(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-23
(45)【発行日】2024-10-31
(54)【発明の名称】2.5軸減法製造プロセスを容易にするフィルタリングによるコンピュータ支援ジェネレーティブデザイン
(51)【国際特許分類】
G06F 30/10 20200101AFI20241024BHJP
G05B 19/4097 20060101ALI20241024BHJP
G06F 30/20 20200101ALI20241024BHJP
G06F 111/10 20200101ALN20241024BHJP
G06F 119/18 20200101ALN20241024BHJP
【FI】
G06F30/10 100
G05B19/4097 C
G06F30/20
G06F111:10
G06F119:18
(21)【出願番号】P 2022570213
(86)(22)【出願日】2020-05-18
(86)【国際出願番号】 US2020033454
(87)【国際公開番号】W WO2021236054
(87)【国際公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】500280087
【氏名又は名称】オートデスク,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100221327
【氏名又は名称】大川 亮
(72)【発明者】
【氏名】イオム, ジェイサン
(72)【発明者】
【氏名】ブルラ, ラビ クメール
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス, ジーザス
(72)【発明者】
【氏名】ウェイス, ベンジャミン マクキットリック
(72)【発明者】
【氏名】リ, ナン
【審査官】合田 幸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-158368(JP,A)
【文献】国際公開第2018/130820(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/011121(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0151286(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0348738(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00 - 30/398
G05B 19/4097
IEEE Xplore
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ支援設計プログラムによって、対応する物理構造が、2.5軸減法製造プロセス、モデルオブジェクトの1つ以上の設計基準、及び前記物理構造の1つ以上の使用時の荷重ケースを使用して製造される、前記モデルオブジェクトの設計空間を取得することと、
前記コンピュータ支援設計プログラムによって、前記モデルオブジェクトのジェネレーティブに設計された3次元形状を反復して修正することであって、前記1つ以上の設計基準及び前記1つ以上の使用時の荷重ケースに従って、前記設計空間内で、前記3次元形状のジオメトリ及び前記3次元形状のトポロジーの両方を修正することを含み、前記反復して修正することは、
前記モデルオブジェクトの物理的応答の現在の数値的評価を作成するために、現行バージョンの前記3次元形状及び前記1つ以上の使用時の荷重ケースに従って、前記モデルオブジェクトの数値シミュレーションを行うことと、
前記モデルオブジェクトの更新バージョンの前記3次元形状を作成するために、前記物理的応答の前記現在の数値的評価に基づいて前記現行バージョンの前記3次元形状を更新すること、
前記更新バージョンの前記3次元形状の2次元プロファイル表現を作成することであって、前記2次元プロファイル表現は前記2.5軸減法製造プロセスのミリング方向に垂直な別々の層に対応する、作成することと、
3次元形状の前記更新バージョンの
3次元表現を作成するために、前記ミリング方向に沿って前記2次元プロファイル表現を押し出すことであって、前記3次元表現は前記ミリング方向に垂直な法線を伴うフランク面を有する、押し出すことと、
前記ミリング方向に垂直な法線を伴うフランク面を有する前記3次元表現の組み合わせから、前記モデルオブジェクトの次のバージョンの前記3次元形状を形成することと、
(i)既定数の形状修正反復が行われるまで、(ii)前記設計空間内で前記モデルオブジェクトの前記ジェネレーティブに設計された3次元形状が、前記1つ以上の設計基準及び前記1つ以上の使用時の荷重ケースを満たすまで、または、(iii)(i)および(ii)の両方を満たすまで、少なくとも、前記行うこと、前記更新すること、前記作成すること、前記押し出すこと、及び前記形成することを繰り返すことと、を含む、前記反復して修正することと、
前記2.5軸減法製造プロセスを採用する1つ以上のコンピュータ制御製造システムを使用して、前記コンピュータ支援設計プログラムによって、前記物理構造を製造する際に使用される前記モデルオブジェクトの前記ジェネレーティブに設計された3次元形状を提供することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記
作成することは、対応する別々の層と、前記ミリング方向に対して前記対応する別々の層の上にある前記別々の層のいずれかとの両方の内部にある前記更新バージョンの前記3次元形状の1つ以上の部分のシルエットを判定することによって、前記対応する別々の層の前記2次元プロファイル表現のそれぞれを生成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ミリング方向は、別々の層の各々のセットを有する2つ以上のミリング方向を含み、前記
作成することは、前記更新バージョンの前記3次元形状の2次元プロファイル表現の各々のセットを作成するために、前記2つ以上のミリング方向のそれぞれに行われ、前記押し出すことは、前記2つ以上のミリング方向の各々に垂直な法線を伴うフランク面を有する3次元表現の各々のセットを作成するために前記2つ以上のミリング方向のそれぞれに行われ、前記形成することは、
前記3次元表現の各々のセットの前記3次元表現のブール結合を行って、前記2つ以上のミリング方向のそれぞれに、1つ以上の3次元物体を作成することと、
前記2つ以上のミリング方向に作成された前記3次元物体のブール交差を行って、前記モデルオブジェクトの前記次のバージョンの前記3次元形状を形成することと、
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記反復して修正することは、複数の反復毎に、事前の反復からの前記次のバージョンの前記3次元形状を前記事前の反復からの前記更新バージョンの前記3次元形状と混合することによって、前記モデルオブジェクトの前記現行バージョンの前記3次元形状を作成することを含み、前記更新バージョンのどれでもなく、前記次のバージョンの全てが、前記修正することの次の反復で前記モデルオブジェクトの前記現行バージョンの前記3次元形状として使用されるまで、前記混合することで使用された前記次のバージョンの量は、前記複数の反復のうちの2つ以上の後続の反復毎に、前記更新バージョンの量と比べて増加する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記モデルオブジェクトの前記ジェネレーティブに設計された3次元形状は前記モデルオブジェクトの陰面のレベル集合表現を含み、前記更新することは、前記物理的応答の前記現在の数値的評価に基づいて、前記陰面について計算された形状変化速度に従って、前記レベル集合表現を更新することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記反復して修正することは、前記押し出すことの前に、
前記1つ以上のコンピュータ制御製造システムでの使用に利用可能である最小ミリング工具の半径に少なくとも等しい量だけ、前記2次元プロファイル表現のそれぞれを外向きにオフセットすることと、
続いて、前記量だけ、前記2次元プロファイル表現のそれぞれを内向きにオフセットすることと、
を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記2.5軸減法製造プロセス中に必要とされる前記物理構造への工具進入量に基づいて、前記別々の層の1つの2次元プロファイル表現をオフセットするための前記量を設定して、前記2次元プロファイル表現のための前記1つの別々の層をミリングすることを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記対応する別々の層の前記2次元プロファイル表現を生成することは、最上の別々の層の上部から、前記対応する別々の層の底部まで下がるように、前記陰面の前記レベル集合表現を通る前記ミリング方向に沿って光線をキャストすることを含み、前記設定することは、(i)利用可能な前記最小ミリング工具の前記半径の最大値と、(ii)差の既定の比(前記既定の比はゼロよりも大きく1未満である)の最大値になるまで前記量を設定することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記2次元プロファイル表現を比較して、前記ミリング方向に対して、第2のプロファイル表現の上にある少なくとも第1のプロファイル表現を識別することであって、前記第1のプロファイル表現の第1の部と前記第2のプロファイル表現の第2の部との間の距離は閾値距離よりも短い、前記識別することと、
前記第1のプロファイル表現の前記第1の部を変更させ、前記第2のプロファイル表現の前記第2の部と一致させることと、
前記第1の部のいずれかの側で前記第1のプロファイル表現を修正して、前記変更させることから生じる前記第1のプロファイル表現のいずれかの不連続部を除去することと、を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記3次元形状の前記トポロジーを修正することは、前記2次元プロファイル表現の少なくとも1つのために生成された中心線を使用して選択された場所において、ボイドを前記レベル集合表現に挿入して、前記反復して修正することの複数の反復の少なくとも一部の間に前記陰面を変化させることを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記更新することは、
前記別々の層の各々の前記現在の数値的評価をフィルタリングして、前記更新中に前記2.5軸減法製造プロセスと一致する前記3次元形状の前記ジオメトリの修正を促進するフィルタリングされた物理的評価を作成することと、
前記フィルタリングされた物理的評価に従って、前記現行バージョンの前記3次元形状を更新することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記モデルオブジェクトの前記ジェネレーティブに設計された3次元形状は、陰面のレベル集合表現を含み、前記フィルタリングは、
前記別々の層に各々の層内で、前記ミリング方向に沿って前記現在の数値的評価の最大値を発見することと、
前記別々の層の前記各々の層内で、前記最大値に基づいて、前記現在の数値的評価の値をリセットして、前記フィルタリングされた物理的評価を作成することと、
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記現在の数値的評価は、ボクセルベースの応力場データ、ひずみ場データ、または前記応力場データ及び前記ひずみ場データの両方を含み、前記発見することは、前記別々の層の各々の層内で、前記モデルオブジェクトの前記現行バージョンの前記3次元形状を通って、前記ミリング方向に平行な光線をキャストすることと、前記別々の層の各々の2次元エリア内で、前記光線のそれぞれに沿って遭遇する前記応力場データ及び/または前記ひずみ場データの最大値を収集することとを含み、前記リセットすることは、前記別々の層の各々の層内の各ボクセルの前記応力場データ及び/または前記ひずみ場データを、各ボクセルに最も近い前記別々の層の対応する2次元エリアの場所の前記最大値に等しく設定することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記コンピュータ支援設計プログラムによって、前記2.5軸減法製造プロセスの少なくとも1つの主軸において最小形状サイズよりも小さい、前記モデルオブジェクトの前記ジェネレーティブに設計された3次元形状のいずれかの部分を除去することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記提供することは、前記1つ以上のコンピュータ制御製造システムを使用して、前記物理構造を製造する際に使用される前記モデルオブジェクトの前記ジェネレーティブに設計された3次元形状を、永久ストレージデバイスに保存することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記提供することは、
前記モデルオブジェクトの前記ジェネレーティブに設計された3次元形状を使用して、前記2.5軸減法製造プロセスに従って、減法製造機械の工具経路仕様を生成することと、
前記工具経路仕様を使用して、前記減法製造機械により、前記物理構造の少なくとも一部分または前記物理構造の金型を製造することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
コンピュータ支援設計プログラムの命令を記憶する非一時的ストレージ媒体と、
前記コンピュータ支援設計プログラムの前記命令を実行するように構成された1つ以上のデータ処理装置と、を備え、前記命令は、前記1つ以上のデータ処理装置に、
対応する物理構造が、2.5軸減法製造プロセス、モデルオブジェクトの1つ以上の設計基準、及び前記物理構造の1つ以上の使用時の荷重ケースを使用して製造される前記モデルオブジェクトの設計空間を取得することと、
前記モデルオブジェクトのジェネレーティブに設計された3次元形状を反復して修正することであって、前記1つ以上の設計基準及び前記1つ以上の使用時の荷重ケースに従って、前記設計空間内で、前記3次元形状のジオメトリ及び前記3次元形状のトポロジーの両方を修正することを含み、前記反復して修正することは、前記コンピュータ支援設計プログラムの前記命令によって、前記1つ以上のデータ処理装置に、前記モデルオブジェクトの物理的応答の現在の数値的評価を生成するために、現行バージョンの前記3次元形状及び前記1つ以上の使用時の荷重ケースに従って、前記モデルオブジェクトの数値シミュレーションを行うことと、前記モデルオブジェクトの更新バージョンの前記3次元形状を生成するために、前記物理的応答の前記現在の数値的評価に基づいて前記現行バージョンの前記3次元形状を更新することと、前記更新バージョンの前記3次元形状の2次元プロファイル表現を生成することであって、前記2次元プロファイル表現は前記2.5軸減法製造プロセスのミリング方向に垂直な別々の層に対応する、生成することと、前記更新バージョンの前記3次元形状の3次元表現を作成するために、前記ミリング方向に沿って前記2次元プロファイル表現を押し出すことであって、前記3次元表現は前記ミリング方向に垂直な法線を伴うフランク面を有する、押し出すことと、前記ミリング方向に垂直な法線を伴うフランク面を有する前記3次元表現の組み合わせから、前記モデルオブジェクトの次のバージョンの前記3次元形状を形成することと、(i)既定数の形状修正反復が行われるまで、(ii)前記設計空間内で前記モデルオブジェクトの前記ジェネレーティブに設計された3次元形状が、前記1つ以上の設計基準及び前記1つ以上の使用時の荷重ケースを満たすまで、または、(i)および(ii)の両方を満たすまで、前記反復の修正を繰り返すことと、を行わせる、前記反復して修正することと、
前記2.5軸減法製造プロセスを採用する1つ以上のコンピュータ制御製造システムを使用して、前記物理構造を製造する際に使用される前記モデルオブジェクトの前記ジェネレーティブに設計された3次元形状を提供することと、
を含む、システム。
【請求項18】
コンピュータ数値制御式減法製造ミリング機械を含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
1つ以上のデータ処理装置に動作を行わせるコンピュータ支援設計プログラムをエンコードする非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記動作は、
対応する物理構造が、2.5軸減法製造プロセス、モデルオブジェクトの1つ以上の設計基準、及び前記物理構造の1つ以上の使用時の荷重ケースを使用して製造される前記モデルオブジェクトの設計空間を取得することと、
前記モデルオブジェクトのジェネレーティブに設計された3次元形状を反復して修正することであって、前記1つ以上の設計基準及び前記1つ以上の使用時の荷重ケースに従って、前記設計空間内で、前記3次元形状のジオメトリ及び前記3次元形状のトポロジーの両方を修正することを含み、前記反復して修正することは、
前記モデルオブジェクトの物理的応答の現在の数値的評価を生成するために、現行バージョンの前記3次元形状及び前記1つ以上の使用時の荷重ケースに従って、前記モデルオブジェクトの数値シミュレーションを行うことと、
前記モデルオブジェクトの更新バージョンの前記3次元形状を作成するために、前記物理的応答の前記現在の数値的評価に基づいて前記現行バージョンの前記3次元形状を更新すること、
前記更新バージョンの前記3次元形状の2次元プロファイル表現を生成することであって、前記2次元プロファイル表現は前記2.5軸減法製造プロセスのミリング方向に垂直な別々の層に対応する、生成することと、
前記更新バージョンの前記3次元形状の3次元表現を作成するために、前記ミリング方向に沿って前記2次元プロファイル表現を押し出すことであって、前記3次元表現は前記ミリング方向に垂直な法線を伴うフランク面を有する、押し出すことと、
前記ミリング方向に垂直な法線を伴うフランク面を有する前記3次元表現の組み合わせから、前記モデルオブジェクトの次のバージョンの前記3次元形状を形成することと、
(i)既定数の形状修正反復が行われるまで、(ii)前記設計空間内で前記モデルオブジェクトの前記ジェネレーティブに設計された3次元形状が、前記1つ以上の設計基準及び前記1つ以上の使用時の荷重ケースを満たすまで、または、(iii)(i)および(ii)の両方を満たすまで、少なくとも、前記行うこと、前記更新すること、前記生成すること、前記押し出すこと、及び前記形成することを繰り返すことと、を含む、前記反復して修正することと、
前記2.5軸減法製造プロセスを採用する1つ以上のコンピュータ制御製造システムを使用して、前記物理構造を製造する際に使用される前記モデルオブジェクトの前記ジェネレーティブに設計された3次元形状を提供することと、
