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特許7576432台風被害予測システム、予測方法及び制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-23
(45)【発行日】2024-10-31
(54)【発明の名称】台風被害予測システム、予測方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/04 20230101AFI20241024BHJP
   G06Q 50/26 20240101ALI20241024BHJP
【FI】
G06Q10/04
G06Q50/26
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020192549
(22)【出願日】2020-11-19
(65)【公開番号】P2022081171
(43)【公開日】2022-05-31
【審査請求日】2023-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】520307713
【氏名又は名称】関西電力送配電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100127797
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 晴洋
(72)【発明者】
【氏名】清水 慶一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 透
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 裕紀
【審査官】永野 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-225564(JP,A)
【文献】特開2011-030383(JP,A)
【文献】特開2015-075828(JP,A)
【文献】特開2010-049433(JP,A)
【文献】特開2019-179320(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0250604(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
区画された複数の地域に含まれる一の地域を上空から撮影した画像に対して前記一の地域内の土地の利用状況に対応付けられた色を重ね合わせた地図画像と、新たな台風が襲来したときに予測される前記一の地域における風速及び風向を示す風況情報と、前記一の地域内の配電設備に関する設備情報と、を取得する取得部と、
区画された複数のモデル地域に含まれる一以上の各モデル地域を上空から撮影した画像に対して前記各モデル地域内の土地の利用状況に対応付けられた色を重ね合わせた画像と、過去の台風が襲来したときの前記各モデル地域における風速及び風向を示す情報と、前記各モデル地域内の配電設備に関する情報と、前記過去の台風の襲来によって前記各モデル地域内の配電設備が受けた被害を示す被害情報と、を教師データとする深層学習で得られた予測モデルに、前記取得部が取得した前記地図画像、前記風況情報及び前記設備情報を入力することで、前記新たな台風の襲来によって前記一の地域内の配電設備が受ける被害を示す予測情報を取得する予測部と、
を備える台風被害予測システム。
【請求項2】
前記取得部は、前記一の地域内の土地の傾斜量を示す傾斜量図に対して前記一の地域内の土地における土砂崩れ又は斜面の崩壊の生じ易さに対応付けられた色を重ね合わせた傾斜画像を更に取得し、
前記教師データは、更に、前記一以上の各モデル地域内の土地の傾斜量を示す傾斜量図に対して前記各モデル地域内の土地における土砂崩れ又は斜面の崩壊の生じ易さに対応付けられた色を重ね合わせた画像を含み、
前記予測部は、前記予測モデルに、前記取得部が取得した前記地図画像、前記風況情報、前記設備情報及び前記傾斜画像を入力することで、前記予測情報を取得する、
請求項1に記載の台風被害予測システム。
【請求項3】
前記被害情報は、前記過去の台風の襲来によって飛来した飛来物が原因で前記各モデル地域内の配電設備が受けた被害を示す情報である、
請求項1又は2に記載の台風被害予測システム。
【請求項4】
前記設備情報は、前記一の地域内の電柱の総本数を示す情報を含み、
前記各モデル地域内の配電設備に関する情報は、前記各モデル地域内の電柱の総本数を示す情報を含む、
請求項1から3の何れか一項に記載の台風被害予測システム。
【請求項5】
前記被害情報は、前記各モデル地域内の電柱の総本数に対する前記各モデル地域内で被害を受けた電柱の本数の比率を示す情報であり、
前記予測情報は、前記一の地域内の電柱の総本数に対する前記新たな台風の襲来によって前記一の地域内で被害を受ける電柱の本数の比率を示す情報である、
請求項4に記載の台風被害予測システム。
【請求項6】
台風による被害を予測する予測方法であって、
コンピュータが、
区画された複数の地域に含まれる一の地域を上空から撮影した画像に対して前記一の地域内の土地の利用状況に対応付けられた色を重ね合わせた地図画像と、新たな台風が襲来したときに予測される前記一の地域における風速及び風向を示す風況情報と、前記一の地域内の配電設備に関する設備情報と、を取得し、
区画された複数のモデル地域に含まれる一以上の各モデル地域を上空から撮影した画像に対して前記各モデル地域内の土地の利用状況に対応付けられた色を重ね合わせた画像と、過去の台風が襲来したときの前記各モデル地域における風速及び風向を示す情報と、前記各モデル地域内の配電設備に関する情報と、前記過去の台風の襲来によって前記各モデル地域内の配電設備が受けた被害を示す被害情報と、を教師データとする深層学習で得られた予測モデルに、前記取得した前記地図画像、前記風況情報及び前記設備情報を入力することで、前記新たな台風の襲来によって前記一の地域内の配電設備が受ける被害を示す予測情報を取得する、
予測方法。
【請求項7】
台風による被害を予測する台風被害予測システムの制御プログラムであって、
前記台風被害予測システムが備えるコンピュータを、
区画された複数の地域に含まれる一の地域を上空から撮影した画像に対して前記一の地域内の土地の利用状況に対応付けられた色を重ね合わせた地図画像と、新たな台風が襲来したときに予測される前記一の地域における風速及び風向を示す風況情報と、前記一の地域内の配電設備に関する設備情報と、を取得する取得部と、
区画された複数のモデル地域に含まれる一以上の各モデル地域を上空から撮影した画像に対して前記各モデル地域内の土地の利用状況に対応付けられた色を重ね合わせた画像と、過去の台風が襲来したときの前記各モデル地域における風速及び風向を示す情報と、前記各モデル地域内の配電設備に関する情報と、前記過去の台風の襲来によって前記各モデル地域内の配電設備が受けた被害を示す被害情報と、を教師データとする深層学習で得られた予測モデルに、前記取得部が取得した前記地図画像、前記風況情報及び前記設備情報を入力することで、前記新たな台風の襲来によって前記一の地域内の配電設備が受ける被害を示す予測情報を取得する予測部として、
