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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-23
(45)【発行日】2024-10-31
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/38 20060101AFI20241024BHJP
   H01L 23/02 20060101ALI20241024BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
H01L23/38
H01L23/02 F
H01L23/12 501P
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021565339
(86)(22)【出願日】2020-10-08
(86)【国際出願番号】 JP2020038148
(87)【国際公開番号】W WO2021124653
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2023-08-24
(31)【優先権主張番号】P 2019229289
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】藤永 陽一郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 優美
(72)【発明者】
【氏名】大上 丞
【審査官】清水 稔
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0163090(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0243315(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0072385(US,A1)
【文献】特開平11-289038(JP,A)
【文献】特開2019-149501(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/38
H01L 23/02
H01L 23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換により光を検出するセンサ素子と、
前記センサ素子と向かい合って配置されるペルチェ素子と、
前記センサ素子と前記ペルチェ素子とを収容して気密に封止するパッケージと、を備え、
前記ペルチェ素子は、
第1基板と、
前記第1基板と前記センサ素子との間に配置される熱電半導体と、を有し、
前記センサ素子は、前記第1基板と向かい合う面側に設けられた第1電極を有し、
前記第1基板は、前記センサ素子と向かい合う面側に設けられた第2電極を有し、
前記第1電極と前記第2電極はそれぞれ前記熱電半導体に接続され
前記パッケージは、
パッケージ本体と、
前記パッケージ本体の上面側に取り付けられ、前記センサ素子を介して前記熱電半導体の反対側に位置するリッドと、を有し、
前記パッケージ本体は、
前記熱電半導体が取り付けられる底部と、
前記底部の周囲に配置された壁部と、を有し、
前記リッドは、前記センサ素子が検出する光を透過する透光性の材料で構成されており、
前記底部と前記壁部とで囲まれた、前記パッケージの内側の空間に、前記センサ素子と前記ペルチェ素子とが配置されている、半導体装置。
【請求項2】
光電変換により光を検出するセンサ素子と、
前記センサ素子と向かい合う配線基板と、
前記センサ素子と前記配線基板との間に配置されるペルチェ素子と、
前記センサ素子と前記ペルチェ素子とを収容して気密に封止するパッケージと、を備え、
前記ペルチェ素子は、
第2基板と、
前記配線基板と前記第2基板との間に配置される熱電半導体と、を有し、
前記第2基板は、前記配線基板と向かい合う面側に設けられた第1電極を有し、
前記配線基板は、前記第2基板と向かい合う面側に設けられた第2電極を有し、
前記第1電極と前記第2電極はそれぞれ前記熱電半導体に接続され
前記パッケージは、
パッケージ本体と、
前記パッケージ本体の上面側に取り付けられ、前記センサ素子を介して前記熱電半導体の反対側に位置するリッドと、を有し、
前記パッケージ本体は、
前記熱電半導体が取り付けられる底部と、
前記底部の周囲に配置された壁部と、を有し、
前記リッドは、前記センサ素子が検出する光を透過する透光性の材料で構成されており、
前記底部と前記壁部とで囲まれた、前記パッケージの内側の空間に、前記センサ素子と前記ペルチェ素子とが配置されており、
前記底部が前記配線基板である、半導体装置。
【請求項3】
光電変換により光を検出するセンサ素子と、
前記センサ素子と向かい合う配線基板と、
前記センサ素子前記配線基板との間に配置されるペルチェ素子と、
前記センサ素子と前記ペルチェ素子とを収容して気密に封止するパッケージと、を備え、
前記ペルチェ素子は、
前記センサ素子と前記配線基板との間に配置される熱電半導体を有し、
前記センサ素子は、前記配線基板と向かい合う面側に設けられた第1電極を有し、
前記配線基板は、前記センサ素子と向かい合う面側に設けられた第2電極を有し、
前記第1電極と前記第2電極はそれぞれ熱電半導体に接続され
前記パッケージは、
パッケージ本体と、
前記パッケージ本体の上面側に取り付けられ、前記センサ素子を介して前記熱電半導体の反対側に位置するリッドと、を有し、
前記パッケージ本体は、
前記熱電半導体が取り付けられる底部と、
前記底部の周囲に配置された壁部と、を有し、
前記リッドは、前記センサ素子が検出する光を透過する透光性の材料で構成されており、
前記底部と前記壁部とで囲まれた、前記パッケージの内側の空間に、前記センサ素子と前記ペルチェ素子とが配置されており、
前記底部が前記配線基板である、半導体装置。
【請求項4】
前記センサ素子は、
半導体基板と、
前記半導体基板において前記リッドと向かい合う面上に設けられたカラーフィルタ層と、
前記カラーフィルタ層上に設けられたマイクロレンズ層と、を有する請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体基板は、
前記カラーフィルタ層と前記マイクロレンズ層とが設けられた画素領域と、
前記画素領域の外側に位置する周辺領域と、を有し、
前記熱電半導体が配置される領域は、前記画素領域及び前記周辺領域と平面視で重なる、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記半導体基板は、
前記カラーフィルタ層と前記マイクロレンズ層とが設けられた画素領域と、
前記画素領域の外側に位置する周辺領域と、を有し、
前記パッケージの前記内側の空間に配置され、前記周辺領域に設けられた接続端子と前記底部とを接続するワイヤー、をさらに備える請求項4に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記センサ素子が有する半導体基板を厚さ方向に貫く第1貫通電極をさらに備え、
前記第1貫通電極は前記第1電極に接続している、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記センサ素子が有する半導体基板において前記第1基板と向かい合う面の反対側に設けられた第1再配線層、をさらに備える請求項1に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1基板において前記センサ素子が有する半導体基板と向かい合う面の反対側に設けられた第2再配線層、をさらに備える請求項1に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記熱電半導体は、
複数の第1熱電半導体と、
前記第1熱電半導体とは導電型が異なる複数の第2熱電半導体と、を有し、
前記第1熱電半導体と前記第2熱電半導体は、前記第1電極及び前記第2電極を介して、交互に直列に接続される、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1熱電半導体及び前記第2熱電半導体とそれぞれ間隔を置いて隣り合って配置される導電体、をさらに備える請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第1熱電半導体と前記第2熱電半導体との間に充填された絶縁性の樹脂、をさらに備える請求項10に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
固体撮像素子を冷却する手段として、ペルチェ素子を内蔵した気密封止パッケージが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された気密封止パッケージでは、固体撮像素子とベース表面の突出部との間に、ペルチェ素子が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-258221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された気密封止パッケージのように、固体撮像素子の一方の面側にペルチェ素子が配置された半導体装置は、ペルチェ素子が配置されない半導体装置と比べて、厚さ方向の寸法が増大する。ペルチェ素子を備える半導体装置において、厚さ方向の寸法の低減(以下、小型化という)が望まれている。
【0005】
本開示はこのような事情に鑑みてなされたもので、小型化が可能な、ペルチェ素子を備える半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、半導体基板と、前記半導体基板と向かい合って配置されるペルチェ素子と、を備え、前記ペルチェ素子は、第1基板と、前記第1基板と前記半導体基板との間に配置される熱電半導体と、を有し、前記半導体基板は、前記第1基板と向かい合う面側に設けられた第1電極を有し、前記第1基板は、前記半導体基板と向かい合う面側に設けられた第2電極を有し、前記第1電極と前記第2電極はそれぞれ前記熱電半導体に接続される、半導体装置である。
