(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-23
(45)【発行日】2024-10-31
(54)【発明の名称】電子装置
(51)【国際特許分類】
H05K 7/20 20060101AFI20241024BHJP
H01L 23/36 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
H05K7/20 D
H01L23/36 Z
(21)【出願番号】P 2020207135
(22)【出願日】2020-12-14
【審査請求日】2023-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】須澤 一貴
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-294705(JP,A)
【文献】特開2012-043975(JP,A)
【文献】実開昭60-121696(JP,U)
【文献】実開平02-082088(JP,U)
【文献】特開昭58-170099(JP,A)
【文献】国際公開第2020/030939(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
H01L 23/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線パターンが形成された配線基板と、本体部及び前記本体部から延びるリード部を有する電子部品とを備え、前記電子部品が前記リード部を前記配線パターンに接続させて前記配線基板に実装される電子装置であって、
前記電子部品の前記本体部に接触するように配置されるヒートシンクと、
前記ヒートシンクにおける前記電子部品と接触する面の反対側の面に固定され、前記電子部品の温度を検出する温度センサと、
前記電子部品を挟んで前記ヒートシンクに固定されるカバーと、を備え、
前記ヒートシンクは、前記温度センサが固定される面に形成された放熱フィンを有し、
前記放熱フィンは、前記温度センサの側面に近接対向するように形成され、
前記カバーは、前記ヒートシンクと対向する面に前記電子部品を収容する収容凹部を有する、
電子装置。
【請求項2】
前記温度センサは、前記ヒートシンクにネジで固定されており、
前記放熱フィンは、前記温度センサにおける前記ネジの締結方向側の側面に近接対向するように形成されている請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記ヒートシンクは、複数の前記放熱フィンを有し、
前記温度センサは、前記複数の放熱フィンのうちの一組の放熱フィンの間の位置に固定され、
前記一組の放熱フィンが、前記温度センサの両側の側面に近接対向するように形成されている請求項1又は2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記配線基板及び前記電子部品を収容するケースを備え、
前記放熱フィンが前記ケース側に突出するように延びており、当該放熱フィンの突出端部が前記ケースに形成された凹部に挿入される請求項1~3のいずれかに記載の電子装置。
【請求項5】
前記温度センサは、前記配線基板側に延びるセンサ端子を有し、当該センサ端子が前記配線基板の配線パターンに接続される請求項1~4のいずれかに記載の電子装置。
【請求項6】
前記カバーは、複数の前記収容凹部を有し、
前記複数の収容凹部には、収容される電子部品の種類に応じて大きさが異なる突起がそれぞれ設けられ、
前記突起が、前記収容凹部に収容された電子部品の本体部に形成された挿入孔に挿入される請求項1~5のいずれかに記載の電子装置。
【請求項7】
前記カバーは、前記収容凹部に収容された前記電子部品の前記リード部を挿通させて前記配線基板側に突出させるリード挿通部を有する請求項1~6のいずれかに記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ヒートシンクに固定された電子素子と、電子素子の温度を検出するための温度センサを備えた電子装置(加熱調理機)が開示されている。この電子装置では、電子素子の熱を効率よく放熱させるため、ヒートシンクの電子素子取付領域の近傍に複数の放熱フィンを形成している。この電子素子取付領域が設けられたヒートシンクの同一面には、更に、温度センサ取付領域が設けられている。温度センサ取付領域は、ヒートシンクの放熱効果を損なうことのないように、電子素子取付領域から最も近い放熱フィンとその隣の放熱フィンの間に設けられている。これにより、電子素子取付領域の近傍に放熱フィンと温度センサ取付領域とが配置され、ヒートシンクの放熱効果と温度センサの検出精度の両立を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載された電子装置では、ヒートシンクの同一面に電子素子と温度センサが固定される。従って、ヒートシンクの一面に電子素子と温度センサの両方の取付領域を確保する必要があるため、ヒートシンクが大型化するという課題がある。
