指す。
【0267】
一実施形態では、制御放出剤形はその放出を開始し、その放出を長期間にわたって続ける。放出は、ほぼ即時的に開始し得るか、又は持続的であり得る。放出は、一定であり得、経時的に増加又は減少し得、パルス状であり得、継続的若しくは間欠的等であり得る。一実施形態では、制御放出剤形は、薬剤が長期間にわたって所望のプロファイルに従って放出される、組成物又は剤形からの薬物の放出を指す。一態様では、制御放出は、放出がある期間の後に起こる所望のプロファイルに従って薬剤が放出される、組成物又は剤形からの薬物の遅延放出を指す。
【0268】
本明細書で提供される化合物の投与に好適な薬学的担体又はビヒクルには、特定の投与モードに好適であると当業者に知られているような全ての担体が含まれる。さらに、本組成物は、所望の作用を損なわない1つ以上の構成成分又は所望の作用を補うか若しくは別の作用を有する構成成分を含むことができる。
【0269】
さらなる態様では、剤形は、発泡性剤形であり得る。発泡性とは、剤形が水及び唾液を含む液体と混合された場合、気体を発生させることを意味する。ある種の発泡性薬剤(又は発泡性カップル)は、発泡性崩壊剤の水又は口腔内の唾液との曝露に際して起こる化学反応によって気体を発生させる。この反応は、可溶性酸性源と一炭酸アルカリ又は炭酸アルカリの源との反応の結果であり得る。これらの2つの一般的化合物の反応により、水又は唾液との接触に際して二酸化炭素ガスが生じる。発泡性カップルは(又は個々の酸及び塩基は個別に)、早過ぎる反応を防ぐために溶媒保護コーティング又は腸溶コーティングでコーティングすることができる。このようなカップルは、予め凍結乾燥した粒子(例えば、グリカン)と混合することもできる。酸源は、ヒトが摂取しても安全なものであり得、一般に、例えばクエン酸、酒石酸、アマリン酸、フメル酸、アジピン酸、コハク酸など、食用酸、酸及びヒドライト制酸剤を含み得る。炭酸塩源には、乾燥固体炭酸塩及び炭酸水素塩、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム及び炭酸カリウム、炭酸マグネシウムなどが含まれる。酸素又は他のガスを発生し、ヒトが摂取しても安全である反応物も含まれる。一実施形態では、クエン酸及び炭酸水素ナトリウムが使用される。
【0270】
別の態様では、剤形は、ロリポップ又はロゼンジ等のキャンディ形態(例えば、基材)であり得る。一実施形態では、グリカンの有効量をキャンディ基材中に分散させる。一実施形態では、キャンディ基材は、1種以上の糖(デキストロース又はスクロース等)を含む。別の実施形態では、キャンディ基材は糖を含まない基材である。特定のキャンディ基材の選択には幅広いバリエーションがある。従来の甘味料(例えば、スクロース)、糖尿病対象の使用に適する糖アルコール(例えば、ソルビトール若しくはマンニトール)又は他の甘味料(例えば、本明細書に記載される甘味料)は、使用され得る。キャンディ基材は、非常に軟質で迅速に溶解するものであり得るか、又は硬質でより緩徐に溶解するものであり得る。様々な形態は、異なる状況での利点を有するであろう。
【0271】
有効量のグリカンを含むキャンディ塊(candy mass)組成物は、それを必要とする対象に対して経口投与し、キャンディ塊が溶解し飲み込まれるにつれて有効量のグリカンが対象の口腔内に放出されるようにすることができる。それを必要とする対象には、ヒトの成人又は子供が含まれる。
【0272】
本明細書に記載される剤形は、高圧均質化、湿式若しくは乾式ボールミル粉砕又は小粒子沈殿を含むがこれらに限定されない、様々な方法によって製造される薬学的粒子の形態をとることもできる。好適な粉末製剤を作製するのに有用な他の方法は、有効成分及び賦形剤の溶液を調製し、その後に沈殿、濾過及び微粉化を行うこと、又はその後に凍結乾燥による溶液の除去を行い、その後に粉末を所望の粒径に微粉化することである。一実施形態では、薬学的粒子は、3~1000ミクロン、例えば、最大で3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000ミクロンの最終サイズを有する。別の実施形態では、薬学的粒子は、10~500ミクロンの最終サイズを有する。別の実施形態では、薬学的粒子は、50~600ミクロンの最終サイズを有する。別の実施形態では、薬学的粒子は、100~800ミクロンの最終サイズを有する。
【0273】
別の態様では、本開示は、グリカン(例えば、本明細書に記載のグリカン)を提供すること;グリカンを単位剤形(例えば、本明細書に記載の単位剤形)に製剤化すること;単位剤形をパッケージ化すること;パッケージ化した包装された単位剤形にラベル付けすること、及び/又はパッケージ化され、且つラベル付けされた単位剤形を販売するか若しくは販売に供することを含む、本明細書に記載の単位剤形を作製する方法を提供する。
【0274】
本明細書に記載される単位剤形も処理され得る。一実施形態では、この処理は、剤形を医薬組成物に処理すること、例えば、第2の構成成分、例えば、賦形剤又は緩衝液で製剤化し、混合すること;より少量若しくは多量のアリコートを分割すること;容器、例えば、気密性又は液密性容器に廃棄すること;パッケージ化すること;ラベルを一体化させること;異なる場所に出荷又は移動することの1つ以上を含む。一実施形態では、この処理は、分類すること、選択すること、許容若しくは廃棄すること、放出若しくは保留すること、医薬組成物に処理すること、異なる場所に出荷若しくは移動すること、製剤化すること、ラベル付けすること、パッケージ化すること、商取引に放出すること、又は販売若しくは販売に供すること、所定の閾値を満たすかどうかに応じて異なることの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、処理した剤形は、本明細書に記載されるグリカンを含む。
【0275】
いくつかの実施形態では、この処理は、剤形を医薬組成物に処理すること、例えば、第2の構成成分、例えば、賦形剤又は緩衝剤と製剤化し、混合すること;より少量若しくはより多量のアリコートに分割すること;容器、例えば、気密性又は液密性容器に処理すること;パッケージ化すること;ラベルと関連付けること;異なる場所に出荷又は移動させることの1つ以上を含む。一実施形態では、この処理は、分類すること、選択すること、許容若しくは廃棄すること、放出若しくは保留すること、医薬組成物に処理すること、異なる場所に出荷若しくは移動させること、製剤化すること、ラベル付けすること、パッケージ化すること、商取引に放出すること、又は販売するか若しくは販売に供すること、決定に応じることの1つ以上を含む。
【0276】
別の実施形態では、グリカン調製物を含む経口剤形が提供され、経口剤形はシロップである。シロップは、約1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%又は85%の固体を含み得る。シロップは、約15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%又は50%の液体、例えば、水を含み得る。固体は、グリカン調製物を含み得る。固体は、例えば、約1~96%、10~96%、20~96%、30~96%、40~96%、50~96%、60~96%、70~96%、80~96%又は90~96%のグリカン調製物であり得る。別の実施形態では、グリカン調製物は、粘性流体として製剤化される。
【0277】
一実施形態では、本組成物は、発泡成分、中和成分又は水不溶性食物繊維を含む。発泡成分は、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム及び炭酸カルシウムからなる群から選択される少なくとも1つのメンバーであり得る。一実施形態では、中和成分は、クエン酸、L-酒石酸、フマル酸、L-アスコルビン酸、DL-リンゴ酸、酢酸、乳酸及び無水クエン酸からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーであり得る。一実施形態では、水不溶性食物繊維は、結晶性セルロース、コムギふすま、オートムギふすま、トウモロコシ繊維、ダイズ繊維及びビート繊維からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーであり得る。製剤は、スクロース脂肪酸エステル、粉末糖、フルーツジュース粉末及び/又は香味材料を含むことができる。
【0278】
いくつかの実施形態では、剤形は、小腸又は大腸などのGI管の特定の領域においてグリカン調製物を含む医薬組成物を放出するように製剤化される。いくつかの実施形態では、剤形は、盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S字結腸及び/又は直腸などのGI管の特定の領域においてグリカン調製物を含む医薬組成物を放出するように製剤化される。
【0279】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のグリカン調製物のための剤形は、酵素応答性送達システムである。例えば、トリプシン応答性は、トリプシンによって分解されるペプチドによって架橋されるヒドロゲルを使用して作製され得る。トリプシンは小腸で活性である。トリプシン応答性送達システムは、グリカン調製物の小腸への送達を標的にするために使用され得る。別の例では、アルブミンで架橋されたポリ(ビニルピロリドン)からなる酵素消化性ヒドロゲルがペプシンの存在下で分解される。
【0280】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のグリカン調製物のための剤形は、GI管の特定の部位での長期の保持を可能にする送達デバイスである。例えば、胃保持性送達システムは、胃へのグリカン調製物の長期放出を可能にする。胃保持性送達は、胃又は上部小腸の細菌を調節するグリカン調製物に使用され得る。
【0281】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のグリカン調製物のための剤形は、胃の粘膜表面に付着する粘膜付着性送達システムである。それらは、通常、多数の水素結合基を有するポリマー、例えば、架橋ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、カラギナン、Carbopol 934P又はチオール化ポリカルボフィルから構成される。
【0282】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のグリカン調製物のための剤形は、胃においてサイズが急速に大きくなる膨張送達システムであり、これは、幽門の通過を遅らせる。このようなシステムは、胃内で広がるシステムを含む。例えば、四面体、環、円板などの幾何学的形状は、ゼラチンカプセルに詰め込むことができる。カプセルが溶解すると、形状は広がる。このシステムは、1つ以上の侵食性ポリマー(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース)、1種以上の非侵食性ポリマー(例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリウレタン)から構成され得る。その後、グリカンがポリマーマトリックス内に分散され得る。保持時間は、ポリマーのブレンドによって微調整することができる。代わりに、胃の酸性pHで安定であるが、さらにGI管に沿った中性/アルカリ性条件で溶解する弾性ポリマーから作製されたデバイスが使用され得る。このようなポリマー製剤は、デバイスが胃を出るときの腸閉塞を防止することができる。例えば、ポリ(アクリロイル6-アミノカプロン酸)(PA6ACA)及びポリ(メタクリル酸-コ-エチルアクリレート)(EUDRAGIT L 100-55)からなる、カルボキシル基間の水素結合によって架橋された超分子ポリマーゲルも使用され得る。他のシステムには、コラーゲンスポンジなどの膨潤性賦形剤が含まれる。例えば、ヒドロゲルマトリックス(例えば、膨潤性コア:ポリビニルピロリドンXL、Carbopol 934P、炭酸カルシウム)は、胃で2~50倍に膨潤する。超多孔質ヒドロゲル複合材料は、数分で元の体積の数百倍に膨潤する。いくつかのシステム、例えば、親水性の膜に囲まれた二酸化炭素を発生する膨張可能なシステムは、膨張を達成するためにガス発生を利用する。
【0283】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のグリカン調製物のための剤形は、密度制御送達システムである。これらのシステムは、胃液中で浮遊又は沈降するように設計され、これは、それらの胃からの排出を遅らせる。例えば、高密度システムは、デバイスを幽門の下、胃の底部に沈ませ、これにより胃を空にすることを回避する。他のシステムは、低密度/フローティングシステムである。そのようなデバイスは、例えば、中空チャンバ内に閉じ込められた空気を含むか、又は脂肪、油若しくは発泡体粉末などの低密度材料を包含し得る。低密度は、例えば膨潤によって達成され得、例えば、ヒドロコロイド含有カプセルは胃液と接触すると溶解し、ヒドロコロイドが膨潤して粘液体を形成する。別のポリマーには、キトサン、アルギン酸ナトリウム及びモノオレイン酸グリセロールマトリックスが含まれる。低密度は、ガスの発生によって達成され得る。例えば、炭酸塩及び任意選択によりクエン酸を充填した錠剤は、酸性水性媒体と接触後に二酸化炭素を発生する。発生した二酸化炭素は、ゲル化ヒドロコロイド内に捕捉され、システムを浮遊させる。ヒドロコロイドには、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びCarbopol 934Pが含まれる。
【0284】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のグリカン調製物のための剤形は、小腸又は大腸においてデバイスを保持するための設計を使用する。デバイスの位置特異性は、特定のトリガ方法、例えば、pH、酵素などによって提供される。これらには、粘膜接着のために設計されたシステムが含まれ、またマイクロニードルピルも含まれる。マイクロニードルピルは、pH応答性コーティングに封入された、マイクロニードルが添加された薬物リザーバを含む。ピルがGI管内の所望の位置に到達し、コーティングが溶解すると、マイクロニードルが、ピルをGI管の内層に付着させる。他の実施形態では、マイクロニードルピルは、クエン酸及び炭酸水素ナトリウムがそれぞれ充填された2つの化学的区画からなるカプセルを含む。ピルが消化器系で溶解するにつれて、2つの物質間の障壁が侵食され、それらが混合し、糖からなるマイクロニードルをカプセルの外層を通して小腸の内層に押し込む化学反応を生じさせる。糖のニードルは、糖が吸収されるにつれて、近くの血管に送達される薬物で満たされ得る。
【0285】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のグリカン調製物のための剤形は、pH感受性ポリマーコーティングを使用する。例えば、pH依存性ポリマー(二相又は三相)は、低いpHレベルで不溶であり得(例えば、胃における酸耐性、pH1~2の胃において耐酸性である)、pHが、例えば、十二指腸で約5.5~6.2、上行結腸で約pH5.7、盲腸で約pH6.4、横行結腸で約pH6.6、下行結腸で約pH7.0、回腸で約pH7.2~7.5又は遠位小腸で約pH7.5に上昇すると、溶解性が増大する。一例では、において、TARGITTM技術は、消化(GI)管におけるグリカン調製物の部位特異的送達のために使用され得る。このシステムは、末端回腸及び結腸を標的にするために、射出成形デンプンカプセル上にpH感受性コーティングを使用する。
【0286】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のグリカン調製物のための剤形は、遅延放出システム又は時間制御放出システムである。このようなシステムは、通常、pH感受性及び時間放出機能と組み合わせることができる腸溶コーティングを使用する。例えば、3つの構成要素:グリカン含有コア錠(急速放出機能)、プレスコーティングされた膨潤性疎水性ポリマー層(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース層(HPC)及び時間放出機能からなるETP(腸溶コーティングされた時間放出プレスコート)錠剤が使用され得る。遅滞期の持続時間は、ポリマー層及び腸溶コーティング層(耐酸性機能)の重量又は組成によって制御することができる。
【0287】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるグリカン調製物のための剤形は、錠剤及びカプセルのEudragit(登録商標)腸溶コーティングを使用する。他の好適な合成ポリマーには、シェラック、エチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリ酢酸ビニルフタレート及びポリ-γ-グルタミン酸(γ-PGA)などのポリグルタミン酸コーティングが含まれる。これらのコーティングは、粘膜接着性及びpH依存性放出戦略の両方を組み合わせる。結腸標的送達を増強するために、Eudragits(登録商標)は、それらが可溶性であるpHを変化させる種々の側鎖基組成を有するメタクリルコポリマーである。例えば、Eudragit(登録商標)被覆システムでは、胃(例えば、pH1.4)及び小腸(例えば、pH6.3)において有意な薬物放出は生じず、一方、回盲部、pH7.8で、有意な薬物放出が見られる。
【0288】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のグリカン調製物のための剤形は、多糖ベース送達システムなどの微生物トリガーシステムである。多糖ベース送達システムは、生分解性で粘膜接着性のポリマーコーティング、例えば、キトサン及びペクチンからなるコーティングを含む。他の好適な天然ポリマーには、例えば、グアーガム、イヌリン、シクロデキストリン、デキストラン、アミラーゼ、コンドロチン硫酸、ローカストビーンガムが含まれる。これらの送達システムは、グリカン調製物の小腸への送達を標的にするために使用され得る。グアーガム、キサンタンガム、キトサン、アルギン酸塩などの天然に存在する多糖類によるコーティングは、結腸の腸内微生物叢、例えば、キシロシダーゼ、アラビノシダーゼ、ガラクトシダーゼなどの酵素によって分解される。例えば、CODESTM技術を使用して、グリカン調製物を送達することができる。このシステムは、多糖類コーティングをpH感受性コーティングと組み合わせる。いくつかの実施形態では、この系は、以下の3層のポリマーコーティングでコーティングされたコア錠剤からなる:外側コーティングは、Eudragit Lから構成される。このコーティングは十二指腸で溶解し、次のコーティングを露出させる。次のコーティングは、Eudragit Eから構成される。この層は、内部コアに存在するラクツロースの放出を可能にする。ラクツロースは、Eudragit E層が溶解する周囲pHを低下させる短鎖脂肪酸に代謝される。Eudragit Eの溶解は、グリカンの露出をもたらす。結腸に存在する細菌は、コア錠剤から放出される多糖類の分解に関与する。多糖類の分解は、錠剤を取り囲む内容物のpHを低下させる有機酸の形成をもたらし得る。
【0289】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のグリカン調製物のための剤形は、圧力制御送達システムである。このシステムは、小腸よりも結腸でより高い圧力に遭遇するという事実を利用する。例えば、水に不溶のエチルセルロースシステムでは、結腸の内腔内の圧力の結果として、水不溶性ポリマーカプセルの崩壊後に、グリカンの放出が生じる。放出プロフィールは、エチルセルロースの厚さ、カプセルのサイズ及び/又はカプセルの密度を変化させることによって調節することができる。
【0290】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のグリカン調製物のための剤形は、脈動性結腸標的デリバリーシステムである。例えば、このシステムは、パルシンキャップ(pulsincap)システムであり得る。使用されるカプセルは、グリカンの放出を制御するカプセル内に配置されるプラグを含む。膨潤性ヒドロゲル(例えば、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリメチルメタクリレート又はポリ酢酸ビニル)が、薬物内容物を密封する。カプセルが流体と接触すると、プラグがカプセルから押し出され、グリカンが放出される。放出プロフィールは、プラグとカプセル本体との交差する長さ及び/又は交点を変化させることによって制御することができる。別のシステムはポートシステムである。カプセル本体は、半透膜に包まれる。不溶性プラグは、浸透圧活性剤及びグリカンからなる。カプセルが流体と接触すると、半透膜が流体を流入させ、カプセル本体内の圧力を高める。これにより、プラグが押し出され、グリカンが放出される。
【0291】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のグリカン調製物のための剤形は、浸透圧制御結腸標的デリバリーシステムである。例示的なシステム、OROS-CTは、硬ゼラチンカプセルに封入された浸透圧ユニット(5又は6プッシュプルユニットまで)からなる。プッシュプルユニットは、外側の腸の不透過性膜及び内側の半透膜で二層化される。プッシュプルの内部の中央部分は、薬物層及びプッシュ層からなる。グリカンは、半透膜を通して放出される。プッシュプルユニットを取り囲むカプセル本体は、投与直後に溶解する。GI管では、腸不透過性膜が水の吸収を妨げる。腸溶コーティングは、小腸(より高いpH、>7)で溶解し、水は半透膜を通ってユニットに入り、プッシュ層を膨潤させ、グリカンを外に押し出す。
【0292】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のグリカン調製物のための剤形は、回盲弁に到達する直前にグリカンを放出するために使用することができる「スマートピル」である。
【0293】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のグリカン調製物のための剤形は、直腸投与製剤である。例えば、浣腸は、液体製剤のグリカン調製物を直腸に導入する。投与される容量は、通常、10mL未満である。坐剤は、グリカン調製物を直腸に導入する。坐薬は直腸に挿入されると溶融又は溶解し、グリカンを放出する固体剤形である。坐薬製剤の一般的な賦形剤には、ココアバター、ポリエチレングリコール及び寒天が含まれる。
【0294】
剤形
本明細書に記載のグリカンポリマー調製物は、任意の好適な剤形、例えば経口若しくは経腸投与用に製剤化することができるか、又は注射用に製剤化することができる。本明細書中に記載される方法及び組成物における使用に好適な剤形は、国際公開第2016/122889号パンフレット、国際公開第2016/172657号パンフレット及び国際公開第2016/172658号パンフレットに見出すことができ、これらはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0295】
本明細書に記載の剤形は、当業者に知られている方法を用いて製造することができる。剤形は、任意の投与経路、例えば、経口又は非経口、例えば、静脈内、筋肉内、皮下、眼窩内、被膜内、腹腔内、直腸内、大槽内、腫瘍内、血管内、皮内又は皮膚による受動的吸収若しくは促進的吸収に好適であり得る。
【0296】
剤形は、例えば、液体(例えば、飲料)、固体、ゲル、クリーム、軟膏、粉末、小袋、錠剤、丸剤、カプセル、トローチ、グミ、坐薬、保管所、使い捨てアプリケータ、ソフトゲル又は医療デバイス(例えば、シリンジ)の形態で、グリカン組成物を入れる任意の個々の容器などのパケットであり得る。例えば、グリカン組成物の単位剤形を含む容器及びそのようなグリカン組成物の使用説明書を含むラベルなどの製品も提供される。
【0297】
本明細書に提供される組成物は、単位剤形又は複数回投与剤形であり得る。単位剤形は、本明細書に使用される場合、それを必要とするヒトへの投与に好適な物理的に別々の単位を指す。一実施形態では、単位剤形は、パッケージで提供される。各単位用量は、所望の治療効果を生じさせるのに十分な所定量の有効成分を、他の薬学的担体又は賦形剤とともに含み得る。単位剤形の例には、アンプル、シリンジ、並びに個別にパッケージ化された錠剤及びカプセルが含まれる。単位剤形は、その一部又はその複数を投与することができる。複数回投与剤形は、単一の容器内に同一の単位投与剤形が複数個パッケージ化されたものであり、区分された単位剤形で投与することができる。
【0298】
キット
キットも企図される。例えば、キットは、単位剤形のグリカン調製物及び胃腸の障害又は状態の治療におけるグリカンの使用説明書を含むパッケージ挿入物を含み得る。キットは、グリカン調製物を、それを必要としている対象による使用に好適なパッケージ化で含む。本明細書に記載の組成物のいずれも、キットの形態でパッケージ化することができる。キットは、治療の全過程又は治療の過程の一部に十分な量のグリカン調製物(任意選択により、さらに、プレバイオティクス物質、プロバイオティクス細菌及び/又は第2の治療剤)を含有し得る。グリカン調製物の投与量は個々にパッケージ化され得るか、又はグリカン調製物はバルクで、又はそれらの組み合わせで提供され得る。したがって、一実施形態では、キットは、好適なパッケージ化において、治療レジメンにおける投与ポイントに対応する個々の用量のグリカン調製物を提供し、この用量は1つ以上のパケットにパッケージ化される。
【0299】
一実施形態では、グリカン調製物は、単一の容器又は2つ、3つ、4つ、5つ若しくは6つ以上の容器にバルクで提供され得る。例えば、各容器は、1ヶ月間実施される治療プログラムの特定の週に十分なグリカン調製物を含有し得る。複数のバルク容器が提供される場合、治療期間の全部又は一部に十分なグリカン調製物を提供するために、バルク容器は好適にはまとめてパッケージ化することができる。これらの1つ又は複数の容器は、それを必要とする対象又は例えば投与スケジュールなどの治療プロトコルを行う医師に有用な情報を示すラベルを付けることができる。
【0300】
グリカン調製物は、本明細書に記載されるように、プロバイオティクス細菌、プレバイオティクス物質又は他の物質などの他の好適な物質と共にパッケージ化することができる。他の物質は、グリカン調製物とは別個にパッケージ化するか、又はグリカン調製物と混合するか、又はそれらの組み合わせとすることができる。したがって、一実施形態では、キットには、治療の過程又は治療の過程の一部で使用することが意図されている全ての成分、例えば、グリカン調製物及び任意選択により、緩衝剤、賦形剤など、プロバイオティクス、プレバイオティクス又はポリマー剤を含有する剤形が含まれる。一実施形態では、グリカン調製物は、1つのパッケージ又は一組のパッケージでパッケージ化され、プロバイオティクス細菌、プレバイオティクス及び治療剤などの追加成分は、グリカン調製物とは別個にパッケージ化される。
