(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-23
(45)【発行日】2024-10-31
(54)【発明の名称】昇華によって正確な濃度の蒸気を生成する方法および装置
(51)【国際特許分類】
C23C 16/448 20060101AFI20241024BHJP
C30B 29/38 20060101ALI20241024BHJP
C30B 25/14 20060101ALI20241024BHJP
C30B 25/16 20060101ALI20241024BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20241024BHJP
C23C 16/18 20060101ALN20241024BHJP
【FI】
C23C16/448
C30B29/38 Z
C30B25/14
C30B25/16
H01L21/205
C23C16/18
(21)【出願番号】P 2020544229
(86)(22)【出願日】2019-03-07
(86)【国際出願番号】 US2019021074
(87)【国際公開番号】W WO2019177851
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2022-03-02
(32)【優先日】2018-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520311374
【氏名又は名称】シーヴィーテック エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】CEEVEETECH, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100179947
【氏名又は名称】坂本 晃太郎
(72)【発明者】
【氏名】エグバート ジー ウォールク
【審査官】▲高▼橋 真由
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-522022(JP,A)
【文献】特開2009-239297(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0072875(US,A1)
【文献】特表2010-502833(JP,A)
【文献】特開2009-267388(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/448
C30B 29/38
C30B 25/14
C30B 25/16
C23C 16/18
H01L 21/205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体前駆体蒸気源中のキャリアガス温度を制御する方法であって、
昇華容器内の前駆体材料にキャリアガスを供給するステップであって、前記昇華容器は、前記キャリアガスが前記前駆体材料を通って流れるのを可能にするように構成されたキャリアガス入口と蒸気出口、および前記昇華容器に熱を加える、または前記昇華容器から熱を除去するように構成された少なくとも1つのサーマルデバイスを含むステップ;
昇華温度値、昇華温度値における前記前駆体材料の蒸気圧値、前記キャリアガスの定圧比熱値およびデルタ温度値を決定するステップであって、前記デルタ温度値が、前記キャリアガスの定圧比熱(cp)値で割った前記前駆体材料の昇華熱値を、昇華容器の圧力値で割った前記昇華温度値における前記前駆体材料の蒸気圧値と掛け合わせた値である、ステップ;
前記昇華温度値および前記デルタ温度値に基づいて前記昇華容器内の第1温度を設定するステップであって、前記第1温度を前記入口領域に近接して測定するステップ;および
前記昇華温度値に基づいて前記昇華容器内の第2温度を設定するステップであって、前記第2温度を前記出口領域に近接して測定するステップを含む方法。
【請求項2】
前記第1温度および前記第2温度を設定するステップはキャリアガスヒータ温度を設定するステップを含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記昇華温度値および前記デルタ温度値を決定するステップは、ネットワークコンピュータから前記昇華温度値および前記デルタ温度値を受信するステップを含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項4】
固体前駆体蒸気源中のキャリアガス温度を制御する方法であって、
キャリアガスを、昇華容器に入る前に、該キャリアガスの温度を制御するように構成されたキャリアガスヒータに供給するステップ;
前記昇華容器内の前駆体材料に前記キャリアガスを供給するステップであって、前記昇華容器は前記キャリアガスが前記前駆体材料を通って流れるのを可能にするように構成されるキャリアガス入口および蒸気出口を含むステップ;
前記前駆体材料を通って流れる前記キャリアガスの入口キャリアガス温度および出口キャリアガス温度を測定するステップ;
前記前駆体材料の前記昇華温度値における当該前駆体材料の蒸気圧値、昇華容器圧力値、前記前駆体材料の昇華熱値及び前記キャリアガスの定圧比熱値を決定するステップ;
前記昇華容器圧力値で割った前記前駆体材料の前記蒸気圧値と、前記キャリアガスの前記定圧比熱値で割った前記前駆体材料の昇華熱値との掛け合わせた値に基づいてデルタ温度値を決定するステップ;および
前記入口キャリアガス温度、前記出口キャリアガス温度および前記デルタ温度値の少なくとも一部に基づいて、温度制御信号を前記キャリアガスヒータへ供給するステップ、を含む方法。
【請求項5】
前駆体床に通してキャリアガスを流すことによって蒸気を生成するように構成された固体前駆体蒸気源のコントローラであって、前記固体前駆体蒸気源は、前記前駆体床を通って流れる前に前記キャリアガスの温度に基づいて上流温度値を決定するように構成された上流温度センサと、前記前駆体床を通って流れる前に前記キャリアガスを加熱するように構成された上流サーマルデバイスと、前記キャリアガスが前記前駆体床を通って流れた後に生成される蒸気の温度に基づいて下流温度値を決定するように構成された下流温度センサと、前記キャリアガスが前記前駆体床を通って流れた後に生成される蒸気を加熱するように構成された下流サーマルデバイスと、を有しており、前記コントローラ
は、;
メモリユニット;および
前記メモリユニットに動作可能に接続された少なくとも1つのプロセッサを備え、該プロセッサは、
昇華温度値、前記キャリアガスの定圧比熱(cp)値、前駆体材料の昇華熱値、前記前駆体材料に関連する蒸気圧曲線および昇華容器の圧力値を含む複数のシステム値を受信し、
前記下流温度センサに基づく前記下流温度値を受信し、
前記下流温度値と前記昇華温度値の差に等しい下流誤差値を計算し、
前記下流誤差値に基づく制御信号を前記下流サーマルデバイスに供給し、前記制御信号は、前記下流温度値が前記昇華温度値と等しくなるように、前記下流サーマルデバイスの温度を変更するように構成され、
前記キャリアガスの前記cp値で割った前記前駆体材料の前記昇華熱値と、前記昇華容器圧力値で割った前記昇華温度値に基づく蒸気圧値とを掛け合わせた値に基づいてデルタ温度値を計算し、
前記上流温度センサに基づく前記上流温度値を受信し、
前記下流温度値+前記デルタ温度値-前記上流温度値と等しい上流誤差値を計算し、
前記上流誤差値に基づく制御信号を前記上流サーマルデバイスに供給し、前記制御信号は、前記上流温度値が前記昇華温度値+前記デルタ温度値と等しくなるように前記上流サーマルデバイスの温度を変更するように構成される、コントローラ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
化学気相成長法(CVD)プロセスは、一般に、液体または固体の前駆体の制御された蒸発に依存する。適切な液体および固体の前駆体はかなり高い蒸気圧を有している。前駆体の蒸気はキャリアガスでプロセスチャンバに運ばれ、そこで前駆体は基板の表面において反応し、材料膜を形成する。ほとんど全てのプロセスにおいて、所望の材料膜を生成するには、前駆体の供給速度(例えば毎秒グラム)を正確に制御する必要がある。蒸発によって供給速度が決まる。従って、蒸発または昇華(固体の場合)の制御は、CVDプロセスにとって所望の材料膜を生成するために重要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本開示による固体前駆体蒸気源の例は、前駆体材料の床を包含するように構成された、1つまたは複数の断熱外壁を含む昇華容器;前駆体材料の床の第1側面に配置され、キャリアガスが昇華容器に流れるのを可能にするように構成された入口ポート;入口ポートに近接して配置され、昇華容器に入ってくるキャリアガスの温度を制御するように構成された第1温度コントローラ;前駆体材料の床の第2側面に配置され、同伴蒸気が昇華容器から流れ出すのを可能にするように構成された出口ポートであって、同伴蒸気は、第1側面から第2側面へと前駆体材料の床を通って流れるキャリアガスによって生成される出口ポート;出口ポートに近接して配置され、昇華容器から出てくるキャリアガスおよび同伴蒸気の温度を制御するように構成された第2温度コントローラ;前駆体材料の床の第1側面に近接して昇華容器内に配置された第1温度センサ;前駆体材料の床の第2側面に近接して昇華容器内に配置された第2温度センサ;および第1温度コントローラ、第2温度コントローラ、第1温度センサおよび第2温度センサに動作可能に接続され、第1温度センサによって感知された第1温度値に基づいて第1温度コントローラを制御し、第2温度センサによって感知された第2温度値に基づいて第2温度コントローラを制御して、第2温度値が前駆体材料のおよそ昇華温度となり、第1温度値が第2温度値よりも高くなるようにする制御コンピュータを備える。
【0003】