機能させる制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台風による被害を予測する台風被害予測システム、予測方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、気象庁等から得られる新たに襲来している台風に関する情報と、電柱や配電線等の配電設備に関する情報と、過去に台風が襲来したときに配電設備が受けた被害に関する情報とに基づき、新たに襲来している台風によって配電設備が受ける被害を予測する技術が知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、配電線路の各所に気象データ観測計を配設し、各気象データ観測で実測された風向及び風速等の気象データと台風情報発信源から取得した台風情報とを加味して、被害予測対象領域における各被害予測対象座標での風向及び風速等の気象条件を予測することが開示されている。そして、データベースに格納されている、配電線路の各所における被害の内容及び当該被害時の気象条件の履歴に基づき、前記予測した各被害予測対象座標での気象条件に対応する被害の内容を予測することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5178395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、商業・業務地区、工業用地、田及び畑等では、台風が襲来すると、トタン屋根及びビニールハウスのビニールシート等の風圧を受け易いシート状の物体が飛来して配電線に引っ掛かり、停電被害を招くことがある。また、飛来物の衝突によって配電設備を損傷させたり、配電線に引っ掛かった飛来物に強い風圧がかかることによって電柱を倒壊させる等の被害を招くことがある。一方、山林等では、台風が襲来すると、配電線に樹木が倒れ掛かることによって配電設備を損傷させることがある。しかし、小枝や葉等が飛来することで配電設備が被害を受ける虞はないと考えられる。
【0006】
これに対し、特許文献1に開示の技術では、被害予測対象領域における各被害予測対象座標での風向及び風速等の気象条件に対応する被害内容が予測される。このため、当該技術では、被害予測対象領域がシート状の飛来物の多い地域であるのか樹木の多い地域であるのか等、被害予測対象領域の土地の利用状況を細かく考慮して、各被害予測対象座標で受ける被害の内容を的確に予測することができなかった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされた発明であり、土地の利用状況を細かく考慮して、配電設備が受ける被害を的確に予測できる台風予測システム、予測方法及び制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による台風被害予測システムは、区画された複数の地域に含まれる一の地域を上空から撮影した画像に対して前記一の地域内の土地の利用状況に対応付けられた色を重ね合わせた地図画像と、新たな台風が襲来したときに予測される前記一の地域における風速及び風向を示す風況情報と、前記一の地域内の配電設備に関する設備情報と、を取得する取得部と、区画された複数のモデル地域に含まれる一以上の各モデル地域を上空から撮影した画像に対して前記各モデル地域内の土地の利用状況に対応付けられた色を重ね合わせた画像と、過去の台風が襲来したときの前記各モデル地域における風速及び風向を示す情報と、前記各モデル地域内の配電設備に関する情報と、前記過去の台風の襲来によって前記各モデル地域内の配電設備が受けた被害を示す被害情報と、を教師データとする深層学習で得られた予測モデルに、前記取得部が取得した前記地図画像、前記風況情報及び前記設備情報を入力することで、前記新たな台風の襲来によって前記一の地域内の配電設備が受ける被害を示す予測情報を取得する予測部と、を備える。
【0009】
本発明による予測方法は、台風による被害を予測する予測方法であって、コンピュータが、区画された複数の地域に含まれる一の地域を上空から撮影した画像に対して前記一の地域内の土地の利用状況に対応付けられた色を重ね合わせた地図画像と、新たな台風が襲来したときに予測される前記一の地域における風速及び風向を示す風況情報と、前記一の地域内の配電設備に関する設備情報と、を取得し、区画された複数のモデル地域に含まれる一以上の各モデル地域を上空から撮影した画像に対して前記各モデル地域内の土地の利用状況に対応付けられた色を重ね合わせた画像と、過去の台風が襲来したときの前記各モデル地域における風速及び風向を示す情報と、前記各モデル地域内の配電設備に関する情報と、前記過去の台風の襲来によって前記各モデル地域内の配電設備が受けた被害を示す被害情報と、を教師データとする深層学習で得られた予測モデルに、前記取得した前記地図画像、前記風況情報及び前記設備情報を入力することで、前記新たな台風の襲来によって前記一の地域内の配電設備が受ける被害を示す予測情報を取得する。
【0010】
本発明による制御プログラムは、台風による被害を予測する台風被害予測システムの制御プログラムであって、前記台風被害予測システムが備えるコンピュータを、区画された複数の地域に含まれる一の地域を上空から撮影した画像に対して前記一の地域内の土地の利用状況に対応付けられた色を重ね合わせた地図画像と、新たな台風が襲来したときに予測される前記一の地域における風速及び風向を示す風況情報と、前記一の地域内の配電設備に関する設備情報と、を取得する取得部と、区画された複数のモデル地域に含まれる一以上の各モデル地域を上空から撮影した画像に対して前記各モデル地域内の土地の利用状況に対応付けられた色を重ね合わせた画像と、過去の台風が襲来したときの前記各モデル地域における風速及び風向を示す情報と、前記各モデル地域内の配電設備に関する情報と、前記過去の台風の襲来によって前記各モデル地域内の配電設備が受けた被害を示す被害情報と、を教師データとする深層学習で得られた予測モデルに、前記取得部が取得した前記地図画像、前記風況情報及び前記設備情報を入力することで、前記新たな台風の襲来によって前記一の地域内の配電設備が受ける被害を示す予測情報を取得する予測部として、機能させる。
【0011】
本構成によれば、区画された一以上の各モデル地域における、過去の台風が襲来したときの風速及び風向並びに配電設備と、当該過去の台風の襲来によって各モデル地域内の配電設備が受けた被害との関係だけでなく、更に、各モデル地域を上空から撮影した画像に対して各モデル地域内の土地の利用状況に対応付けられた色を重ね合わせた画像と当該過去の台風の襲来によって各モデル地域内の配電設備が受けた被害との関係を深層学習した予測モデルを用いて、新たな台風の襲来によって一の地域内の配電設備が受ける被害を示す予測情報が取得される。
【0012】
このため、本構成は、前記画像が示す各モデル地域内の土地の色合いから、各モデル地域内の土地の特徴量を把握し、当該特徴量と過去の台風の襲来によって各モデル地域内の配電設備が受けた被害との関係を学習した予測モデルを用いることで、土地の利用状況を細かく考慮して、新たな台風の襲来によって一の地域内の配電設備が受ける被害を的確に予測できる。
【0013】
