(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-23
(45)【発行日】2024-10-31
(54)【発明の名称】作業機械、作業機械の制御方法および施工管理システム
(51)【国際特許分類】
E02F 3/43 20060101AFI20241024BHJP
E02F 9/20 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
E02F3/43 C
E02F9/20 Q
(21)【出願番号】P 2021092488
(22)【出願日】2021-06-01
(62)【分割の表示】P 2019081307の分割
【原出願日】2019-04-22
【審査請求日】2022-03-09
【審判番号】
【審判請求日】2023-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西村 峰鷹
【合議体】
【審判長】有家 秀郎
【審判官】津熊 哲朗
【審判官】西田 秀彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-21425(JP,A)
【文献】特開2017-155563(JP,A)
【文献】国際公開第2014/077221(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/20
E02F 3/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機と、
前記作業機の位置を取得する作業機位置取得部と、
前記作業機位置取得部で取得された前記作業機の位置に従って前記作業機の複数の輪郭点それぞれの位置のうち施工対象の設計地形との最も近い点との距離を算出する距離算出部と、
オペレータの操作を受付可能に設けられた操作受付部と、
前記操作受付部に対するオペレータの操作を受け付けている場合に、前記作業機の位置を示す位置データを現況地形データとして記録する記録部とを備え、
前記操作受付部は、記録ボタンを有し、
前記記録部は、前記記録ボタンに対するオペレータの操作を受け付けている場合に、
前記距離算出部で算出した最も近い点の前記作業機の位置を示す位置データを現況地形データとして記録する、作業機械。
【請求項2】
前記作業機は、刃先を有する、請求項1記載の作業機械。
【請求項3】
作業機を備えた作業機械の制御方法であって、
前記作業機の位置を取得するステップと、
取得された前記作業機の位置に従って前記作業機の複数の輪郭点それぞれの位置のうち施工対象の設計地形との最も近い点との距離を算出するステップと、
オペレータの操作の入力を受け付けるステップと、
前記オペレータの操作の入力を受け付けている場合に、前記作業機の位置を示す位置データを現況地形データとして記録するステップとを備え、
前記オペレータの操作の入力を受け付けるステップは、記録ボタンに対する前記オペレータの操作を受け付けるステップを含み、
前記記録するステップは、前記記録ボタンに対する前記オペレータの操作を受け付けている場合に、
前記距離を算出するステップによる最も近い点の前記作業機の位置を示す位置データを現況地形データとして記録する、作業機械の制御方法。
【請求項4】
作業機を備える作業機械と、
前記作業機の位置を取得する作業機位置取得部と、
前記作業機位置取得部で取得された前記作業機の位置に従って前記作業機の複数の輪郭点それぞれの位置のうち施工対象の設計地形との最も近い点との距離を算出する距離算出部と、
オペレータの操作を受付可能に設けられた操作受付部と、
前記操作受付部に対するオペレータの操作を受け付けている場合に、前記作業機の位置を示す位置データを現況地形データとして記録する記録部とを備え、
前記操作受付部は、記録ボタンを有し、
前記記録部は、前記記録ボタンに対するオペレータの操作を受け付けている場合に、
前記距離算出部で算出した最も近い点の前記作業機の位置を示す位置データを現況地形データとして記録する、施工管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械の施工管理に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、作業機械によって施工対象が施工された結果変形された現況地形を求めるために、バケットが通過した位置情報に基づいて現況地形データを生成する技術が開発されている(特許文献1参照)。具体的には、特許文献1に記載の施工管理装置は、バケット刃先の位置データに基づいてバケット刃先の軌跡を特定し、バケットの刃先が通過した位置の高さが現況地形データの高さより低い場合に、現況地形データの高さをバケットの刃先が通過した高さに更新する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、特許文献1に記載の技術は、バケットの刃先における最下点に基づいて地形データを更新するため、後に盛土作業により最下点よりも上方の位置で施工した場合であっても現況地形データは更新されない。これにより実際の現況地形との乖離が生じてしまう可能性がある。
【0005】
本開示の目的は、精度の高い現況地形データの記録が可能な作業機械、作業機械の制御方法および施工管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある局面に従う作業機械は、作業機と、作業機の位置を取得する作業機位置取得部と、オペレータの操作を受付可能に設けられた操作受付部と、操作受付部に対するオペレータの操作を受け付けている場合に、作業機の位置に応じた現況地形データを記録する記録部とを備える。