このような固体前駆体蒸気源の実装は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含み得る。圧力コントローラは出口ポートに配置され、昇華容器の圧力値を測定および制御するように構成されるように、制御コンピュータに動作可能に接続されてもよい。制御コンピュータは、第1温度値が前駆体材料の昇華温度+デルタ温度値とほぼ等しくなり、デルタ温度値が昇華容器の圧力値、前駆体材料の昇華熱値、およびキャリアガスの定圧(cp)比熱値の少なくとも一部に基づくように第1温度コントローラを制御するように構成されてもよい。マスフローコントローラは制御コンピュータに動作可能に接続され、キャリアガスの昇華容器への流量を制御するように構成されてもよい。キャリアガスヒータは、制御コンピュータが第1温度値および第2温度値の少なくとも一部に基づいてキャリアガスヒータを制御するように構成されるように、制御コンピュータに動作可能に接続され、昇華容器の入口ポートに近接して配置されてもよい。温度感知チューブは、第1温度センサおよび第2温度センサが温度感知チューブに取り付けられるように、昇華容器内に配置されてもよい。タービュレータは昇華容器内において入口ポートと前駆体材料の床の第1側面の間に配置され、キャリアガスが前駆体材料の床の第1側面に拡散されるように構成されてもよい。タービュレータはプレートから外側へ延在する複数の構造体を含むプレートであってもよい。第1温度コントローラおよび第2温度コントローラは熱電冷却器および抵抗加熱器を含んでもよい。1つまたは複数の断熱外壁は、昇華容器の少なくとも一部の周りに配置された、断熱シュラウドであってもよい。
【0004】
本開示による固体前駆体蒸気源を制御する方法の例は、キャリアガスを昇華容器内の前駆体材料に供給するステップであって、昇華容器はキャリアガスが前駆体材料を通って流れることを可能にするように構成された入口領域および出口領域と、昇華容器に熱を加える、または昇華容器から熱を除去するように構成された少なくとも1つのサーマルデバイスとを含むステップ;前駆体材料およびキャリアガスに基づいて昇華温度値およびデルタ温度値を決定するステップ;昇華温度値およびデルタ温度値に基づいて昇華容器内の第1温度を設定するステップであって、第1温度を入口領域に近接して測定するステップ;および昇華温度値に基づいて昇華容器内の第2温度を設定するステップであって、第2温度を出口領域に近接して測定するステップを含む。
【0005】
このような方法の実装は以下の特徴のうちの1つまたは複数を含んでもよい。デルタ温度値は、前駆体材料の昇華熱値、キャリアガスの定圧(cp)比熱値、昇華温度値における前駆体材料の蒸気圧値、および昇華容器の圧力値に基づいてもよい。第1温度および第2温度を設定するステップには、キャリアガスヒータ温度を設定するステップが含まれてもよい。第1温度および第2温度を設定するステップには、上流サーマルデバイス温度を設定するステップが含まれてもよい。第2温度を設定するステップには下流サーマルデバイスを設定するステップが含まれてもよい。昇華温度値およびデルタ温度値を決定するステップには、昇華温度値およびデルタ温度値をネットワークコンピュータから受信するステップが含まれてもよい。
【0006】
本開示による固体前駆体蒸気源を制御する方法の例は、昇華容器に入る前にキャリアガスの温度を制御するように構成されたキャリアガスヒータにキャリアガスを供給し、昇華容器の圧力を圧力コントローラによって制御するステップ;キャリアガスを昇華容器内の前駆体材料に供給するステップであって、昇華容器は、キャリアガスが前駆体材料を通って流れることを可能にするように構成された入口領域および出口領域を含むステップ;昇華容器の入口領域および出口領域を流れるキャリアガスの入口キャリアガス温度および出口キャリアガス温度を測定するステップ;出口キャリアガス温度および前駆体材料に関連する蒸気圧曲線の少なくとも一部に基づいて、補償昇華容器圧力値を決定するステップ;前駆体材料、キャリアガスおよび補償昇華容器圧力値の少なくとも一部に基づいて、デルタ温度値を決定するステップ;および入口キャリアガス温度、出口キャリアガス温度、補償昇華容器圧力値およびデルタ温度値の少なくとも一部に基づいて、キャリアガスヒータに温度制御信号を、そして圧力コントローラに圧力制御信号を供給するステップを含む。
【0007】
このような方法の実装は以下の特徴のうちの1つまたは複数を含んでもよい。補償昇華容器圧力値を決定するステップは、化学気相成長プロセスの公称温度を受信するステップを含んでもよく、補償昇華容器圧力値は、公称温度における前駆体材料の蒸気圧と出口キャリアガス温度における前駆体材料の蒸気圧の比率に基づく。デルタ温度値を決定するステップは、昇華温度における前駆体材料の蒸気圧値と補償昇華容器圧力値の比率を決定するステップを含んでもよい。
【0008】
固体前駆体蒸気源のコントローラの例は、メモリユニットと、メモリユニットに動作可能に接続された少なくとも1つのプロセッサとを含み、プロセッサは、昇華温度値、キャリアガスのcp値、前駆体材料の昇華熱値、蒸気圧曲線および昇華容器の圧力値を含む複数のシステム値を受信し、下流温度センサに基づく下流温度値を受信し、下流温度値と昇華温度値の差に等しい下流誤差値を計算し、下流誤差値に基づいて下流出力値を計算し、下流出力値に基づいて下流サーマルデバイスに制御信号を供給し、制御信号によって下流サーマルデバイスの温度を変更して下流温度値が昇華温度値と等しくなるようにし、キャリアガスのcp値、前駆体材料の昇華熱値、昇華温度値に基づく蒸気圧値、および昇華容器の圧力値に基づいてデルタ温度値を計算し、上流温度センサに基づいて上流温度値を受信し、下流温度値+デルタ温度値-上流温度値と等しい上流誤差値を計算し、上流誤差値に基づいて上流出力値を計算し、上流出力値に基づいて制御信号を上流サーマルデバイスに供給し、制御信号が上流サーマルデバイスの温度を変更して上流温度値が昇華温度値+デルタ温度値と等しくなるようにするように構成される。
【0009】
本明細書に記載される項目および/または手法は、下記の能力のうちの1つまたは複数、ならびに記載されていない他の能力を提供することができる。化学気相成長プロセスに関連するシステム変数をコントローラに提供してもよい。コントローラは固体前駆体昇華容器内の温度を感知するように構成されてもよい。昇華容器は、前駆体床を通って流れるキャリアガスの温度を制御するように構成された1つまたは複数のサーマルデバイスを備えてもよい。コントローラはサーマルデバイスに動作可能に接続されてもよく、昇華容器内の温度に基づいて制御信号を送信するように構成されてもよい。昇華容器は絶縁されてもよい。圧力および流量装置は昇華容器の入口および/または出口に配置されてもよい。コントローラは、圧力装置および流量装置に動作可能に接続されてもよく、前駆体床を流れるキャリアガスの圧力および流量を制御するように構成されてもよい。他の能力が提供されてもよく、本開示による全ての実装が、記載された能力の全て、またはそのいずれかを供給する必要はない。また、上述の効果は記載されたもの以外の手段で達成される可能性があり、記載された項目/手法は必ずしも記載された効果をもたらすとは限らない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】低キャリアガス流量および高キャリアガス流量における固体前駆体床の温度分布を示す概念図である。
【
図2】固体前駆体床の昇華容器の例を示すシステム図である。
【
図3】固体前駆体蒸気源の例を示すシステム図である。
【
図4】固体前駆体蒸気源を制御する例示的方法のプロセスフローチャートである。
【
図5】固体前駆体蒸気源における下流および上流サーマルデバイスを制御する例示的プロセスのフローチャートである。
【
図6】固体前駆体蒸気源の第2の例を示すシステム図である。
【
図7】固体前駆体蒸気源の第2の例を制御する例示的方法を示すプロセスフローチャートである。
【
図8】固体前駆体蒸気源の第2の例において、上流サーマルデバイスを制御する例示的方法を示すプロセスフローチャートである。
【
図10】温度感知チューブを有する例示的前駆体蒸気源を示す概略図である。
【
図11】コンピュータシステムの例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
固体前駆体の蒸気の濃度を制御する手法を本明細書において説明する。例えば、化学気相成長(CVD)プロセスは、一般に、液体または固体前駆体の制御された蒸発に依存する。適切な液体および固体前駆体は適度に高い蒸気圧を有する。前駆体の蒸気はキャリアガス内でプロセスチャンバに運ばれ、そこで前駆体は基板の表面で反応して材料膜を形成する。ほとんど全てのプロセスにおいて、所望する材料膜を生成するために、前駆体の供給速度(例えば、毎秒グラム)を正確に制御する必要がある。蒸発は供給速度を決定する。よって、蒸発または昇華(固体の場合)の制御は、CVDプロセスにとって所望する材料膜を生成するために重要である。一実施形態において、本開示は、キャリアガスの加熱の制御、昇華容器の断熱、および前駆体床の上流温度と下流温度との制御による前駆体の温度制御を提供する。これらの手法は単なる一例示的なものであり、網羅的なものではない。
【0012】
一般に、高い蒸気圧の粉末材料内の粒は融合し、元来の流体床を固体のケーキ状に変化させる傾向がある。材料の多孔性は維持される一方で、材料の流動能力は変化する。このため、粉末材料を昇華させる際には、前駆体内にキャビティが形成されるという問題が発生する。キャビティは前駆体床を通ってチャネルに発達する可能性がある。制御された昇華プロセスは床を通るキャリアガスの浸透に依存するため、出力蒸気濃度は予測できないレベルまで低下する可能性がある。このような低下の時期は予測不可能である。低下により、通常、CVDプロセスで生成される生成物の損失がもたらされる。更に、従来のバブラにおける前駆体の元来の充填量の50%が無駄に失われる可能性がある。
【0013】
従来のCVD源の設計では、細長いチューブを模倣し、前駆体床を長くしてエネルギー供給面に近づけるような形状にレイアウトすることを目的としている。この手法はキャビティ形成の防止に関しては良好に機能するが、容量、出力および出力安定性は制限される。
【0014】