【0007】
これによれば、ペルチェ素子の第2基板(熱電半導体を挟んで第1基板の反対側に配置される基板であり、第1基板との間で熱電半導体を挟持する基板)として、半導体基板を兼用することができる。ペルチェ素子を半導体基板と一体化することができ、半導体装置の部品点数を減らすことができる。これにより、半導体装置の厚みを低減する(低背化する)ことができ、半導体装置の小型化が可能である。また、半導体基板とペルチェ素子とが一体化することによって、半導体基板からペルチェ素子への排熱効率が向上する。これにより、ペルチェ素子は、半導体基板に対する冷却性能を高めることができる。
【0008】
本開示の別の態様は、半導体基板と、前記半導体基板と向かい合う配線基板と、前記半導体基板と前記配線基板との間に配置されるペルチェ素子と、を備え、前記ペルチェ素子は、第2基板と、前記配線基板と前記第2基板との間に配置される熱電半導体と、を有し、前記第2基板は、前記配線基板と向かい合う面側に設けられた第1電極を有し、前記配線基板は、前記第2基板と向かい合う面側に設けられた第2電極を有し、前記第1電極と前記第2電極はそれぞれ前記熱電半導体に接続される、半導体装置である。
【0009】
これによれば、ペルチェ素子の第1基板(熱電半導体を挟んで第2基板の反対側に配置される基板であり、第2基板との間で熱電半導体を挟持する基板)として、配線基板を兼用することができる。ペルチェ素子を配線基板と一体化することができ、半導体装置の部品点数を減らすことができる。これにより、半導体装置の厚みを低減する(低背化する)ことができ、小型化が可能である。また、ペルチェ素子と配線基板とが一体化することによって、ペルチェ素子から配線基板への排熱効率が向上する。これにより、ペルチェ素子は、半導体基板に対する冷却性能を高めることができる。
【0010】
本開示のさらに別の態様は、半導体基板と、前記半導体基板と向かい合う配線基板と、前記半導体基板と配線基板との間に配置されるペルチェ素子と、を備え、前記ペルチェ素子は、前記半導体基板と前記配線基板との間に配置される熱電半導体を有し、前記半導体基板は、前記配線基板と向かい合う面側に設けられた第1電極を有し、前記配線基板は、前記半導体基板と向かい合う面側に設けられた第2電極を有し、前記第1電極と前記第2電極はそれぞれ熱電半導体に接続される、半導体装置である。
【0011】
これによれば、ペルチェ素子の第1基板として配線基板を兼用し、ペルチェ素子の第2基板として半導体基板を兼用することができる。半導体基板と、ペルチェ素子と、配線基板とを一体化することができ、半導体装置の部品点数を減らすことができる。これにより、半導体装置の厚みを低減する(低背化する)ことができ、小型化が可能である。また、半導体基板とペルチェ素子とが配線基板とが一体化することによって、半導体基板から配線基板への排熱効率が向上する。これにより、ペルチェ素子は、半導体基板に対する冷却性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本開示の実施形態1に係る半導体装置の構成例を示す平面図である。
図2図2は、本開示の実施形態1に係る半導体装置の構成例を示す断面図である。
図3図3は、本開示の実施形態1に係るペルチェ素子の構成例を示す断面図である。
図4A図4Aは、本開示の実施形態1に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図4B図4Bは、本開示の実施形態1に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図4C図4Cは、本開示の実施形態1に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図4D図4Dは、本開示の実施形態1に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図4E図4Eは、本開示の実施形態1に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図5図5は、本開示の実施形態1の変形例1に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
図6A図6Aは、本開示の実施形態1の変形例1に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
図6B図6Bは、本開示の実施形態1の変形例1に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
図6C図6Cは、本開示の実施形態1の変形例1に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
図6D図6Dは、本開示の実施形態1の変形例1に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
図6E図6Eは、本開示の実施形態1の変形例1に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
図7図7は、本開示の実施形態1の変形例2に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
図8A図8Aは、本開示の実施形態1の変形例2に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
図8B図8Bは、本開示の実施形態1の変形例2に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
図8C図8Cは、本開示の実施形態1の変形例2に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
図8D図8Dは、本開示の実施形態1の変形例2に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
図9図9は、本開示の実施形態1の変形例3に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
図10A図10Aは、本開示の実施形態1の変形例3に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
図10B図10Bは、本開示の実施形態1の変形例3に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
図10C図10Cは、本開示の実施形態1の変形例3に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
図10D図10Dは、本開示の実施形態1の変形例3に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
図11図11は、本開示の実施形態1の変形例4に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
図12A図12Aは、本開示の実施形態1の変形例4に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
図12B図12Bは、本開示の実施形態1の変形例4に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
図12C図12Cは、本開示の実施形態1の変形例4に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
図12D図12Dは、本開示の実施形態1の変形例4に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
図12E図12Eは、本開示の実施形態1の変形例4に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
図12F図12Fは、本開示の実施形態1の変形例4に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
図13図13は、本開示の実施形態1の変形例5に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
図14図14は、本開示の実施形態1の変形例5に係る導電体の配置を示す平面図である。
図15図15は、本開示の実施形態1の変形例6に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
図16図16は、本開示の実施形態1の変形例7に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
図17図17は、本開示の実施形態1の変形例8に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
図18図18は、本開示の実施形態1の変形例9に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
図19図19は、本開示の実施形態1の変形例10に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
図20図20は、本開示の実施形態1の変形例11に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
図21図21は、本開示の実施形態2に係る半導体装置の構成例を示す断面図である。
