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特許7576407固定工具及び硬化後の固定具較正のための方法、システム、及びヘッダ構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-23
(45)【発行日】2024-10-31
(54)【発明の名称】固定工具及び硬化後の固定具較正のための方法、システム、及びヘッダ構造
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/24 20060101AFI20241024BHJP
   B64F 5/10 20170101ALI20241024BHJP
   G01B 21/20 20060101ALN20241024BHJP
【FI】
G01B11/24 A
B64F5/10
G01B21/20 C
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020072210
(22)【出願日】2020-04-14
(65)【公開番号】P2020197524
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2023-03-31
(31)【優先権主張番号】16/384,533
(32)【優先日】2019-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ボロウィッチ, クリフォード ディー.
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第3434459(EP,A1)
【文献】特開2018-176185(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G01B 21/00-21/32
B64F 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造中に外面(73)及び内面(72)を含むパネル(70)にもたらされる偏差を決定するための固定工具較正の方法(100)であって、
前記パネル(70)が固定工具(62)に固定される間に、前記パネル(70)の前記内面(72)の第1の3D表面スキャンを生成するために、第1のスキャンを実行すること(102)であって、前記パネル(70)の前記外面(73)が前記固定工具(62)に面するように、前記固定工具(62)が、前記パネル(70)の形成中に前記パネル(70)を支持するように構成される、第1のスキャンを実行すること(102)と、
前記第1のスキャンを実行した(102)後に、前記パネル(70)を前記固定工具(62)から取り外すこと(104)と、
設計通りの前記パネル(70)のサイズと形状に対応する基準構成で前記パネル(70)を保持するように構成されたヘッダ構造(64)に、前記パネル(70)を固定し(106)、前記基準構成で前記パネル(70)を保持することと、
前記パネル(70)が前記ヘッダ構造(64)によって前記基準構成で保持される間に、前記パネル(70)の前記内面(72)の第2の3D表面スキャンを生成するために第2のスキャンを実行すること(108)と、
前記第1の3D表面スキャンと前記第2の3D表面スキャンとの間の偏差に対応する変形関数を決定すること(110)と
を含む方法(100)。
【請求項2】
前記固定工具(62)がレイアップマンドレルを含む、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項3】
前記ヘッダ構造(64)が複数の発泡体ヘッダ(78)を含む、請求項1又は2に記載の方法(100)。
【請求項4】
前記パネル(70)を前記基準構成で保持することが、真空に引くこと(116)により、前記パネル(70)が前記基準構成になるまで、前記パネル(70)を前記ヘッダ構造(64)に押し付けることを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項5】
前記パネル(70)のすべての重要な接合面を支持するように、複数の発泡体ヘッダ(78)を位置付けることによって、前記複数の発泡体ヘッダ(78)から前記ヘッダ構造(64)を形成すること(118)と、
前記ヘッダ構造(64)が前記パネル(70)を前記基準構成で保持するように構成されることを確認すること(120)と
を更に含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項6】
前記第1のスキャンを実行すること(102)が、3Dスキャニングデバイス(66)を使用して前記パネル(70)をスキャンすることを含み、前記第2のスキャンを実行すること(108)が、前記3Dスキャニングデバイス(66)を使用して前記パネル(70)をスキャンすることを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項7】
前記3Dスキャニングデバイス(66)が、飛行時間型の3Dレーザスキャナ、三角測量ベースの3Dレーザスキャナ、手持ちタイプのレーザスキャナ、立体照明3Dスキャナ、変調光3Dスキャナ、レーザパルスベースの3Dスキャナ、及びレーザ位相シフト3Dスキャナからなるグループから選択された1つ又は複数を含む、請求項6に記載の方法(100)。
【請求項8】
前記変形関数を決定すること(110)が、前記変形関数をマッピングすることを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項9】
前記パネル(70)のOML面に対して前記パネル(70)のIML面を確立することを更に含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項10】
前記変形関数を使用して、前記パネル(70)の前記基準構成と比較して、前記内面(72)の任意の偏差を補償すること(122)を更に含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項11】
前記固定工具(62)の第2のパネル(70)の製作中に、前記固定工具(62)の工具偏差を補正するために前記変形関数を適用することを更に含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項12】
一組のパネル外板で前記第1のスキャン及び前記第2のスキャンを実行し(102、108)、前記一組のパネル外板を特徴付けて、前記一組のパネル外板の各々のパネル外板のIML面と、前記一組のパネル外板の各々のパネル外板のOML面との間のオフセット距離のデータセットを生成することを更に含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項13】
予測シミングを実行するために、既知のデータ分析と組み合わせて、前記変形関数を使用することを更に含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項14】
前記変形関数を使用して、前記パネル(70)をOML基準構成まで実際に屈曲させること(112)を更に含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、固定工具(tooling fixture)及び硬化後の固定具(post-cure fixture)の較正方法に関し、より具体的には、固定工具及び硬化後の固定具を較正するために表面をスキャンする方法、及びいくつかの開示された方法で使用するためのシステム及びヘッダ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図1には、複合パネル外板12などの複合構造から構築されうる装置10の例が、航空機14の形態で提示される。航空機14は、例えば、航空機14の特定の構成及び/又は機能に応じて、乗客、乗員、貨物及び/又は機器を保持するための航空機14の本体に概して対応する胴体16を含む。胴体16は、細長く、いくらか円筒状又は管状であり、胴体16に沿って長手方向に間隔を置いて配置され、かつ胴体16を画定するように機能的にまとめて結合される複数の胴体セクション18から構築される。航空機14はまた、翼22、水平安定板24、及び垂直安定板26を含み、これらは各々、単一の構造として、又は連続的にまとめて組み立てられるサブセクションとして構築されうる。胴体16、胴体セクション18、翼22、水平安定板24、垂直安定板26、及び/又はそれらの構造的サブセクションのうちの1つ又は複数は、1つ又は複数の複合パネル外板12を使用して構築されうる。
【0003】
図2は、図1の航空機14の胴体セクション18のうちの1つを形成するために使用される、複合パネル外板12の例示的かつ非限定的な例を示す。いくつかの複合パネル外板12は、図2に示されるように、構造的フレーム28に機能的に結合され、かつ構造的フレーム28によって支持される。複合パネル外板12は、胴体16の外側形状を画定するものと説明することができる。図3a及び3bは、図1の航空機14の翼22などの航空機の翼を形成するために使用される、複合パネル外板12の別の非限定的な例を示す。図3a-3bに示されるように、翼22は、複数の複合パネル外板12を内側フレーム30に固定することによって、形成されうる。内側フレーム30は、複数のリブ32及びスパー34(図3a)から形成され、1つ又は複数の複合パネル外板12が内側フレーム30(図3b)に固定され、翼22を形成する。翼22はまた、フラップ36、補助翼38、及び翼キャップ40を含みうる。
【0004】
