(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-23
(45)【発行日】2024-10-31
(54)【発明の名称】駐車支援装置及び駐車支援方法
(51)【国際特許分類】
B60W 30/06 20060101AFI20241024BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
B60W30/06
G08G1/16 C
(21)【出願番号】P 2020211471
(22)【出願日】2020-12-21
【審査請求日】2023-10-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石野田 真
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 光貴
【審査官】吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-298179(JP,A)
【文献】国際公開第2016/203643(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00 - 60/00
G08G 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置に接続された入出力インターフェイスと、
前記外部装置である検出装置により検出された車両の周囲状況と、前記外部装置である位置検出ユニットにより算出された前記車両の位置情報とを、前記入出力インターフェイスを介して取得する状況取得部と、
取得した前記周囲状況に基づいて前記車両の周囲に存在する障害物と、前記車両を駐車可能な駐車領域との位置を記録したマップを生成するマップ生成部と、
生成した前記マップと、取得した前記位置情報とに基づいて、前記マップに記録された駐車領域の中から前記車両を駐車させる駐車領域を決定する駐車領域決定部と、
前記マップにおいて、前記車両を前記駐車領域の方向と略同一の方向になるまで前記車両を旋回させるシミュレーションを行い、前記車両が前記マップに記録された障害物と接触する接触位置を検出する接触検出部と、
前記接触検出部により検出された前記接触位置に基づ
き、前記位置情報が示す位置から前記車両を移動させる移動方向を、少なくとも前進及び後退を含む移動方向のなかから決定する移動方向決定部と、
を備えることを特徴とする駐車支援装置。
【請求項2】
前記マップ生成部は、障害物の存在範囲を示す矩形の図形を前記マップに記録し、
前記接触検出部は、前記車両と、前記マップに記録された図形との接触を検出する、ことを特徴とする請求項1記載の駐車支援装置。
【請求項3】
前記移動方向決定部は、
前記接触検出部が、前記駐車領域に幅方向で隣接する駐車領域であって、前記位置情報が示す前記車両の位置に近い側の駐車領域に駐車した他車両の範囲を示す図形上で前記車両と接触すると判定した場合、前記車両の移動方向を後退と決定する、ことを特徴とする請求項2記載の駐車支援装置。
【請求項4】
前記移動方向決定部は、
前記接触検出部が、前記駐車領域に幅方向で隣接する駐車領域であって、前記位置情報が示す前記車両の位置に遠い側の駐車領域に駐車した他車両の範囲を示す図形上で前記車両と接触すると判定した場合であり、
前記図形上の位置が、前記駐車領域に隣接する前記図形の辺である場合、前記車両の移動方向を後退旋回と決定する、ことを特徴とする請求項2記載の駐車支援装置。
【請求項5】
前記移動方向決定部は、
前記接触検出部が、前記駐車領域に幅方向で隣接する駐車領域であって、前記位置情報が示す前記車両の位置に遠い側の駐車領域に駐車した他車両の範囲を示す図形上で前記車両と接触すると判定した場合であり、
前記図形上の位置が、前記車両が位置する道路に面する前記図形の辺である場合、前記車両の移動方向を前進と判定する、ことを特徴とする請求項2記載の駐車支援装置。
【請求項6】
検出装置により検出された車両の周囲状況と、位置検出ユニットにより算出された前記車両の位置情報とを取得する取得ステップと、
取得した前記周囲状況に基づいて前記車両の周囲に存在する障害物と、前記車両を駐車させる駐車領域との位置を記録したマップを生成する生成ステップと、
生成した前記マップと、取得した前記位置情報とに基づいて、前記マップに記録された駐車領域の中から前記車両を駐車させる駐車領域を決定する領域決定ステップと、
前記マップにおいて、前記車両を前記駐車領域の方向と略同一の方向になるまで前記車両を旋回させるシミュレーションを行い、前記車両が前記マップに記録された障害物と接触する接触位置を検出する検出ステップと、
前記検出ステップにより検出された前記接触位置に基づ
き、前記位置情報が示す位置から前記車両を移動させる移動方向を、少なくとも前進及び後退を含む移動方向のなかから決定する決定ステップと、
を有することを特徴とする駐車支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車支援装置及び駐車支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の駐車を支援する駐車支援装置が知られている。
例えば、特許文献1は、自車両の初期位置からの移動が前進から開始される第1駐車経路と、自車両の初期位置からの移動が後退から開始される第2駐車経路とを演算し、予め設定された評価関数に基づいて第1駐車経路と第2駐車経路とのいずれか一方を選択して駐車経路として設定する駐車支援装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、車両を前進させる経路と、後退させる経路との両方を演算する場合、経路計算の処理負荷が増大し、経路の演算に時間を要することになる。
