(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-23
(45)【発行日】2024-10-31
(54)【発明の名称】エアロゾル供給デバイスのための電力管理
(51)【国際特許分類】
A24F 40/50 20200101AFI20241024BHJP
【FI】
A24F40/50
(21)【出願番号】P 2022567114
(86)(22)【出願日】2021-05-05
(86)【国際出願番号】 GB2021051086
(87)【国際公開番号】W WO2021224617
(87)【国際公開日】2021-11-11
【審査請求日】2022-12-02
(32)【優先日】2020-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】マロニー、パトリック
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ジャスティン ハン ヤン
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/044385(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/075747(WO,A1)
【文献】特表2014-501105(JP,A)
【文献】特表2015-507477(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御回路を含む電子エアロゾル送出システムであって、
前記制御回路は、該電子エアロゾル送出システムの少なくとも1つの作動パラメータを監視するように構成され、
前記制御回路は、該電子エアロゾル送出システムの少なくとも1つの制御パラメータを制御し、第1のパフ中に第1のエアロゾルプロファイルを有するエアロゾルを発生させるように構成され、
前記制御回路は、前記1つ以上の作動パラメータの変化を判定するように構成され、
前記制御回路は、前記1つ以上の作動パラメータの変化の判定に応答して、該電子エアロゾル送出システムの制御パラメータを変更して、後続のパフ中に第2のエアロゾルプロファイルを有するエアロゾルを発生させるように構成されており、前記制御パラメータは、前記1つ以上の作動パラメータの変化に起因する前記第1のエアロゾルプロファイルの1つ以上の特性の変化を緩和する方法で変更され
、
前記第1のエアロゾルプロファイルは、複数のエアロゾル特性を含み、前記制御パラメータは、前記複数のエアロゾル特性のうちの1つ以上の変化を緩和するように選択され、前記エアロゾル特性のうちの1つ以上が、前記複数のエアロゾル特性の所定の優先順位付けに基づいて前記複数のエアロゾル特性から選択される電子エアロゾル送出システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの作動パラメータおよび前記少なくとも1つの制御パラメータの各々は、次の作動の態様、(a)エアロゾル発生部品への電力の供給、(b)該エアロゾル送出システムにおける気流の制御、(c)エアロゾル発生部品へのエアロゾル化可能な材料の供給、または(d)電子エアロゾル送出システムの作動の他の側面のうちの一つと関連づけられており、かつ前記制御回路により変更された前記制御パラメータは、変化したと判定された前記作動パラメータのうちの少なくとも1つの作動とは異なる作動の態様と関連付けられることを特徴とする請求項1記載の電子エアロゾル送出システム。
【請求項3】
前記複数のエアロゾル特性の優先順位付けは、前記電子エアロゾル送出システムの特定のユーザーに関連することを特徴とする請求項
1又は2記載の電子エアロゾル送出システム。
【請求項4】
前記エアロゾル送出システムはエアロゾル発生部品を含み、前記1つ以上の作動パラメータの変化を判定することは、前記エアロゾル発生部品の作動パラメータの変化を判定することを含むことを特徴とする請求項1乃至
3いずれか1項記載の電子エアロゾル送出システム。
【請求項5】
前記エアロゾル送出システムはエアロゾル発生部品を含み、前記エアロゾル発生部品の作動パラメータの変化を判定することは、前記エアロゾル発生部品に電力を供給する電源の能力の変化を判定することを含むことを特徴とする請求項1乃至
4いずれか1項記載の電子エアロゾル送出システム。
【請求項6】
前記エアロゾル発生部品に電力を供給する前記電源の能力の変化を判定することは、バッテリーに残っているエネルギー量に関連する値が予め定義された閾値に関して変化したことを判定することを含むことを特徴とする請求項
5記載の電子エアロゾル送出システム。
【請求項7】
前記制御回路は、アトマイザーに供給されるべき電力量を指定する電力供給パラメータに従って、前記電源から前記エアロゾル発生部品への電力の供給を制御するように構成され、かつ前記エアロゾル発生部品に電力を供給する前記電源の能力の変化を判定することは、前記バッテリーが前記電力供給パラメータによって指定される電力量を供給できないことを判定することを含むことを特徴とする請求項
6記載の電子エアロゾル送出システム。
【請求項8】
前記エアロゾル発生部品の作動パラメータの変化を判定することは、前記エアロゾル発生部品の物理的特性の変化を判定することを含むことを特徴とする請求項
5記載の電子エアロゾル送出システム。
【請求項9】
エアロゾル化可能な材料がエアロゾル化可能な材料の供給部から前記エアロゾル発生部品に供給され、かつ前記少なくとも1つの作動パラメータは、前記エアロゾル発生部品へのエアロゾル化可能な材料の前記供給を制御するパラメータを含むことを特徴とする請求項2、又は請求項
5、又は請求項
5に従属する請求項
6乃至
8いずれか1項記載の電子エアロゾル送出システム。
【請求項10】
前記エアロゾル発生部品への前記エアロゾル化可能な材料の供給を制御するパラメータの変更は、エアロゾル化可能な材料が前記エアロゾル発生部品に供給される速度を変更することを特徴とする請求項
9記載の電子エアロゾル送出システム。
【請求項11】
前記エアロゾル発生部品への前記エアロゾル化可能な材料の供給の変更は、前記エアロゾル発生部品に供給されるエアロゾル化可能な材料の組成の変更を含むことを特徴とする請求項
9または
10記載の電子エアロゾル送出システム。
【請求項12】
前記エアロゾル発生部品に供給される前記エアロゾル化可能な材料の組成の変更は、水、活物質、嗅覚成分またはエアロゾル形成構成物質の濃度の変更を含むことを特徴とする請求項
11記載の電子エアロゾル送出システム。
【請求項13】
前記電子エアロゾル送出システムは、空気入口と空気出口との間の空気流路を含み、前記エアロゾル発生部品が前記空気流路内に配置され、かつ前記作動パラメータは、前記空気流路の特性を変更するパラメータを含むことを特徴とする請求項2、又は請求項
5、又は請求項
5に従属する請求項
6乃至
12いずれか1項記載の電子エアロゾル送出システム。
【請求項14】
前記空気流路の前記特性の変更は、前記空気流路を通る空気流の引き込みに対する抵抗の変更を含むことを特徴とする請求項
13記載の電子エアロゾル送出システム。
【請求項15】
前記空気流路の前記特性の変更は、前記空気入口から流れ込む空気が前記エアロゾル発生部品に向けられる方法の変更を含むことを特徴とする請求項
13または
14記載の電子エアロゾル送出システム。
【請求項16】
前記空気流路の前記特性の変更は、前記空気流路に配置された前記エアロゾル発生部品の温度の変更を含むことを特徴とする請求項
13乃至
15いずれか1項記載の電子エアロゾル送出システム。
【請求項17】
前記制御回路は、1つ以上の作動パラメータを1つ以上のエアロゾル特性に関連付けるモデルを用いて、前記少なくとも1つ以上の制御パラメータを変更する方法を決定するように構成され、前記作動パラメータは、少なくとも1つの制御パラメータを含むことを特徴とする請求項1乃至
16いずれか1項記載の電子式エアロゾル送出システム。
【請求項18】
前記電子エアロゾル送出システムにより発せられたエアロゾルの少なくとも1つのエアロゾル特性が、異なる作動パラメータ値の関数としてどのように変化するかを記述する実験データを用いて、前記モデルはパラメータ化されることを特徴とする請求項
17記載の電子エアロゾル送出システム。
【請求項19】
前記制御回路は、少なくとも1つの作動パラメータ値を入力として取り、少なくとも1つの制御パラメータ値を出力として返す分類器を用いて、前記少なくとも1つの制御パラメータを変更する方法を決定するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至
18いずれか1項記載の電子エアロゾル送出システム。
【請求項20】
前記分類器は、1つ以上の作動パラメータの変化に応答して、1人以上のユーザーによって判定された前記1つ以上の作動パラメータの変化および1つ以上の制御パラメータの変化の間の関係を記述する使用データを用いて訓練されることを特徴とする請求項
19記載の電子エアロゾル送出システム。
【請求項21】
電子エアロゾル送出システムのための制御回路であって、
前記電子エアロゾル送出システムの少なくとも1つの作動パラメータを監視し、
前記電子エアロゾル送出システムの少なくとも1つの制御パラメータを制御して、第1のパフ中に第1のエアロゾルプロファイルを有するエアロゾルを発生させ、
前記1つ以上の作動パラメータの変化を判定し、かつ
前記1つ以上の作動パラメータの変化の判定に応答して、前記電子エアロゾル送出システムの制御パラメータを変更して、後続のパフ中に第2のエアロゾルプロファイルを有するエアロゾルを発生させるように構成されており、
前記制御パラメータは、前記1つ以上の作動パラメータの変化に起因する前記第1のエアロゾルプロファイルの1つ以上の特性の変化を緩和する方法で変更され
、
前記第1のエアロゾルプロファイルは、複数のエアロゾル特性を含み、前記制御パラメータは、前記複数のエアロゾル特性のうちの1つ以上の変化を緩和するように選択され、前記エアロゾル特性のうちの1つ以上が、前記複数のエアロゾル特性の所定の優先順位付けに基づいて前記複数のエアロゾル特性から選択される制御回路。
【請求項22】
制御回路を含む電子エアロゾル送出システムを制御する方法であって、
前記制御回路により、前記電子エアロゾル送出システムの少なくとも1つの作動パラメータを監視する工程と、
前記制御回路により、前記電子エアロゾル送出システムの少なくとも1つの制御パラメータを制御して、第1のパフ中に第1のエアロゾルプロファイルを有するエアロゾルを発生させる工程と、
前記制御回路により、前記1つ以上の作動パラメータの変化を判定する工程と、
前記1つ以上の作動パラメータの変化の判定に応答して、前記制御回路により、前記電子エアロゾル送出システムのうちの1つの制御パラメータを変更し、後続のパフ中に第2のエアロゾルプロファイルを有するエアロゾルを発生させる工程と、を含み、
前記制御パラメータは、前記1つ以上の作動パラメータの変化に起因する前記第1のエアロゾルプロファイルの1つ以上の特性の変化を緩和する方法で変更され
、
前記第1のエアロゾルプロファイルは、複数のエアロゾル特性を含み、前記制御パラメータは、前記複数のエアロゾル特性のうちの1つ以上の変化を緩和するように選択され、前記エアロゾル特性のうちの1つ以上が、前記複数のエアロゾル特性の所定の優先順位付けに基づいて前記複数のエアロゾル特性から選択される方法。
【請求項23】
電子エアロゾル送出システムのためのコンピュータプログラムであって、
前記電子エアロゾル送出システムの少なくとも1つの作動パラメータを監視し、
前記電子エアロゾル送出システムの少なくとも1つの制御パラメータを制御して、第1のパフ中に第1のエアロゾルプロファイルを有するエアロゾルを発生させ、
前記1つ以上の作動パラメータの変化を判定し、かつ
前記1つ以上の作動パラメータの変化の判定に応答して、前記電子エアロゾル送出システムの制御パラメータを変更して、後続のパフ中に第2のエアロゾルプロファイルを有するエアロゾルを発生させるように構成されており、
前記制御パラメータは、前記1つ以上の作動パラメータの変化に起因する前記第1のエアロゾルプロファイルの1つ以上の特性の変化を緩和する方法で変更され
、
前記第1のエアロゾルプロファイルは、複数のエアロゾル特性を含み、前記制御パラメータは、前記複数のエアロゾル特性のうちの1つ以上の変化を緩和するように選択され、前記エアロゾル特性のうちの1つ以上が、前記複数のエアロゾル特性の所定の優先順位付けに基づいて前記複数のエアロゾル特性から選択されるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアロゾルの送出システムおよびエアロゾルの送出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書に記載する「背景技術」は、本開示の内容を一般化して提示する目的で記載される。現在記載されている発明者の研究は、出願時に別の形で先行技術としての資格を有しない明細書の態様と同様に、背景技術に記載される範囲で、明示または黙示を問わず本技術に対する先行技術として認めるものではない。
【0003】
