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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-23
(45)【発行日】2024-10-31
(54)【発明の名称】蛇行報知装置、及び蛇行報知システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 43/02 20060101AFI20241024BHJP
   E21F 13/08 20060101ALI20241024BHJP
   E21D 9/12 20060101ALN20241024BHJP
【FI】
B65G43/02 E
E21F13/08
E21D9/12 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021032434
(22)【出願日】2021-03-02
(65)【公開番号】P2022133641
(43)【公開日】2022-09-14
【審査請求日】2023-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】303057365
【氏名又は名称】株式会社安藤・間
(73)【特許権者】
【識別番号】594145297
【氏名又は名称】タグチ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001335
【氏名又は名称】弁理士法人 武政国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】副島 幸也
(72)【発明者】
【氏名】冨永 秀之
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-037118(JP,U)
【文献】特開2012-006703(JP,A)
【文献】特開2020-132433(JP,A)
【文献】実開昭57-135508(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 43/02
E21F 13/08
E21D 9/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトコンベアの蛇行を伝える装置であって、
蛇行したベルトに接触する接触体と、
前記接触体がベルトに接触したことを検知する検知手段と、
可視光を出力する点灯手段と、
前記点灯手段に可視光を出力させる制御手段と、
前記接触体が蛇行したベルトに接触した連続接触時間を計測する計時手段と、を備え、
前記検知手段が前記接触体のベルト接触を検知すると、前記制御手段が前記点灯手段に可視光を出力させ、
前記制御手段は、前記計時手段が計測した前記連続接触時間に応じて異なる色の可視光を前記点灯手段に出力させる、
ことを特徴とする蛇行報知装置。
【請求項2】
ベルトコンベアの蛇行を伝える装置であって、
蛇行したベルトに接触する接触体と、
前記接触体がベルトに接触したことを検知する検知手段と、
可視光を出力する点灯手段と、
前記点灯手段に可視光を出力させる制御手段と、を備え、
前記検知手段が前記接触体のベルト接触を検知すると、前記制御手段が前記点灯手段に可視光を出力させ、
前記ベルトコンベアに設置すると、前記点灯手段がベルトよりも下方に位置する、
ことを特徴とする蛇行報知装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記ベルトコンベアが稼働中であって前記検知手段が前記接触体のベルト接触を検知していないとき、該検知手段が該接触体のベルト接触を検知したときとは異なる色の可視光を前記点灯手段に出力させる、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の蛇行報知装置。
【請求項4】
前記ベルトコンベアの一部に設置するための基礎本体を、さらに備え、
棒状又は柱状の前記接触体のうち一端が前記基礎本体に固定され、該接触体は固定端周りに該基礎本体に対して回転可能であり、
前記点灯手段は、前記接触体に設けられた、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の蛇行報知装置。
【請求項5】