【0007】
本開示のある局面に従う作業機械の制御方法は、作業機を備えた作業機械の制御方法であって、作業機の位置を取得するステップと、オペレータの操作の入力を受け付けるステップと、オペレータの操作の入力を受け付けている場合に、作業機の位置に応じた現況地形データを記録するステップとを備える。
【0008】
本開示のある局面に従う施工管理システムは、作業機と、作業機と接続される施工管理装置とを備える。施工管理装置は、作業機の位置を取得する作業機位置取得部と、オペレータの操作を受付可能に設けられた操作受付部と、操作受付部に対するオペレータの操作を受け付けている場合に、作業機の位置に応じた現況地形データを記録する記録部とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示の作業機械、作業機械の制御方法および施工管理システムは、精度の高い現況地形データの記録が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1に基づく作業機械100の外観図である。
【
図2】実施形態1に基づく作業機械100を模式的に説明する図である。
【
図3】実施形態1に基づく作業機械100の制御系の構成を示す概要ブロック図について説明する。
【
図4】実施形態1に基づく作業機コントローラ26の構成を示すブロック図である。
【
図5】実施形態1に従うバケット8の複数の輪郭点と設計地形との関係を示す図である。
【
図6】比較例に従う従来の現況地形データの記録について説明する図である。
【
図7】実施形態1に従う作業機コントローラ26の現況地形データの記録(その1)について説明する図である。
【
図8】実施形態1に従う作業機コントローラ26の現況地形データの記録(その2)について説明する図である。
【
図9】実施形態1に従う作業機コントローラ26の現況地形データの記録について説明するフロー図である。
【
図10】実施形態2に基づく作業機コントローラ26#の構成を示すブロック図である。
【
図11】実施形態2に従う作業機コントローラ26の現況地形データの記録について説明する図である。
【
図12】実施形態2に従う作業機コントローラ26の現況地形データの記録について説明するフロー図である。
【
図13】実施形態3に従う作業機コントローラ26の現況地形データの記録について説明する図である。
【
図14】実施形態3に従うに作業機コントローラ26の現況地形データの記録について説明するフロー図である。
【
図15】実施形態4に従う施工管理システム1000の構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。以下の説明では、同一部品には、同一の符号を付している。それらの名称および機能の同じである。したがって、それらについての詳細な説明については繰り返さない。
【0012】
(実施形態1)
<作業機械の全体構成>
図1は、実施形態1に基づく作業機械100の外観図である。
【0013】
図1に示されるように、本開示の思想を適用可能な作業機械として油圧により作動する作業機2を備える油圧ショベルCMを例に挙げて説明する。
【0014】
油圧ショベルCMは、車両本体1と、作業機2とを備える。
【0015】
車両本体1は、旋回体3と、運転室4と、走行装置5とを有する。
【0016】
旋回体3は、走行装置5の上に配置される。走行装置5は、旋回体3を支持する。旋回体3は、旋回軸AXを中心に旋回可能である。運転室4には、オペレータが着座する運転席4Sが設けられる。オペレータは、運転室4において油圧ショベルCMを操作する。走行装置5は、一対の履帯5Crを有する。履帯5Crの回転により、油圧ショベルCMが走行する。走行装置5は、車輪(タイヤ)で構成されていてもよい。
【0017】
実施形態1では、運転席4Sに着座したオペレータを基準として各部の位置関係について説明する。前後方向とは、運転席4Sに着座したオペレータの前後方向をいう。左右方向とは、運転席4Sに着座したオペレータを基準とした左右方向をいう。左右方向は、車両の幅方向(車幅方向)に一致する。運転席4Sに着座したオペレータに正面に正対する方向を前方向とし、前方向とは反対の方向を後方向とする。運転席4Sに着座したオペレータが正面に正対したとき右側、左側をそれぞれ右方向、左方向とする。
【0018】
旋回体3は、エンジンが収容されるエンジンルーム9と、旋回体3の後部に設けられるカウンタウェイトとを有する。旋回体3において、エンジンルーム9の前方に手すり19が設けられる。エンジンルーム9には、エンジン及び油圧ポンプなどが配置されている。
【0019】
作業機2は、旋回体3に支持される。作業機2は、ブーム6と、アーム7と、バケット8と、ブームシリンダ10と、アームシリンダ11と、バケットシリンダ12とを有する。
【0020】
ブーム6は、ブームピン13を介して旋回体3に接続される。アーム7は、アームピン14を介してブーム6に接続される。バケット8は、バケットピン15を介してアーム7に接続される。ブームシリンダ10は、ブーム6を駆動する。アームシリンダ11は、アーム7を駆動する。バケットシリンダ12は、バケット8を駆動する。ブーム6の基端部(ブームフート)と旋回体3とが接続される。ブーム6の先端部(ブームトップ)とアーム7の基端部(アームフート)とが接続される。アーム7の先端部(アームトップ)とバケット8の基端部とが接続される。ブームシリンダ10、アームシリンダ11およびバケットシリンダ12はいずれも、作動油によって駆動される油圧シリンダである。
【0021】
