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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-23
(45)【発行日】2024-10-31
(54)【発明の名称】柱脚アンカー構造体、および架台
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/24 20060101AFI20241024BHJP
   E04B 1/58 20060101ALI20241024BHJP
   E02D 27/00 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
E04B1/24 R
E04B1/58 511H
E02D27/00 D
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020159820
(22)【出願日】2020-09-24
(65)【公開番号】P2022053161
(43)【公開日】2022-04-05
【審査請求日】2023-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】323005120
【氏名又は名称】センクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 倫夫
(72)【発明者】
【氏名】大塚 一司
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-050433(JP,A)
【文献】特開2000-199230(JP,A)
【文献】特開2003-342960(JP,A)
【文献】実開昭54-157412(JP,U)
【文献】特開平05-214731(JP,A)
【文献】米国特許第05505033(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/24
E04B 1/58
E02D 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平鉄筋が延在する方向に並んで配置される少なくとも2つのアンカーボルトを有するアンカーフレームと、
前記アンカーフレームを支持する支柱を有する架台と、を備え、
前記支柱の少なくとも一部分は、前記少なくとも2つのアンカーボルトのそれぞれに両側から接する2つの平面の間に配置され
前記架台は、前記アンカーフレームが載置される横部材を有し、
前記支柱は、前記横部材を介して前記アンカーフレームを支持し、
前記架台は、前記支柱と前記横部材とを連結する治具を有し、
前記治具は、前記横部材に連結される横部材支持部と、前記横部材を前記支柱よりも外側に配置するための突出部を有する柱脚アンカー構造体。
【請求項2】
前記横部材支持部は、前記横部材の上面に延在するリップを有する請求項1に記載の柱脚アンカー構造体。
【請求項3】
前記少なくとも2つのアンカーボルトは一の列を形成し、
前記アンカーフレームは、前記一の列に平行な他の列を形成する少なくとも2つの他のアンカーボルトを有し、
前記他の列を形成する少なくとも2つの他のアンカーボルトを有する前記アンカーフレームを支持する前記支柱の他の一部分は、前記少なくとも2つの他のアンカーボルトのそれぞれに両側から接する、前記2つの平面とは異なる他の2つの平面の間に配置される請求項1又は請求項2に記載の柱脚アンカー構造体。
【請求項4】
前記アンカーフレームは、4つの帯状部分と前記4つの帯状部分を互いに連結する4つの連結部分からなる枠状の形板を有し、
前記少なくとも2つのアンカーボルトと、前記少なくとも2つの他のアンカーボルトは、前記4つの帯状部分のいずれかの帯状部分に配置される請求項3に記載の柱脚アンカー構造体。
【請求項5】
前記アンカーフレームは、4つの帯状部分と前記4つの帯状部分の端部を互いに連結する4つの連結部分からなる枠状の形板を有し、
前記少なくとも2つのアンカーボルトと、前記少なくとも2つの他のアンカーボルトは、前記4つの連結部分のいずれかの連結部分に配置される請求項3に記載の柱脚アンカー構造体。
【請求項6】
前記少なくとも2つのアンカーボルトは、4つのアンカーボルトであり、
前記少なくとも2つの他のアンカーボルトは、4つの他のアンカーボルトであり、
