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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-23
(45)【発行日】2024-10-31
(54)【発明の名称】走行支援方法及び走行支援装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20241024BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20241024BHJP
   B60W 30/095 20120101ALI20241024BHJP
【FI】
G08G1/16 D
G09B29/00 Z
B60W30/095
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021038445
(22)【出願日】2021-03-10
(65)【公開番号】P2022138520
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2023-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 博幸
(72)【発明者】
【氏名】武井 翔一
(72)【発明者】
【氏名】土谷 千加夫
【審査官】西畑 智道
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-038365(JP,A)
【文献】特開2019-061432(JP,A)
【文献】特開2016-075905(JP,A)
【文献】特開2008-197905(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0197902(US,A1)
【文献】国際公開第2019/073511(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
G09B 29/00
B60W 30/095
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
進行方向前方の交差点にて右折又はUターンする自車両の、前記交差点内での走行軌跡を設定する走行支援装置に係る走行支援方法であって、
前記走行支援装置は、コントローラを備え、
前記コントローラは、
前記自車両の前方の道路標示を検出し、
前記交差点において、前記自車両が走行する自車線と交差し、前記自車線の進行方向を基準として前記自車線の左側から右側に向かう進行方向を有する交差車線があるか否かを判定し、
前記交差車線があると判定された場合に、前記自車線の進行方向を基準として、
前記自車線の右側に位置しかつ前記交差点の中央部に位置する第1ゼブラゾーンを、前記道路標示の中から抽出し、
前記自車線の左側に位置しかつ複数の前記交差車線に隣接する前記道路標示、及び、
前記自車線の左側に位置しかつ前記交差車線及び隣接する前記交差車線の対向車線の境界に位置する前記道路標示を、
第2ゼブラゾーンとして抽出し、
前記自車両が前記交差点でUターンする場合、前記交差車線から前記交差点に進入する他車両が、前記自車線の進行方向を基準として前記第2ゼブラゾーンの手前を通過するケースがあるか否かを、前記第2ゼブラゾーンに基づいて判定し、
前記他車両が前記第2ゼブラゾーンの手前を通過するケースがあると判定された場合には、前記第1ゼブラゾーンよりも手前の第1位置を通過する前記走行軌跡を設定し、
前記他車両が前記第2ゼブラゾーンの手前を通過するケースがないと判定された場合には、前記第1ゼブラゾーンよりも奥の第2位置を通過する前記走行軌跡を設定すること
を特徴とする走行支援方法。
【請求項2】
請求項に記載された走行支援方法であって、
前記コントローラは、前記自車両が前記交差点で右折する場合、前記第2位置を通過する前記走行軌跡を設定すること
を特徴とする走行支援方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された走行支援方法であって、
前記コントローラは、前記第2ゼブラゾーンが、前記交差点における安全地帯又は路上障害物に接近しつつあることを示す道路標示である場合、前記他車両が前記第2ゼブラゾーンの手前を通過するケースがあると判定すること
を特徴とする走行支援方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載された走行支援方法であって、
前記コントローラは、前記第2ゼブラゾーンが、前記交差点における安全地帯又は路上障害物に接近しつつあることを示す道路標示でない場合、前記他車両が前記第2ゼブラゾーンの手前を通過するケースがないと判定すること
を特徴とする走行支援方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載された走行支援方法であって、
前記コントローラは、
前記第1ゼブラゾーンの手前かつ前記交差点に位置する、進行方向を示す矢印を、前記道路標示の中から抽出し、
前記矢印に基づいて、前記第1位置、又は、前記第2位置、のいずれか一方を通過する前記走行軌跡を設定すること
を特徴とする走行支援方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載された走行支援方法であって、