一実施形態において、本明細書に記載された装置および方法では、キャリアガスを使って昇華エネルギーを送り、制御され、安定した出力蒸気濃度を取得する。キャリアガスによって供給されるエネルギーは、壁および前駆体床の熱伝導に依存せず、前駆体床の上流面に均一に適用される。従って、床を狭くて長くする代わりに広くて短くすることができる。例えば、長さ/直径のアスペクト比が(従来技術による2~10と比較して)0.5~2である単一の円筒形の昇華容器は、3キロ以上の前駆体材料の保持に使用することができる。これはシリンダの洗浄および充填に有利である。また、蒸気源の出力mol/分も増加する。
【0015】
図1は、低キャリアガス流量および高キャリアガス流量における固体前駆体床の温度分布の概念図を示している。
図1は例示的なものであり、昇華容器内におけるキャリアガス流量と前駆体温度との一般的な関係を示すために提供されたものである。第1の断熱システム10aにおいて、第1温度T1のキャリアガスは比較的低いガス流量で前駆体床を流れる。この例において、出てくる蒸気は第2温度T2である(T2は前駆体の昇華温度(T
昇華))。第1温度/深さ断面曲線12aに示すように、低キャリアガス流量において、出てくる蒸気は飽和され、濃度は明確である。対照的に、第2の断熱システム10bにおいて、第1温度T1のキャリアガスは比較的高いガス流量で前駆体床を流れる。この第2の例では、第2温度/深さ断面曲線12bに示すように、出てくる蒸気は飽和されておらず、濃度は不明確である。
【0016】
上述のように、従来の設計において、キャビティおよびチャネルの形成は、エネルギーの前駆体床への不均一な供給によるものである。本開示ではキャリアガスを固体前駆体の昇華のためのエネルギー源として使用する。昇華容器の側壁は、制御されていないエネルギーフローを低減させるために断熱することができる。エネルギーは前駆体床の上流面に均一に分布させることができる。キャリアガスの温度は、サーマルデバイスを使用した昇華容器の上部および底部からのフィードバックに基づいて制御することができる。一実施形態において、下流温度の測定を使い、上流温度を計算された値に制御することができる。下流温度測定は昇華容器圧力の制御および大容量、高出力昇華源の濃度出力を維持するためにも使用することができる。
【0017】
図1に示すように、システムはキャリアガスを介して前駆体床の上流側にエネルギーを均一に供給し、昇華が発生し得る領域を増やす。温度/深さ断面曲線12aを参照すると、(好ましくは前駆体床の表面下から短い距離において)前駆体との飽和が完了すると、キャリアガスの温度はT
昇華+ΔTからT
昇華へと下がる。この昇華層の厚さはキャリアガスの流量に依存する。低キャリアガス流量において、昇華層は薄い。高キャリアガス流量において、昇華層は床の下流面に達し得る。
図1において、固体床の昇華のための理想的な蒸気源は、温度が前駆体床の上流側および下流側で制御される、断熱シリンダである。
【0018】
図2を参照し、更に
図1を参照すると、固体床前駆体の昇華容器90の例が示されている。昇華容器90は、キャリアガス入口100、デフレクタ/タービュレータ110、上流サーマルデバイス120、上流温度センサ130、断熱外壁140(すなわち断熱エンクロージャ)、前駆体床150、下流温度センサ160、下流サーマルデバイス170、および蒸気出口180を含む。一実施形態において、断熱外壁140は、昇華容器の周囲に配置され、エネルギー(例えば熱)が上流サーマルデバイス120および下流サーマルデバイス170以外の外部のソースから前駆体床150に入るのを防ぐように構成される、断熱シュラウドであってもよい。一般に、上流サーマルデバイス120および下流サーマルデバイス170は床の上流側および下流側にそれぞれ配置される。サーマルデバイス120、170は上流温度センサ130および下流温度センサ160によってそれぞれ測定される上流および下流の温度の制御を可能にするように構成される。一例として、そして限定するものではないが、昇華容器90は垂直方向のシリンダである。他の形状および向きのものを使用することもできる。例えば、昇華容器90は、円筒形、正方形、六角形もしくは任意の多角形、または不規則な断面を有していてもよく、横にして設置しても逆さまに設置してもよい。便宜上、前駆体床150の上流側を上部と称し、前駆体床150の下流側を底部と称する場合がある。
【0019】
昇華容器90は前駆体床150の上流面にエネルギーを均一に供給するように構成される。一般に、この構成において、昇華エネルギーのほとんどはキャリアガス自身から得られると認識されている。キャリアガスがキャリアガス入口100から入ってデフレクタ/タービュレータ110および前駆体床150を通ると、キャリアガスは前駆体を拾って冷却される。再度
図1を見ると、キャリアガスが前駆体床150の下からいくらか離れたところで飽和すると、それ以上の熱は必要なくなり、キャリアガスと蒸気がシリンダを離れるまで温度は一定したままである。このような前駆体床150を通る温度分布の例を
図1の温度/深さ断面曲線12a、12bに示す。温度差ΔT(デルタT)は前駆体床150の上面から前駆体床150の底面に展開される。この温度差は下記の方程式1で計算することができる。
【0020】
【0021】
方程式(1)を適用する例として、LEDの製造に使用される一般的な前駆体であるトリメチルインジウム(TMIn)を使用することができる。TMInの昇華熱は46.7Wmin/標準リットル(気体)である。一般的に使用されるキャリアガスである窒素の定圧比熱(すなわち「cp値」)は、0.0217Wmin/標準リットル/ケルビンである。TMInの典型的な昇華温度は17℃、蒸気圧は0.87torrである。典型的な昇華容器圧力は225torrである。維持する必要のある温度差は以下の通りである。
【0022】
【0023】
このΔT値は水素をキャリアガスとして使用する場合とほぼ同じである。窒素も水素も理想気体に近く、これらのcp値/標準リットルは類似している。一般に、方程式(1)はキャリアガスの分圧が前駆体の蒸気圧の少なくとも10倍である場合に実現され得る。
【0024】
TMInの前駆体としての使用は単なる一例であり、限定するものではなく、他の前駆体材料を使用することもできる。例えば、下記の表1は、蒸気圧、温度、昇華容器圧力(PSV)、昇華熱および列挙された前駆体の窒素キャリアガス(すなわちcp0.0217)との計算ΔTを示す。表1に含まれない他の前駆体材料のΔT値も上述のように決定することができる。
【0025】
【0026】
昇華容器90は昇華エネルギーの供給にキャリアガスを使用する。デフレクタ/タービュレータ110は床の上流面へのキャリアガス温度の均一な分布を補助し、これによって前駆体床150を狭く長いものではなく、広く短いものにすることができる。前駆体床150上のキャリアガスの温度が均一となり、断熱外壁140が熱の流入を防止すると、前駆体床150の表面下の薄層で昇華が均一に発生する。その結果、長さ/直径のアスペクト比が1未満の単一のシリンダは、かなりの量の前駆体を保持するような大きさにすることができる。低アスペクト比もシリンダの洗浄および充填に有利である。低アスペクト比により、床の上面が大きいため、蒸気源の出力も増加する、これは、単位表面積を流れるキャリアガスの流量が少なく、表面下の温度勾配が急であることを意味している。
図1に示すように、最大限の活用のためには、上流表面下の温度勾配が望ましい場合がある。
【0027】
TMInのΔTは、通常の動作条件および蒸気源出力下で3~10℃である。このような温度差は、抵抗加熱器および熱電冷却器を備えるサーマルデバイスを使って管理することができる。方程式(1)に示すように、ΔTはキャリアガス流量に依存しない。時間あたりの昇華前駆体の質量はキャリアガス流量と共に直線的に増加し、エネルギー供給もキャリアガス流量と共に直線的に増加する。従って、より多くのキャリアガスが昇華容器90に流入すると、より多くのエネルギーがキャリアガスによって供給され、より多くの前駆体が昇華される。定常出力濃度Cは以下のように表される。
【0028】
【数3】
ここで、T
昇華は前駆体床150の下流側(例えば底)の温度である。
【0029】
動作中、キャリアガスはキャリアガス入口100を通って昇華容器90に入る。上流サーマルデバイス120は昇華容器90に入る前のキャリアガスを加熱するとともに、昇華容器90上部のキャリアガスを加熱するように構成される。デフレクタ/タービュレータ110は前駆体床150の上から入ってくるキャリアガスを偏向/拡散するように構成される。上流温度センサ130は前駆体床150の上流領域または周囲の空間の温度を検出するように構成される。領域および空間という用語は、三次元体積を記述するために互換的に使用される。上流サーマルデバイス120の温度は、少なくとも一部が上流温度センサ130および下流温度センサ160によって感知される温度に基づいて制御することができる。キャリアガスは前駆体床150を通って流れ、昇華する前駆体材料を拾い上げ、蒸気出口180から出る。下流温度センサ160は蒸気出口180の周囲の下流空間の温度(すなわち、昇華容器を出るキャリアガスおよび同伴蒸気の温度)を検出するように構成される。下流サーマルデバイス170は昇華容器90に熱を供給するように構成され、少なくとも一部は上流温度センサ130および下流温度センサ160によって感知される温度に基づいて制御することができる。サーマルデバイス120,170は、典型的には、電気入力を受け、制御信号に基づいて熱出力を変えるように構成される電気ヒータである。その他の制御可能な熱源も使用することができる。
【0030】
図3、および併せて
図1、