一般に電子タバコ(e-タバコ)などの電子エアロゾル送出装置は、ニコチンなどの活物質(それからエアロゾルが例えば気化を介して発せられる)を通常製剤を含む原料液の貯蔵部を含む。エアロゾル送出デバイス用のエアロゾル源は、したがって貯蔵部から原料液を例えば吸い上げ/毛管現象を介して受けるために配された加熱素子を有するヒーターなどのエアロゾル発生部品を含む場合がある。植物または活性成分および/または香味料を含むゲルなどの他の原料は、同様に加熱され、エアロゾルを製する。したがって、より一般的にはeーシガレットは、加熱気化のためのペイロードを含むまたは受けるものとして考えてもよい。
【0004】
ユーザーがデバイスで吸入している間、電力が加熱素子に供給され、この加熱素子の近傍のエアロゾル化可能な材料の一部を気化して、ユーザーによる吸入のためにエアロゾルを発生させる。このような装置には、通常、装置のマウスピース端部から離れて配置された1つ以上の空気取り込み穴が設けられている。ユーザーがシステムの吸い口端に接続されたマウスピースで吸い込みを行うと、空気が取り込み穴を介して引き込まれ、エアロゾル発生部品を通過する。エアロゾル発生部品とマウスピースの開口部の間を接続する流路があり、これによりエアロゾル源を通過して引き込まれる空気がエアロゾル発生部品によって発せられたエアロゾルを搬送しながらその流路に沿ってマウスピース開口部へと継続して流れる。エアロゾルを搬送する空気は、ユーザーによる吸入のためにマウスピース開口部を介してエアロゾル送出デバイスから出る。
【0005】
通常、ユーザーがデバイスで吸い込み/パフを行った場合、電流がヒーターに供給される。通常、電流は、ヒーター、例えば抵抗性加熱素子にユーザーが吸入、吸い込み、パフした際に流路に沿った空気流センサの始動またはユーザーがボタンを動かすことに応答して供給される。加熱素子によって発せられた熱は、製剤を気化するために使用される。放出された蒸気は、消費者のパフによってデバイスを介して引き込まれた空気と混ざり、エアロゾルを形成する。これとは別にまたは加えて加熱素子は、タバコなどの植物を加熱するが通常は燃やさずにその活性成分を蒸気/エアロゾルとして放出するように使用される。
【0006】
電子エアロゾル送出デバイスの1つ以上の制御パラメータは、特定のエアロゾルプロファイルを有するエアロゾルを発生させるためにユーザーによって設定されてもよい。例えば、エアロゾル発生部品に供給される電力は、例えばエアロゾル密度特性、エアロゾル粒径特性またはユーザーに望ましいニコチン送出特性によって高いまたは低い値に設定されてもよい。吸引抵抗、エアロゾル化可能な材料の選択および/または供給量などの他の制御パラメータは、ユーザーおよび/またはデバイスの制御回路によって調節してもよい。これらの制御パラメータを変更することは、電子エアロゾル送出デバイスによって製せられるエアロゾルの特性を変更することになり、これによりエアロゾルプロファイルを変える。電子エアロゾル送出デバイスによって発生させるエアロゾルの特性は、ユーザーまたはデバイスに含まれる制御回路のいずれかの直接的制御下ではなく、作動パラメータに応じて変わる場合もある。例えば、電子エアロゾル送出デバイスの部品(例えばバッテリーまたはエアロゾル発生部品)の劣化は、発生させるエアロゾル発生部品の1つ以上の特性を変える場合がある。したがって、作動パラメータの変化は、電子エアロゾル送出デバイスによって発せられるエアロゾルのプロファイルをデバイスの制御パラメータが変わってなくても変化させてしまう場合がある。したがって、電子エアロゾル送出デバイスによって発せられるエアロゾルのエアロゾルプロファイルは、ユーザーが制御パラメータの調節によって前記変化を制御しようとしなくても時間の経過によって変化する場合がある。これはユーザーの不満の原因になる。
【0007】
したがって、作動パラメータが変化した場合の電子エアロゾル送出デバイスのユーザーの満足度を向上させる方法が注目されている。
【発明の概要】
【0008】
本開示の第1の態様において制御回路を含む電子エアロゾル送出システムが提供され、 制御回路は、電子エアロゾル送出システムの少なくとも1つの作動パラメータを監視するように構成され、
制御回路は、電子エアロゾル送出システムの少なくとも1つの制御パラメータを制御し、第1のパフ中に第1のエアロゾルプロファイルを有するエアロゾルを発生させるように構成され、
制御回路は、1つ以上の作動パラメータの変化を判定するように構成され、
制御回路は、1つ以上の作動パラメータの変化の判定に応答して、電子エアロゾル送出システムの制御パラメータを変更して、後続のパフ中に第2のエアロゾルプロファイルを有するエアロゾルを発生させるように構成される。
【0009】
少なくとも1つの作動パラメータおよび少なくとも1つの制御パラメータの各々は、次の作動の態様、(a)エアロゾル発生部品への電力の供給、(b)エアロゾル送出システムにおける気流の制御、(c)エアロゾル発生部品へのエアロゾル化可能な材料の供給、または(d)デバイスの作動の他の側面のうちの一つと関連づけられており、かつ制御回路により変更された制御パラメータは、変化したと判定された作動パラメータのうちの少なくとも1つの作動とは異なる作動の態様と関連付けられる。
【0010】
制御パラメータは、1つ以上の作動パラメータの変化に起因する第1のエアロゾルプロファイルの1つ以上の特性の変化を緩和する方法で変更されてもよい。
【0011】
第1のエアロゾルプロファイルは、複数のエアロゾル特性を含み、制御パラメータは、複数のエアロゾル特性のうちの1つ以上の変化を緩和するように選択され、エアロゾル特性のうちの1つ以上が、複数のエアロゾル特性の所定の優先順位付けに基づいて複数のエアロゾル特性から選択される。
【0012】
複数のエアロゾル特性の優先順位付けは、電子エアロゾル送出システムの特定のユーザーに関連させてもよい。
【0013】
エアロゾル送出システムは、エアロゾル発生部品を含んでもよく、1つ以上の作動パラメータの変化を判定することは、エアロゾル発生部品の作動パラメータの変化を判定することを含む。
【0014】
エアロゾル発生部品の作動パラメータの変化を判定することは、エアロゾル発生部品に電力を供給する電源の能力の変化を判定することを含んでもよい。エアロゾル発生部品に電力を供給する電源の能力の変化を判定することは、バッテリーに残っているエネルギー量に関連する値が予め定義された閾値に関して変化したことを判定することを含んでもよい。
【0015】
制御回路は、アトマイザーに供給されるべき電力量を指定する電力供給パラメータに従って、電源からエアロゾル発生部品への電力の供給を制御するように構成され、かつエアロゾル発生部品に電力を供給する電源の能力の変化を判定することは、バッテリーが電力供給パラメータによって指定される電力量を供給できないことを判定することを含む。
【0016】
エアロゾル発生部品の作動の変化を判定することは、エアロゾル発生部品の物理的特性の変化を判定することを含んでもよい。
【0017】
エアロゾル化可能な材料がエアロゾル化可能な材料の供給部からエアロゾル発生部品に供給されてもよく、かつ少なくとも1つの作動パラメータは、エアロゾル発生部品へのエアロゾル化可能な材料の供給を制御するパラメータを含む。
【0018】
エアロゾル発生部品へのエアロゾル化可能な材料の供給を制御するパラメータの変更は、エアロゾル化可能な材料がエアロゾル発生部品に供給される速度を変更する。
【0019】
エアロゾル発生部品へのエアロゾル化可能な材料の供給の変更は、エアロゾル発生部品に供給されるエアロゾル化可能な材料の組成の変更を含んでもよい。エアロゾル発生部品に供給される前記エアロゾル化可能材料の組成の変更は、水、活物質、嗅覚成分またはエアロゾル形成構成物質の濃度を変更することを含んでもよい。
【0020】
電子エアロゾル送出システムは、空気入口と空気出口との間の空気流路を含んでもよく、エアロゾル発生部品が空気流路内に配置され、かつ作動パラメータは、空気流路を変更するパラメータを含む。空気流路の特性の変更は、空気流路を通る空気流の引き込みに対する抵抗を変更することを含んでもよい。
【0021】
空気流路の特性の変更は、空気入口から流れ込む空気がエアロゾル発生部品に向けられる方法を変更することを含んでもよい。
【0022】
空気流路の特性の変更は、空気流路に配置されたエアロゾル発生部品の温度を変更することを含んでもよい。
【0023】
制御回路は、1つ以上の作動パラメータを1つ以上のエアロゾル特性に関連付けるモデルを用いて、少なくとも1つ以上の制御パラメータを変更する方法を決定するように構成されてもよく、作動パラメータは、少なくとも1つの制御パラメータを含む。
【0024】
電子エアロゾル送出システムにより発せられたエアロゾルの少なくとも1つのエアロゾル特性が、異なる作動パラメータ値の関数としてどのように変化するかを記述する実験データを用いて、モデルはパラメータ化されてもよい。
【0025】
制御回路は、少なくとも1つの制御パラメータ値を入力として取り、少なくとも1つの制御パラメータ値を出力として返す分類器を用いて、少なくとも1つの制御パラメータを変更する方法を決定するように構成されてもよい。分類器は、1つ以上の作動パラメータの変化に応答して、1人以上のユーザーによって判定された1つ以上の作動パラメータの変化および1つ以上の制御パラメータの変化の間の関係を記述する使用データを用いて訓練されてもよい。
【0026】
別の態様では電子エアロゾル送出システム用の制御回路が提供され、この制御回路は、
電子エアロゾル送出システムの少なくとも1つの作動パラメータを監視し、
電子エアロゾル送出システムの少なくとも1つの制御パラメータを制御して、第1のパフ中に第1のエアロゾルプロファイルを有するエアロゾルを発生させ、
1つ以上の作動パラメータの変化を判定し、かつ
1つ以上の作動パラメータの変化の判定に応答して、電子エアロゾル送出システムの制御パラメータを変更して、後続のパフ中に第2のエアロゾルプロファイルを有するエアロゾルを発生させるように構成されている。
【0027】
別の態様では制御回路を含む電子エアロゾル送出システムを制御する方法が提供され、この方法は、
制御回路により、電子エアロゾル送出システムの少なくとも1つの作動パラメータを監視する工程と、
制御回路により、電子エアロゾル送出システムの少なくとも1つの制御パラメータを制御して、第1のパフ中に第1のエアロゾルプロファイルを有するエアロゾルを発生させる工程と、
制御回路により、1つ以上の作動パラメータの変化を判定する工程と、
1つ以上の作動パラメータの変化の判定に応答して、制御回路により、電子エアロゾル送出システムのうちの1つの制御パラメータを変更し、後続のパフ中に第2のエアロゾルプロファイルを有するエアロゾルを発生させる工程とを含む。
【0028】
別の態様では電子エアロゾル送出システム用のコンピュータプログラムが提供され、このコンピュータプログラムは、
電子エアロゾル送出システムの少なくとも1つの作動パラメータを監視し、
電子エアロゾル送出システムの少なくとも1つの制御パラメータを制御して、第1のパフ中に第1のエアロゾルプロファイルを有するエアロゾルを発生させ、
1つ以上の作動パラメータの変化を判定し、かつ
1つ以上の作動パラメータの変化の判定に応答して、電子エアロゾル送出システムの制御パラメータを変更して、後続のパフ中に第2のエアロゾルプロファイルを有するエアロゾルを発生させるように構成されている。
【0029】
さらなる態様は特許請求の範囲にしたがって提供される。
【0030】
本開示の上述の一般的な概要および以下の詳細な説明は、両方とも例示であり、本開示を限定するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本開示のより完全な理解およびそれに伴う利点の多くは、添付図面と関連づけて考慮した際に以下の詳細な説明を参照することによってより良好に理解されるの同じように容易に得られる。:
【
図1】電子エアロゾル/蒸気送出システムを略式に示している。
【
図2】電子エアロゾル送出デバイスのさらなる詳細を略式に示している。
【
図3】電子エアロゾル送出デバイスのさらなる詳細を略式に示している。
【
図4】電子エアロゾル送出デバイスのさらなる詳細を略式に示している。
【
図5】電子エアロゾル送出デバイスと、リモート/外部デバイスとを含むシステムを略式に示している。
【
図6】電子エアロゾル送出デバイスの作動パラメータをこの作動パラメータを使用して発生させたエアロゾルの特性に関連付けるモデルを導くために使用されるデータを入手する方法を略式に示している。
【
図7A】エアロゾル送出デバイス用の制御パラメータ値を選択するためにモデルを使用するための方法を略式に示している。
【
図7B】エアロゾル送出デバイス用の制御パラメータ値を選択するためにモデルを使用するための方法を略式に示している。
【
図7C】エアロゾル送出デバイス用の制御パラメータ値を選択するためにモデルを使用するための方法を略式に示している。
【
図7D】エアロゾル送出デバイス用の制御パラメータ値を選択するためにモデルを使用するための方法を略式に示している。
【発明を実施するための形態】
【0032】
電子エアロゾル送出システム、デバイス、回路および方法が開示されている。以下の説明では複数の具体的な詳細が本開示の実施態様を完全に理解できるように示されている。しかしながら、当然のことながら当業者にとって、これらの特定の詳細は、本開示の実施態様を実行するために採用する必要はない。逆に当業者に知られている特定の具体例は必要に応じて明確にするために省略される。