前記コントローラは、前記第2ゼブラゾーンを抽出できない場合に、前記第2位置を通過する前記走行軌跡を設定すること
を特徴とする走行支援方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載された走行支援方法であって、
前記コントローラは、前記第1ゼブラゾーンを抽出できない場合に、前記交差点内で前記自車線と前記交差車線とが重なる領域のうち、前記自車線の進行方向を基準として右側の終端、を通過する前記走行軌跡を設定すること
を特徴とする走行支援方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載された走行支援方法であって、
前記自車線の進行方向を基準として、前記第1位置は、
前記第1ゼブラゾーンと、
前記第1ゼブラゾーンから前記自車両の幅の分だけ手前の位置と、
で挟まれた領域内に位置すること
を特徴とする走行支援方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載された走行支援方法であって、
前記自車線の進行方向を基準として、前記第2位置は、
前記自車両が前記交差点で右折する場合、
前記交差点の終端と、
前記交差点の終端から前記自車両の幅の分だけ手前の位置と、
で挟まれた領域内に位置し、
前記自車両が前記交差点でUターンする場合、
前記第1ゼブラゾーンと、
前記第1ゼブラゾーンから前記自車両の幅の分だけ奥の位置と、
で挟まれた領域内に位置すること
を特徴とする走行支援方法。
【請求項10】
進行方向前方の交差点にて右折又はUターンする自車両の、前記交差点内での走行軌跡を設定する走行支援装置であって、
前記走行支援装置は、コントローラを備え、
前記コントローラは、
前記自車両の前方の道路標示を検出し、
前記交差点において、前記自車両が走行する自車線と交差し、前記自車線の進行方向を基準として前記自車線の左側から右側に向かう進行方向を有する交差車線があるか否かを判定し、
前記交差車線があると判定された場合に、前記自車線の進行方向を基準として、
前記自車線の右側に位置しかつ前記交差点の中央部に位置する第1ゼブラゾーンを、前記道路標示の中から抽出し、
前記自車線の左側に位置しかつ複数の前記交差車線に隣接する前記道路標示、及び、
前記自車線の左側に位置しかつ前記交差車線及び隣接する前記交差車線の対向車線の境界に位置する前記道路標示を、
第2ゼブラゾーンとして抽出し、
前記自車両が前記交差点でUターンする場合、前記交差車線から前記交差点に進入する他車両が、前記自車線の進行方向を基準として前記第2ゼブラゾーンの手前を通過するケースがあるか否かを、前記第2ゼブラゾーンに基づいて判定し、
前記他車両が前記第2ゼブラゾーンの手前を通過するケースがあると判定された場合には、前記第1ゼブラゾーンよりも手前の第1位置を通過する前記走行軌跡を設定し、
前記他車両が前記第2ゼブラゾーンの手前を通過するケースがないと判定された場合には、前記第1ゼブラゾーンよりも奥の第2位置を通過する前記走行軌跡を設定すること
を特徴とする走行支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行支援方法及び走行支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
交差点を実際に走行した車両の走行軌跡に基づいて、交差点の入口のノードと出口のノードの間のリンクを生成し、生成したリンク毎に正当なリンクである確率を評価することにより、交差点の構造を推定する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-75905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術によれば、交差点において正しい車線を走行した車両の走行軌跡が得られれば、正しい交差点の構造を推定することができる。しかしながら、実際には、複雑な構造を有する交差点において、正しい車線を車両が走行していない場合もある。そのため、交差点を実際に走行した車両の走行軌跡に基づいたとしても、正しい交差点の構造を推定することができない恐れがある。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、正しい交差点の構造を推定し、交差点での円滑な交通を実現できる走行支援方法及び走行支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した問題を解決するために、本発明の一態様に係る走行支援方法及び走行支援装置は、自車両が右折又はUターンする交差点において、自車両が走行する自車線と交差し、自車線の左側から右側に向かう進行方向を有する交差車線があるか否かを判定する。交差車線があると判定された場合に、自車両の前方の道路標示の中から、自車線の右側かつ交差点に位置する第1ゼブラゾーンと、自車線の左側かつ交差車線に位置する第2ゼブラゾーンを抽出する。そして、第2ゼブラゾーンに基づいて、第1ゼブラゾーンよりも手前の第1位置、又は、第1ゼブラゾーンよりも奥の第2位置、のいずれか一方を通過する、交差点における自車両の走行軌跡を設定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、正しい交差点の構造を推定し、交差点での円滑な交通を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る走行支援装置の構成を示すブロック図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る走行支援装置の処理を示すフローチャートである。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る走行支援装置の処理のうち、交差点内での走行軌跡の設定処理を示すフローチャートである。
