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特許7576576制御キャビネット及び関連する挿入式制御ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-23
(45)【発行日】2024-10-31
(54)【発明の名称】制御キャビネット及び関連する挿入式制御ユニット
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20241024BHJP
   H05K 7/18 20060101ALI20241024BHJP
   B25J 13/06 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
H05K7/20 U
H05K7/18 K
H05K7/18 L
B25J13/06
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021575963
(86)(22)【出願日】2020-06-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-15
(86)【国際出願番号】 EP2020067441
(87)【国際公開番号】W WO2021004775
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2023-06-12
(31)【優先権主張番号】202019103733.4
(32)【優先日】2019-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】521552925
【氏名又は名称】クーカ・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】KUKA DEUTSCHLAND GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】110002963
【氏名又は名称】弁理士法人MTS国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュタイデル ディートマー
【審査官】山田 拓実
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-131173(JP,A)
【文献】特開2018-142585(JP,A)
【文献】特開2014-140914(JP,A)
【文献】特開2007-243728(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0211429(US,A1)
【文献】特開2011-040039(JP,A)
【文献】国際公開第2015/033726(WO,A1)
【文献】実開昭51-043504(JP,U)
【文献】特開2011-031316(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/18;
7/20
B25J 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの電気駆動制御ユニット(2)用の制御キャビネットであって、
制御キャビネットハウジング(3)と、
該制御キャビネットハウジング(3)内に形成された、新鮮な空気のための少なくとも1つの入口開口(5)、少なくとも1つの第1の移送開口(6.1、6.2、6.3)、及び、少なくとも1つの前記入口開口(5)と少なくとも1つの前記第1の移送開口(6.1、6.2、6.3)を流体的に接続する新鮮な空気のダクト(7)を有する第1のキャビネット区画(4.1)と、
前記制御キャビネットハウジング(3)内に形成された、排気用の少なくとも1つの出口開口(8)、少なくとも1つの第2の移送開口(9.1、9.2、9.3)、及び、少なくとも1つの出口開口(8)と少なくとも1つの前記第2の移送開口(9.1、9.2、9.3)とを流体的に接続する排気ダクト(10)を有する第2のキャビネット区画(4.2)と、
前記制御キャビネットハウジング(3)内に形成された、前記第1のキャビネット区画(4.1)、前記第2のキャビネット区画(4.2)、及び前記制御キャビネット(1)外の環境(12)からの流れに関して密閉された第3のキャビネット区画(4.3)とを有し、