を含む、前記非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項20】
前記提供することは、
前記モデルオブジェクトの前記ジェネレーティブに設計された3次元形状を使用して、前記2.5軸減法製造プロセスに従って、減法製造機械の工具経路仕様を生成することと、
前記工具経路仕様を使用して、前記減法製造機械により、前記物理構造の少なくとも一部分または前記物理構造の金型を製造することと、を含む、請求項19に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、積層造形、減法製造、ならびに/または他の製造システム及び製造技術を使用して製造できる物理構造のコンピュータ支援設計に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ支援設計(CAD)ソフトウェアが開発され、オブジェクトの3次元(3D)表現を生成するために使用されてきた。そして、コンピュータ支援製造(CAM)ソフトウェアが開発され、例えば、コンピュータ数値制御(CNC)製造技術を使用して、これらのオブジェクトの物理構造の製造を評価、計画、及び制御するためにCAMソフトウェアを使用してきた。通常、CADソフトウェアは、境界表現(B-Rep)形式を使用して、モデル化されるオブジェクトのジオメトリの3D表現を記憶する。B-Repモデルは、モデル化された3Dオブジェクトの固体部と非固体部との間の境界を指定する接続された表面要素のセットである。B-Repモデル(多くの場合、B-Repと呼ばれる)では、CADプログラムで処理するのが難しい可能性があるメッシュモデルの離散的で近似的な表面とは対照的に、ジオメトリは滑らかで正確な数学的表面を使用してコンピュータに記憶される。
【0003】
CADプログラムは、減法製造システム及び技術と組み合わせて使用されてきた。減法製造とは、ストックマテリアルの一部を切り取って、ストックマテリアル(概して、3Dオブジェクトよりも大きい「ブランク」または「ワークピース」)から3Dオブジェクトを作成する任意の製造プロセスを指す。そのような製造プロセスでは、概して、荒削り作業、オプションの半仕上げ作業、及び仕上げ作業から始まる一連の作業で、複数のCNC機械切削工具の使用を含む。CNC加工に加えて、他の減法製造技術は、電極放電加工、化学成形、ウォータージェット加工等を含む。対照的に、ソリッドフリーフォーム製造または3D印刷としても既知である積層造形は、3Dオブジェクトが一連の層または断面の原材料(概して、粉末、液体、懸濁液、または溶融固体)から構築される任意の製造プロセスを指す。積層造形の例は、溶融フィラメント製造(FFF)及び選択的レーザー焼結(SLS)を含む。原材料から3Dオブジェクトを構築するための他の製造技術は、鋳造及び鍛造(高温及び低温の両方)を含む。
【0004】
さらに、CADソフトウェアは、製造される部品のより大きなシステム内の1つ以上の部品のトポロジー最適化(ジェネレーティブデザイン)を使用して、3Dジオメトリの自動生成を行うように設計されている。この3Dジオメトリの自動生成は、多くの場合、CADソフトウェアのユーザーによって指定された設計空間に制限され、3Dジオメトリ生成は、通常、CADソフトウェアのユーザーによって、または別の関係者によって定義でき、CADソフトウェアにインポートできる設計の目的及び制約によって管理される。設計目標(設計部品の重量の最小化等)を使用して、ジオメトリ生成プロセスをより良い設計に向けて推進できる。設計制約は、個々の部品に対する構造的完全性制約(すなわち、部品が、部品の使用中に予想される構造負荷下で機能しなくなってはならない要件)と、大型システムによって課される物理的制約(すなわち、部品が使用中にシステムの別の部品に干渉しないという要件)との両方を含み得る。さらに、設計制約の例は、最大質量、荷重下での最大たわみ、最大応力等を含む。
【0005】
ジェネレーティブデザインプロセスへの入力は、ジェネレーティブデザインプロセスの境界条件を指定する一連の入力ソリッド(B-Rep入力)を含み得るが、多くの最新のジェネレーティブデザインソルバーは、入力ソリッドの正確な表面境界表現上で直接動作しない。代わりに、B-Repがサンプリングされ、レベル集合または四面体メッシュもしくは六面体メッシュ等の体積表現に置き換えられ、これらは、ソルバーによって計算される物理シミュレーション及び材料合成に関して、より著しく便利及び効率的である。入力ソリッドのセットは「プリザーブボディ」を含み得る。これは、設計に常に存在する必要があり、境界条件(例えば、機械的負荷及び機械的拘束)を適用する必要があるシステムまたは場所の他の部品へのインターフェイスを表す。また、新しいジオメトリを生成する必要がない領域を表す「障害物」を定義する入力ソリッド等、ジオメトリを生成する必要がある、または生成する必要がない他の領域も同様に提供できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書では、ジェネレーティブデザインプロセスを使用する物理構造のコンピュータ支援設計に関する技術について説明し、本プロセスでは、2.5軸減法製造システム及び技術を使用する物理構造の製造を容易にするように物理構造の3次元(3D)モデルを作成する。減法製造技術は、2軸、2.5軸、3軸、またはそれ以上の軸のミリングを含み得る。2軸ミリングは、ミリングヘッドの高さレベルを調節する能力がなくても、ストックを切削できる。3軸ミリングは、ミリング工具を3つの独立した次元で移動させながら、ストックを切削できる。2.5軸ミリングは3軸ミリング機械を使用できる。これは、ミリング工具(または、ミリング工具及び固定具支持の組み合わせ)を全ての3つの独立した次元で移動できるためであるが、切削動作のほとんどの期間にわたって、ミリング工具はワークピースに対して2軸だけ移動するため、より効率的な製造プロセスが生じる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
概して、本明細書に説明される主題の1つ以上の態様は、1つ以上の方法(及び、また、データ処理装置に動作を行わせるように動作可能であるコンピュータプログラムを確実にエンコードする1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体)で具体化でき、本方法は、コンピュータ支援設計プログラムによって、対応する物理構造が、2.5軸減法製造プロセス、モデルオブジェクトの1つ以上の設計基準、及び物理構造の1つ以上の使用時の荷重ケースを使用して製造される、モデルオブジェクトの設計空間を取得することと、コンピュータ支援設計プログラムによって、モデルオブジェクトのジェネレーティブに設計された3次元形状を反復して修正することであって、1つ以上の設計基準及び1つ以上の使用時の荷重ケースに従って、設計空間内で、3次元形状のジオメトリ及び3次元形状のトポロジーの両方を修正することを含み、反復して修正することは、現行バージョンの3次元形状及び1つ以上の使用時の荷重ケースに従って、モデルオブジェクトの数値シミュレーションを行って、モデルオブジェクトの物理的応答の現在の数値的評価を作成することと、物理的応答の現在の数値的評価に基づいて現行バージョンの3次元形状を更新して、モデルオブジェクトの更新バージョンの3次元形状を作成することと、更新バージョンの3次元形状の2次元プロファイル表現を生成することであって、2次元プロファイル表現は2.5軸減法製造プロセスのミリング方向に垂直な別々の層に対応する、生成することと、ミリング方向に沿って2次元プロファイル表現を押し出して、更新バージョンの3次元形状の3次元表現を作成することであって、3次元表現はミリング方向に垂直な法線を伴うフランク面を有する、作成することと、ミリング方向に垂直な法線を伴うフランク面を有する3次元表現の組み合わせから、モデルオブジェクトの次のバージョンの3次元形状を形成することと、既定数の形状修正反復が行われ、設計空間内でモデルオブジェクトのジェネレーティブに設計された3次元形状が、1つ以上の設計基準及び1つ以上の使用時の荷重ケース、またはそれら両方を満たすまで、少なくとも、行うこと、更新すること、作成すること、押し出すこと、及び形成することを繰り返すことと、を含む、反復して修正することと、2.5軸減法製造プロセスを使用する1つ以上のコンピュータ制御製造システムを使用して、コンピュータ支援設計プログラムによって、物理構造を製造する際に使用されるモデルオブジェクトのジェネレーティブに設計された3次元形状を提供することと、を含む。
【0008】
生成することは、対応する別々の層と、ミリング方向に対して対応する別々の層の上にある別々の層のいずれかとの両方の内部にある更新バージョンの3次元形状の1つ以上の部分のシルエットを判定することによって、対応する別々の層の2次元プロファイル表現のそれぞれを生成することを含み得る。ミリング方向は、別々の層の各々のセットを有する2つ以上のミリング方向を含み得、生成することは、更新バージョンの3次元形状の2次元プロファイル表現の各々のセットを作成するために、2つ以上のミリング方向のそれぞれに行うことができ、押し出すことは、各々の2つ以上のミリング方向に垂直な法線を伴うフランク面を有する3次元表現の各々のセットを作成するために2つ以上のミリング方向のそれぞれに行うことができ、形成することは、3次元表現の各々のセットの3次元表現のブール結合を行って、2つ以上のミリング方向のそれぞれに、1つ以上の3次元物体を作成することと、2つ以上のミリング方向に作成された3次元物体のブール交差を行って、モデルオブジェクトの次のバージョンの3次元形状を形成することと、を含み得る。
【0009】
反復して修正することは、複数の反復毎に、事前の反復から生じた次のバージョンの3次元形状を事前の反復から生じた更新バージョンの3次元形状と混合することによって、モデルオブジェクトの現行バージョンの3次元形状を作成することを含み得、更新バージョンのどれでもなく、次のバージョンの全てが、修正することの次の反復でモデルオブジェクトの現行バージョンの3次元形状として使用されるまで、混合することで使用された次のバージョンの量は、複数の反復のうちの2つ以上の後続の反復毎に、更新バージョンの量と比べて増加する。
【0010】
モデルオブジェクトのジェネレーティブに設計された3次元形状はモデルオブジェクトの陰面のレベル集合表現を含み得、更新することは、物理的応答の現在の数値的評価に基づいて、陰面について計算された形状変化速度に従って、レベル集合表現を更新することを含み得る。反復して修正することは、押し出すことの前に、1つ以上のコンピュータ制御製造システムでの使用に利用可能である最小ミリング工具の半径に少なくとも等しい量だけ、2次元プロファイル表現のそれぞれを外向きにオフセットすることと、続いて、当該量だけ、2次元プロファイル表現のそれぞれを内向きにオフセットすることと、を含み得る。
【0011】
本方法(または、1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体に確実にエンコードされたコンピュータプログラムに従って、データ処理装置によって行われる動作)は、2.5軸減法製造プロセス中に必要とされる物理構造への工具進入の量に基づいて、別々の層の1つの2次元プロファイル表現をオフセットするための量を設定して、2次元プロファイル表現のための1つの別々の層をミリングすることを含み得る。対応する別々の層の2次元プロファイル表現を生成することは、最上の別々の層の上部から、対応する別々の層の底部まで下がるように、陰面のレベル集合表現を通るミリング方向に沿って光線をキャストすることを含み得、設定することは、(i)利用可能な最小ミリング工具の半径の最大値と、(ii)差の既定の比(既定の比はゼロよりも大きく1未満である)の最大値になるまで量を設定することを含み得る。
【0012】
本方法(または、1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体に確実にエンコードされたコンピュータプログラムに従って、データ処理装置によって行われる動作)は、2次元プロファイル表現を比較して、ミリング方向に対して、第2のプロファイル表現の上にある少なくとも第1のプロファイル表現を識別することであって、第1のプロファイル表現の第1の部と第2のプロファイル表現の第2の部との間の距離は閾値距離よりも短い、識別することと、第1のプロファイル表現の第1の部を変化させて、第2のプロファイル表現の第2の部と一致させることと、第1の部のいずれかの側で第1のプロファイル表現を修正して、変化させることから生じる第1のプロファイル表現のいずれかの不連続部を除去することと、を含み得る。3次元形状のトポロジーを修正することは、2次元プロファイル表現の少なくとも1つのために生成された中心線を使用して選択された場所において、ボイドをレベル集合表現に挿入して、反復して修正することの複数の反復の少なくとも一部の間に陰面を変化させることを含み得る。
【0013】
更新することは、各々の別々の層の現在の数値的評価をフィルタリングして、更新中に2.5軸減法製造プロセスと一致する3次元形状の陰面のジオメトリの修正を促進するフィルタリングされた物理的評価を作成することと、フィルタリングされた物理的評価に従って、現行バージョンの3次元形状を更新することと、を含み得る。モデルオブジェクトのジェネレーティブに設計された3次元形状は陰面のレベル集合表現を含み得、フィルタリングは、別々の層に各々の層内で、ミリング方向に沿って現在の数値的評価の最大値を発見することと、別々の層の各々の層内で、最大値に基づいて、現在の数値的評価の値をリセットして、フィルタリングされた物理的評価を作成することと、を含み得る。
【0014】
現在の数値的評価は、ボクセルベースの応力場データ、ひずみ場データ、またはそれら両方含み得、発見することは、別々の層の各々の層内で、モデルオブジェクトの現行バージョンの3次元形状を通って、ミリング方向に平行な光線をキャストすることと、別々の層の各々の2次元エリア内で、光線のそれぞれに沿って遭遇する応力及び/またはひずみのデータの最大値を収集することとを含み得、リセットすることは、ボクセルに最も近い別々の層の対応する2次元エリアの場所の最大値に等しく、別々の層の各々の層内の各ボクセルの応力及び/またはひずみのデータを設定することを含み得る。
【0015】
本方法(または、1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体に確実にエンコードされたコンピュータプログラムに従って、データ処理装置によって行われる動作)は、コンピュータ支援設計プログラムによって、2.5軸減法製造プロセスの少なくとも1つの主軸において最小形状サイズよりも小さい、モデルオブジェクトのジェネレーティブに設計された3次元形状のいずれかの部分を除去することを含み得る。提供することは、1つ以上のコンピュータ制御製造システムを使用して、物理構造を製造する際に使用されるモデルオブジェクトのジェネレーティブに設計された3次元形状を、永久ストレージデバイスに保存することを含み得る。提供することは、モデルオブジェクトのジェネレーティブに設計された3次元形状を使用して、2.5軸減法製造プロセスに従って、減法製造機械の工具経路仕様を生成することと、工具経路仕様を使用して、減法製造機械により、物理構造の少なくとも一部分または物理構造の金型を製造することと、を含み得る。
【0016】
本明細書に説明される主題の1つ以上の態様は、また、コンピュータ支援設計プログラムの命令を記憶する非一時的ストレージ媒体と、本明細書に説明される1つ以上の方法のいずれかを行うように、コンピュータ支援設計プログラムの命令を実行するように構成された1つ以上のデータ処理装置と、を含む、1つ以上のシステムで具体化できる。1つ以上のシステムは、さらに、2.5軸減法製造機械、または3軸もしくは5軸減法製造機械等の2.5軸減法製造プロセスを行うことができる他の減法製造機械を含み得る。
【0017】
本明細書に説明される主題の特定の実施形態は、以下の利点のうちの1つ以上を実現するために実施できる。ジェネレーティブデザインプロセスから2.5軸の製造可能な結果が保証されるようにジオメトリフィルタリングを使用でき、これは、最適化の反復ごとに、2.5軸の製造可能な結果が達成されるように行うことができる、または、ジオメトリフィルタリングは、2.5軸の製造可能な結果をいっそう確実にしながら、ジェネレーティブデザインプロセスで早期に形状変化及びトポロジー変化により柔軟性を与えるために、複数の反復の過程にわたって形状及びトポロジーの最適化に混合できる。したがって、物理構造の3次元モデルは、ジェネレーティブデザインプロセスで作成でき、そのモデルは、必ず、2.5軸ミリングを容易にするフラットトップ領域、底部領域、及びフランク領域を含む。これにより、CAMプログラミング時間、加工時間の短縮、クランプ用のカスタム治具の必要性の減少、または2.5軸減法製造プロセスでの物理構造の機械加工中の前述の組み合わせが生じ得る。
【0018】
さらに、シミュレーション結果のフィルタリング(例えば、ひずみエネルギーフィルタリング)を行って(ジオメトリフィルタリングの実行の有無にかかわらず)、ジェネレーティブデザインプロセスからの2.5軸の製造可能な結果の作成を促進できる。ジオメトリが符号付き距離フィールドを使用して表される場合、生成されたジオメトリが、画像処理からのモルフォロジークロージング演算子のバリアントを使用して、指定された半径の工具があらゆる場所にアクセス可能であることを確実するために半径を効率的に作成し、外向きの移流またはオフセット、それに続く、内向きの移流またはオフセットを使用して実施できる。製造中の部品への切り込みの深さに基づいた動的な工具サイジングを使用して工具のアクセス可能性をさらに確実にできるため、安価ですぐに入手できる工具を使用して、部品を加工でき、ほぼ重なり合う層をアラインメントさせて、最終的な3次元モデルの薄い棚状部をなくすことができる。ボイドを生成して、形状スケルトンを使用してトポロジーをさらに変化できるようにし、複数のミリング方向(2つ以上の加工セットアップ)に対処できる。
【0019】
さらに、本明細書に説明される2.5軸製造設計制限システム及び技術を使用してジェネレーティブに設計された部品は、加工軸に対して2軸製造設計の制限を使用して、または制限なしで、ジェネレーティブに設計された部品に関する重量競争力があり得るが(ほぼ同等の質量低減が生じる)、これらの部品は2軸ソリューションの約半分の最大たわみを示し得る一方、製造上の制約なしにジェネレーティブに設計されている部品と比較して、CAMプログラミング時間、加工時間の短縮、及びクランプ用のカスタム治具の必要性が少ないという利点をさらにもたらす。さらに、生成されたジオメトリは従来の設計の形状に近くなり、手動による設計変更の構想及び実現が容易になり、製造計画と、従来の設計及び2.5軸のジェネレーティブデザインの実行との間のギャップが減る。
