(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-23
(45)【発行日】2024-10-31
(54)【発明の名称】換気装置、換気装置を備えた建物
(51)【国際特許分類】
F24F 7/08 20060101AFI20241024BHJP
F24F 7/007 20060101ALI20241024BHJP
F24F 13/02 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
F24F7/08 101G
F24F7/007 Z
F24F7/08 101B
F24F13/02 G
(21)【出願番号】P 2020164964
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2023-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】樋口 智之
(72)【発明者】
【氏名】清本 訓央
(72)【発明者】
【氏名】東条 匠
(72)【発明者】
【氏名】服部 慎也
(72)【発明者】
【氏名】漆原 慎
(72)【発明者】
【氏名】田里 香織
【審査官】広瀬 雅治
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-292210(JP,A)
【文献】特開2003-222366(JP,A)
【文献】特開2002-372276(JP,A)
【文献】特開2000-161711(JP,A)
【文献】特開平09-310899(JP,A)
【文献】特開2014-095541(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107726529(CN,A)
【文献】米国特許第04565075(US,A)
【文献】特開2002-303444(JP,A)
【文献】特開平11-325567(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/08
F24F 7/007
F24F 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに離れて平行に対向配置された第1側面および第2側面を有する換気装置本体と、
前記換気装置本体の
前記第1側面に並べて配置され、当該第1側面から突出してダクトが接続される
2つのダクト接続部と、
を備え、
前記ダクト接続部は、前記第1側面に2つだけ設けられ、前記
2つのダクト接続部のそれぞれの中心軸線は、前記第1側面から遠ざかるにつれて互いに離れ
、
前記それぞれの中心軸線の前記第1側面に直交する直線に対する傾斜角は1°以上で45°以下の範囲である、換気装置。
【請求項2】
前記換気装置本体は、室内の空気を導入して室外へ排気する排気送風部と、室外の空気を導入して室内へ給気する給気送風部と、室内へ給気される空気と室外へ排気される空気の間で熱交換を行う熱交換部と、を有し、
前記
2つのダクト接続部は、前記給気送風部の出口側に連通する、請求項1に記載の換気装置。
【請求項3】
前記ダクト
の両方は、前記ダクト接続部から外向きに曲がる第1ベント部と、前記第1ベント部から内向きに曲がる第2ベント部と、を有し、
前記ダクト接続部の中心軸線は、前記第1ベント部と前記第2ベント部との接続部を通過する、請求項1または2に記載の換気装置。
【請求項4】
前記換気装置本体の前
記第2側面に並べて配置され、第2ダクトが接続される
2つの第2ダクト接続部を有し、
前記第2ダクト接続部は、前記第2側面に2つだけ設けられ、前記
2つの第2ダクト接続部のそれぞれの中心軸線は、前記第2側面から遠ざかるにつれて互いに離れ
、
前記第2ダクト接続部のそれぞれの中心軸線の前記第2側面
に直交する直線に対する傾斜角は1°以上で45°以下の範囲である、請求項1から3のいずれか1項に記載の換気装置。
【請求項5】
前記換気装置本体の前
記第2側面に並べて配置され、第2ダクトが接続される
2つの第2ダクト接続部を有し、
前記
2つの第2ダクト接続部のそれぞれの中心軸線は、互いに平行に延び、
前記換気装置本体は、互いに隣接して延在する2つの建物構造部材の間において、前記2つの建物構造部材のうち前記第1側面と近い方の建物構造部材に近接して配置される、請求項1から3のいずれか1項に記載の換気装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の換気装置を備えた建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、換気装置および換気装置を備えた建物に関する。