前記制御キャビネットハウジング(3)は、前記第1のキャビネット区画(4.1)及び前記第2のキャビネット区画(4.2)からの流れに関して前記第3のキャビネット区画(4.3)を区切る隔壁(13)を有すると共に、少なくとも1つの前記第1の移送開口(6.1、6.2、6.3)、少なくとも1つの前記第2の移送開口(9.1、9.2、9.3)を有し、前記第3のキャビネット区画(4.3)は、少なくとも1つの引出し(14.1、14.2、14.3)を備えたラックとされ、前記各引出し(14.1、14.2、14.3)は、挿入式制御ユニット(2)を収容するように形成されている制御キャビネットにおいて、
前記第1のキャビネット区画(4.1)と前記第2のキャビネット区画(4.2)の間の隔壁(13)の前記第3のキャビネット区画(4.3)とは反対側の側面にケーブルダクト(19)が形成され、前記隔壁(13)は、このケーブルダクト(19)の表面領域に電気接続手段(20)を有しており、この電気接続手段は、前記第3のキャビネット区画(4.3)の方向に面した挿入側に配置されており、前記第3のキャビネット区画(4.3)に挿入されてロックされた挿入式制御ユニット(2)の対応する電気的嵌合接続手段が前記電気接続手段(20)に接触するようにされていることを特徴とする制御キャビネット。
【請求項2】
少なくとも1つの電気駆動制御ユニット(2)用の制御キャビネットであって、
制御キャビネットハウジング(3)と、
該制御キャビネットハウジング(3)内に形成された、新鮮な空気のための少なくとも1つの入口開口(5)、少なくとも1つの第1の移送開口(6.1、6.2、6.3)、及び、少なくとも1つの前記入口開口(5)と少なくとも1つの前記第1の移送開口(6.1、6.2、6.3)を流体的に接続する新鮮な空気のダクト(7)を有する第1のキャビネット区画(4.1)と、
前記制御キャビネットハウジング(3)内に形成された、排気用の少なくとも1つの出口開口(8)、少なくとも1つの第2の移送開口(9.1、9.2、9.3)、及び、少なくとも1つの出口開口(8)と少なくとも1つの前記第2の移送開口(9.1、9.2、9.3)とを流体的に接続する排気ダクト(10)を有する第2のキャビネット区画(4.2)と、
前記制御キャビネットハウジング(3)内に形成された、前記第1のキャビネット区画(4.1)、前記第2のキャビネット区画(4.2)、及び前記制御キャビネット(1)外の環境(12)からの流れに関して密閉された第3のキャビネット区画(4.3)とを有し、
前記制御キャビネットハウジング(3)は、前記第1のキャビネット区画(4.1)及び前記第2のキャビネット区画(4.2)からの流れに関して前記第3のキャビネット区画(4.3)を区切る隔壁(13)を有すると共に、少なくとも1つの前記第1の移送開口(6.1、6.2、6.3)、少なくとも1つの前記第2の移送開口(9.1、9.2、9.3)を有し、前記第3のキャビネット区画(4.3)は、少なくとも1つの引出し(14.1、14.2、14.3)を備えたラックとされ、前記各引出し(14.1、14.2、14.3)は、挿入式制御ユニット(2)を収容するように形成されている制御キャビネットにおいて、
前記第3のキャビネット区画(4.3)の各引出し(14.1、14.2、14.3)には、各引出し(14.1、14.2、14.3)に挿入された挿入式制御ユニット(2)を、前記挿入式制御ユニット(2)が制御キャビネット(1)に機械的、電気的、及び冷却空気の流れの観点から接続されているロック位置と、前記挿入式制御ユニット(2)が制御キャビネット(1)から機械的、電気的、及び冷却空気の流れの観点から切り離され、制御キャビネット(1)から手動で引き抜くことができるロック解除位置との間で、変位可能に取り付けるためのスライドガイド(21)が設けられていることを特徴とする制御キャビネット。
【請求項3】
前記第3のキャビネット区画(4.3)の各引出し(14.1、14.2、14.3)は、各引出し(14.1、14.2、14.3)に取り付けられた挿入式制御ユニット(2)を、ロック解除位置からロック位置へ、及び/または、ロック位置からロック解除位置へと選択的に移動させるようにされた手動調整可能なロックレバー(23)を有することを特徴とする請求項に記載の制御キャビネット。