【0020】
本明細書に説明される主題の1つ以上の実施形態の詳細は、添付の図面及び下記の記述で説明される。本発明の他の特徴、目的、及び利点は、説明、図面、及び特許請求の範囲から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1A】ジェネレーティブデザイン中にジオメトリフィルタリング及び/またはシミュレーション結果のフィルタリングを行って、2.5軸減法製造プロセスで製造するために調整される物理構造を作成するために使用可能なシステムの例を示す。
【
図1B】ジオメトリフィルタリング及び/またはシミュレーション結果のフィルタリングによる、2.5軸減法製造プロセスを使用して物理構造を製造する、ジェネレーティブデザインのプロセスの例を示す。
【
図2A】2.5軸減法製造プロセスと互換性のある3Dモデルを作成するために、ジオメトリフィルタリングによるジェネレーティブデザインのプロセスの例を示す。
【
図2B】2.5軸加工の無効なジオメトリの例を示す。
【
図2C】2次元プロファイル表現を生成する例のグラフィック表現を示す。
【
図2D】3D押し出しに逆投影され、モデルオブジェクトのジオメトリの組み合わせを形成するために組み合わされた2Dスライスのグラフィック表現を示す。
【
図2E】工具アクセスのためのモルフォロジークロージングのグラフィック表現を示す。
【
図2F】工具モデリングアプローチを比較するグラフィック表現を示す。
【
図3A】2.5軸減法製造プロセスと互換性のある3Dモデルの作成を促進するために、ジェネレーティブデザイン中にシミュレーション結果のフィルタリングのプロセスの例を示す。
【
図3B】各々の別々の層におけるシミュレーション結果のフィルタリングのグラフィック表現を示す。
【
図3C】モデルオブジェクト内の別々の層のグラフィック表現を示す。
【
図4A】2.5軸減法製造プロセスと互換性のある3Dモデルを作成するために、ジオメトリフィルタリング、シミュレーション結果のフィルタリング、またはそれら両方を使用して、部品をジェネレーティブに設計するための追加のプロセス例を示す。
【
図4B】第1の層のプロファイルを第2の層のプロファイルと一致するように変化することから生じる不連続部を除去することに対する層アラインメントパラメータの影響の例を示す。
【
図4C】ボイドを生成して、例えば、3D形状のレベル集合表現に挿入する例を示す。
【
図4D】ボイドを生成して、例えば、3D形状のレベル集合表現に挿入する別の例を示す。
【
図4E】複数のパスにわたってボイド生成を分割する影響の例を示す。
【
図5A】3つのミリング方向(例えば、3つのセットアップ)による、ジオメトリフィルタリングの例を示す。
【
図5B】複数のミリング方向(例えば、複数のセットアップ構成)の場合の望ましくないボイド場所の例を示す。
【
図6】クライアントまたはサーバーとしてプログラムできるデータ処理装置を含むデータ処理システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
様々な図面における同様の参照記号は同様の要素を指す。
【0023】
図1Aは、ジェネレーティブデザイン中にジオメトリフィルタリング及び/またはシミュレーション結果のフィルタリングを行って、2.5軸減法製造プロセスで製造するために調整される物理構造を作成するために使用可能なシステム100の例を示す。コンピュータ110は、プロセッサ112及びメモリ114を含み、コンピュータ110は、プライベートネットワーク、パブリックネットワーク、仮想プライベートネットワーク等であり得るネットワーク140に接続できる。プロセッサ112は、それぞれが複数のプロセッサコアを含み得る1つ以上のハードウェアプロセッサであり得る。メモリ114は、ランダムアクセスメモリ(RAM)及びフラッシュRAM等の揮発性メモリ及び不揮発性メモリの両方を含み得る。コンピュータ110は、プロセッサ112上で起動するプログラムの命令を記憶するために、メモリ114を含み得る様々なタイプのコンピュータ記憶媒体及びデバイスを含み得、コンピュータ支援設計(CAD)プログラム(複数可)116を含み、CAD116は、3次元(3D)モデリング機能を実装し、数値シミュレーションによるトポロジー最適化(例えば、説明されるように少なくとも1つのレベル集合法を使用する)のための1つ以上のジェネレーティブデザインプロセスを含み得る。本文書で説明されるシステム及び技術によって行われる数値シミュレーションは1つ以上の物理的特性をシミュレートでき、1つ以上のタイプのシミュレーションを使用して、モデルオブジェクトの物理的応答(例えば、構造応答)の数値的評価を作成できる。例えば、線形静的FEA、有限差分法(複数可)、及びマテリアルポイント法(複数可)を含む有限要素解析(FEA)を使用できる。さらに、物理的特性のシミュレーションは、数値流体力学(CFD)、音響/ノイズ制御、熱伝導、射出成形の計算、電気磁束もしくは電磁束、及び/または材料の凝固(成形プロセスの位相変化に役立つ)のシミュレーションを含み得る。さらに、CADプログラム(複数可)116は、製造中のクランプ及び/または製造制御機能をサポートするために、潜在的に穴生成技術及び/または治具生成技術を実現できる。
【0024】
本明細書で使用される場合、CADは、プログラムが製造装置とインターフェイスする及び/または制御することが可能であるかどうかに関係なく、設計要件を満たす物理構造を設計するために使用される任意の適切なプログラムを指す。したがって、CADプログラム(複数可)116は、コンピュータ支援工学(CAE)プログラム(複数可)、コンピュータ支援製造(CAM)プログラム(複数可)等を含み得る。プログラム(複数可)116は、コンピュータ110上でローカルで起動でき、1つ以上のリモートコンピュータシステム150(例えば、ネットワーク140を介してコンピュータ110がアクセス可能な1つ以上のサードパーティプロバイダの1つ以上のサーバーシステム)のコンピュータ上でリモートで起動でき、またはローカル及びリモートの両方で起動できる。したがって、CADプログラム116は、2つ以上の別個のコンピュータプロセッサ上で協調して動作する2つ以上のプログラムであり得、コンピュータ110でローカルに動作する1つ以上のプログラム116は、1つ以上のコンピュータ150上の1つ以上のプログラム116にオフロードされた処理動作を行わせることによって、処理動作(例えば、ジェネレーティブデザイン及び/または物理シミュレーション動作)を「クラウドに」オフロードできる。いくつかの実施態様では、全てのジェネレーティブデザイン動作は、ローカルコンピュータで起動するB-Repソリッドモデラーではなく、クラウド内の1つ以上のプログラムによって実行される。さらに、いくつかの実施態様では、ジェネレーティブデザインプログラム(複数可)は、グラフィカルユーザーインターフェイスによるユーザー入力なしで、プログラムによって呼び出されるAPI(アプリケーションプログラムインターフェイス)からクラウドで起動できる。
【0025】
CADプログラム(複数可)116は、コンピュータ110の1つ以上の入力デバイス118(例えば、キーボード及びマウス)を使用して操作できるコンピュータ110のディスプレイデバイス120上にユーザーインターフェイス(UI)122を提示する。
図1Aに別個のデバイスとして示されるが、ディスプレイデバイス120及び/または入力デバイス118は、また、互いに及び/またはタブレットコンピュータ等のコンピュータ110と統合できる(例えば、タッチスクリーンは、入力デバイス118/出力デバイス120であり得る)ことに留意されたい。さらに、コンピュータ110は、仮想現実(VR)及び/または拡張現実(AR)システムを含み得る、またはその一部であり得る。例えば、入力デバイス118/出力デバイス120は、VR/AR入力グローブ118a及び/またはVR/ARヘッドセット120aを含み得る。いずれの場合も、ユーザー160は、CADプログラム(複数可)116と対話して、3Dモデルドキュメント(複数可)130に記憶できる3Dモデル(複数可)を作成及び修正する。
【0026】
初期の3Dモデル132は、ジェネレーティブデザインプロセスへの入力であり得る。示される例では、初期の3Dモデル132は、プリザーブボディ133等のプリザーブボディ、及び障害物134等の障害物のセットである。設計空間131は、入力モデル132の境界体積または凸包を判定することによって取得できる、または、別の技術を使用して、トポロジー最適化中に部品が設計される空間体積である設計空間を取得できる。場合によって、ユーザーは固形物を設計空間として明示的に指定し得る。ユーザー160は、ジェネレーティブデザインプロセスに関するトポロジー最適化問題を定義して、開始3Dモデルから所望の3Dモデルを作成できる、または入力は特定の開始3Dモデルのない設計空間であり得る。概して、入力設計空間は自動的に生成できる、または、ユーザーが指定できる。ジェネレーティブデザインプロセス自体が、設計空間内に開始ジオメトリを作成できることに留意されたい。ジェネレーティブデザインプロセスへの入力として1つ以上のシードモデルを使用して、ジェネレーティブデザインのトポロジーを修正するように、形状発展の開始時に穴を導入できる。さらに、示されるように、開始モデル132は、未接続のモデルソリッドであり得る入力保存ジオメトリであり得、ジェネレーティブデザインプロセスを使用して、入力保存ソリッドを接続する新しい3Dジオメトリを作成する。
【0027】
本明細書に説明されるように、CADプログラム(複数可)116は少なくとも1つのジェネレーティブデザインプロセスを実施し、このプロセスにより、CADプログラム(複数可)116は、設計目標(複数可)及び制約(複数可)、すなわち、設計基準に基づいて、3Dモデル(複数可)の1つ以上の部分(または、3Dモデル全体)を自動的に生成でき、ジオメトリ設計はシミュレーションフィードバックに基づいて反復して最適化される。本明細書で使用される場合、「最適化」(または「最適条件」)は、最良の可能な設計の全てが全ての場合に達成されることを意味するのではなく、むしろ、最良の(または最良に近い)設計が、利用可能な処理リソースを前提として、割り当てられた時間内に生成できる可能な設計の有限集合から選択されることを意味すると留意されたい。
【0028】
設計基準は、ユーザー160によって、または別の関係者によって定義され、CADプログラム(複数可)116にインポートできる。設計基準は、個々の部品に対する構造的完全性制約(例えば、部品が、部品の使用中に予想される構造負荷下で機能しなくなってはならない要件)と、大型システムによって課される物理的制約(例えば、部品が使用中にシステムの他の部品(複数可)に干渉しないように、指定の体積内に含まれるという要件)とを含み得る。設計基準は、また、(例えば、2.5軸CNC機械、または3軸もしくは5軸CNC機械を使用して)容易にする所望の2.5軸減法製造プロセスを含み得る。
【0029】
3Dモデルの少なくとも一部分の形状及びトポロジーを最適化できる様々なジェネレーティブデザインプロセスを使用できる。CADプログラム(複数可)116による3Dモデル(複数可)のジオメトリ設計の最適化はトポロジー最適化を含み、これは、設計制約(例えば、制約としての体積の構造コンプライアンス)を受ける目的関数を最小化することによって、材料の最適分布を判定する軽量化の方法である。トポロジー最適化について、密度ベースのアプローチ及び境界ベースのアプローチの2つの主要なカテゴリがある。密度ベースのアプローチは、部品の体積を離散化し、ペナルティ付きの固体等方性材料(SIMP)法等の別々のセルのそれぞれに密度を割り当てる。次に、制約を受ける目標(複数可)を最小化しながら、密度を固体及び空所に向けて動かす。境界ベースのアプローチは、代わりに、固体部の外部インターフェイスの形状を追跡し、レベル集合法等で制約が満たされ、目標(複数可)が最小化されるように境界を移動させる。
【0030】
本明細書に説明されるように、トポロジー最適化中のフィルタリングは、ジェネレーティブデザインプロセスを導き、2.5軸製造プロセスを使用する物理構造の製造を容易にする設計の最終形状を作成できる。そのようなフィルタリングは、密度ベースのトポロジー最適化または境界ベースのトポロジー最適化により行うことができる。いくつかの実施態様では、トポロジー最適化中に形状の境界を追跡するためにレベル集合表現法が使用され、これは、境界の正確な知識を提供し、再メッシュを必要とせずに表面が進化するときにトポロジー変化させることが可能になるという利点をもたらす。いずれの場合も、形状合成プロセスは、3DモデリングのためのCADプログラム(複数可)116で採用されるものとは異なるジオメトリの表現を使用して実行できる(多くの場合、実行される)ことに留意されたい。例えば、CADプログラム(複数可)116は入力ジオメトリ132にB-Repモデルを使用できるが、ジェネレーティブデザインプロセス(例えば、CADプログラム(複数可)116)のジオメトリ生成エンジンはボクセルまたは四面体メッシュに埋め込まれたレベル集合関数を採用できる。ジェネレーティブデザインプロセスに関するさらなる詳細は、
図1B等に関連して下記に提供される。
【0031】
いったんユーザー160がジェネレーティブに設計された3Dモデルに満足すると、3Dモデルは3Dモデルドキュメント130として記憶でき、及び/またはモデルの別の表現(例えば、2.5軸減法製造プロセスに関する工具経路仕様)を生成するために使用できる。これは、示されるように、ユーザー160による要求に応じて、またはジェネレーティブに設計された3Dモデルを減法製造(SM)マシン170、もしくは他の製造機械(コンピュータ110に直接接続できる、またはネットワーク140を介して接続できる)に送信する等の別のアクションに対するユーザーの要求を考慮して行うことができる。これは、ローカルコンピュータ110上で実行される後処理、または3Dモデルを製造するために電子文書にエクスポートするためのクラウドサービスを含み得る。電子ドキュメント(簡潔にするために、単にドキュメントと呼ばれる)はファイルであり得るが、必ずしも、ファイルに対応しているわけではないことに留意されたい。ドキュメントは、他のドキュメントを保持するファイルの一部、対象のドキュメント専用の単一ファイル、または複数の調整されたファイルに記憶され得る。さらに、ユーザー160は、後で使用するために3Dモデルを保存または伝送できる。例えば、CADプログラム(複数可)116は、生成された3Dモデルを含むドキュメント130を記憶できる。
【0032】
CADプログラム(複数可)116は、ドキュメント135(適切なフォーマットの工具経路仕様を有する)をSM機械170に提供して、ストックマテリアル137から完全構造138を作成でき、物理構造138は、2.5軸加工、2.5軸ミリング用に生成された階段状設計を容易にする最適化されたトポロジー及び形状を含む。SM機械170は、1つ以上の減法製造技術(例えば、多軸、マルチツールミリング機械等のコンピュータ数値制御(CNC)ミリング機械)を採用できる。SM機械170は2.5軸CNC機械であり得、スピンドル171及び取り付けられた切削工具172の移動の自由度は、ほとんどのミリングにおいてXY平面に制限され、別々のステップでは、Z方向だけに移動する。しかしながら、SM機械170はまた3軸CNC機械であり得、スピンドル171は、X次元、Y次元、及びZ次元のそれぞれに完全な移動の自由度があり、またはSM機械170は5軸機械であり得、追加の運動軸(例えば、ロール回転及びヨー回転)も可能である。
【0033】
これらの追加の移動の自由度は、スピンドル171のコンピュータ制御の動き、機械加工される部品のクランプもしくはアンカー点173のコンピュータ制御の動き、またはそれら両方の組み合わせによってもたらされ得ることに留意されたい。CNC機械170は、意図しない移動を防ぐために、機械加工中に何らかの方法でストックを固定する必要があり、時々、ストックの固定場所を(通常、人間オペレータによって、他の方法の存在によって)変更する必要があることにより、アンカリングプロセスで以前に使用されたストックの一部は、CNC機械170による後続の切削のために露出できる。部品及びそのアンカーのこれらの方向または配置は、「セットアップ」として既知である。
【0034】
減法製造プロセスは、通常、ストックマテリアルの固体ブロックから始まり、材料をストックから徐々に除去する。一般的な減法アプローチの1つは、「工具」または「ビット」としても既知である回転カッターまたは外形加工機を使用して材料を除去するミリングである。ミリング機械は部品をしっかりと保持できなければならず、回転ビットは干渉なしに材料表面にアクセスできなければならないため、ミリングプロセスは製造できる形状のタイプを制限する可能性がある。考慮すべきその他の重要な検討事項として、材料除去中の部品の振動と、ミリングプロセスによるビット自体への応力が挙げられる。
【0035】
減法製造技術は、2軸、2.5軸、3軸、またはそれ以上の軸のミリングを含み得る。2軸ミリングは、ミリングヘッドの高さレベルを調節する能力がなくても、ストックを切削できる。3軸ミリングは、ミリング工具を独立した3次元で移動させながら、ストックを切削できる。2.5軸ミリングは3軸ミリング機械を使用できる。これは、ミリング工具(または、ミリング工具及び固定具支持の組み合わせ)を独立した3次元の全てで移動できるためであるが、切削動作のほとんどの期間にわたって、ミリング工具はワークピースに対して2軸だけ移動するため、より効率的な製造プロセスが生じる。2.5軸ミリングの場合、減法プロセスは、ミリング工具に垂直な平面内で連続的な移動が発生するが、別々のステップでは、ミリング工具に平行な平面内で連続的な移動が発生する。これは、3軸ミリングとは対照的であり、ミリング工具に垂直な平面と、ミリング工具に平行な次元との両方で連続的に移動する。言い換えれば、3軸ミリングは3方向全てに連続的に移動できる。3軸減法製造と比較して、2.5軸減法製造プロセスでは、材料の層を順番にすぐに除去し、多くの場合、様々な深さで一連の「ポケット」を有する部品を作成できる。2.5軸減法製造を対象とすることは、ジオメトリが層状または階段状の形状を有する必要があることを意味する。これにより、減法機械の工具経路のプログラミングがはるかに高速になり、また、加工時間が大幅に短縮されることが可能になる。
【0036】