【0005】
また、上記特許文献1に記載された電子装置では、温度センサにて検出された温度を出力するために、温度センサが図示しない制御手段に接続されている。すなわち、温度センサは、ヒートシンクに固定された状態で、制御手段を設けた他の部品に接続されている。従って、温度センサをヒートシンクに固定する段階で温度センサの位置決めが正確に行われないと、温度センサと制御手段との接続に不具合を生じるという課題がある。
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、温度センサの検出精度を向上させると共にヒートシンクの小型化を図ることができ、且つ、温度センサの位置決めの精度を向上させることができる電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る電子装置は、配線パターンが形成された配線基板と、本体部及び前記本体部から延びるリード部を有する電子部品とを備え、前記電子部品が前記リード部を前記配線パターンに接続させて前記配線基板に実装される電子装置であって、前記電子部品の前記本体部に接触するように配置されるヒートシンクと、前記ヒートシンクにおける前記電子部品と接触する面の反対側の面に固定され、前記電子部品の温度を検出する温度センサと、前記電子部品を挟んで前記ヒートシンクに固定されるカバーと、を備え、前記ヒートシンクは、前記温度センサが固定される面に形成された放熱フィンを有し、前記放熱フィンは、前記温度センサの側面に近接対向するように形成され、前記カバーは、前記ヒートシンクと対向する面に前記電子部品を収容する収容凹部を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る電子装置によれば、電子部品の本体部に接触するようにヒートシンクが配置されており、電子部品の熱をヒートシンクに伝達して放熱することができる。ヒートシンクには、電子部品と接触する面の反対側の面に温度センサが固定される。従って、電子部品の近傍に温度センサを配置することができるため、温度センサの検出精度が向上する。また、ヒートシンクの同一面に電子装置と温度センサのための配置スペースを要しないため、ヒートシンクを小型化させることができる。ヒートシンクの放熱フィンは、温度センサの側面に近接対向するように配置されており、放熱フィンを基準として、温度センサの傾きを規定の位置に合わせることができる。従って、温度センサの位置決めの精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る電子装置の分解斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る電子部品が固定された第1ヒートシンクモジュールの斜視図である。
【
図3】本実施形態に係る第1ヒートシンクモジュールを斜め後方から見た分解斜視図である。
【
図4】本実施形態に係るカバーを後方から見た背面図である。
【
図5】本実施形態に係る第1ヒートシンクモジュールを後方から見た背面図である。
【
図6】本実施形態に係る第2ヒートシンクモジュールを斜め後方から見た分解斜視図である。
【
図7】本実施形態に係るヒートシンクの変形例を示す図である。
【
図8】本実施形態に係る放熱フィンの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について
図1~
図8を参照して説明する。本実施形態では、説明の便宜上、各図中に適宜示す上下、左右、前後の矢印で示す方向を、それぞれ上下方向、左右方向、前後方向と定義して説明する。また、各図中においては、図面を見易くするため、一部の符号を省略している場合がある。
【0011】