前記アンカーフレームは、4つの帯状部分と前記4つの帯状部分の端部を互いに連結する4つの連結部分からなる枠状の形板を有し、
前記4つのアンカーボルトのうちの2つのアンカーボルトは前記4つの帯状部分のいずれかの帯状部分に配置され、前記4つのアンカーボルトのうちの残りの2つのアンカーボルトは前記4つの連結部分のいずれかの連結部分に配置され、
前記4つの他のアンカーボルトのうちの2つのアンカーボルトは前記4つの帯状部分のいずれかの帯状部分に配置され、前記4つの他のアンカーボルトのうちの残りの2つのアンカーボルトは前記4つの連結部分のうちのいずれかの連結部分に配置される請求項3に記載の柱脚アンカー構造体。
【請求項7】
水平鉄筋が延在する方向に並んで配置される少なくとも2つのアンカーボルトを有するアンカーフレームを支持する架台であって、
前記アンカーフレームを支持する支柱を備え、
前記支柱の少なくとも一部分は、前記少なくとも2つのアンカーボルトのそれぞれに両側から接する2つの平面の間に配置され
前記アンカーフレームが載置される横部材を、さらに有し、
前記支柱は、前記横部材を介して前記アンカーフレームを支持し、
前記支柱と前記横部材とを連結する治具を、さらに有し、
前記治具は、前記横部材に連結される横部材支持部と、前記横部材を前記支柱よりも外側に配置するための突出部を有する架台。
【請求項8】
前記横部材支持部は、前記横部材の上面に延在するリップを有する請求項7に記載の架台。
【請求項9】
前記少なくとも2つのアンカーボルトは一の列を形成し、
前記アンカーフレームは、前記一の列に平行な他の列を形成する少なくとも2つの他のアンカーボルトを有し、
前記他の列を形成する少なくとも2つの他のアンカーボルトを有する前記アンカーフレームを支持する前記支柱の他の一部分は、前記少なくとも2つの他のアンカーボルトのそれぞれに両側から接する、前記2つの平面とは異なる他の2つの平面の間に配置される請求項7又は請求項8に記載の架台。
【請求項10】
前記アンカーフレームは、4つの帯状部分と前記4つの帯状部分を互いに連結する4つの連結部分からなる枠状の形板を有し、
前記少なくとも2つのアンカーボルトと、前記少なくとも2つの他のアンカーボルトは、前記4つの帯状部分のいずれかの帯状部分に配置される請求項9に記載の架台。
【請求項11】
前記アンカーフレームは、4つの帯状部分と前記4つの帯状部分の端部を互いに連結する4つの連結部分からなる枠状の形板を有し、
前記少なくとも2つのアンカーボルトと、前記少なくとも2つの他のアンカーボルトは、前記4つの連結部分のいずれかの連結部分に配置される請求項9に記載の架台。
【請求項12】
前記少なくとも2つのアンカーボルトは、4つのアンカーボルトであり、
前記少なくとも2つの他のアンカーボルトは、4つの他のアンカーボルトであり、
前記アンカーフレームは、4つの帯状部分と前記4つの帯状部分の端部を互いに連結する4つの連結部分からなる枠状の形板を有し、
前記4つのアンカーボルトのうちの2つのアンカーボルトは前記4つの帯状部分のいずれかの帯状部分に配置され、前記4つのアンカーボルトのうちの残りの2つのアンカーボルトは前記4つの連結部分のいずれかの連結部分に配置され、
前記4つの他のアンカーボルトのうちの2つのアンカーボルトは前記4つの帯状部分のいずれかの帯状部分に配置され、前記4つの他のアンカーボルトのうちの残りの2つのアンカーボルトは前記4つの連結部分のうちのいずれかの連結部分に配置される請求項9に記載の架台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柱脚アンカー構造体、および架台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地面に打設されたコンクリートに建物用柱脚を設置するための柱脚アンカー構造体が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
柱脚アンカー構造体は、ベースプレートを基礎コンクリートに固定するためのアンカーボルト、およびアンカーボルトを互いに所定の位置に固定するための形板を有している。また、柱脚アンカー構造体は、形板を支持するための架台を有している。
【0004】
