(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-23
(45)【発行日】2024-10-31
(54)【発明の名称】監視システムおよび監視装置
(51)【国際特許分類】
H04N 23/60 20230101AFI20241024BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20241024BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20241024BHJP
H04N 23/50 20230101ALI20241024BHJP
H04N 23/71 20230101ALI20241024BHJP
【FI】
H04N23/60
G03B15/00 R
G03B15/00 S
G03B17/56 Z
H04N23/50
H04N23/71
(21)【出願番号】P 2020202363
(22)【出願日】2020-12-07
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】ニデックプレシジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悠介
【審査官】登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-358579(JP,A)
【文献】特開2011-241002(JP,A)
【文献】特開2015-154346(JP,A)
【文献】特開2020-105818(JP,A)
【文献】特表2017-529468(JP,A)
【文献】特表2016-537097(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/60
G03B 15/00
G03B 17/56
H04N 23/50
H04N 23/71
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物に設置されるフレームと、
前記フレームに取り付けられ、前記フレームに対して開閉する開閉体と、
前記フレームの内部に埋め込まれ、前記フレームに設けられる開口部からレンズを用いて撮影する撮影ユニットと、
前記開閉体の開閉を検知する開閉センサと、
前記撮影ユニットを制御する制御ユニットと、
遮蔽機構と、
を有し、
前記制御ユニットは、前記開閉センサを用いて前記開閉体の閉から開への開変化を検知した場合に前記撮影ユニットに撮影を開始させ、前記開閉センサを用いて前記開閉体の開から閉への閉変化を検知した場合に前記撮影ユニットに撮影を終了させ、
前記遮蔽機構は、前記開閉体が閉じた状態で前記撮影ユニットの前記レンズを遮蔽する、
監視システム。
【請求項2】
請求項1記載の監視システムにおいて、
前記撮影ユニットは、撮影の際に明るさ調整パラメータを用いて映像の明るさを調整し、
前記制御ユニットは、前記撮影ユニットへ前記明るさ調整パラメータの基となるパラメータデータを送信する、
監視システム。
【請求項3】
請求項2記載の監視システムにおいて、さらに、
前記開閉体で分離される室内の照度を計測する第1の照度センサと、
前記開閉体で分離される室外の照度を計測する第2の照度センサと、
を有し、
前記制御ユニットは、前記第1の照度センサおよび前記第2の照度センサの計測結果に基づいて前記パラメータデータを定め、当該定めた前記パラメータデータを前記撮影ユニットによる撮影に反映させる、
監視システム。
【請求項4】
請求項1記載の監視システムにおいて、
前記撮影ユニットは、前記フレームを構成する辺の内、前記開閉体の天井部分に対応する辺に埋め込まれる、
監視システム。
【請求項5】
請求項1記載の監視システムにおいて、
前記開閉体の厚み方向の面には、検知用部材が装着され、
前記開閉センサは、所定の検知範囲に前記検知用部材が存在するか否かを判別することで、前記開閉体の開閉を検知する、
監視システム。
【請求項6】
請求項5記載の監視システムにおいて、
前記撮影ユニット、前記開閉センサおよび前記制御ユニットは、単数または複数の配線基板上に実装され、
前記単数または複数の配線基板には、さらに、前記撮影ユニットによる映像データを外部に送信するための無線通信ユニットが実装される、
監視システム。
【請求項7】
開閉体が取り付けられるフレームに設置するための監視装置であって、
前記フレームの内部に埋め込まれて使用される撮影ユニット、開閉センサ、および制御ユニットを有し、
前記撮影ユニットは、前記フレームに設けられる開口部からレンズを用いて撮影し、
前記開閉センサは、前記開閉体の開閉を検知し、