図1に示すように、電子装置1は、ケース2と、ケース2の内部に収容される回路基板3と、ケース2に装着されるコネクタ4とを備える。回路基板3は、絶縁基板の表面や内部に導体の配線パターンが施された配線基板3Aと、配線基板3Aに実装された複数の電子部品とを備える。配線基板3Aには、複数の電子部品の一例として、CPU等の複数の回路素子を含む図示しない制御部と、半導体素子20,30,70を備える二つのヒートシンクモジュール3B,3Cと、一つのコンデンサ3Dとが実装されている。制御部と、各半導体素子20,30,70は、配線基板3Aに形成された配線パターンによって電気的に接続されている。これらの半導体素子20,30,70は、制御部の制御により、整流回路の整流素子や、インバータ回路のスイッチング素子等を構成可能である。
【0012】
ケース2は、上方に開口した箱状部材であり、一例として、アルミニウムや鉄などの金属で形成されている。ケース2は、前壁部2A、後壁部2B、左壁部2C、右壁部2D及び底壁部2Eを備えている。ケース2の前壁部2Aには、一つのコネクタ装着部5が形成されている。コネクタ装着部5は、前壁部2Aを前後方向に貫通し、上方に開口した溝部である。コネクタ装着部5には、コネクタ4が装着される。コネクタ4は、ハウジング4Aとハウジング4Aに設けられる接続端子6を有している。接続端子6の一端は回路基板3の貫通孔7に挿入されて電気的に接続される。当該コネクタ4には、図示しない電源等と電気的に繋がるケーブルコネクタが接続される。ケース2の底壁部2Eには、ヒートシンクモジュール3B,3Cと、コンデンサ3Dが載置される。底壁部2Eの上方側には、ヒートシンクモジュール3B,3Cと、コンデンサ3Dに支持された配線基板3Aが離間して配置されている。
【0013】
電子装置1では、ケース2に回路基板3を収容した後、ケース2の内部に絶縁性を有する樹脂が充填される。この樹脂は、ケース2内部で発生する熱を放熱させる観点では、熱伝導性を有することが好ましい。樹脂は、配線基板3Aとケース2の内面との間に充填されて、配線基板3Aとケース2との絶縁性を確保している。
【0014】
上述したように、回路基板3は、配線基板3Aと、配線基板3Aに実装された二つのヒートシンクモジュール3B,3Cを備える。配線基板3Aは、前後方向及び左右方向に所定の幅を有し、上下方向を板厚方向とする矩形板状のプリント配線板である。二つのヒートシンクモジュール3B,3Cは、第1ヒートシンクモジュール3Bと、第2ヒートシンクモジュール3Bで構成されており、それぞれが配線基板3Aの下面に実装されている。
【0015】
図2及び
図3に示されるように、第1ヒートシンクモジュール3Bは、ヒートシンク10と、二つの半導体素子20,30と、カバー40と、温度センサ50と、を備えている。ヒートシンク10は、アルミニウムや鉄などの金属で形成された略L型のブロック体である。具体的に、ヒートシンク10は、ケース2の底壁部2Eから上方側に立設された縦壁部12と、縦壁部12の下部から前方側へ伸びる横壁部14とを有している。縦壁部12は、左右方向及び上下方向に所定の幅を有し、前後方向を板厚方向とする矩形板状に形成されている。縦壁部12の前面(板厚方向一方側の面)12Aには、平面部が形成されており、当該平面部に後述する二つの半導体素子20,30が固定されている。一方、縦壁部12の後面(板厚方向他方側の面)12Bには、左右一対のボス部16と、複数の放熱フィン18が一体に形成されている。横壁部14は、略直方体状のブロック体をなしており、縦壁部12の前面12Aの下部から前方側へ突出している。この横壁部14の上面には、二つの半導体素子20,30を収容する後述するカバー40が載置される。
【0016】
縦壁部12の前面12Aには、二つの半導体素子20,30と、二つの半導体素子20,30をヒートシンク10へ固定するためのカバー40が配置されている。二つの半導体素子20,30は、それぞれがMOSFETや、サイリスタ、ダイオード等で構成されており、左右方向に並んで配置されている。二つの半導体素子20,30は、ブロック状の本体部22,32と、本体部22,32から延びるリード部24,34とをそれぞれ有している。本体部22,32は、内部に図示しない半導体チップが封入されており、半導体チップの周囲をブロック状の樹脂でモールドすることにより構成されている。半導体チップは、リード部24,34と電気的に接続されている。
【0017】
本体部22,32の外形は、概ね前後方向に扁平な長方形状に形成されている。本体部22,32において、カバー40と対向する側面(