【0301】
キットは、資料、例えば、取扱説明書、予想される結果、証言、説明、警告、臨床データ、医療従事者のための情報等をさらに含み得る。一実施形態では、キットは、このキットが医療従事者の指示の下でのみ使用されることを示すラベル又は他の情報を含む。容器は、匙、シリンジ、ボトル、カップ、アプリケータ又は他の測定若しくは給仕するデバイスをさらに含み得る。
【0302】
医療用食品
医療用食品として製剤化されたグリカンの調製物も本明細書において提供される。本明細書に記載のグリカン調製物はいずれも、グリカン調製物を含む医療用食品及び医薬組成物として処方され得る。
【0303】
医療用食品は、希少医薬品法(Orphan Drug Act)(21U.S.C.360ee(b)(3))第5条(b)(3)に定義されている。医療用食品は、例えば、医師による、医学的管理下で、摂取(経口摂取)又は経腸投与(例えば、栄養補給/経鼻胃管)されるように処方される。それは、例えば、ディスバイオシス又はGI管疾患などの疾患又は状態の特定の食事管理を目的としている。本明細書に使用される場合、医療用食品は、症状を管理するか、又は疾患若しくは状態のリスクを低減するために、全体的な食事の一部として医師によって単に推奨される食品は含まない。グリカンの調製物を含む医療用食品は、合成食品(例えば、経口摂取又はチューブによる経腸栄養補給による対象への部分的又は全体的な栄養補給のために処方されるような処方製品及び/又は加工製品)であり、天然の状態で使用される天然に存在する食品ではない。
【0304】
いくつかの実施形態では、対象は、通常の食品又は特定の栄養素を摂取、消化、吸収又は代謝する能力が限られているか又は損なわれている。他の実施形態では、対象は、他の特別な医学的に決定された栄養要求を有し、通常の食事のみを変えてもその栄養管理を達成することができない。グリカンの調製物を含む医療用食品は、それを必要とする対象に、医学的管理下(これは、現在関与し進行中であり得る)で投与され、通常、対象は、医療用食品の使用についての指示を受ける。医療用食品は、1つ以上の食品添加物、着色添加物、GRAS賦形剤及び医療用食品に好適な他の薬剤又は物質を含み得る。医療用食品調製物は、栄養的に完全な処方であるか又は不完全な処方であり得る。
【0305】
栄養補助食品
本明細書中に記載のグリカン調製物はいずれも、例えば、本明細書中に記載される方法において使用するための、栄養補助食品として処方され得る。栄養補助食品は、1994年のダイエタリーサプリメント健康教育法(Dietary Supplement Health and Education Act)(DSHEA)によって規制されている。栄養補助食品は、食事を補うことを目的とした「食事成分」を含有する経口摂取製品である。これらの製品における「食事成分」は、本明細書に記載のグリカン調製物に加えて、ビタミン、ミネラル、ハーブ又は他の植物、アミノ酸、並びに酵素、器官組織、腺及び代謝産物などの物質の1つ以上を含み得る。栄養補助食品は、抽出物又は濃縮物でもあり得、例えば錠剤、カプセル、ソフトゲル、ゲルキャップ、液体又は粉末などの多くの形態で見出され得る。それらは、棒などの他の形態でもあり得るが、その場合、そのラベル上の情報は、その製品を従来の食品又は食事の単独の品目として表してはならない。DSHEAは、全ての栄養補助食品が一般的な食品としてではなく、栄養補助食品としてラベル付けされることを要求する。
【0306】
食品成分
本明細書に記載のグリカン調製物はいずれも、例えば、本明細書に記載される方法において使用するための、食品成分又は食品添加物として処方され得る。食品成分は、一般に安全と認められる(GRAS)か、FDAの認可を必要とし得る。グリカン調製物は、任意の所望の食品、例えば、飲料(例えば、フルーツジュース)、乳製品(例えば、ミルク、ヨーグルト、チーズ)、シリアル(任意の穀物製品)、パン、スプレッドなどに添加することができる。
【0307】
グリカン調製物は、食品として処方され得る。連邦食品・医薬品・化粧品法(Federal Food,Drug and Cosmetic Act)(21U.S.C.第321条(a)(f))に定義される「食品」という用語は、ヒト又は他の動物用の食品又は飲料に使用される物品、チューインガム及びそのような物品の成分に使用される物品を指す。食品は、摂取(経口摂取)されるように処方される。食品は、グリカン調製物に加えて、1つ以上の食品添加物、着色添加物、GRAS賦形剤及び食品に好適な他の薬剤又は物質を含み得る。食品調製物は、栄養的に完全な処方であるか又は不完全な処方であり得る。食品は、例えば、飲料、粉末飲料ミックス、バー、キャンディ、乳製品、菓子、焼き菓子、グミなどであり得る。
【0308】
微生物分類群の調節方法
本明細書において提供される化合物及び組成物は、対象の微生物叢に存在する細菌分類群(例えば、1、2、3、4、5つ又はそれを超える分類群)を調節する方法において使用され得る。いくつかの実施形態では、調節は、微生物叢の構造の変化、例えば、分類群の相対組成の変化又は分類群の相対存在度の変化(例えば、他の分類群に対して又はその調節がなかった場合に観察されるであろうものに対して)を含む。他の実施形態では、調節は、微生物叢の機能の変化、例えば遺伝子発現の変化、遺伝子産物(例えば、RNA若しくはタンパク質)のレベルの変化又は微生物叢の代謝出力の変化、或いは宿主の機能的経路の変化(例えば、遺伝子発現の変化、遺伝子産物のレベルの変化又は宿主細胞若しくは宿主処理の微生物叢の代謝出力の変化)を含み得る。国際公開第2016/122889号パンフレット及び国際公開第2016/172657号パンフレットに開示される微生物分類群の調節方法(これらは参照により本明細書に組み込まれる)は、本明細書に記載の方法における使用に好適である。
【0309】
本明細書に記載の方法は、例えば、本明細書に記載のグリカン組成物を分類群の調節に有効な量で含む、本明細書に記載の組成物を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、組成物が投与され、増加が少なくとも5%、10%、25%、50%、75%、100%、250%、500%、750%の増加又は少なくとも1000%の増加であり得る場合、細菌分類群の存在度は他の分類群と比較して(又はある時点から別の時点までと比較して)増加し得る。組成物が投与され、減少が少なくとも5%、10%、25%50%、75%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の減少又は少なくとも99.9%の減少であり得る場合、細菌分類群の存在度は、他の分類群と比較して(又はある時点から別の時点までと比較して)も減少し得る。組成物の投与により、対象の胃腸微生物叢における所望の及び/又は非所望の細菌分類群の存在度を調節することができる。
【0310】
いくつかの実施形態では、例えば、本明細書に記載のグリカン組成物を含む、本明細書に記載の組成物は、例えば、GI管で見出すことができる、バクテロイデス属(Bacteroides)、オドリバクター属(Odoribacter)、パラバクテロイデス属(Parabacteroides)、アリスティペス属(Alistipes)、ブラウティア属(Blautia)、クロストリジウム属(Clostridium)、コプロコッカス属(Coprococcus)、ドレア属(Dorea)、ユウバクテリウム属(Eubacterium)、ラクノスピラ属(Lachnospira)、ロゼブリア属(Roseburia)、ルミノコッカス属(Ruminococcus)、フィーカリバクテリウム属(Faecalibacterium)、オシロスピラ属(Oscillospira)及びサブドリグラヌルム属(Subdoligranulum)に属するものなどの1種以上の細菌の増殖を調節する(例えば、増加又は減少させる)。いくつかの実施形態では、例えば、本明細書に記載のグリカン組成物を含む、本明細書に記載の組成物は、例えば、アッカーマンシア属(Akkermansia)、アナエロフィルム属(Anaerofilum)、バクテロイデス属(Bacteroides)、ブラウティア属(Blautia)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、ブチリビブリオ属(Butyrivibrio)、クロストリジウム属(Clostridium)、コプロコッカス属(Coprococcus)、ディアリスター属(Dialister)、ドレア属(Dorea)、フソバクテリウム属(Fusobacterium)、ユウバクテリウム属(Eubacterium)、フィーカリバクテリウム属(Faecalibacterium)、ラクノスピラ属(Lachnospira)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、ファスコラークトバクテリウム属(Phascolarctobacterium)、ペプトコッカス属(Peptococcus)、ペプトストレプトコッカス属(Peptostreptococcus)、プレボテーラ属(Prevotella)、ロゼブリア属(Roseburia)、ルミノコッカス属(Ruminococcus)及びストレプトコッカス属(Streptococcus)の1種以上の細菌、並びに/又はアッカーマンシア・ムニシフィラ(Akkermansia municiphilia)種、クリステンセネラ・ミヌタ(Christensenella minuta)種、クロストリジウム・コッコイデス(Clostridium coccoides)種、クロストリジウム・レプツム(Clostridium leptum)種、クロストリジウム・シンデンス(Clostridium scindens)種、ディアリスター・インビサス(Dialister invisus)種、ユウバクテリウム・レクタル(Eubacterium rectal)種、ユウバクテリウム・エリゲンス(Eubacterium eligens)種、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィイ(Faecalibacterium prausnitzii)種、ストレプトコッカス・サリバリウス(Streptococcus salivarius)種及びストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)種の1種以上の増殖を調節する(例えば、増加又は減少させる)。
【0311】
いくつかの実施形態では、例えば、本明細書に記載のグリカン組成物を含む、本明細書に記載の組成物は、プレボテーラ属(Prevotella)、アッカーマンシア属(Akkermansia)、バクテロイデス属(Bacteroides)、クロストリジウム属(Clostridium)(エリュシペロトリクス綱(Erysipelotrichaceae))、クロストリジウム属(Clostridium)(クロストリジウム科(Clostridiaceae))、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、アグリゲイティバクター属(Aggregatibacter)、クロストリジウム属(Clostridium)(ペプトストレプトコッカス科(Peptostreptococcaveae))、パラバクテロイデス属(Parabacteroides)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)及びエンテロコッカス属(Enterococcus)から選択される少なくとも2つの細菌分類群の増殖を調節(例えば、増加又は減少)する。
【0312】
いくつかの実施形態では、例えば、本明細書に記載のグリカン組成物を含む、本明細書に記載の組成物は、例えば、GI管に見出すことができる、バクテロイデス属(Bacteroides)、オドリバクター属(Odoribacter)、パラバクテロイデス属(Parabacteroides)、アリスティペス属(Alistipes)、ブラウティア属(Blautia)、クロストリジウム属(Clostridium)、コプロコッカス属(Coprococcus)、ドレア属(Dorea)、ユウバクテリウム属(Eubacterium)、ラクノスピラ属(Lachnospira)、ロゼブリア属(Roseburia)、ルミノコッカス属(Ruminococcus)、フィーカリバクテリウム属(Faecalibacterium)、オシロスピラ属(Oscillospira)及びサブドリグラヌルム属(Subdoligranulum)に属するものなど、GI管に存在する1つ以上の細菌分類群の増殖を調節(例えば、増加又は減少)する。いくつかの実施形態では、例えば、本明細書に記載のグリカン組成物を含む、本明細書に記載の組成物は、健康な胃腸状態に関係すると考えられるものなどの1種以上の細菌分類群、例えば、アッカーマンシア属(Akkermansia)、アナエロフィルム属(Anaerofilum)、バクテロイデス属(Bacteroides)、ブラウティア属(Blautia)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、ブチリビブリオ属(Butyrivibrio)、クロストリジウム属(Clostridium)、コプロコッカス属(Coprococcus)、ディアリスター属(Dialister)、ドレア属(Dorea)、フソバクテリウム属(Fusobacterium)、ユウバクテリウム属(Eubacterium)、フィーカリバクテリウム属(Faecalibacterium)、ラクノスピラ属(Lachnospira)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、ファスコラークトバクテリウム属(Phascolarctobacterium)、ペプトコッカス属(Peptococcus)、ペプトストレプトコッカス属(Peptostreptococcus)、プレボテーラ属(Prevotella)、ロゼブリア属(Roseburia)、ルミノコッカス属(Ruminococcus)及びストレプトコッカス属(Streptococcus)の1種以上、並びに/又はアッカーマンシア・ムニシフィラ(Akkermansia municiphilia)種、クリステンセネラ・ミヌタ(Christensenella minuta)種、クロストリジウム・コッコイデス(Clostridium coccoides)種、クロストリジウム・レプツム(Clostridium leptum)種、クロストリジウム・シンデンス(Clostridium scindens)種、ディアリスター・インビサス(Dialister invisus)種、ユウバクテリウム・レクタル(Eubacterium rectal)種、ユウバクテリウム・エリゲンス(Eubacterium eligens)種、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィイ(Faecalibacterium prausnitzii)種、ストレプトコッカス・サリバリウス(Streptococcus salivarius)種及びストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)種の1種以上の増殖を調節する(例えば、増加又は減少させる)。いくつかの実施形態では、例えば、本明細書に記載のグリカン組成物を含む、本明細書に記載の組成物は、ウェルコミクロビウム門(Verrucomicrobia)の分類群、例えば、アッカーマンシア属(Akkermansia)の分類群など、1つ以上の細菌分類群の増殖を調節する(例えば、増加又は減少させる)。
【0313】
いくつかの実施形態では、例えば、本明細書に記載のグリカン組成物を含む、本明細書に記載の組成物は、主に小腸に存在する1つ以上の細菌分類群の増殖を調節(例えば、増加又は減少)する。例えば、本明細書に記載のグリカン組成物を含む、本明細書に記載の組成物は、例えば、小腸に主に存在する1つ以上(2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれを超える)の細菌分類群、例えば、アクチノバクテリア門(Actinobacteria)、フィルミクテス門(Firmicutes)(バチルス綱(Bacilli)、クロストリジウム綱(Clostridia))及びプロテオバクテリア門(Proteobacteria)(アルファプロテオバクテリア綱(Alphaproteobacteria)、ベータプロテオバクテリア綱(Betaproteobacteria))を調節する。いくつかの実施形態では、例えば、本明細書中に記載のグリカン組成物を含む、本明細書に記載の組成物は、以下の属から選択される、小腸に主に存在する1つ以上(2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれを超える)の細菌分類群を調節する:クリオコーラ属(Cryocola)、マイコバクテリウム属(Mycobacterium)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、ツリシバクター属(Turicibacter)、ブラウティア属(Blautia)、コプロコッカス属(Coprococcus)、ホールデマニア属(Holdemania)、シュードラミバクター属(Pseudoramibacter)、ユウバクテリウム属(Eubacterium)、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)、スフィンゴモナス属(Sphingomonas)、アクロモバクター属(Achromobacter)、バークホリデリア属(Burkholderia)及びラルストニア属(Ralstonia)。
【0314】
いくつかの実施形態では、例えば、本明細書に記載のグリカン組成物を含む、本明細書に記載の組成物は、大腸に主に存在する1つ以上の細菌分類群の増殖を調節する(例えば、増加又は減少させる)。例えば、本明細書に記載のグリカン組成物を含む、本明細書に記載の組成物は、例えば、大腸に主に存在する1つ以上(2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれを超える)の細菌分類群、例えば、バクテロイデス門(Bacteroidetes)、フィルミクテス門(Firmicutes)(クロストリジウム綱(Clostridia))、ウェルコミクロビウム綱(Verrucomicrobia)及びプロテオバクテリア門(Proteobacteria)(デルタプロテオバクテリア綱(Deltaproteobacteria))を調節する。いくつかの実施形態では、例えば、本明細書中に記載のグリカン組成物を含む、本明細書に記載の組成物は、以下の属から選択される、大腸に主に存在する1つ以上(2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれを超える)の細菌分類群を調節する:バクテロイデス属(Bacteroides)、ブチリシモナス属(Butyricimonas)、オドリバクター属(Odoribacter)、パラバクテロイデス属(Parabacteroides)、プレボテーラ属(Prevotella)、アナエロツルンカス属(Anaerotruncus)、ファストラークトバクテリウム属(Phascolarctobacterium)、ルミノコッカス属(Ruminococcus)、ビロフィラ属(Bilophila)及びアッカーマンシア属(Akkermansia)。
【0315】
いくつかの実施形態では、例えば、本明細書に記載のグリカン組成物を含む、本明細書に記載の組成物は、盲腸に主に存在する1つ以上の細菌分類群、例えば、アクチノバクテリア門(Actinobacteria)、バクテロイデス属(Bacteroides)、バチルス綱(Bacilli)、クロストリジウム綱(Clostridia)、モリクテス綱(Mollicutes)、アルファプロテオバクテリア綱(Alpha Proteobacteria)及びウェルコミクロビウム綱(Verrucomicrobia)の増殖を調節する(例えば、増加又は減少させる)。
【0316】
いくつかの実施形態では、例えば、本明細書に記載のグリカン組成物を含む、本明細書に記載の組成物は、上行結腸に主に存在する1つ以上の細菌分類群、例えば、アクチノバクテリア門(Actinobacteria)、バクテロイデス属(Bacteroides)、バチルス綱(Bacilli)、クロストリジウム綱(Clostridia)、フソバクテリウム門(Fusobacteria)、ベータプロテオバクテリア綱(Beta Proteobacteria)、デルタ/イプシロンプロテオバクテリア綱(Delta/Epsilon Proteobacteria)、ガンマプロテオバクテリア綱(Gamma Proteobacteria)及びウェルコミクロビウム綱(Verrucomicrobia)の増殖を調節する(例えば、増加又は減少させる)。
【0317】
いくつかの実施形態では、例えば、本明細書に記載のグリカン組成物を含む、本明細書に記載の組成物は、横行結腸に主に存在する1つ以上の細菌分類群、例えば、アクチノバクテリア門(Actinobacteria)、バクテロイデス属(Bacteroides)、クロストリジウム綱(Clostridia)、モリクテス綱(Mollicutes)、フソバクテリウム門(Fusobacteria)及びガンマプロテオバクテリア綱(Gamma Proteobacteria)の増殖を調節する(例えば、増加又は減少させる)。
【0318】
いくつかの実施形態では、例えば、本明細書に記載のグリカン組成物を含む、本明細書に記載の組成物は、下行結腸に主に存在する1つ以上の細菌分類群、例えば、バクテロイデス属(Bacteroides)、クロストリジウム綱(Clostridia)、モリクテス綱(Mollicutes)、フソバクテリウム門(Fusobacteria)、デルタ/イプシロンプロテオバクテリア綱(Delta/Epsilon Proteobacteria)及びウェルコミクロビウム綱(Verrucomicrobia)の増殖を調節する(例えば、増加又は減少させる)。
【0319】
いくつかの実施形態では、例えば、本明細書に記載のグリカン組成物を含む、本明細書に記載の組成物は、S字結腸に主に存在する1つ以上の細菌分類群、例えば、アクチノバクテリア門(Actinobacteria)、バクテロイデス属(Bacteroides)、バチルス綱(Bacilli)、クロストリジウム綱(Clostridia)、モリクテス綱(Mollicutes)、アルファプロテオバクテリア綱(Alpha Proteobacteria)、ベータプロテオバクテリア綱(Beta Proteobacteria)及びウェルコミクロビウム綱(Verrucomicrobia)の増殖を調節する(例えば、増加又は減少させる)。
【0320】
いくつかの実施形態では、例えば、本明細書に記載のグリカン組成物を含む、本明細書に記載の組成物は、直腸に主に存在する1つ以上の細菌分類群、例えば、バクテロイデス属(Bacteroides)、クロストリジウム綱(Clostridia)、モリクテス綱(Mollicutes)、アルファプロテオバクテリア綱(Alpha Proteobacteria)、ガンマプロテオバクテリア綱(Gamma Proteobacteria)及びウェルコミクロビウム綱(Verrucomicrobia)の増殖を調節する(例えば、増加又は減少させる)。
【0321】
いくつかの実施形態では、例えば、本明細書に記載のグリカン組成物を含む、本明細書に記載の組成物は、例えば、アリスティペス属(Alistipes)、アッカーマンシア属(Akkermansia)、アナエロフィルム属(Anaerofilum)、バクテロイデス属(Bacteroides)、ブラウティア属(Blautia)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、ブチリビブリオ属(Butyrivibrio)、クロストリジウム属(Clostridium)、コプロコッカス属(Coprococcus)、ディアリスター属(Dialister)、ドレア属(Dorea)、フソバクテリウム属(Fusobacterium)、ユウバクテリウム属(Eubacterium)、フィーカリバクテリウム属(Faecalibacterium)、ラクノスピラ属(Lachnospira)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、オドリバクター属(Odoribacter)、オシロスピラ属(Oscillospira)、パラバクテロイデス属(Parabacteroides)、ファスコラークトバクテリウム属(Phascolarctobacterium)、ペプトコッカス属(Peptococcus)、ペプトストレプトコッカス属(Peptostreptococcus)、プレボテーラ属(Prevotella)、ロゼブリア属(Roseburia)、ルミノコッカス属(Ruminococcus)及びストレプトコッカス属(Streptococcus)及びサブドリグラヌラム属(Subdoligranulum)などの属の1種以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれを超える)の細菌分類群の増殖を調節する(例えば、刺激/増加又は抑制/減少させる)。
【0322】
いくつかの実施形態では、例えば、本明細書に記載のグリカン組成物を含む、本明細書に記載の組成物は、アッカーマンシア属(Akkermansia)、アナエロフィルム属(Anaerofilum)、バクテロイデス属(Bacteroides)、ブラウティア属(Blautia)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、ブチリビブリオ属(Butyrivibrio)、クロストリジウム属(Clostridium)、コプロコッカス属(Coprococcus)、ディアリスター属(Dialister)、ドレア属(Dorea)、フソバクテリウム属(Fusobacterium)、ユウバクテリウム属(Eubacterium)、フィーカリバクテリウム属(Faecalibacterium)、ラクノスピラ属(Lachnospira)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、ファスコラークトバクテリウム属(Phascolarctobacterium)、ペプトコッカス属(Peptococcus)、ペプトストレプトコッカス属(Peptostreptococcus)、プレボテーラ属(Prevotella)、ロゼブリア属(Roseburia)、ルミノコッカス属(Ruminococcus)及びストレプトコッカス属(Streptococcus)、並びにアッカーマンシア・ムニシフィラ(Akkermansia municiphilia)種、クリステンセネラ・ミヌタ(Christensenella minuta)種、クロストリジウム・コッコイデス(Clostridium coccoides)種、クロストリジウム・レプツム(Clostridium leptum)種、クロストリジウム・シンデンス(Clostridium scindens)種、ディアリスター・インビサス(Dialister invisus)種、ユウバクテリウム・レクタル(Eubacterium rectal)種、ユウバクテリウム・エリゲンス(Eubacterium eligens)種、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィイ(Faecalibacterium prausnitzii)、ストレプトコッカス・サリバリウス(Streptococcus salivarius)及びストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)の1種以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれを超える)の微生物分類群の増殖を調節する(例えば、刺激/増加又は抑制/減少させる)。
