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特許7576568有機水素吸蔵原料用脱水素触媒及びその担体、水素吸蔵性合金、並びに、高純度水素ガスの供給方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-23
(45)【発行日】2024-10-31
(54)【発明の名称】有機水素吸蔵原料用脱水素触媒及びその担体、水素吸蔵性合金、並びに、高純度水素ガスの供給方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/42 20060101AFI20241024BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20241024BHJP
   B01J 37/10 20060101ALI20241024BHJP
   B01J 37/32 20060101ALI20241024BHJP
   B01J 23/89 20060101ALI20241024BHJP
   B01J 23/835 20060101ALI20241024BHJP
   B01J 23/755 20060101ALI20241024BHJP
   B01J 23/46 20060101ALI20241024BHJP
   B01J 23/656 20060101ALI20241024BHJP
   B01J 27/185 20060101ALI20241024BHJP
   B01J 23/44 20060101ALI20241024BHJP
   B01J 23/62 20060101ALI20241024BHJP
   B01J 23/80 20060101ALI20241024BHJP
   C22C 14/00 20060101ALN20241024BHJP
   C22C 16/00 20060101ALN20241024BHJP
   C22C 19/00 20060101ALN20241024BHJP
   C22C 22/00 20060101ALN20241024BHJP
   C22C 23/00 20060101ALN20241024BHJP
   C22C 27/02 20060101ALN20241024BHJP
   C22C 27/06 20060101ALN20241024BHJP
   C22C 38/00 20060101ALN20241024BHJP
【FI】
B01J23/42 M
B01J37/08
B01J37/10
B01J37/32
B01J23/89 M
B01J23/835 M
B01J23/755 M
B01J23/46 M
B01J23/656 M
B01J27/185 M
B01J23/44 M
B01J23/62 M
B01J23/80 M
C22C14/00 A
C22C16/00
C22C19/00 F
C22C22/00
C22C23/00
C22C27/02 101Z
C22C27/02 102Z
C22C27/06
C22C38/00 302V
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021566301
(86)(22)【出願日】2020-05-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-11
(86)【国際出願番号】 CN2020088740
(87)【国際公開番号】W WO2020224584
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2023-02-13
(31)【優先権主張番号】201910370696.X
(32)【優先日】2019-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】509059424
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司石油化工科学研究院
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】林偉
(72)【発明者】
【氏名】楊雪
(72)【発明者】
【氏名】宋海涛
(72)【発明者】
【氏名】孫敏
【審査官】安齋 美佐子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-144016(JP,A)
【文献】特開2011-245475(JP,A)
【文献】特開2017-159198(JP,A)
【文献】国際公開第2016/158437(WO,A1)
【文献】特開平06-106061(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00-38/74
C07C 1/00-409/44
C07B 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機物の脱水素触媒のための担体組成物であって、
前記担体組成物は、アルミナ及び改質用金属酸化物を含み、
前記改質用金属酸化物は、チタン酸化物であるか、又はチタン酸化物とジルコニウム酸化物との組合せであり、
η<0.3であり、
θ≧5であり、
ここで、η=前記担体組成物中の前記改質用金属酸化物の結晶相の重量%含量/前記担体組成物中の前記改質用金属酸化物の化学組成物の重量%含量であり;
θ=前記担体組成物の表面における前記改質用金属酸化物の重量%含量/前記担体組成物中の前記改質用金属酸化物の化学組成物の重量%含量であり;
チタン酸化物はTiOとして算定され、ジルコニウム酸化物はZrOとして算定され、前記担体組成物の前記表面における前記改質用金属酸化物の重量%含量はXPS法で測定され、測定される表層の厚さは外表面から厚さ5nmの範囲内である、有機物の脱水素触媒のための担体組成物。
【請求項2】
η=0である、請求項1に記載の担体組成物。
【請求項3】
θが5~40である、請求項1~2のいずれか1つに記載の担体組成物。
【請求項4】
θが5.4~34.3である、請求項1~3のいずれか1つに記載の担体組成物。
【請求項5】
TiOの純粋相と比較して、前記担体組成物のXPSスペクトルにおいて、Tiの2P3/2軌道電子結合エネルギーの458.8eVにおけるピークが高結合エネルギー側へ0.6~0.7eVシフトし、及び/又は、Tiの2P1/2軌道電子結合エネルギーの464.5eVにおけるピークが高結合エネルギー側へ0.8~0.9eVシフトしている、
請求項1~4のいずれか1つに記載の担体組成物。
【請求項6】
前記担体組成物において、アルミナの質量分率が80~97.5%であり、前記改質用金属酸化物の質量分率が2.5~20%であり、
前記改質用金属酸化物はチタン酸化物を含み、前記担体組成物において、二酸化チタンの質量分率が2.5~20%であり、二酸化ジルコニウムの質量分率が0~8%であり、
前記担体組成物は、γ-アルミナ、η-アルミナ、ρ-アルミナ又はχ-アルミナのうち少なくとも1種類の相構造を有し、
前記担体組成物の比表面積が100~350m/gであり、前記担体組成物の細孔容積が0.3~1.3mL/gである、
請求項1~5のいずれか1つに記載の担体組成物。
【請求項7】
前記改質用金属酸化物がアルミナ基質上に単層として分散している、請求項1~6のいずれか1つに記載の担体組成物。
【請求項8】
前記改質用金属酸化物が二酸化チタンである、請求項7に記載の担体組成物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1つに記載の担体組成物の調製方法であって、
アルミナ基質を、ガスによって運ばれる改質用金属酸化物前駆体のガス流と接触させ、前記改質用金属酸化物前駆体としての酸化チタン前駆体又は酸化チタン前駆体と酸化ジルコニウム前駆体との組合せを担持しているアルミナ基質を得る工程(1)と、
前記改質用金属酸化物前駆体を担持しているアルミナ基質を加水分解し、焼成し、担体組成物を得る工程(2)と、を含み、
前記酸化チタン前駆体は、四塩化チタン、テトラエチルチタネート、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、酢酸チタン、及びこれらの混合物から選ばれ、前記酸化ジルコニウム前駆体は、四塩化ジルコニウム、ジルコニウムエトキシド、ジルコニウムメトキシド、ジルコニウムイソプロポキシド、テトラブチルジルコネート、及びこれらの混合物から選ばれ、
前記アルミナ基質は、γ-アルミナ、η-アルミナ、ρ-アルミナ、χ-アルミナ、水和アルミナ、及びこれらの混合物から選ばれ、
前記アルミナ基質の比表面積が100~350m/gであり、前記アルミナ基質の比表面積に対する、前記担体組成物の比表面積の比率が90%以上であり、
前記アルミナ基質の細孔容積が0.3~1.3mL/gであり、
前記ガスは無水不活性ガスであり、無水不活性ガス中の含水量は10ppm以下であり、
ガスによって運ばれる改質用金属酸化物前駆体の前記ガス流中の、金属酸化物として算定される前記改質用金属酸化物前駆体の含量は、0.1~3g/Lである、
請求項1~8のいずれか1つに記載の担体組成物の調製方法。
【請求項10】
工程(1)において、前記ガスの温度は15℃~350℃であり、
工程(1)において、接触における圧力は、ゲージ圧で0.05~5atmである、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
アルミナ基質の体積に対する、前記ガスの1分間当たりの体積流量の比率は、3~80:1であり、前記ガスの体積は標準状態下での体積として算定され、前記アルミナ基質の体積は嵩体積として算定される、
請求項9~10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
前記アルミナ基質が、ガスによって運ばれる改質用金属酸化物前駆体の前記ガス流と接触するとき、前記アルミナ基質は流動化条件下又は撹拌下にある、
請求項9~11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
工程(2)において、前記改質用金属酸化物前駆体を担持している前記アルミナ基質の加水分解は、前記改質用金属酸化物前駆体を担持している前記アルミナ基質を水蒸気含有ガスと接触させることにより、行われ、
工程(2)における前記加水分解は、水蒸気含有ガスが接触する前記アルミナ基質に対する、前記水蒸気含有ガスの比率が3~80:1であり、総ガス体積のうち、前記水蒸気含有ガスの水蒸気が占める割合が0.1体積%~100体積%であり、前記水蒸気含有ガスのうち、水蒸気以外の他のガスが不活性ガス、窒素ガス又は空気であり得、
工程(2)における前記加水分解は、加水分解時間が1時間~50時間である、
請求項9~12のいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
前記焼成は、焼成温度が350℃~700℃であり、焼成時間が0.5~12時間である、
請求項9~13のいずれか1つに記載の方法。
【請求項15】
有機物を脱水素して水素ガスを製造するための触媒であって、
前記触媒は、請求項1~8のいずれか1つに記載の担体組成物と、活性成分とを含み、
前記活性成分は、以下の(1)、(2)及び(3)のいずれか1つであり:
(1)貴金属群のうち少なくとも1種類の元素;
(2)Pt、及び、第1金属群のうち少なくとも1種類の元素;
(3)Ni、並びに、任意的に第2金属群のうち少なくとも1種類の元素、及び任意的にリン、
前記貴金属群は、Pt、Pd、Ru、Re、Rh、Ir及びOsから選ばれる元素からなる群であり、
前記第1金属群は、Sn、V、Mo、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Ce、W、Cu及びCaから選ばれる元素からなる群であり;
前記第2金属群は、Zn、Sn、Cu、Fe、Ag、In、Re、Mo、Co、Ca及びWから選ばれる元素からなる群であり;
前記触媒中、前記担体組成物の含量は70~99.9重量%であり、活性成分の含量は0.1~30重量%である、
有機物を脱水素して水素ガスを製造するための触媒。
【請求項16】
前記活性成分は、前記貴金属群のうち少なくとも1種類の元素であり、前記触媒中、前記担体組成物の含量は90~99.9重量%であり、活性成分の含量は0.1~10重量%であるか、又は、
前記活性成分は、Pt、及び、前記第1金属群のうち少なくとも1種類の元素であり、
前記触媒中、前記担体組成物の含量は75~99.4重量%であり、活性成分の含量は0.6~25重量%であり、
前記活性成分のうち、単体として算定されるPtの含量は0.1~10重量%であり、酸化物として算定される前記第1金属群のうち少なくとも1種類の元素の含量は0.5~20重量%であるか、又は、
前記活性成分は、Ni、並びに、任意的に前記第2金属群のうち少なくとも1種類の元素、及び任意的にリンであり、
前記触媒中、前記担体組成物の含量は70~95重量%であり、酸化物として算定される活性成分の含量は5~30重量%であり、
前記活性成分のうち、NiOとして算定されるニッケルの含量が0.5~25重量%であり、酸化物として算定される前記第2金属群のうち少なくとも1種類の元素の含量は0~15重量%であり、Pとして算定されるリンの含量は0~15重量%である、
請求項15に記載の触媒。
【請求項17】
前記活性成分は、Pt、及び、任意的に前記貴金属群のうちPt以外の少なくとも1種類の元素であり、Ptの含量は0.1~10重量%であり、前記貴金属群のうちPt以外の少なくとも1種類の元素の含量は0~9.9重量%であり、前記触媒中、前記担体組成物の含量は90~99.9重量%であり、活性成分の含量は0.1~10重量%であるか、又は、
前記活性成分は、Pt、及び、前記第1金属群のうち少なくとも1種類の元素であり、
前記触媒中、前記担体組成物の含量は75~99.4重量%であり、活性成分の含量は0.6~25重量%であり、
前記活性成分のうち、単体として算定されるPtの含量は0.1~10重量%であり、酸化物として算定される前記第1金属群のうち少なくとも1種類の元素の含量は0.5~20重量%であり、
第1金属群のうち少なくとも1種類の元素が、Ni、又は、Niと前記第1金属群のうちNi以外の少なくとも1種類の元素との組み合わせであり、単体として算定されるPtとNiOとして算定されるNiとの質量比が(0.01:16)~(0.5:0.1)である、
請求項15に記載の触媒。
【請求項18】
請求項9~14のいずれか1つに記載の方法における工程(1)及び(2)を含む、触媒の調製方法であって、
請求項15~17のいずれか1つに記載の活性成分の前駆体の溶液を、請求項1~8のいずれか1つに記載の担体組成物に含浸させ、前記活性成分の前記前駆体が含浸した担体を得る工程(3)と、
前記活性成分の前記前駆体が含浸した前記担体を乾燥及び焼成する工程(4)と、をさらに含み、
工程(4)における前記焼成は、焼成温度が400~700℃であり、焼成時間が0.5~12時間であり、
前記活性成分の前記前駆体は、前記活性成分の可溶性塩である、
請求項15~17のいずれか1つに記載の触媒の調製方法。
【請求項19】
前記活性成分の前記前駆体が含浸した前記担体を、-40℃未満の環境に1時間~24時間置いた後、前記担体上に吸着した水を真空乾燥により除去し、焼成し、前記触媒を得る、
請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、有機水素吸蔵原料を脱水素して水素ガスを生成するための触媒、当該触媒の担体、及びその調製方法に関する。本発明は、水素吸蔵性合金及びその調製方法にも関する。また、本発明は、高純度水素ガスの供給方法、高純度高圧水素ガスの高効率分散型製造方法、高純度高圧水素ガスの供給システム、可動型水素供給システム、及び分散型水素供給装置にも関する。
【0002】
〔背景技術〕
水素ガスは、再生可能なエネルギー源として、エネルギー効率が良いだけでなく、ほとんど無駄を生み出さない。水素ガスエネルギー源の開発は、エネルギー効率の向上、石油消費量の削減、環境汚染の改善、エネルギー安全保障のための重要な手段として期待されている。持続的、効率的な大規模水素製造技術の開発は、水素エネルギー時代における切実なニーズとなっている。
【0003】
水素ガスは、通常の条件では気体の状態で存在し、且つその可燃性、爆発性、拡散性がゆえに、実際の応用では、水素貯蔵・輸送上の安全性、効率化、漏出防止を優先的に考慮しなければならず、貯蔵・輸送に大きな困難をもたらす。したがって、水素エネルギーの利用には水素ガスの貯蔵及び輸送の課題を解決する必要がある。
【0004】
水素ガスは、製造現場から高圧ガス形態で直接的に水素補給ステーションに輸送されるため、輸送コストが高く、長距離の輸送にも交通安全上のリスクがある。水素ガスを高圧ガス形態で貯蔵する場合、水素貯蔵タンクのコスト及び用地面積の問題があり、危険性も高い。
【0005】
〔発明の概要〕
本発明が解決しようとする技術課題は、水素吸蔵有機化合物を脱水素して水素ガスを生成するための触媒、及び当該触媒の担体を提供することにある。本発明が解決しようとするもう1つの技術課題は、有機物含有水素ガスの精製方法において用いられる水素吸蔵性合金、及びその調製方法を提供することにある。本発明が解決しようとする更なる技術課題は、高純度水素ガスの供給方法、高純度高圧水素ガスの高効率分散型製造方法、高純度高圧水素ガスの供給システム、可動型水素供給システム及び分散型水素供給装置を提供することにある。
【0006】
そのために、本発明は、以下の技術的構成を提供する:
〔1〕液状有機水素吸蔵原料を脱水素触媒と接触させて反応させ、水素ガスを含有する脱水素反応生成物を得る工程(1)と、
脱水素反応生成物を冷却して液体生成物及び水素リッチな気体生成物を得、当該液体生成物を回収する工程(2)と、
水素リッチな気体を水素吸蔵性合金と接触させて水素含有合金を得、吸着されていない気体を回収する工程(3)と、
任意的に、水素含有合金の格納容器内の有機物を除去する工程(3a)と、
水素含有合金を加熱して水素ガスを放出させる工程(4)と、を含む、高純度水素ガスの供給方法。
【0007】
〔2〕工程(1)において、
液状有機水素吸蔵原料と脱水素触媒との接触反応における反応温度は150~450℃(例えば200~400℃、300~350℃)であり、
液状有機水素吸蔵原料と脱水素触媒との接触反応における時間当たりの重量空間速度は0.5~50h-1(例えば、1~45h-1、2~30h-1)であり、
液状有機水素吸蔵原料と脱水素触媒との接触反応における圧力は、0.03~5MPa(ゲージ圧)(例えば0.3~5MPa、0.1~3MPa、0.5~2MPa又は0.2~1.6MPa)であり、
任意的に、液状有機水素吸蔵原料と水素ガスとを混合したものを脱水素触媒と接触させる場合、水素対炭化水素比(液状有機水素吸蔵原料に対する水素ガスのモル比)は、0~10(例えば0~8)である、上述した技術的構成のいずれか1つに記載の高純度水素ガスの供給方法。
【0008】
〔3〕工程(2)において、
脱水素反応生成物を冷却する冷却温度は、液体生成物中の有機物の沸点よりも低く、好ましくは当該液体生成物のうち、常温常圧下で液体となる最も沸点の低い有機物の沸点よりも低い、上述した技術的構成のいずれか1つに記載の高純度水素ガスの供給方法。
【0009】
〔4〕工程(3)において、
水素リッチな気体は、水素リッチな気体生成物、又は、水素リッチな気体生成物に対する更なる分離により得られる水素ガス含有気体であり、更なる分離の方法は、温度スイング分離、膜分離、圧力スイング吸着分離、又はそれらの組み合わせを含み、
水素リッチな気体中の水素ガスの質量分率は≧80%(例えば80~99%、好ましくは≧85%、より好ましくは≧90%)である、上述した技術的構成のいずれか1つに記載の高純度水素ガスの供給方法。
【0010】
〔5〕工程(3)において、
水素リッチな気体と水素吸蔵性合金との接触は、1つ又は複数の水素吸蔵性合金の格納容器内で行われ、
水素吸蔵性合金の数は1つ又は複数であり得、複数の水素吸蔵性合金は混合形態で用いられ得、直列形態、並列形態、又は直列と並列との複合形態で用いられ得、
水素リッチな気体と水素吸蔵性合金との接触における圧力は、0.001~5MPa(例えば0.01~5MPa、0.03~4MPa、0.05~5MPa、0.08~2MPa、0.05~3MPa、0.1~1MPa)であり、水素吸蔵性合金の格納容器が複数存在し且つ直列に接続された水素吸蔵容器が存在する場合、水素リッチな気体の流れ方向における最下流の水素吸蔵性合金と接触する接触圧力(水素吸着圧力とも言う)は0.05~5MPa(例えば0.1~1MPa)であり、
水素リッチな気体と水素吸蔵性合金との接触における温度(水素吸着温度とも言う)は、-70~100℃(例えば、-50~90℃、-30~80℃)であり、
水素吸蔵性合金との接触時、水素リッチな気体の温度は、液状有機水素吸蔵原料の常圧下での沸点よりも低い、上述した技術的構成のいずれか1つに記載の高純度水素ガスの供給方法。
【0011】
〔6〕工程(3)において、
水素吸蔵性合金の格納容器の数は1つ又は複数であり、水素ガスとの接触順で最後に水素ガスと接触する水素吸蔵性合金の格納容器内の水素吸蔵性合金は高平衡圧を有する水素吸蔵性合金であり、高平衡圧を有する水素吸蔵性合金は、150~450℃の温度範囲内に、水素ガスの吸着における平衡圧が35MPa以上となる温度点が少なくとも1つ存在し、好ましくは、少なくとも1つの水素吸蔵性合金の格納容器内の水素吸蔵性合金が、高平衡圧を有する水素吸蔵性合金である、上述した技術的構成のいずれか1つに記載の高純度水素ガスの供給方法。
【0012】
〔7〕水素含有合金の格納容器内の有機物を除去するパージ法、例えば、水素ガスを用いたパージ法(当該パージ法としては、例えば、水素吸蔵性合金における吸着量が所定量となった後、水素吸蔵性合金への水素リッチな気体の供給を停止し、水素ガスを水素含有合金に通すことで水素含有合金及び水素含有合金の格納容器(水素吸蔵性合金の格納容器とも言う)内の有機ガスを追い出し、当該有機ガスを貯蔵タンクに導入して貯蔵するか、又は当該有機ガスを他の水素吸蔵性合金の格納容器内の水素吸蔵性合金に吸着させる。パージ用水素ガスの純度は好ましくは90重量%を超え、より好ましくは95重量%を超え、例えば99重量%を超える)により、工程(3a)を行う、上述した技術的構成のいずれか1つに記載の高純度水素ガスの供給方法。
【0013】
〔8〕工程(4)において、
水素吸蔵性合金から水素ガスを放出させる温度(即ち、水素吸蔵性合金が加熱される温度;水素放出温度と略称する)は150~450℃であり、放出される水素ガスの圧力は、高純度高圧水素ガスを得るために≧35MPa(例えば35~100MPa)であるか、又は放出される水素ガスの分圧は、高純度水素ガスを得るために0.1~5MPaであり、水素放出温度は水素吸着温度よりも高い、上述した技術的構成のいずれか1つに記載の高純度水素ガスの供給方法。
【0014】
〔9〕水素含有合金に水素ガスを放出させ、放出された水素ガスを他の水素吸蔵性合金と接触させて水素含有合金を形成させるプロセスをさらに含み、
当該プロセスは、1回又は複数回行われ、少なくとも最後の1回の当該プロセスにおいて用いられる水素吸蔵性合金が、高平衡圧を有する水素吸蔵性合金である、上述した技術的構成のいずれか1つに記載の高純度水素ガスの供給方法。
【0015】