図3では前側面)は、上方側の部分が前方に突出した突出部を有して段差形状になっている。本体部22,32の下方側の部分には、前後方向に貫通する挿入孔26,36が形成されている。これらの挿入孔26,36は、半導体素子20,30の種類に応じて異なる大きさになっている。本実施形態では、右側に配置された半導体素子20の種類と左側に配置された半導体素子30の種類が異なるため、挿入孔26と挿入孔36の大きさが異なる。具体的に、右側の挿入孔26の内径が、左側の挿入孔36の内径よりも大きく設定されている。
【0018】
本体部22,32において、ヒートシンク10の前面12Aと対向する側面(
図3では後側面)は、平らに形成されており、ヒートシンク10の前面に接触している。本実施形態の半導体素子20,30は、半導体チップに接続された金属製のフィンが本体部22,32の後側面に露出している。従って、当該金属製のフィンが露出された本体部22,32の後側面とヒートシンクとの間にシート状の絶縁部材60が配置されている。これにより、半導体素子20,30とヒートシンク10との絶縁性を確保している。但し、フィンを含む本体部の全体が樹脂でモールドされている場合(所謂フルモールドタイプの半導体素子)は、半導体素子の本体部の側面が直接ヒートシンクに接触しても絶縁性を確保できるため、本実施形態のような絶縁部材60は必須ではない。
【0019】
本体部22,32において、リード部24,34が外部に突出する側面(
図3では上側面)は、配線基板3Aの下面と対向している。それぞれのリード部24,34は、本体部22,32の側面から上方側に延在し、配線基板3Aの下面に接続される。半導体素子20,30は、配線基板3Aの下面に形成された配線パターンにリード部24,34の先端部を半田付けすることにより、配線基板3Aに実装される。すなわち、本実施形態の半導体素子20,30は、配線基板3A及びケース2の底壁部2Eに対して直立した縦置きの姿勢で配置されている。半導体素子20,30をこのような縦置きの姿勢で配線基板3Aに実装すると、半導体素子が実装面に平行な横置きの姿勢で配置される構成と比較して、配線基板3Aの実装面方向(水平方向)の搭載スペースを縮小することができるという点で有利である。なお、半導体素子20,30のリード部24,34の数、長さ、外形寸法は必要に応じて適宜設定されるものである。本実施形態では、右側に配置された半導体素子20は、三つのリード部24を有している。また、左側に配置された半導体素子30は、二つのリード部34を有している。
【0020】
図3及び
図4に示すように、カバー40は、前後方向に扁平な長方形のブロック体で構成されている。このカバー40において、二つの半導体素子20,30と対向する側面(
図3では後側面)には、半導体素子20,30を収容する二つの収容凹部42(42R,42L)が形成されている。それぞれの収容凹部42は、後方側に開放された矩形の凹部で構成されており、半導体素子20,30の本体部22,32が収容される。カバー40において、配線基板3Aと対向する側面(
図3では上面)には、二つの収容凹部42の内外を連通させるリード挿通部44がそれぞれ三つずつ形成されている。各リード挿通部44は、カバー40の上面を上下方向に貫通して、後方側(半導体素子20,30側)にも開口した溝部で構成されている。各収容凹部42の内側に半導体素子20,30の本体部22,32を収容すると、本体部22,32から伸びるリード部24,34が、リード挿通部44に挿通されてカバー40の外部に突出する。このようにして、各リード部24,34が、カバー40から配線基板3A側に突出するように構成されている。また、各収容凹部42の内側には、後方側に突出する突起46,48が一つずつ設けられている。各突起46,48は、それぞれが前後方向を軸方向とする円柱状に形成されおり、半導体素子20,30の本体部22,32に形成された挿入孔26,36に挿通する。本実施形態では、各突起46,48の大きさが、収容凹部42に収容される半導体素子20,30の種類に応じて異なる大きさとなっている。具体的に、右側の収容凹部42Rに形成された突起46の外径は、左側の収容凹部42Lに形成された突起48の外径よりも大きく設定されている。
【0021】
上述したように、左右の半導体素子20,30において、右側の収容凹部42Rに収容される半導体素子20の挿入孔26の内径は、左側の収容凹部42Lに収容される半導体素子30の挿入孔36の内径よりも大きく設定されている。各収容凹部42に設けられる突起46,48は、二つの半導体素子20,30の挿入孔26,36の大小関係に対応して大きさが設定されている。具体的に、右側の収容凹部42Rの突起46の外径は、左側の収容凹部42Lに収容される半導体素子30の挿入孔36の内径よりも大きくなっている。従って、例えば、左側の半導体素子30が誤って右側の収容凹部42Rに収容された場合に、半導体素子30の挿入孔36に突起46が挿通されないため、組立を完了させることができない。これにより、第1ヒートシンクモジュール3Bの組立を行う作業者に、半導体素子30の収容位置の誤りを気づかせることができる。