図22A図22Aは、本開示の実施形態2に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図22B図22Bは、本開示の実施形態2に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図22C図22Cは、本開示の実施形態2に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図22D図22Dは、本開示の実施形態2に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図23図23は、本開示の実施形態2の変形例1に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
図24A図24Aは、本開示の実施形態2の変形例1に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
図24B図24Bは、本開示の実施形態2の変形例1に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
図24C図24Cは、本開示の実施形態2の変形例1に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
図24D図24Dは、本開示の実施形態2の変形例1に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
図25図25は、本開示の実施形態2の変形例2に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
図26図26は、本開示の実施形態3に係る半導体装置の構成例を示す断面図である。
図27図27は、本開示の実施形態3の変形例に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下において、図面を参照して本開示の実施形態を説明する。以下の説明で参照する図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0014】
また、以下の説明における上下等の方向の定義は、単に説明の便宜上の定義であって、本開示の技術的思想を限定するものではない。例えば、対象を90°回転して観察すれば上下は左右に変換して読まれ、180°回転して観察すれば上下は反転して読まれることは勿論である。
【0015】
また、以下の説明では、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の文言を用いて、方向を説明する場合がある。例えば、Z軸方向は、後述する半導体基板11の厚さ方向であり、半導体基板11の下面11aの法線方向である。X軸方向及びY軸方向は、Z軸方向と直交する方向である。X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに直交する。また、以下の説明において、「平面視」とは、Z軸方向から見ることを意味する。
【0016】
<実施形態1>
(構成)
図1は、本開示の実施形態1に係る半導体装置100の構成例を示す平面図である。図2は、本開示の実施形態1に係る半導体装置100の構成例を示す断面図である。図2は、図1をX1-X’1線で切断した断面を示している。図1及び図2に示す半導体装置100は、例えばセンサ装置であり、センサ素子10と、ペルチェ素子30と、を備える。
【0017】
センサ素子10は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ又はCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサである。センサ素子10を、センサチップと呼んでもよい。センサ素子10は、半導体基板11と、半導体基板11の下面11a側に設けられた第1電極12と、半導体基板11の上面11b側に設けられた外部接続端子14と、半導体基板11の内部に多層に設けられた複数の配線13と、半導体基板11の上面11b上に設けられたカラーフィルタ層15と、カラーフィルタ層15上に設けられたマイクロレンズ層16と、を備える。半導体基板11は、例えばシリコン基板である。第1電極12は、例えば銅(Cu)又は、Cuを主成分とするCu合金で構成されている。
【0018】
センサ素子10は、カラーフィルタ層15及びマイクロレンズ層16が配置された画素領域AR1において、光電変換により光を検出する。センサ素子10が検出する光は、可視光に限定されず、例えば赤外線又は紫外線であってもよい。
【0019】
外部接続端子14は、画素領域AR1の外側に設けられている。外部接続端子14は、例えばボンディングパッドであり、金線等のワイヤーが接続される。外部接続端子14は、半導体基板の内部に設けられた配線13を介して、ペルチェ素子30に接続されている。例えば、センサ素子10は、一対の外部接続端子14を有する。一対の外部接続端子14のうち、一方の外部接続端子14はペルチェ素子30に正電位を印加する正極側端子として用いられ、他方の外部接続端子14はペルチェ素子30に接地電位又は負電位を印加する負極側端子として用いられる。一対の外部接続端子14間に電圧が印加されると、一方の外部接続端子14から、ペルチェ素子30の後述する熱電半導体33を通って、他方の外部接続端子14へ電流が流れる。
【0020】
ペルチェ素子30は、下側基板31(本開示の「第1基板」の一例)と、下側基板31と半導体基板11との間に配置される熱電半導体33と、を有する。下側基板31は、例えばセラミック基板である。下側基板31は、半導体基板11と向かい合う上面31b側に設けられた第2電極32を有する。熱電半導体33が配置される領域AR2は、画素領域AR1と平面視で重なる。例えば、熱電半導体33が配置される領域AR2は、画素領域AR1とその周辺領域AR3と平面視で重なる。第2電極32は、例えばCu又はCu合金で構成されている。
【0021】
半導体装置100では、半導体基板11の第1電極12と、下側基板31の第2電極32とが、それぞれ熱電半導体33に接続されている。半導体基板11は、半導体装置100の基板として用いられるだけでなく、ペルチェ素子30の上側基板(熱電半導体33を挟んで下側基板31の反対側に配置される基板であり、下側基板31との間で熱電半導体33を挟持する基板)としても用いられている。
【0022】
図3は、本開示の実施形態1に係るペルチェ素子30の構成例を示す断面図である。図3に示すように、熱電半導体33は、複数のP型熱電半導体34と、複数のN型熱電半導体35と、を有する。P型熱電半導体34及びN型熱電半導体35は、半導体基板11と下側基板31との間にそれぞれ配置されている。P型熱電半導体34及びN型熱電半導体35は、一方向に間隔を置いて交互に並んで配置されている。
【0023】
半導体基板11の第1電極12は、P型熱電半導体34の上端部とN型熱電半導体35の上端部とに接続している。下側基板31の第2電極32は、P型熱電半導体34の下端部とN型熱電半導体35の下端部とに接続している。P型熱電半導体34及びN型熱電半導体35は、半導体基板11の第1電極12と下側基板31の第2電極32とを介して、交互に直列に接続されている。
【0024】
図3に示すように、ペルチェ素子30では、N型熱電半導体35の方から直流電流が流されると、半導体基板11は熱T1を吸収し(吸熱し)、下側基板31は熱T2を放出する(放熱する)。ペルチェ素子30は、センサ素子10で生じた熱を、下側基板31を介して、半導体装置100の外部へ逃がすことができる。
【0025】
次に、図1及び図2に示した半導体装置100の製造方法について説明する。なお、半導体装置100の製造には、第1電極12を形成する装置、熱電半導体33を取り付ける装置、ワイヤーボンディング装置など、種々の装置を使用する。本開示の実施形態では、これらの装置を製造装置と総称する。また、製造装置が行う作業の少なくとも一部は、作業員が行ってもよい。
【0026】
(製造方法)
図4Aから図4Eは、本開示の実施形態1に係る半導体装置100の製造方法を示す断面図である。図4Aに示すように、製造装置は、センサウェハ10’を製造する。センサウェハ10’は、センサ素子10が多面付けで形成された、ダイシング前の基板である。なお、図4Aの工程において、第1電極12(図2参照)は未形成である。第1電極12は、後述の図4Cの工程で形成される。
【0027】
次に、図4Bに示すように、製造装置は、半導体基板11の上面11b側に支持基板21を貼り合わせる。支持基板21によって、カラーフィルタ層15及びマイクロレンズ層16を含む半導体基板11の上面11b側は保護される。
【0028】
次に、図4Cに示すように、製造装置は、半導体基板11の下面11a側が上方を向くように半導体基板11を上下反転させ、半導体基板11の下面11a側に第1電極12を形成する。例えば、製造装置は、蒸着法、スパッタ法又はCVD法を用いて、半導体基板11の下面11a側に銅(Cu)膜を形成する。次に、製造装置は、フォトリソグラフィを用いて、Cu膜上に所定形状のレジストパターンを形成する。次に、製造装置は、レジストパターンをマスクに用いて、Cu膜をエッチングする。これにより、製造装置は、Cu膜から第1電極12を形成する。あるいは、製造装置は、リフトオフ法を用いて、Cu膜から第1電極12を形成してもよい。製造装置は、任意の方法で、第1電極12を形成してよい。
【0029】
次に、図4Dに示すように、製造装置は、第1電極12上にP型熱電半導体34とN型熱電半導体35とを取り付ける。例えば、製造装置は、P型熱電半導体34とN型熱電半導体35とが予め貼付されたシートを半導体基板11の下面11a側に押し当て、第1電極12にP型熱電半導体34とN型熱電半導体35とをそれぞれ接合させ、その後、シートのみを除去することによって、第1電極12上にP型熱電半導体34とN型熱電半導体35とを取り付ける。また、これ以外の方法で、製造装置は、第1電極12上にP型熱電半導体34とN型熱電半導体35とを取り付けてもよい。例えば、P型熱電半導体34とN型熱電半導体35とを第1電極12上に1個ずつ取り付けてもよい。