したがって、SM機械170の移動の自由度及び固定能力に関係なく、SM機械170は2.5軸加工プロセスを行うことができ、「2.5軸加工」はCNC加工のタイプを指し、2軸は同期的に移動し(通常、コンピュータ制御下で移動し)、同時に、第3の軸は増分的にだけ移動して、部品ジオメトリに一連の「階層」を作成する。各階層の壁及び床は、各々、工具の側面及び端によって切削できる。これは、一点だけで部品に接触する工具によって、多くのパスで機械加工する必要がある輪郭のある(「3軸」)表面よりもはるかに効率的である。同時に、2.5軸加工では、工具が常に部品を完全に切削する2軸加工よりも、ジオメトリの制御が向上する。CADプログラム(複数可)116のジェネレーティブデザインプロセス(複数可)は2.5軸の互換性のあるジオメトリを作成するため、これにより、SM機械170が部品のより複雑なジオメトリを対処し得る場合でも、部品のより単純な形状を使用した結果として、SM機械170のプログラミング時間及び加工時間が大幅に節約される。
【0037】
様々な実施態様では、システム100のCADプログラム(複数可)116は、本文書に説明されるように、1つ以上のジェネレーティブデザインプロセスを実施できる。ジェネレーティブデザインプロセスでは、最適なジオメトリ形状、トポロジー、またはそれら両方が求められる。例えば、ジェネレーティブデザインプロセスでは、制約を受ける性能関連の目的関数を最小化することによって、代替設計の中で最適なジオメトリ形状が求められる。式(1)を最小化する。したがって、式(2)の条件で行われる。
【0038】
【0039】
【0040】
ここで、sはドメインのジオメトリ形状に関連する設計変数のベクトルであり、uはsに依存する状態変数(例えば、変位変数)のベクトルである。追加の制約(例えば、平衡)は集合giとして示される。ここでは、簡単にするために、等式制約を想定している。式(1)を最小化するために使用される数理計画法は、勾配ベースまたは非勾配ベースであり得る。例えば、勾配ベースの方法(それに対比する非勾配ベースの方法)は、概して、設計の感度に関連付けられるより多くの情報を使用する。
【0041】
【0042】
式(3)は、設計変数に関する性能関連の目的関数の導関数である。レベル集合ベースのトポロジー最適化手法では、sは固体領域の境界を表す。
【0043】
図1Bは、ジオメトリフィルタリング及び/またはシミュレーション結果のフィルタリングによる、2.5軸減法製造プロセスを使用して物理構造を製造する、ジェネレーティブデザインのプロセスの例を示す。オブジェクトの設計空間、1つ以上の設計基準、及び1つ以上の使用時の荷重ケースが、ジェネレーティブ3Dモデルの作成に使用するために、例えば、CADプログラム(複数可)116によって取得される(180)。モデルオブジェクトの設計空間は、部品が設計される内側の体積である。設計空間は、オブジェクトの3次元トポロジーの1つ以上の外形の初期仕様を含む境界体積を含み得る。上述したように、設計空間は、説明されたジェネレーティブデザインプロセスの最適化ドメインの部分空間として機能する、CADプログラム(複数可)116で設計される、もしくはそれにロードされた3Dモデル(複数可)、及び/またはジェネレーティブデザインジオメトリ製品の境界条件を指定する入力ソリッドのセットを含み得る。例えば、UI122を使用して選択されたB-Repは、より大きい3Dモデルまたは別個の3Dモデル(複数可)の他のコンポーネント(複数可)との接続点(複数可)として使用するために保存される部分空間(複数可)を指定する。
【0044】
設計基準は、オブジェクトの設計目標(複数可)及び設計制約(複数可)を含み得る。設計目標は、限定ではないが、廃材の最小化、部品の重量の最小化、部品のコンプライアンス、応力、またはその他の固有の特性の最小化を含み得、形状合成プロセスをより良い設計に向けて推進するために使用される。必須ではないが、一般的に、設計目標は設計のシミュレーション(線形静的シミュレーション、流体力学シミュレーション、電磁シミュレーション等)に基づいている。設計上の制約は、生成された設計で満たす必要がある様々なジオメトリ及び物理的特性または挙動を含み得る(個々の部品またはアセンブリ全体に関する要件も許容できる)。例として、最大質量、荷重下での最大たわみ、最大応力等が含まれる。
【0045】
さらに、設計パラメータ及び設計変数の異なる組み合わせを使用することによって、異なるジェネレーティブデザインプロセスを公式化できる。いくつかの実施態様では、設計パラメータは、システム100内のCADプログラム(複数可)によって利用可能になる異なるジェネレーティブデザイン合成法の中からの選択等、UI122によって受信される様々なタイプの入力を含み得る。いくつかの実施態様では、利用可能なジェネレーティブデザイン合成法は、トポロジー最適化の基本的なレベル集合法を提供するレベル集合ベースのトポロジー最適化を含み得る。他のジェネレーティブデザイン合成法も可能であり、システム100のCADプログラム(複数可)によって提供できる。例えば、ユーザー160からの入力に応答するCADプログラム(複数可)116によって、設計パラメータ及び設計変数の異なる組み合わせを使用できる。例えば、ユーザー160は、単一の3Dモデル内の各々の異なる設計空間内で使用するために、異なるジェネレーティブデザイン合成法を選択し得る。
【0046】
さらに、180で取得された1つ以上の使用時の荷重ケースは、2.5軸減法製造プロセスを使用してジェネレーティブに設計された部品から製造される物理構造に関するものである。1つ以上の使用時の荷重ケースは、数値シミュレーションのセットアップに関連付けできる。例えば、ジェネレーティブに設計されている部品の最適化された3Dトポロジーで使用されるFEAモデルの要素の密度等である。しかしながら、本明細書で使用される場合、「使用時の荷重ケース」とは、概して、部品の性能が評価される荷重及び制約の別個のグループを指し、流体流動シミュレーション、電磁(EM)挙動シミュレーション、マルチフィジックスシミュレーション等の、様々なタイプの物理シミュレーションの境界条件のセットに対応する。
【0047】
概して、数値シミュレーションのセットアップは、シミュレートする1つ以上の物理的特性、行われる1つ以上のタイプのシミュレーション、及び潜在的に代用モデリングまたは他の近似法を含み得る。いくつかの実施態様では、数値シミュレーションのタイプは、プログラムの全ての使用に対して、またはジェネレーティブデザインプロセスが開始されているプログラムの特定のコンテキストを考慮して事前定義されている。さらに、数値シミュレーションのセットアップは、行われる数値シミュレーションのタイプに関連付けられる荷重条件及び/または他の物理的環境情報の少なくとも1つのセットを含み得る。
【0048】
ジェネレーティブ設計空間及び設計基準が指定された状態で、1つ以上のジェネレーティブデザインプロセスを使用して、例えば、CADプログラム(複数可)116によって、1つ以上の3Dモデル(複数可)が作成され(185)、3Dモデル(複数可)に対応する物理構造(複数可)は、2.5軸減法製造プロセスを使用して製造されるように設計されている。例えば、CADプログラム(複数可)116によって行われる1つ以上のジェネレーティブデザインプロセスは、トポロジー最適化の境界ベースのジェネレーティブデザインプロセス(例えば、レベル集合法を使用する)、密度ベースのジェネレーティブデザインプロセス(例えば、SIMP法を使用する)、またはそれら両方を含み得る。いくつかの実施態様では、1つ以上のジェネレーティブデザインプロセスは、記述されたレベル集合法を使用できる。ここで、式(1)、(2)、及び(3)から得られたsは、1つ以上のレベル集合を使用して暗黙的に表される固体領域の境界を表し、これは、背景グリッドまたはメッシュにサンプル値として記憶できる。レベル集合ベースのトポロジー最適化手法では、構造の外形はレベル集合関数の輪郭で表され、形状及び構成の変化はレベル集合関数の値の変化で表される。
【0049】
レベル集合関数は、初期構造が設定されている設計ドメインの各部品が、構造を形成し、材料が占める材料ドメイン(材料相)、ボイドが形成されるボイドドメイン(ボイド相)、またはこれらの2つのドメイン間の境界に対応するかどうかを示す関数を指し、材料ドメインを表す値とボイドドメインを表す値との間の所定値は、材料ドメインとボイドドメインとの間の境界を表す。いくつかの実施態様では、レベル集合関数は、関数のサンプル値を別々の背景グリッドまたはメッシュに記憶することによって暗黙的に表される。符号付き距離フィールドは、そのようなレベル集合関数の例であり、ゼロ輪郭は形状境界を表し、関数の正の値は、材料ドメインの外部の点に対応し、点と、最も近いドメイン表面との間の距離を定量化し、負の値は、材料ドメインの内部の点に対応し、点と、最も近いドメイン表面との間の距離を定量化する。
【0050】
いずれの場合も、3Dモデル(複数可)の作成185は、例えば、CADプログラム(複数可)116によって、モデルオブジェクトのジェネレーティブに設計された3次元形状を反復して修正することを含む。これは、3次元形状のジオメトリ(例えば、SIMP法またはレベル集合法を使用する)と、3次元形状のトポロジーと(例えば、穴またはボイドを追加して、引き裂くことなく連続変形によって影響を受けない表面の空間特性を修正することで、3Dモデルで形状要素が境界及び接続される方法を変更する)の両方を修正することを含む。さらに、3Dモデル(複数可)の作成185により、トポロジー最適化ループでジオメトリフィルタリング及び/またはシミュレーション結果のフィルタリング(本文書全体で詳細に説明される)を使用して、2.5軸減法製造プロセスと互換性のある1つ以上のジェネレーティブ3Dモデルを作成できる。そのような3Dモデルは2.5軸減法製造プロセスに対応する別々の高さ層を有し得、別々の高さ層は、対応する物理構造(複数可)の製造を容易にする1つ以上の3Dモデル(複数可)に平坦エリアを作成する。
【0051】
これは、体積の制約下で部品の物理的応答をある程度最小化することに焦点を当てた従来のトポロジー最適化とは対照的である。これは、製造するのが難しく、後続の設計反復で人間の設計者の直感として使用する必要がある複雑で入り組んだ形状を作成することがよくある。しかし、性能要件を満たす設計を作成することに加えて、生成185により、ジェネレーティブデザインの結果を2.5軸加工と互換性があるように促進または強制することによって、コスト及び製造性を考慮できることによって、製造するのが容易及び安価であり、下流の設計活動ですぐに使用できるデザインを生成する。生成185により、工具軸に垂直な大きな平坦領域を生成し、同様に、工具アクセスに平行であり、工具がアクセス可能なフランク面を作成でき、両方とも、より容易に機械加工されるジオメトリをもたらす。これは、多軸CNCミリング機械にも当てはまる。これは、フランクミリング及び正面ミリングを容易にし、各々、工作機械の側面(フランク)及び正面を使用してストックマテリアルを除去することによって、ミリングプロセスを強化するためである。
【0052】
モデルオブジェクトのジェネレーティブに設計された3D形状の反復修正185により、2.5軸加工を使用して製造できる形状を作成するためのジオメトリ生成プロセスを促進または制約できる。いくつかの実施態様では、ジオメトリフィルタリングを使用して、形状合成動作のそれぞれの後に、ジオメトリが更新され、1つ以上の指定された工具が2.5軸の階層構造にアクセス可能になることを確実にする。そのような実施態様に関するさらなる詳細は、
図2A~
図2Fに関連して下記に説明される。いくつかの実施態様では、シミュレーション結果のフィルタリングを使用して、形状の境界速度が導出される物理量をフィルタリングして、オプティマイザーが2.5軸の機械加工可能な構造を作成するのを助ける。そのような実施態様に関するさらなる詳細は、
図3A~
図3Cに関連して下記に説明される。さらに、いくつかの実施態様では、ボイド生成及びその他の技術を使用して、形状最適化の収束率及び生成された結果の品質を向上させる。そのような実施態様に関するさらなる詳細は、
図4A~
図4Dに関連して下記に説明される。さらに、これら全ての様々な実施態様では、複数のミリング方向及び部品のセットアップにも対処できる。そのような実施態様に関するさらなる詳細は、
図5A及び
図5Bに関連して下記に説明される。
【0053】
例えば、ディスプレイデバイス120上のUI122において、デザインを容認または拒否するためのオプション190と一緒に、ジェネレーティブデザイン処理の結果をユーザーに提示できる。例えば、ジェネレーティブデザイン処理によって作成された3Dモデルは、UI122でユーザー160に提示できる。いくつかの実施態様では、ユーザーは、設計検討のそれぞれで、最終設計または以前の様々な反復のいずれかの設計から選択できる。いくつかの実施態様では、ジェネレーティブデザインプロセスから生じる2つ以上の3Dモデルを、設計の複雑さと製造コスト(または、その他の様々な関心量)のトレードオフ分析との対比と一緒に、ユーザーに提示できる。トレードオフ分析は、ユーザー160が提示された3Dモデルの中の1つ以上の3Dモデルを容認または拒否するのを補助できる。
【0054】
設計が拒否された場合、
図1Bのプロセスは180に戻り、例えば、CADプログラム(複数可)116によって、新しいジェネレーティブ3Dモデルを作成する際に使用するための新しい設計空間及び/または新しい設計基準を取得できる。いったん設計が拒否されない場合(190)、
図1Bのプロセスは、例えば、CADプログラム(複数可)116によって、物理構造の2.5軸減法製造で使用するためにジェネレーティブに設計された形状及びトポロジーを伴うオブジェクトの3Dモデルを提供できる(195)。提供すること(195)は、SM製造システムを使用してオブジェクトに対応する物理構造を製造する際に使用するために、3Dモデルを永久ストレージデバイスに送信または保存することを含み得る。いくつかの実施態様では、提供すること(195)は、例えば、CADプログラム(複数可)116によって、3Dモデルを使用してコンピュータ制御SM製造システム(複数可)の工具経路仕様を生成することと(195A)、例えば、CADプログラム(複数可)116によって、2.5軸SM機械用に生成された工具経路仕様を使用するコンピュータ制御SM製造システム(複数可)によって、オブジェクトに対応する物理構造の少なくとも一部分を製造すること(195B)を含む。いくつかの実施態様では、提供すること(195)は、195Aで生成された工具経路仕様を使用して2.5軸減法製造機械で物理構造の金型を製造することを含み得、3Dモデルは2.5軸減法製造プロセスを使用して製造される金型のモデルであり得る。
【0055】
195で提供される3Dモデルは、ジェネレーティブデザイン合成法によって作成された(185)3Dモデルまたはジェネレーティブデザイン出力の後処理されたバージョンであり得る。いくつかの実施態様では、境界ベースのジェネレーティブデザインプロセスによって出力から抽出できるポリゴンメッシュ、または境界ベースのジェネレーティブデザインプロセスから直接取得されたジェネレーティブデザインデータは、例えば、CADプログラム(複数可)116によって、境界表現(B-Rep)モデル及び/またはパラメトリックフィーチャモデルに変換できる。例えば、ジェネレーティブデザインデータは、境界ベースのジェネレーティブデザインプロセスから直接取得されたレベル集合距離フィールドデータであり得る。境界表現モデルまたはパラメトリックフィーチャモデルは、スケッチジオメトリ及びパラメトリックフィーチャとして編集可能である。例えば、いくつかの実施態様では、ジェネレーティブデザイン合成法によって作成された3Dメッシュモデルは、195で提供される前に、防水のB-Rep3Dモデルに変換できる。
【0056】
したがって、本文書に説明されるジェネレーティブデザイン方法(複数可)は、例えば、CADプログラム(複数可)116で実施され、(1)ジェネレーティブデザインプロセスにわたる実質的なユーザー制御、(2)オブジェクトに対応する物理構造を製造する際に使用するためにジェネレーティブに設計された3Dモデルを提供するための制御機能の両方を提供できる。いずれの場合も、目標は、オブジェクトの2.5軸減法製造を容易にするオブジェクトの3Dモデルを作成することである。
【0057】
図2Aは、2.5軸減法製造プロセスと互換性のある3Dモデルを作成するために、ジオメトリフィルタリングによるジェネレーティブデザインのプロセスの例を示す。
図2Aのプロセスは、
図1Bから定義されたプロセス185の例である。したがって、
図2Aのプロセスは、上記で詳述したように、指定されたジェネレーティブデザインプロセスを使用して、設計空間、数値シミュレーションセットアップ、及び1つ以上の設計基準を指定する入力に基づいて、ジェネレーティブデザインされた3D形状の反復修正を含む。いくつかの実施態様では、形状合成プロセスは、開始形状またはシードジオメトリから始まる境界ベース(例えば、レベル集合)の形状最適化の方法を使用して、次に、その形状は、最適化ループの逐次反復によって修正され、いくつかの制約(例えば、質量、最大応力、及び製造性)を受ける関心量(例えば、ひずみエネルギー)をある程度最小化する「最適化設計」または「最終結果」を作成する。
【0058】
形状最適化ループは、現行バージョンの3D形状及び1つ以上の使用時の荷重ケースに従って、モデルオブジェクトの数値シミュレーション200を行って、モデルオブジェクトの物理的応答(例えば、構造応答)の現在の数値的評価を作成することを含む。上述したように、様々なタイプの数値シミュレーションを行うことができる。例えば、FEAシミュレーションは、現行バージョンの3D形状の体積内のあらゆる場所でひずみエネルギーを計算できる。いずれの場合も、現在の3D形状の物理シミュレーションにより、現在の数値的評価が作成され、次に、設計基準を考慮して3D形状を変化させるために使用できる。
【0059】
次に、現行バージョンの3D形状は、物理的応答の現在の数値的評価に基づいて更新され(210)、モデルオブジェクトの更新バージョンの3D形状を作成する。いくつかの実施態様では、モデルオブジェクトのジェネレーティブに設計された3D形状はモデルオブジェクトの陰面のレベル集合表現を含み得、更新すること(210)は、現在の物理的評価に基づいて、陰面について計算された形状変化速度に従って、レベル集合表現を更新することを含む。例えば、(数値シミュレーションによって判定される)体積内のひずみエネルギー場は、体積の表面上の速度場に変換でき、各点の速度により、ジオメトリがより最適な形状に変わり、その速度に従って、境界の各部分を移動することによって、3D形状を移流させて形状を更新できる。
【0060】
様々なタイプの更新プロセス(210)を使用できる。例えば、更新210は、
図3A~
図3Cに関連して下記に詳述されるように、シミュレーション結果のフィルタリングを行うことを含み得る。さらに、モデルオブジェクトの3D形状は、シミュレーション用の立方体ボクセルのグリッドを使用する3D形状の表現、形状更新用の陰的形状の使用、ジェネレーティブデザインのエクスポート用のポリゴンメッシュの使用等の、異なる処理段階中で異なる形式で表すことができる。さらに、上述したように、モデルオブジェクトの3D形状は、最適化プロセス全体を通して指定された設計空間(または、設計ドメイン)内にとどまる必要があり得、設計ドメインのユーザーが指定した領域(プリザーブボディと呼ばれる)は、最適化プロセス全体を通して材料で満たされたままである必要があり、物理問題の境界条件(例えば、固体力学の荷重及び制約)を指定するために使用できる。
