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特許7576641空調設備管理システムおよび空調設備管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-23
(45)【発行日】2024-10-31
(54)【発明の名称】空調設備管理システムおよび空調設備管理方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/36 20180101AFI20241024BHJP
   F25B 49/02 20060101ALI20241024BHJP
   F24F 11/63 20180101ALI20241024BHJP
   F24F 11/89 20180101ALI20241024BHJP
【FI】
F24F11/36
F25B49/02 520Z
F24F11/63
F24F11/89
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023023403
(22)【出願日】2023-02-17
(65)【公開番号】P2024117351
(43)【公開日】2024-08-29
【審査請求日】2023-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】日本キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】山根 宏昌
【審査官】奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-170257(JP,A)
【文献】国際公開第2022/264399(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00-13/32
F25B 49/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を用いて空調対象の空間の空調を行う空調設備を管理し、
前記空調設備内を循環する冷媒量および前記冷媒の燃焼下限界の情報を記憶する冷媒情報記憶部と、
前記空調設備による空調対象の空間容量を計測する空間容量計測部と、
前記空間容量計測部で計測された前記空調対象の空間容量の情報と、前記冷媒情報記憶部に記憶された前記冷媒量および冷媒の燃焼下限界の情報とに基づいて、前記空間における前記冷媒の漏えい対策のための安全装置の設置要否を判定する判定部と、
前記空調設備に前記安全装置が接続されると、これを検知する接続検知部と、
前記判定部の判定結果および前記接続検知部による検知結果に基づいて前記空調設備の運転可能/不可能を切り替えるインターロック機能を有するインターロック機能部と、を備え、
前記インターロック機能部は、
前記判定部が安全装置の設置を必要と判定し、且つ前記接続検知部で前記安全装置の接続が検知されていないときには、前記インターロック機能をON状態にして前記空調設備の運転が実行不可能な状態にし、
前記判定部が安全装置の設置を必要と判定し、且つ前記接続検知部で前記安全装置の接続が検知されているときには、前記インターロック機能を解除状態にして前記空調設備の運転が可能な状態にし、
前記判定部が安全装置の設置を不要と判定したときには、前記接続検知部の検知結果に関わらず、前記インターロック機能を解除状態にして前記空調設備の運転が可能な状態にする、空調設備管理システム。
【請求項2】
前記判定部は、所定期間ごとに前記判定の処理を行う、請求項1に記載の空調設備管理システム。
【請求項3】
前記インターロック機能部は、
前記インターロック機能をON状態に切り替えたときには、前記インターロック機能をON状態に切り替えたことを示すインターロックON通知を生成し、前記空調設備内の出力装置から出力させ、
前記インターロック機能を解除状態に切り替えたときには、前記インターロック機能を解除状態に切り替えたことを示すインターロック解除通知を生成し、前記空調設備内の出力装置から出力させる、請求項に記載の空調設備管理システム。
【請求項4】
冷媒を用いて空調対象の空間の空調を行う空調設備を管理する空調設備管理システムが、
前記空調設備内を循環する冷媒量および前記冷媒の燃焼下限界の情報を予め記憶し、
前記空調設備による空調対象の空間容量を計測し、
計測した前記空調対象の空間容量の情報と、記憶した前記冷媒量および冷媒の燃焼下限界の情報とに基づいて、前記空間における前記冷媒の漏えい対策のための安全装置の設置要否を判定し、
前記空調設備に前記安全装置が接続されると、これを検知し、
