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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-23
(45)【発行日】2024-10-31
(54)【発明の名称】工作機械用のシャフト継手
(51)【国際特許分類】
   B23Q 3/12 20060101AFI20241024BHJP
   B23B 31/117 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
B23Q3/12 F
B23B31/117 601A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022537152
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-20
(86)【国際出願番号】 EP2020086748
(87)【国際公開番号】W WO2021122977
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2023-05-18
(31)【優先権主張番号】202019107127.3
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515315521
【氏名又は名称】フェルロボティクス コンプライアント ロボット テクノロジー ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Ferrobotics Compliant Robot Technology GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナデラー ロナルド
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-160037(JP,A)
【文献】特開平10-337625(JP,A)
【文献】米国特許第06109842(US,A)
【文献】特開2001-009657(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B31/00-33/00
B23Q 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械のためのスピンドル(10)と、
前記スピンドル(10)に支持され、前記スピンドル(10)の回転軸に沿って摺動可能なドライブリング(20)と、
工具ホルダ(30)であって、前記スピンドル(10)と、前記工具ホルダ(30)とが対応する表面を有し、前記表面は、取り付けられた状態において摩擦結合による接続を形成するように構成された工具ホルダ(30)と、
を有し、
前記取り付けられた状態において、前記工具ホルダ(30)と前記ドライブリング(20)の対向する表面は、前記ドライブリング(20)が前記工具ホルダ(30)に係合可能な対応する輪郭(21、33)を有する装置。
【請求項2】
前記スピンドル(10)が、内側コーン(12)を有する中空シャフト(11)として形成されており、
前記スピンドル(10)と前記工具ホルダ(30)の対応する面が、前記中空シャフト(11)内に配置された前記内側コーン(12)と、前記工具ホルダ(30)の対応する外側コーン(34)により形成されており、前記内側コーン(12)と前記外側コーン(34)の各々が、前記取り付けられた状態において他方のコーンに対して円錐形状の座部を形成しており、
係合した前記ドライブリング(20)は、前記スピンドル(10)と前記工具ホルダ(30)との間にさらに形状結合による接続を形成する
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記工具ホルダは、プレート(32)を有し、前記プレート(32)は、前記工具ホルダ(30)の回転軸に対して半径方向に延び、前記ドライブリング(20)に対向する表面幾何学的構造を有する請求項1又は請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記プレート(32)の前記幾何学的構造は、凸部(33)の形態を有する請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記ドライブリング(20)が、前記プレート(32)に対向する表面に、幾何学的構造を有し、