〔10〕水素吸蔵性合金は、第1水素吸蔵性合金と第2水素吸蔵性合金との組み合わせであり、
第1水素吸蔵性合金は、水素リッチな気体との接触に用いるマグネシウム系AB型水素吸蔵性合金であり、
第2水素吸蔵性合金は、第1水素吸蔵水素ガスの加圧のために用いられ、高平衡圧を有する水素吸蔵性合金であり、第2水素吸蔵性合金は、希土類系AB型、ジルコニウムチタン系AB型、チタン系AB型の水素吸蔵性合金のうち1つ又は複数であり、
先ず、水素リッチな気体を第1水素吸蔵性合金に通すことで不純物を分離し、その後、第1水素吸蔵性合金から放出された高純度水素ガスを第2水素吸蔵性合金と接触させ、その後、高圧下で第2水素吸蔵性合金に水素ガスを放出させ、
第1水素吸蔵性合金の水素放出温度は、第2水素吸蔵性合金の水素吸着温度よりも高く、それらの温度差は、好ましくは≧100℃(例えば350℃≧温度差≧150℃)であり、
第1水素吸蔵性合金及び第2水素吸蔵性合金は、異なる水素吸蔵性合金の貯蔵タンク内に存在し、且つ第1水素吸蔵性合金の貯蔵タンクと第2水素吸蔵性合金の貯蔵タンクとの間に熱交換システムが存在し、
水素リッチな気体と第1水素吸蔵性合金との接触における水素吸着温度は20~150℃(例えば50~100℃)、水素分圧は0.001~0.1MPa(0.001~0.03MPa)であり、
第1水素吸蔵性合金から水素ガスが放出される温度(水素放出温度)は150~450℃(例えば200~350℃)、水素放出における水素ガス分圧は0.1~5MPa(例えば0.1~1MPa)であり、
第2水素吸蔵性合金が水素ガスを吸着する水素吸着温度は-70~100℃(例えば-30~100℃)、水素吸着における水素ガス分圧は0.1~5MPa(例えば0.1~1MPa)であり、
第2水素吸蔵性合金の水素放出温度は150~450℃(例えば200~350℃)、水素放出における水素ガス分圧は≧35MPa(例えば35~100MPa)である、上述した技術的構成のいずれか1つに記載の高純度水素ガスの供給方法。
【0016】
〔11〕液状有機水素吸蔵原料は、分子中に環を有し、ヘテロ原子を任意的に含み、当該ヘテロ原子が環状に存在し得る、有機化合物であり、
例えばシクロアルカン環含有の飽和又は不飽和炭化水素、例えばヘテロ環原子を含有せずシクロアルカン環を含有する飽和又は不飽和炭化水素、より具体的には芳香族環及びシクロアルカン環の環の数の合計が2以下でありヘテロ環原子を含有せずシクロアルカン環を含有する飽和又は不飽和炭化水素、例えばシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、及びビ(シクロヘキサン)、並びに、ヘテロ原子を含有するシクロアルカン環含有の飽和又は不飽和炭化水素、例えば窒素含有ヘテロ環化合物、及び窒素/ホウ素含有ヘテロ環化合物;窒素含有ヘテロ環化合物は、デカヒドロカルバゾール、ドデカヒドロエチルカルバゾール、インドリン、4-アミノピペリジン、ピペリジン-4-カルボキサミド、ペルヒドロ-4,7-フェナントロリン、2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン、及び2,6-ジメチルデカヒドロ-1,5-ナフチリジンのうち1つ又は複数を含み、窒素/ホウ素含有ヘテロ環化合物は、1,2-アザボリネート、及び3-メチル-1,2-アザボロリジンのうち1つ又は複数を含む、上述した技術的構成のいずれか1つに記載の高純度水素ガスの供給方法。
【0017】
〔12〕放出された水素ガスを水素ガス貯蔵タンクに導入して水素ガスを貯蔵する工程、又は、得られた高純度高圧水素ガスを水素燃料電池車両の補給に直接的に用い得る工程をさらに含む、上述した技術的構成のいずれか1つに記載の高純度水素ガスの供給方法。
【0018】
〔13〕脱水素反応器内で、脱水素触媒の存在下で液状有機水素吸蔵原料の脱水素反応を行い、水素ガスを含む脱水素反応生成物を得る工程と、
冷却分離装置内で、脱水素反応生成物を冷却して分離し、水素リッチなストリーム及び有機液体を得る工程と、
水素吸蔵性合金の格納容器内で、水素リッチなストリーム、又は精製後の水素リッチなストリームを水素吸蔵性合金と接触させ、水素含有合金を得る工程と、
水素ガスを用いたパージ法により、好ましくは90重量%を超える(例えば95重量%を超え、99重量%を超える)純度のパージ用水素ガスにて、水素吸蔵性合金の格納容器内の有機物を除去する工程と、
水素含有合金を加熱して水素ガスを放出させ、高圧水素ガスを得るとともに、得られた高圧水素ガスを水素消費装置又は貯蔵用の高圧水素ガス貯蔵タンクに供給する工程と、
を含む、高純度高圧水素ガスの高効率分散型製造方法。
【0019】
〔14〕高純度高圧水素ガスの供給システムであって、
液状有機水素吸蔵原料を貯蔵するとともに、脱水素反応器に液状有機水素吸蔵原料を供給する液状有機水素吸蔵原料貯蔵-供給装置と、
液状有機水素吸蔵原料の脱水素により得られた液体生成物を貯蔵する脱水素液体貯蔵装置と、
脱水素触媒の作用下で液状有機水素吸蔵原料の脱水素反応を行い、水素ガスを含む脱水素反応生成物を得る脱水素反応器装置と、
脱水素反応生成物を分離し、水素リッチな気体生成物及び液体生成物を得る冷却分離装置と、
水素吸蔵性合金の格納容器及び水素吸蔵性合金加熱システムを備え、水素リッチな気体を低温低圧下で水素吸蔵性合金と接触させて水素吸着を行い、飽和吸着後、加熱により脱水素を行う水素吸蔵-水素供給装置と、
任意的に、水素吸蔵容器内の有機物の除去のために用いるパージ装置と、
高圧水素ガスを水素消費装置又は水素ガス貯蔵タンクに供給する水素ガス供給装置と、を含み、
好ましくは、当該システムは、コンテナの内部と一体化してなるコンテナ型水素製造システムとして水素補給ステーションへ設置されるか、又は、水素補給ステーション内に直接に組み込まれて使用され、
好ましくは、水素吸蔵-水素供給装置は、1つ又は複数の水素吸蔵性合金の格納容器を含み、複数の水素吸蔵性合金の格納容器は、並列形態、直列形態、又は、並列と直列との複合形態で連結され得、
好ましくは、少なくとも1つの水素吸蔵性合金の格納容器が耐高圧容器であり、及び/又は、水素ガス供給装置が耐高圧装置、例えば許容圧力35MPa以上の装置である、高純度高圧水素ガスの供給システム。
【0020】
〔15〕輸送車両と、当該輸送車両上に設置された上述した技術的構成のいずれか1つに記載の高純度高圧水素ガスの供給システムとを含む、可動型水素供給システム。
【0021】
〔16〕上述した技術的構成のいずれか1つに記載の高純度高圧水素の供給システムを含み、且つ高圧水素ガス貯蔵タンクを任意的に含む、分散型水素供給装置。
【0022】
〔17〕水素吸蔵性合金、又は、上述した技術的構成のいずれか1つに記載の方法、システム若しくは装置であって、
水素吸蔵性合金は、希土類系AB型、ジルコニウムチタン系AB型、チタン系AB型、マグネシウム系AB型及びバナジウム系固溶体型の水素吸蔵性合金のうち1つ又は複数であり、
希土類系AB型水素吸蔵性合金を示す分子式は、MNix1Cox2Mnx3Fex4Alx5Snx6
(4.5≦x1+x2+x3+x4+x5+x6≦5.5;
はLay1Cey2Ndy3Pry4y5であり;y1+y2+y3+y4+y5=1;
0.4≦y1≦0.99(例えば0.4≦y1≦0.8)、0≦y2≦0.45(例えば0.1≦y2≦0.45)、0≦y3≦0.2(例えば0≦y3≦0.2)、0≦y4≦0.05(例えば0≦y4≦0.05)、0.01≦y5≦0.1(例えば0.01≦y5≦0.05)、3≦x1≦5.45(例えば、3≦x1≦4.9)、0≦x2≦1.5(例えば0.1≦x2≦1)、0≦x3≦0.8(例えば0.1≦x3≦0.6)、0≦x4≦0.8(例えば0.1≦x4≦0.6)、0≦x5≦0.75(例えば0.05≦x5≦0.5)、0≦x6≦0.2(例えば0≦x6≦0.15))であり、
ジルコニウムチタン系AB型水素吸蔵性合金を示す分子式は、AB
(A=Mgx1Cax2Tix3Zrx4x5Lax6;x1+x2+x3+x4+x5+x6=0.9~1.1;
B=Vy1Cry2Mny3Fey4Coy5Niy6Cuy7;y1+y2+y3+y4+y5+y6+y7=1.9~2.1;
0≦x1≦0.54(例えば0.01≦x1≦0.3、0.01≦x1≦0.1)、0≦x2≦0.54(例えば0≦x2≦0.25)、0.5≦x3≦1.04(例えば0.6≦x3≦1)、0.05≦x4≦0.58(例えば0.1≦x4≦0.58)、0.01≦x5≦0.2(例えば0.01≦x5≦0.05)、0≦x6≦0.2(例えば0≦x6≦0.05)、0.05≦y1≦1.95(例えば0.05≦y1≦1.8)、0≦y2≦1.9(例えば0≦y2≦1.85)、0.05≦y3≦1.95(例えば0.1≦y3≦1.95)、0≦y4≦1.6(例えば0≦y4≦1.5)、0≦y5≦0.5(例えば0≦y5≦0.3)、0.1≦y6≦0.5(例えば0.1≦y6≦0.3)、0≦y7≦0.5(例えば0.1≦y7≦0.2);
好ましくは、0.7≦x3:(x3+x4)≦0.95;
好ましくは、1.7≦y1+y2+y3+y4≦2)であり、
チタン系AB型水素吸蔵性合金を示す分子式は、AB
(A=Tix1Zrx2x3Lax4;x1+x2+x3+x4=0.85~1.1;
B=Vy1Cry2Mny3Fey4Coy5Niy6Cuy7;y1+y2+y3+y4+y5+y6+y7=0.95~1.05;
0≦x1≦1.09(例えば0.9≦x1≦1.05)、0≦x2≦1.09(例えば0≦x2≦0.5)、0.01≦x3≦0.2(例えば0.01≦x3≦0.05)、0≦x4≦0.2(例えば0≦x4≦0.05)、0.05≦y1≦0.5(例えば0.05≦y1≦0.2)、0≦y2≦0.8(例えば0≦y2≦0.2)、0≦y3≦0.8(例えば0.05≦y3≦0.4、又は0.1≦y3≦0.4)、0.2≦y4≦1(例えば0.5≦y4≦0.9)、0≦y5≦0.35(例えば0≦y5≦0.1)、0≦y6≦0.45(例えば0≦y6≦0.2)、0≦y7≦0.3(例えば0≦y7≦0.2);
x1及びx2は、同時に0を取らないことが好ましい)であり、
マグネシウム系AB型水素吸蔵性合金を示す分子式は、A
(A=Mgx1Cax2Tix3Lax4x5;x1+x2+x3+x4+x5=1.9~2.1;
B=Cry1Fey2Coy3Niy4Cuy5Moy6;y1+y2+y3+y4+y5+y6=0.9~1.1;
1.29≦x1≦2.09(例えば1.7≦x1≦2.05)、0≦x2≦0.5(例えば0≦x2≦0.2)、0≦x3≦0.8(例えば0≦x3≦0.5)、0≦x4≦0.5(例えば0≦x4≦0.2)、0.01≦x5≦0.2(例えば0.05≦x5≦0.1)、0≦y1≦0.3(例えば0≦y1≦0.2、0.05≦y1≦0.2)、0≦y2≦0.2(例えば0≦y2≦0.1)、0≦y3≦0.6(例えば0≦y3≦0.5)、0.2≦y4≦1.1(例えば0.7≦y4≦1.05)、0≦y5≦0.5(例えば0≦y5≦0.4)、0≦y6≦0.15(例えば0≦y6≦0.1))であり、
バナジウム系固溶体型水素吸蔵性合金を示す分子式は、Ax1x2
(x1+x2=1;
A=Tiy1y2Zry3Nby4y5Lay6Cay7;y1+y2+y3+y4+y5+y6+y7=1;
B=Mnz1Fez2Coz3Niz4;z1+z2+z3+z4=1;
0.7≦x1≦0.95(例えば0.8≦x1≦0.95、0.9≦x1≦0.95)、0.05≦x2≦0.3(例えば0.05≦x2≦0.2、0.05≦x2≦0.1)、0.40≦y1≦0.9(例えば0.45≦y1≦0.9、0.5≦y1≦0.8)、0≦y2≦0.5(例えば0≦y2≦0.4)、0≦y3≦0.5(例えば0≦y3≦0.4)、0≦y4≦0.55(例えば0≦y4≦0.4)、0≦y5≦0.2(例えば0.01≦y5≦0.2、0.05≦y5≦0.2)、0≦y6≦0.1(例えば0≦y6≦0.05)、0≦y7≦0.1(例えば0≦y7≦0.05)、0≦z1≦1(例えば0.1≦z1≦1、0.2≦z1≦0.95)、0≦z2≦0.95(例えば0≦z2≦0.9)、0≦z3≦0.3(例えば0≦z3≦0.2)、0≦z4≦0.45(例えば0.05≦z4≦0.45、0.05≦z4≦0.3)、0.55≦z1+z2≦1(例えば0.7≦z1+z2≦1))である、水素吸蔵性合金、又は、方法、システムもしくは装置。
【0023】
〔18〕水素吸蔵性合金は、La0.61Ce0.16Pr0.04Nd0.19 Ni3.55Co0.75Mn0.4Al0.3、(Ti0.80.20.95(Fe0.05、(Ti0.80.20.95(Mn0.95Ni0.050.05、(Ti0.40.40.20.9(Fe0.05Mn0.950.1、(Ti0.40.40.20.9(Fe0.05Mn0.9Ni0.050.1、(Ti0.7Nb0.10.20.9(Mn0.1、(Ti0.7Nb0.10.20.9(Mn0.7Ni0.30.1、(Ti0.4Zr0.40.20.93(Fe0.2Mn0.7Co0.10.07、(Ti0.4Zr0.40.20.93(Fe0.2Mn0.7Ni0.10.07、(Ti0.40.4Zr0.20.95(Fe0.6Mn0.2Co0.1Ni0.10.05、(Ti0.40.35Zr0.20.050.95(Fe0.6Mn0.2Co0.1Ni0.10.05、(Ti0.880.1Ca0.020.95(Fe0.3Mn0.6Co0.10.05、(Ti0.880.1Ca0.020.95(Fe0.3Mn0.6Ni0.10.05、(Ti0.7Nb0.10.20.8(Mn0.7Ni0.30.2、Ti0.64Zr0.450.01VMn0.9Ni0.1、Mg0.01Ti0.93Zr0.150.01VMn0.9Ni0.1、Ti0.55Zr0.480.05La0.020.33Cr0.05Mn1.5Fe0.09Ni0.1、Ti0.85Zr0.180.05La0.020.23Cr0.05Mn1.5Fe0.09Ni0.1Cu0.1、Ti0.6Zr0.40.050.1Mn1.8Ni0.2、Mg0.1Ti0.7Zr0.20.050.1Mn1.6Ni0.2Cu0.2、Ca0.01Ti0.9Zr0.050.051.2Mn0.6Ni0.3、Ca0.01Ti0.85Zr0.050.051.2Mn0.6Ni0.1Cu0.2、TiZr0.050.050.1Cr1.4Mn0.2Co0.1Ni0.3、Mg0.1Ti0.8Zr0.150.050.1Cr1.4Mn0.2Co0.1Ni0.1Cu0.2、Ti0.5Zr0.550.051.79Mn0.1Fe0.01Ni0.2、Ti0.8Zr0.250.051.79Mn0.1Fe0.01Ni0.1Cu0.1、Mg0.01Ti0.63Zr0.450.01VMn0.9Ni0.1、Mg1.80.1Ni、Mg1.80.1Cr0.05Ni、Mg1.5Ti0.50.05Ni1.1、Mg1.5Ti0.50.05Cr0.1Ni、Mg0.1Ni0.6Cu0.4、Mg0.1Cr0.05Ni0.6Cu0.4、Mg1.920.08Ni0.95Fe0.05、Mg1.920.08Cr0.2Ni0.75Fe0.05、Mg1.90.1Fe0.1Ni0.8Cu0.1、Mg1.90.1Cr0.1Fe0.1Ni0.7Cu0.1、Mg1.90.1Ni0.8Co0.2、Mg1.90.1Cr0.1Ni0.8Co0.2、Mg1.80.1La0.1Ni0.9Co0.1、Mg1.80.1La0.1Cr0.05Ni0.9Co0.1、Mg1.7Ti0.20.1Ni0.7Co0.32、Mg1.7Ti0.20.1Cr0.05Ni0.7Co0.3、TiY0.010.1Fe0.7Ni0.2、TiY0.010.1Fe0.7Mn0.1Ni0.1、TiY0.020.2Fe0.8、TiY0.020.2Fe0.7Mn0.1、Ti0.970.030.05Cr0.03Fe0.9、Ti0.970.030.05Cr0.03Fe0.5Mn0.4、Ti0.90.040.15Fe0.9、Ti0.90.040.05Fe0.9Mn0.1、Ti0.91Zr0.050.040.1Cr0.2Fe0.7、Ti0.91Zr0.050.040.1Cr0.2Fe0.6Mn0.1、Ti0.950.050.26Fe0.7Cu0.05、Ti0.950.050.05Fe0.7Mn0.21Cu0.05、Ti1.020.030.05Fe0.9Ni0.1、Ti1.020.030.05Fe0.8Mn0.1Ni0.1、La0.5Ce0.32Nd0.15Pr0.020.01Ni4.4Fe0.55Al0.05、La0.5Ce0.32Nd0.15Pr0.020.01Ni4.4Fe0.6、La0.8Ce0.150.05NiMn0.5Al0.5、La0.8Ce0.150.05Ni4.5Mn0.5、La0.45Ce0.4Nd0.1Pr0.030.02NiCo0.8Al0.2、La0.45Ce0.4Nd0.1Pr0.030.02Ni4.2Co0.8、La0.75Ce0.15Nd0.05Pr0.020.03Ni4.7Al0.1Fe0.2、La0.75Ce0.15Nd0.05Pr0.020.03Ni4.8Fe0.2、La0.8Ce0.15Nd0.030.02Ni4.5Co0.3Mn0.1Al0.1、La0.8Ce0.15Nd0.030.02Ni4.5Co0.4Mn0.1、La0.970.03NiCoから選ばれる、上述した技術的構成のいずれか1つに記載の水素吸蔵性合金、方法、システム又は装置。
【0024】
〔19〕水素吸蔵性合金は、(Ti0.80.20.95(Mn0.95Ni0.050.05、(Ti0.40.40.20.9(Fe0.05Mn0.9Ni0.050.1、(Ti0.7Nb0.10.20.9(Mn0.7Ni0.30.1、(Ti0.4Zr0.40.20.93(Fe0.2Mn0.7Ni0.10.07、(Ti0.40.35Zr0.20.050.95(Fe0.6Mn0.2Co0.1Ni0.10.05、(Ti0.880.1Ca0.020.95(Fe0.3Mn0.6Ni0.10.05、Mg0.01Ti0.93Zr0.150.01VMn0.9Ni0.1、Ti0.85Zr0.180.05La0.020.23Cr0.05Mn1.5Fe0.09Ni0.1Cu0.1、Mg0.1Ti0.7Zr0.20.050.1Mn1.6Ni0.2Cu0.2、Ca0.01Ti0.85Zr0.050.051.2Mn0.6Ni0.1Cu0.2、Mg0.1Ti0.8Zr0.150.050.1Cr1.4Mn0.2Co0.1Ni0.1Cu0.2、Ti0.8Zr0.250.051.79Mn0.1Fe0.01Ni0.1Cu0.1、Mg1.80.1Cr0.05Ni、Mg1.5Ti0.50.05Cr0.1Ni、Mg0.1Cr0.05Ni0.6Cu0.4、Mg1.920.08Cr0.2Ni0.75Fe0.05、Mg1.90.1Cr0.1Fe0.1Ni0.7Cu0.1、Mg1.90.1Cr0.1Ni0.8Co0.2、Mg1.80.1La0.1Cr0.05Ni0.9Co0.1、Mg1.7Ti0.20.1Cr0.05Ni0.7Co0.3、TiY0.010.1Fe0.7Mn0.1Ni0.1、TiY0.020.2Fe0.7Mn0.1、Ti0.970.030.05Cr0.03Fe0.5Mn0.4、Ti0.90.040.05Fe0.9Mn0.1、Ti0.91Zr0.050.040.1Cr0.2Fe0.6Mn0.1、Ti0.950.050.05Fe0.7Mn0.21Cu0.05、Ti1.020.030.05Fe0.8Mn0.1Ni0.1、La0.5Ce0.32Nd0.15Pr0.020.01Ni4.4Fe0.55Al0.05、La0.8Ce0.150.05NiMn0.5Al0.5、La0.45Ce0.4Nd0.1Pr0.030.02NiCo0.8Al0.2、La0.75Ce0.15Nd0.05Pr0.020.03Ni4.7Al0.1Fe0.2、La0.8Ce0.15Nd0.030.02Ni4.5Co0.3Mn0.1Al0.1から選ばれる、上述した技術的構成のいずれか1つに記載の水素吸蔵性合金、方法、システム又は装置。
【0025】
〔20〕水素吸蔵性合金は、以下の方法によって調製され、
当該方法は、以下の工程、
水素吸蔵性合金の組成となるように水素吸蔵性合金の原料それぞれを秤量して、原料を混合する工程(1)と、
工程(1)で得られた混合物を溶融した後、アニールする工程(2)と、を含み、
溶融は、電気炉溶融又は誘導加熱溶融であり、
好ましくは、溶融の条件は、真空又は不活性雰囲気下、1200~3000℃、好ましくは1800~2200℃の温度を含み、
より好ましくは真空下、1×10-5~1×10-3Pa(絶対圧)、好ましくは0.5×10-4~5×10-4Pa(絶対圧)の圧力で溶融し、
より好ましくは不活性雰囲気下、0.5~1バール(例えば0.6~1バール、0.7~1バール)(ゲージ圧)の圧力で溶融し、
アニールの条件は、真空又は不活性雰囲気(例えばアルゴン雰囲気)下、500~900℃(例えば700~1000℃)の温度、12~360hの時間を含み、
任意的に、当該方法は、工程(2)のアニールによって得られた材料を冷却した後、破砕処理を行い、10~400メッシュ(例えば20~400メッシュ)の生成物を得る工程をさらに含み、
任意的に、当該方法は、工程(2)のアニールによって得られた材料を活性化処理に供する工程をさらに含み、好ましくは活性化処理の条件は、真空下、50~300℃の温度、1~10hの時間を含む、上述した技術的構成のいずれか1つに記載の水素吸蔵性合金、方法、システム又は装置。
【0026】
〔21〕有機物の脱水素触媒のための担体組成物であって、
当該担体組成物は、アルミナ及び改質用金属酸化物を含み、
改質用金属酸化物は、チタン酸化物及び/又はジルコニウム酸化物であり、
η<0.3、好ましくはη=0、
θ≧5、好ましくはθが5~40(例えば5.4~34.3)である
(η=担体組成物中の改質用金属酸化物の結晶相の重量%含量/担体組成物中の改質用金属酸化物の化学組成物の重量%含量;
θ=担体組成物の表面における改質用金属酸化物の重量%含量/担体組成物中の改質用金属酸化物の化学組成物の重量%含量;
チタン酸化物はTiOとして算定され、ジルコニウム酸化物はZrOとして算定される)、有機物の脱水素触媒のための担体組成物。
【0027】
〔22〕担体組成物において、アルミナの質量分率が80~98.5%(例えば83~97.5%、85~95%又は90~95%)であり、改質用金属酸化物の質量分率が1.5~20%(例えば2.5~17%、5~15%、又は5~10%)である、上述した技術的構成のいずれか1つに記載の有機物の脱水素触媒のための担体組成物。
【0028】
〔23〕改質用金属酸化物はチタン酸化物を含み、担体組成物において、二酸化チタンの質量分率が2~20%(例えば2.5~17%、5~15%又は5~10%)であり、二酸化ジルコニウムの質量分率が0~8%(例えば0~6%、0~3%又は1~6%)であり、好ましくは改質用金属酸化物(例えば二酸化チタン)がアルミナ基質上に単層として分散している、上述した技術的構成のいずれか1つに記載の有機物の脱水素触媒のための担体組成物。
【0029】
〔24〕TiOの純粋相と比較して、担体組成物のXPSスペクトルにおいて、Tiの2P3/2軌道電子結合エネルギーの458.8eVにおけるピークが高結合エネルギー側へ0.6~0.7eVシフトし、及び/又は、Tiの2P1/2軌道電子結合エネルギーの464.5eVにおけるピークが高結合エネルギー側へ0.8~0.9eVシフトしている、上述した技術的構成のいずれか1つに記載の有機物の脱水素触媒のための担体組成物。
【0030】
〔25〕担体組成物は、γ-アルミナ、η-アルミナ、ρ-アルミナ又はχ-アルミナのうち少なくとも1種類の相構造を有する、上述した技術的構成のいずれか1つに記載の有機物の脱水素触媒のための担体組成物。