ブーム6は、回動軸であるブームピン13を中心に旋回体3に体して回動可能である。アーム7は、ブームピン13と平行な回動軸であるアームピン14を中心にブーム6に体して回転可能である。バケット8は、ブームピン13およびアームピン14と平行な回動軸であるバケットピン15を中心にアーム7に対して回動可能である。
【0022】
なお、バケット8、作業機2は、本開示の「バケット」、「作業機」の一例である。
【0023】
図2は、実施形態1に基づく作業機械100を模式的に説明する図である。
【0024】
図2(A)には、作業機械100の側面図が示される。
図2(B)には、作業機械100の背面図が示される。
【0025】
図2(A)および
図2(B)に示されるように、ブーム6の長さL1は、ブームピン13とアームピン14との距離である。アーム7の長さL2は、アームピン14とバケットピン15との距離である。バケット8の長さL3は、バケットピン15とバケット8の刃先8Aとの距離である。バケット8は、複数の刃を有し、本例においては、バケット8の先端部を刃先8Aと称する。
【0026】
なお、バケット8は、刃を有していなくてもよい。バケット8の先端部は、ストレート形状の鋼板で形成されていてもよい。
【0027】
作業機械100は、ブームシリンダストロークセンサ16と、アームシリンダストロークセンサ17と、バケットシリンダストロークセンサ18とを有する。ブームシリンダストロークセンサ16はブームシリンダ10に配置される。アームシリンダストロークセンサ17はアームシリンダ11に配置される。バケットシリンダストロークセンサ18はバケットシリンダ12に配置される。なお、ブームシリンダストロークセンサ16、アームシリンダストロークセンサ17およびバケットシリンダストロークセンサ18は総称してシリンダストロークセンサとも称する。
【0028】
ブームシリンダストロークセンサ16の検出結果に基づいて、ブームシリンダ10のストローク長さが求められる。アームシリンダストロークセンサ17の検出結果に基づいて、アームシリンダ11のストローク長さが求められる。バケットシリンダストロークセンサ18の検出結果に基づいて、バケットシリンダ12のストローク長さが求められる。
【0029】
なお、本例においては、ブームシリンダ10、アームシリンダ11およびバケットシリンダ12のストローク長さをそれぞれブームシリンダ長、アームシリンダ長およびバケットシリンダ長とも称する。また、本例においては、ブームシリンダ長、アームシリンダ長、及びバケットシリンダ長を総称してシリンダ長データLとも称する。なお、角度センサを用いてストローク長さを検出する方式を採用することも可能である。
【0030】
作業機械100は、作業機械100の位置を検出可能な位置検出装置20を備えている。
【0031】
位置検出装置20は、アンテナ21と、グローバル座標演算部23と、IMU(Inertial Measurement Unit)24とを有する。
【0032】
アンテナ21は、たとえばGNSS(Global Navigation Satellite Systems:全地球航法衛星システム)用のアンテナである。アンテナ21は、たとえばRTK-GNSS(Real Time Kinematic-Global Navigation Satellite Systems)用アンテナである。
【0033】
アンテナ21は、旋回体3に設けられる。本例においては、アンテナ21は、旋回体3の手すり19に設けられる。なお、アンテナ21は、エンジンルーム9の後方向に設けられてもよい。例えば、旋回体3のカウンタウェイトにアンテナ21が設けられてもよい。アンテナ21は、受信した電波(GNSS電波)に応じた信号をグローバル座標演算部23に出力する。
【0034】
グローバル座標演算部23は、グローバル座標系におけるアンテナ21の設置位置P1を検出する。グローバル座標系は、作業エリアに設置した基準位置Prを元にした3次元座標系(Xg、Yg、Zg)である。本例においては、基準位置Prは、作業エリアに設定された基準杭の先端の位置である。また、ローカル座標系とは、作業機械100を基準とした、(X、Y、Z)で示される3次元座標系である。ローカル座標系の基準位置は、旋回体3の旋回軸(旋回中心)AXに位置する基準位置P2を示すデータである。
【0035】
本例においては、アンテナ21は、車幅方向に互いに離れるように旋回体3に設けられた第1アンテナ21A及び第2アンテナ21Bを有する。
【0036】
グローバル座標演算部23は、第1アンテナ21Aの設置位置P1a及び第2アンテナ21Bの設置位置P1bを検出する。グローバル座標演算部23は、グローバル座標で表される基準位置データPを取得する。本例においては、基準位置データPは、旋回体3の旋回軸(旋回中心)AXに位置する基準位置P2を示すデータである。なお、基準位置データPは、設置位置P1を示すデータでもよい。
【0037】
本例においては、グローバル座標演算部23は、2つの設置位置P1a及び設置位置P1bに基づいて旋回体方位データQを生成する。旋回体方位データQは、設置位置P1aと設置位置P1bとで決定される直線がグローバル座標の基準方位(例えば北)に対してなす角に基づいて決定される。旋回体方位データQは、旋回体3(作業機2)が向いている方位を示す。グローバル座標演算部23は、後述する作業機コントローラ26に基準位置データP及び旋回体方位データQを出力する。
【0038】