図2を参照すると、固体前駆体蒸気源の例が示されている。固体前駆体蒸気源は昇華容器155(例えば、バブラとしても知られている)および固体前駆体を均一に昇華する目的で構成される取り付け部を含む。昇華容器155への取り付け部は側部外壁140用断熱材、上部サーマルデバイス120および底部サーマルデバイス170を含む。サーマルデバイスは制御コンピュータ200に動作可能に接続され、それによって制御される。一例では、昇華容器155は、好ましくは平坦な上部および底部を有する円筒状の容器であってもよい。昇華容器155の上部には、3つのポート、すなわち、キャリアガス入口100(例えば入口ポート)、蒸気出口180(例えば出口ポート)および昇華容器155へのアクセスを可能にするように構成された(例えば充填、洗浄用の)充填ポート106が含まれてもよい。一例として、充填ポートは10~20mmの開口直径を有してもよく、キャップ107によって閉じられてもよい。一例において、充填ポートのキャップ107には、昇華容器155を貫通し、上部温度センサ130および底部温度センサ160などの1つまたは2つの温度センサを収容する1つまたは2つのチューブ(
図3に図示せず)を取り付けてもよい。他の手段を用いて、底部温度センサ160および上部温度センサ130を昇華容器155内に配置してもよい。一例において、温度センサ130,160は少なくとも0.1℃(100mK)、好ましくは0.0625℃(62.5mK)、より好ましくは0.030℃(30mK)以下の分解能を有するデジタルセンサであってもよい。
【0031】
デフレクタまたはタービュレータ110は、キャリアガス入口100から出るキャリアガスの噴流を乱流に変換し、固体床上でキャリアガスの均一な温度を生成するように構成される。キャリアガスは昇華容器155に入る前にサーマルデバイス120を通り、そこで、上部温度センサ130によって測定される前駆体床150の上部においてプログラムされた温度を維持するために必要な温度に加熱される。同様に、底部のサーマルデバイスは、底部温度センサ160によって測定される底部温度を維持するために使用してもよい。
【0032】
制御コンピュータ200は、上部サーマルデバイス120、底部サーマルデバイス170、上部温度センサ130および底部温度センサ160に動作可能に接続され、昇華容器155内の温度を制御するように構成されてもよい。一例において、制御コンピュータ200はCVDツールコントローラ230などのツールコントローラに動作可能に接続され、前駆体情報、キャリアガス情報、チャンバ圧力およびキャリアガス流量などのプロセス制御データを交換するように構成されてもよい。CVDツールコントローラ230は1つまたは複数のマスフローコントローラ(MFC)210および圧力コントローラ(PCs)220に動作可能に接続され、昇華容器155のキャリアガスの流れを制御するように構成されてもよい。一例において、制御コンピュータ200は蒸気圧曲線および前駆体の昇華熱でプログラムされてもよい。また制御コンピュータは、昇華容器圧力(PSV)でプログラムされてもよく、これは、CVDツールコントローラ230および昇華温度T昇華、または所望する出力濃度「c」(方程式2参照)によって維持されてもよい。制御コンピュータ200内のデータはユーザが入力してもよいし、またはCVDツールの制御バスからの温度設定点T昇華および所望のPSVを介して供給されてもよい。制御コンピュータ200はデータを用い、必要とされる昇華エネルギーを供給するために必要なΔTを計算する。コントローラはサーマルデバイス120および170を駆動して上部および底部の温度を維持するように構成される。T昇華は昇華容器155の底部領域(例えば、底部温度センサ160に近接した領域)で測定され、T昇華+ΔTは昇華容器155の上部(例えば、温度センサ130の上部に近接した領域)で測定されてもよい。断熱外壁140は、キャリアガス以外に経路によって、外部エネルギーが前駆体床150に入るのを低減させるか、または好ましくは防止するように構成される。加熱されたキャリアガスがキャリアガス入口100を通って昇華容器155に入ると、デフレクタ/タービュレータ110によって乱流に分けられる。キャリアガスが前駆体床150を通過して前駆体で飽和されると、ガス抽出棚190で抽出され、蒸気出口180を通して昇華容器155から排出される。
【0033】
図4、および併せて
図1~
図3を参照すると、固体前駆体蒸気源を制御する方法400は図に示すステップを含む。しかしながら方法400はほんの一例であり、制限するものではない。方法400は、例えば、ステップを追加したり、削除したり、並べ替えたり、組み合わせたり、または同時に実行することによって変更することができる。例えば、下記に示す昇華温度値およびデルタ温度値を決定するステップ404は、ステップ402の前に行ってもよい。方法400に対して更に変更を加えることも可能である。
【0034】
方法400では、ステップ402において、キャリアガスを昇華容器内の前駆体材料に供給し、昇華容器は、キャリアガスが前駆体材料を通って流れることを可能にするように構成された入口領域および出口領域、ならびに昇華容器に熱を追加、または昇華容器から熱を除去するように構成された少なくとも1つのサーマルデバイスを含む。一例において、キャリアガス入口100はキャリアガスを前駆体床150に供給する手段とすることができる。キャリアガスは、例えば、窒素、水素または化学気相成長プロセスで使用されるその他の気体であってもよい。マスフローコントローラ210は昇華容器155へのキャリアガスの流入を調節するために使用することができる。1つまたは複数のデフレクタまたはタービュレータ110を、キャリアガスの前駆体床150への拡散に使用することができる。昇華容器155の入口領域は、前駆体床150および上部温度センサ130に近接する昇華容器内の面積または空間容積と定義することができる。昇華容器155の出口領域は、前駆体床150の底部および底部温度センサ160の面積または空間容積と定義することができる。少なくとも1つのサーマルデバイスは、昇華容器に入るキャリアガスを加熱するように構成された上部サーマルデバイス120、底部サーマルデバイス170またはその他のサーマルデバイスとすることができる。
【0035】
方法400では、ステップ404において、前駆体材料およびキャリアガスに基づいて昇華温度値およびデルタ温度値を決定する。一例において、制御コンピュータ200は昇華温度値およびデルタ温度値を決定する手段とすることができる。昇華温度値は、(例えば上述の表1に示すような)前駆体材料と関連する昇華熱の値であり、デルタ温度値(ΔT)は上述の方程式1に基づいて計算することができる。一例において、制御コンピュータ200は、昇華温度値およびデルタ温度値、ならびに関連する前駆体材料およびキャリアガス情報(例えばcp値)を記憶するように構成されたデータ構造体(例えば、データベース、フラットファイル、ルックアップテーブル)を含んでもよい。一例において、ユーザは昇華温度値およびデルタ温度値を制御コンピュータ200に入力することができる。昇華温度値およびデルタ温度値は、CVDツールコントローラ230またはその他の製造システムなどの他のソース(例えばローカルまたはネットワーク)によって制御コンピュータ200に供給してもよい。昇華温度値およびデルタ温度値は、CVDアプリケーションおよび関連する前駆体材料、キャリアガスならびにCVDアプリケーションの昇華容器の圧力に基づいて変化し得る。
【0036】
方法400では、ステップ406において、昇華温度値およびデルタ温度値に基づいて昇華容器内の第1温度を設定し、第1温度は入口領域に近接して測定される。上流サーマルデバイス120および上流温度センサ130は昇華容器内の第1温度を設定する手段とすることができる。一例において、キャリアガスを、上流サーマルデバイス120を通って昇華容器155に流れる際に、加熱または冷却することができる。上流サーマルデバイス120の温度は、上流温度センサ130および制御コンピュータ200を備える閉ループ制御システム(例えばPID)内の構成要素であってもよい。他の制御ソリューションを使用してもよい。(すなわち前駆体材料150の床の上部の)入口領域に近接した温度は、昇華温度値およびデルタ温度値のおおよその合計(すなわちT昇華+ΔT)となるように制御される。例えば、TMInの典型的な昇華温度値は17℃であり、蒸気圧は0.87torrである。上述のTMInのデルタ温度値(ΔT)は3~10℃である。本例において、昇華容器内の第1温度は20~30℃の範囲内の値に設定することができる。上流サーマルデバイス120は、入口領域内の温度をこの範囲に維持するように構成される抵抗加熱器および熱電冷却器とすることができる。
【0037】
方法400では、ステップ408において、昇華温度値に基づいて昇華容器内の第2温度を設定し、第2温度は出口領域に近接して測定される。一例において、下流サーマルデバイス170および下流温度センサ160は昇華容器内の第2温度を設定する手段である。下流サーマルデバイス170の温度は、下流温度センサ160および制御コンピュータ200を備える閉ループシステム(例えばPID)内の構成要素であってもよい。他の制御ソリューションを使用してもよい。出口領域(すなわち、前駆体材料150の床の底部)に近接する温度はおよそ昇華温度値(すなわちT昇華)になるように制御される。TMInの例を続けると、TMInの昇華温度値は17℃であり、その蒸気圧は0.87torrである。下流サーマルデバイス170は、出口領域内の温度をこの範囲に維持するように構成された抵抗加熱器および熱電冷却器とすることができる
【0038】
動作中、制御コンピュータ200はT昇華、昇華容器圧力、前駆体材料情報およびキャリアガス情報の受信を含むアルゴリズムでプログラムすることができる。アルゴリズムは方程式1に基づいて、T昇華、昇華容器圧力、昇華熱およびキャリアガスのcp値からΔTを計算することができる。アルゴリズムはCVDプロセス要件に基づいてキャリアガスの流量を調節することができる。アルゴリズムは、それぞれの温度センサからの入力に基づき、上流温度をT昇華+ΔTに、そして下流温度をT昇華に、反復して調節することができる。
【0039】
図5、および併せて
図1~3を参照すると、固体前駆体蒸気源内の下流/上流サーマルデバイスを制御するプロセス500は、記載されたステップを含む。しかしながらプロセス500は単なる一例であり、制限するものではない。プロセス500は、例えば、ステップを追加したり、削除したり、並べ替えたり、組み合わせたり、同時に実行したり、および/または1つのステップを複数のステップに分割することによって変更することができる。制御コンピュータ200はプロセス500を実行する手段とすることができる。