前記制御ユニットは、前記開閉センサを用いて前記開閉体の閉から開への開変化を検知した場合に前記撮影ユニットに撮影を開始させ、前記開閉センサを用いて前記開閉体の開から閉への閉変化を検知した場合に前記撮影ユニットに撮影を終了させる、
監視装置。
【請求項8】
請求項7記載の監視装置において、さらに、
前記開閉体で分離される室内の照度を計測する第1の照度センサと、
前記開閉体で分離される室外の照度を計測する第2の照度センサと、
を有し、
前記撮影ユニットは、撮影の際に明るさ調整パラメータを用いて映像の明るさを調整し、
前記制御ユニットは、前記第1の照度センサおよび前記第2の照度センサの計測結果に基づいて前記撮影ユニットへ前記明るさ調整パラメータの基となるパラメータデータを定め、当該定めた前記パラメータデータを前記撮影ユニットによる撮影に反映させる、
監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視システムおよび監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、被介護者側からカメラを見えにくくする監視装置が示される。当該監視装置では、カメラの前面に複数枚の偏光板を重ねて配置することで、可視光の透過率が25%以下に定められる。
【0003】
特許文献2には、閉鎖空間の扉が開いた際に、監視不能時間が生じることのない監視カメラシステムが示される。当該監視カメラシステムは、閉鎖空間の扉が開く際に、閉鎖空間外に設置された第2の監視カメラの輝度制御パラメータを、閉鎖空間内に設置された第1の監視カメラに設定する。また、当該監視カメラシステムは、日付、時刻、位置、天候と輝度制御パラメータとの対応関係を予めルックアップテーブルで定めておき、閉鎖空間の扉が開く際に、このルックアップテーブルに基づいて、第1の監視カメラの輝度制御パラメータを設定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-45556号公報
【文献】特許第6664545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ホテルや貸し会議室等の施設では、防犯等の観点から室内に監視カメラを設置したい場合がある。例えば、ホテルでは、室内に監視カメラを設置することで、従業員と利用者とのトラブルを記録することができる。一方、このような施設の利用者は、秘匿性の観点から、室内に監視カメラを設置することを望まない場合が多い。そこで、例えば、各室への出入り口が設けられる通路等に監視カメラを設置することが考えられる。しかし、通路等に設置された監視カメラでは、例えば、前述したような従業員と利用者とのトラブルを十分に記録できない恐れがある。
【0006】
本発明は、このようなことに鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、秘匿性を担保しつつ、必要な監視を行うことが可能な監視システムおよび監視装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の監視装置システムは、建造物に設置されるフレームと、フレームに取り付けられ、フレームに対して開閉する開閉体と、フレームの内部に埋め込まれ、フレームに設けられる開口部からレンズを用いて撮影する撮影ユニットと、開閉体の開閉を検知する開閉センサと、撮影ユニットを制御する制御ユニットと、遮蔽機構と、を有する。制御ユニットは、開閉センサを用いて開閉体の閉から開への開変化を検知した場合に撮影ユニットに撮影を開始させ、開閉センサを用いて開閉体の開から閉への閉変化を検知した場合に撮影ユニットに撮影を終了させる。遮蔽機構は、開閉体が閉じた状態で撮影ユニットのレンズを遮蔽する。
【0008】
本発明の監視装置は、開閉体が取り付けられるフレームに設置するための監視装置であって、フレームの内部に埋め込まれて使用される撮影ユニット、開閉センサ、および制御ユニットを有する。撮影ユニットは、フレームに設けられる開口部からレンズを用いて撮影する。開閉センサは、開閉体の開閉を検知する。制御ユニットは、開閉センサを用いて開閉体の閉から開への開変化を検知した場合に撮影ユニットに撮影を開始させ、開閉センサを用いて開閉体の開から閉への閉変化を検知した場合に撮影ユニットに撮影を終了させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、秘匿性を担保しつつ、必要な監視を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】本発明の実施の形態1による監視システムの外形例を示す斜視図である。
【
図1B】本発明の実施の形態1による監視システムの外形例を示す斜視図である。
【
図2】