柱脚アンカー構造体が設置される基礎コンクリート内には、鉄筋が設置される。鉄筋は、柱脚アンカー構造体のアンカーボルトに干渉しないように設計される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-53563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
アンカーボルトに干渉しないように鉄筋の位置を決めると、架台を構成する支柱と鉄筋とが、干渉してしまう場合がある。この場合、支柱の一部を切り欠くなどの作業が建設現場において必要になる。その結果、スケジュールが遅延するおそれがある。
【0007】
本発明は、架台の支柱と鉄筋、特に水平鉄筋との干渉を防ぐことが可能な柱脚アンカー構造体、および架台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、水平鉄筋が延在する方向に並んで配置される少なくとも2つのアンカーボルトを有するアンカーフレームと、前記アンカーフレームを支持する支柱を有する架台と、を備え、前記支柱の少なくとも一部分は、前記少なくとも2つのアンカーボルトのそれぞれに両側から接する2つの平面の間に配置され、前記架台は、前記アンカーフレームが載置される横部材を有し、前記支柱は、前記横部材を介して前記アンカーフレームを支持し、前記架台は、前記支柱と前記横部材とを連結する治具を有し、前記治具は、前記横部材に連結される横部材支持部と、前記横部材を前記支柱よりも外側に配置するための突出部を有する柱脚アンカー構造体である。
請求項2に係る発明は、前記横部材支持部は、前記横部材の上面に延在するリップを有する請求項1に記載の柱脚アンカー構造体である。
請求項3に係る発明は、前記少なくとも2つのアンカーボルトは一の列を形成し、前記アンカーフレームは、前記一の列に平行な他の列を形成する少なくとも2つの他のアンカーボルトを有し、前記他の列を形成する少なくとも2つの他のアンカーボルトを有する前記アンカーフレームを支持する前記支柱の他の一部分は、前記少なくとも2つの他のアンカーボルトのそれぞれに両側から接する、前記2つの平面とは異なる他の2つの平面の間に配置される請求項1又は請求項2に記載の柱脚アンカー構造体である。
請求項4に係る発明は、前記アンカーフレームは、4つの帯状部分と前記4つの帯状部分を互いに連結する4つの連結部分からなる枠状の形板を有し、前記少なくとも2つのアンカーボルトと、前記少なくとも2つの他のアンカーボルトは、前記4つの帯状部分のいずれかの帯状部分に配置される請求項3に記載の柱脚アンカー構造体である。
請求項5に係る発明は、前記アンカーフレームは、4つの帯状部分と前記4つの帯状部分の端部を互いに連結する4つの連結部分からなる枠状の形板を有し、前記少なくとも2つのアンカーボルトと、前記少なくとも2つの他のアンカーボルトは、前記4つの連結部分のいずれかの連結部分に配置される請求項3に記載の柱脚アンカー構造体である。
請求項6に係る発明は、前記少なくとも2つのアンカーボルトは、4つのアンカーボルトであり、前記少なくとも2つの他のアンカーボルトは、4つの他のアンカーボルトであり、前記アンカーフレームは、4つの帯状部分と前記4つの帯状部分の端部を互いに連結する4つの連結部分からなる枠状の形板を有し、前記4つのアンカーボルトのうちの2つのアンカーボルトは前記4つの帯状部分のいずれかの帯状部分に配置され、前記4つのアンカーボルトのうちの残りの2つのアンカーボルトは前記4つの連結部分のいずれかの連結部分に配置され、前記4つの他のアンカーボルトのうちの2つのアンカーボルトは前記4つの帯状部分のいずれかの帯状部分に配置され、前記4つの他のアンカーボルトのうちの残りの2つのアンカーボルトは前記4つの連結部分のうちのいずれかの連結部分に配置される請求項3に記載の柱脚アンカー構造体である。
請求項7に係る発明は、水平鉄筋が延在する方向に並んで配置される少なくとも2つのアンカーボルトを有するアンカーフレームを支持する架台であって、前記アンカーフレームを支持する支柱を備え、前記支柱の少なくとも一部分は、前記少なくとも2つのアンカーボルトのそれぞれに両側から接する2つの平面の間に配置され、前記アンカーフレームが載置される横部材を、さらに有し、前記支柱は、前記横部材を介して前記アンカーフレームを支持し、前記支柱と前記横部材とを連結する治具を、さらに有し、前記治具は、前記横部材に連結される横部材支持部と、前記横部材を前記支柱よりも外側に配置するための突出部を有する架台である。