図4A図4Aは、交差点での道路標示及び設定される走行軌跡に関する第1の例を示す図である。
図4B図4Bは、交差点での道路標示及び設定される走行軌跡に関する第2の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。説明において、同一のものには同一符号を付して重複説明を省略する。
【0010】
[走行支援装置の構成]
図1は、本実施形態に係る走行支援装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る走行支援装置は、自車両の周囲の道路情報を取得する取得部(撮像部71、車載センサ73、地図情報取得部75)と、コントローラ100とを備え、コントローラ100は、有線あるいは無線の通信路によって、撮像部71、車載センサ73、地図情報取得部75、車両制御装置400と接続されている。
【0011】
なお、撮像部71、車載センサ73、車両制御装置400は、自車両に搭載されるが、地図情報取得部75、コントローラ100は、車両に搭載されるものであってもよいし、車両の外部に設置されるものであってもよい。
【0012】
撮像部71は、自車両の周囲の画像を撮像する。例えば、撮像部71はCCD、CMOS等の固体撮像素子を備えたデジタルカメラであり、車両の周囲を撮像して周辺領域のデジタル画像を取得する。撮像部71は、焦点距離、レンズの画角、カメラの垂直方向及び水平方向の角度などが設定されることにより、車両の周囲の所定の範囲を撮像する。
【0013】
なお、撮像部71によって撮像された撮像画像はコントローラ100に出力され、所定の期間の間、図示しない記憶部に記憶される。例えば、撮像部71は所定の時間間隔で撮像画像を取得しており、所定の時間間隔で取得した撮像画像が、過去画像として記憶部に記憶される。過去画像は、当該過去画像の撮像時点から所定の期間を経過した後に削除されるものであってもよい。
【0014】
また、撮像部71は、車両の周囲に存在する標識(道路標識や、路面に付された道路標示)やガイドレール等を検出するものであってもよい。
【0015】
車載センサ73は、車両に搭載された、レーザレーダやミリ波レーダ、カメラなど、車両の周囲に存在する物体を検出する物体検出センサなどからなる。車載センサ73は、複数の異なる種類の物体検出センサを備えるものであってもよい。
【0016】
車載センサ73は、車両の周囲の環境を検出する。例えば、車載センサ73は、自車両から検出性能(センサの性能によって決まる検出可能距離)によって定められる所定距離内の他車両、バイク、自転車、歩行者を含む移動物体、及び停車車両を含む静止物体を検出し、移動物体及び静止物体の車両に対する位置、姿勢、大きさ、速度、加速度、減速度、ヨーレートなどを検出するものであってもよい。車載センサ73は、検出結果として、例えば車両の上方の空中から眺めた天頂図(平面図ともいう)における、2次元の物体の挙動を出力するものであってもよい。
【0017】
また、車載センサ73は、車両の周囲に存在する標識(道路標識や、路面に付された道路標示)やガイドレール等を検出するものであってもよい。その他にも、車載センサ73は、車両が備える車輪の回転速度や回転速度差を検出して、車両が走行している車線の路面の滑りやすさを検出するものであってもよい。
【0018】
また、車載センサ73は、車両の周囲の環境の他にも、車両の状態を検出する。例えば、車載センサ73は、車両の移動速度(前後方向、左右方向の移動速度、旋回速度)や、車両が備える車輪の転舵角、転舵角の変化速度を検出するものであってもよい。
【0019】
その他、車載センサ73は、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)やオドメトリなど車両の絶対位置を計測する位置検出センサなど、車両の絶対位置を計測する位置検出センサを用いて、車両の絶対位置、すなわち、所定の基準点に対する車両の位置、姿勢及び速度を計測するセンサを含んでいてもよい。
【0020】
地図情報取得部75は、車両が走行する道路の構造を示す地図情報を取得する。地図情報取得部75が取得する地図情報には、信号機の位置情報や、信号機の種別、信号機に対応する停止線の位置などが含まれうる。地図情報取得部75は、地図情報を格納した地図データベースを所有してもよいし、クラウドコンピューティングにより地図情報を外部の地図データサーバから取得してもよい。また、地図情報取得部75は、車車間通信、路車間通信を用いて地図情報を取得してもよい。
【0021】
地図情報取得部75が取得する地図情報には、車線の絶対位置、車線の接続関係、相対位置関係などの道路構造の情報が含まれていてもよい。また、地図情報取得部75が取得する地図情報には、駐車場、ガソリンスタンドなどの施設情報も含まれていてもよい。
