(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-23
(45)【発行日】2024-10-31
(54)【発明の名称】エレベーター装置
(51)【国際特許分類】
B66B 13/18 20060101AFI20241024BHJP
B66B 13/16 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
B66B13/18 C
B66B13/16 B
(21)【出願番号】P 2020127241
(22)【出願日】2020-07-28
【審査請求日】2023-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 美香子
(72)【発明者】
【氏名】石塚 真介
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-269895(JP,A)
【文献】国際公開第2018/079032(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 13/18
B66B 13/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路内を昇降する乗りかごと、乗場側に設けられる乗場側ドアと、前記乗場側ドアを施錠するドアロック装置と、を備えたエレベーター装置において、
前記ドアロック装置は、前記乗場側ドアを閉じた状態で施錠する第1ドアロック装置と、開扉時に前記乗場側ドアの開扉幅を全開状態における第1開扉幅よりも小さい第2開扉幅に制限する第2ドアロック装置とを備え、
前記第1ドアロック装置は、一端部に第1凹形状部を有し第1フック軸を中心にして回動可能に設けられた第1フックと、前記第1フックの前記第1凹形状部が係合する第1フック受け部と、を備え、
前記第2ドアロック装置は、一端部に第2凹形状部を有し第2フック軸を中心にして回動可能に設けられた第2フックと、前記第2フックの前記第2凹形状部が係合する第2フック受け部と、を備え、
前記第1ドアロック装置と前記第2ドアロック装置とは、上下方向に併設され、
前記第1フック受け部は、前記第1フックの前記第1凹形状部が係合する突起部を有し、
前記第1フックは、前記第1凹形状部の一端部に設けられ前記第1フック受け部の前記突起部に係合して前記乗場側ドアの開扉を防止する爪部を有し、
前記第2フック受け部は、前記第2フックの前記第2凹形状部が係合する突起部を有し、
前記第2フックは、前記第2凹形状部の一端部に設けられ前記第2フック受け部の前記突起部に係合して前記乗場側ドアの開扉幅を制限する爪部を有し、
前記第1フックの前記第1凹形状部は、前記乗場側ドアが閉じられた状態を維持する前記第1フック受け部との係合長さを有し、
前記第2フックの前記第2凹形状部は、前記乗場側ドアの開扉幅を第2開扉幅に制限する第2フック受け部との係合長さを有
することで、
前記第1フックと前記第2フックとは、前記第2凹形状部における前記第2フック受け部との係合長さを決定する第2凹形状部長さが、前記第1凹形状部における前記第1フック受け部との係合長さを決定する第1凹形状部長さよりも長く形成され、
前記第1フック受け部の前記突起部と前記第2フック受け部の前記突起部とは、前記乗場側ドアの開扉方向及び上下方向において異なる位置に配置され、
前記第1フックの前記爪部と前記第2フックの前記爪部とは、前記乗場側ドアの開扉方向において同じ位置で、且つ上下方向において異なる位置に配置され、
前記第2フック受け部の前記突起部は、前記第1フック受け部の前記突起部に対して、前記第2凹形状部の前記爪部が設けられた一端部とは反対側の他端部の側に配置されることを特徴とするエレベーター装置。
【請求項2】
請求項
1において、
前記第1フックと前記第2フックとは、前記第1凹形状部及び前記第2凹形状部を除く外形形状が同形状に形成されることを特徴とするエレベーター装置。
【請求項3】
請求項
2において、
前記第1ドアロック装置は、前記第1フックと共に回動可能に設けられた第1可動ローラと、前記乗場側ドアに対して位置が固定された第1固定ローラと、を有し、
前記第2ドアロック装置は、前記第2フックと共に回動可能に設けられた第2可動ローラと、前記乗場側ドアに対して位置が固定された第2固定ローラと、を有し、
前記第2ドアロック装置の前記第2フック、前記第2フック軸、前記第2可動ローラ及び前記第2固定ローラと、前記第1ドアロック装置の前記第1フック、前記第1フック軸、前記第1可動ローラ及び前記第1固定ローラとは、前記第2ドアロック装置又は前記第1ドアロック装置のいずれか一方の位置を上下方向にずらした場合に、他方の位置に重なるように配置されることを特徴とするエレベーター装置。
【請求項4】
請求項
3において、
乗りかご側のかご側ドアの側に設けられた係合装置を備え、
