(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-23
(45)【発行日】2024-10-31
(54)【発明の名称】ポストコンシューマー樹脂に対する臭気抑制のための組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 23/02 20060101AFI20241024BHJP
C08K 3/22 20060101ALI20241024BHJP
C08L 33/02 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
C08L23/02
C08K3/22
C08L33/02
(21)【出願番号】P 2021549814
(86)(22)【出願日】2020-02-18
(86)【国際出願番号】 US2020018592
(87)【国際公開番号】W WO2020176287
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2023-02-06
(32)【優先日】2019-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【氏名又は名称】新井 剛
(72)【発明者】
【氏名】マックアルピン、ケイシー アール.
(72)【発明者】
【氏名】クラソフスキー、アルカジー エル.
(72)【発明者】
【氏名】スン、クフ
(72)【発明者】
【氏名】マテウッチ、スコット ティー.
(72)【発明者】
【氏名】マーティン、ジル エム.
(72)【発明者】
【氏名】アスレヤ、シッダルタ ラム
(72)【発明者】
【氏名】グリーン、ラリー シェイン
【審査官】赤澤 高之
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-070237(JP,A)
【文献】米国特許第04420580(US,A)
【文献】中国特許出願公開第103374180(CN,A)
【文献】国際公開第2014/070908(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/147106(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L
B29B
C08J
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、
(i)ポストコンシューマー樹脂(PCR)
と、(ii
)エチレン/C
4
-C
8
α-オレフィンコポリマーであるオレフィン系ポリマー
とからなるポリマー成分と、
前記組成物の総重量に基づいて0.15重量%~15重量%の臭気抑制剤であって、
(i)5.0電子ボルト(eV)を超えるバンドギャップを有する、前記組成物の総重量に基づいて0.05重量%~2重量%の金属酸化物、および
(ii)前記組成物の総重量に基づいて0.1重量%~13重量%の酸性コポリマー、を含み、
金属酸化物と酸性コポリマーとの比率が、1:20~1:1である、臭気抑制剤と、
を含
み、
前記金属酸化物は酸化カルシウムである
組成物。
【請求項2】
前記組成物が、標準化ガスクロマトグラフィーによって測定されるときに、前記臭気抑制剤を含まない前記ポリマー成分と比較して、揮発性ヘテロ-カルボニル種の少なくとも20%の減少を呈する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ポリマー成分が、前記ポリマー成分の総重量に基づいて100重量%のポストコンシューマー樹脂を含む、請求項1~2のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項4】
前記ポリマー成分が、5重量%~95重量%のPCRおよび95重量%~5重量%の前記オレフィン系ポリマーを含む、請求項1~2のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記オレフィン系ポリマーが、エチレン系ポリマー、プロピレン系ポリマー、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記酸性
コポリマーが、エチレンエチルアクリレートコポリマー、エチレンブチルアクリレートコポリマー、エチレンアクリル酸コポリマー、エチレン/(メタ)アクリル酸コポリマー、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~
5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記臭気抑制剤が、前記酸性コポリマー中に分散された前記金属酸化物粒子のプレブレンドである、請求項1~
6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記金属酸化物が、酸化カルシウムの粒子である、請求項1~
7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記酸性コポリマーが、エチレンアクリル酸である、請求項1~
8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
プロセスであって、
(i)ポストコンシューマー樹脂
と、(ii
)エチレン/C
4
-C
8
α-オレフィンコポリマーであるオレフィン系ポリマー
とからなるポリマー成分であって、前記ポリマー成分が、ある量の少なくとも1つの揮発性ヘテロ-カルボニル種を有することと、
0.15重量%~15重量%の臭気抑制剤であって、
(i)5.0電子ボルト(eV)を超えるバンドギャップを有する、
臭気低減組成物の総重量に基づいて0.05重量%~2重量%の金属酸化物、および
(ii)
臭気低減組成物の総重量に基づいて0.1重量%~13重量%の酸性コポリマーを含み、金属酸化物と酸性コポリマーとの比率が、1:20~1:1である、臭気抑制剤、を前記ポリマー成分に添加することと、
前記臭気抑制剤を用いて、前記揮発性ヘテロ-カルボニル種の少なくともいくらかを中和して、臭気低減組成物を形成することと、を含
み、
前記金属酸化物は酸化カルシウムである
プロセス。
【請求項11】
標準化ガスクロマトグラフィーによって測定されるときに、前記臭気抑制剤を含まずに、前記ポリマー成分と比較して揮発性ヘテロ-カルボニル種の量の少なくとも20%の減少を呈する臭気低減組成物を形成することを含む、請求項
10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記添加することの前に、前記酸性コポリマー中に前記金属酸化物の粒子を分散させて、臭気抑制剤プレブレンドを形成することと、
前記臭気抑制剤プレブレンドを前記ポリマー成分に添加することと、
前記臭気低減組成物を形成することと、を含む、請求項
10または11に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
プラスチック廃棄物によって生じる環境危険はよく知られている。ポストコンシューマー樹脂(post consumer resin:PCR)として一般的に知られているプラスチック材料の再生および再利用には、大規模な社会的取り組みが採用されている。PCRを再加工し、使用可能な消費者物品に再び組み込む試みは、拡大し続けている。
【0002】
PCRの元の廃棄物態様は、PCRが悪臭の害に見舞われ、食品と接触するとき、不快な味の一因になる場合があることを意味する。不快感を与える味および臭気の一般的な原因としては、揮発性ヘテロ-カルボニル種およびPCR中の固有の他の化学物質が挙げられる。PCRをバージンプラスチックとブレンドすることが望ましい多くの用途が存在する。これらの用途は、商業的に利用可能であるため、PCRからの臭気の抑制を必要とする。
