(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-23
(45)【発行日】2024-10-31
(54)【発明の名称】電池セルを保持するためのセルホルダ
(51)【国際特許分類】
H01M 50/291 20210101AFI20241024BHJP
H01M 50/213 20210101ALI20241024BHJP
H01M 50/50 20210101ALN20241024BHJP
H01M 50/503 20210101ALN20241024BHJP
H01M 50/512 20210101ALN20241024BHJP
【FI】
H01M50/291
H01M50/213
H01M50/50 101
H01M50/503
H01M50/512
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020014730
(22)【出願日】2020-01-31
【審査請求日】2023-01-06
(31)【優先権主張番号】10 2019 201 334.1
(32)【優先日】2019-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】ハリス・アリシック
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・ツィールケ
(72)【発明者】
【氏名】ザラ・ファンツッティ
【審査官】前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-186806(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M50/20-50/298
H01M50/50-50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルを保持するためのセルホルダであって、
第1電池セル(21)を収容するように構成された第1ホルダ(2)と、
第2電池セル(31)を収容するように構成された第2ホルダ(3)と、
第1ばね要素(5)と、
を備え、
該第1ばね要素(5)が、
第1電池セル(21)を、第1ばね力によって第1電池セル(21)の軸方向に第1ホルダ(2)内に固定するように構成された第1ばね部分(51)、および
第2電池セル(31)を第2ばね力によって第2電池セル(31)の半径方向に第2ホルダ(3)内に固定するように構成された第2ばね部分(52)
を有する、セルホルダにおいて、
前記第1ばね力が前記第1ばね部分(51)の軸方向の撓みに依存する、および/または、
前記第2ばね力が前記第2ばね部分(52)の径方向の撓みに依存する、
セルホルダ。
【請求項2】
請求項1に記載のセルホルダであって、さらに第2ばね要素(6)を備え、該第2ばね要素(6)が、第1電池セル(21)を、第3ばね力によって第1電池セル(21)の半径方向に第1ホルダ(2)内に固定するように構成された第3ばね部分(61)を有する、セルホルダ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のセルホルダにおいて、前記第1ばね要素(5)が、前記第1ばね力の増大が前記第2ばね力の増大を引き起こすように構成された、セルホルダ。
【請求項4】
請求項1~3までのいずれか一項に記載のセルホルダにおいて、前記第1ばね要素(5)が、前記第2ばね力の増大が前記第1ばね力の増大を引き起こすように構成された、セルホルダ。
【請求項5】
請求項1~4までのいずれか一項に記載のセルホルダにおいて、前記第2ホルダ(3)が、それぞれ前記第
2電池セル(31)の半径方向の接触点を形成する2つの半径方向のストッパ(35,36)を備えた、セルホルダ。
【請求項6】
請求項5に記載のセルホルダにおいて、前記2つの半径方向のストッパ(35,36)および前記第2ばね部分(52)が、前記第2ホルダ(3)の周方向に分散して配置された、セルホルダ。