前記係合装置は、前記乗場側ドア及び前記かご側ドアの自動開扉時に、前記第1可動ローラ及び前記第2可動ローラの両方に当接して前記かご側ドアの移動に伴って前記第1可動ローラ及び前記第2可動ローラを押すことにより、前記第1フック及び前記第2フックの両方を回動させ、前記第1ドアロック装置及び前記第2ドアロック装置を解錠することを特徴とするエレベーター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベーター装置に係わり、特にエレベーター装置のドアロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景技術として、特開2010-269895号公報(特許文献1)に記載されたエレベーター乗場戸の解錠装置が知られている。
【0003】
特許文献1の解錠装置は、段落0025及び
図1に記載されているように、乗場戸に乗かごが対向配置されていない状態において、キーを乗場戸のキーガイド孔に差し込んでドアロックフックを回動させることにより、ドアロックフックの凹部と施錠装置の係合部との係合を解き、乗場戸を開くことができる。この場合、開扉幅制限フックは回動力が与えられていないので、乗場戸の開動作時に、ストッパの側部に当接する。したがって、乗場戸の開動作は、開扉幅制限フックの端部がストッパの側部に当たるまでの距離に相当する開扉幅に制限される。すなわち、特許文献1の解錠装置は、この距離に相応する所定の開扉幅以上に乗場戸が開かれないように、乗場戸の開動作を制限する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の解錠装置では、
図1に記載されているように、ドアロックフックと開扉幅制限フックとが上下方向に並んで配置され、ドアロックフックの凹部が係合する施錠装置はドアロックフックに対して左側に、また開扉幅制限フックの端部が当接するストッパは開扉幅制限フックに対して右側に配置されている。このため、特許文献1の解錠装置では、配置スペースが広範囲に及び、小さなスペースに配置することが難しい。これは、新設のエレベーター装置においては、設計の自由度が制限されることになり、また既設のエレベーター装置においては、配置スペースを確保することができず、この解錠装置を適用することができない場合が起こり得る。
【0006】
以下、本明細書においては、特許文献1の解錠装置に相応する装置をドアロック装置と呼んで説明する。
【0007】
本発明の目的は、エレベーター装置に備えられるドアロック装置をコンパクトな構造にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のエレベーター装置は、
昇降路内を昇降する乗りかごと、乗場側に設けられる乗場側ドアと、前記乗場側ドアを施錠するドアロック装置と、を備えたエレベーター装置において、
前記ドアロック装置は、前記乗場側ドアを閉じた状態で施錠する第1ドアロック装置と、開扉時に前記乗場側ドアの開扉幅を全開状態における第1開扉幅よりも小さい第2開扉幅に制限する第2ドアロック装置とを備え、
前記第1ドアロック装置は、一端部に第1凹形状部を有し第1フック軸を中心にして回動可能に設けられた第1フックと、前記第1フックの前記第1凹形状部が係合する第1フック受け部と、を備え、
前記第2ドアロック装置は、一端部に第2凹形状部を有し第2フック軸を中心にして回動可能に設けられた第2フックと、前記第2フックの前記第2凹形状部が係合する第2フック受け部と、を備え、
前記第1ドアロック装置と前記第2ドアロック装置とは、上下方向に併設され、
前記第1フック受け部は、前記第1フックの前記第1凹形状部が係合する突起部を有し、
前記第1フックは、前記第1凹形状部の一端部に設けられ前記第1フック受け部の前記突起部に係合して前記乗場側ドアの開扉を防止する爪部を有し、
前記第2フック受け部は、前記第2フックの前記第2凹形状部が係合する突起部を有し、
前記第2フックは、前記第2凹形状部の一端部に設けられ前記第2フック受け部の前記突起部に係合して前記乗場側ドアの開扉幅を制限する爪部を有し、
前記第1フックの前記第1凹形状部は、前記乗場側ドアが閉じられた状態を維持する前記第1フック受け部との係合長さを有し、
前記第2フックの前記第2凹形状部は、前記乗場側ドアの開扉幅を第2開扉幅に制限する第2フック受け部との係合長さを有することで、
前記第1フックと前記第2フックとは、前記第2凹形状部における前記第2フック受け部との係合長さを決定する第2凹形状部長さが、前記第1凹形状部における前記第1フック受け部との係合長さを決定する第1凹形状部長さよりも長く形成され、
前記第1フック受け部の前記突起部と前記第2フック受け部の前記突起部とは、前記乗場側ドアの開扉方向及び上下方向において異なる位置に配置され、
前記第1フックの前記爪部と前記第2フックの前記爪部とは、前記乗場側ドアの開扉方向において同じ位置で、且つ上下方向において異なる位置に配置され、
前記第2フック受け部の前記突起部は、前記第1フック受け部の前記突起部に対して、前記第2凹形状部の前記爪部が設けられた一端部とは反対側の他端部の側に配置される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第1フックの第1凹形状部における第1フック受け部との係合長さを、乗場側ドアが閉じられた状態に維持する係合長さとし、第2フックの第2凹形状部における第2フック受け部との係合長さを、乗場側ドアの開扉幅を第2開扉幅に制限する係合長さにすることにより、部品の配置スペースを小さくすることができ、エレベーター装置に備えられるドアロック装置をコンパクトな構造にすることができる。
【0010】