航空機14、胴体16、及び/又は対応する複合パネル外板12を参照するときに本明細書で使用される際に、「内側」及び「外側」という用語は、対応する複合構造の、径方向内部に向かう側及び径方向外部に向かう側をそれぞれ指す。したがって、複合構造又はその構成要素部分の外側は、概して、複合構造から反対側を向き、内側は、概して、複合構造によって画定される内部空間に面している。例えば、胴体セクション18(図2)の外側42が、複合パネル外板12のそれぞれの外面43によって画定される一方で、胴体セクション18の内側44は、複合パネル外板12のそれぞれの内面45によって画定され、胴体セクション18の内側空間46に面している。同様に、翼22(図3b)の外側48が、複合パネル外板12のそれぞれの外面43によって画定される一方で、翼22の内側50は、複合パネル外板12のそれぞれの内面45によって画定され、内側フレーム30に面するように配置される。胴体16又は翼22を形成するために使用されるもの以外の複合パネル外板12に関して、及び/又は航空機14以外の装置10に関して、類似の相対的用語が使用されてもよい。このような外面はまた、本明細書では、外側モールド線(「OML」)面と称され、内面はまた、本明細書では、内側モールド線(「IML」)面と称されることがある。
【0005】
複合パネル外板12などの複合構造は、概して、複合材料の複数の層をモールド工具、又はレイアップマンドレルのような固定工具上に積層することによって形成される。複合材料は、真空下に置かれ、硬化され、その後、硬化後の処理のために固定工具から除去される。複合部品は、一方の側(「工具側」)が固定工具に対して配置され、もう一方の側が固定工具と反対側(「バッグ側(bag side)」)に向かって、形成されることが多い。特定の部品及びその用途次第で、複合部品は、内側(IML)表面又は外側(OML)表面のどちらかがモールドに向かって形成されることもある。図4は、IML-制御されたモールド工具52の例を示しており、複合部品(図2の胴体セクション18の複合パネル外板12のうちの1つなど)は、複合パネル外板12の内面45が凸型モールド面54に対して配置された状態で、形成されうる。図5は、OML-制御されたモールド工具56の例を示しており、この工具は、複合パネル外板12の外面43が凹型モールド面58に対して位置付けられていることを除き、図4のIML-制御されたモールド工具52と同じ複合部品を生成するために使用されうる。航空機の複合パネル外板は、概して、OML工具で処理され(例えば、概してOML-制御されたモールド工具上で形成され)、最終的にパネルの外面になる表面が、モールド工具に当たるように置かれる。このことは、気流にさらされる表面の滑らかさを高めるのに役立ち、他方で、複合部品のバッグ側の表面は、例えば、バギングプロセス、部品を通る樹脂の流れ、サブアセンブリの配置(例えば、航空機の翼アセンブリの場合、ストリンガの配置)、プライの積み重ね順序、及び/又は部品を形成するために使用される個々のプライにおける厚さの変動に起因して、ツール側よりも多くの変動を受けることがよくある。
【0006】
従来のパネル製造プロセスを通して、偏差が原因となり、部品がその工学的基準設計状態から逸脱してしまうことがよくある。例えば、結合アセンブリ、工具偏差、バギング、硬化、バギング解除、検査、トリミング、穴あけ、及び/又は塗装のすべてが、その基準構成と比較して、製造された部品の偏差に貢献する可能性がある。しばしば、パネルの残留応力に起因して、硬化後に固定工具が除去される際に、複合パネル外板が、固定工具から「飛び出す(spring off)」ことになる。パネル外板は、次いで、トリミング及び穴あけといった硬化後の工程中にパネル外板を保持する、別個の硬化後の固定具により保持される際に、わずかに異なる形状をとることになる(硬化後の固定具によって部品に加えられる個別の荷重によるものであり、これらの部品は、概して大きく、半順応性があるためである)。
【0007】
組み立て時に、サブ構造が、硬化後の固定具と同じように部品に負荷をかけないため、部品は通常、硬化後の固定具で保持されたときの構成に再び変形することはない。したがって、硬化後の固定具の偏差(例えば、硬化後の固定具によって保持されているときの部品の正確な形状と、部品の基準構成との間の不一致)が、最終部品の偏差につながる可能性がある。特定の例では、硬化後の固定具に存在する任意の偏差が、部品にドリルで開けられた穴の配置、エッジトリミング精度、及び/又は部品の最終形状に影響を与える可能性がある。このような偏差は分離が難しく、部品で実行される表面スキャンの完全性を損なう可能性があり、製造に未知のものをもたらす。しかしながら、製造環境における硬化後の固定具の精度は、維持するのにコストが非常にかかり、及び/又は難しい場合がある。
【0008】
硬化後の固定具がパネル外板を保持する方法における偏差の補償は、概して、時間とコストがかかり、場合によっては、パネル外板が組み立てられている部品又はサブ構造の犠牲的な機械加工(例えば、航空機の翼アセンブリのリブの犠牲的な機械加工)、及び/又はシムの配置が必要になることがある。硬化後の固定具の偏差を補償するための他の従来の技術には、部品の片側を正確に保持する専用の硬質の工具が含まれる。しかしながら、このような専用の硬質の工具では、複数の工具設定と、より多くのトリム/ドリルガントリが必要になり、それらの各々が製造時間と資本工具コストを押し上げるため、製造が制限される。
【発明の概要】
【0009】
本開示のシステム及び方法は、硬化後に複合パネル(例えば、大規模な半順応性構造(semi-compliant structure))の2つの異なる3次元表面スキャンを比較することによって、工具偏差を決定及び補正することを提供する。そのような方法及びシステムは、予測シミング及びシムレスの技術に十分な量の精度をなおも維持しつつ、あまり精密ではない硬化後の固定(例えば、従来技術の技法と比較して、拘束の少ない状態でのパネル保持)を許容する。硬化後の固定具に対する単純化された工具制約が、また更なるコスト回避を提供することがある。開示される方法及びシステムは、概して、パネルの内側モールド線(IML)表面に対してパネルの外側モールド線(OML)表面を確立することを含む。
【0010】
製造中にパネルにもたらされる偏差を決定するための硬化後の固定具較正の1つの例示的な方法は、パネルが固定工具又は硬化後の工具に固定される間に、パネルの内面の第1の3次元表面スキャンを生成するために、第1のスキャンを実行することと、パネルがヘッダ構造によって基準構成で保持される間に、パネルの内面の第2の3次元表面スキャンを生成するために、第2のスキャンを実行することとを含む。固定工具は、パネルの外面が固定工具に面した状態で、パネルの形成中に、パネルを支持するように構成される。方法はまた、パネルを固定工具(又は硬化後の固定具)から取り外すことと、第1のスキャンが実行された後に、パネルをヘッダ構造に固定することとを含む。ヘッダ構造は、パネルを基準の設計通りの状態で保持するように特に構成され、その2つのスキャンの間の差が、固定工具又は硬化後の固定具内に存在する偏差を反映する。方法はまた、第1の3次元表面スキャンと第2の3次元表面スキャンとの間の偏差に対応する変形関数を決定することを含む。
【0011】
他の本開示の方法は、製造中にパネルにもたらされる偏差を決定するためのミラー型スキャニングを含む。そのような方法は、固定具を介して少なくとも2つの場所でパネルを保持することによって、パネルを固定することを含む。パネルが固定具によって保持される間に、第1の計測スキャンがパネルの外面で実行され、第2の計測スキャンがパネルの内面で実行される。それぞれの計測スキャンは、同一の参照フレームに関して各々実行され、パネルの外面の第1の3次元表面スキャン及びパネルの内面の第2の3次元表面スキャンのそれぞれがもたらされる。方法はまた、第1の3次元表面スキャン及び第2の3次元表面スキャンを使用して、OML面に対してパネルのIML面を決定し、パネルを形成するために使用される固定工具又は硬化後の固定具の工具偏差を特徴付けることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】1つ又は複数の複合パネル外板から形成されうる航空機の先行技術の斜視図である。
図2】先行技術例の複合パネル外板である。
図3a】先行技術例の、航空機の翼アセンブリの内側フレームである。
図3b図3aの内側フレームを含む、先行技術例の航空機の翼アセンブリである。
図4】先行技術のIML-制御されたモールドツールである。
図5】先行技術のOML-制御されたモールドツールである。
図6】本開示による、工具較正システムの非限定的な例の概略的なブラックボックス図である。
図7】本開示による、工具較正で使用するヘッダ構造の例である。
図8】本開示による、ヘッダ構造によって制約されつつ、表面スキャニングを受ける複合パネルの例である。
図9図7のヘッダ構造の一部のクローズアップ図である。
図10】本開示による、複合パネルをヘッダ構造に固定するための取付点の例を示す、複合パネルの例である。
図11】本開示による、固定工具(及び/又は硬化後の固定具)較正の方法の概略フローチャート図である。
図12】本開示による、工具較正のミラー型スキャニングシステムの非限定的な例の概略図である。
図13】本開示による、ミラー型スキャニング方法の概略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