【0061】
図3Aは、2.5軸減法製造プロセスと互換性のある3Dモデルの作成を促進するために、ジェネレーティブデザイン中にシミュレーション結果のフィルタリングのプロセスの例を示す。入力形状300は、数値シミュレーション及び荷重ケースを使用して処理され(302)、物理的応答の現在の数値的評価304を作成する。示される例では、物理的応答の数値的評価304はひずみエネルギー場であるが、また、他のタイプの物理的評価も本明細書に説明されるシステム及び技術で使用できる。
【0062】
物理シミュレータは、モデル部品内のあらゆる場所に応力場、ひずみエネルギー場等を作成でき、形状オプティマイザーはこれを速度場に変換できる。シミュレーション場から速度へのこの変換は、場のスケーリング及びオフセットと同じくらい簡単で、所望の体積削減を達成できる。しかし、形状最適化への従来のアプローチは、2.5軸ミリングと互換性のある形状の生成を促進するように、ミリング方向308を考慮していない。したがって、初期形状が2.5軸ミリング可能であると仮定すると、シミュレーション結果は2.5軸の製造可能な方向に移動することによって目的が改善されることを示さないため、通常、オプティマイザーによって作成された速度場は、形状の製造性を低下させる。
【0063】
この問題に対処するために、物理シミュレーションと形状最適化動作との間に2.5軸ミリングフィルターを使用して、シミュレーション結果をフィルタリングして、オプティマイザーが2.5軸製造と一致する方向に移動することを促進するほぼ同等の場を作成できる。現在の数値的(物理的)評価304をフィルタリングして(310)、フィルタリングされた物理的評価を作成でき、これにより、モデルオブジェクトの3D形状の更新中に、2.5軸減法製造プロセスと一致する3次元形状の陰面の形状の修正を促進する。
【0064】
フィルタリング310は、例えば、ユーザーまたは自動プロセスによって指定されるように、モデルオブジェクトの各々の別々の層におけるフィルタリングを含み得るが、
図3Aにグラフィックで示される例は、説明を簡単にするために1層だけである(この2軸の例は、1層だけの2.5軸の特殊なケースを表す)。フィルタリング310は、ミリング方向308に沿って、現在の物理的評価において最大値(または、潜在的に最大値よりいくらか小さい、例えば、95または90パーセンタイル値)を(別々の層の各々の層内で)発見すること(312)と、最大値に基づいて(別々の層の各々の層内の)現在の物理的評価の値をリセットして(314)、フィルタリングされた物理的評価を作成することと、を含み得る。例えば、光線316は、ミリング方向308に沿って部品を通ってキャストでき、各光線に沿った全てのボクセルは、その層内の場の最大値に設定でき、それにより、正則化された場318を作成する。
【0065】
現在の物理的評価は、ボクセルベースの応力場データ、ひずみ場データ、またはそれら両方であり得る。「応力」及び「ひずみ」はテンソルであり、「最大」が必ずしも良い意味があるわけではないことに留意されたい。したがって、ボクセルベースの応力場データまたはひずみ場データ(または、それら両方)で行われるフィルタリングは、そのようなテンソルから導出されたスカラー量(例えば、フォンミス応力及びひずみエネルギー)で行われるフィルタリングであり得る。これらの代わりに、他の量を使用できるため、いくつかの実施態様では、シミュレーションとは異なる場をフィルタリングできることに留意されたい。
【0066】
いくつかの実施態様では、光線は、ミリング方向308に沿って形状300の体積を通ってキャストされ、各光線に沿って遭遇する最大値は、ミリング方向308に垂直な2D平面上に収集され、部品を通過する。フィルタリングされる特定のシミュレーション結果に応じて、異なる関数を使用して(例えば、平均値もしくは中央値、または最大値ではなく95または90パーセンタイル値を使用して)累積する等の他のアプローチも可能である。次に、各ボクセルが平面上の最近点に従って設定されるように、シミュレーション結果を更新する。したがって、発見すること(312)は、別々の層の各々の層内で、モデルオブジェクトの現行バージョンの3次元形状を通って、ミリング方向に平行な光線をキャストすることと、別々の層における各々の2次元エリア内で、光線のそれぞれに沿って遭遇する応力及び/またはひずみのデータの最大値を収集することとを含み得、リセットすること(314)は、ボクセルに最も近い別々の層の対応する2次元エリアの場所の値に等しく、別々の層の各々の層内の各ボクセルの応力及び/またはひずみのデータを設定することを含み得る。最接近点は、ユークリッドの意味で3Dボクセルの中心に最も近い平面上の点であり得る。状況によっては、光線はこの点に正確にキャストされない場合がある。その場合、光線キャストから得た集計値が利用可能な平面上の最近点の間で線形補間を使用できる。さらに、このアプローチを2つ以上の層に拡張することに関するさらなる詳細が、
図3B及び
図3Cに関連して下記に提供される。
【0067】
フィルタリングされた物理的評価318が進行中である場合、現行バージョンの3D形状は、フィルタリングされた物理的評価に従って更新され、これは、モデルオブジェクトの現在の3D形状のフィルタリングされた物理的評価318を使用して、陰面(例えば、レベル集合表現)の形状変化速度を計算すること(320)を含み得る。この計算320は、従来のまたは新しい形状オプティマイザーアルゴリズムを使用できるが、いずれの場合も、シミュレーションから得た数値的評価が、ミリング方向308に関して場を正則化するようにフィルタリングされているため及び形状オプティマイザーへの入力がこの正則化された場318であるため、計算320は、概して、
図3Aに示されるように、ミリング方向308に平行または垂直のいずれかである形状変化速度322を作成する。
【0068】
次に、計算された形状変化速度に従って、3D形状の境界を移動させることによって、現在の3D形状が更新される(325)。
図3Aに示されるように、形状変化速度322は、ミリング方向308に平行、またはその方向に垂直のいずれかである。これを考慮して、更新325から作成された新しい形状327は、2.5軸加工の互換性を維持する方向でほとんど変化する。対照的に、形状変化速度の多くの方向330は、物理的応答のフィルタリングされた数値的評価318ではなく、形状オプティマイザーに物理的応答の元の数値的評価304を提供することによって作成されることに留意されたい。形状変化速度の複数の方向330において、2.5軸ミリングとの互換性が低い新しい形状が作成される。
【0069】
さらに、上述したように、フィルタリング310は、モデルオブジェクトの各々の別々の層で行うことができ、これらの別々の層は、ユーザーによってまたは自動プロセスによって指定できる。
図3Bは、各々の別々の層におけるシミュレーション結果フィルタリングのグラフィカル表現を示す。
図3Bに示される例は、3つの別々の層352、354、356に存在する入力形状350であり、それらの層のそれぞれはミリング方向308に垂直である。しかし、これはほんの一例にすぎない。異なる数の別々の層352、354、356を使用でき、別々の層352、354、356のうちの1つ以上の層(または各層)は異なる厚さを有し得る。理解されるように、別々の層352、354、356の数及びその厚さは、様々な実施形態では、入力形状350の詳細ならびに行われる形状及びトポロジーの最適化に応じて、ユーザー及び/または自動プロセスによって修正できる。
【0070】
いずれの場合も、上記に説明したように、設計ドメイン(空間)を別々の層352、354、356に分割でき、数値シミュレーションを使用して、入力形状350に対してひずみエネルギー場360を生成できる。次に、上記に説明した光線キャスティング技術を各々の別々の層352、354、356のそれぞれに対して行うことができ、その結果、光線は各層内で局所的にキャストされ、キャスト光線に沿った最大値は各層に各々の別個の2D平面362に収集される。次に、ひずみエネルギー場360の値は、収集された最大値に基づいてリセットされ、正則化された場365を作成し、正則化は、別々の層352、354、356のそれぞれに局所化される。
【0071】
形状オプティマイザーへの入力のこの局所化により、形状350に対して計算された境界速度370は、各々の層352、354、356で異なるが、さらに、2.5軸加工の互換性を維持する方向でほとんど変化する新しい形状375を作成する傾向がある。したがって、示されるように、新しい形状375は、別々の層352、354、356の間の遷移において、ミリング方向308に垂直な平坦セクションを含み、新しい形状375は、これらの遷移面の間のミリング方向308に平行な平坦セクションを含む。層の露出上面(複数可)及び部品の底面(複数可)は、形状変化速度の影響に関して直接対処する必要がないことに留意されたい。いくつかの実施態様では、ジオメトリフィルタリングにより、これらの部分の任意の不適切な形状変化が補正される。しかしながら、いくつかの実施態様では、シミュレーション結果は上面/底面の下に割り当てられ、それらの面を全て一緒に移動させる、または、形状変化速度を計算した後に速度場をフィルタリングすることによって、完全に動かないようにする。
【0072】
図3Cは、モデルオブジェクト内の別々の層のグラフィカル表現390を示す。ミリング方向mにおけるドメインD内の任意のボクセルxを考える。一般性を失うことなく、原点を通過するmに垂直な平面として「基平面」Bを定義する。ボクセルxは、h(x)=〈x,m〉によって、または平面法線上への原点からxへのベクトルの投影によって定義される、その平面からの「高さ」を有する。さらに、X
0=x-〈x,m〉mは基平面B上へのxの投影とする。また、層の境界も(ユーザーによって、または自動プロセスによってかどうか)指定され、
図3Cに示されるように、層の上、下、及び層(h
0,...,h
n)の間の境界を定義する一連の高さの形式を取る。
【0073】
さらに、点xが層lにあり、上部及び底部の高さが、各々、hl、hl+1であり、ソルバー場ψは、部品体積内で正であり、外側でゼロであるとする。点xにおける場ψの正則化された値は、次のように定義される。
【0074】
【0075】
全てのxについて、h0≦h(x)≦hn、及びψ’(x)=ψ(x)とする。このアプローチは、速度計算後ではなく速度計算前に適用され、位置がずれている面を補正して、形状を製造可能な形態に近くなるように形状を戻すことを試みる必要はなく、また、各層の上面及び底面に沿った動きを最小化することを試みる必要もないことに留意されたい。実際には、シミュレーション結果のフィルタリング/正則化は、オプティマイザーが一般的に製造可能な方向に形状を押すのを助けることを意図しているが、概して、2.5軸の製造可能な形状を維持するのに十分ではない。したがって、シミュレーション結果のフィルタリング/正則化プロセスはジオメトリフィルタリング/正則化なしで使用できるが、通常、本プロセスは、下記で説明されるジオメトリフィルタリング/正則化と組み合わせて使用される、またはデザインの非制約準拠領域を補正できる別の適切な技術と組み合わせて使用される。
【0076】
したがって、
図2Aの更新210によって作成された3D形状は、シミュレーション結果のフィルタリング/正則化(または、より製造可能な結果に向けて形状最適化を推進する他の技術)について、2.5軸ミリングの互換性が確実でないこと、またはシミュレーション結果のフィルタリング/正則化(または、同様の技術)を使用しないことのいずれかのために、2.5軸加工と互換性がない場合がある。そのような場合、更新210の後に(例えば、最適化ループの各反復で)追加処理を行って、作成された3D形状が2.5軸加工と互換性があり、2.5軸加工の無効なジオメトリを含まないことを確実にする。
【0077】
図2Bは、2.5軸加工の無効なジオメトリの例を示す。示されるように、3Dモデル212は、アンダーカット領域212A(工作機械214の方向にグラフィックに示されるミリング方向に対する領域)、到達不可能な角領域212B(工作機械214のドリル及びスピンドルサイズによって決定される領域)、及び非フランク面212Cを含む。これらは、2.5軸加工技術によって製造できる形状が、次の(1)~(3)の3つのジオメトリ要件を満たす必要があるため、2.5軸加工の無効なジオメトリの例である。(1)本体の各点は、ミリング方向から「可視」である必要がある(すなわち、アンダーカット部がない)、(2)各点は、指定された直径の工具が到達可能である必要がある(例えば、角穴がない)、(3)各面は、ミリング方向に平行な法線(上面または底面)、またはミリング方向に垂直な法線(フランク面)のいずれかを有する必要がある。さらに、上面または底面を層境界にアラインメントして、2.5軸加工で使用する必要がある別々の垂直ステップの数を減らす必要がある。
【0078】
3Dモデルの更新された(例えば、移流させた)ジオメトリに一連の変換を適用することによって、2.5軸加工と互換性のないジオメトリが、2.5軸加工と互換性のあるジオメトリを伴う「最も近い形状」に変換され、ユーザーに示される結果及び次の反復の開始形状の両方として役立つ。
図2Aに戻ると、更新210に影響を与えるオプティマイザーは、トポロジー最適化ループ中に行われるこれらの変換についての知識を必要としないことに留意されたい。
【0079】
更新バージョンの3D形状の2次元(2D)プロファイル表現が生成される(220)。2Dプロファイル表現は、2.5軸減法製造プロセスのミリング方向に垂直な別々の層に対応する。いくつかの実施態様では、別々の層の数及び場所はユーザー入力によって決定される。いくつかの実施態様では、別々の層の数及び場所は、1つ以上の開始3Dモデル(例えば、入力保存体)を分析する自動プロセスによって決定される。いくつかの実施態様では、別々の層の数及び場所は、最適化プロセスの過程を通して変更する可能性がある。
【0080】
例えば、別々の層の数及び場所は、オプティマイザーによって独立変数として制御できる。いくつかの実施態様では、オプティマイザーによって制御される独立変数のセットは、1つ以上の別々の層遷移の高さならびに/または上面及び底面の場所を追加することによって増強される。連鎖法則を使用してこれらの追加変数に関して目的関数を区別し、個々の要素の感度関数として高さ変数のそれぞれに関する目的の変化率を判定できる。この導関数を使用して、使用されている最適化アルゴリズムに従って、層の高さの場所を更新できる。1つ以上のヒューリスティックスを適用して、(非常に薄い層に対応する)ほぼ重なり合う2つの層の高さを自動的にマージすることを可能にする。追加の1つ以上のヒューリスティックスを採用して、層の高さの導関数に寄与する要素の感度間の高分散を検出し、層の高さを2つに分割すること(すなわち、層を挿入すること)をもたらし得る。
【0081】
2Dプロファイル表現を生成すること(220)は、対応する別々の層と、ミリング方向に対して対応する別々の層の上にある別々の層のいずれかとの両方の内部に(2Dで)存在する更新バージョンの3D形状の1つ以上の部分のシルエット(例えば、境界の場所がどのように構築されるかに応じて、層内の本体の全てまたはほとんどを囲む輪郭)を判定することによって、対応する別々の層の2Dプロファイル表現のそれぞれを生成することを含み得る。いくつかの実施態様では、これは(各層に)最上の別々の層の上部(すなわち、部品の上部)から、現在の別々の層の底部まで下がるように、陰面のレベル集合表現によってミリング方向に沿って光線をキャストすることを含む。いくつかの実施態様では、光線は現在の層だけを通ってキャストされ、このシルエットと上の層のシルエットとの間でブール結合を行う。
【0082】
図2Cは、2次元プロファイル表現を生成する例のグラフィック表現を示す。
図2C~
図2Fは、本開示で視覚的に明瞭さを容易にするために、ミリング方向に垂直な3D部品の断面図を表すことに留意されたい。上記に説明したシミュレーション結果の正則化フィルターと同様に、光線を体積にキャストして、その層内及びその層の上の部品の最大エンベロープを含む各層の2Dスライスまたは「シルエット」を作成できる。
図2Cに示される例では、モデルオブジェクトの現在の3D形状は、4つの層222A、222B、222C、222Dにまたがる。光線224Aの第1のセットは、部品の第1の層のシルエット226Aを作成するために、第1の層222Aを通ってキャストされる。光線224Bの第2のセットは、部品の第2の層のシルエット226Bを作成するために、第1の層222A及び第2の層222Bを通ってキャストされる。光線224Cの第3のセットは、部品の第3の層のシルエット226Cを作成するために、第1の層222A、第2の層222B、及び第3の層222Cを通ってキャストされる。そして、光線224Dの第4のセットは、部品の第4の層のシルエット226Dを作成するために、第1の層222A、第2の層222B、第3の層222C、及び第4の層222Dを通ってキャストされる。
【0083】
数学的には、上記と同じ用語を使用するが、今回は、内点が負で外点が正であるレベル集合場Φを通して光線をキャストし、層l,φlのシルエットのレベル集合を含む2D場を作成する。便宜上、全ての層シルエットを基平面と同一平面上に配置する。
【0084】
【0085】
実際には、φlは物体全体の影を含むのに十分に大きくなるように選択され、次に、式(5)が平面の各ピクセルで使用され、2Dシルエット投影が作成される。式(4)とは異なり、集計では、min(・)を使用して、光線は(層内だけでなく)部品の上部から層lの底部まで下がるように、キャストされることに留意されたい。光線は体積の上部から始まるため、アンダーカット部が層のシルエットで自動的に塗りつぶされる。
【0086】
しかしながら、現在の層内及びその層の上の部品の最大/極大エンベロープを使用する必要はなく、他のアプローチを使用して、シルエット226A、226B、226C、226Dの範囲(すなわち、フランク面の垂直壁を置く場所)を定義できることに留意されたい。いくつかの実施態様では、シルエット226A、226B、226C、226Dの境界は、現在の層内及びその層の上の部品に関連付けられるエッジの平均値によって定義される。いくつかの実施態様では、シルエット226A、226B、226C、226Dの境界は、現在の層内及びその層の上の部品に関連付けられるエッジの加重平均によって定義される。他の変形も可能であり、すなわち、ジェネレーティブデザインプロセスで材料を除去する速度と、ミリング方向に比較的薄いウェブによって一緒に保持される本体の2つの部分が不必要に離れる潜在的なリスクとに応じて、例えば、75パーセンタイルまたは中央値を使用して、制約がない設計から制約がある2.5軸の互換性のある設計に、異なるマッピングが可能である。したがって、遭遇して(すなわち、この最も内部で遭遇する点で遭遇する)、この外部エンベロープが作成される最小の符号付き距離フィールド値として境界を選ぶのではなく、光線に沿った符号付き距離フィールドの値をチェックする場合、計算は、異なる集計(例えば、総平均)を使用するために容易に変更できる。