【請求項4】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の制御キャビネット(1)の第3のキャビネット区画(4.3)の引出し(14.1、14.2、14.3)に挿入するようにされた挿入式制御ユニットであって、該挿入式制御ユニット(2)は、ロボットの電気駆動制御ユニット、追加軸駆動装置、冷凍装置、または追加装置用の周辺挿入式フレームであることを特徴とする挿入式制御ユニット。
【請求項5】
前記挿入式制御ユニット(2)が、請求項に記載の制御キャビネット(1)のロックレバー(23)と協働して、該ロックレバー(23)の動きを引出し(14.1、14.2、14.3)内の挿入式制御ユニット(2)の押し込み動作(S)に移すようにされたラッチ手段(24)を有し、挿入式制御ユニット(2)の各引出し(14.1、14.2、14.3)のラッチ手段(24)を介してロックレバー(23)を移動させることにより、各引出し(14.1、14.2、14.3)に取り付けられた挿入式制御ユニット(2)を、ロック解除位置からロック位置へ、及び/または、ロック位置からロック解除位置へと選択的に移動させることができるようにされていることを特徴とする請求項に記載の挿入式制御ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの電気駆動制御ユニットのための制御キャビネットに関するものである。また、本発明は、関連する挿入式制御ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
EP2797396A2から、特に産業用ロボットの制御キャビネットが知られている。これは、ハウジングと、ハウジング内に配置された少なくとも1つの電気及び/または電子部品と、電気モーター、及び、電気モーターによって回転可能に取り付けられたフライホイールを有し、少なくとも1つの電気及び/または電子部品を冷却するための空気流を発生させるように配置された電気機械エネルギー貯蔵庫とを備えている。
【0003】
WO2018/138041A1から、送風機によって発生した冷却風の流れによってロボット制御装置の電気部品を冷却する冷却装置が知られている。これは、第1の電気部品のための第1の受入れ空間と、第2の電気部品のための第2の受入れ空間と、第1の受入れ空間と第2の受入れ空間とを流れの面で分離する冷却体壁であって、第1の受入れ空間に面する第1の隔壁表面と、対向する冷却体壁の中間空間に面する第2の隔壁表面とを有する。第2の隔壁表面には、少なくとも1つの流路を形成する冷却壁突起が設けられている。この冷却体壁には、冷却用貫通開口が形成され、少なくとも1つの送風機によって、冷却壁突起により形成される冷却空気流が第1の受入れ空間から冷却体壁を介して中間空間に搬送される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、制御キャビネットに挿入された挿入式制御ユニットの冷却効果を向上させた制御キャビネットを作成することである。もう一つの課題は、このような制御キャビネットに簡単かつ迅速に挿入できる、確実な冷却効果を持つ挿入式制御ユニットを作ることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、本発明によれば、少なくとも1つの電気駆動制御ユニット用の制御キャビネットであって、
制御キャビネットハウジングと、
該制御キャビネットハウジング内に形成された、新鮮な空気のための少なくとも1つの入口開口、少なくとも1つの第1の移送開口、及び、少なくとも1つの前記入口開口と少なくとも1つの前記第1の移送開口を流体的に接続する新鮮な空気のダクトを有する第1のキャビネット区画と、
前記制御キャビネットハウジングに形成された、排気用の少なくとも1つの出口開口、少なくとも1つの第2の移送開口、及び、少なくとも1つの出口開口と少なくとも1つの第2の移送開口とを流体的に接続する排気ダクトを有する第2のキャビネット区画と、
前記制御キャビネットハウジング内に形成された、前記第1のキャビネット区画、前記第2のキャビネット区画、及び前記制御キャビネット外の環境からの流れに関して密閉された第3のキャビネット区画とを有し、
前記制御キャビネットハウジングは、前記第1のキャビネット区画及び前記第2のキャビネット区画からの流れに関して前記第3のキャビネット区画を区切る隔壁を有すると共に、少なくとも1つの第1の移送開口、少なくとも1つの第2の移送開口を有し、前記第3のキャビネット区画は、少なくとも1つの引出しを備えたラックとされ、前記各引出しは、挿入式制御ユニットを収容するように形成されていることにより解決される。
