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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-23
(45)【発行日】2024-10-31
(54)【発明の名称】車両用ディスクブレーキ
(51)【国際特許分類】
   F16D 65/092 20060101AFI20241024BHJP
   F16D 55/228 20060101ALI20241024BHJP
   F16D 65/02 20060101ALI20241024BHJP
   F16D 65/097 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
F16D65/092 D
F16D55/228
F16D65/02 B
F16D65/097 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019178018
(22)【出願日】2019-09-27
(65)【公開番号】P2021055720
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-07-26
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 勇希
(72)【発明者】
【氏名】手塚 俊達
【審査官】山本 健晴
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/049539(WO,A1)
【文献】特開2014-173622(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 65/092
F16D 55/228
F16D 65/02
F16D 65/097
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクロータを挟んで対向配置される一対の作用部をディスクロータの外周を跨ぐブリッジ部で連結してキャリパボディを形成し、前記作用部は、ピストンを収容するシリンダ孔と、前記ディスクロータを挟んで配置される一対の摩擦パッドを収容する摩擦パッド収容部とを備え、前記摩擦パッドは、ディスク半径方向外側の車両前進時におけるディスク回入側とディスク回出側とに耳片を突設し、該耳片を、前記摩擦パッド収容部のディスク半径方向外側に設けたトルク受段部に、ディスク軸方向に移動可能に配置させ、前記ブリッジ部は、車両前進時におけるディスク回入側に形成されるディスク回入側ブリッジ部と、車両前進時におけるディスク回出側に形成されるディスク回出側ブリッジ部と、前記ディスク回入側ブリッジ部と前記ディスク回出側ブリッジ部の中間部に形成される中間ブリッジ部とを有するとともに、前記中間ブリッジ部と前記ディスク回入側ブリッジ部との間、及び、前記中間ブリッジ部と前記ディスク回出側ブリッジ部との間に、天井開口部をそれぞれ設けた車両用ディスクブレーキにおいて、
前記ディスク回入側ブリッジ部と前記ディスク回出側ブリッジ部とに、隣接する天井開口部側に延出し、前記摩擦パッドに当接して、前記摩擦パッドをディスク半径方向内側に付勢する弾発片を備えたパッドスプリングをそれぞれ取り付け、前記摩擦パッドは、ライニングを取り付けた裏板のディスク半径方向外側面に、前記弾発片を受ける受け部を、中間ブリッジ部に対応する位置と前記耳片との間のディスク回入側とディスク回出側とにそれぞれ設けるとともに、該受け部のディスク半径方向外側の面は、前記中間ブリッジ部の内壁のうちディスク半径方向において最も内側の面を仮想的に延長した平面に対しディスク半径方向外側に配置されることを特徴とする車両用ディスクブレーキ。
【請求項2】