【0022】
自車両の周囲の道路情報は、撮像部71によって撮像された画像、車載センサ73によって得られた情報、地図情報取得部75によって得られた地図情報によって構成される。その他、自車両の周囲の道路情報は、取得部によって取得される以外にも、車車間通信、路車間通信によって、自車両の外部から取得されるものであってもよい。
【0023】
車両制御装置400は、コントローラ100によって得られた結果に基づいて、自車両を制御する。例えば、車両制御装置400は、所定の走行経路に従って自動運転によって車両を走行させるものであってもよいし、車両の乗員の運転操作を支援するものであってもよい。
【0024】
コントローラ100(制御部または処理部の一例)は、CPU(中央処理装置)、メモリ、及び入出力部を備える汎用のマイクロコンピュータである。コントローラ100には、走行支援装置の一部として機能させるためのコンピュータプログラム(走行支援プログラム)がインストールされている。コンピュータプログラムを実行することにより、コントローラ100は、走行支援装置が備える複数の情報処理回路(110、120、130、140、170、180、190)として機能する。なお、コンピュータプログラム(走行支援プログラム)は、コンピュータによって読み書き可能な記録媒体に格納されるものであってもよい。
【0025】
なお、ここでは、ソフトウェアによって走行支援装置が備える複数の情報処理回路(110、120、130、140、170、180、190)を実現する例を示す。ただし、以下に示す各情報処理を実行するための専用のハードウェアを用意して、情報処理回路(110、120、130、140、170、180、190)を構成することも可能である。また、複数の情報処理回路(110、120、130、140、170、180、190)を個別のハードウェアにより構成してもよい。更に、情報処理回路(110、120、130、140、170、180、190)は、車両にかかわる他の制御に用いる電子制御ユニット(ECU)と兼用してもよい。
【0026】
コントローラ100は、複数の情報処理回路(110、120、130、140、170、180、190)として、道路標示検出部110、交差車線検出部120、第1ゼブラゾーン抽出部130、第2ゼブラゾーン抽出部140、判定部170、走行軌跡設定部180、出力部190を備える。
【0027】
道路標示検出部110は、自車両の周囲の道路情報に基づいて、自車両の前方の道路標示を検出する。例えば、道路標示検出部110は、撮像部71によって撮像された撮像画像に基づいて、自車両の前方の路面に付された道路標示を検出する。撮像画像から道路標示を検出する方法としては、パターンマッチング、エッジ検出、テクスチャー解析、領域分割など、種々の方法を用いることができる。
【0028】
道路標示検出部110によって検出される道路標示としては、例えば、ゼブラゾーン(ゼブラ模様の標示)や、矢印などが挙げられる。ゼブラゾーンは、「安全地帯又は路上障害物に接近」、「導流帯」、「中央分離帯」、「横断歩道」などを示すために道路に付される。矢印は、車線における車両の進行方向を示すために道路に付される。
【0029】
交差車線検出部120は、自車両の周囲の道路情報に基づいて、自車両の前方の交差点を検出する。そして、交差車線検出部120は、当該交差点において、自車両が走行する自車線と交差する交差車線を検出する。特に、交差車線検出部120は、当該交差点において、自車線の進行方向を基準として自車線の左側から右側に向かう進行方向を有する交差車線を検出する。
【0030】
例えば、交差車線検出部120は、地図情報に基づいて交差車線を検出するものであってもよい。また、交差車線検出部120は、自車両の前方において、自車線を横切る他車両が存在する場合に、当該他車両が自車線を横切る個所を交差車線として検出するものであってもよい。その他、交差車線検出部120は、道路標識に基づいて交差車線を検出するものであってもよい。
【0031】
第1ゼブラゾーン抽出部130は、道路標示検出部110によって検出した道路標示の中から、自車線の右側かつ交差点に位置するゼブラゾーンを、第1ゼブラゾーンとして抽出する。より具体的には、第1ゼブラゾーン抽出部130は、自車線から所定距離の範囲内であって、自車線の右側に位置するゼブラゾーンを、第1ゼブラゾーンとして抽出する。ここで、所定距離は、予め設定される距離であってもよいし、自車両の交差点までの距離、交差点の広さなどに基づいて随時設定される距離であってもよい。
【0032】
第2ゼブラゾーン抽出部140は、道路標示検出部110によって検出した道路標示の中から、自車線の左側かつ交差車線に位置するゼブラゾーンを、第2ゼブラゾーンとして抽出する。より具体的には、第2ゼブラゾーン抽出部140は、自車線から所定距離の範囲内であって、自車線の左側の交差車線上に位置するゼブラゾーンを、第2ゼブラゾーンとして抽出する。ここで、所定距離は、予め設定される距離であってもよいし、自車両の交差点までの距離、交差点の広さなどに基づいて随時設定される距離であってもよい。
【0033】
判定部170は、交差車線検出部120によって検出された交差車線があるか否かを判定する。また、判定部170は、第1ゼブラゾーンを抽出できたか否かを判定する。さらに、判定部170は、第2ゼブラゾーンを抽出できたか否かを判定する。