【0323】
いくつかの実施形態では、例えば、本明細書に記載のグリカン組成物を含む、本明細書に記載の組成物は、表8~10に列挙された細菌分類群の1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれを超える)の増殖(及び総数)を調節する(例えば、実質的に増加又は実質的に減少させる)(又は全(胃腸)コミュニティにおける相対的な表現/存在度を実質的に増加又は実質的に減少させる)。
【0324】
いくつかの実施形態では、例えば、本明細書に記載のグリカン組成物を含む、本明細書に記載の組成物は、表8~10に列挙された細菌分類群の1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれを超える)の増殖、例えば、総数又は全(胃腸)コミュニティにおける相対的な表現/存在度を実質的に増加させる。
【0325】
いくつかの実施形態では、例えば、本明細書に記載のグリカン組成物を含む、本明細書に記載の組成物は、表8~10に列挙された細菌分類群の1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれを超える)の増殖、例えば、総数又は全(胃腸)コミュニティにおける相対的な表現/存在度を実質的に減少させる。
【0326】
いくつかの実施形態では、例えば、本明細書に記載のグリカン組成物を含む、本明細書に記載の組成物は、表8~10に列挙された細菌分類群の1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれを超える)の増殖、例えば、総数又は全(胃腸)コミュニティにおける相対的な表現/存在度を実質的に増加及び減少させる。
【0327】
特定の実施形態では、特定の細菌分類群の比率又はそれらの相対存在度はシフトさせることができる。そのようなシフトは、グリカン医薬組成物の投与前に対象に存在する比率に対して又はグリカン医薬組成物を摂取していない対照群に対して測定することができる。
【0328】
本明細書に記載されるグリカン組成物及びグリカン調製物は、表6に示されるように、対照対象と比較して対象におけるアンモニアレベルを低下させる。いくつかの実施形態では、表6の行2~9のいずれか1つから選択されるグリカン組成物及び/又はグリカン調製物(例えば、gal100、glu10gal10man80、glu30gal30man40、gal33man33xyl33、glu40gal30man30、glu40gal20man40、glu45gal10man45、glu60gal20man20、fructo-oligosaccharide、glu40gal40man20、glu20gal20man20xyl20ara20、glu90gal5man5、glu80xyl20、glu20gal80、glu80ara20、glu40gal60、glu33gal33man33、man100、lactulose、glu80gal10man10、man80glu20、glu50gal50、glu80gal20、glu80man20、glu45gal45man10、glu60gal40、glu60man40、man80gal20、man60glu40、glu100)は、対照対象と比較して、55~60%未満、60~65%未満、70~75%未満、75~80%未満、80~85%未満、85~90%未満、90~95%未満又は95~100%未満、対象におけるアンモニアレベルを低下させることができる。
【0329】
微生物集団のプロテオーム解析
微生物集団のプロテオーム解析に好適な方法は、国際公開第2016/122889号パンフレット及び国際公開第2016/172657号パンフレット(これらは参照により本明細書に組み込まれる)に見出すことができる。いくつかの実施形態では、プロテオーム解析は、例えば、Cordwell,Exploring and exploriting bacterial proteomes,Methods in Molecular Biology,2004,266:115に記載されるプロトコルに従って実施することができる。
【0330】
微生物(例えば、細菌)成分の同定
例えば、GI管においてインビボで生じる、本明細書に記載のグリカン組成物による、微生物の(例えば、分類群の表現/存在度の)調節は、当技術分野で知られ、且つ本明細書に記載される多くの方法を用いて分析することができる。好適な方法は、国際公開第2016/122889号パンフレット、国際公開第2016/172657号パンフレット及び国際公開第2016/172658号パンフレット(これらは参照により本明細書に組み込まれる)に見出すことができる。いくつかの実施形態では、定量PCR(qPCR)は、グリカン組成物がGI管における細菌集団のシフトをもたらし得るか否かを決定する方法として使用し得る。
【0331】
いくつかの実施形態では、微生物成分は、微生物16S小サブユニットリボソームRNA遺伝子(16S rRNA遺伝子)のDNA配列を特徴付けることによって同定され得る。他の実施形態では、微生物組成は、ヌクレオチドマーカー又は遺伝子、特に高度に保存された遺伝子(例えば、「ハウスキーピング」遺伝子)若しくはそれらの組合せを特徴付けることにより、又は全ゲノムショットガンシーケンス法(WGS)により同定され得る。
【0332】
対象への投与
本明細書に記載のグリカン組成物、医薬組成物及び治療剤は、任意の適切な手段により、それを必要とする対象に投与することができる。いくつかの実施形態では、グリカン組成物は腸内投与される。これには、経口投与又は口腔チューブ若しくは鼻腔チューブ(経鼻胃管、経鼻空腸管、経口胃管又は経口空腸管を含む)による投与が含まれる。他の実施形態では、投与には、直腸投与(注腸、坐薬又は結腸内視鏡を含む)を含む。本明細書に記載される方法及び組成物における使用に好適な対象への投与方法は、国際公開第2016/122889号パンフレット、国際公開第2016/172657号パンフレット及び国際公開第2016/172658号パンフレットに見出すことができ、これらはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0333】
有効化合物及び医薬剤、例えば、プレバイオティクス物質、プロバイオティクス細菌又は薬物は、別々に、例えば、グリカン組成物の投与前、投与と同時に又は投与後にグリカン組成物の医薬組成物又は医療用食品又は栄養補助食品の一部として(例えば、共配合物として)でなく投与され得る。いくつかの実施形態では、グリカン組成物の調製物を含む医薬組成物又は医療用食品は、医師又は他の医療従事者によって決定され得るような、推奨された又は規定の食事、例えば、プロバイオティクス及び/又はプレバイオティクス含有食品に富む食事と組み合わせて投与される。
【0334】
本明細書に引用又は参照した全ての刊行物、特許及び特許出願は、それぞれ個々の刊行物又は特許文献が参照により組み込まれることが具体的且つ個々に示されたのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0335】
本発明は、以下の実施例によってさらに例示される。実施例は、例示の目的のみで提供され、決して本発明の範囲又は内容を限定すると考えられるべきではない。本発明の実践は、別記されない限り、当技術分野の技術内の、タンパク質化学、生物化学、組換えDNA技術及び薬理学の従来の方法が用いられるであろう。かかる技術は、文献内に十分に説明される。例えば、T.E.Creighton,Proteins:Structures and Molecular Properties(W.H.Freeman and Company,1993)、Green&Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,4th Edition(Cold Spring Harbor Laboratory Press,2012)、Colowick&Kaplan,Methods In Enzymology(Academic Press)、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,22nd Edition(Pharmaceutical Press,2012)、Sundberg&Carey,Advanced Organic Chemistry:Parts A and B,5th Edition(Springer,2007)を参照のこと。
【0336】
実施例1.グリカン調製物
オーバーヘッド撹拌機及びジャケット付きショートパス凝縮器を備えた丸底フラスコに、乾燥重量で3~20%の1種以上の触媒、例えば、米国特許第9,079,171号明細書及び国際公開第2016/007778号パンフレット(これらは、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているような、例えば酸、イオン、イオン/酸含有触媒とともに、1種以上の単糖類又は二糖類を加えた。水又は別の互換性溶媒(0~10当量)を乾燥混合物に加え、選択した丸底フラスコの輪郭に可能な限り密接に一致する大きさのパドルを用いて約100rpmでスラリーを混合した。その後、混合物を80~185℃に加熱した。固体が溶融状態に達したら、容器を10~1000mbarの真空圧下に置いた。反応物を30分~8時間撹拌し、反応物から絶えず水を除去した。反応の進行をHPLCでモニターした。十分なオリゴマー化が起こったとき、撹拌機を停止させ、反応物を室温にまで冷却し、大気圧にまで排気し、固体又はシロップのいずれかの生成物を、約50Brix(100g溶液あたりの糖のグラム数)の溶液を生成するのに十分な体積の水に溶解させた。溶解が完了したら、固体触媒を濾過により除去し、オリゴマー溶液を回転蒸発により約50~75Brixに濃縮した。有機溶媒を使用した場合、水に非混和性の溶媒は二相抽出によって除去することができ、水に混和性の溶媒は濃縮工程に付随する回転蒸発によって除去することができる。
【0337】
とりわけ、以下のグリカンが複数のバッチで生成しており、本明細書に記載の種々のアッセイで試験した:
【0338】
単一グリカン単位(ホモグリカン):ara100、fru100、gal100、galA100、glcNac100、glu100、gluA100、Lglu100、man100、rha100、xyl100。
【0339】
2グリカン単位(ヘテログリカン):Ara60Xyl40、Ara80Xyl20、Gal20Ara80、Gal20Xyl80、Gal40Ara60、Gal40Man60、Gal40Xyl60、Gal57Glu43、Gal60Ara40、Gal60Man40、Gal60Xyl40、Gal80Ara20、Gal80Man20、Gal80Xyl20、Glu20Ara80、Glu20Xyl80、Glu40Ara60、Glu40Gal60、Glu40Xyl60、Glu50Gal50、Glu50Lglu50、Glu60Ara40、Glu60Gal20Man20、Glu60Gal40、Glu60Man40、Glu60Xyl40、Glu66Fru33、Glu75Gala25、Glu75GluA25、Glu75GluN25、Glu80Ara20、Glu80Gal20、Glu80Lglu20、Glu80Man20、Glu80Xyl20、Glu90LGlu10、Man20Ara80、Man20Xyl80、Man40Ara60、Man40Xyl60、Man60Ara40、Man60Glu40、Man60Xyl40、Man75Gal25、Man80Ara20、Man80Gal20、Man80Glu21、Man80Xyl20、Xyl60Ara40、Xyl75Ara25、Xyl80Ara20、andthehybridglycansglu90sor10及びglu90gly10。
【0340】
3グリカン単位(ヘテログリカン):Gal5Xyl5Ara90、Gal5Xyl90Ara5、Gal10Xyl10Ara80、Gal10Xyl45Ara45、Gal10Xyl80Ara10、Gal20Xyl20Ara60、Gal20Xyl40Ara40、Gal20Xyl60Ara20、Gal30Xyl30Ara40、Gal30Xyl40Ara30、Gal33Man33Ara33、Gal33Man33Xyl33、Gal33Xyl33Ara33、Gal45Xyl10Ara45、Gal45Xyl45Ara10、Gal50Glu25Fru25、Gal40Xyl20Ara40、Gal40Xyl30Ara30、Gal40Xyl40Ara20、Gal60Xyl20Ara20、Gal80Xyl10Ara10、Gal90Xyl5Ara5、Glu5Gal5Man90、Glu5Gal90Man5、Glu5Xyl5Ara90、Glu5Xyl90Ara5、Glu10Gal10Man80、Glu10Gal45Man45、Glu10Gal80Man10、Glu10Xyl10Ara80、Glu10Xyl45Ara45、Glu10Xyl80Ara10、Glu20Gal20Man60、Glu20Gal40Man40、Glu20Gal60Man20、Glu20Gal80、Glu20Xyl20Ara60、Glu20Xyl40Ara40、Glu20Xyl60Ara20、Glu30Gal30Man40、Glu30Gal40Man30、Glu30Xyl30Ara40、Glu30Xyl40Ara30、Glu33Gal33Ara33、Glu33Gal33Fuc33、Glu33Gal33Man33、Glu33Gal33Xyl33、Glu33Man33Ara33、Glu33Man33Xyl33、Glu33Xyl33Ara33、Glu40Gal20Man40、Glu40Gal30Man30、Glu40Gal40Man20、Glu40Xyl20Ara40、Glu40Xyl30Ara30、Glu40Xyl40Ara20、Glu45Gal10Man45、Glu45Gal45Man10、Glu45Xyl10Ara45、Glu45Xyl45Ara10、Glu60Xyl20Ara20、Glu75GluNAc25、Glu80Gal10Man10、Glu80Xyl10Ara10、Glu90Gal5Man5、Glu90Xyl5Ara5、Man33Xyl33Ara33、Man52Glu29Gal19。
【0341】
4グリカン単位(ヘテログリカン):Gal25Man25Xyl25Ara25、Glu25Gal25Man25Ara25、Glu25Gal25Man25Xyl25、Glu25Gal25Xyl25Ara25、Glu25Man25Xyl25Ara25。
【0342】
5グリカン単位(ヘテログリカン):Glu20Gal20Man20Xyl20Ara20。
【0343】
グリカンは、モノマーの糖成分を表す3~6文字コード、それに続いて、モノマーが構成する物質のパーセンテージを反映する100からの1つの数字によって記載されている。それ故に、「glu100」は、100%のD-グルコース(グリカン単位)の入力から生成されるグリカンに帰し、「glu50gal50」は、50%のD-グルコース及び50%のD-ガラクトース(グリカン単位)の入力から、又は代わりにラクトース二量体(グリカン単位)の入力から生成されるグリカンに帰するものとみなす。本明細書では、xyl=D-キシロース、ara=L-アラビノース、gal=D-ガラクトース、glu=D-グルコース、rha=L-ラムノース、fuc=L-フコース、man=D-マンノース、sor=D-ソルビトール、gly=D-グリセロール、neu=NAc-ノイラミン酸、Lglu=L-グルコース、gluA=D-グルクロン酸、gluN=D-グルコサミン、gluNAc=N-アセチル-D-グルコサミン、galA=D-ガラクツロン酸、3-Bn=ベンジル、3-Obn=3-ベンジルオキシ、6-TBDPS=6-tert-ブチルジフェニルシリル、galnac=N-アセチルガラクトサミン、rib=D-リボース、Sor=ソルビトールである。
【0344】
実施例2.精製
オリゴ糖及び多糖を脱イオン水に溶解させて、25~50Brixの最終濃度にした。その後、少なくとも2質量当量のDowex Monosphere 88イオン交換樹脂に材料を曝露した。曝露は、溶液が3~5の最終pHを達成するのに滞留時間が十分である限り、フラスコ中において120~170rpmで旋回させることにより、又は湿式スラリー充填カラムを通して濾過することにより起こり得る。オリゴマー溶液を濾過(旋回反応の場合のように)又は溶出(カラム濾過の場合のように)によって単離し、このプロセスは、溶液のpHが5.5を超えるまで、類似の仕方でDowex Monosphere77イオン交換樹脂を用いて繰り返した。最後に、溶液が十分に清澄化されるまで、溶液をDowex Optipore SD-2吸着剤脱色樹脂に曝露し、0.2ミクロンフィルターを通して濾過して残留樹脂及び樹脂微粉を除去した。その後、最終溶液を回転蒸発によって50~85Brixにまで濃縮するか、又は凍結乾燥によって固体にまで濃縮した。
【0345】
実施例3.小規模でのハイスループット調製
24-、48-若しくは96-ウェルプレート中又はアルミニウム加熱ブロックに収容された1ドラムバイアルの同様のサイズのアレイ中において、平行様式でオリゴマー及びポリマーを合成した。この実施例では、全ての液体移送はプログラム可能なロボットにより、又は較正されたピペットを使用して手動で行われた。各バイアル又はウェルに、乾燥重量で20~100%の1種以上の触媒、例えば、米国特許第9,079,171号明細書及び国際公開第2016/007778号パンフレットに記載されているものなどの例えば酸、イオン、イオン/酸含有触媒を加えた。プレート又は加熱ブロックは、10~800mbarの真空下、50~150℃に加熱された真空オーブン中に覆いなしで置いた。オーブンの真空ポンプは、再循環冷却トラップと、それに続くドライアイス/アセトントラップからなる二段凝縮器によって保護された。撹拌せずに、加熱温度及び減圧下で30分間~6時間、プレート又はブロックを加熱する。予め決められた時間の経過後、オーブンを大気圧に吸気し、プレート又はブロックを室温に冷却し、各ウェル又はバイアルを脱イオン水で約50Brixに希釈した。実施例2に記載した固相抽出工程は、蠕動ポンプ又は他の適切な小型ポンプを使用して、2~6ベッド体積/時間の速度で、各カラムからの溶離剤を次のカラムの頂部に直ちに流入させる、連続湿式充填カラムを通過させる溶離によって実施した。その後、カラムスタックを脱イオン水で濯ぎ、一緒にした溶出液を凍結乾燥によって濃縮し、1~10質量%の残留水分含有率を有する固体粉末を単離した。
【0346】
実施例4.低分子量種の除去
低分子量種を除去するために、オリゴマー又はポリマーを修飾した。
【0347】
一実施形態では、分離は浸透圧分離によって達成された。Spectrum Labs社からの約45cmの1.0kD MWCO Biotech CE透析チューブ(31mm平坦幅)を脱イオン水に入れ、10分間浸漬し、その後一端を透析チューブクリップで密閉した。8グラムの乾燥オリゴ糖の25Brix溶液を滅菌濾過し、数mLの空気と共に第2のクリップでチューブ内に密封し、チューブが浮遊できるようにした。その後、満たしたチューブを脱イオン水の3ガロンタンクに入れ、これを十分な力で撹拌して、密封した管のゆっくりとした旋回を引き起こした。8時間後、タンク内の水を交換し、チューブをさらに16時間撹拌した。透析が完了し、材料が95%を超えるDP2+収率及び90%を超えるDP3+収率を有すれば、希釈溶液を滅菌濾過し、真空中で濃縮して、約65Brixの最終濃度にするか、又は凍結乾燥して、1~10%の残留水分を有する固体にした。
【0348】
第2の実施形態では、分離は、接線流濾過(TFF)によって達成された。この場合、脱イオン水に溶解し、滅菌濾過した100mLの25Brixグリカン試料を、Spectrum Labs KrosFlo Research IIi TFFシステムの供給ボトルに入れた(試料は製造業者の推奨に従って調製した)。その後、試料を、1kD mPES MidiKros中空繊維フィルターを通して、25psigの膜間圧で透析濾過を行った。0.5透析濾過体積毎に採取した供給材料のHPLC試料を使用して、材料のDP2+収率が95%を超え、且つDP3+収率が90%を超えるときを決定し、その時点で溶液を滅菌濾過し、真空中で濃縮して65Brixのシロップにするか、又は凍結乾燥して1~10質量%の残留水分含有率を有する固形物にした。
【0349】
第3の実施形態では、分離はエタノール沈殿によって達成された。この場合、900mLの純粋なUSPグレードのエタノールを含有する、激しく撹拌したビーカーに、10mL/分以下の速度で、100mLの25Brixグリカン試料を注いだ。添加が完了したら、沈殿した固体を室温又はそれより僅かに低い温度でさらに15分間の撹拌を行った。沈殿した固体は、水和及びガム生成を防ぐために窒素雰囲気下で、微細フリット焼結ガラス漏斗を通して濾過することによって単離した。固体をエタノールで1回濯ぎ、次いで水に溶解して最終濃度を25Brixとし、再濃縮して>65Brixとした。その後、このシロップを25Brixに戻す希釈を行い、再度濃縮して、残留エタノールの除去を確実にした。
【0350】
実施例5.調製物の分析方法
液体屈折率測定法による濃度測定
この試験は、任意の与えられた水溶液中のグリカンの量を定量するために設計された。高純度逆浸透脱イオン水を用いてMettler-Toledo Refracto 30GS携帯型糖屈折率計を較正した。0.2ミクロンのシリンジフィルターを通して、数滴のグリカン溶液を屈折率計のレンズ上に直接濾過した。測定は室温で行い、Brixとして報告した。グリカンは、明らかな凝固又は結晶化を伴わずに、23℃で、50、60、70又は75Brixにルーチン的に濃縮した。そうすると、水の密度1.0g/mLに等しいと仮定して、Brixを溶解度に変換し得る。したがって、75Brix(75グラムのグリカン及び25グラムの水からなる100グラムの溶液)は、3.0g/mLの水への溶解度に等しい。比較として、D-グルコースの水への溶解度は、Sigma-Aldrichにより、25℃で0.909g/mL(48Brix)であると報告されている。
【0351】
加水分解及びGC-MSによるモノマー組成物
この試験は、与えられたオリゴ糖内のモノマー含有量の比を定量するために設計された。グリコシルの組成分析は、Santander et al(2013)Microbiology 159:1471によって以前に記載されているように、酸性メタノリシスによって試料から生成された単糖メチルグリコシドのペル-O-トリメチルシリル(TMS)誘導体について、ガスクロマトグラフィー/質量分析(GC/MS)の組み合わせにより行った。100~200μgのサンプルを適切な試験管に凍結乾燥した。イノシトール(20μg)を内部標準として試料に加え、その後、試料を1MのHCl/メタノール中、80℃で18時間加熱した。その後、得られた単糖を、ピリジン及び無水酢酸を使用してMeOH中で再アセチル化し、80℃で30分間、Tri-Sil(Pierce)によりペル-O-トリメチルシリル化した。TMSメチルグリコシドのGC/MS分析は、Supelco Equity-1溶融シリカキャピラリーカラム(30m×0.25mm ID)を使用して、5975C MSDと連結したAgilent 7890A GCで行った。各ピークは、既知の標準との比較に基づいて成分の糖に割り当てられ、それぞれのピークの積分は例示されたグリカン内のモノマーの相対パーセンテージのクリーンな計算を可能にした。全ての列挙されたグリカンで、与えられたオリゴ糖のモノマー組成が実験誤差内で入力比に一致し、出力組成が測定の精度内で入力組成に一致する条件をルーチン的に同定することができる。
【0352】
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)による分子量分布
この試験は、与えられたオリゴ糖内の分子量の分布を定量するために設計された。測定は、Monograph of United States Pharmacopeia、38(6)In-Process Revision:Heparin Sodium(USP37-NF32)に記載の方法を用いてHPLCにより行った。溶離剤として1.0mL/分の流速の50mM酢酸アンモニウム及びELSD検出器を使用して、GE superpose 12カラムによりAgilent 1200 HPLCシステムで分離を行った。カラム温度を30℃に設定し、デキストラン(1kD、5kD、10kD重量)を用いて標準曲線を作成した。2mg/ml溶液の試料を調製し、0.45μmスピンフィルターに通し、続いてHPLCに40μlを注入した。リストした標準物質の対数分子量及び溶出体積に基づき、3次多項式曲線を構築した。試料の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び多分散性指数(PDI)を、標準曲線との比較によって計算した。
図1は、平均分子量が1212g/mol又は約DP7と決定されたglu100試料のSEC評価中に作成された曲線を示す。曲線の先導側の、最大吸収の10%における曲線上の点によって定義される材料の分子量の上端は、4559g/mol又は約DP28と決定された。曲線の後続側の、最大吸収の10%によって定義される材料の分子量の下端は、200g/mol又は約DP1と決定された。glu50gal50試料の同様の分析は、高質量及び低質量のMWとして、それぞれ1195g/mol(~DP7)、4331g/mol(~DP27)及び221g/mol(~DP1)を示した。
【0353】
イオンアフィニティクロマトグラフィー(IAC)による分子量分布