【0033】
上述のように本開示は、e-シガレットまたは吸入器などの電子エアロゾル送出システム(例えば、非燃焼系エアロゾル送出装置)または蒸気送出デバイス(電子エアロゾル送出デバイス)に関する。以下の説明を通して「eーシガレット」なる用語が使われる場合があるが、この用語は、(電子)エアロゾル/蒸気送出システムとほぼ同じ意味で使用される。同様に「蒸気」および「エアロゾル」なる用語は、本明細書で同等の意味である。電子エアロゾル送出デバイスなる用語は、タバコなどの植物材の制御された燃焼を介してエアロゾルを発生させる電子デバイスを意味するためにも使用される。
【0034】
一般に電子エアロゾル送出デバイスは、ベイピングデバイスまたは電子ニコチン送出システムとしても知られている電子タバコであってもよいが、注目すべきことはエアロゾル化可能な材料内にニコチンが含まれることは必須ではない。一部の実施態様では非燃焼系エアロゾル送出デバイスは、非燃焼加熱システムとしても知られているタバコ加熱システムである。一部の実施態様では非燃焼系エアロゾル送出デバイスは、エアロゾル化可能な材料の組み合わせ(その内の1つまたは複数が加熱されてもよい)を使用してエアロゾルを発生させるハイブリッドシステムである。エアロゾル化可能な材料のそれぞれは、例えば固体、液体またはゲルの形体であってもよく、ニコチンを含んでも含まなくてもよい。一部の実施態様ではハイブリッドシステムは液状またはゲル状エアロゾル化可能な材料および固体のエアロゾル化可能な材料を含む。固体のエアロゾル化可能な材料は、例えばタバコまたは非タバコ製品を含んでもよい。一方、一部の実施態様では非燃焼系エアロゾル送出デバイスは、このようなエアロゾル化可能な材料の1つ以上から蒸気またはエアロゾルを発生させる。
【0035】
通常、エアロゾル送出システムは、非燃焼系エアロゾル送出デバイスと、この非燃焼系エアロゾル送出デバイスと使用ための物品とを含む。しかしながら、それ自体がエアロゾル発生部品に給電するための手段を含む物品自体が非燃焼系エアロゾル送出デバイスを形成することも想定される。1つの実施態様では非燃焼系エアロゾル送出デバイスは、動力源と、制御回路とを含んでもよい。動力源は、電力源であってもよい。
【0036】
一部の実施態様ではエアロゾル発生部品は、デバイスに蓄えられたエアロゾル化可能な材料の一部を加熱することができ、エアロゾル化可能な材料から1つ以上の揮発性物質を放出してエアロゾルを形成するヒーターである。1つの実施態様ではエアロゾルはエアロゾル化可能な材料から加熱せずにエアロゾルを発生させることができる。例えばエアロゾル発生部材は、エアロゾル化可能な材料からそれに熱を加えずに例えば振動、機械、加圧または静電手段によってエアロゾルを発生させることができる。
【0037】
一部の実施態様ではエアロゾル化可能な材料は、活物質、エアロゾル形成材および任意の1つ以上の機能材を含んでもよい。活物質は、ニコチン(任意にタバコまたはタバコ派生物に含まれる)と、1つ以上の他の無臭の生理的に活性な材料とを含んでもよい。無臭の生理的に活性な材料は、臭覚以外の生理的な反応を達成するためにエアロゾル化可能な材料に含まれる材料である。エアロゾル形成材は、グリセロール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エリスリトール、メソエリスリトール、バニリン酸エチル、ラウリン酸エチル、スベリン酸ジエチル、クエン酸トリエチル、トリアセチン、ジアセチン混合物、安息香酸ベンジル、酢酸ベンジルフェニル、トリブチリン、酢酸ラウリル、ラウリン酸、ミリスチン酸、および炭酸プロピレンのうちの1つ以上を含んでもよい。1つ以上の機能材は、風味料、キャリアー、pHレギュレーター、安定剤および/または酸化防止剤のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0038】
一部の実施態様では電子エアロゾル送出デバイスに使用する物品は、エアロゾル化可能な材料またはエアロゾル化可能な材料を収容するための領域を含んでもよい。一つの実施態様では非燃焼系エアロゾル送出デバイスに使用する物品は、マウスピースを含んでもよい。エアロゾル化可能な材料を収容するための領域は、エアロゾル化可能な材料を貯蔵するための貯蔵領域であってもよい。1つの実施態様ではエアロゾル化可能な材料を収容するための領域は、エアロゾル発生領域から離れてもよい、あるいは組み合わされてもよい。
【0039】
同じ参照番号は、いくつかの図を通して同一または対応する部品を示す本願の図面を参照すると、
図1は、本開示の一部の実施態様によるe-シガレットのような電子エアロゾル送出デバイスの略図である(正確な縮尺ではない)。電子エアロゾル送出デバイスは、破線LAで示した長手方向軸に沿って延びたほぼ円筒状の形状を有し、2つの主要部品、即ち制御本体20とカトマイザー30とを含む。カトマイザーは、例えばニコチンを含む液体などのペイロードの容器を含む内部チェンバー、気化器(ヒーターなどの)およびマウスピース35を含む。以下、「ニコチン」と言った場合、これは単に例示であり、あらゆる好適な活性成分と代えることができると理解されたい。ペイロードとして「液体」と言った場合、当然のことながら単なる例示であり、植物系のもの(例えば燃やされるのではなく加熱されるタバコ)または活性成分および/または風味料を含むゲルなどのあらゆる好適なペイロードに変えることができる。貯蔵部は、液体が気化器に送出される必要が生じる時まで液体を保持するための発泡体マトリックスまたはあらゆる他の構造を含んでもよい。液体/流体ペイロードの場合、エアロゾル発生部品は、液体を気化するためのものであり、カトマイザー30は、エアロゾル発生部品上にあるまたはエアロゾル発生部品に隣接して位置する気化する場所に貯蔵部から少量の液体を輸送する芯または類似の利器をさらに含んでもよい。以下でヒーターはエアロゾル発生部品の具体例として使用される。しかしながら、当然のことながら他の形体のエアロゾル発生部品(例えば、超音波を利用したものなど)も利用可能であり、また当然のことながら使用されるエアロゾル発生部品の種類は、気化されるペイロードの種類によって変わる。
【0040】
場合によっては電子エアロゾル送出デバイスは、複数の貯蔵部および/または複数の芯および/または複数のエアロゾル発生部品とを含んでもよい。これらの構成は、デバイスによって発せられるエアロゾルの1つ以上の特性を、例えばエアロゾル化用のエアロゾル化可能な材料の供給速度および/またはエアロゾル化のためにエアロゾル化可能な材料の組成を調節することによって制御できる。したがって、電子エアロゾル送出デバイスによって発せられるエアロゾルのエアロゾルプロファイルは、調整可能である。一部の例では貯蔵部からのエアロゾル化可能な材料のエアロゾル化の速度は、複数のエアロゾル発生部品のうちの特定のもの(例えば、ヒーター)を選択的に始動させることを含み、それぞれの部品には1つ以上の貯蔵部からエアロゾル発生部品へエアロゾル化可能な材料を移送するための独自の移送手段(例えば、芯)が設けられてもよい。エアロゾル発生時に始動させるヒーターの数を増やすことで電子エアロゾル送出デバイスによって発せられるエアロゾルのエアロゾルプロファイルを、例えば発生させるエアロゾルの量を増やすことで変えることができる。これとは別にまたはこれに加えて1つ以上のエアロゾル化可能な材料のエアロゾル化の速度は、ポンプなどの手段を介して1つ以上のエアロゾル発生部品に隣接するエアロゾル化領域へのその1つ以上のエアロゾル化可能な材料の位相速度を制御することによって達成される。
【0041】
一部の例では電子エアロゾル送出デバイスによって発せられるエアロゾルのプロファイルは、異なる貯蔵部から異なるエアロゾル化可能な材料をエアロゾル化し、その異なるエアロゾル化可能な材料の相対的なエアロゾル化速度を制御することによって選択的に変更してもよい。例えば、電子エアロゾル送出デバイスは、異なるエアロゾル化可能な材料を保持するように構成された複数の貯蔵部を含んでもよく、各貯蔵部は、複数のエアロゾル発生部品から異なるエアロゾル発生部品にエアロゾル化可能な材料を供給する。これら複数のエアロゾル発生部品は、デバイスによって発せられるエアロゾル中の異なるエアロゾル化可能な材料の比を制御するための電子エアロゾル送出デバイスの制御回路によって別々に制御可能であってもよく(例えば、供給電力が制御可能であってもよい)。これとは別にまたはこれに加えて複数の貯蔵部のそれぞれから1つ以上エアロゾル発生部品のそれぞれへのエアロゾル化可能な材料の送出速度を例えばポンピングの速度を変えることによって制御してもよい。この場合、単独のエアロゾル発生部品は、異なるエアロゾル化可能な材料を保持する複数の貯蔵部からエアロゾル化可能な材料を受けるように構成してもよく、各貯蔵部からエアロゾル発生部品へのエアロゾル化可能な材料のポンピングの速度は、デバイスによって発せられるエアロゾルの組成に変えるように変更してもよい。場合によっては複数の貯蔵部は、使用のために制御本体20に連結されるように構成された複数のカートリッジを介して設けられてもよい。別個のエアロゾル発生部品と貯蔵部を有する各カートリッジは、大まかにカトマイザー30で説明したように構成されてもよい。これら複数のカートリッジのそれぞれは、本明細書でさらに説明する方法に従って制御本体20に連結されてもよい。エアロゾル供給デバイスは、1つ以上のカートリッジ発生したエアロゾルがユーザーによる吸入前に混ぜられるようにこれら複数のカートリッジのそれぞれに含まれる空気通路がマウスピース35の上流の位置で一体化するように構成されてもよい。
【0042】
制御本体20は、e-シガレット10に電力を供給する充電式電池またはバッテリーと、電子タバコ全体を制御する回路基板とを備える。ヒーターが回路基板によって制御されながらバッテリーから電力を受け取ると、ヒーターは液体を気化し、その後その蒸気はマウスピース35を介してユーザーによって吸い込まれる。一部の特定の実施態様では本体にはその外側に手動の始動装置265、例えばボタン、スイッチまたはタッチセンサーなどがさらに設けられている。
【0043】
制御本体20とカトマイザー30は、
図1に示すように長手方向軸LAに対して平行な方向に分離させることによって互いに取り外し可能であるが、装置10の使用時には25Aおよび25Bとして
図1において略式に示す接続によって接合され、制御本体20とカトマイザー30間の機械的および電気的接続を供する。カトマイザーに接続するために使用される制御本体20上の電気接続部25Bは、制御本体20がカトマイザー30から外された際に充電装置(図示せず)に接続するためのソケットとしての役割も果たす。充電装置の他端は電子タバコ10の制御本体20の電池を充電するためにUSBソケットに差し込むことができる。他の実行例ではケーブルを制御本体20の電気接続部25BとUSBソケット間の直接の接続用に設けてもよい。
【0044】
電子エアロゾル送出デバイス10には空気入り口用の1つ以上の孔(
図1に示されていない)が設けられている。これらの孔は、電子エアロゾル送出デバイス10を通ってマウスピース35までの空気通路に繋がっている。ユーザーがマウスピース35を介して吸入すると、空気が電子エアロゾル送出デバイスの外側に好適に配置された1つ以上の空気取り込み穴を介してこの空気通路内に引き込まれる。ヒーターをカートリッジからのニコチンを気化させるために始動させると、発生した蒸気を通過して空気流が蒸気と混ざり、この空気流と発生した蒸気の混合物は、マウスピース35を通って出て、ユーザーに吸引される。使い捨てのデバイスを除いて、カトマイザー30は制御本体20から取り外してもよく、液体の供給を終えると廃棄してもよい(その後必要であれば別のカートリッジに交換される)。
【0045】