【0034】
また、判定部170は、交差車線から交差点に進入する他車両が、自車線の進行方向を基準として第2ゼブラゾーンの手前を通過するケースがあるか否かを、第2ゼブラゾーンに基づいて判定する。
【0035】
第2ゼブラゾーンに基づく判定部170の判定について、図4A図4Bを参照して説明する。図4Aは、交差点での道路標示及び設定される走行軌跡に関する第1の例を示す図である。図4Bは、交差点での道路標示及び設定される走行軌跡に関する第2の例を示す図である。
【0036】
図4A図4Bでは、自車両VSが走行する自車線TL1と、交差車線TL3~TL6とが交差する交差点において、自車両VSが右折又はUターンする状況が示されている。
【0037】
ここで、交差車線TL3,TL4は、自車線TL1の進行方向を基準として自車線TL1の左側から右側に向かう進行方向を有する車線である。交差点で自車両VSが右折する場合には、自車両VSは、交差点を通過した後、交差車線TL3,TL4を走行することになる。交差点で自車両VSがUターンする場合には、自車両VSは、交差点を通過した後、自車線TL1の進行方向と対向する向きの進行方向を有する対向車線TL2を走行することになる。
【0038】
例えば、図4AにおけるゼブラゾーンZ2は、安全地帯又は路上障害物に接近しつつあることを示す道路標示である。具体的には、交差車線TL3を走行する車両と、交差車線TL4を走行する車両とがゼブラゾーンZ2を避けて走行することで、両車両に対してゼブラゾーンZ2を挟んで互いに離間して交差点に進入することを促す道路標示となっている。
【0039】
また、ゼブラゾーンZ2は、自車線の左側かつ交差車線に位置するため、第2ゼブラゾーンとして抽出される。図4Aに示す状況において、判定部170は、自車線の左側から右側に向かう向きで、他車両がゼブラゾーンZ2の手前を通過するケースがあると判定する。
【0040】
したがって、抽出した第2ゼブラゾーンが、交差点における安全地帯又は路上障害物に接近しつつあることを示す道路標示である場合、自車線の左側から右側に向かう向きで、他車両が第2ゼブラゾーンの手前を通過するケースがあると、判定部170は判定するものであってもよい。
【0041】
一方、図4BにおけるゼブラゾーンZ2aは、導流帯又は中央分離帯である。そのため、安全地帯又は路上障害物に接近しつつあることを示す道路標示とは異なる。また、ゼブラゾーンZ2aは、自車線の左側かつ交差車線に位置するため、第2ゼブラゾーンとして抽出される。図4Bに示す状況において、判定部170は、自車線の左側から右側に向かう向きで、他車両がゼブラゾーンZ2の手前を通過するケースがないと判定する。
【0042】
したがって、抽出した第2ゼブラゾーンが、交差点における安全地帯又は路上障害物に接近しつつあることを示す道路標示でない場合(例えば、導流帯、中央分離帯などである場合)、自車線の左側から右側に向かう向きで、他車両が第2ゼブラゾーンの手前を通過するケースはないと、判定部170は判定するものであってもよい。
【0043】
その他、判定部170は、交差車線から交差点に進入する他車両が、自車線の進行方向を基準として第2ゼブラゾーンの手前を通過するケースがあるか否かを、車線における車両の進行方向を示すために道路に付された矢印に基づいて判定するものであってもよい。
【0044】
走行軌跡設定部180は、第2ゼブラゾーンに基づいて、第1ゼブラゾーンよりも手前の第1位置、又は、第1ゼブラゾーンよりも奥の第2位置、のいずれか一方を通過する走行軌跡を設定する。ここで、第1位置及び第2位置は、交差点内の位置である。
【0045】
走行軌跡設定部180によって設定される走行軌跡について、図4A図4Bを参照して説明する。
【0046】
自車両VSが交差点内を右折する場合、図4A図4Bに示す状況において、走行軌跡設定部180は、第2位置である位置P2を通過する走行軌跡RT2を、自車両VSの走行軌跡として設定する。
【0047】
自車両VSが交差点内をUターンする場合、図4Aに示す状況において設定される自車両VSの走行軌跡と、図4Bに示す状況において設定される自車両VSの走行軌跡は、異なる。
【0048】
自車両VSが交差点内をUターンする場合、図4Aに示す状況において、走行軌跡設定部180は、第1位置である位置P1を通過する走行軌跡RT1を、自車両VSの走行軌跡として設定する。一方、自車両VSが交差点内をUターンする場合、図4Bに示す状況において、走行軌跡設定部180は、第2位置である位置P2aを通過する走行軌跡RT2aを、自車両VSの走行軌跡として設定する。
【0049】
このように、走行軌跡設定部180は、図4Aに示す状況と図4Bに示す状況とを区別して、交差点内をUターンする自車両VSの走行軌跡として、互いに異なる走行軌跡を設定するものであってもよい。
【0050】
したがって、走行軌跡設定部180は、自車両が交差点でUターンする場合であって、他車両が第2ゼブラゾーンの手前を通過するケースがあると判定された場合には、第1ゼブラゾーンよりも手前の第1位置を通過する走行軌跡を設定するものであってもよい。また、走行軌跡設定部180は、自車両が交差点でUターンする場合であって、他車両が第2ゼブラゾーンの手前を通過するケースがないと判定された場合には、第1ゼブラゾーンよりも奥の第2位置を通過する走行軌跡を設定するものであってもよい。