【0003】
酸化カルシウム(CaO)などの金属酸化物は、多くの味および臭気の発生分子を消費することが知られている。他の全ての要因が等しい場合、CaO濃度および臭気抑制は直接関連していることが知られており、すなわち、CaO濃度が所与のオレフィン系ポリマー物品中で増加するにつれて、臭気抑制の効果も増加する。同様に、吸着剤系の相対表面積が増加すると、その活性および性能も増加することが知られている。
【0004】
臭気抑制は、CaOが増加するにつれて増加するが、オレフィン系ポリマー物品に効果的に組み込むことができるCaOの量に対して制限が存在する。例えば、インフレーションフィルムの生成では、CaO粒子の高充填により押出ダイリップ堆積が増大し、それによってフィルムの欠陥が生じる。また、CaO粒子の高充填は、ヘイズを増加させ、その結果、オレフィン系ポリマーフィルムの透明性の劣化および/またはフィルムの色の劣化をもたらす。CaO粒子の高充填は、衝撃強度およびフィルム引裂強度などの機械的特性にも悪影響を与える。加工パラメータおよび最終使用用途の機械的要件により、オレフィン系ポリマー組成物へのCaO粒子の充填に実際的な制限が課せられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、最終使用用途の加工性、所望の光学特性、および所望の機械的特性を維持するために、好適な金属酸化物(すなわち、酸化カルシウム)充填量を同時に担持しながら、改善された臭気抑制を有するPCR含有組成物の必要性が存在している。そのようなPCR含有ポリマー組成物から作製された臭気抑制物品に対する必要性がさらに存在する。
【0006】
本開示は、組成物を提供する。一実施形態では、組成物は、ポリマー成分および臭気抑制剤を含む。ポリマー成分は、(i)ポストコンシューマー樹脂および(ii)任意にオレフィン系ポリマーを含む。組成物は、0.15重量%~15重量%の臭気抑制剤をさらに含む。臭気抑制剤は、(i)5.0電子ボルト(eV)を超えるバンドギャップを有する、0.05重量%~2重量%の金属酸化物、および(ii)0.1重量%~13重量%の酸性コポリマーを含む。金属酸化物と酸性コポリマーの比率は、1:20~1:1である。重量パーセントは、組成物の総重量に基づく。
【0007】
本開示は、プロセスを提供する。一実施形態では、このプロセスは、(i)ポストコンシューマー樹脂(PCR)および(ii)任意にオレフィン系ポリマーから構成されるポリマー成分を提供することを含む。ポリマー成分は、ある量の少なくとも1つの揮発性ヘテロ-カルボニル種を有する。このプロセスは、ポリマー成分に0.15重量%~15重量%の臭気抑制剤を添加することを含む。臭気抑制剤は、(i)5.0電子ボルト(eV)を超えるバンドギャップを有する、0.05重量%~2重量%の金属酸化物、および(ii)0.1重量%~13重量%の酸性コポリマーを含む。金属酸化物と酸性コポリマーの比率は、1:20~1:1である。このプロセスは、臭気抑制剤を用いて、PCR中の揮発性ヘテロ-カルボニル種の少なくともいくらかを中和して、臭気低減組成物を形成することを含む。重量パーセントは、臭気低減組成物の総重量に基づく。
【0008】
定義
元素周期表への任意の参照は、CRC Press,Inc.,1990-1991によって出版されたものへの参照である。この表の元素グループの参照は、付番グループの新しい表記法によるものである。
【0009】
米国特許実務を目的として、いかなる参照される特許、特許出願、または刊行物の内容も、特に定義の開示(本開示に具体的に提供される任意の定義に矛盾しない範囲で)、およびこの技術分野における一般的知識に関して、参照によりこれらの全体が組み込まれる(または、その同等の米国版が参照によりそのように組み込まれる)。
【0010】
本明細書に開示されている数値範囲は、下限値および上限値を含む、下限値から上限値のすべての値を含む。明確な数値(例えば、1もしくは2、または3~5、または6、または7)を含む範囲については、任意の2つの明確な数値間の任意の部分範囲が含まれる(例えば、1~2、2~6、5~7、3~7、5~6など)。
【0011】
相反する記載がない限り、文脈から黙示的でない限り、または当該技術分野で慣習的でない限り、全ての部およびパーセントは、重量に基づき、全ての試験方法は、本開示の出願日時点で最新のものである。
【0012】
本明細書で使用される「ブレンド」または「ポリマーブレンド」という用語は、2つ以上のポリマーのブレンドである。そのようなブレンドは、混和性(分子レベルで相分離しない)であってもなくてもよい。そのようなブレンドは、相分離してもしなくてもよい。そのようなブレンドは、透過電子分光法、光散乱、X線散乱、および当該技術分野において既知の他の方法から決定される、1つ以上のドメイン構成を含んでいても、いなくてもよい。
【0013】
「組成物」という用語は、組成物を含む材料の混合物、ならびに組成物の材料から形成された反応生成物および分解生成物を指す。
【0014】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語、およびそれらの派生語は、それらが具体的に開示されているかどうかに関わらず、いかなる追加の構成要素、ステップ、または手順の存在も除外することを意図しない。疑義を回避するために、「含む(comprising)」という用語の使用を通じて特許請求されるすべての組成物は、反対の記載がない限り、ポリマーであろうとなかろうと、任意の追加の添加剤、アジュバント、または化合物を含み得る。対照的に、「から本質的になる」という用語は、操作性に必須ではないものを除き、あらゆる続く記述の範囲からあらゆる他の成分、ステップ、または手順を除く。「からなる」という用語は、具体的に描写または列挙されていないあらゆる成分、ステップ、または手順も除く。「または」という用語は、特に明記しない限り、列挙されたメンバーを個別に、ならびに任意の組み合わせで指す。単数形の使用は、複数形の使用を含み、その逆も同じである。
【0015】
「エチレン系ポリマー」は、(重合性モノマーの総量に基づいて)50重量パーセント(重量%)超の重合エチレンモノマーを含有し、任意で少なくとも1つのコモノマーを含有し得るポリマーである。エチレン系ポリマーは、エチレンホモポリマー、およびエチレンコポリマー(エチレンおよび1つ以上のコモノマーに由来する単位を意味する)を含む。「エチレン系ポリマー」および「ポリエチレン」という用語は、互換的に使用され得る。エチレン系ポリマー(ポリエチレン)の非限定的な例は、低密度ポリエチレン(LDPE)および線状ポリエチレンを含む。線状ポリエチレンの非限定的な例は、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、極低密度ポリエチレン(VLDPE)、多成分エチレン系コポリマー(EPE)、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマー(オレフィンブロックコポリマー(OBC)としても知られる)、実質的に線状または線状のプラストマー/エラストマー、および高密度ポリエチレン(HDPE)を含む。一般に、ポリエチレンは、チーグラーナッタ触媒などの不均一触媒系、4族遷移金属およびメタロセン、非メタロセン金属中心、ヘテロアリール、ヘテロ原子アリールオキシエーテル、ホスフィンイミンなどの配位子構造を含む均一触媒系を使用して、気相流動床反応器、液相スラリープロセス反応器、または液相溶液プロセス反応器で生成され得る。不均一触媒および/または均一触媒の組み合わせもまた、単一反応器または二重反応器構成のいずれにおいて使用され得る。