【0040】
プロセス500では、ステップ502において、T昇華値、キャリアガスのcp値、前駆体材料の昇華熱、蒸気圧曲線および昇華容器圧力(PSV)値を含む複数のシステム値をコントローラに提供する。制御コンピュータ200は複数のシステム値を供給する手段とすることができる。例えば、制御コンピュータ200はシステム値を含む1つまたは複数のデータ構造体を備えるメモリを含んでもよい。このようなデータ構造体は、(例えば、ローカルまたはネットワークの)他の電子ソースからデータを取得することができる、またはユーザインターフェース(例えば、ユーザによるデータ入力)を介してそれらを受信することができる。一例において、システム値のうちの1つまたは複数はCVDツールコントローラ230などの他のシステムを介して取得することができる。蒸気圧曲線は、異なる前駆体材料の温度の関数としての蒸気圧値に対応する、データ構造体内の値の配列であってもよい。キャリアガスのcp値はキャリアガスの定圧比熱(例えば、窒素の場合、0.0217Wmin/標準リットル/ケルビン)である。昇華容器圧力(PSV)値は昇華容器155内の圧力、より具体的には、出口領域近くの圧力である。T昇華はCVDプロセスレシピが前駆体温度に使用する公称温度であってもよい。すなわち、昇華によって前駆体は冷却されるので、プロセスが実行されている際、前駆体の温度はT昇華にならない。プロセス500はT昇華と他の測定温度(例えば、T下流およびT上流)の差を決定し、温度コントローラの調節を行って前駆体の質量流量を一定に保つ。前駆体材料の昇華熱は前駆体の物質定数である。すなわち、昇華熱は前駆体の単位質量を昇華するために供給されなくてはならないエネルギーを表す。本明細書に記載するように、昇華エネルギーを多くの前駆体に、キャリアガスからの熱を通して供給することができる。
【0041】
プロセス500では、ステップ504において、下流温度センサに基づいてT下流値を決定する。制御コンピュータ200はT下流値を決定する手段とすることができる。下流温度センサ160は制御コンピュータ200に動作可能に接続され、前駆体床150の底部に近接した領域で読み取られた温度を供給するように構成される。
【0042】
プロセス500では、ステップ506において、T下流値とT昇華値の差に等しい下流誤差E下流値を計算する。制御コンピュータ200は下流誤差E下流値を決定する手段とすることができる。下流誤差E下流値は下流温度センサ160によって測定された温度とステップ502で供給されたT昇華値の差である。
【0043】
プロセス500では、ステップ508において、下流誤差E下流値に基づいて出力O下流値を計算する。制御コンピュータ200は出力O下流値を計算する手段とすることができる。出力O下流値は下流誤差E下流値の大きさに基づくデジタルまたはアナログ制御信号であってもよく、下流誤差E下流値を最小限にするように、下流サーマルデバイス170の動作を調節(例えば、温度出力を増減)するように構成される。
【0044】
プロセス500では、ステップ510において、出力O下流値に基づいて下流サーマルデバイスを制御し、T下流値をT昇華値と等しくする。制御コンピュータ200は下流サーマルデバイス170を制御する手段とすることができる。出力O下流値は現在のT下流値とプログラムされたT昇華値の差に基づく。制御コンピュータ200は下流温度センサ160の領域内の温度がT昇華値と等しくなるように、下流サーマルデバイス170の温度を変更するように構成される。
【0045】
プロセス500では、ステップ512において、キャリアガスのcp値、前駆体材料の昇華熱値、T昇華値に基づく蒸気圧値および昇華容器圧力(PSV)値に基づいてΔT値を計算する。制御コンピュータ200はΔT値を計算する手段とすることができる。例えば、デルタT値(ΔT)は方程式1(例えば、(T昇華値に基づく蒸気圧/昇華容器の圧力値)*(前駆体材料の昇華熱値/キャリアガスのcp値)に基づいて計算してもよい。
【0046】
プロセス500では、ステップ514において、上流温度センサに基づいてT上流値を決定する。制御コンピュータ200はT上流値を決定する手段とすることができる。上流温度センサ130は制御コンピュータ200に動作可能に接続され、昇華容器155内における前駆体床150の上部領域の温度を感知するように構成される。
【0047】
プロセス500では、ステップ516において、T下流値+デルタT値-T上流値に等しい上流誤差E上流値を計算する。制御コンピュータ200は上流誤差E上流値を決定する手段とすることができる。上流誤差E上流値は上流温度センサ130によって測定された温度と、ステップ502で供給されたT昇華値およびステップ512で計算されたデルタT値の合計との差である(すなわち、E上流=(T昇華+ΔT)-T上流)。
【0048】
プロセス500では、ステップ518において、上流誤差上流値に基づいて出力O上流値を計算する。制御コンピュータ200は出力O上流値を計算する手段とすることができる。出力O上流値は上流誤差上流値の大きさに基づくデジタルまたはアナログ制御信号であってもよく、上流誤差上流値を最小限にするように、上流サーマルデバイス130の動作を調節(例えば、温度出力の増減)するように構成される。
【0049】
プロセス500では、ステップ520において、出力O上流値に基づいて上流サーマルデバイスを制御し、T上流値をT昇華値+デルタT値と等しくなるようにする。制御コンピュータ200は上流サーマルデバイス120を制御する手段とすることができる。出力O上流値は、現在のT上流値と、プログラムされたT昇華値および演算されたデルタT値の合計(すなわち、T昇華+ΔT)との差に基づく。制御コンピュータ200は、上流温度センサ130の領域の温度がプログラムされたT昇華値および演算されたデルタT値の合計(すなわち、T昇華+ΔT)と等しくなるように上流サーマルデバイス120の温度を変更するように構成される。
【0050】
プロセス500はステップ504に戻って上流および下流サーマルデバイス120,170の制御を続けてもよい。
【0051】
図6、および併せて
図1,2,3を参照すると、固体前駆体蒸気源の第2の例が示されている。固体前駆体蒸気源の第2の例は
図3の固体前駆体蒸気源と類似しているが、底部のサーマルデバイス170を必要としない。固体前駆体蒸気源の第2の例は、昇華容器155(例えばバブラ)、外壁140の断熱材、上部サーマルデバイス120およびキャリアガスヒータ105(例えば入口ヒータ)を備える。上部サーマルデバイス120およびキャリアガスヒータ105は制御コンピュータ200に動作可能に接続され、それによって制御される。
図6は上部サーマルデバイス120およびキャリアガスヒータ105を示すが、一実施形態において、これら2つの構成要素を組み合わせ、キャリアガス入口100に近接して設置される単一の温度コントローラとしてもよい。昇華容器155の上部はキャリアガス入口100(例えば入口ポート)、蒸気出口180(例えば出口ポート)および充填ポート106を備え、昇華容器155への(例えば充填、洗浄などのための)アクセスが可能となるように構成される。充填ポート106のキャップ107は昇華容器155を貫通し、上部温度センサ130および底部温度センサ160を収容する1つまたは2つのチューブを含む。デフレクタまたはタービュレータ110は、キャリアガス入口100から出るキャリアガスの噴流を乱流に変換する。キャリアガスは昇華容器155に入る前にキャリアガスヒータ105を通り、そこで、上部温度センサ130によって測定される前駆体床150の上部においてプログラムされた温度の維持に必要な温度に加熱される。制御コンピュータ200は上部サーマルデバイス120、キャリアガスヒータ105、上部温度センサ130および底部温度センサ160に動作可能に接続され、昇華容器155内の温度を制御するように構成されてもよい。
【0052】
本実施形態において、制御コンピュータ200はマスフローコントローラ(MFC)210および圧力コントローラ220に動作可能に接続され、これらを調節するように構成されてもよい。制御コンピュータ200は公称温度T公称(すなわち、ユーザがCVDプロセスの設計に使用した温度)と底部温度センサ160によって測定された温度の差から補償圧力または流量を計算するように構成される。補償係数はT公称における前駆体の蒸気圧と底部温度センサ160によって測定されるT昇華における蒸気圧の比率である。流量補償係数は以下の式で表される。
【0053】
【0054】
【0055】
図7、および併せて
図6を参照すると、固体前駆体蒸気源の第2の例を制御する方法700は、記載するステップを含む。しかしながら方法700は単なる一例であり、制限するものではない。方法700は、例えば、ステップを追加したり、削除したり、並べ替えたり、組み合わせたり、同時に実行したり、および/または1つのステップを複数のステップに分割することによって変更することができる。
【0056】
方法700では、ステップ702において、キャリアガスの温度を昇華容器に入る前に制御するように構成されたキャリアガスヒータにキャリアガスを供給する。昇華容器の圧力は圧力コントローラによって制御される。一例において、キャリアガス入口100はキャリアガスをキャリアガスヒータ105に供給する手段とすることができる。キャリアガスは、例えば、窒素、水素、または化学気相成長プロセスで使用される他の気体であってもよい。マスフローコントローラ210は、キャリアガスのキャリアガスヒータ105および昇華容器155への流量を調整するために使用してもよい。マスフローコントローラ210および制御コンピュータ200は、キャリアガスが昇華容器155へ制御された流量で供給されるように構成される。圧力コントローラ220および制御コンピュータ200は昇華容器155内の圧力を制御するように構成される。流量および圧力値は上述の方程式3および4に記載のCVDプロセスパラメータおよび流量補償係数に基づくものとすることができる。
【0057】
