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特許7576465車両用オーディオ装置及び車両用オーディオ装置の動作方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-23
(45)【発行日】2024-10-31
(54)【発明の名称】車両用オーディオ装置及び車両用オーディオ装置の動作方法
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/12 20060101AFI20241024BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20241024BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20241024BHJP
   H04S 7/00 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
H04R3/12 A
B60R11/02 S
H04R3/00 310
H04S7/00 300
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020561920
(86)(22)【出願日】2019-06-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 DE2019100591
(87)【国際公開番号】W WO2020007405
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2022-05-27
【審判番号】
【審判請求日】2024-02-13
(31)【優先権主張番号】102018211127.8
(32)【優先日】2018-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】398037767
【氏名又は名称】バイエリシエ・モトーレンウエルケ・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【弁理士】
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】シュヴァルム・マイク
(72)【発明者】
【氏名】ブルマー・マルク
(72)【発明者】
【氏名】ラホール・ユリウス
(72)【発明者】
【氏名】キュセル・イヴォンヌ
【合議体】
【審判長】高橋 宣博
【審判官】伊藤 隆夫
【審判官】樫本 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-058743(JP,A)
【文献】特開2017-068641(JP,A)
【文献】特開2016-151770(JP,A)
【文献】特開2014-151728(JP,A)
【文献】特開2017-007469(JP,A)
【文献】特開2012-076623(JP,A)
【文献】特開2007-334609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/02
H04R 3/00
B60R 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(100)用のオーディオ装置(1)であって、このオーディオ装置(1)は、
車両の内部空間(101)内に三次元の聴取体験を実現することが可能であるように立体的に配置された複数のスピーカー(41,42,43,44)を有するスピーカーシステムと、
このスピーカーシステムと接続された制御ユニット(2)であって、スピーカーシステムの少なくとも一つのスピーカー(41,42,43,44)を駆動して、所定の位置(50)に関連付けられた位置特有の警報信号(3)を再生するように構成された制御ユニットと、
を備え、
この制御ユニット(2)は、位置特有の警報信号(3)を再生するために、所定の位置(50)に最も近い、スピーカーシステムの一つ又は複数のスピーカー(42,44)だけを駆動する当該オーディオ装置において、
前記の制御ユニット(2)が、更に、車両(100)の周囲で検出された物体(15)の加速度及び/又は重量に関するオブジェクトデータ(150)と、車両(100)の周囲で検出された物体(15)の大きさ、長さ、幅、深さ、一貫性、速度うちの少なくとも1つに関するオブジェクトデータ(150)を受信して、受信したオブジェクトデータ(150)に応じて位置特有の警報信号(3)の内容を変更するように構成されている当該オーディオ装置。
【請求項2】
前記の位置特有の警報信号(3)が、車両の内部空間(101)内の所定の位置に関連付けられている請求項1に記載のオーディオ装置。
【請求項3】
前記の位置特有の警報信号(3)は、スピーカーシステムを介して送出されるオーディオ信号の音響設定が所定の位置(50)に最も近い、スピーカーシステムの一つ又は複数のスピーカー(42,44)において変更されることによって生成される請求項1又は2に記載のオーディオ装置。
【請求項4】
前記の音響設定が、オーディオ信号の低域と高域に関する設定を含み、この音響設定が低域の上昇又は低下と高域の上昇又は低下の中の一つ以上によって変更される請求項3に記載のオーディオ装置。
【請求項5】
前記の複数のスピーカーが、車両シートスピーカー(41)を有し、各車両シート(5)に少なくとも一つの車両シートスピーカー(41)が配備されており、