IMU24は、旋回体3に設けられる。本例においては、IMU24は、運転室4の下部に配置される。旋回体3において、運転室4の下部に高剛性のフレームが配置される。IMU24は、そのフレーム上に配置される。なお、IMU24は、旋回体3の旋回軸AX(基準位置P2)の側方(右側又は左側)に配置されてもよい。IMU24は、車両本体1の左右方向に傾斜する傾斜角θ4と、車両本体1の前後方向に傾斜する傾斜角θ5とを検出する。
【0039】
<制御系の構成>
図3は、実施形態1に基づく作業機械100の制御系の構成を示す概要ブロック図について説明する。
【0040】
図3に示されるように、作業機械100は、ブームシリンダストロークセンサ16と、アームシリンダストロークセンサ17と、バケットシリンダストロークセンサ18と、アンテナ21と、グローバル座標演算部23と、IMU24と、操作装置25と、作業機コントローラ26と、油圧装置64とを有する。
【0041】
操作装置25は、運転室4に配置される。オペレータにより操作装置25が操作される。操作装置25は、作業機2を駆動するオペレータ操作を受け付ける。本例においては、操作装置25は、パイロット油圧方式の操作装置である。
【0042】
油圧装置64は、図示しない作動油タンク、油圧ポンプ、流量制御弁、電磁比例制御弁を備える。油圧ポンプは、図示しないエンジンの動力で駆動し、流量調整弁を介してブームシリンダ10、アームシリンダ11およびバケットシリンダ12に作動油を供給する。
【0043】
操作装置25は、第1操作レバー25Rと、第2操作レバー25Lとを有する。第1操作レバー25Rは、例えば運転席4Sの右側に配置される。第2操作レバー25Lは、例えば運転席4Sの左側に配置される。第1操作レバー25R及び第2操作レバー25Lでは、前後左右の動作が2軸の動作に対応する。第1操作レバー25Rにより、ブーム6及びバケット8が操作される。第2操作レバー25Lにより、アーム7及び旋回体3が操作される。
【0044】
センサコントローラ30は、ブームシリンダストロークセンサ16の検出結果に基づいて、ブームシリンダ長を算出する。ブームシリンダストロークセンサ16は、周回動作に伴うパルスをセンサコントローラ30に出力する。センサコントローラ30は、ブームシリンダストロークセンサ16から出力されたパルスに基づいて、ブームシリンダ長を算出する。
【0045】
同様に、センサコントローラ30は、アームシリンダストロークセンサ17の検出結果に基づいて、アームシリンダ長を算出する。センサコントローラ30は、バケットシリンダストロークセンサ18の検出結果に基づいて、バケットシリンダ長を算出する。
【0046】
センサコントローラ30は、ブームシリンダストロークセンサ16の検出結果に基づいて取得されたブームシリンダ長から、旋回体3の垂直方向に対するブーム6の傾斜角θ1を算出する。センサコントローラ30は、アームシリンダストロークセンサ17の検出結果に基づいて取得されたアームシリンダ長から、ブーム6に対するアーム7の傾斜角θ2を算出する。センサコントローラ30は、バケットシリンダストロークセンサ18の検出結果に基づいて取得されたバケットシリンダ長から、アーム7に対するバケット8の刃先8Aの傾斜角θ3を算出する。
【0047】
上記算出結果である傾斜角θ1、θ2、θ3と、車両本体1の左右方向に傾斜する傾斜角θ4と、車両本体1の前後方向に傾斜する傾斜角θ5と、基準位置データP、旋回体方位データQとに基づいて、作業機械100のブーム6、アーム7およびバケット8の位置を特定することが可能となり、バケット8の3次元位置を示すバケット位置データを生成することが可能である。
【0048】
なお、ブーム6の傾斜角θ1、アーム7の傾斜角θ2、及びバケット8の傾斜角θ3は、シリンダストロークセンサで検出されなくてもよい。ロータリーエンコーダのような角度検出器でブーム6の傾斜角θ1が検出されてもよい。角度検出器は、旋回体3に対するブーム6の屈曲角度を検出して、傾斜角θ1を検出する。同様に、アーム7の傾斜角θ2がアーム7に取り付けられた角度検出器で検出されてもよい。バケット8の傾斜角θ3がバケット8に取り付けられた角度検出器で検出されてもよい。
【0049】
<作業機コントローラの構成>
図4は、実施形態1に基づく作業機コントローラ26の構成を示すブロック図である。
【0050】
図4に示されるように、作業機コントローラ26は、検出情報取得部102と、バケット位置取得部104と、目標施工データ記憶部106と、距離算出部108と、バケット位置記録部110とを含む。
【0051】
検出情報取得部102は、センサコントローラ30からの傾斜角θ1、θ2、θ3、θ4、θ5と、グローバル座標演算部23からの基準位置データP、旋回体方位データQとを取得する。
【0052】
バケット位置取得部104は、検出情報取得部102で取得した情報に基づいて、作業機械100のブーム6、アーム7およびバケット8の位置を特定することが可能となり、バケット8の3次元位置を示すバケット位置データを算出(取得)する。
【0053】
目標施工データ記憶部106は、施工現場の設計地形を表す目標施工データを記憶する。目標施工データは、グローバル座標系で表される3次元データであって、設計地形を表す複数の3角形ポリゴンからなる立体地形データ等を含む。目標施工データを構成する3角形ポリゴンは、それぞれ隣接する他の三角形ポリゴンと共通の辺を有する。目標施工データは、複数の平面から構成される連続した平面を表す。目標施工データは、外部記憶媒体から読み込まれることより目標施工データ記憶部106に格納される。目標施工データは、外部記憶媒体に限らず、ネットワークを介して外部サーバから取得し、格納されるようにしても良い。
【0054】