方法700では、ステップ704において、キャリアガスを昇華容器内の前駆体材料に供給し、昇華容器は、キャリアガスが前駆体材料を通って流れるのを可能にするように構成された入口領域および出口領域を含む。一例において、デフレクタまたはタービュレータ110は、キャリアガスを前駆体床150に供給するための手段とすることができる。昇華容器155の入口領域は、前駆体床150および上部温度センサ130に近接した昇華容器内の面積または空間容積と定めることができる。昇華容器155の出口領域は、前駆体床150の底部および底部温度センサ160に近接した昇華容器の面積または空間容積と定めることができる。
【0058】
方法700では、ステップ706において、昇華容器の入口領域および出口領域を通って流れるキャリアガスの入口キャリアガス温度および出口キャリアガス温度を測定する。上部温度センサ130および底部温度センサ160はそれぞれ、入口キャリアガス温度および出口キャリアガス温度を測定する手段とすることができる。制御コンピュータ200は、上部温度センサ130および底部温度センサ160を使って入口および出口領域の温度を測定するように構成される。
【0059】
方法700では、ステップ708において、出口キャリアガス温度および前駆体材料に関連する蒸気圧曲線の少なくとも一部に基づいて補償昇華容器圧力値を決定する。制御コンピュータ200は補償昇華容器圧力を決定する手段とすることができる。底部温度センサ160は下流温度T下流の測定に使用され、制御コンピュータ200は下流温度および蒸気圧曲線に基づいて前駆体材料の蒸気圧を決定するように構成される。制御コンピュータ200は、CVDプロセスの要件に基づく公称温度(T公称)および対応するT公称の蒸気圧を含む。圧力補償係数(f圧力)は、方程式4に示すように、底部温度センサ160によって測定されたT公称における前駆体の蒸気圧とT昇華における蒸気圧との比率に基づいて決定してもよい。そして補償昇華容器圧力値は公称圧力(P公称)のf圧力倍であり、P公称はCVDプロセス要件に基づく。あるいは、流量補償係数(f流量)は、方程式4に示すように、底部温度センサ160によって測定されたT公称における前駆体の蒸気圧とT昇華における蒸気圧の比率に基づいて決定してもよい。そして補償昇華容器キャリアガス流量値は公称キャリアガス流量(F公称)のf流量倍であり、F公称はCVDプロセス要件に基づく。
【0060】
方法700では、ステップ710において、前駆体材料、キャリアガスおよび補償昇華容器圧力値の少なくとも一部に基づいてデルタ温度値を決定する。制御コンピュータ200はデルタ温度値を決定する手段とすることができる。デルタ温度値(ΔT)は方程式1(例えば、(T昇華値/補償昇華容器圧力値に基づく蒸気圧)*(前駆体材料の昇華熱値/キャリアガスのcp値)に基づいて計算することができる。
【0061】
方法700では、ステップ712において、キャリアガスヒータに温度制御信号を供給する。更に、ステップ712において、制御信号を圧力コントローラ220に、あるいは流量制御信号をMFC210に供給する。それぞれの制御信号は、入口キャリアガス温度、出口キャリアガス温度、補償昇華容器圧力値およびデルタ温度値の少なくとも一部に基づく。制御コンピュータ200は、キャリアガスヒータ、圧力コントローラ220および流量コントローラ210に制御信号を供給するための手段とすることができる。圧力制御信号および流量制御信号は、ステップ708で決定された補償昇華容器圧力値および流量値に基づく。圧力コントローラ220は昇華容器155内の圧力を補償昇華容器圧力値に維持するように構成されてもよい。あるいは、流量コントローラ210は、昇華容器155内のキャリアガス流量を補償昇華容器流量値に維持するように構成されてもよい。温度制御信号をキャリアガスヒータ105に供給して、キャリアガスヒータがキャリアガスにエネルギーを加える、またはキャリアガスからエネルギーを除去するようにしてもよい。例えば、キャリアガスヒータ105は、キャリアガスの温度がT下流(底部温度センサ160によって検出されるもの)とデルタ温度(ΔT、ステップ710で計算されるもの)の合計とほぼ等しくなるように構成されてもよい。
【0062】
図8、および併せて
図6を参照すると、第2の例の固体前駆体蒸気源の上流サーマルデバイスを制御するプロセス800は、以下に示すステップを含む。しかしながらプロセス800は単なる一例であり、制限するものではない。プロセス800は、例えば、ステップを追加したり、削除したり、並べ替えたり、組み合わせたり、同時に実行したり、および/または1つのステップを複数のステップに分割することによって変更することができる。特に、方法700による圧力制御と流量制御の置き換えをプロセス800に含めてもよい。制御コンピュータ200はプロセス800を実行するための手段とすることができる。
【0063】
プロセス600では、ステップ802において、前駆体材料のT昇華値、キャリアガスのcp値および蒸気圧曲線を含む複数のシステム値をコントローラに供給する。制御コンピュータ200は複数のシステム値を供給する手段とすることができる。例えば、制御コンピュータ200はシステム値を含む1つまたは複数のデータ構造体を有するメモリを含んでもよい。このようなデータ構造体は他の電子源(例えばローカルまたはネットワーク)からデータを取得してもよいし、ユーザインターフェース(例えば、ユーザによるデータ入力)を介してそれらを受信してもよい。一例において、データはCVDツールコントローラ230などの別のシステムを介して取得してもよい。蒸気圧曲線は異なる前駆体材料の温度の関数としての蒸気圧値に対応するデータ構造体内の値の配列であってもよい。キャリアガスのcp値はキャリアガスの一定圧における比熱(例えば、窒素の場合、0.0217Wmin/標準リットル/ケルビン)である。T昇華はCVDプロセスレシピが前駆体温度に使用する公称温度であってもよい。すなわち、昇華は前駆体を冷却するので、プロセスが実行されている際、前駆体の温度はT昇華にならない。
【0064】
プロセス800では、ステップ804において、公称昇華容器圧力P公称値を受信する。制御コンピュータ200はP公称値を受信するための手段とすることができる。P公称値はCVDプロセスが前駆体圧力のために使用する公称圧力であってもよい。例えば、P公称値はCVDツールコントローラ230から受信してもよく、ユーザが制御コンピュータ200に入力してもよい。プロセス800で使用されるP公称値およびその他のシステム値は周知のローカルおよび/またはリモートメモリデバイスなどの電子媒体を介して供給されてもよい。
【0065】
プロセス800では、ステップ806において、下流温度センサに基づいてT下流値を決定する。制御コンピュータ200はT下流値を決定する手段とすることができる。下流温度センサ160は制御コンピュータ200に動作可能に接続され、前駆体床150の底部に近接した領域において温度の読み取りを提供するように構成される。
【0066】
プロセス800では、ステップ808において、T下流値、T昇華値、P公称値および蒸気圧曲線の少なくとも一部に基づいて補償圧力値を計算する。制御コンピュータ200は補償圧力値を計算する手段とすることができる。下流温度センサ160はT下流値を測定するように構成され、制御コンピュータ200はT下流値および蒸気圧曲線に基づいて前駆体材料の蒸気圧を決定するように構成される。圧力補償係数(f圧力)は、T下流における前駆体の蒸気圧とT昇華における蒸気圧の比率(ここで蒸気圧値は蒸気圧曲線に基づく)に基づいて決定することができる。そして補償圧力値は公称圧力(P公称)のf圧力倍である。この結果によって前駆体の濃度が確立される。
【0067】
プロセス800では、ステップ810において、圧力コントローラに補償圧力値を供給する。制御コンピュータ200は補償圧力値を供給する手段とすることができる。一例において、制御コンピュータ200は圧力コントローラ220に動作可能に接続され、昇華容器155内の圧力を調節するために制御信号を供給するように構成される。従って、制御コンピュータ200は計算された補償圧力値に基づいて昇華容器圧力を制御するように構成される。
【0068】
プロセス800では、ステップ812において、キャリアガスのcp値、前駆体材料の昇華熱値、T下流値に基づく蒸気圧値および補償圧力値に基づいてデルタT値を計算する。制御コンピュータ200はデルタT値を計算する手段とすることができる。例えば、デルタT値(ΔT)は方程式1(例えば、(T下流値に基づく蒸気圧/補償圧力値)*(前駆体材料の昇華熱値/キャリアガスのcp値)に基づいて計算することができる。
【0069】
プロセス800では、ステップ814において、上流温度センサに基づいてT上流値を決定する。制御コンピュータ200はT上流値を決定する手段とすることができる。上流温度センサ130は制御コンピュータ200に動作可能に接続され、昇華容器155内の前駆体床150の上部の領域における温度を感知するように構成される。
【0070】
プロセス800では、ステップ816において、T下流値+デルタT値-T上流値に等しい誤差値を計算する。制御コンピュータ200は誤差値を決定する手段とすることができる。誤差値は上流温度センサ130によって測定された温度と、ステップ802で提供されたT昇華値とステップ812で計算されたデルタT値の合計との差である(すなわち、誤差値=(T昇華+ΔT)-T上流)。
【0071】
プロセス800では、ステップ818において、誤差値に基づいて出力値を計算する。制御コンピュータ200は出力値を計算するための手段とすることができる。出力値は誤差値の大きさに基づく1つまたは複数のデジタルまたはアナログ制御信号であってもよく、上流サーマルデバイス130および/またはキャリアガスヒータ105の動作を調節(例えば、温度出力の増減)して誤差値を最小限にするように構成される。
【0072】