ベルトコンベアの蛇行を伝えるシステムであって、
前記ベルトコンベアと、
ベルトの側方に間隔を設けて複数個所に設置される蛇行報知装置と、を備え、
前記蛇行報知装置は、蛇行したベルトに接触する接触体と、該接触体がベルトに接触したことを検知する検知手段と、可視光を出力する点灯手段と、該点灯手段に可視光を出力させる制御手段と、該接触体が蛇行したベルトに接触した連続接触時間を計測する計時手段と、を有し、
前記検知手段が前記接触体のベルト接触を検知すると、前記制御手段が前記点灯手段に可視光を出力させ、
前記制御手段は、前記計時手段が計測した前記連続接触時間に応じて異なる色の可視光を前記点灯手段に出力させる、
ことを特徴とする蛇行報知システム。
【請求項6】
ベルトコンベアの蛇行を伝えるシステムであって、
前記ベルトコンベアと、
ベルトの側方に間隔を設けて複数個所に設置される蛇行報知装置と、を備え、
前記蛇行報知装置は、蛇行したベルトに接触する接触体と、該接触体がベルトに接触したことを検知する検知手段と、可視光を出力する点灯手段と、該点灯手段に可視光を出力させる制御手段と、を有し、
前記検知手段が前記接触体のベルト接触を検知すると、前記制御手段が前記点灯手段に可視光を出力させ、
前記点灯手段がベルトよりも下方に位置するように、前記蛇行報知装置が設置された、
ことを特徴とする蛇行報知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、トンネル掘削によって生じたズリを坑口方面に送り出すベルトコンベヤに関するものであり、より具体的には、ベルトの蛇行位置を現地で伝えることができる蛇行報知装置と蛇行報知システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
我が国の国土は、およそ2/3が山地であるといわれており、そのため道路や線路など(以下、「道路等」という。)は必ずといっていいほど山地部を通過する区間がある。この山地部で道路等を構築するには、斜面の一部を掘削する切土工法か、地山の内部をくり抜くトンネル工法のいずれかを採用するのが一般的である。トンネル工法は、切土工法に比べて施工単価(道路等延長当たりの工事費)が高くなる傾向にある一方で、切土工法よりも掘削土量(つまり排土量)が少なくなる傾向にあるうえ、道路等の線形計画の自由度が高い(例えば、ショートカットできる)といった特長があり、これまでに建設された国内のトンネルは10,000を超えるといわれている。
【0003】
山岳トンネルの施工方法としては、昭和50年代までは鋼アーチ支保工に木矢板を組み合わせて地山を支保する「矢板工法」が主流であったが、現在では地山強度を積極的に活かすNATM(New Austrian Tunneling Method)が主流となっている。NATMは、地山が有する強度(アーチ効果)に期待する設計思想が主な特徴であり、そのため従来の矢板工法に比べトンネル支保工の規模を小さくすることができ、しかも施工速度を上げることができることから施工コストを減縮することができる。
【0004】
また我が国におけるNATMは、本格的に実施されて以来、飛躍的に掘削技術が進歩しており、種々の補助工法が開発されることによって様々な地山に対応することができるようになり、さらに掘削機械(特に、自由断面掘削機)の進歩によって発破掘削のほか機械掘削も選択できるようになった。この機械掘削は、掘削断面積や線形にもよるものの一般的には比較的低い強度(例えば、一軸圧縮強度が49N/mm以下)の地山に対して採用されることが多く、一方、対象地山に岩盤が存在する場合はやはり発破掘削が採用されることが多い。
【0005】
さらに、発破掘削によって生じた岩砕(発破により岩盤が小割されたもの)や土砂(以下、これらを総称して「ズリ」という。)を坑外に搬出する方法にもいくつかの種類があり、ダンプトラック等に積載してズリを搬送する「タイヤ式」や、坑内に敷設したレールを利用してズリを搬送する「レール式」、同じく坑内に設置した連続ベルトコンベヤシステムによってズリを搬送する「ベルトコンベヤ式」などが挙げられる。
【0006】