【0031】
〔26〕担体組成物の比表面積が100~350m/gであり、担体組成物の細孔容積が0.3~1.3mL/gである、上述した技術的構成のいずれか1つに記載の有機物の脱水素触媒のための担体組成物。
【0032】
〔27〕上述した技術的構成のいずれか1つに記載の有機物の脱水素触媒のための担体組成物の調製方法であって、
アルミナ基質を、ガスによって運ばれる改質用金属酸化物前駆体のガス流と接触させ、改質用金属酸化物前駆体としての酸化チタン前駆体及び/又は酸化ジルコニウム前駆体を担持しているアルミナ基質を得る工程(1)と、
改質用金属酸化物前駆体を担持しているアルミナ基質を加水分解し、焼成し、担体組成物を得る工程(2)と、を含む、担体組成物の調製方法。
【0033】
〔28〕酸化チタン前駆体は、四塩化チタン、(テトラ)エチルチタネート、テトラブチルチタネート、(テトラ)イソプロピルチタネート、酢酸チタン、及びこれらの混合物から選ばれ(好ましくは四塩化チタン)、酸化ジルコニウム前駆体は、四塩化ジルコニウム、ジルコニウムエトキシド、ジルコニウムメトキシド、ジルコニウムイソプロポキシド、テトラブチルジルコネート、及びこれらの混合物から選ばれる(好ましくは四塩化ジルコニウム及び/又はジルコニウムメトキシド)、上述した技術的構成のいずれか1つに記載の担体組成物の調製方法。
【0034】
〔29〕アルミナ基質は、γ-アルミナ、η-アルミナ、ρ-アルミナ、χ-アルミナ、水和アルミナ、及びこれらの混合物から選ばれる、上述した技術的構成のいずれか1つに記載の担体組成物の調製方法。
【0035】
〔30〕アルミナ基質の比表面積が100~350m/gであり、好ましくは、アルミナ基質の比表面積に対する、担体組成物の比表面積の比率が90%以上である、上述した技術的構成のいずれか1つに記載の担体組成物の調製方法。
【0036】
〔31〕アルミナ基質の細孔容積が0.3~1.3mL/gである、上述した技術的構成のいずれか1つに記載の担体組成物の調製方法。
【0037】
〔32〕ガスは無水不活性ガス(例えば窒素ガス、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス)であり、無水不活性ガス中の含水量は10ppm以下であり、
好ましくは、ガスによって運ばれる改質用金属酸化物前駆体のガス流中の、改質用金属酸化物前駆体(金属酸化物として算定される)の含量は、0.1~3g/L(例えば0.2~2g/L)である、上述した技術的構成のいずれか1つに記載の担体組成物の調製方法。
【0038】
〔33〕工程(1)において、ガスの温度は室温~350℃(例えば室温(室温とは15~40℃を指す)~300℃、又は15~300℃)である、上述した技術的構成のいずれか1つに記載の担体組成物の調製方法。
【0039】
〔34〕工程(1)において、接触における圧力は0.05~5atm(例えば1~3atm)(ゲージ圧)である、上述した技術的構成のいずれか1つに記載の担体組成物の調製方法。
【0040】
〔35〕アルミナ基質の体積に対する、ガスの1分間当たりの体積流量の比率は、3~80:1(例えば5~30:1、10~25:1)であり、ガスの体積は標準状態下での体積として算定され、アルミナ基質の体積は嵩体積として算定される、上述した技術的構成のいずれか1つに記載の担体組成物の調製方法。
【0041】
〔36〕アルミナ基質が、ガスによって運ばれる改質用金属酸化物前駆体のガス流と接触するとき、アルミナ基質は流動化条件下又は撹拌下にあり、流動化条件下は、例えばバブリング床、乱流床、高速床又は運搬床であり得る、上述した技術的構成のいずれか1つに記載の担体組成物の調製方法。
【0042】
〔37〕工程(2)において、改質用金属酸化物前駆体を担持しているアルミナ基質の加水分解は、改質用金属酸化物前駆体を担持しているアルミナ基質を水蒸気含有ガスと接触させることにより行われる、上述した技術的構成のいずれか1つに記載の担体組成物の調製方法。
【0043】
〔38〕工程(2)における加水分解は、水蒸気含有ガスが接触するアルミナ基質に対する、当該水蒸気含有ガスの比率(標準状態下で、アルミナ基質の嵩体積に対する水蒸気含有ガスの体積の比率)が3~80:1(例えば5~30:1、又は10~25:1)であり、総ガス体積のうち、水蒸気含有ガスの水蒸気が占める割合が0.1体積%~100体積%(例えば3体積%~100体積%)であり、水蒸気含有ガスのうち、水蒸気以外の他のガスが不活性ガス、窒素ガス又は空気であり得る、上述した技術的構成のいずれか1つに記載の担体組成物の調製方法。
【0044】
〔39〕工程(2)における加水分解は、加水分解時間が1時間~50時間、例えば2時間~30時間である、上述した技術的構成のいずれか1つに記載の担体組成物の調製方法。
【0045】
〔40〕焼成は、焼成温度が350℃~700℃であり、焼成時間が0.5~12時間(焼成の雰囲気は、酸素ガスを含有しないか、又は酸素ガスを含有する雰囲気であり得、一実施形態において、酸素ガスを含有する雰囲気中の酸素ガスの含量は3~100体積%であってよく、例えば空気雰囲気又は酸素ガス雰囲気である)である、上述した技術的構成のいずれか1つに記載の担体組成物の調製方法。
【0046】
〔41〕有機物を脱水素して水素ガスを製造するための触媒、又は、上述した技術的構成のいずれか1つに記載の水素吸蔵性合金、方法、システム若しくは装置であって、触媒は、上述した技術的構成のいずれか1つに記載の有機物の脱水素触媒のための担体組成物と、活性成分とを含む、触媒、又は、水素吸蔵性合金、方法、システム若しくは装置。
【0047】
〔42〕上述した技術的構成のいずれか1つに記載の有機物を脱水素して水素ガスを製造するための触媒、又は、上述した技術的構成のいずれか1つに記載の水素吸蔵性合金、方法、システム若しくは装置であって、
活性成分は、以下の(1)、(2)及び(3)のいずれか1つであり:
(1)貴金属群のうち少なくとも1種類の元素、好ましくはPt、及び、任意的に貴金属群のうちPt以外の少なくとも1種類の元素;
(2)Pt、及び第1金属群のうち少なくとも1種類の元素;
(3)Ni、第2金属群のうち少なくとも1種類の元素、及び任意的にリン、
貴金属群は、Pt、Pd、Ru、Re、Rh、Ir及びOsから選択される元素からなる群であり、
第1金属群は、Sn、V、Mo、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Ce、W、Cu及びCaから選択される元素からなる群であり;
第2金属群は、Zn、Sn、Cu、Fe、Ag、In、Re、Mo、Co、Ca及びWから選択される元素からなる群であり;
触媒中、担体の含量は70~99.9重量%であり、活性成分の含量は0.1~30重量%である、触媒、又は、水素吸蔵性合金、方法、システム若しくは装置。
【0048】
〔43〕上述した技術的構成のいずれか1つに記載の有機物を脱水素して水素ガスを製造するための触媒、又は、上述した技術的構成のいずれか1つに記載の水素吸蔵性合金、方法、システム若しくは装置であって、
活性成分は、(1)貴金属群のうち少なくとも1種類の元素であり、触媒中、担体の含量は90~99.9重量%(例えば92~99.4重量%、92~99.5重量%、95~99.4重量%、98~99.2重量%、98.5~99.5重量%)であり、活性成分の含量は0.1~10重量%(例えば0.6~8重量%、0.5~8重量%、0.6~5重量%、0.8~2重量%又は0.5~1.5重量%)であり、
好ましくは、活性成分はPt、及び、任意的に貴金属群のうちPt以外の少なくとも1種類の元素であり、Ptの含量は0.1~10重量%(例えば0.1~2重量%、0.6~10重量%又は0.6~0.8重量%)であり、貴金属群のうちPt以外の少なくとも1種類の元素の含量は0~9.9重量%(例えば0.1~2重量%又は0.1~0.8重量%)である、触媒、又は、水素吸蔵性合金、方法、システム若しくは装置。
【0049】
〔44〕上述した技術的構成のいずれか1つに記載の有機物を脱水素して水素ガスを製造するための触媒、又は、上述した技術的構成のいずれか1つに記載の水素吸蔵性合金、方法、システム若しくは装置であって、
活性成分は、(2)Pt、及び第1金属群のうち少なくとも1種類の元素であり、
触媒中、担体の含量は75~99.5重量%(例えば75~99.4重量%、79.9~98.5重量%)であり、活性成分の含量は0.5~25重量%(例えば0.6~25重量%、1.5~20.1重量%)であり、
活性成分のうち、Pt(単体として算定される)の含量は0.01~10重量%(例えば0.2~8重量%、0.4~2重量%、0.3~0.6重量%、0.1~0.7重量%)であり、第1金属群のうち少なくとも1種類の元素(酸化物として算定される)の含量は0.5~20重量%(例えば0.5~15重量%又は1~10重量%)であり、
好ましくは、第1金属群のうち少なくとも1種類の元素が、Ni、又は、Niと第1金属群のうちNi以外の少なくとも1種類の元素との組み合わせであり、Pt(単体として算定される)とNi(NiOとして算定される)との質量比が(0.01:16)~(0.5:0.1)である、
触媒、又は、水素吸蔵性合金、方法、システム若しくは装置。
【0050】
〔45〕上述した技術的構成のいずれか1つに記載の有機物を脱水素して水素ガスを製造するための触媒、又は、上述した技術的構成のいずれか1つに記載の水素吸蔵性合金、方法、システム若しくは装置であって、
活性成分は、(3)Ni、第2金属群のうち少なくとも1種類の元素、及び任意的にリンであり、
触媒中、担体の含量は70~95重量%(例えば、75~93重量%、又は75~90重量%)であり、活性成分(酸化物として算定される)の含量は5~30重量%(例えば、7~25重量%)であり、
活性成分のうち、ニッケル(NiOとして算定される)の含量が0.5~25重量%(例えば、5~25重量%、6~20重量%、又は6~11重量%)であり、第2金属群のうち少なくとも1種類の元素(酸化物として算定される)の含量は0~15重量%(例えば0~10重量%)であり、リン(Pとして算定される)の含量は0~15重量%である、触媒、又は、水素吸蔵性合金、方法、システム若しくは装置。
【0051】
〔46〕上述した技術的構成のいずれか1つに記載の担体組成物の調製方法における工程(1)及び(2)、
アルミナ基質を、ガスによって運ばれる改質用金属酸化物前駆体のガス流と接触させ、改質用金属酸化物前駆体としての酸化チタン前駆体及び/又は酸化ジルコニウム前駆体を担持しているアルミナ基質を得る工程(1)と、
改質用金属酸化物前駆体を担持しているアルミナ基質を加水分解し、焼成し、担体組成物を得る工程(2)と、を含む、触媒の調製方法であって、
活性成分前駆体の溶液を担体組成物に含浸させ、活性成分前駆体が含浸した担体を得る工程(3)と、
活性成分前駆体が含浸した担体を乾燥及び焼成する工程(4)と、をさらに含み、
好ましくは、活性成分は、以下の(1)、(2)及び(3)のいずれか1つであり:
(1)貴金属群のうち少なくとも1種類の元素、好ましくはPt、及び、任意的に貴金属群のうちPt以外の少なくとも1種類の元素;
(2)Pt、及び第1金属群のうち少なくとも1種類の元素;
(3)Ni、第2金属群のうち少なくとも1種類の元素、及び任意的にリン、
貴金属群は、Pt、Pd、Ru、Re、Rh、Ir及びOsから選択される元素からなる群であり、
第1金属群は、Sn、V、Mo、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Ce、W、Cu及びCaから選択される元素からなる群であり、
第2金属群は、Zn、Sn、Cu、Fe、Ag、In、Re、Mo、Co、Ca及びWから選択される元素からなる群である、触媒の調製方法。
【0052】
〔47〕工程(4)における焼成は、焼成温度が400~700℃であり、焼成時間が0.5~12時間である、上述した技術的構成のいずれか1つに記載の触媒の調製方法。
【0053】
〔48〕活性成分前駆体は、活性成分の可溶性塩(例えば、金属硝酸塩、金属酢酸塩、金属塩化物、金属炭酸塩、金属酢酸塩錯体、金属水酸化物、金属シュウ酸塩錯体、高原子価金属酸、高原子価金属酸塩、金属錯体及びアンモニウム塩のうち1つ又は複数)である、上述した技術的構成のいずれか1つに記載の触媒の調製方法。
【0054】
〔49〕活性成分前駆体が含浸した担体を、-40℃未満の環境に1時間~24時間置いた後、担体上に吸着した水を真空乾燥により除去し、焼成し、触媒を得る、上述した技術的構成のいずれか1つに記載の触媒の調製方法。
【0055】
〔図面の簡単な説明〕
図1は、アルミナとチタン酸化物とを含む担体組成物のX線回析(XRD)スペクトルである。図中、「1」は本発明によって提供される担体組成物(チタン酸化物を担持したアルミナ)のXRDスペクトルを示し、「2」は含浸法により調製された、アルミナがTi酸化物を担持してなる担体組成物のXRDスペクトルを示し、「3」はアルミナと二酸化チタンとを機械的に混合した混合物のXRDスペクトルを示す。XRD曲線において、2θ=25.37°、48.12°、53.97°、55.1°におけるピークは、TiO(アナターゼ)の回折ピークである。
【0056】
図2は、X線光電子分光法(XPS)スペクトルである。図中、1は純粋なTiOのXPSスペクトルを示し、他の曲線は本発明の方法により調製された、TiO含量が異なる担体組成物(チタン酸化物を担持したアルミナ)のXPSスペクトルを示す。M-2、M-4、M-7及びM-8はそれぞれ実施例2、4、7及び8の担体を示す。図2では、本発明によって提供される担体組成物は、Tiの2P3/2軌道電子結合エネルギー(結合エネルギーと略称する)の458.8eVにおけるピークが高結合エネルギー側へ0.6~0.7eVシフトし、Tiの2P1/2軌道電子結合エネルギーの464.5eVにおけるピークが高結合エネルギー側へ0.8~0.9eVシフトしており、Tiとアルミナ担体との間に相互作用が存在することが示されている。
【0057】
図3は、本発明によって提供される高純度高圧水素ガスを提供する模式図である。図中、1は有機液体貯蔵タンクを示し、2は原料ポンプを示し、3は熱交換器を示し、4は脱水素反応器を示し、5は熱交換器を示し、6は水素貯蔵タンクを示し、7は一方向バルブを示し、8はエネルギー伝送システムを示し、9はパージシステムを示し、10は水素貯蔵制御システムを示す。
【0058】
〔発明の詳細な説明〕
本発明で言う圧力とは、特段に説明しない限り、ゲージ圧を指す。
【0059】
本発明の一態様において、本発明は、有機物の脱水素触媒のための担体組成物であって、当該担体組成物は、アルミナ及び改質用金属酸化物を含み、改質用金属酸化物は、チタン酸化物及び/又はジルコニウム酸化物であり、η<0.3、好ましくはη=0;θ≧5、好ましくはθが5~40(例えば5.4~34.3)である(η=担体組成物中の改質用金属酸化物の結晶相の重量%含量/担体組成物中の改質用金属酸化物の化学組成物の重量%含量;θ=担体組成物の表面における改質用金属酸化物の重量%含量/担体組成物中の改質用金属酸化物の化学組成物の重量%含量;チタン酸化物はTiOとして算定され、ジルコニウム酸化物はZrOとして算定される)、有機物の脱水素触媒のための担体組成物を提供する。
【0060】
好ましくは、アルミナ及び改質用金属酸化物の一部又は全てが、担体組成物を形成する。一実施形態において、改質用金属酸化物が担体の表面に担持されている。
【0061】
本発明の担体組成物によれば、担体組成物において、アルミナの質量分率は80~98.5%(例えば83~97.5%、85~95%又は90~95%)であり、改質用金属酸化物の質量分率は1.5~20%(例えば2.5~17%、5~15%、又は5~10%)である。
【0062】
本発明の担体組成物によれば、改質用金属酸化物はチタン酸化物を含み、担体組成物において、二酸化チタンの質量分率は2~20%(例えば2.5~17%、5~15%又は5~10%)であり、二酸化ジルコニウムの質量分率は0~8%(例えば0~6%、0~3%又は1~6%)であり、好ましくは、改質用金属酸化物(例えば二酸化チタン)はアルミナ基質上に単層として分散している。
【0063】
本発明の一実施形態によれば、XPSで測定する場合、担体の表面から厚さ0~5nmの表層において、改質用金属酸化物の含量として原子番号%が90を超え、好ましくは95を超える場合、当該改質用金属酸化物がアルミナ基質上に単層として分散していると言う。
【0064】
本発明の担体組成物によれば、TiOの純粋相と比較して、担体組成物のXPSスペクトルにおいて、Tiの2P3/2軌道電子結合エネルギーの458.8eVにおけるピークが高結合エネルギー側へ0.6~0.7eVシフトし、及び/又は、Tiの2P1/2軌道電子結合エネルギーの464.5eVにおけるピークが高結合エネルギー側へ0.8~0.9eVシフトしている。
【0065】
本発明の担体組成物によれば、担体組成物は、γ-アルミナ、η-アルミナ、ρ-アルミナ又はχ-アルミナのうち少なくとも1種類の相構造を有する。
【0066】
本発明の担体組成物によれば、担体組成物の比表面積は100~350m/g(例えば110~340m/g又は130~250m/g又は140~200m/g)であり、担体組成物の細孔容積は0.3~1.3mL/g(例えば0.32~1.0mL/g又は0.35~0.6mL/g又は0.35~0.8mL/g)である。アルミナ基質の比表面積に対する、担体組成物の比表面積の比率は、90%以上であり、即ち、純粋アルミナ(改質元素の導入による改質を施していないアルミナ)の比表面積と比較して、担体組成物の比表面積の減少割合は、≦10%である。
【0067】
本発明によって提供される担体組成物は、有機物を脱水素して水素ガスを生成するための触媒の調製に用いてもよく、アルカン類有機物の酸化脱水素によりオレフィン又は酸素含有有機物を生成するための触媒に用いてもよい。一般的に、触媒は、本発明によって提供される担体組成物、及び当該担体組成物上に担持された活性金属成分を含み、活性金属成分は、活性金属の酸化物及び/又は活性金属の単体である。活性金属は、例えばVIIIB族金属、VIIB族金属、VB族金属、VIB族金属、IB族金属、希土類元素、アルカリ土類金属、IVA族金属のうち1つ又は複数である。これにより、従来の担体及び同様の活性金属を用いて調製した触媒に比べ、より高い脱水素活性及び/又はより高い選択性を有することができる。
【0068】
本発明によって提供される担体組成物は、η値が比較的低く、θ値が比較的高いため、脱水素触媒用担体、特に、シクロアルカン環を含有する液状有機水素吸蔵化合物を脱水素して水素ガスを生成するための触媒に用いることができ、触媒の脱水素活性及び/又は選択性を向上させることができる。
【0069】
本発明で提供される、担体組成物の調製方法は、本発明で提供される担体組成物を得ることができ、得られる担体組成物はη値が比較的低く、θ値が比較的高く、調製方法の実施は容易である。
【0070】
本発明で提供される担体組成物を用いて調製される、液状有機水素吸蔵化合物の脱水素による水素ガス生成のための脱水素触媒は、より高い活性を有し、水素ガス選択性が比較的高い。また、調製される酸化脱水素触媒は、活性が高く、より高い酸化選択性を有する。
【0071】
本発明によって提供される担体は、水素吸蔵有機化合物を脱水素して水素ガスを生成するための触媒の調製に用いてもよく、他の水素関連反応触媒又は酸化触媒における担体として用いてもよく、例えば有機物酸化脱水素触媒、不飽和炭化水素水素化触媒、有機物完全酸化触媒、又はNO酸化触媒に用いてもよい。
【0072】
本発明の一態様において、本発明は、以下の工程、アルミナ基質を、ガスによって運ばれる改質用金属酸化物前駆体のガス流と接触させ、改質用金属酸化物前駆体としての酸化チタン前駆体及び/又は酸化ジルコニウム前駆体を担持しているアルミナ基質を得る工程(1)と、改質用金属酸化物前駆体を担持しているアルミナ基質を加水分解し、焼成し、担体組成物を得る工程(2)と、を含む、担体組成物の調製方法を提供する。
【0073】
本発明の担体組成物の調製方法によれば、改質用金属酸化物前駆体は、好ましくは室温~350℃下で気化して金属酸化物前駆体ガスを形成することが可能な物質である。酸化チタン前駆体は、四塩化チタン、(テトラ)エチルチタネート、テトラブチルチタネート、(テトラ)イソプロピルチタネート、酢酸チタンから選ばれる1つ又は複数(好ましくは四塩化チタン)であり、酸化ジルコニウム前駆体は、四塩化ジルコニウム、ジルコニウムエトキシド、ジルコニウムメトキシド、ジルコニウムイソプロポキシド、テトラブチルジルコネートから選ばれる1つ又は複数(好ましくは四塩化ジルコニウム及び/又はジルコニウムメトキシド)である。
【0074】
本発明の担体組成物の調製方法によれば、アルミナ基質は、γ-アルミナ、η-アルミナ、ρ-アルミナ、χ-アルミナ、水和アルミナ(例えばベーマイト、ダイアスポア、擬ベーマイト、ギブサイト(gibbsite)、バイエライト(bayerite)、ノルドストランダイト(nordstrandite)、非晶質水酸化アルミニウム)、及びこれらの混合物から選ばれ、好ましくはアルミナ基質の平均粒子径(直径)が5~100μm、例えば5~50μmである。
【0075】
本発明の担体組成物の調製方法によれば、アルミナ基質の比表面積は100m/g以上(例えば100m/gよりも大きく且つ380m/g以下、100~350m/g、125~335m/g)であり、好ましくはアルミナ基質の比表面積に対する、担体組成物の比表面積の比率は、90%以上であり、即ち、アルミナ基質の比表面積と比較して、得られる担体組成物の比表面積の減少割合は、≦10%である。
【0076】
本発明の担体組成物の調製方法によれば、アルミナ基質の細孔容積は0.3mL/g以上(例えば0.3mL/gよりも大きく且つ1.45mL/g以下、0.3~1.3mL/g、0.35~1.2mL/g、0.35~1.0又は0.4~0.8mL/g)である。
【0077】
本発明の担体組成物の調製方法によれば、ガスは無水不活性ガス(例えば窒素ガス、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス)であり、無水不活性ガス中の含水量は10ppm以下であり、好ましくは、ガスによって運ばれる改質用金属酸化物前駆体のガス流中の、改質用金属酸化物前駆体(金属酸化物として算定される)の含量は、0.1~3g/L(例えば0.2~2g/L)である。
【0078】
本発明の担体組成物の調製方法によれば、工程(1)において、ガスの温度は室温~350℃(例えば室温(室温とは15~40℃を指す)~300℃、又は15~300℃)であり、接触における温度は15~350℃(例えば15~300℃、又は15~100℃、又は15~200℃、又は18~60℃、又は15~40℃)である。
【0079】
本発明の担体組成物の調製方法によれば、工程(1)において、接触における圧力は0.05~5atm(例えば1~3atm)(ゲージ圧)である。
【0080】
本発明の担体組成物の調製方法によれば、アルミナ基質の体積に対する、ガスの1分間当たりの体積流量の比率は、3~80:1(例えば5~30:1、10~25:1)であり、ガスの体積は標準状態下での体積として算定され、アルミナ基質の体積は嵩体積として算定される。
【0081】
本発明の担体組成物の調製方法によれば、アルミナ基質が、ガスによって運ばれる改質用金属酸化物前駆体のガス流と接触するとき、アルミナ基質は流動化条件下又は撹拌下にあり、流動化条件下は、例えばバブリング床、乱流床、高速床又は運搬床であり得る。