場合によっては電子エアロゾル送出デバイスは、システムの空気流の性状を制御する手段を含んでもよい。マウスピース35とデバイス10の1つ以上の空気入り口孔との間に流体連通を供する空気流通路の一部には空気流通路の形(例えば、空気流経路を定める壁のトポロジー)を変えるために可動であり、これにより電子エアロゾル送出デバイス内の空気流の特徴を変える特徴部を設けてもよい。例えば、可動な特徴部(バルブ、バッフルまたは注入口)は、デバイス10の吸引抵抗、空気流通路内の乱流の度合い、エアロゾル発生部品365の近傍の空気流の方向およびエアロゾル発生部品365とマウスピース35の間の縮合経路の距離などの作動パラメータの変更を可能にする。一部の例ではデバイスの吸引抵抗は、デバイスに含まれる空気通路内に空気を入らせるように構成された1つ以上の空気入り口を選択的に開いたり閉じたりする手段を設けることによって変更できる。例えば、異なる位置に移動するように構成された(例えば軸LAを中心に回転させるまたは軸LAを中心に変位させる)スライダーをデバイス10の外方ハウジングに設けてもよい。スライダーにはスライダーが第1の位置にあるとき1つ以上の空気入り口と整列し、スライダーが第2の位置にあるとき1つ以上の空気入り口を塞ぐように構成された1つ以上の開口部が設けられてもよい。第1および第2の位置の間でスライダー位置を調節することは、デバイスの吸引抵抗の度合いを空気入り口の断面を変更することによって調節できるようにする。これとは別にまたは加えて1つ以上の特徴部を吸引抵抗を調節するために電子エアロゾル送出デバイスの空気流経路内に設けてもよい。例えば、機械的な虹彩のような開口部をデバイス10の空気通路に亘って配置してもよい。開口部の形および断面積は、装置の吸引抵抗を変更するために変えてもよい。スライダーまたは開口部を含むデバイスの例では吸引抵抗は、本明細書でさらに説明するような制御回路またはASICなどの制御回路によって制御可能であってもよい。そのような例では開口部および/またはスライダーは、線形または回転アクチュエータなどの電気機械アクチュエータによって作動させてもよく、アクチュエータの位置は、本明細書でさらに説明する方法に従ってデバイスの吸引抵抗を調節するための制御回路によって制御されてもよい。同様に制御回路によって制御される他の特徴部をデバイスに含ませてデバイスを通る空気流を変更してもよい。例えば、1つ以上の可動バッフルまたは機械的開口部または1つ以上の空気入り口をエアロゾル発生部品365の上流かつ近傍の位置で空気通路355内に配置してもよい。これらの特徴部は、ユーザーがデバイスで吸い込んだ際に入り込む空気がエアロゾル発生部品365上にぶつかるように調節するために異なる位置に移動させてもよい。例えば、1つ以上のバッフルを入り込む空気が多かれ少なかれ直接エアロゾル発生部品365上に導かれ、これによりエアロゾル発生部品にぶつかる空気の速度および乱流を変えるように軸LAに対して異なる角度に移動させてもよい。エアロゾル発生部品の近傍の1つ以上の空気入り口を選択的に開いたり、閉じたりしてエアロゾル発生部品365の上流に追加の流入空気を供給してエアロゾル発生部品の近傍の空気流の乱流および速度を変えるおよび/またはエアロゾル発生部品の近傍の空気流の温度を調節してもよい。エアロゾル発生部品の近傍の空気流の温度、速度および乱流を変えることはデバイス10によって供されるエアロゾルの粒径を変更するために蒸気凝縮挙動の調節を可能にする。例えば、ヒーターなどのエアロゾル発生部品によって発生させた蒸気の冷却速度を速くすること(ヒーターの上流または下流の空気入り口の開口部を介してまたはヒーターの下流の乱流を大きくすることによって)は、エアロゾルは大きな粒径を有する。
【0046】
当然のことながら
図1に示した電子エアロゾル送出デバイス10は、例示として示したものであり、種々の他の実行例も適用できる。例えば一部の実施態様ではカトマイザー30は、2つの分離可能な部品、即ち液体貯蔵部とマウスピースとを含むカートリッジ(貯蔵部から液体が枯渇した際に交換可能である)と、ヒーターを含むエアロゾル発生部品として供されてもよい。別の例として充電設備を追加のまたは別の電源、例えば車のシガレットライターに接続してもよい。
【0047】
図2は本開示の一部の実施態様による
図1の電子エアロゾル供給デバイス10の制御本体20の略図(単純化した)である。
図2は、通常電子エアロゾル供給デバイスの長手方向軸LAを通る面の断面と見なすことができる。なお
図2では、分かりやすくする目的で、本体の種々の構成要素および詳細、例えば配線およびより複雑な形状は省略されている。
【0048】
制御本体20はユーザーによるデバイスの始動に応じて電子エアロゾル供給デバイス10に給電するためのバッテリーまたは電池210を含む。加えて制御本体20は、電子エアロゾル供給デバイス10を制御するためのコントロールユニット(
図2に示していない)、例えば特定用途向け集積回路(ASIC)またはマイクロコントローラなどのチップを含む。マイクロコントローラまたはASICは、CPUまたはマイクロプロセッサーを含む。CPUおよび他の電子部品の操作は、一般にCPU(または他の部品)上で動作するソフトウェアプログラムによって少なくとも一部が制御される。そのようなソフトウェアプログラムは、マイクロコントローラ自体内に組み込まれる、または別個の部材として供されるROMなどの不揮発性メモリに記憶させもよい。CPUはROMにアクセスして必要に応じておよび必要な場合に個々のソフトウェアプログラムをロードし、実行してもよい。マイクロコントローラは、本体10の他の装置と必要時に通信する適切な通信インターフェイス(および制御ソフトウェア)も含む。さらに制御回路は、本明細書にさらに記載されているようなデバイスの1つ以上の作動パラメータを監視するように構成されている(例えば、バッテリー210およびエアロゾル発生器365の状態などの部品の状態の検知を介しておよび/またはデバイスの作動、デバイス作動時間またはデバイス部品の寿命をカウントすることによって)。
【0049】
制御本体20は、さらに電子エアロゾル供給デバイス10の遠い方(遠位にある)の端部を封止し、保護するキャップ225を含む。通常はキャップ225にまたはこれに隣接して空気取り込み穴があり、これはユーザーがマウスピース35で吸引すると空気を本体20に入らせる。制御回路またはASICはバッテリー210と並んでまたはその一端に配置されてもよい。一部の実施態様ではASICはマウスピース35での吸引を検知するためのセンサユニット215に取り付けられる(またはこれとは別にセンサユニット215をASIC自体に設けてもよい)。空気取り入れ口から電子エアロゾル供給デバイス内を通り、空気流センサ215およびヒーター(気化器またはカトマイザー30内)を通過してマウスピース35に至る空気通路が設けられている。従って、ユーザーが電子エアロゾル供給デバイスのマウスピースで吸引すると、CPUが空気流センサ215からの情報に基づいてその吸引を検出する。
【0050】
本体20のキャップ225と反対側は、制御本体20をカトマイザー30に接続するコネクター25Bである。コネクター25Bによって制御本体20とカトマイザー30の間の機械的接続および電気的接続が得られる。コネクター25Bは本体コネクター240を含む。本体コネクター240は金属製で(一部の実施態様では銀メッキされており)、カトマイザー30との電気的接続端子の一方(陽極または陰極)の役割を果たす。コネクター25Bはさらに電気接点250を含む。電気接点250はカトマイザー30との電気的接続のための第2の端子(上記第1の端子即ち、本体コネクター240と逆極性の端子)を提供する。電気接点250はコイルばね255に取り付けられている。本体20がカトマイザー30に取り付けられるとき、カトマイザーのコネクター25Aはコイルばねを軸方向即ち、長軸LAと平行な方向(それに沿う方向)に圧縮するように電気接点250を押す。ばね255には弾性があるため、この圧縮によってばね255は付勢されて延びようとし、電気接点250をコネクター25Aにしっかり押し付ける効果が得られ、制御本体20とカトマイザー30の間が確実に電気的に良好に接続される。本体コネクター240と電気接点250は非導電材料(プラスチックなど)で作られたトレッスル260で隔てられており、2つの電気接点の間の絶縁が良好になる。トレッスル260はコネクター25Aとコネクター25Bの相互の機械的結合を補助する形状をしている。
【0051】
上述のように手動の作動装置265の形体を表すボタン265は、制御本体20の外方ハウジングに位置している。ボタン265はユーザーによって手動で作動させるように操作可能ななんらかの適当な機構、例えば機械的ボタンまたはスイッチ、静電的または抵抗性タッチセンサーなどを使用して実行してもよい。当然のことながら手動の始動装置265は制御本体20の外方ハウジングではなく、カトマイザー30の外方ハウジングに配置してもよく、この場合、手動の作動装置265はコネクター25A、25Bを介してASICに取り付けられてもよい。ボタン265はキャップ225の代わりに(または加えて)制御本体20の端部に配置してもよい。
【0052】
図3は本開示の一部の実施態様による
図1の電子エアロゾル供給デバイス10のカトマイザー30の略図である。
図3は一般に電子エアロゾル供給デバイス10の長手方向軸LAを介した面の断面と見なすことができる。なお
図3では、わかりやくする目的で、種々の構成要素および本体の詳細、例えば配線およびより複雑な形状は省略されている。
【0053】
カトマイザー30は、カトマイザー30の中心軸(長手方向)に沿ってマウスピース35から、カトマイザーを制御本体20に繋ぐコネクター25Aまで延びる空気通路355を含む。空気通路355の周りに1つ以上の液体の貯蔵部360が設けられている。これら1つ以上の貯蔵部360は、例えば、液体に浸したコットンまたは発泡体を供することによって実施してもよい。カトマイザー30は、貯蔵部360の液体を加熱する1つ以上のヒーター365も含み、ユーザーによる電子エアロゾル供給デバイス10の吸引に応答して、蒸気を発生させて空気通路355に流し、縮合エアロゾルを形成し、マウスピース35から出す。ヒーター365には配線366と367経由で電力が供給され、これらの配線の他方は制御本体20のバッテリー210の互いに逆極(陽極と陰極、またはその逆)にコネクター25Aを介して接続されている(
図3では電源線366、367とコネクター25Aの間の配線の詳細は省略されている)。
【0054】
コネクター25Aは、内部電極375を含む。内部電極375は銀メッキされていてもよく、あるいは何らかの他の適切な金属で作られていてもよい。カトマイザー30が制御本体20に接続されるとき、内部電極375は制御本体20の電気接点250と接触して、カトマイザーと制御本体の間に第1の電気経路を供する。具体的には、コネクター25Aとコネクター25Bが繋がると、内部電極375はコイルばね255を圧縮するように電気接点250を押し、内部電極375と電気接点250の間が確実に電気的に良好に接触する。
【0055】
内部電極375は絶縁リング372に囲まれており、絶縁リング372はプラスチック、ゴム、シリコン、または任意の他の適切な材料で製せられてもよい。絶縁リングはカトマイザーコネクター370で囲まれており、カトマイザーコネクター370は銀メッキされていてもよく、あるいは何らかの他の適切な金属、即ち導電材料で製せられていてもよい。カトマイザー30が制御本体20に接続されると、カトマイザーコネクター370は制御本体20の本体コネクター240に接触して、カトマイザーと制御本体の間に第2の電気経路を供する。言い換えると、内部電極375とカトマイザーコネクター370は、陽極端子と陰極端子(あるいはその逆)の役割を果たし、制御本体20内のバッテリー210の電力を供給用配線366および367経由でカトマイザー内のヒーター365に適切に供給する。複数のエアロゾル発生部品365および/またはポンピング手段が電子エアロゾル送出デバイスに含まれる場合、複数の電気接続部をカトマイザー30と制御本体20に間に形成してエアロゾル発生部品365/ポンピング手段を別々に作動させるようにしてもよい。
【0056】
カトマイザーコネクター370には、電子エアロゾル供給デバイス10の長手方向軸から遠ざかる互いに反対の方向に延びた2つのタブ380A、380Bが設けられている。これらのタブを用いて本体コネクター240との差し込み式接続具を構成して、カトマイザー30を制御本体20に接続する。この差し込み式接続具により、カトマイザー30と制御本体20を互いに確実かつ堅牢に接続することができるため、カトマイザーと本体は互いに固定位置に保持され、ふらついたり曲がったりすることがなく、不意に外れるというような何らかの可能性は非常に低い。同時に差し込み式接続具によって、挿入、回転による簡単かつ瞬時の着脱と、(逆方向)回転と引き抜きによる分離ができる。なお、他の実施態様では制御本体20とカトマイザー30の間に異なる形態の接続、例えば嵌め込み式の接続あるいはネジ式の接続を用いてもよい。
【0057】
図4は本発明の一部の実施態様による制御本体20の端部のコネクター25Bの特定の詳細概略図である(ただしわかりやすくするため、
図2に示すコネクターの内部構造の大部分、例えばトレッスル260は省略されている)。具体的には、
図4は制御本体20の外部ハウジング201を示しており、全体に円筒管の形体である。この外部ハウジング201は、例えば、紙またはそれに類似するものからなる外方のカバーを有する金属からなる内方管を含んでもよい。外部ハウジング201は、手動作動装置265(
図4には示されていない)をユーザーが容易に手動作動装置265触れられるように含んでもよい。
【0058】
本体コネクター240は、制御本体20のこの外部ハウジング201から延びている。
図4に示すように本体コネクターは、制御本体20の外部ハウジング201の内側に嵌る大きさの中空の円柱管の形状のシャフト部分241および電子エアロゾル供給デバイスの主長手方向軸(LA)から離れるように半径方向外方に向けられたリップ部分242の2つの主要部分を含む。シャフト部分が外部ハウジング201と重ならないところで本体コネクター240のシャフト部分241を囲んでいるのはカラーまたはスリーブ290であり、これも円柱管形状である。カラー290は本体コネクター240のリップ部分242と本体の外部ハウジング201の間に保持され、これらは共にカラー290に軸方向の移動を妨げる(即ち、軸LAに平行な)。しかしながら、カラー290はシャフト部分241の周囲を自由に回転する(従って、軸LAの周囲で)。
【0059】
上述したようにキャップ225にはユーザーがマウスピース35を介して吸引した際に空気を流す空気取り込み穴が設けられている。しかしながら、一部の実施態様ではユーザーが吸引した際に装置に入る空気の大半は、