【背景技術】
【0002】
熱交換形換気装置が知られている。例えば、特許文献1には、熱交換形換気装置と、浴室の空気を排気する浴室換気乾燥機とを備える換気システムが記載されている。この熱交換形換気装置は、給気送風部と、排気送風部と、熱交換素子と、を備える。給気送風部および排気送風部は、モータに駆動されるファンを含む。この換気システムは、熱交換素子によって、室内へ給気される空気と室外へ排気される空気の間で熱交換しながら、室内外で給排気を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-134121号公報
【文献】特開2013-194931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、住宅の天井裏空間等に設置される換気装置について、以下の認識を得た。
天井裏空間に設置される換気装置では、給排気用に複数のダクトが接続されており、梁で囲まれた狭い空間に設置される。この場合に、周囲の空間の形状に合わせてダクトを急激に曲げて引き回すと、その部分で圧力損失が大きくなる。しかし、特許文献1の換気システムは、ダクトの引き回し(以下、「配索」という)による圧力損失を抑制する観点からは十分な対応ができていなかった。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、ダクトの配索による圧力損失を抑制可能な換気装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の換気装置は、換気装置本体と、換気装置本体の第1側面に並べて配置され、当該第1側面から突出してダクトが接続される一対のダクト接続部と、を備える。一対のダクト接続部のそれぞれの中心軸線は、第1側面から遠ざかるにつれて互いに離れる。
【0007】
なお、本開示の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、ダクトの配索による圧力損失を抑制可能な換気装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る換気装置を備える住宅を示す構成図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る換気装置を示す平面図である。
【
図3】
図3は、
図2の換気装置の内部を概略的に示す構成図である。
【
図4】
図4は、
図2のダクト接続部の周辺を拡大して示す拡大図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態に係る換気装置を示す平面図である。
【
図6】
図6は、比較例に係る換気装置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示を実施するための形態について添付図面も参照して説明する。実施形態および変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0011】
また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0012】
[第1実施形態]
本開示の第1実施形態に係る換気装置100を説明する。
図1は、換気装置100を備える住宅90を示す図である。この例では、換気装置100は、建物の一例である住宅90の一階の天井裏において、図示しない吊りボルトによって上方から支持されている。換気装置100は、住宅90の内部の空気を吸い込み、ダクト62を通じて住宅90の外部に排気する。また、換気装置100は、住宅90の外部の空気をダクト60を通じて吸い込み、ダクト50、52を通じて住宅90の内部の部屋92、93に給気する。
【0013】
住宅90は、居住者がプライベートな生活を営む場として提供された住居である。住宅90は、居室として居間、寝室を有してもよい。また、図示はしないが、住宅90は、トイレ、浴室、洗面所、台所、脱衣所、階段および廊下等の空間を有してもよい。
【0014】
図2、
図3を参照する。
図2は、第1実施形態に係る換気装置100を示す平面図である。この図は、換気装置100にダクト50、52、60、62が取り付けられた換気装置ユニット1が、住宅の天井裏に設けられた状態を示している。
図3は、換気装置100の内部を概略的に示す構成図である。
【0015】
換気装置100は、換気装置本体10と、一対のダクト接続部14、16と、一対のダクト接続部24、26と、を備える。換気装置本体10は、給気送風部30と、排気送風部34と、室内空気吸込部36、37と、熱交換部38と、制御部40とを有する。
