(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-23
(45)【発行日】2024-10-31
(54)【発明の名称】ポリマー部材に切り込みを形成する方法
(51)【国際特許分類】
B26D 3/08 20060101AFI20241024BHJP
B26D 1/06 20060101ALI20241024BHJP
B26D 3/00 20060101ALI20241024BHJP
B26D 7/01 20060101ALI20241024BHJP
B65D 41/34 20060101ALN20241024BHJP
【FI】
B26D3/08 Z
B26D1/06 Z
B26D3/00 601A
B26D7/01 C
B65D41/34 100
(21)【出願番号】P 2021571958
(86)(22)【出願日】2020-06-01
(86)【国際出願番号】 US2020035595
(87)【国際公開番号】W WO2020247319
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2023-05-30
(32)【優先日】2019-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517319813
【氏名又は名称】クロージャー・システムズ・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】CLOSURE SYSTEMS INTERNATIONAL INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100188813
【氏名又は名称】川喜田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【氏名又は名称】村瀬 成康
(72)【発明者】
【氏名】ミガス,エレミヤ
(72)【発明者】
【氏名】モーリン,ジェレミー
(72)【発明者】
【氏名】ムラリ,アラバインド
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-247456(JP,A)
【文献】特開2009-034764(JP,A)
【文献】特開平09-322991(JP,A)
【文献】特開2006-255739(JP,A)
【文献】特開平04-339774(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 3/08
B26D 1/06
B26D 3/00
B26D 7/01
B65D 41/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマークロージャを形成する方法であって、
前記ポリマークロージャの第1クロージャ部および第2クロージャ部を成形する工程であって、前記第1クロージャ部は、ポリマー上壁部と、前記ポリマー上壁部から垂れ下がるポリマー環状裾部とを含み、前記
ポリマー環状裾部は、容器の外側ねじ形成部とかみ合わせるための内側ねじ形成部を含み、前記第2クロージャ部は、ポリマー不正開封明示バンドを含む、工程と、
前記
ポリマー環状裾部と前記
ポリマー不正開封明示バンドとを部分的に取り外し可能に接合する易壊性接合部を形成するために、少なくとも1つの刃を含む刃組立体およびマンドレルを使用して、前記
ポリマー環状裾部の一部に切り込みを入れる工程であって、前記マンドレルは、剛性部と、形状追従性支持リングとを含み、前記形状追従性支持リングは、ポリマー部を含み、前記少なくとも1つの刃は、前記ポリマークロージャを貫通した後に前記形状追従性支持リングに進入する、工程と
を包含する方法。
【請求項2】
前記形状追従性支持リングは、ウレタン、エラストマー、プラストマー、ゴム様材料、または、それらの組み合わせを含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記形状追従性支持リングのショアAによって測定される硬さ試験は、約30~約100である、請求項
1に記載の方法。
【請求項4】