【0005】
本発明は、駐車経路の生成に要する演算時間を短縮した駐車支援装置及び駐車支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明の駐車支援装置は、外部装置に接続された入出力インターフェイスと、前記外部装置である検出装置により検出された車両の周囲状況と、前記外部装置である位置検出ユニットにより算出された前記車両の位置情報とを、前記入出力インターフェイスを介して取得する状況取得部と、取得した前記周囲状況に基づいて前記車両の周囲に存在する障害物と、前記車両を駐車可能な駐車領域との位置を記録したマップを生成するマップ生成部と、生成した前記マップと、取得した前記位置情報とに基づいて、前記マップに記録された駐車領域の中から前記車両を駐車させる駐車領域を決定する駐車領域決定部と、前記マップにおいて、前記車両を前記駐車領域の方向と略同一の方向になるまで前記車両を旋回させるシミュレーションを行い、前記車両が前記マップに記録された障害物と接触する接触位置を検出する接触検出部と、前記接触検出部により検出された前記接触位置に基づき、前記位置情報が示す位置から前記車両を移動させる移動方向を、少なくとも前進及び後退を含む移動方向のなかから決定する移動方向決定部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、駐車経路の生成に要する演算時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】自車両の位置と、駐車位置とを示す図である。
【
図3】自車両が前方図形に接触した場合を示す図である。
【
図4】移動方向を後退と決定した場合に生成される駐車経を示す図である。
【
図5】自車両が後方図形に接触する場合を示す図である。
【
図6】移動方向を後退旋回と決定した場合に生成される駐車経路を示す図である。
【
図7】自車両が後方図形に接触する場合を示す図である。
【
図8】移動方向を前進と決定した場合に生成される駐車経路を示す図である。
【
図9】駐車支援装置の動作を示すフローチャートである。
【
図10】駐車支援装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0010】
図1は、車両に搭載された車載装置3の構成を示す図である。以下では、車載装置3を搭載した車両を自車両1Aと表記する。
車載装置3は、位置検出ユニット10、検出装置20、無線通信装置50、表示装置60、車両制御ユニット70、走行駆動装置80及び駐車支援装置100を備える。
【0011】
位置検出ユニット10は、自車両1Aの位置を検出する。位置検出ユニット10は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信器と、プロセッサとを備える(いずれも不図示)。GNSS受信器は、衛星から送信される信号を受信する。プロセッサは、GNSS受信器が受信した信号に基づいて自車両1Aの位置情報である緯度及び経度や、算出した位置情報の差分により自車両1Aの方位を演算する。位置検出ユニット10は、演算して求めた自車両1Aの位置情報及び方位情報を駐車支援装置100に出力する。
【0012】
検出装置20は、複数のセンサを備える。本実施形態の検出装置20は、複数のカメラを有する撮影部30と、ソナーユニット40とをセンサとして備える。
本実施形態では、検出装置20がカメラ及びソナーを備える場合について説明するが、検出装置20のセンサは、カメラ及びソナーに限定されない。例えば、電波や光等を利用して物体との間の距離を測定可能なレーダーやライダー(LiDAR:Laser Imaging Detection and Ranging)を検出装置20に搭載してもよい。検出装置20は、撮影部30の撮影画像やソナーユニット40のセンサデータを、周囲状況を示す周囲情報として駐車支援装置100に出力する。
【0013】
撮影部30は、自車両1Aの前方を撮影するフロントカメラ31、自車両1Aの後方を撮影するリアカメラ32、自車両1Aの左側方を撮影する左サイドカメラ33、及び自車両1Aの右側方を撮影する右サイドカメラ34を備える。これらのカメラは、それぞれCCD(Charge-Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)等のイメージセンサと、イメージセンサの受光状態から画像を生成するデータ処理回路とを備える。撮影部30は、4台のカメラにより自車両1Aを中心に360°の範囲を撮影可能となるように画角が調整されている。フロントカメラ31、リアカメラ32、左サイドカメラ33及び右サイドカメラ34は、各々の撮影範囲を所定のフレームレートで撮影して撮影画像を生成する。フロントカメラ31、リアカメラ32、左サイドカメラ33及び右サイドカメラ34は、生成した撮影画像を駐車支援装置100に出力する。
【0014】
ソナーユニット40は、自車両1Aの前方、後方、左側方及び右側方等の複数箇所に搭載され、超音波を用いて自車両1Aの周囲に存在する物体を検出する。具体的には、ソナーユニット40は、物体の位置や、物体までの距離を検出する。
【0015】
無線通信装置50は、駐車支援装置100の制御に従い、Wi-Fi(登録商標)等の無線通信規格に従って無線通信を行う。
【0016】
表示装置60は、タッチパネル65を備える。タッチパネル65は、表示パネル61及びタッチセンサ63を備える。表示パネル61には、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等が用いられる。タッチセンサ63は、抵抗膜方式や静電容量方式等の一般的に知られた方式のセンサが用いられる。タッチセンサ63は、表示パネル61に対して行われるタッチ操作を検出し、検出したタッチ操作の操作位置を示す位置信号を生成する。タッチセンサ63は、生成した位置信号を含む操作情報を駐車支援装置100に出力する。