前記摩擦パッドは、前記中間ブリッジ部に対応する位置のディスク半径方向外側面に凹部を形成したことを特徴とする請求項1記載の車両用ディスクブレーキ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ディスクブレーキに関し、詳しくは、キャリパボディのブリッジ部と摩擦パッドとの間に、摩擦パッドのガタ付きを抑制するパッドスプリングを配置した車両用ディスクブレーキに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ディスクロータを挟んで対向配置される一対の作用部をディスクロータの外周を跨ぐブリッジ部で連結してキャリパボディを形成し、ブリッジ部は、車両前進時におけるディスク回入側に形成されるディスク回入側ブリッジ部と、車両前進時におけるディスク回出側に形成されるディスク回出側ブリッジ部と、ディスク回入側ブリッジ部とディスク回出側ブリッジ部の中間部に形成される中間ブリッジ部とを有するとともに、中間ブリッジ部とディスク回入側ブリッジ部との間、及び、中間ブリッジ部とディスク回出側ブリッジ部との間に天井開口部をそれぞれ設けた車両用ディスクブレーキでは、中間ブリッジ部の内壁に、摩擦パッドに当接して、摩擦パッドのガタ付きを抑制するパッドスプリングを配置したものがあった(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6219576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、ディスクロータを挟んで対向配置される一対の作用部をディスクロータの外周を跨ぐブリッジ部で連結して形成した車両用ディスクブレーキのキャリパボディでは、作用部に形成したシリンダ孔の中心軸と、ブリッジ部のディスク回転方向中央部の内壁とを近づけると剛性が上がることが知られている。しかし、上述の特許文献1のものでは、中間ブリッジ部の内壁に、摩擦パッドのガタ付きを抑制するパッドスプリングが設けられることから、シリンダ孔の中心軸と中間ブリッジ部の内壁との間の長さが長くなっていた。このため、中間ブリッジ部を肉厚にして剛性を確保しているが、キャリパボディが大型化し、重量が嵩む虞があった。
【0005】
そこで、本発明は、パッドスプリングで摩擦パッドのガタ付きを抑制するとともに、剛性を確保しながら、キャリパボディの小型化と軽量化とを図ることができる車両用ディスクブレーキを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の車両用ディスクブレーキは、ディスクロータを挟んで対向配置される一対の作用部をディスクロータの外周を跨ぐブリッジ部で連結してキャリパボディを形成し、前記作用部は、ピストンを収容するシリンダ孔と、前記ディスクロータを挟んで配置される一対の摩擦パッドを収容する摩擦パッド収容部とを備え、前記摩擦パッドは、ディスク半径方向外側の車両前進時におけるディスク回入側とディスク回出側とに耳片を突設し、該耳片を、前記摩擦パッド収容部のディスク半径方向外側に設けたトルク受段部に、ディスク軸方向に移動可能に配置させ、前記ブリッジ部は、車両前進時におけるディスク回入側に形成されるディスク回入側ブリッジ部と、車両前進時におけるディスク回出側に形成されるディスク回出側ブリッジ部と、前記ディスク回入側ブリッジ部と前記ディスク回出側ブリッジ部の中間部に形成される中間ブリッジ部とを有するとともに、前記中間ブリッジ部と前記ディスク回入側ブリッジ部との間、及び、前記中間ブリッジ部と前記ディスク回出側ブリッジ部との間に、天井開口部をそれぞれ設けた車両用ディスクブレーキにおいて、前記ディスク回入側ブリッジ部と前記ディスク回出側ブリッジ部とに、隣接する天井開口部側に延出し、前記摩擦パッドに当接して、前記摩擦パッドをディスク半径方向内側に付勢する弾発片を備えたパッドスプリングをそれぞれ取り付け、前記摩擦パッドは、ライニングを取り付けた裏板のディスク半径方向外側面に、前記弾発片を受ける受け部を、中間ブリッジ部に対応する位置と前記耳片との間のディスク回入側とディスク回出側とにそれぞれ設けるとともに、該受け部のディスク半径方向外側の面は、前記中間ブリッジ部の内壁のうちディスク半径方向において最も内側の面を仮想的に延長した平面に対しディスク半径方向外側に配置されることを特徴としている。
【0007】