このうちベルトコンベヤ式によるズリ搬送は、概ねトンネル全長(掘削長さ)分の設備を設置する必要があるものの、他の工程(例えば、コンクリート吹付など)との並行実施が可能であることから掘進サイクルを短縮することができるうえ、ダンプトラックのように化石燃料を使用することがないため環境(特に坑内環境)に悪影響を及ぼすことがなく、また掘削延長が長い場合は他の方式よりも経済的に有利であるといった特長がある。そのため、新幹線(例えば、リニア中央新幹線)や高速道路など比較的延長が長いトンネルでは、ズリ搬送方式としてベルトコンベヤ式を採用する傾向にある。
【0007】
通常、連続ベルトコンベヤシステムは、ベルトコンベヤと、移動式破砕機(移動式クラッシャー)、テールピース台車、ベルトストレージ装置、メインドライブ装置等によって構成される。このベルトコンベヤは、坑口側のヘッドプーリーとテールピース台車のテールプーリー間を巡回する無端ベルトであり、つまりヘッドプーリーとテールプーリーが無端ベルトの反転部として機能する。より詳しくは、坑口側のヘッドプーリーで無端ベルトが上面から下面に移るとともに坑口方面の移動から切羽方面への移動に反転し、切羽側のテールプーリーで無端ベルトが下面から上面に移るとともに切羽方面の移動から坑口方面への移動に反転する。これにより、無端ベルトの上面に載せられたズリが坑口近くまで搬送されるわけである。
【0008】
発破では岩盤を比較的大きな塊状に小割りするだけであり、この状態のままベルトコンベヤによって搬送することはできない。そのため、移動式破砕機が発破によって生じた岩塊をさらに細かく破砕する。そして移動式破砕機が破砕した岩砕(ズリ)はテールピース台車のズリ投入部(投入ホッパー)に投入され、さらにベルトコンベヤに載せられて坑口方面に搬送される。テールピース台車にはクローラやタイヤといった自走手段が装備されており、切羽の進行に伴い移動(進行)することができる。テールピース台車が前進するとベルトコンベヤが牽引され、これに伴ってあらかじめベルトストレージ装置に貯蔵されたベルトを順次繰り出しベルトコンベヤを延伸していく。
【0009】
上記したとおり、発破によって生じた岩塊は移動式破砕機に投入されるため、パワーショベルといったずり積機械によって切羽から移動式破砕機まで岩塊を運搬しなければならない。したがって、効率的にズリ搬送作業を行うためには、移動式破砕機とテールピース台車はできるだけ切羽近くに配置する方がよい。ただし発破掘削の場合は、爆風や岩塊の飛来から保護するためある程度(例えば60m程度)切羽から離れて配置される。
【0010】
ところで、連続ベルトコンベヤシステムでは、配置された無端ベルトの平面線形、あるいは積み荷(つまりズリ)の状態によって無端ベルトが一方のフレームに接近するいわゆる「片寄り(蛇行)」が発生することがある。そして、この蛇行が顕著である場合、無端ベルトの傾斜に伴う荷こぼれが生じたり、フレームと接触することで無端ベルトが損傷したりするなど、正常なズリ搬送が困難になることもある。
【0011】
そこで、フレームとの接触による無端ベルトを監視する様々な技術が提案されており、例えば特許文献1では、画像を用いてベルト面の損傷レベルを判定するベルト損傷検出システムについて提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開2018-122995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献1をはじめ、これまでは無端ベルトに既に何らかの不具合(例えば、特許文献1では損傷)が生じたことを検出する技術に注力する傾向にあった。しかしながら、本来は無端ベルトに不具合が生じる前に無端ベルトの蛇行を検知し、適切な対応を講じることによって不具合等を未然に防ぐことが望ましい。ところが、稼働中の連続ベルトコンベヤシステムにおいて自動的あるいは機械的に、しかも即時的に(リアルタイムに)無端ベルトの蛇行を検出することは簡単ではなく、そのため従来は現地(例えば、トンネル掘削現場)にて作業員や監督員等が目視によって監視していた。
【0014】
従来、図31(a)に示すように無端ベルトは比較的低い位置(例えば、トンネルのスプリングライン辺り)に配置されることが多く、そのため作業員等は無端ベルトの蛇行を容易に目視確認することができた。しかしながら近年、坑内を有効利用することを目的として図31(b)に示すように無端ベルトを比較的高い位置(例えば、トンネルの天端辺り)に配置する事例が増えている。この場合、無端ベルトの状態を目視確認するためには高所作業車などを利用する必要がある。すなわち、高所作業車の移動、アウトリガーの設置、作業者用ケージの上昇、作業者等による目視確認、作業者用ケージの降下、アウトリガーの解除、高所作業車の移動といった一連の工程(いわゆる、ストップアンドゴー)を繰り返し行わなければならないが、これでは作業者等に相当の手間と作業時間が強いられるうえ、坑内を移動する車両等にも影響を及ぼすこととなる。