開示される方法、システム及び装置は、製造(例えば、レイアップ及び硬化)中に、複合パネル外板といった部品を保持するように設計された固定工具に発生する偏差及び/又は硬化後の製造工程中に部品を保持するように設計された硬化後の固定具に発生する偏差を特定及び/又は補償することが目的である。このような開示される方法、システム及び装置は、例えば、シムレス又は予測シミング用途に、及び/又は航空機の翼及び胴体製造といった大規模な半順応性構造の組み立ての際に有用であり得る。
【0014】
概して、図面において、所与の(すなわち特定の)実施形態に含まれる可能性の高い要素が実線で示される一方、所与の実施形態に対してオプションである要素は、破線で示される。しかし、実線で示される要素がすべての実施形態に必須というわけではなく、実線で示される要素は、本開示の範囲を逸脱しなければ、所与の実施形態から省略されてもよい。同様の又は少なくとも実質的に同様の目的に適う要素には、図面において類似の番号が表示され、これらの要素については、本明細書において、各図面を参照する際に詳細が述べられないこともある。同様に、すべての要素が各図面に表示されるわけではないが、本明細書においてそれらに関連する参照番号が一貫して使用されることもある。1つ又は複数の図面を参照して本明細書に記載される要素、構成要素及び/又は特性は、本開示の範囲から逸脱することなく、任意の他の図面に含まれ、及び/又は任意の他の図面に従って利用されることがある。同様に、方法のフローチャートを示す図では、いくつかのステップが破線のボックスで示され、そのようなステップはオプションであってもよく、又は本開示による方法のオプションのバージョンに対応しうることを示している。とはいえ、本開示によるすべての方法が、実線で囲まれたステップを含む必要があるわけではない。本明細書の説明から理解されるように、図面に示される方法及びステップは限定的なものではなく、他の方法及びステップは本開示の範囲内であり、例示されるステップより多い又は少ない数のステップを有する方法が含まれる。
【0015】
図6は、製造中にパネルにもたらされる偏差を決定するための固定具較正のシステム60の例を概略的に示す。システム60は、概して、固定工具62、ヘッダ構造64、スキャニングデバイス66、及び処理ユニット68を含む。固定工具62は、複合パネル70の形成中に、複合パネル70を支持する。例えば、固定工具62は、複合材料の複数の層が配置及び硬化され、複合材料の層が、固定工具62の形状をとる複合パネル70を形成する、レイアップマンドレルであってもよい。いくつかの例では、固定工具62は、複合パネル70が形成される間に、複合パネル70の外面が固定工具62に面するように、OML-制御されてもよい。これらの例では、内面72は、形成中に固定工具62から反対側を向く。他の例では、固定工具62は、パネルが形成される間に、複合パネル70の内面72が固定工具62に面するように、IML-制御されてもよい。システム60のいくつかの例では、固定工具62は、トリミング及び穴あけといった硬化後の工程のために複合パネル70を保持するように設計されている、硬化後の固定具63であってもよい。
【0016】
スキャニングデバイス66は、固定工具62(又は硬化後の固定具63)から反対側を向く複合パネル70の表面の第1の3次元表面スキャンを実行するように構成される。例えば、スキャニングデバイス66は、複合パネル70が固定工具62によって支持される間に(例えば、パネルが、レイアップマンドレル又は他の固定工具62から取り外しされる前に)、複合パネル70の内面72の第1の3次元表面スキャンを実行するように構成されうる。第1の3次元表面スキャンが実行された後に、複合パネル70は、固定工具62(又は硬化後の固定具63)から取り外しされ、複合パネル70を基準構成で保持するように構成されるヘッダ構造64に固定される。基準構成は、設計通りの複合パネル70のサイズ及び形状に対応し、複合パネル70の残留応力に起因して、複合パネル70により固定工具62が「飛び出し(spring off)」、よってその意図又は設計された基準構成から外れたとしても、ヘッダ構造64は、複合パネル70を正確な基準構成に保持及び支持するように構成される。いくつかの例では、ヘッダ構造64は、製造又は成形しやすい材料から形成されてもよく、したがって、ヘッダ構造64は、基準からの偏差ができるだけ少ない複合パネル70を保持する比較的安価な方法として役立ちうる。1つの例では、ヘッダ構造64は、発泡体ヘッダから形成されてもよいが、他の材料も、本開示の範囲内にある。ヘッダ構造64はまた、複合パネル70が固定工具62によって保持されるときよりも多くの接合面で、複合パネル70を拘束可能にする。複合パネルがヘッダ構造64によっていったん固定されると、複合パネル70がヘッダ構造64によってその基準構成に保持される間に、スキャニングデバイス66は、次いで、第1の3次元表面スキャン(例えば、内面72)中に同じく表面スキャンされる第2の3次元表面スキャンを実行しうる。
【0017】
第1及び第2の3次元表面スキャンを比較することによって、固定工具62(又は硬化後の固定具63)によって保持される複合パネル70の構成と、複合パネル70(ヘッダ構造64によって保持される)の基準構成との間の差が、特定されうる。したがって、第1の3次元表面スキャンと第2の3次元表面スキャンとの間の差が、固定工具62(又は硬化後の固定具63)に存在する工具偏差を反映する。処理ユニット68は、それら2つの間の偏差に対応する変形関数を決定するために、第1及び第2の3次元表面スキャンを分析及び処理するように構成される。
【0018】
スキャニングデバイス66は、複合パネル70から離間した非接触スキャニングデバイスであってもよい(又はその非接触スキャニングデバイスを含んでもよい)。例えば、スキャニングデバイス66は、飛行時間型の3Dレーザスキャナ、三角測量ベースの3Dレーザスキャナ、ハンドヘルド(手持ちタイプの)レーザスキャナ、立体照明3Dスキャナ、変調光3Dスキャナ、立体ビデオカメラシステム、測光カメラシステム、レーザパルスベースの3Dスキャナ、レーザ位相シフト3Dスキャナ、及び/又はライダシステムの形態をとってもよい。追加的に又は代替的には、スキャニングデバイス66は、スキャン中に複合パネル70に物理的に接触するように構成された接触スキャニングデバイスであってもよい(又はその接触スキャニングデバイスを含んでもよい)。例えば、スキャニングデバイス66は、座標測定機(CMM)、走行台車から吊り下げられた関節式アーム、及び/又はタッチプローブの形態をとってもよい。
【0019】
いくつかのシステム60は、複合パネル70がその基準構成になるまで、複合パネル70をヘッダ構造64に押し付けるように構成された、真空システム74を含みうる。
【0020】
図7は、ヘッダ構造76の形態のヘッダ構造64の例を示し、他方で、図8は、スキャニングデバイス66の例によってスキャンされる間に、ヘッダ構造76に固定され、かつヘッダ構造76によって支持される複合パネル70の例を示す。図7-8の例は、排他的ではなく、ヘッダ構造64、複合パネル70、又はスキャニングデバイス66を、図7-8の図示された実施形態に限定するものではない。すなわち、ヘッダ構造64、複合パネル70、及びスキャンニングデバイス66は、図7-8に示されているものの特定の実施形態に限定されず、ヘッダ構造64、複合パネル70、及びスキャンニングデバイス66は、図6の概略図及び/又は図7-8の実施形態、並びにそれらの変形例を参照して検討される様々な態様、構成、構成、特性、プロパティなどを包含する必要なしに、いくつでも組み込むことができる。説明を簡潔にするために、前述の構成要素、部品、部分、態様、領域等、又はそれらの変形例の各々は、図7-8で再び説明、図解、及び/又は分類されることはないかもしれないが、前述の特徴や変形例等が図7-8に示される例において利用されうることは、本開示の範囲内である。
【0021】
図7に最もよく見られるように、ヘッダ構造76は、複数の発泡体ヘッダ78を含むが、他の例では、他の材料から形成されたヘッダが、発泡体ヘッダ78の代わりに使用されてもよい。発泡体ヘッダ78は、複合パネルをその基準構成で保持するために、互いに関してサイズ決定され、形状決定され、かつ配置される。図7に示すように、発泡体ヘッダ78は、発泡体ヘッダ78が1つ又は複数の細長い支持体80に固定された状態で、互いに離間して配置されてもよい。図7に示された例では、ヘッダ構造76は、2つの外側支持体82が、中間支持体84より長く、その両側に位置付けられている状態で、3つの細長い支持体80を含む。他の例では、細長い支持体80の他の構成が使用されてもよい。例えば、ヘッダ構造64は、より多くの又はより少ない中間支持体84及び/又はより多くの又はより少ない外側支持体82を含む、より多くの又はより少ない細長い支持体80を含んでもよい。各発泡体ヘッダ78は、概して、少なくとも2つの細長い支持体80に固定され、他方で、1つ又は複数のそれぞれの発泡体ヘッダ78は、1つ又は複数の他のそれぞれの発泡体ヘッダ78とは異なる細長い支持体80(及び/又はより多くの又はより少ない細長い支持体80)に固定されてもよい。例えば、発泡体ヘッダ78aは、外側支持体82及び中間支持体84の両方に固定され、一方で、発泡体ヘッダ78bは、外側支持体82に固定されるが、中間支持体84には固定されない。いくつかの例では、発泡体ヘッダ78は、細長い支持体80に固定され、次いで、適所で機械加工され、ヘッダ構造76が、複合パネルを、可能な限りその基準構成付近に制約するよう適切に構成されていることを保証する。もちろん、ヘッダ構造76の他の例は、より多くの又はより少ない発泡体ヘッダ78を含んでもよく、発泡体ヘッダ78の数及び相対的な位置付けは、ヘッダ構造76の特定のニーズ、並びに複合パネルの基準構成の形状、サイズ及び/又は複雑さによって決定されている。