上記構成において、前記取得部は、前記一の地域内の土地の傾斜量を示す傾斜量図に対して前記一の地域内の土地における土砂崩れ又は斜面の崩壊の生じ易さに対応付けられた色を重ね合わせた傾斜画像を更に取得し、前記教師データは、更に、前記一以上の各モデル地域内の土地の傾斜量を示す傾斜量図に対して前記各モデル地域内の土地における土砂崩れ又は斜面の崩壊の生じ易さに対応付けられた色を重ね合わせた画像を含み、前記予測部は、前記予測モデルに、前記取得部が取得した前記地図画像、前記風況情報、前記設備情報及び前記傾斜画像を入力することで、前記予測情報を取得してもよい。
【0014】
例えば、山林部において、傾斜量が大きく土砂崩れ又は斜面の崩壊が発生し易い場所の近隣にある配電設備は、台風の襲来時に発生した土砂崩れ又は斜面の崩壊によって倒壊等の被害を受ける虞がある。しかし、前記山林部において、傾斜量が更に大きく、土砂崩れ又は斜面の崩壊が生じ難い場所の近隣にある配電設備は、台風の襲来時に土砂崩れ又は斜面の崩壊は発生し難く、被害を受ける可能性は低いと考えられる。
【0015】
本構成によれば、各モデル地域内の土地の傾斜量を示す傾斜量図に対して各モデル地域内の土地における土砂崩れ又は斜面の崩壊の生じ易さに対応付けられた色を重ね合わせた画像と当該過去の台風の襲来によって各モデル地域内の配電設備が受けた被害との関係を更に深層学習した予測モデルを用いて、新たな台風の襲来によって一の地域内の配電設備が受ける被害を示す予測情報が取得される。
【0016】
このため、本構成は、前記画像が示す各モデル地域内の土地の色合いから、各モデル地域内の土地の傾斜の特徴量を把握し、当該特徴量と過去の台風の襲来によって各モデル地域内の配電設備が受けた被害との関係を更に学習した予測モデルを用いることで、土地の傾斜量と土砂崩れ又は斜面の崩壊の生じ易さとを細かく考慮して、新たな台風の襲来によって一の地域内の配電設備が受ける被害を的確に予測できる。
【0017】
上記構成において、前記被害情報は、前記過去の台風の襲来によって飛来した飛来物が原因で前記各モデル地域内の配電設備が受けた被害を示す情報であってもよい。
【0018】
本構成によれば、予測モデルが深層学習において教師データとして用いる被害情報が、過去の台風の襲来によって各モデル地域内の配電設備が受けた被害のうち、過去の台風の襲来によって飛来した飛来物が原因で当該配電設備が受けた被害を示す情報に制限される。このため、飛来物が原因で一の地域内の配電設備が受けた被害をより的確に予測できる。
【0019】
上記構成において、前記設備情報は、前記一の地域内の電柱の総本数を示す情報を含み、前記各モデル地域内の配電設備に関する情報は、前記各モデル地域内の電柱の総本数を示す情報を含んでもよい。
【0020】
本構成によれば、一以上の各モデル地域内の電柱の総本数と過去の台風の襲来によって各モデル地域内の配電設備が受けた被害との関係を学習した予測モデルを用いて、新たな台風の襲来によって一の地域内の配電設備が受ける被害を的確に予測できる。
【0021】
上記構成において、前記被害情報は、前記各モデル地域内の電柱の総本数に対する前記各モデル地域内で被害を受けた電柱の本数の比率を示す情報であり、前記予測情報は、前記一の地域内の電柱の総本数に対する前記新たな台風の襲来によって前記一の地域内で被害を受ける電柱の本数の比率を示す情報であってもよい。
【0022】
本構成によれば、各モデル地域内の土地の利用状況を細かく考慮して、一の地域内の電柱の総本数に対する、新たな台風の襲来によって前記一の地域内で被害を受ける電柱の本数の比率を的確に予測できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、土地の利用状況を細かく考慮して、配電設備が受ける被害を的確に予測できる台風予測システム、予測方法及び制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】台風被害予測システムの全体構成図である。
図2】地図画像の一例を示す図である。
図3】予測モデルを作成する深層学習の一例を示す図である。
図4】予測モデルを用いた台風被害の予測動作の一例を示すフローチャートである。
図5】予測モデルの作成に用いる傾斜画像の一例を示す図である。
図6】予測モデルを作成する深層学習の他の一例を示す図である。
図7】予測モデルを用いた台風被害の予測動作の他の一例を示すフローチャートである。
図8】第一の予測モデルを用いた台風被害の予測結果の一例を示す図である。
図9】第一の予測モデルを用いた台風被害の予測結果と被害実績との関係の一例を示すグラフである。
図10】第二の予測モデルを用いた台風被害の予測結果の一例を示す図である。
図11】第二の予測モデルを用いた台風被害の予測結果と被害実績との関係の一例を示すグラフである。
図12】第三の予測モデルを用いた台風被害の予測結果の一例を示す図である。
図13】第三の予測モデルを用いた台風被害の予測結果と被害実績との関係の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第一実施形態)
以下、本開示の第一実施形態に係る台風被害予測システムを、図面を参照しながら説明する。図1は、台風被害予測システム1の全体構成図である。台風被害予測システム1は、新たな台風の襲来によって配電設備が受ける被害を予測するシステムである。配電設備とは、電気の配電に用いる設備であり、例えば、配電線や電柱等が含まれる。
【0026】
具体的には、図1に示すように、台風被害予測システム1は、LAN(Local Area Network)やインターネット等のネットワーク7を介して互いに通信可能に接続されたサーバ2及びユーザ端末4を備える。
【0027】
サーバ2は、ネットワーク7を介してユーザ端末4と通信を行うことで、ユーザ端末4によって指定された1km四方等に区画された一以上の対象地域内の配電設備が台風の襲来によって受ける被害を予測し、予測した結果をユーザ端末4に返信する。具体的には、サーバ2は、記憶部21、通信部24及び制御部20を備える。
【0028】
記憶部21は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の記憶装置によって構成されている。記憶部21には、例えば1km四方等に区画された複数のモデル地域それぞれに関する情報が記憶されている。
【0029】
具体的には、記憶部21には、各モデル地域に関する地域情報211が記憶されている。地域情報211には、例えば、各モデル地域の識別情報及び各モデル地域内の配電設備に関する情報が含まれる。各モデル地域内の配電設備に関する情報には、各モデル地域内の電柱の総本数、配電設備の識別情報及び配設場所及び当該配電設備の管理者等を示す情報が含まれる。
【0030】
図2は、地図画像D11~D1nの一例を示す図である。また、地域情報211には、各モデル地域を上空から撮影した画像に対して各モデル地域内の土地の利用状況に対応付けられた色を重ね合わせた画像(以降、地図画像)D11~D1nが含まれる。凡例B11に示すように、土地の利用状況は、例えば、山林・荒地等、田、畑・その他の農地、商業・業務地区等に分類され、それぞれに固有の色が対応付けられている。
【0031】
各モデル地域の地図画像D11~D1nは、例えば、国土地理院のホームページのコンテンツ「地理院地図」において、「電子国土基本図の空中写真」と「宅地利用動向調査」の画像とを重ね合わせる操作を行うことで作成し、ダウンロードできる。尚、地図画像D11~D1nは、これとは別の方法で作成されたものであってもよい。以降、地図画像D11~D1nを総称する場合、地図画像D1と記載する。