図3において、給気風路31を、太い実線で示し、排気風路35を、太い破線で示す。給気風路31と排気風路35の空気の流れの方向を矢印で示す。
【0016】
説明の便宜上、図示のように、平面上において、換気装置100の一辺に沿った方向をX方向といい、平面上でX方向に直交する方向をY方向といい、鉛直な上下方向をZ方向という。X方向、Y方向およびZ方向は互いに直交する。これらは厳密に直交している場合に限らず、ほぼ直交している場合も含む。平面視において、換気装置100の長手方向は、X方向に一致しており、換気装置100の短手方向は、Y方向に一致している。このような方向の表記は換気装置100の使用姿勢を制限するものではなく、換気装置100は用途に応じて任意の姿勢で使用されうる。以下の説明では、特に断りの無い限り、平面視で説明する。
【0017】
換気装置本体10は、平面視で略矩形の箱形の外形を有する。換気装置本体10は、第1側面12と、第2側面22とを有する。第1側面12および第2側面22は、互いにX方向に対向して配置される。第1側面12および第2側面22は、Y-Z平面に沿って延在する。一対のダクト接続部14、16は、第1側面12に設けられ、Y方向に並べて配置されている。一対のダクト接続部14、16は、第1側面12から突出する。ダクト接続部14には、ダクト50が接続され、ダクト接続部16には、ダクト52が接続される。一対のダクト接続部24、26は、第2側面22に設けられ、Y方向に並んで配置されている。ダクト50、52、60、62の直径Dは、一例として100mmである。
【0018】
ダクト接続部14、16、24、26は、空気が通過可能な中空部を取り囲む中空筒状である。ダクト接続部14、16、24、26は、その先端側にダクトが挿入されることによりダクトに接続される。ダクト接続部14、16の基端側は、後述する給気送風部30の出口側に連通する。ダクト接続部24の基端側は、給気送風部30の入口側に連通する。ダクト接続部26の基端側は、後述する排気送風部34の出口側に連通する。ダクト接続部14、16、24、26は、中心軸線L14、L16、L24、L26を中心とする円筒状の中空部を有する。つまり、中心軸線L14、L16、L24、L26は、ダクト接続部14、16、24、26の中空部をX-Y平面に投影したときの当該中空部の中心線である。
【0019】
ダクト接続部14、16を給気送風部30の出口側に連通させることにより、給気送風部30から送出される空気の風路抵抗を低減できる。その結果、気流がダクト内壁に当たったときに発生する騒音が低減され、部屋92、93への漏れ音を小さくできる。
【0020】
給気送風部30は、給気風路31で示すように、ダクト接続部24を通じて室外の空気を導入し、ダクト接続部14、16を通じて室内へ給気する。排気送風部34は、排気風路35で示すように、室内空気吸込部36、37から吸入した室内の空気を、ダクト接続部26を通じて室外へ排気する。熱交換部38は、給気風路31の空気と排気風路35の空気との間で熱交換を行うための図示しない熱交換素子を含んでいる。給気風路31を通る空気と排気風路35を通る空気との熱交換により、冬は暖房効率が向上し、夏は冷房効率が向上する。熱交換部38は、給気風路31の空気と排気風路35の空気との間で湿度交換を行うものであってもよい。制御部40は、換気装置100の特に給気送風部30および排気送風部34の動作を制御する。制御部40は、CPU(Central Processing Unit)等を含んで構成できる。
【0021】
一例として、給気送風部30および排気送風部34は、ファン30f、34fと、ファン30f、34fを回転駆動するモータ30m、34mと、これらを包囲するケーシング30c、34cとを含んで構成できる。
【0022】
ここで、先に比較例を説明する。
図6は、比較例に係る換気装置500を示す平面図であり、
図2に対応する。比較例は、本実施形態の換気装置100の開発過程で比較のために試作されたものである。換気装置500は、本実施形態の換気装置100に対して、ダクト接続部14、16、24、26の中心軸線の延伸方向が異なる点で相違し、他の構成は同様である。
【0023】
ここでは、換気装置500は、X方向に延びる2つのX方向梁71、72と、Y方向に延びる2つのY方向梁81、82とによって形成される隙間である矩形空間85に配置される例を説明する。X方向梁71、72およびY方向梁81、82は、建物構造部材である。2本のX方向梁71、72は、Y方向に1000mmの隙間を挟んで並べられる。2つのY方向梁81、82は、X方向に1500mmの隙間を挟んで並べられる。Y方向梁81は、第1側面12と対向する。Y方向梁82は、第2側面22と対向する。換気装置500は、X方向、Y方向において矩形空間85の中心に配置される。つまり、第1側面12からY方向梁81までの距離E1は、第2側面22からY方向梁82までの距離E2と等しい。