【0022】
各々の発泡体ヘッダ78は、それぞれの上面86及びそれぞれの下面88を含みうる。図9は、図7のヘッダ構造76の一部のクローズアップ図を示す。図9に最もよく見られるように、1つ又は複数のそれぞれの発泡体ヘッダ78の上面86は、真空ポートグリッド90を含み、この真空ポートグリッド90は、複合パネルのヘッダ構造76上への位置付けを助けることがある。例えば、真空ポートグリッド90は、複数の溝、又はチャネルを含んでもよく、これらはそれぞれ、ヘッダ構造76に機能的に結合された真空システム(例えば、真空システム74)を介して、空気の移動を可能にする。いくつかの例では、ヘッダ構造76は、真空ポートグリッド90の溝内に位置付けられたシール(例えば、ゴムシール又はガスケット)を含み、真空を、ヘッダ構造76によって制約されている複合パネルに適用するのを助ける。真空ポートグリッド90を介して真空が引かれると、複合パネルが引っ張られ、発泡体ヘッダ78の上面86と接触し、これにより、複合パネルがその基準構成に制約される。真空ポートグリッド90、又は複合パネルをヘッダ構造に固定するための他の真空システムを含む、このようなヘッダ構造64は、時に真空固定具と称されることがある。いくつかの例では、真空ポートグリッド90の位置及び/又は真空システムを機能的に結合する穴の位置は、複合パネルがヘッダ構造64によって制約及び/又は支持される間に起こりうる、穴あけなどの他の製造工程の干渉を回避するために選択される。
【0023】
発泡体ヘッダ78は、概して、細長い支持体80に対して配置され、発泡体ヘッダ78のそれぞれの下面88が、細長い支持体80に面し、及び/又は細長い支持体80と係合(例えば、接触)する一方で、発泡体ヘッダ78の上面86は、ヘッダ構造76によって支持及び制約されている複合パネルに面し、かつその複合パネルに係合する。図8に最もよく見られるように、複合パネル70は、ヘッダ構造76に固定され、複合パネル70の工具側の面が発泡体ヘッダ78に面する。例えば、OML-工具処理された複合パネル(例えば、モールド工具に対して、外面、又はOML面により形成される複合パネル)について、外面73は、発泡体ヘッダ78の上面86に位置付けられ、複合パネル70がヘッダ構造76によって保持されている間に、内面72は、スキャニングデバイス66に面し、かつスキャニングデバイス66によってスキャンされる。
【0024】
複合パネル70は、概して、複数の取付点でヘッダ構造76に固定されるが、少なくとも2つの取付点を介している。例えば、複合パネル70は、発泡体ヘッダ78ごとに少なくとも1つの取付点で固定されてもよい。いくつかの例では、複合パネル70は、発泡体ヘッダ78ごとに少なくとも2つの取付点で固定されてもよい。いくつかの例では、複合パネル70は、ヘッダ構造76の発泡体ヘッダ78のサブセットに固定されてもよいが、他の例では、複合パネル70は、ヘッダ構造76の各発泡体ヘッダ78に固定されてもよい。いくつかの例では、取付点は、複合パネル70をその基準構成で保持するために、互いに対して選択的に制御されるように構成される。例えば、1つ又は複数のそれぞれの発泡体ヘッダ78の位置及び/又は配向は、選択的に調節可能であり、複合パネル70のヘッダ構造76での保持の仕方を調節する。いくつかの例では、それぞれの発泡体ヘッダ78の角度は、1つ又は複数の細長い支持体80に関して選択的に調整されてもよく、及び/又はそれぞれの発泡体ヘッダ78は、1つ又は複数の細長い支持体80の長さに沿って、選択的に平行移動されてもよい。追加的に又は代替的には、1つ又は複数のそれぞれの発泡体ヘッダ78は、機械加工されてもよく、又は追加される材料を有していてもよく、複合パネルをその基準構成で保持するための1つ又は複数の取付点を選択的に制御する。
【0025】
いくつかの例では、ヘッダ構造64(例えば、ヘッダ構造76)は、複合パネルを複数の接合面の場所で保持するように構成されてもよく、接合面の場所が、複合パネルの基準構成に従い、確実に正確な場所にあるようにする。例えば、ヘッダ構造64は、リブ及びスパーの場所で、複合パネルをそのOML基準構成に保持するように設計及び構成されてもよく、複合パネルは、複合パネルが最終的に取り付けられる翼アセンブリのリブ及びスパーに連結する(又は噛合する)ことになる。例えば、図10は、複合パネル92の形態をとる、複合パネル70の例を示す。複合パネル92は、リブ-スパーアセンブリ(例えば、図3aの内側フレーム30)に取り付けられるように設計され、複合パネル92は、ある接合面で、そのリブ-スパーアセンブリと係合するようになる。例えば、複合パネル92は、パネルが組み立てられると、リブ-スパーアセンブリのスパーフランジに係合するように設計される複合パネル92に沿って実質的に長手方向に延びる、スパーフランジ接合面94を含む。同様に、複合パネル92は、複合パネルが組み立てられると、リブ-スパーアセンブリのリブ及び/又はシヤタイと係合するように設計されるリブ/シヤタイ接合面96を含む。本開示によるいくつかのヘッダ構造64は、特に、複合パネル92がヘッダ構造64によって保持されると、そのようなスパーフランジ接合面94及びリブ/シヤタイ接合面96が、正確な基準構成で確実に保持されるように構成される。いくつかの例では、開示されたヘッダ構造64は、複合パネルが固定工具に固定される間に許容されるよりも多くの接合面で複合パネルを制約するように構成されてもよい。
【0026】
使用時に、図6-9のシステム60及びヘッダ構造64は、固定工具(例えば、固定工具62)及び/又は硬化後の固定具(例えば、硬化後の固定具63)を較正し、製造中にパネル(例えば、複合パネル70)にもたらされる偏差を決定するために使用されてもよい。特定の例では、システム60及び/又はヘッダ構造64は、航空機の翼及び/又は胴体のパネルの製造に使用されてもよい。追加的に又は代替的には、システム60及び/又はヘッダ構造64は、シムレス又は予測シミングの用途において使用されてもよい。図11は、本開示による、そのような方法100の例示的かつ非限定的な例を表すフローチャート図を概略的に提示する。
【0027】
方法100は、概して、102において、パネルの第1のスキャンを実行することと、104において、固定工具又は硬化後の固定具からパネルを取り外すことと、106において、パネルをヘッダ構造(例えば、ヘッダ構造64)に固定することと、108において、パネルの第2のスキャンを実行することと、110において、変形関数を決定することとを含み、これにより、パネルが形成されていた間に、固定工具又は硬化後の固定具によってもたらされた偏差を決定する。102において、パネルの第1のスキャンを実行することは、パネが固定工具(例えば、レイアップマンドレル又は他のモールド工具)に固定される間に、又はパネルが硬化後の固定具に固定される間に、実行される。OML-制御された固定工具の場合、パネルが、硬化後になおも固定工具上にある間に、パネルの外面は、固定工具に面しており、したがって、102において第1のスキャンを実行することは、パネルの内面をスキャンすることによって実行されるだろう。102において第1のスキャンを実行することは、スキャンされる表面(例えば、パネルの内面)の第1の3次元表面スキャンを生成することを含む。もちろん、固定工具がIML-制御された固定工具である例では、パネルの内面が固定工具に面している間に、第1のスキャンが、パネルの外面で実行されるだろう。
【0028】
102において第1のスキャンが実行された後に、104においてパネルが固定工具又は硬化後の固定具から取り外しされ、次いで、106においてヘッダ構造に固定され、ヘッダ構造は、設計通りのパネルのサイズ及び形状に対応する基準構成で、パネルを保持するように構成されている。106において、いったんパネルがそのように固定され、ヘッダ構造によって制約されと、108において、パネルがヘッダ構造に固定される間に、第2のスキャンが実行される。再び、OML-制御された固定工具上で形成されたパネルの場合、106において、パネルがヘッダ構造に固定されることになり、パネルの外面がヘッダ構造に面し、よって、108において第2のスキャンを実行することが、パネルの内面をスキャンすることによって実行されるだろう。108において第2のスキャンを実行することは、スキャンされる表面(例えば、パネルの内面)の第2の3次元表面スキャンを生成することを含む。もちろん、固定工具がIML-制御された固定工具である例では、パネルの内面がヘッダ構造に面している間に、第2のスキャンが、パネルの外面で実行されるだろう。第2のスキャン中に、ヘッダ構造がパネルをその基準構成で保持しているので、第2の3次元表面スキャンは、基準構成のパネルの3次元表面を表す。したがって、第1の3次元表面スキャンと第2の3次元表面スキャンとの間のいかなる差も、固定工具に固定されている間にパネルが保持された構成と、パネルの基準構成との間の差又は偏差を表す。110において変形関数を決定することは、第1の3次元表面スキャンと第2の3次元表面スキャンとの間の差(偏差)を決定し、この変形をマッピングし、固定工具又は硬化後の固定具に存在する偏差を決定するために使用され、よって、固定工具又は硬化後の固定具を較正し、及び/又は固定工具又は硬化後の固定具を使用して、将来のパネル製造時の所与の固定工具又は硬化後の固定具からそのような偏差を説明するために使用されてもよい。
【0029】