【0016】
「エチレンプラストマー/エラストマー」は、エチレンに由来する単位および少なくとも1つのC3~C10α-オレフィンコモノマーに由来する単位を含む均一な短鎖分岐分布を含有する、実質的に線状または線状のエチレン/α-オレフィンコポリマーである。エチレンプラストマー/エラストマーは、0.870g/cc~0.917g/ccの密度を有する。エチレンプラストマー/エラストマーの非限定的な例には、AFFINITY(商標)プラストマーおよびエラストマー(Dow Chemical Companyから市販されている)、EXACT(商標)プラストマー(ExxonMobil Chemicalから市販されている)、Tafmer(商標)(Mitsuiから市販されている)、Nexlene(商標)(SK Chemicals Co.から市販されている)、ならびにLucene(商標)(LG Chem Ltd.から市販されている)が挙げられる。
【0017】
「高密度ポリエチレン」(または「HDPE」)は、エチレンホモポリマー、または少なくとも1つのC4~C10α-オレフィンコモノマーもしくはC4~C8α-オレフィンコモノマーを含むエチレン/α-オレフィンコポリマーであり、0.940g/cc、または0.945g/cc、または0.950g/cc、または0.953g/cc~0.955g/cc、または0.960g/cc、または0.965g/cc、または0.970g/cc、または0.975g/cc、または0.980g/ccの密度である。HDPEは、単峰性コポリマーまたは多峰性コポリマーであり得る。「単峰性エチレンコポリマー」は、分子量分布を示すゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)において1つの明確なピークを有するエチレン/C4~C10α-オレフィンコポリマーである。「多峰性エチレンコポリマー」は、分子量分布を示すGPCにおいて少なくとも2つの明確なピークを有するエチレン/C4~C10α-オレフィンコポリマーである。多峰性は、2つのピークを有する(二峰性)コポリマーならびに3つ以上のピークを有するコポリマーを含む。HDPEの非限定的な例は、DOW(商標)高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂(Dow Chemical Companyから市販されている)、ELITE(商標)強化ポリエチレン樹脂(Dow Chemical Companyから市販されている)、CONTINUUM(商標)二峰性ポリエチレン樹脂(Dow Chemical Companyから市販されている)、LUPOLEN(商標)(LyondellBasellから市販されている)、ならびにBorealis、Ineos、およびExxonMobilからのHDPE製品を含む。
【0018】
「インターポリマー」は、少なくとも2つの異なるモノマーの重合によって調製されるポリマーである。この総称は、2つの異なるモノマーから調製されるポリマーを指すために通常用いられるコポリマー、および3つ以上の異なるモノマーから調製されるポリマー、例えば、ターポリマー、テトラポリマーなどを含む。
【0019】
「線状低密度ポリエチレン」(または「LLDPE」)」は、エチレンに由来する単位および少なくとも1つのC3~C10α-オレフィン、またはC4~C8α-オレフィンコモノマーに由来する単位を含む不均一な短鎖分岐分布を含有する、線状エチレン/α-オレフィンコポリマーである。LLDPEは、従来のLDPEとは対照的に、長鎖分岐があるとしてもわずかであることを特徴とする。LLDPEは、0.910g/cc~0.940g/cc未満の密度を有する。LLDPEの非限定的な例は、TUFLIN(商標)線状低密度ポリエチレン樹脂(The Dow Chemical Companyから入手可能)、DOWLEX(商標)ポリエチレン樹脂(The Dow Chemical Companyから入手可能)、およびMARLEX(商標)ポリエチレン(Chevron Phillipsから入手可能)を含む。
【0020】
「低密度ポリエチレン」(または「LDPE」)は、エチレンホモポリマー、または0.915g/cc~0.940g/ccの密度を有し、かつ広いMWDを有する長鎖分岐を含有する、少なくとも1つのC3~C10α-オレフィンまたはC4~C8α-オレフィンを含む、エチレン/α-オレフィンコポリマーからなる。LDPEは、典型的には、高圧フリーラジカル重合(フリーラジカル開始剤を用いる管状反応器またはオートクレーブ)によって生成される。LDPEの非限定的な例としては、MarFlex(商標)(Chevron Phillips)、LUPOLEN(商標)(LyondellBasell)、ならびにBorealis、Ineos、ExxonMobilなどからのLDPE製品が挙げられる。
【0021】
「多成分エチレン系コポリマー」(または「EPE」)は、エチレンに由来する単位、および米国特許第6,111,023号、米国特許第5,677,383号、および米国特許第6,984,695号などに記載の、少なくとも1つのC3~C10α-オレフィン、または4~C8α-オレフィンコモノマーに由来する単位を含む。EPE樹脂は、0.905g/cc~0.962g/ccの密度を有する。EPE樹脂の非限定的な例には、ELITE(商標)強化ポリエチレン(Dow Chemical Companyから市販されている)、ELITE AT(商標)先端技術樹脂(Dow Chemical Companyから市販されている)、SURPASS(商標)ポリエチレン(PE)樹脂(Nova Chemicalsから市販されている)、およびSMART(商標)(SK Chemicals Co.から市販されている)が挙げられる。
【0022】
「オレフィン系ポリマー」または「ポリオレフィン」は、(重合可能モノマーの総量に基づいて)50重量パーセント超の重合オレフィンモノマーを含有するポリマーであり、任意で、少なくとも1つのコモノマーを含み得る。オレフィン系ポリマーの非限定的な例には、エチレン系ポリマーまたはプロピレン系ポリマーが挙げられる。
【0023】
「ポリマー」は、同一の種類または異なる種類であるかに関わらず、重合形態でポリマーを構成する複数のおよび/もしくは繰り返しの「単位」または「mer単位」を提供するモノマーを重合することによって調製される化合物である。したがって、ポリマーという総称は、1つのタイプのモノマーのみから調製されたポリマーを指すために通常用いられるホモポリマーという用語、および少なくとも2つのタイプのモノマーから調製されたポリマーを指すために通常用いられるコポリマーという用語を包含する。それはまた、例えばランダム、ブロックなどのすべての形態のコポリマーを包含する。「エチレン/α-オレフィンポリマー」および「プロピレン/α-オレフィンポリマー」という用語は、それぞれ、エチレンまたはプロピレンと、1つ以上の追加の重合性α-オレフィンモノマーとを重合することから調製された上述のコポリマーを示す。ポリマーは、多くの場合、1つ以上の特定のモノマー「で作製され」、特定のモノマーまたはモノマータイプに「基づいて」、特定のモノマー含有量を「含有する」などと称されるが、この文脈では、「モノマー」という用語は、特定のモノマーの重合残留物を指し、非重合種を指すものではないと理解されることに留意する。一般的に、本明細書におけるポリマーは、対応するモノマーの重合形態である「単位」に基づいていると言及される。