前記安全装置の設置を必要と判定し、且つ前記安全装置の接続が検知されていないときには、前記空調設備の運転可能/不可能を切り替えるインターロック機能をON状態にして前記空調設備の運転が実行不可能な状態にし、
前記安全装置の設置を必要と判定し、且つ前記安全装置の接続が検知されているときには、前記インターロック機能を解除状態にして前記空調設備の運転が可能な状態にし、
前記安全装置の設置を不要と判定したときには、前記空調設備に前記安全装置が接続されているか否かに関わらず、前記インターロック機能を解除状態にして前記空調設備の運転が可能な状態にする、空調設備管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空調設備管理システムおよび空調設備管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オゾン層破壊防止および地球温暖化防止の観点から、空調設備の冷凍サイクルに用いる冷媒を、地球温暖化計数が低いR32、プロパン、またはイソブタンに代替する動きが加速されている。しかし、これらの冷媒は可燃性であるため、使用時に冷媒が空調室内に漏えいした場合にこれを検知し、発火を防ぐための対策をとる必要がある。
【0003】
この対策として、ビル用マルチ空調設備による空調対象とする室内において、空調設備に充填された全冷媒量が、当該室内に漏えいした場合の仮想的な最大濃度である比充填量(空間の体積に対する全冷媒量の割合)が、冷媒の種類毎に定められた燃焼下限界(LFL:Lower Explosion Limit)を超える場合には、冷媒の漏えいを検知して冷媒を遮断する等の安全対策をとるための安全装置を設置することが義務付けられている。
【0004】
空調対象の室内に安全装置を設置する必要があるか否かは、空調設備の設置時に設備設置業者が、空調対象とする空間の容積、当該空調設備で用いる冷媒量、およびこの冷媒のLFLとに基づいて判定している。そして設備設置業者は、安全装置を設置する必要があると判定すると、空調対象の空間内に安全装置を設置し、室内機に接続させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-143800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
空調設備を設置した空間の用途変更により、パーテーション等の仕切りが取り付けられて空調対象の空間が狭くなった場合、または仕切りが取り外されて空調対象の空間が広くなった場合には、安全装置の要否が変わる場合がある。
【0007】
しかし、空調対象の空間の大きさが変わる都度、設備設置業者が空調対象とする空間の新たな容積の情報を取得して安全装置の要否を判定する作業を行うのは手間がかかるという問題があった。
【0008】
また、空調設備の設置当時は安全装置の設置が不要であったが、利用者側の用途変更により空間内に仕切りが取り付けられて空調対象の空間が狭くなり、安全装置の設置が必要になった場合にも、空調設備の管理者側でこれを認識できずに適切に対応できない場合があるという問題があった。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、空調対象の空間の大きさが変更した場合にも、空調設備で用いる冷媒の漏えいに対する安全装置の設置の要否を容易に判定することが可能な、空調設備管理システムおよび空調設備管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、空調設備管理システムは、冷媒を用いて空調対象の空間の空調を行う空調設備を管理し、冷媒情報記憶部と、空間容量計測部としての計測センサと、判定部とを備える。冷媒情報記憶部は、空調設備内を循環する冷媒量および冷媒の燃焼下限界の情報を記憶する。計測センサは、空調設備による空調対象の空間容量を計測する。判定部は、計測した空調対象の空間容量の情報と冷媒量および冷媒の燃焼下限界の情報とに基づいて、空調対象の空間における冷媒の漏えい対策のための安全装置の設置要否を判定する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態による空調設備管理システム1の構成を示す全体図である。
図2】本発明の一実施形態に係る空調設備管理システム1内の室内制御装置および室外制御装置の構成を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態に係る空調設備管理システムの稼動中に室外機が実行する処理を示すフローチャートである。