【0032】
また、地域情報211には、台風被害の予測を行う対象となり得る一以上の対象地域のそれぞれについて、各対象地域の識別情報及び地図画像D1と、各対象地域内の配電設備に関する設備情報Fと、が含まれている。当該一以上の対象地域は、上述の複数のモデル地域に含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。
【0033】
記憶部21には、過去に台風が襲来したときに各モデル地域内の配電設備が受けた被害の履歴を示す被害履歴情報212が記憶されている。被害履歴情報212には、例えば、配電設備に被害を与えた台風の識別情報(例えば、2018年台風第7号)、被害を受けた電柱の本数、被害を受けた配電設備の識別情報及び配設場所、当該配電設備が被害を受けた地域における風速及び風向、当該配電設備が受けた被害の種類(例えば、傾斜、沈下、ひび割れ等)、並びに、当該配電設備が受けた被害の要因(例えば、飛来物、倒木等)等を示す情報が含まれる。
【0034】
更に、記憶部21には、制御部20が後述する台風被害の予測動作に用いる各種情報が記憶される。例えば、記憶部21には、後述する台風被害の予測動作に用いる予測モデル213が記憶される。予測モデル213の詳細については後述する。
【0035】
通信部24は、ユーザ端末4等の外部装置との間で通信を行うための通信回路によって構成されている。通信部24は、外部装置から受信した情報を制御部20に出力し、制御部20から入力された情報を外部装置へ送信する。
【0036】
制御部20は、CPU、RAM及びROM等を備えたマイクロコンピュータ(コンピュータ)によって構成されている。制御部20は、ROMに記憶されている制御プログラムを実行することで、サーバ2の各部の動作を制御する。例えば、制御部20は、前記制御プログラムを実行することで、特に、学習部200及び予測部201として機能する。
【0037】
学習部200は、地域情報211及び被害履歴情報212に含まれる情報を教師データとして深層学習を行うことによって予測モデル213を作成し、記憶部21に記憶する。また、学習部200は、地域情報211及び被害履歴情報212が更新されると、当該更新された地域情報211及び被害履歴情報212に含まれる情報を教師データとして深層学習を行うことで、記憶部21に記憶されている予測モデル213を更新する。
【0038】
図3は、予測モデル213を作成する深層学習の一例を示す図である。具体的には、図3に示すように、学習部200は、地域情報211に含まれている、各モデル地域の地図画像D1及び各モデル地域内の配電設備に関する設備情報Fと、被害履歴情報212に含まれている、各モデル地域内の配電設備が被害を受けた時の風速及び風向を示す風況情報Wと、地域情報211及び被害履歴情報212から得られる各モデル地域の被害情報Rと、を教師データとして、ニューラルネットワークN1を用いた深層学習を行うことで、予測モデル213を作成及び更新する。
【0039】
各モデル地域内の配電設備に関する設備情報Fには、各モデル地域内の電柱の総本数を示す情報が含まれる。尚、各モデル地域内の配電設備に関する設備情報Fには、これに限らず、地域情報211に含まれているその他の各モデル地域内の配電設備に関する情報が含まれてもよい。
【0040】
風況情報Wは、東西方向の風速を示す情報と南北方向の風速を示す情報とで構成されている。つまり、風況情報Wは、東西方向の風速を表すベクトルと南北方向の風速を表すベクトルとを合成することで、風速及び風向を表すベクトルを示すことができる。ただし、これに限らず、風況情報Wは、風向を示す情報(例えば、北北西)と風速を示す情報(例えば、10Km/h)とで構成されてもよい。
【0041】
各モデル地域の被害情報Rとは、過去の台風の襲来によって当該各モデル地域内の配電設備が受けた被害を示す情報である。本実施形態では、各モデル地域の被害情報Rは、地域情報211に含まれている当該各モデル地域内の電柱の総本数に対する、被害履歴情報212に含まれている当該各モデル地域内で被害を受けた電柱の本数の比率(=被害を受けた電柱の本数/電柱の総本数)である被害率を示す情報であるものとする。
【0042】
ニューラルネットワークN1は、畳み込みニューラルネットワークL11とニューラルネットワークL21とによって構成されている。畳み込みニューラルネットワークL11の出力データは、ニューラルネットワークL21に入力される。つまり、学習部200は、各モデル地域の地図画像D1を畳み込みニューラルネットワークL11に入力し、当該各モデル地域の配電設備が被害を受けた時の風速及び風向を示す風況情報W及び当該各モデル地域内の配電設備に関する設備情報FをニューラルネットワークL21に入力する。このとき、学習部200は、ニューラルネットワークL21が当該各モデル地域の被害情報Rを出力するように、畳み込みニューラルネットワークL11及びニューラルネットワークL21の重み付けパラメータを更新する。
【0043】
図1に参照を戻す。予測部201は、通信部24を介して、ユーザ端末4から、新たな台風の襲来によって一以上の対象地域内の配電設備が受ける被害の予測を要求する要求情報を取得すると、当該一以上の対象地域にに関する所定の情報を予測モデル213に入力する。
【0044】
所定の情報には、各対象地域の地図画像D1と、新たな台風が襲来したときに予測される各対象地域における風速及び風向を示す風況情報Wと、各対象地域内の配電設備に関する設備情報Fと、が含まれる。
【0045】
予測部201は、各対象地域に関する前記所定の情報を予測モデル213に入力することで、予測モデル213から出力される各対象地域に関する被害情報Rを、新たな台風の襲来によって前記各対象地域内の配電設備が受ける被害を予測した結果を示す予測情報(以降、各対象地域に関する予測情報)として取得する。予測部201は、取得した一以上の各対象地域に関する予測情報を、通信部24を介してユーザ端末4に返信する。
【0046】
ユーザ端末4は、新たな台風の襲来によって一以上の対象地域内の配電設備が受ける被害の予測を要求する要求情報をサーバ2に送信し、これに応じてサーバ2から返信された一以上の各対象地域に関する予測情報を表示する。具体的には、ユーザ端末4は、記憶部41、操作部42、表示部43、通信部44及び制御部40を備える。
【0047】
記憶部41は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の記憶装置によって構成されている。記憶部41には、一以上の対象地域の識別情報が記憶されている。
【0048】
操作部42は、例えば、タッチパネル、キーボード及び/又はマウス等の入力装置で構成され、ユーザによる各種操作を受け付ける。表示部43は、例えば液晶表示パネル又は有機ELパネル等で構成され、制御部40による制御の下、各種情報及び画像を表示する。
【0049】
通信部44は、サーバ2等の外部装置との間でネットワーク7を介して通信を行うための通信回路によって構成されている。通信部44は、外部装置から受信した情報を制御部40に出力し、制御部40から入力された情報を外部装置へ送信する。
【0050】
制御部40は、CPU、RAM及びROM等を備えたマイクロコンピュータによって構成されている。制御部40は、前記ROMに記憶されている制御プログラムを実行することで、ユーザ端末4の各部を制御する。例えば、制御部40は、前記制御プログラムを実行することで、特に、取得部400及び予測要求部401として機能する。