前記プレート(32)の表面上の幾何学的構造および前記ドライブリング(20)の表面上の幾何学的構造が対応する輪郭を有しており、これにより前記ドライブリング(20)の表面上の幾何学的構造が前記プレート(32)の表面上の幾何学的構造に係合できる請求項3又は請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記ドライブリング(20)の前記幾何学的構造は、溝(21)の形態を有する請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記スピンドル(10)と前記ドライブリング(20)の間に作用し、前記取り付けられた状態で前記ドライブリング(20)を前記工具ホルダ(30)の前記プレート(32)に押し付けるバネ要素(25)をさらに備える請求項3乃至請求項6の何れか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記ドライブリング(20)は、前記スピンドル(10)の対応するガイド溝(14)に摺動可能に配置されるスライド部材(22)を有する請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記スピンドル(10)が、前記ドライブリング(20)の、前記スピンドル(10)の回転軸に沿う2方向の移動を制限する2つのエンドストッパーを有する請求項8に記載の装置。
【請求項10】
工作機械のためのスピンドル(10)であって、前記スピンドル(10)は、内側コーン(12)を有する中空シャフト(11)として形成されているスピンドル(10)と、
前記スピンドル(10)に支持され、前記スピンドル(10)の回転軸に沿って摺動可能なドライブリング(20)と、
前記内側コーン(12)に嵌める合わされる外側コーン(34)を有する工具ホルダ(30)であって、前記内側コーン(12)と前記外側コーン(34)の各々が、取り付けられた状態において他方のコーンに対して円錐形状の座部を形成する工具ホルダ(30)と
を有し、
前記取り付けられた状態において前記工具ホルダ(30)及び前記ドライブリング(20)の対向する表面は、前記ドライブリング(20)が前記工具ホルダ(30)上に係合可能な対応する輪郭(21、33)を有することを特徴とする装置。
【請求項11】
前記取り付けられた状態において、前記内側コーン(12)によって形成された前記円錐形状の座部及び前記外側コーン(34)によって形成された前記円錐形状の座部が、前記スピンドル(10)と前記工具ホルダ(30)との間に摩擦結合による接続を形成し、係合した前記ドライブリング(20)は、前記スピンドル(10)と前記工具ホルダ(30)との間に形状結合による接続をさらに形成する請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記工具ホルダ(30)が、締め付けボルト(35)を有し、前記締め付けボルト(35)は、前記締め付けボルト(35)においてコレットにより前記工具ホルダ(30)が前記スピンドルに押し付けられるように形成されている請求項1乃至請求項11の何れか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械のモータ軸に工具ホルダを連結するためのシャフト継手に関する。
【背景技術】
【0002】
シャフト継手は、様々な工作機械(ボール盤、旋盤、研削盤など)の駆動シャフト(モータシャフトやギアボックスの出力シャフトなど)に回転工具を接続するために使用される。工具は、工具ホルダと呼ばれる短シャフトに取り付けられ得る。工作機械の駆動シャフトはスピンドルとも呼ばれ、工具とともに工具ホルダをモータシャフトに機械的に結合させる機構を持ち得る。この機構には、例えば、締め付けボルトを把持し、工具ホルダとモータシャフトを摩擦で接続するコレットが含まれる。
【0003】
工具ホルダとモータシャフトの摩擦結合は、通常、コーン座によって実現される。そのため、工具ホルダは工具コーンとも呼ばれることが多い。コレットは、例えば、空気圧で作動され得る。この場合、空気圧アクチュエータが、コレットとともに(締め付けボルトにおいて)工具コーンをモータシャフト(スピンドル)の対応する内側コーンに引きつけ、モータシャフトと工具コーンの間に摩擦結合を生じさせる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
小型でコンパクトに構成された工作機械では、コレットを操作する前述のアクチュエータの設置スペースが比較的小さく、そのため工具コーンをスピンドルに挟み込むためのアクチュエータ力も比較的小さくなってしまう。その結果、工具コーンと主軸の間にあるコーン座が十分なトルクを伝えられなくなり、コーン座が滑り始める恐れがある。
【0005】