図4の2本の矢印で示すようにカラー290と本体コネクター240を介して流れる。
【0060】
ここで
図5を参照すると、本開示のある実施態様ではより応答性のある電子エアロゾル送出デバイスを供するためのシステムは、電子エアロゾル送出デバイス10と、例えばBluetooth(登録商標)を介して電子エアロゾル送出デバイスと通信するように(少なくとも電子エアロゾル供給デバイスからデータを受けるように)動作可能な携帯電話または同様の装置(タブレットなど)100などの外部コンピューター装置といった2つの部品を含んでもよい。この場合、携帯電話は、広いデータ収集、処理能力を供し、データ接続を介して電子エアロゾル供給デバイスとインターフェースで接続し、データを送受信する。本開示では当然のことながら電子エアロゾル送出デバイスの制御回路によって実行されるものとして説明されている機能は、一部または完全に外部装置100によって実行されてもよい。例えば、制御回路は、外部装置100によって処理される(例えば、1つ以上の作動パラメータの測定に基づいて装置によって使用される制御パラメータを決定するために本明細書でさらに説明するようなモデルを使用して)データを外部装置100へ送信するように構成してもよい。外部装置100での処理の結果は、次に電子エアロゾル送出デバイスに戻され、電子エアロゾル送出デバイスの制御パラメータが前記結果に基づいて制御回路によって変更される。
【0061】
しかしながら、当然のことながら電子エアロゾル送出デバイス10と外部装置100のペアリングが適しているが、電子エアロゾル送出デバイス/電子エアロゾル供給デバイスと好適な制御回路および/またはユーザーインターフェイス能力が本明細書でさらに説明する方法を実行することも想定される。
【0062】
電子エアロゾル送出デバイスによって発せられるエアロゾルのエアロゾルプロファイルは、種々の要因に影響を受ける。エアロゾルのエアロゾルプロファイルは、ユーザーによって測定可能であるおよび/または検知されるエアロゾルの複数の特性によって少なくとも部分的に定められると考えられる。例えば、エアロゾル特性は、電子エアロゾル送出デバイスによって発せられるエアロゾルのパフ毎の温度、エアロゾル粒径分布、エアロゾル化可能な材料の質量損失(または「DML」)、パフ毎の活物質(例えば、ニコチン)または風味料の濃度または量などのパラメータを含む。エアロゾル特性は、知覚される「喉への刺激」またはユーザーの満足度などの特性も含み、これらは他の物理的測定可能な特性に基づく。エアロゾルの特性は、デバイスの作動パラメータによって変化する場合がある。例えば、電子エアロゾル送出デバイス内の部品の劣化(例えば、バッテリーまたはエアロゾル発生部品の性能の低下)は、発生したエアロゾルの1つ以上の特性を変えることになる。したがって、作動パラメータの変化は、電子エアロゾル送出デバイスによって発せられるエアロゾルのエアロゾルプロファイルをデバイスの制御パラメータ(即ち、ユーザーによって制御可能および/またはデバイスの制御回路によって制御可能なパラメータ)が変わらなくても変えてしまう。したがって、電子エアロゾル送出デバイスによって発せられるエアロゾルのエアロゾルプロファイルは、ユーザーが制御パラメータの調節によって前記変化を制御しようとしなくても時間の経過によって変化する場合がある。これはユーザーの不満の原因になる。
【0063】
したがって、電子エアロゾル送出システムの少なくとも1つの作動パラメータを監視し、第1のエアロゾルプロファイルを有するエアロゾルを発生させるために電子エアロゾル送出システムの少なくとも1つの制御パラメータを制御し、作動パラメータのうちの1つ以上が変化するまたは変化しやすいかを判定し、そのような判定に応答して電子エアロゾル送出デバイスの制御パラメータを変更するように構成された制御回路を含む電子エアロゾル送出システムが提供される。電子エアロゾル送出システムの制御パラメータをどのように変更するかは、1つ以上の作動パラメータの変化によって生じる第1のエアロゾルプロファイルに対する変化を緩和するために決定される。
【0064】
したがって、本開示の例では電子エアロゾル送出デバイス10は、システムのエアロゾル発生特性を変えるために調整できる1つ以上の制御パラメータで構成される。その制御パラメータは、ユーザーによって直接調整可能であってもよくおよび/または制御回路によって設定、変更されてもよい。一般に制御パラメータは、デバイスの作動の態様を判定し、エアロゾル発生部品への電力の供給に関するパラメータ、エアロゾル送出デバイス内の空気流の制御に関するパラメータ、1つ以上のエアロゾル発生部品へのエアロゾル化可能な材料の供給に関するパラメータまたはデバイスの作動の他の態様に関するパラメータを含んでもよい。その1つ以上の制御パラメータについて重要なことは、それらが例えばユーザーインプットによっておよび/または制御回路によっておよび/または本明細書でさらに説明する有線または無線接続を介して電子エアロゾル送出デバイスと通信するように構成された装置100によって変更できるということである。その1つ以上の制御パラメータは、エアロゾル供給システムによって発せられるエアロゾルの1つ以上の特性(およびしたがってエアロゾルのエアロゾルプロファイル)が制御パラメータのうちの1つ以上を変えることによって変更されるようにエアロゾル供給システムによって発せられるエアロゾルの特性に関連付けてもよい。
【0065】
例えば、第1の制御パラメータは、1つ以上のエアロゾル発生部品への電力供給に関する。例えば、一部の例ではエアロゾル送出デバイスは、ヒーターの形体のエアロゾル発生部品を含み、エアロゾル発生中のヒーターの温度は、ヒーターへ送られる電力の量を調整することによって制御できる。場合によってはこれは、ヒーターに供給される電力のデューティサイクルが制御回路によって調整されるパルス幅変調(PWM)を介して達成される。デューティサイクルは、バッテリーの電圧が使用中に落ちた際にパフ毎のヒーターへの電力が一定レベルで維持できるようにバッテリーの電流出力電圧に基づいてある程度制御されてもよい。
【0066】
パフ中のエアロゾル発生部品への電力の供給は、他の電力供給パラメータを使用して制御してもよい。例えば、エアロゾル発生部品がヒーターである場合、パフの際の電力プロファイルは、パフの最初の部分(例えば、所定の時間)の間は高い電力の予備加熱段階を供し、次にパフの第2の部分(例えばパフの終わりが決定されるまでの残りの時間)の間に低電力での加熱段階を供するように制御されてもよい。このように高温で予備加熱段階を供することでパフ中に発せられるエアロゾルの平均粒径を小さくしてもよい。パフ中に供給される所定量のエネルギーの場合の電力供給パラメータの別例として、デューティサイクルを高電力の短いパルスまたは低電力の長いパルスを供するように調整してもよい。
【0067】
当然のことながらこれらは電力供給パラメータのいくつかの例に過ぎず、他のものも当業者によって実行される場合がある。
【0068】
1つ以上の電力供給パラメータは、ユーザーによってユーザーの好みに従って設定されてもよく、あるいは制御回路によって予め決められてもよく、あるいは制御回路(またはエアロゾル送出デバイスがデータ接続を有する外部装置、例えばエアロゾル送出デバイスに接続されたスマートフォン上のアプリケーションを介して)によって自動的に設定されてもよい。一般に電力がどのようにエアロゾル発生部品に供給されるかを決定するパラメータを含む制御パラメータは、特定の物理的特性を有するエアロゾルの発生を目標とするように選択される特定の値に設定される。例えば、高電力は温かいエアロゾルを目標にそして低電力は冷たいエアロゾルを目標に選択される。高電力は、より密なエアロゾル(例えばデバイスによって送出されるエアロゾルの単位容量当たりのエアロゾル化可能な材料の容量またはパフ毎のエアロゾル化可能な材料の質量の点で)を目標にそして低電力は、より低密度のエアロゾルを目標に選択されてもよい。高電力は、大きい粒子の割合が大きいエアロゾル粒径分布を目標にそして低電力は、小さい粒子の割合が大きいエアロゾル粒径分布を目標に選択されてもよい。当然のことながらこれらの関係は例示であり、電力供給パラメータとデバイスによって発せられるエアロゾルの特定の特徴との関係は、例えば特定のエアロゾル送出デバイスの特定の構造およびデバイスの他の作動パラメータによって決まる。
【0069】
第2の制御パラメータは、エアロゾル送出デバイス内の空気流に関する。例えば、本明細書でさらに説明するようにデバイスの吸引抵抗は、1つ以上のスライド部材および/または1つ以上の機械的虹彩部材および/または本明細書でさらに説明する1つ以上の可動バッフル部材によって調節してもよく、これらはデバイスの空気流経路の一部(例えば1つ以上の空気入り口または空気通路355)の断面積を変更し、マウスピースで加えられる所定の吸引(例えば、mmHgを単位として)に対して流量(例えば、l/mを単位として)を変更できる。さらにまたはこれとは別にデバイス内の空気流の乱流を本明細書でさらに説明するようにデバイスの1つ以上の可動バッフルまたは開口部の位置を変えることによって変更してもよい。例えば、空気流経路に配されたバッフルまたは開口部は、エアロゾル発生部品の近傍の空気流経路の一部にベンチュリ効果を発生させるために調節してもよく、これは一般に粒子の合体を促進し、大きな粒子の比率が高いエアロゾル粒径分布に至る。さらにまたはこれとは別にエアロゾル発生部品に到達する入射空気の方向および速度は、1つ以上のバッフルまたは開口部を調整することおよび/または1つ以上の空気入り口を開けることによって変更してもよい。エアロゾル発生部品に衝突する空気の速度を上げるおよび/または流入空気をエアロゾル発生部品の面に対して垂直な向きに沿ってエアロゾル発生部品に衝突させることは粒径分布などのエアロゾルの特徴を変更する。さらにまたはこれとは別にデバイス内の空気流の温度を変更してもよい。一部の例ではこれは気化部材(空気流経路の壁内に組み込まれるまたは空気流経路の断面内に配置される)の上流または下流に冷却素子(例えば、制御回路によって制御されるペルチェ素子)によって実行できる。他の例では、これはエアロゾルを冷ますためにエアロゾル発生部品の近傍の1つ以上の空気入り口を選択的に開いたり閉じたりすることによって実行できる。エアロゾル発生部品の近傍の空気の温度を調節することはエアロゾル発生部品によって製せられる蒸気の縮合速度を調節するために使用でき、これによってユーザーに送出されるエアロゾルの粒径分布の制御を可能にする。例えば、エアロゾル発生部品の近傍の空気を冷ますことは一般に蒸気をより速く縮合させ、大きい粒子の割合が多くなるエアロゾルの粒径分布になる。
【0070】
1つ以上の空気流パラメータは、ユーザーによってユーザーの好みに従って設定されてもよく、あるいは制御回路によって予め決められてもよく、あるいは制御回路(またはエアロゾル送出デバイスがデータ接続を有する外部装置)によって自動的に設定されてもよい。一般に空気がどのようにデバイスを流れるかを決定するパラメータを含む制御パラメータは、特定の物理的特性を有するエアロゾルの発生を目標とするように選択される特定の値に設定される。例えば、高い吸引抵抗は、密なエアロゾルを目標にそして低吸引抵抗はより低密度のエアロゾルを目標に選択されてもよい。高い吸引抵抗は、パフ毎に送出される高濃度のエアロゾル化可能な材料を目標にそして低吸引抵抗は、パフ毎に送出される低濃度のエアロゾル化可能な材料を目標に選択されてもよい。気化部材の近傍での高度乱流は、大きい粒子の割合が多くなるエアロゾルの粒径分布を目標に選択され、低電力は小さい粒子の割合が多くなるエアロゾルの粒径分布を目標に選択される。気化部材近傍の空気/蒸気/エアロゾルの速い冷却は、大きい粒子の割合が多くなるエアロゾルの粒径分布を目標に選択され、空気/蒸気/エアロゾルの遅い冷却は、小さい粒子の割合が多くなるエアロゾルの粒径分布を目標に選択される。当然のことながらこれらの関係は例示であり、空気流パラメータとデバイスによって発せられるエアロゾルの特定の特徴との関係は、例えば特定のエアロゾル送出デバイスの特定の構造およびデバイスの他の作動パラメータによって決まる。
【0071】
