(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-23
(45)【発行日】2024-10-31
(54)【発明の名称】一体化された保護を伴うソナー変換器モジュール
(51)【国際特許分類】
G01S 7/521 20060101AFI20241024BHJP
B63B 49/00 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
G01S7/521 A
B63B49/00 B
(21)【出願番号】P 2022510981
(86)(22)【出願日】2020-08-20
(86)【国際出願番号】 US2020047146
(87)【国際公開番号】W WO2021035022
(87)【国際公開日】2021-02-25
【審査請求日】2023-08-15
(32)【優先日】2019-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515220476
【氏名又は名称】ファーサウンダー, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ジマーマン, マシュー
【審査官】藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0294660(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0059705(US,A1)
【文献】特開2014-230109(JP,A)
【文献】中国実用新案第204360773(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/52- 7/64
G01S 15/00-15/96
B63B 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソナー変換器モジュールであって、該ソナー変換器モジュールは、
空洞を備えている内部ハウジングであって、該空洞は、該内部ハウジングの後部から延びている壁の組によって画定される、内部ハウジングと、
該ハウジングの該空洞の中に提供された1つ以上の変換器要素と、
該内部ハウジングにオーバーモールディングされ、該内部ハウジングに結合され、該内部ハウジングの該空洞内の該1つ以上の変換器要素を密封するカバーと
を備えて
おり、
該壁の組は、少なくとも、向かい合う側壁を含み、該1つ以上の変換器要素は、該壁の組の保護構造の後ろである距離だけ凹所に配置されている、ソナー変換器モジュール。
【請求項2】
前記距離は、前記ソナー変換器モジュールが設置される船舶上のアンカーチェーンの寸法に対応する、請求項1に記載のソナー変換器モジュール。
【請求項3】
前記
壁の組は、向かい合う頂壁および底壁を
さらに含む、請求項2に記載のソナー変換器モジュール。
【請求項4】
前記壁の組は、
前記向かい合う側壁と、向かい合う頂壁および底壁とを含む少なくとも4つの壁を備えている、請求項1に記載のソナー変換器モジュール。
【請求項5】
前記頂壁によって少なくとも部分的に画定された前記空洞の一部は、伝送器変換器要素の視野を阻害することなく該伝送器変換器要素の形状に対応するように、形状および/またはサイズを決定されている、請求項
4に記載のソナー変換器モジュール。
【請求項6】
前記向かい合う側壁と前記底壁とによって少なくとも部分的に画定された前記空洞の一部は、受信器変換器要素の視野を阻害することなく該受信器変換器要素の形状に対応するように、形状および/サイズを決定されている、請求項
4に記載のソナー変換器モジュール。
【請求項7】
前記壁の組は、前記1つ以上の変換器要素の視野を阻害することなく該1つ以上の変換器要素のそれぞれの部分を覆うように配置される、請求項1に記載のソナー変換器モジュール。
【請求項8】
前記内部ハウジングは、海洋グレード材料を備えている、請求項1に記載のソナー変換器モジュール。
【請求項9】
前記海洋グレード材料は、二相ステンレス鋼を備えている、請求項
8に記載のソナー変換器モジュール。
【請求項10】
前記二相ステンレス鋼は、SAE316またはSAE316Lグレードステンレス鋼を備えている、請求項
9に記載のソナー変換器モジュール。
【請求項11】
前記カバーは、オーバーモールディングプロセスを受けることが可能な海洋グレード材料を備えている、請求項1に記載のソナー変換器モジュール。
【請求項12】
前記カバーは、水と実質的に同様の音響インピーダンスを有する材料を備えている、請求項
11に記載のソナー変換器モジュール。
【請求項13】
前記カバーは、ウレタン材料を備えている、請求項