【請求項7】
請求項1~6までのいずれか一項に記載のセルホルダにおいて、前記第1ばね部分(51)は、該第1ばね部分(51)が電池セル(21)の肩領域(210)のみに係合するように構成された、セルホルダ。
【請求項8】
請求項1~7までのいずれか一項に記載のセルホルダであって、第3電池セル(41)を収容するように構成された少なくとも第3ホルダ(4)をさらに備えた、セルホルダ。
【請求項9】
請求項8に記載のセルホルダであって、第1ホルダ(2)、第2ホルダ(3)、および第3ホルダ(4)が三角形に配置された、セルホルダ。
【請求項10】
請求項8または9に記載のセルホルダにおいて、さらに第3ばね要素(7)を備え、第1ばね要素(5)、第2ばね要素(6)および第3ばね要素(7)が、それぞれいずれか1つの電池セル(21,31,41)を軸方向に固定し、それぞれ直に隣接するいずれか1つの電池セル(21,31,41)を半径方向に固定するように構成された、セルホルダ。
【請求項11】
請求項1~10までのいずれか一項に記載のセルホルダにおいて、前記セルホル
ダが複数の部分から形成された、セルホルダ。
【請求項12】
請求項11に記載のセルホルダにおいて、前記セルホル
ダが2つの部分から形成された、セルホルダ。
【請求項13】
請求項11または12に記載のセルホルダにおいて、第1セルホルダ部分(11)が、ホルダ(2,3,4)毎に1つの軸方向の固定ストッパ(111,112)を有し、第2のセルホルダ部分(12)が少なくとも第1ばね要素(5)を有する、セルホルダ。
【請求項14】
請求項13に記載のセルホルダにおいて、第1セルホルダ部分(11)が、電池セル(21,31,41)の電流を取り出すための接触プレートである、セルホルダ。
【請求項15】
請求項11または12に記載のセルホルダにおいて、第1セルホルダ部分(11)および第2セルホルダ部分(12)が、ホルダ(2,3,4)毎にそれぞれ少なくとも1つのばね要素(5,6,7)を有し、それぞれのホルダ(2,3,4)のそれぞれの軸方向端部にそれぞれ1つのばね要素(5,6,7)を設け、該ばね要素(5,6,7)が、それぞれの電池セル(21,31,41)を軸方向に固定するように構成された、セルホルダ。
【請求項16】
請求項15に記載のセルホルダにおいて、該ばね要素(5,6,7)が、それぞれの電池セル(21,31,41)を軸方向に固定し、それぞれ1つの隣接する電池セル(21,31,41)を半径方向に固定するように構成された、セルホルダ。
【請求項17】
請求項1~16までのいずれか一項に記載の少なくとも1つのセルホル
ダと、セルホル
ダのホルダ(2,3,4)毎に1つの電池セル(21,31,41)とを備えるセルブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池セルを保持するためのセルホルダおよびセルブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のエネルギー蓄積器として使用するためのリチウムイオン電池などの円筒形の電池セルの寸法は、大部分で標準化されている。通常の電池セルは、例えば、「18650」(直径18mm、高さ65mm)または「21700」(直径21mm、高さ70mm)の形式である。このような電池セルは、通常、単純なセルホルダを用いて支持される。しかしながら、このような公知のセルホルダは、製造に起因する、または体積の変化により生じる電池セルの寸法の許容差に対処することができず、電池セルの定められた確実な支持を保証することができないことが多い。
【発明の概要】
【0003】