【0051】
さらに、走行軌跡設定部180は、自車両が交差点で右折する場合に、第1ゼブラゾーンよりも奥の第2位置を通過する走行軌跡を設定するものであってもよい。
【0052】
なお、図4A図4Bでは、第1ゼブラゾーン及び第2ゼブラゾーンの両者が抽出された場合を検討したが、状況によっては、第1ゼブラゾーン又は第2ゼブラゾーンについて抽出できない場合が生じうる。
【0053】
そこで、第1ゼブラゾーン抽出部130が第1ゼブラゾーンを抽出できない場合には、走行軌跡設定部180は、交差点内で自車線と交差車線とが重なる領域のうち、自車線の進行方向を基準として右側の終端、を通過する走行軌跡を設定するものであってもよい。例えば、図4Aにおいて、仮に第1ゼブラゾーンとしてのゼブラゾーンZ1を抽出することができない場合には、走行軌跡設定部180は、当該終端に位置する位置P2を通る走行軌跡を設定するものであってもよい。
【0054】
また、第2ゼブラゾーン抽出部140が第2ゼブラゾーンを抽出できない場合には、走行軌跡設定部180は、第1ゼブラゾーンよりも奥の第2位置(位置P2、又は、位置P2a)を通過する走行軌跡を設定するものであってもよい。
【0055】
なお、上述した第1位置、第2位置は、交差点内における第1ゼブラゾーンの位置、自車両の幅などに基づいて設定されるものであってもよい。
【0056】
例えば、走行軌跡設定部180は、自車線の進行方向を基準として、第1ゼブラゾーンと、第1ゼブラゾーンから自車両の幅の分だけ手前の位置と、で挟まれた領域内に位置するように第1位置(位置P1)を設定するものであってもよい。
【0057】
また、自車両が前記交差点で右折する場合、走行軌跡設定部180は、自車線の進行方向を基準として、交差点の終端と、交差点の終端から自車両の幅の分だけ手前の位置と、で挟まれた領域内に位置するように第2位置(位置P2)を設定するものであってもよい。さらに、自車両が交差点でUターンする場合、走行軌跡設定部180は、第1ゼブラゾーンと、第1ゼブラゾーンから自車両の幅の分だけ奥の位置と、で挟まれた領域内に位置するように第2位置(位置P2a)を設定するものであってもよい。
【0058】
その他、走行軌跡設定部180は、車線における車両の進行方向を示すために道路に付された矢印に基づいて、第1ゼブラゾーンよりも手前の第1位置、又は、第1ゼブラゾーンよりも奥の第2位置、のいずれか一方を通過する走行軌跡を設定するものであってもよい。なお、図4A図4Bにおいて、車線における車両の進行方向を示すために道路に付された矢印は、白抜き矢印として示されている。
【0059】
出力部190は、走行軌跡設定部180によって設定された走行軌跡を出力する。走行軌跡は車両制御装置400に出力され、走行軌跡に基づいて自車両の走行が制御される。
【0060】
[走行支援装置の処理手順]
次に、本実施形態に係る走行支援装置の処理手順を、図2のフローチャートを参照して説明する。図2に示す走行支援装置の処理は、所定の周期で繰り返し実行されるものであってもよいし、取得部で自車両の周囲の道路情報を取得するたびに実行されるものであってもよい。
【0061】
まず、ステップS101において、取得部は、自車両の周囲の道路情報を取得する。
【0062】
ステップS103において、道路標示検出部110は、自車両の周囲の道路情報に基づいて、自車両の前方の道路標示を検出する。
【0063】
ステップS105において、交差車線検出部120は、自車両の周囲の道路情報に基づいて、自車両の前方の交差点を検出し、当該交差点において、自車両が走行する自車線と交差する交差車線を検出する。
【0064】
ステップS107において、判定部170は、交差車線検出部120によって検出された交差車線があるか否かを判定する。
【0065】
交差車線がないと判定された場合(ステップS107でNOの場合)には、図2のフローチャートを終了する。
【0066】
一方、交差車線があると判定された場合(ステップS107でYESの場合)には、ステップS109において、第1ゼブラゾーン抽出部130は、道路標示検出部110によって検出した道路標示の中から、自車線の右側かつ交差点に位置するゼブラゾーンを、第1ゼブラゾーンとして抽出する。
【0067】
ステップS111において、第2ゼブラゾーン抽出部140は、道路標示検出部110によって検出した道路標示の中から、自車線の左側かつ交差車線に位置するゼブラゾーンを、第2ゼブラゾーンとして抽出する。
【0068】
ステップS113において、交差点内での走行軌跡の設定処理が行われる。交差点内での走行軌跡の設定処理については、後述する。
【0069】
ステップS115において、出力部190は、走行軌跡設定部180によって設定された走行軌跡を出力する。
【0070】
[交差点内での走行軌跡の設定処理]
次に、本実施形態に係る走行支援装置の処理手順のうち、交差点内での走行軌跡の設定処理(図2のフローチャートにおけるステップS113)を、図3のフローチャートを参照して説明する。
【0071】
ステップS201において、判定部170は、第1ゼブラゾーンを抽出できたか否かを判定する。
【0072】