そこで、本発明は、比較的小型でスピンドルと工具ホルダとの間の完全なトルク伝達を可能にする工作機械用のシャフト継手を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、請求項1及び請求項8に記載の装置によって解決される。様々な実施形態およびさらなる発展が、従属請求項の主題である。以下では、実施形態例に従って、工作機械用のスピンドルと、ドライブリングと、工具ホルダとを有する装置について説明されている。ドライブリングは、スピンドルに支持され、スピンドルの回転軸に沿って摺動可能である。スピンドルと、工具ホルダとが、(互いに接するように)組み立てられた(取り付けられた)状態において摩擦結合による接続を形成するように構成された対応する表面を有する。組み立てられた状態において、工具ホルダとドライブリングの対向する表面は、ドライブリングが工具ホルダに係合できるような対応する輪郭を有する。
【0007】
別の実施形態によれば、この装置は、工作機械用のスピンドルと、スピンドルに指示されたドライブリングと、工具ホルダとを有する。スピンドルは、内側コーンを有する中空シャフトとして形成されている。ドライブリングは、スピンドルの回転軸に沿って摺動可能であり、工具ホルダは、内側コーンに嵌める合わされる外側コーンを有し、内側コーンと外側コーンとが組み立てられた状態においてコーン座を形成し、組み立てられた状態において、工具ホルダとドライブリングの対向する表面は、ドライブリングが工具ホルダ上で係合できるような対応する輪郭を有する。
【0008】
一実施形態では、組み立てられた状態において、コーン座は、スピンドルと工具ホルダとの間に摩擦結合による接続を形成する一方、係合したドライブリングは、スピンドルと工具ホルダとの間に形状結合による接続を追加的に形成する。一実施形態では、工具ホルダが、締め付けボルトを有し、締め付けボルトは、締め付けボルトにおいてコレットにより工具ホルダをスピンドルに押し付けることができるように形成されている。
【0009】
一実施形態では、工具ホルダは、プレートを有し、プレートは、工具ホルダの回転軸に対して半径方向に延び、ドライブリングに向かい合う表面に幾何学的構造(例えば凸部の形態等)を有する。ドライブリングが、プレート向かい合う表面には幾何学的構造(例えば溝の形態等)を有し、プレートの表面上の幾何学的構造及びドライブリングの表面上の幾何学的構造が対応する輪郭を有しており、これによりドライブリングの表面上の幾何学的構造がプレートの表面上の幾何学的構造に係合できる。
【0010】
一実施形態では、バネ要素が、スピンドルとドライブリングの間に作用し、ドライブリングを工具ホルダに押し付ける。一実施形態では、ドライブリングは、スピンドルの対応するガイド溝にスライド可能に配置されるスライド部材を有する。スピンドルは、ドライブリングの2方向における移動を制限する2つのエンドストッパーを有する。
【発明の効果】
【0011】
比較的小型でスピンドルと工具ホルダとの間の完全なトルク伝達を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態によるシャフト継手の構成要素としての工具コーン(図1(a))、ドライブリング(図1(b))、工作機械のスピンドル(図1(c))を示す図である。
図2図1のシャフト継手の構成要素を、工具コーンとスピンドルを結合する際の異なる位置で、それぞれ断面図(図2(a))、縦断面図(図2(b))、側面図(図2(c))で示したものである。
図3図1のシャフト継手の構成要素を、工具コーンとスピンドルを結合する際の異なる位置で、それぞれ断面図(図3(a))、縦断面図(図3(b))、側面図(図3(c))で示したものである。
図4図1のシャフト継手の構成要素を、工具コーンとスピンドルを結合する際の異なる位置で、それぞれ断面図、縦断面図、側面図で示したものである。
図5図1のシャフト継手の構成要素を、工具コーンとスピンドルを結合する際の異なる位置で、それぞれ断面図、縦断面図、側面図で示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、様々な実施形態について、図に示す例を用いてより詳細に説明する。図示されたものは必ずしも縮尺通りではなく、本発明は図示された態様に限定されるものではない。むしろ、図示された実施形態の基本原理を説明することに重点が置かれている。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に対応するものであり、工具コーン30(図1(a))、ドライブリング20(図1(b))、及び、工作機械のスピンドル10(図1(c))の端部部材を示す図である。結合状態(すなわち、工具が工作機械に取り付けられた状態)では、工具コーン30とスピンドル10はコーン座によって結合され、それによって、コーン座における摩擦接続に加えて、ドライブリング20は、スピンドル10と工具30との間に形状結合による接続を作り出すことによって工具コーン30が滑るのを防止している。以下、ここで説明する実施形態の個々の構成要素について説明した後、図2無乃至図5を参照して工具コーン30とスピンドル10との結合について説明する。