【0087】
図2Aに戻ると、2Dプロファイル表現は、ミリング方向に沿って押し出され(240)、更新バージョンの3次元形状の3D表現を作成する。2Dプロファイル表現はミリング方向に沿って押し出されるため(240)、結果として生じる3D表現は必ずミリング方向に平行なフランク面を有する(各フランク面の各法線はミリング方向に垂直である)ことに留意されたい。次に、モデルオブジェクトの次のバージョンの3D形状は、フランク面を有する3D表現の組み合わせから形成される(250)。例えば、3D表現のブール結合を行うと、ジェネレーティブデザインプロセスの設計基準をより良く満たすように前の反復から修正された新しい3D形状が作成されるが、新しい3D形状は、上面または底面(ミリング方向に平行な法線がある)またはフランク面(ミリング方向に垂直な法線がある)のいずれかではないアンダーカット部及び面を必ずしも有しない。
【0088】
図2Dは、
図2Cの層シルエットの例を使用して、
図2Aの押し出し240及び形成250の例のグラフィカル表現を示す。層222A、222B、222C、222Dの層のそれぞれについて、対応する2Dスライスを3D押し出しに逆投影でき、これらの3D押し出し242A、242B、242C、242Dを組み合わせて、モデルオブジェクトの組み合わせジオメトリ252を形成できる。いくつかの実施態様では、3Dレベル集合場は、2Dスライスを投影することによって再構築される。これを行うには、各スライスを使用して、層及びその影を表す3D押し出しを構築し、ブール結合を使用して、これらの押し出しを組み合わせて、形状の組み合わせを作成する。
【0089】
数学的には、次のように、Φl、層lの3D押し出し、及び正則化された最終形状Φ’を定義する。
【0090】
【0091】
ここで、
図3Cに示されるように、x
0=x-〈x,m〉はxの基平面B上への投影であるが、h(x)=〈x,m〉は基平面上の点xの高さである。最初の行の次の2つの引数は、各々、押し出しの上面及び底面を作成する。この新しいジオメトリは、mに平行(または逆平行)な法線を伴う全ての面が層境界上にあり、残りの全ての面が層境界に垂直な法線を有するという要件を満たしている。
【0092】
いくつかの実施態様では、正則化された場Φ’は、全ての反復で最適化の出力として入力場Φに置き換えられる。いくつかの実施態様では、ジオメトリフィルターをさらにゆっくり導入でき、オプティマイザーに制約がない最適化を一定期間にわたって可能にし、次に、混合定数s∈[0,1]を使用して入力場及び出力場を混合することによって、制約を徐々に追加し、
【0093】
【0094】
最適化プロセスの開始時にsを0にすることが可能になり、次に、それはゆっくりと1まで増える(線形に、または任意の他の連続的な0-1関数に従って増える)。これは、Φ’及びΦを少なくともmax(abs(Φ(x)-Φ’(x)))と同じ大きさの狭帯域で符号付き距離フィールドに再初期化する必要があり得る。
【0095】
図2Aに戻ると、チェック260は、現在のモデルが安定解に収束したか否かを判定できる(すなわち、全ての設計制約を満たし、設計オブジェクトのバランスが制約を受けてさらに改善できないため、最終反復から、モデルオブジェクトの3D形状にほんのわずかな変化があったことを判定する)。さらに、いくつかの実施態様では、チェック270は、既定数の形状修正反復が完了したか否かを判定でき、その結果、反復修正プロセスは、既定数の反復(ユーザーによってまたは自動プロセスによって指定された反復数)の後に終了する。概して、数値シミュレーションの実行200、現在の3Dモデルの更新210、及び反復ループにおける他の動作(例えば、生成220、押し出し240、及び形成250)は、既定数の形状修正反復が行われるまで繰り返され、設計空間内のモデルオブジェクトのジェネレーティブに設計された3次元形状は、1つ以上の設計基準、1つ以上の使用時の荷重ケース、またはそれら両方を満たす。
【0096】
さらに、上述したように、ジオメトリフィルターは、トポロジー最適化プロセス中に3D形状の反復修正の過程にわたってゆっくりと導入できる。したがって、いくつかの実施態様では、反復的に修正することは、次のバージョンの3Dモデルが形成されたときの増加量(250)を、更新バージョンの3Dモデルの量(210)と混合することによって、モデルオブジェクトの現行バージョンの3D形状を(次の反復のために)作成すること(280)を含む。複数の反復のそれぞれについて、モデルオブジェクトの現行バージョンの3D形状は、前の反復からの次のバージョンの3D形状(直前のバージョン及び/またはこれより前のバージョン)を、前の反復の更新バージョンの3次元形状と混合することによって作成できる。さらに、混合で使用される次のバージョンの量は、更新バージョンのどれでもなく、次のバージョンの全てが、修正することの次の反復でモデルオブジェクトの現行バージョンの3D形状として使用されるまで、複数の反復のうちの2つ以上の後続の反復のそれぞれについて(例えば、後続のバージョンごとに、または潜在的に、混合比が一時的に減少するいくつかの反復が介在する場合)、更新バージョンの量に比べて増加する可能性がある。したがって、最適化ループで早期に、オプティマイザーは、シミュレーション結果のフィルタリングの実行の有無にかかわらず、ジオメトリフィルタリングからの制約をほとんどまたはまったく受けないで動作することが可能であり、次に、最適化ループの後半で、(複数の反復にわたって徐々に、または一度に全て)ジオメトリフィルタリングを追加して、最終的な出力ジオメトリが2.5軸ミリングと互換性があることを確実にできる。
【0097】
いくつかの実施態様では、最小形状サイズよりも小さいモデルオブジェクトのジェネレーティブに設計された3次元形状のいずれかの部分は、2.5軸減法製造プロセスの少なくとも1つの主軸において除去される(285)。小さな形状のそのような除去に関するさらなる詳細は、
図4Aに関連して下記に提供される。除去285を行うことができるのは、(i)
図2Aに示される形状の反復修正中(すなわち、最適化ループのステップとして、モデルオブジェクトの次のバージョンの3D形状でジオメトリのスライバーが除去される場合)、(ii)
図4Aに示される形状の反復修正後(すなわち、最適化が完了した後の後処理として行われる修正後)、または(iii)反復修正中及び反復修正後の両方、であることに留意されたい。
【0098】
さらに、いくつかの実施態様では、ラウンドミリング工具が2D層のシルエットに含まれるプロファイルを切削できることを確実にするために、モルフォロジークロージング演算が行われる。この演算は、工具のアクセス可能性を確実にするために、2D層シルエットのそれぞれで直接行うことができる。したがって、いくつかの実施態様では、2Dプロファイル表現のそれぞれは、モデルオブジェクトの物理構造を製造するために使用される1つ以上のコンピュータ制御製造システムでの使用に利用可能である最小のミリング工具の半径に少なくとも等しい量だけ外側にオフセットされる(230)。そして、この外向きのオフセット230に続いて、2Dプロファイル表現のそれぞれは、利用可能な最小のミリング工具の半径に少なくとも等しい量だけ内向きにオフセットされる(235)。各層のアクセス可能なプロファイルを形成するためのこれらのオフセット230、235は、押し出し240及び形成250の前に行う必要がある。さらに、いくつかの実施態様では、オフセットの量は、層をミリングするために必要とされる部品への工具進入に基づいて(例えば、進入に比例して、または進入に対して非線形に)設定される。例えば、オフセット230は、(ミリング方向に対する)2Dプロファイル表現の1つの別々の層の底部の高さと、(ミリング方向に対する)部品の上部の高さとの差に基づいて、別々の層のうちの1つの2Dプロファイル表現をオフセットするための量を設定すること(230)を含み得る。工具サイズのこの動的な調節を使用すると、切り込みの深さが増加するにつれて、非常に長くて細い、高価及び壊れやすい工具の必要性を回避することによって、製造性が向上することに留意されたい。
【0099】
図2Eは、工具アクセスのためのモルフォロジークロージングのグラフィック表現を示す。示されるように、モルフォロジークロージングは、入力プロファイル232に適用される曲線オフセット230Aを含み得、オフセット230Aの量は工具半径233に等しい。これにより、ジオメトリのこの層を切削するために使用される工具経路231のようなものが作成される。次に、このオフセット曲線231は、元のプロファイル232に向かって同じ量233だけ再びオフセットされ(235A)、工具がアクセスするには狭すぎる角にジオメトリ237Aが追加されることを除いて、元のプロファイルと同一である更新されたプロファイル237を作成する。
【0100】
数学的には、モルフォロジークロージングは、上記で作成された光線キャスト2D層シルエットから層l(
【0101】
【0102】
として示される)のアクセス可能な2D層シルエットを作成する。
【0103】
【0104】
ここで、init(・)関数は符号付き距離フィールドの再初期化手順である。したがって、このモルフォロジー接近は、ミリング中に部品にアクセス可能であることを確実にするために、部品に材料を効果的に追加する工具アクセスチェックに影響を与える。したがって、各点は、指定された直径または半径の工具が到達できる(例えば、角穴はない)。
【0105】
3軸及び5軸のミリングでは、工具のアクセス可能性チェックに工具ヘッドのモデルが組み込まれており、ユーザーが指定した長さの工具を使用して、部品を切削できることを確実にする。これを2.5軸で行うと、ヘッドが本体に干渉する不要な棚状部を作成できる。したがって、機械工が高額な費用をかけて特別注文の工具を必要とする可能性がある無限に長い工具を想定するのではなく、工具の溝付きの側面だけが部品境界ボックスに入ると想定する動的工具選択アプローチを採用でき、次に、安価ですぐに入手できるエンドミルで部品を切削できるように、適切なサイズの工具を選択する。
【0106】
図2Fは、工具モデリングアプローチを比較するグラフィック表現を示す。工具モデリングアプローチ234Aでは、固定直径の無限に長い工具が想定される。上述したように、これは、非現実的であり得る、または高価な工具の要求が生じ得る。対照的に、工具モデリングアプローチ234Bでは、工具径は計画された切削深さとともに大きくなる。いくつかの実施態様では、ユーザー(または自動プロセス)は、各層に選択された工具に対する下限として機能する最小工具サイズを供給する。層lに使用する工具径d
lは、式(9)に従って定義できる。
【0107】
【0108】
ここで、d
minはユーザー指定の最小直径であり、h
0は部品の上面(工具ホルダーに最も近い平面)の高さである。したがって、オフセットの量を設定することは、(i)利用可能な最小のミリング工具の半径の最大値、(ii)部品の上部と、機械加工される層の底部との差の既定の比の最大値に量を設定することを含み得、既定の比は、0よりも大きく、1よりも小さい(場合によって、1よりも大きい)。上記の例では、既定の比は2分の1であるが、他の既定の比も可能であり、部品の製造が予想される特定の工作機械に合わせて調整できる。このアプローチでは、異なる高さレベルで異なる角半径の望ましくない副次的影響が発生し、設計された部品に薄い棚状部が作成されるが、これらのアーチファクトは、
図4A及び
図4Bに関連して下記に説明される層アラインメント技術を使用して対処できることに留意されたい。
【0109】
さらに、hl+1とh0との間に差がある必要はない。すなわち、別々の層の1つの2Dプロファイル表現をオフセットする量を設定すること(230)は、(ミリング方向に対する)2Dプロファイル表現の1つの別々の層の底部の高さと、(ミリング方向に対する)部品の最上の別々の層の高さとの差に基づく必要はない。進入深さを切削する他の手段も可能である。ここで、h値は、層の高さ自体ではなく、層遷移の高さを指し、つまり、1つの層が終了して次の層が開始する部品の外部からミリング方向に沿った距離を指し、これは、層の中央面の高さに関連付けできることに留意されたい。N個の層がある場合、N+1の層遷移があり、ミリング方向に沿って測定したとき、最初の遷移は部品の上部で発生し、最後は部品の底部で発生する。
【0110】
いくつかの実施態様では、シルエットオフセット量は、ミリング方向に対して、部品の最上部と、次に深い層遷移(すなわち、現在の層の底部)との間の距離関数である。したがって、距離は、最上層の遷移から現在の層の底部まで測定され、切削の可能な最大深さに一致する。また、いくつかの実施態様では、シルエットオフセット量は、局所的な部品の上部と次に深い層遷移との間の距離関数である。したがって、距離は、現在モデル化されている切削が発生する領域で、部品の上部から局所的に測定される(すなわち、特定の領域の最上層に材料がない場合、評価には含まれない)。また、切削進入深さの他の測定も可能である。
【0111】
いくつかの実施態様では、オフセットの量を設定することは、(i)利用可能な最小のミリング工具の半径の最大値と、(ii)「現実的なミリング工具」のために選択された直径の最大値に量を設定することを含み、ミリング工具は切削の完全な深さに係合する溝を有する必要がある。この選択された直径は、ユーザー固有のまたは一般的にプロセスに適用可能のいずれかである利用可能なミリング工具の一覧表またはデータベース(業界標準の工具カタログ等)から取得できる。いくつかの実施態様では、直径は、典型的なエンドミル特性の専門知識から取得された溝の長さと工具の直径との間の方程式駆動の関係によって判定される。例えば、溝の長さと工具の直径との間の方程式駆動の関係では、固定の正の工具アスペクト比(例えば、式(9)の2分の1の比率)を使用できる、または、より一般的に、式(9)の分母に2を使用するのではなく、代わりに、変数rtを使用する。ここで、rtの値は、一般的な安価なミリング工具を表すために選択される。
【0112】
図4Aは、2.5軸減法製造プロセスと互換性のある3Dモデルを作成するために、ジオメトリフィルタリング、シミュレーション結果のフィルタリング、またはそれら両方を使用して、部品をジェネレーティブに設計するための追加のプロセス例を示す。
図4Aのプロセスは、
図1B~
図3Cに関連して上記に説明したプロセスのいずれかと組み合わせて実施できる。レベル集合表現を使用するプロセス等の境界ベースのジェネレーティブデザインプロセスの場合、ジェネレーティブデザインのトポロジーまたは1つ以上の個々の層のトポロジーを変化させるために、反復修正プロセス中に穴またはボイドを追加及び除去できる。穴/ボイドの除去は、形状修正プロセスの結果として穴/ボイドが閾値サイズよりも小さくなることに基づいて実施できる。例えば、穴/ボイドは、それらが工具半径よりも小さいサイズに縮小するとき、自動的に(オフセットの結果として)除去できる。さらに、穴/ボイドは、反復的な修正プロセス中に定期的に、または必要に応じて追加できる。
【0113】
したがって、チェック400を反復修正プロセス中に行って、現行バージョンの3D形状の陰面に追加のトポロジー変化を発生させるべきかどうかを判定できる。いくつかの実施態様では、既定数の反復が発生したかどうかをチェックする(400)。いくつかの実施態様では、チェック400は、現在のデータ(例えば、現在のシミュレーション結果または最適化手順中の形状の現在の変化率)を分析して、このデータによって、形状がトポロジー変化から利益をもたらすであろうことが示されるかどうかを確認することを含む。トポロジー変化が示される場合、境界ベースのジェネレーティブデザインプロセスで使用される陰面は、少なくとも1つのボイドで挿入するために修正される。いくつかの実施態様では、1つ以上のボイドが、例えば、2Dプロファイル表現の少なくとも1つのために生成された中心線を使用して選択された場所で、3D形状のレベル集合表現に挿入される(410)。この挿入410に関するさらなる詳細は、
図4C~
図4Eに関連して下記に提供される。いくつかの実施態様では、各層を評価して、ボイドをいずれかの層に安全に挿入できるかどうかを確認する。作成されるボイドが層の外部プロファイルに近づきすぎない場合(ボイドはジオメトリによって完全に含まれる必要がある)、ボイドの挿入は「安全」であり、ボイドは、(垂直壁を横断する穴開けを回避するために)対象の層の上/下にある層のプロファイルから妥当な距離にある。
【0114】
いずれの場合も、チェック430が既定数の形状修正の収束及び/または完了を示すまで、ジェネレーティブデザインプロセスは繰り返し行われる(420)。ジェネレーティブデザインプロセスは、上記に説明したジェネレーティブデザインプロセスのいずれかであり得、また、層アラインメントプロセスを含み得、層アラインメントプロセスでは、例えば、部品への工具進入に基づいて(例えば、進入に比例して、または進入に対して非線形に)オフセット量を設定することから生じる(他の場合、重なり得る)2つの層の角半径の望ましくない差が除去される。したがって、2Dプロファイル表現を比較して、少なくとも、(ミリング方向に対して)第2のプロファイル表現の上にある第1のプロファイル表現を識別でき、第1のプロファイル表現の第1の部と、第2のプロファイル表現の第2の部との間の距離は、閾値距離よりも短い(422)。
【0115】
そのようないずれかの第1のプロファイル表現及び第2のプロファイル表現(閾値距離内に部分を有する)が識別されるとき、第1のプロファイル表現の第1の部を変化させ、第2のプロファイル表現の第2の部と一致させることができ(424)、第1の部のいずれかの側で第1のプロファイル表現を修正して、変化から生じる第1のプロファイル表現の不連続部を除去できる(426)。この層アラインメントは、隣接層を効果的に一緒にスナップして、より機能的な設計を作成し、取得されるジェネレーティブデザイン結果の品質を向上させ、下流プロセスにおける結果の編集を容易にし、CAMプログラミング及び加工時間を短縮する。また、この層アラインメント技術は、部品への工具進入に基づいて(例えば、進入に比例して、または進入に対して非線形に)オフセット量を設定することを含まない実施態様でも役立つことに留意されたい。
【0116】
工具は段になった構造を効率的に切削できるが、層間の不要な棚状部は、応力集中装置、ブレーキングエッジ等の手動仕上げ手順、及び美的懸念が発生する。動的工具選択プロセスによって、深さが増加するにつれて半径が変化するかどうかに関係なく、ソルバーにはそれらを回避する理由がないため、形状合成プロセスで薄い棚状部が生じ得、狭い角に追加の棚状部が発生する。したがって、隣接プロファイルに層をアラインメントすることは、編集及びプログラミングのタスクを容易にし、応力集中装置、手動仕上げ手順、及び美的懸念を減らすために一般的に望ましいことである。