なお、上述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施例に係るエレベーター装置1の概略を示す側面図(垂直断面図)である。
【
図2】本発明の一実施例に係るエレベーター装置1のドア10,41に対するドアロック装置100の配置の概略を示す上面図である。
【
図3】ドアロック装置100の配置の概略を示す正面図である。
【
図4】自動開閉時のドアロック装置100の施錠状態を示す正面図である。
【
図5】自動開閉時のドアロック装置100の解錠状態を示す正面図である。
【
図6】自動開閉時の開扉状態におけるドアロック装置100の状態を示す正面図である。
【
図7】手動開閉時のドアロック装置100の施錠状態を示す正面図である。
【
図8】手動開閉時のドアロック装置100の第1解錠状態を示す正面図である。
【
図9】手動開閉時におけるドアロック装置100の、第1解錠状態から第2解錠状態に移行する状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のエレベーター装置を実施するための形態について図面を参照して説明する。なお、各図において同一または類似の構成には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。また、以下の説明において、乗りかご4の昇降方向は垂直方向(上下方向)p(
図1参照)であり、垂直方向に垂直な方向を水平方向と呼んで説明する。
【0013】
図1を参照して、エレベーター装置1の構成について説明する。
図1は、本発明の一実施例に係るエレベーター装置1の概略を示す側面図(垂直断面図)である。
【0014】
エレベーター装置1は、昇降路1A内を昇降する乗りかご4および釣合いおもり5と、図示しない主ロープが巻きかけられる巻上機3と、昇降路1Aに立設されて乗りかご4の昇降を案内するかご用ガイドレール6と、昇降路1に立設されて釣合いおもり5の昇降を案内する釣合いおもり用ガイドレール7と、を備えている。
【0015】
乗りかご4及び釣合いおもり5は、建屋に設けられる昇降路1Aの内部に設けられ、図示しない主ロープによりつるべ式に吊持されている。本実施例では、巻上機3は昇降路1Aの最上部に配置された例を示しているが、巻上機3の位置は昇降路1Aの最上部に限定される訳ではない。かご用ガイドレール6及び釣合いおもり用ガイドレール7は昇降路1Aを形成する建屋の壁面(建屋壁)WAに沿って上下方向に立設されている。
【0016】
本実施例のエレベーター装置1は、トラクション方式のものであり、巻上機3で主ロープを摩擦駆動し、乗りかご4をかご用ガイドレール6に沿って上下に昇降させると共に、釣合いおもり5を釣合いおもり用ガイドレール7に沿って上下に昇降させる。かご用ガイドレール6及び釣合いおもり用ガイドレール7は、レールブラケット8により、昇降路1Aの壁面WAに固定されている。
【0017】
巻上機3は昇降路1Aの最上部に設けられた機械室1Bに配置されている。また機械室1B内には、乗りかご4の昇降を含むエレベーター装置1の動作を制御する制御盤2が配置されている。なお、機械室1Bの配置や、巻上機3及び制御盤2の配置については、本実施例の構成に限らず、その他の構成を採用することができる。
【0018】
昇降路1Aは建屋に形成され、乗りかご4及び釣合いおもり5が昇降する昇降スペースである。乗りかご4は前面に乗客の乗降用のドア41が設けられており、昇降路1Aの前側(乗場ホールH側)の壁面WAには開口部1Cが設けられ、この開口部1Cにドア10が設けられている。
【0019】
次に、
図2,3を参照して、エレベーター装置1に設けられるドア10,41及びドアロック装置100について、説明する。
図2は、本発明の一実施例に係るエレベーター装置1のドア10,41に対するドアロック装置100の配置の概略を示す上面図である。
図3は、ドアロック装置100の配置の概略を示す正面図である。
【0020】
ドアロック装置100は、ドア10を施錠する装置であり、
図2ではドアロック装置100が水平面に投影された平面図として描かれている。また
図3は、ドアロック装置100を
図2の矢印IIIに示す方向から見たIII矢視図であり、乗りかご4が着床したときの係合装置(係合部材)102の位置を破線102で示している。
【0021】
乗りかご4のドア41は2枚のドア部材41A,41Bからなり、ドア部材41A及びドア部材41Bは
図2に示す状態から左右に分かれて開扉する。建屋壁WAの開口部1Cに設けられる乗場ホールH側のドア10は2枚のドア部材10A,10Bからなり、ドア部材10A及びドア部材10Bは
図2に示す状態から左右に分かれて開扉する。
【0022】
乗りかご4のドア41と乗場ホールH側のドア10とを区別するため、ドア41はかご側ドアと呼び、ドア10は乗場側ドアと呼ぶことにする。
【0023】
本実施例において、かご側ドア41及び乗場側ドア10は2枚のドア部材からなる構成としているが、1枚或いは3枚以上のドア部材からなる構成であってもよい。また、かご側ドア41及び乗場側ドア10は複数のドア部材が中央から左右両側に分かれて開く構成としているが、左右方向(幅方向)の一端部から他端部に向かって開く構成であってもよい。
【0024】