図1における監視装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図2における撮影ユニットの構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図1における監視装置周りの外形例を示す斜視図である。
【
図5】
図4において、ドアを閉じた状態での監視装置周りの外形例を示す平面図である。
【
図6】
図2におけるプロセッサの処理内容の一例を示すフロー図である。
【
図7】本発明の実施の形態2による監視装置の構成例を示すブロック図である。
【
図8】
図7におけるプロセッサの処理内容の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0012】
(実施の形態1)
《監視システムの概略》
図1Aおよび
図1Bは、本発明の実施の形態1による監視システムの外形例を示す斜視図である。
図1Aおよび
図1Bには、建造物である床35および壁36と、壁36に設置されるフレーム38と、フレーム38に取り付けられるドア(開閉体)37とが示される。ドア37は、フレーム38に対して開閉する。
図1Aには、ドア37が開いた状態が示され、
図1Bには、ドア37が閉じた状態が示される。明細書では、床35の面方向をX方向およびY方向とし、床35の鉛直方向である壁36の設置方向をZ方向とする。なお、フレーム38は「ドア枠」と言われることもある。
【0013】
ドア37は、室内と室外とを分離する。フレーム38は、室内側に配置されるフレーム部分38aと室外側に配置されるフレーム部分38bと、この2個のフレーム部分38a,38bをZ方向に延伸する面で連結する段差部分38cとを含む。ドア37は、この段差部分38cに接触することで閉じた状態となる。また、室内側のフレーム部分38aには、開口部39aが設けられ、室外側のフレーム部分38bにも、開口部39bが設けられる。
【0014】
ここで、監視システム1は、ドア37およびフレーム38と、フレーム38に設置するための監視装置10とを有する。監視装置10は、
図1Aに示されるように、フレーム38の内部に埋め込まれて使用される。詳細は後述するが、開口部39aは、監視装置10内の撮影ユニット用に設けられ、開口部39bは、監視装置10内の開閉センサ用に設けられる。
【0015】
また、ドア37には、例えば、遮蔽板等の遮蔽部材40が装着される。遮蔽部材40は、
図1Aおよび
図1Bに示されるように、ドア37を閉じた状態で開口部39aを遮蔽し、ドア37を開いた状態で開口部39aを遮蔽しないように、ドア37に装着される。なお、遮蔽部材40は、遮蔽機構の一例である。遮蔽機構は、ドア37が閉じた状態で、撮影ユニットのレンズを直接的に、または開口部39aを介して間接的に遮蔽する機構である。遮蔽機構は、例えば、開口部39aをフレーム部分38b側に設けること等で、ドア37自体で実現されてもよい。また、遮蔽機構は、レンズに装着される物理的なレンズカバー等で実現されてもよい。
【0016】
《監視装置の構成》
図2は、
図1における監視装置の構成例を示すブロック図である。監視装置10は、プロセッサ(制御ユニット)15と、メモリ16と、撮影ユニット17と、開閉センサ18と、無線通信ユニット19とを備える。撮影ユニット17は、
図1Aに示したように、フレーム38(フレーム部分38a)に設けられる開口部39aから、レンズを用いて所定の撮影範囲を撮影する。メモリ16は、例えば、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリと、RAM(Random Access Memory)との組み合わせ等によって構成される。メモリ16は、プロセッサ15が実行するプログラムや、撮影ユニット17によって撮影された映像データ等を記憶する。
【0017】
開閉センサ18は、ドア37の開閉を検知し、詳細には、ドア37が所定の角度まで開いたことや、所定の角度まで閉じたことを検知する。開閉センサ18は、例えば、反射型の光電センサや、誘導型、容量型、マグネット型の近接センサといった非接触型センサであってよい。反射型の光電センサは、光を発射し、ドア37に装着された検出用部材からの反射光の有無を検知する。誘導型の近接センサは、ドア37に装着された検出用部材との電磁誘導の有無を検知する。容量型の近接センサは、ドア37に装着された検出用部材との容量結合の有無を検知する。マグネット型の近接センサは、ドア37に装着された検出用部材からの磁力の有無を検知する。なお、実施の形態の代表例では、反射型の光電センサが開閉センサ1として用いられている。
【0018】
無線通信ユニット19は、管理端末等の外部装置を相手として各種データを無線で送信または受信する。無線通信ユニット19から送信されるデータの中には、撮影ユニット17による映像データが含まれる。すなわち、