第3の制御パラメータは、1つ以上のエアロゾル発生部品へのエアロゾル化可能な材料の供給に関する。例えば、本明細書でさらに説明するようにエアロゾル化可能な材料がエアロゾル発生部品に提供される速度は、例えば貯蔵部からエアロゾル発生部品へ液体を供給するために使用されるポンプ部材(例えば、圧電ポンプ)のポンピング速度を制御すること、あるいは貯蔵部内の圧力を制御すること、あるいは貯蔵部から芯などの移送部材へ液体を供給するために使用される開口部の大きさを変えること、あるいは制御回路によってヒーターに送出される電力を制御することによって制御してもよい。本明細書でさらに説明するように一部の例では複数の貯蔵部を複数のエアロゾル化可能な材料を同時にエアロゾル化して複数のエアロゾル化可能な材料の混合物を含むエアロゾルを製することができるように設けてもよい。例えば、電子エアロゾル供給デバイスは、第1のエアロゾル化可能な材料を含む第1の貯蔵部と、第2のエアロゾル化可能な材料を含む第2の貯蔵部とを含んでもよい。第1の例ではエアロゾル化可能な材料は、各貯蔵部から共通のエアロゾル発生部品へと供され、本明細書でさらに説明するようにエアロゾル化可能な材料が第1および第2の貯蔵部それぞれから供される速度を制御する手段が設けられる。このようにエアロゾル発生時に第1および第2のエアロゾル化可能な材料の供給速度を調整することによって、得られるエアロゾル中の第1および第2のエアロゾル化可能な材料の比を例えば制御回路によって制御できる。第2の例では第1の貯蔵部が第1のエアロゾル発生部品に接続され、第2の貯蔵部は、第2エアロゾル発生部品に接続される。これらの接続部は、貯蔵部から液体を受動的に対応するエアロゾル発生部品に毛管現象を介して供給する吸い上げ部材を含んでもよく、あるいは供給速度を制御する能動手段(例えば、ポンプ手段または変更可能な開口部)を含んでもよい。各貯蔵部用に(そして第1および第2のエアロゾル化可能な材料のそれぞれのエアロゾル化のために)個別のエアロゾル発生部品を設けることによってデバイスによって発せられるエアロゾル中の第1および第2のエアロゾル化可能な材料の割合を各エアロゾル発生部品へのエアロゾル化可能な材料の供給速度および/または各エアロゾル発生部品に関連する電力供給パラメータおよび/または各エアロゾル発生部品を含む空気流経路に関連する空気流パラメータを調整することによって制御できる。
【0072】
1つ以上のエアロゾル化可能な材料の供給パラメータは、ユーザーによってユーザーの好みに従って設定されてもよく、あるいは制御回路によって予め決められてもよく、あるいは制御回路(またはエアロゾル送出デバイスがデータ接続を有する外部装置)によって自動的に設定されてもよい。一般に1つ以上のエアロゾル化可能な材料のエアロゾル化速度を決めるパラメータを含む制御パラメータは、特定の物理的特性を有するエアロゾルを発生させることを目標にするために設定される。例えば、第1の貯蔵部は、第1の濃度の活物質および/またはエアロゾル形成材および/または1つ以上の機能材を含むエアロゾル化可能な材料を含んでもよく、第2の貯蔵部は、第2の濃度の活物質および/またはエアロゾル形成材および/または1つ以上の機能材を含むエアロゾル化可能な材料を含んでもよい。例えば、第1の貯蔵部は、第1の濃度のニコチンを有するエアロゾル化可能な材料を含んでもよく、第2の貯蔵部は、第2の濃度のニコチンを有するエアロゾル化可能な材料を含んでもよい。第1および第2のエアロゾル化可能な材料の相対的なエアロゾル化速度は、第1および第2のエアロゾル化可能な材料の1つ以上のエアロゾル発生部品への供給速度を制御するパラメータの1つ以上を調整することを介しておよび/または第1および第2のエアロゾル化可能な材料をそれぞれ気化させるために使用される第1および第2のエアロゾル発生部品の電力制御パラメータを調整することを介して制御できる。このようにしてデバイスによってその結果発せられるエアロゾルのニコチン濃度は、エアロゾル中のエアロゾル化可能な材料の単位容量当たりのニコチンに関しておよび/またはエアロゾルの単位容量当たりのニコチンに関して調整できる。一部の例では第1および第2の貯蔵部それぞれは、異なるエアロゾル形成材を含む第1および第2のエアロゾル化可能な材料を含んでもよい。例えば、第1のエアロゾル化可能な材料は、ベジタブルグリセリン(VG)を含んでもよく、第2のエアロゾル化可能な材料は、プロピレングリコール(PG)を含んでもよい。本明細書に記載の方法による2つのエアロゾル化可能な材料の相対的なエアロゾル化速度を調整することで異なる比のVGとPGを有するエアロゾルを発生させることができる。高い割合のPGは、見えにくいエアロゾルおよび/または大きい粒子の割合が高いエアロゾル粒径分布および/またはユーザーにとってより喉への刺激が強いエアロゾルを目標に選択されてもよい。高い割合のVGは、見えにくいエアロゾルおよび/または小さい粒子の割合が高いエアロゾル粒径分布および/またはユーザーにとってより喉への刺激が少ないエアロゾルを目標に選択されてもよい。当然のことながらこれらの関係は例示であり、エアロゾル化可能な材料供給パラメータとデバイスによって発せられるエアロゾルの特定の特徴との関係は、例えば特定のエアロゾル送出デバイスの特定の構造およびデバイスの他の作動パラメータによって決まる。上記において当然のことながら活物質(例えば薬剤/ニコチン)、嗅覚成分(例えば、風味付け材)、エアロゾル形成材または機能材の選択および割合の点であらゆる好適な組成を含んでもよいエアロゾル化可能な材料を含むように構成された任意の数の貯蔵部を設けてもよい。
【0073】
エアロゾル送出デバイスによって発せられるエアロゾルの1つ以上の特性を変えるために調節される多くの制御パラメータを説明した。したがって、1つ以上の制御パラメータを特定の第1の値に設定することによって、システムは、1回以上のパフの間に第1のエアロゾルプロファイルを有するエアロゾルを発生させるように構成できる。当然のことながらエアロゾルプロファイルは、エアロゾルの物理的特性およびエアロゾルによってユーザーに誘発される1つ以上の知覚/薬理学的反応に関するエアロゾルの1つ以上の特徴を含む。したがって、例えば1回目のパフの際に発せられるエアロゾルの第1のエアロゾルプロファイルは、特定の粒径分布、特定のエアロゾル温度、特定のエアロゾルの視認性およびエアロゾルの特定の組成を含んでもよい。エアロゾルの組成は、異なる活物質および/またはエアロゾル形成材および/または風味料などの1つ以上の機能材の比および/またはエアロゾルの単位容量の1つ以上の材料の濃度またはエアロゾル化された材料の単位容量当たりの1つ以上の材料の濃度として表されるエアロゾル中のそのような材料の濃度を単位として表されてもよい。第1のエアロゾルプロファイルは、ユーザーに対する特定の生理的効果、例えば「喉への刺激」またはパフ一回当たりの活性成分の特定の投与量をさらに含んでもよい。
【0074】
エアロゾル送出デバイスは、さらにデバイスの1つ以上の作動パラメータを監視するように構成されている。デバイスの作動パラメータは、デバイスの作動に影響を与える(例えば、デバイスによって発せられるエアロゾルの1つ以上の特性に影響を与えるという点で)パラメータを含むと理解され、この点に関してデバイス自体およびその部品の物理的特性に直接的に関連するパラメータ、デバイスの使用に関するパラメータ(例えば、吸引強度)および環境条件に関するパラメータ(例えば、流入空気の温度、圧力および湿度)を含んでもよい。当然のことながらデバイスの作動パラメータは、ユーザーおよび/または制御回路によって変更される本明細書で説明したような制御パラメータも含んでもよい。例えば、作動パラメータは、ユーザーによっておよび/または制御回路によっておよび/またはエアロゾル送出デバイスへのデータ接続を有する外部装置(例えば、アプリケーションを稼働させるスマートフォンまたはサーバー)によって調整できる電力供給パラメータ、空気流パラメータおよびエアロゾル化可能な材料パラメータを含んでもよい。
【0075】
本開示の例では作動パラメータを監視することは、ユーザーによって設定されたまたは制御回路によって自動的に決定されたまたはエアロゾル送出デバイスとデータ通信するように構成されている外部装置によって決定された1つ以上の制御パラメータの監視を含む。例えば、制御回路は、エアロゾル発生部品に供給される電力レベル、デバイスでのパフの際の空気流中の圧力(例えば、圧力センサ215からの信号で示されるような)またはデバイスの吸引抵抗を制御するために使用される開口部、スライダーまたはバッフルの現在位置を監視してもよい。監視は、検知を介してまたはユーザーインプット装置を介して制御パラメータに対応するユーザーインプット値を介して行ってもよい。例えば、デバイスの吸引抵抗は、スライダーを使用するユーザーによって手動で設定してもよく、ユーザーは、デバイス上の1つ以上のボタンを使用してまたはエアロゾル送出デバイスとデータ接続する外部装置上のインターフェースを使用してスライダーの現在位置を制御回路に示すことができる。これとは別にこの例では吸引抵抗は、パフセンサから制御回路によって、あるいはスライダーの位置を直接検知することによって、あるいはスライダーが自動的にデバイスによって始動する場合、スライダーの現在の要求位置を示すパラメータを決定することによって受信される信号から推察してもよい。
【0076】
作動パラメータは、制御回路および/またはユーザーの直接の制御下にないデバイスと関連する他のパラメータを含んでもよい。例えば、バッテリーの現時点での状態を1つ以上の作動パラメータ(例えば、充電放電サイクルの回数から推察される)で表してもよい。バッテリーの現在およびピーク最大電力および電圧出力は作動パラメータを含んでもよい。エアロゾル発生部品の物理的状態(および/またはエアロゾル発生部品の障害状態)は、作動パラメータ(ヒーターを含むエアロゾル発生部品の抵抗測定および/またはエアロゾル発生部品の作動回数または合計作動時間を決定することによって推察される)で表されてもよい。1つ以上の部品の作動(または障害)状態は、作動パラメータによって表されてもよく、例えば気化のためのエアロゾル化可能な材料を供給するために使用される1つ以上のポンプの最大流速および/または障害状態は、作動パラメータで表されてもよい。したがって、制御回路は、直接的な検知を介して(例えば、空気流検知、温度検知、湿度検知または1つ以上のエアロゾル化可能な材料のポンプまたは空気流を制御するために使用される1つ以上のアクチュエータの短絡、低負荷または開回路測定に基づいた回路チェックを介して)種々の作動パラメータを監視してもよい。前記監視は、デバイスおよびその使用に関する1つ以上の現在の状況の即時の判断そしてデバイスおよびその使用の将来の状況の予測の両方を含んでもよい。例えば、1つ以上の作動パラメータのさらなる変化は、制御回路および/またはエアロゾル送出デバイスとデータ通信するように構成された外部装置によって予測されてもよい。これは現時点での作動パラメータ値および/または時間分解された作動パラメータ測定と種々の作動パラメータがデバイスの使用に対してどのように変わるかを示す以前に得られたデータとの比較を基準にそしてこの基準においてさらなるパラメータ値の変化の予測を基準に実行してもよい。例えば、バッテリーの充電放電サイクルの回数の監視データは、単位時間(例えば、一日当たり)当たりの通常の充電放電サイクルの回数に基づいて将来のある時点での最大電力出力を決定するために、充電放電サイクルの回数と最大電力出力の下降を関連づける実験的に得られるデータと比較してもよい。
【0077】
制御回路は、したがってあらゆる好適な方法によってデバイスの作動パラメータが変化したことを判定する。例えば、制御回路は、連続して1つ以上のセンサを監視してもよく、あるいはパフの間またはパフの開始時(例えば、ボタンまたはパフセンサからの始動信号が制御回路によって受信されると直ぐに)に1つ以上のセンサを監視してもよい。センサからの測定値を所定の閾値または以前に測定された値(または時間平均などの平均値)と比較してもよい。
【0078】
当然のことながらエアロゾル供給システムの1つ以上の作動パラメータの変化は、エアロゾル供給システムによって発せられるエアロゾルのエアロゾルプロファイルの変化につながる。これは不利であると考えられている。例えば、エアロゾル送出デバイスのユーザーは、特定のユーザーには望ましい第1のエアロゾルプロファイルを有するエアロゾルの発生を目標にするために本明細書にさらに記載するような1つ以上の制御パラメータを一般に設定する。したがって1回目のパフの際、第1の制御パラメータ値に基づいてエアロゾル送出デバイスによって発せられたエアロゾルは、第1のエアロゾルプロファイル(例えば、第1の物理的特性および/または知覚的特性および/または薬理学的特性)を有する。第1の制御パラメータ値は、デバイスに関連する初期設定値(例えば、製造時に設定された)であってもよく、および/または第1の制御パラメータ値は、1つ以上の入力ボタンを使用するユーザーによって、例えば、データ接続をエアロゾル送出デバイスと構築できるスマートフォンなどの外部装置に関連するアプリケーションによって入力されてもよく、および/または第1の制御パラメータ値は制御回路または外部装置(例えば、スマートフォンまたはサーバー)によって自動化された方法で設定されてもよい。後者の2つの事例では、制御回路が特定のユーザープロファイル選択するユーザーに基づいて1つ以上の制御パラメータ用の値を決定してもよく、あるいは制御回路(または外部装置またはサーバー)がデバイスの使用を分析し、例えば、監視されたユーザーの行動を1つ以上の所定の使用プロファイルとマッチングさせ、前記使用プロファイルと関連する一組の制御パラメータを使用することを決定することに基づいて使用する一組の制御パッケージ値を決定してもよい。しかしながら、1回目のパフの後、エアロゾル送出デバイスの1つ以上の作動パラメータが変わると、その後のパフに発せられるエアロゾルは、1回目のパフとは異なる(例えば、変化した1つ以上のエアロゾル特性の点で)エアロゾルプロファイルを有する場合がある。これはユーザーの不満につながる。例えば、1回目のパフとその後のパフの間にバッテリー出力が落ちた場合、デバイスは、その後のパフでヒーターに1回目のパフの際に供給された電力と同じレベルの電力を供給できなくなる。これはエアロゾルの粒径の減少にそしてこれに対応してエアロゾルによって供される「喉への刺激」の違いにつながるおよび/またはエアロゾル中の特定のエアロゾル成分の濃度の減少、例えばエアロゾルの単位容量当たりのニコチンの濃度の減少につながる。