DPが2(DP2+)以上及び3(DP3+)以上のグリカンの割合は、イオンアフィニティクロマトグラフィーによって測定し得る。グリカン試料を50~100mg/mLに希釈し、この溶液10μLを、7.8×300mmのBioRad Aminex HPX-42Aカラム及びRI検出器を備えたAgilent 1260 BioPure HPLCに注入した。溶離液として純粋なHPLCグレードの水を使用し、80℃のカラム及び50℃に維持したRI検出器を通して、0.6mL/分で試料を溶出させた。DP1~6を表すピークは、参照用標準との比較によって割り当て、Agilent ChemStationソフトウェアを使用して積分する。ピークは、典型的にはDP1、DP2、DP3、DP4~7及びDP8+として積分される。実施例1に記載した反応によって達成可能なDPは、モノマーごとに異なるが、手順に従えば、バッチ間で一貫している。例えば、glu100の17バッチにわたって、DP2+の値は77~93%の範囲であり、DP3+の値は80~90%の範囲であった。逆に、ara100の6バッチにわたって、DP2+の値は63~78%の範囲であり、DP3+値は48~71%の範囲であった。モノマーの混合物は、個々の成分の平均として挙動した。
【0354】
2D NMRによるアルファ/ベータ分布
この試験は、二次元NMRにより、与えられた試料内のアルファ-及びベータ-グリコシド結合の比を定量するために設計された。約150mgの65Brixオリゴ糖溶液を、400mbarの圧力下、45~95℃の真空オーブン中で質量が安定するまで乾燥させた。試料は、D2Oに溶解し、乾燥して残留H2Oを除去する2つのサイクルに供された。乾燥後、サンプルを、0.1%アセトンを含む750μLのD2Oに溶解し、3mmのNMR管に入れ、21.1℃で動作するBruker BBFOプローブを備えた、500.13MHz 1H(125.77MHz 13C)で動作するBruker Avance-IIIで分析した。標準的なBrukerパルスシーケンスを使用して、ヘテロ原子単一量子コヒーレンスパルスシーケンス(HSQC)を使用してサンプルを分析した。4~6ppm(1H)及び80~120ppm(13C)のアノマープロトンを、Roslund,et al.(2008)Carbohydrate Res.343:101-112に報告されているように、グルコースとの類似によって割り当てた。スペクトルは、内部アセトンシグナル、すなわち1Hで2.22ppm、13Cで30.8ppmを基準とした。Mestrelab Research(Santiago de Compostela,Spain)のMNovaソフトウェアパッケージを使用して、異性体のそれぞれのピークを積分することにより定量した。
図2は、代表的なスペクトルのアノマー領域を示す。300以上のサンプルがこの方法で分析されており、表2は、アルファ/ベータ比がrha100の場合に4:1の高さ、glu50gal50の場合に1:1の低さを示すモノマーの組合せ試料の横断的な分布を示す。
【0355】
【0356】
NMRによる組成の同定
この試験は、成分モノマーの2D-NMR同定によってグリカンの組成を同定するために設計された。約150mgの65Brixオリゴ糖溶液を、400mbarの圧力下、45~95℃の真空オーブン中で質量が安定するまで乾燥させた。試料は、D2Oに溶解し、乾燥して残留H
2Oを除去する2つのサイクルに供した。乾燥後、サンプルを、0.1%アセトンを含む750μLのD2Oに溶解し、3mmのNMR管に入れ、70℃で動作するBruker BBFOプローブを備えた、500.13MHz 1H(125.77MHz 13C)で動作するBruker Avance-IIIで分析した。標準的なBrukerパルスシーケンスを使用して、ヘテロ原子単一量子コヒーレンスパルスシーケンス(HSQC)を使用してサンプルを分析した。その後、単一の糖モノマーから誘導された各グリカンスペクトルのアノマー領域を、そのモノマーに特徴的な特定のグリコシド結合を表すピークについて調べた。任意の与えられたグリカンについて、HSQCスペクトルは、特定の位置化学的及び立体化学的結合配置に固有のピークを同定することを可能にする。例えば、
図5は、特定のグリコシドの位置化学及び立体化学を同定するために、これらのピークがどのように使用され得るかを示す、glu100調製物のスペクトルの部分的な割り当てを示す。多糖類内の単一の炭水化物環のスピン単離された性質のために、1種より多くのモノマーを有するグリカンのHSQCスペクトルは、その成分糖の各々のHSQCピークの合計によって表されると予測される。したがって、各成分モノマーは、他の成分モノマーに関係なく、そのモノマーを含有する任意のグリカンに現れる固有のHSQCピークを有し、さらに、グリカンを合成するために使用されるモノマーは、各成分モノマーに固有のフィンガープリントピークを同定することによって決定することができる。例えば、
図3Bは、glu50gal50のHSQCスペクトルがglu100(
図3A)及びgal100(
図3C)のスペクトルのハイブリッドであることを示す。表3は、選択されたグリカン単位のフィンガープリントピークをリストする。
【0357】
【0358】
3個以下の異なるグリカン単位を含有するグリカンの合成に際して出発物質として使用した各グリカン単位に、少なくとも5個のピークが現れた。4つ以上の異なるグリカン単位を含有するグリカンのHSQCスペクトルでは、各成分グリカン単位は少なくとも4つのピークを有する。
【0359】
図6A及び6Bは、それぞれman100及びxyl100のHSQCスペクトルを示す。
【0360】
グリコシドの結合分析
この試験は、与えられたオリゴ糖のグリコシド位置異性体(分岐)の分布を定量するために設計された。グリコシル結合分析では、Heiss et al(2009)Carbohydr.Res.344:915に記載されているように、サンプルをペルメチル化、解重合、還元及びアセチル化し、得られた部分メチル化されたアルジトール酢酸(PMAA)をガスクロマトグラフィー-質量分析法(GC-MS)によって分析した。試料を200μLのジメチルスルホキシド中に懸濁させ、1日間撹拌した。ペルメチル化は、水酸化ナトリウム(15分間)及びヨウ化メチル(45分間)の2ラウンド処理によって影響を受けた。水溶液を、2Mトリフルオロ酢酸を添加し、121℃へと2時間加熱することによって加水分解した。固体を真空中で単離し、酢酸/トリフルオロ酢酸中でアセチル化した。得られたPMAAを、5975C MSD(質量選択検出器、電子衝撃イオン化モード)と連結したAgilent 7890A GCで分析した;分離は、30mのSupelco SP-2331結合相溶融シリカキャピラリーカラムにより行った。
図4は、この分析からの3つの代表的なGCスペクトルを示す。これらの分析はグリカンが少なくとも0.1%、0.2%、0.5%、1%、2%、5%、10%以上の1,2-グリコシド結合型を有すること、例えばara100=3.8%、gal100=7.2%であり;少なくとも0.1%、0.2%、0.5%、1%、2%、5%、10%以上の1,3-グリコシド結合型を有すること、例えば、3-bn-g-glu100=1.7%、glu50gal50=10.4%であり;少なくとも0.1%、0.2%、0.5%、1%、2%、5%、10%以上の1,4-グリコシド結合型を有すること、例えばglu50gal50=5.9%、gal33manara33=10.1%であり;且つ少なくとも0.1%、0.2%、0.5%、1%、2%、5%、10%、15%、20%、25%以上の1,6-グリコシド結合型を有すること、例えば、gal33man33ara33=13.4%、glu100=25.4%であることを示している。材料は、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%又はそれを超える分岐結合型(1,3,6-;1,4,6-;又は1,2,4-グリコシド、例えば表4を含むが、これらに限定されない)、少なくとも0.05の分岐度(DB)も含有した。分岐度は、モノマー単位の総数に対する分岐モノマーの平均数として定義される。例えば、グルコースモノマー単位の20%が3つ以上の他のグルコースモノマーへのグリコシド結合を含むglu100グリカンポリマーは、0.20のDBを有するであろう。グリカンは、フラノース形態で約3~12%のモノマー単位も有する。単一のモノマーに由来するグリカンは、少なくとも12の異なる非末端置換パターンからなるものであった。2つのモノマー起源のグリカンは少なくとも18の異なる非末端置換パターン、例えば、glu-1,2-glu;glu-1,2-gal;gal-1,2-glu;gal-1,2-gal;glu-1,2(glu),6-glu;glu-1,3-glu;glu-1,3-gal;などからなるものであった。3つ以上のモノマー起源のグリカンは、少なくとも24の異なる非末端置換パターンからなるものであった。
【0361】
【0362】
【0363】
【0364】
【0365】
【0366】
実施例6:グリカン調製物の存在下でのヒトからの糞便スラリー中のアンモニアの減少
グリカン調製物をインビトロで、健常ヒト対象からの糞便スラリー中のアンモニアレベルを調節する能力(エクスビボアッセイとも呼ばれる)について試験した。糞便試料及びスラリーを、パラジウム触媒を特徴とする嫌気性チャンバ(AS-580、Anaerobe Systems)中で取り扱った。グリカンを5%重量/体積の水で調製し、濾過滅菌し、96ウェルのディープウェルマイクロプレートアッセイプレートに添加して、アッセイでの最終濃度を0.5%又は0.05%重量/体積にし、水を陽性対照及び陰性対照として供給した。
【0367】
ヒト糞便試料供与物を-80℃で保存した。作業ストックを調製するために、糞便試料を嫌気性チャンバに移し、解凍した。糞便試料を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)pH7.4(P0261、Teknova Inc.、Hollister、CA))、15%グリセロール中で20%重量/体積に調製し、-80℃で保存した。20%重量/体積の糞便スラリー+15%グリセロールを2,000×gで遠心分離し、上清を除去し、ペレットを、750um尿素を添加した、900mg/L塩化ナトリウム、26mg/L塩化カルシウム二水和物、20mg/L塩化マグネシウム六水和物、10mg/L塩化マンガン四水和物、40mg/L硫酸アンモニウム、4mg/L硫酸鉄七水和物、1mg/L塩化コバルト六水和物、300mg/Lリン酸カリウム二塩基、1.5g/Lリン酸ナトリウム二塩基、5g/L炭酸水素ナトリウム、0.125mg/Lビオチン、1mg/Lピリドキシン、1m/Lパントテン酸塩、75mg/Lヒスチジン、75mg/Lグリシン、75mg/Lトリプトファン、150mg/Lアルギニン、150mg/Lメチオニン、150mg/Lトレオニン、225mg/Lバリン、225mg/Lイソロイシン、300mg/Lロイシン、400mg/Lシステイン及び450mg/Lプロリン(Theriot CM et al.Nat Commun.2014;5:3114)に懸濁させ、1%重量/体積の糞便スラリーとした。
【0368】
調製した1%重量/体積の糞便スラリーをグリカン3-Bn-glu50gal50-1、3-Obn-Glu100-1、6-TBDPS-glu100-1、6-TBDPS-glu50gal50-1、a-1,6-glu100-1、アセチル化-glu50gal50-1、Ara100-1、Ara100-10、Ara100-11、Ara100-2、Ara100-3、Ara100-4、Ara100-5、Ara100-6、Ara100-7、Ara100-8、Ara100-9、Ara60Xyl40-1、Ara80Xyl20-1、Ara88Gal3Rha2GalA3-1、ブチリル化-glu50gal50-1、ブチリル化-glu50gal50-2、Fru100-1、Fru100-10、Fru100-11、Fru100-2、Fru100-3、Fru100-4、Fru100-5、Fru100-6、Fru100-7、Fru100-8、Fru100-9、Fru50Glu50-1、Fuc100-1、Gal100-10、Gal100-11、Gal100-12、Gal100-13、Gal100-14、Gal100-15、Gal100-16、Gal100-17、Gal100-2、Gal100-3、Gal100-4、Gal100-5、Gal100-7、Gal100-8、Gal100-9、Gal10Xyl10Ara80-1、Gal10Xyl45Ara45-1、Gal10Xyl80Ara10-1、Gal20Ara80-1、Gal20Xyl20Ara60-1、Gal20Xyl40Ara40-1、Gal20Xyl60Ara20-1、Gal20Xyl80-1、Gal25Man25Xyl25Ara25-2、Gal30Xyl30Ara40-1、Gal30Xyl40Ara30-1、Gal33Man33Ara33-1、gal33man33ara33-1、Gal33Man33Ara33-10、Gal33Man33Ara33-11、Gal33Man33Ara33-12、Gal33Man33Ara33-13、Gal33Man33Ara33-14、Gal33Man33Ara33-15、Gal33Man33Ara33-17、Gal33Man33Ara33-18、Gal33Man33Ara33-2、gal33man33ara33-2、Gal33Man33Ara33-3、gal33man33ara33-3、Gal33Man33Ara33-4、gal33man33ara33-4、gal33man33ara33-5、gal33man33ara33-6、gal33man33ara33-7、gal33man33ara33-8、Gal33Man33Ara33-8、Gal33Man33Ara33-9、Gal33Man33Xyl33-1、Gal33Man33Xyl33-2、Gal33Man33Xyl33-3、Gal33Xyl33Ara33-1、Gal33Xyl33Ara33-2、Gal40Ara60-1、Gal40Man60-1、Gal40Xyl20Ara40-1、Gal40Xyl30Ara30-1、Gal40Xyl40Ara20-1、Gal40Xyl60-1、Gal45Xyl10Ara45-1、Gal45Xyl45Ara10-1、Gal50Fru50-2、Gal50Fru50-3、Gal50Glu25Fru25-1、Gal57Fru43-1、Gal57Glu43-1、Gal57Glu43-2、Gal5Xyl5Ara90-1、Gal5Xyl90Ara5-1、Gal60Ara40-1、Gal60Man40-1、Gal60Xyl20Ara20-1、Gal60Xyl40-1、Gal80Ara20-1、Gal80Man20-1、Gal80Xyl10Ara10-1、Gal80Xyl20-1、Gal81Ara14-1、Gal85Ara15-10、Gal85Ara15-5、Gal85Ara15-6、Gal85Ara15-7、Gal85Ara15-8、Gal85Ara15-9、Gal90Xyl5Ara5-1、Gala100-2、GalA60Rha10Ara1Xyl1Gal23-1、galnac100-1、galnac100-2、galnac50GluA50-1、Glu~30Gal~70-1、Glu~50Man~50-1、Glu100-1、Glu100-10、Glu100-100、Glu100-101、Glu100-102、Glu100-103、Glu100-104、Glu100-105、Glu100-106、Glu100-107、Glu100-108、Glu100-109、Glu100-11、Glu100-110、Glu100-111、Glu100-112、Glu100-113、Glu100-114、Glu100-115、Glu100-116、Glu100-117、Glu100-118、Glu100-119、Glu100-12、Glu100-120、Glu100-121、Glu100-122、Glu100-123、Glu100-124、Glu100-126、Glu100-127、Glu100-128、Glu100-129、Glu100-13、Glu100-130、Glu100-131、Glu100-132、Glu100-133、Glu100-135、Glu100-136、Glu100-139、Glu100-140、Glu100-141、Glu100-143、Glu100-15、Glu100-17、Glu100-18、Glu100-2、Glu100-20、Glu100-21、Glu100-22、Glu100-23、Glu100-24、Glu100-26、Glu100-29、Glu100-3、Glu100-30、Glu100-33、Glu100-34、Glu100-35、Glu100-4、Glu100-40、Glu100-41、Glu100-49、Glu100-5、Glu100-53、Glu100-55、Glu100-56、Glu100-59、Glu100-6、Glu100-60、Glu100-63、Glu100-64、Glu100-65、Glu100-66、Glu100-68、Glu100-69、Glu100-7、Glu100-70、Glu100-72、Glu100-73、Glu100-74、Glu100-75、Glu100-76、Glu100-77、Glu100-78、Glu100-8、Glu100-82、Glu100-83、Glu100-84、Glu100-87、Glu100-89、Glu100-9、Glu100-90、Glu100-92、Glu100-94、Glu100-98、Glu100-99、Glu10Gal10Man80-1、Glu10Gal10Man80-2、Glu10Gal45Man45-2、Glu10Gal80Man10-1、Glu10Xyl10Ara80-1、Glu10Xyl45Ara45-1、Glu10Xyl80Ara10-1、Glu20Ara80-1、Glu20Gal20Man20Xyl20Ara20-1、Glu20Gal20Man60-1、Glu20Gal20Man60-2、Glu20Gal40Man40-1、Glu20Gal60Man20-1、Glu20Gal60Man20-2、Glu20Gal80-1、Glu20Xyl20Ara60-1、Glu20Xyl40Ara40-1、Glu20Xyl60Ara20-1、Glu20Xyl80-1、Glu25Gal25Man25Ara25-1、Glu25Gal25Man25Ara25-2、Glu25Gal25Man25Xyl25-1、Glu25Gal25Man25Xyl25-2、Glu25Gal25Xyl25Ara25-2、Glu25Man25Xyl25Ara25-1、Glu30Gal30Man40-1、Glu30Gal30Man40-2、Glu30Xyl30Ara40-1、Glu30Xyl40Ara30-1、Glu33Gal33Ara33-1、Glu33Gal33Ara33-3、Glu33Gal33Ara33-4、Glu33Gal33Ara33-5、Glu33Gal33Fru33-1、Glu33Gal33Man33-1、Glu33Gal33Man33-2、Glu33Gal33Man33-3、Glu33Gal33Man33-4、Glu33Gal33Xyl33-1、Glu33Gal33Xyl33-2、Glu33Gal33Xyl33-3、Glu33Man33Ara33-1、Glu33Man33Ara33-2、Glu33Man33Xyl33-1、Glu33Man33Xyl33-2、Glu33Xyl33Ara33-1、Glu40Ara60-1、Glu40Gal30Man30-1、Glu40Gal40Man20-1、Glu40Gal40Man20-2、Glu40Gal60-1、Glu40Xyl20Ara40-1、Glu40Xyl30Ara30-1、Glu40Xyl40Ara20-1、Glu40Xyl60-1、Glu45Gal45Man10-1、Glu45Gal45Man10-2、Glu45Xyl10Ara45-1、Glu45Xyl45Ara10-1、glu50fru50-1、glu50gal50-long-1、glu50gal50-short-1、glu50gal50-1、Glu50Gal50-10、glu50gal50-11、Glu50Gal50-11、glu50gal50-12、glu50gal50-13、Glu50Gal50-13、glu50gal50-14、Glu50Gal50-14、glu50gal50-15、glu50gal50-16、glu50gal50-17、Glu50Gal50-17、Glu50Gal50-18、glu50gal50-18、glu50gal50-19、Glu50Gal50-19、Glu50Gal50-2、glu50gal50-20、Glu50Gal50-20、Glu50Gal50-21、glu50gal50-21、Glu50Gal50-22、glu50gal50-22、glu50gal50-23、glu50gal50-24、Glu50Gal50-24、Glu50Gal50-27、Glu50Gal50-28、Glu50Gal50-3、Glu50Gal50-30、Glu50Gal50-32、Glu50Gal50-33、Glu50Gal50-34、Glu50Gal50-36、Glu50Gal50-37、Glu50Gal50-39、Glu50Gal50-4、Glu50Gal50-40、Glu50Gal50-41、Glu50Gal50-42、Glu50Gal50-43、Glu50Gal50-45、Glu50Gal50-46、Glu50Gal50-7、Glu50Gal50-8、Glu50Gal50-9、Glu50Lglu50-1、Glu5Gal5Man90-2、Glu5Gal90Man5-1、Glu5Xyl5Ara90-1、Glu5Xyl90Ara5-1、Glu60Ara40-1、Glu60Gal20Man20-1、Glu60Gal40-1、Glu60Man40-1、Glu60Man40-2、Glu60Man40-4、Glu60Xyl20Ara20-1、Glu60Xyl40-1、Glu66Fru33-1、Glu75Glunac25-1、Glu80Ara20-1、Glu80Gal10Man10-1、Glu80Gal20-1、Glu80Lglu20-1、Glu80Man20-1、Glu80Xyl10Ara10-1、Glu80Xyl20-1、Glu90Gal5Man5-2、Glu90Lglu10-1、Glu90Xyl5Ara5-1、Glua100-1、Glun100-1、gly100-1、Lara100-1、Man100-1、Man100-10、Man100-11、Man100-12、Man100-13、Man100-15、Man100-2、Man100-6、Man100-7、Ma
n100-8、Man100-9、Man20Ara80-1、Man20Xyl80-1、Man33Xyl33Ara33-1、Man33Xyl33Ara33-2、Man40Ara60-1、Man40Xyl60-1、Man52Glu29Gal19-1、Man60Ara40-1、Man60Glu40-1、Man60Xyl40-1、Man66Gal33-3、Man75Gal25-1、Man80Ara20-1、Man80Gal20-2、Man80Gal20-3、Man80Glu20-1、Man80Xyl20-1、Man100-1、Neu100-2、Rha100-1、Rib100-1、Sor100-1、Tbdps-Gal100-1、Xyl100-3、Xyl100-4、Xyl100-5、Xyl100-6、Xyl100-7、Xyl60Ara40-1又はXyl80Ara20-1を、96ウェルディープウェルマイクロプレートに最終濃度0.5%重量/体積で、ウェルあたり500μL最終容量、37℃45時間嫌気的に曝露した。「Man」、「glu」、「gal」、「xyl」などは糖を示す。直後の数字は、調製物中の糖の相対量を示す(例えば、Man80gal20は、調製物中に80%のマンノースと20%のガラクトースが含まることを意味する);また、ダッシュの後の数字は、本明細書に記載のグリカン調製物の範囲内で互いに異なる、別のグリカン調製物(例えば、-3)とは異なる特性を有するグリカン調製物(例えば、-1)を示す。
【0369】
エクスビボでのインキュベーション後、3,716×gで10分間の遠心分離して細胞をペレット化し、上清を分析するまで-80℃又はドライアイス上で保存した。試料を10kDaフィルター(AcroPrep Omega 10K、Pall Corporation、Port Washington New York)で1,500×gで15分間濾過し、元の濃度の1/10に水で希釈した。アンモニア比色分析アッセイキットII(Ammonia Colorimetric Assay Kit II)(K470、Biovision Incorporated、Milpitas CA)を使用して試料を分析した。グリカンのアンモニア比色分析の結果を表6に示す。
【0370】
【0371】
インキュベーション後、アッセイ試料をDNA抽出及びシーケンシングに使用した。グリカン及び対照で処理した糞便スラリーからゲノムDNAを抽出し、16S rRNA遺伝子の可変領域4を増幅して配列決定した(Earth Microbiome Project protocol www.earthmicrobiome.org/emp-standard-protocols/16s/and Caporaso JG et al.Ultra-high-throughput microbial community analysis on the Illumina HiSeq and MiSeq platforms.ISME J.(2012)Aug;6(8):1621-4)。生配列は逆多重化され、各試料はUNOISE2で個別に処理された(Edgar 2016)。簡単に言えば、ペアエンドリードを合併させ、品質をフィルタリングした。次に、ユニークリードをノイズ除去し、フィルタリングされていない合併された配列をノイズ除去された配列にマッピングした。分類法は、分類子を使用しノイズ除去された配列に割り当てられた(Wang et al.Appl Environ Microbiol.(2007)Aug;73(16):5261-7)。
【0372】
糞便スラリー中のバクテロイデス(Bacteroides)は、アンモニア減少の増加と関連していることが判明した(
図7A)。これは、グリカンを使用してバクテロイデス(Bacteroides)属の分類群を操作することで、アンモニアレベルを減少させる戦略が提供されることを示唆している。これらの研究では、多くのグルコース含有グリカンがアンモニアの減少に関連していることが見出された。
図7Bに示すように、複合体結合分布を有するグルコース含有グリカン調製物は、アンモニアの大幅な減少に関連していた。ベータ結合グルコースグリカン結合よりも、アルファ結合したグルコースグリカン結合の方がより多くアンモニア減少傾向が見られた。特に、α-1,4及びα-1,6-結合グルコース単位を有するグリカン調製物は、より大きいアンモニアの減少と関連していることが見出された。さらに、より多くのアルファグリコシド結合は、ベータ結合の濃縮よりもより大きい減少と関連していた。結合分布の複雑性の増加(例えば、異なる種類の結合タイプの数が増加したグリカン)及び追加の分岐(
図7B)の両方に関連して、アンモニアが大幅に減少した。
【0373】
実施例7:肝機能障害患者を用いたエクスビボアッセイでのアンモニア産生の減少。