前記成形する工程は、射出成形である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの刃は、前記ポリマークロージャに略水平方向および鉛直方向に切り込みを入れるように構成された複数の刃を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの刃は、前記ポリマークロージャに略水平方向に切り込みを入れるように構成された複数の刃を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの刃は、前記ポリマークロージャに略鉛直方向に切り込みを入れるように構成された少なくとも1つの刃を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記形状追従性支持リングのISO527によって測定される破断伸度XY(平均XY)は、250~約500%である、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2019年6月4日に出願された米国仮特許出願第62/856,854号に基づく優先権を主張するものであり、当該出願の開示内容を全て本願に援用する。
【0002】
本発明は、一般に、ポリマー部材に切り込み(cut)(例えば、スリット(slit))を形成する方法に関する。より詳細には、本発明は、マンドレルを使用して、ポリマーク製のクロージャ(closure)などのポリマー部材に切り込みを形成する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ポリマー部材は、長年にわたり多くの用途に使用されてきた。ポリマー部材の中には、切り込み(例えば、スリット)の形成を必要とするものがある。そのようなポリマー部材の一例は、限定しないが、ポリマークロージャである。多くの場合、ポリマークロージャは、そのクロージャが開封されたかもしれないことをユーザに示すための不正開封明示(tamper-evident)機能を備える。不正開封明示機能には、易壊性(frangible)接合部などがあり得る。これらの易壊性接合部は、典型的には、1つ以上の刃、および、当該1つ以上の刃を受け取るために形成された間隙または空隙を有するマンドレルを使用した切り込みプロセスによって形成される。刃は、典型的には、単一の連続した刃、または、切り欠き間断部(notched interruption)を含む単一の連続した刃である。マンドレルは、それ自体に形成された狭い間隙を使用して、切り込みプロセス時に刃を受け取る。マンドレルにおける間隙の上下の境界は、刃の重なり距離よりも大きな壁部逸出(deflection)を防止または抑制することを補助する。これにより、マンドレルにおける間隙および刃の間隙中への重なりが適切な寸法である場合、より薄い刃を使用して安定した結果を得ることができる。
【0004】
この方法は、多重切り込み形状を得るためにより厚い刃(例えば、1.0mm)を積み重ねるか、または、反転させる必要がある場合に、問題が生じる。このような状況において、この方法は、非常に困難となり、実用的でなくなる。また、この方法は、鉛直な切り込みが必要な場合により困難となる。なぜなら、この場合、マンドレルにおける間隙に対して鉛直な刃を位置合わせするために確実なタイミングが必要となるからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
異なる切り込み要件下において適合可能なポリマー部材に切り込みを形成する効率的な方法を提供することが望まれるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ある方法によれば、マンドレルを使用してポリマー部材に切り込みが形成される。少なくとも1つの刃を含む刃組立体が提供される。マンドレルが提供され、マンドレルは、剛性部と、形状追従性(コンフォーマル)支持リングとを含む。形状追従性支持リングは、上記少なくとも1つの刃を形成する材料よりも柔らかい材料を含む。ポリマー部材が提供される。ポリマー部材は、マンドレルと上記少なくとも1つの刃との間に位置決めされる。マンドレルを刃組立体に向かって移動させるか、刃組立体をマンドレルに向かって移動させるか、または、マンドレルおよび刃組立体を互いに向かって移動させる。上記少なくとも1つの刃を介してポリマー部材に切り込みを入れる。上記少なくとも1つの刃は、ポリマー部材を貫通した後に形状追従性支持リングに進入する。
【0007】
他の方法によれば、ポリマークロージャが形成される。ポリマークロージャの第1クロージャ部および第2クロージャ部が成形される。第1クロージャ部は、ポリマー上壁部と、ポリマー上壁部から垂れ下がるポリマー環状裾部とを含む。環状裾部は、容器の外側ねじ形成部とかみ合わせるための内側ねじ形成部を含む。第2クロージャ部は、ポリマー不正開封明示バンドを含む。環状裾部と不正開封明示バンドとを部分的に取り外し可能に接合する易壊性接合部を形成するために、少なくとも1つの刃を含む刃組立体およびマンドレルを使用して、環状裾部の一部に切り込みを入れる。マンドレルは、剛性部と、形状追従性支持リングとを含む。形状追従性支持リングは、ポリマー部を含む。上記少なくとも1つの刃は、ポリマー部材を貫通した後に形状追従性支持リングに進入する。