前記の位置特有の警報信号(3)が安全ベルト注意喚起信号(3)であり、
前記の制御ユニット(2)が、安全ベルト注意喚起信号(3)を再生するために、その安全ベルト注意喚起信号(3)が決定された車両シート(50)に配備された一つの車両シートスピーカー(42)又は複数の車両シートスピーカー(42)だけを駆動する請求項1~4のいずれか1項に記載のオーディオ装置。
【請求項6】
前記の複数のスピーカーが、タイヤスピーカーを有し、各タイヤに少なくとも一つのタイヤスピーカーが配備されており、
前記の位置特有の警報信号(3)が、タイヤ充填圧損失信号又はタイヤ故障信号であり、
前記の制御ユニット(2)が、タイヤ充填圧損失信号又はタイヤ故障信号を再生するために、そのタイヤ充填圧損失信号又はタイヤ故障信号が決定されたタイヤに配備された一つのタイヤスピーカー又は複数のタイヤスピーカーだけを駆動する請求項1~5のいずれか1項に記載のオーディオ装置。
【請求項7】
前記の複数のスピーカーが、フラップスピーカー(43,44)を有し、各フラップ(5)に少なくとも一つのフラップスピーカー(43,44)が配備されており、
前記の位置特有の警報信号が、フラップ(5)が開いた状態を信号で伝えるフラップ信号(3)であり、
前記の制御ユニット(2)が、フラップ信号(3)を再生するために、そのフラップ信号(3)が決定されたフラップ(50)に配備された一つのフラップスピーカー(44)又は複数のフラップスピーカー(44)だけを駆動する請求項1~6のいずれか1項に記載のオーディオ装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のオーディオ装置を備えた車両。
【請求項9】
車両の内部空間(101)内に三次元の聴取体験を実現することが可能であるように立体的に配置された複数のスピーカー(4)を有するスピーカーシステムを備えた、車両(100)用のオーディオ装置(1)を動作させる方法であって、
この方法が、スピーカーシステムの複数のスピーカーの中の少なくとも一つを駆動して、所定の位置に関連付けられた位置特有の警報信号を再生する工程を有し、
所定の位置に最も近い、複数のスピーカーの中の一つ又は複数のスピーカーだけが駆動される当該方法において、
制御ユニット(2)が、車両(100)の周囲で検出された物体(15)の加速度及び/又は重量に関するオブジェクトデータ(150)と、車両(100)の周囲で検出された物体(15)の大きさ、長さ、幅、深さ、一貫性、速度うちの少なくとも1つに関するオブジェクトデータ(150)を受信して、受信したオブジェクトデータ(150)に応じて位置特有の警報信号(3)の内容を変更する当該方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のオーディオ装置及び車両用のオーディオ装置を動作させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術により、最新の車両が規模を一層拡大する益々多くの車両機能及び車両支援機能を有することが知られている。それらの車両機能及び車両支援機能は、運転者に所定の状況を気付かせる、或いは所定の行動を要求する様々な信号音、指示音及び警報音を有する。それらの音は、通常車両のオーディオシステムを介して鳴らされる。多数の異なる音と異なる機能のために、運転者が如何なる状況を指示されているのか、或いは如何なる行動を要求されているのかを正確には分からなくなっている。そして、運転者が、例えば、ディスプレイでの表示などの表示された映像信号を更に参照することによって、それを確かめることは珍しくない。
【0003】
しかし、それによって、運転者は、本来の運転の役目から気を逸らしてしまい、それにより、安全性のリスクが生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、従来技術の欠点を少なくとも部分的に克服した車両用のオーディオ装置及び車両用のオーディオ装置を動作させる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、独立請求項の特徴によって解決される。有利な実施構成は、従属請求項に記載されている。独立請求項に従属する請求項の追加の特徴が、独立請求項の特徴無しに、或いは独立請求項の特徴の部分集合と組み合わせて、一つの独立請求項、一つの分割出願又は追加出願の対象にすることができる独自の発明及び独立請求項の全ての特徴の組合せに依存しない発明を構成できることを指摘しておきたい。これは、同じく独立請求項の特徴に依存しない発明を構成できる、本明細書に記載された技術的な教えにも言えることである。
【0006】
本発明の第一の観点は、車両用のオーディオ装置に関し、このオーディオ装置はスピーカーシステムを有する。このスピーカーシステムは、車両の内部空間内に三次元の聴取体験を実現することが可能であるように立体的に配置された複数のスピーカーを有する。このオーディオ装置は、更に、スピーカーシステムと接続された制御ユニットを有し、この制御ユニットは、スピーカーシステムの少なくとも一つのスピーカーを駆動して、所定の位置に関連付けられた位置特有の警報信号を再生するように構成されている。この場合、制御ユニットは、位置特有の警報信号を再生するために、所定の位置に最も近い、スピーカーシステムの一つ又は複数のスピーカーだけを駆動する。
【0007】