請求項8に係る発明は、前記横部材支持部は、前記横部材の上面に延在するリップを有する請求項7に記載の架台である。
請求項9に係る発明は、前記少なくとも2つのアンカーボルトは一の列を形成し、前記アンカーフレームは、前記一の列に平行な他の列を形成する少なくとも2つの他のアンカーボルトを有し、前記他の列を形成する少なくとも2つの他のアンカーボルトを有する前記アンカーフレームを支持する前記支柱の他の一部分は、前記少なくとも2つの他のアンカーボルトのそれぞれに両側から接する、前記2つの平面とは異なる他の2つの平面の間に配置される請求項7又は請求項8に記載の架台である。
請求項10に係る発明は、前記アンカーフレームは、4つの帯状部分と前記4つの帯状部分を互いに連結する4つの連結部分からなる枠状の形板を有し、前記少なくとも2つのアンカーボルトと、前記少なくとも2つの他のアンカーボルトは、前記4つの帯状部分のいずれかの帯状部分に配置される請求項9に記載の架台である。
請求項11に係る発明は、前記アンカーフレームは、4つの帯状部分と前記4つの帯状部分の端部を互いに連結する4つの連結部分からなる枠状の形板を有し、前記少なくとも2つのアンカーボルトと、前記少なくとも2つの他のアンカーボルトは、前記4つの連結部分のいずれかの連結部分に配置される請求項9に記載の架台である。
請求項12に係る発明は、前記少なくとも2つのアンカーボルトは、4つのアンカーボルトであり、前記少なくとも2つの他のアンカーボルトは、4つの他のアンカーボルトであり、前記アンカーフレームは、4つの帯状部分と前記4つの帯状部分の端部を互いに連結する4つの連結部分からなる枠状の形板を有し、前記4つのアンカーボルトのうちの2つのアンカーボルトは前記4つの帯状部分のいずれかの帯状部分に配置され、前記4つのアンカーボルトのうちの残りの2つのアンカーボルトは前記4つの連結部分のいずれかの連結部分に配置され、前記4つの他のアンカーボルトのうちの2つのアンカーボルトは前記4つの帯状部分のいずれかの帯状部分に配置され、前記4つの他のアンカーボルトのうちの残りの2つのアンカーボルトは前記4つの連結部分のうちのいずれかの連結部分に配置される請求項9に記載の架台である。
また、別発明として、以下のものでもよい。
柱脚アンカー構造体が、水平鉄筋が延在する方向に並んで配置される少なくとも2つのアンカーボルトを有するアンカーフレームと、アンカーフレームを支持する支柱を有する架台と、を備え、支柱の少なくとも一部分は、前記少なくとも2つのアンカーボルトのそれぞれに両側から接する2つの平面の間に配置される。
【0009】
水平鉄筋が延在する方向に並んで配置される少なくとも2つのアンカーボルトを有するアンカーフレームを支持する架台であって、アンカーフレームを支持する支柱を備え、支柱の少なくとも一部分は、前記少なくとも2つのアンカーボルトのそれぞれに両側から接する2つの平面の間に配置される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、架台の支柱と鉄筋、特に水平鉄筋との干渉を防ぐことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】柱脚アンカー構造体の斜視図である。
図2】柱脚アンカー構造体の設置工程を説明する図である。
図3】柱脚アンカー構造体の設置工程を説明する図である。
図4】柱脚アンカー構造体の設置工程を説明する図である。
図5】柱脚アンカー構造体の設置工程を説明する図である。
図6】治具の構造を示す斜視図である。
図7】柱脚アンカー構造体と鉄筋との関係を説明する正面図である。
図8】柱脚アンカー構造体と鉄筋との関係を説明する平面図である。
図9】アンカーボルトと支柱との位置関係を説明する図である。
図10】リップが設けられた治具を示す図である。
図11】リップ付きの治具を有する柱脚アンカー構造体の平面図である。
図12】リップ付きの治具を有する柱脚アンカー構造体の平面図である。
図13】リップ付きの治具を有する柱脚アンカー構造体の平面図である。
図14】リップが設けられた治具を示す図である。
図15】柱脚アンカー構造体の他の例を示す図である。
図16】他の実施の形態の柱脚アンカー構造体を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態につき図面を参照して説明する。なお、本発明は、この実施形態に限定されないことはいうまでもない。
【0013】