【0008】
上記概要は、本発明の各実施形態やすべての局面を表すことを意図しない。本発明のさらなる特徴および利点は、以下に記載の詳細な説明および図から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の他の利点は、以下の詳細な記載を閲読および添付の図面を参照する際に明らかとなる。
【0010】
【
図1】
図1は、本願のある方法において使用されるマンドレルの正面図である。
【
図2A】
図2Aは、刃が貫通する前の、ある方法において使用されるマンドレルおよびポリマークロージャの垂直断面図である。
【
図2B】
図2Bは、刃が貫通した後の、
図2Aのマンドレルおよびポリマークロージャの垂直断面図である。
【
図2C】
図2Cは、ある実施形態に係る刃組立体の垂直断面図である。
【
図3A】
図3Aは、刃が貫通する前の、ある方法において使用されるマンドレルおよびポリマークロージャの垂直断面図である。
【
図3B】
図3Bは、刃が貫通した後の、
図3Aのマンドレルおよびポリマークロージャの垂直断面図である。
【
図4A】
図4Aは、刃が貫通する前の、ある方法において使用されるマンドレルおよびポリマー部材の垂直断面図である。
【
図4B】
図4Bは、刃が貫通した後の、
図4Aのマンドレルおよびポリマー部材の垂直断面図である。
【
図5A】
図5Aは、クロージャと容器とを含むパッケージの側面図である。
【0011】
本発明には、種々の変更および代替の形態の余地があるが、本発明の具体的な実施形態を添付の図面において例として示し、本明細書にて詳細に説明する。しかしながら、本発明が開示の特定の形態に限定されることを意図するものでないことを理解されたい。反対に、本発明は、添付の特許請求の範囲によって規定されるような本発明の趣旨および範囲に含まれるすべての変更、均等物、および代替物を含むとする。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ポリマー部材に切り込みを形成する方法は、マンドレルと、少なくとも1つの刃を含む刃組立体とを提供することを含む。マンドレルは、剛性部と、コンフォーマル(conformal)支持リングとを含む。形状追従性支持リングは、上記少なくとも1つの刃を形成する材料よりも柔らかい材料を含む。また、ポリマー部材が提供される。ポリマー部材は、ある方法によれば、ポリマークロージャであってもよい。ポリマー部材は、ポリマーシート、ポリマーブロック、または他のポリマー物体などの他の物であってもよいと考えられる。
【0013】
ポリマー部材は、マンドレルと上記少なくとも1つの刃との間に配置される。ある方法において、マンドレルを刃組立体へ向かって移動させる。他の方法において、刃組立体をマンドレルに向かって移動させる。さらなる方法において、マンドレルおよび刃組立体を互いに向かって移動させる。ポリマー部材は、上記少なくとも1つの刃を介して切り込みを入れられる。上記少なくとも1つの刃は、ポリマー部材を貫通した後に形状追従性支持リングに進入するように構成および配置される。
【0014】
本願の方法は、複数の水平方向に細筋(path)を切り込むことが可能である点で好ましい。切り込みは、スリットの形態であってもよい。特に、本願の方法は、少なくとも1つの水平方向および少なくとも1つの鉛直方向に細筋を切り込むことが可能である点で好ましい。水平および鉛直方向の切り込みの他に、切り込みが斜めの切り込み、または、らせん状の切り込みであってもよいと考えられる。
【0015】
ある実施形態において、これらの切り込みは、易壊性接合部の形態であってもよい。易壊性接合部は、切り取り線もしくはミシン目、切り欠き、破線、打痕、または、線状の脆弱部などである。他の実施形態においては、切り込みが易壊性接合部を形成しないことが考えられる。例えば、易壊性接合部が一切なく、上記方法によって形成された複数の切り込みが存在してもよい。
【0016】
本願の方法は、複数の刃を使用して広い領域にわたって切り込みを入れながら、完全な深さで切り込みを貫通させつつ、ポリマー部材の壁部に支えを与えることに関連した問題を克服する。ポリマー部材に切り込みを入れるための本願の方法は、効率の良い、費用対効果の大きな解決手段を提供する。
【0017】