【0022】
上記構成のカバー40において、二つの収容凹部42の間には、カバー40の中央を前後方向に貫通する取付孔49が形成されている。取付孔49には、カバー40の前方側からネジ62が挿通される。ネジ62は、絶縁部材60を貫通してヒートシンク10の縦壁部12の前面12Aに形成された図示しないネジ穴に螺合する。これにより、カバー40は、二つの半導体素子20,30を挟んでヒートシンク10に固定される。この状態では、
図4に示すように、カバー40は、ヒートシンク10の横壁部14に載置されている。横壁部14は、矢印R1で示す締結方向にネジ62を回転させる際に、ネジ62と共に回転しようとするカバー40の回り止めとして機能する。なお、カバー40は、樹脂等の絶縁材料で形成されており、二つの半導体素子20,30とネジ62、及びヒートシンク10との絶縁性を確保している。
【0023】
図5を参照して、縦壁部12の後面12Bの構成について詳細に説明する。上述したように、縦壁部12の後面12Bには、左右一対のボス部16と、複数の放熱フィン18が一体に形成されている。一対のボス部16は、後面12Bの左右の両端部に配置されており、それぞれが上下方向を軸方向とする筒状に形成されている。ボス部16には、ケース2の底壁部2Eに締結される固定用のネジ(不図示)が上方側から挿通される。これにより、ヒートシンク10がケース2の底壁部2Eに固定される。
【0024】
一対のボス部16の内側には、複数の放熱フィン18が形成されている。本実施形態では、一対のボス部16の内側に、平行に並んだ四つの放熱フィン18が形成されている。四つの放熱フィン18は、左右方向の外側を構成する一対の外側フィン18Aと、一対の外側フィン18Aの内側に配置された一対の内側フィン18Bで構成されている。一対の外側フィン18Aは、それぞれ縦壁部12から後方側に延び、左右方向を板厚方向とする板状に形成されている。各外側フィン18Aは、縦壁部12の上端から下端に亘る長さを有している。一対の内側フィン18Bは、一対の外側フィン18Aの内側で、左右方向に間隔を空けて配置されている。一対の内側フィン18Bは、それぞれ縦壁部12から後方側に延び、左右方向を板厚方向とする板状に形成されている。各内側フィン18Bは、上述した外側フィン18Aよりも上下方向の長さが短く設定されており、縦壁部12の上端から縦壁部12の上下方向の中間部に亘って延在している。一対の内側フィン18Bの内側には、後述する温度センサ50が配置される。また、縦壁部12における一対の内側フィン18Bの下方側には、前後方向を軸方向とするネジ孔64が形成されている。このネジ孔64には、温度センサ50を縦壁部12の後面12Bに固定するためのネジ66が螺合される。
【0025】
図3及び
図5に示すように、温度センサ50は、長方形のブロック状に形成されたセンサ本体部52と、センサ本体部52から延びる二つのセンサ端子54とを有している。温度センサ50は、例えば、公知のサーミスタで構成されている。この温度センサ50は、一対の内側フィン18Bの間に配置され、ヒートシンク10の縦壁部12の後面12Bにネジ66で固定されている。すなわち、ヒートシンク10において半導体素子20,30と接触する面(前面12A)の反対側の面(後面12B)に温度センサ50が固定されている。
【0026】
温度センサ50のセンサ本体部52において、二つのセンサ端子54が外部に突出する側面(
図5では上側面)は、配線基板3Aの下面と対向している。二つのセンサ端子54は、センサ本体部52の側面から上方側に直線状に延在し、配線基板3Aの下面に接続される。温度センサ50は、配線基板3Aの下面に形成された配線パターンにセンサ端子54の先端部を半田付けすることにより、配線基板3Aに実装される。
【0027】
本実施形態において、一対(一組)の内側フィン18Bの左右方向の間隔は、センサ本体部52の左右方向の幅寸法と略同一に設定されている。従って、一対の内側フィン18Bの間に温度センサ50を挿入すると、センサ本体部52の右側面52Rと左側面52Lが、内側フィン18Bの側面に近接対向して配置される。なお、温度センサ50の側面(右側面52R,左側面52L)と放熱フィン18(内側フィン18B)が近接対向している状態には、温度センサ50の側面が放熱フィン18に当接している状態と、温度センサ50の側面と放熱フィン18が、近接した位置関係において離間している状態とを含むものとする。