【0117】
薄い棚状部に対処するために、隣接層をアラインメントして、上層に材料を追加することによって、隣接層が十分に一緒に接近しているときはいつでも、滑らかなフランク面を作成できる。これを行うには、層のスタックを底部から上部(上部はスピンドルに最も近い場所)に移動できる。層シルエットのそれぞれの符号付き距離フィールド上の各ピクセルについて、プロファイル間のおおよその距離は、現在の層の符号付き距離値と下の層上の対応するピクセルの値との差として計算できる。
【0118】
プロファイル距離が指定された許容値よりも小さい場合、現在のピクセルの符号付き距離値を下の層の値と一致するように設定することによって、現在の層を移動して下の層と正確に整列できる。これにより、最上層のプロファイルに、補正領域と非補正領域との間で遷移する不連続部が生じ、代わりに、補正境界と非補正境界との間でスムーズな遷移が利用される。一定の遷移開始距離t1及び遷移終了距離t2として、t1より近いプロファイルが完全に整列し、t2より遠いプロファイルが不変である場合、ピクセルvの符号付き距離値は、式(10)に従って、下の層
【0119】
【0120】
から対応する符号付き距離値を考慮して更新できる。
【0121】
【0122】
ここで、補間式tは、プロファイルの完全にアラインメントされた部分と変化がない部分との間の遷移を管理する。層アラインメントにより、薄い棚状部が発生することなく、ポケットが複数の層にまたがることが可能になる。
【0123】
図4Bは、第1の層のプロファイルを第2の層のプロファイルと一致するように変化することから生じる不連続部を除去することに対する層アラインメントパラメータの影響の例428を示す。示されるように、t
1及びt
2の値に応じて、(下層の上の上層に対して)様々な新しい上部輪郭を作成できる。この例では、値は、(t
1=0.0、t
2=1.0)、(t
1=0.0、t
2=2.0)、及び(t
1=1.0、t
2=2.0)である。他の値も可能であり、さらに、不連続部の除去がもたらされる。実際には、符号付き距離フィールドの差
【0124】
【0125】
は、時々、境界から離れてわずかにノイズがあり、式(10)の補間後に不規則な出力プロファイルが作成される。したがって、いくつかの実施態様では、重みtは全てのボクセルにわたって計算され、次に、補間前にガウスぼかしが行われる。
【0126】
図4Aに戻ると、いくつかの実施態様では、反復的に修正すること(420)の後、3Dモデルを提供すること(450)の前に、最小形状サイズよりも小さいモデルオブジェクトのジェネレーティブに設計された3次元形状のいずれかの部分を、2.5軸減法製造プロセスの少なくとも1つの主軸において除去できる(440)。場合によっては、材料の薄いスライバーは、合成された形状で表示され、これは、例えば、プロファイルの崩壊または層内に配置された障害物が原因である(障害物は、ユーザーによって設計ドメインから除外された領域である)。これらの材料のスライバーは、上記で詳述した2.5軸加工に関する要件に技術的に準拠する小さなジオメトリの断片である(しかし、実際には、製造できない)。したがって、そのスライバーは、好ましくは、手動ではなく自動プロセスで除去する必要がある。最小形状サイズは、ユーザーによってまたは自動プロセスによって指定できることに留意されたい。さらに、上述したように、除去440は、ジェネレーティブデザインプロセス420の反復ループ内で行うことができる。
【0127】
いくつかの実施態様では、主軸の1つに沿った2つの隣接ボクセルが両方ともドメインの外側にあるとき、最終的な3Dジオメトリのドメインの内部からボクセルが除去される。いくつかの実施態様では、指定サイズよりも薄い2D層スライスの領域が除去される。所与のテストプロファイルの薄片は、モルフォロジーオープニングを実行し(すなわち、内向きオフセットを行って、符号付き距離フィールドを再正規化し、次に、同じ量の外向きオフセットを行う)、元の形状とはかなり異なるオープンバージョンのプロファイル内の領域を検索することによって識別できる。特に、開口距離よりも小さい大きさの差は、それ以外の大きいプロファイルの表面の細部に対応する一方、開口距離よりも大きい大きさの差は、開口距離の2倍よりもかなり薄い設計の領域に対応する。このテストは、2D層のそれぞれで行うことができ、また、2D層のそれぞれで、その層と交差する1つ以上の障害物を取り去り、薄すぎると識別された領域は、最終的な3Dジオメトリを構築する前に2D層から除去できる。
【0128】
いくつかの実施態様では、面積が小さい2D層スライスの領域が除去される。小さなエリアの領域は、2D層のレベル集合場を形状のブール(白黒)表現に変換することによって識別でき、この表現では、連結成分またはフラッドフィルアルゴリズムを使用して、近接する2D層のピクセルの領域を識別できる。小さすぎる領域は、指定された閾値未満のエリアを有する近接ボクセルのグループとして識別され、ブール減算または他の手段を使用して2D層プロファイルから除去される。上記のように、このテストは2D層プロファイルで行われ、オプションで、ブール減算によって1つ以上の交差する障害物が除去された2D層プロファイルでも行われ、修正された2D層プロファイルを使用して、最終的な3Dジオメトリが構築される。
【0129】
しかし、使用される特定のアプローチに関係なく、スライバーの除去により、その結果から小さな押し出し領域がなくなるため、最終的なジェネレーティブデザインの結果の品質が向上する。いったん、この後処理または他の後処理が完了すると(例えば、3Dモデルを別のコンピュータモデリング形式に変換すると)、物理構造の2.5軸減法製造で使用するために、ジェネレーティブに設計された形状及びトポロジーを伴うオブジェクトの3Dモデルが提供される(450)。この提供すること(450)は、提供すること(195)について、
図1Bに関連して上記に説明された詳細のいずれかを含み得る。
【0130】
さらに、上述したように、ジェネレーティブデザインプロセスは、ボイドを生成して、ジェネレーティブデザインされているモデルオブジェクトの3D形状の境界ベースの表現(例えば、レベル集合表現)に挿入すること(410)を含み得る。ジオメトリフィルタリングは、例えば、最適化ループの各反復で、2.5軸で製造可能になる結果をもたらすことを確実にできるが、このフィルタリングは、また、オプティマイザーがフランク面を変化できる部品のアクティブ表面を制限する可能性があり、収束が遅くなり、ジェネレーティブデザインの結果の品質を低下させる可能性がある。これに対処するために、(例えば、ジオメトリフィルターにおける)ボイド生成動作により、既存のフランク面から離れた部品の内部に穴を発生させ、操作する新しい表面積をオプティマイザーに提供できる。これにより、最初の形状がポケットを含まない場合でも、最終設計にポケットを含むことが可能になり、より最適な結果を得ることも可能になる。また、より大きなアクティブな表面積から各反復でより多くの材料を除去できるため、収束を加速できる。
【0131】
図4Cは、ボイドを生成して、例えば、3D形状のレベル集合表現に挿入する例を示す。この例は、数値シミュレーションからのフォンミス応力場の使用に基づいているが、例えば、数値シミュレーションによって提供されるいくつかのスカラー量等の、数値シミュレーションからの他の出力も様々な実施形態で使用でき、その値を表面速度に変換できる。
図4Cの例は、古典的なレベル集合トポロジー最適化のバブル法と同様の概念であり、ソルバーの結果(応力、ひずみエネルギー、トポロジー導関数等)から計算された場が特定の閾値(パーセンタイルまたは絶対量のいずれかの値)を下回る部品の領域にボイドが発生するが、本方法は2.5軸の製造要件に適応する。
【0132】
図3Bの例のように、入力形状412Aは3つの別々の層に存在し、それらの層のそれぞれは、ミリング方向405に垂直である。異なる数の別々の層を使用でき、別々の層のうちの1つ以上の層(または各層)は、異なる厚さを有し得る。さらに、フォンミス応力場412Bは、上記に説明したように、数値シミュレーションを使用して、入力形状412Aのために生成できる。次に、上記に説明した光線キャスティング技術を各々の別々の層のそれぞれに対して行うことができ、その結果、光線は各層内で局所的にキャストされ、キャスト光線に沿った最大値は各層に各々の別個の2D平面に収集される。したがって、シミュレーション結果場412B(例えば、フォンミス応力)は、層ごとに、各々の2Dスライス412C上に投影される。
【0133】
閾値を下回る各スライス412Cのそれぞれの領域412C-1、412C-2は2Dシルエットから除去されることにより、投影された3D体積にボイドが作成され、新しい形状412Dが作成される。使用される閾値は、グローバル応力場のパーセンタイルであり得る、または他の手段により導出できる。ここで、結果として生じる形状412Dはアンダーカット部を含むが、これは、埋め込まれたボイドを上にある全ての層に延在することによって、またはボイドの上に材料があるボイドを除去することによってのいずれかで補正できる。したがって、シードは、気泡ではなくシリンダー(その側面はミリング方向に平行である)で行われる。また、結果として生じる形状により、選択した工具がアクセスできないポケットが発生し得る。結果が許容できるものであることを確実にするために、ボイド生成動作410は、ジオメトリフィルターの工具アクセス動作230、235の前に配置でき、これにより、工具アクセスにより、生成されたボイドの一部が埋まり得る。
【0134】
図4Dは、ボイドを生成して、例えば、3D形状のレベル集合表現に挿入する別の例を示す。この例は、形状スケルトンの使用に基づいている。ボイドの場所を選択する際にソルバー場を使用するのではなく、形状スケルトンを使用して、指定の体積のボイドが作成されるまで、1つ以上の層が部品まで下がるように延在する円柱状ボイドを配置する場所を推測できる。いくつかの実施態様では、工具の直径以上の円形ボイド(例えば、5%~75%大きく、いくつかの実施態様では、工具の直径より50%大きい)を、部品の事前に判定された体積が除去されるまで、形状の中心線に沿って一定間隔で配置できる(「目標ボイド体積」は、事前に固定され得る、ユーザーが指定し得る、または収束に達したときに動的に調節され得る)。目標ボイド体積は、(例えば、狭い形状に応力集中が発生することによって)最適化問題が大幅に変化するほど多くの材料を除去することなく、最適化プロセスに有意義に影響を与えるのに十分なトポロジー変化が生じるように選択する必要がある。この中心線駆動のジオメトリボイド間隔スキームは、収束率を向上させ、最終的な3D形状が、人間が2.5軸減法製造プロセスでの部品を設計する方法により類似しているという点でより高品質の結果を提供できる。
【0135】
ボイドが部品内で1つの層だけが延在する場合を考える。本プロセスは、上の層から領域416A及び層415A(ボイドを追加する必要はない)と交差する保存ジオメトリを取り去ることによって、現在の層プロファイル414A上の「自由」表面を計算することから始まる。次に、自由表面414Bの形状スケルトン416Bを計算し、境界から十分に離れている(例えば、ボイドが最小の壁厚を維持する)スケルトンに沿った点は、候補ボイド場所416Cとして識別される。最小形状サイズ制約が適用されるとき、「十分に遠い距離の」測定値を明示的に指定できる、または、ユーザーから明示的な値を要求できる、または、壁厚は、同じボイド生成アルゴリズムを使用できる、2.5軸ミリングの場合に0.5*(層の高さ)及び2軸切削の場合に0.35*(部品の高さ)として推定できることに留意されたい。
【0136】
自由表面境界414Bから最も遠い候補点416Cから開始して、候補ボイド416Dは、指定された「リブ厚」によって互いに分離されるように選択される。最小形状サイズの制約が適用される場合、リブ厚は少なくとも必要な最小の厚さであり得る。リブ厚は、また、壁厚の定数倍(例えば、0.5*壁厚)として、工具サイズの一部として、または最小形状サイズ、壁厚の一部、及び工具サイズの一部のいくつかの組み合わせとして選択できる。いくつかの実施態様では、候補ボイド416Dは、形状中心線に沿った一定間隔に従って選択される。いくつかの実施態様では、候補ボイド416Dは、指定の体積の材料(この層の目標ボイド体積)が除去されるまで、または候補ボイドがなくなるまで連続的に選択される。次に、対応するボイド416Eが層プロファイルから除去され、生成されたボイドの体積が目標体積よりも小さい場合、プロセスは次の下の層に続く。
【0137】
さらに、部品の深部に2つ以上の層があるボイドを生成することが望ましい。この場合、現在の層のボイド生成は、より深いボイドの作成を試みることから始まり、目標体積が除去されるまで、候補のボイドがなくなるまで、より浅いボイドになるまで続く。部品の奥深くまで浸透するボイドの生成は、2つの点で単層生成とは異なる。第1に、使用される利用可能な表面は、自由表面が現在の(上部)層の保存ジオメトリを取り去ることだけでなく、ボイドが交差する層の保存ジオメトリを取り去ることも考慮する。この制限された利用可能な表面は、多層ボイドが生成できる縮小領域を作成し得る。第2に、動的工具サイジングが可能で、穴が、指定された最小工具直径が到達できる位置よりも深い場合、ボイドが深くなるにつれて、より大きな直径が必要であり得る。これらの2つの検討事項により、特定の深さのボイドがわずかしか(またはまったく)生成されない可能性があり、全ての候補ボイド点が選択または破棄されるまで(または、目標ボイド体積に達するまで)、実行は連続して浅いボイドに進む。
【0138】
いくつかの実施態様では、ボイド生成は複数のパスに分割され、各パスはボイド体積全体の一部だけに寄与する。これによって、生成されたボイドは、全て最初の利用可能な表面の形状スケルトン上にあるように強制されるのではなく、部品全体にさらに広く分散され、これにより、ボイドが比較的小さいとき、利用可能な表面の小さな領域にボイドの生成が生じ得る。これは、第1のパスで以前のように少数のボイドを挿入し、次に、形状スケルトンが自由表面の外縁と第1のパスで配置されたボイドとの間にあるように、更新された自由表面の形状スケルトンを再計算することで達成される。後続のパスは、この手順を反復して繰り返すことによって実施できる。数個のボイドを生成し、次に、形状スケルトンを再計算し、次に、追加のボイドを生成すること等が行われる。
図4Eは、複数のパスにわたってボイド生成を分割する影響の例を示す。1回のパスの場合、利用可能な表面418Aのプロファイルが上記に説明したように処理され、元のスケルトンの1回のパスでボイド418Bの全てが生成される。2回のパスの場合、いくつかのボイド418C(例えば、ボイドの半分)が第1のパスで生成され、次に、新しいスケルトンが第2のパスで作成され、そのスケルトンを使用して、残りのボイド418Dを生成する。
【0139】
下記の表1は、(単一の着手方向405に)ジオメトリボイド生成手順の擬似コードを含む。
【0140】
【0141】
FindVoids関数は、形状スケルトンを使用して、開始層及び終了層と、ボイド体積目標とを考慮して、ボイドを特定する。下記の表2は、FindVoids関数の擬似コードを示す。生成されるボイドのリストが関数に渡され、関数によって更新される。ボイドは、表1に示される擬似コードのPlaceVoids()の一部として層オブジェクトに作成される。
【0142】
【0143】
下記の表3は、ボイドを生成する必要がある領域の計算に使用されるGetAvailableSurface()関数の追加の詳細を示す。利用可能な表面は、最上層の自由表面で構成され(層プロファイルのブール値は上の層のプロファイルを取り去り、次に、ボイドが保存領域の内側でまたは保存領域に近すぎて生成されないことを確実にするように、ボイドが交差する各連続層の投影された保存領域を取り去る。
【0144】
【0145】
上記の擬似コードの例は、下記の表4に説明されるいくつかのユーティリティ関数を参照している。
【0146】
【0147】
上記の様々な実施形態の説明は、単一のセットアップ(1つのミリング方向だけ)のために部品形状を最適化することに焦点を合わせている。しかし、説明した実施態様では、2つ以上のセットアップ(2つ以上のミリング方向)に拡張できる。2つ以上のミリング方向は、ユーザー入力によってまたは自動検出によって判定できる。また、2つ以上のミリング方向は、反対の符号を有する平行な(同軸または同一線上の)ミリング方向及び/または非平行ミリング方向の1つ以上の対を含み得る。いくつかの実施態様では、第2のミリング方向は同一直線上にあるが、最初のミリング方向と反対である(すなわち、部品が機械加工され、反転され、再度機械加工される)が、ここで説明されるアプローチは、追加の非同一直線上のミリング方向に適用できる。
【0148】
2.5軸のシミュレーション結果及びジオメトリフィルタリング動作は、ミリング方向ごとに単独で行われ、それらを組み合わせてフィルター出力を形成できる。各ミリング方向は独自の別々の層のセットを有し得る。これらの別々の層は同様に定義できる。すなわち、(幾何学的に同等の層境界場所で動作する同軸ミリング方向の対を作成するように)同じ数の全層及び同じ厚さ(複数可)の層に定義できるが、各ミリング方向に対する3D形状の配向が異なる場合、通常、層のジオメトリが異なるため、これらの層は、依然として、別々の層の各々のセットと見なされる。代替として、別々の層は、2つ以上のミリング方向のうちの1つ以上のそれぞれについて異なるように定義でき、すなわち、異なるミリング方向に対して異なる数の層及び異なる層の厚さに定義できる。
【0149】
複数の部品セットアップ(複数のミリング方向)のシミュレーション結果のフィルタリングの場合、シミュレーション結果のフィルタリングは単一のセットアップの場合と同様に行われるが、部品セットアップのそれぞれ(各ミリング方向)に対して独立して行われる。次に、結果が最終場にマージされ、オプティマイザーに戻る。最終場(ψ′′)は、式(11)に従って、各セットアップからの3D出力場(セットアップ1..mの場合はψ′i)と、入力場ψの値から成る。
【0150】
【0151】
これにより、オプティマイザーは、各ボクセルのフィールド値を、ボクセルと交差するセットアップ方向のいずれかで検出された最小値で確認できるが、ソルバーによって選択された値よりも決して小さくなることはない。
【0152】
複数の部品セットアップ(複数のミリング方向)のジオメトリフィルタリングの場合、ジオメトリフィルターは各セットアップ(各ミリング方向)で独立して実行する。次に、ブール交差を使用して結果を組み合わせることによって、最終形状が構築される。これは、ミリング機械の挙動をエミュレートし、各セットアップで実行される工具経路により、ジオメトリの異なる部分が除去され、最終形状が作成される。
【0153】