いくつかの方法100では、110において変形関数を決定することは、1つ又は複数の処理ユニット(例えば、処理ユニット68)によって実行される。いったん特定のパネルに対する変形関数が決定されると、その情報は、114において、パネルを他の構成要素と共に組み立てる(例えば、複合パネル70を航空機翼のリブ-スパーアセンブリに組み立てる)ために、112において、パネルを塑性変形、又は屈曲させる(実際に及び/又は物理的に)ために使用されてもよい。例えば、変形関数は、組み立て時のパネルのOMLが可能な限り基準値に近くなるように、リブ-スパーアセンブリとの組み立て中にパネルをどのように屈曲させるかを通知することができる。追加的に又は代替的には、変形関数は、112においてパネルを屈曲させ、パネルと、パネルが取り付けられるアセンブリとの間の間隙を最小化するために、使用されてもよい。112においてパネルを屈曲させることは、パネルの内面及び/又は外面を変形させることを含みうる。110において変形関数を決定することは、基準値から逸脱するパネルの特定の領域、及び/又はそれらの領域が基準値から逸脱する範囲を特定することを含みうる。110において変形関数を決定することはまた、そのような偏差を実際にマッピングすることと、パネルを構造の残りの部分に組み立てようとするときに、間隙がどこに位置するかを決定することを含みうる。
【0030】
いくつかの方法100は、基準構成でヘッダ構造に対してパネルを保持するために、116において真空に引くことを含む。追加的に又は代替的には、いくつかの方法100は、118において、複数の発泡体ヘッダ(例えば、発泡体ヘッダ78)からヘッダ構造を形成すること、及び/又は120において、ヘッダ構造がパネルを基準構成で保持するように構成されているのを確認するすることを含む。118において発泡体ヘッダを形成することは、パネルのすべての重要な接合面を支持するように、発泡体ヘッダを位置付けることを含みうる。例えば、発泡体ヘッダは、アセンブリの残りの部分と接合又は係合するパネルの表面を支持するように位置付けられてもよい。特定の例では、118においてヘッダ構造を形成することは、スパーフランジ接合面及び/又はパネルのリブ/シヤタイ接合面を支持するように発泡体ヘッダを位置付けることを含む。
【0031】
102において第1のスキャンを実行すること及び108において第2のスキャンを実行することは、同一のスキャニングデバイス(例えば、スキャニングデバイス66)又は異なるスキャニングデバイスを使用して実行されてもよい。いくつかの例では、102において第1のスキャンを実行すること及び/又は108において第2のスキャンを実行することは、飛行時間型の3Dレーザスキャナ、三角測量ベースの3Dレーザスキャナ、ハンドヘルドレーザスキャナ、立体照明3Dスキャナ、変調光3Dスキャナ、立体ビデオカメラシステム、測光カメラシステム、レーザパルスベースの3Dスキャナ、レーザ位相シフト3Dスキャナ、及び/又はライダシステムといった非接触スキャニングデバイスを使用して、パネルをスキャンすることを含む。追加的に又は代替的には、102において第1のスキャンを実行すること及び/又は108において第2のスキャンを実行することは、座標測定機(CMM)、走行台車から吊り下げられた関節式アーム、及び/又はタッチプローブといった、スキャン中にパネルに物理的に接触するように構成された接触スキャニングデバイスを使用して、パネルをスキャンすることを含みるうる。102において第1のスキャンを実行すること及び/又は108において第2のスキャンを実行することは、レーザスキャニング(例えば、3Dレーザスキャニング)、光学スキャニング、コンピュータ断層撮影スキャニング、立体照明スキャニング、コノスコープホログラフィ、写真測量、接触ベースの3Dスキャニング、及び/又はレーザパルススキャニングを含みうる。
【0032】
いくつかの方法100では、110において変形関数を決定することは、第1の3次元表面スキャン及び第2の3次元表面スキャンを使用して、パネルのOML面に対してパネルのIML面を確立することを含みうる。1つ又は複数の処理ユニットは、OML面に対してIML面を決定するために使用されうる。
【0033】
方法100は、一組のパネル(例えば、1つ又は複数の航空機翼に対する一組のパネル外板)を特徴付けるために、複数回実行されうる。提供される一組の第1の3次元表面スキャン及び第2の3次元表面スキャンは、一組のパネルを特徴付け、各パネルのIML面とOML面との間でオフセット距離のデータセットを形成するために使用されうる。このような特徴、第1及び第2の3次元表面スキャン、及び/又は変形関数からの情報は、既知のデータ分析と共に、予測シミングにも使用されうる。
【0034】
追加的に又は代替的には、いくつかの方法100は、122において、偏差を補償することを含む。例えば、122において偏差を補償することは、変形関数を使用して、パネルの基準構成と比較して、パネルの外面の偏差を補償することを含みうる。同様に、122において偏差を補償することは、変形関数を使用して、パネルの基準構成と比較して、パネルの内面の偏差を補償することを含みうる。いくつかの例では、122において偏差を補償することは、固定工具上での後続のパネルの製造中に固定工具の工具偏差を補正するために変形関数を適用することを含む。追加的に又は代替的には、122において偏差を補償することは、確立された変形関数を使用して、パネルの穴の機械加工を補償することを含みうる。
【0035】
図12及び13は、製造中にパネルにもたらされた偏差を決定するためのミラー型スキャニングの方法300(図13)を実行するために使用されうるシステム200(図12)を概略的に示す。図6-11に関して記載された方法及びシステムと同様に、図12-13のシステム及び方法は、固定工具に存在する偏差の変形関数を決定し、このような偏差を補償し、及び/又は所与のパネルについて、IML面に対するOML面(又はその逆)を決定するために使用されうる。図6-11のシステム及び方法が、概して、2つの異なる時間にパネルの1つの表面をスキャンすることを含む一方で、図12-13のシステム及び方法は、概して、共有の参照フレームを使用して、パネルの2つの異なる表面をスキャンすることを含む。
【0036】
システム200は、概して、少なくとも2つの場所、取付点、又は固定点206、206’で、パネル204(複合パネル70の例である)を保持するように構成された固定具202を含む。固定具202は、パネル204を保持するように構成され、内面208及び外面210(内面208の反対側)の両方が、3次元表面スキャンがその両面で実行されるように位置付けられる。図12は、パネル204が実質的に垂直に保持されていることを示しているが、他の例では、パネル204は、実質的に水平に保持されていても、他の構成であってもよい。
【0037】
システム200はまた、第1のスキャニングデバイス212及び第2のスキャニングデバイス214を含む。第1のスキャニングデバイス212は、参照フレーム216に関して、内面208で第1の3次元表面スキャンを実行及び生成するように構成される。第2のスキャニングデバイス214は、同一の参照フレーム216に関して、外面210の第2の3次元表面スキャンを実行及び生成するように構成される。図12に示されるように、第1のスキャニングデバイス212が、パネル204の片側に位置付けられる(例えば、内面208に面する)一方で、第2のスキャニングデバイス214は、パネル204の反対側に位置付けられ(例えば、外面210に面する)うる。他の例では、パネル204が固定具202によって実質的に水平に保持されるときなどに、第1及び第2のスキャニングデバイス212、214は、一方がパネル204の下に垂直に位置する一方で、他方がパネル204の上に垂直に位置するように、位置付けられてもよい。もちろん、任意の構成も本開示の範囲内であり、第1及び第2のスキャニングデバイス212、214がパネル204の反対側をスキャンするように配置されて、そのようなミラー型スキャニングが実行されてもよい。
【0038】
いくつかの例では、第1のスキャニングデバイス212は、第2のスキャニングデバイス214が外面210をスキャンするのと実質的に同時に、内面208をスキャンしてもよい。他の例では、このような第1及び第2のスキャンは、異なる時間に実行されてもよい。いくつかの例では、第1及び第2の表面スキャンを実行するために、単一のスキャニングデバイスが使用されてもよい。例えば、単一のスキャニングデバイス(例えば、スキャニングデバイス212又は214)が、内面208をスキャンするために使用され、次に、そのスキャニングデバイスを移動させ、外面210をスキャンするように位置付けてもよい。代替的には、パネル204は、第1のスキャンと第2のスキャンとの間で移動し、スキャニングデバイスが相対的に静止している一方で、パネル204は、第1の3次元表面スキャン中に、第1の配向に向けられ、第2の3次元表面スキャン中に、第2の配向に向けられてもよい。例えば、パネル204は、内面208が第1のスキャン中にスキャニングデバイスの方を向くように位置付けられ、かつ外面210が第2のスキャン中にスキャニングデバイスの方を向くように位置付けられてもよい。
【0039】
パネル204を保持するように構成された第1の取付点206及び第2の取付点206’を含む固定具202が図示されているが、他の例では、固定具202は、より多くの又はより少ない取付点206を含んでもよい。いくつかの例では、それぞれの取付点206は、互いに対して選択的に制御され(例えば、位置付けられ)、所望のようにパネル204を位置付け及び/又は保持するように構成されてもよい。
【0040】