[柱脚アンカー構造体の概要]
柱脚アンカー構造体の概要について説明する。
【0014】
図1は、柱脚アンカー構造体の斜視図である。柱脚アンカー構造体1は、建物の柱を基礎コンクリート上に固定するための構造体である。柱脚アンカー構造体1は、架台2、およびアンカーフレーム3を備えている。
【0015】
架台2は、均しコンクリート上でアンカーフレーム3を支持する部材である。架台2は、例えば、複数の形鋼が互いに接合されて直方体形状に形成される。
【0016】
アンカーフレーム3は、架台2によって支持される部材である。アンカーフレーム3は、アンカーボルト31、下形板32、およびナット33(331、332)を有している。
【0017】
アンカーボルト31は、ベースプレート4を基礎コンクリートに固定するための部材である。ベースプレート4を基礎コンクリートとナット331との間に挟み込んでナット331をアンカーボルト31に螺合することにより、ベースプレート4が基礎コンクリートに固定される。
【0018】
下形板32は、架台2上に載置される板状の部材である。下形板32は架台2の上面に、例えば、溶接によって接合される。
【0019】
下形板32に形成されたボルト用の穴(不図示)にアンカーボルト31が通され、ナット332で下形板32を挟み込むことによって、下形板32がアンカーボルト31に固定される。
【0020】
[柱脚アンカー構造体の設置工程]
次に、図2図5を用いて柱脚アンカー構造体1の設置工程について説明する。
【0021】
図2図5は、柱脚アンカー構造体1の設置工程を説明する図である。まず、均しコンクリート5上の適切な位置に架台2が載置される(図2参照)。次に、架台2上にアンカーフレーム3が載置され、架台2とアンカーフレーム3の下形板32とが溶接により接合される。このとき、アンカーボルト31の上端付近には、各アンカーボルト31の姿勢を垂直状態に維持し、各アンカーボルト31間のピッチを維持するための上形板34がナット331によって仮留めされている。
【0022】
つづいて、建物の基礎部分に鉄筋(不図示)が配置される。鉄筋は、アンカーボルト31に干渉しない位置に配置されるように設計されている。
【0023】
つづいて、基礎コンクリート6が打設される(図3参照)。基礎コンクリート6は、上形板34の下面付近まで打設される。基礎コンクリート6が打設されると、架台2、およびアンカーフレーム3の大部分は、基礎コンクリート6に埋設される。
【0024】
基礎コンクリート6が固まると、上形板34が取り外される(図4参照)。
【0025】
その後、基礎コンクリート6から露出したアンカーボルト31にベースプレート4のボルト用の穴を嵌めて、ベースプレート4が基礎コンクリート6上に設置される(図5参照)。つづいて、ナット331がアンカーボルト31に締め付けられて、ベースプレート4が基礎コンクリート6上に固定される。
【0026】
[柱脚アンカー構造体の具体的構成]
再び図1を参照して、柱脚アンカー構造体1の具体的構成について説明する。
【0027】
架台2は、支柱21、横部材22、および治具23を有する。
【0028】
支柱21は、均しコンクリート5に対して垂直に配置される部材である。支柱21には、材軸方向に長い山形鋼などの鋼材が用いられる。
【0029】
横部材22は、上面に下形板32が載置される部材である。横部材22には、材軸方向に長い山形鋼などの鋼材が用いられる。また、横部材22は、両端が治具23に接合されて、治具23によって支持される。
【0030】
治具23は、支柱21の上端部に接合され、横部材22を支持する部材である。治具23は、帯状の板部材が階段状に折り曲げられて形成される。ここで、図6を参照して治具23の構成について詳しく説明する。
【0031】
図6は、治具23の構造を示す斜視図である。治具23は、山形部231、突出部232、および横部材支持部233を有している。
【0032】
山形部231は、治具23の中央部分に位置しており、山形に形成される部分である。山形部231の外側面は、支柱21の内側面に接合される。
【0033】
突出部232は、その一端が山形部231の端部から延出する部分であり、山形部231から外側に向けて90°の角度で折り曲げられて形成される。この突出部232は、横部材22を支柱21よりも外側に配置するために設けられる。
【0034】