本発明の第二の観点は、車両の内部空間内に三次元の聴取体験を実現することが可能でるように立体的に配置された複数のスピーカーを有するスピーカーシステムを備えた、車両用のオーディオ装置を動作させる方法に関する。この方法は、スピーカーシステムの複数のスピーカーの中の少なくとも一つを駆動して、所定の位置に関連付けられた位置特有の警報信号を再生する工程を有する。この場合、所定の位置に最も近い、複数のスピーカーの中の一つ又は複数のスピーカーだけが駆動される。
【0008】
本明細書において意味する「車両」とは、人及び/又は物資を輸送できる如何なる形式の車両であると理解する。その考え得る例は、自動車、貨物自動車、陸上車両、バス、走行キャビン、ロープウェイキャビン、エレベーターキャビン、軌道車両、水上/水中車両(例えば、船、ボート、潜水艦、潜水鐘、ホバークラフト、水中翼船)、空中車両(航空機、ヘリコプター、地面効果翼機、飛行船、気球)である。
【0009】
有利には、この車両は自動車である。その意味における「自動車」とは、線路に連結していない、機械の力で動く陸上車両である。その意味における「自動車」はトラック、オートバイ及び牽引車から成る。
【0010】
本明細書の範囲内において、「接続」、例えば、スピーカーシステムと制御ユニットの間の接続とは、通信接続を意味する。この通信接続は、ワイヤレス接続(例えば、ブルートゥース、WLAN、移動無線)又は(例えば、USBインタフェース、データーケーブルなどを用いた)有線接続であるとすることができる。
【0011】
このオーディオ装置は、複数のスピーカーを備えたスピーカーシステムを有する。この場合、スピーカーは、車両の内部空間内に三次元の聴取体験を実現することが可能であるように立体的に配置される。
【0012】
本明細書において意味する「車両の内部空間」は、車両の乗客室、即ち、車両の乗客が存在する空間、内張り、シート、ベンチシート、ダッシュボード、それ以外の計器、操作部品及び車両のトランクから成る。
【0013】
本明細書において意味する「車両の乗客」は、車両内に存在する生き物、有利には、人である。この場合、車両の乗客が何処に留まっているのか、或いは車両の乗客の動作に関して何が影響するのかは、何の役割も果たさない。
【0014】
「三次元の聴取体験」との用語は、水平方向及び垂直方向における聴取体験を意味する。そのために、異なる音響シーンを生成できるように、オーディオ信号が個々のスピーカーに分配される。一つの考え得る音響シーンは、例えば、音(例えば、音楽、言葉、音響効果)によって包まれているような感覚を聴取者に呼び起こすことができる。同じく、聴取者がそれを所定の物体又は所定の方向に対応付けることができるように、音響シーンを作り出すことができる。それは、例えば、オブジェクトベースのオーディオデータをスピーカーに供給するオーディオ方法を使用することによって実現することができる。
【0015】
この三次元の聴取体験によって、所定の方向又は所定の位置に依存したオーディオ信号を精密に再生することができる。それによって、オーディオ信号が所定の方向又は所定の位置から来ることの直感的な認識が向上される。即ち、スピーカーの所定の配置形態によって、車両の乗客が車両の内部空間内で三次元の聴取体験を経験することができ、その場合に、オーディオ信号が乗客の周りの空間に広がるのか、或いは所定の方向又は所定の位置から到来するのかを区別することができる。
【0016】
位置特有の警報信号を再生するために、制御ユニットは、スピーカーシステムの少なくとも一つのスピーカーを駆動する。言い換えると、制御ユニットは、スピーカーシステムの少なくとも一つのスピーカーに位置特有の警報信号を再生させる。例えば、制御ユニットは、オブジェクトベースのオーディオデータをスピーカーシステムの相応のスピーカーに供給する。
【0017】
上述した通り、制御ユニットは、スピーカーシステムと通信接続されている。「位置特有の警報信号」との用語は、警報信号が所定の位置に関連付けられることを意味する。言い換えると、スピーカーシステムの所定の一つのスピーカーだけ又は所定の複数のスピーカーだけが駆動されて、その結果、車両の乗客が、警報信号が所定の位置から到来することを認識する。即ち、この警報信号がスピーカーシステムの全てのスピーカーを介して再生されるのではなく、個々のスピーカーが、位置特有の警報信号を再生することを目的として選定されて、駆動される。それによって、警報信号が特定の位置に関連付けられているとの印象を聴取者に与える。それによって、聴取者は、警報信号を直感的に特定の位置に対応付けることができる。
【0018】
本明細書では、「警報信号」との用語は、起こり得る危険又は差し迫った危険、或いは目前に迫った行動又は実行すべき行動を指し示す聴取可能な信号であると理解する。
【0019】
有利には、警報信号は、一つ又は複数の所定の車両機能、一つ又は複数の所定の車両機能の動作状態、一つ又は複数の所定の車両部分及び一つ又は複数の車両部分の状態の中の一つ以上に関係する。
【0020】
車両機能の例は、タイヤの空気圧測定、シートの占有、車両の乗客の安全ベルトの着用、障害物の検知、死角に有る障害物の検知、側面衝突の検知、前面衝突の検知、後面衝突の検知、物体の検知、周囲状況の検知などである。
【0021】
車両部分の例は、フラップ、ウィンドウ、充電キャップ、テールゲート、エンジンフード、トランクルームリッド、充電ルームリッド、引戸式ルーフ、折畳式ルーフ、燃料キャップ、ドア、幌、車両のシートベルト、タイヤ、車両のシートなどである。