【0030】
次に、図4Eに示すように、製造装置は、下側基板31の上面31b側を下方に向け、下側基板31の第2電極32をP型熱電半導体34とN型熱電半導体35とにそれぞれ接合する。次に、製造装置は、センサウェハ10’と下側基板31とをダイシングして、半導体装置100を個片化する。その後、製造装置は、半導体基板11の上面11b側から支持基板21を脱離させる。以上の工程を経て、図1及び図2に示した半導体装置100が完成する。
【0031】
以上説明したように、本開示の実施形態1に係る半導体装置100は、半導体基板11と、半導体基板11と向かい合って配置されるペルチェ素子30と、を備える。ペルチェ素子30は、下側基板31と、下側基板31と半導体基板11との間に配置される熱電半導体33と、を有する。半導体基板11は、下側基板31と向かい合う下面11a側に設けられた第1電極12を有する。下側基板31は、半導体基板11と向かい合う上面31b側に設けられた第2電極32を有する。第1電極12と第2電極32はそれぞれ熱電半導体33に接続されている。例えば、熱電半導体33は、複数のP型熱電半導体34と、複数のN型熱電半導体35と、を有する。P型熱電半導体34とN型熱電半導体35は、第1電極12及び第2電極32を介して、交互に直列に接続されている。
【0032】
これによれば、ペルチェ素子30の上側基板(熱電半導体33を挟んで下側基板31の反対側に配置される基板であり、下側基板31との間で熱電半導体33を挟持する基板)として、半導体基板11を兼用することができる。ペルチェ素子30を半導体基板11と一体化することができ、半導体装置100の部品点数を減らすことができる。これにより、半導体装置100の厚みを低減する(低背化する)ことができ、半導体装置100の小型化が可能である。
【0033】
また、半導体基板11とペルチェ素子30とが一体化することによって、半導体基板11からペルチェ素子30への排熱効率が向上する。半導体基板11とペルチェ素子30との間には、熱電半導体33を支持するための基板(上側基板)がないため、半導体基板11からペルチェ素子30への排熱は効率よく行われる。これにより、ペルチェ素子30は、半導体基板11に対する冷却性能を高めることができる。
【0034】
また、ペルチェ素子30への電流の入力及び出力は、半導体基板11の外側へ引き出されるペルチェ素子専用の引出し配線ではなく、外部接続端子14に接続される金線等の配線を介して行われる。ペルチェ素子専用の引出し配線が不要となるため、さらにスペースを削減することができる。これにより、半導体装置100のさらなる小型化が可能である。
【0035】
また、ペルチェ素子30の上側基板や、ペルチェ素子専用の引出し配線、上側基板と半導体基板とを接合する接着剤が不要となり、部品点数を減らすことができる。これにより、半導体装置100の低コスト化を図ることができる。
【0036】
また、半導体基板11と熱電半導体33との間に接着用の樹脂や上側基板がないため、半導体基板11の反りを抑制することができる。すなわち、一般的な樹脂は、接着基材、デバイスよりも線膨張係数が大きいため、温度により伸縮したり弾性率が変化したりする。このため、半導体基板11の反りの原因となり易い。しかしながら、半導体装置100では、半導体基板11と熱電半導体33との間に接着用の樹脂がないため、半導体基板11の反りを抑制することができる。
【0037】
(変形例1)
図5は、本開示の実施形態1の変形例1に係る半導体装置100Aの構成を示す断面図である。図5に示すように、半導体装置100Aの半導体基板11には、半導体基板11を厚さ方向に貫く貫通電極22(本開示の「第1貫通電極」の一例)が設けられていてもよい。貫通電極22は、半導体基板11の下面11aと上面11bとの間を貫いている。貫通電極22は、例えばCu等の金属で構成されている。
【0038】
また、貫通電極22は、ペルチェ素子30に電位を印加する外部接続端子として用いられてもよい。例えば、センサ素子10は、画素領域AR1(図1参照)の外側に位置する周辺領域AR3(図1参照)に設けられた一対の貫通電極22を有する。貫通電極22の上端部は、半導体基板11の上面11b側に露出したボンディングパッドとして用いられる。ボンディングパッドには、金線等のワイヤーが接続される。貫通電極22の下端部は、センサ素子10の第1電極12に接続している。このような構成であっても、半導体装置100Aは、上記の半導体装置100と同様の効果を奏する。
【0039】
なお、図5に示す半導体装置100Aにおいても、貫通電極22とは別に、図2に示したような外部接続端子14が設けられていてもよい。また、図5には示さないが、半導体基板11の内部に配線13が設けられてもよい。
【0040】
次に、図5に示した半導体装置100Aの製造方法を説明する。図6Aから図6Eは、本開示の実施形態1の変形例1に係る半導体装置100Aの製造方法を工程順に示す断面図である。図6Aにおいて、半導体基板11の上面11b側に支持基板21を貼り合わせる工程までは、図4A及び図4Bを参照しながら説明した製造方法と同じである。
【0041】
支持基板21を貼り合わせた後、図6Bに示すように、製造装置は、半導体基板11の下面11a側が上方を向くように半導体基板11を上下反転させる。そして、製造装置は、半導体基板11の下面11aと上面11bとの間を貫く貫通孔(ビア)H1を、半導体基板11の下面11a側から形成する。次に、製造装置は、貫通孔H1の内側に貫通電極22を形成する。次に、図6Cに示すように、製造装置は、半導体基板11の下面11a側に第1電極12を形成する。貫通電極22の下端部(図6Cでは、上側の端部)は、第1電極12で覆われる。
【0042】
これ以降の工程は、図4D及び図4Eを参照しながら説明した製造方法と同じである。図6Dに示すように、製造装置は、第1電極12上にP型熱電半導体34とN型熱電半導体35とを取り付ける。次に、図6Eに示すように、製造装置は、下側基板31の上面31b側を下方に向け、下側基板31の第2電極32にP型熱電半導体34とN型熱電半導体35とにそれぞれ接合する。次に、製造装置は、センサウェハ10’と下側基板31とをダイシングして、半導体装置100Aを個片化する。その後、製造装置は、半導体基板11の上面11b側から支持基板21を脱離させる。以上の工程を経て、図5に示した半導体装置100Aが完成する。
【0043】
(変形例2)
図7は、本開示の実施形態1の変形例2に係る半導体装置100Bの構成を示す断面図である。図7に示すように、半導体装置100Bは、パッケージ本体50と、パッケージ本体50の上面側に取り付けられたリッド60とを備える。パッケージ本体50とリッド60とによって、センサ素子10とペルチェ素子30とを収容して気密に封止するパッケージ70が構成されている。
【0044】
半導体装置100Bにおいて、半導体基板11の上面111b側には、センサ素子10に接続するボンディングパッドP1が設けられている。ボンディングパッドP1には、ワイヤー23が接合されている。センサ素子10は、ボンディングパッドP1及びワイヤー23を介して、電源や信号の入出力が可能となっている。
【0045】
下側基板11の上面111b側には、ペルチェ素子30への電流の入力及び出力を行うためのボンディングパッドP2が設けられている。ボンディングパッドP2は、下側基板11の上面111b側に設けられた第2電極32に接続している。また、ボンディングパッドP2には、ワイヤー123が接合されている。ワイヤー123及びボンディングパッドP2を介して、ペルチェ素子30に電流が印加される。
【0046】
ボンディングパッドP1、P2は、例えばアルミニウム(Al)若しくはAlを主成分とするAl合金、又は、銅(Cu)若しくはCuを主成分とするCu合金で構成されている。ワイヤー32、132は、例えば金線である。
【0047】
パッケージ本体50は、ダイボンド材24を介してペルチェ素子30の下側基板31が取り付けられる底部51と、底部51の周囲に配置された壁部52とを有する。例えば、底部51と壁部52は一体に形成されている。底部51と壁部52とで囲まれた、パッケージ70の内側の空間53に、センサ素子10とペルチェ素子30とが配置されている。半導体装置100Bにおいて、パッケージ本体50は例えばセラミックで構成されている。
【0048】
リッド60は、センサ素子10が検出する光を透過する材料で構成されており、例えば透光性のガラス材、又は、透光性の樹脂で構成されている。リッド60は、パッケージ本体50の壁部に隙間なく接合される枠体(図示せず)を有してもよい。枠体は、例えばセラミック又は金属で構成されている。
【0049】
底部51の上面51b側には、金線等のワイヤー23、123の各一端がそれぞれ接続されるボンディングパッド(図示せず)が設けられている。ワイヤー23が接続するボンディングパッドと、ワイヤー123が接続するボンディングパッドは、互いに離れており、互いに電気的に分離されている。また、底部51の内部には、複数の配線(図示せず)が多層に設けられている。これらの配線は、底部の上面51b側に設けられたボンディングパッドと、底部51の下面51a側に設けられた複数の端子(図示せず)とに接続している。底部51の下面51a側に設けられた複数の端子は、下面51aの法線方向に突き出たピン状端子でもよいし、ボール状端子でもよい。センサ素子10の貫通電極22は、ワイヤー23と、底部51の上面51b側に設けられたボンディングパッドと、底部51の内部に設けられた配線と、底部の下面51a側に設けられた端子とを介して、パッケージ70の外側へ引き出されている。
【0050】
半導体装置100Bでは、パッケージ70の内側の空間53にセンサ素子10とペルチェ素子30とが配置され、気密に封止される。これにより、半導体装置100Bは、センサ素子10に異物が付着することを抑制することができ、異物が原因でセンサ素子10の動作に影響が出る可能性を低減することができる。