乗場側ドア10を構成する2枚のドア部材(乗場側ドア部材)10A,10Bは、その上部に配設された、図示しないドアハンガーに支承され、図示しないリンク機構によって同期して開閉するように連結されている。なお、図示しないドアハンガーは、2枚の乗場側ドア部材10A,10Bのそれぞれの上部に、乗場側ドア部材10A,10Bと一体に設けられている。
【0025】
ドアロック装置100は、第1ドアロック装置110と、第2ドアロック装置120と、を備える。第1ドアロック装置110は、乗場側ドア10を閉じた状態で施錠するドアロック装置であり、第2ドアロック装置120は、第1ドアロック装置110が解錠した状態で、乗場側ドア10の開扉幅を全開状態における開扉幅(第1開扉幅)よりも小さい開扉幅(第2開扉幅)に制限するドアロック装置である。第1開扉幅は人が通り抜けることができない程度の大きさに設定される。なお、第2ドアロック装置120は、開扉幅を制限するドアロック装置であることから、開扉幅制限装置と呼ぶこともできる。
【0026】
図3に示すように、第1ドアロック装置110は、フック111、可動ローラ113、固定ローラ114、及びドアロックスイッチ118を備える。
【0027】
フック111は、一端部に凹形状部111aが形成され、凹形状部111aの一端部(先端部)に爪部111bが形成されている。フック111は、軸111cにより図示しないドアハンガーに取り付けられている。フック111は、軸111cを中心として、ドアハンガー、すなわち乗場側ドア10(本実施例では乗場側ドア10A)に対して、凹形状部111aが形成された一端部を回動可能に設けられる。
【0028】
可動ローラ113は、軸113aがフック111に保持され、フック111の軸111cを中心として、ドアハンガーに対してフック111と共に回動可能に設けられている。このため、ローラ113は可動ローラと称する。
【0029】
固定ローラ114は、軸114aがドアハンガーに取り付けられ、ドアハンガー、すなわち乗場側ドア10(本実施例では乗場側ドア10A)に対して、位置が固定されている。このため、ローラ114は固定ローラと称する。
【0030】
ドアロックスイッチ118は、フック111が係合して機械的に施錠を行うと共に、電気的に施錠確認を行うために利用される。このために、ドアロックスイッチ118は、フック111の凹形状部111aが係合する突起部118aを有する。すなわち、ドアロックスイッチ118の突起部118aは、フック111の凹形状部111aが係合する係合部を構成する。
【0031】
一方、フック111の凹形状部111aは、ドアロックスイッチ118の突起部118aと係合する係合部を構成する。フック111は、凹形状部111aの一端部に爪部111bが設けられ、爪部111bがドアロックスイッチ118の突起部118aの側面118bに係合することで、乗場側ドア10の開扉が防止される。
【0032】
なお、ドアロックスイッチ118は、フック111を受ける受け部であり、機械的に施錠を行う機能を有することから、施錠部或いは施錠部材と呼ぶ。
【0033】
図3に示すように、第2ドアロック装置120は、フック121、可動ローラ123、固定ローラ124、及び施錠部128を備える。
【0034】
フック121は、一端部に凹形状部121aが形成され、凹形状部121aの一端部(先端部)に爪部121bが形成されている。フック111は、軸121cにより図示しないドアハンガーに取り付けられている。フック121は、軸121cを中心として、ドアハンガー、すなわち乗場側ドア10(本実施例では乗場側ドア10A)に対して、凹形状部121aが形成された一端部を回動可能に設けられる。
【0035】
可動ローラ123は、軸123aがフック121に保持され、フック121の軸121cを中心として、ドアハンガーに対してフック121と共に回動可能に設けられている。このため、ローラ123は可動ローラと称する。
【0036】
固定ローラ124は、軸124aがドアハンガーに取り付けられ、ドアハンガー、すなわち乗場側ドア10(本実施例では乗場側ドア10A)に対して、位置が固定されている。このため、ローラ124は固定ローラと称する。
【0037】
施錠部(施錠部材)128は、フック121を受ける受け部であり、フック121が係合して乗場側ドア10の開扉幅を制限するために利用される。施錠部128及びフック121は、乗場側ドア10の開扉を制限するため、機械的に施錠を行うための部品又は装置とみなすことができる。施錠部128は、フック121の凹形状部121aが係合する突起部128aを有する。すなわち、施錠部128の突起部128aは、フック121の凹形状部121aが係合する係合部を構成する。
【0038】
一方、フック121の凹形状部121aは、施錠部128の突起部128aが係合する係合部を構成する。フック121の凹形状部121aの一端部に爪部121bが設けられ、開扉時に爪部121bが突起部128aの側面128bに係合することで、乗場側ドア10の開扉が制限される。
【0039】
上述した様に本実施例では、第1フック受け部(第1施錠部)118は、第1フック111の第1凹形状部111aが係合する突起部118aを有し、第1フック111は、第1凹形状部111aの一端部に設けられ第1フック受け部118の突起部118aに係合して乗場側ドア10の開扉を防止する爪部111bを有する。一方、第2フック受け部128は、第2フック121の第2凹形状部121aが係合する突起部128aを有し、第2フック121は、第2凹形状部121aの一端部に設けられ第2フック受け部128の突起部128aに係合して乗場側ドア10の開扉幅を制限する爪部121bを有する。