【0079】
したがって、制御回路が作業パラメータのうちの1つ以上が変わったとの判定または将来のある時点で変わるとの予測に応じてシステムの制御パラメータを変更するように構成された電子エアロゾル送出システムが提供される。一般に1回目のパフとその後のパフの間の判定された1つ以上の作動パラメータの変化は、1回目およびその後のパフの間のその1つ以上の作動パラメータの変化がその後のパフの際の第2の異なるエアロゾルプロファイルを有するエアロゾルの発生につながるように第1のパフの際に発せられるエアロゾルの第1のエアロゾルプロファイルの特性の変化に関連付けられる。したがって、制御回路は、1つ以上の作動パラメータが変化したことの判定に応答して、システムの1つ以上の制御パラメータをその1つ以上の作動パラメータの変化による第1のエアロゾルプロファイルの1つ以上の特性の実際のまたは予測される変化を緩和するようにシステムの1つ以上の制御パラメータを変更するように構成されている。
【0080】
このような緩和は、多くの方法で実行される。
【0081】
一部の例ではエアロゾル送出デバイスの作動パラメータが変化したと判定した際に制御回路は、1回目以降のパフの際の作動パラメータの値を1回目のパフの値に戻すことによって作動パラメータの変化を直接的に緩和するようにデバイスの制御パラメータを制御できるようにしてもよい。例えば、1回目のパフにおいてエアロゾル発生部品をユーザーによって設定された第1の電力レベルで作動させ、制御回路が1回目のパフ以降にバッテリーの出力電圧が低下したと判定した場合、制御回路は、1回目のパフで供給された電力レベルと同じ電力レベルをその後のパフにおいてエアロゾル発生部品に供給するためにエアロゾル発生部品に電力を供給するために使用されるPWMスキームのデューティサイクルを調節するように(例えば、オンパルス長を長くする)構成してもよい。したがって、1回目のパフの際に発せられるエアロゾルの第1のエアロゾルプロファイルと一致する第2のエアロゾルプロファイルを有するエアロゾルをその後のパフの際に発生させることが可能になる。本明細書に記載の方法は、作動パラメータの変化を1つ以上の制御パラメータを介して緩和して実際には作動パラメータの変化を無効にする状況に適用される。
【0082】
しかしながら、他の例では制御回路によって判定された1つ以上の作動パラメータの変化を直接的に緩和するようにデバイスの制御パラメータを調整することができなくなる。例えば、1回目のパフにおいて第1のレベルの電力が100%のデューティサイクルを使用してエアロゾル発生部品に供給され(即ち、バッテリーの最大利用可能電力出力がエアロゾル発生部品に供給される)、1回目のパフ以降においてバッテリーの出力電圧が下がる場合(例えば、放電またはバッテリー劣化による)、1回目のパフで供給された量の電力と同じ量の電力をその後のパフにおいてエアロゾル発生部品に供給できない場合がある。したがって、制御回路は、デバイスの作動パラメータが1回目のパフ以降に変化したという判定に基づいて、2回目のパフの際に発せられるエアロゾルのエアロゾルプロファイルの変化を緩和するためにデバイスの1つ以上の制御パラメータをどのように変えるかを定めるように構成されている。
【0083】
本開示のいくつかの例では制御回路は、変更する1つ以上の制御パラメータを選択するように構成され、デバイスの1つ以上の作動/制御パラメータとデバイスによって発せられるエアロゾルの1つ以上の特徴との関係を記述するモデルに基づいておよび/またはデバイスの1つ以上の作動パラメータとデバイスの1つ以上の制御パラメータとの関係を記述するモデルに基づいて前記変更(例えば、各パラメータをどのように変えるかという点で)をどのように行うかを決定する。そのようなモデルは、数学的モデリングおよび/または実験から得られるデータおよび/または一人以上のユーザーが作動パラメータの変化に応答してデバイスの制御パラメータをどのように変更するかを記述する使用データによってパラメータ化されてもよい。
【0084】
例えば、作動パラメータ(制御パラメータを含む)とデバイスによって発せられるエアロゾル特性の関係を説明するデータは、実験的に作り出してもよい。特定のエアロゾル送出デバイスをそのエアロゾル送出デバイスによって発せられるエアロゾルのエアロゾルプロファイルに関するデータを供給するように構成されたエアロゾル分析器に取り付けることができる。この点に関して好適な分析器は、粒径分析器などのエアロゾル分析器(例えば、英国、Malvern社製Spraytecレーザー解析システム)であってもよく、これは粒径分布などの種々のエアロゾル特性を評価できる。他の好適な分析器は、エアロゾル成分を特定するものであってもよく、量などを測定するために分析されるエアロゾル成分を捕捉できるインピンジャーを備えたスモークエンジン(ドイツ、VitrocellRより入手可能なもの)で構成されてもよい。したがって、エアロゾル分析器は、パフをシミュレートする一定の時間にデバイスのマウスピースに一定の負圧を加えて、パフ時にデバイスによって発せられたエアロゾルの特性を測定するように構成されている。当業者に知られているあらゆる好適なエアロゾル特性をエアロゾル分析器で測定してもよい。システム的にエアロゾル送出デバイスの制御パラメータおよび/または作動パラメータを調整し、制御および/または作動パラメータの各組み合わせで発生したエアロゾルの1つ以上の特性を分析することによって、エアロゾル送出デバイスによって発せられたエアロゾルのエアロゾルプロファイルがこれら複数の制御および/または作動パラメータの異なる順列に対してどのように変化するかを記述するデータが得られる。
【0085】
図6は、本明細書でさらに説明するように、モデルのパラメータ化に用いられるデータの生成に用いることができる方法の概略を示す。第1の工程S1では、エアロゾル送出デバイスを、エアロゾル送出デバイスによって発せられたエアロゾルの第1の特性を分析するように構成されたエアロゾル分析デバイスに取り付ける。第1の特性は、例えば、エアロゾルの密度特性、エアロゾルの粒径特性、活物質の濃度特性、温度を含むパラメータ、パフ当たりのエアロゾル化可能な材料の質量損失(または「DML」)特性、または当業者に知られておりエアロゾル分析デバイスで測定可能な任意の他のエアロゾル特性であってよい。複数の特性を測定してもよい。第2の工程S2では、エアロゾル送出デバイスの少なくとも1つの作動パラメータに対する第1の値を決定する。これは、制御パラメータの設定またはデバイスの作動パラメータの測定を含んでもよい。複数の作動パラメータをそのように判定してもよい。第3の工程S3では、エアロゾル送出デバイスを作動して、エアロゾル分析デバイスに渡される第1のエアロゾルを発生させる。第4の工程S4では、第1のエアロゾルをエアロゾル分析デバイスで分析し、第1のエアロゾルに関する第1の特性を代表する値を決定する。また、エアロゾルの1つ以上の他の特性を代表する値を決定してもよい。第5の工程S5では、エアロゾル送出デバイスの少なくとも1つの作動パラメータをこのデバイスによる第1のエアロゾルの分析に関連する第1の値とは異なる第2の値に設定する。この値を作動パラメータ値の可能な範囲にまたがるn個の増分のセット(例えば10)を決定し、第1のエアロゾルを発生させるために使用される値nから値n+1まで増分して設定してもよい。複数の第6工程S6では、工程S3からS5までが、少なくとも1つの作動パラメータの複数の順列に対して繰り返される。例えば、1つ以上の特性を代表する値は、作動パラメータ値のセットの順列ごとに生成されたエアロゾルについて決定されてもよい。第7の工程S7では、工程S1~S6で収集されたデータは、少なくとも1つの作動パラメータとエアロゾル送出デバイスにより発せられるエアロゾルの特性との間の関係を記述するモデルの導出に使用される。
【0086】
図7A~
図7Dは、制御回路によって判定される1つ以上の作動特性の変化によって引き起こされるエアロゾル特性の変化を緩和するために使用できるエアロゾル送出デバイスの制御パラメータ値の選択に対する手法の概略を示す。
図7Aは、
図6に示す手法に従って収集されたデータから生成できる例示的なモデルを高度に模式的に示す図である。
図7Aに示されるモデルは、2つの制御パラメータ(P、D)の異なる組み合わせに対応するエアロゾル特性値(c)の行列を含む。一例では、エアロゾル特性値cは、エアロゾル粒子サイズ値(例えば、中央質量エアロゾル直径(MMAD)値)に対応し、制御パラメータPはエアロゾル発生部品に掛けられる電力に対応し、Dは、吸引抵抗(例えば、デバイスの空気入口の断面積)に対応する。値c1~c100は、電力値P1~P10および吸引抵抗値D1~D10の各順列に対してデバイスで発せられるエアロゾルのエアロゾル分析を行って決定できる。作動パラメータは、利用可能な範囲に亘って離散化されてもよい(例えば、P1~P10は、製造時の状態におけるデバイスの特性である最小値と最大値の間の等間隔の電力値を表してもよく、ユーザーによって選択可能な離散電力制御パラメータに対応してもよい)。
【0087】
したがって、
図7Aで表されるモデルは、2つの作動パラメータとエアロゾル特性との間の経験的に導出された関係を表す。当然のことながら作動パラメータおよびエアロゾル特性の選択は任意であり、本明細書でさらに説明される実例のいずれかを含んでもよい。さらに、表現の単純化のために2次元モデルを記載したが、このモデルは、任意の数の作動特性および制御特性を含み、したがって、当然のことながら本明細書に記載される手法を、任意の次元に一般化してもよい。さらにn個のモデルを生成し、n個のモデルの各々は、n個のエアロゾル特性の異なる1つが、異なる作動パラメータ値の関数としてどのように変化するかを記述してもよい。当然のことながらこの手法は、制御回路で監視されるが、制御回路で直接制御されない作動パラメータを含むように一般化することができ、任意の数の作動パラメータが1つ以上のモデルを生成するために使用されてもよい。1つ以上のモデルは、モデルデータと呼ばれることがあり、エアロゾル送出デバイスに関して一旦導出されると、エアロゾル送出デバイスに関連する制御回路に保存されるか、またはエアロゾル送出デバイスがデータ接続を持っている外部装置もしくはサーバーに保存される。
【0088】
1つ以上のエアロゾル特性が異なる作動パラメータ値でどのように変化するかを記述する1つ以上のモデルを得ると、制御回路が制御パラメータにおける判定された変化に応答して作動パラメータを変更する方法を決定する手段を提供して、1つ以上のエアロゾル特性の変化を緩和する。例えば、
図7Aによって表されるモデルは、エアロゾルの粒子サイズと、エアロゾル送出デバイスのヒーター電力および吸引抵抗との間の関係を表す。
図7Bは、最初のパフの際の状況の概略を示し、その間に、ヒーター電力はP8の値にあり、吸引抵抗はD3の値である。制御回路は、それに対応して、第1のパフの間に生成されたエアロゾルの粒径が、網掛けで示されるc78の値を取ることをモデルから判定する。P8、D3、およびc78の実際の値は、この例には特に関係なく、特定のデバイスおよびモデルデータを判定するために使用される経験的手法に依存する。この例では、最初のパフに続いて、ヒーターに供給できるピーク電力が減少することが想定される。この減少の理由は、特定の関連性のものではなく、例えば、バッテリーの放電、バッテリーの損傷、または充電/放電サイクルの回数の増加によるものである可能性がある。制御回路は、ヒーターに供給可能なピーク電力が値P10から値P5まで低下したと判定する。従って、P>P5の電力値に対応する
図7Aに示すモデルの領域で表されるデバイスの作動エンベロープ(envelope)の部分は、もはやアクセス不可能である。このシナリオは、
図7Cで表され、作動エンベロープの利用不可能な部分に対応するモデルの領域が黒く塗りつぶされて示されている。この利用不可能な領域は、第1のパフの間に使用された制御値P8を含む。したがって、制御回路は、後続のパフにおいてエアロゾルを発生させるために使用される新しい組の制御パラメータPおよびDを判定し、最初のパフと後続のパフとの間の特性cの変化を最小にしようとする方法でそれを行う。このように、制御回路は、作動パラメータの変化の判定を考慮して、モデルの利用可能な部分を決定する。
図7Cに示す例では、これは、バッテリーの測定ピーク電力出力(例えば、P1~P5)より低い電力値が選択可能であると判定し(即ち、作動パラメータ空間の非ブラックアウト領域)、すべての吸引抵抗値(例えば、D1~D10)を選択可能と判定することを含む。利用可能なパラメータ空間の範囲を確立した後、制御回路は、この例では、最初のパフの際の値(例えば、c78)に一致するか、またはできるだけ近いモデルの利用可能な部分のcの値を検索するように構成される。これは、値c78をモデルの利用可能な部分におけるcの値のそれぞれと比較し、第1のパフに関連する値との差を最小にするcの値を見出すことで達成できる。