【0082】
一実施形態において、アルミナ基質を、ガスによって運ばれる改質用金属酸化物前駆体のガス流(ガス流とも言う)と接触させ、アルミナ基質は固定床においてガス流と接触するか、又は、流動化条件下で、ガスによって運ばれる改質用金属酸化物前駆体のガス流と接触し得るか、又は、撹拌下でガス流と接触し得る。流動化条件下での接触は、例えばバブリング床、乱流床、高速床又は運搬床を用いた方式の接触であり得る。アルミナ基質の体積に対する、ガスの1分間当たりの体積流量の比率は、3~80:1、例えば5~30:1、又は10~25:1であり、ガスの体積は標準状態下での体積として算定され、アルミナ基質の体積は嵩体積として算定される。別の一実施形態において、ガス流とアルミナ基質とが流動床において接触し、接触における体積空間速度は3~80:1分間-1、例えば5~30:1分間-1又は10~25:1分間-1であり、ガス流の体積流量は標準状態下でのガスの体積として算定され、アルミナ基質の体積は嵩体積として算定され、流動床はバルク流動床、バブリング床又は乱流床であり得る。
【0083】
本発明の担体組成物の調製方法によれば、工程(2)において、改質用金属酸化物前駆体を担持しているアルミナ基質の加水分解は、改質用金属酸化物前駆体を担持しているアルミナ基質を水蒸気含有ガスと接触させることにより行われる。
【0084】
本発明の担体組成物の調製方法によれば、工程(2)における加水分解は、水蒸気含有ガスが接触するアルミナ基質に対する、当該水蒸気含有ガスの比率(標準状態下で、アルミナ基質の嵩体積に対する水蒸気含有ガスの体積の比率)が3~80:1(例えば5~30:1、又は10~25:1)であり、総ガス体積のうち、水蒸気含有ガスの水蒸気が占める割合が0.1体積%~100体積%(例えば3体積%~100体積%、10体積%~70体積%)であり、水蒸気含有ガスのうち、水蒸気以外の他のガスが不活性ガス、窒素ガス又は空気であり得る。
【0085】
本発明の担体組成物の調製方法によれば、工程(2)における加水分解は、加水分解時間が1時間~50時間、例えば2時間~30時間である(通常、加水分解時間は担持時間以上である。担持時間とは、アルミナ基質と、ガスによって運ばれる改質用金属酸化物前駆体のガス流とが接触する時間を指す)。
【0086】
本発明の担体組成物の調製方法によれば、焼成の雰囲気は、酸素ガスを含有しないか、又は酸素ガスを含有する雰囲気であり得る。一実施形態において、酸素ガスを含有する雰囲気中の酸素ガスの含量は3~100体積%であってよく、例えば空気雰囲気又は酸素ガス雰囲気である。焼成温度は350℃~700℃(例えば400~700℃)であり、焼成時間は0.5~12時間(例えば1~10時間、又は2~9時間、又は4~8時間)である。
【0087】
本発明の一態様において、本発明は、有機物を脱水素して水素ガスを製造するための触媒であって、有機物の脱水素触媒のための本発明の担体組成物、及び活性成分を含む触媒を提供する。
【0088】
本発明によって提供される触媒に含まれる活性成分は、酸化物及び/又は活性金属単体の形態で存在してもよい。
【0089】
有機物を脱水素して水素ガスを製造するための本発明の触媒によれば、活性成分は、以下の(1)、(2)及び(3)のいずれか1つであり:(1)貴金属群のうち少なくとも1種類の元素、好ましくはPt、及び、任意的に貴金属群のうちPt以外の少なくとも1種類の元素;(2)Pt、及び第1金属群のうち少なくとも1種類の元素;(3)Ni、第2金属群のうち少なくとも1種類の元素、及び任意的にリン、
貴金属群は、Pt、Pd、Ru、Re、Rh、Ir及びOsから選択される元素からなる群であり、
第1金属群は、Sn、V、Mo、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Ce、W、Cu及びCaから選択される元素からなる群であり;
第2金属群は、Zn、Sn、Cu、Fe、Ag、In、Re、Mo、Co、Ca及びWから選択される元素からなる群であり;
触媒中、担体の含量は70~99.9重量%であり、活性成分の含量は0.1~30重量%である。
【0090】
有機物を脱水素して水素ガスを製造するための本発明の触媒によれば、活性成分は、(1)貴金属群のうち少なくとも1種類の元素であり、触媒中、担体の含量は90~99.9重量%(例えば92~99.4重量%、92~99.5重量%、95~99.4重量%、98~99.2重量%、98.5~99.5重量%)であり、活性成分の含量は0.1~10重量%(例えば0.6~8重量%、0.5~8重量%、0.6~5重量%、0.8~2重量%又は0.5~1.5重量%)であり、好ましくは、活性成分はPt、及び、任意的に貴金属群のうちPt以外の少なくとも1種類の元素であり、Ptの含量は0.1~10重量%(例えば0.1~2重量%、0.6~10重量%又は0.6~0.8重量%)であり、貴金属群のうちPt以外の少なくとも1種類の元素の含量は0~9.9重量%(例えば0.1~2重量%又は0.1~0.8重量%)である。
【0091】
有機物を脱水素して水素ガスを製造するための本発明の触媒によれば、活性成分は、(2)Pt、及び第1金属群のうち少なくとも1種類の元素(例えばSn、Ni、Mn、Cuのうち1つ又は複数)であり、触媒中、担体の含量は75~99.5重量%(例えば75~99.4重量%、79.9~98.5重量%)であり、活性成分の含量は0.5~25重量%(例えば0.6~25重量%、1.5~20.1重量%)であり、活性成分のうち、Pt(単体として算定される)の含量は0.01~10重量%(例えば0.2~8重量%、0.4~2重量%、0.3~0.6重量%、0.1~0.7重量%)であり、第1金属群のうち少なくとも1種類の元素(酸化物として算定される)の含量は0.5~20重量%(例えば0.5~15重量%又は1~10重量%)であり、好ましくは、第1金属群のうち少なくとも1種類の元素が、Ni、又は、Niと第1金属群のうちNi以外の少なくとも1種類の元素(例えばSn、Mn及びCu、好ましくはCu)との組み合わせであり、Pt(単体として算定される)とNi(NiOとして算定される)との質量比が(0.01:16)~(0.5:0.1)である。好ましくは、触媒中、Ptの含量は0.1~0.5重量%であり、Ni(酸化物として算定される)の含量は0.5~15重量%、例えば1~10重量%であり、第1金属群のうちNi以外の元素(酸化物として算定される)の含量は0~10重量%、例えば1~6重量%である。活性成分は、より好ましくはPt、Ni及びCuである。
【0092】
有機物を脱水素して水素ガスを製造するための本発明の触媒によれば、活性成分は、(3)Ni、第2金属群のうち少なくとも1種類の元素(好ましくはSn、Cu、Zn、Fe、Ag、より好ましくはSn、Ag、Cu及びZn、更に好ましくはSn、Zn及びCu、更に好ましくはSn及びZn)、及び任意的にリンである。当該好ましい実施形態によれば、高い転化率及び水素ガス生成速度を有するとともに、他の活性金属よりも高い水素ガス選択性を有することができる。触媒中、担体の含量は70~95重量%(例えば、75~93重量%、又は75~90重量%)であり、活性成分(酸化物として算定される)の含量は5~30重量%(例えば、7~25重量%、10~25重量%、8~20重量%、又は10~16重量%)であり、活性成分のうち、ニッケル(NiOとして算定される)の含量が0.5~25重量%(例えば0.5~20重量%、5~25重量%、6~20重量%、5~15重量%、8~10重量%、又は6~11重量%)であり、第2金属群のうち少なくとも1種類の元素(酸化物として算定される)の含量は0~15重量%(例えば0~10重量%、2~6重量%)であり、リン(Pとして算定される)の含量は0~15重量%(例えば0~8重量%、0~6重量%)である。
【0093】
有機物を脱水素して水素ガスを製造するための本発明の触媒によれば、触媒の比表面積は100~350m/g(例えば120~330m/g)であり、触媒の細孔容積は0.3~1.3ml/g(例えば0.35~1.2ml/g)である。
【0094】
本発明の一態様において、本発明は、有機物を脱水素して水素ガスを製造するための本発明の触媒の調製方法であって、アルミナ基質を、ガスによって運ばれる改質用金属酸化物前駆体のガス流と接触させ、改質用金属酸化物前駆体としての酸化チタン前駆体及び/又は酸化ジルコニウム前駆体を担持しているアルミナ基質を得る工程(1)と、改質用金属酸化物前駆体を担持しているアルミナ基質を加水分解し、焼成し、担体組成物を得る工程(2)と、活性成分前駆体の溶液を担体組成物に含浸させ、活性成分前駆体が含浸した担体を得る工程(3)と、活性成分前駆体が含浸した担体を乾燥及び焼成する工程(4)と、を含み、好ましくは、活性成分は、以下の(1)、(2)及び(3)のいずれか1つであり:(1)貴金属群のうち少なくとも1種類の元素、好ましくはPt、及び、任意的に貴金属群のうちPt以外の少なくとも1種類の元素;(2)Pt、及び第1金属群のうち少なくとも1種類の元素;(3)Ni、第2金属群のうち少なくとも1種類の元素、及び任意的にリン、貴金属群は、Pt、Pd、Ru、Re、Rh、Ir及びOsから選択される元素からなる群であり、第1金属群は、Sn、V、Mo、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Ce、W、Cu及びCaから選択される元素からなる群であり、第2金属群は、Zn、Sn、Cu、Fe、Ag、In、Re、Mo、Co、Ca及びWから選択される元素からなる群である、触媒の調製方法を提供する。
【0095】
有機物を脱水素して水素ガスを製造するための触媒の本発明の調製方法によれば、工程(4)における焼成は、焼成温度が400~700℃であり、焼成時間0.5~12時間である。
【0096】
一実施形態において、活性成分前駆体の溶液を担体組成物に含浸させるとき、一般的には、活性金属成分前駆体を水に溶解したものを担体組成物に含浸させ、活性金属成分前駆体が含浸した担体を得る工程を含む。なお、含浸の方法としては、従来の含浸法、例えば、等体積含浸、過剰量含浸の方法であってもよい。水は、例えば脱イオン水、蒸留水、又は脱カチオン水のうち1つ又は複数である。また、金属前駆体を水に溶解して金属前駆体溶液を得、当該金属前駆体溶液を共含浸又は段階的含浸の方法にて担体に導入してもよく、含浸は飽和含浸又は過飽和含浸であってもよい。触媒に2種類以上の金属活性成分が含まれる場合、共含浸では、2種類以上の金属元素を共に脱イオン水に溶解してなる含浸液を担体に含浸させ、その後、乾燥及び焼成してもよい。また、段階的含浸では、2種類以上の金属元素を個別に脱イオン水に溶解してなる、金属含浸液それぞれを担体に含浸させ、1回の含浸ごとに、担体を乾燥及び焼成してもよい。なお、金属を導入する順序は特に限定されない。例えば、Pt前駆体と、第1金属群中の1つの元素の前駆体とを溶液として調製し、それを担体組成物に含浸させてもよく、先にPt前駆体を含浸させておき、乾燥後に、第1金属群中の元素の前駆体を含浸させてもよい。例えば、含浸する際、含浸液対担体の液体/固体体積比は0.3~5.0、好ましくは0.6~4.0であり、含浸温度は10~50℃、好ましくは15~40℃である。好ましくは、含浸後、室温下で2~10時間静置することで含浸後の担体を乾燥してから、焼成する。焼成温度は好ましくは400~700℃であり、焼成時間は好ましくは0.5~12時間、例えば1~10時間、又は2~9時間、又は4~8時間である。焼成の雰囲気は特に限定されず、例えば、空気下で焼成してもよい。焼成時、空気(標準状態下)/触媒の体積比は例えば400~1000:1、焼成時間は好ましくは4~8時間である。
【0097】
有機物を脱水素して水素ガスを製造するための触媒の本発明の調製方法によれば、活性成分前駆体は、活性成分の可溶性塩(例えば、金属硝酸塩、金属酢酸塩、金属塩化物、金属炭酸塩、金属酢酸塩錯体、金属水酸化物、金属シュウ酸塩錯体、高原子価金属酸、高原子価金属酸塩、金属錯体及びアンモニウム塩のうち1つ又は複数)である。一実施形態において、高原子価金属酸/高原子価金属酸塩は、例えば、塩化白金酸、塩化白金酸アンモニウム、硝酸テトラアンミン白金及び水酸化テトラアンミン白金のうち1つ又は複数である。リンの前駆体は、例えばリン酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸及び金属リン酸塩のうち1つ又は複数である。
【0098】
有機物を脱水素して水素ガスを製造するための触媒の本発明の調製方法によれば、活性成分前駆体が含浸した担体を、-40℃未満の環境に1時間~24時間置いた後、担体上に吸着した水を真空乾燥により除去し、焼成し、触媒を得る。
【0099】
本発明の一態様において、本発明は、水素吸蔵性合金を提供し、当該水素吸蔵性合金は、希土類系AB型、ジルコニウムチタン系AB型、チタン系AB型、マグネシウム系AB型及びバナジウム系固溶体型の水素吸蔵性合金のうち1つ又は複数であり、
希土類系AB型水素吸蔵性合金を示す分子式は、MNix1Cox2Mnx3Fex4Alx5Snx6
(4.5≦x1+x2+x3+x4+x5+x6≦5.5;
はLay1Cey2Ndy3Pry4y5であり;y1+y2+y3+y4+y5=1;
0.4≦y1≦0.99(例えば0.4≦y1≦0.8)、0≦y2≦0.45(例えば0.1≦y2≦0.45)、0≦y3≦0.2(例えば0≦y3≦0.2)、0≦y4≦0.05(例えば0≦y4≦0.05)、0.01≦y5≦0.1(例えば0.01≦y5≦0.05)、3≦x1≦5.45(例えば、3≦x1≦4.9)、0≦x2≦1.5(例えば0.1≦x2≦1)、0≦x3≦0.8(例えば0.1≦x3≦0.6)、0≦x4≦0.8(例えば0.1≦x4≦0.6)、0≦x5≦0.75(例えば0.05≦x5≦0.5)、0≦x6≦0.2(例えば0≦x6≦0.15))である。
【0100】
ジルコニウムチタン系AB型水素吸蔵性合金を示す分子式は、AB
(A=Mgx1Cax2Tix3Zrx4x5Lax6;x1+x2+x3+x4+x5+x6=0.9~1.1;
B=Vy1Cry2Mny3Fey4Coy5Niy6Cuy7;y1+y2+y3+y4+y5+y6+y7=1.9~2.1;
0≦x1≦0.54(例えば0.01≦x1≦0.3、0.01≦x1≦0.1)、0≦x2≦0.54(例えば0≦x2≦0.25)、0.5≦x3≦1.04(例えば0.6≦x3≦1)、0.05≦x4≦0.58(例えば0.1≦x4≦0.58)、0.01≦x5≦0.2(例えば0.01≦x5≦0.05)、0≦x6≦0.2(例えば0≦x6≦0.05)、0.05≦y1≦1.95(例えば0.05≦y1≦1.8)、0≦y2≦1.9(例えば0≦y2≦1.85)、0.05≦y3≦1.95(例えば0.1≦y3≦1.95)、0≦y4≦1.6(例えば0≦y4≦1.5)、0≦y5≦0.5(例えば0≦y5≦0.3)、0.1≦y6≦0.5(例えば0.1≦y6≦0.3)、0≦y7≦0.5(例えば0.1≦y7≦0.2);好ましくは、0.7≦x3:(x3+x4)≦0.95;好ましくは、1.7≦y1+y2+y3+y4≦2)である。
【0101】
チタン系AB型水素吸蔵性合金を示す分子式は、AB
(A=Tix1Zrx2x3Lax4;x1+x2+x3+x4=0.85~1.1;B=Vy1Cry2Mny3Fey4Coy5Niy6Cuy7;y1+y2+y3+y4+y5+y6+y7=0.95~1.05;
0≦x1≦1.09(例えば0.9≦x1≦1.05)、0≦x2≦1.09(例えば0≦x2≦0.5)、0.01≦x3≦0.2(例えば0.01≦x3≦0.05)、0≦x4≦0.2(例えば0≦x4≦0.05)、0.05≦y1≦0.5(例えば0.05≦y1≦0.2)、0≦y2≦0.8(例えば0≦y2≦0.2)、0≦y3≦0.8(例えば0.05≦y3≦0.4、又は0.1≦y3≦0.4)、0.2≦y4≦1(例えば0.5≦y4≦0.9)、0≦y5≦0.35(例えば0≦y5≦0.1)、0≦y6≦0.45(例えば0≦y6≦0.2)、0≦y7≦0.3(例えば0≦y7≦0.2);x1及びx2は、同時に0を取らないことが好ましい)である;
マグネシウム系AB型水素吸蔵性合金を示す分子式は、A
(A=Mgx1Cax2Tix3Lax4x5;x1+x2+x3+x4+x5=1.9~2.1;
B=Cry1Fey2Coy3Niy4Cuy5Moy6;y1+y2+y3+y4+y5+y6=0.9~1.1;
1.29≦x1≦2.09(例えば1.7≦x1≦2.05)、0≦x2≦0.5(例えば0≦x2≦0.2)、0≦x3≦0.8(例えば0≦x3≦0.5)、0≦x4≦0.5(例えば0≦x4≦0.2)、0.01≦x5≦0.2(例えば0.05≦x5≦0.1)、0≦y1≦0.3(例えば0≦y1≦0.2、0.05≦y1≦0.2)、0≦y2≦0.2(例えば0≦y2≦0.1)、0≦y3≦0.6(例えば0≦y3≦0.5)、0.2≦y4≦1.1(例えば0.7≦y4≦1.05)、0≦y5≦0.5(例えば0≦y5≦0.4)、0≦y6≦0.15(例えば0≦y6≦0.1))である;
バナジウム系固溶体型水素吸蔵性合金を示す分子式は、Ax1x2
(x1+x2=1;
A=Tiy1y2Zry3Nby4y5Lay6Cay7;y1+y2+y3+y4+y5+y6+y7=1;
B=Mnz1Fez2Coz3Niz4;z1+z2+z3+z4=1;
0.7≦x1≦0.95(例えば0.8≦x1≦0.95、0.9≦x1≦0.95)、0.05≦x2≦0.3(例えば0.05≦x2≦0.2、0.05≦x2≦0.1)、0.4≦y1≦0.9(例えば0.45≦y1≦0.9、0.5≦y1≦0.8)、0≦y2≦0.5(例えば0≦y2≦0.4)、0≦y3≦0.5(例えば0≦y3≦0.4)、0≦y4≦0.55(例えば0≦y4≦0.4)、0≦y5≦0.2(例えば0.01≦y5≦0.2、0.05≦y5≦0.2)、0≦y6≦0.1(例えば0≦y6≦0.05)、0≦y7≦0.1(例えば0≦y7≦0.05)、0≦z1≦1(例えば0.1≦z1≦1、0.2≦z1≦0.95)、0≦z2≦0.95(例えば0≦z2≦0.9)、0≦z3≦0.3(例えば0≦z3≦0.2)、0≦z4≦0.45(例えば0.05≦z4≦0.45、0.05≦z4≦0.3)、0.55≦z1+z2≦1(例えば0.7≦z1+z2≦1))である。
【0102】
一実施形態において、本発明の水素吸蔵性合金は、La0.61Ce0.16Pr0.04Nd0.19 Ni3.55Co0.75Mn0.4Al0.3、(Ti0.80.20.95(Fe0.05、(Ti0.80.20.95(Mn0.95Ni0.050.05、(Ti0.40.40.20.9(Fe0.05Mn0.950.1、(Ti0.40.40.20.9(Fe0.05Mn0.9Ni0.050.1、(Ti0.7Nb0.10.20.9(Mn0.1、(Ti0.7Nb0.10.20.9(Mn0.7Ni0.30.1、(Ti0.4Zr0.40.20.93(Fe0.2Mn0.7Co0.10.07、(Ti0.4Zr0.40.20.93(Fe0.2Mn0.7Ni0.10.07、(Ti0.40.4Zr0.20.95(Fe0.6Mn0.2Co0.1Ni0.10.05、(Ti0.40.35Zr0.20.050.95(Fe0.6Mn0.2Co0.1Ni0.10.05、(Ti0.880.1Ca0.020.95(Fe0.3Mn0.6Co0.10.05、(Ti0.880.1Ca0.020.95(Fe0.3Mn0.6Ni0.10.05、(Ti0.7Nb0.10.20.8(Mn0.7Ni0.30.2、Ti0.64Zr0.450.01VMn0.9Ni0.1、Mg0.01Ti0.93Zr0.150.01VMn0.9Ni0.1、Ti0.55Zr0.480.05La0.020.33Cr0.05Mn1.5Fe0.09Ni0.1、Ti0.85Zr0.180.05La0.020.23Cr0.05Mn1.5Fe0.09Ni0.1Cu0.1、Ti0.6Zr0.40.050.1Mn1.8Ni0.2、Mg0.1Ti0.7Zr0.20.050.1Mn1.6Ni0.2Cu0.2、Ca0.01Ti0.9Zr0.050.051.2Mn0.6Ni0.3、Ca0.01Ti0.85Zr0.050.051.2Mn0.6Ni0.1Cu0.2、TiZr0.050.050.1Cr1.4Mn0.2Co0.1Ni0.3、Mg0.1Ti0.8Zr0.150.050.1Cr1.4Mn0.2Co0.1Ni0.1Cu0.2、Ti0.5Zr0.550.051.79Mn0.1Fe0.01Ni0.2、Ti0.8Zr0.250.051.79Mn0.1Fe0.01Ni0.1Cu0.1、Mg0.01Ti0.63Zr0.450.01VMn0.9Ni0.1、Mg1.80.1Ni、Mg1.80.1Cr0.05Ni、Mg1.5Ti0.50.05Ni1.1、Mg1.5Ti0.50.05Cr0.1Ni、Mg0.1Ni0.6Cu0.4、Mg0.1Cr0.05Ni0.6Cu0.4、Mg1.920.08Ni0.95Fe0.05、Mg1.920.08Cr0.2Ni0.75Fe0.05、Mg1.90.1Fe0.1Ni0.8Cu0.1、Mg1.90.1Cr0.1Fe0.1Ni0.7Cu0.1、Mg1.90.1Ni0.8Co0.2、Mg1.90.1Cr0.1Ni0.8Co0.2、Mg1.80.1La0.1Ni0.9Co0.1、Mg1.80.1La0.1Cr0.05Ni0.9Co0.1、Mg1.7Ti0.20.1Ni0.7Co0.32、Mg1.7Ti0.20.1Cr0.05Ni0.7Co0.3、TiY0.010.1Fe0.7Ni0.2、TiY0.010.1Fe0.7Mn0.1Ni0.1、TiY0.020.2Fe0.8、TiY0.020.2Fe0.7Mn0.1、Ti0.970.030.05Cr0.03Fe0.9、Ti0.970.030.05Cr0.03Fe0.5Mn0.4、Ti0.90.040.15Fe0.9、Ti0.90.040.05Fe0.9Mn0.1、Ti0.91Zr0.050.040.1Cr0.2Fe0.7、Ti0.91Zr0.050.040.1Cr0.2Fe0.6Mn0.1、Ti0.950.050.26Fe0.7Cu0.05、Ti0.950.050.05Fe0.7Mn0.21Cu0.05、Ti1.020.030.05Fe0.9Ni0.1、Ti1.020.030.05Fe0.8Mn0.1Ni0.1、La0.5Ce0.32Nd0.15Pr0.020.01Ni4.4Fe0.55Al0.05、La0.5Ce0.32Nd0.15Pr0.020.01Ni4.4Fe0.6、La0.8Ce0.150.05NiMn0.5Al0.5、La0.8Ce0.150.05Ni4.5Mn0.5、La0.45Ce0.4Nd0.1Pr0.030.02NiCo0.8Al0.2、La0.45Ce0.4Nd0.1Pr0.030.02Ni4.2Co0.8、La0.75Ce0.15Nd0.05Pr0.020.03Ni4.7Al0.1Fe0.2、La0.75Ce0.15Nd0.05Pr0.020.03Ni4.8Fe0.2、La0.8Ce0.15Nd0.030.02Ni4.5Co0.3Mn0.1Al0.1、La0.8Ce0.15Nd0.030.02Ni4.5Co0.4Mn0.1、La0.970.03NiCoから選ばれる。
【0103】