12に記載のソナー変換器モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は、概して、ソナーアレイに関連し、より特定すると、一体化された機械的保護を含むソナー変換器モジュールに関連する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
水中音響を採用したシステムは、多様な海洋船舶(例えば、コンテナ船、タンカー船、旅客船、ヨット、帆船など)に対して一般的にみられる。そのようなシステムは、多様な他の水中システム(海底に搭載された設備と、係留に搭載された設備と、ダイバーが携帯する設備とを含むが、それらに限定されない)においても配備される。最も一般的な水中音響システムは、エコーサウンダーとして知られている。エコーサウンダーは、水中の物理学的および生物学的構成要素の計測のためのソナー(SOund Navigation And Ranging)技術を使用したデバイスである。エコーサウンダーは、深さおよび底地形を決定すること、魚を検知すること、残骸の位置を突き止めることなどを行うために使用され得る。
【0003】
エコーサウンダーは、俗に「変換器」として知られる構成要素を含む。変換器は、一般に、エネルギーを一形態から別の形態に変えるための実際の電子的機構を指すと理解される。しかしながら、「変換器」または「変換器モジュール」という俗語は、一般に、水に晒されるパッケージ全体を指し、パッケージは、電気エネルギーを音響エネルギーに変えることとその逆とを行うための機構(すなわち、変換機構)と、変換機構をプラットフォームに搭載するための機構とを少なくとも含む。ソナーサウンドビームは、水の中に伝送され、水を通して伝送され、ソナーサウンドビームが遭遇した物体から反射される。変換機構は、反射された音(「ソナーリターン」)を受信し、音エネルギーを電気エネルギーに変える。既知の音速、または推定される音速に基づいて水上または水中の物体までの距離および/または場所を決定することが、可能である。ソナーリターン信号は、水中環境の「絵」をユーザに与えるディスプレイデバイス上に表示されるように処理されることもできる。
【0004】
変換機構の壊れやすさに起因して、製造者は、典型的に衝撃力(すなわち、アンカーチェーンもしくはケーブルなどの船上設備、または岩、氷山、他の船舶、波止場などの他の要素との衝撃)からのなんらかの手段保護を提供することを試みてきた。例えば、いくつかの変換器は、変換器モジュールを覆うように提供された音響的に透過なカバーを含み、カバー内のそれらの間の空隙は、油で満たされている。この配置がなんらかの保護を提供するが、変換器モジュールの動作中に遭遇される屈折の結果として、カバーは、性能に悪影響を及ぼし得る。
【0005】
別の形態の保護は、変換器モジュールの周りに外部保護特徴を配置することを含む。例えば、いくつかの例では、変換器モジュールは、金属カップの内部に配置される。残念なことに、変換器モジュールは、しばしば、漏出することなく外部保護特徴の内部を密封することが困難な複雑な形状を有する。
【0006】
さらに別の形態の保護は、構造船舶が変換器モジュールになんらかの機械的保護を提供するように、変換器モジュールを船舶の構造の凹所に置くことを含む。しかしながら、この形態の保護は、船舶の全体アーキテクチャおよび設計に基づいて制限される。特に、船舶の水力学に影響を与えることなく適切な保護を提供することが、(特に、変換器モジュールが複雑な形状を有する場合に)困難である。そのようなものとして、船舶改良の設計は、しばしば、変換器モジュールの製造者による監督がほとんどない状態、または全くない状態で船舶技師によってケースバイケースで開発される。そのような変形および監督の欠如は、必要とされる保護を与えないデザインをもたらし得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(概要)
本発明は、一体化された保護を伴う変換器モジュールを提供する。変換器モジュールは、中に提供された1つ以上の変換器要素(すなわち、伝送器(単数または複数)および/または受信器(単数または複数))に機械的保護を与える二部品保護アセンブリを含む。二部品保護アセンブリは、剛体材料からなるハウジングを含み、ハウジングは、ハウジングの後部から延びている壁または突出部の組によって形成された空洞を含む。空洞は、中に1つ以上の変換器要素を受け取るように形状および/またはサイズを決定されている。例えば、壁の組は、一般に、2つ以上の壁を含み得、それらは、1つ以上の変換器要素のそれぞれの部分を中に封入しつつ変換器要素の視野の外側に留まる(すなわち、音響ビームまたは反射されたビームの受信を阻害しない)ように配置される。変換器要素は、カバーによってハウジングの内部に密封される。カバーは、変換器要素を周囲の液体(例えば、水または油)に対して保護しつつ、音響ビームがそれを通過することを可能にする。好ましくは、カバーは、水と同様の音響インピーダンスを伴うウレタンなどのポリマーである。カバーは、空洞を画定する壁または突出部を覆うように成形され、ハウジングと共にカバーの最適な接着を提供し、それによって、ハウジング内に変換器要素を緊密に密封することによる変換器要素の保護を最大化する。