これに対して、請求項1の特徴を有する本発明によるセルホルダは、電池セルの支持を改善できるという利点を有する。電池セルは、セルホルダ内に特に安定して固定的に保持する。電池セルの所定の安定した支持を持続的に確保するために、とりわけ、数パーセントの範囲内の電池セルの製造に関連する許容差または電池セルの動作中に生じる外形寸法の変化に、電池ホルダによって対処することができる。これは、本発明によれば、セルホルダが第1のホルダと第2のホルダと第1のばね要素とを備えることによって達成される。第1ホルダは第1の電池セルを収容するように構成される。第2ホルダは第2の電池セルを収容するように構成される。第1ホルダおよび第2ホルダは、ホルダがそれぞれの電池セルを取り囲むようにハウジング状に、実質的に円筒形に構成してもよい。特に第1ホルダと第2ホルダとは互いに平行に形成し、これにより2つの電池セルのそれぞれの長手方向軸が互いに平行になり、セルホルダの長手方向軸にも平行になる。
【0004】
第1ばね要素は、第1のばね部分および第2のばね部分を有する。第1ばね部分は、第1のばね力によって第1電池セルを第1ホルダ内に固定するように構成される。第1のばね力は、第1電池セルの軸方向に対して実質的に平行である。したがって、第1ばね部分は第1電池セルの端面に係合する。さらに第2ばね部分は、第2のばね力によって第2電池セルを第2ホルダ内に固定するように構成される。第2のばね力は、第2電池セルの半径方向に提供する。したがって、第2ばね部分は第2電池セルの周囲に係合する。この場合、第1ばね要素は、好ましくは、第1ホルダと第2ホルダとの間に配置し、特にその中央で、2つの電池セルの平行な長手方向軸を接続するはんだに配置されている。
【0005】
したがって、第1ばね要素は、第1電池セルの端面に係合し、第2電池セルの周面に係合するように構成された二重ばねシステムを形成する。これにより、電池セルは特に簡単で、同時に効果的な形式でセルホルダ内に保持される。第1ばね要素は、いくつかの方向で電池セルの許容差をカバーすることができ、大きな許容差範囲にわたって電池セルの動作中の長さの変化および厚さの変化の両方に対処することができる。
【0006】
さらに、車両などの使用分野で生じることのある電池セルに対する強い機械的負荷を適切に回避することができる。したがって、本発明によるセルホルダは、揺れ、衝撃、または振動など電池セルに対する外部の機械的な力の影響を特に効果的に減衰することを可能にする。さらに、電池ホルダは、電池セルの安定した固定を確実にするために、プラスチック、特に難燃性プラスチックで形成することが好ましい。
【0007】
従属請求項は、本発明の好ましい構成を含む。
【0008】
好ましくは、セルホルダはさらに第2のばね要素を備える。第2ばね要素は第3のばね部分を有する。この第3ばね部分は、第3のばね力によって第1電池セルを第1ホルダ内に固定するように構成されている。第3のばね力は、第1電池セルの半径方向に働く。したがって、第1電池セルは、第1ばね要素によって軸方向に、第2ばね要素によって半径方向に固定され、したがって、第1ホルダ内の所定の安定した位置に配置される。
【0009】
特に好ましくは、第1ばね要素は、第1のばね力の増大が第2のばね力の増大を引き起こすように構成している。これは、第1ばね力の増大が第2ばね力の増大をもたらすように、第1ばね要素の第1ばね部分と第2ばね部分とを互いに結合することを意味する。したがって、第1ばね要素により、2つの電池セルの自己補強式の支持をもたらす。第1電池セルに対する軸方向の第1ばね力が増大すると、第2電池セルに対する半径方向の第2ばね力も増大し、セルホルダ内の2つの電池セルの特に安定した配置が達成される。
【0010】
好ましくは、第1ばね要素は、第2ばね力の増大が第1ばね力の増大を引き起こすように構成している。すなわち、第2ばね力の増大が第1ばね力の増大をもたらすように、第1ばね要素の第1ばね部分と第2ばね部分とを互いに結合する。第1電池セルおよび第2電池セルの自己補強式の支持をさらに改善し、両方の電池セルをセルホルダ内に確実に保持することが可能になる。
【0011】