【0024】
「プロピレン系ポリマー」は、(重合性モノマーの総量に基づいて)50重量パーセント超の重合プロピレンモノマーを含有するポリマーであり、任意で、少なくとも1つのコモノマーを含み得る。プロピレン系ポリマーには、プロピレンホモポリマー、およびプロピレンコポリマー(プロピレンおよび1つ以上のコモノマーに由来する単位を意味する)が含まれる。「プロピレン系ポリマー」および「ポリプロピレン」という用語は、交換可能に使用され得る。好適なプロピレンコポリマーの非限定的な例としては、プロピレンインパクトコポリマーおよびプロピレンランダムコポリマーが挙げられる。
【0025】
「超低密度ポリエチレン」(または「ULDPE」)、および「極低密度ポリエチレン」(または「VLDPE」)は各々、エチレンに由来する単位および少なくとも1つのC3~C10α-オレフィンコモノマーに由来する単位を含む不均一な短鎖分岐分布を含有する、線状エチレン/α-オレフィンコポリマーである。ULDPEおよびVLDPEはそれぞれ、0.885g/cc~0.915g/ccの密度を有する。ULDPEおよびVLDPEの非限定的な例としては、ATTANE(商標)超低密度ポリエチレン樹脂(Dow Chemical Companyから入手可能)およびFLEXOMER(商標)極低密度ポリエチレン樹脂(Dow Chemical Companyから入手可能)が挙げられる。
【0026】
試験方法
D10、D50、およびD90の粒子サイズは、Coulter Corporationから入手可能なCoulter LS 230レーザー光散乱粒径測定器を使用して測定する。D10粒子サイズは、粉末の質量の10%がこの値未満の直径を有する粒子からなる粒径である。D50粒子サイズは、粉末の質量の50%がこの値未満の直径を有する粒子からなり、粉末の質量の50%が当該値を超える直径を有する粒子からなる粒径である。D90粒子サイズは、粉末の質量の90%がこの値未満の直径を有する粒子からなる粒径である。平均体積平均粒子サイズは、Coulter Corporationから入手可能なCoulter LS 230レーザー光散乱粒径測定器を使用して測定する。粒子サイズ分布を、等式Aに従って計算する。
【数1】
【0027】
密度は、ASTM D792、方法Bに従って測定する。結果は、グラム/立方センチメートル(g/cc)で記録する。
【0028】
示差走査熱量測定(DSC)。示差走査熱量測定(DSC)を使用して、広範囲の温度にわたるポリマーの溶融、結晶化、およびガラス転移挙動を測定することができる。例えば、RCS(冷蔵冷却システム)およびオートサンプラーを備えるTA Instruments Q1000 DSCを使用して、この分析を実施する。試験中、50ml/分の窒素パージガス流量を使用する。各試料を、約175℃で融解プレスして薄膜にし、次いで融解した試料を室温(約25℃)に空冷する。3~10mg、直径6mmの試験片を冷却したポリマーから抽出し、秤量し、軽量アルミニウムパン(約50mg)内に置き、圧着して閉じた。次いで、その熱的特性を決定するために分析を行う。
【0029】
試料の熱挙動は、試料温度を昇降して熱流量対温度プロファイルを作成することにより決定する。まず、試料を180℃に急速に加熱し、3分間等温に保持して熱履歴を除去する。次に、試料を10℃/分の冷却速度で-40℃に冷却し、3分間、-40℃の等温に保持する。次いで、試料を10℃/分の加熱速度で180℃に加熱する(これが「第2の加熱」上昇である)。冷却曲線および第2の加熱曲線を記録する。結晶化の開始から-20℃までのベースラインエンドポイントを設定することによって、冷却曲線を分析する。-20℃から融解終了までのベースラインエンドポイントを設定することによって、加熱曲線を分析する。決定した値は、外挿された融解の開始Tmであり、および外挿された結晶化の開始Tcである。(1グラム当たりのジュール単位の)融解熱(Hf)、および次の等式を使用して計算されたポリエチレン試料の結晶化度%:結晶化度%=((Hf)/292J/g)×100。ガラス転移温度Tgは、Bernhard Wunderlich,The Basis of Thermal Analysis,in Thermal Characterization of Polymeric Materials 92,278-279(Edith A.Turi ed.,2d ed. 1997)に記載されている通り、試料の半分が液体の熱容量を獲得したDSC加熱曲線から決定される。ガラス転移領域の下および上からベースラインを引き、Tg領域を介して外挿する。試料の熱容量がこれらのベースラインの中間となる温度が、Tgである。
【0030】
ASTM D1238(230℃/2.16kg)に従ってg/10分でのメルトフローレート(MFR)を測定する。
【0031】
g/10分でのメルトインデックス(MI)(I2)は、ASTM D1238(190℃/2.16kg)に従って測定される。
【0032】
臭気低減を測定するための標準化ガスクロマトグラフィー。臭気抑制は、組成物中の揮発性ヘテロ-カルボニル種の量を減少させるか、またはそうでなければそれを中和するための組成物の能力である。ガスクロマトグラフィーを使用して、(i)臭気抑制剤を含まないポリマー成分試料(以下「未希釈のポリマー成分」)の周りのヘッドスペースガス中の揮発性ヘテロ-カルボニル種の量を、(ii)未希釈のポリマー成分と同じポリマー成分を有する第2の試料(この第2の試料もある量の臭気抑制剤を含有する)の周りのヘッドスペースガスと比較する。以下の等式(1)を使用して、第1の試料(未希釈のポリマー成分)の周りのヘッドスペースガスについてのGC検出値を、第2の試料(臭気抑制剤を含むポリマー成分)のヘッドスペースガスについてのGC検出値と比較する。
【0033】
反応式(1)
(GC(tでの臭気抑制剤を含むPO)-GC(tでの未希釈のPO))/GC(tでの未希釈のPO)×100=%臭気低減
式中、GCは、1つ以上の所定の揮発性カルボニル含有種についての検出されたガスクロマトグラフィー値であり、
POは、ポリマー成分であり、
tは、所定の時間間隔である。
【0034】
等式(1)は、以下、「標準化ガスクロマトグラフィー」と称される。
【0035】
標準化ガスクロマトグラフィーは、以下のように実施される。揮発性ヘテロ-カルボニル種を生じさせる臭気のパーセント濃度を、ガスクロマトグラフィー/質量分析(GC/MS)で測定する。
【0036】
Agilent 7890Aガスクロマトグラフ(GC)を、以下のカラムとともに使用すし、カラムは、DB-1701、30m×0.32mm内径×1μm膜厚で、キャリアガスとしてヘリウムを2.0mL/分の一定流量で用いる。GCのオーブンを、50℃で3.5分間保持するようにプログラムする。入口のスプリット温度は150℃、スプリット比は10:1である。ヘッドスペースガス注入量は1.0mLであり、気密シリンジを使用して注入する。トランスファーラインを250℃に保持する。
【0037】
カラム出口を、Agilent 2-Way non-Purged Splitter(部品番号G3181B)を通して、質量分析計(Mass Spectrometer)およびフレームイオン化検出器(FID)に並列に接続する。質量分析計は、Scan 14~200m/z(EI)、ソース温度230℃、四重極温度150℃、EM電圧2447V、電子エネルギー-70eV、2つの試料、および閾値0で動作した。
【0038】
FIDを、以下の条件下:250℃、30mL/分の水素流、400mL/分の空気流、および45mLヘリウム/分のメイクアップガスで実行する。
【0039】