システム200は、第1の3次元表面スキャン及び第2の3次元表面スキャンを使用して、外面210に対して内面208を決定する(又はその逆)ように構成された処理ユニット218を含みうる。このようにして、処理ユニット218は、パネル204を形成するために使用される固定工具の工具偏差を特徴付けるよう更に構成される。固定具202は、概して、パネル204を形成するために使用される固定工具(一般に、パネルの両側へのアクセスが許容されない固定工具など)ではないが、場合によっては、固定具202は、パネル(又は複合構造)を形成するために使用される固定工具であってもよい。
【0041】
第1のスキャニングデバイス212及び/又は第2のスキャニングデバイス214は、飛行時間型の3Dレーザスキャナ、三角測量ベースの3Dレーザスキャナ、ハンドヘルドレーザスキャナ、立体照明3Dスキャナ、変調光3Dスキャナ、立体ビデオカメラシステム、測光カメラシステム、レーザパルスベースの3Dスキャナ、レーザ位相シフト3Dスキャナ、及び/又はライダシステムといった、パネルから離間した非接触スキャニングデバイスであってもよく、又はそのような非接触スキャニングデバイスを含んでもよい。追加的に又は代替的には、第1のスキャニングデバイス212及び/又は第2のスキャニングデバイス214は、座標測定機(CMM)、走行台車から吊り下げられた関節式アーム、及び/又はタッチプローブといった、スキャン中にパネルに物理的に接触するように構成された接触スキャニングデバイスであってもよく、又はそのような接触スキャニングデバイスを含んでもよい。
【0042】
使用において、システム200及び/又は固定具202は、例えば、航空機の翼及び/又は胴体のパネルの製造に使用されてもよい。追加的に又は代替的には、システム200及び/又は固定具202は、シムレス又は予測シミングの用途において使用されてもよい。図13を参照すると、製造中にパネル(例えば、パネル204)にもたらされる偏差を決定するためのミラー型スキャニングの方法300は、システム200を使用して実行されうる。方法300は、概して、固定具(例えば、固定具202)を介して少なくとも2つの場所でパネルを保持することによって、302において、パネルを固定することを含む。いったんパネルがそのように固定されると、第1の計測スキャンが、304において、パネル(例えば、外面210)の第1の表面で実行され(第2のスキャニングデバイス214でのスキャンなど)、第2の計測スキャンが、306において、パネル(例えば、内面208)の第2の表面で実行されうる(第1のスキャニングデバイス212でのスキャンなど)。304において第1の計測スキャンを実行することは、306において第2の計測スキャンを実行することと同一の参照フレーム(例えば、参照フレーム216)に関して実行される。304において第1の計測スキャンを実行することは、パネルの第1の表面の第1の3D表面スキャンを生成し、306において第2の計測スキャンを実行することは、パネルの第2の表面の第2の3D表面スキャンを生成する。方法300はまた、第1及び第2の3D表面スキャン中に、308において、パネルのOML面に対してIML面を決定すること(例えば、外面に対して内面を決定すること、及び/又はその逆)を含む。よって、パネルを形成するために使用される固定工具の工具偏差を特徴付けることができる。このような、308において互いに対して表面を決定すること及び/又は工具偏差を特徴付けることは、いくつかの例では、1つ又は複数の処理ユニット(例えば、処理ユニット218)により実行されうる。
【0043】
いくつかの方法300では、304において第1の計測スキャンを実行することは、306において第2の計測スキャンを実行することと実質的に同時に実行されてもよい。他の例では、304において、第1の計測スキャンは、306において第2の計測スキャンが実行される前に、実行されてもよく、又はその逆でもよい。いくつかの例では、第1及び第2の計測スキャンの両方が実行されている場合、期間が重複するように、第1及び第2の計測スキャンがずれていてもよく、一方の計測スキャンが、他方の計測スキャン前に開始してもよく、及び/又は一方の計測スキャンが完了したら、他方の計測スキャンが続くようにしてもよい。304、306において第1及び第2の計測スキャンを実行することは、概して、パネルが硬化後に移動された固定具の上に位置付けられる間に、実行されるが、いくつかの例では、第1及び/又は第2の計測スキャンは、パネルが、マンドレル、又はパネルを製造するために使用される他のモールド工具の上に位置付けられる間に、304、306において実行されてもよい。いくつかの例では、マンドレルそれ自体が、308においてOML面に対してIML面を決定するために、(例えば、パネルがマンドレルから取り外された後に)スキャンされてもよい。例えば、計測スキャンは、パネルのIML面を確立するために、306において、実行されてもよく、次いで、(OML-制御されたマンドレルの場合)マンドレルは、OML面を確立するためにスキャンされてもよい。
【0044】
いくつかの方法300は、310において、第1の3D表面スキャンを使用して、一組の参照幾何学形状を特定することを含む。例えば、第1の3D表面スキャンが、スキャンされているパネルの1つ又は複数の参照特徴を特定及び位置付けるために使用されてもよい。追加的に又は代替的には、第1の3D表面スキャン及び第2の3D表面スキャンを位置合わせするために、参照フレームが、314において形成されてもよい。いくつかの例では、314において参照フレームを形成することは、パネルの内面及び外面から既知の基準を使用することを含みうる。
【0045】
いくつかの方法300において、パネルの少なくとも一部は、308においてOML面に対してIML面を決定した後に、312において機械加工されてもよい。例えば、工具偏差が完成したIML面に変換されるため、パネルのIML面がアセンブリと正確に係合しないと決定される場合、IML面の適切な部分が、機械加工され、又は312において犠牲材料が追加され、IML面を許容範囲内に収め、アセンブリの残りの部分に係合させる。
【0046】
方法300は、316において、第1及び第2の3D表面スキャンを比較することによって特定される工具偏差を補償することを含みうる。例えば、第1及び第2の3D表面スキャンは、製造で見られる工具偏差を補正するために、既知のデータ分析と組み合わせて分析されてもよい。316において工具偏差を補正することは、IML面とOML面との間のオフセット距離を表すデータセットを形成することを含みうる。追加的に又は代替的には、316において工具偏差を補正することは、OML面を実際の基準構成に分析的に変形させることを含みうる。
【0047】
本開示は概して、航空機のパネル外板の製造に照らして、方法、システム、及びヘッダ構造を記載するが、開示された方法、システム、及びヘッダ構造は、他の用途のパネル外板の製造、及び/又は他の複合構造の製造において有用である。例えば、本開示は、航空機及び航空機の用途に限定されない。例示的かつ非限定的な例として、複合パネル外板で構成されうる他の装置は、宇宙船、船舶、陸上車両、風力タービン、構造タワー及びマストなどを含む(しかし、これらに限定されない)。更に、航空機14は、図1では固定翼旅客機として示されているが、航空機14は、商用機、軍用機、民間航空機、ヘリコプター、又は他の任意の適切な航空機を含む任意の適切な形態をとりうる。
【0048】
本開示による発明対象の例示的かつ非限定的な例が、以下に列挙される段落に記載される。
A1. 製造中に外面及び内面を含むパネルにもたらされる偏差を決定するための固定工具較正の方法であって、
パネルが固定工具に固定される間に、パネルの内面の第1の3次元(3D)表面スキャンを生成するために、第1のスキャンを実行することであって、パネルの外面が固定工具に面するように、固定工具が、パネルの形成中にパネルを支持するように構成される、第1のスキャンを実行することと、
第1の3D表面スキャンを実行した後に実行される、パネルを固定工具から取り外すことと、
パネルを基準構成で保持するように構成されたヘッダ構造にパネルを固定し、これにより基準構成でパネルを保持することであって、基準構成が設計通りのパネルのサイズと形状に対応する、パネルを固定し、これによりパネルを保持することと、
パネルがヘッダ構造によって基準構成で保持される間に、パネルの内面の第2の3D表面スキャンを生成するために第2のスキャンを実行することと、
第1の3D表面スキャンと第2の3D表面スキャンとの間の偏差に対応する変形関数を決定することと
を含む方法。
A1.1. 変形関数を決定することが、少なくとも1つの処理ユニットによって実行される、段落A1に記載の方法。
A2. 固定工具がレイアップマンドレルを含む、段落A1又はA1.1に記載の方法。
A3. パネルが複合パネルを含む、段落A1-A2のいずれかに記載の方法。
A4. ヘッダ構造が複数の発泡体ヘッダを含む、段落A1-A3のいずれかに記載の方法。
A5. ヘッダ構造が、パネルを、パネルのリブの位置とスパーの位置でそのOML基準構成に保持するように構成される、段落A1-A4のいずれかに記載の方法。
A6. パネルを基準構成で保持することが、真空に引くことを含み、これにより、パネルが基準構成になるまで、パネルをヘッダ構造に押し付ける、段落A1-A5のいずれかに記載の方法。
A7. 固定することが、パネルの内面及び/又は外面を変形させることを含む、段落A1-A6のいずれかに記載の方法。
A8. ヘッダ構造を複数の発泡体ヘッダから形成することと、
ヘッダ構造がパネルを基準構成で保持するように構成されることを確認することと
を更に含む、段落A1-A7のいずれかに記載の方法。
A9. ヘッダ構造を形成することが、パネルのすべての重要な接合面を支持するように、発泡体ヘッダを位置付けることを含む、段落A8に記載の方法。