肝機能障害患者から収集されたヒト糞便群の様々なグリカンを利用し、その能力を評価するためにエクスビボアッセイが実施され、アンモニアの産生を減少又は消費を増加させる。糞便試料は、アルコール、自己免疫性肝炎、慢性B型肝炎、脂肪肝疾患/NASH又は鉄過剰及び脂肪症により引き起こされた肝性脳症(HE)と診断された19人の患者から収集された。患者の臨床的特徴を表7に示す。
【0374】
ヒト糞便試料供与物を-80℃で保存した。作業ストックを調製するために、糞便試料を嫌気性チャンバに移し、解凍した。各糞便試料を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)pH7.4(P0261、Teknova Inc.、Hollister、CA))、15%グリセロール中で20%重量/体積に調製し、-80℃で保存した。20%重量/体積の糞便スラリー+15%グリセロールを2,000×gで遠心分離し、上清を除去し、ペレットを、750mL尿素を添加した、900mg/L塩化ナトリウム、26mg/L塩化カルシウム二水和物、20mg/L塩化マグネシウム六水和物、10mg/L塩化マンガン四水和物、40mg/L硫酸アンモニウム、4mg/L硫酸鉄七水和物、1mg/L塩化コバルト六水和物、300mg/Lリン酸カリウム二塩基、1.5g/Lリン酸ナトリウム二塩基、5g/L炭酸水素ナトリウム、0.125mg/Lビオチン、1mg/Lピリドキシン、1m/Lパントテン酸塩、75mg/Lヒスチジン、75mg/Lグリシン、75mg/Lトリプトファン、150mg/Lアルギニン、150mg/Lメチオニン、150mg/Lトレオニン、225mg/Lバリン、225mg/Lイソロイシン、300mg/Lロイシン、400mg/Lシステイン及び450mg/Lプロリン(Theriot CM et al.Nat Commun.2014;5:3114)に懸濁させて、1%重量/体積の糞便スラリーを調製した。
【0375】
調製した1%重量/体積の糞便スラリーを合計8つのグリカン(Glu100-114、Lara100-1、Gal50Fru50-2、Glu100-3、Glu100-94、Fru100-9、Glu100-22及びGlu100-107)に曝露し、病原体増殖に効果的な減少の試験をした。グリカンは、96ウェルのディープウェルマイクロプレートに最終濃度0.5%重量/体積で添加され、水はグリカンを添加しない対照(No Added Glycan controls)に含まれ、ウェルあたりの最終容量は500μLであった。グリカン及びスラリーの混合物を37℃で24時間又は45時間嫌気的にインキュベートした。本明細書に記載されているように、エクスビボでのインキュベーション後、3,716×gで10分間の遠心分離によって細胞をペレット化し、上清を分析するまで-80℃又はドライアイス上で保存した。試料を10kDaフィルター(AcroPrep Omega 10K、Pall Corporation、Port Washington New York)で1,500×gで15分間濾過し、元の濃度の1/10に水で希釈した。アンモニア比色分析アッセイキットII(Ammonia Colorimetric Assay Kit II)(K470、Biovision Incorporated、Milpitas CA)を使用して試料を分析した。
【0376】
インキュベーション前の糞便スラリーの微生物群組成は、グリカン調製物によるアンモニアの積極的な減少を予測する重要な分類群を特定するために決定された。グリカンのインキュベーション前に糞便スラリーからゲノムDNAを抽出し、16S rRNA遺伝子の可変領域4を増幅して配列決定した(Earth Microbiome Project protocol www.earthmicrobiome.org/emp-standard-protocols/16s/and Caporaso JG et al.Ultra-high-throughput microbial community analysis on the Illumina HiSeq and MiSeq platforms.ISME J.(2012)Aug;6(8):1621-4)。生配列は逆多重化され、各試料はUNOISE2で個別に処理された(Robert Edgar UNOISE2:improved error-correction for Illumina 16S and ITS amplicon sequencing.bioRxiv(2016)Oct.15)。簡単に言えば、ペアエンドリードを合併させ、品質をフィルタリングした。次に、ユニークリードをノイズ除去し、フィルタリングされていない合併された配列をノイズ除去された配列にマッピングした。分類法は、分類子を使用しノイズ除去された配列に割り当てられた(Wang et al.Appl Environ Microbiol.(2007)Aug;73(16):5261-7)。
【0377】
24時間及び45時間で試験された糞便試料全体で、グリカンGlu100-114、Lara100-1、Gal50Fru50-2、Glu100-3、Glu100-94、Fru100-9、Glu100-22及びGlu100-107は全てアンモニアレベルの減少を引き起こした(
図7C)。これは、これらのグリカンのいずれかを投与することで、肝機能障害のある対象のアンモニアレベルを減少させるために使用でき得ることを示唆している。さらに、これらのグリカンの組み合わせを使用して、アンモニアを大幅に減少することもできる。アンモニアの減少を伴うグリカン療法に反応しなかった対象は、糞便スラリーの最初にバクテロイデス(Bacteroides)が1%未満であることが確認された。バクテロイデス(Bacteroides)は、エクスビボアッセイでアンモニアの減少を促進する上で重要であることが示されている(
図7A)。グリカン及びプロバイオティクス細菌(例えば、バクテロイデス(Bacteroides)分類群)を組み合わせることは、バクテロイデス(Bacteroides)分類群が欠如している肝機能障害患者のアンモニアレベルを低下させる別の戦略であり得る。
【0378】
【0379】
実施例8.動物モデルにおけるグリカンの存在下でのアンモニアレベル及び/又は毒性低減の評価。
対象(例えば、尿素サイクル異常症患者)におけるアンモニアのレベル及び/又はアンモニア毒性を減少させるためのグリカン調製物の療法上の可能性は、動物モデルで評価される。SPF-ashマウスモデル(Hodges et al.Proc Natl Acad Sci U S A.(1989)Jun;86(11):4142-4146)は、アンモニアレベル及び/又は毒性の減少を評価するために使用される。SPF-ashマウスは、オルニチントランスカルバミラーゼ(例えば、オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ又はOTC)遺伝子にミスセンス変異があり、部分的なOTC欠乏症を引き起こしている。この研究の前に、研究0日目に、ハンドヘルドチェッカーを使用して、マウスから血液(顎下腺採血)及び糞便試料を採取し、血中アンモニアを定量化する(例えば:英国、ランカシャーWoodley Laboratory Diagnostics、ポケットケムBA血中アンモニア測定装置(PocketChem BA Blood Ammonia Analyser))。次に、それらのマウスを、1)ビヒクル又は2)グリカンのいずれかを受ける2つの研究グループに無作為に分ける。グリカングループは、3g/kgの用量で7日間グリカンを強制経口投与される。ビヒクルグループは、グリカンなしで同量の水を投与される。研究1、2、3、4、5、6、7日に、マウスの顎下静脈から採血し、EDTAチューブに分注し、ハンドヘルド血液チェッカーを使用してアンモニアについて試験される。アンモニアレベルの減少は、グリカン調製物を投与されたマウスグループのこのマウスモデルで観察される。
【0380】
実施例9:微生物と化合物の表
【0381】
【0382】
【0383】
【0384】
実施例10:グリカン調製物はヒトの腸由来のアンモニアを減少させる
選択されたグリカン調製物「選択されたオリゴ糖組成物」(glu100、例えば、表5A及び5Bにあるように、Glu100-94及びGlu100-5などの組成物特性を見つけることができる)の安全性と忍容性は、高タンパク質食の存在下でプレバイオティクス活性を測定するように設計された、無作為化二重盲検プラセボ対照試験(n=47)により健常な成人で評価された。耐容性を最大化するために、4段階に斬増し、食事と一緒に1日2回9gで4日間から開始し、1日2回36gで6日間投与した。対象は、忍容性に基づいて投与量を減量することができた(用量漸減)。
【0385】
腸は(例えば、腸内細菌による食品の発酵及び腸細胞によるグルタミナーゼ活性による)、ヒトの代謝に相当量のアンモニアを与える。いくつかの推定によると、高アンモニア血症の対象の最大70%の過剰なアンモニアが胃腸管に蓄積する(米国特許第9,487,764号明細書)。腸では、アンモニアは微生物のウレアーゼ及びアミノ酸の脱アミノ化及び腸細胞のグルタミナーゼによって生成される(Romero-Gomez et al.Metab Brain Dis(2009)24:147-157)。腸内微生物叢に由来するアンモニアの量の減少は、高アンモニア血症に関連する疾患に治療効果をもたらし得る。高アンモニア血症関連疾患の肝性脳症(HE、明白なHE(OHE)を含む)は、ラクツロース(4-O-β-D-ガラクトシル-D-フルクトース)及び/又はリファキシミン(リファマイシンSVに由来する抗生物質)で治療される。どちらの薬剤も、全身のアンモニア負荷に対する腸内細菌のアンモニアの寄与を標的としている。高アンモニア血症に関連する他の疾患、例えば、尿素サイクル異常症(UCD)を伴う対象及び高アンモニア血症を発症するリスクのある対象(例えば、最小限のHE、MHEを示す対象)も全身のアンモニア負荷に対する腸内細菌のアンモニア寄与の減少から恩恵を受ける可能性がある。ただし、これらの対象ではラクツロース及びリファキシミンは使用されていない。
【0386】
本明細書に記載のグリカンの経口投与が腸管由来のアンモニアの量を低下できるかどうかを試験するために、ヒトにおける高タンパク質負荷研究が行われた。
【0387】
健常な対象は、無傷の肝代謝(例えば、尿素サイクル能力及び肝臓の無バイパス)及び腎臓機能(例えば、機能している尿素及びアンモニアの排泄)により、タンパク質負荷時に高アンモニア血症は発生していない。血清アンモニアレベルは、例えば、ある程度の測定バイアス(例えば、静脈血がアンモニアを貯蔵している筋肉を通過した後にアンモニアを捕獲する)、分析物の揮発性及び対象の食事の影響などにより非常に変動がある。健常な対象は、大腸アンモニア産生の基質を供給する高タンパク質食(2g/kgタンパク質/日4週間)の負荷を受け、腸内細菌由来のアンモニアを定量するために安定同位体トレーサー(15Nラクトウレイド)を投与した。対象は、グリカン組成物「選択されたオリゴ糖組成物」(glu100)、対照、市販の繊維調製物(陽性対照)又はプラセボ又は陰性対照としてのマルトデキストリン(MDX)のどちらかを摂取した。MDXは完全に消化され、細菌発酵の基質として結腸に到達しない。対象(N=12/グループ)は、15N-トレーサーの投与前に7日間(導入期間)高タンパク質食事を与えられた。15N-トレーサーの2回目の投与前に、グリカン調製物を斬増し、食事はさらに16日間続けられた。対象は、9g/d BIDから36g/d BID(合計72g/日)に漸増された。血液、尿及び糞便試料を採取した。
【0388】
この研究の調査から、選択されたオリゴ糖組成物が安全で一般的に忍容性が高いことが確認された(鼓腸、悪心、嘔吐、腹部痙攣、腹部膨満感、腹鳴、曖気、胸やけの重症度及び頻度及び排便の頻度と緊急度が毎日の質問票に記録され、胃腸管忍容性質問票(gastrointestinal tolerability questionnaire(GITQ))を使用して評価された)。
【0389】
選択されたオリゴ糖組成物の忍容性は、下痢スコアによっても評価された(
図10)。各対象からの糞便組成は、毎日の7段階のブリストル糞便スコア質問票で評価された。
図10に示すように、選択されたオリゴ糖組成物では、下痢を報告している対象がプラセボと同じか又はそれよりも少なかったのに対し、市販の陽性対照繊維では、下痢を報告している対象を増加させ、12人中10人の対象が最高用量で下痢を報告した。
【0390】
高タンパク質食を背景にマルトデキストリン対照は、15N窒素排泄を増加させ、選択されたオリゴ糖組成物及び陽性対照繊維の両方が、対照に対して尿中15N窒素排泄を30~40%減少した(p=0.002)。選択されたオリゴ糖組成物及び陽性対照繊維による尿中15N-尿素排泄の減少は、対照と比較して有意であり(それぞれp=0.0343及びp=0.0002)、同様の効果サイズ(30~40%減少)であった。15N尿中アンモニア排泄は変動し、統計的に有意ではなかったが、同様の減少傾向を示した。
【0391】
2×10g及び2×15g/dayのラクツロースを4週間摂取すると、通常の食事の健常対象の尿中15N窒素排泄量がベースラインと比較して12~22%減少する(De Preter et al.Aliment Pharmacol Ther(2006)23,963-974)。HE患者を対象とした直接比較試験では、ラクツロース及びリファキシミンによって血中アンモニアがそれぞれ33%及び32%減少した(Paik et al.Yonsei Medical Journal Vol.46,No.3,pp.399-407,2005)。研究では、ラクツロースは動脈アンモニアを23%(HE患者60人)削減し、10日以内に患者の53%でHEの完全な回復を示した(Sharma et al.Journal of Gastroenterology and Hepatology 32(2017)1234-1239)。ここで試験された選択されたオリゴ糖組成物で観察された腸由来のアンモニアの減少、尿中15N窒素排泄の30~40%の減少は、この減少が臨床的に関連しており、ここで説明された選択されたオリゴ糖組成物が血中アンモニアを減少するために使用でき得ることを示唆している。
【0392】
選択されたオリゴ糖組成物は、著しい下痢を引き起こさなかったため、窒素低下効果は下痢による窒素の排泄ではなく、微生物分類群の変化及び/又は窒素代謝に関連する影響がありそうだと示唆している。陽性対照繊維の影響は、陽性対照繊維によって引き起こされた下痢(及び窒素の物理的な排出)が主な原因であり得る。下痢は望ましくない副作用である。
【0393】
したがって、選択されたオリゴ糖組成物は、例えば、HE(例えば、OHE)及びUCDなどの高アンモニア血症に関連する疾患を有する対象並びに高アンモニア血症を発症するリスクがある対象、例えば、MHEの治療に使用され得る。
【0394】
実施例11:尿素サイクル異常症(UCD)患者でのエクスビボアッセイでのアンモニア産生の減少。
尿素サイクル異常症患者から収集されたヒト糞便群の様々なグリカンを利用し、その能力を評価するためにエクスビボアッセイが実施され、アンモニアの産生を減少又は消費を増加させる。糞便試料は、尿素サイクル異常症と診断された12人の患者から採取された。
【0395】
ヒト糞便試料供与物を-80℃で保存した。作業ストックを調製するために、糞便試料を嫌気性チャンバに移し、解凍した。各糞便試料を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)pH7.4(P0261、Teknova Inc.、Hollister、CA))、15%グリセロール中で20%重量/体積に調製し、-80℃で保存した。20%重量/体積の糞便スラリー+15%グリセロールを2,000×gで遠心分離し、上清を除去し、ペレットを、750mL尿素を添加した、900mg/L塩化ナトリウム、26mg/L塩化カルシウム二水和物、20mg/L塩化マグネシウム六水和物、10mg/L塩化マンガン四水和物、40mg/L硫酸アンモニウム、4mg/L硫酸鉄七水和物、1mg/L塩化コバルト六水和物、300mg/Lリン酸カリウム二塩基、1.5g/Lリン酸ナトリウム二塩基、5g/L炭酸水素ナトリウム、0.125mg/Lビオチン、1mg/Lピリドキシン、1m/Lパントテン酸塩、75mg/Lヒスチジン、75mg/Lグリシン、75mg/Lトリプトファン、150mg/Lアルギニン、150mg/Lメチオニン、150mg/Lトレオニン、225mg/Lバリン、225mg/Lイソロイシン、300mg/Lロイシン、400mg/Lシステイン及び450mg/Lプロリン(Theriot CM et al.Nat Commun.2014;5:3114)に懸濁させて、1%重量/体積の糞便スラリーを調製した。
【0396】
調製した1%重量/体積の糞便スラリーを合計8つのグリカン(Glu100-5、Glu100-94、Glu100-20、Glu50Gal50-27、Gal100-3、Ara100-4、Man52Glu29Gal19-1及びMan100-7)に曝露し、アンモニアレベルに効果的な減少の試験をした。グリカンは、96ウェルのディープウェルマイクロプレートに最終濃度0.5%重量/体積で添加され、水は「グリカンを添加しない対照」(No Added Glycan controls)に含まれ、ウェルあたりの最終容量は500μLであった。グリカン及びスラリーの混合物を37℃で45時間嫌気的にインキュベートした。
【0397】
本明細書に記載されているように、エクスビボでのインキュベーション後、3,716×gで10分間の遠心分離することにより、細胞をペレット化し、上清を分析するまで-80℃又はドライアイス上で保存した。試料を10kDaフィルター(AcroPrep Omega 10K、Pall Corporation、Port Washington New York)で1,500×gで15分間濾過し、元の濃度の1/10に水で希釈した。アンモニア比色分析アッセイキットII(Ammonia Colorimetric Assay Kit II)(K470、Biovision Incorporated、Milpitas CA)を使用して試料を分析した。グリカン調製物について、アンモニア比色分析アッセイの結果を
図8に示す。アンモニアレベルは、陰性対照(水)に対して正規化された。
【0398】
45時間で試験された糞便試料全体で、8つのグリカン全て(Glu100-5、Glu100-94、Glu100-20、Glu50Gal50-27、Gal100-3、Ara100-4、Man52Glu29Gal19-1及びMan100-7)は、尿素サイクル異常症(UCD)患者の試料中のアンモニアレベルの減少を示した(
図8)。特に、グリカンGlu100及びGlu50Gal50(例えば、表5A及び5Bに記載されている特性を有する)は、複数の患者群全体の対照と比較して、アンモニアレベルの約80%を超える減少をもたらした(
図8)。これは、これらのグリカンのいずれかを投与することは、尿素サイクル異常症患者のアンモニアレベルを減少させるために使用でき得ることを示唆している。
【0399】
実施例12.グリカン調製物の存在下でヒトの糞便スラリー中のアンモニアの減少
約350のグリカン調製物をインビトロで、健常ヒト対象からの糞便スラリー中のアンモニアレベルを調節する能力(エクスビボアッセイとも呼ばれる)について検査した。糞便試料及びスラリーは、嫌気性チャンバ(AS-580、嫌気性システム)で、パラジウム触媒の存在下で、処理された。グリカン調製物を5%重量/体積の水で調製し、濾過滅菌し、96ウェルのディープウェルマイクロプレートアッセイプレートに添加して、アッセイでの最終濃度を0.5%又は0.05%重量/体積にし、水を陰性対照として供給した。
【0400】
ヒト糞便試料供与物を-80℃で保存した。糞便スラリーの作業ストックを調製するために、糞便試料を嫌気性チャンバに移し、解凍した。次に、糞便試料を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)pH7.4(P0261、Teknova Inc.、Hollister、CA))、15%グリセロール中、20%重量/体積で調製した。20%重量/体積の糞便スラリー+15%グリセロールを2,000×gで遠心分離し、上清を除去し、ペレットを、1%PBSに懸濁した後、900mg/L塩化ナトリウム、26mg/L塩化カルシウム二水和物、20mg/L塩化マグネシウム六水和物、10mg/L塩化マンガン四水和物、40mg/L硫酸アンモニウム、4mg/L硫酸鉄七水和物、1mg/L塩化コバルト六水和物、300mg/Lリン酸カリウム二塩基、1.5g/Lリン酸ナトリウム二塩基、5g/L炭酸水素ナトリウム、0.125mg/Lビオチン、1mg/Lピリドキシン、1m/Lパントテン酸塩、75mg/Lヒスチジン、75mg/Lグリシン、75mg/Lトリプトファン、150mg/Lアルギニン、150mg/Lメチオニン、150mg/Lトレオニン、225mg/Lバリン、225mg/Lイソロイシン、300mg/Lロイシン、400mg/Lシステイン及び450mg/Lプロリン(Theriot CM et al.Nat Commun.2014;5:3114)からなる培地に希釈させ、さらに750μM尿素を添加して、最終希釈が1%重量/体積の糞便スラリーとした。
【0401】
調製した1%重量/体積の糞便スラリーをグリカン調製物の96ウェルプレートに、最終濃度0.5%重量/体積、ウェルあたり350μLの最終重量で37℃45時間嫌気的に曝露した。
【0402】
エクスビボでのインキュベーション後、3,716xgで10分間の遠心分離により細胞はペレット化し、上清は分析前に-80℃又はドライアイスで保存した。試料を10kDaフィルター(AcroPrep Omega 10K,Pall Corporation、Port Washington New York)を使用して、1,500xg15分間濾過し、元の体積の1/10に水で希釈した。次に、アンモニア比色分析キットII(K470,Biovision Incorporated、Milpitas CA)を使用して試料を分析した。オリゴ糖組成物についてのアンモニア比色分析の結果は、
図9A及び9Bに示されている。アンモニアレベルは、陰性対照(水)に対して正規化された。
図9A及び9Bに示すように、選択されたグリカン調製物「選択されたオリゴ糖組成物」(組成物特性は、例えば、表5A及び5B、例えば、Glu100-94及びGlu100-5で見ることができる))は、陰性対照と比較して、アンモニアレベルの減少において95%を超える有効性を示した。
【0403】
実施例13:尿素サイクル異常症(UCD)患者から得られた糞便試料を用いたエクスビボアッセイでのアンモニアの減少
尿素サイクル異常症(UCD)患者から収集されたヒト糞便群が、選択されたグリカン組成物「選択されたオリゴ糖組成物」(例えば、表5A及び5B、例えば、Glu100-94及びGlu100-5に組成物特性を確認することができる))を利用し、アンモニアの産生を減少又は消費を増加させる能力を評価するために、エクスビボアッセイが実施された。糞便試料は、尿素サイクル異常症(UCD)と診断された12人の患者(Pt1からPt12、
図11A)から収集された。
【0404】
ヒト糞便試料供与物を-80℃で保存した。作業ストックを調製するために、糞便試料を嫌気性チャンバに移し、解凍した。各糞便試料を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)pH7.4(P0261、Teknova Inc.、Hollister、CA))、15%グリセロール中で20%重量/体積に調製し、-80℃で保存した。20%重量/体積の糞便スラリー+15%グリセロールを2,000×gで遠心分離し、上清を除去し、ペレットを、750mL尿素を添加した、900mg/L塩化ナトリウム、26mg/L塩化カルシウム二水和物、20mg/L塩化マグネシウム六水和物、10mg/L塩化マンガン四水和物、40mg/L硫酸アンモニウム、4mg/L硫酸鉄七水和物、1mg/L塩化コバルト六水和物、300mg/Lリン酸カリウム二塩基、1.5g/Lリン酸ナトリウム二塩基、5g/L炭酸水素ナトリウム、0.125mg/Lビオチン、1mg/Lピリドキシン、1m/Lパントテン酸塩、75mg/Lヒスチジン、75mg/Lグリシン、75mg/Lトリプトファン、150mg/Lアルギニン、150mg/Lメチオニン、150mg/Lトレオニン、225mg/Lバリン、225mg/Lイソロイシン、300mg/Lロイシン、400mg/Lシステイン及び450mg/Lプロリン(Theriot CM et al.Nat Commun.2014;5:3114)に懸濁させて、1%重量/体積の糞便スラリーを調製した。
【0405】
調製された1%重量/体積の糞便スラリーを「選択されたオリゴ糖組成物」(例えば、表5A及び5B、例えば、Glu100-94及びGlu100-5で組成物特性を確認することができる)に曝露し、アンモニアレベルの効果的な減少を試験した。選択されたオリゴ糖組成物は、96ウェルのディープウェルマイクロプレートに最終濃度0.5%重量/体積で添加され、水は「グリカンを添加しない」対照(No Added Glycan controls)に含まれ、ウェルあたりの最終容量は500μLであった。グリカン及びスラリーの混合物を37℃で45時間嫌気的にインキュベートした。
【0406】
本明細書に記載されているように、エクスビボでのインキュベーション後、3,716×gで10分間の遠心分離することにより、細胞をペレット化し、上清を分析するまで-80℃又はドライアイス上で保存した。試料を10kDaフィルター(AcroPrep Omega 10K、Pall Corporation、Port Washington New York)で1,500×gで15分間濾過し、元の濃度の1/10に水で希釈した。アンモニア比色分析アッセイキットII(Ammonia Colorimetric Assay Kit II)(K470、Biovision Incorporated、Milpitas CA)を使用して試料を分析した。オリゴ糖組成物についてのアンモニア比色分析の結果は、
図3Aに示されている。アンモニアレベルは、陰性対照(水)に対して正規化された。
【0407】
45時間で試験した糞便試料全体で、選択したオリゴ糖組成物(glu100)は、全ての尿素サイクル異常症(UCD)患者試料でアンモニアレベルの減少を示した(
図11A)。特に、選択されたオリゴ糖組成物は、12の患者群のうちの10の対照全体と比較して、アンモニアレベルの約50%を超える減少をもたらした(
図11A)。これは、これらの選択されたオリゴ糖組成物(glu100)のいずれかを投与することは、尿素サイクル異常症患者のアンモニアレベルを減少させるために使用でき得ることを示唆している。
【0408】
実施例14:肝機能障害患者のエクスビボアッセイでのアンモニア産生の減少