【0051】
次に、図7に示した半導体装置100Bの製造方法を説明する。図8Aから図8Dは、本開示の実施形態1の変形例2に係る半導体装置100Bの製造方法を工程順に示す断面図である。図8Aにおいて、半導体基板11の下面11a側に熱電半導体33を取り付け、ダイシングにより半導体装置100Aを個片化し、その後、支持基板21を脱離させる工程までは、図6Aから図6Eを参照しながら説明した製造方法と同じである。支持基板21の脱離工程と前後して、図8Bに示すように、製造装置は、パッケージ本体50の底部51の上面51b側にダイボンド材24を塗布する。
【0052】
次に、図8Cに示すように、製造装置は、底部51の上面51b側にダイボンド材24を介して下側基板31を取り付ける。次に、製造装置は、センサ素子10のボンディングパッドP1と、底部51の上面51b側に設けられたボンディングパッド(図示せず)とをワイヤー23で接続する。また、下側基板31の上面31b側に設けられたボンディングパッドと、底部51の上面51b側に設けられたボンディングパッド(図示せず)とをワイヤー123で接続する。次に、図8Dに示すように、製造装置は、リッド60とパッケージ本体50とを互いに位置合わせした状態で、例えばシーム溶接などの手段により、リッド60をパッケージ本体50の壁部52に取り付ける。これにより、リッド60とパッケージ本体50との間の空間53が気密に封止される。
【0053】
シーム溶接とは、抵抗溶接の1種であり、ローラー電極を用いて、加圧、通電しながら電極を回転させて、連続的に溶接する方法である。この工程は、シーム溶接装置に設けられたチャンバー内をドライエア、窒素又は真空などの雰囲気にすることで、パッケージ内部(すなわち、空間53)の雰囲気もドライエア、窒素又は真空に保つことが可能となる。なお、本開示の実施形態において、リッド60とパッケージ本体50との接合はシーム溶接に限定されるものではない。リッド60とパッケージ本体50との接合は、例えば、接着剤を用いた接合であってもよい。以上の工程を経て、図7に示した半導体装置100Bが完成する。
【0054】
(変形例3)
図9は、本開示の実施形態1の変形例3に係る半導体装置100Cの構成を示す断面図である。図9に示す半導体装置100Cにおいて、図7に示した半導体装置100Bとの違いは、パッケージ本体50の構造にある。半導体装置100Cが有するパッケージ本体50は、ダイボンド材24を介してペルチェ素子30の下側基板31が取り付けられる底部51と、底部51の周囲に配置された壁部52Aとを有する。底部51と壁部52Aは別々に形成されており、例えば互いに異なる材料で構成されている。一例を挙げると、底部51はセラミックで構成されているのに対して、壁部52Aは樹脂又は金属で構成されている。底部51と壁部52Aは、例えば、接着剤(図示せず)などを介して互いに接合されている。
【0055】
半導体装置100Cは、半導体装置100Bと同様の効果を奏する。また、後述の製造方法で説明するように、底部51の周囲に壁部52Aを取り付ける前に、底部51の上面51b側にペルチェ素子30とセンサ素子10とを取り付けたり、ワイヤーボンディングを行ったりすることができる。パッケージ本体50に対するセンサ素子10の取り付ける際に、底部51の上面51b側には壁部52Aは無く、底部51の上面51bは平坦であるため、ペルチェ素子30とセンサ素子10の取り付けや、ワイヤーボンディングが容易である。このため、半導体装置100Cは、半導体装置100Bと比べて、生産性を向上できる可能性がある。
【0056】
次に、図9に示した半導体装置100Cの製造方法を説明する。図10Aから図10Dは、本開示の実施形態1の変形例3に係る半導体装置100Cの製造方法を工程順に示す断面図である。図10Aにおいて、パッケージ本体50Aの底部51の上面51b側にダイボンド材24を塗布する工程までは、図8A及び図8Bを参照しながら説明した製造方法と同じである。
【0057】
ダイボンド材24を塗布した後、図10Bに示すように、製造装置は、底部51の上面51b側にダイボンド材24を介して下側基板31を取り付ける。次に、図10Cに示すように、製造装置は、センサ素子10のボンディングパッドP1と、底部51の上面51b側に設けられたボンディングパッド(図示せず)とをワイヤー23で接続する(第1のワイヤーボンディング工程)。また、製造装置は、下側基板31のボンディングパッドP2と、底部51の上面51b側に設けられたボンディングパッド(図示せず)とをワイヤー123で接続する(第2のワイヤーボンディング工程)。次に、製造装置は、底部51の上面51b側に接着剤などを介して壁部52Aを取り付ける。なお、本開示の実施形態では、壁部52Aの取り付け工程を行った後で、第1のワイヤーボンディング工程や、第2のワイヤーボンディング工程を行ってもよい。
【0058】
次に、図10Dに示すように、製造装置は、リッド60をパッケージ本体50の壁部52Aに取り付け、リッド60とパッケージ本体50との間の空間53を気密に封止する。以上の工程を経て、図9に示した半導体装置100Cが完成する。
【0059】
(変形例4)
図11は、本開示の実施形態1の変形例4に係る半導体装置100Dの構成を示す断面図である。図11に示すように、半導体装置100Dのパッケージ形式は、ウェハレベルチップサイズパッケージである。半導体装置100Dにおいて、半導体基板11と下側基板31との間であって、熱電半導体33が配置される領域AR2の外側には、絶縁性の第1スペーサ25が設けられている。第1スペーサ25は、熱電半導体33が配置される領域AR2を平面視で隙間なく囲む絶縁性の枠体である。第1スペーサ25は絶縁性の樹脂で構成されていてもよいし、セラミックで構成されていてもよい。第1スペーサ25の上端は半導体基板11の下面11aに接合され、第1スペーサ25の下端は下側基板31の上面31bに接合されている。
【0060】
第1スペーサ25の内部には、第1スペーサ25をZ軸方向(半導体装置100の厚さ方向)に貫く貫通配線26が設けられている。貫通配線26は、例えばCuなどの金属で構成されている。貫通配線26は、半導体基板11の内部に設けられた配線13と、下側基板31の下面31aと上面31bとの間を貫通する貫通電極36とにそれぞれ接続されている。貫通電極36は、例えばCuなどの金属で構成されている。
【0061】
下側基板31において、半導体基板11と向かい合う面の反対側である下面31a側には、再配線層37(本開示の「第2再配線層」の一例)が設けられている。再配線層37は、例えば、多層に設けられた配線38と、一の層の配線38と他の層の配線38との間を絶縁する絶縁層39とを有する。配線38は、例えばCuなどの金属で構成されている。絶縁層39は、例えばソルダーレジストで構成されている。再配線層37の最下面には、複数のバンプ電極40が設けられている。バンプ電極40は、配線38に接続している。バンプ電極40は、例えばはんだボールで構成されている。
【0062】
半導体基板11の上面11bとリッド60との間であって、カラーフィルタ層15及びマイクロレンズ層16が配置される領域の外側には、第2スペーサ45が設けられている。第2スペーサ45は、カラーフィルタ層15及びマイクロレンズ層16が配置される領域を平面視で隙間なく囲む絶縁性の枠体である。例えば、第2スペーサ45は、半導体基板11を介して第1スペーサ25とZ軸方向で重なるように設けられている。第2スペーサ45は絶縁性の樹脂で構成されていてもよいし、セラミックで構成されていてもよい。第2スペーサ45の上端はリッド60に接合され、第2スペーサ45の下端は半導体基板11の上面11bに接合されている。
【0063】
半導体装置100Dでは、半導体基板11と下側基板31との間の空間は、枠状の第1スペーサ25で気密に封止されている。また、半導体基板11とリッド60との間の空間は、枠状の第2スペーサ45で気密に封止されている。半導体基板11と下側基板31との間の電気的接続は、金線などのワイヤーでなく、第1スペーサ25内の貫通配線26を介して行われる。半導体装置100Dは、ウェハレベルチップサイズパッケージであり、ワイヤーが不要であるため、さらなる薄型、小型化が可能である。
【0064】
なお、半導体基板11とリッド60との間であって、第2スペーサ45で囲まれた空間は、中空であってよいし、透光性を有する樹脂(すなわち、透明樹脂)で充填されていてもよい。
【0065】
次に、図11に示した半導体装置100Dの製造方法を説明する。図12Aから図12Fは、本開示の実施形態1の変形例4に係る半導体装置100Dの製造方法を工程順に示す断面図である。図12Aにおいて、センサ素子10が多面付けで形成されたセンサウェハ10’を形成し、センサウェハ10’に貫通電極22を形成する工程までは、図6A及び図6Bを参照しながら説明した製造方法と同じである。
【0066】
貫通電極22の形成後、製造装置は、センサウェハ10’の上面11b側に第2スペーサ45を形成する。製造装置は、ウェハプロセスを用いて第2スペーサ45を形成してもよいし、予め用意された第2スペーサ45を、接着剤などを介して上面11b側に取り付けてもよい。次に、図12Bに示すように、製造装置は、第2スペーサ45上にリッド60を取り付ける。これにより、半導体基板11とリッド60との間の空間は気密封止される。
【0067】
次に、図12Cに示すように、製造装置は、リッド60が下方を向くように半導体基板11を上下反転させ、半導体基板11の下面11a側(図12Cでは、上側)に第1電極12を形成する。次に、製造装置は、半導体基板11の下面11a側に第1スペーサ25を形成し、第1スペーサ25の内部に位置する貫通配線26と半導体基板11の貫通電極22とを接合する。
【0068】
次に、図12Dに示すように、製造装置は、第1電極12上にP型熱電半導体34とN型熱電半導体35とを取り付ける。次に、図12Eに示すように、製造装置は、下側基板31の上面31b側を下方に向け、下側基板31の第2電極32をP型熱電半導体34とN型熱電半導体35とにそれぞれ接合するとともに、下側基板31の貫通電極36を第1スペーサ25の内部に位置する貫通配線26に接合する。