【0024】
換気装置500では、ダクト接続部14、16の中心軸線L14、L16は、X方向に平行に延び、ダクト接続部24、26の中心軸線L24、L26は、X方向に平行に延びている。
【0025】
ダクト50、52、60、62は、互いの間隔を拡げて配索の施工性を高めるために、複数のベント部が設けられる。
図6の例では、各ダクトに、外向きに曲がる第1ベント部Vp1と、内向きに曲がる第2ベント部Vp2とがこの順で接続される。施工後のダクト50、52、60、62は、それぞれマットレス状の断熱材で包まれるため、ダクトと梁との間には所定の隙間が設けられる。また、ダクトおよび梁を介して伝達される換気装置の振動に起因して室内に漏れる音を低減する観点から、ダクトと梁の隙間は大きいことが望ましい。これらの制約により、ダクト50、52、60、62の配索は窮屈になり、ベント部の曲げ半径Rは小さく設定される。
【0026】
例えば、
図6の例では、第1、第2ベント部Vp1、Vp2の曲げ半径Rは200mmに設定されている。つまり、ダクトの直径Dに対する曲げ半径Rの比R/D(200/100)は2である。この場合、ダクト50、52、60、62を流れる気流は、
図6の矢印X14に示すように、第1ベント部Vp1の内壁に当たり、内壁から大きな抵抗を受け、風路抵抗(圧力損失)が増大する。風路抵抗(圧力損失)が増大すると、ファン30fおよびファン34fに対する負荷が大きくなり、ファン30fおよびファン34fの回転数は増加する。ファン30fおよびファン34fの回転数が増加すると、換気装置本体10の振動も増加して振動騒音が大きくなるので、使用者に不快感を与える可能性がある。また、風路抵抗(圧力損失)が増大すると、送風効率が低下して消費電力が増える。また、ダクトの曲げ半径Rが小さいと応力が集中して破損する可能性が高くなる。比R/Dを大きくするためにダクト直径を小さくすると、風路の断面積が小さくなるので、結局、風路抵抗(圧力損失)は大きくなる。
【0027】
図2に戻る。比較例の説明を踏まえ、本実施形態の換気装置100を説明する。換気装置100では、一対のダクト接続部14、16の中心軸線L14、L16は、換気装置本体10から遠ざかるにつれて互いに離れるように延びる。つまり、中心軸線L14、L16は、X方向に対して傾斜しており、換気装置本体10から遠ざかるにつれて互いにY方向の距離が離れる。この場合、ダクト接続部14、16に接続されるダクトの風路抵抗(圧力損失)を小さくできる。本明細書では、換気装置本体10から遠ざかるにつれて互いに離れる方向を「外向き」といい、その反対を「内向き」という。
【0028】
一対のダクト接続部24、26の中心軸線L24、L26は、換気装置本体10から遠ざかるにつれて互いに離れるように延びる。つまり、中心軸線L24、L26は、X方向に対して傾斜しており、換気装置本体10から遠ざかるにつれて互いにY方向の距離が離れる。この場合、ダクト接続部24、26に接続されるダクトの風路抵抗(圧力損失)を小さくできる。
【0029】
換気装置100では、ダクト接続部が外向きに傾斜しているため、その傾斜に応じてベント部の曲率を小さくでき、ベント部の曲げ半径を大きくできる。
図2の例では、比較例と同じ施工条件にて、第1、第2ベント部Vp1、Vp2の曲げ半径Rは300mmと、比較例の1.5倍に設定できる。ダクトの直径Dに対する曲げ半径Rの比R/D(300/100)は3である。この場合、ダクト50、52、60、62を流れる気流は、
図2の矢印X14に示すように、第1ベント部Vp1の内壁に当たる割合が減り、内壁から受ける抵抗が小さくなり、風路抵抗(圧力損失)が減少する。
【0030】
中心軸線L14、L16、L24、L26がX方向に対して外向きに傾斜していれば、風路抵抗(圧力損失)の低減効果が得られる。中心軸線L14、L16、L24、L26のX方向に対する傾斜角θ14、θ16、θ24、θ26(以下、総称するときは傾斜角θという)は、1°以上で45°以下の範囲が好ましく、5°以上で30°以下の範囲がより好ましく、8°以上で20°以下の範囲は一層好ましい。本実施形態では、傾斜角θは10°以上で14°以下の範囲に設定されている。
【0031】
中心軸線L14、L16の傾斜角は、互いに異なっていてもよいが、本実施形態の中心軸線L14、L16の傾斜角θ14、θ16は互いに等しい。つまり、中心軸線L14、L16は、平面視で対称に延びる。中心軸線L24、L26の傾斜角は、互いに異なっていてもよいが、本実施形態の中心軸線L24、L26の傾斜角θ24、θ26は互いに等しい。つまり、中心軸線L24、L26は、平面視で対称に延びる。この場合、各ダクト接続部に接続される各ダクトの風路抵抗(圧力損失)を均一にすることができる。