横部材支持部233は、突出部232の他端から延出する部分であり、突出部232から横部材22の長手方向に向けて折り曲げられて形成される。横部材支持部233は、横部材22の端部に接続される。
【0035】
上記構成の治具23を介して、支柱21は横部材22を支持する。この治具23を用いることにより、支柱21が横部材22よりも、架台2の中心側に配置される。また、突出部232の長さを変更することにより、横部材22に対して支柱21を所望の位置に配置することができる。つまり、突出部232の長さを長くすることにより、横部材22に対して支柱21をより内側に配置することができる。また、突出部232の長さを短くすることにより、横部材22に対する支柱21の位置をより近くに配置することができる。
【0036】
ここで、図1に戻って柱脚アンカー構造体1を構成する各部材の説明を続ける。
【0037】
下形板32は外形が矩形状に形成された板部材であり、中央に矩形状の貫通穴321が形成された枠状の部材である。換言すれば、下形板32は、平面視において貫通穴321の各辺の長さと同じ長さの4つの帯状部分322と、これら4つの帯状部分322を互いに連結する4つの矩形の連結部分323から構成されている。連結部分323は、下形板32の隅部に位置する部分である。
【0038】
下形板32の各帯状部分322には、アンカーボルト31が2つずつ固定される。ただし、各アンカーボルト31は、帯状部分322と連結部分323の双方にまたがって配置されてもよい。
【0039】
また、各アンカーボルト31は、貫通穴321を挟んで互いに対向する位置に設けられる。なお、これらのアンカーボルト311、312、313、314が配置される位置は、ベースプレート4に形成されたボルト用の穴に対応する位置である。
【0040】
[柱脚アンカー構造体と鉄筋との位置関係]
柱脚アンカー構造体1と鉄筋との位置関係について、図7および図8を用いて説明する。
【0041】
図7は、柱脚アンカー構造体1と鉄筋7、特に、水平鉄筋との位置関係を説明する正面図、図8は、柱脚アンカー構造体1と鉄筋7との位置関係を説明する平面図である。鉄筋7は、基礎コンクリート6中の複数の水平面において、互いに等間隔に設置される。また、上述したように、鉄筋7は、アンカーボルト31に干渉しない位置に設置されるように設計されている。
【0042】
横部材22と支柱21との間には治具23が介在しているが、仮に、治具23を使用せず、かつ横部材22の位置を動かさずに支柱21を直接、横部材22に接合しようとすると、互いに隣接して配置された横部材22が交わる位置に支柱21を配置する必要がある。そうすると、支柱21と鉄筋7とが干渉してしまう。そのため、本実施形態では、治具23を用いることにより、支柱21を鉄筋7に干渉しない位置に配置するようにしている。
【0043】
図8において、一対の支柱211は、一対のアンカーボルト311の間に配置される。この一対のアンカーボルト311は、鉄筋7が延在する方向に並んで配置される。このとき、一対のアンカーボルト311は一の列を形成し、それぞれ、対向して配置される帯状部分322に配置される。また、一対の支柱211の少なくとも一部分は、一対のアンカーボルト311のそれぞれに両側(図8における左側および右側)から接する2つの平面A、Bの間に配置される。
【0044】
換言すれば、一対のアンカーボルト311を結ぶ直線の一方側(例えば、図8における下側)から架台2を見たとき、支柱211の少なくとも一部がアンカーボルト311の延長上の空間に重なる位置に配置される。
【0045】
一対の支柱211は、そのすべてが、平面Aと平面Bの間の空間内に含まれるように配置されてもよい(図9(a))。また、一対の支柱211の一部が平面Aおよび平面Bから突出するように配置されてもよい(図9(b))。また、一対の支柱211の一部が平面Aまたは平面Bから突出するように配置されてもよい(図9(c)、図9(d))。
【0046】
また、図8において平面A、Bは、互いに直交するように配置される鉄筋7のうちの一方の鉄筋7(図8において上下方向に延びる鉄筋7)に平行である。
【0047】
他の一対の支柱212と他の一対のアンカーボルト312との位置関係は、一対の支柱211と一対のアンカーボルト311との位置関係と同様である。つまり、他の一対のアンカーボルト312は、一対のアンカーボルト311が形成する列に平行な他の列を形成し、他の一対の支柱212の少なくとも一部分は、他の一対のアンカーボルト312のそれぞれに両側から接する、平面A、Bに平行な平面(不図示)の間に配置される。