距離算出部108は、バケット8の位置と施工対象の設計地形との距離を算出する。距離算出部108は、一例として、バケット8の刃先位置と施工対象の設計地形との距離を算出する。距離算出部108は、バケット8の刃先位置から施工対象の設計地形に対する垂線方向の距離を算出する。距離算出部108は、刃先位置に限られず、バケット8の複数の輪郭点それぞれと、施工対象の設計地形との距離を算出してもよい。輪郭点は、複数の輪郭点のうちの1つの点であつても良い。
【0055】
図5は、実施形態1に従うバケット8の複数の輪郭点と設計地形との関係を示す図である。
【0056】
図5に示されるように、バケット8の複数の輪郭点Eは、バケット8の複数の横断線と複数の横断面との交点である。バケット8の複数の横断線は、バケット8の刃先8Aが並ぶ刃先線と、当該刃先線と平行な線であってバケットの底面8Bおよび尻部8C等の領域における複数の線とからなる。バケット8の複数の縦断面は、バケット8の両側面と、両側面に平行な面であって両側面の間を分割する面とからなる。
【0057】
再び
図4を参照して、距離算出部108は、複数の輪郭点Eのうち設計地形に対して垂直方向の距離をそれぞれ算出する。距離算出部108は、複数の輪郭点Eのうち最も短い距離に対応する輪郭点Eと設計地形との距離をバケット8の位置と施工対象の設計地形との距離として算出する。
【0058】
バケット位置記録部110は、距離算出部108により算出された距離に基づいてバケット8の位置に応じた現況地形データをメモリに記録する。バケット位置記録部110は、距離算出部108により算出された距離が所定範囲内であるか否かを判断する。バケット位置記録部110は、算出された距離が所定範囲内であると判断した場合にバケット位置データを現況地形データとしてメモリに記録する。バケット位置記録部110は、距離算出部108により算出された距離が所定範囲内でないと判断した場合にバケット位置データを現況地形データとしてメモリに記録しない。バケット位置データは、バケット8の刃先を示す位置データとしても良いし、バケット8の複数の輪郭点Eのうちの1つの点であってもよい。
【0059】
バケット位置記録部110は、距離算出部108により算出された距離が所定範囲内であると判断した場合に最新のバケット位置データを現況地形データとして更新する。例えば、バケット位置記録部110は、バケット8が3次元データのX、Y座標が同じ地点を繰り返し移動する場合に、距離算出部108により算出された距離が所定範囲内である場合には、現況地形データとして、最新のZ座標のバケット位置データを現況地形データとして更新する。
【0060】
なお、バケット位置取得部104、距離算出部108およびバケット位置記録部110は、本開示の「バケット位置取得部」、「距離算出部」および「記録部」の一例である。
【0061】
図6は、比較例に従う従来の現況地形データの記録について説明する図である。
【0062】
図6(A)に示されるように、施工現場において設計地形Rに近づくようにバケットを含む作業機を操作して作業面L0の施工作業が行われた場合が示されている。ここで、一部分において、設計地形Rよりも掘り過ぎた場合が示されている。
【0063】
図6(B)に示されるように、施工現場において設計地形Rに近づくようにバケットを含む作業機を操作して盛土作業とともに作業面L1の施工作業が行われた場合が示されている。
【0064】
一方で、従来の方式は、バケット8の刃先における最下点に基づいて現況地形データを更新する。したがって、設計地形Rよりも掘り過ぎた後に盛土作業とともに施工作業をした場合、最下点よりも上方の位置で作業する。それゆえ、現況地形データは更新されずに、作業面L0の状態が現況地形データとして維持される。したがって、実際の現況地形との乖離が生じてしまう可能性がある。
【0065】
図7は、実施形態1に従う作業機コントローラ26の現況地形データの記録(その1)について説明する図である。
【0066】
図7に示されるように、施工現場において設計地形Rに近づくようにバケットを含む作業機を操作して作業面L1の施工作業が行われた場合が示されている。ここで、一部分において、設計地形Rよりも掘り過ぎた場合が示されている。
【0067】
実施形態1においては、設計地形Rよりも上側d1と、設計地形Rよりも下側d2の幅の領域が所定範囲として予め設定されている。上側d1と、下側d2の幅は、同じ値でも良いし、異なる値でも良い。
【0068】
距離算出部108は、設計地形Rとバケット8との距離を算出する。
【0069】
バケット位置記録部110は、距離算出部108により算出された距離が所定範囲内であると判断した場合にバケット位置データを現況地形データとしてメモリに記録する。
【0070】
バケット位置記録部110は、距離算出部108により算出された距離が所定範囲内である場合の作業面L1に対応するバケット位置データを現況地形データとしてメモリに記録する。バケット位置記録部110は、距離算出部108により算出された距離が所定範囲外である場合には、バケット位置データを現況地形データとしてメモリに記録しない。
【0071】
図8は、実施形態1に従う作業機コントローラ26の現況地形データの記録(その2)について説明する図である。
【0072】
図8に示されるように、施工現場において設計地形Rに近づくようにバケットを含む作業機を操作して盛土作業とともに作業面L2の施工作業が行われた場合が示されている。
【0073】
バケット位置記録部110は、距離算出部108により算出された距離が所定範囲内であると判断した場合にバケット位置データを現況地形データとしてメモリに記録する。
【0074】