また、前記摩擦パッドは、前記中間ブリッジ部に対応する位置のディスク半径方向外側面に凹部を形成すると好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の車両用ディスクブレーキによれば、ディスク回入側ブリッジ部とディスク回出側ブリッジ部とに、隣接する天井開口部側に延出し、摩擦パッドに当接して摩擦パッドをディスク半径方向内側に付勢する弾発片を備えたパッドスプリングをそれぞれ取り付けたことにより、摩擦パッドのガタ付きを抑制できる。さらに、摩擦パッドの裏板に、パッドスプリングの弾発片を受ける受け部を設け、該受け部を中間ブリッジ部の内壁よりもディスク半径方向外側に配置したことにより、摩擦パッドをキャリパボディのディスク半径方向外側に配置することができることから、作用部に形成するシリンダ孔もキャリパボディのディスク半径方向外側に形成することができる。これにより、シリンダ孔の中心軸と中間ブリッジ部の内壁とを近づけることができ、キャリパボディの剛性を確保しながら、キャリパボディのディスク半径方向の長さを短くし、キャリパボディの小型化と軽量化とを図ることができる。
【0009】
また、摩擦パッドは、中間ブリッジ部に対応する位置のディスク半径方向外側面に凹部を形成したことにより、摩擦パッド単体として軽量化を図ることができるとともに、摩擦パッドを、よりキャリパボディのディスク半径方向外側に配置することができることから、シリンダ孔の中心軸と中間ブリッジ部の内壁とを近づけることができ、キャリパボディの剛性を確保しながら、キャリパボディのディスク半径方向の長さを短くし、キャリパボディ、引いてはディスクブレーキ自体のさらなる小型化と軽量化とを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一形態例を示す車両用ディスクブレーキの正面図である。
図2】同じく車両用ディスクブレーキの背面図である。
図3】同じく車両用ディスクブレーキの平面図である。
図4図1のIV-IV断面図である。
図5図3のV-V断面図である。
図6図1のVI-VI断面図である。
図7図1のVII-VII断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1乃至図7は、本発明の車両用ディスクブレーキの一形態例を示す図である。なお、矢印Aは、車両前進時に車輪と一体に回転するディスクロータの回転方向であり、以下で述べるディスク回出側及びディスク回入側とは車両前進時におけるものとする。
【0012】
車両用ディスクブレーキ1は、車輪と一体に回転するディスクロータ2と、該ディスクロータ2の一側部で車体に取り付けられるモノコック構造ピストン対向型のキャリパボディ3と、ディスクロータ2の両側部に配設される一対の摩擦パッド4,4と、摩擦パッド4,4をディスク半径方向内側とディスク回出側とに付勢する回入側パッドスプリング5と、摩擦パッド4,4をディスク半径方向内側に付勢する回出側パッドスプリング6とを備えている。
【0013】
キャリパボディ3は、一対の作用部3a,3aと、ディスクロータ2を跨いで一対の作用部3a,3aを連結するブリッジ部3bとが一体に形成され、ブリッジ部3bは、ディスク回入側に配置されるディスク回入側ブリッジ部3cと、ディスク回出側に配置されるディスク回出側ブリッジ部3dと、ディスク回入側ブリッジ部3cとディスク回出側ブリッジ部3dの中間部に配置される中間ブリッジ部3eとを有し、中間ブリッジ部3eとディスク回入側ブリッジ部3cとの間には、第1天井開口部3fが、中間ブリッジ部3eとディスク回出側ブリッジ部3dとの間には、第2天井開口部3gがそれぞれ形成されている。一方の作用部3aのディスク回出側とディスク回入側には、ディスク半径方向の取付ボス部3h,3hが形成され、各取付ボス部3hにはディスク半径方向の取付ボルト挿通孔3iがそれぞれ形成され、該取付ボルト挿通孔3iに挿通した取付ボルト(図示せず)を車体側に設けたキャリパ取付部にねじ込むことにより、キャリパボディ3が車体に取り付けられる。
【0014】