【0015】
他方、株式会社マツシマ メジャテック製の「ベルト片寄スイッチ」や関西オートメイション株式会社製の「ベルト片寄警報スイッチ」といったベルトの蛇行を自動検知する従来技術がある。これらの装置は、ベルトの蛇行を検知すると、監督員詰所や管理棟など現地から離れた場所に伝達するか、あるいは強制的に連続ベルトコンベヤシステムを停止するものである。しかしながら、伝達を受けた作業員等が監督員詰所等から現地まで移動する間には状況が変化していることもあり、現地においてリアルタイムで状況を把握することができず、もちろん適時に対策を講じることもできない。また、安易に連続ベルトコンベヤシステムを停止することも避けなければならない。
【0016】
本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわちベルトの蛇行を現地にてリアルタイムに検出することができる蛇行報知装置と蛇行報知システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本願発明は、ベルトの蛇行を可視光によって伝える、という点に着目してなされたものであり、これまでにない発想に基づいて行われた発明である。
【0018】
本願発明の蛇行報知装置は、ベルトコンベアの蛇行を伝える装置であり、蛇行したベルトに接触する接触体と、接触体がベルトに接触したことを検知する検知手段、可視光を出力する点灯手段、点灯手段に可視光を出力させる制御手段を備えたものである。そして検知手段が接触手段のベルト接触を検知すると、制御手段が点灯手段に可視光を出力させる。
【0019】
本願発明の蛇行報知装置は、接触体が蛇行したベルトに接触した連続接触時間を計測する計時手段をさらに備えたものとすることもできる。この場合、制御手段は、計時手段が計測した連続接触時間に応じて異なる色の可視光を点灯手段に出力させる、
【0020】
本願発明の蛇行報知装置は、ベルトコンベアが稼働中であって検知手段が接触手段のベルト接触を検知していないとき、接触手段のベルト接触検知時とは異なる色の可視光を出力するものとすることもできる。
【0021】
本願発明の蛇行報知装置は、ベルトコンベアの一部に設置するための基礎本体をさらに備えたものとすることもできる。この場合、棒状(あるいは柱状)の接触体のうち一端が基礎本体に固定されるとともに、この接触体は固定端周りに基礎本体に対して回転可能とされ、また点灯手段は接触体に設けられる。なお接触体は、コンベア用のローラー(プーリー)を縦向きに配置したものとすることができる。
【0022】
本願発明の蛇行報知システムは、ベルトコンベアの蛇行を伝えるシステムであり、ベルトコンベアと、本願発明の蛇行報知装置を備えたものである。なお蛇行報知装置は、ベルトの側方であって、その軸方向に間隔を設けて複数個所に設置される。
【0023】
本願発明の蛇行報知システムは、点灯手段がベルトよりも下方に位置するように蛇行報知装置が設置されたものとすることもできる。
【発明の効果】
【0024】
本願発明の蛇行報知装置、及び蛇行報知システムには、次のような効果がある。
(1)可視光が出力されることから、ベルトの設置位置に関わらず、しかも遠方からでも、ベルトの蛇行を現地にてリアルタイムに検出することができる。
(2)高所作業車は、対策を講じるときに限定的に使用される。その結果、作業者等に相当の手間と作業時間を強いることも、坑内を移動する車両等に影響を及ぼすことも抑制することができる。
(3)可視光の連続点灯時間、あるいは点滅状態となった場合の時間間隔(点滅速度)などに基づいて、ベルトの蛇行の頻度やふらつきといった状況や傾向を把握することができる。
(4)棒状(あるいは柱状)の接触体は基礎本体に対して回転可能であり、ベルトの蛇行時に可視光が揺動することから、作業員等はより確認しやすくなる。