肝機能障害患者から収集されたヒト糞便群が、選択されたグリカン組成物「選択されたオリゴ糖組成物」(例えば、表5A及び5B、例えば、Glu100-94及びGlu100-5に組成物特性を確認することができる))を利用し、既存の治療と比較して、アンモニアの産生を減少又は消費を増加させる能力を評価するために、エクスビボアッセイが実施された。腸では、アンモニアは微生物ウレアーゼ及びアミノ酸の脱アミノ化及び腸細胞のグルタミナーゼによって生成される(Romero-Gomez et al.Metab Brain Dis(2009)24:147-157)。腸内微生物叢に由来するアンモニアの量の減少は、高アンモニア血症に関連する疾患に治療効果をもたらし得る。高アンモニア血症関連疾患の肝性脳症(HE)は、全身のアンモニア負荷に対する腸内細菌のアンモニア寄与を標的とするラクツロース(4-O-β-D-ガラクトシル-D-フルクトース)で治療される。糞便試料は、アルコール、自己免疫性肝炎、慢性B型肝炎、脂肪肝疾患/NASH又は鉄過剰及び脂肪症により引き起こされた肝性脳症(HE)と診断された19人の患者から収集された。
【0409】
ヒト糞便試料供与物を-80℃で保存した。作業ストックを調製するために、糞便試料を嫌気性チャンバに移し、解凍した。各糞便試料を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)pH7.4(P0261、Teknova Inc.、Hollister、CA))、15%グリセロール中で20%重量/体積に調製し、-80℃で保存した。20%重量/体積の糞便スラリー+15%グリセロールを2,000×gで遠心分離し、上清を除去し、ペレットを、750mL尿素を添加した、900mg/L塩化ナトリウム、26mg/L塩化カルシウム二水和物、20mg/L塩化マグネシウム六水和物、10mg/L塩化マンガン四水和物、40mg/L硫酸アンモニウム、4mg/L硫酸鉄七水和物、1mg/L塩化コバルト六水和物、300mg/Lリン酸カリウム二塩基、1.5g/Lリン酸ナトリウム二塩基、5g/L炭酸水素ナトリウム、0.125mg/Lビオチン、1mg/Lピリドキシン、1m/Lパントテン酸塩、75mg/Lヒスチジン、75mg/Lグリシン、75mg/Lトリプトファン、150mg/Lアルギニン、150mg/Lメチオニン、150mg/Lトレオニン、225mg/Lバリン、225mg/Lイソロイシン、300mg/Lロイシン、400mg/Lシステイン及び450mg/Lプロリン(Theriot CM et al.Nat Commun.2014;5:3114)に懸濁させて、1%重量/体積の糞便スラリーを調製した。
【0410】
調製した1%重量/体積の糞便スラリーを、選択したオリゴ糖組成物又はラクツロースに曝露し、アンモニアレベルの効果的な減少を試験した。オリゴ糖組成物及びラクツロースは、96ウェルのディープウェルマイクロプレートに最終濃度0.5%重量/体積で添加され、水は「グリカンを添加しない(No Added Glycan)」対照に含まれ、ウェルあたりの最終容量は500μLであった。試験組成物及びスラリーの混合物を37℃で45時間嫌気的にインキュベートした。本明細書に記載されているように、エクスビボでのインキュベーション後、3,716×gで10分間の遠心分離することにより、細胞をペレット化し、上清を分析するまで-80℃又はドライアイス上で保存した。試料を10kDaフィルター(AcroPrep Omega 10K、Pall Corporation、Port Washington New York)で1,500×gで15分間濾過し、元の濃度の1/10に水で希釈した。アンモニア比色分析アッセイキットII(Ammonia Colorimetric Assay Kit II)(K470、Biovision Incorporated、Milpitas CA)を使用して試料を分析した。オリゴ糖組成物及びラクツロースについてのアンモニア比色分析の結果は、
図3Bに示されている。アンモニアレベルは、陰性対照(水)に対して正規化された。
【0411】
45時間で試験された糞便試料全体で、選択したオリゴ糖組成物(例えば、glu100)は、19の肝機能障害患者試料のうちの18でアンモニアレベルの減少を示した(
図3B)。選択されたオリゴ糖組成物は、19の患者群のうちの14でアンモニアレベルの減少においてラクツロースよりも優れていた(
図3B)。これは、選択されたオリゴ糖組成物の投与(例えば、組成物特性は、例えば、表5A及び5B、例えば、Glu100-94及びGlu100-5で確認することができる。)が、肝機能障害患者のアンモニアレベルを減少させるために使用され得ることを示唆する。
【0412】
実施例15:デキストロース一水和物又は70DSコーンデキストロースシロップからの100gスケールのグリカン調製物(例えば、glu100)の産生
100グラムスケールで、glu100グリカン調製物(表5a及び5bに記載されている。例えば、同じglu100調製物の2つのバッチであるGlu100-94及びGlu100-5)の合成のための手順が開発された。この手順は、以下に説明するように、デキストロース一水和物又はコーンデキストロースシロップのいずれかから合成を開始できるように開発された。手順は、オーバーヘッドスターラーで構成された加熱マントルを備えたマルチネック反応容器を利用した。プローブの熱電対を、隔壁を通過し容器内に配置し、プローブの先端が撹拌翼の上にあり、反応容器の壁に接触しないようにした。
【0413】
手順では、D(+)グルコース、デキストロース一水和物(100グラム、乾燥固形分基準)又は95DE、70DSコーンデキストロースシロップ(100グラム、乾燥固形分基準)として利用する。デキストロース一水和物を使用した産生について、凝縮器は、最初は還流反応の配置で配置された。70DSコーンデキストロースシロップを使用して産生するために、装置は最初に蒸留用に設定された。
【0414】
手順は、クエンチのために、オリゴマー化触媒(Dowex Marathon C)(7グラム、乾燥基準)及び脱イオン化水も使用した。
【0415】
手順に従って、マルチネック反応容器に最初に109.9gのデキストロース一水和物粉末(又は142.9gの70DS95DEコーンシロップ)を入れて、反応のために100gの乾燥グルコースを入れた。
【0416】
温度調節器を130℃に設定し、周囲圧力(大気圧)でシロップの温度が約130℃に達した時に、容器の内容物の撹拌を開始して、均一な熱伝達及び糖固形物の溶解を促進した。
【0417】
デキストロース一水和物から開始して、約130℃の時点で、凝縮器還流システムを蒸留の配置に切り替えた。
【0418】
次に、容器に7グラム(乾燥固形分基準)の触媒を入れて、反応混合物を生成した。場合によっては、触媒は湿った形状、例えば、45~50重量%H2Oの公称含水率で処理された。正確な触媒含水率は、一般に、例えば、湿度分析天びん(例えば、Mettler-Toledo MJ-33)を使用して、実験ごとに決定された。
【0419】
触媒の添加後、約4時間の持続混合下で、システムを約130℃に維持し、反応後HPLCを行うことによって判断された。次に、常に撹拌をしながら、加熱を止めた。
【0420】
次に、約60mlの熱(約80℃)脱イオン(DI)水をゆっくりと加えて反応をクエンチし、生成物混合物を希釈及び冷却して、70重量%溶解固形物の最終濃度を目標にした。一般に、水の添加速度は、グリカン調製物が冷却及び希釈される時に、混合物の粘度を制御するために行われた。
【0421】
希釈後、グリカン調製物を約60℃に冷却した。次に、100ミクロンメッシュスクリーン又はフリットガラスフィルターによる真空濾過により触媒を除去し、最終的なグリカン調製物を得た。
【0422】
実施例16:デキストロース一水和物からの10kgスケールでのグリカン調製物の産生
本実施例は、22Lの横型混合反応器における10kgスケールでglu100グリカン調製物(表5a及び5bに記載されている。例えば、同じglu100調製物の2つのバッチであるGlu100-94及びGlu100-5)の合成を実証する。
【0423】
約10kgの食品グレードのデキストロース一水和物を、ホットオイルジャケットを備えた22Lの横型プラウミキサー(Littleford-Day、Lexington、KY)に入れた。30RPMで持続的に混合しながら、約120℃の温度まで徐々に加熱することにより、デキストロースを溶解した。次に、1.27kg(乾燥固体基準で0.70kg)の固体酸触媒(>3.0mmol/gスルホン酸部分及び<1.0mmol/グラム カチオン部分を含むポリスチレン-co-ジビニルベンゼン)を反応混合物に加え、混合懸濁液とした。反応温度は、大気圧で3時間かけて約130℃まで徐々に上昇させ、30RPMに維持しながら持続的に混合した。反応を130℃の温度で7時間維持した。次に、反応器の内容物の温度が120℃に低下するまで、熱脱イオン水を6ml/minの速度で徐々に反応混合物に加え、その後、反応器の内容物の温度が110℃に低下するまで150ml/minで加えた。その後、480ml/minで、合計6kgの水が追加され、反応器の内容物の温度が100℃未満に低下した。反応器の内容物をさらに85℃未満に冷却し、その後、反応器を100メッシュのスクリーンを通して空にして、グリカン調製物から固体酸触媒を除去した。約12kgの生成物が回収された。
【0424】
グリカン調製物をさらに脱イオン水で約35重量%の濃度に希釈し、カチオン交換樹脂(Dowex(登録商標)Monosphere 88H)カラム、アニオン交換樹脂(Dowex(登録商標)Monosphere 77WBA)カラム及び脱色ポリマー樹脂(Dowex(登録商標)OptiPore SD-2)に流して精製した。次に、得られた精製された物質を真空回転蒸発器により約75重量%固形分の最終濃度に濃縮して、精製されたグリカン調製物を得た。
【0425】
実施例17:デキストロース一水和物及びガラクトース(例えば、Glu50Gal50)からの10kgスケールでのグリカンポリマー調製物の産生
反応容器(22L Littleford-Day横型プラウミキサー)に、5kgのデキストロース一水和物、4.5kgのガラクトース及び0.892kg(乾燥固体基準で0.450kg)の固体酸触媒(>3.0mmol/gスルホン酸部分及び<1.0mmol/gカチオン部分を含むポリスチレン-co-ジビニルベンゼン)を加えた。内容物を約30RPMで撹拌し、容器温度を2時間かけて大気圧で約130℃まで徐々に上昇させた。混合物を1時間その温度に維持し、その後、加熱を停止し、反応器の内容物の温度が120℃に低下するまで、予熱した水を6ml/minの速度で徐々に反応混合物に加え、その後、反応器の内容物の温度が110℃に低下するまで150ml/minで加えた。その後、480ml/minで、合計6kgの水が追加され、反応器の内容物の温度が100℃未満に低下した。反応混合物は容器から排出し、固形物を濾過により除去し、シロップとして12kgの生成物が得られた。
【0426】
グリカン組成物をさらに脱イオン水で約35重量%の濃度に希釈し、カチオン交換樹脂(Dowex(登録商標)Monosphere 88H)カラム、アニオン交換樹脂(Dowex(登録商標)Monosphere 77WBA)カラム及び脱色ポリマー樹脂(Dowex(登録商標)OptiPore SD-2)に流して精製した。次に、得られた生成された物質を真空回転蒸発器により75重量%固形分の最終濃度に濃縮し、表5a及び5bに記載された特性を有する精製されたグリカン組成物(例えば、glu50gal50-23)を得た。
【0427】
実施例18:連続触媒添加によるデキストロース一水和物及びガラクトースからの10kgスケールでのグリカンポリマー調製物(例えば、グリカンポリマー調製物glu50gal50)(10kgスケール)の産生
本実施例は、22Lの横型混合反応器における2つの複製バッチについて、10kgスケールでのグルコース及びガラクトースサブユニットを含むグリカンポリマー調製物(乾燥グリカンポリマー調製物)の合成を実証する。
【0428】
約5kgの食品グレードのデキストロース一水和物及び4.5kgの食品グレードのガラクトースを、ホットオイルジャケットを備えた22Lの横型プラウミキサー(Littleford-Day、Lexington、KY)に入れた。30RPMで持続的に混合しながら、約120℃の温度まで徐々に加熱することにより、デキストロース及びガラクトースの混合物を溶解した。次に、0.892kg(乾燥固体基準で0.450kg)の固体酸触媒(>3.0mmol/gスルホン酸部分及び<1.0mmol/グラム カチオン部分を含むポリスチレン-co-ジビニルベンゼン)を反応混合物に加え、混合懸濁液とした。反応温度は、大気圧で2時間かけて約130℃まで徐々に上昇させ、30RPMに維持しながら持続的に混合した。次に、反応器の内容物の温度が120℃に低下するまで、予熱した水を6ml/minの速度で徐々に反応混合物に加え、その後、反応器の内容物の温度が110℃に低下するまで150ml/minで加えた。その後、480ml/minで、合計6kgの水が追加され、反応器の内容物の温度が100℃未満に低下した。反応器の内容物をさらに85℃未満に冷却し、濾過して、グリカンポリマー調製物から固体酸触媒を除去した。約12kgの生成物が回収された。
【0429】
グリカンポリマー調製物をさらに脱イオン水で約35重量%の濃度に希釈し、カチオン交換樹脂(Dowex(登録商標)Monosphere 88H)カラム、アニオン交換樹脂(Dowex(登録商標)Monosphere 77WBA)カラム及び脱色ポリマー樹脂(Dowex(登録商標)OptiPore SD-2)に流して精製した。次に、得られた精製された物質を約75重量%固形分の最終濃度に濃縮し、表5a及び5bに記載された特性を有する精製されたグリカン調製物(例えば、glu50gal50-23)を得た。
【0430】
実施例19:脱モノマー化手順
一実施例では、グリカン調製物は、ブリックス屈折計で測定して約50ブリックスになるまで回転蒸発器で濃縮した。得られたシロップ(200mg)を、ルアーチップシリンジを使用してTeledyne ISCO RediSep Rfゴールドアミンカラム(11グラム固定相)に充填した。Biotage SNAP KP-NHカートリッジなどの他の同様のカラムも使用し得る。試料は、ELSD検出器を備えたBiotage Isoleraで、20/80~50/50(体積/体積)の脱イオン水/ACN移動相グラジエントを使用して、55カラム容量で精製した。Teledyne ISCO Rfなどの他のフラッシュクロマトグラフィーシステムも使用し得る。流速は、カラムとシステムの製造元の仕様書に従って設定された。モノマー画分が約20カラム容量で完全に溶出した後、残りのグリカンが溶出して収集されるまで、移動相を100%水に設定した。非モノマー含有画分を回転蒸発器で濃縮し、脱モノマー化生成物を得た。(
図12)。
【0431】
均等物及び範囲
本願は、様々な交付済み特許、公開された特許出願、学術論文及び他の刊行物を指し、これらはそれぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、且つ参照により、言及する全ての頁、項又は主題の形態で本明細書に組み込まれる。組み込まれた参照文献の何らかと本願との間で矛盾がある場合、本願が制御するものとする。さらに、先行技術に含まれる本発明の任意の特定の実施形態は特許請求の範囲のいずれか1つ以上から明確に排除され得る。かかる実施形態は、当業者には公知であると見なされるため、排除が本明細書に明確に記述されない場合でも除外され得る。本発明の任意の特定の実施形態は、先行技術の存在に関連しているかどうかであっても、何らかの理由で、いかなる特許請求の範囲からも除外され得る。
【0432】
当業者は、単なる通常の実験を用いて、本明細書に記載される特定の実施形態の多くの均等物を認識又は解明することができるであろう。本明細書に記載される本発明の実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲に記述されるが、上の発明の詳細な説明、図面又は実施例に限定されることは意図されない。当業者は、この説明への様々な変更及び修正が、以下の特許請求の範囲に定義されるように、本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなくなされ得ることが理解されよう。
本発明は一態様において、以下を提供する。
[項目1]
対象、例えばヒト対象における尿素サイクル異常症(UCD)(例えば、カルバミルリン酸シンテターゼI(CPSI)欠乏症、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠乏症、アルギニノコハク酸シンテターゼ(ASS)欠乏症、アルギニノコハク酸リアーゼ(ASL)欠乏症、N-アセチルグルタミン酸シンテターゼ(NAGS)欠乏症、アルギナーゼ欠乏症、オルニチントランスロカーゼ欠乏症(HHH)若しくはシトリン(CIT II)欠乏症)又は肝性脳症(HE)を治療する方法であって、
前記UCD又はHEを治療するのに有効な量において且つ十分な時間にわたってグリカン調製物を投与することを含み、
i)前記グリカン調製物は、グルコース又はガラクトースグリカン単位を含むグリカンポリマーを含むか;
ii)前記グリカン調製物中の前記グリカンポリマーの平均分岐度(DB)は、0.1~0.4であるか;
iii)前記グリカン調製物中の前記グリカンポリマーの少なくとも50%は、少なくとも3~10未満のグリカン単位の重合度(DP)を有するか;
iv)前記グリカン調製物の平均DP(平均DP)は、約5~8であるか;
v)前記グリカン調製物の前記グリカンポリマー中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比は、約1:1~約3:1であるか;
vi)前記グリカン調製物は、20モル%~60モル%の1,6グリコシド結合を含むか;
vii)前記グリカン調製物は、5モル%~25モル%を含むか;
viii)前記グリカン調製物は、23℃で少なくとも約70Brixの水中最終溶解限度を有するか;
ix)前記グリカン調製物は、少なくとも70%の食物繊維含有量を有するか;又は
x)i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)、vii)、viii)及びix)の2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ又は9つのいずれかの組み合わせである、方法。
[項目2]
尿素サイクル異常症(UCD)(例えば、カルバミルリン酸シンテターゼI(CPSI)欠乏症、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠乏症、アルギニノコハク酸シンテターゼ(ASS)欠乏症、アルギニノコハク酸リアーゼ(ASL)欠乏症、N-アセチルグルタミン酸シンテターゼ(NAGS)欠乏症若しくはアルギナーゼ欠乏症、オルニチントランスロカーゼ欠乏症(HHH)若しくはシトリン(CIT II)欠乏症)又は肝性脳症(HE)を有する対象のための治療レジメンを特定又は選択する方法であって、
a)対象における細菌分類群若しくは微生物代謝産物の存在若しくはレベル又は酵素活性の値を取得すること;
b)前記値に応じて、前記対象を治療するためのグリカン調製物を含む治療を選択すること;及び
c)前記対象を治療するのに有効な量において且つ十分な時間にわたって前記グリカン調製物を投与すること
を含み、
i)前記グリカン調製物は、グルコース又はガラクトースグリカン単位を含むグリカンポリマーを含み;
ii)前記グリカン調製物中の前記グリカンポリマーの平均分岐度(DB)は、0.1~0.4であり;
iii)前記グリカン調製物中の前記グリカンポリマーの少なくとも50%は、少なくとも3~10未満のグリカン単位の重合度(DP)を有し;
iv)前記グリカン調製物の平均DP(平均DP)は、約5~8であり;
v)前記グリカン調製物の前記グリカンポリマー中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比は、約1:1~約3:1であり;
vi)前記グリカン調製物は、20モル%~60モル%の1,6グリコシド結合を含み;
vii)前記グリカン調製物は、5モル%~25モル%を含み;
viii)前記グリカン調製物は、23℃で少なくとも約70Brixの水中最終溶解限度を有し;及び/又は
ix)前記グリカン調製物は、少なくとも70%の食物繊維含有量を有し;
任意選択により、前記グリカン調製物は、i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)、vii)、viii)及びix)の選択された特性の2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ又は9つを含む、方法。
[項目3]
前記UCDは、CPSI欠乏症である、項目1又は2に記載の方法。
[項目4]
前記UCDは、OTC欠乏症である、項目1又は2に記載の方法。
[項目5]
前記UCDは、ASS欠乏症である、項目1又は2に記載の方法。
[項目6]
前記UCDは、ASL欠乏症である、項目1又は2に記載の方法。
[項目7]
前記UCDは、NAGS欠乏症である、項目1又は2に記載の方法。
[項目8]
前記UCDは、アルギナーゼ欠乏症であるか、又は前記UCDは、HHHであるか、又は前記UCDは、CIT II欠乏症である、項目1又は2に記載の方法。
[項目9]
対象、例えばヒト対象における酵素活性(例えば、カルバミルリン酸シンテターゼI(CPSI)、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)、アルギニノコハク酸シンテターゼ(ASS)、アルギニノコハク酸リアーゼ(ASL)、N-アセチルグルタミン酸シンテターゼ(NAGS)、アルギナーゼ、オルニチントランスロカーゼ又はシトリン活性)を増加又は減少させる方法であって、
前記酵素活性(例えば、カルバミルリン酸シンテターゼI(CPSI)、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)、アルギニノコハク酸シンテターゼ(ASS)、アルギニノコハク酸リアーゼ(ASL)、N-アセチルグルタミン酸シンテターゼ(NAGS)、アルギナーゼ、オルニチントランスロカーゼ又はシトリン活性)を増加又は減少させるのに有効な量において且つ十分な時間にわたってグリカン調製物を投与することを含み、
i)前記グリカン調製物は、グルコース又はガラクトースグリカン単位を含むグリカンポリマーを含み;
ii)前記グリカン調製物中の前記グリカンポリマーの平均分岐度(DB)は、0.1~0.4であり;
iii)前記グリカン調製物中の前記グリカンポリマーの少なくとも50%は、少なくとも3~10未満のグリカン単位の重合度(DP)を有し;
iv)前記グリカン調製物の平均DP(平均DP)は、約5~8であり;
v)前記グリカン調製物の前記グリカンポリマー中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比は、約1:1~約3:1であり;
vi)前記グリカン調製物は、20モル%~60モル%の1,6グリコシド結合を含み;
vii)前記グリカン調製物は、5モル%~25モル%を含み;
viii)前記グリカン調製物は、23℃で少なくとも約70Brixの水中最終溶解限度を有し;及び/又は
ix)前記グリカン調製物は、少なくとも70%の食物繊維含有量を有し;
任意選択により、前記グリカン調製物は、i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)、vii)、viii)及びix)の選択された特性の2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ又は9つを含む、方法。
[項目10]
(a)代謝産物、例えばアンモニア、シトルリン、アルギニノコハク酸、グルタミン、グルタミン酸、オロチン酸又はアルギニンの処理を調節し、
(b)対象の胃腸管内の酵素活性(例えば、カルバミルリン酸シンテターゼI(CPSI)、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)、アルギニノコハク酸シンテターゼ(ASS)、アルギニノコハク酸リアーゼ(ASL)、N-アセチルグルタミン酸シンテターゼ(NAGS)、アルギナーゼ、オルニチントランスロカーゼ又はシトリン活性)を調節、例えば増加又は減少させる方法であって、
前記代謝産物、例えばアンモニア、シトルリン、アルギニノコハク酸、グルタミン、グルタミン酸、オロチン酸若しくはアルギニンの前記処理を調節するか、又は前記酵素活性(例えば、カルバミルリン酸シンテターゼI(CPSI)、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)、アルギニノコハク酸シンテターゼ(ASS)、アルギニノコハク酸リアーゼ(ASL)、N-アセチルグルタミン酸シンテターゼ(NAGS)、アルギナーゼ、オルニチントランスロカーゼ若しくはシトリン活性)を調節する、例えば増加若しくは減少させるのに有効な量において且つ十分な時間にわたってグリカン組成物を投与することを含み、
i)前記グリカン調製物は、グルコース又はガラクトースグリカン単位を含むグリカンポリマーを含み;
ii)前記グリカン調製物中の前記グリカンポリマーの平均分岐度(DB)は、0.1~0.4であり;
iii)前記グリカン調製物中の前記グリカンポリマーの少なくとも50%は、少なくとも3~10未満のグリカン単位の重合度(DP)を有し;
iv)前記グリカン調製物の平均DP(平均DP)は、約5~8であり;
v)前記グリカン調製物の前記グリカンポリマー中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比は、約1:1~約3:1であり;
vi)前記グリカン調製物は、20モル%~60モル%の1,6グリコシド結合を含み;
vii)前記グリカン調製物は、5モル%~25モル%を含み;
viii)前記グリカン調製物は、23℃で少なくとも約70Brixの水中最終溶解限度を有し;及び/又は
ix)前記グリカン調製物は、少なくとも70%の食物繊維含有量を有し;
任意選択により、前記グリカン調製物は、i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)、vii)、viii)及びix)の選択された特性の2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ又は9つを含む、方法。
[項目11]
前記酵素活性は、微生物酵素活性である、項目2、9又は10のいずれか一項に記載の方法。
[項目12]
前記酵素活性は、動物宿主酵素活性である、項目2、9又は10のいずれか一項に記載の方法。
[項目13]
前記酵素活性は、微生物酵素活性及び動物宿主酵素活性である、項目2、9又は10のいずれか一項に記載の方法。
[項目14]
前記対象は、対照対象、例えばUCD又はHEを有しない対象と比較して前記酵素活性の過剰又は欠乏を有する、項目2又は9~13のいずれか一項に記載の方法。
[項目15]
前記対象は、前記対照対象と比較して前記酵素活性の過剰を有する、項目14に記載の方法。
[項目16]
前記対象は、対照対象と比較して前記酵素活性の欠乏を有する、項目14に記載の方法。