【0017】
車両制御ユニット70は、例えば、ECU(Electronic Control Unit)等のコンピュータ装置であり、自車両1Aに搭載された走行駆動装置80を制御するユニットである。走行駆動装置80には、操舵装置81、駆動装置83、制動装置85及び変速装置87が含まれる。車両制御ユニット70は、イーサネット(登録商標)や、CAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)等の規格に対応した通信バス5を介して操舵装置81、駆動装置83、制動装置85及び変速装置87及び駐車支援装置100に接続される。車両制御ユニット70は、駐車支援装置100から入力される制御情報に従って操舵装置81、駆動装置83、制動装置85及び変速装置87を制御する。
【0018】
操舵装置81は、自車両1Aの操舵輪を操舵するアクチュエータを含む装置である。
駆動装置83は、自車両1Aの駆動輪の駆動力を調整するアクチュエータを含む装置である。このアクチュエータには、自車両1Aの動力源がエンジンである場合はスロットルアクチュエータが該当し、動力源がモータである場合には当該モータが該当する。
制動装置85は、駐車支援装置100からの情報に基づいて、自車両1Aに設けられたブレーキシステムを制御し、自車両1Aの車輪に付与する制動力を制御するアクチュエータを含む装置である。
変速装置87は、変速機及びアクチュエータを含む装置である。変速装置87は、アクチュエータを駆動させて変速機のシフト位置を制御し、変速機の変速比や、自車両1Aの前進及び後進を切り替える。
【0019】
駐車支援装置100は、入出力インターフェイス110、メモリ120及びプロセッサ130を備えるコンピュータ装置である。駐車支援装置100は、これらの装置の他に、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等のストレージ装置等を備える構成であってもよい。
【0020】
入出力インターフェイス110は、通信バス5に接続され、通信バス5に接続された外部装置と相互にデータ通信を行う。外部装置には、位置検出ユニット10、検出装置20、無線通信装置50、表示装置60及び車両制御ユニット70が含まれる。
【0021】
メモリ120は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等により構成される。また、メモリ120を、フラッシュメモリ等の不揮発性の半導体メモリにより構成してもよい。メモリ120は、プロセッサ130が実行するコンピュータプログラムや、プロセッサ130がコンピュータプログラムの実行時に処理されるデータや処理結果のデータを記憶する。また、メモリ120は、撮影部30が撮影した撮影画像や、ソナーユニット40から出力されたセンサデータを記憶する。さらに、メモリ120は、後述するマップ生成部133が生成するマップを記憶する。
プロセッサ130は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Microprocessor Unit)等により構成される。
【0022】
駐車支援装置100は、機能的構成として、位置取得部131、状況取得部132、マップ生成部133、駐車領域決定部134、接触検出部135、移動方向決定部136、経路生成部137、制御情報生成部138及び表示制御部139を備える。これらの機能的構成は、プロセッサ130が、コンピュータプログラムを実行して演算を行うことで実現される機能である。
【0023】
位置取得部131には、位置検出ユニット10により算出された自車両1Aの位置情報及び方位情報が入力される。位置取得部131は、位置検出ユニット10から入力された位置情報や方位情報を、周知のデッドレコニングの手法を用いて補正する。位置取得部131は、補正した位置情報及び方位情報をマップ生成部133及び経路生成部137に出力する。
【0024】
状況取得部132は、撮影部30に撮影を実行させ、撮影部30が生成した撮影画像を周囲情報として取得する。状況取得部132は、取得した撮影画像をメモリ120に一時的に記憶させる。
また、状況取得部132は、ソナーユニット40にセンシングを実行させ、ソナーユニット40の検出結果であるセンサデータを周囲情報として取得する。状況取得部132は、取得したセンサデータをメモリ120に一時的に記憶させる。
【0025】
マップ生成部133は、位置取得部131から入力される位置情報及び方位情報や、メモリ120に記憶させた撮影画像及びセンサデータに基づき、自車両1Aの周囲の状況を示すマップをメモリ120に生成する。マップには、自車両1Aの位置や、自車両1Aの周囲に存在する物体の位置や物体までの距離、駐車場の路面にペイントされた白線等の駐車枠の位置等が記録される。マップに記録される物体には、例えば、駐車領域に駐車した他車両や、駐車場の柱等の構造物等が含まれる。以下、これらの物体を対象物という。駐車枠は、所定の太さで路面にペイントされているため、白線の太さに相当する間隔が周期的な特徴として検出される。
【0026】
駐車領域決定部134は、マップ生成部133が生成したマップを参照して、自車両1Aを駐車させる駐車領域を決定する。例えば、駐車領域決定部134は、マップに記録された駐車枠の中から、対象物が検出されず、自車両1Aからの距離が予め設定された設定距離以下の駐車枠によって区画される領域を駐車領域として決定する。駐車領域決定部134は、決定した駐車領域内に自車両1Aを駐車させる位置や方位を設定し、自車両1Aを駐車させる駐車位置Pを決定する。