プロセス800では、ステップ820において、出力値に基づいて上流サーマルデバイスを制御する。制御コンピュータ200は上流サーマルデバイスを制御する手段とすることができる。一例において、上流サーマルデバイスはキャリアガスヒータ105であってもよい。制御コンピュータ200は、キャリアガスヒータ105および/または上流サーマルデバイス120の熱を制御するように構成されてもよい。一般に、出力値は現在のT上流値と、プログラムされたT下流値および計算されたデルタT値の合計(すなわち、T下流+ΔT)との差に基づくものであってもよい。制御コンピュータ200はキャリアガスヒータ105および/または上流サーマルデバイス120の温度を変更して、上流温度センサ130の領域内の温度がT下流値および計算されたデルタT値の合計(すなわちT下流+ΔT)と等しくなるように構成される。
【0073】
プロセス800はステップ804に戻ってキャリアガスヒータ105および上流サーマルデバイス120の制御を継続してもよい。
【0074】
動作中、制御コンピュータ200は、T昇華、前駆体材料情報およびキャリアガス情報の受信を含むアルゴリズムでプログラムしてもよい。キャリアガスの流量は所望する値に調節してもよい。アルゴリズムは下流温度(T下流)を測定し、T下流における蒸気圧VP(T下流)を計算し、VP(T下流)/蒸気圧VP(T昇華)に等しい流量比率(f)を計算してもよい。公称圧力(P公称)は、CVDツールコントローラ230、ユーザ、または他のソースから受信してもよい。アルゴリズムは制御信号を圧力コントローラ220に送信して昇華容器圧力を流量比(f)×P公称に等しい値に調節してもよい。アルゴリズムは方程式1を使って、VP(T下流)、昇華容器圧力、昇華熱およびキャリアガスのcp値からΔTを計算してもよい。アルゴリズムは、上流温度センサ130の周囲の領域においてT下流+ΔTと等しくなるように、キャリアガスに(例えばキャリアガスヒータ105および/または上流サーマルデバイス120を介して)エネルギーを加えたり減らしたりしてもよい。アルゴリズムは、上流センサ130および流温度センサ160からの入力に基づいて、上流温度をT下流+ΔTに繰り返し調節してもよい。
【0075】
図9A~
図9Dにはデフレクタ/タービュレータ110の例が示されている。一般に、デフレクタ/タービュレータ110は入ってくるキャリアガスの噴流を前駆体床150に拡散するように設計されている。デフレクタ/タービュレータ110は、均一な温度のキャリアガスが前駆体床150の上流面上に供給されるのを補助するように構成される。例えば、デフレクタ/タービュレータ110は異なる温度でのキャリアガスの定常電流の形成を低減するように構成することができる。デフレクタ/タービュレータ110の種々の設計の例を
図9A~
図9Dに示す。
図9Aはステンレススチールのような適切な材料で作成されたプレート902を示す(しかし、セラミック、プラスチック、またはガラスなどの他の適切な材料を使用してもよい)。丸いプレート902を例として示すが、プレート902は任意の多角形や不規則な形状であってもよい。プレート902の上面は複数の構造体902aによって粗面化され得る。一例において、各構造体の大きさは0.1mmから5mmで、プレートから外側に延在してもよい。一例において、プレート902は、三角錐状のパンチで材料のシートを底から穿孔することによって製造することができる。このプロセスにより、シートから上向きに立ち上がる三角形のタブが形成される。一例において、キャリアガスの入口に隣接するタービュレータプレートの領域は穿孔しなくてもよい。穿孔されていない中央の直径はキャリアガス入口の開口と同じくらい小さくてもよく、ディスク自体と同じくらいの大きさでもよい。
図9Bは金網で構成されたタービュレータ904である。メッシュのピッチは0.1mm~5mmとすることができる。キャリアガスが出てくる場所に隣接するスポットは、プレート904aによって覆われてもよいし、キャリアガスポートの直径と同じくらい小さくてもよいし、メッシュの縁に向かって伸びていてもよい。
図9Cは側壁に穴を有するチューブを備えるタービュレータ906である。一例において、穴の直径は0.1mm~5mmとすることができる。チューブの一端は閉じられ、他端はキャリアガス入口ポートに接続される。一例において、タービュレータ906は、チューブに流入するキャリアガスを分散させるように構成された焼結材料を含んでもよい。
図9Dは直角エルボのタービュレータ908である。
【0076】
図10、および併せて
図3~
図6を参照すると、温度感知チューブ1002を有する前駆体蒸気源の昇華容器(例えばバブラ)1000の例の略図が示されている。
図10の前駆体蒸気源は、
図3および
図6の前駆体蒸気源に温度感知チューブ1002を追加したものである。温度感知チューブ1002は上述のように上流温度センサ130および下流温度センサ160を含んでもよい。温度感知チューブ1002はまた、上流温度センサ130と下流温度センサ160の間に多数の温度センサを含んでもよい。キャップ107は、キャップ107が取り外された際に温度感知チューブ1002を収容するように構成されてもよい(すなわちキャップ107はチューブ1002から独立して取り外すことができる)。一例において、温度感知チューブ1002をキャップ107に固定し、これら2つの構成要素を一緒に取り外せるようにしてもよい。加えて、フランジを介して昇華容器1000にキャップまたは蓋を取り付け、容器(例えばバブラ)の内部に完全にアクセスする際にはこれを取り外すように構成してもよい。
【0077】
図11に示すようなコンピュータシステムは、制御コンピュータ200やCVDツールコントローラのような上述のコンピュータ化装置の一部として組み込まれる。
図11は、本明細書に記載する種々のその他の実施形態によって提供される方法、プロセスおよびアルゴリズムを実行することができるコンピュータシステム2200の一実施形態の略図である。なお、
図11は種々の構成要素の一般的な説明を提供することのみを意図するものであり、そのうちのいずれかまたは全てを適宜利用することができる。従って
図11は、個々のシステム要素が比較的分離された、または比較的統合された状態でどのように実装され得るのかを大まかに示している。
【0078】
コンピュータシステム1100は、バス1105を介して電気的に接続することのできる(または必要に応じて他の方法で通信することができる)ハードウェア要素を含んで示されている。ハードウェア要素は、1つまたは複数の汎用プロセッサおよび/または1つまたは複数の特殊目的プロセッサ(デジタル信号処理チップ、グラフィックアクセラレーションプロセッサなど)を含むがこれらに限定されない1つまたは複数のプロセッサ1110、マウス、キーボードなどを含むがこれらに限定されない1つまたは複数の入力装置1115、および、表示装置、プリンタなどを含むがこれらに限定されない1つまたは複数の出力装置1120を含み得る。
【0079】
コンピュータシステム1100は、1つまたは複数の非一時的記憶装置1125を更に備えることができ(および/またはこれらと通信可能であってもよく)、これらには、ローカルおよび/またはネットワークアクセス可能な記憶装置が含まれるが、これに限定されず、また、ディスクドライブ、ドライブアレイ、光記憶装置、ランダムアクセスメモリ(RAM)および/または読み出し専用メモリ(ROM)などのソリッドステート記憶装置などが含まれるが、これらに限定されない。これらはプログラム可能であり、フラッシュ更新なども可能である。このような記憶装置は、種々のファイルシステム、データベース構造体などを含むが、これらに限定されない任意の適切なデータストアを実装するように構成することができる。
【0080】
また、コンピュータシステム1100は通信サブシステム1130を含んでもよく、これにはモデム、ネットワークカード(無線または有線)、赤外線通信装置、無線通信装置および/またはチップセット(Bluetoothデバイス、802.11デバイス、WiFiデバイス、WiMaxデバイス、セルラ通信設備など)などが含まれるがこれらに限定されない。通信サブシステム1130は、データをネットワーク(一例を挙げると、以下に説明するネットワークなど)、他のコンピュータシステムおよび/または本明細書に記載する他のデバイスと交換できるようにすることができる。多くの実施形態において、コンピュータシステム1100は更にワーキングメモリ1135を含み、これには上述のようなRAMまたはROMデバイスが含まれ得る。
【0081】
またコンピュータシステム1100は、現在ワーキングメモリ1135内に配置されているように示されているソフトウェア要素を含み、これは、オペレーティングシステム1140、デバイスドライブ、実行可能ライブラリ、および/または1つまたは複数のアプリケーションプログラム1145などの他のコードを含み、アプリケーションプログラムは、種々の実施形態によって提供されるコンピュータプログラムを含む、および/または本明細書に記載される他の実施形態によって提供される方法および/またはシステムを実装するように設計することができる。単なる例として、上述の方法に関して記載される1つまたは複数の手順は、コンピュータ(および/またはコンピュータ内のプロセッサ)によって実行可能なコードおよび/または命令として実行することができる。一態様において、このようなコードおよび/または命令は、汎用コンピュータ(または他のデバイス)が上述の方法に従って1つまたは複数の動作を実装するように構成されるように使用することができる。
【0082】
これらの命令および/またはコードのセットは、上述の記憶装置1125などのコンピュータ読み取り可能記憶媒体に記憶することができる。場合によって、記憶媒体をシステム100などのコンピュータに組み込むことができる。他の実施形態において、記憶媒体は、記憶媒体がそこに格納された命令/コードを用いて汎用コンピュータをプログラムする、構成する、および/もしくは適合させるために使用することができるように、コンピュータシステムから分離してもよい(例えばコンパクトディスクなどの取り出し可能な媒体)、かつ/またはインストレーションパッケージ内に設けてもよい。これらの命令は、コンピュータシステム1100によって実行可能なコードの形態をとってもよく、かつ/または、(例えば、一般に入手可能な種々のコンパイラ、インストールプログラム、圧縮/解凍ユーティリティなどを使用して)コンピュータシステム1100にコンパイルおよび/もしくはインストールされる際、実行可能なコードの形態をとる、ソースコードおよび/もしくはインストール可能なコードの形態をとってもよい。