【0040】
第1ドアロック装置110において、フック111、凹形状部111a、軸111c、可動ローラ113、軸113a、固定ローラ114、軸114a、及び施錠部(フック受け部)118は、第2ドアロック装置120側の各部材と区別するため、第1フック111、第1凹形状部111a、第1フック軸111c、第1可動ローラ113、第1可動ローラ軸113a、第1固定ローラ114、第1固定ローラ軸114a、及び第1施錠部(第1フック受け部)118と呼ぶ場合がある。
【0041】
また、第2ドアロック装置120において、フック121、凹形状部121a、軸121c、可動ローラ123、軸123a、固定ローラ124、軸124a、及び施錠部(フック受け部)128は、第1ドアロック装置110側の各部材と区別するため、第2フック121、第2凹形状部121a、第2フック軸121c、第2可動ローラ123、第2可動ローラ軸123a、第2固定ローラ124、第2固定ローラ軸124a、及び第2施錠部(第2フック受け部)128と呼ぶ場合がある。
【0042】
上述した様に、本実施例のエレベーター装置は、昇降路1A内を昇降する乗りかご4と、乗場H側に設けられる乗場側ドア10と、乗場側ドア10を施錠するドアロック装置100と、を備えたエレベーター装置1において、
ドアロック装置100は、乗場側ドア10を閉じた状態で施錠する第1ドアロック装置110と、開扉時に乗場側ドア10の開扉幅を全開状態における第1開扉幅よりも小さい第2開扉幅Laに制限する第2ドアロック装置120とを備え、
第1ドアロック装置110は、一端部に第1凹形状部111aを有し第1フック軸111cを中心にして回動可能に設けられた第1フック111と、第1フック111の第1凹形状部111aが係合する第1フック受け部118と、を備え、
第2ドアロック装置120は、一端部に第2凹形状部121aを有し第2フック軸121cを中心にして回動可能に設けられた第2フック121と、第2フック121の第2凹形状部121aが係合する第2フック受け部128と、を備え、
第1フック111の第1凹形状部111aは、乗場側ドア10が閉じられた状態を維持する第1フック受け部118との係合長さL1を有し、
第2フック121の第2凹形状部121aは、乗場側ドア10の開扉幅を第2開扉幅に制限する第2フック受け部128との係合長さL2を有する。
【0043】
図3に示すように、第1ドアロック装置110と第2ドアロック装置120とは、ほぼ同じ構造および配置を有する。第1ドアロック装置110と第2ドアロック装置120との間の違いは、第1凹形状部111aの長さL1と第2凹形状部121aの長さL2との違いと、乗場側ドア10の開閉方向における第1施錠部118の突起部118aの位置と第2施錠部128の突起部128aの位置との違いである。
【0044】
第1フック111と第2フック121とは、第2凹形状部121aにおける第2フック受け部128との係合長さを決定する第2凹形状部長さL2が、第1凹形状部111aにおける第1フック受け部118との係合長さを決定する第1凹形状部長さL1よりも長く形成されている。この場合、第1フック111の第1凹形状部111aは、乗場側ドア10が閉じられた状態を維持する係合長さL1を有し、第2フック121の第2凹形状部121aは、乗場側ドア10が第1開扉幅に開扉可能な係合長さL2を有する。
【0045】
第1ドアロック装置110と第2ドアロック装置120とは、上下方向に併設される。
【0046】
図3において左側に位置する第2凹形状部121aの一端部(爪部121b)の位置は、
図3において左側に位置する第1凹形状部111aの一端部(爪部111b)の位置と同じである。一方、
図3において右側に位置する第2凹形状部121aの他端部の位置は、
図3において右側に位置する第1凹形状部111aの他端部の位置と異なる。すなわち、第2凹形状部121aの他端部の位置は、第1凹形状部111aの他端部の位置よりも、
図3上で右側にずれた位置にあり、そのずれた分だけ、第2凹形状部121aの長さL2が第1凹形状部111aの長さL1よりも長くなっている。
【0047】
一方、第1施錠部118の突起部118aの位置と第2施錠部128の突起部128aの位置との違いについては、第2施錠部128の突起部128aが第1施錠部118の突起部118aよりも、
図3において右側にずれた位置にある。第2施錠部128の突起部128aは、その側面128bが第2フック121と係合することにより、乗場側ドア10の開扉幅を制限する。第1施錠部118の突起部118aは、その側面118bが第1フック111と係合することにより、乗場側ドア10の開扉不能に施錠する。乗場側ドア10の開閉方向において、第2施錠部128の突起部128aの側面128bは、第1施錠部118の突起部118aの側面118bよりも長さLaだけ、
図3上で右側にずれた位置にある。この場合、第1施錠部118の突起部118aに対する第1凹形状部111aの係合が解除されると、第2フック121は第2凹形状部121aが第2施錠部128の突起部128aに係合したままの状態で、長さLaだけ、