【0027】
接触検出部135は、マップ生成部133が生成したマップ上で自車両1Aを仮想的に移動させ、自車両1Aが障害物に接触するか否かを判定するシミュレーションを行う。より詳細には、接触検出部135は、マップ上において、自車両1Aの位置S0から予め設定された旋回角度で旋回させる。接触検出部135は、自車両1Aを駐車位置Pに駐車させたときの方位と同一又は略同一の方位になるまで自車両1Aを旋回させるシミュレーションを行う。換言すれば、接触検出部135は、駐車領域の長手方向と同一又は略同一の方向になるまで自車両1Aを旋回させるシミュレーションを行う。接触検出部135は、自車両1Aが旋回する間に、自車両1Aがマップに記録された障害物に接触するか否かを判定する。また、接触検出部135は、自車両1Aが障害物に接触すると判定した場合、自車両1Aが障害物に接触する接触位置を特定する。
自車両1Aの位置S0は、自車両1Aの現在の位置であり、位置取得部131が取得した位置情報が示すマップ上の位置である。また、本明細書において、接触とは、接触のみならず衝突を含むものとして説明する。
【0028】
移動方向決定部136は、接触検出部135の検出結果に基づいて自車両1Aの移動方向を決定する。移動方向決定部136が決定する自車両1Aの移動方向には、「前進」、「前進旋回」、「後退」、「後退旋回」の4つの方向がある。
接触検出部135の検出結果と、移動方向決定部136が決定する自車両1Aの移動方向との関係については、
図2~
図8を参照しながら説明する。以下では、自車両1Aを後退又は後退旋回させて駐車位置Pに駐車させる場合について説明するため、移動方向決定部136が決定する自車両1Aの移動方向は、「前進」、「後退」及び「後退旋回」の3つである。自車両1Aを前進又は前進旋回させながら駐車位置Pに駐車させる場合、移動方向決定部136は、自車両1Aの移動方向として、「前進」、「前進旋回」及び「後退」の3つの方向から1つを選択する。
前進は、自車両1Aを、自車両1Aの位置S0から一旦前進させてから、後退旋回させて、自車両1Aを駐車位置Pに駐車させる経路である。
前進旋回は、自車両1Aを、自車両1Aの位置S0から前進旋回させて、自車両1Aを駐車位置Pに駐車させる経路である。
後退は、自車両1Aを、自車両1Aの位置S0から一旦後退させてから、後退旋回させて、自車両1Aを駐車位置Pに駐車させる経路である。
後退旋回は、自車両1Aを、自車両1Aの位置S0から後退旋回させて、自車両1Aを駐車位置Pに駐車させる経路である。
【0029】
駐車経路生成部137は、移動方向決定部136が決定した移動方向に基づいて、自車両1Aを駐車位置Pに駐車させる駐車経路を生成する。駐車経路生成部137が生成する駐車経路の詳細については、
図2~
図8を参照しながら後述する。
【0030】
図2~
図8を参照しながら接触検出部135が検出する障害物との接触位置と、移動方向決定部136が決定する移動方向との関係について説明する。
図2は、自車両1Aの位置S0と、駐車位置Pとを示す図である。
駐車位置Pは、自車両1Aを駐車位置Pに駐車させたときの自車両1Aの予め設定された基準点の位置である。自車両1Aの予め設定した基準点は、例えば、車長方向及び車幅方向の中心位置であってもよいし、自車両1Aの重心位置であってもよいし、車幅方向の中心であって、前輪車軸又は後輪車軸の位置であってもよい。
【0031】
図2には、駐車位置Pの駐車形態が並列駐車の場合を示す。並列駐車とは、自車両1Aが駐車位置Pに駐車したときに、自車両1Aと、隣接する駐車領域に駐車した他車両とが自車両1Aの車幅方向に並ぶ駐車形態である。
【0032】
また、
図2には、駐車位置Pの左右両隣の駐車領域に他車両が駐車している場合を示す。
自車両1Aの位置S0に近い駐車領域、つまり、図面視で駐車位置Pの左隣の駐車領域に駐車した他車両を「他車両1B」と表記し、自車両1Aの位置S0から離れた駐車領域、つまり、図面視で駐車位置Pの右隣の駐車領域に駐車した他車両を「他車両1C」と表記する。
【0033】
マップ生成部133が生成したマップには、他車両1Bとして、
図2に破線で示す前方図形201が記録されている。同様に、マップには、他車両1Cとして、
図2に破線で示す後方図形203が記録されている。前方図形201は、他車両1Bの存在範囲を示す矩形の図形であり、後方図形203は、他車両1Cの存在範囲を示す矩形の図形である。マップ生成部133は、ソナーユニット40の検出結果であるセンサデータに基づき、前方図形201及び後方図形203を生成する。
前方図形201は、駐車位置Pに設定された駐車領域に、駐車領域の幅方向で隣接する駐車領域であって、自車両1Aの位置に近い側の駐車領域に駐車した他車両1Bの範囲を示す図形である。
後方図形203は、駐車位置Pに設定された駐車領域に、駐車領域の幅方向で隣接する駐車領域であって、自車両1Aの位置に遠い側の駐車領域に駐車した他車両1Cの範囲を示す図形である。
【0034】
他車両1B及び他車両1Cの存在範囲を示す図形として、他車両1B及び他車両1Cの詳細な形状に対応した図形を作成してもよいが、駐車支援装置100の処理負荷が増大し、処理に時間がかかる。このため、マップ生成部133は、センサデータのうち、1つの障害物を検出したデータであると判定できるセンサデータを一つにまとめて、障害物の範囲を示す前方図形201及び後方図形203を生成する。マップ生成部133は、センサデータが示す位置の間隔が予め設定された距離以下のデータを、1つの障害物のデータと判定する。
【0035】