【0006】
駆動技術、特にロボット工学では、永久磁石式同期マシンなどのモーターを動作させるために周波数インバータが使用されている。適切な保護等級(IP)を達成するために、周波数インバータは通常、制御ユニットとともに制御キャビネット内に設置される。マニピュレーターや産業用ロボットが大型化した場合、周波数インバータでの熱損失が大きくなるため、適切な方法で制御キャビネットの外に出してやる必要がある。
【0007】
熱交換器は放熱のためにかなりの大きさになり、周波数インバータの温度上昇にもつながるため、周波数インバータは通常、「差込み(Durchsteck)技術」という手法で制御キャビネット内に設置されている。しかし、この場合、制御キャビネットは、適切にカットされた開口を持つ後部壁を必要とする。そして、周波数インバータは、その冷却体と共に、外部冷却風ダクト中に吊り下げられ、熱を直接外部に放出する。
【0008】
この方法は技術的には実現しやすいが、いくつかの欠点がある。即ち、冷却体は、モーターの電流や電力が大きくなると、大きな設置面積を必要とし、周波数インバータは通常、背面の壁に縦にしてネジ止めする必要がある。重量が重く、キャビネットの奥に設置されているため、人間工学的にも交換が困難である。冷却空気は通常、自然対流により、冷却体を介して下から上に吹き上げられる。そのため、キャビネット内のより上部に設置された周波数インバータは、より下部に設置された周波数インバータからの既に予熱された空気を受け、十分な放熱ができなくなっている。立てて設置すると、複数ロボットの制御キャビネットでは、すぐに高さや奥行きのないキャビネットになってしまう。これにより、制御キャビネットが転倒する危険性が大幅に高まる。
【0009】
本発明によれば、必要に応じて、個別にまたは組み合わせて、以下のような改善を提供することができる。
【0010】
単純で素早く、人間工学に基づいた交換可能なユニット(挿入式制御ユニット)を採用し、セットアップ時間を小さくすることができる。コンパクトで省スペースなデザインと拡張性のあるシステムを実現できる。大幅に簡素化された設備を実現することができる。
【0011】
この課題を解決するために、挿入式の棚をいくつか備えたラック式キャビネットを使用することができる。各挿入式棚には、例えば、周波数インバータを内蔵した制御モジュール(即ち、挿入式制御ユニット)を、容易に人間工学的に水平方向に挿入し、機械的に固定することができる。制御モジュールは、内部に冷却体を持ち、上部、中部、下部のいずれかに調節可能な送風機を備え、キャビネットの側壁にある適合するシールリップに機械的に押し付けられる。これにより、モジュールの吸気口は、新鮮な空気のダクトの開口から冷たい空気を吸い込み、U字型の冷却体を通過させ、最終的に2番目の開口から排気ダクトに向かって熱い空気を吹き飛ばす。
【0012】
モジュール内の空気の流れにより、IP保護等級の密閉境界は、もはやキャビネットの壁に平らに配置されているのではなく、モジュール内を通っている。つまり、モジュール内の冷却体は、モジュールの他の部分から密閉されており、対応するIP保護等級を満たしている。
【0013】
モジュールの機械的なロックは、工具不要のクイックロックによって達成される。これにより、新鮮な空気のダクトと排気ダクトとの緊密な接続が保証されるだけでなく、同時に、モジュールの電源への電気的な接続や、バラスト抵抗などの他との接続も可能になる。
【0014】
この効率的な配置により、制御ユニットの交換が非常に簡単、迅速、かつ人間工学的にも快適になるだけでなく、非常にコンパクトな制御ユニット挿入棚を構築することができ、一つの拡張可能なラックベースのキャビネットに複数を重ねて配置することができる。側壁にある2つの独立した垂直エアダクトによる巧みな気流のおかげで、さらに上に設置された制御ユニットにも冷たい新鮮な空気が供給され、下の制御ユニットから追加で加熱されることはない。これにより、個々の挿入ユニットは互いにほぼ熱的に独立している。
【0015】
ロボット制御装置の他にも、引出しには、追加の軸モジュール(制御装置のない周波数インバータなど)、周辺機器やユーザ装置、キャビネット内部の冷却ユニットなど、他の挿入式ユニットも使用することができる。ここでは、冷却ユニットがキャビネット内部の空気を冷却し、ロボットの制御装置に匹敵する廃熱を横方向のエアダクトに放出する。