バケット位置記録部110は、距離算出部108により算出された距離が所定範囲内である場合の作業面L2に対応するバケット位置データを現況地形データとしてメモリに記録する。それゆえ、最新の作業面L2に対応するバケット位置データが現況地形データとして記録される。したがって、実際の現況地形との乖離は生じず、最新の精度の高い現況地形データの記録が可能である。
【0075】
図9は、実施形態1に従う作業機コントローラ26の現況地形データの記録について説明するフロー図である。
【0076】
図9を参照して、作業機コントローラ26は、検出情報を取得する(ステップS2)。
【0077】
検出情報取得部102は、センサコントローラ30からの傾斜角θ1、θ2、θ3、θ4、θ5と、グローバル座標演算部23からの基準位置データP、旋回体方位データQとを取得する。
【0078】
次に、作業機コントローラ26は、バケット位置を取得する(ステップS4)。
【0079】
バケット位置取得部104は、検出情報取得部102で取得した情報に基づいて、作業機械100のブーム6、アーム7およびバケット8の位置を特定することが可能となり、バケット8の3次元位置を示すバケット位置データを算出(取得)する。
【0080】
次に、作業機コントローラ26は、設計地形との距離を算出する(ステップS6)。
【0081】
距離算出部108は、バケット位置取得部104で算出されたバケット8の位置と施工対象の設計地形との距離を算出する。バケット8の位置と設計地形との距離は、バケット8の刃先位置と設計地形との距離でも良いし、あるいは、
図5で説明したように、バケット8の複数の輪郭点Eのうち設計地形に対して垂直方向の距離をそれぞれ算出し、最も短い距離にかかる輪郭点Eと設計地形との距離をバケットの位置と施工対象の設計地形との距離として算出しても良い。
【0082】
次に、作業機コントローラ26は、距離が所定範囲内であるか否かを判断する(ステップS8)。バケット位置記録部110は、距離算出部108により算出された距離が所定範囲内であるか否かを判断する。
【0083】
次に、作業機コントローラ26は、距離が所定範囲内であると判断した場合(ステップS8においてYES)には、バケット8の位置に応じた現況地形データをメモリに記録する。バケット位置記録部110は、算出された距離が所定範囲内であると判断した場合にバケット位置取得部104で算出したバケット位置データを現況地形データとしてメモリに記録する。
【0084】
次に、作業機コントローラ26は作業が終了したか否かを判断する(ステップS12)。作業機コントローラ26は、操作装置25からのオペレータ操作を所定期間受け付けないと判断した場合には作業が終了したと判断する。あるいは、作業機コントローラ26は、作業機械100のエンジンの停止指示が有った場合に作業が終了したと判断するようにしても良い。
【0085】
ステップS12において、作業機コントローラ26は、作業が終了していないと判断した場合(ステップS12においてNO)には、ステップS2に戻り、上記処理を繰り返す。
【0086】
一方、ステップS12において、作業機コントローラ26は、作業が終了したと判断した場合(ステップS12においてYES)には、処理を終了する(エンド)。
【0087】
一方、ステップS8において、作業機コントローラ26は、距離が所定範囲内でないと判断した場合(ステップS8においてNO)には、ステップS10をスキップしてステップS12に進む。バケット位置記録部110は、算出された距離が所定範囲内で無いと判断した場合にバケット位置取得部104で算出したバケット位置データを現況地形データとしてメモリに記録しない。
【0088】
当該処理により、作業機コントローラ26は、設計地形R付近における施工作業において、設計地形Rとバケット8の位置との距離が所定範囲内である場合に、バケット位置データを現況地形データとして記録する。したがって、設計地形R付近における施工作業において、精度の高い現況地形データの記録が可能である。
【0089】
(実施形態2)
実施形態1においては、設計地形Rとバケットの位置との距離が所定範囲内である場合にバケット位置データを現況地形データとして記録する場合について説明した。
【0090】
実施形態2においては、作業者の意図を直接反映して現況地形データを記録する方式について説明する。
【0091】
図10は、実施形態2に基づく作業機コントローラ26#の構成を示すブロック図である。
【0092】
図10に示されるように、作業機コントローラ26#は、検出情報取得部102と、バケット位置取得部104と、目標施工データ記憶部106と、バケット位置記録部110#と、記録ボタン入力受付部112とを含む。
【0093】
操作装置25は、現況地形データを記録するための記録ボタン25Pをさらに含む。
【0094】
作業機コントローラ26#は、作業機コントローラ26と比較して、距離算出部108を削除するとともに、バケット位置記録部110をバケット位置記録部110#に置換し、記録ボタン入力受付部112をさらに設けた点で異なる。その他の構成については同一であるのでその詳細な説明については繰り返さない。
【0095】
記録ボタン入力受付部112は、記録ボタン25Pの入力を受け付ける。
【0096】
バケット位置記録部110#は、記録ボタン入力受付部112において受け付けた記録ボタン25Pの入力に従ってバケット位置データを現況地形データとして記録する。したがって、ユーザによる記録ボタン25Pの入力に従ってユーザが所望する位置でのバケット位置データを現況地形データとして記録することが可能である。
【0097】
なお、記録ボタン25Pは、本開示の「操作部材」の一例である。
【0098】