[項目17]
前記酵素活性は、カルバミルリン酸シンテターゼI(CPSI)、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)、アルギニノコハク酸シンテターゼ(ASS)、アルギニノコハク酸リアーゼ(ASL)、N-アセチルグルタミン酸シンテターゼ(NAGS)、アルギナーゼ、オルニチントランスロカーゼ又はシトリンの活性である、項目2又は9~16のいずれか一項に記載の方法。
[項目18]
前記酵素活性は、CPSIの活性である、項目17に記載の方法。
[項目19]
前記酵素活性は、OTCの活性である、項目17に記載の方法。
[項目20]
前記酵素活性は、ASSの活性である、項目17に記載の方法。
[項目21]
前記酵素活性は、ASLの活性である、項目17に記載の方法。
[項目22]
前記酵素活性は、NAGSの活性である、項目17に記載の方法。
[項目23]
前記酵素活性は、アルギナーゼの活性であるか、又は前記酵素活性は、オルニチントランスロカーゼの活性であるか、又は前記酵素活性は、シトリンの活性である、項目17に記載の方法。
[項目24]
前記酵素活性を例えば参照レベル(例えば、前記グリカン調製物の投与前に前記対象に生じる処理のレベル)に対して例えば少なくとも25%(例えば、少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、97%、98%、99%、100%、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、15倍、20倍、25倍、50倍、100倍、250倍、500倍、1000倍又はそれを超えて)増加又は減少させることを含む、項目2又は9~23のいずれか一項に記載の方法。
[項目25]
前記酵素活性を例えば参照レベル(例えば、前記グリカン調製物の投与前に前記対象に生じる処理のレベル)に対して例えば少なくとも25%(例えば、少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、97%、98%、99%、100%、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、15倍、20倍、25倍、50倍、100倍、250倍、500倍、1000倍又はそれを超えて)減少させることを含む、項目24に記載の方法。
[項目26]
前記酵素活性を例えば参照レベル(例えば、前記グリカン調製物の投与前に前記対象に生じる処理のレベル)に対して例えば少なくとも25%(例えば、少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、97%、98%、99%、100%、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、15倍、20倍、25倍、50倍、100倍、250倍、500倍、1000倍又はそれを超えて)増加させることを含む、項目24に記載の方法。
[項目27]
対象、例えばヒト対象における代謝産物、例えばアンモニア、シトルリン、アルギニノコハク酸、グルタミン、グルタミン酸、オロチン酸又はアルギニンのレベルを減少させる方法であって、
前記代謝産物、例えばアンモニア、シトルリン、アルギニノコハク酸、グルタミン、グルタミン酸、オロチン酸又はアルギニンの前記レベルを減少させるのに有効な量において且つ十分な時間にわたってグリカン調製物を投与することを含み、
i)前記グリカン調製物は、グルコース又はガラクトースグリカン単位を含むグリカンポリマーを含み;
ii)前記グリカン調製物中の前記グリカンポリマーの平均分岐度(DB)は、0.1~0.4であり;
iii)前記グリカン調製物中の前記グリカンポリマーの少なくとも50%は、少なくとも3~10未満のグリカン単位の重合度(DP)を有し;
iv)前記グリカン調製物の平均DP(平均DP)は、約5~8であり;
v)前記グリカン調製物の前記グリカンポリマー中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比は、約1:1~約3:1であり;
vi)前記グリカン調製物は、20モル%~60モル%の1,6グリコシド結合を含み;
vii)前記グリカン調製物は、5モル%~25モル%を含み;
viii)前記グリカン調製物は、23℃で少なくとも約70Brixの水中最終溶解限度を有し;及び/又は
ix)前記グリカン調製物は、少なくとも70%の食物繊維含有量を有し;
任意選択により、前記グリカン調製物は、i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)、vii)、viii)及びix)の選択された特性の2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ又は9つを含む、方法。
[項目28]
前記代謝産物は、微生物酵素活性によって産生される、項目2、10又は27のいずれか一項に記載の方法。
[項目29]
前記代謝産物は、動物宿主酵素活性によって産生される、項目2、10又は27のいずれか一項に記載の方法。
[項目30]
前記代謝産物は、微生物酵素活性及び動物宿主酵素活性によって産生される、項目2、10又は27のいずれか一項に記載の方法。
[項目31]
グリカン組成物を投与する前の前記代謝産物の前記レベルは、例えば、前記対象にとって有毒である、項目2、10又は27~30のいずれか一項に記載の方法。
[項目32]
グリカン組成物を投与する前の前記代謝産物の前記レベルは、疾患、例えば尿素サイクル異常症(UCD)、例えばCPSI、OTC、ASS、ASL、NAGS、アルギナーゼ欠乏症、HHH若しくはCIT II又は肝性脳症(HE)の1つ以上の症状に関連している、項目2、10又は27~31のいずれか一項に記載の方法。
[項目33]
前記対象は、障害又は疾患、例えばUCD又はHEの症状を示す、項目1~32のいずれか一項に記載の方法。
[項目34]
前記対象は、高アンモニア血症を有する、項目1~33のいずれか一項に記載の方法。
[項目35]
前記対象は、低下した意識レベル、変化した精神状態、異常な運動機能、痙縮及び発作の1つ以上を含む、UCD又はHEと関連する神経学的症状を有する、項目1~34のいずれか一項に記載の方法。
[項目36]
前記対象は、嘔吐、摂食不良、下痢、吐き気、便秘及びタンパク質忌避の1つ以上を含む、UCD又はHEと関連する胃腸症状を有する、項目1~35のいずれか一項に記載の方法。
[項目37]
前記対象は、傾眠、正常な体温を維持できなくなること、摂食不良、痙縮、嘔吐、嗜眠、昏睡の1つ以上を示す、項目1~36のいずれか一項に記載の方法。
[項目38]
前記対象は、慢性嘔吐、発達遅延、発作障害、睡眠障害、精神疾患、頭痛、食欲不振、嘔吐、嗜眠、運動失調、行動異常の1つ以上を示す、項目1~37のいずれか一項に記載の方法。
[項目39]
前記対象の血液、例えば血漿、血清又は全血は、UCD又はHEを有しない対象と比較して上昇したアンモニアのレベルを有する、項目1~38のいずれか一項に記載の方法。
[項目40]
前記対象の血液、例えば血漿、血清又は全血中の前記アンモニアのレベルは、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145又は150μmol/L以上、例えば100μg/mL又は150μg/mLである、項目1~39のいずれか一項に記載の方法。
[項目41]
前記対象の血液、例えば血漿、血清又は全血において、UCD、例えばASS欠乏症を有しない対象と比較して、シトルリンのレベルは、上昇しており、且つ/又はアルギニノコハク酸のレベルは、低下しているか若しくは存在しない、項目1~40のいずれか一項に記載の方法。
[項目42]
シトルリン及び/又はアルギニノコハク酸のレベルは、前記対象の血液、例えば血漿、血清又は全血において、UCD、例えばASL欠乏症を有しない対象と比較して上昇している、項目1~40のいずれか一項に記載の方法。
[項目43]
前記対象の血液、例えば血漿、血清又は全血において、UCD、例えばCPSI欠乏症を有しない対象と比較して、シトルリン、アルギニン及び/若しくはオロチン酸のレベルは、低下しているか若しくは存在せず、且つ/又はグルタミンのレベルは、上昇している、項目1~40のいずれか一項に記載の方法。
[項目44]
前記対象の血液、例えば血漿、血清又は全血において、UCD、例えばOTC欠乏症を有しない対象と比較して、シトルリン及び/若しくはアルギニンのレベルは、低下しているか若しくは存在せず、且つ/又はオロチン酸及び/若しくはグルタミンのレベルは、上昇している、項目1~40のいずれか一項に記載の方法。
[項目45]
前記対象の血液、例えば血漿、血清又は全血において、UCD、例えばNAGS欠乏症を有しない対象と比較して、シトルリン及び/若しくはアルギニンのレベルは、低下しているか若しくは存在せず、且つ/又はグルタミンのレベルは、上昇している、項目1~40のいずれか一項に記載の方法。
[項目46]
アルギニンのレベルは、前記対象の血液、例えば血漿、血清又は全血において、UCD、例えばアルギナーゼ欠乏症を有しない対象と比較して上昇している、項目1~40のいずれか一項に記載の方法。
[項目47]
前記グリカン調製物は、毎日、毎週又は毎月投与される、項目1~46のいずれか一項に記載の方法。
[項目48]
前記グリカン調製物は、1日に1、2、3、4又は5回投与される、項目1~46のいずれか一項に記載の方法。
[項目49]
前記グリカン調製物は、週に1、2、3、4又は5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21回投与される、項目1~46のいずれか一項に記載の方法。
[項目50]
前記グリカン調製物は、月にN回投与され、ここで、Nは、1以上且つ100以下である、項目1~46のいずれか一項に記載の方法。
[項目51]
前記グリカン調製物は、前記UCD若しくはHEを治療するか、前記酵素活性を増加若しくは減少させるか、前記代謝産物の前記レベルを減少させるか、前記代謝産物の前記処理を調節するか、又は対象における前記酵素活性を調節するのに十分な頻度で投与される、項目1~50のいずれか一項に記載の方法。
[項目52]
前記グリカン調製物は、医療食品、栄養補助食品、医薬組成物又は食品成分として処方される、項目1~51のいずれか一項に記載の方法。
[項目53]
前記グリカン調製物は、経鼻的、経口的、直腸的又は胃若しくは腸内投与によって投与される、項目1~52のいずれか一項に記載の方法。
[項目54]
前記対象は、ヒト対象である、項目1~53のいずれか一項に記載の方法。
[項目55]
動物宿主は、前記対象である、項目12、13、29又は30のいずれか一項に記載の方法。
[項目56]
前記対象は、新生児(早産児、満期出産児)、1歳までの乳児、小児(例えば、1歳~12歳)、ティーンエイジャー(例えば、13~19歳)、成人(例えば、20~64歳)又は高齢者(例えば、65歳以上)である、項目1~55のいずれか一項に記載の方法。
[項目57]
前記対象は、新生児(早産児、満期出産児)又は1歳までの乳児である、項目56に記載の方法。
[項目58]
前記対象は、小児(例えば、1歳~12歳)である、項目56に記載の方法。
[項目59]
前記対象は、ティーンエイジャー(例えば、13~19歳)である、項目56に記載の方法。
[項目60]
前記対象は、成人(例えば、20~64歳)である、項目56に記載の方法。
[項目61]
前記対象は、高齢者(例えば、65歳以上)である、項目56に記載の方法。
[項目62]
前記対象は、カルバミルリン酸シンテターゼI(CPSI)、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)、アルギニノコハク酸シンテターゼ(ASS)、アルギニノコハク酸リアーゼ(ASL)、N-アセチルグルタミン酸シンテターゼ(NAGS)、アルギナーゼ、オルニチントランスロカーゼ又はシトリン遺伝子の1つ以上(例えば、2つ)の変異コピーを有する、項目1~61のいずれか一項に記載の方法。
[項目63]
前記対象は、両アレル性であり、例えば前記カルバミルリン酸シンテターゼI(CPSI)、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)、アルギニノコハク酸シンテターゼ(ASS)、アルギニノコハク酸リアーゼ(ASL)、N-アセチルグルタミン酸シンテターゼ(NAGS)、アルギナーゼ、オルニチントランスロカーゼ又はシトリン遺伝子の2つの変異コピー(例えば、ホモ接合性(例えば、2つの同一の変異アレル)又は複合ヘテロ接合性(例えば、ヘテロ接合性であるが、2つの異なる変異アレルを有する))を有する、項目62に記載の方法。
[項目64]
前記対象、例えばヒト対象を、UCD(例えば、CPSI、OTC、ASS、ASL、NAGS、アルギナーゼ欠乏症、HHH若しくはCIT II)、HE又はUCD関連状態(例えば、高アンモニア血症)を治療するための追加の療法で例えば併用療法として治療することをさらに含む、項目1~63のいずれか一項に記載の方法。
[項目65]
前記追加の療法は、前記グリカン調製物と組み合わせて投与され、例えば前記グリカン調製物の投与と同時に投与されるか、又は前記グリカン調製物の投与に続けて(例えば、前記グリカン調製物の投与前若しくは前記グリカン調製物の投与後に)投与される、項目64に記載の方法。
[項目66]
前記追加の療法は、水分補給;血液透析;フェニル酢酸ナトリウム;安息香酸ナトリウム;フェニル酢酸ナトリウム及び安息香酸ナトリウム;アルギニン;シトルリン;カルグルミン酸;タンパク質制限(例えば、異化作用の最小化及び同化作用の刺激);バクテロイデス(Bacteroides);並びに肝移植の1つ以上から選択される、項目64又は65に記載の方法。
[項目67]
前記追加の療法は、水分補給を行うことである、項目66に記載の方法。
[項目68]
前記追加の療法は、血液透析を行うことである、項目66に記載の方法。
[項目69]
前記追加の療法は、フェニル酢酸ナトリウムを投与することである、項目66に記載の方法。
[項目70]
前記追加の療法は、安息香酸ナトリウムを投与することである、項目66に記載の方法。
[項目71]
前記追加の療法は、バクテロイデス(Bacteroides)細胞又はバクテロイデス(Bacteroides)培養産物を投与することである、項目66に記載の方法。
[項目72]
前記追加の療法は、アルギニンを投与することである、項目66に記載の方法。
[項目73]
前記追加の療法は、シトルリンを投与することである、項目66に記載の方法。
[項目74]
前記追加の療法は、カルグルミン酸を投与することである、項目66に記載の方法。
[項目75]
前記追加の療法は、タンパク質制限(例えば、異化作用の最小化及び同化作用の刺激)を行うことである、項目66に記載の方法。
[項目76]
前記追加の療法は、肝移植を行うことである、項目66に記載の方法。
[項目77]
前記対象における、例えば前記対象の前記胃腸管における微生物又は微生物分類群の存在率を、参照レベル、例えばベースラインレベル、前記グリカン調製物の投与前のレベル又は前記グリカン調製物が投与されなかった場合のレベルと比較して例えば少なくとも25%(例えば、少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、97%、98%、99%、100%、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、15倍、20倍、25倍、50倍、100倍、250倍、500倍、1000倍又はそれを超えて)変化させる、例えば増加又は減少させることを含む、項目1~76のいずれか一項に記載の方法。
[項目78]
前記対象における、例えば前記対象の前記GI管における基質、代謝産物又は酵素活性の産物の量を、基準レベル、例えばベースラインレベル、前記グリカン調製物の投与前のレベル又は前記グリカン調製物が投与されなかった場合のレベルと比較して例えば少なくとも25%(例えば、少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、97%、98%、99%、100%、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、15倍、20倍、25倍、50倍、100倍、250倍、500倍、1000倍又はそれを超えて)変化させる、例えば増加又は減少させることを含む、項目1~77のいずれか一項に記載の方法。
[項目79]
前記ヒト対象の前記胃腸管(例えば、小腸又は大腸、例えば結腸)における酵素活性を調節することを含む、項目1~78のいずれか一項に記載の方法。
[項目80]
前記グリカン調製物は、ポリフェノールをさらに含む、項目1~79のいずれか一項に記載の方法。
[項目81]
前記グリカン調製物は、プロバイオティクス細菌又はその調製物をさらに含む、項目1~80のいずれか一項に記載の方法。
[項目82]
前記グリカン調製物は、グルコース、ガラクトース、アラビノース、マンノース、フルクトース、キシロース、フコース及びラムノースの少なくとも2つの別個のグリカン単位を含むグリカンポリマーを含む、項目1~81のいずれか一項に記載の方法。
[項目83]
前記グリカン調製物は、グルコース、ガラクトース、アラビノース、マンノース、フルクトース、キシロース、フコース及びラムノーの少なくとも3つの別個のグリカン単位を含むグリカンポリマーを含む、項目1~82のいずれか一項に記載の方法。
[項目84]
前記グリカン調製物は、グルコース、ガラクトース、アラビノース、マンノース、フルクトース、キシロース、フコース又はラムノースグリカン単位の1つ以上からなるグリカンポリマーを含む、項目1~83のいずれか一項に記載の方法。
[項目85]
前記グリカン調製物は、グルコース、ガラクトース、マンノース又はアラビノースグリカン単位の1つ以上からなるグリカンポリマーを含む、項目1~83のいずれか一項に記載の方法。
[項目86]
前記グリコシド結合の少なくとも2つは、独立して、1->2グリコシド結合、1->3グリコシド結合、1->4グリコシド結合又は1->6グリコシド結合を含む、項目1~85のいずれか一項に記載の方法。
[項目87]
前記グリコシド結合の少なくとも3つは、独立して、1->2グリコシド結合、1->3グリコシド結合、1->4グリコシド結合又は1->6グリコシド結合を含む、項目1~85のいずれか一項に記載の方法。
[項目88]
i)前記グリカン調製物は、グルコース、ガラクトース、アラビノース、マンノース、フルクトース、キシロース、フコース又はラムノースグリカン単位を含むグリカンポリマーを含み;及び
ii)前記グリカン調製物の前記平均DP(平均DP)は、約5~8である、項目1~82のいずれか一項に記載の方法。
[項目89]
前記グリカン調製物中の前記グリカンポリマーの少なくとも50%は、少なくとも3~10未満のグリカン単位の重合度(DP)を有する、項目1~88のいずれか一項に記載の方法。
[項目90]
前記グリカン調製物中の前記グリカンポリマーの少なくとも65%は、少なくとも3~30未満のグリカン単位の重合度(DP)を有する、項目1~88のいずれか一項に記載の方法。
[項目91]
前記グリカン調製物中の前記グリカンポリマーの少なくとも65%は、少なくとも3~10未満のグリカン単位の重合度(DP)を有する、項目1~90のいずれか一項に記載の方法。
[項目92]
前記グリカン調製物は、20mol%~60mol%の1,6グリコシド結合を含む、項目1~91のいずれか一項に記載の方法。
[項目93]
前記グリカン調製物は、25mol%~50mol%の1,6グリコシド結合を含む、項目1~91のいずれか一項に記載の方法。
[項目94]
前記グリカン調製物は、30mol%~45mol%の1,6グリコシド結合を含む、項目1~91のいずれか一項に記載の方法。
[項目95]
前記グリカン調製物は、5mol%~25mol%の、1,2グリコシド結合、1,3グリコシド結合及び1,4グリコシド結合のそれぞれを含む、項目1~91のいずれか一項に記載の方法。
[項目96]
前記グリカン調製物は、10mol%~25mol%の、1,2グリコシド結合、1,3グリコシド結合及び1,4グリコシド結合のそれぞれを含む、項目1~91のいずれか一項に記載の方法。
[項目97]
前記グリカン調製物は、10mol%~20mol%の、1,2グリコシド結合、1,3グリコシド結合及び1,4グリコシド結合のそれぞれを含む、項目1~91のいずれか一項に記載の方法。
[項目98]
前記グリカン調製物は、23℃で少なくとも約70Brixの水中最終溶解限度を有する、項目1~97のいずれか一項に記載の方法。
[項目99]
前記グリカン調製物は、23℃で少なくとも約75Brixの水中最終溶解限度を有する、項目1~97のいずれか一項に記載の方法。
[項目100]
前記グリカン調製物は、少なくとも70%の食物繊維含量を有する、項目1~99のいずれか一項に記載の方法。
[項目101]
前記グリカン調製物は、少なくとも80%の食物繊維含量を有する、項目1~99のいずれか一項に記載の方法。
[項目102]
前記グリカン調製物中の前記グリカンポリマーの前記平均分岐度(DB)は、0.1~0.4である、項目1~101のいずれか一項に記載の方法。
[項目103]
前記グリカン調製物中の前記グリカンポリマーの前記平均分岐度(DB)は、0.15~0.4である、項目1~102のいずれか一項に記載の方法。
[項目104]
前記グリカン調製物中の前記グリカンポリマーの前記平均分岐度(DB)は、0.2~0.4である、項目1~102のいずれか一項に記載の方法。
[項目105]
前記グリカン調製物の前記平均DP(平均DP)は、約5~8である、項目1~104のいずれか一項に記載の方法。
[項目106]
前記グリカン調製物の前記グリカンポリマー中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の前記比は、約1:1~約3:1である、項目1~105のいずれか一項に記載の方法。
[項目107]
前記グリカン調製物の前記グリカンポリマー中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の前記比は、約1:1~約2:1である、項目1~105のいずれか一項に記載の方法。
[項目108]
前記グリカン調製物の前記グリカンポリマー中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の前記比は、約3:2~約3:1である、項目1~105のいずれか一項に記載の方法。
[項目109]
前記グリカン調製物の前記グリカンポリマー中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の前記比は、約3:2~約2:1である、項目1~105のいずれか一項に記載の方法。
[項目110]
前記グリカン調製物の前記グリカンポリマー中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の前記比は、約1:1である、項目1~105のいずれか一項に記載の方法。
[項目111]
前記グリカン調製物は、グルコース、ガラクトース、アラビノース、マンノース、フルクトース、キシロース、フコース及びラムノースの少なくとも2つの別個のグリカン単位を含むグリカンポリマーを含む、項目1~110のいずれか一項に記載の方法。
[項目112]
前記グリカン調製物は、グルコース、ガラクトース、アラビノース、マンノース、フルクトース、キシロース、フコース及びラムノースの少なくとも3つの別個のグリカン単位を含むグリカンポリマーを含む、項目1~110のいずれか一項に記載の方法。
[項目113]
前記グリカン調製物は、グルコース、ガラクトース、アラビノース、マンノース、フルクトース、キシロース、フコース又はラムノースグリカン単位の1つ以上からなるグリカンポリマーを含む、項目1~110のいずれか一項に記載の方法。
[項目114]
前記グリカン調製物は、グルコース、ガラクトース、マンノース又はアラビノースグリカン単位の1つ以上からなるグリカンポリマーを含む、項目1~110のいずれか一項に記載の方法。
[項目115]
前記グリコシド結合の少なくとも2つは、独立して、1->2グリコシド結合、1->3グリコシド結合、1->4グリコシド結合又は1->6グリコシド結合を含む、項目1~114のいずれか一項に記載の方法。
[項目116]
前記グリコシド結合の少なくとも3つは、独立して、1->2グリコシド結合、1->3グリコシド結合、1->4グリコシド結合又は1->6グリコシド結合を含む、項目1~114のいずれか一項に記載の方法。
[項目117]
前記グリカン調製物は、FOSを含む、項目1~81のいずれか一項に記載の方法。
[項目118]
前記グリカン調製物は、ラクトースを含む、項目1~81のいずれか一項に記載の方法。
[項目119]
投与することは、自己投与することを含む、項目1~118のいずれか一項に記載の方法。
[項目120]
前記医療食品、栄養補助食品又は食品成分は、植物エストロゲン又はポリフェノールを含む、項目52に記載の方法。
[項目121]
前記植物エストロゲン又はポリフェノールは、イソフラボン又はクメスタン、例えばゲニステイン及びダイゼイン、リグナン、エラジタンニンを含む、項目120に記載の方法。
[項目122]
バイオマーカー又は他の対象特性(例えば、年齢、性別、体重、病状、以前の治療又は現在の治療)の値を取得することを含む、項目1~121のいずれか一項に記載の方法。
[項目123]
前記値は、前記グリカン調製物の投与前、前記グリカン調製物の投与後、前記グリカン調製物の最初の投与後、前記グリカン調製物のその後の投与後、前記対象が治療的レベルの前記グリカン調製物を含む場合又は前記対象が治療的レベルの前記グリカン調製物を含まない場合に行われた前記対象の評価に基づく、項目122に記載の方法。
[項目124]
前記値を評価することを含む、項目122に記載の方法。
[項目125]
評価することは、前記値を参照と比較することを含む、項目122に記載の方法。
[項目126]
前記値に応じて前記対象の治療過程を選択することを含む、項目122~125のいずれか一項に記載の方法。
[項目127]
前記グリカン調製物での治療のために対象を選択することを含む、項目122~126のいずれか一項に記載の方法。
[項目128]
前記値が、予め選択された特性を有するかどうか、例えば前記値が存在するか、存在しないか、又は予め選択されたレベルで存在するかを決定することを含む、項目122~127のいずれか一項に記載の方法。
[項目129]
前記値が、予め選択された特性を有するかどうかを決定することであって、例えば、前記値は、前記バイオマーカー又は他の対象特性が存在するか、存在しないか、又は予め選択されたレベルで存在することと相関する、決定することを含む、項目122~128のいずれか一項に記載の方法。
[項目130]
前記値が、予め選択された特性を有するかどうかを決定することであって、例えば、前記値は、前記バイオマーカー又は他の対象特性が存在するか、存在しないか、又は予め選択されたレベルで存在することと相関する、決定することと、それに応じて治療過程について対象を選択することとを含む、項目122~129のいずれか一項に記載の方法。