【0015】
図1(a)は、工具コーン30の一実施形態を示す図である。従って、工具コーン30は、外側コーン34を有する短シャフトであり、外側コーン34は、スピンドル10の対応する内側コーンに嵌合し、組み立てられたときにコーン座を形成する。シャフトの第1端部には、対応するコレット(図示せず)によって把持されることが可能な締め付けボルト35がある。シャフトの第2端部には、回転可能な工具(図示せず、例えば、研削ディスク)を取り付けることができるように、ネジ山31が配置されてもよい。ネジによる工具と工具コーンの(ネジ)接続は一般的な技術であるため、ここではこれ以上説明しない。ネジ接続の代わりに、他の接続方法(バヨネットロック、クランプ接続など)を使用することも可能である。
【0016】
工具コーン30の中央領域において、工具コーン30は、工具コーン30の回転軸に対して実質的に直角に延びるプレート32を有する。なお、プレート32は、外形が円形の輪郭を有していてもよいが、必ずしもそうである必要はない。スピンドル10に面する側(組み立て状態)には、プレート32とドライブリング20との間のスナップイン接続を可能にする凸部33が表面に形成されている。
【0017】
図1(b)は、ドライブリング20の実施形態を示しており、このドライブリング20は、回転軸に沿ってスピンドル10に摺動可能に取り付けられ、例えば、回転軸に沿ってガイドされる。ドライブリング20は、その内側に2つ以上のスライド部材22を有し、それにより、ドライブリング20をスピンドル10の対応する溝内に案内することができる。このガイドは、回転軸に沿ったドライブリング20の変位を可能にし、ドライブリング20の可能な変位経路は、2つのエンドストッパーによって制限される。ドライブリング20の下側(すなわち、工具コーン30のプレート32に面する側)において、ドライブリング20は、プレート32の前述の凸部33が係合可能な多数の溝21を有し、工具コーン30のプレート32とスピンドル10に取り付けられたドライブリング20の間に形状結合を形成する。スピンドル10が回転すると、スピンドル10に取り付けられたドライブリング20も回転し、このドライブリング20は形状結合により工具コーン30を一緒に回転させる。これにより、コーン座の滑りを防止することができる。
【0018】
ドライブリング20がプレート32の凸部33に確実に係合するように、ドライブリング20は、バネ要素によってプレート32に押しつけられる(図2乃至図5参照)。ドライブリング20と工具コーン30のプレート32との間の形状結合は、必ずしも対応する凸部と溝によって実現される必要はない。また、対応するピンや穴、対応するラッチや凹部なども可能である。一般に、ドライブリング20とプレート32は、互いに係合して形状結合を形成することができる対応する輪郭を対向する表面に有している。対応する輪郭の具体的な構成は重要ではなく、さまざまな方法で実現することができる。
【0019】
図1(c)は、工作機械のスピンドル10の一実施形態を示している。
図示の例によれば、スピンドル10は実質的に中空軸11からなり、中空軸11の内部は、工具30の外側テーパ34と一致する内側テーパ12を有している。図示の例によれば、スピンドル10は実質的に中空シャフト11を有し、中空シャフト11の内部は、工具コーン30の外側コーン34と対応する内側コーン12を有している。前述のように、内側コーン12と外側コーン34は、組み立てられるとコーン座を形成する。スピンドル10は、対向する2つのガイド溝14を有し、(ドライブリング20の装着時に)ドライブリング20のスライド部材22がスピンドル10の回転軸に沿って摺動するように配置されている。図示の例では、ガイド溝14の底部にさらに溝13が設けられている。ドライブリング20を装着される際に、ネジ23は、スライド部材22を貫通して溝13にねじ込まれる。ネジ23の下端が溝13の一端に当接するまで、ドライブリング20を回転軸に沿って移動させることができる。図示の例では、溝13は(ネジ23とともに)ドライブリング20の変位を制限するエンドストッパーを形成している。エンドストッパーは他の方法で実現することも可能である。本実施形態の機能にとって重要なのは、ドライブリング20を回転軸に沿って変位させることができる、スピンドル10上のドライブリング20の支持部である。前述のように、(図1には示されていない)バネが、ドライブリング20を下方のエンドストッパーへ(すなわち、工作機械から離れるように)押圧することで確実な係合を確保される。