好ましい一実施形態において、本発明の水素吸蔵性合金は、(Ti0.80.20.95(Mn0.95Ni0.050.05、(Ti0.40.40.20.9(Fe0.05Mn0.9Ni0.050.1、(Ti0.7Nb0.10.20.9(Mn0.7Ni0.30.1、(Ti0.4Zr0.40.20.93(Fe0.2Mn0.7Ni0.10.07、(Ti0.40.35Zr0.20.050.95(Fe0.6Mn0.2Co0.1Ni0.10.05、(Ti0.880.1Ca0.020.95(Fe0.3Mn0.6Ni0.10.05、Mg0.01Ti0.93Zr0.150.01VMn0.9Ni0.1、Ti0.85Zr0.180.05La0.020.23Cr0.05Mn1.5Fe0.09Ni0.1Cu0.1、Mg0.1Ti0.7Zr0.20.050.1Mn1.6Ni0.2Cu0.2、Ca0.01Ti0.85Zr0.050.051.2Mn0.6Ni0.1Cu0.2、Mg0.1Ti0.8Zr0.150.050.1Cr1.4Mn0.2Co0.1Ni0.1Cu0.2、Ti0.8Zr0.250.051.79Mn0.1Fe0.01Ni0.1Cu0.1、Mg1.80.1Cr0.05Ni、Mg1.5Ti0.50.05Cr0.1Ni、Mg0.1Cr0.05Ni0.6Cu0.4、Mg1.920.08Cr0.2Ni0.75Fe0.05、Mg1.90.1Cr0.1Fe0.1Ni0.7Cu0.1、Mg1.90.1Cr0.1Ni0.8Co0.2、Mg1.80.1La0.1Cr0.05Ni0.9Co0.1、Mg1.7Ti0.20.1Cr0.05Ni0.7Co0.3、TiY0.010.1Fe0.7Mn0.1Ni0.1、TiY0.020.2Fe0.7Mn0.1、Ti0.970.030.05Cr0.03Fe0.5Mn0.4、Ti0.90.040.05Fe0.9Mn0.1、Ti0.91Zr0.050.040.1Cr0.2Fe0.6Mn0.1、Ti0.950.050.05Fe0.7Mn0.21Cu0.05、Ti1.020.030.05Fe0.8Mn0.1Ni0.1、La0.5Ce0.32Nd0.15Pr0.020.01Ni4.4Fe0.55Al0.05、La0.8Ce0.150.05NiMn0.5Al0.5、La0.45Ce0.4Nd0.1Pr0.030.02NiCo0.8Al0.2、La0.75Ce0.15Nd0.05Pr0.020.03Ni4.7Al0.1Fe0.2、La0.8Ce0.15Nd0.030.02Ni4.5Co0.3Mn0.1Al0.1から選ばれる。
【0104】
本発明の一態様において、本発明は、水素吸蔵性合金の調製方法を提供し、当該方法は、以下の工程、水素吸蔵性合金の組成となるように水素吸蔵性合金の原料それぞれを秤量して、原料を混合する工程(1)と、工程(1)で得られた混合物を溶融した後、アニールする工程(2)と、を含み、溶融は、電気炉溶融又は誘導加熱溶融であり、好ましくは、溶融の条件は、真空又は不活性雰囲気下、1200~3000℃、好ましくは1800~2200℃の温度を含み、より好ましくは真空下、1×10-5~1×10-3Pa(絶対圧)、好ましくは0.5×10-4~5×10-4Pa(絶対圧)の圧力で溶融し、より好ましくは不活性雰囲気下、0.5~1バール(例えば0.6~1バール、0.7~1バール)(ゲージ圧)の圧力で溶融し、アニールの条件は、真空又は不活性雰囲気(例えばアルゴン雰囲気)下、500~900℃(例えば700~1000℃)の温度、12~360hの時間を含み、任意的に、当該方法は、工程(2)のアニールによって得られた材料を冷却した後、破砕処理を行い、10~400メッシュ(例えば20~400メッシュ)の生成物を得る工程をさらに含み、そして任意的に、当該方法は、工程(2)のアニールによって得られた材料を活性化処理に供する工程をさらに含み、好ましくは活性化処理の条件は、真空下、50~300℃の温度、1~10hの時間を含む。
【0105】
本発明の一態様において、本発明は、高純度水素ガスの供給方法を提供し、当該方法は、液状有機水素吸蔵原料を脱水素触媒と接触させて反応させ、水素を含有する脱水素反応生成物を得る工程(1)と、脱水素反応生成物を冷却して液体生成物及び水素リッチな気体生成物を得、当該液体生成物を回収する工程(2)と、水素リッチな気体を水素吸蔵性合金と接触させて水素含有合金を得、吸着されていない気体を回収する工程(3)と、任意的に、水素含有合金の格納容器内の有機物を除去する工程(3a)と、水素含有合金を加熱して水素ガスを放出させる工程(4)と、を含む。
【0106】
本発明の高純度水素ガスの供給方法によれば、有機物を脱水素して水素ガスを製造するための本発明の触媒、及び/又は、本発明の水素吸蔵性合金が使用される。
【0107】
本発明の高純度水素ガスの供給方法によれば、液状有機水素吸蔵原料と脱水素触媒との接触反応における反応温度は150~450℃(例えば200~400℃、300~350℃)であり、液状有機水素吸蔵原料と脱水素触媒との接触反応における時間当たりの重量空間速度は0.5~50h-1(例えば、1~45h-1、2~30h-1)であり、液状有機水素吸蔵原料と脱水素触媒との接触反応における圧力は、0.03~5MPa(ゲージ圧)(例えば0.3~5MPa、0.1~3MPa、0.5~2MPa又は0.2~1.6MPa)であり、任意的に、液状有機水素吸蔵原料と水素ガスとを混合したものを脱水素触媒と接触させる場合、水素対炭化水素比(液状有機水素吸蔵原料に対する水素ガスのモル比)は、0~10(例えば0~8)である。なお、水素ガスの導入は、脱水素反応で生成されるコークスの低減に有利である。
【0108】
本発明の高純度水素ガスの供給方法によれば、工程(2)において、脱水素反応生成物を冷却する冷却温度は、液体生成物中の有機物の沸点よりも低く、好ましくは当該液体生成物のうち、常温常圧下で液体となる最も沸点の低い有機物の沸点よりも低い。
【0109】
本発明の高純度水素ガスの供給方法によれば、工程(3)において、水素リッチな気体は、水素リッチな気体生成物、又は、水素リッチな気体生成物に対する更なる分離により得られる水素含有気体であり、更なる分離の方法は、温度スイング分離、膜分離、圧力スイング吸着分離、又はそれらの組み合わせを含み、水素リッチな気体中の水素ガスの質量分率は≧80%(例えば80~99%、好ましくは≧85%、より好ましくは≧90%)である。冷却分離により得られた、一定量の水素ガスを有する水素リッチな気体を、水素吸蔵性合金に吸着させることにより、水素吸蔵性合金の吸着能を十分に発揮させ、水素吸蔵性合金の吸着効率を向上させることができる。
【0110】
本発明の、高純度水素ガスの供給方法によれば、工程(3)において、水素リッチな気体と水素吸蔵性合金との接触は、1つ又は複数の水素吸蔵性合金の格納容器内で行われ、水素吸蔵性合金の数は1つ又は複数であり得、複数の水素吸蔵性合金は混合形態で用いられ得、直列形態、並列形態、又は直列と並列との複合形態で用いられ得、水素リッチな気体と水素吸蔵性合金との接触における圧力は、0.001~5MPa(例えば0.01~5MPa、0.03~4MPa、0.05~5MPa、0.08~2MPa、0.05~3MPa、0.1~1MPa)であり、水素吸蔵性合金の格納容器が複数存在し且つ直列に接続された水素吸蔵容器が存在する場合、水素リッチな気体の流れ方向における最下流の水素吸蔵性合金と接触する接触圧力(水素吸着圧力とも言う)は0.05~5MPa(例えば0.1~1MPa)であり、水素リッチな気体と水素吸蔵性合金との接触における温度(水素吸着温度とも言う)は、-70~100℃(例えば、-50~90℃、-30~80℃)であり、水素吸蔵性合金との接触時、水素リッチな気体の温度は、液状有機水素吸蔵原料の常圧下での沸点よりも低い。
【0111】
本発明の高純度水素ガスの供給方法によれば、工程(3)において、水素吸蔵性合金の格納容器の数は1つ又は複数であり、水素ガスとの接触順で最後に水素ガスと接触する水素吸蔵性合金の格納容器内の水素吸蔵性合金は高平衡圧を有する水素吸蔵性合金であり、高平衡圧を有する水素吸蔵性合金は、150~450℃の温度範囲内に、水素ガスの吸着における平衡圧が35MPa以上となる温度点が少なくとも1つ存在し、好ましくは、少なくとも1つの水素吸蔵性合金の格納容器内の水素吸蔵性合金が、高平衡圧を有する水素吸蔵性合金である。高平衡圧を有する水素吸蔵性合金によれば、高純度高圧水素ガスを得ることができ、また、得られた高純度高圧水素ガスを水素燃料電池車両の補給に直接的に用いることができる。
【0112】
本発明の高純度水素ガスの供給方法によれば、水素含有合金の格納容器内の有機物を除去するパージ法により、工程(3a)を行う。例えば、水素ガスを用いたパージ法であり、例えば当該方法は、水素吸蔵性合金における吸着量が所定量となった後、水素吸蔵性合金への水素リッチな気体の供給を停止し、水素ガスを水素含有合金に通すことで水素含有合金及び水素含有合金の格納容器(水素吸蔵性合金の格納容器とも言う)内の有機ガスを追い出し、当該有機ガスを貯蔵タンクに導入して貯蔵するか、又は当該有機ガスを他の水素吸蔵性合金の格納容器内の水素吸蔵性合金に吸着させる。なお、パージ用水素ガスの純度は好ましくは90重量%を超え、より好ましくは95重量%を超え、例えば99重量%を超える。
【0113】
本発明の高純度水素ガスの供給方法によれば、工程(4)において、水素吸蔵性合金から水素ガスを放出させる温度(即ち、水素吸蔵性合金が加熱される温度;水素放出温度と略称する)は150~450℃であり、放出される水素ガスの圧力は、高純度高圧水素ガスを得るために≧35MPa(例えば35~100MPa)であるか、又は放出される水素ガスの分圧は、高純度水素ガスを得るために0.1~5MPaであり、水素放出温度は水素吸着温度よりも高い。
【0114】
本発明の高純度水素ガスの供給方法によれば、水素含有合金に水素ガスを放出させ、放出された水素ガスを他の水素吸蔵性合金と接触させて水素含有合金を形成させるプロセスをさらに含み、当該プロセスは、1回又は複数回行われ、少なくとも最後の1回の当該プロセスにおいて用いられる水素吸蔵性合金が、高平衡圧を有する水素吸蔵性合金である。
【0115】
本発明の高純度水素ガスの供給方法によれば、水素吸蔵性合金は、第1水素吸蔵性合金と第2水素吸蔵性合金との組み合わせであり、第1水素吸蔵性合金は、水素リッチな気体との接触に用いる本発明によるマグネシウム系AB型水素吸蔵性合金であり、第2水素吸蔵性合金は、第1水素吸蔵水素ガスの加圧のために用いられ、高平衡圧を有する水素吸蔵性合金であり、第2水素吸蔵性合金は、本発明による希土類系AB型、ジルコニウムチタン系AB型、及びチタン系AB型の水素吸蔵性合金のうち1つ又は複数であり、先ず、水素リッチな気体を第1水素吸蔵性合金に通すことで不純物を分離し、その後、第1水素吸蔵性合金から放出された高純度水素ガスを第2水素吸蔵性合金と接触させ、その後、高圧下で第2水素吸蔵性合金に水素ガスを放出させ、第1水素吸蔵性合金の水素放出温度は、第2水素吸蔵性合金の水素吸着温度よりも高く、それらの温度差は、好ましくは≧100℃(例えば350℃≧温度差≧150℃)であり、第1水素吸蔵性合金及び第2水素吸蔵性合金は、異なる水素吸蔵性合金の貯蔵タンク内に存在し、且つ第1水素吸蔵性合金の貯蔵タンクと第2水素吸蔵性合金の貯蔵タンクとの間に熱交換システムが存在し、
水素リッチな気体と第1水素吸蔵性合金との接触における水素吸着温度は20~150℃(例えば50~100℃)、水素ガス分圧は0.001~0.1MPa(0.001~0.03MPa)であり、第1水素吸蔵性合金から水素ガスが放出される温度(水素放出温度)は150~450℃(例えば200~350℃)、水素放出における水素ガス分圧は0.1~5MPa(例えば0.1~1MPa)であり、第2水素吸蔵性合金が水素ガスを吸着する水素吸着温度は-70~100℃(例えば-30~100℃)、水素吸着における水素ガス分圧は0.1~5MPa(例えば0.1~1MPa)であり、第2水素吸蔵性合金の水素放出温度は150~450℃(例えば200~350℃)、水素放出における水素ガス分圧は≧35MPa(例えば35~100MPa)である。
【0116】
本発明の高純度水素ガスの供給方法によれば、液状有機水素吸蔵原料は、分子中に環を有し、ヘテロ原子を任意的に含み、当該ヘテロ原子が環状に存在し得る、有機化合物であり、例えばシクロアルカン環含有の飽和又は不飽和炭化水素、例えばヘテロ環原子を含有せずシクロアルカン環を含有する飽和又は不飽和炭化水素、より具体的には芳香族環及びシクロアルカン環の環の数の合計が2以下でありヘテロ環原子を含有せずシクロアルカン環を含有する飽和又は不飽和炭化水素、例えばシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、及びビ(シクロヘキサン)、並びに、ヘテロ原子を含有するシクロアルカン環含有の飽和又は不飽和炭化水素、例えば窒素含有ヘテロ環化合物、及び窒素/ホウ素含有ヘテロ環化合物;窒素含有ヘテロ環化合物は、デカヒドロカルバゾール、ドデカヒドロエチルカルバゾール、インドリン、4-アミノピペリジン、ピペリジン-4-カルボキサミド、ペルヒドロ-4,7-フェナントロリン、2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン、及び2,6-ジメチルデカヒドロ-1,5-ナフチリジンのうち1つ又は複数を含み、窒素/ホウ素含有ヘテロ環化合物は、1,2-アザボリネート、及び3-メチル-1,2-アザボロリジンのうち1つ又は複数を含む。。
【0117】
本発明の高純度水素ガスの供給方法によれば、放出された水素ガスを水素ガス貯蔵タンクに導入して水素ガスを貯蔵する工程、又は、得られた高純度高圧水素ガスを水素燃料電池車両の補給に直接的に用い得る工程をさらに含む。
【0118】
本発明の一態様において、本発明は、高純度高圧水素ガスの高効率分散型製造方法を提供する。当該方法は、脱水素反応器内で、脱水素触媒の存在下で液状有機水素吸蔵原料の脱水素反応を行い、水素ガスを含む脱水素反応生成物を得る工程と、冷却分離装置内で、脱水素反応生成物を冷却して分離し、水素リッチなストリーム及び有機液体を得る工程と、水素吸蔵性合金の格納容器内で、水素リッチなストリーム、又は精製後の水素リッチなストリームを水素吸蔵性合金と接触させ、水素含有合金を得る工程と、水素ガスを用いたパージ法により、好ましくは90重量%を超える(例えば95重量%を超え、99重量%を超える)純度のパージ用水素ガスにて、水素吸蔵性合金の格納容器内の有機物を除去する工程と、水素含有合金を加熱して水素ガスを放出させ、高圧水素ガスを得るとともに、得られた高圧水素ガスを水素消費装置又は貯蔵用の高圧水素ガス貯蔵タンクに供給する(例えば、得られた高圧水素ガスを水素燃料電池車両の補給に直接的に用いてもよい)工程と、を含む(例えば、得られた高圧水素ガスを水素燃料電池車両の補給に直接に用いてもよい)。
【0119】
本発明の一態様において、本発明は、高純度高圧水素ガスの供給システムを提供する。当該システムは、液状有機水素吸蔵原料を貯蔵するとともに、脱水素反応器に液状有機水素吸蔵原料を供給する液状有機水素吸蔵原料貯蔵-供給装置と、液状有機水素吸蔵原料の脱水素により得られた液体生成物を貯蔵する脱水素液体貯蔵装置と、脱水素触媒の作用下で液状有機水素吸蔵原料の脱水素反応を行い、水素ガスを含む脱水素反応生成物を得る脱水素反応器装置と、脱水素反応生成物を分離し、水素リッチな気体生成物及び液体生成物を得る冷却分離装置と、水素吸蔵性合金の格納容器及び水素吸蔵性合金加熱システムを備え、水素リッチな気体を低温低圧下で水素吸蔵性合金と接触させて水素吸着を行い、飽和吸着後、加熱により脱水素を行う水素吸蔵-水素供給装置と、任意的に、水素吸蔵容器内の有機物の除去のために用いるパージ装置と、高圧水素ガスを水素消費装置又は水素ガス貯蔵タンクに供給する水素ガス供給装置と、を含み、好ましくは、当該システムは、コンテナの内部と一体化してなるコンテナ型水素製造システムとして水素補給ステーションへ設置されるか、又は、水素補給ステーション内に直接に組み込まれて使用され、好ましくは、水素吸蔵-水素供給装置は、1つ又は複数の水素吸蔵性合金の格納容器を含み、複数の水素吸蔵性合金の格納容器は、並列形態、直列形態、又は、並列と直列との複合形態で連結され得、好ましくは、少なくとも1つの水素吸蔵性合金の格納容器が耐高圧容器であり、及び/又は、水素ガス供給装置が耐高圧装置、例えば許容圧力35MPa以上の装置である。
【0120】
図3は、本発明によって提供される高純度高圧水素ガスの供給システムを示す。図中、1は有機液体貯蔵タンクを示し、2は原料ポンプを示し、3は熱交換器を示し、4は脱水素反応器を示し、5は熱交換器を示し、6は水素貯蔵タンクを示し、7は一方向バルブを示し、8はエネルギー伝送システムを示し、9はパージシステムを示し、10は水素貯蔵制御システムを示す。図3に示す有機液体原料貯蔵システムは、有機液体原料の注入口及び有機液体原料の排出口が設けられた有機液体貯蔵タンク(1)と、有機液体脱水素反応器と接続された原料ポンプ(2)とを備える。図示の有機液体脱水素反応システムは、脱水素反応器(4)と、有機液体脱水素反応器の出口及び入口と接続されており、反応器の出口からのガスの冷却及び原料の予加熱のための有機液体熱交換器(3)と、を備える。反応器の出口からのガスは、さらに熱交換・冷却装置(5)を経て、冷却分離により水素リッチなストリームを得てもよい。水素リッチなストリームは、膜分離装置及び圧力スイング吸着装置のいずれか1つ以上を通過してもよく、通過しなくてもよい。図示の精製・加圧システムは、一組の逆流防止装置(7)とそれぞれ接続されており且つ並列に少なくとも1つの水素供給パイプラインと接続された一組以上の水素貯蔵タンク(6)と、各水素貯蔵タンク内にエネルギーを供給し、固体水素吸蔵原料から水素ガスを析出させる少なくとも1つのエネルギー伝送システム(8)と、水素貯蔵タンクの出口及び入口に接続された各々の流量メーターを有し、水素貯蔵タンク内の不純物ガスを除去する少なくとも一組の真空ポンプ(9)及びパージシステムと、脱水素反応による水素生成量に応じて、各々の水素貯蔵タンクに関する水素吸着時間、水素放出時間及びエネルギー伝送システムの動作時間を総合的に制御する制御システム(10)と、を含む。水素貯蔵タンクの入口の流量メーターは、水素吸蔵性合金の水素吸着全量を算出するために用いられる。単一の水素貯蔵タンク内の水素吸蔵性合金の水素吸蔵量が水素飽和吸着全量の80%以上に達したとき、水素貯蔵タンクの水素リッチなストリームの供給バルブを閉め、パージシステムを起動し、水素貯蔵タンク内の不純物を除去する。そして、パージパイプライン内の水素ガスの純度が99%以上に達したとき、パージシステムを停止する。水素貯蔵タンクにおいて同時に吸着される水素吸着全量は、水素ガスの生成速度の120%よりも高いことが望ましい。水素吸蔵性合金は、水素放出バルブを介して少なくとも1つの水素供給パイプラインと接続され、水素供給パイプラインは水素ガスを水素ガス貯蔵装置まで運搬する。水素供給パイプライン上の、水素吸蔵性合金に関する水素放出バルブは、同時に開き又は同時に閉じることはない。
【0121】
本発明の一態様において、本発明は、輸送車両と、当該輸送車両上に設置された本発明による高純度高圧水素ガスの供給システムとを含む、可動型水素供給システムを提供する。
【0122】
本発明の一態様において、本発明は、本発明による高純度高圧水素ガスの供給システムを含み、且つ高圧水素ガス貯蔵タンクを任意的に含む、分散型水素供給装置を提供する。
【0123】
本発明によって提供される、高純度水素ガスの調製方法は、高純度水素ガスを効率的に提供することができ、高平衡圧を有する水素吸蔵性合金を用いる場合に高純度高圧水素ガスを提供することができる。また、本発明は、以下のうち少なくとも1つの有益な効果を奏してもよく、好ましくは、以下のうち複数の有益な効果を奏する、
(1)本発明の方法によれば、液状有機水素吸蔵化合物に対する高い脱水素効率を有し得る、
(2)液状有機水素吸蔵化合物に対するより高い脱水素転化率を有し得る、
(3)液状有機水素吸蔵化合物に対するより高い脱水素選択性を有し得る、
(4)水素吸蔵金属におけるより高い水素吸着効率を有し得る、
(5)有機物が存在する場合、水素吸蔵金属は好適な水素吸着効率を示す、
(6)有機物の脱水素と、冷却分離と、水素吸蔵性合金の水素吸着との組み合わせにより、有機物の脱水素による転化率を向上させる効果を奏し得る、
(7)有機原料の脱水素と水素吸蔵性合金の水素吸着との適合が、より効率的になる。
【0124】
本発明によって提供される有機物を脱水素して水素ガスを生成するための脱水素触媒は、脱水素活性、水素ガス選択性及び/又は水素ガス生成速度が高いという利点を有する。
【0125】
本発明によって提供される有機物を脱水素して水素ガスを生成するための脱水素触媒は、一部の貴金属の代わりに非貴金属を用いることができ、貴金属の使用量を低減するとともに、脱水素活性、水素ガス選択性及び/又は水素ガス生成速度を高く維持することができる。
【0126】
本発明によって提供される触媒は、水素吸蔵有機化合物の脱水素による水素ガス生成、特に、例えばシクロアルカン環又はヘテロ環含有有機物のような環含有有機物の脱水素による水素ガス生成に用いることができ、転化率、選択性及び/又は水素ガス生成速度が高い。
【0127】
本発明によれば、結晶相としての改質用金属酸化物のパーセンテージ含量は、X線回折法及び位相フィルタリングを改修したRietveldモデルを用い、結晶相としての改質用金属酸化物の重量%含量を近似法にて算出する方法により、測定してもよい。位相フィルタリングは、RV.Siriwardane,J.A.Poston,G.Evans,Jr.Ind.Eng.Chem.Res.33(1994),2810-2818に基づき、改修したRietveldモデルは、RIQAS rietveld Analysis,ガイドブック,Material Data,Inc.,Berkley,CA(1999)に基づく。
【0128】
本発明によれば、改質用金属酸化物の化学組成のパーセンテージ含量は、担体組成物中の改質用金属酸化物の全量であり、改質用金属酸化物の化学組成のパーセンテージ含量をX線蛍光分析法又は化学分析法で測定してもよい。
【0129】
本発明によれば、担体組成物の表面における改質用金属酸化物の重量%含量はXPS法で測定し、測定される表層の厚さは外表面から厚さ5nmの範囲内である。
【0130】
また、本発明は、以下の技術的構成も提供する:
〔1〕有機物を脱水素して水素ガスを生成するための触媒における担体組成物であって、当該担体組成物は、アルミナ及び改質用金属酸化物を含み、
改質用金属酸化物は、チタン酸化物及び/又はジルコニウム酸化物であり、
改質用金属酸化物のηは、η<0.3(η=担体組成物中の改質用金属酸化物の結晶相の重量%含量/担体組成物中の改質用金属酸化物の化学組成物の重量%含量;チタン酸化物はTiOとして算定され、ジルコニウム酸化物はZrOとして算定される)である、担体組成物。
【0131】
〔2〕η=0、好ましくは、第1金属酸化物はアルミナ基質上に単層として分散している、構成〔1〕に記載の担体組成物。
【0132】
〔3〕前記担体組成物において、アルミナの質量分率が80~98.5%、好ましくは83~97.5%又は85~95%又は90~95%であり、改質用金属酸化物の質量分率は1.5~20%、好ましくは2.5~17%又は5~15%又は5~10%である、構成〔1〕に記載の担体組成物。
【0133】
〔4〕改質用金属酸化物はチタン酸化物を含み、好ましくは担体組成物において、二酸化チタンの質量分率が好ましくは2~20%、例えば5~15%又は5~10%又は2.5~17%であり、二酸化ジルコニウムの質量分率が好ましくは0~8%、例えば0~6%又は0~3%又は1~6%である、構成〔3〕に記載の担体組成物。