第1ゼブラゾーンを抽出できなかったと判定された場合(ステップS201でNOの場合)には、ステップS215において、走行軌跡設定部180は、所定位置を通過する走行軌跡を設定する。例えば、走行軌跡設定部180は、交差点内で自車線と交差車線とが重なる領域のうち、自車線の進行方向を基準として右側の終端、を通過する走行軌跡を設定する。
【0073】
一方、第1ゼブラゾーンを抽出できたと判定された場合(ステップS201でYESの場合)には、ステップS203において、判定部170は、第2ゼブラゾーンを抽出できたか否かを判定する。
【0074】
第2ゼブラゾーンを抽出できなかったと判定された場合(ステップS203でNOの場合)には、ステップS213において、走行軌跡設定部180は、第1ゼブラゾーンよりも奥の第2位置を通過する走行軌跡を設定する。
【0075】
一方、第2ゼブラゾーンを抽出できたと判定された場合(ステップS203でYESの場合)には、ステップS205において、判定部170は、自車両が交差点内でUターンするか否かを判定する。すなわち、判定部170は、自車両の走行計画に基づいて、自車両が交差点内でUターンする予定か、もしくは、右折する予定か、を判定する。
【0076】
自車両が交差点内でUターンしない(自車両が交差点内で右折する)と判定された場合(ステップS205でNOの場合)には、ステップS213に進む。
【0077】
一方、自車両が交差点内でUターンすると判定された場合(ステップS205でYESの場合)には、ステップS207において、判定部170は、交差車線から交差点に進入する他車両が、自車線の進行方向を基準として第2ゼブラゾーンの手前を通過するケースがあるか否かを、第2ゼブラゾーンに基づいて判定する。
【0078】
第2ゼブラゾーンの手前を通過するケースがないと判定された場合(ステップS207でNOの場合)には、ステップS213に進む。
【0079】
一方、第2ゼブラゾーンの手前を通過するケースがないと判定された場合(ステップS207でYESの場合)には、ステップS211にて、走行軌跡設定部180は、第1ゼブラゾーンよりも手前の第1位置を通過する走行軌跡を設定する。
【0080】
[実施形態の効果]
以上詳細に説明したように、本実施形態に係る走行支援方法及び走行支援装置は、自車両が右折又はUターンする交差点において、自車両が走行する自車線と交差し、自車線の左側から右側に向かう進行方向を有する交差車線があるか否かを判定する。交差車線があると判定された場合に、自車両の前方の道路標示の中から、自車線の右側かつ交差点に位置する第1ゼブラゾーンと、自車線の左側かつ交差車線に位置する第2ゼブラゾーンを抽出する。そして、第2ゼブラゾーンに基づいて、第1ゼブラゾーンよりも手前の第1位置、又は、第1ゼブラゾーンよりも奥の第2位置、のいずれか一方を通過する、交差点における自車両の走行軌跡を設定する。
【0081】
これにより、正しい交差点の構造を推定し、交差点での円滑な交通を実現できる。特に、ゼブラゾーンの有無に基づいて交差点内での車線の構造を推定することができる。従って、車線における車両の進行方向を示すために道路に付される矢印を検出できない場合であっても、交差点内での車線の構造を推定することができる。
【0082】
図4A図4Bの例によれば、領域SDに、植樹や高速道路の支柱などの障害物が存在する場合に、自車両VSの位置から交差点内を見通すことが困難な状況が生じうる。このような場合であっても、交差点内での道路標示のうち、比較的大きな面積を有するゼブラゾーンは、面積が小さい矢印と比較して自車両VSの位置から見通すことができる可能性が高い。
【0083】
したがって、道路上の矢印を検出して交差点内での車線の構造を推定する方法と比較して、本実施形態に係る走行支援方法及び走行支援装置によれば、ゼブラゾーンを検出して交差点内での車線の構造を推定するため、より正確な推定を行うことが可能である。
【0084】
道路上の矢印は車線内にあり、かつ、面積が小さいため、検出しにくいという性質を有する。また、道路標示の中でも摩耗して消えてしまいやすいという性質を有する。これに対し、道路上のゼブラゾーンは、車両による走行が推奨されない場所に設置されることが多く、さらには、面積が大きいため、検出しやすいという性質を有する。また、道路標示の中でも摩耗して消えてしまいにくいという性質を有する。
【0085】
そのため、道路上の矢印を検出して交差点内での車線の構造を推定する方法と比較して、本実施形態に係る走行支援方法及び走行支援装置によれば、ゼブラゾーンを検出して交差点内での車線の構造を推定するため、より迅速かつ正確な車線の推定を行うことが可能である。
【0086】
また、本実施形態に係る走行支援方法及び走行支援装置は、交差車線から交差点に進入する他車両が、自車線の進行方向を基準として第2ゼブラゾーンの手前を通過するケースがあるか否かを、第2ゼブラゾーンに基づいて判定するものであってもよい。これにより、第2ゼブラゾーンの形状、位置等に基づいて、交差点内の車線を推定することができる。特に、第2ゼブラゾーンに基づいて、交差点内の第1ゼブラゾーンの周辺における車線の構造を推定することができる。
【0087】
さらに、本実施形態に係る走行支援方法及び走行支援装置は、自車両が交差点でUターンする場合、他車両が第2ゼブラゾーンの手前を通過するケースがあるか否かを判定するものであってもよい。そして、他車両が第2ゼブラゾーンの手前を通過するケースがあると判定された場合には、第1位置を通過する走行軌跡を設定するものであってもよい。また、他車両が第2ゼブラゾーンの手前を通過するケースがないと判定された場合には、第2位置を通過する走行軌跡を設定するものであってもよい。