図1を参照し、ある実施形態に係るマンドレル10を示す。マンドレルは、切り込みプロセス時に、ポリマー部材に支えを与えるように機能する。より詳細には、マンドレルは、切り込みプロセス時に、(1)ポリマー部材の壁部(例えば、クロージャの側壁部または裾部)を固定すること、および、(2)壁部が刃筋(blade path)から逸出することを防止または抑制することを補助する。最終的に、マンドレルは、刃組立体を併用して、ポリマー部材に適切な大きさ、形状および位置を有する切り込みを作成することを補助する。マンドレルの全体的な外形は、ポリマー部材の形状に略対応する。マンドレルの形状および大きさは、
図1に示したものと異なってもよいと考えられる。
【0018】
マンドレル10は、剛性部12と、形状追従性支持リング14とを含む。マンドレル10の剛性部12は、典型的には、金属である。マンドレルの形成において使用され得る金属材料の例は、限定しないが、アルミニウム、スチール、または、それらの組み合わせを含む。マンドレルの形成において他の金属材料を使用してもよいと考えられる。マンドレルが非金属であってもよいと考えられる。1つの考えられる、マンドレルを形成するために使用され得る非金属材料は、繊維充填ポリマー材料である。
【0019】
形状追従性支持リング14は、上記少なくとも1つの刃を受け取るための大きさおよび形状にされる。形状追従性支持リングは、切り込みプロセス時に壁部が刃筋から逸出することを防止または抑制することを補助するために、ポリマー部材の内壁部を支持するように設計される。逸出を低減または排除することによって、ポリマー部材において、完全な深さの繰り返し可能な切り込みをより一貫して得ることができる。形状追従性支持リングを含むマンドレルは、複数の刃を用いて広い領域にわたって完全な深さの繰り返し可能な切り込みを得るために、ポリマー部材の内壁部を支持する能力を有する。刃は、典型的には、水平の向き、かつ/または、鉛直な向きを有する。刃が斜めまたはらせん状の向きなどの他の向きを有してもよいと考えられる。
【0020】
形状追従性支持リングがマンドレルにおいて異なる方法で形成または加工されてもよいと考えられる。例えば、形状追従性支持リングは、所定の位置にキャスト(cast)されてもよいし、マンドレルに形成された開口または溝にはめ込まれてもよい。
【0021】
形状追従性支持リング14は、刃を形成する材料よりも柔らかい材料を含む。形状追従性支持リングの材料が非金属材料から形成されていることが好ましい。形状追従性支持リングを形成するための、1つの特に好ましい材料は、ポリマー材料である。形状追従性支持リングの形成に使用され得るポリマー材料の例は、限定しないが、ウレタン(例えば、熱可塑性ポリウレタン(TPU)などのポリウレタン)、エラストマー(例えば、熱可塑性エラストマー)、プラストマー、ゴムもしくはゴム様材料(例えば、天然ゴム、シリコーンゴム、ネオプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、合成ゴム)、または、それらの組み合わせを含む。
【0022】
形状追従性支持リングを形成するための1つの商品例は、限定しないが、Prodways社のTPU-70A熱可塑性ウレタンである。形状追従性支持リングを形成するための他の商品例は、限定しないが、ICOMoldを介して得られ得る、Hei-Cast社の8400および8400N多成分ポリウレタンシステムである。形状追従性支持リングの形成において他のポリマー材料が使用されてもよいと考えられる。
【0023】
また、形状追従性支持リングの形成において、他の非ポリマー材料が使用されてもよいと考えられる。他の非ポリマー材料の例は、限定しないが、より柔らかい金属(例えば、銅)、および木材を含む。
【0024】
形状追従性支持リングは、刃に対して大きさが決められる。形状追従性支持リングの大きさは、広い範囲をとり得るが、刃、および、形状追従性支持リングの材質に依存する。例えば、形状追従性支持リングは、形状追従性支持リング中への刃の重なりを0.35mmとして、厚さが約1mmである70Aショアデュロメータの熱可塑性ポリウレタン(TPU)材料を用いて構成されてもよい。他の例において、刃の重なりを0.15mmとして、リング厚さが2mmである50AショアデュロメータTPU材料が使用される。
【0025】
形状追従性支持リングは、約40ショアA~約75ショアDの範囲の硬さを有する材料を用いて構成されてもよい。形状追従性支持リングを形成するためのそのような材料の1つの例は、キャストウレタンである。
【0026】
形状追従性支持リングを形成する材料は、概して、柔軟かつ強靭である。形状追従性支持リングのこれらの材質は、硬さ試験、靭性試験、破断伸度XY(XYの平均)などの種々の試験において示されてもよい。
【0027】
形状追従性支持リングを形成する材料は、概して、ショアAで測定される硬さ試験が約30~約100であり、より具体的には、約50~約90であり、さらにより具体的には、約60~約80である。