【0022】
本明細書において意味する「制御ユニット」とは、例えば、信号及び/又はデータの形の情報を受信、処理、出力するために、場合によっては、保存するために配備されたセンターシステム又は分散システムであると理解する。この制御ユニットは、車両内の機器、例えば、車載コンピュータ、ナビゲーション機器、インフォテイメントシステムなどであるとすることができる。それに代わって、この制御ユニット又は制御ユニットの個々の部分は、外部機器及び/又は移動端末機器であるとすることができる。本明細書において意味する「制御ユニット」は、特に、少なくとも、一つのセンサー処理ユニット(CPU、マイクロコントローラーなど)と、場合によっては、一つの記憶装置とを有する。更に、この制御ユニットは、センター処理ユニットによる処理のために、受信した情報を編集することと、特に、データ伝送システム(例えば、BUSシステム)を介して出力するために(即ち、伝送するために)出力すべき情報を前処理することとの中の一つ以上を実施する符号器及び/又は復号器を備えることができる。
【0023】
位置特有の警報信号を再生するために、所定の位置に最も近い一つのスピーカー又は複数のスピーカーだけが駆動される。言い換えると、車両の乗客に警報信号がそこから到来したと認識させる場所に最も近いスピーカーだけが駆動される。
【0024】
ここで述べる車両用のオーディオ装置によって、車両の乗客に直感的に警報信号を認識させて、その信号を判別させるとともに、場合によっては、それに対応する措置を執らせることができる。それによって、車両の運転者は、例えば、車両を運転する役目から不必に注意を逸らされなくなる。
【0025】
ここで述べる別の実施構成と組み合わせることができる実施構成では、位置特有の警報信号が車両の内部空間内の所定の位置に関連付けられる。即ち、この警報信号は、車両の内部空間内の所定の位置に関係する。言い換えると、この警報信号は、その信号が車両の内部空間内の所定の位置から到来するとの感覚を車両の乗客に呼び起こす。そのために、車両の内部空間内において所定の位置に最も近い一つのスピーカー又は複数のスピーカーがそれぞれ警報信号を再生するために駆動される。警報信号が、例えば、車両の右後方ドアの「オープンドア」警報音である場合、その車両の右後方ドアの傍の一つのスピーカー又は複数のスピーカーが駆動される。
【0026】
ここで述べる別の実施構成と組み合わせることができる実施構成では、位置特有の警報信号は、所定の位置に最も近い、スピーカーシステムの一つ又は複数のスピーカーにおいて、スピーカーシステムを介して送出されるオーディオ信号の音響設定を変更することによって生成される。言い換えると、警報信号は、送出されるオーディオ信号の音響設定が一つの所定のスピーカー又は複数の所定のスピーカー(即ち、所定の位置に最も近い一つのスピーカー又は複数のスピーカー)においてのみ変更されることによって生成される。これらの音響設定は、音響調整のためのパラメータ、例えば、イコライザーのパラメータから成るとすることができる。これらの音響設定は、例えば、高域、低域及び/又は音量から成るとすることができる。「送出されるオーディオ信号」との用語は、例えば、音楽、ニュース、オーディオブック、電話、ビデオ会議などの連続的に鳴らされるオーディオ信号であると理解する。即ち、オーディオ信号は、スピーカーシステムを介して鳴らされて、例えば、ラジオが流されて、或る時に、一つの所定のスピーカー又は複数の所定のスピーカーにおける音響設定が変更される。車両の乗客は、この変更された音響設定を認識することによって、その変更を直感的に一つの警報信号に対応付けることができる。
【0027】
例えば、進行中の音楽再生は、その音楽再生の音が、特に、運転者に関して、所定の空間方向においてのみ変わるように、位置特有の警報信号の再生に適合させることができる。そのような変更は、例えば、一つの方向に関する再生の動的な周波数適合によって実現することができる。
【0028】
ここで述べる別の実施構成と組み合わせることができる実施構成では、これらの音響設定は、オーディオ信号の低域と高域に関する設定から成るとすることができ、これらの音響設定は、低域の上昇又は低下と高域の上昇又は低下の中の一つ以上によって変更することができる。即ち、車両の乗客は、オーディオ信号の再生中に、一つの所定のスピーカー又は複数の所定のスピーカーにおけるオーディオ信号の音の変化を認識することによって、位置特有の警報信号を認識する。例えば、右後方のスピーカーにおける低域の上昇は、その右後方のスピーカーから来る位置特有の警報信号として認識することができる。更に、全てのスピーカーを介した音楽の再生中に、右前方(即ち、運転助手席)の一つの所定のスピーカーにおいてのみ明らかに聴取可能な形で音楽再生の高域を上昇させた場合、車両の乗客は、その右前方での変化を認識して、それを位置特有の警報信号に対応付けることができる。
【0029】
変更された音響設定により生成される警報信号に追加して、別の警報信号、例えば、より大きな信号音を一つ又は複数のスピーカーを介して再生することができる。それによって、警報信号の認識が一層強化される。
【0030】
ここで述べる別の実施構成と組み合わせることができる実施構成では、制御ユニットが、更に、車両の周囲で検出された物体に関するオブジェクトデータを受信して、受信したオブジェクトデータに基づき位置特有の警報信号の内容を変更するように構成される。