【0134】
〔5〕TiOの純粋相と比較して、担体組成物のXPSスペクトルにおいて、Tiの2P3/2軌道電子結合エネルギーのシフトが存在し、当該結合エネルギーの458.8eVにおけるピークが高結合エネルギー側へ0.6~0.7eVシフトして459.4~459.5eVとなり、及び/又は、Tiの2P1/2軌道電子結合エネルギーの464.5eVにおけるピークが高結合エネルギー側へ0.8~0.9eVシフトして465.3~465.4eVとなっている、構成〔4〕に記載の担体組成物。
【0135】
〔6〕酸化物基質は、γ-アルミナ、η-アルミナ、ρ-アルミナ又はχ-アルミナのうち少なくとも1種類の相構造を有する、構成〔1〕に記載の担体組成物。
【0136】
〔7〕担体組成物の比表面積が100~350m/gである、構成〔1〕に記載の担体組成物。
【0137】
〔8〕前記担体組成物の細孔容積が0.3~1.3mL/gである、構成〔1〕に記載の担体組成物。
【0138】
〔9〕アルミナ基質を、ガスによって運ばれる改質用金属酸化物前駆体のガス流と接触させ、所定の四塩化チタン担持量となったとき、ガスによって運ばれる改質用金属酸化物前駆体のガス流の導入を停止し、改質用金属酸化物前駆体としての酸化チタン前駆体及び/又は酸化ジルコニウム前駆体を担持しているアルミナ基質を得る工程(1)と、
改質用金属酸化物前駆体を担持しているアルミナ基質を加水分解し、焼成し、担体組成物を得る工程(2)と、を含む、担体組成物の調製方法。
【0139】
〔10〕前記酸化チタン前駆体は、四塩化チタン、エチルチタネート、イソプロピルチタネート、酢酸チタン、及びこれらの混合物から選ばれ、好ましくは四塩化チタンであり、前記酸化ジルコニウム前駆体は、四塩化ジルコニウム、ジルコニウムエトキシド、ジルコニウムメトキシド、ジルコニウムイソプロポキシド、テトラブチルジルコネート、及びこれらの混合物から選ばれ、好ましくは四塩化ジルコニウム及び/又はジルコニウムメトキシドである、構成〔9〕に記載の担体組成物の調製方法。
【0140】
〔11〕アルミナ基質は、γ-アルミナ、η-アルミナ、ρ-アルミナ及びχ-アルミナのうち1つ又は複数である、構成〔9〕に記載の担体組成物の調製方法。
【0141】
〔12〕前記アルミナ基質の比表面積が100~350m/gであり、好ましくは、アルミナ基質の比表面積と比較して、得られる担体組成物の比表面積の減少割合が≦10%である、構成〔9〕に記載の担体組成物の調製方法。
【0142】
〔13〕前記アルミナ基質の細孔容積が0.3~1.3mL/gである、構成〔9〕に記載の担体組成物の調製方法。
【0143】
〔14〕ガスは無水不活性ガスであり、無水不活性ガス中の含水量は10ppm以下である、構成〔9〕に記載の担体組成物の調製方法。好ましくは、ガスによって運ばれる改質用金属酸化物前駆体の前記ガス流中の、改質用金属酸化物前駆体(金属酸化物として算定される)の含量は0.1~3g/Lである。
【0144】
〔15〕工程(1)において、前記ガスの温度は室温~350℃、例えば室温~300℃、又は15~300℃である、構成〔9〕に記載の担体組成物の調製方法。
【0145】
〔16〕工程(1)において、接触における圧力は0.05~5atm、例えば1~3atmである、構成〔9〕に記載の担体組成物の調製方法。
【0146】
〔17〕アルミナ基質の体積に対する、ガスの1分間当たりの体積流量の比率は、3~80:1、例えば5~30:1、好ましくは10~25:1であり、ガスの体積は標準状態下での体積として算定され、アルミナ基質の体積は嵩体積として算定される、構成〔9〕に記載の担体組成物の調製方法。
【0147】
〔18〕アルミナ基質が、ガスによって運ばれる改質用金属酸化物前駆体のガス流と接触するとき、アルミナ基質は流動化条件下又は撹拌下にあり、流動化条件下は、例えばバブリング床、乱流床、高速床又は運搬床であり得る、構成〔9〕に記載の担体組成物の調製方法。
【0148】
〔19〕工程(2)において、改質用金属酸化物前駆体を担持しているアルミナ基質の加水分解は、改質用金属酸化物前駆体を担持しているアルミナ基質を水蒸気含有ガスと接触させることにより行われる、構成〔9〕に記載の担体組成物の調製方法。一実施形態において、水蒸気含有ガスが接触するアルミナ基質に対する、当該水蒸気含有ガスの比率(標準状態下で、アルミナ基質の嵩体積に対する水蒸気含有ガスの体積の比率)は3~80:1、例えば5~30:1、好ましくは10~25:1であり、総ガス体積のうち、水蒸気含有ガスの水蒸気が占める割合が0.1体積%~100体積%、好ましくは3体積%~100体積%、より好ましくは10体積%~70体積%であり、水蒸気以外の他のガスが不活性ガス又は空気であり得る。加水分解時間は、例えば1時間~50時間、好ましくは2時間~30時間である。通常、加水分解時間は、担持時間(担持時間とは、アルミナ基質と、ガスによって運ばれる改質用金属酸化物前駆体のガス流とが接触する時間を指す)以上である。
【0149】
〔20〕前記焼成は、焼成温度が350℃~700℃であり、焼成時間が0.5~12時間である、構成〔9〕に記載の担体組成物の調製方法。
【0150】
〔21〕有機物を脱水素して水素ガスを生成するための触媒であって、前記触媒は、アルミナ及び改質用金属酸化物を含む担体と、活性金属成分とを含み、改質用金属酸化物は、チタン酸化物及び/又はジルコニウム酸化物であり、活性金属成分は、活性金属の酸化物及び/又は活性金属の単体である、触媒。前記活性金属は、例えばVIIIB族金属、VIIB族金属、VB族金属、VIB族金属、IB族金属、希土類元素、アルカリ土類金属、IVA族金属のうち1つ又は複数であり;
好ましくは、活性金属は、Pt及び/又はNiを含み、任意的に他の元素を含む。好ましくは、他の元素はV、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Ce、W、Mo、Sn、Ca、Pt、Pd、Ru、Re、Rh、Ir、Os、Zn、P及びInのうち1つ又は複数である。好ましくは、担体は、構成〔1〕~〔8〕のいずれか1つに記載の担体組成物、又は、構成〔9〕~〔20〕のいずれか1つに記載の方法により調製される担体組成物である。
【0151】
〔22〕有機物を脱水素して水素ガスを生成するための触媒であって、担体と、担持された活性金属成分とを含み、前記担体は、構成〔1〕~〔8〕のいずれか1つに記載の担体組成物、又は、構成〔9〕~〔20〕のいずれか1つに記載の方法により調製される担体組成物であり、活性金属は、Ptを含み、任意的に他の金属を含み、他の金属は貴金属又は非貴金属であり得、前記他の金属は元素Pd、Ru、Re、Rh、Ir、Os、Sn、V、Mo、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Ce、W、Cu及びCaのうち1つ又は複数である、触媒。
【0152】
〔23〕触媒中、活性金属の含量が0.1~20重量%、例えば0.1~15重量%であり、担体の含量が85~99.9重量%であり、Ptの含量が0.1~10重量%である、構成〔22〕に記載の触媒。なお、本発明の触媒の組成において、活性金属の含量については、貴金属は単体として算定され、非貴金属は酸化物として算定される。
【0153】
〔24〕他の金属はPd、Ru、Re、Rh、Ir及びOsのうち1つ又は複数である、構成〔22〕に記載の触媒。
【0154】
〔25〕触媒中、前記活性金属の含量が0.1~10重量%、好ましくは0.5~8重量%であり、前記担体の含量が90~99.9重量%、好ましくは92~99.5重量%である、構成〔24〕に記載の触媒。
【0155】
〔26〕触媒中、Ptの含量が0.1~2重量%、例えば0.3~1.5重量%又は0.5~1重量%であり、前記他の金属の含量が0~9.9重量%、例えば0.1~2、又は0.2~1重量%又は0.1~0.8重量%であり、前記担体の含量が好ましくは90~99.9重量%、例えば96~99.6重量%、又は98~99.5重量%又は98.5~99.3重量%である、構成〔25〕に記載の触媒。
【0156】
〔27〕他の金属はSn、V、Mo、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Ce、W、Cu及びCaのうち1つ又は複数である、構成〔22〕に記載の触媒。
【0157】
〔28〕触媒中、Ptの含量が0.1~10重量%であり、前記他の金属の含量が0~15重量%である、構成〔27〕に記載の触媒。
【0158】
〔29〕触媒中、Ptの含量が0.1~2重量%、例えば0.5~1.5重量%であり、他の金属の含量が0~15重量%、例えば1~10重量%、又は2~8重量%又は3~7重量%であり、前記担体の含量が好ましくは85~99.9重量%、例えば90~99重量%、又は90~98重量%又は92~97重量%である、構成〔28〕に記載の触媒。
【0159】
〔30〕有機物を脱水素して水素ガスを生成するための触媒であって、担体と、担持された活性金属成分とを含み、前記担体は、構成〔1〕~〔8〕のいずれか1つに記載の担体組成物、又は、構成〔9〕~〔20〕のいずれか1つに記載の方法により調製される担体組成物であり、活性金属は、ニッケルを含み、任意的に他の金属を含み、前記他の金属はZn、Sn、Cu、Fe、Ag、p、In、Re、Mo、Co、Ca及びWのうち1つ又は複数である、触媒。
【0160】
〔31〕触媒中、前記活性金属の質量分率が5%~30%であり、担体の質量分率が70~95%であり、担体の質量分率が好ましくは75~90%、活性金属の質量分率が好ましくは10%~25%である、構成〔30〕に記載の触媒。
【0161】
〔32〕触媒中、ニッケル(酸化物として算定される)の含量が5~25重量%、好ましくは6~20重量%、例えば7~15重量%、又は7~12重量%又は8~11重量%であり、他の金属(酸化物として算定される)の含量が0~15重量%、好ましくは0~10重量%、例えば0.5~8重量%又は1~5重量%である、構成〔30〕に記載の触媒。
【0162】
〔33〕構成〔21〕~〔32〕のいずれか1つに記載の触媒の調製方法であって、
活性金属成分前駆体を水に溶解したものを担体に含浸させ、活性金属成分前駆体が含浸した担体を得る工程(1)と、
活性金属成分前駆体が含浸した担体を乾燥及び焼成する工程(2)と、を含み、
好ましくは、前記担体は、構成〔1〕~〔8〕のいずれか1つに記載の担体組成物、又は、構成〔9〕~〔20〕のいずれか1つに記載の方法により調製される担体組成物である、触媒の調製方法。
【0163】
〔34〕活性金属は非貴金属を含み、工程(2)において、活性金属成分前駆体が含浸した担体を、-40℃未満の環境に1時間~24時間置いた後、担体上に吸着した水を真空乾燥により除去し、焼成し、触媒組成物を得る、構成〔33〕に記載の触媒の調製方法。
【0164】
〔35〕前記活性金属成分前駆体は、金属硝酸塩、金属塩化物、金属酢酸塩、金属炭酸塩、金属酢酸塩錯体、金属水酸化物、金属シュウ酸塩錯体、高原子価金属酸塩のうち1つ又は複数である、構成〔33〕に記載の触媒の調製方法。
【0165】
〔36〕工程(2)における前記焼成は、焼成温度が400~700℃であり、焼成時間が好ましくは0.5~12時間である、構成〔32〕に記載の触媒の調製方法。
【0166】
〔37〕触媒組成物の使用方法であって、水素吸蔵有機化合物を、構成〔21〕~〔32〕のいずれか1つに記載の前記脱水素触媒、又は、構成〔33〕~〔36〕のいずれか1つに記載の方法により調製される脱水素触媒と接触させ、脱水素反応により水素ガスを生成する工程を含む、方法。
【0167】
〔38〕脱水素反応の温度は150~450℃であり、時間当たりの重量空間速度は0.5~50h-1であり、反応圧力は0.3~5MPaであり、接触は水素ガスの存在下又は非存在下で行われ、水素対油比(水素吸蔵有機化合物に対する、脱水素反応器に導入された水素ガスのモル比)は0~10である、構成〔37〕に記載の方法。
【0168】
〔39〕水素吸蔵有機化合物は、シクロアルカン環を含有する飽和又は不飽和炭化水素であり、例えば、水素吸蔵有機化合物はシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ビ(シクロヘキサン)、デカヒドロカルバゾール、ドデカヒドロエチルカルバゾール、インドリン、4-アミノピペリジン、ピペリジン-4-カルボキサミド、ペルヒドロ-4,7-フェナントロリン、2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン、2,6-ジメチルデカヒドロ-1,5-ナフチリジン、1,2-BN-シクロヘキサン、3-メチル-1,2-BN-シクロペンタンのうち1つ又は複数である、構成〔37〕に記載の方法。
【0169】
また、本発明は、さらに以下の技術的構成も提供する:
〔1〕高純度水素ガスの供給方法であって、
液状有機水素吸蔵原料を脱水素触媒と接触させて反応させ、水素ガスを含有する脱水素反応生成物を得る工程と、
脱水素反応生成物を冷却して液体生成物及び水素リッチな気体生成物を得、当該液体生成物を回収する工程と、
水素リッチな気体を水素吸蔵性合金と接触させて水素含有合金を得、吸着されていない気体を回収する工程と、
任意的に、水素含有合金の格納容器内の有機物を除去する工程と、
水素含有合金を加熱して水素ガスを放出させ、高純度水素ガスを得る工程と、を含む方法。
【0170】
〔2〕水素リッチな気体は、水素リッチな気体生成物、又は、水素リッチな気体生成物に対する更なる分離により得られる水素ガス含有気体であり、更なる分離の方法は、温度スイング分離、膜分離、圧力スイング吸着分離、又はそれらの組み合わせを含む、構成〔1〕に記載の方法。
【0171】
〔3〕水素リッチな気体中の水素ガスの質量分率は≧80%、例えば80~99%、好ましくは≧85%、より好ましくは≧90%である、構成〔1〕又は〔2〕に記載の方法。
【0172】
〔4〕前記水素リッチな気体と水素吸蔵性合金との接触における温度は、-70~100℃、好ましくは-50~90℃、より好ましくは-30~80℃である、構成〔1〕に記載の方法。
【0173】
〔5〕脱水素反応生成物を冷却する温度は、有機物の沸点よりも低く、好ましくは当該液体生成物のうち、常温常圧下で液体となる最も沸点の低い有機物の沸点よりも低い、構成〔1〕に記載の方法。
【0174】
〔6〕水素吸蔵性合金との接触時、水素リッチな気体の温度は、液状有機水素吸蔵原料の常圧下での沸点よりも低い、構成〔1〕~〔5〕のいずれか1つに記載の方法。
【0175】
〔7〕水素吸蔵性合金の数は1つ又は複数であり得、複数の水素吸蔵性合金は混合形態で用いられ得、直列形態、並列形態、又は直列と並列との複合形態で用いられ得、好ましくは、水素リッチな気体と水素吸蔵性合金との接触における圧力は、0.001~5MPa、例えば0.01~5MPa、又は0.03~4MPa、又は0.05~5MPa、又は0.08~2MPa、又は0.005~3MPa、又は0.1~1MPaである、構成〔1〕に記載の方法。
【0176】
〔8〕前記水素リッチな気体と水素吸蔵性合金との接触は、1つ又は複数の水素吸蔵性合金の格納容器内で行われ、水素リッチな気体と水素吸蔵性合金との接触における圧力は0.05~5MPa、好ましくは0.1~1MPaであり、
水素吸蔵性合金の格納容器が複数存在し且つ直列に接続された水素吸蔵容器が存在する場合、好ましくは、水素リッチな気体の流れ方向における最下流の水素吸蔵性合金と接触する接触圧力は0.05~5MPa、好ましくは0.1~1MPaである、構成〔1〕に記載の方法。
【0177】
〔9〕水素吸蔵性合金の格納容器の数は1つ又は複数であり、水素ガスとの接触順で最後に水素ガスと接触する水素吸蔵性合金の格納容器内の水素吸蔵性合金は高平衡圧を有する水素吸蔵性合金であり、高平衡圧を有する水素吸蔵性合金は、150~450℃の温度範囲内に、水素ガスの吸着における平衡圧が35MPa以上となる温度点が少なくとも1つ存在し、好ましくは、少なくとも1つの水素吸蔵性合金の格納容器内の水素吸蔵性合金が、高平衡圧を有する水素吸蔵性合金である、構成〔1〕に記載の方法。
【0178】
〔10〕水素含有合金に水素ガスを放出させ、放出された水素ガスを他の水素吸蔵性合金と接触させて水素含有合金を形成させるプロセスをさらに含み、当該プロセスは、1回又は複数回行われ、少なくとも最後の1回の当該プロセスにおいて用いられる水素吸蔵性合金が、高平衡圧を有する水素吸蔵性合金である、構成〔1〕に記載の方法。
【0179】
〔11〕水素吸蔵性合金は、希土類系AB型、ジルコニウムチタン系AB型、チタン系AB型、マグネシウム系AB型及びバナジウム系固溶体型の合金のうち1つ又は複数である、構成〔1〕~〔10〕のいずれか1つに記載の方法。
【0180】
〔12〕希土類系AB型水素吸蔵性合金を具体的に示す分子式は、MNix1Cox2Mnx3Fex4Alx5Snx6であり、4.5≦x1+x2+x3+x4+x5+x6≦5.5、3≦x1≦5.5、好ましくは3≦x1≦4.9、0≦x2≦1.5、好ましくは0.1≦x2≦1、0≦x3≦0.8、好ましくは0.1≦x3≦0.6、0≦x4≦0.8、好ましくは0.1≦x4≦0.6、0≦x5≦0.75、好ましくは0≦x5≦0.5、0≦x6≦0.2、好ましくは0≦x6≦0.15であり、MはLa、Ce、Pr、Nd及びYを含み、M=Lay1Cey2Ndy3Pry4y5の式で示される混合希土類金属であり、y1+y2+y3+y4+y5=1、0.4≦y1≦1、好ましくは0.4≦y1≦0.8、0≦y2≦0.45、好ましくは0.1≦y2≦0.45、0≦y3≦0.2、0≦y4≦0.05、0≦y5≦0.05である、構成〔11〕に記載の方法。
【0181】
〔13〕ジルコニウムチタン系AB型水素吸蔵性合金において、A=Mgx1Cax2Tix3Zrx4x5Lax6、x1+x2+x3+x4+x5+x6=0.9~1.1、0≦x1≦1.1、好ましくは0.90≦x1≦1.05、0≦x2≦0.7、好ましくは0≦x2≦0.25、0≦x3≦1.05、好ましくは0.8≦x3≦1、0≦x4≦1.05、好ましくは0.85≦x4≦1、0≦x5≦0.2、好ましくは0≦x5≦0.05、0≦x6≦0.2、好ましくは0≦x6≦0.05、且つ、x3/(x3+x4)≧0.7、又は、x3/(x3+x4)≦0.3であり;B=Vy1Cry2Mny3Fey4Coy5Niy6Cuy7、y1+y2+y3+y4+y5+y6+y7=1.9~2.1、0≦y1≦2.1、好ましくは0≦y1≦1.8、0≦y2≦2.1、好ましくは0≦y2≦1.85、0≦y3≦2.1、好ましくは0≦y3≦2.05、0≦y4≦1.6、好ましくは0≦y4≦1.5、0≦y5≦0.5、好ましくは0≦y5≦0.3、0≦y6≦0.5、好ましくは0≦y6≦0.3、0≦y7≦0.5、好ましくは0≦y7≦0.2、且つ、1.7≦y1+y2+y3+y4≦2.1である、構成〔11〕に記載の方法。
【0182】
〔14〕AB型水素吸蔵性合金において、A=Tix1Zrx2x3Lax4、x1+x2+x3+x4=0.85~1.1、0≦x1≦1.1、好ましくは0.90≦x1≦1.05、0≦x2≦1.1、好ましくは0≦x2≦0.5、0≦x3≦0.2、好ましくは0≦x3≦0.05、0≦x4≦0.2、好ましくは0≦x4≦0.05であり;B=Vy1Cry2Mny3Fey4Coy5Niy6Cuy7、y1+y2+y3+y4=0.95~1.05、0≦y1≦0.5、好ましくは0≦y1≦0.2、0≦y2≦0.8、好ましくは0≦y2≦0.2、0≦y3≦0.8、好ましくは0.05≦y3≦0.3、0<y4≦1.05、好ましくは0.7≦y4≦1.05、0≦y5≦0.35、好ましくは0≦y5≦0.10、0≦y6≦0.45、好ましくは0≦y6≦0.20、0≦y7≦0.3、好ましくは0≦y7≦0.2である、構成〔11〕に記載の方法。
【0183】
〔15〕バナジウム系固溶体型水素吸蔵性合金を具体的に示す分子式は、Ax1x2であり、x1+x2=1、0.85≦x1≦0.95、好ましくは0.90≦x1≦0.95、0.05≦x2≦0.15、好ましくは0.05≦x2≦0.10であり;A=Tiy1y2Zry3Nby4y5Lay6Cay7、y1+y2+y3+y4+y5+y6+y7=1、0≦y1≦0.9、好ましくは0≦y1≦0.8、0≦y2≦0.95、好ましくは0≦y2≦0.95、0≦y3≦0.90、好ましくは0≦y3≦0.8、0≦y4≦0.55、好ましくは0≦y4≦0.4、0≦y5≦0.2、好ましくは0.25≦y5≦0.05、0≦y6≦0.1、好ましくは0≦y6≦0.05、0≦y7≦0.1、好ましくは0≦y7≦0.05であり;B=Mnz1Fez2Coz3Niz4、z1+z2+z3+z4=1、0≦z1≦1、好ましくは0≦z1≦0.95、0≦z2≦0.95、好ましくは0≦z2≦0.95、0.7≦z1+z2≦1.0、0≦z3≦0.3、好ましくは0≦z3≦0.2、0≦z4≦0.45、好ましくは0≦z4≦0.3である、構成〔11〕に記載の方法。
【0184】
〔16〕水素吸蔵性合金は、第1水素吸蔵性合金と第2水素吸蔵性合金との組み合わせであり、第1水素吸蔵性合金は、水素リッチな気体との接触に用いるマグネシウム系AB型水素吸蔵性合金であり、第2水素吸蔵性合金は、第1水素吸蔵水素ガスの加圧のために用いられ、高平衡圧を有する水素吸蔵性合金である、構成〔1〕又は〔11〕に記載の方法。
【0185】
〔17〕第2水素吸蔵性合金は、希土類系AB型、ジルコニウムチタン系AB型、及びチタン系AB型の合金のうち1つ又は複数である、構成〔16〕に記載の方法。
【0186】
〔18〕先ず、水素リッチな気体を第1水素吸蔵性合金に通すことで不純物を分離し、その後、第1水素吸蔵性合金から放出された高純度水素ガスを第2水素吸蔵性合金と接触させ、その後、高圧下で第2水素吸蔵性合金に水素ガスを放出させる、構成〔1〕又は〔16〕に記載の方法。
【0187】
〔19〕第1水素吸蔵性合金の水素放出温度は、第2水素吸蔵性合金の水素吸着温度よりも高く、それらの温度差は、好ましくは≧100℃、好ましくは350℃≧温度差≧150℃である、構成〔16〕に記載の方法。
【0188】
〔20〕第1水素吸蔵性合金及び第2水素吸蔵性合金は、異なる水素吸蔵性合金の貯蔵タンク内に存在し、且つ第1水素吸蔵性合金の貯蔵タンクと第2水素吸蔵性合金の貯蔵タンクとの間に熱交換システムが存在する、構成〔16〕に記載の方法。
【0189】
〔21〕前記AB型の第1水素吸蔵性合金を具体的に示す分子式において、A=Mgx1Cax2Tix3Lax4x5、x1+x2+x3=1.9~2.1、1.5≦x1≦2.1、好ましくは1.70≦x1≦2.05、0≦x2≦0.5、好ましくは0≦x2≦0.2、0≦x3≦0.8、好ましくは0≦x3≦0.50であり;B=Cry1Fey2Coy3Niy4Cuy5Moy6、y1+y2+y3+y4+y5+y6=0.9~1.1、0≦y1≦0.30、好ましくは0≦y1≦0.2、0≦y2≦0.20、好ましくは0≦x2≦0.10、0≦y3≦1.1、好ましくは0≦y3≦1、0≦y4≦1.1、好ましくは0≦y4≦1.05、0≦y5≦0.4、0≦y6≦0.15、好ましくは0≦y6≦0.10であり;