図4】本発明の一実施形態に係る空調設備管理システムの稼動中に室内機が実行する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の空調設備管理システムの実施形態について、以下に図面を参照して説明する。
【0013】
〈一実施形態による空調設備管理システムの構成〉
図1は、本発明の一実施形態による空調設備管理システム1の構成を示す全体図である。空調設備管理システム1は、冷媒を用いて空調対象の空間を空調する空調設備100と、空調対象の空間である室内に設置された安全装置としての冷媒検知装置200とを備える。冷媒検知装置200は、空調設備100から空調対象の空間に漏えいした冷媒を検知する。
【0014】
空調設備100は、空調対象の空間に設置された室内機10、および室内機10に通信接続されたリモートコントロール装置20と、室内機10に第1通信線31および配管32を介して接続された室外機40とを備える。配管32は、室内機10と室外機40との間で冷媒を循環させる。
【0015】
図2は、室内機10および室外機40の構成を示すブロック図である。室内機10は、空間容量計測部としての計測センサ11と、第1通信部12と、第2通信部13と、室内制御装置14とを有する。
【0016】
計測センサ11は、例えば超音波流量計、カメラ装置、またはLiDAR(Light Detection And Ranging)を用いて構成され、室内機10による空調対象の空間容量を計測する。第1通信部12は、第1通信線31を介して室外機40との情報通信を行う。第2通信部13は、冷媒検知装置200に接続された第2通信線33が着脱可能に構成され、第2通信線33が接続されると冷媒検知装置200との情報通信を行う。
【0017】
室内制御装置14は、動作制御部141と、計測情報取得部142と、冷媒情報取得部143と、判定部144と、接続検知部145と、インターロック機能部146と、漏えい検知情報取得部147とを有する。
【0018】
動作制御部141は、室内機10内の各機器、例えば熱交換器(図示せず)および送風機(図示せず)等を制御する。計測情報取得部142は、計測センサ11で計測された空調対象の空間容量の情報を取得する。冷媒情報取得部143は、第1通信部12を介して室外機40から後述する冷媒に関する情報を取得する。
【0019】
判定部144は、計測情報取得部142が取得した空調対象の空間容量の情報と、冷媒情報取得部143が取得した冷媒に関する情報とに基づいて、室内機10による空調対象の空間に対する安全装置の設置要否を判定する。接続検知部145は、第2通信部13に第2通信線33が接続されると、これを検知する。
【0020】
インターロック機能部146は、判定部144の判定結果および接続検知部145による検知結果に基づいて機能ON状態と解除状態とを切り替えることにより、動作制御部141による各機器の運転可能/不可能を切り替えるインターロック機能を有する。
【0021】
具体的にはインターロック機能部146は、判定部144が安全装置の設置を必要と判定し、且つ接続検知部145で第2通信線33の接続が検知されていない、つまり室内機10に冷媒検知装置200が接続されていないときには、インターロック機能がON状態であればこれを維持し、インターロック機能が解除されていればON状態に切り替えて動作制御部141による各機器の運転が実行不可能な状態にする。
【0022】
インターロック機能部146は、インターロック機能をON状態に切り替えたときには、インターロック機能をON状態に切り替えたことを示すインターロックON通知を生成して、室外機40およびリモートコントロール装置20に送信する。
【0023】
またインターロック機能部146は、判定部144が安全装置の設置を必要と判定した後、接続検知部145で第2通信線33の接続が検知されたとき、つまり室内機10に冷媒検知装置200が接続されたときには、インターロック機能を解除状態にして動作制御部141による各機器の運転が可能な状態にする。
【0024】
またインターロック機能部146は、判定部144が安全装置の設置を不要と判定したときには、接続検知部145の検知結果に関わらず、つまり室内機10に冷媒検知装置200が接続されているか否かに関わらず、インターロック機能を解除状態にして動作制御部141による各機器の運転が可能な状態にする。
【0025】
インターロック機能部146は、インターロック機能を解除すると、インターロック機能を解除状態に切り替えたことを示すインターロック解除通知を生成して、室外機40およびリモートコントロール装置20に送信する。
【0026】