マップ生成部133は、駐車位置Pを原点とし、直交する2軸であるX軸及びY軸を有する座標系をマップ上に設定する。X軸は、例えば、自車両1Aを駐車位置Pに駐車させたときに、自車両1Aの車長方向に平行な方向であり、Y軸は、自車両1Aの車幅方向に平行な方向である。
【0036】
マップ生成部133は、1つの障害物を検出したデータであると判定できるセンサデータのうち、X軸方向の最大値及び最小値と、Y軸方向の最大値及び最小値とをそれぞれ選択する。例えば、X軸方向の最大値として
図2に示す点X1が選択され、最小値として
図2に示す点X2が選択されたと仮定する。また、Y軸方向の最大値として
図2に示す点Y1が選択され、最小値として
図2に示す点Y2が選択されたと仮定する。
マップ生成部133は、選択した4点X1,X2,Y1,Y2を通り、X軸及びY軸に平行な辺によって構成される矩形の図形を、障害物の存在範囲を示す図形として生成する。
図2に示す例では、前方図形201は、X1を通りY軸に平行な第1辺201Aと、X2を通りY軸に平行な第2辺201Bと、Y1を通りX軸に平行な第3辺201Cと、Y2を通りX軸に平行な第4辺201Dとにより構成される図形である。
なお、後方図形203も、第1辺203A、第2辺203B、第3辺203C及び第4辺203Dを有する。
【0037】
また、
図2に示す例では、駐車位置Pは自車両1Aの左後方に位置している。左後方は、自車両1Aの運転席に着座し、自車両1Aの前方を向いた運転者を基準にした方向である。
接触検出部135は、マップ上で、自車両1Aを、自車両1Aの位置S0から予め設定された角度で左後方に旋回させ、自車両1Aを駐車位置Pに駐車させたときの方位と略同一の方位になるまで移動させるシミュレーションを行う。このとき、接触検出部135は、自車両1Aがマップに記録された障害物に接触するか否かを判定する。より具体的には、接触検出部135は、自車両1Aが前方図形201及び後方図形203に接触するか否かを判定する。また、接触検出部135は、自車両1Aが前方図形201又は後方図形203に接触すると判定した場合、自車両1Aと前方図形201又は後方図形203との接触位置を特定する。
【0038】
図3は、自車両1Aが前方図形201に接触した場合を示す図である。すなわち、自車両1Aの位置S0に近い側の駐車領域に駐車した他車両1Bの範囲を示す前方図形201に自車両1Aが接触すると判定した場合を示す。
図3に示す経路R1は、自車両1Aを、自車両1Aの位置S0から予め設定された角度で左後方に旋回させながら移動させた場合の経路を示す。接触検出部135は、
図3に示す経路R1で自車両1Aを移動させた場合、自車両1Aが前方図形201に接触し、接触位置が第1辺201A上の点Q1であると判定する。
移動方向決定部136は、接触検出部135が検出した接触位置が、前方図形201を構成する第1辺201A,第2辺201B,第3辺201C及び第4辺201Dのいずれかの辺上である場合、自車両の移動方向を「後退」に決定する。
【0039】
図4は、移動方向決定部136が移動方向を「後退」と決定した場合に、経路生成部137が生成する駐車経路R2を示す図である。
経路生成部137は、移動方向決定部136が移動方向を「後退」と決定した場合、
図4に示すように、自車両1Aを、自車両1Aの位置S0から位置S1まで所定距離後退させた後、左後方に旋回させる駐車経路R2を生成する。この所定距離は、自車両1Aを経路R1に沿って移動させた場合の前方図形201との接触位置に基づいて決定することができる。例えば、経路生成部137は、接触検出部135が検出した接触位置Q1と、第1辺201Aの右端の頂点L1との距離に、予め設定された距離を加算した距離を、自車両1Aを後退させる距離に設定する。
【0040】
図5は、自車両1Aが後方図形203に接触する場合を示す図である。
図5に示す経路R3は、自車両1Aを、自車両1Aの位置S0から予め設定された角度で左後方に旋回させながら移動させた場合の経路を示す。接触検出部135は、
図3に示す経路R3で自車両1Aを移動させた場合、自車両1Aが後方図形203に接触し、接触位置が第4辺203D上の点Q2であると判定する。第4辺203Dは、駐車位置Pに設定された駐車領域に隣接する後方図形203の辺である。
移動方向決定部136は、接触検出部135が検出した接触位置が、他車両1Cの左側の範囲を示す後方図形203の第4辺203Dである場合、自車両の移動方向を「後退旋回」に決定する。後方図形203の第4辺203Dは、自車両1Aが駐車位置Pに駐車したときに、自車両1Aに、自車両1Aの右側で隣接する辺である。
【0041】
図6は、移動方向決定部136が移動方向を「後退旋回」と決定した場合に、経路生成部137が生成する駐車経路R4を示す図である。
経路生成部137は、移動方向決定部136が移動方向を「後退旋回」と決定した場合、
図6に示すように、自車両1Aを、自車両1Aの位置S0から左後方に旋回させる駐車経路R3を生成する。この駐車経路R3は、
図5に示す自車両1Aの位置S0から予め設定された角度で左後方に旋回させながら移動させる経路である。
自車両1Aは、経路生成部137が生成した駐車経路R3に沿って移動を開始するが、ソナーユニット40のセンサデータや、撮影部30の撮影画像により、自車両1Aが他車両1Cに接触すると判定された場合、駐車経路R3の途中で自車両1Aの移動を停止させる。
図6には、自車両1Aが停止した位置を位置S1と表記する。
経路生成部137は、自車両1Aが位置S1で停止すると、位置S1を開始位置として駐車経路R4を再度、生成する。
図6に示す駐車経路R4は、自車両1Aを、位置S1から前進旋回させて位置S2に移動させ、その後、自車両1Aを後退させて駐車位置Pまで移動させる経路である。
【0042】
図7は、自車両1Aが後方図形203に接触する場合を示す図である。