【0032】
上述したように、ダクト50、52、60、62は、第1ベント部Vp1と、第2ベント部Vp2とを有する。第1ベント部Vp1は、基端側がダクト接続部14、16、24、26に接続され、平面視で外向きに曲がる。第2ベント部Vp2は、基端側が第1ベント部Vp1の先端側に接続され、平面視で内向きに曲がる。中心軸線L14、L16、L24、L26は、第1ベント部Vp1と第2ベント部Vp2との接続部Vjを通る。この場合、中心軸線L14、L16、L24、L26が接続部Vjを通らない場合と比較して、風路抵抗(圧力損失)を小さくできる。
【0033】
図4を参照して、ダクト接続部14、16の構成を説明する。
図4は、換気装置100のダクト接続部14、16の周辺を拡大して示す拡大図である。この図は、ダクト接続部14、16の上下中心を通る水平面で切断した断面を示す。この説明は、ダクト接続部24、26にも適用できる。ダクト接続部14、16は、側端部14s、16sと、接続筒部14j、16jとで構成される。一例として、ダクト接続部14、16は、側端部14s、16sと接続筒部14j、16jとをインサート成形して形成できる。
【0034】
側端部14s、16sは、側端壁部12hから突出する中空円筒形状を有する。側端壁部12hは、換気装置本体10の第1側面12を構成する壁部材で、側端部14s、16sの中空部に対応する貫通孔を有する。側端部14s、16sの内周面に接続筒部14j、16jが固定される。側端壁部12hと、側端部14s、16sとは、発泡スチロール等の断熱性の高い材料で一体的に形成される。
【0035】
接続筒部14j、16jは、全体としては中空円筒状を有し、基端側に外周に張り出す鍔部14k、16kを有する。接続筒部14j、16jは、側端部14s、16sよりも薄肉で、例えば、樹脂材料で形成できる。接続筒部14j、16jは、鍔部14k、16kを含む基端側が、側端部14s、16sに包囲され、先端側が側端部14s、16sから突出する。矢印50Aで示すように、接続筒部14j、16jの外周に、ダクト50、52が嵌合し、固定される。
以上が、第1実施形態の説明である。
【0036】
[第2実施形態]
本開示の第2実施形態を説明する。
図5は、第2実施形態に係る換気装置100aを示す平面図であり、
図2に対応する。第2実施形態は、第1実施形態に対して、ダクト接続部24、26の中心軸線L24、L26の延伸方向が異なる点で相違し、他の構成は同様である。
【0037】
本実施形態では、換気装置本体10aの第2側面22には、他のダクト60、62が接続される2つの第2ダクト接続部24a、26aが設けられる。2つの第2ダクト接続部24a、26aの中心軸線L24a、L26aは、X方向に平行に延びる。
【0038】
換気装置本体10aは、第1側面12と対向する第1梁81と、第2側面22と対向する第2梁82との間に配置される。第1側面12から第1梁81までの距離E1は、第2側面22から第2梁82までの距離E2よりも小さい(E1<E2)。つまり、換気装置本体10aは、第1梁81と、第2梁82との間において、第1梁81にS(=E2-E1)だけ近接した位置に配置される。
図5の例では、距離E1は、距離E2よりも60mm小さい。
【0039】
このように、換気装置本体10aを第1側面12に寄せて配置することにより、第2側面22から第2梁82までの距離E2を大きくできる。距離E2が大きい分だけダクト60、62の第1、第2ベント部Vp1、Vp2の周囲に余裕ができ、この部分で曲げ半径Rを大きくできる。
図5の例では、ダクト60、62の第1、第2ベント部Vp1、Vp2の曲げRは300mmであり、ダクトの直径Dに対する曲げ半径Rの比R/D(300/100)は3である。したがって、第2実施形態では、第1実施形態と同様に、風路抵抗(圧力損失)の低減効果を得ることができる。
【0040】