漏えい検知情報取得部147は、第2通信部13に第2通信線33が接続され、冷媒検知装置200との通信が確立されているときに、冷媒検知装置200による検知結果を取得する。
【0027】
リモートコントロール装置20は、空調対象の空間にいる利用者による室内機10の動作に関する操作情報を入力して室内機10に送信する入力部21と、室内機10から送信された情報を出力する出力装置としての表示部22とを有する。
【0028】
室外機40は、出力装置としての室外表示装置41と、第3通信部42と、室外制御装置43とを有する。室外表示装置41は、室外制御装置43の制御により所定の情報を表示する。第3通信部42は、第1通信線31を介して室内機10との情報通信を行う。
【0029】
室外制御装置43は、冷媒情報記憶部431と、情報処理部432とを有する。冷媒情報記憶部431は、空調設備100内を循環する冷媒の情報として、空調設備100に封入された全冷媒量mおよび当該冷媒の燃焼下限界(LFL:Lower Explosion Limit)Lの情報を記憶する。
【0030】
情報処理部432は、室外機40の電源がON状態になったとき、または室内機10からの要求を受けたときに、冷媒情報記憶部431に記憶された情報を、第3通信部42を介して室内機10に送信する。また情報処理部432は、室内機10から所定の通知を取得すると室外表示装置41に表示させる。
【0031】
〈一実施形態による空調設備管理システムの動作〉
本実施形態による空調設備管理システムの動作について、説明する。図3は、空調設備管理システムの稼動中に室外機40が実行する処理を示すフローチャートであり、図4は、室内機10が実行する処理を示すフローチャートである。本実施形態において初期状態では、図1内に実線で示す空間X0が、空調設備100による空調対象となっている。
【0032】
空間X0を空調対象として空調設備100を設置する際に、室内機10および室外機40が実行する処理について説明する。空調設備100は、初期状態においては、室内機10のインターロック機能部146のインターロック機能がON状態で出荷され、動作制御部141による各機器の運転が実行不可能な状態になっている。
【0033】
空間X0を空調対象の空間として空調設備100が設置され、室内機10および室外機40に電源が投入されると、室内機10の室内制御装置14および室外機40の室外制御装置43が、空調対象の空間に対する安全装置の設置要否を判定する判定タイミングが到来したことを認識する(図3;S1の「YES」、図4;S11の「YES」)。
【0034】
室外制御装置43は、判定タイミングが到来したことを認識すると、情報処理部432が、冷媒情報記憶部431に記憶された冷媒量mおよび燃焼下限界Lの情報を取得し、第3通信部42を介して室内機10に送信する(図3;S2)。
【0035】
室内制御装置14では、判定タイミングが到来したことを認識すると、計測情報取得部142が計測センサ11で計測された空間X0の容量の情報を取得する(図4;S12)。このとき計測情報取得部142は、空調制御対象の建物の設計情報を取得し、空間X0の容量の情報に関する補足情報として用いてもよい。計測情報取得部142は、計測センサ11で計測された空間X0の容量は設計情報から取得した情報と、計測した情報を適宜組み合わせて算出してもよく、例えば、建物の設計情報から空間X0の高さを取得し、計測センサ11で床から所定高さまでの壁面で囲まれた面積を取得し、それらの積を空間X0の容量としてもよい。または、計測情報取得部142は、計測センサ11で床面から所定高さまでの壁面で囲まれた空間の容積を計測し、空間X0の容積とみなしてもよい。
【0036】
また、判定タイミングが到来したことを認識すると、冷媒情報取得部143が、室外機40から送信された冷媒量mおよび燃焼下限界Lの情報を取得する(図4;S13)。
【0037】
判定部144は、計測情報取得部142が取得した空間X0の容量の情報と、冷媒情報取得部143が取得した冷媒に関する情報とに基づいて、空間X0に対する安全装置の設置要否を判定する(図4;S14)。
【0038】
具体的には、判定部144は、冷媒量mがすべて室内X0に漏えいした場合の仮想的な最大濃度である比充填量が燃焼下限界Lを超える場合には、空間X0に安全装置の設置が必要と判定する。この比充填量は、空間X0の容積に対する冷媒量mの割合で示される。
【0039】
ここでは、判定部144は空間X0に対する安全装置の設置が不要と判定し(図4;S14の「NO」)、インターロック機能がON状態であるか否かを確認する(図4;S15)。
【0040】