試料を、2グラムの試料ペレットを別個のヘッドスペースバイアルに加えることによって調製する。ヘッドスペース内のすべての揮発性ヘテロ-カルボニル種がPCR試料から蒸発するため、ヘッドスペースに追加の化学物質を添加しなかった。試料を室温で20時間(hrs)密封し、4時間振とうする。
【0040】
臭気抑制能力を評価するために、ヘッドスペースガスを所定の時間間隔でバイアルから回収する。「パーセント臭気低減」値(または「%臭気低減」)を、(a)各揮発性ヘテロ-カルボニル種(すなわち、潜在的な臭気分子)についての対照(未希釈のポリマー成分、PCR+ポリオレフィン)濃度から試験試料濃度を減算し、次いで(b)上記の等式(1)を使用して(a)の余りを対照濃度で除算することによって計算する。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本開示は、組成物を提供する。一実施形態では、臭気を抑制するための組成物が提供され、ポリマー成分および臭気抑制剤を含む。ポリマー成分は、ポストコンシューマー樹脂(PCR)および任意にオレフィン系ポリマーを含む。組成物は、組成物の総重量に基づいて0.15重量%~15重量%の臭気抑制剤を含む。臭気抑制剤は、(i)5.0電子ボルト(eV)を超えるバンドギャップを有する、組成物の総重量に基づいて0.05重量%~2重量%の金属酸化物を含む。臭気抑制剤は、(ii)組成物の総重量に基づいて0.1重量%~13重量%の酸性コポリマーをさらに含む。金属酸化物と酸性コポリマーの比率は、1:20~1:1である。
【0042】
A(i).ポストコンシューマー樹脂
本組成物のポリマー成分は、ポストコンシューマー樹脂(PCR)を含む。PCRは、ある量の揮発性ヘテロ-カルボニル種を含有する。「ポストコンシューマー樹脂」または「PCR」という用語は、以前は消費者向けパッケージまたは工業用パッケージとして使用されてきたポリマー材料である。言い換えれば、PCRは廃棄プラスチックである。PCRは、通常、ポリオレフィン、および特にポリエチレンである。PCRには、通常、ボトル(ミルクポット、ジュース容器)などのHDPEパッケージ、フィルムなどのLDPE/LLDPEパッケージが含まれる。PCRにはまた、その本来の使用からの残留物、紙、接着剤、インク、ナイロン、エチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、その他の臭気を生じさせる薬剤などの残留物が含まれる。
【0043】
好適なPCRの非限定的な例としては、EcoPrime(商標)、PRISMA(商標)、Natural HDPE PCR Resins、Mixed Color and Black HDPE PCR Resinsの商品名でEnvision Plastics(North Carloina,USA)によって販売されているPCR、以下の商品名KWR101-150、KWR101-150-M5-BLK、KWR101-150-M10 BLK、KWR102-8812 BLK、KWR102、KWR102LVW、KWR105、KW620、KWR102-M4、KWR-105M2、KWR105M4、KWR621 FDA、KWR621-20-FDA、KW308A、KW621、KW621-T10、KW621-T20、KW622-20、KW622-35、KW627C、KW1250G、およびKWBK10-NBでKW Plastics(North Carloina,USA)によって販売されているPCRが挙げられる。
【0044】
一実施形態では、ポリマー成分は、100重量%のPCRから構成され、重量パーセントは、ポリマー成分の総重量に基づく。
【0045】
A(ii).オレフィン系ポリマー
PCRに加えて、ポリマー成分は、任意にオレフィン系ポリマーを含み得る。一実施形態では、オレフィン系ポリマーは、プロピレン系ポリマーまたはエチレン系ポリマーであり得る。オレフィン系ポリマーは、ある量の揮発性ヘテロ-カルボニル種を含有しても含有しなくてもよい。プロピレン系ポリマーの非限定的な例としては、プロピレンコポリマー、プロピレンホモポリマー、およびそれらの組み合わせが挙げられる。一実施形態では、プロピレン系ポリマーは、プロピレン/α-オレフィンコポリマーである。好適なα-オレフィンの非限定的な例としては、C2およびC4~C20α-オレフィン、またはC4~C10α-オレフィン、またはC4~C8α-オレフィンが挙げられる。代表的なα-オレフィンとしては、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、および1-オクテンが挙げられる。
【0046】
一実施形態では、プロピレン/α-オレフィンコポリマーは、プロピレン/エチレンコポリマーの重量に基づいて、プロピレン由来の単位を50重量%超、または51重量%、または55重量%、または60重量%~70重量%、または80重量%、または90重量%、または95重量%、またはプロピレン由来の単位を99重量%含有するプロピレン/エチレンコポリマーである。プロピレン/エチレンコポリマーは、プロピレン/エチレンコポリマーの重量に基づいて、逆数的な量のエチレンに由来する単位を、または50重量%未満、または49重量%、または45重量%、または40重量%~30重量%、または20重量%、または10重量%、または5重量%、または1重量%、または0重量%のエチレンに由来する単位を含む。
【0047】
一実施形態では、オレフィン系ポリマーは、エチレン系ポリマーである。エチレン系ポリマーは、エチレンホモポリマーまたはエチレン/α-オレフィンコポリマーであり得る。
【0048】
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、エチレン/α-オレフィンコポリマーである。好適なα-オレフィンの非限定的な例としては、C3~C20α-オレフィン、またはC4~C10α-オレフィン、またはC4~C8α-オレフィンが挙げられる。代表的なα-オレフィンには、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、および1-オクテンが含まれる。
【0049】
一実施形態では、エチレン/α-オレフィンコポリマーは、エチレン/C4~C8α-オレフィンコポリマーであるHDPEである。HDPEは、以下の特性のうちの1つ、いくつか、または全てを有する。
(i)0.940g/cc~0.960g/ccの密度、および/または
(ii)128℃~132℃のTm、および/または
(iii)0.5g/10分~2.0g/10分のメルトインデックス。
【0050】
好適なHDPEの非限定的な例は、DowDuPontから入手可能なDMDA-1250である。
【0051】
一実施形態では、ポリマー成分は、PCRではないオレフィン系ポリマーとブレンドされたPCRを含む。言い換えれば、PCRは、「バージンオレフィン系ポリマー」とブレンドされる。バージンオレフィン系ポリマーは、ある量の揮発性ヘテロ-カルボニル種を含有しても含有しなくてもよい。ポリマー成分は、5重量%~、もしくは20重量%、もしくは30重量%、もしくは40重量%、もしくは50重量%、もしくは60重量%、もしくは70重量%、もしくは80重量%、もしくは95重量%のPCR、および逆量のバージンオレフィン系ポリマー、または95重量%~、もしくは80重量%、もしくは70重量%、もしくは60重量%、もしくは50重量%~40重量%、もしくは30重量%、もしくは20重量%、もしくは5重量%のバージンオレフィン系ポリマーを含有し得る。
【0052】
B.臭気抑制剤
本組成物は、臭気抑制剤を含む。臭気抑制剤は、金属酸化物(Bi)と酸性コポリマー(Bii)とのブレンドである。