【0016】
また、ユーザはキャビネットなしで制御モジュールを購入し、ユーザ独自のカスタマイズされたキャビネットに取り付けることもできる。この置換えられた解決策のモジュールは、新鮮な空気と排気のパイプを介して、既存のユーザのキャビネット概念に非常に柔軟に統合することができる。
【0017】
隔壁の第1のキャビネット区画に隣接する表面領域は、それぞれ引出しの高さにある少なくとも1つの独立した第1の移送開口を有し、各引出しは、それぞれの引出しに面する側に第1のシール用フランジを有するように形成され、挿入式制御ユニットが各引出しに挿入されてロックされる配置は、挿入式制御ユニットの吸気口に対応する第1のシール用カウンターフランジが気密に耐えるように突き合わされている。
【0018】
隔壁の第2のキャビネット区画に隣接する表面領域は、それぞれ引出しの高さにある、少なくとも1つの独立した第2の移送開口を有し、各引出しは、それぞれの引出しに面する側に第2のシール用フランジを有するように形成され、挿入式制御ユニットが各引出しに挿入されてロックされる配置は、挿入式制御ユニットの排気口に対応する第2のシール用カウンターフランジが気密に耐えるように突き合わされている。
【0019】
第1のシール用フランジ、第2のシール用フランジの第1のシール用カウンターフランジ、及び/または、第2のシール用カウンターフランジがシール用リップを有していてもよい。
【0020】
第2のキャビネット区画内に少なくとも1つの制動抵抗器が配置されてもよい。なお、1つの制動抵抗器又は複数の制動抵抗器は、電動機の発電機動作の発生により、挿入式制御ユニットが制御する動作、例えばロボットアームの動作を減速させることで回収した電気エネルギーを熱に変換するために用いてもよい。
【0021】
第1のキャビネット区画と第2のキャビネット区画の間の隔壁の第3のキャビネット区画とは反対側の側面にケーブルダクトが形成され、隔壁は、このケーブルダクトの表面領域に電気接続手段を有しており、この接続手段は、第3のキャビネット区画の方向に面した挿入側に配置されており、第3のキャビネット区画に挿入されてロックされた挿入式制御ユニットの対応する電気的嵌合接続手段が電気接続手段に接触するようになっている。
【0022】
第3のキャビネット区画の各引出しには、各引出しに挿入された挿入式制御ユニットを、挿入式制御ユニットが制御キャビネットに機械的、電気的、及び冷却空気の流れの観点から接続されているロック位置と、挿入式制御ユニットが制御キャビネットから機械的、電気的、及び冷却空気の流れの観点から切り離され、制御キャビネットから手動で引き抜くことができるロック解除位置との間で、変位可能に取り付けるためのスライドガイドを設けることができる。
【0023】
第3のキャビネット区画の各引出しは、各引出しに取り付けられた挿入式制御ユニットを、ロック解除位置からロック位置へ、及び/または、ロック位置からロック解除位置へと選択的に移動させるようにされた手動調整可能なロックレバーを有している。
【0024】
本発明の課題は、説明した1つ又は複数の実施形態による制御キャビネットの第3のキャビネット区画の引出しに挿入するように形成された挿入式制御ユニットによってさらに解決され、ここで、挿入式制御ユニットは、ロボットの電気駆動制御ユニット、追加軸駆動装置、冷凍装置、または追加装置用の周辺挿入式フレームであってもよい。
【0025】
挿入式制御ユニットは、制御キャビネットのロックレバーと協働して、該ロックレバーの動きを引出し内の挿入式制御ユニットの押し込み動作に移すようにされたラッチ手段を有し、挿入式制御ユニットの各引出しのラッチ手段を介してロックレバーを移動させることにより、各引出しに取り付けられた挿入式制御ユニットを、ロック解除位置からロック位置へ、及び/または、ロック位置からロック解除位置へと選択的に移動させることができるようになっている。
【0026】
本発明の実施形態の具体例は、添付の図を参照して以下の説明でより詳細に説明される。これらの例示的な実施形態の具体的な特徴は、それらが言及されている特定の文脈にかかわらず、個別に、または場合によってはさらなる組み合わせで考慮された場合にも、本発明の一般的な特徴を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】挿入式制御ユニットを挿入した本発明による制御キャビネットの例示的な第1の実施形態の透視図