【0048】
また、一対のアンカーボルト311を互いに結ぶ線分に直交する線分上の点にこのアンカーボルト311とは異なる一対のアンカーボルト313および一対のアンカーボルト314が配置される。
【0049】
一対の支柱211のうちの一方(図8における下側の支柱211)の少なくとも一部、および他の一対の支柱212のうちの一方(図8における下側の支柱212)の少なくとも一部は、一対のアンカーボルト313のそれぞれに両側(図8における上側および下側)から接する2つの平面C、Dの間に配置される。換言すれば、一対のアンカーボルト313を結ぶ直線の一方側(例えば、図8における左側)から架台2を見たとき、一対の支柱211のうちの一方の少なくとも一部および他の一対の支柱212のうちの一方の少なくとも一部がアンカーボルト313の延長上の空間に重なる位置に配置される。
【0050】
また、図8において平面C、Dは、互いに直交するように配置される鉄筋7のうちの他方の鉄筋7(図8において左右方向に延びる鉄筋7)に平行である。
【0051】
このように、支柱21とアンカーボルト31との相対位置を定めることにより、鉄筋7と、支柱21との干渉を防止することができる。
【0052】
なお、支柱21とアンカーボルト31との相対位置を上述したように定めることができれば、治具23は、他の形状であってもよい。例えば、治具23にはリップが設けられていてもよい。
【0053】
図10は、リップが設けられた治具23を説明する図であり、図10(a)は、治具23の背面図、図10(b)は、治具23の左側面図、図10(c)は、治具23の平面図である。
【0054】
治具23は、横部材支持部233の端部において上方に延びる部分が水平方向に折り曲げられて形成されたリップ234を有する。リップ234は、横部材支持部233の端部から所定の長さだけ外側に向けて突出する。このリップの突出長さを適正な長さにすることにより、下形板32と架台2とが対応する仕様のものであるか建設現場において確認することができる。
【0055】
図11~13は、リップ234付きの治具23を有する柱脚アンカー構造体1の平面図である。
【0056】
図11は、架台2上に適切なサイズの下形板32が載置された状態を示している。この柱脚アンカー構造体1では、リップ234の先端と下形板32の内側面との隙間が小さい。このとき、下形板32を支持する横部材22の支持面積が十分に確保されている。つまり、建設現場では、リップ234の先端と下形板32の内側面との隙間の大きさを見て、下形板32と架台2とが対応するサイズのものであるか確認することができる。
【0057】
図12は、架台2に対してサイズの小さい下形板32が載置された状態を示している。この柱脚アンカー構造体1では、リップ234と下形板32とが重なっている。そのため、下形板32が不安定な状態で架台2上に載置されている。これにより、建設現場では、架台2に対してサイズの小さい下形板32が載置されていることに気づくことができる。
【0058】
図13は、架台2に対して、サイズの大きい下形板32が載置されるときの状態を示している。しかし、架台2が下形板32に形成された貫通穴321に嵌り込み、下形板32が架台2に載置できない。これにより、建設現場では、架台2に対してサイズの大きい下形板32が載置されていることに気づくことができる。
【0059】
なお、リップ234は図10に示すように治具23を形成する板部材を折り曲げて形成されるものに限らず、例えば、図14に示すように横部材支持部233に溶接などにより接合されてもよい。
【0060】
上述した実施の形態では、一の列を形成する一対のアンカーボルト31がそれぞれ帯状部分322に設置されている例について説明した。しかし、アンカーボルト31は、例えば、さらに、連結部分323に設置されてもよい(図15参照)。つまり、4つのアンカーボルト31が一の列を形成し、この一列を形成する4つのアンカーボルト31のうちの2つのアンカーボルト31が帯状部分322に配置されている。また、この4つのアンカーボルト31のうちの残りのアンカーボルトが連結部分323に配置されている。さらに、この一の列に平行な他の列を形成する4つのアンカーボルト31も同様に配置されている。
【0061】
[他の実施の形態]
次に図16を用いて他の実施の形態について説明する。なお、上述した実施の形態と同様の構成については、説明を省略する。