【0053】
B(i)金属酸化物
臭気抑制剤は、金属酸化物を含む。金属酸化物は、5.0電子ボルト(eV)を超えるバンドギャップを有する。本明細書で使用されるとき、「バンドギャップ」は、電子状態が存在しない固体内のエネルギー範囲である。バンドギャップは、「価電子」を伝導電子に昇格させるために必要なエネルギーであり、伝導電子は、結晶格子内を自由に移動し、電流を伝導するための電荷キャリアとして機能する。「電子ボルト」または「eV」は、およそ1.6×10-19ジュールに等しいエネルギーの単位である。金属酸化物についてのバンドギャップは、Surface and Nanomolecular Catalysis,Ryan Richards(ed),Taylor&Francis 2006に詳細に記載されており、その内容は本明細書に参照により組み込まれる。
【0054】
特定の理論に束縛されることなく、大きいバンドギャップ(すなわち、5.0eVを超える)は、電子が不均衡に共有される共有結合特徴をほとんど有しない結合に変換されると考えられている。これにより、正味の正電荷を有する格子内の金属イオン、および正味の負電荷を有する酸化物イオンを得ることができる。したがって、電荷の大きさは、バンドギャップに比例し得る。結果として、電子不足の金属イオンは、ルイス酸として自由に作用し、揮発性ヘテロ-カルボニル匂い分子中に存在するわずかな塩基性部分から電子を受け入れることができる。さらに、結晶性酸化物イオンは、揮発性ヘテロ-カルボニル匂い分子中のわずかな酸性部分に電子を供与するルイス塩基として作用することが可能であり得る。
【0055】
下記の表Aは、Surface and Nanomolecular Catalysis,Ryan Richards(ed),Taylor&Francis 2006からのいくつかの金属酸化物のバンドギャップ値を提供している。
【表1】
【0056】
一実施形態では、金属酸化物は粒子(粉末)の形態であり、5.0eVを超えるバンドギャップを有し、金属酸化物は、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化アルミニウムAl2O3、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0057】
一実施形態では、金属酸化物は、粒子(粉末)の形態であり、6.0eVを超えるバンドギャップを有する。さらなる実施形態では、金属酸化物は、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、およびそれらの組み合わせから選択される。さらにさらなる実施形態では、金属酸化物は、酸化カルシウム(CaO)である。
【0058】
一実施形態では、金属酸化物は、粒子(粉末)の形態の酸化カルシウム(6.9eV)、100nm~、または125nm、または150nm~250nm、または500nm、または1000nm、または3000nmのD50粒径を有する酸化カルシウム粉末である。さらなる実施形態では、酸化カルシウム粉末は、100nm~3000nm、または125nm~1000nm、または150nm~500nm、または175nm~250nm、または125~160nm、または150~160nmのD50を有する。
【0059】
一実施形態では、金属酸化物は吸湿性であり、表面に結合した水分を含む。さらなる実施形態では、金属酸化物はCaO・H2Oである。
【0060】
B(ii)酸性コポリマー
臭気抑制剤は、金属酸化物とともに酸性コポリマーを含む。本明細書で使用されるとき、「酸性コポリマー」(または「AC」)という用語は、(i)エチレンモノマーおよび(ii)カルボン酸コモノマーまたはそのエステル誘導体(以下、「酸コモノマー」と称される)を含有するコポリマーである。酸性コポリマーは、1重量%~、または5重量%、または10重量%、または15重量%~20重量%、または25重量%、または30重量%の量の酸性コモノマー、および逆重量%の量のエチレンモノマーを含有する。酸性コポリマーは、50重量%を超える、または60重量%を超えるエチレンモノマー含有すると理解される。さらなる実施形態では、酸性コポリマーは、1重量%~30重量%の酸性コモノマー(および逆量のエチレン)、または5重量%~30重量%の酸性コモノマー(および逆量のエチレン)、または10重量%25重量%の酸性コモノマー(逆量のエチレンを含む)、または15重量%~20重量%の酸性コモノマー(および逆量のエチレン)、または5重量%~10重量%の酸性コモノマー(逆量のエチレンを含む)を含む。
【0061】
一実施形態では、酸性コモノマーは、アクリレート系部分である。酸性コモノマーがアクリレート系部分である好適な酸性コポリマーの非限定的な例としては、エチレンエチルアクリレートコポリマー(EEA)、エチレンブチルアクリレートコポリマー(EBA)、エチレンアクリル酸コポリマー(EAA)、エチレン/(メタ)アクリル酸コポリマー(EMA)、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0062】
一実施形態では、酸性コポリマーは、5重量%~30重量%のアクリル酸コモノマーを有するエチレン/アクリル酸コポリマーである。好適な酸性コポリマーの非限定的な例としては、E.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington,Delaware)から入手可能なNucrel(登録商標)ポリマーが挙げられる。
【0063】
一実施形態では、臭気抑制剤は、酸性コポリマーに分散された金属酸化物粉末のプレブレンドである。機械的ブレンドおよび/または溶融ブレンドを使用して、酸性コポリマー全体にわたって金属酸化物粒子を均一に分散させることができる。臭気抑制剤であるプレブレンドは、その後、ポリマー成分(A)に添加される。
【0064】
C.組成物
一実施形態では、本組成物は、(A)85重量%~99.85重量%のポリマー成分、および(B)15重量%~、または13重量%、または11重量%、または10重量%、または9重量%、または7重量%、または5重量%~2重量%、または1重量%、または0.6重量%、または0.5重量%、または0.3重量%、または0.2重量%、0.15重量%の臭気抑制剤を含む。臭気抑制剤は、ポリマー成分マトリックスの中に混合されるか、そうでなければブレンドされる。臭気抑制剤は、(i)0.05重量%~、または0.1重量%、または0.15重量%、または0.2重量%、または0.25重量%、または0.3重量%、または0.4重量%、または0.5重量%、または0.7重量、または0.9重量%~1.0重量%、または1.5重量%、または2重量%の金属酸化物の粒子(5.0eVを超えるバンドギャップを有する)、および(ii)0.1重量%~、または0.5重量%、または1.0重量%、または3重量%、または5重量%、または7重量%、または9重量%~10重量%、または11重量%、または13重量%の酸性コポリマーを含有する。重量パーセントは、組成物の総重量に基づく。金属酸化物と酸性コポリマーの比率は、1:20~、または1:15、または1:10、または1:8、または1:6~1:4、または1:2、または1:1である。この組成物は、臭気抑制剤を含まないポリマー成分(すなわち、ポリマー成分単独)と比較して、少なくとも1つの揮発性ヘテロ-カルボニル種の少なくとも5%の減少を呈する。
【0065】