図2図1による制御キャビネットと、図1による挿入式制御ユニットを通る概略断面図
図3】挿入式制御ユニットが挿入された本発明による制御キャビネットの第2の実施形態の透視図
図4図3による制御キャビネットと、図3による挿入式制御ユニットを通る概略断面図
図5】制御キャビネットの引出しの中に入っている挿入式制御ユニットの例の拡大透視図
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1及び図2は、制御キャビネット1の例示的な第1の実施形態を示している。制御キャビネット1は、例えば図5に単独で示すような、少なくとも1つの電気駆動制御ユニット2を収容するように形成されている。
【0029】
制御キャビネット1は、制御キャビネットハウジング3を有している。
【0030】
制御キャビネットハウジング3には、第1のキャビネット区画4.1が形成されており、この区画は、新鮮な空気のための少なくとも1つの入口開口5と、少なくとも1つ(本実施形態の場合は丁度3つ)の第1の移送開口6.1、6.2、6.3と、少なくとも1つの入口開口5と少なくとも1つの第1の移送開口6.1、6.2、6.3を流体的に接続する新鮮な空気のダクト7とを有している。前記入口開口5は、第1のキャビネット区画4.1を閉じるカバーパネルに一体化されており、図1では分かりやすくするために取り外されているが、カバーパネルは図示されていないものの、入口開口5の位置は水平線で模式的に示されている。
【0031】
制御キャビネットハウジング3には、さらに、第2のキャビネット区画4.2が形成されており、この第2のキャビネット区画4.2は、排気用の少なくとも1つの出口開口8と、少なくとも1つ(本実施形態の場合は丁度3つ)の第2の移送開口9.1、9.2、9.3と、少なくとも1つの出口開口8と少なくとも1つの第2の移送開口9.1、9.2、9.3とを流体的に接続する排気ダクト10と、を有している。前記出口開口8は、第2のキャビネット区画4.2を閉じるカバーパネルに一体化されており、図1では分かりやすくするために取り外されているが、カバーパネルは図示されていないものの、出口開口8の位置が水平線で模式的に示されている。
【0032】
第2のキャビネット区画4.2内には、本実施形態の場合、複数の制動抵抗器11が配置されている。
【0033】
制御キャビネットハウジング3内には第3のキャビネット区画4.3が形成されており、これは、第1のキャビネット区画4.1、第2のキャビネット区画4.2、及び制御キャビネット1外の環境12に対して流体的に密閉されている。
【0034】
前記制御キャビネットハウジング3は、第3のキャビネット区画4.3を第1のキャビネット区画4.1及び第2のキャビネット区画4.2から流体的に分離する隔壁13を有し、これは、第1の移送開口6.1、6.2、6.3及び第2の移送開口9.1、9.2、9.3を有している。第3のキャビネット区画4.3は、少なくとも1つの引出し14.1、14.2、本実施形態では丁度3つの引出し14.1、14.2、14.3を備えたラックとして形成されており、各引出し14.1、14.2、14.3は、挿入式制御ユニット2を収容するように形成されている。
【0035】
図1及び図2による第1の実施形態と、図3及び図4による第2の実施形態の両方において、隔壁13は、隣接する第1のキャビネット区画4.1の表面領域に、各引出し14.1、14.2、14.3の高さに、各引出し14.1、14.2、14.3に面する側にある独立した第1の移送開口6.1、6.2、6.3を有しており、この第1の移送開口は、各引出し14.1、14.2、14.3に面する側に、第1のシール用フランジ15.1、15.2、15.3を有している。挿入式制御ユニット2が各引出し14.1、14.2、14.3に挿入されてロックされた配置において、挿入式制御ユニット2の吸気口に対応する第1のシール用カウンターフランジ16.1、16.2、16.3が気密に配置されている。
【0036】
図3及び図4による第2の実施形態は、特に、図1及び図2による第1の実施形態とは異なり、第1の実施形態による単一の入口開口5(Fig.1)で、新鮮な空気を新鮮な空気のダクト7に入れて、新鮮な空気がそこで煙突のように3つの第1の移送開口6.1、6.2、6.3に分配されるようにする代わりに、第2の実施形態では、3つの移送開口6.1、6.2、6.3のそれぞれに、個別の独立した入口開口5(図3)が割り当てられている。このような配分は、それぞれダクト接続部25によって行われ、ここで、各移送開口6.1、6.2、6.3がそれぞれ独立した入口開口5(図3)に接続される。