図1Aに示したように、監視装置10をフレーム38の内部に埋め込む場合、外部装置との有線通信が困難となる場合がある。そこで、例えば、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)等の無線通信ユニット19を設けることが有益となる。
【0019】
ここで、無線通信ユニット19によって外部に送信された映像データは、メモリ16から削除される。また、他の方式では、メモリ16に保存されている全ての映像データのデータ容量が一定値以上となったときに、送信済みの映像データが削除されるようにしてもよい。なお、実施の形態の代表例では、無線通信ユニット19は、Wi-Fi規格の無線通信を行う。
【0020】
プロセッサ15は、メモリ16に格納されたプログラムを実行することで、撮影ユニット17の制御を含めて監視装置10全体を制御する。その制御内容の一つとして、プロセッサ15は、開閉センサ18を用いてドア37の閉から開への開変化を検知した場合に、撮影ユニット17に撮影を開始させる。一方、プロセッサ15は、開閉センサ18を用いてドア37の開から閉への閉変化を検知した場合に、撮影ユニット17に撮影を終了させる。
【0021】
なお、プロセッサ15は、例えば、マイクロコントローラに搭載されるものであってよい。この場合、メモリ16の一部または全ても、マイクロコントローラに搭載されてよい。また、ここでは、制御ユニットは、プロセッサ15に対するソフトウェアで実現されたが、これに限らず、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェアで実現されてもよく、または、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせで実現されてもよい。
【0022】
以上のような方式を用いることで、秘匿性を担保しつつ、必要な監視を行うことが可能になる。具体的には、実施の形態1の方式では、ドア37が閉から開へ開変化してから、開から閉へ閉変化するまでの期間に限って撮影ユニット17による撮影が行われる。このため、室内の利用者の秘匿性を担保でき、かつ、例えば、ドア37を開いた状態で生じ得る従業員と利用者とのトラブル等を記録することが可能になる。また、別の効果として、開変化から閉変化までの期間に限って撮影を行うことで、撮影ユニット17の消費電力を低減でき、撮影ユニット17による映像データの容量を削減することも可能になる。
【0023】
なお、秘匿性に関し、ドア37を閉じている期間では、撮影ユニット17による撮影が行われない場合であっても、利用者が撮影ユニット17の存在自体を認知すれば、利用者に対して秘匿性を担保できない恐れがある。例えば、特許文献1のような方式を用いて、撮影ユニット17を利用者から見え難くした場合であっても、室内の利用者は、撮影有無に関わらず撮影ユニット17が存在していることを認知することで、プライバシーの侵害と感じる恐れがある。そこで、
図1Aおよび
図1Bで述べたような遮蔽機構(例えば、遮蔽部材40)を設けることで、利用者は撮影されていないことを認知することができ、撮影されていないという安心感を得ることができる。
【0024】
図3は、
図2における撮影ユニットの構成例を示すブロック図である。撮影ユニット17は、レンズ25と、絞り26と、フィルタ27と、イメージセンサ28と、オートゲイン制御回路(AGC回路と略す)29と、アナログディジタル変換器(ADCと略す)30と、画像処理回路31とを備える。レンズ25は、撮影範囲33からの光を集光する。絞り26は、設定された絞り値に基づいてレンズ25からの光量を調整する。フィルタ27は、例えば、赤外線除去フィルタ等である。
【0025】
イメージセンサ28は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型またはCCD(Charge Coupled Device)型の撮像素子を含む。撮影範囲33からの光は、レンズ25、絞り26およびフィルタ27を介してイメージセンサ28に入光する。イメージセンサ28は、当該入光された光を各撮像素子(言い換えれば各画素)で受光する。
【0026】
AGC回路29は、イメージセンサ28からの画素毎の画素信号を、設定されたゲイン値に基づいて増幅する。ADC30は、AGC回路29からの増幅された画素信号をディジタル値に変換する。画像処理回路31は、ADC30からのディジタル値に基づいて映像データVDを生成する。当該映像データVDは、
図1のメモリ16に格納される。自動調整回路32は、映像の明るさを定める明るさ調整パラメータPMを自動調整する。明るさ調整パラメータPMには、絞り26に対する絞り値、イメージセンサ28に対する露光時間、AGC回路29に対するゲイン値の少なくとも一つが含まれる。
【0027】