図3上で右側に移動することができる。
【0048】
上述した様に本実施例では、第1フック受け部(第1施錠部)118の突起部118aと第2フック受け部(第2施錠部)128の突起部128aとは、乗場側ドア10の開扉方向及び上下方向において異なる位置に配置され、第1フック111の爪部111bと第2フック121の爪部121bとは、乗場側ドア10の開扉方向において同じ位置で、且つ上下方向において異なる位置に配置される。この場合、第2フック受け部128の突起部128aは、乗場側ドア10の開扉方向において、第1フック受け部118の突起部118aに対して、第2凹形状部121aの爪部121bが設けられた一端部とは反対側の他端部の側に配置される。
【0049】
上述した違いを除いて、第1ドアロック装置110と第2ドアロック装置120とは同じ構造および配置を有する。すなわち第1フック111と第2フック121とは、第1凹形状部111a及び第2凹形状部121aを除く外形形状が同形状に形成される。
【0050】
さらに本実施例では、第1ドアロック装置110は、第1フック111と共に回動可能に設けられた第1可動ローラ113と、乗場側ドア10に対して位置が固定された第1固定ローラ114と、を有し、
第2ドアロック装置120は、第2フック121と共に回動可能に設けられた第2可動ローラ123と、乗場側ドア10に対して位置が固定された第2固定ローラ124と、を有する。
【0051】
この場合、第2ドアロック装置120の第2フック121、第2フック軸121c、第2可動ローラ123及び第2固定ローラ124と、第1ドアロック装置110の第1フック111、第1フック軸111c、第1可動ローラ113及び第1固定ローラ114とは、第2ドアロック装置120又は第1ドアロック装置110のいずれか一方の位置を上下方向にずらした場合に、他方の位置に重なるように配置される。
【0052】
一方、第1施錠部(ドアロックスイッチ)118及び第2施錠部128は、第1施錠部118の突起部118aの位置と第2施錠部128の突起部128aの位置とが異なるように配置されることで、第1施錠部118の形状と第2施錠部128の形状とを全く同じ形状にすることができる。
【0053】
このため、
図2に示す上面図においては、第1施錠部118及び第2施錠部128を除いて、第1ドアロック装置110と第2ドアロック装置120とはRAの範囲(
図3参照)で完全に重なる。すなわち
図2においては、第1ドアロック装置110は第2ドアロック装置120の下に隠れる。なお、
図2においては、第1施錠部118及び第2施錠部128は、突起部118a及び突起部128aだけを図示している。
【0054】
図2,3では、乗りかご4が着床した状態で、係合装置102が、ドアロック装置100に対して係合した状態を示している。この係合状態では、第1可動ローラ113及び第1固定ローラ114と第2可動ローラ123及び第2固定ローラ124とが、係合装置102の両側壁102a,102bの内側の係合範囲ΔEに位置付けられる。係合装置102は乗りかご4側に配設されており、乗りかご4が他の階に移動すると、ドアロック装置100は係合装置102に対する係合が解除される。
【0055】
係合装置(係合部材)102は、自動開扉時に第1ドアロック装置110の第1可動ローラ113及び第2ドアロック装置120の第2可動ローラ123と係合して、かご側ドア41の開扉方向への移動に伴って第1ドアロック装置110及び第2ドアロック装置120を解錠する自動解錠装置を構成する。
【0056】
次に、
図4~6を参照して、通常動作時(自動開閉時)におけるドアロック装置100の解錠動作について説明する。
図4~6の解錠動作は、かご側ドア41の開閉動作に伴って、乗場側ドア10A,10Bが自動開閉される。すなわち、かご側ドア41の開閉動作に連動して、ドアロック装置100が自動で解錠される。
【0057】
図4は、自動開閉時のドアロック装置100の施錠状態を示す正面図である。
図4では、
図3では図示していなかった、第1フック解錠部材105、解錠キー106、及び第2フック解錠部材107を図示している。第1フック解錠部材105、解錠キー106、及び第2フック解錠部材107は、通常動作時におけるドアロック装置100の解錠動作には関係しない部品であり、後で説明する。
【0058】
乗りかご4側に設けられた係合装置102は、乗りかご4が着床する際に、ドアロック装置100に係合する。すなわち、第1ドアロック装置110の第1可動ローラ113及び第1固定ローラ114と、第2ドアロック装置120の第2可動ローラ123及び第2固定ローラ124とが、係合範囲ΔEに位置付けられ、
図4に示す状態になる。
【0059】
乗りかご4が着床した時点では、第1フック111の凹形状部111aは施錠部118の突起部118aと係合した状態にあり、第2フック121の凹形状部121aは施錠部128の突起部128aと係合した状態にあり、乗場側ドア10A,10Bは施錠された状態にある。
【0060】
図5は、自動開閉時のドアロック装置100の解錠状態を示す正面図である。