図11は、実施形態2に従う作業機コントローラ26の現況地形データの記録について説明する図である。
【0099】
図11(A)に示されるように、施工現場においてバケットを含む作業機を操作して作業面L3の施工作業が行われた場合が示されている。ここで、一部分において、掘り過ぎた場合が示されている。
【0100】
実施形態2においては、バケット位置記録部110#は、作業者の記録ボタン25Pの入力に従ってバケット位置データを設計地形データとして記録する。
【0101】
本例においては、バケット位置記録部110#は、作業面L3に対応するバケット位置データを現況地形データとして記録する。
【0102】
図11(B)に示されるように、施工現場においてバケットを含む作業機を操作して盛土作業とともに作業面L4の施工作業が行われた場合が示されている。
【0103】
実施形態2においては、バケット位置記録部110#は、作業者の記録ボタン25Pの入力に従ってバケット位置データを設計地形データとして記録する。
【0104】
それゆえ、作業者の意図に応じた最新の作業面L4に対応するバケット位置データが現況地形データとして記録される。したがって、実際の現況地形との乖離は生じず、最新の精度の高い現況地形データの記録が可能である。
【0105】
図12は、実施形態2に従う作業機コントローラ26の現況地形データの記録について説明するフロー図である。
【0106】
図12を参照して、作業機コントローラ26は、検出情報を取得する(ステップS2)。
【0107】
検出情報取得部102は、検出情報取得部102は、センサコントローラ30からの傾斜角θ1、θ2、θ3、θ4、θ5と、グローバル座標演算部23からの基準位置データP、旋回体方位データQとを取得する。
【0108】
次に、作業機コントローラ26は、バケット位置を取得する(ステップS4)。
【0109】
バケット位置取得部104は、検出情報取得部102で取得した情報に基づいて、作業機械100のブーム6、アーム7およびバケット8の位置を特定することが可能となり、バケット8の3次元位置を示すバケット位置データを算出(取得)する。
【0110】
次に、作業機コントローラ26は、記録ボタン25Pの入力を受け付けているか否かを判断する(ステップS9)。記録ボタン入力受付部112は、記録ボタン25Pの入力があるか否かを判断する。
【0111】
次に、作業機コントローラ26は、記録ボタン25Pの入力を受け付けていると判断した場合(ステップS9においてYES)には、バケット8の位置に応じた現況地形データをメモリに記録する。記録ボタン入力受付部112は、記録ボタン25Pの入力が有る場合には、その旨をバケット位置記録部110に通知する。バケット位置記録部110は、記録ボタン入力受付部112の通知に従ってバケット位置取得部104で算出したバケット位置データを現況地形データとしてメモリに記録する。
【0112】
次に、作業機コントローラ26は作業が終了したか否かを判断する(ステップS12)。作業機コントローラ26は、操作装置25からのオペレータ操作を所定期間受け付けないと判断した場合には作業が終了したと判断する。あるいは、作業機コントローラ26は、作業機械100のエンジンの停止指示が有った場合に作業が終了したと判断するようにしても良い。
【0113】
ステップS12において、作業機コントローラ26は、作業が終了していないと判断した場合(ステップS12においてNO)には、ステップS2に戻り、上記処理を繰り返す。
【0114】
一方、ステップS12において、作業機コントローラ26は、作業が終了したと判断した場合(ステップS12においてYES)には、処理を終了する(エンド)。
【0115】
一方、ステップS9において、作業機コントローラ26は、記録ボタン25Pの入力を受け付けていないと判断した場合(ステップS9においてNO)には、ステップS10をスキップして、ステップS12に進む。バケット位置記録部110は、記録ボタン入力受付部112からの通知が無い場合には、バケット位置取得部104で算出したバケット位置データを現況地形データとしてメモリに記録しない。
【0116】
当該処理により、作業機コントローラ26は、施工作業において、記録ボタン25Pの入力に従ってバケット位置データを現況地形データとして記録する。したがって、ユーザの意図に応じた最新の精度の高い現況地形データの記録が可能である。
【0117】
本例においては、操作装置25において、記録ボタン25Pが設けられ、記録ボタン入力受付部112が記録ボタンの入力を受け付ける方式について説明したが、特に記録ボタンに限られず、記録スイッチでも良いし、記録するための操作の受付が可能な操作部材であればどのような手段を用いても良い。
【0118】
(実施形態3)
実施形態3においては、実施形態1の方式と実施形態2の方式とを組み合わせる方式について説明する。
【0119】
図13は、実施形態3に従う作業機コントローラ26の現況地形データの記録について説明する図である。
【0120】
図13に示されるように、施工現場において設計地形Rに近づくようにバケットを含む作業機を操作する施工作業が行われる場合が示されている。具体的には、設計地形Rよりも離れた位置において、作業面L5の施工作業が行われた場合が示されている。
【0121】
実施形態1の方式では、設計地形Rとバケット8の位置との距離が所定範囲内に含まれる場合には、バケット位置データを現況地形データとして記録する。したがって、当該場合のように設計地形Rよりも離れた位置において、バケットを含む作業機を操作する施工作業が行われる場合には、バケット位置データを現況地形データとして記録しない。
【0122】