【0008】
所望される保護のレベルと、遭遇することが予期される衝撃力とに応じて、壁の組が任意の数の壁を含み得ることに留意されたい。例えば、いくつかの実施形態では、船舶上の配置の場所、および/または所与の船舶が関連付けられた活動のタイプに起因して、所与の変換器モジュールが、側面および/または正面対向の衝撃にのみ遭遇し得る。従って、そのような実施形態では、ハウジングは、2つの側壁のみを含み、それによって、側面および/または正面対向の衝撃のための保護を提供し得る。他の実施形態では、所与の変換器モジュールは、頂面および/または底面の衝撃にのみ遭遇し得、そのような場合、ハウジングは、対応する保護を提供するための頂壁および低壁のみを含み得る。さらに、他の実施形態では、所与の変換器モジュールが、全ての方向の衝撃(すなわち、側面、正面対向、頂面および/または底面の衝撃)に遭遇し得、そのような場合、ハウジングは、対応する保護を提供するための側壁、頂壁および底壁を含み得る。
【0009】
二部品保護アセンブリは、カバーをさらに含み、カバーは、剛体ハウジングにオーバーモールディングされ、剛体ハウジングに結合され、ハウジングの空洞内の1つ以上の変換器要素を密封する。カバーは、オーバーモールディングプロセスを受けて半剛体状態に硬化することが可能な海洋グレード材料を含む。カバー材料は、弾力的な性質を有し、それによって、運動または振動を低減または減衰させる。一実施形態では、オーバーモールディングされたカバーは、例えば、ウレタンを含む。
【0010】
本発明の変換器モジュールは、現行の保護機構の欠点に対処する。二部品保護アセンブリは、変換器モジュールがスタンドアロンモジュールであることを可能にし、スタンドアロンモジュールは、あつらえの凹所が船舶の構造に提供されることを必要としない。言い換えれば、変換器モジュールは、船舶の船体の外部に直接搭載されるように構成された船体搭載可能なデバイスであり得、従って、衝撃からの保護に関して船舶に依存しない。むしろ、内部剛体ハウジングは、船舶の構造の保護と同様の保護を提供し得る。代替として、いくつかの実施形態では、変換器モジュールは、凹所に置かれる手法で、または部分的に凹所に置かれる手法で設置され得る。凹所に置かれる手法で、または部分的に凹所に置かれる手法でデバイスを設置することの1つの利点は、船体およびフェアリングの設計がいくつかの方向からの保護を提供し得、内部保護部材が他の方向からの保護を提供し得ることである。
【0011】
さらに、ウレタンカバーをオーバーモールディングすることは、1つ以上の変換器要素およびハウジング自体へのウレタンの結着が改善され、内部ハウジングと共に緊密な密封を形成し、複数の方向の衝撃(すなわち、側面の衝撃および正面対向の衝撃)に対する保護を提供することを可能にする。特に、内部ハウジングの壁または突出部の配置は、ウレタンを圧縮して変換器要素に衝撃力を伝達する可能性を低減させる。
【0012】
本開示の一態様は、ソナー変換器モジュールを含み、ソナー変換器モジュールは、空洞を備えている内部ハウジングであって、空洞は、内部ハウジングの後部から延びている壁の組によって画定される、内部ハウジングと、内部ハウジングにオーバーモールディングされ、内部ハウジングに結合され、内部ハウジングの空洞内の1つ以上の変換器要素を密封するカバーと、ハウジングの空洞の中に提供された1つ以上の変換器要素とを含む。
【0013】
壁の組は、1つ以上の変換器要素の視野を阻害することなく1つ以上の変換器要素のそれぞれの部分を覆うように配置される。いくつかの実施形態では、壁の組は、少なくとも2つの壁を備えている。少なくとも2つの壁は、向かい合う側壁を含み得るか、または向かい合う頂壁および底壁を含み得る。他の実施形態では、壁の組は、少なくとも4つの壁を備えている。少なくとも4つの壁は、向かい合う側壁と、向かい合う頂壁および底壁とを備えている。そのような実施形態では、頂壁によって少なくとも部分的に画定された空洞の一部は、伝送器変換器要素の視野を阻害することなく伝送器変換器要素の形状に対応するように、形状および/またはサイズを決定されている。そのような実施形態では、向かい合う側壁と底壁とによって少なくとも部分的に画定された空洞の一部は、受信器変換器要素の視野を阻害することなく受信器変換器要素の形状に対応するように、形状および/またはサイズを決定されている。