図7に示す経路R5は、自車両1Aを、自車両1Aの位置S0から予め設定された角度で左後方に旋回させながら移動させた場合の経路を示す。接触検出部135は、
図7に示す経路R5で自車両1Aを移動させた場合、自車両1Aが後方図形203に接触し、接触位置が第1辺203A上の点Q3であると判定する。第1辺203Aは、自車両1Aが位置する道路に面する前方図形201の辺である。
移動方向決定部136は、接触検出部135が検出した接触位置が、他車両1Cの前方の範囲を示す後方図形203の第1辺203Aである場合、自車両の移動方向を「前進」に決定する。
【0043】
図8は、移動方向決定部136が移動方向を「前進」と決定した場合に、経路生成部137が生成する駐車経路R6を示す図である。
経路生成部137は、移動方向決定部136が移動方向を「前進」と決定した場合、
図8に示すように、自車両1Aを、自車両1Aの位置S0から位置S1まで所定距離前進させた後、左後方に旋回させる駐車経路R6を生成する。この所定距離は、自車両1Aを経路R5に沿って移動させた場合の後方図形203との接触位置に基づいて決定することができる。例えば、経路生成部137は、接触検出部135が検出した接触位置Q3と、第1辺203Aの左端端の頂点L2との距離に、予め設定された距離を加算した距離を、自車両1Aを前進させる距離に設定する。
【0044】
制御情報生成部138には、経路生成部137が生成した駐車経路の情報が入力される。制御情報生成部138は、入力された駐車経路の情報に基づき、車両制御ユニット70に実行させる制御情報を生成する。制御情報は、車両制御ユニット70に、操舵装置81、駆動装置83、制動装置85及び変速装置87を制御させて、自車両1Aを駐車位置Pまで自動で走行させる情報である。制御情報生成部138は、生成した制御情報を、入出力インターフェイス110を介して車両制御ユニット70に出力する。
【0045】
表示制御部139は、タッチパネル65に表示させる表示データを生成し、生成した表示データを表示装置60に出力する。表示装置60は、表示データに基づく画像をタッチパネル65に表示させる。
【0046】
図2~
図8には、駐車位置Pの駐車形態が並列駐車の場合を例示したが、駐車位置Pの駐車形態は斜め駐車であってもよい。斜め駐車とは、駐車領域の前又は後の通路に対して斜めに設けられた駐車領域へ自車両1Aを駐車させる態様である。
また、
図2~
図8には、駐車位置Pが、自車両1Aの位置S0の左後方に位置する場合を示したが、駐車位置Pは、自車両1Aの位置S0の右方向、左前方及び右前方のいずれに位置していてもよい。
【0047】
図9及び
図10に示すフローチャートを参照しながら駐車支援装置100の動作を説明する。
まず、駐車支援装置100は、駐車支援の開始操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS1)。例えば、駐車支援装置100は、タッチパネル65に表示された駐車支援の開始ボタンがタッチ押下されることで、開始操作を受け付けたと判定する。駐車支援装置100は、駐車支援の開始操作を受け付けていない場合(ステップS1/NO)、開始操作を受け付けるまで次の処理の開始を待機する。
【0048】
駐車支援装置100は、駐車支援の開始操作を受け付けると(ステップS1/YES)、検出装置20から自車両1Aの周囲の情報である周囲情報を取得し、位置検出ユニット10から自車両1Aの位置情報を取得する(ステップS2)。ステップS2は、取得ステップに相当する。駐車支援装置100は、取得した周囲情報に基づき、自車両1Aや、自車両1Aの周囲に存在する障害物の位置、路面に形成された白線等の駐車枠の位置をメモリ120に記録してマップを生成する(ステップS3)。ステップS3は、生成ステップに相当する。このとき、駐車支援装置100は、ソナーユニット40により測定されたセンサデータのうち、1つの障害物を検出したデータであると判定できるセンサデータを一つにまとめて、障害物の範囲を示す矩形の図形をマップ上に生成する。
【0049】
次に、駐車支援装置100は、生成したマップを参照して自車両1Aを駐車可能な駐車枠を検出する(ステップS4)。駐車支援装置100は、検出した駐車枠内に自車両1Aを駐車させるときの方位や位置を設定し、自車両1Aを駐車させる駐車位置Pを決定する(ステップS5)。ステップS5は、領域決定ステップに相当する。
【0050】
次に、駐車支援装置100は、生成したマップ上で、自車両1Aを、自車両1Aの位置S0から予め設定された旋回角度で後退旋回させて移動させる(ステップS6)。そして、駐車支援装置100は、自車両1Aに接触する障害物を検出したか否かを判定する(ステップS7)。ステップS6及びS7は、検出ステップに相当する。駐車支援装置100は、自車両1Aに接触する障害物を検出できなかった場合(ステップS7/NO)、自車両1Aの移動方向を「後退旋回」に決定する(ステップS10)。ステップS10は、決定ステップに相当する。また、駐車支援装置100は、自車両1Aに接触する障害物を検出した場合(ステップS7/YES)、自車両1Aと障害物との接触位置を特定する。以下では、ステップS5にて決定した駐車位置Pの左側に他車両1Bが存在し、マップ上に前方図形201が形成され、駐車位置Pの右側に他車両1Cが存在し、マップ上に後方図形203が形成されている場合について説明する。
【0051】
駐車支援装置100は、自車両1Aが、前方図形201の第1辺201A、第2辺201B、第3辺201C及び第4辺201Dのいずれかの辺上で接触すると特定した場合(ステップS8/YES)、自車両1Aの移動方向を「後退」に決定する(ステップS12)。ステップS12は、決定ステップに相当する。