したがって、2Dプロファイルの生成220は、2つ以上のミリング方向のそれぞれに対して行われ、更新バージョンの3次元形状の2Dプロファイル表現の各々のセットが作成され、押し出し240は、2つ以上のミリング方向に対して行われ、各々の2つ以上のミリング方向に垂直な法線を伴うフランク面を有する3D表現の各々のセットが作成される。さらに、形成すること(250)は、3次元表現の各々のセットにおいて3D表現のブール結合を行って、2つ以上のミリング方向のそれぞれに、1つ以上の3D物体を作成することと、2つ以上のミリング方向に作成された3D物体のブール交差を行って、モデルオブジェクトの次のバージョンの3次元形状を形成することとを含む。
【0154】
図5Aは、3つのミリング方向(例えば、3つのセットアップ)による、ジオメトリフィルタリングの例を示す。工作機械500は、3つの方向A、B、Cからの入力ジオメトリ510へのアプローチで示される(ミリング方向Cは、ミリング方向Aと逆平行であることに留意されたい)。また、これらの部品セットアップのミリング方向A、B、Cのそれぞれは、正則化フィルターの3D結果515A、515B、515Cと一緒に、減法製造機械のミリング方向505に関して示される。この例は、CNC機械が実際に2.5軸機械である場合に焦点を当てているため、各ミリング方向は異なる部品セットアップに対応し、部品は手動で再配置され、CNC機械に固定されること留意されたい。しかしながら、説明されるシステム及び技術は3軸及び5軸のCNC機械で使用できるため、既定数の部品セットアップよりも少ない数で、既定数のミリング方向が生じ得る。いずれの場合も、正則化フィルターによって作成された3D形状515A、515B、515Cが交差することによって(520)、最終形状525が作成される(比較のために、元の形状510が破線でオーバーレイされている)。
【0155】
この例では、入力ジオメトリ510は、セットアップごとに1つずつ、異なる層仕様で3回フィルタリングされ、結果は、最終形状525を形成するために交差する。(内部ボイドが3つのセットアップの全てからアクセスできないため)内部ボイド512が除去されていることに留意されたい。上部の切り欠き514は、指定された層の場所と整列しなかった入力ジオメトリが原因でわずかにずれている。入力部品510の左下の斜め切り部516は、セットアップBによって実現できず、代わりに、セットアップCを使用して階段ステップで近似される。最終部品は、入力に最も近い完全に2.5軸の製造可能なジオメトリである。マルチセットアップフィルターの出力は、構造上、常に入力形状を完全に含む(材料だけが追加されている)ことに留意されたい。数学的には、各セットアップのジオメトリ正則化結果の3Dレベル集合場ψ′(i=1..m)と仮定して、最終レベル集合関数(ψ′′)は次のように構成される。
【0156】
【0157】
また、入力形状と出力形状との間の補間は、さらに、式(7)の数式を使用して達成できることに留意されたい。
【0158】
さらに、いくつかの実施態様では、複数の利用可能なミリング方向(例えば、複数の部品のセットアップ)を考慮して、ボイド生成を修正できる。応力駆動型ボイド生成アプローチでは、複数のセットアップの問題に対応するために変更を加える必要はないが、ジオメトリボイド生成の場合、2つの望ましくない状況を補正する必要がある。第1に、下層のフランクエッジと交差するボイドが生成されることは望ましくない。第2に、最終部品に全面的に現れる表面にだけボイドを生成することが望ましい。
【0159】
図5Bは、複数のミリング方向(例えば、複数のセットアップ構成)の場合の望ましくないボイド場所の例を示す。現在のミリング方向505A及びこのセットアップのための突起555を作成する利用可能な表面断面550について、ボイド560は、第2のミリング方向505Bの反対のミリングセットアップで最終形状565の境界と交差するため望ましくない。別の例として、現在のミリング方向505A及び利用可能な表面断面570について、ボイド575は、異なるミリング方向505Cによって生成された形状580と交差するため望ましくない。
【0160】
これらの変化を説明するために、自由表面及び利用可能な表面の定義を修正する。第1の欠陥は、逆平行ミリングセットアップで「対応する」層を識別し、ボイドが交差する各層の利用可能な表面からプロファイル境界の周りの狭帯域を除去することによって回避できる。止まり穴と貫通穴はさらに作成することが可能であるが、いずれかの対応する層のプロファイル境界に位置する穴は削除されることに留意されたい。下記の表5は、複数の着手方向に対してGetAvailableSurface()のこの更新を示す擬似コードを含む(変更はイタリック体で示される)。
【0161】
【0162】
第2の欠陥は、自由表面を再定義することによって修正できる。ソリッド層プロファイルを、最初の層シルエットを定義するために使用した動作と同様の光線キャスト動作で定義する。ただし、光線が、層を横断する大部分の形状の内側に光線がなかった内点を除く。次に、上の層の層プロファイルのソリッド層プロファイルのブール値の差として、自由表面を再定義する。
【0163】
図6は、クライアントまたはサーバーとしてプログラムできるデータ処理装置600を含むデータ処理システムの概略図である。データ処理装置600は、ネットワーク680を経由して1つ以上のコンピュータ690に接続されている。
図6にデータ処理装置600として1つのコンピュータだけが示されるが、複数のコンピュータを使用できる。データ処理装置600は、アプリケーション層とオペレーティングシステムとの間で分散できる様々なソフトウェアモジュールを含む。これらは、上記に説明したシステム及び技術を実装する1つ以上の3Dモデリングプログラム604のツール及びサービスを含む、実行可能及び/または解釈可能なソフトウェアプログラムまたはライブラリを含み得る。したがって、3Dモデリングプログラム(複数可)604は、CADプログラム(複数可)604(CADプログラム(複数可)116等)であり得、トポロジー最適化及び物理シミュレーション動作(有限要素解析(FEA)またはその他)のための1つ以上のジェネレーティブデザインプロセスを(例えば、ジェネレーティブデザインのレベル集合ベースの方法(複数可)を使用して)実施でき、トポロジー最適化及び物理シミュレーション動作は、ジオメトリフィルタリング、シミュレーション結果のフィルタリング、層アラインメント、及び/または複数のミリング方向(例えば、複数の部品のセットアップ)の有無にかかわらないボイド生成及び挿入を組み込んでいる。さらに、プログラム(複数可)604は、潜在的に製造制御動作を実施できる(例えば、設計されたオブジェクトの製造を実施するための工具経路仕様の生成及び/または適用する)。使用されるソフトウェアモジュールの数は、実施態様ごとに異なる可能性がある。さらに、ソフトウェアモジュールは、1つ以上のコンピュータネットワークまたは他の適切な通信ネットワークによって接続された1つ以上のデータ処理装置上に分散できる。
【0164】
データ処理装置600は、また、1つ以上のプロセッサ612、1つ以上の追加のデバイス614、コンピュータ可読媒体616、通信インターフェイス618、及び1つ以上のユーザーインターフェイスデバイス620を含む、ハードウェアデバイスまたはファームウェアデバイスを含む。プロセッサ612のそれぞれは、データ処理装置600内で実行するための命令を処理することが可能である。いくつかの実施態様では、プロセッサ612はシングルスレッドプロセッサまたはマルチスレッドプロセッサである。プロセッサ612のそれぞれは、コンピュータ可読媒体616、または追加のデバイス614の1つ等のストレージデバイスに記憶された命令を処理することが可能である。データ処理装置600は、通信インターフェイス618を使用して、例えば、ネットワーク680を通じて、1つ以上のコンピュータ690と通信する。ユーザーインターフェイスデバイス620の例は、ディスプレイ、カメラ、スピーカー、マイクロフォン、触覚フィードバックデバイス、キーボード、マウス、ならびにVR機器及び/またはAR機器を含む。データ処理装置600は、例えば、コンピュータ可読媒体616または1つ以上の追加デバイス614(例えば、1つ以上のハードディスクデバイス、光ディスクデバイス、テープデバイス、及びソリッドステートメモリデバイス)に、上記に説明したプログラム(複数可)に関連付けられる動作を実施する命令を記憶できる。
【0165】
本明細書に説明される主題及び機能的動作の実施形態は、本明細書に開示される構造及びそれらの構造的同等物を含む、デジタル電子回路で、またはコンピュータソフトウェア、ファームウェア、もしくはハードウェアで、あるいはそれらの1つ以上の組み合わせで実施できる。本明細書に説明される主題の実施形態は、データ処理装置による実行のために、またはデータ処理装置の動作を制御するために、非一時的なコンピュータ可読媒体上にエンコードされたコンピュータプログラム命令の1つ以上のモジュールを使用して実施できる。コンピュータ可読媒体は、小売販路を通して販売された、コンピュータシステムのハードドライブもしくは光ディスク、または組み込みシステム等の製品であり得る。コンピュータ可読媒体は、別個に取得され、後で(例えば、有線ネットワークまたは無線ネットワークを通じてコンピュータプログラム命令の1つ以上のモジュールの配信後に)、コンピュータプログラム命令の1つ以上のモジュールでエンコードできる。コンピュータ可読媒体は、機械可読ストレージデバイス、機械可読ストレージ基板、メモリデバイス、またはそれらの1つ以上の組み合わせであり得る。
【0166】
本明細書で使用される「データ処理装置」という用語は、例として、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、または複数のプロセッサもしくは複数のコンピュータを含む、データを処理するための全ての装置、デバイス、及び機械を含む。装置は、ハードウェアに加えて、対象のコンピュータプログラムの実行環境を作成するコード(例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、ランタイム環境、またはそれらの1つ以上の組み合わせを構成するコード)を含み得る。さらに、装置は、ウェブサービス、分散コンピューティング、及びグリッドコンピューティングインフラストラクチャ等の様々な異なるコンピューティングモデルインフラストラクチャを使用できる。
【0167】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト、またはコードとしても既知である)は、コンパイル型言語もしくはインタプリタ型言語、宣言型言語もしくは手続き型言語を含む、任意の形態のプログラム言語で書くことができ、また、プログラムは、独立型プログラムとしての形態、またはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、もしくはコンピューティング環境での使用に適切な他のユニットとしての形態を含む、任意の形態で展開できる。コンピュータプログラムは必ずしもファイルシステムのファイルに対応するわけではない。プログラムは、他のプログラムまたはデータ(例えば、マークアップ言語の文書に記憶された1つ以上のスクリプト)を保持するファイルの一部に、対象のプログラム専用の単一ファイルに、または複数のコーディネートファイル(例えば、1つ以上のモジュール、サブプログラム、またはコードの一部を記憶するファイル)に記憶できる。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上でまたは複数のコンピュータ上で実行されるように展開でき、複数のコンピュータは、1つのサイトに位置する、または複数のサイトにわたって分散され、通信ネットワークによって相互接続される。
【0168】
本明細書に説明されるプロセス及び論理フローは、1つ以上のコンピュータプログラムを実行する1つ以上のプログラム可能なプロセッサによって行われ、入力データを操作して出力を生成することによって機能を行うことができる。また、プロセス及び論理フローは、専用論理回路、例えば、FPGA(フィールドプログラムゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)により実行され得、装置もまた、専用論理回路、例えば、FPGA(フィールドプログラムゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)として実装され得る。
【0169】
コンピュータプログラムの実行に適切なプロセッサは、例として、汎用マイクロプロセッサ及び専用マイクロプロセッサの両方、ならびに任意のタイプのデジタルコンピュータの任意の1つ以上のプロセッサを含み得る。概して、プロセッサは、リードオンリメモリ、ランダムアクセスメモリ、またはそれら両方から命令及びデータを受信する。コンピュータの重要な要素として、命令を実行するためのプロセッサと、命令及びデータを記憶するための1つ以上のメモリデバイスが挙げられる。概して、コンピュータは、また、データを記憶するための1つ以上の大容量ストレージデバイス(例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、または光ディスク)を含む、あるいは大容量ストレージデバイスからデータを受信する、もしくは大容量ストレージデバイスにデータを転送する、またはそれら両方を行うように動作可能に結合される。しかしながら、コンピュータにそのようなデバイスを有する必要はない。さらに、コンピュータは、ほんの数例を挙げると、別のデバイス、例えば、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、モバイルオーディオまたはビデオプレーヤー、ゲーム機、全地球測位システム(GPS)受信機、またはポータブルストレージデバイス(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)フラッシュドライブ)に組み込むことができる。コンピュータプログラム命令及びデータを記憶するために適切なデバイスは、例として、半導体メモリデバイス(例えば、EPROM(消去可能プログラマブルリードオンリメモリ)、EEPROM(電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ)、及びフラッシュメモリデバイス)、磁気ディスク(例えば、内蔵ハードディスク及びリムーバブルディスク)、光磁気ディスク、ならびにCD-ROMディスク及びDVD-ROMディスクを含む、不揮発性メモリ、媒体、及びメモリデバイスの全ての形態を含む。プロセッサ及びメモリは、専用論理回路によって補完できる、または専用論理回路に組み込みできる。
【0170】
ユーザーとのインタラクションを提供するために、本明細書に説明される主題の実施形態は、ユーザーに情報を表示するための表示デバイス(例えば、LCD(液晶ディスプレイ)ディスプレイデバイスまたはOLED(有機発光ダイオード)ディスプレイデバイス)、また別のモニタと、ユーザーが入力をコンピュータに提供できる、キーボード及びポインティングデバイス(例えば、マウスまたはトラックボール)とを有するコンピュータ上に実装される。他のタイプのデバイスは、同様に、ユーザーとのインタラクションを提供するために使用できる。例えば、ユーザーに提供されるフィードバックは、任意の適切な形式の感覚フィードバック(例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、または触覚フィードバック)であり得、ユーザーからの入力は、音響、会話、または触覚の入力を含む任意の適切な形式で受信できる。
【0171】
コンピューティングシステムは、クライアント及びサーバーを含み得る。クライアント及びサーバーは、概して、互いにリモートにあり、通常、通信ネットワークを経由して交信する。クライアント及びサーバーの関係は、各々のコンピュータで実行され、互いにクライアントとサーバーとの間の関係を有するコンピュータプログラムによって生じる。本明細書に説明される主題の実施形態はコンピューティングシステムに実装でき、コンピューティングシステムは、バックエンドコンポーネント(例えば、データサーバーとして機能する)を含む、もしくはミドルウェアコンポーネント(アプリケーションサーバー等)を含む、もしくはフロントエンドコンポーネント(例えば、ユーザーが本明細書に説明される主題の実施態様と対話できるグラフィカルユーザーインターフェイスまたはブラウザユーザーインターフェイスを有するクライアントコンピュータ)を含む、またはそのようなバックエンドコンポーネント、ミドルウェアコンポーネント、もしくはフロントエンドコンポーネントの1つ以上の任意の組み合わせを含む。システムのコンポーネントは、任意の適切な形式または媒体のデジタルデータ通信(例えば、通信ネットワーク)によって相互接続できる。通信ネットワークの例は、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)及びワイドエリアネットワーク(「WAN」)、インターネットワーク(例えば、インターネット)、ならびにピアツーピアネットワーク(例えば、アドホックピアツーピアネットワーク)を含む。
【0172】
本明細書は多くの実施態様の詳細を含むが、これらは、主張されている内容または主張され得る内容の範囲に対する制限として解釈すべきではなく、開示された主題の特定の実施形態に固有の特徴の説明として解釈すべきである。別の複数の実施形態の文脈で本明細書に説明される特定の特徴は、また、単一の実施形態でも組み合わせて実施できる。逆に、単一の実施形態の文脈において説明される様々な特徴は、また、複数の実施形態で別個に、または任意の適切なサブコンビネーションで実施できる。さらに、特徴は、特定の組み合わせで働くものとして上記に説明され、最初にそのように主張され得ても、主張された組み合わせからの1つ以上の特徴は、場合によって、組み合わせから削除でき、主張された組み合わせは、サブコンビネーションまたはサブコンビネーションの変形を対象とし得る。
【0173】
同様に、動作は特定の順序で図面に示されるが、これは、望ましい結果を達成するために、そのような動作が示される特定の順序もしくは順番で行われること、または示される全ての動作を行うことを必要とするものとして理解すべきではない。特定の状況では、マルチタスク及び並列処理は有利になり得る。さらに、上記に説明した実施形態における様々なシステムコンポーネントの分離は、全ての実施形態においてそのような分離を必要とするものとして理解すべきではなく、説明されるプログラムコンポーネント及びシステムは、概して、単一のソフトウェア製品に一緒に統合できる、または複数のソフトウェア製品にパッケージ化できることを理解すべきである。
【0174】
したがって、本発明の特定の実施形態が説明されている。他の実施形態は、以下の特許請求の範囲の中にある。さらに、特許請求の範囲に記載されているアクションは、異なる順序で行われ、さらに望ましい結果を達成できる。