【0014】
内部ハウジングは、海洋グレード材料を備えている。海洋グレード材料は、二相ステンレス鋼を備えている。いくつかの実施形態では、材料は、SAE316Lグレードステンレス鋼を備えている。
【0015】
カバーは、オーバーモールディングプロセスを受けることが可能な海洋グレード材料を備えている。材料は、水と実質的に同様の音響インピーダンスをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、カバーは、ポリマーを備えている。好ましくは、カバーは、ウレタン材料を備えている。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
ソナー変換器モジュールであって、該ソナー変換器モジュールは、
空洞を備えている内部ハウジングであって、該空洞は、該内部ハウジングの後部から延びている壁の組によって画定される、内部ハウジングと、
該ハウジングの該空洞の中に提供された1つ以上の変換器要素と、
該内部ハウジングにオーバーモールディングされ、該内部ハウジングに結合され、該内部ハウジングの該空洞内の該1つ以上の変換器要素を密封するカバーと
を備えている、ソナー変換器モジュール。
(項目2)
前記壁の組は、少なくとも2つの壁を備えている、項目1に記載のソナー変換器モジュール。
(項目3)
前記少なくとも2つの壁は、向かい合う側壁を備えている、項目2に記載のソナー変換器モジュール。
(項目4)
前記少なくとも2つの壁は、向かい合う頂壁および底壁を備えている、項目2に記載のソナー変換器モジュール。
(項目5)
前記壁の組は、少なくとも4つの壁を備えている、項目1に記載のソナー変換器モジュール。
(項目6)
前記少なくとも4つの壁は、向かい合う側壁と、向かい合う頂壁および底壁とを備えている、項目5に記載のソナー変換器モジュール。
(項目7)
前記頂壁によって少なくとも部分的に画定された前記空洞の一部は、伝送器変換器要素の視野を阻害することなく該伝送器変換器要素の形状に対応するように、形状および/またはサイズを決定されている、項目6に記載のソナー変換器モジュール。
(項目8)
前記向かい合う側壁と前記底壁とによって少なくとも部分的に画定された前記空洞の一部は、受信器変換器要素の視野を阻害することなく該受信器変換器要素の形状に対応するように、形状および/サイズを決定されている、項目6に記載のソナー変換器モジュール。
(項目9)
前記壁の組は、前記1つ以上の変換器要素の視野を阻害することなく該1つ以上の変換器要素のそれぞれの部分を覆うように配置される、項目1に記載のソナー変換器モジュール。
(項目10)
前記内部ハウジングは、海洋グレード材料を備えている、項目1に記載のソナー変換器モジュール。
(項目11)
前記海洋グレード材料は、二相ステンレス鋼を備えている、項目10に記載のソナー変換器モジュール。
(項目12)
前記二相ステンレス鋼は、SAE316またはSAE316Lグレードステンレス鋼を備えている、項目11に記載のソナー変換器モジュール。
(項目13)
前記カバーは、オーバーモールディングプロセスを受けることが可能な海洋グレード材料を備えている、項目1に記載のソナー変換器モジュール。
(項目14)
前記カバーは、水と実質的に同様の音響インピーダンスを有する材料を備えている、項目13に記載のソナー変換器モジュール。
(項目15)
前記カバーは、ウレタン材料を備えている、項目14に記載のソナー変換器モジュール。
【図面の簡単な説明】
【0016】
(図面の簡単な説明)
【
図1】
図1は、本発明の変換器モジュールを装備された海洋船舶を描写している。
【0017】
【
図2】
図2は、本発明の変換器モジュールを含むソナーシステム全体を図示したブロック図である。
【0018】
【
図3】
図3は、本発明の変換器モジュールの斜視図である。
【0019】
【
図4】
図4は、本発明の変換器モジュールの側面図である。
【0020】
【
図5】
図5は、本発明の変換器モジュールの分解図である。
【0021】
【
図6】
図6は、内部ハウジングの空洞の中に封入された変換器要素の斜視図である。
【0022】
【
図7】
図7は、海洋船舶の船体に結合された本発明の変換器モジュールを示した平面断面図である。
【0023】
【
図8】
図8は、変換器モジュールに対する側面の衝撃を図示した平面断面図である。
【0024】
【
図9】
図9は、変換器モジュールに対する正面対向の衝撃を図示した平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(詳細な説明)