また、駐車支援装置100は、自車両1Aとの接触位置が前方図形201ではなく(ステップS8/NO)、他車両1Cの左側の範囲に対応した後方図形203の第4辺203Dである場合(ステップS9/YES)、自車両の移動方向を「後退旋回」に決定する(ステップS10)。ステップS10は、決定ステップに相当する。後方図形203の第4辺203Dは、自車両1Aが駐車位置Pに駐車したときに、自車両1Aに、自車両1Aの右側で隣接する辺である。
また、駐車支援装置100は、自車両1Aとの接触位置が後方図形203の第4辺ではない場合(ステップS9/NO)、自車両1Aとの接触位置が後方図形203の第1辺203Aであると判定し、自車両1Aの移動方向を「前進」と判定する(ステップS11)。ステップS11は、決定ステップに相当する。
【0052】
次に、駐車支援装置100は、決定した移動方向に対応した駐車経路を生成する(ステップS13)。駐車支援装置100は、ステップS10で、移動方向を「後退旋回」と決定した場合、
図4に示すように自車両1Aの位置S0から位置S1まで所定距離後退させた後、左後方に旋回させる駐車経路を生成する。また、駐車支援装置100は、ステップS12で、移動方向を「後退旋回」と決定した場合、
図6に示すように自車両1Aを、自車両1Aの位置S0から左後方に旋回させる駐車経路を生成する。また、駐車支援装置100は、ステップS11で、移動方向を「前進」と決定した場合、
図8に示すように自車両1Aを、自車両1Aの位置S0から位置S1まで所定距離前進させた後、左後方に旋回させる駐車経路を生成する。
【0053】
次に、駐車支援装置100は、生成した駐車経路に対応した制御情報を生成し(ステップS14)、生成した制御情報を、入出力インターフェイス110を介して車両制御ユニット70に出力する(ステップS15)。車両制御ユニット70は、入力された制御情報に従って操舵装置81、駆動装置83、制動装置85及び変速装置87を制御する。
【0054】
次に、駐車支援装置100は、位置検出ユニット10から位置情報を取得し(ステップS16)、取得した位置情報を周知のデッドレコニングの手法を用いて補正する。駐車支援装置100は、補正した位置情報により自車両1Aの位置が駐車位置Pであるか否かを判定する(ステップS17)。駐車支援装置100は、自車両1Aの位置が駐車位置Pであると判定すると(ステップS17/YES)、この処理フローを終了させる。
【0055】
また、駐車支援装置100は、自車両1Aの位置が駐車位置Pではない場合(ステップS17)、自車両1Aが移動を停止したか否かを判定する(ステップS18)。駐車支援装置100は、車両制御ユニット70から情報を取得し、取得した情報により自車両1Aが移動を停止したか否かを判定する。車両制御ユニット70は、撮影部30の撮影画像やソナーユニット40のセンサデータにより障害物が検出された場合、制動装置85や、駆動装置83を制御して自車両1Aの移動を停止させる。
【0056】
駐車支援装置100は、自車両1Aが移動を停止していない場合(ステップS18/NO)、ステップS16に戻り位置情報を再度、取得する。また、駐車支援装置100は、自車両1Aが移動を停止した場合(ステップS18/YES)、検出装置20から自車両1Aの周囲の情報である周囲情報を取得する(ステップS19)。駐車支援装置100は、取得した周囲情報に基づいてマップを生成し、駐車経路を再度、生成する(ステップS20)。その後、駐車支援装置100は、生成した駐車経路に対応した制御情報を生成し、生成した制御情報を車両制御ユニット70に出力して(ステップS22)、ステップS16の処理に戻る。
【0057】
以上説明したように本実施形態の駐車支援装置100は、入出力I/F110、状況取得部132、マップ生成部133、駐車領域決定部134、接触検出部135及び移動方向決定部136を備える。
入出力I/F110は、外部装置である位置検出ユニット10や、検出装置20に通信バス5を介して接続される。
状況取得部132は、検出装置20が検出した自車両1Aの周囲状況と、位置検出ユニット10により検出された自車両1Aの位置情報とを、入出力I/F110を介して取得する。
【0058】
マップ生成部133は、取得した周囲状況に基づいて自車両1Aの周囲に存在する障害物と、自車両1Aを駐車させることが可能な駐車領域との位置を記録したマップを生成する。
駐車領域決定部134は、生成したマップと、取得した位置情報とに基づいて、マップに記録された駐車領域の中から自車両1Aを駐車させる駐車領域を決定する。
【0059】
接触検出部135は、マップにおいて、自車両1Aを駐車領域に駐車させるときの方位と略同一の方位になるまで自車両1Aを旋回させるシミュレーションを行い、自車両1Aがマップに記録された障害物と接触する接触位置を検出する。
移動方向決定部136は、接触検出部135により検出された接触位置に基づいて、自車両1Aを、位置情報が示す位置から移動させる移動方向を決定する。
【0060】
従って、本実施形態の駐車支援装置は、移動方向決定部136により決定された移動方向に移動させる駐車経路を生成すればよいため、自車両1Aを前進させた場合の駐車経路、及び自車両1Aを後退させた場合の駐車経路を生成する必要がなくなり、駐車経路の生成に要する演算時間を短縮することができる。
【0061】
マップ生成部133は、障害物の存在範囲を示す矩形の図形をマップに記録し、接触検出部135は、自車両1Aと、マップに記録された図形との接触を検出する。
従って、マップの生成に要する時間を短縮し、自車両1Aが障害物に接触する接触位置の検出に要する時間を短縮することができる。
【0062】