【0062】
図16は、他の実施の形態の柱脚アンカー構造体1を示す平面図である。本実施の形態に係る柱脚アンカー構造体1は、架台2の支柱21が直接、下形板32に接合される構造となっている。一対のアンカーボルト315、および他の一対のアンカーボルト316は、下形板32の隅部、すなわち、4つの帯状部分322を連結する連結部分323に配置されている。一対のアンカーボルト315は一の列を形成し、他の一対のアンカーボルト316は、一の列に平行な他の列を形成する。
【0063】
また、一対の支柱213は、一対のアンカーボルト315を挟むように配置される。他の一対の支柱214は、他の一対のアンカーボルト316を挟むように配置される。このとき一対の支柱213の少なくとも一部は、一対のアンカーボルト315のそれぞれに両側(図16における左側および右側)から接する2つの平面E、Fの間に配置される。
【0064】
換言すれば、一対のアンカーボルト315を結ぶ直線の一方側(例えば、図16における下側)から架台2を見たとき、支柱213の少なくとも一部がアンカーボルト315の延長上の空間に重なる位置に配置される。
【0065】
一対の支柱213は、そのすべてが、平面Eと平面Fの間の空間内に含まれるように配置されてもよい。また、一対の支柱213の一部が平面Eと平面Fの間の空間から突出するように配置されてもよい。また、一対の支柱213の一部が平面E、または平面Fから突出するように配置されてもよい。
【0066】
また、図16において平面E、Fは、互いに直交するように配置される鉄筋7のうちの一方の鉄筋7(図16において上下方向に延びる鉄筋7)に平行である。
【0067】
他の一対の支柱214と他の一対のアンカーボルト316との位置関係は、一対の支柱213と一対のアンカーボルト315との位置関係と同様である。
【0068】
また、一対の支柱213のうちの一方(図16における下側の支柱213)の少なくとも一部、および他の一対の支柱214のうちの一方(図16における下側の支柱214)の少なくとも一部は、一対のアンカーボルト315のうちの一方(図16における下側のアンカーボルト315)と他の一対のアンカーボルト316のうちの一方(図16における下側のアンカーボルト316)のそれぞれに両側(図16における上側および下側)から接する2つの平面G、Hの間に配置される。
【0069】
換言すれば、これらのアンカーボルト315、316を結ぶ直線の一方側(例えば、図16における左側)から架台2を見たとき、一対の支柱213のうちの一方の少なくとも一部および他の一対の支柱214のうちの一方の少なくとも一部がアンカーボルト313、314の延長上の空間に重なる位置に配置される。
【0070】
また、図16において平面G、Hは、互いに直交するように配置される鉄筋7のうちの他方の鉄筋7(図16において左右方向に延びる鉄筋7)に平行である。
【0071】
このように、支柱21とアンカーボルト31との相対位置を定めることにより、鉄筋7と、支柱21との干渉を防止することができる。
【0072】
上述した各実施の形態では、下形板32の各帯状部分322に2つのアンカーボルト31を配置する構成、あるいは、各連結部分323にアンカーボルト31を配置する構成を説明した。しかし、アンカーボルト31の配置はこれらに限られず、例えば、下形板32の各帯状部分322に3つのアンカーボルト31を配置してもよい。あるいは、各帯状部分322に1つのアンカーボルト31と各連結部分323に1つのアンカーボルト31を配置してもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 柱脚アンカー構造体
2 架台
21 支柱
211、212 支柱
213、214 支柱
22 横部材
23 治具
231 山形部
232 突出部
233 横部材支持部
234 リップ
3 アンカーフレーム
31、311、312 アンカーボルト
313、314 アンカーボルト
315、316 アンカーボルト
32 下形板
321 貫通穴
322 帯状部分
323 連結部分
33、331、332 ナット
34 上形板
4 ベースプレート
5 均しコンクリート
6 基礎コンクリート
7 鉄筋
A、B、C、D 平面
E、F、G、H 平面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16