A10. 第1のスキャンを実行することが、3Dスキャニングデバイスを使用してパネルをスキャンすることを含み、第2のスキャンを実行することが、3Dスキャニングデバイスを使用してパネルをスキャンすることを含む、段落A1-A9のいずれかに記載の方法。
A10.1. 3Dスキャニングデバイスが、パネルから離間した非接触スキャニングデバイスを含む、段落A10に記載の方法。
A10.2. 3Dスキャニングデバイスが、飛行時間型の3Dレーザスキャナ、三角測量ベースの3Dレーザスキャナ、ハンドヘルドレーザスキャナ、立体照明3Dスキャナ、変調光3Dスキャナ、立体ビデオカメラシステム、測光カメラシステム、レーザパルスベースの3Dスキャナ、レーザ位相シフト3Dスキャナ、及び/又はライダシステムを含む、段落A10.1に記載の方法。
A10.3. 3Dスキャニングデバイスが、スキャン中にパネルに物理的に接触するように構成された接触スキャニングデバイスを含む、段落A10に記載の方法。
A10.4. 3Dスキャニングデバイスが、座標測定機(CMM)、走行台車から吊り下げられた関節式アーム、及び/又はタッチプローブを含む、段落A10.3のいずれかに記載の方法。
A11. 第1のスキャンを実行することが、レーザスキャニング(例えば、3Dレーザスキャニング)、光学スキャニング、コンピュータ断層撮影スキャニング、立体照明スキャニング、コノスコープホログラフィ、写真測量、接触ベースの3Dスキャニング、及び/又はレーザパルススキャニングを含み、第2のスキャンを実行することが、レーザスキャニング(例えば、3Dレーザスキャニング)、光学スキャニング、コンピュータ断層撮影スキャニング、立体照明スキャニング、コノスコープホログラフィ、写真測量、接触ベースの3Dスキャニング、及び/又はレーザパルススキャニングを含む、段落A1-A10.4のいずれかに記載の方法。
A12. 変形関数を決定することが、変形関数をマッピングすることを含む、段落A1-A11のいずれかに記載の方法。
A12.1. 変形関数をマッピングすることが、少なくとも1つの処理ユニットによって実行される、段落A12に記載の方法。
A13. 第1の3D表面スキャン及び第2の3D表面スキャンを使用して、パネルのOML面に対してパネルのIML面を確立することを更に含む、段落A1-A12.1のいずれかに記載の方法。
A13.1. パネルのOML面に対してパネルのIML面を確立することが、少なくとも1つの処理ユニットによって実行される、段落A13に記載の方法。
A14. 変形関数を使用して、パネルの基準構成と比較して、外面の任意の偏差を補償すること
を更に含む、段落A1-A13.1のいずれかに記載の方法。
A15. 変形関数を使用して、パネルの基準構成と比較して、内面の任意の偏差を補償すること
を更に含む、段落A1-A14のいずれかに記載の方法。
A16. 固定工具の第2のパネルの製作中に、固定工具の工具偏差を補正するために変形関数を適用すること
を更に含む、段落A1-A15のいずれかに記載の方法。
A17. 変形関数を使用して、第2のパネルの穴の機械加工を補償することを更に含む、段落A1-A16のいずれかに記載の方法。
A18. 一組のパネル外板で第1の3D表面スキャン及び第2の3D表面スキャンを実行し、これにより一組のパネル外板を特徴付けて、一組のパネル外板の各々のパネル外板のIML面と、一組のパネル外板の各々のパネル外板のOML面との間のオフセット距離のデータセットを生成することを更に含む、段落A1-A17のいずれかに記載の方法。
A19. 予測シミングを実行するために、既知のデータ分析と組み合わせて、変形関数を使用することを更に含む、段落A1-A18のいずれかに記載の方法。
A20. 変形関数を使用して、パネルをそのOML基準構成まで実際に屈曲させることを更に含む、段落A1-A19のいずれかに記載の方法。
【0049】
B1. 製造中に外面及び内面を含むパネルにもたらされる偏差を決定するためのミラー型スキャニングの方法であって、
固定具を介して少なくとも2つの場所でパネルを保持することによって、パネルを固定することと、
参照フレームに関して、パネルの外面で第1の計測スキャンを実行し、これにより、パネルの外面の第1の3D表面スキャンを生成することと、
参照フレームに関して、パネルの内面で第2の計測スキャンを実行し、これにより、パネルの、外面の反対側にある内面の第2の3D表面スキャンを生成することと、
第1の3D表面スキャン及び第2の3D表面スキャンを使用して、OML面に対してIML面を決定し、これにより、パネルを形成するために使用される固定工具の工具偏差を特徴付けることと
を含む方法。
B1.1. OML面に対してIML面を決定することが、少なくとも1つの処理ユニットによって実行される、段落B1に記載の方法。
B2. 第1の3D表面スキャンを使用して、一組の参照幾何学形状を特定することを更に含む、段落B1又はB1.1に記載の方法。
B3. OML面に対してIML面を決定した後に、パネルの一部を機械加工することを更に含む、段落B1-B2のいずれかに記載の方法。
B4. OML面を実際の基準構成に分析的に変形させることを更に含む、段落B1-B3のいずれかに記載の方法。
B5. 第1の計測スキャンを実行することと、第2の計測スキャンを実行することが、実質的に同時に実行される、段落B1-B4のいずれかに記載の方法。
B6. 参照フレームを生成し、内面及び外面からの既知の基準を使用して、第1の3D表面スキャン及び第2の3D表面スキャンを位置合わせすることを更に含む、段落B1-B5のいずれかに記載の方法。
B7. 既知のデータ分析と組み合わせて、第1の3D表面スキャン及び第2の3D表面スキャンを使用し、製造で見られる工具偏差を補正して、IML面とOML面との間のオフセット距離を表示するデータセットを生成することを更に含む、段落B1-B6のいずれかに記載の方法。
B8. 第1の計測スキャンを実行すること及び/又は第2の計測スキャンを実行することは、パネルがパネルの製造に使用されるマンドレル上に位置付けられる間に実行される、段落B1-B7のいずれかに記載の方法。
【0050】
C1. 複合部品を保持するための固定具であって、
硬化後の機械加工のために複合部品を保持するように構成された、少なくとも第1の取付点及び第2の取付点であって、互いに対して選択的に制御され、複合部品を保持するように構成された、少なくとも第1の取付点及び第2の取付点
を含む固定具。
C1.1 固定具が、複合部品をその基準構成で保持するように構成される、段落C1に記載の固定具。
C2. 固定具が複数の発泡体ヘッダを含む、段落C1又はC1.1に記載の固定具。
C3. 固定具が、複合部品を保持するように構成され、複合部品の第1の表面及び複合部品の第2の表面が同時に表面スキャンされ、第1の表面が第2の表面の反対側にある、段落C1-C2のいずれかに記載の固定具。
C4. 固定具が、複合部品のリブ及びスパーの場所で、複合部品をそのOML基準構成で保持するように構成される、段落C1-C3のいずれかに記載の固定具。
C5. 固定具は、複合部品がその基準構成になるように、複合部品を第1の取付点及び第2の取付点に押し付けるように構成された真空システムを含む、段落C1-C4のいずれかに記載の固定具。
【0051】
D1. 製造中に複合パネルにもたらされる偏差を決定するための固定具較正のためのシステムであって、
複合パネルが固定工具によって支持されるときに、複合パネルの外面が固定工具に面するように、複合パネルの形成中に複合パネルを支持するように構成された固定工具と、
複合パネルが固定工具によって支持される間に、複合パネルの、外面の反対側にある内面の第1の3D表面スキャンを実行するように構成されたスキャニングデバイスと、
複合パネルを基準構成で保持するように構成されたヘッダ構造であって、基準構成が設計通りの複合パネルのサイズと形状に対応し、ヘッダ構造は、複合パネルがヘッダ構造によって保持される間に、スキャニングデバイスが複合パネルの内面で第2の3D表面スキャンを実行することができるように、複合パネルを保持するように構成される、ヘッダ構造と、
第1の3D表面スキャンと第2の3D表面スキャンとの間の偏差に対応する変形関数を決定するように構成された処理ユニットと
を含むシステム。
D2. 段落A1-A20のいずれかに記載の方法を実行するように構成される、段落D1に記載のシステム。
D3. 固定工具がレイアップマンドレルを含む、段落D1-D2のいずれかに記載のシステム。
D4. ヘッダ構造が、段落C1-C5のいずれかに記載の固定具を含む、段落D1-D3のいずれかに記載のシステム。
D5. スキャニングデバイスが、複合パネルから離間した非接触スキャニングデバイスを含む、段落D1-D4のいずれかに記載のシステム。
D6. スキャニングデバイスが、飛行時間型の3Dレーザスキャナ、三角測量ベースの3Dレーザスキャナ、ハンドヘルドレーザスキャナ、立体照明3Dスキャナ、変調光3Dスキャナ、立体ビデオカメラシステム、測光カメラシステム、レーザパルスベースの3Dスキャナ、レーザ位相シフト3Dスキャナ、及び/又はライダシステムを含む、段落D1-D5のいずれかに記載のシステム。
D7. スキャニングデバイスが、スキャン中に複合パネルに物理的に接触するように構成された接触スキャニングデバイスを含む、段落D1-D6のいずれかに記載のシステム。
D8. スキャニングデバイスが、座標測定機(CMM)、走行台車から吊り下げられた関節式アーム、及び/又はタッチプローブを含む、段落D1-D7のいずれかに記載のシステム。