自動調整回路32は、プロセッサ15を相手として明るさ調整に伴うパラメータデータPMDを送信または受信する。自動調整回路32は、プロセッサ15からパラメータデータPMDを受信した場合、当該受信したパラメータデータPMDを基に明るさ調整パラメータPMを自動調整する。具体的には、パラメータデータPMDは、明るさ調整パラメータPMの初期値として使用される。また、自動調整回路32は、プロセッサ15からの要求に応じて、自動調整後の明るさ調整パラメータPMをパラメータデータPMDとしてプロセッサ15へ送信する。なお、他の方式では、絞り26などは省略されてもよい。
【0028】
《監視装置周りの外形》
図4は、
図1における監視装置周りの外形例を示す斜視図である。
図5は、
図4において、ドアを閉じた状態での監視装置周りの外形例を示す平面図である。
図4の監視装置10は、コネクタ48で接続された2個の配線基板45,46と、2個の配線基板45,46が装着される支持部材47とを備える。支持部材47は、
図1Aに示したフレーム38に固定される。
【0029】
配線基板45は、撮影ユニット17を搭載し、配線基板46は、開閉センサ18を搭載する。また、図示は省略されるが、
図2に示したプロセッサ15、メモリ16および無線通信ユニット19も、2個の配線基板45,46のいずれかに適宜搭載される。ここでは、
図2のプロセッサ15、メモリ16、撮影ユニット17、開閉センサ18および無線通信ユニット19は、2個の配線基板45,46に搭載されたが、勿論、1個の配線基板に搭載されてもよい。
【0030】
ここで、ドア37には、
図1Aに示した遮蔽部材40(例えば遮蔽板)に加えて、厚み方向の面に開閉センサ18と対をなす検知用部材50が装着される。開閉センサ18は、所定の検知範囲に検知用部材50が存在するか否か、すなわち、ドア37の開き角度が角度閾値以内か否かを判別することで、ドア37の開閉を検知する。検知用部材50は、例えば、開閉センサ18が光電センサの場合には、反射板となる。
【0031】
光電センサを例とすると、開閉センサ18は、
図5に示されるようなドア37が閉じた状態を含めてドア37の開き角度が角度閾値以内の場合には検知用部材50(例えば反射板)からの反射光を検知する。一方、開閉センサ18は、ドア37の開き角度が当該角度閾値を超える場合には、検知用部材50からの反射光を検知しなくなる。なお、
図5には、監視装置10周りのXY平面図が示され、検知用部材50および遮蔽部材40は、記載の便宜上、透過状態で示される。
【0032】
ここで、前述したドア37の開閉を区別する角度閾値は、主に、フレーム38に対する監視装置10の設置箇所と、監視装置10に対する開閉センサ18の搭載位置とによって調整できる。この観点から、監視装置10は、
図1Aに示されるように、フレーム38を構成する辺の内、ドア37の天井部分に対応する辺に埋め込まれることが望ましい。例えば、監視装置10に対する開閉センサ18の搭載位置を同一として、監視装置10をドア37の回転軸側に設置するほど、角度閾値は大きくなる。また、監視装置10を当該天井部分の辺に埋め込むことで、撮影ユニット17の撮影範囲を広げることができる。
【0033】
図5および
図1Aの例では、監視装置10は、ドア37の回転軸側に設置されている。このため、
図5の例では、配線基板46は、XY面と平行に配置されるが、撮影ユニット17を搭載する配線基板45は、XY面に対して所定の角度を保つように設置される。具体的には、配線基板45は、撮影ユニット17のレンズ25がフレーム38におけるドアノブ側の辺を向くように設置される。
【0034】
なお、開閉センサ18は、
図2で述べたように、光電センサや、近接センサ等であるが、このようなセンサに限らず、例えば、照度センサや、リミットスイッチ等の接触型センサであってもよい。すなわち、開閉センサ18をフレーム38の内部に埋め込むことで、開閉センサ18に対する照度は、ドア37が閉じた状態では低くなり、ドア37が開いた状態では高くなる。したがって、開閉センサ18として照度センサを用いることも可能である。
【0035】
《プロセッサ(制御ユニット)の詳細》
図6は、
図2におけるプロセッサの処理内容の一例を示すフロー図である。監視装置10は、ドア37の開変化を検知した際に、即座に、鮮明な撮影を行うことが望ましい。しかし、撮影を開始した直後の期間では、映像の明るさが不安定であるため、実質的にこの期間での監視が困難となる恐れがある。すなわち、
図3に示した自動調整回路32の調整動作に時間を要し、監視期間にデッドタイムが生じる恐れある。そこで、以下のようなフローを用いることが有益となる。
【0036】