前記AB型の第2水素吸蔵性合金を具体的に示す分子式は、MNix1Cox2Mnx3Fex4Alx5Snx6であり、4.5≦x1+x2+x3+x4+x5+x6≦5.5、3≦x1≦5.5、好ましくは3≦x1≦4.9、0≦x2≦1.5、好ましくは0.1≦x2≦1、0≦x3≦0.8、好ましくは0.1≦x3≦0.6、0≦x4≦0.8、好ましくは0.1≦x4≦0.6、0≦x5≦0.75、好ましくは0≦x5≦0.5、0≦x6≦0.2、好ましくは0≦x6≦0.15であり;MはLa、Ce、Pr、Nd及びYを含み、Mm=Lay1Cey2Ndy3Pry4y5の式で示される混合希土類金属であり、y1+y2+y3+y4+y5=1、0.4≦y1≦1、好ましくは0.4≦y1≦0.8、0≦y2≦0.45、好ましくは0.1≦y2≦0.45、0≦y3≦0.2、0≦y4≦0.05、0≦y5≦0.05であり;
ジルコニウムチタン系AB型の第2水素吸蔵性合金において、A=Mgx1Cax2Tix3Zrx4x5Lax6、x1+x2+x3+x4+x5+x6=0.9~1.1、0≦x1≦1.1、好ましくは0.90≦x1≦1.05、0≦x2≦0.7、好ましくは0≦x2≦0.25、0≦x3≦1.05、好ましくは0.8≦x3≦1、0≦x4≦1.05、好ましくは0.85≦x4≦1、0≦x5≦0.2、好ましくは0≦x5≦0.05、0≦x6≦0.2、好ましくは0≦x6≦0.05、且つ、x3/(x3+x4)≧0.7、又は、x3/(x3+x4)≦0.3であり;B=Vy1Cry2Mny3Fey4Coy5Niy6Cuy7、y1+y2+y3+y4+y5+y6+y7=1.9~2.1、0≦y1≦2.1、好ましくは0≦y1≦1.8、0≦y2≦2.1、好ましくは0≦y2≦1.85、0≦y3≦2.1、好ましくは0≦y3≦2.05、0≦y4≦1.6、好ましくは0≦y4≦1.5、0≦y5≦0.5、好ましくは0≦y5≦0.3、0≦y6≦0.5、好ましくは0≦y6≦0.3、0≦y7≦0.5、好ましくは0≦y7≦0.2、且つ、1.7≦y1+y2+y3+y4≦2.1であり;
チタン系AB型の第2水素吸蔵性合金において、A=Tix1Zrx2x3Lax4、x1+x2+x3+x4=0.85~1.1、0≦x1≦1.1、好ましくは0.90≦x1≦1.05、0≦x2≦1.1、好ましくは0≦x2≦0.5、0≦x3≦0.2、好ましくは0≦x3≦0.05、0≦x4≦0.2、好ましくは0≦x4≦0.05であり;B=Vy1Cry2Mny3Fey4Coy5Niy6Cuy7、y1+y2+y3+y4=0.95~1.05、0≦y1≦0.5、好ましくは0≦y1≦0.2、0≦y2≦0.8、好ましくは0≦y2≦0.2、0≦y3≦0.8、好ましくは0.05≦y3≦0.3、0<y4≦1.05、好ましくは0.7≦y4≦1.05、0≦y5≦0.35、好ましくは0≦y5≦0.10、0≦y6≦0.45、好ましくは0≦y6≦0.20、0≦y7≦0.3、好ましくは0≦y7≦0.2である、構成〔16〕又は〔17〕に記載の方法。
【0190】
〔22〕水素リッチな気体と第1水素吸蔵性合金との接触における温度は20~150℃、水素ガス分圧は0.001~0.1MPaであり、第1水素吸蔵性合金から水素ガスが放出される温度(水素放出温度)は150~450℃、水素放出における水素ガス分圧は0.1~5MPaである、構成〔16〕に記載の方法。
【0191】
〔23〕第2水素吸蔵性合金の水素吸着温度は-70~100℃、水素吸着における水素ガス分圧は0.1~5MPa、第2水素吸蔵性合金の水素放出温度は150~450℃、水素放出における水素分圧は≧35MPa、例えば35~100MPaである、構成〔16〕又は〔22〕に記載の方法。
【0192】
〔24〕水素リッチな気体と第1水素吸蔵性合金との接触における水素吸着温度は好ましくは50~100℃であり、水素ガス分圧は好ましくは0.001~0.03MPaであり、第1水素吸蔵性合金の水素放出温度は好ましくは200~350℃であり、水素放出における水素ガス分圧は好ましくは0.1~1MPaであり;第2水素吸蔵性合金が水素ガスを吸着する水素吸着温度は好ましくは-30~100℃であり、水素吸着における水素ガス分圧は好ましくは0.1~1MPaであり、第2水素吸蔵性合金の水素放出温度は好ましくは200~350℃であり、水素放出における水素分圧は好ましくは≧35MPaである、構成〔16〕又は〔22〕に記載の方法。
【0193】
〔25〕水素吸蔵性合金から水素ガスを放出させる温度(水素吸蔵性合金を加熱する温度;水素放出温度と略称する)は150~450℃であり、放出される水素ガスの圧力は、高純度高圧水素ガスを得るために≧35MPa、例えば35~100MPaであるか、又は水素放出における水素ガス分圧は、高純度水素ガスを得るために0.1~5MPaであり、水素放出温度は水素吸着温度よりも高い、構成〔1〕に記載の方法。
【0194】
〔26〕例えば、水素ガスを用いたパージ法により水素含有合金中の有機物を除去し、当該パージ法としては、例えば、水素吸蔵性合金における吸着量が所定量となった後、水素吸蔵性合金への水素リッチな気体の供給を停止し、水素ガスを水素含有合金に通すことで水素含有合金及び(水素吸蔵性合金の格納容器とも言う)内の有機ガスを追い出し、当該有機ガスを貯蔵タンクに導入して貯蔵するか、又は当該有機ガスを他の水素吸蔵性合金の格納容器内の水素吸蔵性合金に吸着させ、パージ用水素ガスの純度は好ましくは90重量%を超え、より好ましくは95重量%を超え、例えば99重量%を超える、構成〔1〕に記載の方法。
【0195】
〔27〕液状有機水素吸蔵原料と脱水素触媒との接触反応における反応温度は、150~450℃、好ましくは200~400℃、より好ましくは300~350℃である、構成〔1〕に記載の方法。
【0196】
〔28〕液状有機水素吸蔵原料と脱水素触媒との接触における時間当たりの重量空間速度は、0.5~50h-1、好ましくは1~45h-1、より好ましくは2~30h-1である、構成〔1〕に記載の方法。
【0197】
〔29〕液状有機水素吸蔵原料と脱水素触媒との接触反応における圧力は、0.03~5MPa又は0.3~5MPaであり、好ましくは0.1~3MPa、例えば0.5~2MPa又は0.2~1.6MPaである、構成〔1〕に記載の方法。。
【0198】
〔30〕液状有機水素吸蔵原料と水素ガスとを混合したものを脱水素触媒と接触させる場合、水素対炭化水素比(液状有機水素吸蔵原料に対する水素ガスのモル比)は、0~10である、構成〔1〕に記載の方法。
【0199】
〔31〕水素ガスの存在下又は非存在下の有機液体脱水素反応、有機液体脱水素反応における温度は150~450℃であり、時間当たりの重量空間速度は0.5~50h-1であり、反応圧力は0.3~5MPaであり、水素対炭化水素比は0~10モル比であり、好ましくは、反応温度は200~400℃であり、時間当たりの重量空間速度は1~30h-1であり、水素対炭化水素比は0~8モル比である、構成〔1〕に記載の方法。
【0200】
〔32〕脱水素触媒は金属担持型触媒であり、金属担持型触媒は、担体と、担持された活性金属成分とを含み、前記担体、前記活性金属は、好ましくは、VIII族金属のうち1つ又は複数の金属を含み、より好ましくは、活性金属成分は、第1活性金属及び任意的に第2活性金属を含み、前記第1活性金属はPt、Pd、Ru、Rh及びIrのうち1つ又は複数であり、前記第2活性金属はNi、Re、Sn、Mo、Cu、Fe、Ca、Co及びWのうち1つ又は複数であり、好ましくは、前記第2活性金属はNi、Re及びSnのうち1つ又は複数であり、より好ましくは、第1活性金属はPtを含むか;
又は、
脱水素触媒は、担体と、担持された活性金属成分とを含む。担体はアルミナ、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、活性炭及びケイ素アルミニウム材料のうち1つ又は複数から選ばれ、活性金属はNi、Zn、Sn、Cu、Fe、Ag、p、In、Re、Mo、Co、Ca及びWの少なくとも2つの金属から選ばれ、より好ましくはNi、Zn、Sn及びCuの2つ又は2つ以上であり、若しくは、活性金属は、Niと、Zn、Sn、Cu、Fe、Ag、p、In、Re、Mo、Co、Ca及びWから選ばれる1つ又は複数と、を含む、構成〔1〕に記載の方法。
【0201】
〔33〕脱水素触媒中、担体の質量分率は70~99.9%、金属成分の質量分率は0.1~30%である、構成〔32〕に記載の方法。
【0202】
〔34〕脱水素触媒は担体及び活性金属成分を含み、担体は担体組成物であり、担体組成物はアルミナ及び改質用金属酸化物を含み、改質用金属酸化物はチタン酸化物及び/又はジルコニウム酸化物であり、改質用金属酸化物はη<0.3であり、η=担体組成物中の改質用金属酸化物の結晶相の重量%含量/担体組成物中の改質用金属酸化物の化学組成物の重量%含量;チタン酸化物はTiOとして算定され、ジルコニウム酸化物はZrOとして算定される、構成〔1〕に記載の方法。
【0203】
〔35〕担体組成物はη=0であり、好ましくは第1金属酸化物がアルミナ基質上に単層として分散している、構成〔34〕に記載の方法。
【0204】
〔36〕前記担体組成物において、アルミナの質量分率が80~98.5%、好ましくは83~97.5%、85~95%又は90~95%であり、改質用金属酸化物の質量分率が1.5~20%、好ましくは2.5~17%、5~15%又は5~10%である、構成〔34〕に記載の方法。
【0205】
〔37〕改質用金属酸化物はチタン酸化物を含み、好ましくは、担体組成物において、二酸化チタンの質量分率が好ましくは2~20%、例えば5~15%又は5~10%又は2.5~17%であり、二酸化ジルコニウムの質量分率が好ましくは0~8%、例えば0~6%又は0~3%又は1~6%である、構成〔34〕に記載の方法。
【0206】
〔38〕TiOの純粋相と比較して、担体組成物のXPSスペクトルにおいて、Tiの2P3/2軌道電子結合エネルギーのシフトが存在し、当該結合エネルギーの458.8eVにおけるピークが高結合エネルギー側へ0.6~0.7eVシフトして459.4~459.5eVとなり、及び/又は、Tiの2P1/2軌道電子結合エネルギーの464.5eVにおけるピークが高結合エネルギー側へ0.8~0.9eVシフトして465.3~465.4eVとなっている、構成〔34〕に記載の方法。
【0207】
〔39〕酸化物基質は、γ-アルミナ、η-アルミナ、ρ-アルミナ又はχ-アルミナのうち少なくとも1種類の相構造を有する、構成〔34〕に記載の方法。
【0208】
〔40〕担体組成物の比表面積が100~350m/gである、構成〔34〕に記載の方法。
【0209】
〔41〕前記担体組成物の細孔容積が0.3~1.3ml/gである、構成〔34〕に記載の方法。
【0210】
〔42〕前記脱水素触媒は、アルミナ及び改質用金属酸化物を含む担体と、活性金属成分とを含み、改質用金属酸化物は、チタン酸化物及び/又はジルコニウム酸化物であり、活性金属成分は、活性金属の酸化物及び/又は活性金属の単体である、構成〔1〕又は〔34〕に記載の方法。前記活性金属は、例えばVIIIB族金属、VIIB族金属、VB族金属、VIB族金属、IB族金属、希土類元素、アルカリ土類金属、IVA族金属のうち1つ又は複数であり;
好ましくは、活性金属は、Pt及び/又はNiを含み、任意的に他の元素を含む。好ましくは、他の元素はV、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Ce、W、Mo、Sn、Ca、Pt、Pd、Ru、Re、Rh、Ir、Os、Zn、P及びInのうち1つ又は複数である。
【0211】
〔43〕活性金属は、Ptを含み、任意的に他の金属を含み、他の金属は貴金属又は非貴金属であり得、前記他の金属はPd、Ru、Re、Rh、Ir、Os、Sn、V、Mo、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Ce、W、Cu及びCaのうち1つ又は複数である、構成〔42〕に記載の方法。
【0212】
〔44〕前記脱水素触媒中、活性金属の含量が0.1~20重量%、例えば0.1~15重量%であり、担体の含量が75~99.9重量%であり、Ptの含量が0.1~10重量%である、構成〔42〕に記載の方法。なお、本発明の脱水素触媒の組成において、活性金属の含量については、貴金属は単体として算定され、非貴金属は酸化物として算定される。
【0213】
〔45〕他の金属はPd、Ru、Re、Rh、Ir及びOsのうち1つ又は複数である、構成〔43〕に記載の方法。
【0214】
〔46〕前記脱水素触媒中、前記活性金属の含量が0.1~10重量%、好ましくは0.5~8重量%であり、前記担体の含量が90~99.9重量%、好ましくは92~99.5重量%である、構成〔43〕に記載の方法。
【0215】
〔47〕触媒中、Ptの含量が0.1~2重量%、例えば0.3~1.5重量%又は0.5~1重量%であり、前記他の金属の含量が0~9.9重量%、例えば0.1~2、又は0.2~1重量%又は0.1~0.8重量%であり、前記担体の含量が好ましくは90~99.9重量%、例えば96~99.6重量%、又は98~99.5重量%又は98.5~99.3重量%である、構成〔43〕に記載の方法。
【0216】
〔48〕他の金属元素はSn、V、Mo、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Ce、W、Cu及びCaのうち1つ又は複数である、構成〔43〕に記載の方法。
【0217】
〔49〕触媒中、Ptの含量が0.1~10重量%であり、前記他の金属の含量が0~15重量%である、構成〔43〕に記載の方法。
【0218】
〔50〕触媒中、Ptの含量が0.1~2重量%、例えば0.5~1.5重量%であり、他の金属の含量が0~15重量%、例えば1~10重量%、又は2~8重量%又は3~7重量%であり、前記担体の含量が好ましくは85~99.9重量%、例えば90~99重量%、又は90~98重量%又は92~97重量%である、構成〔43〕に記載の方法。
【0219】
〔51〕活性金属は、ニッケルを含み、任意的に他の金属を含み、前記他の金属はZn、Sn、Cu、Fe、Ag、p、In、Re、Mo、Co、Ca及びWのうち1つ又は複数である、構成〔34〕に記載の方法。
【0220】
〔52〕触媒中、前記活性金属の質量分率が5%~30%であり、担体の質量分率が70~95%であり、担体の質量分率が好ましくは75~90%、活性金属の質量分率が好ましくは10%~25%である、構成〔51〕に記載の方法。
【0221】
〔53〕触媒中、ニッケル(酸化物として算定される)の含量が5~25重量%、好ましくは6~20重量%、例えば7~15重量%、又は7~12重量%又は8~11重量%であり、他の金属(酸化物として算定される)の含量が0~15重量%、好ましくは0~10重量%、例えば0.5~8重量%又は1~5重量%である、構成〔51〕に記載の方法。
【0222】
〔54〕液状有機水素吸蔵原料は、シクロアルカン環を含有し任意的にヘテロ原子を含有する飽和及び/又は不飽和炭化水素であり、ヘテロ原子を含有する水素吸蔵有機化合物は、シクロアルカン環を含有する炭化水素のシクロアルカン環上でヘテロ原子置換が生じて得られる有機物である、構成〔1〕に記載の方法。中でも、液状有機水素吸蔵原料は、好ましくは、ヘテロ環原子を含有せずシクロアルカン環を含有する飽和又は不飽和炭化水素である。より好ましくは、ヘテロ環原子を含有せず、芳香族環及びシクロアルカン環の環の数の合計が2以下である飽和又は不飽和炭化水素である;
よりさらに好ましくは、有機水素吸蔵原料は、ヘテロ環原子を含有せず、芳香族環及びシクロアルカン環の環の数の合計が2以下である飽和又は不飽和炭化水素であり、ヘテロ環原子を含有せずシクロアルカン環を含有する飽和又は不飽和炭化水素は、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ビ(シクロヘキサン)のうち1つ又は複数を含み、ヘテロ原子を含有しシクロアルカン環を含有する飽和又は不飽和炭化水素は、窒素含有ヘテロ環化合物、及び、窒素/ホウ素含有ヘテロ環化合物を含み、窒素含有ヘテロ環化合物は、例えば、デカヒドロカルバゾール、ドデカヒドロエチルカルバゾール、インドリン、4-アミノピペリジン、ピペリジン-4-カルボキサミド、ペルヒドロ-4,7-フェナントロリン、2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン、2,6-ジメチルデカヒドロ-1,5-ナフチリジンのうち1つ又は複数を含み、窒素/ホウ素ヘテロ原子含有不飽和炭化水素は、1,2-BN-シクロヘキサン、及び3-メチル-1,2-BN-シクロペンタンのうち1つ又は複数を含む。
【0223】
〔55〕放出された水素ガスを水素ガス貯蔵タンクに導入して水素ガスを貯蔵する工程、又は、得られた高純度高圧水素ガスを水素燃料電池車両の補給に直接的に用い得る工程をさらに含む、構成〔1〕に記載の方法。
【0224】
〔56〕脱水素反応器内で、脱水素触媒の存在下で液状有機水素吸蔵原料の脱水素反応を行い、水素ガスを含む脱水素反応生成物を得る工程と、
冷却分離装置内で、脱水素反応生成物を冷却して分離し、水素リッチなストリーム及び有機液体を得る工程と、
水素吸蔵性合金の格納容器内で、水素リッチなストリーム、又は精製後の水素リッチなストリームを水素吸蔵性合金と接触させ、水素含有合金を得る工程と、
水素ガスを用いたパージ法により、好ましくは90重量%を超え、より好ましくは95重量%を超える純度のパージ用水素ガスにて、水素吸蔵性合金の格納容器内の有機物を除去する工程と、
水素含有合金を加熱して水素ガスを放出させ、高圧水素ガスを得るとともに、得られた高圧水素ガスを水素消費装置又は貯蔵用の高圧水素ガス貯蔵タンクに供給する工程と、
を含む、高純度高圧水素ガスの高効率分散型製造方法。
【0225】
〔57〕高純度高圧水素ガスの供給システムであって、
液状有機水素吸蔵原料を貯蔵するとともに、脱水素反応器に液状有機水素吸蔵原料を供給する液状有機水素吸蔵原料貯蔵-供給装置と、
液状有機水素吸蔵原料の脱水素により得られた液体生成物を貯蔵する脱水素液体貯蔵装置と、
脱水素触媒の作用下で液状有機水素吸蔵原料の脱水素反応を行い、水素ガスを含む脱水素反応生成物を得る脱水素反応器装置と、
脱水素反応生成物を分離し、水素リッチな気体生成物及び液体生成物を得る冷却分離装置と、
水素吸蔵性合金の格納容器及び水素吸蔵性合金加熱システムを備え、水素リッチな気体を低温低圧下で水素吸蔵性合金と接触させて水素吸着を行い、飽和吸着後、加熱により脱水素を行う水素吸蔵-水素供給装置と、
任意的に、水素吸蔵容器内の有機物の除去のために用いるパージ装置と、
高圧水素ガスを水素消費装置又は水素ガス貯蔵タンクに供給する水素ガス供給装置と、を含む、システム。
【0226】
〔58〕システムは、コンテナの内部と一体化してなるコンテナ型水素製造システムとして水素補給ステーションへ設置されるか、又は、水素補給ステーション内に直接に組み込まれて使用される、構成〔57〕に記載システム。
【0227】
〔59〕水素吸蔵-水素供給装置は、1つ又は複数の水素吸蔵性合金の格納容器を含み、複数の水素吸蔵性合金の格納容器は、並列形態、直列形態、又は、並列と直列との複合形態で連結され得る、構成〔57〕に記載のシステム。
【0228】
〔60〕少なくとも1つの水素吸蔵性合金の格納容器が耐高圧容器であり、及び/又は、水素ガス供給装置が耐高圧装置である、構成〔57〕~〔59〕のいずれか1つに記載のシステム。好ましくは、装置の許容圧力は35MPa以上である。
【0229】
〔61〕輸送車両と、当該輸送車両上に設置された構成〔57〕~〔60〕のいずれか1つに記載の高純度水素ガスの提供システムとを含む、可動型水素供給システム。
【0230】
〔62〕構成〔57〕~〔60〕のいずれか1つに記載の高純度水素ガスの供給システムを含み、且つ高圧水素ガス貯蔵タンクを任意的に含む、分散型水素供給装置。
【0231】
〔実施例〕
以下の実施例は、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明を限定するものではない。
【0232】
(原料及び測定手法)
SB粉末:ドイツのSasol社製、固形分含量 75重量%。
【0233】
P25(二酸化チタン):ドイツのDegussa社製、固形分含量 98重量%。
【0234】
金属酸塩及び金属塩は、シノファーム化学試薬北京Co.,Ltd.から購入した。
【0235】
液状有機水素吸蔵原料は、J&K Scientific Co.,Ltd.から購入した。
【0236】
各実施例及び比較例において、担持型有機液体の脱水素触媒の組成を蛍光X線法により測定し、液状有機水素吸蔵原料の脱水素生成物をクロマトグラフィー分析により得た。水素ガスの純度は、ガスクロマトグラフィーにより分析した。
【0237】
本発明の実施例及び比較例における、有機液体の脱水素試験は、固定床反応器中で行った。
【0238】
分離するために、冷却剤を用いて冷却及び分離を行った。水素吸蔵容器は分離システムの後ろに接続し、エネルギー転送媒体は熱水又は熱水蒸気であり、水蒸気は水蒸気発生器により生成した。
【0239】
以下の実施例では、液状有機水素吸蔵原料の脱水素触媒の担体の調製において、改質用金属酸化物の結晶相のパーセンテージ含量を、以下の方法によって測定した:
40kV及び30mAで駆動されるロングファインフォーカスの銅X線源を備えたPhilips XRG3100発電機、Philips3020デジタルゴニオメーター、Philips3710MPD制御コンピュータ、及びKevex PSI Peltier冷却シリコン検出器を使用して、全てのX線回折測定を行った;Kevex4601イオンポンプコントローラ、Kevex4608Peltier電源装置、Kevex4621検出器バイアス、Kevex4561Aパルスプロセッサ、及びKevex4911-Aシングルチャンネル解析器を使用して、Kevex検出器を動作させた;Philips APD4.1Cバージョンのソフトウェアを使用して、回折パターンを得た;全てのリートベルトの計算は、Material Data,Inc.,Riqas 3.1Cバージョンのソフトウェア(Qutokumpu HSC Chemistry for Windows; User Guide,Qutokumpo Resarch
Oy,Pori,Finland(1999))を使用して行った。
【0240】
以下の実施例において、XPS試験は、Thermo Fisher社製のESCALab250型X線光電子分光装置にて行った。励起源は、1486.6eVのエネルギー、及び150Wの出力を有する単色化AlKαX線であった。狭域走査における透過エネルギーは30eVであった。解析中の基本真空度は、約6.5×10-10mbarであった。結合エネルギーは、汚染炭素のC1sピーク(284.8eV)によって校正した。担体組成物の表面における改質用金属酸化物の重量パーセント含量は、10点のサンプル粒子を測定し、その平均値を取ることによって決定された。
【0241】
以下の実施例において、比表面積及び細孔容積は、アメリカのMicromeritics Instruments社製のASAP2400型自動吸着装置を用いて、静的低温吸着容積法(GB/T5816-1995に準ずる方法)によって測定した。具体的な方法は、下記のとおりであった:被測定試料を、250℃、及び1.33Paにて4時間真空にし、且つ脱気した後、静的吸着が吸着平衡に達するまで、-196℃にて、吸着物である窒素ガスと接触させた;窒素ガスの導入量と、吸着後の気相中の残留窒素ガス量との差分から、吸着剤に吸着された窒素量を算出し、BET式によって比表面積及び細孔容積を算出した。
【0242】
<液状有機水素吸蔵原料の脱水素触媒のための担体の調製>
(担体実施例1)
SB粉末を500℃で4時間焼成し、γ-Alを得た。γ-Alの比表面積は176m/gであり、細孔容積は0.48mL/gであった。
【0243】