概観として、本発明は、中に提供された1つ以上の変換器要素(すなわち、伝送器(単数または複数)および/または受信器(単数または複数))に機械的保護を与える二部品保護アセンブリを含む変換器モジュールを対象とする。
【0026】
二部品保護アセンブリは、剛体材料からなるハウジングを含み、ハウジングは、ハウジングの後部から延びている壁または突出部の組によって形成された空洞を含む。空洞は、中に1つ以上の変換器要素を受け取るように形状および/またはサイズを決定されている。例えば、壁の組は、一般に、2つ以上の壁を含み得、それらは、1つ以上の変換器要素のそれぞれの部分を中に封入しつつ変換器要素の視野の外側に留まる(すなわち、音響ビームまたは反射されたビームの受信を阻害しない)ように配置される。二部品保護アセンブリは、カバーをさらに含み、カバーは、剛体ハウジングにオーバーモールディングされ、剛体ハウジングに結合され、ハウジングの空洞内の1つ以上の変換器要素を密封する。カバーは、オーバーモールディングプロセスを受けて半剛体状態に硬化することが可能な海洋グレード材料を含む。一実施形態では、オーバーモールディングされたカバーは、例えば、ウレタンを含む。
【0027】
変換器は、伝送器または受信器などの壊れやすい要素に依存している。残念なことに、変換器は、例えば、アンカーチェーンもしくはケーブル、または岩、氷山、波止場などの他の要素との衝突などのある水中衝突を起こす傾向がある。それらの衝突は、しばしば、変換器要素に損傷を与え、それらが機能する能力を混乱または消滅させ得る。変換器がなければ水上船舶を安全に航行させることが困難であるので、これは、開水域においてとりわけ問題である。例えば、変換器がなければ、水中の危険を識別し、その後、水中の危険を迂回するように航行できない。この問題点に対処するために、本開示は、一体化されたハウジングを伴う変換器モジュールを提供する。ハウジングは、ハウジングの中に配置された変換器要素を衝撃力から保護するように設計されている。例えば、ハウジングは、衝突からの衝撃力を吸収して変換器要素に対する損傷を防止する剛体壁を備え得る。好ましくは、ハウジングは、ハウジング内の変換器要素を密封し、周囲の液体からそれらを保護する保護材料またはカバーの中に埋め込まれている。例えば、カバーは、オーバーモールディングプロセスを介してハウジングの周りに配置され得る。ハウジングへのカバーのオーバーモールディングは、その中の変換器要素を覆い、それらを密封することに加えて、カバーの部分がハウジングの側部を覆うように延びており、ハウジングを囲むことをもたらす。ハウジングの側部をカバーで囲むことは、それがカバーとハウジングとの間の結着面積を増大させ、それによって、カバーを所定の場所に固定するので、望ましい。
【0028】
本発明は、カバーと一体化されたハウジングを使用し、カバーは、ハウジングの部分を覆うように延びており、それによって、中に変換器要素を含むハウジングを密封する。この構成は、外部ハウジングの空洞の内部に変換器要素を密封することによってそれらを保護するある従来技術を超える特定の利点を有する。特に、外部ハウジング(例えば、金属カップ)の内部に変換器要素を密封することは、カバーと外部ハウジングの空洞との間の結着面積が空洞自体の内部表面積によって制限され、そのような場合、漏出する傾向にあるので、劣っている。逆に、ハウジングを保護カバー内に一体化することは、カバーとハウジングとの間の結着面積を増大させ、より緊密かつより侵入不可能な密封を提供する。
【0029】
さらに、検討されたように、変換器モジュールは、しばしば、複雑な形状を備えている。船舶に搭載されたときの変換器モジュールの複雑な形状は、抗力または乱流を生み出すことによって水力学に干渉し得る。水力学的干渉は、例えば、燃料効率を低減させることによって、または振動を生み出すことによって、船舶が水を通して移動する能力に悪影響を及ぼす。本発明の1つの洞察は、保護アセンブリが剛体ハウジングを覆うように液状ポリマー(例えば、ウレタン)を成形することによって形成されるので、本発明の変換器モジュールは、従来技術に見受けられるようなより高価な外部ハウジングによって達成され得るより容易に、船舶の水力学的要件に合致するように作製され得ることである。従って、いくつかの態様では、本発明は、改善された水力学的性能を伴うコスト効率の良い変換器モジュールを提供する。そして、多くの従前の海洋ソナーが従来技術に見受けられる保護設備を使用できる場所または手段において設置されるが、発明者らの独自の製品は、独自の設置場所を必要とし、本発明を必要としてきた。
【0030】