【0028】
形状追従性支持リングを形成する材料は、概して、ISO527によって測定される破断伸度XY(平均XY)が約200%以上であり、より具体的には、約350%以上である。形状追従性支持リングを形成する材料は、概して、ISO527によって測定される破断伸度XY(平均XY)が約250~約500%であり、より具体的には、約300~約400%である。
【0029】
形状追従性支持リングを形成する材料は、概して低い圧縮率と、望まれる切り込み抵抗性とを有している。形状追従性支持リングのASTM D575-91によって測定される圧縮率は、概して、約5%~約50%であり、より具体的には、約10%~約40%であり、さらにより具体的には約10%~約30%である。
【0030】
本願の方法において、刃組立体は、少なくとも1つの刃を含む。この少なくとも1つの刃は、1つ以上の切り込みをポリマー部材に形成することを補助する。切り込みは、易壊性接合部の形態であってもよい。易壊性接合部は、切り取り線もしくはミシン目、切り欠き、破線、打痕、または、線状の脆弱部などである。切り込みは、易壊性接合部を一切有さずに形成されてもよい。
【0031】
刃は、単一の連続した刃、または、複数の個々の刃であってもよい。他の実施形態において、実際上は複数の刃として機能する切り欠き間断部を有する単一の連続した刃を使用してもよい。刃は、ポリマー部材内に完全な深さの繰り返し可能な切り込みの貫通を提供するように設計される。
【0032】
ある方法において、上記少なくとも1つの刃は、ポリマー部材に略水平方向に切り込みを入れるように構成された水平刃を含む。他の方法において、上記少なくとも1つの刃は、ポリマー部材に複数の略水平方向に切り込みを入れるように構成された複数の水平刃を含む。また、上記少なくとも1つの刃は、ポリマー部材に略鉛直方向に切り込みを入れるように構成された鉛直な刃または複数の鉛直な刃であってもよい。他の方法において、上記少なくとも1つの刃は、1つ以上の水平刃と1つ以上の鉛直な刃との組み合わせであってもよい。切り込みが略水平または略鉛直方向以外の方向に形成されてもよいと考えられる。例えば、他の方向は、例えば、斜め方向、または、らせん方向であってもよい。
【0033】
刃の厚さは、形成されるべき所望の切り込みに応じて変化する。刃の厚さは、典型的には、約0.5mm~約2mmであり、より具体的には、約0.5mm~約1.2mmである。刃は、典型的には、硬化材料から作製される。刃の材料の例は、限定しないが、A2などの、硬さが57~62HRCである硬化工具鋼である。他の材料を刃の形成において使用してもよいと考えられる。
【0034】
ポリマー部材に切り込みを入れるために、典型的には、刃組立体をマンドレルに対して移動させる。これを
図2A、2Bに示す。
図2A、2Bにおいて、刃組立体30をマンドレル10に対して矢印Aの方向に移動させる。他の方法においては、マンドレルを刃組立体に対して移動させてもよいと考えられる。この方法において、マンドレルは、矢印Aの反対方向に移動することになる。また、マンドレルおよび刃組立体を互いに対して移動させてもよいと考えられる。
【0035】
引き続き
図2A、2Bを参照し、マンドレル10、ポリマークロージャ20および刃組立体30の断面図を示す。
図2Aは、刃がポリマークロージャを貫通する前の断面図である。他方、
図2Bは、刃がポリマークロージャを貫通した後の断面図である。
図2Aは、剛性部12と形状追従性支持リング14とを含むマンドレル10、およびポリマークロージャ20を示す。ポリマークロージャ20がマンドレル10に当接している様子を示す。ポリマークロージャ20は、内面20aおよび外面20bを含むポリマークロージャである。ポリマークロージャ20の内面20aは、マンドレル10の外面12a、14aに当接する。マンドレルは、切り込み工程時にポリマークロージャを支持する。ポリマークロージャ20は、上壁部(
図2Aに図示せず)と、環状ポリマー裾部24と、不正開封明示バンド26とを含む。
【0036】
図2Bを参照し、切り込みプロセス時のマンドレル10、ポリマークロージャ20および刃組立体30を示す。より詳細には、
図2Bは、刃がポリマークロージャ20を貫通した後のマンドレル10、ポリマークロージャ20および刃組立体30を示す。
図2Bの刃組立体30は、マンドレル10に向かって矢印Aの方向に移動した状態にある。
【0037】
刃組立体30は、第1支持部32と、第2支持部34と、3つの水平刃36a~36cとを含む。水平刃36a~36cは、略水平方向に切り込みを入れる。