(5)監督員詰所や管理棟など現地から離れた場所に伝達するための通信設備を特段必要としないうえ、連続ベルトコンベヤシステムの電力設備等を利用することができることから、設備単体で使用することができ、すなわち比較的容易に増設や減設を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本願発明の蛇行報知装置と、この蛇行報知装置を備えた蛇行報知システムを模式的に示す断面図。
図2】蛇行報知装置の主な構成を示すブロック図。
図3】(a)は左右に配置された2つの固定式蛇行報知装置を模式的に示す断面図、(b)は左右に配置された2つの回転式蛇行報知装置を模式的に示す断面図。
図4】(a)は左右に配置された2つの一体型の固定式蛇行報知装置を模式的に示す断面図、(b)は左右に配置された2つの一体型の回転式蛇行報知装置を模式的に示す断面図。
図5】連続ベルトコンベヤシステムの稼働状況に応じた色で点灯する蛇行報知装置の処理の一例を示すフロー図。
図6】接触体と基礎本体も含めて実線で表した外側タイプの照明装置を示す正面図。
図7】接触体と基礎本体も含めて実線で表した外側タイプの照明装置を示す背面図。
図8】接触体と基礎本体も含めて実線で表した外側タイプの照明装置を示す左側面図。
図9】接触体と基礎本体も含めて実線で表した外側タイプの照明装置を示す右側面図。
図10】接触体と基礎本体も含めて実線で表した外側タイプの照明装置を示す平面図。
図11】接触体と基礎本体も含めて実線で表した外側タイプの照明装置を示す底面図。
図12】接触体と基礎本体は破線で表した外側タイプの照明装置を示す正面図。
図13】接触体と基礎本体は破線で表した外側タイプの照明装置を示す背面図。
図14】接触体と基礎本体は破線で表した外側タイプの照明装置を示す左側面図。
図15】接触体と基礎本体は破線で表した外側タイプの照明装置を示す右側面図。
図16】接触体と基礎本体は破線で表した外側タイプの照明装置を示す平面図。
図17】接触体と基礎本体は破線で表した外側タイプの照明装置を示す底面図。
図18】接触体と基礎本体も含めて実線で表した内側タイプの照明装置を示す正面図。
図19】接触体と基礎本体も含めて実線で表した内側タイプの照明装置を示す背面図。
図20】接触体と基礎本体も含めて実線で表した内側タイプの照明装置を示す左側面図。
図21】接触体と基礎本体も含めて実線で表した内側タイプの照明装置を示す右側面図。
図22】接触体と基礎本体も含めて実線で表した内側タイプの照明装置を示す平面図。
図23】接触体と基礎本体も含めて実線で表した内側タイプの照明装置を示す底面図。
図24】接触体と基礎本体は破線で表した内側タイプの照明装置を示す正面図。
図25】接触体と基礎本体は破線で表した内側タイプの照明装置を示す背面図。
図26】接触体と基礎本体は破線で表した内側タイプの照明装置を示す左側面図。
図27】接触体と基礎本体は破線で表した内側タイプの照明装置を示す右側面図。
図28】接触体と基礎本体は破線で表した内側タイプの照明装置を示す平面図。
図29】接触体と基礎本体は破線で表した内側タイプの照明装置を示す底面図。
図30】蛇行報知装置がズリ搬出搬送方向に間隔を設けて複数個所に配置された本願発明の蛇行報知システムを模式的に示す斜視図。
図31】(a)は比較的低い位置に配置された無端ベルトを模式的に示す斜視図、(b)は比較的高い位置に配置された無端ベルトを模式的に示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本願発明の蛇行報知装置、及び蛇行報知システムの実施の例を図に基づいて説明する。なお本願発明は、土砂や岩砕を搬送する土工事現場や採石場、製品をラインで製造する工場、配送品を仕分けする物流拠点など、連続ベルトコンベヤシステムを使用する様々な場所や施設に適用することができ、また無端ベルトのほか通常のベルト(無端ではないベルト)にも適用することができるが、便宜上ここではトンネル掘削におけるズリ搬出用の連続ベルトコンベヤシステム(無端ベルト)に適用する例で説明する。
【0027】
1.全体概要