【0028】
温度センサ50は、センサ本体部52から下方側に延びる固定端子56を有している。この固定端子56の先端側には、ヒートシンク10のネジ孔64に対応する貫通孔58が形成されている。温度センサ50は、ネジ66を固定端子56の貫通孔58に後方側から挿通し、ネジ66を縦壁部12のネジ孔64に螺合させることにより固定される。この際、センサ本体部52の右側面52R及び左側面52Lに近接対向する位置に内側フィン18Bが配置されており、内側フィン18Bを基準にしてセンサ本体部52の傾きを調整可能となっている。すなわち、内側フィン18Bは、温度センサ50の位置決めを行う治具として機能する。また、
図5に示すように、右側の内側フィン18Bは、温度センサ50におけるネジ66の締結方向R2側の側面(右側面52R)に近接対向するように形成されている。従って、右側の内側フィン18Bは、ネジ66を締結方向R2に回転させる際に、ネジ66と共に回転しようとする温度センサ50の回り止めとして機能する。
【0029】
図6を参照して第2ヒートシンクモジュール3Bについて説明する。第2ヒートシンクモジュール3Bは、ヒートシンク10と、半導体素子70と、温度センサ50と、を備えている。ヒートシンク10及び温度センサ50は、上述した第1ヒートシンクモジュール3Bと同一であるため詳細な説明は割愛する。この第2ヒートシンクモジュール3Bでは、半導体素子70がヒートシンク10に直接固定される点において第1ヒートシンクモジュール3Bと異なる。半導体素子70は、複数の個別半導体(ディスクリート)を一つのブロック状にパッケージしたモジュールである。本実施形態の半導体素子70は、ブリッジ接続された四つのダイオードを備えるブリッジダイオードのモジュールとされている。なお、半導体素子70は、回路方式に応じて個別素子の種類や個数を適宜変更してもよい。
【0030】
半導体素子70は、ブロック状の本体部72と、本体部72から延びる四つのリード部74とを有している。本体部72は、概ね前後方向に扁平な長方形状に形成されている。本体部72は、内部に個別素子を構成する半導体チップが封入されており、半導体チップの周囲をブロック状の樹脂でフルモールドすることにより構成されている。半導体チップは、四つのリード部74と電気的に接続されている。本体部72は、半導体チップの周囲の樹脂で絶縁性を確保しているため、ヒートシンク10に直接固定されている。具体的に、本体部72の中央には前後方向に貫通する取付孔76が形成されており、ネジ62を取付孔76に前方側から挿通して縦壁部12の前面12Aに形成された図示しないネジ穴に螺合する。これにより、半導体素子70がヒートシンク10の前面12Aに直接固定される。
【0031】
また、本体部72においてリード部74が突出する側面(
図6では上側面)は、配線基板3Aの下面と対向している。すなわち、半導体素子70も、第1ヒートシンクモジュール3Bの半導体素子20,30と同様に縦置きの姿勢で配置されている。リード部74は、本体部72の上面から突出して配線基板3A側に延び、配線基板3Aの下面に形成された配線パターンに接続されている。
【0032】
以上説明したように、本実施形態のヒートシンクモジュール3B,3Cでは、半導体素子20,30,70の本体部22,32,72に接触するようにヒートシンク10が配置されており、半導体素子20,30,70の熱をヒートシンク10に伝達して放熱することができる。ヒートシンク10には、半導体素子20,30,70と接触する前面12Aの反対側の後面12Bに温度センサ50が固定される。従って、半導体素子20,30,70の近傍に温度センサ50を配置することができるため、温度センサ50の検出精度が向上する。また、ヒートシンク10の同一面に電子装置と温度センサのための配置スペースを要しないため、ヒートシンク10を小型化させることができる。ヒートシンク10の放熱フィン18(内側フィン18B)は、温度センサ50の右側面52R及び左側面52Lに近接対向するように形成されており、内側フィン18Bを基準として、温度センサ50の傾きを規定の位置に合わせることができる。これにより、温度センサ50の位置決めの精度が向上する。
【0033】