換気装置100aの特徴を説明する。換気装置100aでは、一対のダクト接続部14、16の中心軸線L14、L16は、換気装置本体10aから遠ざかるにつれて互いに離れるので、ダクト50、52、60、62のベント部の曲げ半径Rを大きくできる。天井裏の梁に囲まれた狭い空間でも、ダクト50、52、60、62の配索が容易である。ダクトの風路抵抗(圧力損失)を小さくできるので、ダクトの風路抵抗(圧力損失)が大きい場合と比べて給気送風部30および排気送風部34の送風効率を向上し、消費電力の低減が期待できる。また、ダクトの風路抵抗(圧力損失)が大きい場合と比べて換気装置本体10aの振動騒音を小さくできるので、使用者に不快感を与える可能性を低減する効果が期待できる。また、風量が同じであれば、ダクトの風路抵抗(圧力損失)が大きい場合と比べてファン30f、34fと、モータ30m、34mを小型化して給気送風部30および排気送風部34を小型化できる。このことにより、換気装置100aの小型化、低コスト化に有利である。また、換気装置100aの小型化によって、ダクト50、52、60、62の配索をさらに容易にする効果も期待できる。ベント部の曲げ半径Rが大きいので、ベント部にダストが溜まりにくく、ダクトのメンテナンス頻度が少なくなる効果も期待できる。
以上が、第2実施形態の説明である。
【0041】
本開示の一態様の概要は、次の通りである。本開示のある態様の換気装置(100)は、換気装置本体(10)と、換気装置本体(10)の第1側面(12)に並べて配置され、当該第1側面(12)から突出してダクト(50)、(52)が接続される一対のダクト接続部(14)、(16)と、を備え、一対のダクト接続部(14)、(16)のそれぞれの中心軸線(L14)、(L16)は、第1側面(12)から遠ざかるにつれて互いに離れる。
【0042】
換気装置本体(10)は、室内の空気を導入して室外へ排気する排気送風部(30)と、室外の空気を導入して室内へ給気する給気送風部(34)と、室内へ給気される空気と室外へ排気される空気の間で熱交換を行う熱交換部(38)と、を有し、一対のダクト接続部(14)、(16)は、給気送風部(34)の出口側に連通してもよい。
【0043】
ダクト(50)、(52)は、ダクト接続部(14)、(16)から外向きに曲がる第1ベント部(Vp1)と、第1ベント部(Vp1)から内向きに曲がる第2ベント部(Vp2)と、を有し、ダクト接続部(14)、(16)の中心軸線(L14)、(L16)は、第1ベント部(Vp1)と第2ベント部(Vp2)との接続部を通過してもよい。
【0044】
換気装置本体(10)の第1側面(12)とは反対側の第2側面(22)に並べて配置され、他のダクト(60)、(62)が接続される一対の第2ダクト接続部(24)、(26)を有し、一対の第2ダクト接続部(24)、(26)のそれぞれの中心軸線(L24)、(L26)は、第2側面(22)から遠ざかるにつれて互いに離れてもよい。
【0045】
換気装置本体(10)の第1側面(12)とは反対側の第2側面(22)、に並べて配置され、他のダクト(60)、(62)が接続される一対の第2ダクト接続部(24)、(26)を有し、一対の第2ダクト接続部(24)、(26)のそれぞれの中心軸線(L24)、(L26)は、互いに平行に延び、換気装置本体(10)は、互いに隣接して延在する2つの建物構造部材(81)、(82)の間において、2本の建物構造部材(81)、(82)のうち第1側面(12)と近い方の建物構造部材に近接して配置されてもよい。
【0046】
以上、本開示を実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態の」「実施形態では」等との表記を付して説明しているが、そのような表記のない内容に設計変更が許容されないわけではない。図面に付したハッチングは、ハッチングを付した部材の素材を限定するものではない。
【0047】
以下、変形例について説明する。変形例の図面および説明では、実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。実施形態と重複する説明を適宜省略し、実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0048】
実施形態の説明では、換気装置100が天井裏において平面に沿って配置される例を示したが、これに限定されない。換気装置100は、壁と壁の間に配置されてもよいし、立面に沿って配置されてもよい。
【0049】
実施形態の説明では、換気装置100が横方向に延在する2本の梁(建物構造部材)の間に配置される例を示したが、これに限定されない。換気装置100は、上下に延在する2つの建物構造部材の間に配置されてもよい。
【0050】
実施形態の説明では、換気装置100が住宅に設けられる例を示したが、換気装置100は、保育園、医療施設、介護施設等の住宅以外の建物に設けられてもよい。
【0051】
これらの変形例は、実施形態と同様の作用効果を奏する。
【符号の説明】
【0052】
100 換気装置、 10 換気装置本体、 12 第1側面、 22 第2側面、 14、16、24、26 ダクト接続部、 50、52、60、62 ダクト、 30 給気送風部、 34 排気送風部、 38 熱交換部、 81、82 梁、 L14、L16、L24、L26 中心軸線。