図1は、本願発明の蛇行報知装置100と、この蛇行報知装置100を備えた蛇行報知システムを模式的に示す断面図であり、ズリ搬出搬送方向(つまり、トンネル延長方向)に対して直角方向の鉛直面で切断した断面図である。この図に示すように、本願発明の蛇行報知装置100は接触体110と点灯手段120を有するものであり、この蛇行報知装置100を連続ベルトコンベヤシステムの無端ベルト200の側方に配置することで本願発明の蛇行報知システムが形成される。そして、無端ベルト200が蛇行するとその側方が接触体110に接触し、これを契機(トリガ)として点灯手段120が可視光を点灯(出力)する。そのため蛇行報知装置100は、無端ベルト200が正常な搬送位置にあるときには接触体110が無端ベルト200に接触しないように、つまり無端ベルト200と接触体110との間に所定の離隔(クリアランス)が設けられるように配置される。なお、本願発明の蛇行報知システムは、ズリ搬出搬送方向に間隔を設けて複数個所に蛇行報知装置100を配置することが望ましく、図1に示すように無端ベルト200の両側に蛇行報知装置100を配置することもできるし、いずれか一方側にのみ配置することもできる。
【0028】
2.蛇行報知装置
本願発明の蛇行報知装置100について、図を参照しながら詳しく説明する。なお、本願発明の蛇行報知システムは、上記したように無端ベルト200の側方に蛇行報知装置100を配置したものである。したがって、まずは本願発明の蛇行報知装置100について説明し、その後に本願発明の蛇行報知システムについて説明する。
【0029】
図2は、蛇行報知装置100の主な構成を示すブロック図である。この図に示すように蛇行報知装置100は、接触体110と点灯手段120、検知手段130、制御手段140を含んで構成され、さらにアーム121、計時手段150、基礎本体160を含んで構成することもできる。
【0030】
図3は、左右に配置された2つの蛇行報知装置100を模式的に示す断面図であり、(a)は接触体110が固定された蛇行報知装置100(以下、「固定式蛇行報知装置100」という。)を示し、(b)は接触体110が回転する蛇行報知装置100(以下、「回転式蛇行報知装置100」という。)を示している。なおこの図は、図1と同様、ズリ搬出搬送方向に対して直角方向の鉛直面で切断した断面図である。
【0031】
図3(a)に示すように固定式蛇行報知装置100は、基礎本体160の上部に接触体110が取り付けられ、基礎本体160の下方にアーム121が取り付けられるとともに、このアーム121の下端に点灯手段120が設置された構成とすることができる。また、検知手段130と制御手段140、計時手段150は、基礎本体160に内蔵することができる。このうち点灯手段120は、LED(light Emitting Diode)照明や白熱灯、蛍光灯、ナトリウム灯など従来用いられている種々の照明機器を利用することができ、アーム121は山形鋼や溝形鋼などを加工したものを利用するとよい。
【0032】
固定式蛇行報知装置100は、概ね次のように動作する。すなわち、無端ベルト200が接触体110に接触すると検知手段130がこれを検知し、そして検知手段130が接触体110の接触を検知すると制御手段140の制御に呼応して点灯手段120が点灯する(図2)。なお固定式蛇行報知装置100では、基礎本体160が接触体110を兼用する構成とすることもでき、つまり図3(a)に示す接触体110を省略した構成とすることもできる。この場合、無端ベルト200が基礎本体160(つまり、接触体110)に接触すると点灯手段120が点灯する仕様とされる。
【0033】
図3(b)に示すように回転式蛇行報知装置100は、固定式蛇行報知装置100と同様、基礎本体160の上部に接触体110が取り付けられ、基礎本体160の下方にアーム121が取り付けられるとともに、このアーム121の下端に点灯手段120が設置された構成とすることができる。また、検知手段130と制御手段140、計時手段150は基礎本体160に内蔵することができ、点灯手段120はLED照明などを、アーム121は形鋼を加工したものを利用することができる。ただし回転式蛇行報知装置100の接触体110は棒状あるいは柱状とされ、図3(b)の矢印で示すように基礎本体160に取り付けられる下端(固定端)を中心に回転可能とされる。
【0034】