また、本実施形態では、一組の内側フィン18Bのうち、右側に配置された内側フィン18Bは、温度センサ50におけるネジ66の締結方向R2側の右側面52Rに近接対向するように形成されている。従って、ネジ66を締結方向R2に回転させる際に、右側の内側フィン18Bが温度センサ50の回り止めとして機能するため組立時の作業性が向上する。
【0034】
また、本実施形態では、一組の内側フィン18Bが温度センサ50の両側の側面(52R,52L)に近接対向するように形成されているため、温度センサ50の右側面52R及び左側面52Lの何れか一方に放熱フィン18が近接対向する構成と比較して、温度センサ50の位置決めが安定する。
【0035】
また、本実施形態では、温度センサ50のセンサ端子54が半導体素子20,30,70と同様に配線基板3Aの配線パターンに接続される。つまり、半導体素子20,30,70と温度センサ50をヒートシンク10に固定した状態で、リード部24,34やセンサ端子54の先端が配線基板3Aへ半田付けされる。従って、配線基板3Aに対する半田付け工程をまとめて行うことができるため、組立時の工数を削減することができる。
【0036】
また、本実施形態の第1ヒートシンクモジュール3Bは、半導体素子20,30を挟んでヒートシンク10に固定されるカバー40を備えており、半導体素子20,30は、カバー40の収容凹部42に収容されている。従って、複数の半導体素子をヒートシンク10に固定する場合に、それぞれの半導体素子を個別にヒートシンクに固定することを要しないため、複数の部品の位置決めが相互に安定する。
【0037】
また、カバー40の各収容凹部42には、収容される半導体素子20,30の種類に応じて大きさが異なる突起がそれぞれ設けられている。このため、作業者が収容凹部42の内部に異なる種類の半導体素子20,30を収容した場合に、組立を完了させないことで誤りに気づかせることができる。
【0038】
また、カバー40は、半導体素子20,30のリード部24,34を挿通させて配線基板3A側に突出させるリード挿通部44を有している。このため、リード挿通部44によってリード部24,34を適切な位置及び向きに導くことで、半導体素子20,30の位置決めを行うことができる。
【0039】
以下、
図7を参照して、上記実施形態のヒートシンク10の変形例について説明する。なお、上記実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
図7に示すように、この変形例に係るヒートシンク80では、複数の放熱フィン82の一部がケース2側に突出するように延びており、当該放熱フィン82の突出端部(下端部821)がケース2に形成された凹部84に挿入される点に特徴がある。その他の構成は上記実施形態と同一である。
【0040】
ヒートシンク10は、上述の縦壁部12の後面12Bに四つの放熱フィン82を有している。四つの放熱フィン82は、左右両外側に配置された一対の外側フィン82Aと、一対の内側フィン82Bで構成されている。一対の内側フィン82Bは、上述した一対の内側フィン18Bの構成に相当するため、詳細な説明は割愛する。一対の外側フィン82Aは、上述の一対の外側フィン18Aの構成を基本的に踏襲しているが、各外側フィン82Aの下端部821が、縦壁部12の下端部よりもケース2の底壁部2E側に突出している。一方、底壁部2Eにおけるヒートシンク80の搭載位置には、一対の外側フィン82Aの下端部821に対応する位置に一対の凹部84が形成されている。
【0041】
上記変形例は、基本的には上記実施形態の構成を踏襲しているため、同様の作用及び効果を得ることができる。その上で、ヒートシンク80は、外側フィン82Aの下端部821が、底壁部2Eの凹部84に挿入される。これにより、外側フィン82Aの下端部821が底壁部2Eの凹部84に係合してヒートシンク80がケース2に位置決めされた状態で保持されるため、ヒートシンク80をケース2に固定する作業が容易になる。
【0042】
上記変形例では、放熱フィン82のケース2側に突出する下端部821が、ケース2の凹部84に挿入されることにより、ケース2に対するヒートシンク80の位置決めがなされているが、ヒートシンク80の位置決めは、このような構成に限らない。例えば、ケース2の底壁部2Eに凸状の壁部を形成し、その壁部にヒートシンク80を当接させて位置決めを行う、或いは、当該壁部を複数形成し、それらの壁部でヒートシンク80を挟むようにして位置決めを行うようにしてもよい。
【0043】
以下、