図2Bにおいて、3つの水平刃36a~36cは、互いに接合しているように示される。切り込みプロセス時に、第1支持部32は、ポリマークロージャ20の環状ポリマー裾部24を支持し、第2支持部34は、ポリマークロージャ20の不正開封明示バンド26を支持する。刃組立体30は、支持部32、34は、ポリマークロージャ20の壁部の支持において、マンドレル10と組み合わさって機能する。
【0038】
刃が3つの個々の刃先を形成する2つの切り欠き間断部を有する単一の連続した刃であってもよいと考えられる。これは、例えば、
図2Cにおいて、第1支持部132と、第2支持部134と、複数の個々の刃先136a~136cとを含む刃組立体130として示す。そのような実施形態は、
図2Bの3つの個々の刃36a~36cと同様に機能することになる。
【0039】
図3A、3Bを参照し、異なる刃組立体を示す。
図3A、3Bは、マンドレル10、ポリマークロージャ20および刃組立体230を示す。刃組立体230は、第1支持部232と、第2支持部234と、複数の個々の刃236a、236bおよび238を含む。刃236a、236bは、略水平方向に切り込みを入れ、他方、刃238は、略鉛直方向に切り込みを入れる。
【0040】
図4A、4Bは、マンドレル310、ポリマー部材350および刃組立体230を開示する。ポリマー部材は、略直線状の部材である。ポリマー部材の大きさおよび形状が異なってもよいと考えられる。マンドレルの形状は、ポリマー部材の形状に対応する。
【0041】
図5A、5Bは、容器408と、ポリマークロージャ420とを含むパッケージ400を例示する。
図5Aは、未開封位置のクロージャ420および容器408を図示する。ポリマークロージャ420は、本発明の方法を使用して形成し得るポリマー部材の例であるが、これに限定されない。クロージャは、製品を収容する容器またはボトルに載置されるように構成される。製品は、典型的には、液体製品であるが、固体製品であってもよいし、液体製品と固体製品との組み合わせであってもよい。ポリマークロージャ420は、ワンピース(one-piece)のクロージャ組立体である。本発明の方法を使用してツーピース(two-piece)クロージャ組立体を形成してもよいと考えられる。ポリマークロージャ420は、略筒形状である。
【0042】
ポリマークロージャ420は、第1クロージャ部または蓋422と、第2クロージャ部または基部424とを含む。第1クロージャ部422は、ポリマー上壁部426と、ポリマー環状裾部432とを含む。
図5Bに示すように、第2クロージャ部424は、ポリマー不正開封明示バンド440を含む。ポリマー不正開封明示バンド440は、ポリマー環状裾部432から垂れ下がり、第1易壊性接合部450によってポリマー環状裾部432に部分的に取り外し可能に接合されている。
【0043】
引き続き
図5Bを参照して、パッケージ400の一部の断面図を示す。第1クロージャ部422は、連続したポリマープラグ封止体428と、外側封止体430とをさらに含む。
【0044】
ポリマー環状裾部432は、容器の外側ねじ形成部とかみ合わせるための内側ねじ形成部434を含む。内側ねじ形成部434は、第1クロージャリード(lead)436と、第2クロージャリード438とを含む。第1および第2クロージャリードは、連続であってもよいし、不連続であってもよい。クロージャの内側ねじ形成部は、らせん状ねじ形成部であってもよいし、他のねじ形成部であってもよい。
【0045】
図5Aのポリマークロージャ420は、第1易壊性接合部450と、第2易壊性接合部460とを含む。易壊性接合部450は、略水平方向であり、他方、第2易壊性接合部460は、水平部分460a、460cと、鉛直方向部分460bとを有する。
【0046】
クロージャ420は、ポリマー材料から作製され、典型的には、オレフィン(例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP))、ポリエチレンテレフタレート(PET)、または、それらの混合物から作製される。使用され得るポリエチレンの一例は、高密度ポリエチレン(HDPE)である。上壁部および環状裾部を他のポリマー材料から作製してもよいと考えられる。
【0047】
クロージャは、典型的には、射出もしくは圧縮成形、押し出し、または、それらの組み合わせなどのプロセスによって形成される。
【0048】
当業者は、本発明の上記説明により、本発明を現在において最良と考えられる形態で作製および使用できるが、本明細書における特定の実施形態、方法、および例の変形、組み合わせ、および均等物が存在することを理解するであろう。したがって、本発明は、上記の実施形態、方法、および例によって限定されないが、本発明の範囲および趣旨に含まれるすべての実施形態および方法によって限定される。