各作用部3aには、ディスクロータ2側が開口した同径のシリンダ孔7,7をディスク周方向に併設した一対のシリンダ部3jがそれぞれ設けられ、各シリンダ孔7には、ピストン8がピストンシール9とダストシール10とを介して収容されている。各シリンダ孔7の底部側とピストン8との間には、作動液が供給される液圧室11がそれぞれ画成され、隣接する液圧室11,11同士は、作動液連通孔12で連通されている。また、キャリパボディ3を車体に取り付けた際に、車体上方となるキャリパボディ3のディスク回出側には、車体外側に配置される一方の作用部3aから他方の作用部3aのディスク回出側の液圧室11に向けて液通孔13が、他方の作用部3aから一方の作用部3aのディスク回出側の液圧室11に向けて液通孔13がそれぞれ穿設され、これら双方の液通孔13を交差させ、一方の液通孔13の開口部にはユニオン孔14が、他方の液通孔13の開口部にはブリューダ15を装着するブリューダ孔がそれぞれ形成されている。
【0015】
各作用部3a,3aには、摩擦パッド4,4を収容する摩擦パッド収容部3kがそれぞれ形成される。各摩擦パッド収容部3kは、第1天井開口部3fのディスク回入側面3mよりもシリンダ孔7側で、且つ、ディスク回入側面3mよりもディスク半径方向内側に形成される回入側トルク受面3nと、第2天井開口部3gのディスク回出側面3pよりもシリンダ孔7側で、且つ、ディスク半径方向内側に形成される回出側トルク受面3qとを備え、ディスク回入側面3mと回入側トルク受面3nとの間には回入側トルク受段部3rが、ディスク回出側面3pと回出側トルク受面3qとの間には回出側トルク受段部3sがそれぞれ形成されている。さらに、ディスク回入側ブリッジ部3cのディスク軸方向中央部のディスク半径方向内側面には、回入側パッドスプリング5を取り付ける回入側取付凹部3tが形成され、ディスク回出側ブリッジ部3dのディスク軸方向中央部のディスク半径方向内側面には、回出側パッドスプリング6を取り付ける回出側取付凹部3uがそれぞれ形成されている。
【0016】
各摩擦パッド4は、ディスクロータ2の側面に摺接するライニング4aと、該ライニング4aを貼着する金属製の裏板4bとから成っており、裏板4bのディスク半径方向外側のディスク回入側とディスク回出側とに耳片4c,4cが突設されている。さらに、裏板4bのディスク半径方向外側面には、ディスク半径方向外側に突出する一対の突片4d,4dが形成されるとともに、突片4d,4dの間となる、中間ブリッジ部3eに対応する位置のディスク半径方向外側面には、凹部4gが形成されている。
【0017】
回入側パッドスプリング5は、前記回入側取付凹部3tに取り付けられる回入側取付部5aと、該回入側取付部5aから延出して摩擦パッド4,4に当接して、摩擦パッド4,4をディスク半径方向内側と、ディスク回出側とに付勢する回入側弾発片5b(本発明の弾発片)と回入側トルク受段部3rに敷設される回入側リテーナ片5cとを備えている。回入側弾発片5bは、回入側取付部5aから摩擦パッド4よりもディスク半径方向外側に延出した後、摩擦パッド側に折り返され、先端部5dがディスク回入側の双方の突片4dのディスク回入側面4e(本発明の受け部)に当接する。
【0018】
回出側パッドスプリング6は、前記回出側取付凹部3uに取り付けられる回出側取付部6aと、該回出側取付部6aから延出して摩擦パッド4,4に当接して、摩擦パッド4,4をディスク半径方向内側に付勢する回出側弾発片6b(本発明の弾発片)と、回出側トルク受段部3sに敷設される回出側リテーナ片6cとを備えている。回出側弾発片6bは、回出側取付部6aから摩擦パッド4よりもディスク半径方向外側に延出した後、摩擦パッド側に折り返され、先端部6dがディスク回出側の突片4dと耳片4cとの間のディスク半径方向外側面4f(本発明の受け部)に当接する。
【0019】
上述のように形成した摩擦パッド4,4と、回入側パッドスプリング5と、回出側パッドスプリング6との組付は、まず、回入側パッドスプリング5の回入側取付部5aを回入側取付凹部3tに係合させ、回入側トルク受段部3rに回入側リテーナ片5cを敷設させるとともに、回出側パッドスプリング6の回出側取付部6aを回出側取付凹部3uに係合させ、回出側トルク受段部3sに回出側リテーナ片6cを敷設させる。次いで、摩擦パッド4,4の耳片4c,4cを回入側リテーナ片5cと回出側リテーナ片6cとを介して回入側トルク受段部3rと回出側トルク受段部3sとに支持させる。
【0020】