図1は、本発明の変換器モジュール201を装備された海洋船舶101を描写している。図示されているように、海洋船舶101は、例えば、中型ヨット(すなわち18~40メートル)を含み得る。しかしながら、変換器モジュール201は任意の海洋船舶と共に使用され得ることに留意されたい。変換器モジュール201は、1つ以上の伝送変換器要素および/または1つ以上の受信変換器要素を含み得、いくつかまたは全てのソナー処理用電子機器を随意に含み得る。変換器モジュール201は、Zimmermanらに対する米国公報第2020/0116843号から第2015-0369908号に記載されているような前方視ソナー機能および後方視ソナー機能を含み得、米国公報第2020/0116843号から第2015-0369908号の各々の内容は、その全体が参照によって本明細書に援用されることに留意されたい。従って、図示されているように、変換器モジュール205が前方視機能を含むので、変換器モジュール205は、喫水線より少なくとも1メートル下で前方に対向するように船舶101の船首上に設置される。
【0031】
図2は、変換器モジュール205を含むソナーシステム全体を図示したブロック図である。例えば、海底探査、地雷検知、および娯楽趣味(釣りなど)を含む様々な目的のために、変換器モジュール201を伴うソナーシステムが、使用され得る。変換器モジュール205は、水中着脱型コネクタを使用して電力モジュール301に接続される。電力モジュール301は、例えば、標準Cat5EまたはCat6ネットワークケーブルなどのデータストリームを伝送するための任意の好適な電気接続を使用してコンピューティングモジュール401に結合される。最後に、コンピューティングモジュール401は、通常は船舶の船橋内に提供されるディスプレイユニット501に結合され、それによって、ソナーデータ(変換器モジュール201を介して収集される)を提供する。
【0032】
図3は、変換器モジュール201の斜視図である。
図4は、変換器モジュール201の側面図である。変換器モジュール201は、ハウジング205およびカバー209を含む二部品保護アセンブリを含む。ハウジング205は、防食性を有する剛体海洋グレード材料を含む。例えば、一実施形態では、ハウジング205は、二相ステンレス鋼などの金属材料を含む。いくつかの実施形態では、ハウジング材料は、SAE316Lグレードステンレス鋼(ときに、A4ステンレス鋼または海洋グレードステンレス鋼と称される)を含む。いくつかの実施形態では、ハウジング205は、その最終形状に鋳造される。鋳造は、液体金属が意図された形状の負の印象を含む鋳型の中に送達されるプロセスである。金属は、スプルーと呼ばれる中空チャネルを通して鋳型の中に注ぎ込まれる。金属および鋳型は、その後、冷却され、金属部分(すなわち、ハウジング)が、取り出される。代替として、ハウジング205は、316または316Lのうちの一方などの金属を機械加工することによって形成され得る。機械加工は、制御された材料除去プロセスによって原材料の一片が所望の最終形状およびサイズに切断される様々なプロセスのうちの任意のものである。
【0033】
カバー209は、オーバーモールディングプロセスを介してハウジング205に結合される。オーバーモールディングは、あらかじめ配置された基板(すなわち、ハウジング205)の周りに液状ポリマー(例えば、ウレタン)が鋳造され、所定の場所に成形される方法を指す。液状ポリマーは、埋め込まれた1つ以上の変換器要素を中に備えているハウジング205と共に固体剛体カバー209を形成するように成形または固化する。
【0034】
オーバーモールディングされたカバー209は、好ましくは、埋め込まれた構成要素を水から密封し、ハウジング205の外側部分に沿って機械的保護を提供するための十分な壁の厚みを有する。さらに、所望される変換器モジュール201の場所に応じて、液状ポリマー(例えば、ウレタン)は、多様な異なる形状(例えば、正方形、長方形、円形、楕円形、菱形など)のうちの任意の1つを備えている変換器モジュール201を生み出すように、ハウジング205を覆うように成形され得る。従って、成形されたカバー209の厚みは、一様であり得るか、またはハウジング209の1つ以上の部分にわたって著しく相違し得る。いくつかの場合、液状ポリマーは、変換器モジュール201が搭載されるべき船舶の水力学的要件に合致するように成形され得る。いくつかの実施形態では、液状ポリマーは、船舶上に配置されたあらかじめ形成された凹所の中に嵌まるようにサイズを決定された変換器モジュール201を生み出すように、ハウジング205を覆うように成形される。
【0035】