D9. 複合パネルがその基準構成になるまで、複合パネルをヘッダ構造に押し付けるように構成された真空システムを更に含む、段落D1-D8のいずれかに記載のシステム。
【0052】
E1. 製造中にパネルにもたらされる偏差を決定するためのミラー型スキャニングのためのシステムであって、
パネルの内面及び外面が、3D表面スキャンが実行されるよう構成されるように、パネルを少なくとも2つの場所で保持するように構成された固定具であって、内面が外面の反対側にある、固定具と、
参照フレームに関して、パネルの内面で第1の3D表面スキャンを実行し生成するように構成された、第1のスキャニングデバイスと、
参照フレームに関して、パネルの外面で第2の3D表面スキャンを実行し生成するように構成された、第2のスキャニングデバイスと、
第1の3D表面スキャン及び第2の3D表面スキャンを使用して、OML面に対してIML面を決定するように構成された処理ユニットであって、パネルを形成するために使用される固定工具の工具偏差を特徴付けるように更に構成された処理ユニットと
を含むシステム。
E2. 段落B1-B8のいずれかに記載の方法を実行するように構成される、段落E1に記載のシステム。
E3. 第1のスキャニングデバイス及び/又は第2のスキャニングデバイスが、パネルから離間した非接触スキャニングデバイスを含む、段落E1-E2のいずれかに記載のシステム。
E4. 第1のスキャニングデバイス及び/又は第2のスキャニングデバイスが、飛行時間型の3Dレーザスキャナ、三角測量ベースの3Dレーザスキャナ、ハンドヘルドレーザスキャナ、立体照明3Dスキャナ、変調光3Dスキャナ、立体ビデオカメラシステム、測光カメラシステム、レーザパルスベースの3Dスキャナ、レーザ位相シフト3Dスキャナ、及び/又はライダシステムを含む、段落E1-E3のいずれかに記載のシステム。
E5. 第1のスキャニングデバイス及び/又は第2のスキャニングデバイスが、スキャン中にパネルに物理的に接触するように構成された接触スキャニングデバイスを含む、段落E1-E4のいずれかに記載のシステム。
E6. 第1のスキャニングデバイス及び/又は第2のスキャニングデバイスが、座標測定機(CMM)、走行台車から吊り下げられた関節式アーム、及び/又はタッチプローブを含む、段落E1-E5のいずれかに記載のシステム。
【0053】
F1. 航空機の翼及び/又は胴体のパネル製作のための、段落C1-C5のいずれかに記載の固定具の使用。
F2. シムレス又は予測シミングの用途における、段落C1-C5のいずれかに記載の固定具の使用。
F3. 航空機の翼及び/又は胴体のパネル製作のための、段落D1-D9のいずれかに記載の固定具の使用。
F4. シムレス又は予測シミングの用途における、段落D1-D9のいずれかに記載の固定具の使用。
F5. 航空機の翼及び/又は胴体のパネル製作のための、段落E1-E6のいずれかに記載の固定具の使用。
F6. シムレス又は予測シミングの用途における、段落E1-E6のいずれかに記載の固定具の使用。
【0054】
本明細書において、「選択的な(selective)」及び「選択的に(selectively)」という用語は、装置の1つ又は複数の構成要素の動作、動き、構成、又は他の作動、或いは、装置の1つ又は複数の特性を改変する場合に、その特定の動作、動き、構成又は他の作動が、装置の一態様或いは1つ又は複数の構成要素をユーザが操作した直接的又は間接的な結果であることを意味する。
【0055】
本明細書において、「適合し(adapted)」及び「構成され(configured)」という用語は、要素、構成要素、又はその他の対象が、所与の機能を果たすよう設計され、かつ/又は意図されていることを意味する。ゆえに、「適合し」及び「構成され」という用語の使用は、所与の要素、構成要素、又は他の対象が、単に所与の機能を果たすことが「可能である(capable of)」ことを意味すると解釈すべきではなく、これらの要素、構成要素、及び/又は他の対象が、その機能を果たすという目的のために、特に選択され、作り出され、実装され、利用され、プログラミングされ、かつ/又は設計されていることを意味すると、解釈すべきである。特定の機能を果たすよう適合されていると記載される要素、構成要素、及び/又は他の記載対象が、追加的又は代替的に、その機能を果たすよう構成されていると説明されうること、及びその逆も、本開示の範囲に含まれる。同様に、特定の機能を果たすよう構成されていると記載される対象は、追加的又は代替的に、その機能を果たすよう動作可能であるとも説明されうる。
【0056】
本明細書で使用される際に、処理ユニットは、本明細書で検討される処理ユニットの機能を実行するように構成される任意の適切な1つ又は複数のデバイスでありうる。例えば、処理ユニットは、電子コントローラ、専用コントローラ、特殊用途コントローラ、パーソナルコンピュータ、特殊用途コンピュータ、表示デバイス、ロジックデバイス、メモリデバイス、及び/又は本開示によるシステム及び/又は方法の態様を実装するためのコンピュータ実行可能命令を格納するのに適したコンピュータ可読媒体を有するメモリデバイスのうちの1つ又は複数を含みうる。
【0057】
追加的に又は代替的には、処理ユニットは、本開示による方法又は方法のステップを実装するための、コンピュータ実行可能命令又はソフトウェアを格納するのに適した非一過性のコンピュータ可読ストレージ又はメモリ、媒体を含み、又はそれらを読み取るように構成されうる。このような媒体の例は、CD-ROM、ディスク、ハードドライブ、フラッシュメモリなどを含む。本明細書で使用される際に、本開示による、コンピュータ実行可能命令、並びにコンピュータ実装方法及び他の方法を有するストレージ、又はメモリ、デバイス及び媒体は、米連邦法典のタイトル35のセクション101に従って特許を受けることができるとみなされる主題の範囲内にあると見なされる。
【0058】
本明細書で使用されているように、1つ又は複数の項目リストに関連する「少なくとも1つの(at least one)」という表現は、項目リスト内の1つ又は複数の項目から選択された少なくとも1つの項目を意味するが、必ずしも項目リスト内に具体的に掲げられた各項目のうちの少なくとも1つを含む必要はなく、項目リスト内の任意の組み合わせを除外しないことを理解されたい。この規定はまた、「少なくとも1つの」という表現が具体的に特定されたこれらの項目に関連する又は関連しないに関わらず、項目リスト内で具体的に特定された項目以外の項目もオプションにより存在しうることを認めている。したがって、非限定的な例として、「A及びBのうちの少なくとも1つ」(或いは同様に、「A又はBのうちの少なくとも1つ」、又は同様に「A及び/又はBのうちの少なくとも1つ」)は、1つの実施形態では、少なくとも1つの、オプションにより2つ以上のAを含み、Bが存在しないこと(及び、オプションによりB以外の項目を含むこと)を意味し、別の実施形態では、少なくとも1つの、オプションにより2つ以上のBを含み、Aが存在しないこと(及び、オプションによりA以外の項目を含むこと)を意味し、更に別の実施形態では、少なくとも1つの、オプションにより2つ以上のA、並びに、少なくとも1つの、オプションにより2つ以上のBを含むこと(及び、オプションにより他の項目を含むこと)を意味する。言い換えるならば、「少なくとも1つの」、「1つ又は複数の」、並びに「及び/又は」という表現は、その働きにおいて接続的であり、かつ分離的な非限定的表現である。例えば、「A、B及びCのうちの少なくとも1つ」、「A、B又はCのうちの少なくとも1つ」、「A、B及びCのうちの1つ又は複数」、「A、B又はCのうちの1つ又は複数」、並びに「A、B、及び/又はC」という表現は、Aのみ、B、のみ、Cのみ、AとBを共に、AとCを共に、BとCを共に、A、BとCを共に、また、オプションにより、上述のいずれかと少なくとも1つの他の項目との組み合わせ、を意味しうる。
【0059】
本明細書で開示される装置の様々な開示要素及び方法のステップは、本開示による装置及び方法の全てに必要とされるわけではなく、本開示は、本明細書で開示される様々な要素及びステップの、新規性及び進歩性を有する組み合わせ及び部分的組み合わせの全てを含む。更に、本明細書で開示される様々な要素及びステップのうちの1つ又は複数は、開示される装置又は方法の全体とは別個の、独立した発明主題を規定しうる。したがって、かかる発明主題は、本明細書で明示的に開示される特定の装置及び方法に関連する必要はなく、かつ、かかる発明主題により、本明細書で明示的に開示されていない装置及び/又は方法における有用性が見出されることもある。
【0060】
本明細書で使用されるように、「例えば(for example)」という表現、「1つの例として(as an example)」という表現、及び/又は、単なる「例(example)」という用語は、本開示による1つ又は複数の構成要素、特徴、詳細事項、構造、実施形態、及び/又は方法に関連して使用される場合、前述の構成要素、特徴、詳細事項、構造、実施形態、及び/又は方法が、本開示による構成要素、特徴、詳細事項、構造、実施形態、及び/又は方法の例示的で非限定的な例であることを、伝えることを意図している。ゆえに、前述の構成要素、特徴、詳細事項、構造、実施形態、及び/又は方法は、限定されること、必要とされること、又は限定的/網羅的であることは意図されない。構造的及び/又は機能的に類似した、かつ/又は同等の構成要素、特徴、詳細事項、構造、実施形態、及び/又は方法を含む他の構成要素、特徴、詳細事項、構造、実施形態、及び/又は方法も、本開示の範囲に含まれる。
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13