移動方向決定部136は、接触検出部135が、駐車領域に幅方向で隣接する駐車領域であって、位置情報が示す自車両1Aの位置に近い側の駐車領域に駐車した他車両1Bの範囲を示す前方図形201上で自車両1Aと接触すると判定した場合、自車両1Aの移動方向を後退と決定する。
従って、自車両1Aと障害物との接触位置に基づいて、自車両1Aの好適な移動方向を決定することができる。
【0063】
移動方向決定部136は、接触検出部135が、駐車領域に幅方向で隣接する駐車領域であって、位置情報が示す自車両1Aの位置に遠い側の駐車領域に駐車した他車両1Cの範囲を示す後方図形203上で自車両1Aと接触すると判定した場合であって、後方図形203上の位置が、駐車領域に隣接する後方図形203の第4辺203Dである場合、自車両1Aの移動方向を後退旋回と決定する。
従って、自車両1Aと障害物との接触位置に基づいて、自車両1Aの好適な移動方向を決定することができる。
【0064】
移動方向決定部136は、接触検出部135が、駐車領域に幅方向で隣接する駐車領域であって、位置情報が示す自車両1Aの位置に遠い側の駐車領域に駐車した他車両1Cの範囲を示す後方図形203上で自車両1Aと接触すると判定した場合であって、後方図形203上の位置が、自車両1Aが位置する道路に面する後方図形203の第1辺203Aである場合、自車両1Aの移動方向を前進と判定する。
従って、自車両1Aと障害物との接触位置に基づいて、自車両1Aの好適な移動方向を決定することができる。
【0065】
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を例示したものであって、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形、及び応用が可能である。
例えば、上述した実施形態では、自車両1Aと後方図形203との接触位置が、後方図形203の第1辺203Aである場合、自車両1Aの移動方向を「前進」と判定した。
この場合、駐車支援装置100は、周囲状況に基づいて自車両1Aが位置する道路の道路幅を検出し、検出した道路幅が予め設定された道路幅よりも広い場合、自車両1Aの移動方向を「後退旋回」と決定してもよい。すなわち、駐車支援装置100は、
図6に示すように自車両1Aを、自車両1Aの位置S0から左後方に旋回させる駐車経路により自車両1Aを走行させる。その後、駐車支援装置100は、し、ソナーユニット40のセンサデータや、撮影部30の撮影画像により、自車両1Aが他車両1Cに接触すると判定され、駐車経路R3の途中で自車両1Aの移動が停止すると、位置S1を開始位置として駐車経路R4を再度、生成する。この駐車経路は、
図6に示すように自車両1Aを右前方に旋回させてから、後退させ、駐車位置Pに駐車させる経路である。
【0066】
また、
図1に示す駐車支援装置100の構成を示すブロック図は、本願発明を理解容易にするために、構成要素を主な処理内容に応じて分類して示した概略図であり、構成要素は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
【0067】
また、
図1において、駐車支援装置100が、位置検出ユニット10及び検出装置20の少なくとも一方を一体として備える構成であってもよい。
【0068】
また、本発明の駐車支援方法を、コンピュータを用いて実現する場合、このコンピュータに実行させるプログラムを記録媒体、又はこのプログラムを伝送する伝送媒体の態様で構成することも可能である。記録媒体には、磁気的、光学的記録媒体又は半導体メモリーデバイスを用いることができる。具体的には、フレキシブルディスク、HDD(Hard Disk Drive)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD、Blu-ray(登録商標) Disc、光磁気ディスク、フラッシュメモリ、カード型記録媒体等の可搬型、或いは固定式の記録媒体が挙げられる。また、上記記録媒体は、駐車支援装置100が備えるROM、HDD等の不揮発性記憶装置であってもよい。
【0069】
また、
図9及び
図10に示すフローチャートの処理単位は、駐車支援装置100の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものであり、処理単位の分割の仕方や名称によって、本発明が限定されることはない。駐車支援装置100の処理は、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割してもよい。また、駐車支援装置100の処理は、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割してもよい。
【符号の説明】
【0070】
1A 車両
1B 他車両
1C 他車両
3 車載装置
5 通信バス
10 位置検出ユニット
20 検出装置
30 撮影部
31 フロントカメラ
32 リアカメラ
33 左サイドカメラ
34 右サイドカメラ
40 ソナーユニット
50 無線通信装置
63 タッチセンサ
65 タッチパネル
70 車両制御ユニット
80 走行駆動装置
81 操舵装置
83 駆動装置
85 制動装置
87 変速装置
100 駐車支援装置
110 入出力インターフェイス
120 メモリ
130 プロセッサ
131 位置取得部
132 状況取得部
133 マップ生成部
134 駐車領域決定部
135 接触検出部
136 移動方向決定部
137 駐車経路生成部
137 経路生成部
138 制御情報生成部
139 表示制御部
201 前方図形
201A 第1辺
201B 第2辺
201C 第3辺
201D 第4辺
203 後方図形
203A 第1辺
203B 第2辺
203C 第3辺
203D 第4辺
L1 頂点
L2 頂点
P 駐車位置