しかしながら、掘削作業の進行途中の作業状況を現況地形データとして記録することが可能であれば施工作業する際の利便性が向上する。
【0123】
実施形態3においては、設計地形Rとバケットの位置との距離が所定範囲内に含まれる場合には、バケット位置データを現況地形データとして記録する。また、設計地形Rとバケットの位置との距離が所定範囲内で無い場合であっても、記録ボタン25Pの入力を受け付けた場合には、バケット位置データを現況地形データとして記録する。
【0124】
当該処理により、作業機コントローラ26は、掘削作業の進行途中の状況を現況地形データとして記録することが可能であり、実際の現況地形に合わせた現況地形データの記録が可能である。
【0125】
図14は、実施形態3に従うに作業機コントローラ26の現況地形データの記録について説明するフロー図である。
【0126】
図14を参照して、
図9のフロー図と比較して、ステップS14を追加した点が異なる。その他のフローについては
図9で説明したのと同様であるのでその詳細な説明については繰り返さない。
【0127】
ステップS14において、作業機コントローラ26は、距離が所定範囲内でないと判断した場合(ステップS8においてNO)には、記録ボタン25Pの入力が有るか否かを判断する(ステップS14)。記録ボタン入力受付部112は、記録ボタン25Pの入力を受け付けてその旨をバケット位置記録部110に出力する。
【0128】
ステップS14において、作業機コントローラ26は、記録ボタン25Pの入力が有ると判断した場合には、ステップS10に進み、バケットの位置に応じた現況地形データをメモリに記録する。バケット位置記録部110は、算出された距離が所定範囲内である場合にバケット位置取得部104で算出したバケット位置データを現況地形データとしてメモリに記録する。
【0129】
一方、ステップS14において、作業機コントローラ26は、記録ボタン25Pの入力が無いと判断した場合には、ステップS10をスキップしてステップS12に進む。バケット位置記録部110は、記録ボタン25Pの入力を受け付けていないと判断した場合には、バケット位置取得部104で算出したバケット位置データを現況地形データとしてメモリに記録しない。
【0130】
当該方式により、設計地形R付近において設計地形Rとバケットの位置との距離が所定範囲内であるバケット位置データは、現況地形データとして記録される。また、設計地形Rとバケットの位置との距離が所定範囲内で無い場合であっても、記録ボタン25Pの入力に従ってバケット位置データを現況地形データとして記録する。したがって、ユーザの意図に応じた現況地形に合わせた最新の精度の高い現況地形データの記録が可能である。
【0131】
(実施形態4)
上記の実施形態においては、作業機械において現況地形データを生成する場合について説明したが、特に作業機械に限られず、外部装置において現況地形データを生成するようにしても良い。
【0132】
図15は、実施形態4に従う施工管理システム1000の構成を説明する図である。
【0133】
図15を参照して、施工管理システム1000は、作業機械100と、施工管理装置200とを備える。
【0134】
作業機械100と施工管理装置200とはネットワークNを介して接続される。
【0135】
作業機械100は、ネットワークNを介してセンサコントローラ30およびグローバル座標演算部23からの情報を施工管理装置200に送信する。
【0136】
施工管理装置200は、
図4で説明した作業機コントローラ26の各機能ブロックを有し、施工管理装置200は、バケット位置データを算出(取得)し、現況地形データとしてメモリに記録する。
【0137】
実施形態4に従う方式により、外部装置である施工管理装置200において、バケット位置データを算出して、現況地形データとしてメモリに記録することにより作業機械100の処理負荷を軽減することが可能である。
【0138】
なお、本例においては、施工管理装置200においてバケット位置データを算出して、現況地形データとしてメモリに記録する場合について説明するが、特にこれに限らず一部の処理を作業機械100側で実行し、残りの処理を施工管理装置200側で実行するようにしてもよい。
【0139】
上記の実施形態では、作業機械の一例として油圧ショベルを挙げているが油圧ショベルに限らず、ブルドーザ、ホイールローダ等の他の種類の作業機械にも適用可能である。
【0140】
以上、本開示の実施形態について説明したが、今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0141】
1 車両本体、2 作業機、3 旋回体、4 運転室、4S 運転席、5 走行装置、5Cr 履帯、6 ブーム、7 アーム、8 バケット、8A 刃先、8B 底面、9 エンジンルーム、10 ブームシリンダ、11 アームシリンダ、12 バケットシリンダ、13 ブームピン、14 アームピン、15 バケットピン、16 ブームシリンダストロークセンサ、17 アームシリンダストロークセンサ、18 バケットシリンダストロークセンサ、19 手すり、20 位置検出装置、21 アンテナ、21A 第1アンテナ、21B 第2アンテナ、23 グローバル座標演算部、25 操作装置、25L 第2操作レバー、25P 記録ボタン、25R 第1操作レバー、26,26# 作業機コントローラ、30 センサコントローラ、64 油圧装置、100 作業機械、102 検出情報取得部、104 バケット位置取得部、106 目標施工データ記憶部、108 距離算出部、110,110# バケット位置記録部、112 記録ボタン入力受付部、200 施工管理装置、1000 施工管理システム。