図8を参照して上記実施形態の放熱フィン18の変形例を説明する。なお、上記実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。上記実施形態の放熱フィン18を構成する一対の内側フィン18Bは、温度センサ50の右側面52R及び左側面52Lと平行に配置され、近接対向するように形成されているが、本発明はこれに限らない。
図8(A)に示すように、一対の内側フィン90が、楔状に配置されてもよい。一対の内側フィン90は、上端から下端に向かうにつれて互いに近づくように斜めに配置されている。温度センサ50のセンサ本体部52は、上方側から一対の内側フィン90の間に挿入され、規定の位置に達すると、一対の内側フィン90の側面に当接(近接対向)して係止される。これにより、一対の内側フィン90を用いて温度センサ50を規定の位置に位置決めすることができる。
【0044】
上記実施形態では、センサ本体部52の右側面52R及び左側面52Lの全体が一対の内側フィン18Bと近接対向する構成とされたが、本発明はこれに限らない。
図8(B)に示すように、一対の内側フィン92の一部がセンサ本体部52の右側面52R及び左側面52Lと近接対向してもよい。一対の内側フィン92には、センサ本体部52の両側の側面と対向する側面に、温度センサ50側に突出した凸部94がそれぞれ形成されている。そして、一対の内側フィン92の各凸部94がセンサ本体部52の両側の側面に近接対向している。これにより、温度センサ50を一対の内側フィン92の間の規定の位置に位置決めすることができる。
【0045】
上記実施委形態では、各放熱フィン18が上下方向に延在し、互いに平行に配置される構成としたが本発明はこれに限らない。
図8(C)に示す四つの放熱フィン100のように、各放熱フィン100が左右方向に延在し、上下に隣り合う放熱フィン100同士が平行に配置される構成としてもよい。四つの放熱フィン100は、温度センサ50の右側側に一対の右側フィン100Rと、温度センサ50の左側に配置される一対の左側フィン100Lが配置されている。一対の右側フィン100Rは、上下方向に隣り合って配置され、延在方向の一端がセンサ本体部52の右側面52Rに近接対向するように形成されている。一方、一対の左側フィン100Lは、上下方向に隣り合って配置され、延在方向の一端がセンサ本体部52の左側面52Lに近接対向するように形成されている。このように、放熱フィン100の延在方向の一端が、温度センサ50の側面(右側面52R,左側面52L)と近接対向されるように形成し、温度センサの位置決めを行う構成でもよい。
【0046】
上記実施形態及び各変形例では、温度センサの両側の側面に放熱フィンを形成する構成としたが、温度センサの両側の側面のうち一方の側面のみに放熱フィンを近接対向させる構成でもよい。この場合であっても、近接対向するように形成された放熱フィンの位置を基準に温度センサの位置決めをおこなうことができる。なお、温度センサの一方側のみに放熱フィンを設ける場合には、温度センサをネジで固定することを考慮して、温度センサの右側面(ネジの締結方向側の側面)に近接対向するように放熱フィンを設けることが好ましい。
【0047】
上記実施形態及び各変形例では、温度センサがヒートシンクにネジで固定される構成としたが、本発明はこれに限らない。温度センサは、ヒートシンクに接着剤を用いて固定される構成としてもよい。
【0048】
上記実施形態及び各変形例では、基板に実装される電子部品の一例として半導体素子について説明したが、本発明は半導体素子に限定されるものではなく、リード部を用いて基板に実装される種々の電子部品に、本発明の構成を適用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 電子装置
2 ケース
3A 配線基
10 ヒートシンク板
12A 前面(電子部品と接触する面)
12B 後面(電子部品と接触する面の反対側の面)
18 放熱フィン(18A,18B)
20 半導体素子(電子部品)
22 本体部
24 リード部
26 挿入孔
30 半導体素子(電子部品)
32 本体部
34 リード部
36 挿入孔
42 収容凹部(42R,42L)
46 突起
48 突起
50 温度センサ
52R 右側面(温度センサの側面)
52L 左側面(温度センサの側面)
54 センサ端子
70 半導体素子(電子部品)
72 本体部
74 リード部
80 ヒートシンク
82 放熱フィン
821 下端部(突出端部)
90 内側フィン(放熱フィン)
92 内側フィン(放熱フィン)
100 放熱フィン
R2 締結方向