さらに、第1ばね力が第1ばね部分の軸方向の撓みに依存する場合に有利である。すなわち、第1ばね部分が軸方向に大きく撓むほど第1ばね力は大きくなる。このようにして特に好ましい支持を達成することができ、第1ばね部分がより大きく撓んだ場合により大きな第1ばね力が第1電池セルに作用し、第1電池セルを所定の位置に戻す。軸方向における第1電池セルのサイズが大きくなるにつれて、または第1ホルダ内の第1電池セルの変位が増すにつれて、第1電池セルを第1ホルダ内に保持し位置決めする第1ばね力が増す。このようにして、第1ホルダ内の第1電池セルの特に信頼性のある所定の位置決めを達成することができる。
【0012】
好ましくは、さらに第2ばね力は半径方向における第2ばね部分の撓みに依存する。したがって、軸方向における第1ばね部分のばね力の増大と同様に、第2ばね力は、半径方向における第2ばね部分の撓みが増大した場合に増す。これは、第2ホルダにおける第2電池セルの位置決めおよび保持をさらに改善する。
【0013】
好ましくは、第2ホルダは2つの半径方向のストッパを備える。この2つの半径方向ストッパおよび第2ばね部分は、好ましくは、第2ホルダの周りに分散して配置している。第2電池セルは、第2ばね部分と2つの半径方向ストッパとの間に第2ばね部分の付勢力によって固定され、これにより第2ホルダ内の第2電池セルに、静的に決定された固定が生じる。これにより、第2ホルダ内における第2電池セルの半径方向の3点固定がもたらされる。第2電池セルは、特に正確に位置決めすることができ、第2ホルダ内の相対的な動きが確実に抑制される。セルホルダのそれぞれのホルダが2つの半径方向のストッパを有する場合に特に有利であり、ここで、電池セルは、ホルダ内に収容することができ、対応するばね要素によってばね要素のばね部分と2つの半径方向のストッパとの間に固定する。
【0014】
さらに、第1ばね部分が第1電池セルの肩領域に係合するように構成されている場合、特に好ましい。有利には、第1ばね部分は肩領域のみに係合する。電池セルの端面の半径方向外側のリング状ハウジング領域は肩領域とみなし、このリング状ハウジング領域は電池セルの正極または負極を取り囲む。したがって、正極または負極は電気接触のために自由に接近可能なままであり、ばね要素の付勢力による機械的な応力を受けない。さらに第1ばね部分は、好ましくは、電池セルの内部に過剰な圧力がある場合に妨げられずに脱気できるよう、電池セルの肩領域に係合するように構成している。
【0015】
好ましくは、セルホルダは、第3の電池セルを収容するように構成された第3のホルダをさらに備える。好ましくは、第3ホルダは、第1ホルダおよび第2ホルダに対して平行である。さらに、第1ホルダ、第2ホルダ、および第3ホルダが、軸方向から見たときに三角形に配置していると有利である。したがって、セルホルダの特に省スペースの構造を達成することができる。
【0016】
セルホルダは、特に好ましくは、少なくとも第3のばね要素をさらに含む。第1ばね要素、第2ばね要素、および第3ばね要素は、対応するホルダ内でそれぞれ1つの電池セルを軸方向に固定するように構成している。さらに、第1ばね要素、第2ばね要素、および第3ばね要素は、隣接するそれぞれのホルダ内で半径方向に隣接する電池セルを固定するように構成している。換言すれば、3つのばね要素はそれぞれ、隣接する、もしくは隣り合う2つの電池セルを固定するように構成している。このばね要素によって、2つの隣接する電池セルの一方の電池セルは軸方向に固定され、他方の電池セルは半径方向に固定される。3つのホルダを三角形に配置し、ばね要素のこの特別な構成によって、それぞれの電池セルを軸方向および半径方向に、特に簡単な形式で固定し、セルホルダ内における電池セルの最適な配置を確実にする、ことができる。すべての電池セルの有効かつ安定した支持を確実にするために、セルホルダを特に簡単に構成することが可能である。
【0017】
このセルホルダは、複数の部分から構成する場合には特に好ましい。特に好ましくは、セルホルダは2つの部分からなる。特に、セルホルダは、長手方向軸に垂直な平面内で2つの部分に分割する。したがって、特に単純で安価にセルホルダを製造することができる。さらに、セルホルダの簡単な組み立てを確実にする。
【0018】