【0083】
特定の要件に従って実質的な変更を行うことができることは当業者に明らかであろう。例えば、カスタマイズされたハードウェアを使用することもでき、および/または特定の要素をハードウェア、(アプレットなどの携帯用ソフトウェアを含む)ソフトウェア、またはその両方に実装することもできる。更に、ネットワーク入出力デバイスなどの他の演算装置への接続を採用することもできる。
【0084】
上述のように、一態様において、実施形態によっては(コンピュータシステム1100などの)コンピュータシステムを採用して、本発明の種々の実施形態に係る方法を実施することができる。一連の実施形態によれば、そのような方法の手順の一部または全ては、ワーキングメモリ1135に含まれる1つまたは複数の命令(オペレーティングシステム1140および/またはアプリケーションプログラム1145などの他のコードに組み込まれ得る)の1つまたは複数の命令のシーケンスを実行するプロセッサ1110に応答して、コンピュータシステム1100によって行われる。このような命令は、1つまたは複数の記憶デバイス1125などの別のコンピュータ読み取り可能媒体からワーキングメモリ1135に読み出すことができる。単に例として、ワーキングメモリ1135に含まれる命令のシーケンスの実行により、プロセッサ1110は本明細書に記載の1つまたは複数の方法の手順を実行することができる。
【0085】
本明細書で使用する「機械可読媒体」および「コンピュータ可読媒体」という用語は、機械を特定の様式で動作させるデータを供給することに関与する任意の媒体を指す。コンピュータシステム1100を用いて実装される実施形態において、種々のコンピュータ可読媒体は、実行のため、プロセッサ1110に命令/コードを供給することに関与することができ、かつ/またはそのような命令/コード(例えば信号)を格納および/もしくは搬送するために使用することができる。多くの実施形態において、コンピュータ可読媒体は、物理的および/または有形の記憶媒体である。そのような媒体は多くの形態をとることができ、このような形態には、不揮発性媒体、揮発性媒体および伝送媒体が含まれるが、これらに限定されない。不揮発性媒体には、例えば、記憶デバイス1125などの光ディスクおよび/または磁気ディスクが含まれる。揮発性媒体には、ワーキングメモリ1135などのダイナミックメモリが含まれるが、これに限定されない。伝送媒体には、バス1105を構成するワイヤを含む同軸ケーブル、銅線、および光ファイバ、ならびに通信サブシステム1130の種々の構成要素(および/または通信サブシステム1130が他のデバイスに通信を供給する媒体)が含まれるが、これらに限定されない。従って、伝送媒体は(無線波および赤外線データ通信中に生成される音波および/または光波を含むがこれらに限定されない)波の形態をとることもできる。
【0086】
物理的および/または有形のコンピュータ可読媒体の一般的な形態としては、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、または任意の他の磁気媒体、CD-ROM、任意の他の光学媒体、RAM、PROM、EPROM、FLASH-EPROM、任意の他のメモリチップまたはカートリッジ、以下に記載するような搬送波、またはコンピュータが命令および/またはコードを読み取ることのできる任意の他の媒体が挙げられる。
【0087】
種々の形態のコンピュータ可読媒体は、実行のために1つまたは複数の命令の1つまたは複数のシーケンスをプロセッサ1110に搬送することに関与することができる。単に例として、命令は最初、リモートコンピュータの磁気ディスクおよび/または光ディスクに記憶させることができる。リモートコンピュータはその命令をダイナミックメモリにロードし、コンピュータシステム1100によって受信および/または実行されるよう、伝送媒体を介して、その命令を信号として送信することができる。電磁信号、音響信号、光学信号などの形態であり得るこれらの信号は全て、本発明の種々の実施形態に従って命令が符号化され得る搬送波の例である。
【0088】
通信サブシステム1130(および/またはその構成要素)は一般に信号を受信し、その後バス1105は信号(および/または信号で搬送することのできるデータ、命令など)をワーキングメモリ1135に搬送し、そこからプロセッサ1105は命令を検索して実行する。ワーキングメモリ1135によって受信された命令は、プロセッサ1110による実行の前または後に、任意選択で記憶装置1125に記憶され得る。
【0089】
他の例および実施形態は、本開示および添付の特許請求の範囲よび精神の範囲内である。例えば、ソフトウェアおよびコンピュータの性質上、上述の機能は、プロセッサによって実行されるソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、配線またはこれらのいずれかの組み合わせを使って実装することができる。機能を実装する機能は、機能の一部が異なる物理的場所において実装されるように分散されるなど、種々の位置に物理的に配置させてもよい。
【0090】
また、本明細書で使用する、「~のうちの少なくとも1つ」または「~のうちの1つまたは複数」に続く項目の列挙で使用される「または」は、離接的な列挙を示し、例えば、「A,BまたはCのうちの少なくとも1つ」、「A,BまたはCのうちの1つまたは複数」、または「A,BまたはC、またはその組み合わせ」は、A、BもしくはC、またはAB、ACもしくはBC、またはABC(すなわち、A,BおよびC)、または1つ以上の特徴の組み合わせ(例えば、AA,AAB,ABBCなど)を示す。
【0091】
本明細書で使用される場合、別段の記載がない限り、機能または動作が項目または条件に「基づく」という記載は、機能または動作が記載された項目または条件に基づくことを意味し、記載された項目または条件に加えて、1つまたは複数の項目および/または条件に基づいてもよい。
【0092】
特定の要件に従って大幅な変更を加えてもよい。例えば、カスタマイズされたハードウェアを使用することもできる、および/または特定の要素をハードウェア、ソフトウェア(アプレットなどの携帯ソフトウェアを含む)またはそのどちらにも実装することができる。また、ネットワーク入出力装置などの他のコンピューティング装置への接続を採用してもよい
【0093】
上述の方法、システムおよび装置は例である。種々の構成において、必要に応じ、種々の手順または構成要素を省略、置換または追加してもよい。例えば、代替の構成において、方法は記載されたものと異なる順序で実行してもよく、種々のステップを追加、省略、または組み合わせることもできる。また、特定の構成に関して記載された機能は、種々の他の構成に組み合わせてもよい。構成の異なる態様および要素は、同様の方法で組み合わせてもよい。また、技術は進化するので、要素の多くは例であり、開示またはクレームを限定するものではない。
【0094】
構成例(実装を含む)を完全に理解することができるように、具体的な詳細を記載している。しかしながら、構成はこれらの具体的な詳細なく実施することができる。例えば、周知の回路、プロセス、アルゴリズム、構造および手法は、構成を不明瞭にしないように不必要な詳細を示していない。この説明は例示的な構成のみを提供し、特許請求の範囲、適用性、または構成を限定するものではなく、むしろ、前述の構成の説明は、記載された手法を実装するための説明を提供するものである。本開示の精神または範囲から逸脱することなく、機能および要素の配置に種々の変更を行うことができる。
【0095】
また、構成は、フローチャートまたはブロック図として示されるプロセスとして記載されてもよい。これらの図はそれぞれ動作を連続的なプロセスとして説明することができるが、いくつかの動作を並行して、または同時に実行してもよい。更に動作の順番を並べ替えてもよい。プロセスは図に含まれない追加のステップまたは機能を有してもよい。更に、本方法の例は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語またはそれらの任意の組み合わせによって実装することができる。ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェアまたはマイクロコードで実装される場合、タスクを実行するプログラムコードまたはコードセグメントは、記憶媒体などの非一時的コンピュータ可読媒体に記憶することができる。プロセッサは記載されたタスクのうちの1つまたは複数のタスクを実行することができる。
【0096】
図に示されるおよび/または本明細書で接続、連結(例えば通信可能に接続)または相互に通信するように説明される構成要素、機能などは、動作可能に接続させることができる。すなわち、それらはそれらの間の信号伝達を可能にするために、直接的または間接的に、有線および/または無線で接続させることができる。
【0097】
いくつかの例示的な構成を説明したが、本開示の趣旨から逸脱することなく、種々の変更形態、代替的な構成、および同等物を使用することができる。例えば、上述の要素はより大きなシステムの構成要素であってもよく、他の規則を本発明の出願に優先させるか、または本発明の出願を変更してもよい。また、上述の要素を考慮する前、その間、またはその後に、多くの動作を行ってもよい。従って、上述の説明は特許請求の範囲を限定するものではない。
【0098】
本明細書で使用される「約」および/または「およそ」は、量、持続時間などの測定可能な値に言及する場合、本明細書に記載するシステム、デバイス、回路、方法および他の実施形態の文脈において適切なように、指定された値から±20%、±10%、±5%、または+0.1%の変動を含む。本明細書で使用される「実質的に」は、量、持続時間などの測定可能な値に言及する場合、本明細書に記載されるシステム、デバイス、回路、方法および他の実施形態の文脈において適切なように、指定された値から±20%、±10%、±5%、または+0.1%の変動を含む。
【0099】
更に、2つ以上の発明を開示することもできる。