【0069】
次に、図12Fに示すように、製造装置は、下側基板31の下面31a側には再配線層37を形成する。製造装置は、例えばセミアディティブ法又はサブトラクティブ法を用いて、再配線層37を形成する。また、再配線層37の形成に際し、製造装置は、下側基板31の貫通電極36に配線38を接続させる。その後、製造装置は、再配線層37の最下面(図12Fでは、最上面)に複数のバンプ電極40(図11参照)を形成する。その後、センサウェハ10’を下側基板31と共にダイシングする。以上の工程を経て、図11に示した半導体装置100Eが完成する。
【0070】
(変形例5)
図13は、本開示の実施形態1の変形例5に係る半導体装置100Eの構成を示す断面図である。図14は、本開示の実施形態1の変形例5に係る導電体80の配置を示す平面図である。図13及び図14に示すように、半導体装置100Eは、P型熱電半導体34とN型熱電半導体35との間に配置され、P型熱電半導体34及びN型熱電半導体35からそれぞれ電気的に分離された導電体80を備える。導電体80は、P型熱電半導体34及びN型熱電半導体35とそれぞれ間隔を置いて隣り合って配置されている。
【0071】
導電体80は、半導体基板11と再配線層37とを接続する接続端子である。導電体80は、下側基板31の上面31bと下面31aとの間を貫いている。導電体80の下端は再配線層37の配線38に接続している。また、半導体基板11の下面11a側には、電極18が設けられている。電極18は、第1電極12から離れた位置に設けられており、第1電極12とは電気的に分離されている。導電体80の上端は、電極18に接続している。導電体80は、電極18を介して、半導体基板11と再配線層37とを接続している。
【0072】
半導体装置100Eでは、半導体基板11と再配線層37との間の信号線や電源線として、導電体80が用いられる。導電体80は、ペルチェ素子30を迂回せず、半導体基板11と再配線層37とを接続する。半導体装置100Eは、半導体基板11と再配線層37との間の配線長を短くすることができるので、低インピーダンス化が可能である。
【0073】
なお、半導体装置100Eにおいて、半導体基板11と下側基板31との間には、絶縁性の樹脂が充填されていてもよい。半導体基板11と下側基板31との間の樹脂によって、導電体80は水平方向(X-Y平面に平行な方向)から支持されるので、半導体基板11及び下側基板31に対する導電体80の接合強度が向上する。
【0074】
また、半導体装置100Gと同様に、半導体装置100Eにおいても、半導体基板11とリッド60との間であって、第2スペーサ45で囲まれた空間は、中空であってよいし、透明樹脂で充填されていてもよい。
【0075】
(変形例6)
上記の実施形態1とその変形例1から5では、半導体装置が、カラーフィルタ層15及びマイクロレンズ層16を備えるセンサ装置である場合を説明した。しかしながら、本開示の第1実施形態において、半導体装置はセンサ装置に限定されない。第1実施形態に係る半導体装置は、任意の機能を実行する集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)であってもよい。
【0076】
図15は、本開示の実施形態1の変形例6に係る半導体装置100Fの構成を示す断面図である。図15に示す半導体装置100Fは、IC又はLSIであり、IC素子10Aと、ペルチェ素子30と、を備える。IC素子10Aを、ICチップと呼んでもよい。IC素子10Aは、半導体基板11と、半導体基板11の下面11a側に設けられた第1電極12と、半導体基板11の上面11b側に設けられた外部接続端子14と、半導体基板11の内部に多層に設けられた複数の配線13と、を備える。ペルチェ素子30は、下側基板31と、下側基板31と半導体基板11との間に配置される熱電半導体33と、を有する。
【0077】
図1及び図2に示した半導体装置100と同様に、半導体装置100Fにおいても、半導体基板11の第1電極12と、下側基板31の第2電極32とが、それぞれ熱電半導体33に接続されている。半導体基板11は、半導体装置100Fの基板として用いられるだけでなく、ペルチェ素子30の上側基板としても用いられている。
【0078】
半導体装置100Fにおいても、ペルチェ素子30の上側基板として、半導体基板11が兼用される。ペルチェ素子30は半導体基板11と一体となり、部品点数を減らすことができる。これにより、半導体装置100Fは、厚みを低減することができ、小型化が可能である。
【0079】
(変形例7)
図16は、本開示の実施形態1の変形例7に係る半導体装置100Gの構成を示す断面図である。図16に示すように、半導体装置100Gでは、半導体基板11の中央部の下方には熱電半導体33が配置されているが、半導体基板11の外周部の下方には熱電半導体33は配置されていない。熱電半導体33は、半導体基板11の中央部の下方に偏って配置されている。
【0080】
このような構成であっても、半導体基板11がシリコン基板の場合は、シリコンは熱伝導性に優れるため、十分な冷却効果を得ることができる。また、熱電半導体33を半導体基板11の中央部の下方に偏って配置することによって、半導体基板11の外周部の下方には、空きスペースが生まれる。この空きスペースに、例えば図13に示した導電体80を設けてもよい。空きスペースを有効に利用することによって、半導体装置100Gの大型化を回避しつつ、信号線を増やすことができるなど、高性能化も可能である。
【0081】
(変形例8)
図17は、本開示の実施形態1の変形例8に係る半導体装置100Hの構成を示す断面図である。図17に示す半導体装置100Hは、図15に示した半導体装置100Fに再配線層37とバンプ電極40とを設けた態様である。図17に示すように、半導体装置100Hでは、半導体基板11において、下側基板31と向かい合う面の反対側である上面11b側に、再配線層137(本開示の「第1再配線層」の一例)が設けられている。再配線層137は、例えば、多層に設けられた配線138と、一の層の配線138と他の層の配線138との間を絶縁する絶縁層139とを有する。また、再配線層137の最上面には、複数のバンプ電極140が設けられている。バンプ電極140は、配線138に接続している。バンプ電極140は、例えばはんだボールで構成されている。半導体装置100Hでは、バンプ電極140を介してペルチェ素子30に電流を流すことができる。
【0082】
(変形例9)
図18は、本開示の実施形態1の変形例9に係る半導体装置100Iの構成を示す断面図である。図18に示すように、半導体装置100Iでは、半導体基板11と下側基板31との間に絶縁性の樹脂61が充填されている。樹脂61によって、半導体基板11と下側基板31との間は隙間なく封止されている。樹脂61は、熱電半導体33の側面と密着しており、熱電半導体が外気や水分に晒されることを防いでいる。また、樹脂61は、熱電半導体33を水平方向(X-Y平面に平行な方向)から支持している。これにより、半導体基板11及び下側基板31に対する熱電半導体33の接合強度の向上が図られている。
【0083】
(変形例10)
図19は、本開示の実施形態1の変形例10に係る半導体装置100Jの構成を示す断面図である。図19に示す半導体装置100Jは、図18に示した半導体装置100Iに再配線層137とバンプ電極140とを設けた態様である。半導体装置100Jでは、バンプ電極140を介してペルチェ素子30に電流を流すことができる。
【0084】
(変形例11)
図20は、本開示の実施形態1の変形例11に係る半導体装置100Kの構成を示す断面図である。図20に示すように、半導体装置100Kは、パッケージ本体50と、パッケージ本体50の上面側に取り付けられたリッド60とを備える。パッケージ本体50とリッド60とによって、パッケージ70が構成されている。
【0085】
半導体装置100Kでは、パッケージ70の内側の空間53にIC素子10Aとペルチェ素子30とが配置され、気密に封止される。これにより、半導体装置100Kは、IC素子10Aに異物が付着することを抑制することができ、異物が原因でIC素子10Aの動作に影響が出る可能性を低減することができる。
【0086】
<実施形態2>
上記の実施形態1とその変形例では、センサ素子又はIC素子が形成された半導体基板を、ペルチェ素子の上側基板に兼用する態様を示した。しかしながら、本開示の実施形態はこれに限定されない。本開示の実施形態では、配線基板をペルチェ素子の下側基板に兼用してもよい。
【0087】
(構成)
図21は、本開示の実施形態2に係る半導体装置200の構成例を示す断面図である。図21に示す半導体装置200は、例えばセンサ装置であり、センサ素子10と、ペルチェ素子130と、パッケージ70と、を備える。上述したように、センサ素子10は、例えば、CMOSイメージセンサ又はCCDイメージセンサである。
【0088】
ペルチェ素子130は、上側基板111(本開示の「第2基板」の一例)と、上側基板111と配線基板との間に配置された熱電半導体33と、を有する。上側基板111は、例えばセラミック基板である。半導体装置200では、上側基板111の下面111a側に、第1電極12が設けられている。
【0089】
上側基板111の上面111bは、ダイボンド材124を介して半導体基板11の下面11aに固定されている。半導体基板11の上面111b側には、センサ素子10に接続するボンディングパッドP1が設けられている。ボンディングパッドP1には、ワイヤー23が接合されている。センサ素子10は、ボンディングパッドP1及びワイヤー23を介して、電源や信号の入出力が可能となっている。
【0090】