【0051】
(台風被害の予測動作)
次に、ユーザ端末4が、新たな台風の襲来によって一以上の対象地域内の配電設備が受ける被害の予測を要求する要求情報をサーバ2に送信し、これに応じてサーバ2から返信された予測情報を取得して、当該取得した予測情報を表示部43に表示する動作(以降、台風被害の予測動作)について説明する。本説明において、取得部400及び予測要求部401の詳細について説明する。図3は、予測モデル213を用いた台風被害の予測動作の一例を示すフローチャートである。
【0052】
ユーザ端末4において、ユーザが操作部42を用いて台風被害の予測動作の開始指示を入力すると、図3に示すように、取得部400は、新たな台風が襲来したときに予測される一以上の対象地域における風速及び風向を示す風況情報Wを取得する(ステップS101)。
【0053】
例えば、ステップS101において、取得部400は、新たな台風が襲来したときに予測される一以上の対象地域における風速及び風向を示す風況情報Wの入力をユーザに案内するメッセージと、当該風況情報Wの入力欄と、気象庁のホームページを示すURLと、を表示部43に表示する。
【0054】
これに応じて、ユーザが操作部42を用いて、前記URLが示す気象庁のホームページを表示部43に表示するための所定の操作を行うと、取得部400は、通信部44を用いて当該ホームページのデータを取得し、表示部43に当該ホームページを表示する。ユーザは、当該ホームページを視認する等して、操作部42を用いて、新たな台風が襲来したときに予測される一以上の対象地域における風速及び風向を示す風況情報Wを前記入力欄に入力する。取得部400は、当該入力された風況情報Wを、新たな台風が襲来したときに予測される対象地域における風速及び風向を示す風況情報Wとして取得する。
【0055】
尚、取得部400は、新たな台風が襲来したときに一以上の対象地域の全てにおいて同じ風速及び風向きが予測されるものとして、風況情報Wの入力欄を一つだけ表示部43に表示し、当該入力欄に入力された風況情報Wを、新たな台風が襲来したときに予測される各対象地域の風速及び風向きを示す風況情報Wとして取得する。
【0056】
又は、取得部400は、記憶部41に記憶されている各対象地域の識別情報と対応付けて、新たな台風が襲来したときに予測される各対象地域における風速及び風向を示す風況情報Wの入力欄を表示部43に表示してもよい。この場合、取得部400は、各入力欄に入力された風況情報Wを、新たな台風が襲来したときに予測される、当該各入力欄に対応する対象地域における風速及び風向きを示す風況情報Wとして取得すればよい。
【0057】
また、取得部400は、ステップS101において、新たな台風が襲来したときに予測される一以上の対象地域における風速及び風向を示す風況情報Wを提供する、例えばRAMPT(台風配電設備被害推定システム)等のシステムの使用方法を示すメッセージを、表示部43に表示するようにしてもよい。これにより、ユーザに当該メッセージが示す使用方法で前記システムを使用させ、新たな台風が襲来したときに予測される一以上の対象地域における風速及び風向を示す風況情報Wを容易に把握させるようにしてもよい。又は、取得部400は、通信部44を用いて当該システムと通信を行うことで、当該システムから一以上の対象地域における風速及び風向を示す風況情報Wを自動的に取得するようにしてもよい。
【0058】
次に、予測要求部401は、新たな台風の襲来によって一以上の対象地域内の配電設備が受ける被害を予測するようサーバ2に要求する(ステップS102)。具体的には、ステップS102において、予測要求部401は、通信部44を制御して、新たな台風の襲来によって一以上の対象地域内の配電設備が受ける被害の予測を要求する要求情報をサーバ2に送信する。尚、予測要求部401は、取得部400によって取得された一以上の対象地域の識別情報及び風況情報Wを要求情報に含めてサーバ2に送信する。
【0059】
これにより、サーバ2において、通信部24が要求情報を受信し、当該受信された要求情報が制御部20に出力されると、予測部201は、当該要求情報に従い、新たな台風の襲来によって一以上の対象地域内の配電設備が受ける被害を予測する(ステップS103)。
【0060】
具体的には、ステップS103において、予測部201は、記憶部21に記憶されている地域情報211から、通信部24を介して取得した要求情報に含まれる識別情報が示す一以上の対象地域の地図画像D1及び設備情報Fを取得する。つまり、予測部201は、本発明に係る取得部としても機能する。予測部201は、当該一以上の対象地域のそれぞれについて、前記取得した各対象地域の地図画像D1及び設備情報Fと、通信部24を介して取得した要求情報に含まれる当該各対象地域の風況情報Wと、を順次、予測モデル213に入力する。
【0061】
これにより、予測部201は、予測モデル213から順次出力される被害情報Rを、新たな台風の襲来によって各対象地域内の配電設備が受ける被害を予測した結果を示す予測情報として取得する。そして、予測部201は、取得した一以上の対象地域の予測情報をまとめて通信部24を介してユーザ端末4に返信する。
【0062】
その結果、ユーザ端末4において、通信部44が一以上の対象地域の予測情報を受信し、当該受信された一以上の対象地域の予測情報が制御部40に出力されると、予測要求部401は、当該一以上の対象地域の予測情報を表示部43に表示する(ステップS104)。これにより、制御部40は、台風被害の予測動作を終了する。
【0063】
例えば、ステップS104において、予測要求部401は、一以上の対象地域の識別情報と、一以上の対象地域の予測情報が示す前記被害率と、を対応付けた表を表示部43に表示する。これに限らず、予測要求部401は、横軸を各対象地域の識別情報、縦軸を各対象地域の被害率とするグラフを表示部43に表示してもよい。又は、予測要求部401は、横軸を各対象地域の被害率、縦軸を各対象地域の被害率の確率密度とするヒストグラムを表示部43に表示してもよい。
【0064】
(第二実施形態)
第一実施形態で説明した予測モデル213を用いた台風被害の予測の精度を更に向上するため、第二実施形態では、予測モデル213の作成に用いる教師データを更に追加する。図5は、予測モデル213の作成に用いる傾斜画像D21~D2nの一例を示す図である。具体的には、学習部200が、図5に示すように、一以上の各モデル地域内の土地の傾斜量を示す傾斜量図に対して、各モデル地域内の土地における土砂崩れ又は斜面の崩壊の生じ易さに対応付けられた色を重ね合わせた画像(以降、傾斜画像)D21~D2nを更に教師データとして深層学習を行うことで、第二の予測モデル213を作成及び更新する。
【0065】
傾斜量図では、凡例B21に示すように、各モデル地域内の土地の傾斜量が急峻である程、濃い黒色で表され、傾斜量が緩やかである程、白い色で表される。
【0066】
これに対し、土砂崩れ又は斜面の崩壊は、一定の傾斜の斜面で発生しやすいことが一般的に知られている。そこで、各モデル地域内の土地における土砂崩れ又は斜面の崩壊の生じ易さは、凡例B22に示すように、土地の傾斜量が例えば30度以下、30~35度、35~45度、45~55度、55~60度、60度以上の6段階に分類されている。