セルホルダの第1のセルホルダ部分は、ホルダ毎に1つの軸方向の固定ストッパを有することが望ましい。固定ストッパは、電池セルが軸方向に接触する固定接触点をセルホルダに形成する。第2のセルホルダ部分は、少なくとも第1のばね要素を有する。複数のばね要素を設ける場合には、全てのばね要素は、第2のセルホルダ部分に形成する。2つのセルホルダ部分を軸方向に付勢することによって、電池セルを互いに対して固定する。この場合に、ばね要素は、電池セルを固定ストッパに押し付ける。このようにして電池セルを特に簡単にセルホルダ内に配置し、固定することができる。さらに、2つのセルホルダ部分をセルホルダの長手方向軸に沿って互いに対して変位させることによって、電池セルをホルダ内に固定するためのばね力を、特に簡単かつ柔軟にそれぞれの要件に適合させることができる。
【0019】
第1セルホルダ部分は、電池セルの電流を取り出すための接触プレートである場合、特に好ましい。この接触プレートは、好ましくは平坦なプレートである。接触プレートは、簡単に電池セルの電流を取り出すことを可能にするために、特に好ましくは金属で形成している。このため、電池セルの負極または正極を有する対応する端面は、有利には、接触プレートに平坦に接触することができる。これにより、セルホルダの特に簡単かつ安価な構造を達成することができる。
【0020】
特に好ましくは、第1セルホルダ部分および第2セルホルダ部分は、ホルダ毎に少なくとも1つのばね要素を有する。したがって、それぞれのホルダの軸方向の両端部にはそれぞれ1つのばね要素を設けており、このばね要素は、それぞれの電池セルを軸方向に対応するホルダ内で固定し、隣接する電池セルを半径方向に隣接するホルダ内で固定するように構成している。
【0021】
本発明はさらに、本発明による少なくとも1つのセルホルダを含むセルブロックに関する。さらに、セルブロックは、セルホルダのホルダ毎に1つの電池セルを含む。電池セルは、標準化された形式18650もしくは21700の形式、または任意の他の形式で提供してもよい。
【0022】
次に例示的な実施形態に基づいて図面に関連して本発明を説明する。図面において、機能的に同じ構成要素には同じの参照番号を付す。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第1の例示的な実施形態によるセルホルダの簡略化した概略図である。
【
図3】本発明の第2の例示的な実施形態によるセルホルダの簡略化した概略断面図である。
【
図4】本発明の第3の実施形態によるセルホルダの簡略化した概略断面図である。
【
図5】本発明の第4の実施形態によるセルホルダの簡略化した概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明の第1の例示的な実施形態によるセルホルダ1の簡略化された概略図を示す。セルホルダ1の平面図を示す。セルホルダ1は、第1のホルダ2、第2のホルダ3、および第3のホルダ4を備える。3つのホルダ2、3、4内には第1の電池セル21、第2の電池セル31、および第3の電池セル41が配置されている。3つのホルダ2、3、4は、周方向のハウジング壁10内に形成され、互いに平行に配置されており、これにより3つの電池セル21、31、41の長手方向軸はそれぞれ互いに平行な配列としている。第1の電池セル21の第1の長手方向軸28を
図2に一例として示しており、基準軸としての長手方向軸28は、セルホルダ1全体と全ての電池セル21、31、41との長手方向軸の整列を表している。さらに、第1ホルダ2、第2ホルダ3、および第3ホルダ4は、
図1に示すように、三角形に、時計回りの方向に互いに隣接して配置する。3つの電池セル21、31、41の中間には、スペーサ15を配置し、これは、さもなければ空となる残りの空間を埋める。
【0025】