ハウジング205に対するカバー209のオーバーモールディングは、ハウジング205内の1つ以上の変換器要素を覆い、密封することに加えて、カバー209の一部がハウジング205の側面部分を覆うように延びており、ハウジング205を囲むことをもたらす。カバー209は、オーバーモールディングプロセスを受けて半剛体状態に硬化することが可能な海洋グレード材料を含む。材料は、弾力的であり、運動および/または振動の適切な低減または減衰を提供する。好ましい実施形態では、カバー材料は、ウレタンである。ウレタンは、それが水と同様の音響インピーダンスを有し、ゴムと同様の半剛体状態(その硬度が内部ハウジング205の硬度より低いような)に固化することが可能である点において、この用途に関して望ましい材料である。
【0036】
変換器モジュール201は、例えば、搭載用ねじ213を介して船舶の船体に搭載可能である。例えば、ハウジング205は、対応するねじまたはボルトの受け取りのためのねじまたはボルトガイドを含み得、ねじまたはボルト誘導は、その後、船舶の船体、好ましくは船首(変換器モジュール201の前方視機能に起因する)にハウジングの後部を直接搭載するために使用され得る。船体に搭載されると、変換器モジュール201は、水中脱着型接続217を介して電力モジュール301に結合され、水中脱着型接続217は、ハウジング205内に提供された1つ以上の変換器要素と電気的に接触し、1つ以上の変換器要素に、およびそれらからデータを伝送することが可能である。
【0037】
図5は、変換器モジュール201の分解図である。1つ以上の変換器要素221は、例えば、受信器要素223(反射データを受信するように構成されている)および伝送器要素227(音響ビームを発射するように構成されている)を含み得る。多数の変換器要素221が変換器モジュールの中に特定の構成において整列させられている場合、これらの多数の変換器は、「変換器アレイ」と称される。変換器要素および変換器アレイが受信器、伝送器、またはそれらの両方として動作し得ることに留意されたい。受信器および伝送器の単一の組が図示されているが、変換器アレイが単一の変換器モジュールの中に入れられ得ることにさらに留意されたい。例えば、いくつかの実施形態では、変換器は、多数の変換器要素221を含み得る。多数の変換器要素221は、実質的に水平な共面関係において搭載され得る。例えば、変換器モジュール221は、実質的に平行な列において整然と配置され得、実質的に平行な列は、他の実質的に平行な列に対して横断的に延びている。水平な共面関係は、変換器要素221の各々がほぼ同時に音響信号を確実に受信する助けとなるために望ましくあり得る。これは、信号処理の複雑性を低減させる助けとなり、それによって、より高い信号対雑音比と、より高速な走査とを可能にする。
【0038】
ハウジング205は、ハウジング205の後部から延びている壁または突出部の組によって形成された空洞を含む。空洞は、中に1つ以上の変換器要素を受け取るように形状および/またはサイズを決定されている。例えば、図示されているように、ハウジング205は、頂壁231および向かい合う底壁239と、向かい合う側壁235および243とを含み、それによって、空洞を画定する。伝送器227は、一般に、頂壁231によって少なくとも部分的に画定された空洞の一部の中に嵌まり、受信223は、一般に、底壁239と、向かい合う側壁235および243とによって少なくとも部分的に画定された空洞の一部の中に嵌まる。
【0039】
図6は、内部ハウジング205の空洞の中に封入された変換器要素221の斜視図である。壁は、1つ以上の変換器要素のそれぞれの部分を中に封入しつつ変換器要素の視野の外側に留まる(すなわち、音響ビームまたは反射されたビームの受信を阻害しない)ように配置される。例えば、頂壁231は、概して伝送器227の形状(すなわち、弓状形状または外形)に対応する形状を有する。同様に、底壁239および向かい合う側壁235、243は、一般に、受信器223の形状(すなわち、長方形)に対応する協調的な形状を有する。エコーを収集すること、または音響ビームを伝送することをそれぞれ担う受信器223および伝送器227の部分は、壁によって阻害されていない。
【0040】
所望される保護のレベルと、遭遇することが予期される衝撃力とに応じて、壁の組が任意の数の壁を含み得ることに留意されたい。例えば、いくつかの実施形態では、船舶上の配置の場所、および/または所与の船舶が関連付けられた活動のタイプに起因して、所与の変換器モジュールが、側面および/または正面対向の衝撃にのみ遭遇し得る。従って、そのような実施形態では、ハウジングは、2つの側壁のみを含み、それによって、側面および/または正面対向の衝撃のための保護を提供し得る。他の実施形態では、所与の変換器モジュールは、頂面および/または底面の衝撃にのみ遭遇し得、そのような場合、ハウジングは、対応する保護を提供するための頂壁および低壁のみを含み得る。さらに、他の実施形態では、所与の変換器モジュールが、全ての方向の衝撃(すなわち、側面、正面対向、頂面および/または底面の衝撃)に遭遇し得、そのような場合、ハウジングは、