【0067】
そして、傾斜量が35~45度の土地が、土砂崩れ又は斜面の崩壊が最も生じ易い危険な土地であると考えられるので、最も濃い色(以降、第一色)が対応付けられている。傾斜量が30~35度及び45~55度の土地が、次に土砂崩れ又は斜面の崩壊が生じ易い土地であると考えられるので、第一色よりも淡い色(以降、第二色)が対応付けられている。また、傾斜量が55~60度の土地は、土砂崩れ又は斜面の崩壊が生じ難いものの注意が必要であると考えられるので、第二色よりも淡い色(以降、第三色)が対応付けられている。傾斜量が30度以下及び60度以上の土地では、土砂崩れ又は斜面の崩壊が生じる虞は少ないと考えられるので、白色が対応付けられている。
【0068】
例えば、国土地理院のホームページのコンテンツ「地理院地図」において、各土地における雪崩の生じ易さを色付けした「全国傾斜量区分図(雪崩関連)」が提供されている。雪崩の生じ易さは、土砂崩れ又は斜面の崩壊と同様、一定の傾斜の斜面で発生しやすいことが一般的に知られている。そこで、各モデル地域の傾斜画像D21~D2nは、例えば、国土地理院のホームページのコンテンツ「地理院地図」において、「傾斜量図」と「全国傾斜量区分図(雪崩関連)」とを重ね合わせる操作を行うことで作成し、ダウンロードすればよい。尚、各モデル地域の傾斜画像D21~D2nは、これとは別の方法で作成されたものであってもよい。以降、傾斜画像D21~D2nを総称する場合、傾斜画像D2と記載する。
【0069】
各モニタ地域の傾斜画像D2は、記憶部21に記憶されている地域情報211に含まれている。また、台風被害の予測を行う対象となり得る一以上の対象地域の傾斜画像D2も、地域情報211に含まれている。
【0070】
図6は、予測モデル213を作成する深層学習の他の一例を示す図である。具体的には、図6に示すように、学習部200は、地域情報211に含まれている、各モデル地域の地図画像D1及び傾斜画像D2並びに各モデル地域内の配電設備に関する設備情報Fと、被害履歴情報212に含まれている、各モデル地域内の配電設備が被害を受けた時の風速及び風向を示す風況情報Wと、地域情報211及び被害履歴情報212から得られる各モデル地域の被害情報Rと、を教師データとして、ニューラルネットワークN2を用いた深層学習を行うことで、予測モデル213を作成及び更新する。
【0071】
ニューラルネットワークN2は、畳み込みニューラルネットワークL11と、畳み込みニューラルネットワークL12と、ニューラルネットワークL21とによって構成されている。第一実施形態と同様、畳み込みニューラルネットワークL11の出力データは、ニューラルネットワークL21に入力される。また、畳み込みニューラルネットワークL12の出力データも、ニューラルネットワークL21に入力される。
【0072】
つまり、学習部200は、各モデル地域の地図画像D1を畳み込みニューラルネットワークL11に入力し、各モデル地域の傾斜画像D2を畳み込みニューラルネットワークL12に入力し、当該各モデル地域の配電設備が被害を受けた時の風速及び風向を示す風況情報W及び当該各モデル地域内の配電設備に関する設備情報FをニューラルネットワークL21に入力する。このとき、学習部200は、ニューラルネットワークL21が当該各モデル地域の被害情報Rを出力するように、畳み込みニューラルネットワークL11、畳み込みニューラルネットワークL12及びニューラルネットワークL21の重み付けパラメータを更新する。
【0073】
(台風被害の予測動作)
次に、第二実施形態における予測モデル213を用いた台風被害の予測動作について説明する。図7は、予測モデル213を用いた台風被害の予測動作の他の一例を示すフローチャートである。
【0074】
ユーザ端末4において、ユーザが操作部42を用いて台風被害の予測動作の開始指示を入力すると、図7に示すように、第一実施形態と同様、ステップS101及びステップS102が実行され、次にステップS203が実行される。
【0075】
ステップS203では、サーバ2において、通信部24が要求情報を受信し、当該受信された要求情報が制御部20に出力されると、予測部201は、当該要求情報に従い、新たな台風の襲来によって一以上の対象地域内の配電設備が受ける被害を予測する(ステップS203)。
【0076】
具体的には、ステップS203において、予測部201は、記憶部21に記憶されている地域情報211から、通信部24を介して取得した要求情報に含まれる識別情報が示す一以上の対象地域の地図画像D1、傾斜画像D2、及び設備情報Fを取得する。つまり、予測部201は、本発明に係る取得部としても機能する。予測部201は、当該一以上の対象地域のそれぞれについて、前記取得した各対象地域の地図画像D1、傾斜画像D2及び設備情報Fと、通信部24を介して取得した要求情報に含まれる当該各対象地域の風況情報Wと、を順次、予測モデル213に入力する。
【0077】
これにより、予測部201は、予測モデル213から順次出力される被害情報Rを、新たな台風の襲来によって各対象地域内の配電設備が受ける被害を予測した結果を示す予測情報として取得する。そして、予測部201は、取得した一以上の対象地域の予測情報をまとめて通信部24を介してユーザ端末4に返信する。その結果、ユーザ端末4ではステップS104が行われる。これにより、制御部40は、台風被害の予測動作を終了する。
【0078】
(予測モデル213の性能評価)
次に、予測モデル213を用いた台風被害の予測の精度を評価した結果について説明する。まず、第一実施形態で説明した作成方法によって、約1000に及ぶ所定数のモデル地域の地図画像D1及び設備情報Fと、過去に台風「A」が各モデル地域に襲来したときの風況情報W及び被害情報Rと、を教師データとして第一の予測モデル213を作成した。
【0079】
そして、モデル地域とは異なる246の地域を対象地域とし、過去に台風「A」が襲来したときの各対象地域の地図画像D1、風況情報W及び設備情報Fを、第一のモデル213に入力して得られた当該各対象地域の被害情報R(被害率)を予測情報として取得した。
【0080】
図8は、第一の予測モデル213を用いた台風被害の予測結果の一例を示す図である。図9は、第一の予測モデル213を用いた台風被害の予測結果と被害実績との関係の一例を示すグラフである。図9における白抜きのヒストグラムは、実際には配電設備に被害がなかった対象地域に対して第一の予測モデル213を用いて予測された被害率の確率密度を示している。図9における網掛けのヒストグラムは、実際に配電設備に被害があった対象地域に対して第一の予測モデル213を用いて予測された被害率の確率密度を示している。
【0081】
図8の「予測結果」欄の上段は、予測情報が示す被害率が所定の閾値「0.5(=50%)」未満であったため、配電設備に被害がないと予測された対象地域の数を示している。図8の「予測結果」欄の下段は、予測情報が示す被害率が前記閾値「0.5(=50%)」以上であったため、配電設備に被害があると予測された対象地域の数を示している。また、図8の「実績」欄の左列は、実際に台風「A」が襲来したときに配電設備に被害がなかった地域の数を示し、右列は、実際に台風「A」が襲来したときに配電設備に被害があった地域の数を示す。
【0082】
つまり、「予測結果」欄の上段の「実績」欄の左列(以降、左上欄)は、実際に配電設備に被害がなく、また、第一の予測モデル213を用いて配電設備に被害がないと正しく予測された対象地域の数「195」を示し、図9における閾値「0.5」よりも左側の白抜きのヒストグラムに対応している。