このときインターロック機能は初期のON状態であるため(図4;S15の「YES」)、インターロック機能部146はインターロック機能を解除状態にして動作制御部141による各機器の運転が可能な状態にする(S16)。
【0041】
インターロック機能部146は、インターロック機能を解除すると、インターロック解除通知を生成して室外機40およびリモートコントロール装置20に送信する(S17)。
【0042】
室外機40では、室内機10から送信されたインターロック解除通知を、第3通信部42を介して情報処理部432が取得し(図3;S3の「YES」)、室外表示装置41に表示させる(図3;S4)。またリモートコントロール装置20では、室内機10から送信されたインターロック解除通知が、表示部22に表示される。
【0043】
作業員は、室外機40の室外表示装置41またはリモートコントロール装置20の表示部22に表示されたインターロック解除通知を視認し、インターロック機能が解除されて空調設備100の運転が可能な状態になったことを認識することがきできる。
【0044】
次に、空調設備100の設置後、所定期間ごと、例えば1ヶ月ごとに実行する、空調対象の空間に対する安全装置の設置要否判定処理について説明する。ここでは、前回の安全装置の設置要否判定処理実行時からの1ヶ月の間に、図1内に一点鎖線で示すように空間X0内にパーテーションPが設置されて空間X0が空間X1とX2とに分割され、空調設備100による空調対象が空間X1になっている。
【0045】
室内制御装置14および室外制御装置43が、空調対象の空間に対する安全装置の設置要否を判定する判定タイミングが到来したことを認識すると(図3;S1の「YES」、図4;S11の「YES」)、情報処理部432が、冷媒情報記憶部431に記憶された冷媒量mおよび燃焼下限界Lの情報を取得し、第3通信部42を介して室内機10に送信する(図3;S2)。
【0046】
ここで、当該判定タイミングが到来したことを認識した室内制御装置14が室外制御装置43に冷媒情報要求を送信し、室外制御装置43の情報処理部432がこの要求に応じて冷媒情報記憶部431に記憶された冷媒量mおよび燃焼下限界Lの情報を取得して室内機10に送信してもよい。
【0047】
室内制御装置14では、判定タイミングが到来したことを認識すると、計測情報取得部142が計測センサ11で計測された空間X1の容量の情報を取得する(図4;S12)。また冷媒情報取得部143が、室外機40から送信された冷媒量mおよび燃焼下限界Lの情報を取得する(図4;S13)。
【0048】
判定部144は、計測情報取得部142が取得した空調対象の空間容量の情報と、冷媒情報取得部143が取得した冷媒に関する情報とに基づいて、空間X1に対する安全装置の設置要否を判定する(図4;S14)。
【0049】
ここで判定部144は、空間X1に安全装置を設置する必要があると判定する(図4;S14の「YES」)。判定部144は、空間X1に安全装置を設置する必要があると判定すると、インターロック機能部146は、接続検知部145の検知結果により冷媒検知装置200が室内機10に接続されているか否かを判定する(図4;S18)。
【0050】
ここではインターロック機能部146は冷媒検知装置200が室内機10に接続されていないと判断し(S18の「NO」)、インターロック機能がON状態であるか否かを判定する(S19)。
【0051】
ここではインターロック機能は解除されているため(S19の「NO」)、インターロック機能部146はインターロック機能のON状態に切り替え(S20)、インターロックON通知を生成して室外機40およびリモートコントロール装置20に送信する(S21)。
【0052】
室外機40では、室内機10から送信されたインターロックON通知を、第3通信部42を介して情報処理部432が取得し(図3;S3の「NO」→S5の「YES」)、室外表示装置41に表示させる(図3;S4)。またリモートコントロール装置20では、室内機10から送信されたインターロックON通知が、表示部22に表示される。
【0053】
作業員は、室外機40の室外表示装置41およびリモートコントロール装置20の表示部22に表示されたインターロックON通知を視認し、安全装置を設置する必要があると判断して冷媒検知装置200に接続された第2通信線33を室内機10の第2通信部13に接続させる。これにより、冷媒検知装置200が室内機10に接続される。
【0054】