上記γ-Al(500g)を流動化反応器(反応器内径:10cm、高さ:40cm)内に入れた。四塩化チタンを20℃の恒温浴に設置し、窒素ガス(温度は25℃)を、10L/minの流量で四塩化チタンに通しながら、流動化反応器の底部から流動化反応器に導入した。流動化を1時間行った後、四塩化チタン浴槽への窒素ガスの導入を停止した。窒素ガス(温度は25℃)を、10L/minの流量で50℃の恒温浴中に設置した脱イオン水に導入しながら、反応器の底部から流動化反応器に導入した。加水分解するために流動化を4時間行い、加水分解された担体を得た。加水分解された担体を空気雰囲気において、550℃にて4時間焼成し、最終的な担体を得た。最終的な担体を担体1と称する。担体の組成及び担体の性質を表1に示し、当該X線回析(XRD)スペクトルを図1中の「1」に示した。
【0244】
(担体実施例2~8)
担体2~8は、窒素ガスによって運ばれた四塩化チタンを流動床に導入する時間、及び、脱イオン水への窒素ガスの導入による加水分解の時間が異なること以外は、担体実施例1における担体1と同じ方法で調製した。担体の調製条件、担体の組成、及び担体の性質を表1に示した。
【0245】
(担体実施例9~11)
担体9~11は、窒素ガスをまず四塩化チタンに通し、次に四塩化ジルコニウム蒸気発生器(四塩化ジルコニウム蒸気温度は300℃)に通したこと以外は、担体実施例1における担体1と同じ方法で調製した。担体の調製条件、担体の組成、及び担体の性質を表1に示した。
【0246】
(担体比較例1)
SB粉末を500℃で4時間焼成し、直接γ-Alを得た。当該担体を担体C1と称する。担体の組成及び担体の性質を表1に示した。
【0247】
(担体比較例2)
SB粉末を500℃で4時間焼成することによって得られたγ-Alを、TiOと物理的に混合したこと以外は、担体実施例1の方法を参照して担体を調製した。当該担体を担体C2と称する。担体の組成及び担体の性質を表1に示し、当該X線回析(XRD)スペクトルを図1中の「2」で示した。
【0248】
(担体比較例3)
担体比較例2を参照して担体を調製した。当該担体を担体C3と称する。担体の組成及び担体の性質を表1に示した。
【0249】
(担体比較例4)
SB粉末を500℃で4時間焼成することによって得られた担体であるγ-Alを、四塩化チタン溶液と物理的に混合したこと以外は、担体実施例6の方法を参照して担体を調製した。当該担体を担体C4と称する。担体の組成及び担体の性質を表1に示した。
【0250】
(担体比較例5)
SB粉末を500℃で4時間焼成し、γ-Alを得た。テトラブチルチタネートと脱イオン水とを30分間撹拌して混合し、等体積含浸の方式でγ-Alに含浸させた。乾燥し、550℃で4時間焼成し、酸化物複合担体を得た。当該担体を担体C5と称する。担体の組成及び担体の性質を表1に示し、当該X線回析(XRD)スペクトルを図1中の「5」で示した。
【0251】
(担体比較例6)
SB粉末を500℃で4時間焼成することによって得られたγ-Alを、TiO及びZrOと物理的に混合したこと以外は、担体実施例9の配合にしたがって担体を調製した。当該担体を担体C6と称する。担体の組成及び担体の性質を表1に示した。
【0252】
(担体比較例7)
担体比較例6を参照して担体を調製した。当該担体を担体C7と称する。担体の組成及び担体の性質を表1に示した。
【0253】
担体実施例1~11及び担体比較例1~7において調製された各担体の性質を、表1に示した。
【0254】
<液状有機水素吸蔵原料の脱水素触媒の調製及び評価>
(実施例1)
0.34gの塩化白金酸を水に入れ、20mLの含浸液を調製した。撹拌しながら含浸液を19.84gの担体1にゆっくり添加し、含浸液を酸化物複合担体上に均一に担持させた。含浸温度は、25℃であり、含浸後の固体は、120℃の窒素ガスを用いたパージにより3時間乾燥させた。その後、空気雰囲気において焼成した。焼成温度は600℃であり、焼成時の気体対担体比(空気/固体の体積比)は600:1であり、焼成時間は4時間であり、最終的に触媒を得た。触媒の組成を表2に示した。
【0255】
メチルシクロヘキサンの脱水素反応を固定床反応器内で行い、上記で調製した触媒を評価した。脱水素反応は、固定床マイクロリアクターにおいて行った。評価時の条件は、反応温度が350℃、反応圧力(反応器の入口における圧力)が1MPa、追加水素ガスの流量が150mL/minH、メチルシクロヘキサン供給量が2mL/min、触媒装填量が20gであった。触媒の評価結果を表2に示した。なお、転化率=反応したメチルシクロヘキサン/全メチルシクロヘキサン供給量;選択性=トルエンを生成したメチルシクロヘキサン/反応したメチルシクロヘキサンである。
【0256】
(実施例5)
実施例1と同様の方法において、塩化白金酸及び硝酸ニッケルを水に入れ、20mLの含浸液を調製した。撹拌しながら含浸液を19.7gの担体1にゆっくり添加し、含浸液を酸化物複合担体上に均一に担持させた。含浸温度は25℃であり、含浸後の固体は、120℃の窒素ガスを用いたパージにより3時間乾燥させた。その後、空気雰囲気において焼成した。焼成温度は600℃であり、焼成時の気体対担体比(空気/固体の体積比)は600:1であり、焼成時間は4時間であり、最終的に触媒を得た。触媒の組成を表2に示した。
【0257】
メチルシクロヘキサンの脱水素反応を固定床反応器内で行い、上記で調製した触媒を評価した。脱水素反応は固定床マイクロリアクターにおいて行った。評価時の条件は、反応温度が350℃であり、反応圧力(反応器の入口における圧力)が1MPaであり、追加水素ガスの流量が150mL/minHであり、メチルシクロヘキサン供給量が2.5mL/minであり、触媒装填量が20gであった。触媒の評価結果を表2に示した。なお、転化率=反応したメチルシクロヘキサン/全メチルシクロヘキサン供給量;選択性=トルエンを生成したメチルシクロヘキサン/反応したメチルシクロヘキサンである。
【0258】
(実施例10)
硝酸ニッケル及び塩化スズを水に入れ、20mLの含浸液を調製した。撹拌しながら、含浸液を17.8gの担体1にゆっくり添加し、含浸液を酸化物複合担体上に均一に担持させた。含浸温度は25℃であり、含浸後の固体は、120℃の窒素パージの下で3時間乾燥させた。その後、空気雰囲気において、焼成した。焼成温度は600℃であり、焼成時の気体対担体比(空気/固体の体積比)は600:1であり、焼成時間が4時間であり、最終的に触媒を得た。触媒の組成を表2に示した。
【0259】
メチルシクロヘキサンの脱水素反応を固定床反応器内で行い、上記で調製した触媒を評価した。脱水素反応は、固定床マイクロリアクターにおいて行った。評価時の条件は、反応温度が400℃、反応圧力(反応器の入口における圧力)が1MPa、追加水素ガスの流量が150mL/minH、メチルシクロヘキサン供給量が1.0mL/min、触媒装填量が20gであった。触媒の評価結果を表2に示した。なお、転化率=反応したメチルシクロヘキサン/全メチルシクロヘキサン供給量;選択性=トルエンを生成したメチルシクロヘキサン/反応したメチルシクロヘキサンである。
【0260】
(実施例2、4、7~9、及び12~39、並びに比較例1~17)
実施例1、5、又は10に準じ、含浸法を用いて触媒を調製した。触媒の配合を表2に示した。担体は、乾燥ベース(800℃で1時間焼成)で算定され、白金(Pt)は単体の乾燥ベースで算定され、パラジウム(Pd)は単体の乾燥ベースで算定され、イリジウム(Ir)は単体の乾燥ベースで算定され、レニウム(Re)は単体の乾燥ベースで算定され、ニッケル(Ni)はNiOとして算定され、スズ(Sn)はSnOとして算定され、亜鉛(Zn)はZnOとして算定され、銅(Cu)はCuOとして算定され、鉄(Fe)はFeとして算定され、銀(Ag)はAgOとして算定され、リン(P)はPとして算定され、マンガン(Mn)はMnOとして算定された。
【0261】
実施例1、5、又は10の評価方法に準じ、調製した触媒について評価した。評価時の条件は、反応圧力(反応器の入口における圧力)が1MPaであり、触媒装填量が20gであった。また、反応温度、追加水素ガスの流量、及びメチルシクロヘキサン供給量を表2に示した。
【0262】
(実施例3、6、及び11)
含浸後の固体を-45℃にて10時間冷凍し、続いて-5℃にて、0.1atm(絶対圧)の真空条件下で乾燥し、その後、焼成を行ったこと以外は、実施例2、5、及び10の手法に準じ、実施例3、6、及び11の触媒を調製した。
【0263】
実施例1の評価方法に準じ、調製した触媒について評価した。評価時の条件は、反応圧力(反応器の入口における圧力)が1MPaであり、触媒装填量が20gであった。また、反応温度、追加水素ガスの流量、及びメチルシクロヘキサン供給量を表2に示した。
【0264】
本発明によって提供される脱水素触媒は、従来の方法で調製される脱水素触媒に比べ、より高い転化活性を有し得る。同様の反応条件下において、当該脱水素触媒は、より高い水素ガス生成速度を有する。冷凍、及び真空乾燥方法を使用すると、触媒の活性及び選択性が向上し、水素ガスの生成速度が向上する。
【0265】
<水素吸蔵性合金の調製及び評価>
(水素吸蔵性合金実施例1~13及びC1~C4)
合金の配合に準じて、金属を合計約1000g秤量し、誘導加熱型真空溶融炉の水冷るつぼ内に設置し、真空下で溶融させて合金を得た。調製条件は、以下を含む:1×10-4Paの背景真空度の下で、表3に示す溶融の温度及び時間にて溶融を行った;1×10-4Paの背景真空度の下で、10℃/minの速度にてアニール温度まで降温し、表3に示すアニールの温度、時間にてアニールした;1×10-4Paの背景真空度の下で室温まで自然冷却した;得られた合金を粉砕し、篩にかけ、70~200メッシュの金属粉末を得た;粉末を水素貯蔵タンクに入れ、水素貯蔵タンクを、0.1Paの真空下で300℃まで加熱して、4時間保温して合金粉末を活性化し、水素吸蔵性合金1~13及びC1~C4を得た。
【0266】
1kgの水素吸蔵性合金を水素貯蔵タンクに入れ、20℃の有機物含有水素ガス(メタン含量が0.01体積%)を、モデル化合物として水素貯蔵タンク中に導入した。水素含有合金を形成するために、水素ガスを水素吸蔵性合金と反応させた。水素吸蔵性合金の水素吸蔵量が、理論上の容量の75%に達したとき、有機物含有水素ガスの導入を停止するとともに、純度95%の水素ガスを用いて20分間パージした。続いて、水素貯蔵タンクを加熱し、50MPa下で、水素吸蔵性合金を維持し、継続的な水素放出を行った。なお、水素ガスの純度は、ガスクロマトグラフィーにより分析した。水素ガスの純度、累計水素吸蔵量、及び水素吸蔵量の減衰率を表3に示した。当該累計水素吸蔵量とは、30回分の水素吸着量の合計をいう。上述した水素吸着及び水素放出を30回繰り返した後、水素吸蔵量の減衰率を測定した。
減衰率=(1回目の水素吸着放出における水素吸蔵量-30回目の水素吸着放出における水素吸蔵量)/1回目の水素吸着放出における水素吸蔵量×100%
【0267】
(水素吸蔵性合金実施例14~26及びC5~C10)
合金の配合に準じて、金属を合計約1000g秤量し、誘導加熱型真空溶融炉の水冷るつぼ内に設置し、真空下で溶融させて合金を得た。調製条件は、以下を含む:1×10-4Paの背景真空度の下で、表3に示す溶融の温度及び時間にて溶融を行った;1×10-4Paの背景真空度の下で、10℃/minの速度にてアニール温度まで降温し、表3に示すアニールの温度、時間にてアニールした;1×10-4Paの背景真空度の下で室温まで自然冷却した;得られた合金を粉砕し、篩にかけ、70~200メッシュの金属粉末を得た;粉末を水素貯蔵タンクに入れ、水素貯蔵タンクを0.1Paの真空下で300℃まで加熱して、4時間保温することによって合金粉末を活性化し、水素吸蔵性合金14~26及びC5~C10を得た。
【0268】
1kgの水素吸蔵性合金を水素貯蔵タンクに入れ、10℃の有機物含有水素ガス(メタン含量が0.05体積%)をモデル化合物として水素貯蔵タンク中に導入した。水素含有合金を形成するために、水素ガスを水素吸蔵性合金と反応させた。水素吸蔵性合金の水素吸蔵量が、理論上の容量の75%に達したとき、有機物含有水素ガスの導入を停止するとともに、純度98%以上の水素ガスを用いて20分間パージした。続いて、水素貯蔵タンクを加熱し、35MPa下で水素吸蔵性合金を維持し、継続的な水素放出を行った。なお、水素ガスの純度は、ガスクロマトグラフィーにより分析した。なお、水素ガスの純度、累計水素吸蔵量、及び水素吸蔵量の減衰率を表3に示した。当該累計水素吸蔵量とは、10回分の水素吸着量の合計をいう。上述した水素吸着及び水素放出を10回繰り返した後、水素吸蔵量の減衰率を測定した。
減衰率=(1回目の水素吸着放出における水素吸蔵量-10回目の水素吸着放出における水素吸蔵量)/1回目の水素吸着放出における水素吸蔵量×100%
【0269】
(水素吸蔵性合金実施例27~40及びC11~C14)
合金の配合に準じて、金属を合計約1000g秤量し、誘導加熱型真空溶融炉の水冷るつぼ内に設置し、真空下で溶融させて合金を得た。調製条件は、以下を含む:1×10-4Paの背景真空度の下で、表3に示す溶融の温度及び時間にて溶融を行った;1×10-4Paの背景真空度の下で、10℃/minの速度にてアニール温度まで降温し、表3に示すアニールの温度、及び時間にてアニールした;1×10-4Paの背景真空度の下で室温まで自然冷却した;得られた合金を粉砕し、篩にかけ、70~200メッシュの金属粉末を得た;粉末を水素貯蔵タンクに入れ、水素貯蔵タンクを0.1Paの真空下で300℃まで加熱して、4時間保温することによって合金粉末を活性化し、水素吸蔵性合金27~40及びC11~C14を得た。
【0270】
1kgの水素吸蔵性合金を水素貯蔵タンクに入れ、20℃の有機物含有水素ガス(メタン含量が0.1体積%)をモデル化合物として、5MPaの圧力にて水素貯蔵タンク中に導入した。水素含有合金を形成するために、水素ガスを水素吸蔵性合金と反応させた。水素吸蔵性合金の水素吸蔵量が、理論上の容量の75%に達したとき、有機物含有水素ガスの導入を停止するとともに、純度95%の水素ガスを用いて20分間パージした。続いて、水素貯蔵タンクを加熱し、20MPa下で水素吸蔵性合金を維持し、継続的な水素放出を行った。なお、水素ガスの純度は、ガスクロマトグラフィーにより分析した。水素ガスの純度、累計水素吸蔵量、及び水素吸蔵量の減衰率を表3に示した。当該累計水素吸蔵量とは、10回分の水素吸着量の合計をいう。上述した水素吸着及び水素放出を10回繰り返した後、水素吸蔵量の減衰率を測定した。
減衰率=(1回目の水素吸着放出における水素吸蔵量-10回目の水素吸着放出における水素吸蔵量)/1回目の水素吸着放出における水素吸蔵量×100%
【0271】
(水素吸蔵性合金実施例41~56及びC15~C19)
合金の配合に準じて、金属を合計約1000g秤量し、アーク溶融炉の水冷るつぼ内に設置し、アルゴン雰囲気下で溶融させて合金を得た。具体的な調製は、以下を含む:高純度のAr雰囲気(純度99.999%)下、表3に示す溶融の温度、圧力及び時間にて、溶融を行った;1×10-4Paの背景真空度の下で、10℃/minの速度にて、650℃のアニール温度まで降温し、アニール温度下で48時間アニールした;真空下で室温まで自然冷却した;得られた合金を粉砕し、篩にかけ、70~200メッシュの金属粉末を得た;粉末を水素貯蔵タンクに入れ、水素貯蔵タンクを0.1Paの真空下で300℃まで加熱し、4時間保温することによって合金粉末を活性化し、水素吸蔵性合金41~56及びC15~C19を得た。
【0272】
1kgの水素吸蔵性合金を水素貯蔵タンクに入れ、20℃の有機物含有水素ガス(メタン含量が0.1体積%)をモデル化合物として、2MPaの圧力にて、水素貯蔵タンク中に導入した。水素含有合金を形成するために、水素ガスを水素吸蔵性合金と反応させ、水素吸蔵性合金の水素吸蔵量が、理論上の容量の75%に達したとき、有機物含有水素ガスの導入を停止し、真空ポンプを用いて、80℃下で5分間減圧した。続いて、水素貯蔵タンクを加熱し、0.1MPa下で、水素吸蔵性合金を維持し、継続的な水素放出を行った。なお、水素ガスの純度は、ガスクロマトグラフィーにより分析した。水素ガスの純度、累計水素吸蔵量、及び水素吸蔵量の減衰率を表3に示した。当該累計水素吸蔵量とは、10回分の水素吸着量の合計をいう。上述した水素吸着及び水素放出を10回繰り返した後、水素吸蔵量の減衰率を測定した。
減衰率=(1回目の水素吸着放出における水素吸蔵量-10回目の水素吸着放出における水素吸蔵量)/1回目の水素吸着放出における水素吸蔵量×100%
【0273】
(水素吸蔵性合金実施例57~67及びC20~C24)
合金の配合に準じて、金属を合計約1000g秤量し、アーク溶融炉の水冷るつぼ内に設置し、アルゴン雰囲気下で溶融させて合金を得た。具体的な調製は、以下を含む:高純度のAr雰囲気(純度99.999%)下で、表3に示す溶融の温度、圧力、及び時間にて、溶融を行った;合金をAr雰囲気下で室温まで自然冷却した後、真空アニール炉内に移し、1×10-4Paのバックグランド圧力、表3に示すアニールの温度、及び時間にて真空アニールを行い、室温まで自然冷却した;得られた合金を粉砕し、篩にかけて、70~200メッシュの金属粉末を得た;粉末を水素貯蔵タンクに入れ、水素貯蔵タンクを0.1Paの真空下で、50~300℃まで加熱して、1~10時間保温することによって合金粉末を活性化(活性化における具体的な温度及び時間を表3に示した)し、水素吸蔵性合金57~67及びC20~C24を得た。
【0274】
1kgの水素吸蔵性合金を水素貯蔵タンクに入れ、20℃の有機物含有水素ガス(メタン含量が0.1体積%)を、モデル化合物として2MPaの圧力にて水素貯蔵タンク中に導入した。水素含有合金を形成するために、水素ガスを水素吸蔵性合金と反応させ、水素吸蔵性合金の水素吸蔵量が、理論上の容量の75%に達したとき、有機物含有水素ガスの導入を停止するとともに、純度95%の水素ガスを用いて20分間パージした。続いて、水素貯蔵タンクを加熱し、10MPa下で水素吸蔵性合金を維持し、継続的な水素放出を行った。なお、水素ガスの純度はガスクロマトグラフィーにより分析した。水素ガス純度を表3に示した。上述した水素吸着及び水素放出を10回繰り返した後、累計水素吸蔵量及び水素吸蔵量の減衰率を測定した。測定結果を表3に示した。
減衰率=(1回目の水素吸着放出における水素吸蔵量-10回目の水素吸着放出における水素吸蔵量)/1回目の水素吸着放出における水素吸蔵量×100%
なお、当該水素吸蔵累計量とは、10回分の水素吸着量の合計を言う。
【0275】
本発明で提供される水素吸蔵性合金は、有機物による汚染に対して良好な耐性を有し、水素ガスに有機物が含まれる場合においても、好適な水素吸着効率を示し、且つより高い水素吸蔵量を有するため、高圧高純度の水素ガスを得ることができる。
【0276】
AB型水素吸蔵性合金実施例68:
MmNi3.55Co0.75Mn0.4Al0.3、ここで、Mm=La0.61Ce0.16Pr0.04Nd0.19
合金の配合に応じて金属を合計約100g秤量し、アーク溶融炉の水冷るつぼ内に設置し、アルゴン雰囲気下で溶融させて合金を得た。調製条件は、以下を含む:高純度のAr雰囲気(純度99.999%)下で、0.9~1.0atmの圧力、80~200Aの電流、40Vの電圧、10~60分間の溶融時間にて溶融させた後、Ar雰囲気下で室温まで自然冷却した;合金を高真空度のアニール炉に移し、1×10-4Paのバックグランド圧力、800~950℃のアニール温度、24~168hのアニール時間にて真空アニールを行い、室温まで自然冷却した;得られた合金を粉砕し、篩にかけて、70~200メッシュの金属粉末を得た;粉末を水素貯蔵タンクに入れ、水素貯蔵タンクを0.1Paの真空下で200~400℃まで加熱して、1~4時間保温することによって合金粉末を活性化した。
【0277】
以下の試験方法を使用して、実施例1の触媒及び実施例68のAB型水素吸蔵性合金に関する、液状有機水素吸蔵原料の脱水素反応の効果、並びに、精製及び加圧による分離効果を説明する。
【0278】
原料油としてメチルシクロヘキサンを用い、メチルシクロヘキサンの脱水素反応を固定床マイクロリアクターにおいて評価した。評価時の条件として、反応温度が350℃であり、圧力が1MPaであり、追加水素ガスの流量が150mL/minH(標準状態)であり、メチルシクロヘキサン供給量が2mL/minであり、触媒装填量が20gであった。具体的なパラメータ及び結果は以下に示す。
【0279】
脱水素反応生成物を冷却した後、20℃の塩水中に置かれた分離タンク内において、冷却温度を20℃に制御しながら、分離を行った。液体生成物を回収するとともに、気体生成物を水素ガス吸收のために水素吸蔵性合金貯蔵タンクに導入した。水素吸蔵性合金の吸着量が設定値に達すると、純度99%の水素ガスを用いて、水素吸着温度下で水素吸蔵性合金の貯蔵タンクを30分間パージした。その後、水素吸蔵性合金を加熱して水素ガスを放出させた。
【0280】
ここで、転化率=反応したメチルシクロヘキサン/全メチルシクロヘキサン供給量である。
反応生成物は、開始後10分の時点の生成物をクロマトグラフィーで分析し、その組成のデータから転化率を算出した。
【0281】
脱水素反応の温度:350℃;
脱水素反応の圧力:1MPa;
有機液体の脱水素転化率:98.50%;
水素吸着温度:20℃;
水素吸着における水素分圧:0.2MPa;
水素放出温度:200℃;
水素放出における水素分圧:35MPa;
水素ガス純度:99.99%;
水素吸蔵量(200ml):14.1g。
【0282】
【表1】

【0283】
【表2】


【0284】
【表3】



【図面の簡単な説明】
【0285】
図1図1は、アルミナとチタン酸化物とを含む担体組成物のX線回析(XRD)スペクトルである。図中、「1」は本発明によって提供される担体組成物(チタン酸化物を担持したアルミナ)のXRDスペクトルを示し、「2」は含浸法により調製された、アルミナがTi酸化物を担持してなる担体組成物のXRDスペクトルを示し、「3」はアルミナと二酸化チタンとを機械的に混合した混合物のXRDスペクトルを示す。XRD曲線において、2θ=25.37°、48.12°、53.97°、55.1°におけるピークは、TiO(アナターゼ)の回折ピークである。
図2図2は、X線光電子分光法(XPS)スペクトルである。図中、1は純粋なTiOのXPSスペクトルを示し、他の曲線は本発明の方法により調製された、TiO含量が異なる担体組成物(チタン酸化物を担持したアルミナ)のXPSスペクトルを示す。M-2、M-4、M-7及びM-8はそれぞれ実施例2、4、7及び8の担体を示す。図2では、本発明によって提供される担体組成物は、Tiの2P3/2軌道電子結合エネルギー(結合エネルギーと略称する)の458.8eVにおけるピークが高結合エネルギー側へ0.6~0.7eVシフトし、Tiの2P1/2軌道電子結合エネルギーの464.5eVにおけるピークが高結合エネルギー側へ0.8~0.9eVシフトしており、Tiとアルミナ担体との間に相互作用が存在することが示されている。
図3図3は、本発明によって提供される高純度高圧水素ガスを提供する模式図である。図中、1は有機液体貯蔵タンクを示し、2は原料ポンプを示し、3は熱交換器を示し、4は脱水素反応器を示し、5は熱交換器を示し、6は水素貯蔵タンクを示し、7は一方向バルブを示し、8はエネルギー伝送システムを示し、9はパージシステムを示し、10は水素貯蔵制御システムを示す。
図1
図2
図3