【0031】
車両の周囲に有る物体の例は、歩行者、子供、成人、車椅子に乗った人、自転車に乗った人、駐車自動車、植物の鉢、動物、猫などである。
【0032】
「オブジェクトデータ」との用語は、物体を記述するデータを意味する。そのようなオブジェクトデータの例は、大きさ、長さ、幅、深さ、一貫性、速度、加速度、重量などである。
【0033】
「周囲」との用語は、車両の周りを巡る近傍の周辺領域を意味する。近傍の周辺領域は、車両の中心を原点と仮定して、車両の周りを巡る半径3~6m、有利には、2~5の領域に関する。
【0034】
車両の周囲で検出された物体に関するオブジェクトデータは、車両内、車両上及び車両外の中の一つ以上に配置された検出機器によって検出することができる。そのために、検出機器は、センサーシステムを備えることができる。このセンサーシステムは、超音波センサー、レーダーセンサー(例えば、短距離レーダーセンサー、長距離レーダーセンサー)、ライダーセンサー、熱画像カメラシステム、ビデオシステム及び画像センサー(例えば、カメラ)から成る機器の中の少なくとも一つを有する。このセンサーシステムのデータ(即ち、この場合、オブジェクトデータ)は、前記の機器の中の一つ又は前記の機器の中の複数の組合せ(センサーデータの融合)から由来することができる。
【0035】
オブジェクトデータを受信するために、検出機器は、制御ユニットと接続されている。
【0036】
受信したオブジェクトデータに応じて、位置特有の警報信号の内容が変更される。「位置特有の警報信号の内容」との用語は、警報信号の旋律、音響シーケンス、音色及び長さの中の一つ以上を意味する。位置特有の警報信号の内容毎に、一つの所定の物体又は一つの所定のオブジェクトクラスを推測することができる。
【0037】
位置特有の警報信号は、例えば、車両に近付く自転車に乗った人に関する警報を発するために、自転車のベルを鳴らすことから成るとすることができる。更に、位置特有の警報信号は、車両の周囲に居る子供を指し示すために、子供の笑い声から成るとすることができる。位置特有の警報信号は、例えば、近付いて来る踏切を気付かせるために、列車の騒音から成るとすることができる。位置特有の警報信号の内容に関する別の例は、所定の騒音、例えば、開いているドア又は開いているテールゲートを気付かせるブザー音又は号笛である。
【0038】
この場合、警報音の種類(即ち、警報信号の内容)は、所定の車両機能又は所定の車両部分を推測させることができる。それによって、車両の乗客は、警報信号が決定された車両機能及び/又は車両部分を直感的に推測することができる。
【0039】
即ち、位置特有の警報信号の内容は、何に対する警報であるのかに関する推測を与える。位置を特定して警報信号を再生することによって、更に、警報が発せられた位置及び方向に関する情報が伝えられる。そのため、車両の乗客は、警報に関する情報を直感的に取得する。
【0040】
ここで述べる別の実施構成と組み合わせることができる実施構成では、制御ユニットは、位置特有の警報信号のフローを再生するように構成され、制御ユニットは、位置特有の警報信号のフローを再生するために、スピーカーシステムの少なくとも二つのスピーカーを順番に駆動する。言い換えると、位置特有の警報信号のフローを再生するために、先ずは一つのスピーカーで位置特有の警報信号が再生され、その後、スピーカーが切り替えられて、位置特有の警報信号が再生される。即ち、位置特有の警報信号のフローの再生は、二つ以上のスピーカーで同時に鳴らされるのではなく、二つ以上のスピーカーで順番に鳴らされる。この場合、スピーカーを切り替える場合に、二つ以上のスピーカーで警報信号を短時間に同時に再生させる結果となる可能性が有る。言い換えると、一つのスピーカーでの再生を別のスピーカーでの再生に移行することができる(クロスフェード)。
【0041】
位置特有の警報信号のフローの例は、最初に右後方のスピーカーで自転車のベルを再生して、右前方のスピーカーでの自転車のベルの再生に続けることである。それによって、車両の傍を通過して走る自転車に乗った人をシミュレーションして、車両の乗客に警報を発することができる。
【0042】
ここで述べる別の実施構成と組み合わせることができる実施構成では、制御ユニットは、更に、車両の周囲で検出された物体に関するオブジェクトデータを受信して、受信したオブジェクトデータに応じて、検出した物体に最も近い、スピーカーシステムの一つ又は複数のスピーカーにおいて、スピーカーシステムを介して送出されるオーディオ信号の音響設定を変更するように構成される。それに続いて、制御ユニットは、そのように生成される位置特有の警報信号の内容を変更することができる。ここで述べる用途の例は、自転車に乗った人が車両の周囲に近付くことである。第一に運転者を不必要に苛立たせないようにするために、位置特有の警報信号は、先ずは自転車に乗った人に最も近いスピーカーにおいて、そのスピーカーでのオーディオ再生の高域を低下させることによって生成される。運転者がこの警報信号に反応しない場合、その時点で自転車に乗った人に最も近いスピーカーを介して、自転車のベルを警報信号として送出することができる。
【0043】