この組付により、各摩擦パッド4,4は、摩擦パッド収容部3k,3k内にそれぞれ配置され、耳片4c,4cを介して、回入側トルク受段部3rと回出側トルク受段部3sとに沿ってディスク軸方向に移動可能に配置され、突片4d,4dと耳片4c,4c及び、突片4dと耳片4cとの間のディスク半径方向外側面4f,4fが、中間ブリッジ部3eの内壁3vよりもディスク半径方向外側に配置される。また、回入側パッドスプリング5の回入側弾発片5bの先端部5dが、双方の摩擦パッド4の回入側の突片4d,4dのディスク回入側面4e,4eに当接し、回出側パッドスプリング6の回出側弾発片6bの先端部6dが、双方の摩擦パッド4の突片4dと耳片4cとの間のディスク半径方向外側面4f,4fに当接することにより、摩擦パッド4,4は、回入側パッドスプリング5によってディスク回出側とディスク半径方向内側とに付勢されるとともに、回出側パッドスプリング6によってディスク半径方向内側に付勢される。
【0021】
本形態例の車両用ディスクブレーキ1は、上述のように形成されることにより、回入側パッドスプリング5と回出側パッドスプリング6によって、摩擦パッド4,4のガタ付きを抑制することができる。さらに、摩擦パッド4,4の裏板4b,4bには、回入側パッドスプリング5の回入側弾発片5b,5bが当接する突片4d,4dのディスク回入側面4e,4eと、回出側パッドスプリング6の回出側弾発片6b,6bが当接するディスク半径方向外側面4f,4fが設けられ、これらディスク半径方向外側面4f,4fとディスク回入側面4e,4eは、中間ブリッジ部3eの内壁3vよりもディスク半径方向外側に配置されるので、摩擦パッド4,4をキャリパボディ3のディスク半径方向外側に配置することができ、作用部3a,3aに形成するシリンダ孔7,7もキャリパボディ3のディスク半径方向外側に形成することができる。これにより、シリンダ孔7,7の中心軸CL1と中間ブリッジ部3eの内壁3vとを近づけることができ、キャリパボディ3の剛性を確保しながら、キャリパボディ3のディスク半径方向の長さを短くし、キャリパボディ3の小型化と軽量化とを図ることができる。さらに、摩擦パッド4の裏板4bに凹部4gを形成したことにより、摩擦パッド単体として軽量化を図ることができるとともに、摩擦パッド4を、よりキャリパボディ3のディスク半径方向外側に配置することができることから、シリンダ孔7の中心軸CL1と中間ブリッジ部3eの内壁3vとをより近づけることができ、キャリパボディ3、引いてはディスクブレーキ自体のさらなる小型化と軽量化とを図ることができる。
【0022】
なお、本発明は、上述の形態例に限るものではなく、回入側パッドスプリング及び回出側パッドスプリングは、摩擦パッドに当接して摩擦パッドのガタ付きを抑制する弾発片を備えていれば、その形状は任意である。また、摩擦パッドは、中間ブリッジ部に対応する位置のディスク半径方向外側面に凹部を設けていなくてもよい。さらに、キャリパボディの各作用部に形成するシリンダ孔の数は任意である。また、本発明のキャリパボディは、モノコック構造に限らず分割型のキャリパボディでも差し支えない。
【符号の説明】
【0023】
1…車両用ディスクブレーキ、2…ディスクロータ、3…キャリパボディ、3a…作用部、3b…ブリッジ部、3c…ディスク回入側ブリッジ部、3d…ディスク回出側ブリッジ部、3e…中間ブリッジ部、3f…第1天井開口部、3g…第2天井開口部、3h…取付ボス部、3i…取付ボルト挿通孔、3j…シリンダ部、3k…摩擦パッド収容部、3m…ディスク回入側面、3n…回入側トルク受面、3p…ディスク回出側面、3q…回出側トルク受面、3r…回入側トルク受段部、3s…回出側トルク受段部、3t…回入側取付凹部、3u…回出側取付凹部、3v…内壁、4…摩擦パッド、4a…ライニング、4b…裏板、4c…耳片、4d…突片、4e…ディスク回入側面、4f…ディスク半径方向外側面、4g…凹部、5…回入側パッドスプリング、5a…回入側取付部、5b…回入側弾発片、5c…回入側リテーナ片、5d…先端部、6…回出側パッドスプリング、6a…回出側取付部、6b…回出側弾発片、6c…回出側リテーナ片、6d…先端部、7…シリンダ孔、8…ピストン、9…ピストンシール、10…ダストシール、11…液圧室、12…作動液連通孔、13…液通孔、14…ユニオン孔、15…ブリューダ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7