乗りかご4が着床した後、かご側ドア41が開動作を始めると、かご側ドア41側に設けられた係合装置102は、かご側ドア41と共に移動して、係合範囲ΔEで示す位置から係合範囲ΔE’で示す位置に移動する。この移動に伴って、係合装置102は、側壁102aが第1可動ローラ113及び第2可動ローラ123に当接し、両ローラ113,123を図中左方向に押す。
【0061】
このとき、第1可動ローラ113は、第1フック軸111cを中心にして回動し、第1フック111の爪部(第1フック爪部)111b側の一端部を持ち上げるように動作する。第1可動ローラ113は、第1固定ローラ114に当接することで、回動動作が止められる。第1可動ローラ113の回動動作により第1フック111が回動し、第1フック111の凹形状部111aとドアロックスイッチ118の突起部118aとの係合が解除されることで、第1ドアロック装置110が解錠される。
【0062】
一方、第2可動ローラ123は、第2フック軸121cを中心にして回動し、第2フック121の爪部(第2フック爪部)121b側の一端部を持ち上げるように動作する。第2可動ローラ123は、第2固定ローラ124に当接することで、回動動作が止められる。第2可動ローラ123の回動動作により第2フック121が回動し、第2フック121の凹形状部121aと施錠部128の突起部128aとの係合が解除されることで、第2ドアロック装置120が解錠される。
【0063】
すなわち本実施例のエレベーター装置1は、乗りかご4側のかご側ドア41の側に設けられた係合装置102を備え、係合装置102は、乗場側ドア10及びかご側ドア41の自動開扉時に、第1可動ローラ113及び第2可動ローラ123の両方に当接してかご側ドア41の移動に伴って第1可動ローラ113及び第2可動ローラ123を押すことにより、第1フック111及び第2フック121の両方を回動させ、第1ドアロック装置110及び第2ドアロック装置120を解錠する。
【0064】
第1ドアロック装置110が解錠されることで、係合装置102及びドアロック装置100によりかご側ドア41に連結された乗場側ドア10A,10Bは、かご側ドア41の開扉動作に連動して開扉動作を行い
図6に示す状態に移行する。
【0065】
図6は、自動開閉時の開扉状態におけるドアロック装置100の状態を示す正面図である。
【0066】
図5に示す状態で、第2フック121の爪部121bは施錠部128の突起部128aから外れた状態にあり、乗場側ドア10A,10Bは
図6に示す状態から更に、開扉動作を行うことができる。
【0067】
次に、
図7~9を参照して、手動開閉時におけるドアロック装置100の解錠動作について説明する。
図7~9は、保守点検時等に乗りかご4が着床していない状態で、乗場側ドア10のドアロック装置100を解錠する動作を示している。
【0068】
図7は、手動開閉時のドアロック装置100の施錠状態を示す正面図である。
手動開閉時には、第1フック解錠部材105、解錠キー106、及び第2フック解錠部材107を用いて、ドアロック装置100の解錠を行う。第1フック解錠部材105は一端部が第1フック111に連結されている。解錠キー106は、図示しないキーガイド孔から挿入したキーにより、係合部106aが回動する構造である。第2フック解錠部材107は、第2フック121の軸121cを挟んで、爪部121bが設けられた一端部とは反対側の他端部に連結されている。本実施例では、第2フック解錠部材107は、ロープで構成されており、以下、解錠ロープと呼んで説明する。
【0069】
なお、
図7では、ドアロック装置100の状態は
図4の状態と同じであるが、乗りかご4が着床していないため、係合装置102がドアロック装置100に係合していない。
【0070】
図8は、手動開閉時のドアロック装置100の第1解錠状態を示す正面図である。
第1解錠状態では、第1施錠部118に対する第1フック111の係合が解除され、第2施錠部128に対する第2フック121の係合は維持される。
【0071】
手動開閉時には、図示しないキーガイド孔から挿入したキーにより、解錠キー106の係合部106aを回動させ、第1フック解錠部材105の下端部を図中左方向に押す。第1フック解錠部材105の下端部は、第1フック111に連結された一端部(上端部)の側とは反対側の他端部である。この操作により、第1フック解錠部材105の下端部が上端部に対して図中左方向に移動し、第1フック111が第1フック軸111cを中心にして回動する。その結果、第1施錠部118に対する第1フック111の係合は解除される。
【0072】
このように、第1フック解錠部材105及び解錠キー106は、手動開閉時に第1施錠部118に対する第1フック111の係合を解除して、第1ドアロック装置110の解錠を行う第1解錠装置を構成する。
【0073】
図8の第1解錠状態になると、第2フック121は第2凹形状部121aが第2施錠部突起部128aに係合したままの状態で、長さLaだけ、
図3上で右側に移動することができるようになる。すなわち、乗場側ドア10A,10Bは、第1ドアロック装置110が解錠された状態となり、乗場側ドア10A,10Bを全開状態における開扉幅よりも小さい第1開扉幅Laで開扉することができるようになる。乗場側ドア10A,10Bを第1開扉幅Laに開扉することにより、ドアロック装置100は
図9の実線で示す状態になる。
【0074】
図9は、手動開閉時におけるドアロック装置100の、第1解錠状態から第2解錠状態に移行する状態を示す正面図である。