ここで述べる別の実施構成と組み合わせることができる実施構成では、オーディオ装置は、所定の内容を所定の車両機能及び/又は所定の車両部分に対応付けるための警報信号の内容の所定の選定を提供するように構成された選択ユニットを有する。言い換えると、この選択ユニットによって、所定の車両部分、例えば、車両ドアに、警報信号の所定の内容、例えば、ファンファーレメロディーを対応付けることができる。例えば、開いている車両ドアに関する警報信号が鳴らされた場合、ファンファーレメロディーが鳴り響く。このファンファーレメロディーは、それぞれ開いている車両ドアに最も近い一つのスピーカー又は複数のスピーカーでのみ鳴り響く。
【0044】
別の実施構成では、選択ユニットにより提供される、警報信号の内容の所定の選択は、自由に構成することができる。例えば、開いている車両ドアに関する警報信号をブザー音として構成し、車両の周囲で検知された犬に関する警報信号を犬の吠える声として構成することができる。
【0045】
ここで述べる別の実施構成と組み合わせることができる実施構成では、複数のスピーカーが車両シートスピーカーから成る。各車両シートに少なくとも一つの車両シートスピーカーが配備される。位置特有の警報信号は、安全ベルト注意喚起信号である。制御ユニットは、安全ベルト注意喚起信号を再生するために、安全ベルト注意喚起信号が決定された車両シートに配備された一つ又は複数の車両シートスピーカーだけを駆動する。
【0046】
各車両シートに少なくとも一つの車両シートスピーカーが配備される。この「配備」との用語は、各車両シートの近くに一つ又は複数の車両シートスピーカーを配置することから成る。例えば、各車両シートの中又は上に一つ又は複数の車両シートスピーカーを取り付けることができる。それに代わって、或いはそれに追加して、各車両シートの上方のヘッドライナー領域内に一つ又は複数の車両シートスピーカーを配置することができる。それに代わって、或いはそれに追加して、各車両シートの下方のフロア領域内に一つ又は複数の車両シートスピーカーを配置することができる。それに代わって、或いはそれに追加して、各車両シートの傍のサイドリムパネル内に一つ又は複数の車両シートスピーカーを配置することができる。各車両シートの近くに車両シートスピーカーを配置することによって、車両の乗客が、各車両シートから由来する警報信号として、安全ベルト注意喚起信号を認識することができる。
【0047】
ここで述べる別の実施構成と組み合わせることができる実施構成では、複数のスピーカーがタイヤスピーカーから成る。各タイヤに少なくとも一つのタイヤスピーカーが配備される。位置特有の警報信号は、タイヤ充填圧損失信号又はタイヤ故障信号である。制御ユニットは、タイヤ充填圧損失信号又はタイヤ故障信号を再生するために、タイヤ充填圧損失信号又はタイヤ故障信号が決定されたタイヤに配備された一つのタイヤスピーカー又は複数のタイヤスピーカーだけを駆動する。各タイヤの近くにタイヤスピーカーを配置することによって、車両の乗客が、それぞれ故障したタイヤから由来する警報信号として、タイヤ充填圧損失信号又はタイヤ故障信号を直感的に認識することができる。
【0048】
各タイヤに少なくとも一つのタイヤスピーカーが配備される。この「配備」との用語は、各タイヤの近くに一つ又は複数のタイヤスピーカーを配置することから成る。例えば、右前方のタイヤ(即ち、運転助手側のタイヤ)に配備される一つのタイヤスピーカー又は複数のタイヤスピーカーは、運転助手側のダッシュボード内、運転助手側のサイドリムパネルの中又は上、運転助手側のヘッドライナー領域内、運転助手側のフロア領域内、並びに運転助手用車両シートの中又は上の中の一つ以上に配置することができる。
【0049】
ここで述べる別の実施構成と組み合わせることができる実施構成では、複数のスピーカーがフラップスピーカーから成る。各フラップに少なくとも一つのフラップスピーカーが配備される。位置特有の警報信号は、フラップが開いている状態を信号で伝えるフラップ信号である。制御ユニットは、フラップ信号を再生するために、そのフラップ信号が決定されたフラップに配備された一つのフラップスピーカー又は複数のフラップスピーカーだけを駆動する。
【0050】
本明細書において意味する「フラップ」の例は、充電キャップ、テールゲート、エンジンフード、トランクルームリッド、充電ルームリッド、引戸式ルーフ、折畳式ルーフ、燃料キャップ、ドア、ウィンドウ、幌などである。
【0051】
有利には、このフラップはドアである。前方のドアは、車両の前方部分に、即ち、運転者側又は運転助手側に配置される。後方のドアは、車両の後方部分に、即ち、後部領域に配置される。
【0052】
フラップ信号は、フラップが開いた状態を信号で伝える。フラップが開いた状態の例は、開いたドア、開いた燃料キャップ、開いたテールゲート、開いた引戸式ルーフ、開いたウィンドウなどである。
【0053】
各フラップに少なくとも一つのフラップスピーカーが配備される。この「配備」との用語は、各フラップの近くに一つ又は複数のフラップスピーカーを配置することから成る。例えば、運転者用ドアに配備されるフラップスピーカーは、運転者側のダッシュボード内、運転者側のサイドリムパネルの中又は上及び運転者用シートの中又は上の中の一つ以上に配置される。テールゲートに配備されるフラップスピーカーは、例えば、トランクルームに張られたルーフ内張りの中又は上に配置することができる。
【0054】
別の実施構成では、オーディオ装置の前述した実施構成の中の一つ又は組合せを有する車両が提供される。
【0055】