図6において、プロセッサ15は、監視を継続する限り、ステップS102~ステップS106の処理を繰り返し実行する(ステップS101)。ステップS102において、プロセッサ15は、開閉センサ18を用いてドア状態の変化を検知する。ステップS102で閉から開への開変化が検知された場合、プロセッサ15は、メモリ16からパラメータデータPMDを読み出し、撮影ユニット17へ送信する(ステップS103)。この際に、メモリ16にパラメータデータPMDが格納されていない場合、すなわち、監視装置10が初めて起動されるような場合には、予め定めた所定のデータを撮影ユニット17へ送信する。
【0037】
続いて、プロセッサ15は、撮影開始命令等を用いて撮影ユニット17に撮影を開始させ、ステップS101へ戻る(ステップS104)。この撮影開始命令に応じて、撮影ユニット17の自動調整回路32は、プロセッサ15からのパラメータデータPMDを初期値として、明るさ調整パラメータPMを自動調整しながら撮影範囲を撮影する。一方、ステップS102で開から閉への閉変化が検知された場合、プロセッサ15は、閉変化を検知した時点または当該時点よりも所定時間だけ前の時点で撮影ユニット17が用いていた明るさ調整パラメータPMを、パラメータデータPMDとしてメモリ16に上書きで記録する(ステップS105)。
【0038】
ステップS105において、具体的には、プロセッサ15は、例えば、撮影ユニット17から定期的にパラメータデータPMDを取得し、その中から所定の時点のパラメータデータPMDを選択する。どの時点のパラメータデータPMDを選択するかに関しては、前述したドア37の開閉を区別する角度閾値の大きさ等に基づいて適宜定められる。例えば、閉変化を検知した時点の映像は角度閾値が小さくなるほど暗くなり得るため、プロセッサ15は、その分だけ前の時点を選択すればよい。
【0039】
ステップS105の後、プロセッサ15は、撮影停止命令等を用いて撮影ユニット17に撮影を終了させ、ステップS101へ戻る(ステップS104)。この撮影停止命令に応じて、撮影ユニット17は、例えば、低消費電力モードであるスタンバイモード等に遷移する。なお、ステップS103とステップS104の順番は、入れ替え可能であり、ステップS105とステップS106の順番も、入れ替え可能である。また、ステップS103は、ステップS102の前で実行されてもよい。
【0040】
以上のように、
図6のフローでは、プロセッサ15は、閉変化を検知した場合に、閉変化を検知した時点等で撮影ユニット17が用いていた明るさ調整パラメータPMをパラメータデータPMDとして記録する(ステップS105)。そして、プロセッサ15は、当該記録したパラメータデータPMDを撮影ユニット17による次回の撮影に反映させる(ステップS103)。
【0041】
このようなフローにより、自動調整回路32の初期値は、ある程度最適値に近い値に定められる。このため、監視装置10は、開変化を検知した際に、即座に、鮮明な撮影を行うことが可能になる。特に、ホテル等では、空間の照度がある程度一定に保たれるため、明るさ調整パラメータPMの最適値は、今回と次回とでほぼ同等である場合が多い。このため、今回用いた明るさ調整パラメータPMを次回に反映させることがより有益となる。
【0042】
《実施の形態1の主要な効果》
以上、実施の形態1の方式を用いることで、代表的には、秘匿性を担保しつつ、必要な監視を行うことが可能になる。すなわち、利用者と従業員とのコミュニケーションを適切に記録することができるとともに、利用者のプライバシーを守ることができる。さらに、消費電力を削減することや、監視期間のデッドタイムを削減すること等が可能になる。なお、ここでは、開閉体として、スイング型のドア37を例としたが、スイング型の窓や、スライド型のドアや窓に対しても同様に適用可能である。スライド型を用いる場合であっても、フレームに対する監視装置の設置箇所等によって前述した角度閾値を容易に調整できる。
【0043】
(実施の形態2)
《監視装置の構成》
図7は、本発明の実施の形態2による監視装置の構成例を示すブロック図である。
図7の監視装置55は、
図2の構成例に加えて、2個の照度センサ20a,20bを備える。照度センサ20aは、開閉体37で分離される室内の照度を計測し、照度センサ20bは、開閉体37で分離される室外の照度を計測する。監視装置55の設置箇所については、実施の形態1の場合と同様である。
【0044】
ただし、例えば、照度センサ20a,20bの設置箇所に関しては、フレーム38の内部に限らない。例えば、照度センサ20aは、フレーム38の外部の室内側の位置等に設置されてもよく、照度センサ20bも、フレーム38の外部の室外側の位置等に設置されてもよい。この場合、照度センサ20a,20bの計測結果は、例えば、無線通信を用いるか、または、フレーム38に配線用の開口部を設けること等でプロセッサ15へ送信される。また、フレーム38の室内側の位置と室外側の位置にそれぞれ照度計測用の開口部を設けること等で、照度センサ20a,20bをフレーム38の内部に埋め込むことも可能である。