【0083】
「予測結果」欄の下段の「実績」欄の右列(以降、右下欄)は、実際に配電設備に被害があり、また、第一の予測モデル213を用いて配電設備に被害があると正しく予測された対象地域の数「17」を示し、図9における閾値「0.5」よりも右側の網掛けのヒストグラムに対応している。
【0084】
一方、「予測結果」欄の上段の「実績」欄の右列(以降、右上欄)は、実際には配電設備に被害があったが、第一の予測モデル213を用いて配電設備に被害なしと誤って予測された対象地域の数「26」を示し、図9における閾値「0.5」よりも右側の白抜きのヒストグラムに対応している。
【0085】
また、「予測結果」欄の下段の「実績」欄の左列(以降、左下欄)は、実際には配電設備に被害がなかったが、第一の予測モデル213を用いて配電設備に被害があると誤って予測された対象地域の数「8」を示し、図9における閾値「0.5」よりも右側の網掛けのヒストグラムに対応している。
【0086】
すなわち、第一の予測モデル213を用いて、対象地域内の配電設備に被害がないと予測した場合の正答率(以降、被害なし正答率)は、「0.96(=195/203)」であり、対象地域内の配電設備に被害があると予測した場合の正答率(以降、被害あり正答率)は、「0.40(=17/43)」であった。第一の予測モデル213を用いて対象地域内の配電設備の被害の有無を予測した場合の正答率は、「0.86(=212/246)」であった。
【0087】
このように、第一の予測モデル213は、被害なし正答率が十分に高いため、配電設備に被害がないと予測する精度には問題がない学習モデルであると評価できる。しかし、被害あり正答率が0.50よりも低く、配電設備に被害があると予測する精度は低いと考えられるので、これを改善する余地はあると評価できる。
【0088】
また、図8に示すように、第一の予測モデル213についてのAUC(Area Under Curve)は、「0.78」であった。AUCは、一般的に深層学習によって作成されたモデルの予測の精度を評価する場合に用いられる。具体的には、AUCは、偽陽性率を横軸とし、真陽性率を縦軸とする二次元座標において、閾値を0から1(0%から100%)まで変化させて、各閾値を採用した場合における偽陽性率と真陽性率との関係を示す曲線を描いた場合に、当該曲線と横軸とによって囲まれる領域の面積として算出される。
【0089】
ここで、真陽性率とは、実際に配電設備に被害がなかった対象地域の数に対する、第一の予測モデル213を用いて配電設備に被害がないと予測された対象地域の数の比率である。図8の例では、閾値が「0.5(=50%)」である場合の真陽性率は、左上欄の対象地域の数「195」を、「実績」欄の左列の対象地域の数「203(=195+8)」で除算することで算出される。
【0090】
偽陽性率は、実際に配電設備に被害があった対象地域の数に対する、第一の予測モデル213を用いて配電設備に被害がないと予測された対象地域の数の比率である。図8の例では、閾値が0.5(=50%)である場合の偽陽性率は、右上欄の対象地域の数「26」を、「実績」欄の右列の対象地域の数「43(=26+17)」で除算することで算出される。
【0091】
一般的にAUCが0.8を超える学習モデルの予測の精度は、高いと評価される。第一の予測モデル213についてのAUCは「0.78」であり、0.8に近しい値を示した。このため、第一の予測モデル213の予測の精度は、特に大きな問題が生じない程度には高い精度であると評価できる。
【0092】
次に、第二実施形態で説明した作成方法によって、第一の予測モデル213の作成に用いたものと同じ約1000に及ぶモデル地域の地図画像D1、傾斜画像D2、設備情報Fと、過去に台風「A」が襲来したときの風況情報W及び被害情報Rと、を教師データとして第二の予測モデル213を作成した。
【0093】
そして、過去に台風「A」が襲来したときの上記と同じ246の各対象地域の地図画像D1、傾斜画像D2、風況情報W及び設備情報Fを、第二のモデル213に入力して得られた当該各対象地域の被害情報R(被害率)を、予測情報として取得した。
【0094】
図10は、第二の予測モデル213を用いた台風被害の予測結果の一例を示す図である。図11は、第二の予測モデル213を用いた台風被害の予測結果と被害実績との関係の一例を示すグラフである。図9と同様、図11における白抜きのヒストグラムは、実際には配電設備に被害がなかった対象地域に対して第二の予測モデル213を用いて予測された被害率の確率密度を示している。図11における網掛けのヒストグラムは、実際に配電設備に被害があった対象地域に対して第二の予測モデル213を用いて予測された被害率の確率密度を示している。
【0095】
図10の左上欄(「予測結果」欄の上段の「実績」欄の左列)は、実際に配電設備に被害がなく、また、第二の予測モデル213を用いて配電設備に被害がないと正しく予測された対象地域の数「195」を示し、図11における閾値「0.56」よりも左側の白抜きのヒストグラムに対応している。
【0096】
右下欄(「予測結果」欄の下段の「実績」欄の右列)は、実際に配電設備に被害があり、また、第二の予測モデル213を用いて配電設備に被害があると正しく予測された対象地域の数「21」を示し、図11における閾値「0.56」よりも右側の網掛けのヒストグラムに対応している。
【0097】
一方、右上欄(「予測結果」欄の上段の「実績」欄の右列)は、実際には配電設備に被害があったが、第二の予測モデル213を用いて配電設備に被害なしと誤って予測された対象地域の数「22」を示し、図11における閾値「0.56」よりも右側の白抜きのヒストグラムに対応している。
【0098】
また、左下欄(「予測結果」欄の下段の「実績」欄の左列)は、実際には配電設備に被害がなかったが、第二の予測モデル213を用いて配電設備に被害があると誤って予測された対象地域の数「8」を示し、図11における閾値「0.5」よりも右側の網掛けのヒストグラムに対応している。
【0099】
すなわち、第二の予測モデル213を用いて台風被害を予測した場合の被害なし正答率は、第一の予測モデル213を用いた場合(図8)と同様「0.96(=195/203)」であった。第二の予測モデル213を用いて台風被害を予測した場合の被害あり正答率は、第一の予測モデル213を用いた場合(図8)よりも高い「0.49(=21/43)」であった。第二の予測モデル213を用いて対象地域内の配電設備の被害の有無を予測した場合の正答率は、第一の予測モデル213を用いた場合(図8)よりも高い「0.88(=216/246)」であった。また、第二の予測モデル213についてのAUCは、第一の予測モデル213についてのAUC「0.78」(図8)よりも高い「0.88」であった。
【0100】
このように、第二の予測モデル213は、被害あり正答率が第一の予測モデル213よりも向上しているので、配電設備に被害があると予測する精度が改善されたと評価できる。ただし、第二の予測モデル213は、第一の予測モデル213と同様、被害あり正答率が0.50よりも低いので、配電設備に被害があると予測する精度を改善する余地はあると評価できる。また、第二の予測モデル213についてのAUCは、「0.80」よりも大きい「0.88」であった。したがって、第二の予測モデル213の予測の精度は、一般的に高いと考えられている精度よりも高い精度であると評価できる。