図7Dは、特性値c33が第1のパフに関連付けられた値c78に最も近い一致であると、制御回路が判定した例を示す。したがって、制御回路は、その後のパフにおける電力をP3に設定し、吸引抵抗をD7に設定するように決定し、最初のパフとその後のパフで発せられるエアロゾルの間の粒子サイズの変化を最小にする粒子サイズc33を有する第2のパフ期間に第2のエアロゾルを発生させる。上記において当然のことながら、作動パラメータの任意の組み合わせを使用してもよく、作動パラメータのすべてが必ずしも制御パラメータを含まないが、少なくとも1つの作動パラメータがモデルで表され、制御回路が1つ以上の制御パラメータの変化の判定に応答してエアロゾルの特性を調整する手段を判定できる。
【0089】
図7A~
図7Dに概略で示す例は、粒径の変化(即ち、cは粒径パラメータ)を緩和するためにモデルが使用される状況を説明するが、当然のことながらエアロゾル特性によっては、特定のユーザーにとって他のものより望ましい場合がある。例えば、一部のユーザーにとっては、一貫したエアロゾル粒径分布を維持することが特に重要であると考えられる(例えば、一貫した「喉の刺激」または「口当たり」を目標とするため)。一部のユーザーにとっては、活物質(ニコチンなど)の濃度を一定に保つことが特に重要であると考えられている。また、エアロゾル密度やエアロゾル温度を一定に保つことが特に重要であると考えるユーザーもいる。逆に、一部のユーザーにとっては、ユーザーがデバイスの作動パラメータの変化に起因する前記特性の変化を許容することをより望むという意味で、特定の特性はあまり重要でない場合がある。したがって、制御回路は、システムの作動パラメータが変化したと判定すると、デバイスによって生成されたエアロゾルのエアロゾルプロファイルの変化を緩和するために1つ以上の制御パラメータを制御し、特定のエアロゾル特性の優先順位を考慮する方法でそうするように構成されてもよい。当然のことながら、デバイスの制御パラメータが変化すると、デバイスの複数のエアロゾル特性のうちの異なるものに異なる方法で影響を及ぼす場合がある。したがって、制御回路が第1のパフに続いて制御パラメータを調整し、作動パラメータの変化による第1のエアロゾル特性の変化を最小にしようとすると、これは、第2のエアロゾル特性を第1のパフ期間のその値から離れるように変化させる可能性がある。したがって、システムの作動パラメータが最初のパフとその後のパフの間で変化すると、制御回路は、システムによって発せられるエアロゾルのエアロゾルプロファイルが第1のパフと第2のパフの間で変化しないように利用可能な制御パラメータを制御することができない場合がある。したがって、制御回路によって行われる緩和措置がユーザーにとって最も重要な特性の変化を最小にしようとするように、異なるエアロゾル特性を互いに対して妥協させることが、場合によっては必要となる。したがって、エアロゾル送出デバイスのモデルデータが異なるエアロゾル特性のための別々のモデルを含んでいる場合、制御回路は、優先された特性に対応するモデルを最初に選択することで、作動パラメータの変化に応答して制御パラメータを選択してもよい。したがって、複数のモデル化された特性は、制御回路が、エアロゾル送出デバイスの1つ以上の作動パラメータの変化を緩和して1つ以上の優先された特性への変化を最小にするように、制御回路による優先順位で配列されてもよい。特性の優先順位リストは、エアロゾル送出デバイスに予め設定されてもよく、またはユーザーによって設定されてもよく、または使用データの監視に基づいて制御回路で決定されてもよい。
【0090】
一部の例では、制御回路は、個々のエアロゾル特性(例えば、最も優先度の高い特性)の変化を最小にしようとすることのみに基づいて制御パラメータを変更するように構成されておらず、代わりに、エアロゾル送出デバイスの1つ以上の作動パラメータが変化したとの判定に応答して1つ以上の制御パラメータをいかに変更するかを決定するにあたって、複数のモデル化エアロゾル特性を考慮するように構成されている。例えば、制御回路は、全差分パラメータの値を最小にする1つ以上の制御パラメータの順列を見つけようとしてもよい。例えば、
図7Aに示すモデルのような複数のモデルについて、各モデルが異なるエアロゾル特性cに関連付けられる場合、作動パラメータの各順列(例えば、
図7AのPおよびDの各順列)に対して差分パラメータを決定することができ、各順列に対する差分パラメータは、対応するcの値と第1のパフ中のcの値(例えば、
図7Aの値c1~c100の各々と初期値c78との差)間の差分である。複数のモデルに亘る差分パラメータの値を合計すると、作動パラメータの各順列に関して、後続のパフに対して作動パラメータの前記順列を選択することで全体のエアロゾルプロファイルがどの程度変化しそうかを表す全差分パラメータが返ってくる。作動パラメータの各順列に対する全差分パラメータは、
図7Aに示す2次元行列のような多次元行列に保存してもよい。この行列は、全体のエアロゾルプロファイル(例えば、全てのモデル化された特性を含む)が、1つ以上の作動パラメータの値の変化に関してどの程度変化するかのモデルであると考えることができる。エアロゾルプロファイルの変化を緩和するために使用する作動パラメータの順列の選択にこのようなモデルを使用すると、次に、
図7Aから
図7Dに関連して説明した手法に従って進むことができる。
【0091】
エアロゾル特性の優先順位付けは、個々のエアロゾル特性のモデルが、デバイスで発生されるエアロゾルのエアロゾルプロファイルの変化を緩和するために使用する制御パラメータの判定にどのように貢献するかを重み付けするために使用されてもよい。例えば、複数のモデル化された特性についての複数のモデルにわたるc値の合計において、各モデルからのcの値は、合計の前に前記モデルに関連する係数で縮小または拡大されてもよく、この係数には、所与のモデル化された特性がより高い優先度を有すると考えられる場合に、より大きな値が与えられる。したがって、ニコチン濃度がユーザーにとって特に重要なエアロゾル特性である場合、ニコチン濃度モデルからのc値は、特性全体のc値の合計に比較的大きな係数が与えられる可能性がある。各特性の重み付け値を、ユーザーが設定してもよく、またはユーザーが異なるエアロゾル特性のランキングを提供することに応答して制御回路が設定してもよい(例えば、エアロゾル送出デバイスの入力デバイスを介して、またはエアロゾル送出デバイスに接続されている外部装置で実行されているアプリを介して)。
【0092】
当然のことながら1つ以上のエアロゾルの特性の変化を緩和するために使用されるモデルは、制御回路および/またはユーザーの制御下にある作動パラメータ(即ち、それらは制御パラメータでもある)、およびそうでない他のものを含んでもよい。制御回路および/またはユーザーの制御下にない作動パラメータの監視に基づいて、制御回路は、パラメータ選択のために利用可能な1つ以上のモデルのパラメータ空間の部分を決定できる。例えば、所定の作動パラメータの現在の値または値の範囲の外側にあるモデル化されたパラメータ空間の部分は、制御パラメータの順列の候補を選択するときに制御回路によって無視される場合がある。このように、1つ以上の作動パラメータの測定値は、制御パラメータの選択を制約するために使用できる。
【0093】
最初のパフとその後のパフとの間の1つ以上のエアロゾル特性の変化を最小にする制御パラメータの順列を決定した後、制御回路は、その後のパフの前に前記制御パラメータを変更するようにさらに構成される。これは、本明細書でさらに規定されるような手法に従って1つ以上の制御パラメータを自動的に調整すること、または1つ以上の制御パラメータが特定の値に設定されるべきことを表示装置、触覚指示器または可聴指示によりユーザーに示すことで達成してもよい。これは、1つ以上の制御パラメータが、制御回路の直接制御下にない手動手段を用いて制御可能である場合に特にそうなる可能性がある。例えば、制御回路は、本明細書でさらに詳述するように、機械的なスライダーまたは回転カラーを使用して吸引抵抗を変更すべきことをユーザーに指示することができる。
【0094】
当然のことながら実施例によっては、制御回路は、エアロゾル送出デバイスの1つ以上の部品を洗浄、整備または交換すべきであることを、モデルを用いて決定し、デバイスの作動特性の変化によるエアロゾルプロファイルの変化を緩和できる。
【0095】
前述の説明では、エアロゾル送出デバイスの作動パラメータの変化を判定した制御回路が、制御パラメータの変化に起因するデバイスによって発せられるエアロゾルのエアロゾルプロファイルの変化を緩和するように、エアロゾル送出デバイスの1つ以上の制御パラメータをどのように変更するかを決定し、複数の作動パラメータに関して1つ以上のエアロゾル特性がどのように変化するかを表すモデルデータに基づいてそのようにする例を挙げてきた。前述の説明の例では、モデルデータが、n個の作動パラメータのそれぞれについてモデル化または実験を通じて決定されたエアロゾル特性値を提供するn次元配列を含む手法を説明したが、もちろん他の手法を取ることもできる。例えば、機械学習手法は、1つ以上の作動パラメータの変更後にデバイスにより発せられるエアロゾルのエアロゾルプロファイルの変化を最小にするように、1つ以上の作動パラメータの変更方法の決定に用いることができる。一実施態様では、エアロゾル送出デバイスの制御パラメータのベクトルを出力とし、エアロゾル送出デバイスの1つ以上の作動パラメータの変更を示す値のベクトルを入力とする分類器(畳み込みニューラルネットワークなど)がセットアップされている。分類器は、特定のエアロゾル特性の変化を緩和するために、1つ以上の作動パラメータの所定の変化に応答して、ユーザーによって設定された制御パラメータを表すデータを用いて訓練される場合がある。したがって、個々のユーザーについて収集された使用データ、または類似の使用分布を有する複数のユーザーについて収集された使用データを、分類器を訓練するために用いられる訓練データとして使用できる。ニューラルネットワークが訓練されると、1つ以上の作動パラメータの変化が入力に供給され、分類器を実行することで、後続のパフに使用されるべき制御パラメータ値が出力で返される。当然のことながら、このような分類器は、制御回路上で、またはエアロゾル送出デバイスとデータ接続を有するサーバーなどの外部装置で実行してもよい。
【0096】
前述において当然のことながら制御パラメータの変化を判定する制御回路について述べたことは、作動パラメータが変化することを予測または推定する制御回路についても述べることができる。したがって、作動パラメータをどのように変更するかについての決定、および任意の作動パラメータの実際の変更は、エアロゾル送出デバイスの1つ以上の作動パラメータの予測された変化に先だって緩和するように、前記1つ以上の制御パラメータの実際の変化を判定する前に行われる。
【0097】
前述において当然のことながら、本明細書において制御回路に帰着する機能は、エアロゾル送出デバイスとのデータ接続を有する外部装置で実行されてもよい。例えば、システムの1つ以上の作動パラメータの変化を示すデータは、有線または無線接続により、スマートフォンなどの装置に、または外部サーバーに送信されてもよい。制御パラメータ(1つ以上)の変化の結果としてシステムによって発せられるエアロゾルの1つ以上の特性の変化を緩和するために1つ以上の制御パラメータを変更する方法を決定する処理は、前記外部装置で部分的または全体的に行われてもよい。その後、外部装置は、エアロゾル送出デバイスに、デバイスの1つ以上の作動パラメータを変更する方法についての指示を送り返すことができる。
【0098】
前述において当然のことながら作動パラメータの1つ以上の変化の結果として1つ以上のエアロゾル特性の変化を緩和するために制御回路が1つ以上の制御パラメータを変更することを本明細書で述べたことは、デバイス作動の一態様を変更するようにユーザーに指示を提供することを指す場合がある。例えば、デバイスの1つ以上の制御パラメータは、制御回路の直接の制御によらない場合があり、ユーザーによって手動で調整することができる(例えば、手動スライダーまたは制御リングを使用して、デバイス内の空気流またはエアロゾル可能な液体の流れを制御してもよく、デバイス内の1つ以上のカートリッジを交換してもよく、またデバイス内のエアロゾル発生部品を交換または洗浄してもよい)。制御回路が、制御回路で直接制御されないが、ユーザーが手動で調整することができる制御パラメータを変更すべきと決定した場合、制御回路は、適切な指示手段を介して、ユーザーが特定の方法で前記制御パラメータの1つ以上を調整すべきであると指示してもよい。例えば、デバイスの吸引抵抗を制御するスライダーの位置を特定の位置に設定するように、または特定の電力を設定するように、またはデバイスの部品を清掃または交換するように、ユーザーに対して指示が提供される。そのような指示は、聴覚信号で与えられてもよく、表示画面に提供されてもよく、または1つ以上のLEDで示されてもよく、またはエアロゾル送出デバイスがデータ接続を有する外部装置(例えば、スマートフォン上で作動し、エアロゾル送出デバイスの作動に関連するアプリ)に提供されてもよい。
【0099】
前述の考察は、本開示の単なる例示的な実施態様を開示し、説明するものである。当業者は分かっているように、本開示は、その本質的な特徴から逸脱することなく、他の具体的な形態で具現化され得る。したがって、本開示の内容は、例示的なものであるが、本開示の範囲、および特許請求の範囲を限定するものではないことを意図している。本開示は、本明細書の教示の任意の容易に識別可能な変形を含み、前述の請求項の用語の範囲を部分的に規定する。