揮発性ヘテロ-カルボニル種の減少は、(i)ポリマー成分(すなわち、臭気抑制剤を含まないポリマー成分(A))中に存在する所定の揮発性ヘテロ-カルボニル種の量と(ii)(A)ポリマー成分および(B)臭気抑制剤から構成される本組成物中の所定の揮発性ヘテロ-カルボニル種の量との定量的比較である。揮発性ヘテロ-カルボニル種の減少は、本明細書で以前に開示されたように、標準化ガスクロマトグラフィーによって測定される。
【0066】
本明細書で使用されるとき、「揮発性ヘテロ-カルボニル種」は、(i)S、O、N、および/またはPから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含有し、(ii)30ダルトン~250ダルトンの分子量を有し、(iii)標準温度および圧力、または「STP」で0.01水銀柱ミリメートル(mm Hg)を超える蒸気圧を有する1個の炭素原子~16個の炭素原子を有する炭化水素化合物である。一実施形態では、揮発性ヘテロ-カルボニル種は、C-O結合および/またはC=O結合を有する。揮発性ヘテロ-カルボニル種の非限定的な例としては、揮発性C1~C16アルデヒド、揮発性C1~C16ケトン、揮発性C1~C16カルボン酸、揮発性C1~C16エステル、揮発性C1~C16アルコール、揮発性C1~C16エーテル、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0067】
揮発性C1~C16アルデヒドの非限定的な例としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロパナール、ヘキサナール、フルフラール、ヘプタナール、ベンズアルデヒド、オクタナール、ノナナール、デカナール、ウンデカナール、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0068】
揮発性C3~C16ケトンの非限定的な例としては、2-ペンタノン、2-ヘキサノン、2-オクタノン、2-ノナノン、2-デカノン、2-アセトフェノン、2-ウンデカノン、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0069】
揮発性C1~C16カルボン酸の非限定的な例としては、ヘキサン酸、酪酸、ヘプタン酸、オクタン酸、安息香酸、ノナン酸、デカン酸、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0070】
揮発性C1~C16アルコールの非限定的な例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、2-メチルブタノール、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0071】
揮発性C1~C16エーテルの非限定的な例としては、テトラヒドロフラン(THF)およびそのアルキル誘導体が挙げられる。
【0072】
一実施形態では、組成物は、(A)97重量%~98.9重量%のポリマー成分を含む。組成物は、3重量%~、または2.8重量%~1.1重量%の臭気抑制剤を含み、臭気抑制剤は、(Bi)0.01重量%~、または0.05重量%、または0.07重量%~0.5重量%、または0.7重量%、または0.9重量%の量のCaOの粒子である金属酸化物、および(Bii)0.1~、または0.2、または0.5、または0.7、または0.9~1.0、または1.3、または1.5、または1.7、または1.9の量の酸性コポリマーを含有し、金属酸化物と酸性コポリマーとの比率は、1:10~、または1:8、または1:6~1:4、または1:2、または1:1である。重量パーセントは、組成物の総重量に基づく。この組成物は、臭気抑制剤を含まないポリマー成分(A)と比較して、少なくとも1つの揮発性ヘテロ-カルボニル種の少なくとも20%の減少を呈する。揮発性ヘテロ-カルボニル種の減少は、標準化ガスクロマトグラフィーによって測定される。
【0073】
一実施形態では、組成物は、(A)98.5重量%~99.0重量%のポリマー成分を含む。組成物は、1.5重量%~、または1.3重量%~1.1重量%、または1.0重量%の臭気抑制剤を含み、臭気抑制剤は、(Bi)0.05重量%~、または0.08重量%~0.1重量%、または0.13重量%、または0.15重量%の量のCaOの粒子である金属酸化物、および(Bii)1.0重量%~、または1.1重量%~1.2重量%、または1.3重量の量のエチレン/アクリル酸コポリマーである酸性コポリマーを含有し、金属酸化物と酸性コポリマーとの比率は、1:15~、または1:12~1:10、または1:8であり、以下、組成物1と称される。重量パーセントは、組成物の総重量に基づく。組成物1は、臭気抑制剤を含まないオレフィン系ポリマー(A)と比較して、20時間の曝露期間後に少なくとも1つの揮発性ヘテロ-カルボニル種の10%~35%の減少を呈する。揮発性ヘテロ-カルボニル種の減少は、標準化ガスクロマトグラフィーによって測定される。
【0074】
一実施形態では、組成物1は、(A)98.9重量%のポリマー成分および1.1重量%の臭気抑制剤を含む。ポリマー成分(A)は、10重量%のPCRとブレンドされた90重量%のエチレン系ポリマーである。臭気抑制剤は、(Bi)0.1重量%の量のCaOの粒子である金属酸化物、および(Bii)0.1重量%の量のエチレン/アクリル酸コポリマーである酸性コポリマーを含有し、金属酸化物と酸性コポリマーとの比率は、1:10である。組成物1は、ポリマー成分(A)のみに存在するアルデヒドの量と比較して、アルデヒドの20%を超える減少を呈する。アルデヒドのパーセント減少は、標準化ガスクロマトグラフィーによって測定される。
【0075】
D.用途
本組成物は、ポリマー材料から臭気または味を生じさせる薬剤、および特にオレフィン系ポリマーの存在が消費者用途に使用される場合の任意の用途に使用することができる。本組成物に好適な用途の非限定的な例としては、車両内装、布地、ならびにキャップ、クロージャー、ラップ、およびボトルを含む食品パッケージが挙げられる。
【0076】
驚くべきことに、本組成物(すなわち、組成物1)は、加工性を損なうことなく、かつフィルム特性を損なうことなく、同じまたはより良好な臭気抑制能力を呈する。出願人は、5.0eVを超えるバンドギャップを有する金属酸化物が酸性コポリマーと相乗的に働いて、金属酸化物のみを含有するポリマーマトリックス系と比較して、より少ない総金属酸化物(およびより少ないCaO)で臭気抑制を改善することを発見した。5.0eVを超えるバンドギャップを有する金属酸化物(および特にCaO)と組み合わせるとき、相乗的に臭気抑制を改善する酸性コポリマーの能力は予想外である。
【0077】
本開示は、プロセスを提供する。一実施形態では、このプロセスは、ポリマー成分(A)を提供することを含む。ポリマー成分(A)は、(i)PCR、(ii)任意にオレフィン系ポリマーを含み、(iii)ある量の少なくとも1つの揮発性カルボニル含有種を有する。このプロセスは、ポリマー成分(A)に0.15重量%~15重量%の臭気抑制剤(B)を添加することを含む。臭気抑制剤(B)は、(Bi)5.0電子ボルト(eV)を超えるバンドギャップを有する、0.05重量%~2重量%の金属酸化物、および(Bii)0.1重量%~13重量%の酸性コポリマーを含み、金属酸化物と酸性コポリマーとの比率は、臭気低減組成物を形成するために1:20~1:1である。このプロセスは、臭気抑制剤を用いて、ポリマー成分(A)中の揮発性ヘテロ-カルボニル種の少なくともいくらかを中和して、臭気低減組成物を形成することを含む。重量パーセントは、臭気低減組成物の総重量に基づく。
【0078】
一実施形態では、プロセスは、標準化ガスクロマトグラフィーによって測定されるときに、臭気抑制剤を含まずに、ポリマー成分(A)と比較して揮発性ヘテロ-カルボニル種の量の少なくとも20%の減少を呈する臭気低減組成物を形成することを含む。