それぞれのホルダ2、3、4内の3つの電池セル21、31、41の確実かつ安定した配置を可能にするために、セルホルダ1は、3つのばね要素5、6、7を備える。第1のばね要素5は、第1ホルダ2と第2ホルダ3との間に配置している。さらに、第2のばね要素6が、第1ホルダ2と第3ホルダ4との間に配置している。さらに、第3のばね要素7が第2ホルダ3と第3ホルダ4との間に配置している。3つのばね要素5、6、7は、3つの電池セル21、31、41をそれぞれ対応するホルダ2、3、4内で軸方向にも半径方向にも固定し、セルホルダ1内の所定の安定した位置に保持することを可能にする。ばね要素5、6、7の詳細な構成および機能については、第1のばね要素5を用いて
図2を参照して以下でより詳細に説明する。
【0026】
図2は、
図1のI-I線に沿った断面図の詳細を示す。第1ばね要素5は、第1ホルダ2と第2ホルダ3との間の領域において棒状に形成する。長手方向軸28の方向の上端部に、第1ばね要素5はフック状領域50を有する。このフック状領域50には、第1ばね要素5の第1のばね部分51と第2のばね部分52とを形成している。少なくとも第1ばね部分51および第2ばね部分52は、弾性材料で形成しており、以下に説明するようにホルダ2、3内に電池セル21、31を固定するために、2つの隣接する電池セル21、31にばね力を加えることができる。
【0027】
第1ばね要素5の第1ばね部分51は、第1電池セル21を第1ホルダ2内で軸方向に固定するように構成している。すなわち、第1ばね部分51は、第1ホルダ2に固定するために、第1電池セル21の長手方向軸28に平行な方向Aに第1のばね力を加える。この第1ばね力は、第1ばね部分51の軸方向、すなわち長手方向軸28に沿った撓みに依存する。第1ばね部分51は、第1電池セル21の周方向の肩領域210にのみ載るように形成している。したがって、第1電池セル21の上端面の中央に、肩領域210内に半径方向に配置した正極211には、例えば、第1電池セル21との電気接触のために自由に接近可能である。
【0028】
さらに第1ばね要素5は、第2ホルダ3内の第2電池セル31を半径方向に固定するように構成した第2ばね部分52を有する。すなわち、第2ばね部分52は、第2ホルダ3に固定するために第2のばね力を方向Bに第2電池セル31に加える。この第2ばね力は、半径方向、すなわち方向Bに平行な第2ばね部分52の撓みに依存する。
【0029】
特に
図1に示すように、第2電池セル31は、ハウジング壁10に直接に接触しておらず、第2ばね部分52と、ハウジング壁10から半径方向内側に突出する2つの半径方向ストッパ35、36との間に固定している。2つの半径方向ストッパ35、36および第2ばね部分52は、第2ホルダ3の周囲に分散して配置している。これにより、第2電池セル31の半径方向に3点の支持をもたらす。第1電池セル21は、同様に、第2ばね要素6の第3ばね部分61と第1ホルダ2の2つの半径方向のストッパ25、26との間で半径方向に固定している。断面線I-Iは第1ホルダ2のストッパ25を通って延びているので、このストッパ25は
図2に見ることができる。第3電池セル41は、同様に第3のホルダ4に固定している。
【0030】
第1ばね部分51および第2ばね部分52を有する第1ばね要素5の一体的な構成により、第1ばね部分51と第2ばね部分52とは互いに直接に結合している。これは、第1ばね部分51が、例えば方向Aと反対の軸方向に撓むと、第2ばね部分52が、例えば方向B(
図2参照)に撓むことを意味する。このことは反対方向にも起こる。したがって、第1ばね要素5を介して2つの電池セル21、31が自己補強式に固定する。
【0031】
第2ばね要素6および第3ばね要素7は、上述した第1ばね要素5の機能と同様に作用する。したがって、3つの電池セル21、31、41の各々は、それぞれのばね要素5、6、7によって、対応するホルダ2、3、4内に軸方向に固定される。それぞれのばね要素5、6、7は、時計回り方向に直に隣接する電池セル21、31、41を半径方向に固定する(
図1参照)。このように、セルホルダ1は、非常に簡単な方法で、少数の構成要素のみで、それぞれのホルダ2、3、4内の全ての電池セル21、31、41を特に簡単かつ効果的に保持することを可能にする。ばね要素5、6、7の特別で柔軟な構成によって電池セル21、31、41の外側寸法における、例えば10%の範囲の大きな許容差に対処することができ、セルホルダ1は、揺れ、衝撃または振動のような、電池セル21、31、41に対する外部の機械的な力を効果的に減衰させる。