【0088】
これにより、第2ゼブラゾーンの形状、位置等に基づいて、交差点内の車線を推定することができる。特に、第2ゼブラゾーンに基づいて、交差点内の第1ゼブラゾーンの周辺における車線の構造を推定することができる。
【0089】
また、本実施形態に係る走行支援方法及び走行支援装置は、自車両が交差点で右折する場合、第2位置を通過する走行軌跡を設定するものであってもよい。これにより、交差点において自車線と交差し、かつ、自車線の進行方向を基準として自車線の左側から右側に向かう進行方向を有する交差車線に合流するために適切な位置において、自車両は交差車線を走行する車両の列に合流することができる。その結果、交差点での円滑な交通を実現できる。
【0090】
さらに、本実施形態に係る走行支援方法及び走行支援装置は、第2ゼブラゾーンが、交差点における安全地帯又は路上障害物に接近しつつあることを示す道路標示である場合、他車両が第2ゼブラゾーンの手前を通過するケースがあると判定するものであってもよい。これにより、第2ゼブラゾーンの種別に基づいて、交差点内の車線を推定することができる。
【0091】
また、本実施形態に係る走行支援方法及び走行支援装置は、第2ゼブラゾーンが、交差点における安全地帯又は路上障害物に接近しつつあることを示す道路標示でない場合、他車両が第2ゼブラゾーンの手前を通過するケースがないと判定するものであってもよい。これにより、第2ゼブラゾーンの種別に基づいて、交差点内の車線を推定することができる。
【0092】
さらに、本実施形態に係る走行支援方法及び走行支援装置は、第1ゼブラゾーンの手前かつ交差点に位置する、進行方向を示す矢印を、道路標示の中から抽出し、矢印に基づいて、第1位置、又は、第2位置、のいずれか一方を通過する走行軌跡を設定するものであってもよい。これにより、ゼブラゾーンに加えて矢印を検出して交差点内での車線の構造を推定するため、より迅速かつ正確な車線の推定を行うことが可能である。
【0093】
また、本実施形態に係る走行支援方法及び走行支援装置は、第2ゼブラゾーンを抽出できない場合に、第2位置を通過する走行軌跡を設定するものであってもよい。これにより、第2ゼブラゾーンを抽出できない場合であっても、第1ゼブラゾーンを基準として、交差点内において、比較的、交差車線を走行する他車両の走行に影響を与えない位置で、車両の右折又はUターンを実行することができる。その結果、交差点での円滑な交通を実現できる。
【0094】
さらに、本実施形態に係る走行支援方法及び走行支援装置は、第1ゼブラゾーンを抽出できない場合に、交差点内で自車線と交差車線とが重なる領域のうち、自車線の進行方向を基準として右側の終端、を通過する走行軌跡を設定するものであってもよい。これにより、第1ゼブラゾーン及び第2ゼブラゾーンを抽出できない場合であっても、交差点内において、比較的、交差車線を走行する他車両の走行に影響を与えない位置で、車両の右折又はUターンを実行することができる。その結果、交差点での円滑な交通を実現できる。
【0095】
また、本実施形態に係る走行支援方法及び走行支援装置において、自車線の進行方向を基準として、第1位置は、第1ゼブラゾーンと、第1ゼブラゾーンから自車両の幅の分だけ手前の位置と、で挟まれた領域内に位置するものであってもよい。これにより、交差点内を走行する自車両以外の他車両の走行に大きな影響を及ぼすことなく、第1ゼブラゾーンの近くでの車両の走行を実現することができる。また、交差車線が多く、道路幅が広い場合であっても、適切な位置での自車両の交差点内での走行を行うことができる。
【0096】
さらに、本実施形態に係る走行支援方法及び走行支援装置において、自車線の進行方向を基準として、第2位置は、自車両が交差点で右折する場合、交差点の終端と、交差点の終端から自車両の幅の分だけ手前の位置と、で挟まれた領域内に位置するものであってもよい。また、第2位置は、自車両が交差点でUターンする場合、第1ゼブラゾーンと、第1ゼブラゾーンから自車両の幅の分だけ奥の位置と、で挟まれた領域内に位置するものであってもよい。これらにより、交差車線が多く、道路幅が広い場合であっても、適切な位置での自車両の交差点内での走行を行うことができる。
【0097】
上述の実施形態で示した各機能は、1又は複数の処理回路によって実装されうる。処理回路には、プログラムされたプロセッサや、電気回路などが含まれ、さらには、特定用途向けの集積回路(ASIC)のような装置や、記載された機能を実行するよう配置された回路構成要素なども含まれる。
【0098】
以上、実施形態に沿って本発明の内容を説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0099】
本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0100】
71 撮像部
73 車載センサ
75 地図情報取得部
100 コントローラ
110 道路標示検出部
120 交差車線検出部
130 第1ゼブラゾーン抽出部
140 第2ゼブラゾーン抽出部
170 判定部
180 走行軌跡設定部
190 出力部
400 車両制御装置
図1
図2
図3
図4A
図4B