本発明の第一の観点に基づく車両用のオーディオ装置に関する前記の説明は、相応の手法により、本発明の第二の観点に基づく車両用のオーディオ装置を動作させる方法に対しても成り立ち、本発明による方法の有利な実施例は、ここで述べた本発明によるオーディオ装置の有利な実施例に対応する。ここで明示的に述べない本発明による方法の有利な実施例は、ここで述べた本発明によるオーディオ装置の有利な実施例に対応する。
【0056】
本発明の更に別の利点、特徴及び詳細は、以下における有利な実施例の記述から、並びに図面に基づき明らかになる。本明細書において前に述べた特徴及び特徴の組合せ、並びに以下において図面の記述で述べる特徴及び特徴の組合せ及び/又は図面にのみ図示された特徴及び特徴の組合せは、本発明の範囲を逸脱すること無く、それぞれ提示された組合せだけでなく、それ以外の組合せ又は単独でも適用することが可能である。
【0057】
以下において、添付図面の助けを借りて、実施例に基づき本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1】一つの実施構成に基づく車両用のオーディオ装置の模式図
図2】一つの実施構成に基づく車両用のオーディオ装置の模式図
図3】一つの実施構成に基づく車両用のオーディオ装置の模式図
【発明を実施するための形態】
【0059】
図1は、オーディオ装置1を有する車両100を図示している。この車両100は、車両の内部空間101内に五つの車両シート5,50を有し、二つの車両シート5が車両100の前方部分に配置され、三つの車両シート5,50が車両100の後方部分に配置されている。このオーディオ装置1は、複数のスピーカー41,42を備えたスピーカーシステムを有する。これらのスピーカー41,42は、車両の内部空間101内に三次元の聴取体験を実現できるように配置されている。これらのスピーカーの中の幾つかは、車両シートスピーカー41,42である。車両シートスピーカー41,42は、所定の車両シート5,50の所又は傍に配置されたスピーカーである。これらの車両シートスピーカー41,42は、車両の乗客がオーディオ信号を所定の車両シート5,50に対応付けることができるように、車両の内部空間101内でオーディオ信号を鳴らす役割を果たす。このオーディオ装置1は、更に、スピーカーシステムと通信接続された制御ユニット2を有する。この制御ユニット2は、例えば、警報信号などのオーディオ信号を鳴らすために、スピーカーシステムのスピーカー41,42を駆動する。安全ベルト注意喚起信号3を鳴らすために、制御ユニット2は、安全ベルト注意喚起信号3が決定された車両シート50に配備された車両シートスピーカー42だけを駆動する。図1に見える通り、右後方の車両シート50の周りの直ぐ近くに有る車両シートスピーカー42が、その所定の車両シート50に配備されている。ここで、車両シート50に関する安全ベルト注意喚起信号3を鳴らす場合、その安全ベルト注意喚起信号3を鳴らすために、車両シートスピーカー42が制御ユニット2によって駆動される。このようにして、運転者又はそれ以外の車両の乗客が、安全ベルト注意喚起信号3が決定された車両シート50が存在する方向から到来する安全ベルト注意喚起信号3を聞くこととなる。それによって、運転者は、右後方の車両シート50上の車両の乗客が留め金を締めていないことを直感的に理解して、その乗客にそのことを指摘することができる。
【0060】
図2は、一つのオーディオ装置1と四つの車両ドア5’、50’を有する車両100を図示している。このオーディオ装置1は、車両の内部空間101内にドアスピーカー43,44を備えたスピーカーシステムを有し、各車両ドア5’,50’に一つのドアスピーカー43,44が配備されている。スピーカーシステムと通信接続された制御ユニット2は、ドアが開いていることを信号で伝えるドア警報信号3’を再生するために、そのドア警報信号3’が決定されたドアスピーカー44だけを駆動する。図2では、車両100の運転助手側ドア50’が開いている。ここで、運転助手側ドア50’に対して決定されたドア警報信号3’を鳴らす場合、制御ユニット2は、ドアスピーカー44を駆動する。運転助手側ドア50’の方向から警報信号が鳴り響くことによって、車両100の運転者は、その警報信号を、運転助手側ドア50’が開いていることに直感的に対応付けることができる。
【0061】
図3は、車両の内部空間101内に四つのスピーカー45,46から成るスピーカーシステムを備えたオーディオ装置1を有する車両100を図示している。このスピーカーシステムは、位置特有の警報信号3’’を再生するために、制御ユニット2と通信接続されている。この制御ユニット2は、更に、検出機器6と通信接続されている。この検出機器6は、センサーシステムを有し、車両100の周囲に有る物体を検出するように構成されている。例えば、自転車に乗った人15が車両100の右後方の周囲50’’において検出機器6により検知された場合、それに対応するオブジェクトデータ150が検出機器6から制御ユニット2に送信される。それに続いて、制御ユニット2は、右後方の周囲50’’に最も近いスピーカー46に自転車のベルを鳴らさせる。それによって、車両の乗客、特に、運転者は、右後方から近付いて来る自転車に乗った人に関する警報を直感的に受けることができる。検出機器6が、自転車に乗った人15が非常に速く車両100に近付いて来ることを検知した場合、より大きく及び/又はより速く自転車のベル3’’を再生する、即ち、より大きく及び/又はより速く音響シーケンスを鳴らすことができる。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下の構成も包含し得る:
1.