図6に示されているような、対応する保護を提供するための側壁、頂壁および底壁を含み得る。
【0041】
二部品保護アセンブリは、衝撃力に対する保護に加えて、摩耗させる力に対する保護をさらに行う。例えば、アンカーチェーンは、船舶の船首を偶然に擦ることが多い。これが起こったとき、チェーンは、引っ張られ、ウレタンなどの柔性材料に対して鋸のように作用し得る。剛体保護構造がなければ、チェーンは、変換器要素にさらに切り込み得る。チェーン、ケーブルまたはラインが内部保護構造を伴う変換器モジュールの面、すなわち、本明細書に記載の壁の組を横切って引かれた場合、切り込みの深さは、多くの場合、壁の最も遠い範囲に制限される。これは、変換器要素の修繕を必要としない状態でのウレタン面の修繕を可能にする。理想としては、変換器要素は、鋸のように作用する物体の少なくとも「歯の長さ」の距離の分だけ保護構造に対して凹所に配置されるべきである。チェーン(船舶の船首を削るアンカーチェーンなど)の場合、「歯の長さ」は、概ね(「外側の幅」-「ワイヤの直径」)/2であり、ここで、「外側の幅」および「ワイヤの直径」は、DIN766ウィンドラスチェーン仕様によって定義されることが多い。最大保護は、変換器要素を完全に囲む保護構造(すなわち、壁または突出部によって形成された空洞)によって達成され得る。ここでも、空洞の強度(すなわち、空洞を形成している壁または突出部)は、予想される最大の衝撃力に基づいて設計されるべきであり、空洞は、変換器モジュールのハウジングの残りの部分に強固に嵌合されるべきである。
【0042】
図7は、海洋船舶の船体に結合された変換器モジュール201を示した平面断面図である。図示されているように、カバー209は、ハウジング205に完全にオーバーモールディングされ、ハウジング205に結合され、それによって、1つ以上の変換器モジュール221とハウジング205自体とに対するウレタンの結着が、改善され、内部ハウジング205と共に緊密な密封を形成し、複数の方向の衝撃(すなわち、側面の衝撃および正面対向の衝撃)に対する保護を提供する。ここでも、壁の組は、一般に、2つ以上の壁を含み得、それらは、1つ以上の変換器要素のそれぞれの部分を中に封入しつつ変換器要素の視野の外側に留まる(すなわち、音響ビームまたは反射されたビームの受信を阻害しない)ように配置される。
【0043】
図8は、変換器モジュール201に対する側面の衝撃を図示した平面断面図である。
図9は、変換器モジュールに対する正面対向の衝撃を図示した平面断面図である。図示されているように、物体(すなわち、別の船舶、波止場、岩、氷山、海生生物など)からの側面の衝撃または正面対向の衝撃を被ると、内部ハウジング205の壁または突出部の配置は、ウレタンを圧縮し、変換器要素に衝撃力を伝達する可能性を低減させる。衝撃がウレタンに損傷を与えるほどに甚大である場合、カバー209は修理または全体の交換のいずれかを行われ得るが、費用がかかり非常に繊細な変換器要素221は、守られる。
【0044】
本発明の変換器モジュールは、現行の保護機構の欠点に対処する。二部品保護アセンブリは、変換器モジュールがスタンドアロンモジュールであることを可能にし、スタンドアロンモジュールは、あつらえの凹所が船舶の構造に提供されることを必要としない。言い換えれば、変換器モジュールは、船舶の船体の外部に直接搭載されるように構成された船体搭載可能なデバイスであり、従って、衝撃からの保護に関して船舶に依存しない。むしろ、内部剛体ハウジングは、船舶の構造の保護と同様の保護を提供する。さらに、ウレタンカバーをオーバーモールディングすることは、1つ以上の変換器要素およびハウジング自体へのウレタンの結着が改善され、内部ハウジングと共に緊密な密封を形成して複数の方向の衝撃(すなわち、側面の衝撃および正面対向の衝撃)に対する保護を提供することを可能にする。特に、内部ハウジングの壁または突出部の配置は、ウレタンを圧縮して変換器要素に損傷を与える可能性を低減させる。
【0045】
(参照による援用)
特許、特許出願、特許公報、雑誌、本、論文、ウェブコンテンツなどの他の文書の参照および引用が、本開示全体を通してなされる。全てのそのような文書は、全ての目的のために、その全体が参照によって本明細書に援用される。
【0046】
(均等物)
本明細書に示され記載されたものに加えて、本明細書に引用された科学および特許文献の参照を含む本文書の全内容から、本発明の様々な改良およびそれらの多くのさらなる実施形態が、当業者に明らかとなる。本明細書における主題は、様々な実施形態およびそれらの均等物における本発明の実践に適合され得る重要な情報、例示および手引を含む。