【0075】
実線で示す第2フック121の姿勢は、
図8の第1解錠状態を維持しているときのものである。乗場側ドア10A,10Bを
図8の状態から開扉すると、第2フック121の爪部が第2施錠部突起部128aの側面128bに突き当たり、乗場側ドア10A,10Bの開扉幅が第1開扉幅Laで制限される。このときの状態が
図9の実線で示す状態(第1解錠状態)である。
【0076】
図9の実線で示す状態において、第1開扉幅Laに開いた乗場側ドア10A,10Bの隙間から手を差し入れて解錠ロープ107を引くと、第2フック121は二点鎖線121’で示すように第2フック軸121cを中心にして回動し、第2凹形状部121aの第2施錠部突起部128aに対する係合が解除される。この状態が第2解錠状態である。この場合、第2フック121に設けられた第2可動ローラ123も二点鎖線123’で示すように第2フック軸121cを中心にして回動する。
【0077】
手動開閉時における第2解錠状態では、第1フック111及び第2フック121は自動開閉時の
図6に示す状態と同じ状態になり、乗場側ドア10A,10Bを全開状態まで開くことができる。
【0078】
このように、解錠ロープ107は、手動開閉時に第2施錠部128に対する第2フック121の係合を解除して、第2ドアロック装置120の解錠を行う第2解錠装置を構成する。
【0079】
本実施例では、手動開閉時に第1施錠部118に対する第1フック111の係合を解除して第1ドアロック装置110の解錠を行う第1解錠装置と、手動開閉時に第2施錠部128に対する第2フック121の係合を解除して第2ドアロック装置120の解錠を行う第2解錠装置とが、独立した解錠装置として構成されている。さらに、自動開閉時には、第1施錠部118に対する第1フック111の係合、及び第2施錠部128に対する第2フック121の係合の両方が、係合装置102により同時に解除される。すなわち、自動開閉時には、同じ係合装置102で、第1ドアロック装置110及び第2ドアロック装置120の両方の解錠が行われる。これにより、ドアロック装置100をコンパクトに構成することができると共に、自動開閉時における開扉動作と手動開閉時における開扉幅制限を含む開扉動作とを確実に実施することができる。
【0080】
本実施例によれば、エレベーター装置1に備えられるドアロック装置100をコンパクトな構造にすることができる。その結果、新設のエレベーター装置においては、ドアロック装置100を配置する周辺の設計の自由度が大きくなる。また既設のエレベーター装置においては、第2ドアロック装置120の配置スペースを容易に確保することができ、第2ドアロック装置120を後付けで容易に取り付けることができる。
【0081】
また、第1ドアロック装置110及び第2ドアロック装置120が一部を除いて同じ形状で同じ構造を有しているため、既設のエレベーター装置に第2ドアロック装置120を増設する場合に、第1ドアロック装置110を基準にして第2ドアロック装置120を増設することができる。このため、第2ドアロック装置120の増設工事が容易になると共に、第2ドアロック装置120の動作の確実性を容易に確保することができる。
【0082】
また、自動開閉時には、かご側ドア41側から係合装置102を介して開扉動力を得る構成であるが、この開扉動力を第1ドアロック装置110及び第2ドアロック装置120で受けるので、開扉動力の受け部の強度を増すことができる。
【0083】
また、本実施例では、第1ドアロック装置110及び第2ドアロック装置120を構成する部品は、第1フック111の凹形状部111aと第2フック121の凹形状部121aの形状が異なるだけで、その他の部品は共通して使用することができる。また、第1フック111及び第2フック121においては、凹形状部111a,121aの形状を変えるだけでよく、部品の仕様を大きく変える必要がない。凹形状部111a,121aを追加工する製造方法にあっては、第1フック111及び第2フック121の素材を共通化して製作することができる。
【0084】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施例の構成の一部を他の構成に置き換えることが可能である。また、実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0085】
1…エレベーター装置、1A…昇降路、4…乗りかご、10…乗場側ドア、41…かご側ドア、100…ドアロック装置、102…係合装置、110…第1ドアロック装置、111…第1フック、111a…第1フック111の凹形状部(第1凹形状部)、111b…第1フック111の爪部、111c…第1フック軸、113…第1可動ローラ、114…第1固定ローラ、118…第1フック受け部(第1施錠部)、118a…第1フック受け部118の突起部、120…第2ドアロック装置、121…第2フック、121a…第2フック121の第2凹形状部、121b…第2フック121爪部、121c…第2フック軸、123…第2可動ローラ、124…第2固定ローラ、128…第2フック受け部(第2施錠部)、128a…第2フック受け部128の突起部、H…乗場、La…第2開扉幅、L1…第1凹形状部の係合長さ、L2…第2凹形状部121aの係合長さ。