回転式蛇行報知装置100は、概ね次のように動作する。すなわち、無端ベルト200が接触体110に接触すると、その接触の程度に応じて接触体110が基礎本体160に対して回転する。そして検知手段130が接触体110の接触(あるいは回転)を検知すると、制御手段140の制御に呼応して点灯手段120が点灯する(図2)。このように回転式蛇行報知装置100は、接触体110が回転するため無端ベルト200の移動を拘束しない。これに対して固定式蛇行報知装置100は、基礎本体160が無端ベルト200の移動を拘束することになる。したがって、無端ベルト200の顕著な蛇行が予想される箇所では回転式蛇行報知装置100を配置し、無端ベルト200の蛇行が軽微であると予想される箇所では固定式蛇行報知装置100を配置するなど、適宜選択して配置するとよい。
【0035】
蛇行報知装置100は、図4に示すように接触体110に点灯手段120が設けられた構成とすることもできる。図4(a)は接触体110に点灯手段120が設けられた固定式蛇行報知装置100(以下、「一体型の固定式蛇行報知装置100」という。)を模式的に示す断面図であり、図4(b)は接触体110に点灯手段120が設けられた回転式蛇行報知装置100(以下、「一体型の回転式蛇行報知装置100」という。)を模式的に示す断面図である。なおこの図は、図1図3と同様、ズリ搬出搬送方向に対して直角方向の鉛直面で切断した断面図である。
【0036】
図4(a)に示すように一体型の固定式蛇行報知装置100は、基礎本体160の上部に接触体110が取り付けられ、その基礎本体160の一部に点灯手段120が設置された構成とすることができる。この場合も、検知手段130と制御手段140、計時手段150は、基礎本体160に内蔵することができ、点灯手段120はLED照明などを利用することができる。なお一体型の固定式蛇行報知装置100では、棒状あるいは柱状の接触体110を用いるとよい。
【0037】
一体型の固定式蛇行報知装置100は、概ね次のように動作する。すなわち、無端ベルト200が接触体110に接触すると検知手段130がこれを検知し、そして検知手段130が接触体110の接触を検知すると制御手段140の制御に呼応して、接触体110に設けられた点灯手段120が点灯する(図2)。
【0038】
図4(b)に示すように一体型の回転式蛇行報知装置100は、一体型の固定式蛇行報知装置100と同様、基礎本体160の上部に接触体110が取り付けられ、その基礎本体160の一部に点灯手段120が設置された構成とすることができる。この場合も、検知手段130と制御手段140、計時手段150は、基礎本体160に内蔵することができ、点灯手段120はLED照明などを利用することができる。なお一体型の回転式蛇行報知装置100では、やはり棒状あるいは柱状の接触体110を用いるとよい。
【0039】
一体型の回転式蛇行報知装置100は、概ね次のように動作する。すなわち、無端ベルト200が接触体110に接触すると、その接触の程度に応じて接触体110が基礎本体160に対して回転する。そして検知手段130が接触体110の接触(あるいは回転)を検知すると、制御手段140の制御に呼応して接触体110に設けられた点灯手段120が点灯する(図2)。
【0040】
本願発明の蛇行報知装置100は、例えば図5に示すように、連続ベルトコンベヤシステムの稼働状況に応じた色で、点灯手段120に点灯させる構成とすることもできる。図5は、連続ベルトコンベヤシステムの稼働状況に応じた色で点灯する蛇行報知装置100の処理の一例を示すフロー図である。
【0041】
図5のケースでは、連続ベルトコンベヤシステムBCが稼働していないときは(図5のStep101のNo)、点灯手段120は無点灯とされる。一方、連続ベルトコンベヤシステムBCが稼働しているが、無端ベルト200が接触体110に接触していないときは(図5のStep102のNo)、点灯手段120に「安全色(例えば、緑色光)」を点灯させる。これに対して、連続ベルトコンベヤシステムBCが稼働しており、無端ベルト200が接触体110に接触しているときは、注意喚起させる色で点灯手段120に点灯させる。
【0042】
さらに、無端ベルト200が接触体110に接触した1回あたりの継続時間(以下、「連続接触時間」という。)に応じて、「注意色(例えば、黄色光)」や「警告色(例えば、赤色光)」など、発光色を分けて点灯手段120に点灯させる仕様とすることもできる。この場合、計時手段150が連続接触時間を計測し、制御手段140が連続接触時間に対応する発光色で点灯手段120に点灯させるとよい。具体的には、無端ベルト200が接触体110に接触しており、その連続接触時間があらかじめ定めた閾値(以下、「時間閾値」という。)を下回るときは(図5のStep103のNo)、点灯手段120に「注意色(例えば、黄色光)」を点灯させ、その連続接触時間が時間閾値を上回るときは(図5のStep103のYes)、点灯手段120に「警告色(例えば、赤色光)」を点灯させる。もちろん、注意色と警告色の2段階に限らず、2以上の時間閾値を設定することによって3以上の段階で発光色を分けて点灯手段120に点灯させる仕様とすることもできる。