【0101】
以上の評価結果から、本発明者は、第二の予測モデル213を用いた台風被害の予測の精度を更に向上するため、予測モデル213の作成に用いる被害情報Rを、過去の台風の襲来によって飛来した飛来物が原因で各モニタ地域内の配電設備が受けた被害を示す情報に限定することを想起した。以下、第二実施形態で説明した作成方法によって、上記のように限定した被害情報Rを用いて作成された第三の予測モデル213の予測の精度について説明する。
【0102】
具体的には、第一及び第二の予測モデル213の作成に用いたものと同じ約1000に及ぶ所定数の各モデル地域に対する、地図画像D1と、傾斜画像D2と、設備情報Fと、過去に台風「A」が襲来したときの風況情報W及び被害情報Rと、を教師データとして第三の予測モデル213を作成した。
【0103】
ただし、第三の予測モデル213の作成に用いる被害情報Rは、地域情報211に含まれている各モニタ地域内の電柱の総本数に対する、被害履歴情報212に含まれている各モニタ地域内で、台風「A」の襲来によって飛来した飛来物が原因で被害を受けた電柱の本数の比率を示す情報に限定した。
【0104】
そして、過去に台風「A」が襲来したときの上記と同じ246の各対象地域の地図画像D1、傾斜画像D2、風況情報W及び設備情報Fを、当該作成した第三のモデル213に入力して得られた当該各対象地域の被害情報Rを、予測情報として取得した。
【0105】
図12は、第三の予測モデル213を用いた台風被害の予測結果の一例を示す図である。図13は、第三の予測モデル213を用いた台風被害の予測結果と被害実績との関係の一例を示すグラフである。図13における白抜きのヒストグラムは、実際には配電設備に飛来物が原因の被害がなかった対象地域に対して第三の予測モデル213を用いて予測された被害率の確率密度を示している。図13における網掛けのヒストグラムは、実際に配電設備に飛来物が原因の被害があった対象地域に対して第三の予測モデル213を用いて予測された被害率の確率密度を示している。
【0106】
図12の左上欄(「予測結果」欄の上段の「実績」欄の左列)は、実際に配電設備に飛来物が原因の被害がなく、また、第三の予測モデル213を用いて配電設備に飛来物が原因の被害がないと正しく予測された対象地域の数「199」を示し、図13における閾値「0.64」よりも左側の白抜きのヒストグラムに対応している。
【0107】
右下欄(「予測結果」欄の下段の「実績」欄の右列)は、実際に配電設備に飛来物が原因の被害があり、また、第三の予測モデル213を用いて配電設備に飛来物が原因の被害があると正しく予測された対象地域の数「15」を示し、図13における閾値「0.64」よりも右側の網掛けのヒストグラムに対応している。
【0108】
一方、右上欄(「予測結果」欄の上段の「実績」欄の右列)は、実際には配電設備に飛来物が原因の被害があったが、第三の予測モデル213を用いて配電設備に飛来物が原因の被害なしと誤って予測された対象地域の数「11」を示し、図13における閾値「0.64」よりも右側の白抜きのヒストグラムに対応している。
【0109】
また、左下欄(「予測結果」欄の下段の「実績」欄の左列)は、実際には配電設備に飛来物が原因の被害がなかったが、第三の予測モデル213を用いて配電設備に飛来物が原因の被害があると誤って予測された対象地域の数「21」を示し、図13における閾値「0.64」よりも右側の網掛けのヒストグラムに対応している。
【0110】
すなわち、第三の予測モデル213を用いて台風被害を予測した場合の被害なし正答率は、第二の予測モデル213を用いた場合(図10)よりも「0.06」低い「0.90(=199/203)」であった。しかし、第三の予測モデル213を用いて台風被害を予測した場合の被害あり正答率は、第二の予測モデル213を用いた場合(図10)よりも「0.09」高い「0.58(=15/26)」であった。第三の予測モデル213を用いて対象地域内の配電設備における飛来物が原因の被害の有無を予測した場合の正答率は、第二の予測モデル213を用いた場合(図10)よりも「0.01」低い「0.87(=214/246)」であった。また、第三の予測モデル213についてのAUCは、第二の予測モデル213についてのAUC「0.82」(図10)よりも「0.04」高い「0.86」であった。
【0111】
このように、第三の予測モデル213は、被害なし正答率が第二の予測モデル213よりも「0.06」低下したが、それ以上に、被害あり正答率が第二の予測モデル213よりも「0.09」向上した。このため、第三の予測モデル213は、第二の予測モデル213よりも予測の精度が改善された学習モデルであると評価できる。また、第三の予測モデル213についてのAUCも、第二の予測モデル213についてのAUCよりも大きくなった。したがって、第三の予測モデル213の予測の精度は、第二の予測モデル213よりも向上したと評価できる。
【0112】
上記態様は、本開示に係る実施形態の例示に過ぎず、本開示を上記態様に限定する趣旨ではない。例えば、以下に示す変形実施形態であってもよい。
【0113】
(1)ユーザ端末4から、記憶部41に記憶されている識別情報が示す一以上の対象地域のうち、一部の対象地域内のみの配電設備が受ける被害を予測するようサーバ2に要求するようにしてもよい。具体的には、ステップS101(図3図7)の実行前に、取得部400が、記憶部41に記憶されている一以上の対象地域の識別情報を選択可能に表示部43に表示するとともに、一以上の識別情報の選択を案内するメッセージを表示部43に表示するようにすればよい。そして、ユーザが操作部42を用いて一以上の識別情報を選択すると、ステップS101において、取得部400は、当該選択された一以上の識別情報が示す一以上の対象地域の風況情報Wのみを取得するようにすればよい。また、ステップS102において、取得部400は、当該選択された一以上の識別情報と、当該ステップS101で取得された当該一以上の識別情報が示す一以上の対象地域の風況情報Wと、を要求情報に含めて、サーバ2に送信すればよい。
【0114】
(2)上述の実施形態では、各モデル地域の被害情報Rが被害率を示す情報であるものとして説明した。しかし、各モデル地域の被害情報Rは、これに限らず、例えば各モデル地域内で被害を受けた電柱の本数を示す情報等、被害履歴情報212に含まれる、各モデル地域内の配電設備が過去の台風の襲来によって受けた被害に関する他の情報であってもよい。
【0115】
(3)上述した複数のモデル地域及び複数の地域は、1km四方に限らず、他の大きさ又は他の形状で区画されたものであってもよい。
【0116】
(4)サーバ2の制御部20が行う制御と同様の制御を、ユーザ端末4が備える制御部40が行うようにし、サーバ2の記憶部21に記憶されている情報と同様の情報を、記憶部41に記憶するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0117】
1 :台風被害予測システム
201 :予測部
213 :予測モデル
400 :取得部
D1 :地図画像
D2 :傾斜画像
F :設備情報
R :被害情報
W :風況情報
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