車両(100)用のオーディオ装置(1)であって、このオーディオ装置(1)は、
車両の内部空間(101)内に三次元の聴取体験を実現することが可能であるように立体的に配置された複数のスピーカー(41,42,43,44)を有するスピーカーシステムと、
このスピーカーシステムと接続された制御ユニット(2)であって、スピーカーシステムの少なくとも一つのスピーカー(41,42,43,44)を駆動して、所定の位置(50)に関連付けられた位置特有の警報信号(3)を再生するように構成された制御ユニットと、
を備え、
この制御ユニット(2)は、位置特有の警報信号(3)を再生するために、所定の位置(50)に最も近い、スピーカーシステムの一つ又は複数のスピーカー(42,44)だけを駆動する当該オーディオ装置。
2.
前記の位置特有の警報信号(3)が、車両の内部空間(101)内の所定の位置に関連付けられている上記1に記載のオーディオ装置。
3.
前記の位置特有の警報信号(3)は、スピーカーシステムを介して送出されるオーディオ信号の音響設定が所定の位置(50)に最も近い、スピーカーシステムの一つ又は複数のスピーカー(42,44)において変更されることによって生成される上記1又は2に記載のオーディオ装置。
4.
前記の音響設定が、オーディオ信号の低域と高域に関する設定を含み、この音響設定が低域の上昇又は低下と高域の上昇又は低下の中の一つ以上によって変更される上記3に記載のオーディオ装置。
5.
前記の制御ユニット(2)が、更に、車両(100)の周囲で検出された物体(15)に関するオブジェクトデータ(150)を受信して、受信したオブジェクトデータ(150)に応じて位置特有の警報信号(3)の内容を変更するように構成されている上記1~4のいずれか1つに記載のオーディオ装置。
6.
前記の複数のスピーカーが、車両シートスピーカー(41)を有し、各車両シート(5)に少なくとも一つの車両シートスピーカー(41)が配備されており、
前記の位置特有の警報信号(3)が安全ベルト注意喚起信号(3)であり、
前記の制御ユニット(2)が、安全ベルト注意喚起信号(3)を再生するために、その安全ベルト注意喚起信号(3)が決定された車両シート(50)に配備された一つの車両シートスピーカー(42)又は複数の車両シートスピーカー(42)だけを駆動する上記1~5のいずれか1つに記載のオーディオ装置。
7.
前記の複数のスピーカーが、タイヤスピーカーを有し、各タイヤに少なくとも一つのタイヤスピーカーが配備されており、
前記の位置特有の警報信号(3)が、タイヤ充填圧損失信号又はタイヤ故障信号であり、
前記の制御ユニット(2)が、タイヤ充填圧損失信号又はタイヤ故障信号を再生するために、そのタイヤ充填圧損失信号又はタイヤ故障信号が決定されたタイヤに配備された一つのタイヤスピーカー又は複数のタイヤスピーカーだけを駆動する上記1~6のいずれか1つに記載のオーディオ装置。
8.
前記の複数のスピーカーが、フラップスピーカー(43,44)を有し、各フラップ(5)に少なくとも一つのフラップスピーカー(43,44)が配備されており、
前記の位置特有の警報信号が、フラップ(5)が開いた状態を信号で伝えるフラップ信号(3)であり、
前記の制御ユニット(2)が、フラップ信号(3)を再生するために、そのフラップ信号(3)が決定されたフラップ(50)に配備された一つのフラップスピーカー(44)又は複数のフラップスピーカー(44)だけを駆動する上記1~7のいずれか1つに記載のオーディオ装置。
9.
上記1~8のいずれか1つに記載のオーディオ装置を備えた車両。
10.
車両の内部空間(101)内に三次元の聴取体験を実現することが可能であるように立体的に配置された複数のスピーカー(4)を有するスピーカーシステムを備えた、車両(100)用のオーディオ装置(1)を動作させる方法であって、
この方法が、スピーカーシステムの複数のスピーカーの中の少なくとも一つを駆動して、所定の位置に関連付けられた位置特有の警報信号を再生する工程を有し、
所定の位置に最も近い、複数のスピーカーの中の一つ又は複数のスピーカーだけが駆動される当該方法。
図1
図2
図3