パッケージ70は、パッケージ本体50と、パッケージ本体50の上面側に取り付けられたリッド60とを備える。パッケージ本体50とリッド60とによって、センサ素子10とペルチェ素子130とが気密封止されている。パッケージ本体50は、ペルチェ素子130の熱電半導体33が取り付けられる底部51(本開示の「配線基板」の一例)と、底部51の周囲に配置された壁部52とを有する。例えば、底部51と壁部52は一体に形成されている。底部51と壁部52とで囲まれた、パッケージ70の内側の空間53に、センサ素子10とペルチェ素子130とが配置されている。
【0091】
半導体装置200では、パッケージ本体50の底部51の上面51b側に、第2電極32が設けられている。上側基板111に設けられた第1電極12と、底部51に設けられた第2電極32とが、それぞれ熱電半導体33に接続されている。底部51は、パッケージ本体50の一部として用いられるだけでなく、ペルチェ素子30Aの下側基板(熱電半導体33を挟んで上側基板111の反対側に配置される基板であり、上側基板111との間で熱電半導体33を挟持する基板)としても用いられている。
【0092】
また、底部51の上面51b側には、ペルチェ素子130への電流の入力及び出力を行うための配線(図示せず)が設けられている。この配線は、第2電極32に接続している。この配線は、例えば第2電極32と同一プロセスで同時に形成される。
【0093】
(製造方法)
次に、図21に示した半導体装置200の製造方法について説明する。図22Aから図22Dは、本開示の実施形態2に係る半導体装置200の製造方法を示す断面図である。図22Aに示すように、製造装置は、パッケージ本体50の底部51の上面51b側に第2電極32と、ペルチェ素子130への電流の入力及び出力を行うための配線(図示せず)とを形成する。次に、製造装置は、第2電極32上にP型熱電半導体34とN型熱電半導体35とを取り付ける。
【0094】
次に、図22Bに示すように、製造装置は、P型熱電半導体34とN型熱電半導体35上に上側基板111を取り付ける。上側基板111の取り付け工程では、上側基板111の下面111a側に設けられた第1電極12を、P型熱電半導体34とN型熱電半導体35とにそれぞれ接合する。
【0095】
次に、図22Cに示すように、製造装置は、カラーフィルタ層15及びマイクロレンズ層16と、ボンディングパッドP1が上面11b側に形成された半導体基板11を用意する。そして、製造装置は、半導体基板11の下面11a側を、ダイボンド材124を介して上側基板111の上面111b側に取り付ける。次に、製造装置は、センサ素子10のボンディングパッドP1と、底部51の上面51b側に設けられたボンディングパッド(図示せず)とをワイヤー23で接続する。
【0096】
次に、図12Dに示すように、製造装置は、リッド60をパッケージ本体50の壁部52に取り付ける。これにより、リッド60とパッケージ本体50との間の空間53が気密に封止される。以上の工程を経て、図21に示した半導体装置200が完成する。
【0097】
以上説明したように、本開示の実施形態2に係る半導体装置200は、半導体基板11と、半導体基板11と向かい合って配置されるペルチェ素子130と、を備える。ペルチェ素子130は、上側基板111と、パッケージ本体50の底部51と上側基板111との間に配置された熱電半導体33と、を有する。上側基板111は、パッケージ本体50の底部51と向かい合う下面111a側に設けられた第1電極12を有する。パッケージ本体50の底部51は、上側基板111と向かい合う上面111b側に設けられた第2電極32を有する。第1電極12と第2電極32はそれぞれ熱電半導体33に接続されている。
【0098】
これによれば、ペルチェ素子130の下側基板(熱電半導体を挟んで上側基板111の反対側に配置される基板であり、上側基板111との間で熱電半導体を挟持する基板)として、パッケージ本体50の底部51を兼用することができる。ペルチェ素子130を底部51と一体化することができ、半導体装置200の部品点数を減らすことができる。これにより、半導体装置200の厚みを低減する(低背化する)ことができ、半導体装置200の小型化が可能である。
【0099】
また、ペルチェ素子130と底部51とが一体化することによって、ペルチェ素子130から底部51への排熱効率が向上する。ペルチェ素子130と底部51の間には、熱電半導体33を支持するための基板(下側基板)がないため、ペルチェ素子130から底部51への排熱は効率よく行われる。これにより、ペルチェ素子130は、半導体基板11に対する冷却性能を高めることができる。
【0100】
また、ペルチェ素子130への電流の入力及び出力は、半導体基板11の外側へ引き出されるペルチェ素子専用の引出し配線ではなく、底部51に設けられた配線を介して行われる。ペルチェ素子専用の引出し配線が不要となるため、さらにスペースを削減することができる。これにより、半導体装置200は、さらなる小型化が可能である。
【0101】
また、ペルチェ素子30の下側基板や、ペルチェ素子専用の引出し配線、下側基板と底部とを接合する接着剤が不要となり、部品点数を減らすことができる。これにより、半導体装置200の低コスト化を図ることができる。
【0102】
また、熱電半導体33と底部51との間に接着用の樹脂や下側基板がないため、半導体基板11の反りを抑制することができる。すなわち、一般的な樹脂は、接着基材、デバイスよりも線膨張係数が大きいため、温度により伸縮したり弾性率が変化したりする。このため、半導体基板11の反りの原因となり易い。しかしながら、半導体装置200では、熱電半導体33と底部51の間に接着用の樹脂がないため、半導体基板11の反りを抑制することができる。
【0103】
(変形例1)
図23は、本開示の実施形態2の変形例1に係る半導体装置200Aの構成を示す断面図である。図23に示す半導体装置200Aにおいて、図19に示した半導体装置200との違いは、パッケージ本体50の構造にある。半導体装置200Aが有するパッケージ本体50は、ダイボンド材24を介してペルチェ素子30の下側基板31が取り付けられる底部51と、底部51の周囲に配置された壁部52Aとを有する。底部51と壁部52Aは別々に形成されており、例えば互いに異なる材料で構成されている。一例を挙げると、底部51はセラミックで構成されているのに対して、壁部52Aは樹脂又は金属で構成されている。底部51と壁部52Aは、例えば、接着剤(図示せず)などを介して互いに接合されている。
【0104】
半導体装置200Aは、半導体装置200と同様の効果を奏する。また、後述の製造方法で説明するように、底部51の周囲に壁部52Aを取り付ける前に、底部51の上面51b側にペルチェ素子30Aとセンサ素子10とを取り付けることができる。センサ素子10の取り付ける際に、底部51の上面51b側には壁部52Aは無く、底部51の上面51bは平坦であるため、ペルチェ素子30Aとセンサ素子10の取り付けが容易である。このため、半導体装置200Aは、半導体装置200と比べて、生産性を向上できる可能性がある。
【0105】
次に、半導体装置200Aの製造方法を説明する。図24Aから図24Dは、本開示の実施形態2の変形例1に係る半導体装置200Aの製造方法を工程順に示す断面図である。図24Aに示すように、製造装置は、底部51の上面51b側に第2電極32と、ペルチェ素子130への電流の入力及び出力を行うための配線(図示せず)とを形成する。次に、製造装置は、第2電極32上にP型熱電半導体34とN型熱電半導体35とを取り付ける。
【0106】
次に、図24Bに示すように、製造装置は、P型熱電半導体34とN型熱電半導体35上に上側基板111を取り付ける。上側基板111の取り付け工程では、上側基板111の下面111a側に設けられた第1電極12を、P型熱電半導体34とN型熱電半導体35とにそれぞれ接合する。
【0107】
次に、図24Cに示すように、製造装置は、カラーフィルタ層15及びマイクロレンズ層16が上面11b側に形成された半導体基板11を用意する。そして、製造装置は、半導体基板11の下面11a側をダイボンド材124を介して上側基板111の上面111b側に取り付ける。次に、製造装置は、センサ素子10のボンディングパッドP1と、底部51の上面51b側に設けられたボンディングパッド(図示せず)とをワイヤー23で接続する。
【0108】
次に、図24Dに示すように、製造装置は、底部51の上面51b側に接着剤などを介して壁部52Aを取り付ける。なお、本開示の実施形態では、壁部52Aの取り付け工程を行った後で、ワイヤーボンディング工程を行ってもよい。その後、製造装置は、リッド60をパッケージ本体50の壁部52Aに取り付け、リッド60とパッケージ本体50との間の空間53を気密に封止する。以上の工程を経て、図23に示した半導体装置200Aが完成する。
【0109】
(変形例2)
図25は、本開示の実施形態2の変形例2に係る半導体装置200Bの構成を示す断面図である。図25に示す半導体装置200Bにおいて、パッケージ本体50は、底部51A(本開示の「配線基板」の一例)と、底部51Aの周囲に配置された壁部52Aとを有する。底部51Aは、セラミック以外の材料で構成された配線基板であり、例えば、有機材料で構成された有機基板、ガラス基板、モールド樹脂で構成されたモールド基板、LCP(液晶ポリマー)で構成されたLCP基板、フレキシブルPI(ポリイミド)基板、又は、リジッドFPC(Flexible printed circuits)基板、などで構成されている。このような構成であっても、半導体装置200Bは、半導体装置200Aと同様の効果を奏する。
【0110】
<実施形態3>
本開示の実施形態では、センサ素子又はIC素子が形成された半導体基板をペルチェ素子の上側基板に兼用し、配線基板をペルチェ素子の下側基板に兼用してもよい。つまり、ペルチェ素子の上下基板を、ペルチェ素子以外の他の基板で兼用してもよい。
【0111】