【0020】
図2乃至図5は、工具コーン30がスピンドル10に機械的に結合される結合動作中の工具コーン30の異なる位置(スピンドル10に対する相対位置)を示している。図2乃至図5のそれぞれにおいて、図(a)は工具コーン30を通る断面図、図(b)は対応する縦断面、図(c)は対応する側面図である。工作機械がロボットによって案内され、工具とともに工具テーパ30が適当な方法、例えばマガジン内に準備されていれば、結合工程は完全に自動的に実施されることが可能である。
【0021】
締め付けボルト35は、中空シャフト11の内部に配置され、同じく中空シャフト11の内部に配置されたコレット(図示せず)によってこの位置で把持され得る。スピンドルにコレットを配置したクランプ機構を有する工作機械はそれ自体既知であるため、ここではこれ以上説明しない。工具コーン30の外側コーン34がスピンドル10の内側コーン12に機械的に接触するまで、コレットにより工具コーン30が締め付けボルト35上のスピンドルに引き込まれる。
【0022】
図2(b)では、ドライブリング20の上述の案内、特に溝13に係合するスライド部材22とネジ23が示されている。ドライブリング20は、バネ要素25によって下方のエンドストッパーに押し付けられている。また、図2(b)には、工作機械においてスピンドル10を支持するためのボールベアリング15が示されている。この状況では、プレート32(及び凸部33)に対するスピンドル10(及び結果的にドライブリング)の角度位置はランダムであってもよく、一般に、ドライブリング20がプレート32に直ちに係合しないように工具コーン30はスピンドル10に対して回転する。バネ要素25は、任意の可撓性(ばね性)機械要素、例えば、スプリングワッシャー、特にマルチウエーブスプリングワッシャー、スプリングディスクなど、あるいは、弾性プラスチックの一部であってもよい。
【0023】
図3に示す状態では、工具コーン30がスピンドル10に完全に挿入され、工具コーン30の外側コーン34がスピンドル10内部の内側コーン12に機械的に接触する。工具コーン30はコレット(図示せず)により締め付けボルトに保持され、コレットにより工具コーン30はスピンドルに引き込まれる。その際、プレート32の凸部33は、係合することなく、バネ要素25のバネ力に抗してドライブリング20を上方に押す。図3(b)に示す位置では、ドライブリング20は上端のストッパ付近まで移動している。図3(a)では、ドライブリング20に対する工具コーン30の角度位置Φも示されている。ドライブリング20と凸部33の係合は、Φ=0°、Φ=45°、Φ=90°等の角度で可能となる。図2図3では、角度Φはほぼ20°である。図3に示す状況では、工具コーン30はスピンドル10に機械的に結合されており、その結合はコーン座における摩擦結合によってのみ保持されており、ドライブリング20によって固定されていない(ドライブリング20がまだ係合していないため)。この力(図3参照、力F)は、図示しないアクチュエータによって発生し、コレットによって工具ホルダ30の外側コーン34をスピンドルの内側コーン12に押し付ける。前述のように、これに適したクランプ機構はそれ自体既知であるため、ここでは詳細に説明しない。
【0024】
工作機械(例えば、研削、研磨、フライス加工など)の動作中に、コーン座における摩擦係合が必要なトルクを伝達するのに十分ではない場合、工具コーン30はスピンドル内で滑り始め、工具コーン30をスピンドル10に対して回転する。つまり、角度Φが変化する。工具コーン30は、ドライブリングが凸部33と係合することができる角度位置Φに達するまで回転する。図4は、係合直前の状態(Φ=0°)を示している。図4は、スピンドルに対する工具コーンの角度位置は、凸部33がドライブリング20の溝21に噛み合ってドライブリング20が係合されるまで、バネ要素25がドライブリング20をプレート32に押し付けることができる状態を示している。図5は、ドライブリング20が再び、ほぼ、その下端位置にあり、スピンドル10と工具コーン30との間の形状結合を確保する係合状態を示している。この状態では、工具コーン30のさらなる回転は不可能である。
【符号の説明】
【0025】
10…スピンドル
11…中空シャフト
12…内側コーン
14…ガイド溝
20…ドライブリング
21…輪郭
22…スライド部材
25…バネ要素
30…工具ホルダ
32…プレート
33…輪郭、凸部
34…外側コーン
35…締め付けボルト
図1
図2
図3
図4
図5