【0032】
図3は、本発明の第2の例示的な実施形態によるセルホルダ1の簡略化した概略断面図を示す。この第2実施形態は、本質的に、
図1および
図2の第1実施形態に対応し、セルホルダ1は2つの部分により構成している。第2実施形態では、セルホルダ1は、第1のセルホルダ部分11と第2のセルホルダ部分12とを含む。第1セルホルダ部分11はそれぞれ、ホルダ2、3、4毎にそれぞれ1つの軸方向の固定ストッパ111、112を有し、
図3には、第1ホルダ2および第2ホルダ3の2つの固定ストッパ111、112のみを示している。2つの固定ストッパ111、112は、第1セルホルダ部分11内の止まり穴状の凹部として形成しており、それぞれ、第1セルホルダ部分11における電池セル21、31の軸方向の端部に対する固定接触点を形成する。
【0033】
第2セルホルダ部分12には、ばね要素5、6、7が設けている。ばね要素5、6、7は、固定点120によって第2セルホルダ部分12に結合しており、厳密な結合の形式は詳細には示さないが、特に、様々な形式で、例えばロッドまたはジョイントによって行うことができる。必要なことは、第1ばね部分51および第2ばね部分52の撓みが、固定点120によって制限されないことである。
【0034】
2つのセルホルダ部分11、12が長手方向軸28に平行にそれぞれ反対の方向の付勢力F1もしくはF2によって互いに付勢されることによって、ばね要素5、6、7のその特別な構成によって、バッテリセル21、31、41に作用するばね力に影響を及ぼし、必要に応じて調節することができる。例えば、2つのセルホルダ部分11、12は、電池セル21、31、41の安定した支持を確実にするために、大きな振動負荷を有する環境において強く付勢することができる一方、他の環境においては、確実な支持のためにより小さい付勢力があれば十分な場合もある。
【0035】
図4は、本発明の第3の例示的な実施形態によるセルホルダ1の簡略化した概略断面図を示す。この第3例示的実施形態は、第1セルホルダ部分11の代替的な実施形態を有する
図3の第2例示的実施形態に本質的に対応する。第3例示的実施形態では、第1セルホルダ部分11は、長手方向軸28に垂直に配置された平坦な接触プレートとして構成している。接触プレート11は金属で形成しており、電池セル21、31、41の負極212で簡単に電流を取り出すことを可能にする。
図3の第2実施形態のように、接触プレート11および第2セルホルダ部分12と、バッテリセル21、31、41に対するばね力を調整するために、反対の付勢力F1もしくはF2によって付勢することができる。
【0036】
図5は、本発明の第4の例示的な実施形態によるセルホルダ1の簡略化した概略断面図を示す。第4のこの例示例は、第1セルホルダ部分11のさらなる代替的な実施形態を有する
図3の第2例示例に本質的に対応している。本第4実施形態では、第1セルホルダ部分11は、第2セルホルダ部分12と同じであり、垂線に対して180°回転している。したがって、それぞれのホルダ2、3、4の軸方向両端にばね要素5、6、7、5′、6′、7′を設けており、図示の都合上、
図5にはばね要素5、5′、7′のうちの3つのみを示す。それぞれのバッテリセル21、31、41は、軸方向両端部で弾性的に固定される。
図3および
図4の第2および第3の例示的実施形態と同様に、電池セル21、31、41に対するばね力を調整するために、2つのセルホルダ部分11、12を、反対方向の付勢力F1もしくはF2によって付勢することができる。
【0037】
分かりやすくするため、上記実施形態には、セルホルダ1のホルダ2、3、4の3つまたは2つしか示していないことに留意されたい。すなわち、本発明によるセルホルダ1には、ホルダ2、3、4を任意の数、ただし少なくとも2つ設けることができる。