冷媒検知装置200が室内機10に接続されると、接続検知部145がこれを検知する(S22の「YES」)。インターロック機能部146は、接続検知部145の検知結果に基づいて、インターロック機能を解除状態にして動作制御部141による各機器の運転が可能な状態にする。またインターロック機能部146は、インターロック機能を解除すると、インターロック解除通知を生成して室外機40およびリモートコントロール装置20に送信する(S23)。
【0055】
作業員は、室外機40の室外表示装置41およびリモートコントロール装置20の表示部22に表示されたインターロック解除通知を視認し、インターロック機能が解除されて空調設備100の運転が可能な状態になったことを認識することがきできる。
【0056】
その後、空調設備100の運転が開始され、冷媒検知装置200で冷媒が検知された際に、該当する検知情報が漏えい検知情報取得部147で取得されるようになる。
【0057】
冷媒検知装置200は、空調設備100で用いられている冷媒のLFLの25%を超える量の冷媒を検知すると、冷媒が漏えいしたと判定する。冷媒検知装置200は、冷媒が漏えいしたと判定すると、漏えい検知情報を生成し、室内機10に送信する。
【0058】
室内機10では、冷媒検知装置200から送信された漏えい検知情報を、漏えい検知情報取得部147が取得する。漏えい検知情報取得部147が漏えい検知情報を取得すると、室外機40およびリモートコントロール装置20に送信するとともに、動作制御部141が冷媒の漏えいに対する安全対策処理を実行する。
【0059】
具体的には、動作制御部141は、配管32から室外機40に供給される冷媒を遮断する安全遮断弁(図示せず)を閉状態にするかまたは、空調対象の室内X1を換気する換気装置(図示せず)を動作させる。
【0060】
上述した処理のステップS15において、判定部144が、インターロック機能がON状態でない(解除されている)と判定すると(S15の「NO」)、ステップS11に戻る。
【0061】
また、ステップS18において、インターロック機能部146が、冷媒検知装置200が室内機10に接続されていると判定すると(S18の「YES」)、ステップS11に戻る。
【0062】
また、ステップS19において、インターロック機能部146が、インターロック機能がON状態であると判定すると(S19の「YES」)、ステップS22に移行する。
【0063】
以上の実施形態によれば、空調対象の空間の大きさの変更に応じた場合にも、空調設備で用いる冷媒の漏えいに対する安全装置の設置の要否を容易に判定し、作業員に認識させることができる。
【0064】
上述した実施形態においては、計測センサ11が室内機10に設置された場合について説明したが、設置位置はこれには限定されず、室内機10が空調対象とする空間の容量を計測できる位置であればよい。また、室内機10に接続されたものでなく、空調機外部に設置されたその他の計測機器や携帯端末等の計測手段で計測された計測情報を、空調対象とする空間の容積として取得しても良い。
【0065】
また、上述した実施形態においては、計測情報取得部142、冷媒情報取得部143、判定部144、接続検知部145、インターロック機能部146、および漏えい検知情報取得部147が室内機10内に設けられた場合について説明したが、これには限定されず、室外機40、空調設備100を遠隔監視する遠隔監視装置、またはクラウド内のリソースに設けてもよい。遠隔監視装置またはクラウド内のリソースと室内機10とは、室外機40を経由して接続されていてもよい。
【0066】
また、上述した実施形態においては、空調設備100を設置した後、所定期間ごとに空調対象の空間に対する安全装置の設置要否判定処理を実行する場合について説明したが、作業員が判定処理の実行を指示する操作を行ったときに、当該処理を実行してもよい。上記実施形態の判定タイミングは、定期的に到来するタイミング、リモコンやその他端末等で作業員や空調ユーザが指示する任意のタイミング、建物に設置されたその他の装置類の動作に連動したタイミング等、種々のタイミングとして良い。
【0067】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0068】
1…空調設備管理システム、10…室内機、11…計測センサ、12…第1通信部、13…第2通信部、14…室内制御装置、20…リモートコントロール装置、21…入力部、22…表示部、31…第1通信線、32…配管、33…第2通信線、40…室外機、41…室外表示装置、42…第3通信部、43…室外制御装置、141…動作制御部、142…計測情報取得部、143…冷媒情報取得部、144…判定部、145…接続検知部、146…インターロック機能部、147…検知情報取得部、200…冷媒検知装置、431…冷媒情報記憶部、432…情報処理部
図1
図2
図3
図4