[項目131]
前記値が、予め選択された特性を有するかどうかを決定することであって、例えば、前記値は、前記バイオマーカー又は他の対象特性が存在するか、存在しないか、又は予め選択されたレベルで存在することと相関する、決定することと、それに応じて治療過程について対象を選択することとを含む、項目122~130のいずれか一項に記載の方法。
[項目132]
値を取得することであって、前記値は、前記グリカン調製物の投与後、前記グリカン調製物の最初の投与後、前記グリカン調製物のその後の投与後、前記対象が治療的レベルの前記グリカン調製物を含む場合又は前記対象が治療的レベルの前記グリカン調製物を含まない場合に行われた前記対象の評価に基づく、取得することと、前記値に応じて治療の過程、例えば前記グリカン調製物のその後の投与を選択することとを含む、項目122~131のいずれか一項に記載の方法。
[項目133]
前記グリカン調製物の前記その後の投与は、前記対象への前記グリカン調製物の以前の投与と異なる用量又は異なる投与の過程である、項目132に記載の方法。
[項目134]
前記グリカン調製物は、gal100、glu10gal10man80、glu30gal30man40、gal33man33xyl33、glu40gal30man30、glu40gal20man40、glu45gal10man45、glu60gal20man20、フラクトオリゴ糖、glu40gal40man20、glu20gal20man20xyl20ara20、glu90gal5man5、glu80xyl20、glu20gal80、glu80ara20、glu40gal60、glu33gal33man33、man100、ラクツロース、glu80gal10man10、man80glu20、glu50gal50、glu80gal20、glu80man20、glu45gal45man10、glu60gal40、glu60man40、man80gal20、man60glu40、glu100、Glu100-114、Lara100-1、Gal50Fru50-2、Glu100-3、Glu100-94、Fru100-9、Glu100-22又はGlu100-107を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる、項目1~133のいずれか一項に記載の方法。
[項目135]
前記グリカン調製物は、gal100を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる、項目134に記載の方法。
[項目136]
前記グリカン調製物は、glu10gal10man80を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる、項目134に記載の方法。
[項目137]
前記グリカン調製物は、glu30gal30man40を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる、項目134に記載の方法。
[項目138]
前記グリカン調製物は、gal33man33xyl33を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる、項目134に記載の方法。
[項目139]
前記グリカン調製物は、glu40gal30man30を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる、項目134に記載の方法。
[項目140]
前記グリカン調製物は、glu40gal20man40を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる、項目134に記載の方法。
[項目141]
前記グリカン調製物は、glu45gal10man45を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる、項目134に記載の方法。
[項目142]
前記グリカン調製物は、glu60gal20man20を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる、項目134に記載の方法。
[項目143]
前記グリカン調製物は、フラクトオリゴ糖を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる、項目134に記載の方法。
[項目144]
前記グリカン調製物は、glu40gal40man20を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる、項目134に記載の方法。
[項目145]
前記グリカン調製物は、glu20gal20man20xyl20ara20を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる、項目134に記載の方法。
[項目146]
前記グリカン調製物は、glu90gal5man5を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる、項目134に記載の方法。
[項目147]
前記グリカン調製物は、glu80xyl20を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる、項目134に記載の方法。
[項目148]
前記グリカン調製物は、glu20gal80を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる、項目134に記載の方法。
[項目149]
前記グリカン調製物は、glu80ara20を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる、項目134に記載の方法。
[項目150]
前記グリカン調製物は、glu40gal60を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる、項目134に記載の方法。
[項目151]
前記グリカン調製物は、glu33gal33man33を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる、項目134に記載の方法。
[項目152]
前記グリカン調製物は、man100を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる、項目134に記載の方法。
[項目153]
前記グリカン調製物は、ラクツロースを含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる、項目134に記載の方法。
[項目154]
前記グリカン調製物は、glu80gal10man10を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる、項目134に記載の方法。
[項目155]
前記グリカン調製物は、man80glu20を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる、項目134に記載の方法。
[項目156]
前記グリカン調製物は、glu50gal50を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる、項目134に記載の方法。
[項目157]
前記グリカン調製物は、glu80gal20を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる、項目134に記載の方法。
[項目158]
前記グリカン調製物は、glu80man20を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる、項目134に記載の方法。
[項目159]
前記グリカン調製物は、glu45gal45man10を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる、項目134に記載の方法。
[項目160]
前記グリカン調製物は、glu60gal40を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる、項目134に記載の方法。
[項目161]
前記グリカン調製物は、glu60man40を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる、項目134に記載の方法。
[項目162]
前記グリカン調製物は、man80gal20を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる、項目134に記載の方法。
[項目163]
前記グリカン調製物は、man60glu40を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる、項目134に記載の方法。
[項目164]
前記グリカン調製物は、glu100を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる、項目134に記載の方法。
[項目165]
前記グリカン調製物は、Glu100-114を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる、項目134に記載の方法。
[項目166]
前記グリカン調製物は、Lara100-1を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる、項目134に記載の方法。
[項目167]
前記グリカン調製物は、Gal50Fru50-2を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる、項目134に記載の方法。
[項目168]
前記グリカン調製物は、Glu100-3を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる、項目134に記載の方法。
[項目169]
前記グリカン調製物は、Glu100-94を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる、項目134に記載の方法。
[項目170]
前記グリカン調製物は、Fru100-9を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる、項目134に記載の方法。
[項目171]
前記グリカン調製物は、Glu100-22を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる、項目134に記載の方法。
[項目172]
前記グリカン調製物は、Glu100-107を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる、項目134に記載の方法。
[項目173]
項目1~172のいずれか一項に記載のグリカン調製物。
[項目174]
項目1~173のいずれか一項に記載のグリカン調製物を含む医薬組成物。
[項目175]
i)項目174に記載の使用のための医薬組成物、
ii)ポリフェノールの調製物、プロバイオティクス細菌の調製物、薬物又は治療剤及び食物成分の群から選択される少なくとも第2の成分、
iii)説明資料、及び
iv)パッケージ
を含む医薬キット。
[項目176]
対象、例えばヒト対象における腸管由来のアンモニアを低減する方法であって、
前記対象における腸管由来のアンモニアを低減するのに有効な量において且つ十分な時間にわたってグリカン調製物を投与することを含み、
i)前記グリカン調製物は、グルコース又はガラクトースグリカン単位を含むグリカンポリマーを含み;
ii)前記グリカン調製物中の前記グリカンポリマーの平均分岐度(DB)は、0.1~0.4であり;
iii)前記グリカン調製物中の前記グリカンポリマーの少なくとも50%は、少なくとも3~10未満のグリカン単位の重合度(DP)を有し;
iv)前記グリカン調製物の平均DP(平均DP)は、約5~8であり;
v)前記グリカン調製物の前記グリカンポリマー中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比は、約1:1~約3:1であり;
vi)前記グリカン調製物は、20モル%~60モル%の1,6グリコシド結合を含み;
vii)前記グリカン調製物は、5モル%~25モル%を含み;
viii)前記グリカン調製物は、23℃で少なくとも約70Brixの水中最終溶解限度を有し;及び/又は
ix)前記グリカン調製物は、少なくとも70%の食物繊維含有量を有し;
任意選択により、前記グリカン調製物は、i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)、vii)、viii)及びix)の選択された特性の2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ又は9つを含む、方法。
[項目177]
対象、例えばヒト対象における高アンモニア血症を治療する方法であって、
前記対象における高アンモニア血症を治療するのに有効な量において且つ十分な時間にわたってグリカン調製物を投与することを含み、
i)前記グリカン調製物は、グルコース又はガラクトースグリカン単位を含むグリカンポリマーを含み;
ii)前記グリカン調製物中の前記グリカンポリマーの平均分岐度(DB)は、0.1~0.4であり;
iii)前記グリカン調製物中の前記グリカンポリマーの少なくとも50%は、少なくとも3~10未満のグリカン単位の重合度(DP)を有し;
iv)前記グリカン調製物の平均DP(平均DP)は、約5~8であり;
v)前記グリカン調製物の前記グリカンポリマー中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比は、約1:1~約3:1であり;
vi)前記グリカン調製物は、20モル%~60モル%の1,6グリコシド結合を含み;
vii)前記グリカン調製物は、5モル%~25モル%を含み;
viii)前記グリカン調製物は、23℃で少なくとも約70Brixの水中最終溶解限度を有し;及び/又は
ix)前記グリカン調製物は、少なくとも70%の食物繊維含有量を有し;
任意選択により、前記グリカン調製物は、i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)、vii)、viii)及びix)の選択された特性の2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ又は9つを含む、方法。
[項目178]
前記対象は、尿素サイクル異常症(UCD)(例えば、高オルニチン血症-高アンモニア血症-ホモシトルリン尿症(HHH)症候群、アルギニノコハク酸シンテターゼ(ASS)欠乏症、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠乏症、アルギニノコハク酸リアーゼ(ASL)欠乏症、シトルリン血症II型(CIT II)障害、N-アセチルグルタミン酸シンテターゼ(NAGS)欠乏症、カルバモイル-リン酸シンテターゼI(CPSase I)欠乏症又はアルギナーゼ欠乏症を有する、項目176又は177に記載の方法。
[項目179]
治療のために選択される前記対象は、2歳以上である、項目178に記載の方法。
[項目180]
治療のために選択される前記対象は、2歳未満(例えば、新生児又は乳児)である、項目178に記載の方法。
[項目181]
前記UCDは、高オルニチン血症-高アンモニア血症-ホモシトルリン尿症(HHH)である、項目180に記載の方法。
[項目182]
前記UCDは、アルギニノコハク酸シンテターゼ(ASS)欠乏症である、項目180に記載の方法。
[項目183]
前記UCDは、アルギニノコハク酸リアーゼ(ASL)欠乏症である、項目180に記載の方法。
[項目184]
前記UCDは、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠乏症である、項目180に記載の方法。
[項目185]
前記UCDは、シトルリン血症II型(CIT II)障害である、項目180に記載の方法。
[項目186]
前記UCDは、カルバモイル-リン酸シンテターゼI(CPSase I)欠乏症であるか、又は前記UCDは、N-アセチルグルタミン酸シンターゼ(NAGS)欠乏症である、項目180に記載の方法。
[項目187]
前記UCDは、アルギナーゼ欠乏症である、項目180に記載の方法。
[項目188]
前記対象は、肝機能障害又は肝障害を有する、項目176又は177に記載の方法。
[項目189]
前記対象は、肝硬変、例えばA型硬変、B型硬変又はC型硬変(チャイルド・ピュースコアに基づく)を有する、項目188に記載の方法。
[項目190]
前記対象は、門脈圧亢進症を有する、項目188又は189に記載の方法。
[項目191]
前記対象は、門脈体循環シャントを有し、例えば門脈体循環シャント手術を受けているか又は自発的に門脈体循環シャント(例えば、先天性門脈体循環シャント)を作製している、項目188に記載の方法。
[項目192]
前記対象は、急性肝不全(ALF)を有するか、又は前記対象は、急性憎悪した慢性肝不全(ACLF)を有する、項目188に記載の方法。
[項目193]
前記対象は、門脈全身バイパスを有する、項目188に記載の方法。
[項目194]
前記対象は、肝性脳症(HE)を有する、項目188~193のいずれか一項に記載の方法。
[項目195]
前記対象は、例えば、急性肝不全(ALF)に関連するか又はそれによって引き起こされるA型HEを有する、項目194に記載の方法。
[項目196]
前記対象は、例えば、門脈体静脈シャントに関連するか又はそれによって引き起こされるB型HEを有する、項目194に記載の方法。
[項目197]
前記対象は、例えば、硬変に関連するか又はそれによって引き起こされるC型HEを有する、項目194に記載の方法。
[項目198]
前記対象は、ミニマルHE(MHE)を有し、例えばMHEに関連するか又はそれによって引き起こされる精神運動機能障害(例えば、自動車又は機械を安全に操作することができないこと)を有する、項目194~197のいずれか一項に記載の方法。
[項目199]
前記対象は、突発性HE(単回エピソードを含む)を有する、項目194~197のいずれか一項に記載の方法。
[項目200]
前記対象は、持続性HEを有する、項目194~197のいずれか一項に記載の方法。
[項目201]
前記対象は、肝性前昏睡の段階にある、項目200記載の方法。
[項目202]
前記対象は、昏睡の段階にある、項目200記載の方法。
[項目203]
前記対象は、神経精神異常、例えば性格の変化、知的障害及び/又は低下した意識レベルを有する、項目176~202のいずれか一項に記載の方法。
[項目204]
前記対象は、第2の薬剤、例えば高アンモニア血症若しくは異なる障害(例えば、てんかん)を治療するための第2の薬剤又は腸由来のアンモニアを減少させるための第2の薬剤で以前に治療されているか又は同時に治療されている、項目176~203のいずれか一項に記載の方法。
[項目205]
前記前記第2の薬剤は、ラクツロースである、項目204に記載の方法。
[項目206]
前記第2の薬剤は、リファキシミンである、項目204に記載の方法。
[項目207]
前記第2の薬剤は、窒素スカベンジャー若しくは窒素結合療法(NBT)、例えばフェニル酪酸グリセロール(Rabicti)、フェニル酪酸ナトリウム(NaPB)(例えば、Buphenyl若しくはAmmonaps)であるか、又は前記第2の薬剤は、L-オルニチン、L-アスパラギン酸、L-カルニチン及び亜鉛、分岐鎖アミノ酸若しくは静脈内アルブミンのいずれか1つ若しくは2つであるか、又は前記第2の薬剤は、L-アスパラギナーゼであるか、又は前記第2の薬剤は、抗発作薬、例えばバルプロ酸である、項目204に記載の方法。
[項目208]
前記グリカン調製物での治療の結果として、前記第2の薬剤での治療の量、頻度又はレベルは、漸減若しくは減少されるか、又は漸減若しくは減少され得る、項目204~207のいずれか一項に記載の方法。
[項目209]
前記対象は、処方された又は他に(例えば、自己選択された)制限された食事、例えばa)食物タンパク質制限、b)アミノ酸補給、c)完全非経口栄養(TPN)、及び/又はd)栄養カルニチン欠乏を含む食事を以前にとっていたか又は同時にとっている、項目176~208のいずれか一項に記載の方法。
[項目210]
前記グリカン調製物での治療の結果として、前記処方又は制限された食事は、制限が少なくなるか又は制限が少なくなり得、例えばタンパク質摂取の増加、アミノ酸補充の減少及び/又は栄養欠乏の緩和(若しくはその症状の軽減)を許容する、項目209に記載の方法。
[項目211]
前記グリカン調製物は、経口投与される、項目176~210のいずれか一項に記載の方法。
[項目212]
前記グリカン調製物は、経管投与(例えば、経鼻胃、経口胃又は胃管投与)と適合性である、項目211に記載の方法。
[項目213]
前記グリカン調製物は、乳児用調製粉乳、例えば乳児用調製粉乳の全部又は一部としての投与と適合性である、項目211に記載の方法。
[項目214]
前記グリカン調製物は、食品、例えば食品の一部又は追加成分としての投与と適合性である、項目211に記載の方法。
[項目215]
前記グリカン調製物は、噴霧乾燥粉末として製剤化され、例えば小袋として製剤化又は送達される、項目176~214のいずれか一項に記載の方法。
[項目216]
前記グリカン調製物は、シロップとして製剤化される、項目176~214のいずれか一項に記載の方法。
[項目217]
前記グリカン調製物は、飲料に溶解され得るか、又は前記グリカン調製物は、チュアブルとして製剤化されるか、又は前記グリカン調製物は、栄養バーとして製剤化される、項目176~216のいずれか一項に記載の方法。
[項目218]
前記グリカン調製物は、1日1回投与されるか、又は前記グリカン調製物は、1日2回投与されるか、又は前記グリカン調製物は、少なくとも1日2回投与される、項目176~217のいずれか一項に記載の方法。
[項目219]
1日あたり(対象あたり)最大10g、20g、30g、40g、50g、60g、70g、80g、90g又は最大100g、例えば10~100g/日又は30~80g/日のグリカン調製物は、投与される、項目218に記載の方法。
[項目220]
10~100g/日の前記グリカン調製物は、投与される、項目219に記載の方法。
[項目221]
30~80g/日の前記グリカン調製物は、投与される、項目219に記載の方法。
[項目222]
最大10g、20g、30g、40g又は最大50gの前記グリカン調製物は、1日2回(BID)投与される、項目219に記載の方法。
[項目223]
腸内のアンモニアレベルは、所定のレベル又は参照レベル、例えば前記グリカン調製物での治療前のアンモニアのレベル、前記グリカン調製物で治療されていない対象におけるアンモニアのレベル又は標準レベル(例えば、実施例10に記載されているように、尿中
15
N-窒素排泄によって測定される)と比較して少なくとも10、20、30、40、50、60、70又は80%低下される、項目176~222のいずれか一項に記載の方法。
[項目224]
腸内のアンモニアレベルは、少なくとも10%低下される、項目223に記載の方法。
[項目225]
腸内のアンモニアレベルは、少なくとも30%低下される、項目223に記載の方法。
[項目226]
腸内のアンモニアレベルは、少なくとも40%低下される、項目223に記載の方法。
[項目227]
腸内のアンモニアレベルは、所定のレベル又は参照レベル、例えば前記グリカン調製物での治療前のアンモニアのレベル、前記グリカン調製物で治療されていない対象におけるアンモニアのレベル又は標準レベル(例えば、実施例10に記載されているように、尿中
15
N-窒素排泄によって測定される)と比較して10、20、30、40、50、60又は70%~20、30、40、50、60、70又は80%低下される、項目176~226のいずれか一項に記載の方法。
[項目228]
腸内のアンモニアレベルは、10~80%低下される、項目227に記載の方法。
[項目229]
腸内のアンモニアレベルは、10~40%低下される、項目227に記載の方法。
[項目230]
腸内のアンモニアレベルは、30~40%低下される、項目227に記載の方法。
[項目231]
血中アンモニアレベルは、所定のレベル又は参照レベル、例えば前記グリカン調製物での治療前のアンモニアのレベル、前記グリカン調製物で治療されていない対象におけるアンモニアのレベル又は標準レベルと比較して少なくとも10、20、30、40、50、60、70又は80%低下される、項目176~230のいずれか一項に記載の方法。
[項目232]
血中アンモニアレベルは、少なくとも10%低下される、項目231に記載の方法。
[項目233]
血中アンモニアレベルは、少なくとも30%低下される、項目231に記載の方法。
[項目234]
血中アンモニアレベルは、少なくとも40%低下される、項目231に記載の方法。
[項目235]
血中アンモニアレベルは、所定のレベル又は参照レベル、例えば前記グリカン調製物での治療前のアンモニアのレベル、前記グリカン調製物で治療されていない対象におけるアンモニアのレベル又は標準レベルと比較して10、20、30、40、50、60又は70%~20、30、40、50、60、70又は80%低下される、項目176~234のいずれか一項に記載の方法。
[項目236]
血中アンモニアレベルは、10~80%低下される、項目235に記載の方法。
[項目237]
血中アンモニアレベルは、10~40%低下される、項目235に記載の方法。
[項目238]
血中アンモニアレベルは、30~40%低下される、項目235に記載の方法。
[項目239]
前記対象によって示される高アンモニア血症急性発症の数及び/又は重症度は、例えば、腸由来のアンモニアのレベルを低下させる結果として、ベースラインと比較して低下される、項目176~238のいずれか一項に記載の方法。
[項目240]
前記対象は、慢性的に例えば長期間にわたって治療される、項目176~239のいずれか一項に記載の方法。
[項目241]
前記対象は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11若しくは12ヶ月間又は少なくとも1、2、3、4若しくは5年間、例えば少なくとも6ヶ月間にわたって治療される、項目240に記載の方法。
[項目242]
前記対象は、前記対象の生涯の期間にわたって治療される、項目240に記載の方法。
[項目243]
項目1~242のいずれか一項に記載のグリカン調製物。
[項目244]
項目1~243のいずれか一項に記載のグリカン調製物を含む医薬組成物。
[項目245]
i)項目244に記載の使用のための医薬組成物、
ii)ポリフェノールの調製物、プロバイオティクス細菌の調製物、薬物又は治療剤及び食物成分の群から選択される少なくとも第2の成分、
iii)説明資料、及び
iv)パッケージ
を含む医薬キット。