【0037】
第1のキャビネット区画4.1の第1の移送開口6.1、6.2、6.3と同様に、隔壁13は、隣接する第2のキャビネット区画4.2の表面領域に、各引出し14.1、14.2、14.3の高さに独立した第2の移送開口9.1、9.2、9.3を有しており、この第2の移送開口は、各引出し14.1、14.2、14.3に面する側に第2のシール用フランジ17.1、17.2、17.3を有している。挿入式制御ユニット2が各引出し14.1、14.2、14.3に挿入されてロックされた配置において、挿入式制御ユニット2の排気口に対応する第2のシール用カウンターフランジが気密に配置されている。
【0038】
隔壁13の第1のキャビネット区画4.1と第2のキャビネット区画4.2の間の第3のキャビネット区画4.3に対向する側面には、図示の実施形態の場合、それぞれケーブルダクト19が形成されている。隔壁13には、このケーブルダクト19の表面領域に電気接続手段20が設けられており、この接続手段は、第3のキャビネット区画4.3の方向に面した挿入側に配置されている。これにより、第3のキャビネット区画4.3に挿入されてロックされた挿入式制御ユニット2の対応する電気的嵌合接続手段が、電気接続手段20と接触することができる。ケーブルダクト19は、特にダクト接続部25の(目に見えない)側壁への接続部において、外気に対してシールされている。図3によるレイアウトは、ケーブルダクト19内の空間が広くなり、その結果、追加の装置のための場所を確保できるので有利である。
【0039】
特に図5に見られるように、第3のキャビネット区画4.3の各引出し14.1、14.2、14.3は、各引出し14.1、14.2、14.3に挿入された個々の挿入式制御ユニット2を、ロック位置(図5)とロック解除位置の間で変位可能に収納するように形成されたスライドガイド21を有することができる。ロック位置では、挿入式制御ユニット2が制御キャビネット1に機械的、電気的、及び冷却空気の流れの観点から接続されており、ロック解除位置では、挿入式制御ユニット2が制御キャビネット1から機械的、電気的、及び冷却空気の流れの観点から解放され、手動で制御キャビネット1から引き抜くことができる。挿入式制御ユニット2には、手動で取り出すためのハンドルグリップ22を、例えば正面に向けて設けることができる。
【0040】
図5に示すように、第3のキャビネット区画4.3の各引出し14.1、14.2、14.3は、矢印Pの方向によって示されるように、各引出し14.1、14.2、14.3に取り付けられた挿入式制御ユニット2を、ロック解除位置からロック位置(図5)へ、及び/または、ロック位置(図5)からロック解除位置へと選択的に移動させるように構成された手動調整可能なロックレバー23を含んでいてもよい。
【0041】
挿入式制御ユニット2は、制御キャビネット1のロックレバー23と協働して、ロックレバー23の動きを引出し14.1、14.2、14.3内での挿入式制御ユニット2の押し込み動作Sに移行させるように設計されたラッチ手段24を有している。ロックレバー23を挿入式制御ユニット2のラッチ手段24の上に移動させることで、各引出し14.1、14.2、14.3に取り付けられた挿入式制御ユニット2を、ロック解除位置からロック位置(図5)へ、及び/または、ロック位置(図5)からロック解除位置へと移動させることができる。
【0042】
図2及び図4はそれぞれ、第1のキャビネット区画4.1及び第2のキャビネット区画4.2に対する第3のキャビネット区画4.3の密閉が行われる境界を太い破線Lで模式的に示している。第1の実施形態の場合、各挿入式制御ユニット2の冷却体26は、制御基板27と周波数インバータ28の電力部品との間に配置されている。したがって、第1の実施形態による挿入式制御ユニット2は、WO2018/138041A1に開示されているような制御装置と同様に形成することができる。第2の実施形態の場合、制御基板27と周波数インバータ28の電力部品とが同じ側、すなわち直接隣接して配置され、各挿入式制御ユニット2の冷却体26は、端部側、すなわち制御基板27とは反対側の周波数インバータ28の電力部品の隣に配置されている。
図1
図2
図3
図4
図5