図26は、本開示の実施形態3に係る半導体装置300の構成例を示す断面図である。図26に示す半導体装置300は、例えばセンサ装置であり、センサ素子10と、ペルチェ素子230と、パッケージ70と、を備える。上述したように、センサ素子10は、例えば、CMOSイメージセンサ又はCCDイメージセンサである。
【0112】
ペルチェ素子230は、半導体基板11とパッケージ本体50の底部51(本開示の「配線基板」の一例)との間に配置された熱電半導体33、を有する。半導体基板11の下面11a側に第1電極12が設けられている。パッケージ本体50の底部51の上面51b側に第2電極32が設けられている。第1電極12と第2電極32は、熱電半導体33にそれぞれ接続されている。
【0113】
これによれば、ペルチェ素子230の上側基板として半導体基板11が兼用することができ、ペルチェ素子230の下側基板としてパッケージ本体50の底部51を兼用することができる。ペルチェ素子230を半導体基板11及び底部51と一体化することができ、半導体装置300の部品点数を減らすことができる。これにより、半導体装置300の厚みを低減する(低背化する)ことができ、半導体装置300の小型化が可能である。
【0114】
また、半導体基板11とペルチェ素子230と底部51とが一体化することによって、半導体基板11から底部51への排熱効率が向上する。半導体基板11とペルチェ素子30との間には、熱電半導体33を支持するための基板(上側基板)がないため、半導体基板11からペルチェ素子230への排熱は効率よく行われる。また、ペルチェ素子130と底部51の間には、熱電半導体33を支持するための基板(下側基板)がないため、ペルチェ素子230から底部51への排熱も効率よく行われる。これにより、ペルチェ素子230は、半導体基板11に対する冷却性能を高めることができる。
【0115】
また、半導体装置300は、半導体装置100、200と同様に、ペルチェ素子専用の引出し配線を不要とすることによる小型化、部品点数の削減による低コスト化、排熱性の向上による半導体基板11の反りの抑制など、各種の効果を奏する。
【0116】
(変形例)
図27は、本開示の実施形態3の変形例に係る半導体装置300Aの構成を示す断面図である。図27に示すように、半導体装置300Aは、P型熱電半導体34とN型熱電半導体35との間に配置され、P型熱電半導体34及びN型熱電半導体35からそれぞれ電気的に分離された導電体80を備える。
【0117】
導電体80は、半導体基板11の下面側に設けられた電極18と、パッケージ本体50の底部51に設けられた電極58とを接続する接続端子である。電極18は、第1電極12から離れた位置に設けられており、第1電極12とは電気的に分離されている。電極58は、第2電極32から離れた位置に設けられており、第2電極32とは電気的に分離されている。導電体80は、電極18、58を介して、半導体基板11とパッケージ本体50の底部51とを接続している。
【0118】
半導体装置300Aでは、半導体基板11と底部51との間の信号線や電源線として、導電体80が用いられる。導電体80は、ペルチェ素子230を迂回せず、半導体基板11と底部51との間を接続する。半導体装置300Aは、半導体基板11と底部51との間の配線長を短くすることができるので、低インピーダンス化が可能である。
【0119】
なお、半導体装置300Aにおいて、半導体基板11と底部51との間には、絶縁性の樹脂(図示せず)が充填されていてもよい。半導体基板11と底部51との間の樹脂によって、導電体80は水平方向(X-Y平面に平行な方向)から支持されるので、半導体基板11及び底部51に対する導電体80の接合強度が向上する。
【0120】
(その他の実施形態)
上記のように、本開示は実施形態及び変形例によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本開示を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。本技術はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。上述した実施形態及び変形例の要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。また、本明細書に記載された効果はあくまでも例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【0121】
なお、本開示は以下のような構成も取ることができる。
(1)半導体基板と、
前記半導体基板と向かい合って配置されるペルチェ素子と、を備え、
前記ペルチェ素子は、
第1基板と、
前記第1基板と前記半導体基板との間に配置される熱電半導体と、を有し、
前記半導体基板は、前記第1基板と向かい合う面側に設けられた第1電極を有し、
前記第1基板は、前記半導体基板と向かい合う面側に設けられた第2電極を有し、
前記第1電極と前記第2電極はそれぞれ前記熱電半導体に接続される、半導体装置。
(2)半導体基板と、
前記半導体基板と向かい合う配線基板と、
前記半導体基板と前記配線基板との間に配置されるペルチェ素子と、を備え、
前記ペルチェ素子は、
第2基板と、
前記配線基板と前記第2基板との間に配置される熱電半導体と、を有し、
前記第2基板は、前記配線基板と向かい合う面側に設けられた第1電極を有し、
前記配線基板は、前記第2基板と向かい合う面側に設けられた第2電極を有し、
前記第1電極と前記第2電極はそれぞれ前記熱電半導体に接続される、半導体装置。
(3)半導体基板と、
前記半導体基板と向かい合う配線基板と、
前記半導体基板と配線基板との間に配置されるペルチェ素子と、を備え、
前記ペルチェ素子は、
前記半導体基板と前記配線基板との間に配置される熱電半導体を有し、
前記半導体基板は、前記配線基板と向かい合う面側に設けられた第1電極を有し、
前記配線基板は、前記半導体基板と向かい合う面側に設けられた第2電極を有し、
前記第1電極と前記第2電極はそれぞれ熱電半導体に接続される、半導体装置。
(4)前記半導体基板を厚さ方向に貫く第1貫通電極をさらに備え、
前記第1貫通電極は前記第1電極に接続している、
前記(1)又は(3)に記載の半導体装置。
(5)前記半導体基板と前記ペルチェ素子とを収容して気密に封止するパッケージ、をさらに備える、
前記(1)から(4)のいずれか1項に記載の半導体装置。
(6)前記半導体基板において前記第1基板と向かい合う面の反対側に設けられた第1再配線層、をさらに備える
前記(1)に記載の半導体装置。
(7)前記第1基板において前記半導体基板と向かい合う面の反対側に設けられた第2再配線層、をさらに備える前記(1)に記載の半導体装置。
(8)前記熱電半導体は、
複数の第1熱電半導体と、
前記第1熱電半導体とは導電型が異なる複数の第2熱電半導体と、を有し、
前記第1熱電半導体と前記第2熱電半導体は、前記第1電極及び前記第2電極を介して、交互に直列に接続される、
前記(1)から(7)のいずれか1項に記載の半導体装置。
(9)前記第1熱電半導体及び前記第2熱電半導体とそれぞれ間隔を置いて隣り合って配置される導電体、をさらに備える
前記(8)に記載の半導体装置。
(10)前記第1熱電半導体と前記第2熱電半導体との間に充填された絶縁性の樹脂、をさらに備える
前記(8)又は(9)に記載の半導体装置。
【0122】
さらに、本開示は以下のような構成も取ることができる。
(11)半導体基板と、
前記半導体基板の一方の面側に配置されるペルチェ素子と、を備え、
前記ペルチェ素子は、
熱電半導体と、
前記熱電半導体を挟んで前記半導体基板の反対側に配置される第1基板と、を有し、
前記第1基板との間で前記熱電半導体を挟んで支持する第2基板として、前記半導体基板が兼用される、半導体装置。
(12)半導体基板と、
前記半導体基板と向かい合う配線基板と、
前記半導体基板と前記配線基板との間に配置されるペルチェ素子と、を備え、
前記ペルチェ素子は、
熱電半導体と、
前記熱電半導体を挟んで前記配線基板の反対側に配置される第2基板と、を有し、
前記第2基板との間で前記熱電半導体を挟んで支持する第1基板として、前記配線基板が兼用される、半導体装置。
(13)半導体基板と、
前記半導体基板と向かい合う配線基板と、
前記半導体基板と前記配線基板との間に配置されるペルチェ素子と、を備え、
前記ペルチェ素子は、
熱電半導体を有し、
前記熱電半導体を両側から挟んで支持する一対の基板のうち、第1基板として前記配線基板が兼用され、第2基板として前記半導体基板が兼用される、半導体装置。
【符号の説明】
【0123】
10 センサ素子
10’ センサウェハ
10A IC素子
11 半導体基板
11a、31a、51a、111a 下面
11b、31b、51b、111b 上面
12 第1電極
13、38、138 配線
14 外部接続端子
15 カラーフィルタ層
16 マイクロレンズ層
18、58 電極
21 支持基板
22、36 貫通電極
23、123 ワイヤー
24、124 ダイボンド材
25 第1スペーサ
26 貫通配線
30、30A、130、230 ペルチェ素子
31 下側基板
32 第2電極
33 熱電半導体
34 P型熱電半導体
35 N型熱電半導体
37、137 再配線層
39、139 絶縁層
40、140 バンプ電極
45 第2スペーサ
50 パッケージ本体
50A パッケージ本体
51、51A 底部
52、52A 壁部
53 空間
60 リッド
61 樹脂
70 パッケージ
80 導電体
100、100Aから100K、200A、200B、300、300A 半導体装置
111 上側基板
AR1 画素領域
AR2 熱電半導体が配置される領域
AR3 周辺領域
H1 貫通孔
P1、P2 ボンディングパッド
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図12F
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22A
図22B
図22C
図22D
図23
図24A
図24B
図24C
図24D
図25
図26
図27