【0045】
《プロセッサ(制御ユニット)の詳細》
図8は、
図7におけるプロセッサの処理内容の一例を示すフロー図である。
図8に示すフローでは、
図6のフローと比較して、
図6のステップS103が
図8のステップS201,S202に置き換えられ、
図6のステップS105が削減されている。
図6の場合と同様に、ステップS102でドア37の開変化が検知された場合、プロセッサ(制御ユニット)15は、2個の照度センサ20a,20bを用いて室内と室外の照度をそれぞれ計測する(ステップS201)。
【0046】
続いて、プロセッサ15は、ステップS201での照度の計測結果に基づいてパラメータデータPMDを定め、当該パラメータデータPMDを撮影ユニット17へ送信する(ステップS202)。具体例として、例えば、メモリ16には、室内および室外の各照度と、パラメータデータPMDとの対応関係を表すテーブルや演算式等が予め格納される。プロセッサ15は、このメモリ16内の対応関係を参照することでパラメータデータPMDを定める。
【0047】
ステップS202の後、プロセッサ15は、
図6の場合と同様に、撮影ユニット17に撮影を開始させ、ステップS101に戻る(ステップS104)。これに応じて、撮影ユニット17の自動調整回路32は、例えば、プロセッサ15からのパラメータデータPMDを初期値として明るさ調整パラメータPMを自動調整する。一方、ステップS102でドア37の閉変化が検知された場合、プロセッサ15は、撮影ユニット17に撮影を終了させたのち、ステップS101へ戻る(ステップS106)。
【0048】
以上のように、
図8のフローでは、プロセッサ15は、2個の照度センサ20a,20bの計測結果に基づいてパラメータデータPMDを定め、当該定めたパラメータデータPMDを撮影ユニット17による撮影に反映させている(ステップS202)。ここで、ドア37を開いた状態での明るさ調整パラメータPMの最適値は、室内外の照度との関係である程度固定的に定めることができる。したがって、
図8のフローを用いることで、
図6のフローと比較して、空間の照度がある程度頻繁に変わる場合であっても、自動調整回路32の初期値を最適値に近い値に定めることができる。
【0049】
なお、
図6の場合と同様に、ステップS201,S202とステップS104の順番は、入れ替え可能である。また、ステップS201,S202は、ステップS102の前で実行されてもよい。この場合、照度センサ20a,20bを常時動作させることになるが、開変化を検知する前に明るさ調整パラメータPMを最適化する準備を行うことができるため、監視期間のデッドタイムをより削減すること等が可能になる。一方、ステップS201,S202をステップS102の後で実行すると、開変化を検知するまでの期間で2個の照度センサ20a,20b等の動作を停止させることができるため、消費電力を低減できる。
【0050】
《実施の形態2の主要な効果》
以上、実施の形態2の方式を用いることで、実施の形態1で述べた各種効果と同様の効果が得られる。さらに、空間の照度がある程度頻繁に変わる場合であっても、監視期間のデッドタイムを削減することが可能になる。
【0051】
なお、他の実施の形態では、動体検知センサをさらに追加することで、ドアの周囲で動きがあったとき(ドアに人が近づいたとき)に、2個の照度センサ20a,20bの出力に基づいて明るさを設定して撮影を開始してもよい。この場合、ドアが開けられたときから有効な画像を記録することが可能になる。
【0052】
また、その他の実施の形態では、撮影ユニットがレンズ25を含まない構造であってもよい。この場合、遮蔽機構は開口部39aを遮蔽することになる。
【0053】
さらに、その他の実施の形態では、監視装置10にシャッタまたはバリアなどを取り付けてもよい。この場合、監視装置10のシャッタまたはバリアによってレンズ25(開口部39a)が遮蔽されるため、ドア37に遮蔽機構を取り付けなくてもよい。
【0054】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【符号の説明】
【0055】
1…監視システム、10…監視装置、15…プロセッサ、16…メモリ、17…撮影ユニット、18…開閉センサ、19…無線通信ユニット、20a,20b…照度センサ、25…レンズ、26…絞り、27…フィルタ、28…イメージセンサ、29…オートゲイン制御回路、30…アナログディジタル変換器、31…画像処理回路、32…自動調整回路、33…撮影範囲、35…床、36…壁、37…ドア、38…フレーム、38a,38b…フレーム部分、38c…段差部分、39a,39b…開口部、40…遮蔽部材、45,46…配線基板、47…支持部材、48…コネクタ、50…検知用部材、55…監視装置、PM…明るさ調整パラメータ、PMD…パラメータデータ、VD…映像データ