【0043】
ところで、本願発明の蛇行報知装置100のうち点灯手段120とアーム121からなる組み合わせ(以下、便宜上「照明装置」という。)は、その形状が視覚を通じて美感を起こさせるものである。そしてこの照明装置は、L字状のアーム121の外側に点灯手段120が取り付けられた形式(以下、「外側タイプの照明装置」という。)と、L字状のアーム121の内側に点灯手段120が取り付けられた形式(以下、「内側タイプの照明装置」という。)と、に大別することができる。図6図17に外側タイプの照明装置の六面図を示し、図18図29に内側タイプの照明装置の六面図を示した。なお、図6図11、及び図18図23では照明装置と接触体110、基礎本体160ともに実線で表しており、一方、図12図17、及び図24図29では照明装置のみ実線で表し接触体110と基礎本体160は破線で表している。
【0044】
3.蛇行報知システム
続いて本願発明の蛇行報知システムについて図を参照しながら説明する。なお、本願発明の蛇行報知システムは、ここまで説明した蛇行報知装置100を無端ベルト200の側方に配置したものである。したがって蛇行報知装置100で説明した内容と重複する説明は避け、本願発明の蛇行報知システムに特有の内容のみ説明することとする。すなわち、ここに記載されていない内容は、「2.蛇行報知装置」で説明したものと同様である。
【0045】
図1に示すように本願発明の蛇行報知システムは、本願発明の蛇行報知装置100を連続ベルトコンベヤシステムの無端ベルト200の側方に配置したものである。ただし蛇行報知装置100は、無端ベルト200が正常な搬送位置にあるときには接触体110が無端ベルト200に接触しないように、つまり無端ベルト200と接触体110との間に所定の離隔(クリアランス)が設けられるように配置される。また蛇行報知装置100は、図30に示すようにズリ搬出搬送方向(つまり、トンネル延長方向)に間隔を設けて複数個所に配置するとよい。なお蛇行報知装置100は、図1に示すように無端ベルト200の両側に配置することもできるし、いずれか一方側にのみ配置することもできる。
【0046】
ところで既述したとおり近年では、坑内を有効利用することを目的として、無端ベルト200を比較的高い位置(例えば、トンネルの天端辺り)に配置する事例が増えている。この場合、点灯手段120の設置位置によっては、地盤レベルからの点灯状況の目視確認が難しいことも考えられる。そこで、特に無端ベルト200が比較的高い位置に配置されているケースでは、図1に示すように例えばアーム121を利用することによって、点灯手段120が無端ベルト200よりも下方に位置するように蛇行報知装置100を配置するとよい。これにより、地盤レベルからでも点灯手段120の点灯状況を容易に目視確認することができて好適となる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本願発明の蛇行報知装置、及び蛇行報知システムは、鉄道トンネルや道路トンネルなど様々な用途のトンネル掘削に利用できるほか、採石場など岩盤を掘削して搬送するあらゆる状況で利用することができる。トンネル構造物という社会基盤(社会インフラストラクチャ)を効率的に構築することができることを考えると、本願発明は産業上利用できるばかりでなく社会的にも大きな貢献を期待し得る発明といえる。
【符号の説明】
【0048】
100 本願発明の蛇行報知装置
110 (蛇行報知装置の)接触体
120 (蛇行報知装置の)点灯手段
121 (蛇行報知装置の)アーム
130 (蛇行報知装置の)検知手段
140 (蛇行報知装置の)制御手段
150 (蛇行報知装置の)計時手段
160 (蛇行報知装置の)基礎本体
200 無端ベルト
BC 連続ベルトコンベヤシステム
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