【0079】
一実施形態では、このプロセスは、添加する前に、酸性コポリマー中に金属酸化物の粒子を分散させて、臭気抑制剤プレブレンドを形成することを含む。このプロセスは、臭気抑制剤プレブレンドをポリマー成分(A)に添加して、臭気低減組成物を形成することを含む。
【0080】
ここで、限定ではなく例には、本開示のいくつかの実施形態を、以下の実施例で詳細に説明する。
【実施例】
【0081】
実施例において使用される材料は、下の表1に提供する。
【表2】
【0082】
1.試料調製
溶融加工:10Kgの重量で190℃に設定されたTinius Olsen MP600押出成形可塑度計を使用したASTM D1238の修正版。ストランドを収集し、約1cmの小片に切断し、可塑度計に再導入して、2回目に押し出した(より多くの混合を促進するため)。得られた第2のストランドを約1cmの小片に切断し、直ちにPTFEキャップで密封したガラスバイアルに入れた。
【0083】
2.臭気抑制-揮発性ヘテロ-カルボニル種の減少
試料を、2グラムの試料ペレットを別個のヘッドスペースバイアルに加えることによって調製した。0.5mL、1700ppmvのプロパナール試料を各ヘッドスペースバイアルに別個に添加した。試料を室温で20時間密封し、4時間振とうした。ヘッドスペースガスを、上記のように試験のために回収した。
【0084】
比較試料(CS1)を調製した。CS1は、90重量%のDMDA1250(HDPE)および10重量%のPCRのポリマー成分を含み、臭気抑制剤を含まない対照試料である。
【0085】
IE1は、88.9重量%のDMDA1250(HDPE)および10重量%のPCR、ならびに1.1重量%の臭気抑制剤から構成される本組成物の本発明の実施例である。
【0086】
表2.GC組成物によって測定したヘッドスペース中の化学物質濃度のクラスの減少(対照試料、CS1に対して標準化した全結果)。
【表3】
【0087】
標準化ガスクロマトグラフィーを、等式(1)を使用して以下のように決定する。
(GC(20時間でのアルデヒド、CS1)-GC(20時間でのアルデヒド、IE1))/GC(20時間でのアルデヒド、CS1)×100、
式中、GC(20時間でのアルデヒド、CS1)は、アルデヒドに関連する曲線下面積であり、tは、CS1に使用されたのと同等のポストコンシューマー樹脂の投与から揮発したガスへの20時間の曝露の時点である。標準化ガスクロマトグラフィーの等式(1)を、この段落に記述したアルデヒドの場合と同じように、ケトン、アルコール、THF、およびTHF誘導体に使用する。
【0088】
CaOについての臭気抑制能力は線形であることが知られており、それによって、ポリオレフィンに添加されるCaOが多いほど、臭気抑制が大きくなる。しかしながら、金属酸化物、および特にCaOはポリオレフィンの溶融加工を妨害する場合があるため、CaOの高充填(5重量%を超える)は好ましくない。
【0089】
表2では、IE1(1.1重量%での臭気抑制剤、0.1重量%のCaO、および1.0重量%のCaO:AC比率1:10)は、少ない充填(0.2重量%未満のCaO、IE1では、具体的には0.1重量%のCaO)では、1:10のCaO:AC比率と合わせた臭気抑制剤は、20時間後にかなりの量(20%を超える減少)の臭気抑制を呈する。
【0090】
本開示は、本明細書に含まれる実施形態および例示に限定されず、実施形態の一部、および異なる実施形態の要素の組合せを含むこれらの実施形態の変更された形態を、以下の特許請求の範囲内に該当するものとして含むことが、特に意図されている。
以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 組成物であって、
(i)ポストコンシューマー樹脂(PCR)および(ii)任意にオレフィン系ポリマーを含むポリマー成分と、
前記組成物の総重量に基づいて0.15重量%~15重量%の臭気抑制剤であって、
(i)5.0電子ボルト(eV)を超えるバンドギャップを有する、前記組成物の総重量に基づいて0.05重量%~2重量%の金属酸化物、および
(ii)前記組成物の総重量に基づいて0.1重量%~13重量%の酸性コポリマー、を含み、
金属酸化物と酸性コポリマーとの比率が、1:20~1:1である、臭気抑制剤と、
を含む、組成物。
[2] 前記組成物が、標準化ガスクロマトグラフィーによって測定されるときに、前記臭気抑制剤を含まない前記ポリマー成分と比較して、揮発性ヘテロ-カルボニル種の少なくとも20%の減少を呈する、[1]に記載の組成物。
[3] 前記ポリマー成分が、前記ポリマー成分の総重量に基づいて100重量%のポストコンシューマー樹脂を含む、[1]~[2]のいずれかに記載の組成物。
[4] 前記ポリマー成分が、5重量%~95重量%のPCRおよび95重量%~5重量%の前記オレフィン系ポリマーを含む、[1]~[2]のいずれかに記載の組成物。
[5] 前記オレフィン系ポリマーが、エチレン系ポリマー、プロピレン系ポリマー、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、[1]~[4]のいずれかに記載の組成物。
[6] 前記金属酸化物が、酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムからなる群から選択される、[1]~[5]のいずれかに記載の組成物。
[7] 前記酸性ポリマーが、エチレンエチルアクリレートコポリマー、エチレンブチルアクリレートコポリマー、エチレンアクリル酸コポリマー、エチレン/(メタ)アクリル酸コポリマー、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、[1]~[6]のいずれかに記載の組成物。
[8] 前記臭気抑制剤が、前記酸性コポリマー中に分散された前記金属酸化物粒子のプレブレンドである、[1]~[7]のいずれかに記載の組成物。
[9] 前記金属酸化物が、酸化カルシウムの粒子である、[1]~[8]のいずれかに記載の組成物。
[10] 前記酸性コポリマーが、エチレンアクリル酸である、[1]~[9]のいずれかに記載の組成物。
[11] プロセスであって、
(i)ポストコンシューマー樹脂および(ii)任意にオレフィン系ポリマーを含むポリマー成分であって、前記ポリマー成分が、ある量の少なくとも1つの揮発性ヘテロ-カルボニル種を有することと、
0.15重量%~15重量%の臭気抑制剤であって、
(i)5.0電子ボルト(eV)を超えるバンドギャップを有する、前記組成物の総重量に基づいて0.05重量%~2重量%の金属酸化物、および
(ii)前記組成物の総重量に基づいて0.1重量%~13重量%の酸性コポリマーを含み、金属酸化物と酸性コポリマーとの比率が、1:20~1:1である、臭気抑制剤、を前記ポリマー成分に添加することと、
前記臭気抑制剤を用いて、前記揮発性ヘテロ-カルボニル種の少なくともいくらかを中和して、臭気低減組成物を形成することと、を含む、プロセス。
[12] 標準化ガスクロマトグラフィーによって測定されるときに、前記臭気抑制剤を含まずに、前記ポリマー成分と比較して揮発性ヘテロ-カルボニル種の量の少なくとも20%の減少を呈する臭気低減組成物を形成することを含む、[11]に記載のプロセス。
[13] 前記添加することの前に、前記酸性コポリマー中に前記金属酸化物の粒子を分散させて、臭気抑制剤プレブレンドを形成することと、
前記臭気抑制剤プレブレンドを前記ポリマー成分に添加することと、
前記臭気低減組成物を形成することと、を含む、[11]~[12]のいずれかに記載のプロセス。